説明

プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法

【課題】プラズマ処理装置において、シングルアーム型の搬送装置を採用しつつ高スループットを実現する。
【解決手段】ドライエッチング装置1の搬送装置15は、処理前のトレイ3をストック部13のカセット62の主棚部67b,68bから回転ステージ33に搬送し、回転ステージ33でのアラインメント処理後のトレイ3をカセット62の仮置き棚部67c,68cを経てプラズマ処理部11へ搬送する。また、搬送装置15は、処理後のトレイ3をプラズマ処理部11からストック部13のカセット62の主棚部67b,68bに搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ドライエッチング装置、CVD装置等のプラズマ処理装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライエッチング装置、CVD装置等のプラズマ処理装置には、基板に対するプラズマ処理が実行されるプラズマ処理部、基板のストック部、及びプラズマ処理部とストック部との間で基板を搬送するための搬送装置が収容された搬送部に加え、プラズマ処理部への供給前に基板のアラインメントを実行するアラインメント部を備えるものが知られている(特許文献1〜4参照)。基板の搬送装置には、基板を搬送するアームを2本備えるダブルアーム型と、そのようなアームを1本のみ備えるシングルアーム型とがある(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−182177号公報
【特許文献2】特開2002−43292号公報
【特許文献3】特開平6−51260号公報
【特許文献4】特開2001−44257号公報
【特許文献5】特開2002−166376号公報,図9,図10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダブルアーム型は、プラズマ処理部等に対する基板の搬入出を時間間隔をあけずに連続して実行可能であるので、スループット(単位時間に処理可能な基板の数量)を向上できる。しかし、ダブルアーム型は、構造が複雑で高コストとなる。
【0005】
シングルアーム型は、構造が簡易で低コストである。しかし、シングルアーム型は、1度に搬送可能な基板が1枚であるので、プラズマ処理部等に対する基板の搬入出に要する時間がダブルアーム型よりも長くなり、スループットが低下する。
【0006】
本発明は、プラズマ処理装置において、シングルアーム型の搬送装置を採用しつつ高スループットを実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、プラズマ処理前後の対象物を収納する主収納部と、仮置き部とを備えるストック部と、前記ストック部から搬入される前記対象物に対してプラズマ処理を実行するプラズマ処理部と、単一のアームで前記対象物を搬送する搬送装置を収容した搬送部と、前記ストック部から前記プラズマ処理部に搬入される前の前記対象物が配置される、前記搬送部に収容された準備ステージと、前記準備ステージと協働して前記対象物に対して前記プラズマ処理のための予備的処理を実行するための予備処理部とを備え、前記搬送装置は、前記プラズマ処理前の前記対象物を前記ストック部の前記主収納部から前記準備ステージに搬送し、前記予備的処理後の前記対象物を前記準備ステージから前記ストック部の前記仮置き部を経て前記前記プラズマ処理部へ搬送し、かつプラズマ処理後の前記対象物を前記プラズマ処理部から前記ストック部の前記主収納部に搬送する、プラズマ処理装置を提供する。
【0008】
前記対象物は、基板が収容された搬送可能なトレイであってもよいし、大型の基板自体でもよい。トレイは厚み方向に貫通する基板収容孔に基板を収容するものでもよいし、有底の基板収容孔に基板を収容するものでもよい。
【0009】
