説明

デジタルカメラ

【課題】 操作性を逸することなく、正確なホワイトバランス補正が行えるデジタルカメラを提供する。
【解決手段】 デジタルカメラは、無彩色の被写体を撮影しホワイトバランス(WB)の補正値を算出するキャリブレーションモードを有し、このモードで算出された補正値により撮影画像に対してWB補正が行われる。このキャリブレーションモードでは、適切な撮影条件(露光量オーバ、フラッシュ撮影時の発光量オーバの状態)に切替えて、被写体を撮影する。そして、キャリブレーションモードでの撮影後は、キャリブレーションモードに移行前の元の撮影条件に復帰させる。これにより、操作性を逸することなく、正確なホワイトバランス補正を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、デジタルカメラに関し、特にホワイトバランス補正の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、従来の銀塩フィルム式カメラに代わって、被写体からの光学像を撮像素子により電気画像信号に変換し、各電気画像信号を従来のフィルムに相当する磁気ディスクや着脱自在なカード型の半導体メモリ等の記録媒体に記録するデジタルカメラが実用化されている。
【0003】デジタルカメラにおいては、正確な色再現を達成するため、ホワイトバランス補正が必要である。このホワイトバランス補正で用いる補正値を求める方法として、(1)撮影画像の色差情報から最適なホワイトバランス補正値を算出する方法、(2)光源の色温度を検知するセンサを用いてホワイトバランス補正値を算出する方法、(3)撮影者があらかじめ被写体と同じ位置にある無彩色の被写体(基準被写体)を撮影し、この撮影画像データからホワイトバランス補正値を算出する方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述のホワイトバランス補正値の算出において、(1)、(2)の方法では、主たる被写体が彩度の高いものであったり、また、被写体を照らす光源と周囲の光源状態が異なる場合などに誤差が発生する。
【0005】また、(3)の方法では、(1)、(2)の方法に比べて、比較的正確なホワイトバランス補正値が得られる。しかしながら、キャリブレーション撮影においては、特定の撮影条件の設定(例:露光制御、レンズ位置制御)を行う必要があるため、もし撮影者が予め自らの意志で撮影モードを設定していた場合、キャリブレーション撮影を行う際、既に設定されていた情報が失われてしまい、再度設定をやり直す羽目になってしまう。
【0006】本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、操作性を逸することなく、正確なホワイトバランス補正が行えるデジタルカメラを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、デジタルカメラであって、(a)撮影条件を設定する第1設定手段と、(b)設定された撮影条件を記憶する記憶手段と、(c)ホワイトバランス補正用撮影を行う際に、ホワイトバランス補正用に撮影条件を設定する第2設定手段と、(d)前記ホワイトバランス補正用撮影の終了の後に、前記記憶手段から撮影条件を呼び出し再設定する第3設定手段と、を備える。
【0008】また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係るデジタルカメラにおいて、(e)自動露光設定手段、をさらに備え、前記第2設定手段により設定される露光量は、前記自動露光設定手段により設定される露光量よりも大きい。
【0009】また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係るデジタルカメラにおいて、(f)フラッシュと、(g)前記フラッシュの発光量を設定する発光量設定手段と、をさらに備え、前記第2設定手段により設定されるフラッシュの発光量は、前記発光量設定手段により設定される発光量よりも大きい。
【0010】また、請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係るデジタルカメラにおいて、前記第2設定手段により設定される撮影レンズの合焦位置は、遠距離位置である。
【0011】また、請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかの発明に係るデジタルカメラにおいて、(h)前記ホワイトバランス補正用撮影により得られた補正値が所定の範囲から逸脱するか否かを判別する判別手段、をさらに備える。
【0012】
