説明

セラミック多層基板、及び、そのセラミック多層基板の製造方法

【課題】ビア上に形成された外部電極に電子部品が実装可能なセラミック多層基板を提供する事を提供する。
【解決手段】導電性ペーストが充填されたビアを有するセラミック多層基板1において、ビア3の最外部(第1のビア3a)が、非ガラス成分の導電性ペーストにて形成することを特徴とするセラミック多層基板とした。こうすることによって、ビア上に形成された外部電極上に電子部品が実装可能なセラミック多層基板を提供する事ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック多層基板、及びセラミック多層基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セラミック多層基板は、耐熱性・耐湿性に優れ、また、高周波回路において良好な周波数特性を有することから、モバイル機器のRF(Radio Frequency)モジュール、放熱性を利用したパワーLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)用の基板や液晶のバックライト向けLED用の基板、また、自動車搭載用の電子制御回路用の基板として用いられている。
【0003】
現在、このセラミック多層基板は、導電性ペーストが充填されたビアを有し、このセラミック多層基板の製造工程は、そのグリーンシートに孔を形成し、その後、その孔に導電性ペーストを充填し、その後、その導電性ペーストを焼成することによってビアを形成していた。(例えば、これに類似する技術は下記特許文献1に記載されている)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−111221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来例における課題は、導電性ペーストを焼成することによってビアを形成していたため、セラミック多層基板のビア部の表面が、約10umのヘコミ(凹部)を形成してしまい、それが起因として、セラミック多層基板のビア上に電子部品(例えば半導体チップ)実装用の外部端子(導電性薄膜)を形成すると、その外部端子にも約10umのヘコミ(凹部)が形成されるため、フリップチップ型半導体チップのような電子部品が実装できないという課題を有していた。
【0006】
そこで、本発明は、ビア上に形成された外部電極に電子部品が実装可能なセラミック多層基板を提供する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために本発明は、導電性ペーストが充填されたビアを有するセラミック多層基板において、前記ビアの最外部が、非ガラス成分の導電性ペーストにて形成されていること、を特徴とするセラミック多層基板とし、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明は、導電性ペーストが充填されたビアを有するセラミック多層基板において、前記ビアの最外部が、非ガラス成分の導電性ペーストにて形成されていること、を特徴とするセラミック多層基板としたものであるので、ビア上に形成された外部電極上に電子部品が実装可能なセラミック多層基板を提供する事ができる。
【0009】
すなわち、本発明においては、ビアの最外部が、非ガラス成分の導電性ペーストにて形成されているので、セラミック多層基板の製造工程にて、一時的に形成するアルミナ製の拘束層とビアの最外部が結合することなく、かつ、ビアの最外部の焼成による収縮を大幅に低減することができ、その結果として、セラミック多層基板のビアの表面のヘコミの発生を防止することができる。そのことによって、本発明の目的であるビア上に形成された外部電極上に電子部品が実装可能なセラミック多層基板を提供する事ができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1におけるセラミック多層基板の断面図
【図2】本発明の実施の形態1におけるセラミック多層基板の製造方法のフローチャート
【図3】本発明の実施の形態1におけるグリーンシートの断面図を示すものであり、図4(a)はグリーンシート8Aの断面図、図4(b)はグリーンシート8Bの断面図、図4(c)はグリーンシート8Cの断面図
【図4】本発明の実施の形態1の積層工程における積層手順を示す断面図
【図5】本発明の実施の形態1の積層工程におけるグリーンシート積層体の断面図
【図6】本発明の実施の形態1の積層工程における加圧加熱方法を説明する断面図
【図7】本発明の実施の形態1の脱バインダー工程における加圧加熱方法を説明する断面図
【図8】本発明の実施の形態1の焼成工程における加熱方法を説明する断面図
【図9】本発明の実施の形態1の拘束層除去工程後におけるグリーンシート積層体の断面図