具体的には、前記プラズマ処理部内で1個の前記対象物について前記プラズマ処理を実行中に、前記搬送装置が前記ストック部の前記主収納部から別の1個の前記対象物を前記準備ステージに搬送し、前記準備処理部が前記準備ステージ上の前記別の1個の対象物に対して前記予備的処理を実行し、さらに前記搬送装置が前記予備的処理後の前記別の1個の対象物を前記準備ステージから前記ストック部の前記仮置き部に搬送する。
【0010】
1個の対象物についてプラズマ処理を実行中に、別の1個の対象物について、主収納部から準備ステージへの搬送、予備処理部による予備的処理、及び準備ステージから仮置き部への搬送が実行される。そのため、構成が簡易で低コストのシングルアーム型の搬送装置を採用しつつ高スループットを実現できる。
【0011】
予備的処理後の対象物の仮置き部はストック部に設けられている。また、予備的処理は搬送部内に設けられた準備ステージと予備処理部で実行されるので、当該予備的処理のための専用のチャンバを別途設ける必要がない。これらにより、プラズマ処理装置の小型化ないし設置面積の低減を実現できる。
【0012】
準備ステージと予備処理部によって実行される予備的処理は、例えば周方向のアラインメント処理である。つまり、前記準備ステージは鉛直方向に沿って延びる回転軸周りに回転可能であり、前記予備処理部は前記準備ステージを前記回転軸周りに回転させることで、前記準備ステージに載置された前記対象物の回転角度位置を調整する。
【0013】
具体的には、前記対象物は外周縁にノッチを備え、前記予備処理部は、前記準備ステージに載置された前記対象物の前記ノッチを光学的に検出するノッチ検出センサーを備え、前記ノッチ検出センサーからの出力に応じて前記準備ステージを回転させることで前記対象物の回転角度位置を調整する。
【0014】
前記予備処理部は、前記対象物が前記プラズマ処理に適した状態であるか否かの検査を実行する。
【0015】
例えば、前記対象物は基板が収容された搬送可能なトレイであり、前記予備処理部は、前記準備ステージに載置された前記トレイにおける前記基板の有無を光学的に検出する基板検出センサーを備え、前記基板検出センサーからの出力に基づいて基板の有無を判定する。
【0016】
また、前記対象物は基板が収容された搬送可能なトレイであり、前記予備処理部は、前記準備ステージに載置された前記トレイに対する前記基板の位置ずれを光学的に検出する位置ずれ検出センサーを備え、前記基板検出センサーからの出力に基づいて前記トレイに対する前記基板の位置ずれの有無を判定する。
【0017】
前記準備ステージは鉛直方向に沿って昇降することが好ましい。
【0018】
この構成により、対象物を準備ステージに載置するために搬送装置が昇降する必要がなく装置の構成を簡素化できる。
【0019】
本発明の第2の態様は、搬送部に収容された搬送装置によって、ストック部の主収納部に収納されたプラズマ処理の対象物を搬送部に収容された準備ステージへ搬送し、前記準備ステージ上に配置された前記対象物に対して前記プラズマ処理のための予備的処理を実行し、前記予備的処理の終了後の前記対象物を前記搬送装置により前記ストック部の仮置き部に搬送し、前記仮置き部から前記プラズマ処理部に前記搬送装置によって前記対処物を搬送してプラズマ処理を実行する、プラズマ処理方法を提供する。
【0020】
前記プラズマ処理部内で1個の前記対象物について前記プラズマ処理を実行中に、前記ストック部の前記主収納部から別の1個の前記対象物を前記準備ステージに搬送し、前記準備ステージ上の前記別の1個の対象物に対して前記予備的処理を実行し、さらに予備的処理後の前記別の1個の対象物を前記準備ステージから前記ストック部の前記仮置き部に搬送する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るプラズマ処理装置及びその方法では、1個の対象物についてプラズマ処理を実行中に、別の1個の対象物について、主収納部から準備ステージへの搬送、予備処理部による予備的処理、及び準備ステージから仮置き部への搬送が実行される。そのため、構成が簡易で低コストのシングルアーム型の搬送装置を採用しつつ高スループットを実現できる。また、予備的処理後の対象物の仮置き部はストック部に設けられていることに加え、予備的処理は対象物を搬送する搬送装置が収容された搬送部内に設けられた準備ステージと予備処理部で実行されるので、当該予備的処理のための専用のチャンバを別途設ける必要がない。そのため、プラズマ処理装置の小型化ないし設置面積の低減を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係るドライエッチング装置の水平断面図。
