説明

バッテリーモジュール及びバッテリーモジュールのエンドプレート固定方法

【課題】エンドプレートの固定構造が改善されたバッテリーモジュール及びその固定方法を提供する。
【解決手段】複数の電池が連結された電池ユニット10と、電池ユニット10の端部に設置されたエンドプレート20と、電池ユニット10とエンドプレート20との組立体を取り囲んで固定させる固定バンド30と、を備え、固定バンド30が熱膨張後に収縮しつつ、電池ユニット10とエンドプレート20とを引き締めるように構成されるバッテリーモジュールである。これにより、熱膨張したバンド30が収縮しつつ、電池の膨脹に対抗する方向にエンドプレート20に復原力を加える構造であるので、複数のボルトとナットとを締結した既存の構造に比べて組立が非常に簡便になり、ボルト及びナットのように外部に突出する部分がほとんどなくて体積を減らすのにも有利である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュール及びバッテリーモジュールのエンドプレート固定方法に関し、特に複数の電池を連結したバッテリーモジュールに適用して好適である。
【背景技術】
【0002】
バッテリーモジュールは、複数の電池を連結して形成した大容量の電源供給ユニットの要素であって、例えば、電気自動車などに装着されて動力源として使われている。
【0003】
かかるバッテリーモジュールの電池としては、リチウムイオン電池が主に使われるが、該リチウムイオン電池は、充電と放電を繰り返しても性能があまり低下しないという長所がある一方、充電時にリチウムイオンが移動しつつ負極側が膨脹するという短所も有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】大韓民国特許0330607号明細書
【特許文献2】大韓民国特許出願公開2007−0025738号明細書
【特許文献3】大韓民国特許出願公開2001−0003229号明細書
【特許文献4】特開2000−311717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バッテリーモジュールは、複数のリチウムイオン電池を一列または複数列に連結したものであるので、各電池ごとに少しずつ膨脹が起きても、全体的には約5ないし10%まで膨脹が生じてしまう。これにより、バッテリーモジュールの変形がはなはだしく、それを元来の位置に装着して脱着するのに問題が生じ、また、電池の電気抵抗も増加する。しかも、電気自動車への使用時には、かかるバッテリーモジュールを8個ほど積層してバッテリーパックとして形成して装着するので、各バッテリーモジュールの変形が合わされば、変形量がさらに大きくなって問題がさらに深刻になる。
【0006】
従って、バッテリーモジュールには、かかる二次電池の膨脹を抑制するために、二次電池列の両端にエンドプレートを当て、この両側のエンドプレートに棒状の連結ロッドで締結して固定させる構造が採用された。
【0007】
しかしながら、かかる従来の構造では、複数のボルトとナットとを利用して連結ロッドとエンドプレートとを締結するため、締結時間が長くかかるだけでなく、ボルトとナットとがバッテリーモジュールの外側に突出して電池モジュールの体積が増加するという問題がある。
【0008】
かかるバッテリーモジュールの体積増加は、そのバッテリーモジュールが採用される機器の全体的な体積増加をもたらし、設計上の制約を発生させる。特に、バッテリーモジュールが電気自動車などに採用される場合には、設置空間が狭いため、バッテリーモジュールの体積を最小化する必要がある。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ボルトとナットとを使用せずにエンドプレートの固定を簡便に行うことが可能な、新規かつ改良されたバッテリーモジュール及びバッテリーモジュールのエンドプレート固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数の電池が連結された電池ユニットと、前記電池ユニットの端部に設置されたエンドプレートと、前記電池ユニットと前記エンドプレートとの組立体を取り囲んで固定させる固定バンドと、を備え、前記固定バンドが熱膨張後に収縮しつつ、前記電池ユニットと前記エンドプレートとを引き締めるバッテリーモジュールが提供される。
【0011】
ここで、前記固定バンドには、閉ループ状をなすように両端を連結した結合部が備えられるものであってもよい。
【0012】
前記結合部は、溶接された接合部を備えるものであってもよい。または、前記固定バンドの両端部にそれぞれ設けられ、互いに逆方向の螺旋を有したねじ部と、そのねじ部にねじ結合されるターンバックルと、を備えるものであってもよい。
【0013】
また、前記結合部は、前記固定バンドの両端部にそれぞれ設けられ、互いに型合わせされる凹凸部と、その凹凸部を貫通するホールに挟まれる結合ピンと、を備えるものであってもよい。または、前記固定バンドの両端部にそれぞれ設けられ、互いにスライディングして結合されるクリップを備えることもできる。
