説明

ヒト非小細胞肺癌における転座及び変異体ROSキナーゼ

本発明に従って、ナトリウム依存性リン酸輸送体イソフォームNaPi−3bタンパク質(SLC34A2)の一部を癌原遺伝子チロシンタンパク質キナーゼROS前駆体(ROS)キナーゼと組み合わせる融合タンパク質をもたらす、ヒト非小細胞肺癌(NSCLC)中の新規遺伝子転座(4p15,6q22)がここに同定された。SLC34A2−ROS融合タンパク質は、NSCLC腫瘍の亜群の増殖及び生存を誘導すると予想される。従って、本発明は、一つには、開示されている変異体ROSキナーゼポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド及びベクター、これらを検出するためのプローブ、単離された変異体ポリペプチド、組換えポリペプチド並びに融合及び切断されたポリペプチドを検出するための試薬を提供する。開示されている新たな融合タンパク質の同定によって、生物学的試料中のこれらの変異体ROSキナーゼポリペプチドの存在を決定するための新たな方法、前記タンパク質を阻害する化合物をスクリーニングする方法及び変異体ポリヌクレオチド又はポリペプチドによって特徴付けられる癌の進行を阻害する方法が可能となり、これらも本発明によって提供される。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号1又は配列番号3のアミノ酸配列を含むSLC34A2−ROS融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(b)配列番号2又は配列番号4のヌクレオチド配列を含む、SLC34A2−ROS融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(c)SLC34A2のN末端アミノ酸配列(配列番号5の残基1から126)及びROSのキナーゼドメイン(配列番号7の残基1945から2222)を含むSLC34A2−ROS融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
(d)SLC34A2のN末端ヌクレオチド配列(配列番号6の残基1から378)及びROSのキナーゼドメインヌクレオチド配列(配列番号8の残基6032から6865)を含むヌクレオチド配列;
(e)SLC34A2−ROS融合ポリヌクレオチドの融合連結部(配列番号2の残基376から381又は配列番号4の残基376から381)を包含する少なくとも6つの連続するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列;
(f)SLC34A2−ROS融合ポリヌクレオチドの融合連結部(配列番号1の残基126から127又は配列番号3の残基126から127)を包含する少なくとも6つの連続するアミノ酸を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;並びに
(g)(a)から(f)のヌクレオチド配列の何れかに対して相補的なヌクレオチド配列;
からなる群から選択される配列と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチド。
【請求項2】
(b)の前記ヌクレオチド配列がATCC寄託番号PTA−7877中に含有されるcDNAクローンのコーディングヌクレオチド配列を含む、請求項1の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項3】
厳格なハイブリッド形成条件下で、請求項1のポリヌクレオチドとハイブリッド形成する単離されたポリヌクレオチドであり、ハイブリッド形成する前記単離されたポリヌクレオチドが、厳格なハイブリッド形成条件下で、A残基のみ又はT残基のみからなるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドとハイブリッド形成しない、前記単離されたポリヌクレオチド。
【請求項4】
検出可能な標識をさらに含む、請求項3の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項5】
請求項1の単離された核酸分子をベクター中に挿入することを含む、組換えベクターを作製する方法。
【請求項6】
請求項5の方法によって作製された組換えベクター。
【請求項7】
請求項6の組換えベクターを宿主細胞中に導入することを含む、組換え宿主細胞を作製する方法。
【請求項8】
請求項7の方法によって作製された組換え宿主細胞。
【請求項9】
組換えSLC34A2−ROS融合ポリペプチドを作製する方法であり、前記融合ポリペプチドの発現に適した条件下で、請求項8の組換え宿主細胞を培養すること、及び前記ポリペプチドを回収することを含む、前記方法。
【請求項10】
(a)配列番号1又は配列番号3のアミノ酸配列を含むSLC34A2−ROS融合ポリペプチドをコードするアミノ酸配列;
(b)SLC34A2のN末端アミノ酸配列(配列番号5の残基1から126)及びROSのキナーゼドメイン(配列番号7の残基1945から2222)を含むSLC34A2−ROS融合ポリペプチドをコードするアミノ酸配列;並びに