【発明の実施の形態】<実施形態><デジタルカメラの要部構成>図1は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラの要部構成を示す縦断面図である。
【0013】デジタルカメラ1は、銀塩一眼レフカメラを利用して構成されたボディ本体2と、ボディ本体2の前面に装着される撮像レンズユニット3と、ボディ本体2の上面に脱着自在な発光部4とを備えている。
【0014】ボディ本体2には、その背面に液晶ディスプレイ(LCD)20が設けられ、撮像レンズ4から光路L方向に順にクイックリターンミラーM1と、フォーカルプレーンシャッター21と、撮像センサ22とが設けられている。また、ボデイ本体2は、クイックミラーM1の上方にフォーカシングスクリーン23と、ペンタ形のプリズム24とを有するとともに、プリズム11の後方に配置されている接眼レンズ25と測光センサ27とを有している。さらに、ボディ本体2には、プリズム24の前方にホワイトバランス(White Balance:WB)センサ28が設けられ、クイックリターンミラーM1の下方に測距センサ29が設けられている。
【0015】クイックリターンミラーM1は、枢支軸Mcに枢支されて回動自在となっているとともに、ミラーM2が接続されている。シャッターボタン61(図2で図示)が押下されるまで、図1に示す定常位置を保持している。この定常位置では、撮像レンズ4からの光路Lは、クイックリターンミラーM1で反射される光路L1と、クイックリターンミラーM1に部分的に設けられたハーフミラー部を透過しミラーM2で反射される光路L2に分路される。すなわち、撮像レンズ31で捉えた光学像は、光路L1に沿ってプリズム24を通り接眼レンズ25と測光センサ27とに到達するとともに、光路L2に沿ってミラーM3で反射され測距センサ29に到達する。この接眼レンズ25を覗くことにより撮影者は被写体を視認することができる。
【0016】また、シャッターボタン61が全押しされると、クイックリターンミラーM1は、ほぼ水平位置まで枢支軸Mcを中心に方向Rに回動して、撮像レンズ31からの光路Lが開放される。そして、フォーカルプレーンシャッター21が所定のシャッタースピードで開閉動作し、これにより、光学像が撮像センサ22に結像される。
【0017】LCD20は、撮像センサ22の出力に基づく本撮影の画像を表示できる。
【0018】測光センサ27は、撮像レンズ31で捉えられる光学像の光量を検出する。そして、検出された光量に基づいて、絞り値、シャッタースピードなどの制御値が設定され、さらには撮像センサ22への露光量が設定される。
【0019】プリズム24は、フォーカシングスクリーン23に結像した光学像を反転縮小して、測光センサ14及び接眼レンズ25へと向かわせるためのものである。
【0020】測距センサ29は、光学像を受光し、位相差検出方式により撮像レンズ31を駆動して自動合焦させるためのものである。
【0021】WBセンサ28は、光源の色温度を検出するセンサ、すなわち被写体における色成分(R、B、G)の各レベルを検出するセンサである。そして、この検出結果により、ホワイトバランス補正で用いる補正値Gr、Gb(後述)が算出できる。
【0022】撮像レンズユニット3は、撮像センサ22に光学像を結像させるための撮像レンズ31と、露光量を調整するための絞り32とを有している。
【0023】発光部4は、フラッシュ41と調光センサ42とを有している。
【0024】調光センサ42は、フラッシュ撮影時に、フラッシュ41の発光時間を適切にするため、被写体からのフラッシュ反射光を受光するものである。そして、この調光センサ42によりフラッシュの発光開始からその反射光を累積測定し、これが所定の発光量に達するとフラッシュ41の発光を強制的に停止する制御が行われる。
【0025】図2は、デジタルカメラ1の機能ブロック図である。
【0026】デジタルカメラ1は、各部を制御するカメラ用CPU51と、画像処理用CPU52とを有している。
【0027】カメラ用CPU51は、フォーカルプレーンシャッター21と、測距センサ27からの情報で焦点位置の検出を行う焦点検出部57と、測光センサ29とWBセンサ28と絞り32とLCD20とに電気的に接続されている。また、カメラ用CPU51は、撮像レンズ4の位置を変更するレンズモータ33と、EEPROMなどで構成されるデータ保存部53と、撮影条件などを液晶ディスプレイに表示する表示部58と、操作部6とに電気的に接続している。この操作部6は、シャッターボタン61とWB選択ボタン62と露出モード選択ボタン63とオートフォーカス選択ボタン64とを有している。そして、カメラ用CPU51は、これら各部と有機的に結合して、デジタルカメラ1における撮影動作の制御を行う。