【図10】本発明の実施の形態2におけるセラミック多層基板の断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態を図面とともに詳細に説明する。
【0012】
(実施の形態1)
[1]セラミック多層基板の構成
まずはじめに、図1を用いて、本実施形態におけるセラミック多層基板の構成に関して説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態1におけるセラミック多層基板の断面図を示すものである。図1に示すように、セラミック多層基板1は、複数(具体的には本実施形態では後述のように3枚)のセラミック製のグリーンシートを焼成して形成されたセラミック基板部2と、そのセラミック基板部2内部には、ビア3、内部配線部4、内部ビア5が形成されている。
【0014】
さらに、本実施形態において、ビア3は、セラミック基板部2の最外部(すなわちセラミック多層基板1の最外部)に配置された第1のビア3aと、第1のビアと接続され、かつセラミック基板部2の内部(すなわちセラミック多層基板1の内部)に配置された第2のビア3bにて形成させる。
【0015】
また、本実施形態においては、図1に示すように、ビア3は、セラミック基板部2の内部から外部に貫通されたビアのことを示し、内部ビア5は、セラミック基板部2内部にあるビアのことを示す。(本実施形態ではビア3と内部ビア5とは区別しています。)
また、セラミック基板部2の表裏面には、このセラミック多層基板1に所望の電子部品(例えばIC=Integrated Cuircuit)を実装するための外部電極部6や、所望の回路パターン配線部7を有している。
【0016】
また、本実施形態において、セラミック基板部6は、後述で再度説明するが、何れも、アルミナ粉末を55[wt%]、ガラス粉末を45[wt%]の割合で配合したガラス・セラミックの固体成分と、有機溶剤等からなる有機バインダーを、固体成分と有機バインダーとの割合が、固体成分84:有機バインダー16の重量比の割合で混合された組成物からなる、シート状の形状のグリーンシートと呼ばれるものを、複数枚(少なくとも2枚以上)積層し、加圧し、その後、900[℃]にて焼成することによって形成する。なお、本実施形態のセラミック基板部2においては、三枚のグリーンシートを積層、焼成したものを用いた。
【0017】
また、本実施形態において、セラミック基板部2の内部にある第1のビア3aは、銀を主成分とするガラス成分を含有しない導電性ペースト(=非ガラス成分の導電性ペースト)から形成されている。より具体的には、銀(Ag)が86.3[wt.%]、パラジウム(Pd)が1.5[wt.%]、その他有機物が12.2[wt.%]とう組成比で混合された導電性ペーストを用いた。
【0018】
ここで、セラミック基板部2の内部にあるセラミック基板部2の内部にある第1のビア3aを形成するために銀(Ag)粒子を含有し、ガラス成分を含有していない導体ペースト(非ガラス成分の銀ペースト)を用いた理由を説明する。
【0019】
本実施形態におけるセラミック多層基板において、ビア3の最外部(本実施形態では第1のビア3aに相当)が、非ガラス成分の導電性ペーストにて形成されているので、後述で詳しく説明するが、セラミック多層基板の製造工程にて一時的に形成するアルミナ製の拘束層とビアの最外部が結合することなく、かつ、ビアの最外部の焼成による収縮を大幅に低減することができる。そのため、セラミック多層基板1のビア3の表面のヘコミの発生を防止することができる。
【0020】
さらに、第1のビア3aの直径(図1中のAに相当)は、第2のビア3bの直径(図1中のBに相当)より大きくなるように構成している。
【0021】
このように構成することにより、より確実に、セラミック多層基板の製造工程にて一時的に形成するアルミナ製の拘束層とビアの最外部が結合することを防止するとともに、ビアの最外部の焼成による収縮を大幅に低減することができる。そのため、セラミック多層基板1のビア3の表面のヘコミの発生を、より確実に防止することができる。
【0022】
また、本実施形態において、セラミック基板部2の内部にある第2のビア3b、および内部ビア5は、銀(Ag)粒子とパラジウム(Pd)粒子とガラス成分を含有する導電性ペーストを用いた。より具体的には、銀(Ag)が85.6[wt.%]、パラジウム(Pd)が1.4[wt.%]、ガラス成分が2.9[wt.%]、その他有機物が12.2[wt.%]という組成比で混合された導電性ペーストを用いた。
【0023】
また、本実施形態において、セラミック基板部2の内部にある内部配線部4は、前述の焼成前のグリーンシートに、予め、スクリーン印刷法を用いて所望のパターンに印刷して形成後、前述のセラミックシートを焼成する際に同時に焼成される事によって形成している。なお、本実施形態においては、銀(Ag)粒子とガラス成分を含有する導体ペーストを用いた。
【0024】