【0014】
前記エンドプレートの外側面は、中央部が凸状の弧状であってもよい。また、前記エンドプレートに前記固定バンドが収容される収容溝が形成されたものであってもよい。
【0015】
前記固定バンドの長さは、熱膨張時に前記電池ユニットと前記エンドプレートとの組立体の周り以上に長くなり、冷却時に前記電池ユニットと前記エンドプレートとの組立体の周りより短くなるものであってもよい。
【0016】
前記固定バンドの材質は、アルミニウムメッキ鋼板及び亜鉛メッキ鋼板のうちいずれか一つを含むものであってもよい。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、電池ユニットとその端部に設置されたエンドプレートとを固定させるバッテリーモジュールのエンドプレート固定方法において、熱膨張及び冷却収縮が可能な固定バンドを準備するステップと、前記固定バンドの長さが前記電池ユニットと前記エンドプレートとの組立体の周りより大きくなるように熱膨張させるステップと、熱膨張された前記固定バンドを前記電池ユニットと前記エンドプレートとの組立体の周りに設置するステップと、前記固定バンドを冷却収縮させて、前記電池ユニットと前記エンドプレートとの組立体を引き締めるステップと、を含むバッテリーモジュールのエンドプレート固定方法が提供される。
【0018】
ここで、前記固定バンドの熱膨張は、高周波加熱により行われるものであってもよい。
【0019】
前記固定バンドの冷却収縮は、自然冷却ステップ及び強制送風冷却ステップのうちいずれか一つを含むものであってもよい。また、前記固定バンドを閉ループ状にする閉ループ形成ステップをさらに含むものであってもよい。
【0020】
前記閉ループ形成ステップは、前記固定バンドの両端を溶接して接合させるステップを含むものであってもよい。
【0021】
前記閉ループ形成ステップは、前記固定バンドの両端部に互いに逆方向の螺旋を有したねじ部を設けるステップと、そのねじ部にターンバックルをねじ結合させるステップと、を含むものであってもよい。
【0022】
前記閉ループ形成ステップは、前記固定バンドの両端部に互いに型合わせされる凹凸部を設けるステップと、その凹凸部を貫通するホールに結合ピンを挟むステップと、を含むものであってもよい。
【0023】
前記閉ループ形成ステップは、前記固定バンドの両端部に互いにスライディングして結合されるクリップを設けるステップと、そのクリップをスライディング結合させるステップと、を含むものであってもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ボルトとナットとを使用せずにエンドプレートの固定を簡便に行うことが可能なバッテリーモジュール及びその固定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】本発明の第1実施形態によるバッテリーモジュールを示した図である。
【図1B】図1Aのバッテリーモジュールに採用された固定バンドを示した図である。
【図2A】本発明の第2実施形態によるバッテリーモジュールを示した図である。
【図2B】図2Aのバッテリーモジュールに採用された固定バンドを示した図である。
【図3A】本発明の第3実施形態によるバッテリーモジュールを示した図である。
【図3B】図3Aのバッテリーモジュールに採用された固定バンドを示した図である。
【図4A】本発明の第4実施形態によるバッテリーモジュールを示した図である。
【図4B】図4Aのバッテリーモジュールに採用された固定バンドを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0027】
図1A及び図1Bは、本発明の第1実施形態によるバッテリーモジュールの構造を示したものである。まず、図1Aに示したように、本実施形態のバッテリーモジュールは、一列に連結された複数の電池1を含む電池ユニット10と、前記電池ユニット10の両端部に設置される一対のエンドプレート20と、を備えている。そして、符号30は、前記一対のエンドプレート20と電池ユニット10との組立体を取り囲む固定バンドを表すが、前記固定バンド30がエンドプレート20と電池ユニット10との組立体をしっかり結んで、電池ユニット10の膨脹に対抗する役割を行う。すなわち、電池ユニット10が膨脹すれば、一対のエンドプレート20を外側に押し出そうとする力が作用するが、前記固定バンド30が前記一対のエンドプレート20が押し出されないように引き締めているため、変形が抑制されるのである。
【0028】
前記固定バンド30は、高周波加熱時に膨脹していて、冷却時に再び収縮する特性を有した材質であって、例えば、ブラウン管の防爆バンドに使われるアルミニウムメッキ鋼板や亜鉛メッキ鋼板が使われる。その成分としては、例えば、Feをベースとし、C(0.005wt%以下)、N(0.005wt%以下)、Si(0.1ないし0.5wt%)、P(0.1wt%以下)、S(0.02wt%以下、Mn(1.05ないし2.0wt%)、Al(1.0wt%以下)を含有した組成が適用される。かかる材質の固定バンド30は、常温でその長さL(図1B参照)が前記電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の全周L(図1B参照)より短いが、加熱時には、熱膨張によって長くなった長さLexpansionが加えられつつ、前記電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の全周L以上に長くなる。すなわち、L+Lexpansion≧L>Lの関係となり、固定バンド30をこの条件に合う長さに製作するのである。