【0028】画像処理用CPU52は、撮像センサ22と電気的に接続するとともに、撮像センサ22からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部54に接続している。また、画像処理用CPU52は、撮影画像などを一旦保存する画像メモリ55と、画像処理が施された最終的な出力画像をメモリカード9に記録するための画像記録部56とに電気的に接続している。
【0029】この画像処理用CPU52は、撮像センサ22の駆動制御と出力読み出し、ホワイトバランス補正、γ変換、デジタルフィルタなどの各種画像処理を行う。この画像処理用CPU52は、キャリブレーションモードにおけるホワイトバランスの補正値Gr、Gbの演算も行う。また、各CPU51、52は、必要に応じて、互いのデータの交信が行えるようになっている。
【0030】<ホワイトバランスモードについて>本実施形態のデジタルカメラ1では、次の3種類のWBモードが設定可能となている。
【0031】(1)マニュアルモード(2)オートモード(3)カスタムモード以下では、上記のWBモードについて説明する。
【0032】マニュアルモードでは、ユーザ設定による固定の補正値データでホワイトバランスを調整する。
【0033】オートモードでは、光源の色温度をWBセンサ28で検知して、演算処理によりWB補正値を算出する。これは、マニュアルモードでは、WB補正値が固定的であり、それに係る特性の光源でしかホワイトバランスを良好に補正することができないが、光源が異なる場合においても、それに応じた補正値を算出できるように設けられている。
【0034】カスタムモードでは、記録のための本撮影前に、あらかじめ基準被写体である無彩色の被写体、例えば白板や拡散板に対して撮影(キャリブレーション撮影)することにより、光源の状況を測定してWB補正値を求める。そして、実際の撮影時に、この求められたWB補正値でホワイトバランス補正を行う。
【0035】このカスタムモードは、上記オートモードでは色温度を検出するWBセンサ28と撮像センサ22との分光特性の相違で光源によってWBセンサ28から正確なWB補正値が得られない場合があるが、より正確なWB補正値を求めるために設けられている。なお、撮像センサ22により撮影された画像の色信号の比を求めてホワイトバランスを調整する方法をオートモードに採用しても、画面の多くの部分に色の偏りがある場合には色バランスが崩れる恐れがあり、正確なWB調整を行うためにはカスタムモードが必要となる。
【0036】カスタムモードにおけるキャリブレーションについて、以下で説明する。
【0037】まず、キャリブレーションにおいて考慮すべき画像の色バランスについては、出力画像の各色成分(R、G、B)をL*、a*、b*表色系色度に変換して評価を行う。標準的な変換式は、数1のとおりである。
【0038】
【数1】


【0039】上記のa*、b*は、画像の彩色具合を表すもので、被写体が無色彩の場合にはa*=b*=0となる。よって、無色彩に対する色バランスのずれを、例えば、数2に示すΔEabで規定する。
【0040】
【数2】


【0041】上式のΔEabをWB補正の評価に用いれば、基準被写体を撮影した際に、その画像がΔEab=0であれば、実際の被写体(彩度を有する被写体)を撮影する際に良好な色バランスの画像が得られる、すなわちホワイトバランス補正が良好に行えることとなる。
【0042】次に、キャリブレーションモードにおけるホワイトバランスの補正値の算出方法について説明する。
【0043】キャリブレーションモードにおいて撮影された画像をR、G、B成分に分解する。各色成分のデジタル出力値の総和を求めて、それらをそれぞれの画素数で割り、各色成分の平均値Rav、Gav、Bavを求める。そして、各色成分の出力が等しくなるよう、Gを基準にR、Bのレベルに補正をかけるためのホワイトバランス補正値(ゲイン)Gr、Gbを求める。計算式は数3の通りである。
【0044】
【数3】


【0045】撮影画像のR、B画素レベルに、上記のWB補正値Gr、Gbを乗算することにより、ΔEab=0となって撮影画像のホワイトバランス補正を良好に行える。
【0046】<デジタルカメラ1の動作>デジタルカメラ1については、ホワイトバランス補正に係る動作以外は通常のデジタルカメラと同様の基本動作を行う。以下では、このホワイトバランス補正に係る動作を説明する。
【0047】図3は、デジタルカメラ1のホワイトバランス補正に係る撮影動作を説明するフローチャートである。
【0048】ステップST1では、WBモード選択ボタン62を押下することにより、WBモードに設定される。