また、本実施形態において、セラミック基板部2の表裏面の外部電極6、回路パターン配線部7は、前述のグリーンシートを焼成後、導体ペーストをスクリーン印刷法を用いて所望のパターンに印刷して形成後、前述のセラミックシートを焼成する温度より低い温度で、かつ、この導体ペーストが十分に焼成される温度にて熱処理を行うことによって形成する。なお、本実施形態においては、銀(Ag)粒子とガラス成分を含有する導電性ペースト(銀(Ag)が80.0[wt.%]、ガラス成分が1.5[wt.%]、その他有機物が18.5[wt.%]という組成比で混合された導電性ペースト)を用いた。
【0025】
[2]セラミック多層基板の製造方法
それでは、以下に、本発明の実施の形態1におけるセラミック多層基板の製造方法について説明する。
【0026】
図2は、本発明の実施の形態1におけるセラミック多層基板の製造方法のフローチャートを示すものである。図2は、本実施形態のセラミック多層基板1のプロセスフローを示す図であり、大きく分けて、ステップ1:グリーンシート準備工程と、ステップ2:積層工程と、ステップ3:脱バインダー工程と、ステップ4:焼成工程と、ステップ5:拘束層除去工程と、ステップ6:外部電極・回路パターン配線部形成工程という、6つのステップからなるものである。
【0027】
[ステップ1:グリーンシート準備工程]
図3は、本発明の実施の形態1におけるグリーンシートの断面図を示すものであり、図3(a)はグリーンシート8Aの断面図、図3(b)はグリーンシート8Bの断面図、図3(c)はグリーンシート8Cの断面図を示すものである。
【0028】
本実施形態においては、純のグリーンシート(アルミナ粉末を55[wt%]、ガラス粉末を45[wt%]の割合で配合したガラス・セラミックの固体成分と、有機溶剤等からなる有機バインダーを、固体成分と有機バインダーとの割合が、固体成分84:有機バインダー16の重量比の割合で混合された組成物をシート状に形成したもの)から、図3(a)〜図3(c)に示すように、グリーンシート8A(図3(a))、グリーンシート8B(図3(b))、グリーンシート8C(図3(c))を作成する。
【0029】
まず、はじめに、図3(a)に示すグリーンシート8Aに関して説明する。グリーンシート8Aには、例えば、レーザー光による加工によって孔を形成し、その後、その孔に、銀(Ag)粒子とパラジウム(Pd)粒子とガラス成分を含有する導体ペーストを充填することによって、第2のビア3bを形成する。更に、図3(a)に示すように、ビア3b上に、第1のビア3aを形成するための、銀を主成分とするガラス成分を含有しない導電性ペースト(=非ガラス成分の導電性ペースト)を塗布する。ここで、ビア3bを完全に覆うように、ビア3b上に、銀を主成分とするガラス成分を含有しない導電性ペーストを塗布することによって、前述のような、第1のビア3aの直径(図1中のAに相当)が、第2のビア3bの直径(図1中のBに相当)より大きくなるように構成することができる。これにて、グリーンシート8Aが完成する。
【0030】
次に、図3(b)に示すグリーンシート8Bに関して説明する。グリーンシート8Bは、はじめに、グリーンシート8Aと同様に、孔を形成し、その後、その孔に、銀(Ag)粒子とパラジウム(Pd)粒子とガラス成分を含有する導体ペーストを充填することによって、内部ビア5を形成する。次に、グリーンシート8B上面に導体ペーストを、スクリーン印刷法を用いて所望のパターンに印刷して内部配線部4を形成する。これにて、グリーンシート8Bが完成する。
【0031】
次に、図3(c)に示すグリーンシート8Cに関して説明する。グリーンシート8Cは、はじめに、グリーンシート8Bと同様に、スクリーン印刷法を用いて所望のパターンに印刷して内部配線部4を形成する。これにて、グリーンシート8Cが完成する。
以上が、図2中のステップ1のグリーンシート準備工程である。
【0032】
[ステップ2:積層工程]
次に、図4、図5、図6を用いてステップ2の積層工程について説明する。
【0033】
図4は、本発明の実施の形態1の積層工程における積層手順を示す断面図である。また、図5は、本発明の実施の形態1の積層工程におけるグリーンシート積層体の断面図を示すものである。また、図6は、本発明の実施の形態1の積層工程における加圧加熱方法を説明する断面図を示すものである。
【0034】
まず、はじめに、図4、図5に示している第1の拘束層9、第2の拘束層10に関して説明する。一般に、アルミナ粉末とガラス粉末を配合したガラス・セラミックの組成物で、シート状の形状のグリーンシートを、高温を印加すると、アルミナ粉末とガラス粉末が焼成することによって、そのグリーンシートの体積(平面方向、および厚さ方向)に収縮する。
【0035】
本実施形態においても、次の工程であるステップ3:脱バインダー工程、ステップ4:焼成工程にて、グリーンシート積層体11(図5中に図示)を、加圧しながら熱を印加するのであるが、その際、それらグリーンシート8A、8B、8Cを挟み込むように、印加する温度では焼成しない成分のセラミックからなる第1の拘束層9、第2の拘束層10をそれぞれ上下面に配置しておく。