【図2】本発明の実施形態に係るドライエッチング装置の断面図(図13Aの線II-II)。
【図3】本発明の実施形態に係るドライエッチング装置の断面図(図13Aの線III-III)。
【図4】本発明の実施形態に係るドライエッチング装置のブロック図。
【図5】リフタとカセットの平面図。
【図6】カセットを装着したリフタの平面図。
【図7A】カセットの側面図。
【図7B】カセットの正面図。
【図8】図7Bの線VIII-VIIIでの断面図。
【図9】図7Bの線IX-IXでの断面図。
【図10】基板サセプタとトレイを示す模式的な断面図。
【図11】トレイ及び基板を示す斜視図。
【図12】本発明の実施形態に係るドライエッチング装置の動作を示すタイムチャート。
【図13A】搬送アームが搬送部からトレイストック部へ進入する前のドライエッチング装置の水平断面図。
【図13B】搬送アームがトレイストック部へ進入しているときのドライエッチング装置の水平断面図。
【図13C】回転テーブルで基板を処理しているときのドライエッチング装置の水平断面図。
【図13D】搬送アームが搬送部からプラズマ処理部へ進入する前のドライエッチング装置の水平断面図。
【図14】搬送アームによるトレイカセットからのトレイの搬出を示す平面図。
【図15】基板サセプタへのトレイと基板の載置を説明するための模式的な断面図。
【図16】本発明の変形例に係るドライエッチング装置の水平断面図。
【図17】本発明の他の変形例に係るドライエッチング装置の水平断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0024】
図1から図4は本発明の実施形態に係るICP(誘導結合プラズマ)型のドライエッチング装置1を示す。このドライエッチング装置1では、基板2を搬送するためのトレイ3が使用される。
【0025】
図11を参照すると、トレイ3には上面3aから下面3bまで厚み方向に貫通する複数個(本実施形態では7個)の基板収容孔4が設けられている。トレイ3の中央に1個の基板収容孔4があり、その周囲に残りの6個の基板収容孔4が平面視で等角度間隔に配置されている。個々の基板収容孔4に1枚の基板2が収容される。個々の基板収容孔4の孔壁には基板収容孔4の中心に向けて突出する基板支持部5が設けられている。基板支持部5の上面である基板支持面5aは、基板収容孔4に収容された基板2の下面の周縁付近を支持する。本実施形態では、基板支持部5は基板収容孔4の孔壁の全周に設けられており、平面視では幅一定の円環状である。前述のように基板収容孔4はトレイ3を厚み方向に貫通するように形成されているので、トレイ3の下面3b側から見ると、基板収容孔4(基板支持部5の先端で囲まれた円形の領域)により基板2の下面が露出している。基板支持部5は基板収容孔4の孔壁の周方向に間隔をあけて設けた複数個の突起状でもよい。トレイ3の外周縁には回転角度位置検出のためのノッチ3cが設けられている。
【0026】
図1から図4を参照すると、ドライエッチング装置1は、基板2に対するドライエッチングを実行するプラズマ処理部11と、プラズマ処理部11に隣接して設けられてシングルアーム型の搬送装置15を収容している搬送部12とを備える。また、トレイ3を供給及び回収するためのストック部13が、搬送部12に隣接して設けられている。
【0027】