【0049】ステップST2では、WBモード選択ボタン62の押下により、オートモードが選択されたかを判定する。ここで、オートモードが選択された場合にはステップST3に進んでWBがオートモードに設定され、オートモードが選択されていない場合にはステップST4に進む。
【0050】ステップST4では、WBモード選択ボタン62の押下により、マニュアルモードが選択されたかを判定する。ここで、マニュアルモードが選択された場合にはステップST5に進んでWBがマニュアルモードに設定され、マニュアルモードが選択されていない場合にはステップST6に進む。
【0051】ステップST6では、オートモードおよびマニュアルモードが選択されないため、残るカスタムモードが選択される。
【0052】ステップST7では、WBモード選択ボタン62の押下により、キャリブレーションモードが要求されているかを判定する。すなわち、あらかじめ測定されたデータがない場合、もしくは新たにキャリブレーションをする場合には、このキャリブレーションが必要となる。ここで、キャリブレーションが要求されている場合にはステップST13に進み、キャリブレーションが要求されていない場合にはステップST8に進む。
【0053】ステップST8では、キャリブレーション動作(後述)が行われる。ここで、表示部58には、図4に示すような表示(カスタムモードの設定を示す表示71、キャリブレーションモードの設定を示す表示72)が行われる。
【0054】ステップST9では、ステップST8において行われたキャリブレーション結果が良好であるかを判定する。ここでは、基準被写体の撮影において色が偏った光源の影響を受けた場合など、画像処理用CPU52における演算で得られたホワイトバランス補正値Gr、Gbがあらかじめ設定されている適正範囲を逸脱している場合には、キャリブレーションが不良(失敗)と判断してキャリブレーションモード設定を解除し、ステップST7に進む。そして、ステップST7においては、基準被写体を変更するなどして再度キャリブレーションを行ってWB補正値の算出をやり直したり、キャリブレションを中止したりする選択ができる。また、キャリブレーション結果が良好である場合には、ステップST10に進む。
【0055】ステップST10では、ステップST8におけるキャリブレーションにより算出されたWB補正値Gr、Gbを保存する。つまり、キャリブレーションで正常なWB補正値が得られた場合は、この補正データをデータ保存部53に格納する。
【0056】ステップST11では、撮影レンズ31の位置と露光状態の設定とを、キャリブレーションモードに移行する前の状態に復帰させる。すなわち、キャリブレーションモードでの撮影終了に伴い、データ保存部53に格納されているレンズ繰り出し位置情報に基づいて、レンズモータ33を駆動させ撮影レンズ31は元の位置まで戻されるとともに、データ保存部53に保存されているユーザ設定情報に基づき、露出補正についても元の露光設定値に戻される。
【0057】ステップST12では、カスタムモードの撮影条件に設定される。ここで、表示部58には、図5に示すような表示(カスタムモードの設定を示す表示71、シャッタースピードの設定値73、絞りの設定値74)が行われる。
【0058】ステップST13では、選択されているモード(マニュアルモード、オートモードまたはカスタムモード)でのWB補正値Gr、Gbが、本撮影のために設定される。
【0059】ステップST14では、シャッターボタン61が全押し(S2)されたかを判定する。ここで、全押しされた場合にはステップST15に進む。
【0060】ステップST15では、被写体に対して、撮影センサ22による撮影画像データの取得が行われる。ここでは、この撮像画像データに対して、各モードにおけるWB補正値Gr、GbによってWB補正が行われることとなる。
【0061】図6は、キャリブレーション動作を説明するフローチャートである。
【0062】ステップST21では、キャリブレーションモード、つまりWB補正値Gr、Gbを求めるためのモードに設定される。
【0063】ステップST22では、シャッターボタン61が半押し(S1)されたかを判定する。ここで、シャッターボタン61が半押しされた場合には、ステップST23に進み、デジタルカメラ1は撮影の準備が開始される。
【0064】ステップST23では、撮影レンズ31位置の情報を保存するとともに、オートフォーカス動作を禁止する。これは、ある程度のコントラストを有する被写体に対して焦点検出が可能な位相差検出方式を採用しているため、キャリブレーションモードで必要とされるコントラストのない(無色彩)の基準被写体を撮影する際には合焦位置の自動検出が困難となるからである。すなわち、焦点検出部57のAF機能をオフにするとともに、キャリブレーションが終了した際に元の撮影条件に復帰できるように撮影レンズ31位置の情報をデータ保存部53に保存する。