【0029】
符号31は、固定バンド30の両端部を連結した結合部を表すが、本実施形態では、前記結合部31が溶接によって形成される。すなわち、別途の締結部材を使用せずに溶接によって両端を付けて閉ループ状を形成したのであり、溶接は、突き合わせ溶接であってもよく、重ね合わせ溶接であってもよい。したがって、溶接方式には制限がなく、電池ユニット10の膨脹に対抗して切断しないほどの強度を維持すればよい。
【0030】
一方、前記エンドプレート20は、中央部が凸状の弧状になされているが、これは、固定バンド30がエンドプレート20を巻くときに曲がる角度を緩和させて、固定バンド30を損傷させないようにするための構造である。そして、符号21は、固定バンド30が収容される収容溝を表し、固定バンド30の設置位置を確保する役割を行う。
【0031】
かかる固定バンド30を利用した電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の固定過程は、次のように行われる。
【0032】
まず、前記したように、熱膨張及び冷却収縮が可能な固定バンド30を準備する。固定バンド30は、L+Lexpansion≧L>Lの条件を満足するように製作され、両端は溶接によって接合されて閉ループ状に形成される。
【0033】
このように準備された固定バンド30を高周波加熱して、その長さが前記電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の周りより長くなるように熱膨張させる。すなわち、L→L+Lexpansionに長くする。
【0034】
そして、熱膨張された固定バンド30を前記収容溝21に合わせて、電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の周りに設置する。
【0035】
以後、固定バンド30を冷却させれば、収縮が起こり、その長さが元来の長さに戻る。すなわち、L+Lexpansion→Lに短くする。これにより、固定バンド30の元来の長さLは、電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の周りの長さLより短いので、強力な引き締め力が作用し、これによって、電池ユニット10の膨脹時にも、一対のエンドプレート20間に間隔が生じないように、固定バンド30が堅固に支持する。固定バンド30の冷却方法としては、常温で放置する自然冷却及び強制送風による冷却などが使われる。
【0036】
従って、このように、熱膨張及び収縮が可能な固定バンド30に電池ユニット10とエンドプレート20とを固定させれば、既存のボルトとナットとを利用する方式のように、締結部が外側に突出する部分もほとんどなくなり、複数のボルトを一々に締結する必要もなくなるので、組立作業が非常に簡便になり、構造も簡潔になる。
【0037】
次いで、図2A及び図2Bは、本発明の第2実施形態によるバッテリーモジュールを示したものである。
【0038】
まず、図2Aに示したように、本実施形態のバッテリーモジュールも、一列に連結された複数の電池1を含む電池ユニット10と、前記電池ユニット10の両端部に設置される一対のエンドプレート20と、前記一対のエンドプレート20と電池ユニット10との組立体を取り囲んで引き締める固定バンド40と、を備えている。
【0039】
前記固定バンド40は、高周波加熱時に膨脹していて、冷却時に再び収縮する特性を有した材質であって、例えば、ブラウン管の防爆バンドに使われるアルミニウムメッキ鋼板や亜鉛メッキ鋼板が使われる。
【0040】
かかる材質の固定バンド40は、常温でその長さLが前記電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の全周Lより短いが、加熱時には、熱膨張によって長くなった長さLexpansionが加えられつつ、前記電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の全周L以上に長くなる。すなわち、L+Lexpansion≧L>Lの関係となり、固定バンド40をこの条件に合う長さに製作するのである。
【0041】
符号41は、固定バンド40の両端部を連結した結合部を表すが、本実施形態では、前記結合部41がターンバックル41cとねじ部41a,41bとで形成される。図2Bを参照すれば、固定バンド40の両端部には、互いに逆方向の螺旋を有したねじ部41a,41bが設けられている。すなわち、例えば、一端側のねじ部41aが右ねじであれば、他端側のねじ部41bは左ねじで螺旋が形成されている。そして、ターンバックル41cには、二つのねじ部41a,41bの螺旋にそれぞれ合うように螺旋が形成されている。したがって、ターンバックル41cを一方向に回せば、二つのねじ部41a,41bが同時にターンバックル41cとねじ結合されつつ結合がなされる。