図1を参照すると、本実施形態のドライエッチング装置1では、プラズマ処理部11、搬送部12、及びストック部13が平面視で概ねL字状を呈するように配置されている。つまり、プラズマ処理部11は搬送部12に対して図1において右側に配置され、ストック部13は搬送部12に対して図において上側に配置されている。プラズマ処理部11内の処理室16と搬送部12内の搬送室19との間に連通口20Aが設けられ、搬送部12内の搬送室19とストック部13内の収容室17との間に連通口20Bが設けられている。連通口20A,20Bには、ゲートバルブ21A,21Bがそれぞれ取り付けられている。図1では連通口20Aのゲートバルブ21Aが閉鎖し、連通口20Bのゲートバルブ21Bが開放している。
【0028】
図1、図2、図4から図9を参照してストック部13を説明する。ストック部13はリフター61と、リフター61に着脱可能に装着されるカセット62とを備える。カセット62にはトレイ3が収容される。図2に示すように、リフター61はストック部13の収容室17内に配置された昇降台63とこの昇降台63を昇降させるリフター駆動機構64とを備える。
【0029】
以下、カセット62について説明する。
【0030】
図7Aから図9に示すように、カセット62は底板65と天板66との間に複数枚(本実施形態では最大9枚)のトレイ3を水平な姿勢で互いに間隔をあけて収納できる。また、カセット62に収容された個々のトレイ3は、下面3aの全体が支持されるのではなく、下面3aのうち外周縁付近の複数箇所(本実施形態では4箇所)のみが支持される。
【0031】
図8及び図9に最も明瞭に示すように、カセット62は平面視でトレイ3の中心を挟んで互いに対向するように鉛直方向に延びる主棚板部材67A,67Bと、個々の主棚板部材67A,67Bに隣接した位置で鉛直方向に延びる副棚板部材68A,68Bとを備える。主棚板部材67A,67Bと副棚板部材68A,68Bは、下端が底板65に連結され上端が天板66に連結されている。主棚板部材67A,67Bに対して副棚板部材68A,68Bとは反対側がカセット62に対する出入口71を構成する。言い換えれば、副棚板部材68A,68Bは出入口71に対して奥側に配置されている。
【0032】
個々の主棚板部材67A,67Bの内面67aから平面視で比較的長い矩形状であって上面が平坦な主棚部67bが間隔をあけて複数段(本実施形態では8段)突出している。また、個々の副棚板部材68A,68Bの内面68aからも平面視で比較的短い矩形状であって上面が平坦な主棚部68bが複数段(本実施形態では8段)突出している。主棚板部材67A,67Bと副棚板部材68A,68Bの主棚部67b,68bの高さ(上面の高さ方向の位置)は個々の段で揃っている。例えば、主棚板部材67A,67Bと副棚板部材68A,68Bの最下端の主棚部67b,68bの高さは同一である。従って、図9に最も明瞭に示すように、同一段を構成する主棚板部材67A,67Bと副棚板部材68A,68Bの主棚部67b,68bで下面3aが支持されることで、トレイ3は水平な姿勢で保持される。詳細には、トレイ3の外周縁付近のうちトレイ3の中心を挟んで対向する2つの領域において下面3aが両側の主棚部67bで支持され、これらの領域の近接する別の2つの領域において下面3aが奥側の主棚部68bで支持される。
【0033】
後に詳述するように、各段の主棚部67b,68bにはプラズマ処理部11による基板2のドラエッチング前又はドライエッチング後のトレイ3が収容される。
【0034】
個々の主棚部67b,68bにおける主棚板部材67A,67Bの内面67a間の間隔は、出入口71を介したトレイ3の進退を許容する範囲で最小限に設定されている。つまり、主棚部67b,68bに正しく載置されたトレイ3と主棚板部材67A,67Bの内面67aとの隙間t1は最小限に設定されている。そのため、主棚板部材67A,67Bの内面67aはカセット62に対するトレイ3の図9において横方向の位置を位置決めする機能を有する。また、主棚部67b,68bに正しく載置されたトレイ3と副棚板部材68A,68Bの内面68aとの間の隙間t2も最小限に設定されている。そのため、副棚板部材68A,68Bの内面68aはカセット62に対するトレイ3の図9において上下方向の位置(出入口71からカセット62の奥側に向かう方向の位置)を位置決めする機能を有する。
【0035】