【0065】また、オートフォーカス選択ボタン64でのユーザ設定により、あらかじめ焦点検出部57におけるAF機能をオフにしている場合には、カメラ用CPU51内にある撮影レンズ31の繰り出し位置情報がデータ保存部53に格納されることとなる。
【0066】ステップST24では、レンズモータ33を駆動させ、レンズの光学特性が安定している遠距離位置、好ましくは無限遠(∞)位置で撮影レンズ31を固定する。この合焦位置に撮影レンズ31を固定することにより、キャリブレーションモードで撮影(ステップST28)される画像は、より均一化されることになる。
【0067】ステップST25では、露出モード選択ボタン63により、あらかじめ露出に関するユーザ設定が行われている場合は、このユーザ設定情報をデータ保存部53に保存する。また、測光センサ27を用いたTTLダイレクト測光に基づき露出制御が行われ、基準被写体の撮影画像を標準反射率(例えば平均18%程度の明度)のグレーに表現するように露光量Leを設定する自動露出(AE)が行われる。そして、この露光量Leは、データ保存部53に保存される。
【0068】また、フラッシュ撮影の場合、調光センサ27に基づき調光制御が行われ、基準被写体の撮影画像を一般撮影における標準反射率(例えば18%程度の明度)のグレーに表現するように発光量Ltが設定される。そして、この発光量Ltは、データ保存部53に保存される。
【0069】ステップST26では、シャッターボタン61が全押し(S2)されたかを判定する。ここで、シャッターボタン61が全押しされた場合には、ステップST27に進む。
【0070】ステップST27では、露出補正、調光補正を行って、通常と異なる撮影条件とする。
【0071】つまり、WB補正値Gr、Gbをより正確に求めるため、標準反射率のグレーより明るく基準被写体の画像を撮影する、すなわち上記の露光量Leにあらかじめ設定されている補正値αが加えられた露光量をLe+αとなるように露出制御を行う。
【0072】これは、暗い画像では、画像出力レベルが全体的に低く、ノイズの影響を受けやすいため、A/D変換器54の分解能(精度)の有効活用が図れるように、できるだけA/D変換器54の入力が大きい(換言すれば画像出力レベルが大きい)、すなわち明るい画像を取得するのが好ましいからである。そして、通常撮影より大きい露光量Le+αに基づき、フォーカルプレーンシャッター21の速度および絞り32の制御量が決定される。
【0073】また、フラッシュ撮影の際には、上記の露出制御と同様の理由で出力画像が明るくなるように、通常撮影の発光量Ltにあらかじめ設定されている補正値βが加えられた発光量Lt+βに基づき調光制御が行われ、フラッシュ41の発光量が制御される。
【0074】なお、補正値α、βを加えた結果、フォーカルプレーンシャッター21の速度や絞り32、またフラッシュ5の発光量が制御範囲を越える場合には、補正量α、βをを小さくして、可能な限り明るい画像が得られるような制御を行うのが良い。
【0075】ステップST28では、実際に無彩色の基準被写体を撮影するキャリブレーション撮影(ホワイトバランス補正用撮影)を行う。
【0076】ステップST29では、ステップST28で撮影された画像に基づいて、上記の数3に示すように、WB補正値Gr、Gbを演算する。
【0077】ステップST30では、ST27で設定された露出補正、調光補正を解除する。すなわち、露光量Le+αを通常の露光量Leに戻し、発光量Lt+βを通常の発光量Ltに戻す。
【0078】以上のデジタルカメラ1の動作により、ホワイトバランス補正用撮影が終了すると元の撮影条件に復帰できるので、操作性を逸することなく正確にホワイトバランス補正が行えることとなる。
【0079】<変形例>◎上記の実施形態おけるキャリブレーション結果の判定(図3に示すステップST9)については、キャリブレーション結果が不良である場合、補正値Gr、Gbが適正範囲に入るまで、繰返しキャリブレション撮影を行って補正値Gr、Gbを算出するようにしてもよい。ここでは、繰返し回数を予め設定しておき、この回数を超えた場合にキャリブレションモードを解除するのが好ましい。
【0080】また、キャリブレーションによる補正値Gr、Gbが、適正範囲を逸脱している場合でも、ユーザが画像表現法の一環として故意にホワイトバランス補正値を操作したい時には、補正値の範囲に制限をかけずに、その補正値Gr、Gbを通常撮影時におけるWB補正に使用してもよい。