【0042】
前記ターンバックル41cは、エンドプレート20に設けられた収容溝21内に位置して、外側にはほとんど突出しない。
【0043】
かかる固定バンド40を利用した電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の固定過程は、次のように行われる。
【0044】
まず、熱膨張及び冷却収縮が可能な固定バンド40を準備する。固定バンド40の両端は、ターンバックル41c及びねじ部41a,41bにより結合されて閉ループ状に形成され、閉ループ状に結合された状態でL+Lexpansion≧L>Lの条件が満足されるように長さを合わせて製作される。
【0045】
このように準備された固定バンド40を高周波加熱して、その長さが前記電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の回りより長くなるように熱膨張させる。すなわち、L→L+Lexpansionに長くする。
【0046】
そして、熱膨張された固定バンド40を前記収容溝21にターンバックル41cが位置するように合わせて、電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の周りに設置する。
【0047】
以後、固定バンド40を冷却させれば、収縮が起こり、その長さが元来の長さに戻る。すなわち、L+Lexpansion→Lに短くする。これにより、固定バンド40の元来の長さLは、電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の回りの長さLより短いので、強力な引き締め力が作用し、これによって、電池ユニット10の膨脹時にも、一対のエンドプレート20間に間隔が生じないように、固定バンド40が堅固に支持する。
【0048】
次いで、図3A及び図3Bは、本発明の第3実施形態によるバッテリーモジュールを示したものである。
【0049】
まず、図3Aに示したように、本実施形態のバッテリーモジュールも、一列に連結された複数の電池1を含む電池ユニット10と、前記電池ユニット10の両端部に設置される一対のエンドプレート20と、前記一対のエンドプレート20と電池ユニット10との組立体を取り囲んで引き締める固定バンド50と、を備えている。
【0050】
前記固定バンド50は、高周波加熱時に膨脹していて、冷却時に再び収縮する特性を有した材質であって、例えば、ブラウン管の防爆バンドに使われるアルミニウムメッキ鋼板や亜鉛メッキ鋼板が使われる。
【0051】
かかる材質の固定バンド50は、常温でその長さLが前記電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の全周Lより短いが、加熱時には、熱膨張によって長くなった長さLexpansionが加えられつつ、前記電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の全周L以上に長くなる。すなわち、L+Lexpansion≧L>Lの関係となり、固定バンド50をこの条件に合う長さに製作するのである。
【0052】
符号51は、固定バンド50の両端部を連結した結合部を表すが、本実施形態では、前記結合部51が凹凸部51a,51bと結合ピン51cとで構成される。図3Bを参照すれば、固定バンド50の両端部には、互いに型合わせされる凹凸部51a,51bが設けられている。そして、前記凹凸部51a,51bには、貫通するホール51a′,51b′が形成されている。したがって、凹凸部51a,51bを型合わせさせ、結合ピン51cをホール51a′,51b′に挟めば、簡単に結合がなされる。
【0053】
前記固定バンド50を利用した電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の固定過程は、次のように行われる。
【0054】
まず、熱膨張及び冷却収縮が可能な固定バンド50を準備する。固定バンド50の両端は、凹凸部51a,51b及び結合ピン51cにより結合されて閉ループ状に形成され、閉ループ状に結合された状態でL+Lexpansion≧L>Lの条件が満足するように長さを合わせて製作される。
【0055】
このように準備された固定バンド50を高周波加熱して、その長さが前記電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の周りより長くなるように熱膨張させる。すなわち、L→L+Lexpansionに長くする。
【0056】
そして、熱膨張された固定バンド50を前記収容溝21に位置するように合わせて、電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の周りに設置する。
【0057】