主棚板部材67A,67Bの内面67aには最上段の主棚部67bに対して間隔をあけて上方の位置に仮置き棚部67cが突出している。また、個々の副棚板部材68A,68Bの内面68aには最上段の主棚部68bに対して間隔をあけて上方の位置に仮置き棚部68cが突出している。仮置き棚部67c,68cはそれぞれ主棚部67b,68bと同様に平面視で矩形状であって上面が平坦である。
【0036】
仮置き棚部67c,68cにおける主棚板部材67A,67Bの内面67a間の間隔と副棚板部材68A,68Bの内面68a間の間隔は、主棚部67b,68bにおけるそれらの間隔よりも広く設定している。つまり、仮置き棚部67c,68cに載置されたトレイ3と主棚板部材67A,67Bの内面67aの隙間t1’は隙間t1(図9)と比較して十分に大きく設定されている。そのため、トレイ3の図8において横方向の位置がある程度ずれた場合でも、トレイ3が内面67aに接触しない。同様に、仮置き棚部67c,68cに載置されたトレイ3と副棚板部材68A,68Bの内面68aの隙間t2’は隙間t2(図9)と比較して十分に大きく設定されている。そのため、トレイ3の図8において縦方向の位置がある程度ずれた場合でも、トレイ3が内面68aに接触しない。
【0037】
後に詳述するように、仮置き棚部67c,68cにはアラインメント処理後であってドライエッチング前のトレイ3が仮置きされる。
【0038】
次に、リフター61について説明する。図5及び図6を参照すると、リフター61の昇降台63の上面63aにカセット62の底板65が載置される。具体的には、図2及び図5に矢印で示すように、扉72を開放したストック部13の収容室17と外部の連通口20Cからトレイ3を収容済みのカセット62が収容室17内に搬入され、底板65が昇降台63の上面63aに配置される。
【0039】
昇降台63の上面63aには底板65の端面に当接してカセット62の水平方向の位置決めするための固定の規制部73A,73B,73Cが設けられている。1個の規制部73Aはカセット62の搬入方向(図5の矢印)の奥側に配置され、2個の規制部73B,73Cは搬入方向の両側に配置されている。また、リフター61の昇降台63には搬入方向の手前側に底板65に対して解除可能に係合するロック機構74A,74Bを備える。
【0040】
図5を参照すると、ロック機構74A,74Bは、昇降台63の下面63bに固定された軸受部75によってカセット62の搬入方向(図5の矢印)に進退可能かつ回転可能に支持されたロッド76を備える。ロッド76はばね77によって搬入方向の奥側に向けて弾性的に付勢されている。また、ロッド76に可動規制部材78の基端側が固定されている。さらに、昇降台63から突出したロッド76の端部には操作用のノブ79が設けられている。
【0041】
ノブ79を操作してばね77の付勢力に抗してロッド76を引き出して回転させることで、ロック機構74A,74Bを図5に示す「解放状態」と「ロック状態」のいずれかに設定できる。「解放状態」では可動規制部材78は昇降台63の下面63側に格納され、上面63aに突出しない。ロック機構74A,74Bが「解放状態」であるときに、カセット62がリフター61に搬入され、底板65の端面が規制部73A〜73Cが当接することで昇降台63に対して位置決めされる。ロック機構74A,74Bを「ロック状態」とし、昇降台63に設けた切欠63cを介して可動規制部材78を突出させると、規制部73A〜73Cと可動規制部材78により、カセット62の底板65の昇降台63の上面63aで水平方向に移動不可にロックされる。つまり、ロック機構74A,74Bを「ロック状態」とすると、カセット62は昇降台63に対して位置決めされた状態でロックされる。ロック機構74A,74Bはカセット62の着脱時のみ「解放状態」に設定される。
【0042】
図1から図4を参照して搬送部12を説明する。搬送室19内に収容されたシングルアーム型の搬送装置15は、トレイ3の下面3bの外周縁付近を支持することでトレイ3を保持可能な支持フォーク(支持部)28を1個のみ備える。支持フォーク28は水平方向(XY方向)に直動可能な2リンク式の水平移動機構29に連結され、この水平移動機構29は鉛直方向に延びる旋回軸30に搭載されている。旋回軸30はそれ自体の軸線回りの回転が可能である。従って、支持フォーク28は水平面内での2方向の直動と旋回とが可能である。水平駆動機構29と旋回軸30は、搬送機構駆動部31により駆動される。