(c)SLC34A2−ROS融合ポリヌクレオチドの融合連結部(配列番号1の残基126から127又は配列番号3の残基126から127)を包含する少なくとも6つの連続するアミノ酸を含むポリペプチドをコードするアミノ酸配列;
からなる群から選択される配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
【請求項11】
(a)の前記アミノ酸配列がATCC寄託番号PTA−7877中に含有されるcDNAによってコードされるSLC34A2−ROS融合ポリペプチド配列を含む、請求項10の単離されたポリペプチド。
【請求項12】
請求項6の組換えベクター又は請求項8の組換え宿主細胞を用いて作製された組換えSLC34A2−ROS融合ポリペプチド又は切断されたROSキナーゼポリペプチド。
【請求項13】
請求項10のSLC34A2−ROS融合ポリペプチドを特異的に結合又は検出するが、野生型SLC34A2又は野生型ROSの何れも結合せず、又は検出しない単離された試薬。
【請求項14】
抗体又は重同位体標識された(AQUA)ペプチドである、請求項12の単離された試薬。
【請求項15】
SLC34A2−ROS融合ポリペプチドの融合連結部のアミノ酸配列を含む、請求項15の重同位体標識された(AQUA)ペプチド。
【請求項16】
癌中の変異体ROSポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドの存在を検出するための方法であり、
(a)癌を有し、又は癌を有すると疑われる患者から生物学的試料を取得する工程;及び
(b)請求項1のポリヌクレオチドを検出する少なくとも1つの試薬及び/又は請求項13の少なくとも1つの試薬を使用して、SLC34A2−ROS融合ポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドが前記生物学的試料中に存在するかどうかを決定する工程、
を含む前記方法。
【請求項17】
前記癌が肺癌である、請求項16の方法。
【請求項18】
前記肺癌が非小細胞肺癌(NSCLC)である、請求項17の方法。
【請求項19】
変異体ROSポリヌクレオチド又はポリペプチドの存在が、少なくとも1つのROSキナーゼ阻害治療薬を含む組成物に対して応答する可能性がある癌を特定する、請求項17の方法。
【請求項20】
フローサイトメトリー(FC)、免疫組織化学(IHC)又は免疫蛍光(IF)アッセイ形式で実行される、請求項17の方法。
【請求項21】
蛍光インサイチュハイブリッド形成(FISH)又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイ形式で実行される、請求項17の方法。
【請求項22】
前記SLC34A2−ROS融合ポリペプチドの活性が検出される、請求項17の方法。
【請求項23】
化合物が、SLC34A2−ROS融合ポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドによって特徴付けられる癌の進行を阻害するかどうかを決定するための方法であり、前記化合物が前記癌の中で前記SLC34A2−ROS融合ポリペプチドの発現及び/又は活性を阻害するかどうかを決定する工程を含む、前記方法。
【請求項24】
前記SLC34A2−ROS融合ポリペプチドの発現及び/又は活性の阻害が、請求項1のポリヌクレオチドを検出する少なくとも1つの試薬及び/又は請求項13の少なくとも1つの試薬を用いて決定される、請求項23の方法。
【請求項25】
SLC34A2−ROS融合ポリペプチドを発現する癌の進行を阻害する方法であり、前記癌中の前記SLC34A2−ROS融合ポリペプチドの発現及び/又は活性を阻害する工程を含む、前記方法。
【請求項26】
前記癌が肺癌である、請求項25の方法。
【請求項27】
前記肺癌が非小細胞肺癌(NSCLC)である、請求項26の方法。
【請求項28】
生物学的試料中のSLC34A2−ROS融合ポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドを検出するためのキットであり、少なくとも1つの請求項1のポリヌクレオチド及び/又は少なくとも1つの請求項13の試薬並びに1つ以上の第二の試薬を含む前記キット。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4B−1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−523446(P2009−523446A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551396(P2008−551396)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/001360
【国際公開番号】WO2007/084631
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(506034341)セル・シグナリング・テクノロジー・インコーポレイテツド (1)
【Fターム(参考)】