【0036】
こうすることによって、グリーンシート8A、8B、8Cは、図4中に示す、X方向、およびY方向(すなわち、グリーンシート積層体11の平面方向)には収縮せず、Z方向(すなわち、グリーンシート積層体11の厚さ方向)にのみ収縮する。このX方向、Y方向に収縮させないために、この第1の拘束層9、第2の拘束層10を使用するのである。本実施形態においては、アルミナ粉末をシート状に成形したものを第1の拘束層9、第2の拘束層10として用いた。
【0037】
次に、図4を用いて、グリーンシート8A、8B、8Cを積層し、グリーンシート積層体11を準備する方法を説明する。
【0038】
まず、第1の拘束層9上に、グリーンシート8Cを積層する。次に、グリーンシート8C上にグリーンシート8Bを積層し、更に、グリーンシート8B上にグリーンシート8Aを所望の位置になるように、位置合わせを実施しながら積層する。最後に、グリーンシート8A上に、第2の拘束層10を配置する。このようにして、図5に示すような、グリーンシート積層体11が準備されるのである。
【0039】
次に、図6に示すように、グリーンシート積層体11を台座12上に配置し、その上面から加圧をすることによって、グリーンシート積層体11中のグリーンシート8A、8B、8C同士を仮接着する。
【0040】
ここで、図6中のグリーンシート積層体11は、図5中のグリーンシート積層体11と同一のものであるが、図6中のグリーンシート積層体11は簡略化して図示している。
【0041】
また、本実施形態において、グリーンシート積層体11を上から加圧した圧力は15.2[MPa]とし、加熱温度は85℃[℃]を用いた。このようにして、グリーンシート積層体11中のグリーンシート8A、8B、8C同士を仮接着する。
【0042】
[ステップ3:脱バインダー工程]
次に、ステップ3の脱バインダー工程について説明する。
【0043】
図7は、本発明の実施の形態1の脱バインダー工程における加熱方法を説明する断面図を示すものである。
この工程では、図7に示すように、(図6と同じように)、グリーンシート積層体11を台座13上に配置し、その上面から加熱をすることによって、グリーンシート積層体11中のグリーンシート8A、8B、8C内部の有機バインダーを除去する。
【0044】
本実施形態において、グリーンシート積層体11上の加熱温度は650[℃]にて加熱を行った。このようにして、グリーンシート積層体11中のグリーンシート8A、8B、8C内部の有機バインダーを除去する。
【0045】
[ステップ4:焼成工程]
次に、ステップ4の焼成工程について説明する。
【0046】
図8は、本発明の実施の形態1の焼成工程における加熱方法を説明する断面図を示すものである。
【0047】
グリーンシート積層体11を台座14上に配置し、その上面から加熱をすることによって、グリーンシート積層体11を焼成する。
本実施形態において、グリーンシート積層体11の加熱温度は前述のように900[℃]を用いた。
【0048】
このようにして、この焼成工程後、図8に示すように、グリーンシート積層体11は、その厚さ方向に収縮したものになる。
【0049】
[ステップ5:拘束層除去工程]
次に、ステップ5の拘束層除去工程について説明する。
【0050】
この工程では、水96gと平均粒径0.1〜10umのアルミナ粉末4gの割合の混合物を、圧力0.4[MPa]の圧縮空気にて、グリーンシート積層体11の上下面の拘束層9、10上から吹き付ける。
【0051】
図9は、本発明の実施の形態1の拘束層除去工程後におけるグリーンシート積層体の断面図を示すものである。こうすることによって、第1の拘束層9、第2の拘束層10のみ除去することができ、図9に示すようなものになる。
【0052】
[ステップ6:外部電極・回路パターン配線部形成工程]
次に、ステップ6の外部電極・回路パターン配線部形成工程について説明する。
【0053】
ステップ6にて焼成されたグリーンシート積層体11の表裏面(上下面)に、図1に示すような、所望の外部電極部6や、回路パターン配線部7を形成する。
【0054】
本実施形態においては、前述のように、スクリーン印刷法を用いて、導体ペーストを所望のパターンに印刷して形成し、その後、ステップ3の焼成工程で印加した温度より低い温度で、かつ、導体ペーストが十分に焼成される温度にて熱処理を行うことによって形成した。本実施形態においては、この導体ペーストの焼成温度が850℃の銀ペースト(Agペースト)を用い、焼成のための熱処理温度は850℃を用いた。
【0055】
この工程後のグリーンシート積層体11は、図1に示すような、本実施形態のセラミック多層基板になる。
【0056】
以上のように、図2に示すステップ1からステップ6を行うことによって、本実施形態のセラミック多層基板を製造することができる。
【0057】
[3]本実施形態の発明の効果