【0043】
図14を併せて参照すると、支持フォーク28は、水平移動機構29に連結されたベース38、このベース38から概ね平行に延びる一対のアーム39A,39Bを備える。これらのアーム39A,38B上にトレイ3の下面3bが載置される。個々のアーム39A,39Bの最先端には上向きに突出する突起40が設けられている。個々の突起40はトレイ3の最外周縁(本実施形態では平面視で円形)に当接してトレイ3を位置決めする規制面40aを備える。一方、アーム39A,39Bの基端側であるベース39にも上向きに突出する突起41が設けられ、この突起41にもトレイ3の最外周縁に当接してトレイ3を位置決めする規制面41aを備える。アーム39A,39Bの突起40の規制面40aと、ベース38の突起41の規制面41aは互いに対向している。
【0044】
図1を参照すると、搬送室19は平面視で概ね円形の主部19aを備える。また、搬送室19fは主部19aと連通口20A,20Bをそれぞれ連通させる平面視で概ね矩形の通路部19b,19cを備える。搬送室19の大きさは搬送装置15が必要な動作を実行する上で必要最小限に設定されている。まず、主部19aの平面視での直径Dは、搬送装置15の支持フォーク28がトレイ3を支持した状態で旋回軸30が360度旋回したときに主部19aの壁面とトレイ3とが干渉しない範囲で最小限の大きさに設定されている。また、通路部19aの幅W1はトレイ3を支持した支持フォーク28が連通口20Aを通って搬送室19と処理室16との間を往復するときに通路部19aの壁面とトレイ3とが干渉しない範囲で最小限の大きさに設定されている。同様に、連通部19aの幅W2はトレイ3を支持した支持フォーク28が連通口29Bを通って搬送室19と収容室17との間を往復するときに通路部19bの壁面とトレイ3とが干渉しない範囲で最小限に設定されている。
【0045】
図1から図3を参照すると、搬送部12の搬送室19内に回転ステージ33(準備ステージ)が収容されている。図3に最も明瞭に示すように、回転ステージ33は鉛直方向に延びる回転軸36の上端に取り付けられている。この回転軸36は、回転ステージ駆動機構部37により回転駆動される。後に詳述するように、搬送装置15によって搬送されたトレイ3が回転ステージ33の上面に載置される。
【0046】
図1を参照すると、回転ステージ33は搬送室19の主部19a(平面視で概ね円形)のうちストック部13の収容室17側に配置されている。具体的には、回転ステージ33は搬送装置15の旋回軸30と収容室17との間の位置に配置させている。さらに具体的には、搬送装置15の旋回軸30の中心C1と収容室17の中心C2とを結ぶ仮想の直線Lを想定したときに、回転ステージ33の回転の回転軸36の回転の中心C3は直線L上であって中心C1と中心C2の間に位置している。なお、本実施形態では旋回軸30の中心C1は円形である主部19aの平面視での中心C4と概ね一致し、収容室17の中心C2は収容室17内のリフター61に装着されたカセット62内のトレイ3の中心C5と概ね一致している。言い換えるなら、仮想の直線L上には、搬送装置15の旋回軸30の中心C1(主部19aの中心C4)から、回転ステージ33の回転軸36の中心C3、連通口20B、及び収容室17の中心C2(収容室17内のトレイ3の中心C5)がこの順に並んでいる。
【0047】
図3を参照すると、搬送部18の上端壁には回転ステージ33の上方にあたる位置に透明性ないし透光性を有する窓42が設けられている。この窓42の上方には2個の基板検出センサー43A,43Bと1個のノッチ検出センサー44が配置されている。図1及び図7に示すように、基板検出センサー43Aは、回転ステージ33の中心の直上に位置している。基板検出センサー43Bは、平面視で回転ステージ33からは外れた位置に位置している。ノッチ検出センサー44は、平面視で回転ステージ33に対して基板検出センサー43Bよりもさらに外側に位置している。回転ステージ33上には基板検出センサー43Aの直下の位置に光反射部材45Aが固定されている。同様に、搬送部18の底壁上には、基板検出センサー43Bとノッチ検出センサー44の直下の位置に、光反射部材45B,45Cがそれぞれ固定されている。