以後、固定バンド50を冷却させれば、収縮が起こり、その長さが元来の長さに戻る。すなわち、L+Lexpansion→Lに短くする。これにより、固定バンド50の元来の長さLは、電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の周りの長さLより短いので、強力な引き締め力が作用し、これによって、電池ユニット10の膨脹時にも、一対のエンドプレート20間に間隔が生じないように、固定バンド50が堅固に支持する。
【0058】
次いで、図4A及び図4Bは、本発明の第4実施形態によるバッテリーモジュールを示したものである。
【0059】
まず、図4Aに示したように、本実施形態のバッテリーモジュールも、一列に連結された複数の電池1を含む電池ユニット10と、前記電池ユニット10の両端部に設置される一対のエンドプレート20と、前記一対のエンドプレート20と電池ユニット10との組立体を取り囲んで引き締める固定バンド60と、を備えている。
【0060】
前記固定バンド60は、高周波加熱時に膨脹していて、冷却時に再び収縮する特性を有した材質であって、例えば、ブラウン管の防爆バンドに使われるアルミニウムメッキ鋼板や亜鉛メッキ鋼板が使われる。
【0061】
かかる材質の固定バンド60は、常温でその長さLが前記電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の全周Lより短いが、加熱時には、熱膨張によって長くなった長さLexpansionが加えられつつ、前記電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の全周L以上に長くなる。すなわち、L+Lexpansion≧L>Lの関係となり、固定バンド60をこの条件に合う長さに製作するのである。
【0062】
符号61は、固定バンド60の両端部を連結した結合部を表すが、本実施形態では、前記結合部61がクリップ61a,61bで構成される。図4Bを参照すれば、固定バンド60の両端部には、互いにスライディング結合されるクリップ61a,61bが設けられている。したがって、両端のクリップ61a,61bを互いにスライディング結合させれば、スライディング方向(X方向)と垂直な引張方向(Y方向)には分離されない。
【0063】
前記固定バンド60を利用した電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の固定過程は、次のように行われる。
【0064】
まず、熱膨張及び冷却収縮が可能な固定バンド60を準備する。固定バンド60の両端は、クリップ61a,61bにより結合されて閉ループ状に形成され、閉ループ状に結合された状態でL+Lexpansion≧L>Lの条件が満足するように長さを合わせて製作される。
【0065】
このように準備された固定バンド60を高周波加熱して、その長さが前記電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の周りより長くなるように熱膨張させる。すなわち、L→L+Lexpansionに長くする。
【0066】
そして、熱膨張された固定バンド60を前記収容溝21に位置するように合わせて、電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の周りに設置する。
【0067】
以後、固定バンド60を冷却させれば、収縮が起こり、その長さが元来の長さに戻る。すなわち、L+Lexpansion→Lに短くする。これにより、固定バンド60の元来の長さLは、電池ユニット10とエンドプレート20との組立体の周りの長さLより短いので、強力な引き締め力が作用し、これによって、電池ユニット10の膨脹時にも、一対のエンドプレート20間に間隔が生じないように、固定バンド60が堅固に支持する。
【0068】
本発明の実施形態によるバッテリーモジュールは、熱膨張したバンドが収縮しつつ、電池の膨脹に対抗する方向にエンドプレートに復原力を加える構造であるので、複数のボルトとナットとを締結した既存の構造に比べて組立が非常に簡便になる。また、ボルト及びナットのように外部に突出する部分が存在しないため、体積を減らすのにも有利である。
【0069】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、電源関連の技術分野に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 電池
10 電池ユニット
20 エンドプレート
21 収容溝
30 固定バンド
31 結合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池が連結された電池ユニットと、
前記電池ユニットの端部に設置されたエンドプレートと、
前記電池ユニットと前記エンドプレートとの組立体を取り囲んで固定させる固定バンドと、を備え、