以上のように、本実施形態においては、導電性ペーストが充填されたビア3を有するセラミック多層基板において、ビア3の最外部(本実施形態においては第1のビア3aに相当)が、非ガラス成分の導電性ペーストにて形成されていることを特徴とするセラミック多層基板1としたものであるので、ビア3上に形成された外部電極6上に電子部品が実装可能なセラミック多層基板を提供する事ができる。
【0058】
すなわち、本発明においては、ビア3の最外部が、非ガラス成分の導電性ペーストにて形成されているので、セラミック多層基板1の製造工程にて、一時的に形成するアルミナ製の拘束層とビアの最外部が結合することなく、かつ、ビア3の最外部の焼成による収縮を大幅に低減することができ、その結果として、セラミック多層基板1のビア3の表面のヘコミの発生を防止することができる。そのことによって、本発明の目的であるビア3上に形成された外部電極6上に電子部品が実装可能なセラミック多層基板を提供する事ができるのである。
【0059】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に関して説明する。
【0060】
図10は、本発明の実施の形態2におけるセラミック多層基板の断面図を示すものである。本実施形態と前述の実施の形態1と異なるのは、セラミック多層基板15内部のセラミック基板部2内のビア3が両面に貫通しており、そのビア3の上下面に外部電極6が形成されている点である。
【0061】
本実施形態のような場合でも、ビア3の最外部、すなわち、図10中のセラミック基板部の上下面の表面に、銀(Ag)粒子を含有し、ガラス成分を含有していない導電性ペースト(=非ガラス成分の導電性ペースト)を用いて第1のビア3aを形成することにより、前述の実施の形態1と同じ効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明にかかるセラミック多層基板は、ビア上に形成された外部電極に電子部品が実装可能なセラミック多層基板を提供する事ができるので、特に、最近普及の進んでいる液晶テレビや携帯電話の液晶画面用のバックライト向けLED用基板として用いられるセラミック多層基板として用いられることが大いに期待されるものとなる。
【符号の説明】
【0063】
1、15 セラミック多層基板
2 セラミック基板部
3 ビア
3a 第1のビア
3b 第2のビア
4 内部配線部
5 内部ビア
6 外部電極部
7 回路パターン配線部
8A、8B、8C グリーンシート
9 第1の拘束層
10 第2の拘束層
11 グリーンシート積層体
12、13、14 台座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性ペーストが充填されたビアを有するセラミック多層基板において、
前記ビアの最外部が、非ガラス成分の導電性ペーストにて形成されていること、
を特徴とするセラミック多層基板。
【請求項2】
前記導電性ペーストが銀を主成分とするペーストであることを特徴とする請求項1記載のセラミック多層基板。
【請求項3】
アルミナ成分とガラス成分を含有するグリーンシートに、必要に応じてビア、内部ビア、もしくは内部配線を形成するグリーンシート準備工程と、
前記グリーンシート準備工程後に、第1の拘束層上に前記グリーンシート準備工程で作成された複数のグリーンシートを積層し、その後、前記積層された複数のグリーンシートの最上面に配置されたグリーンシートの前記ビア上に非ガラス成分の導電性ペーストを塗布し、その後、前記積層された複数のグリーンシートの最上面に配置された前記グリーンシートの上面に第2の拘束層を配置することによってグリーンシート積層体を形成し、その後、前記グリーンシート積層体の上面から加圧加熱をすることによって、前記グリーンシート積層体を仮接着する積層工程と、
前記積層工程後に、前記グリーンシート積層体の上下面から、加熱をすることによって、前記複数のグリーンシート内部の有機バインダーを除去する脱バインダー工程と、
前記バインダー工程後、加熱をすることによって、前記グリーンシート積層体を焼成する焼成工程と、
前記焼成工程後に、前記グリーンシート積層体から、前記第1の拘束層と前記第2の拘束層を除去する拘束層除去工程と、
前記拘束層除去工程後、前記第1の拘束層と前記第2の拘束層を除去された前記グリーンシート積層体の上下面に、必要に応じて、外部電極部や、回路パターン配線部を形成する外部電極部・回路パターン配線部形成工程と、
からなるセラミック多層基板の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−114132(P2012−114132A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259750(P2010−259750)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】