【0081】◎上記の実施形態については、キャリブレション撮影時において撮影画像の一部に対応する無彩色(白色など)部分を基準被写体としても良い。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1ないし請求項5の発明によれば、ホワイトバランス補正用撮影が終了すると元の撮影条件に復帰できるので、操作性を逸することなく正確なホワイトバランス補正が行える。
【0083】特に、請求項2の発明については、ホワイトバランス補正用撮影において適切な露光量が得られるので、より正確なホワイトバランス補正が行える。
【0084】また、請求項3の発明においては、ホワイトバランス補正用撮影において適切なフラッシュ発光量が得られるので、より正確なホワイトバランス補正が行える。
【0085】また、請求項4の発明においては、適切な合焦位置でホワイトバランス補正用撮影が行えるので、より正確なホワイトバランス補正が行える。
【0086】また、請求項5の発明においては、ホワイトバランス補正用撮影に失敗したことが分かるので、より正確なホワイトバランス補正が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るデジタルカメラの要部構成を示す縦断面図である。
【図2】デジタルカメラ1の機能ブロック図である。
【図3】ホワイトバランス補正に係る撮影動作を説明するフローチャートである。
【図4】キャリブレションモードにおける表示部58の表示を示す図である。
【図5】カスタムモードにおける表示部58の表示を示す図である。
【図6】キャリブレーション動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 デジタルカメラ
22 撮像センサ
27 測光センサ
28 ホワイトバランス(WB)センサ
29 測距センサ
32 絞り
42 調光センサ
51 カメラ用CPU
52 画像用CPU
58 表示部
61 シュッターボタン
62 ホワイトバランスモード選択ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 デジタルカメラであって、(a)撮影条件を設定する第1設定手段と、(b)設定された撮影条件を記憶する記憶手段と、(c)ホワイトバランス補正用撮影を行う際に、ホワイトバランス補正用に撮影条件を設定する第2設定手段と、(d)前記ホワイトバランス補正用撮影の終了の後に、前記記憶手段から撮影条件を呼び出し再設定する第3設定手段と、を備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】 請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、(e)自動露光設定手段、をさらに備え、前記第2設定手段により設定される露光量は、前記自動露光設定手段により設定される露光量よりも大きいことを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のデジタルカメラにおいて、(f)フラッシュと、(g)前記フラッシュの発光量を設定する発光量設定手段と、をさらに備え、前記第2設定手段により設定されるフラッシュの発光量は、前記発光量設定手段により設定される発光量よりも大きいことを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のデジタルカメラにおいて、前記第2設定手段により設定される撮影レンズの合焦位置は、遠距離位置であることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のデジタルカメラにおいて、(h)前記ホワイトバランス補正用撮影により得られた補正値が所定の範囲から逸脱するか否かを判別する判別手段、をさらに備えることを特徴とするデジタルカメラ。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図4】
image rotate


【図3】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【公開番号】特開2001−275122(P2001−275122A)
【公開日】平成13年10月5日(2001.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−86428(P2000−86428)
【出願日】平成12年3月27日(2000.3.27)
【出願人】(000006079)ミノルタ株式会社 (155)
【Fターム(参考)】