前記固定バンドが熱膨張後に収縮しつつ、前記電池ユニットと前記エンドプレートとを引き締める、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記固定バンドには、閉ループ状をなすように両端を連結した結合部が備えられた、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記結合部は、溶接された接合部を備える、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記結合部は、前記固定バンドの両端部にそれぞれ設けられ、互いに逆方向の螺旋を有したねじ部と、そのねじ部にねじ結合されるターンバックルと、を備える、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記結合部は、前記固定バンドの両端部にそれぞれ設けられ、互いに型合わせされる凹凸部と、その凹凸部を貫通するホールに挟まれる結合ピンと、を備える、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記結合部は、前記固定バンドの両端部にそれぞれ設けられ、互いにスライディングして結合されるクリップを備える、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記エンドプレートの外側面は、中央部が凸状の弧状である、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記エンドプレートに前記固定バンドが収容される収容溝が形成された、請求項7に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記固定バンドの長さは、熱膨張時に前記電池ユニットと前記エンドプレートとの組立体の周り以上に長くなり、冷却時に前記電池ユニットと前記エンドプレートとの組立体の周りより短くなる、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
前記固定バンドの材質は、アルミニウムメッキ鋼板及び亜鉛メッキ鋼板のうちいずれか一つを含む、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項11】
電池ユニットとその端部に設置されたエンドプレートとを固定させるバッテリーモジュールのエンドプレート固定方法において、
熱膨張及び冷却収縮が可能な固定バンドを準備するステップと、
前記固定バンドの長さを前記電池ユニットと前記エンドプレートとの組立体の周りより大きくなるように熱膨張させるステップと、
熱膨張された前記固定バンドを前記電池ユニットと前記エンドプレートとの組立体の周りに設置するステップと、
前記固定バンドを冷却収縮させて、前記電池ユニットと前記エンドプレートとの組立体を引き締めるステップと、を含む、バッテリーモジュールのエンドプレート固定方法。
【請求項12】
前記固定バンドの熱膨張は、高周波加熱により行われる、請求項11に記載のバッテリーモジュールのエンドプレート固定方法。
【請求項13】
前記固定バンドの冷却収縮は、自然冷却ステップ及び強制送風冷却ステップのうちいずれか1つを含む、請求項11に記載のバッテリーモジュールのエンドプレート固定方法。
【請求項14】
前記固定バンドを閉ループ状にする閉ループ形成ステップをさらに含む、請求項11に記載のバッテリーモジュールのエンドプレート固定方法。
【請求項15】
前記閉ループ形成ステップは、
前記固定バンドの両端を溶接して接合させるステップを含む、請求項14に記載のバッテリーモジュールのエンドプレート固定方法。
【請求項16】
前記閉ループ形成ステップは、
前記固定バンドの両端部に互いに逆方向の螺旋を有したねじ部を設けるステップと、そのねじ部にターンバックルをねじ結合させるステップと、を含む、請求項14に記載のバッテリーモジュールのエンドプレート固定方法。
【請求項17】
前記閉ループ形成ステップは、
前記固定バンドの両端部に互いに型合わせされる凹凸部を設けるステップと、その凹凸部を貫通するホールに結合ピンを挟むステップと、を含む、請求項14に記載のバッテリーモジュールのエンドプレート固定方法。
【請求項18】
前記閉ループ形成ステップは、
前記固定バンドの両端部に互いにスライディングして結合されるクリップを設けるステップと、そのクリップをスライディング結合させるステップと、を含む、請求項14に記載のバッテリーモジュールのエンドプレート固定方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate


【公開番号】特開2011−134699(P2011−134699A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177457(P2010−177457)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(509139597)エス・ビー リモーティブ 株式会社 (130)
【氏名又は名称原語表記】SB Limotive Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】