【0048】
プラズマ処理部11は処理室16内に基板2を載せたトレイ3を収容してエッチングを行うが、エッング方式等は特に限定されない。例えば、プラズマ処理部11は、ICP型であってもよく、平行平板型であってもよい。図1、図10、及び図15を参照すると、本実施形態のプラズマ処理部11では、処理室16の底部側に上端面23aにトレイ3の下面3bを載せるステージ23が設けられている。ステージ23の上端面23aには、トレイ3の基板収容孔4と同数(本実施形形態では7個)の扁平な円柱状の静電チャックである基板保持部23bが突出している。また、基板搬送機構15の支持フォーク28とステージ23との間でのトレイ3の受け渡しのための昇降ロッド24が設けられている。
【0049】
ドライエッチング装置1は、図4にのみ示す制御部46を備える。制御部46は操作・入力部47から入力される作業者の指令に加え、基板検出センサー43A,43B、ノッチ検出センサー44を含む各種センサーからの入力等に基づいて、プラズマ処理部11、搬送装置15、真空ポンプ48、及び表示部49を含む装置全体の動作を制御する。特に、制御部46は、搬送機構15によるトレイ3の搬送を制御するトレイ搬送処理部51、リフター61の昇降台63のリフター駆動機構64による昇降を制御するリフター昇降処理部52、回転ステージ26とノッチ検出センサ44によるアラインメント処理を制御するアラインメント処理部53、及び基板検出センサー43A,43Bによる基板2の有無確認を制御する基板有無確認処理部54を備える。
【0050】
次に、本実施形態のドライエッチング装置1の動作を説明する。
【0051】
図12を参照すると、ドライエッチング装置1の動作開始後の1枚目のトレイ3は、搬送装置15によりストック部13の収容室17内のカセット62のいずれかの主棚部67b,68bから搬送部12の搬送室19に搬入され、回転ステージ33の上面に載置される。次に、回転ステージ33に載置されたトレイ3に対し回転ステージ33の回転による回転角度位置の調整、つまりアラインメント処理が実行される。その後、トレイ3は搬送装置15により搬送室19から搬送室16を介してプラズマ処理部11の処理室16内に搬入され、ステージ23上に載置される。ステージ23上にトレイ3を配置したことにより基板支持部5の基板支持面5aに載置された基板2に対してプラズマ処理が実行される。プラズマ処理後、トレイ3は搬送装置15により処理室16から搬送室19を介して収容室17へ搬送されてカセット62の空いている主棚部67b,68bに回収される。
【0052】
また、図12を参照すると、ドライエッング装置1の動作開始後の2枚目以降のトレイ3は、搬送装置15によりストック部13の収容室17内のカセット62のいずれかの主棚部67b,68bから搬送部12の搬送室19に搬入され、回転ステージ33の上面に載置される。次に、回転ステージ33に載置されたトレイ3に対し回転ステージ33の回転による回転角度位置の調整、つまりアラインメント処理が実行される。アラインメント処理後のトレイ3は搬送装置15により搬送室19から収容室17に搬送されてカセット62の仮置き棚部67c,68cに載置される。その後、トレイ3は搬送装置15により仮置き棚部67c,68cから取り出され、収容室17から搬送室16を介してプラズマ処理部11の処理室16内に搬入され、ステージ23上に載置される。ステージ23上にトレイ3を配置したことにより基板支持部5の基板支持面5aに載置された基板2に対してプラズマ処理が実行される。プラズマ処理後、トレイ3は搬送装置15により処理室16から搬送室19を介して収容室17へ搬送されてカセット62空いている主棚部67b,68bに回収される。
【0053】
以下、2枚目以降のトレイ3に着目した場合のドライエッチング装置1の動作をより具体的に説明する。
【0054】
図13Aに示すように旋回軸30の旋回によって収容室17に向けられた支持フォーク28が、図13Bに示すように移動機構29による直動によって連通口20Bを通って搬送部12の搬送室19からストック部13の収容室17内に進入し、カセット62のいずれかの主棚部67b,68bに支持されたトレイ3(7枚の未処理の基板2を収容している)を支持する。図14を併せて参照すると、まず支持フォーク28のアーム39A,39Bが出入口71からカセット62内に進入してトレイ3の下面3bに間隔をあけて挿入される。次に、リフター駆動機構64によってリフター61の昇降台63に装着されたカセット62が降下することで、主棚部67b,68bから支持フォーク28のアーム39A,39Bにトレイ3が受け渡される。具体的には、主棚部67b,68bに支持されていたトレイ3の下面3aは、カセット62が降下することで、支持フォーク28のアーム39A,39Bの上面に支持される。この際、アーム39A,39Bの突起40の支持面40aとベース38の突起41の支持面41aとの間に嵌り込むことで、支持フォーク28(アーム38A,38B)に対するトレイ3のセンタリング(水平面内での支持フォーク28に対する位置合わせ)がなされる。
【0055】
カセット62の主棚部67b,68bからトレイ3が受け渡された支持フォーク28は出入口71を通ってカセット62から退避し(図14参照)、連通口20Bを通って収容室17から搬送室19に戻る。図13Cに示すように、支持フォーク28はトレイ3が回転ステージ33の上方に位置するように移動する。続いて、回転軸36の上向移動により回転ステージ33が上昇する。回転ステージ33は支持フォーク28の2本のアーム39A,39Bの間を通って支持フォーク28よりも上方に突出し、それによってトレイ3は回転ステージ33の上面に載置される。
【0056】
続いて、回転軸36によって回転ステージ33を回転させることで回転ステージ33に配置されたトレイ3の回転角度位置が調整される。この回転角度位置の調整の際には、ノッチ検出センサー44から出力でノッチ3cが検出し、それに応じて回転ステージ33を回転させる。また、回転軸36によって回転ステージ33を回転させつつ基板検出センサー43A,43Bの出力を監視することで、トレイ3の基板収容孔4に基板2が収容されていることを確認する。基板検出センサー43Aからの出力によりトレイ3の中央の基板収容孔4における基板2の有無を確認でき、基板検出センサー43Bからの出力によりトレイ3の残りの6個の基板収容孔4における基板2の有無を確認できる。ノッチ検出センサー44は前述した制御部46のアラインメント処理部53と共に本発明における予備処理部を構成する。また、基板センサー43A,43Bは前除した制御部46のアラインメント処理部53と共に本発明における予備処理部を構成する。
【0057】
図13Cに明瞭に示すように、回転角度位置の調整と基板有無の確認の際には、回転ステージ33上のトレイ3は全体が搬送室19の主部19aに収容されているのではなく、一部は搬送室19の通路部19bを介して搬送室19と収容室17との間の連通口20Bとの間に進入している。このように搬送室19の主部19aだけでなく通路部19bと連通口20Bを有効に利用することで、前述のように搬送室19の大きさを搬送装置15が必要な動作を実行する上で必要最小限に設定しつつ、搬送室19の主部19aに配置された回転ステージ33上でトレイ3の回転角度位置の調整と基板有無の確認とを可能としている。言い換えれば、搬送室19の主部19aだけでなく通路部19bと連通口20Bをも有効に利用することで、回転ステージ33を収容するための専用のチャンバを設ける必要をなくしている回転ステージ33の上のトレイ3の回転角度位置の調整と基板有無の確認の際に通路部19bと連通口20Bを有効に利用できるのは、図1を参照して詳述したように回転ステージ33は搬送装置15の旋回軸30と収容室17との間の位置に配置したことによる。
【0058】
回転角度位置の調整と基板有無の確認後、回転軸36の下向移動により回転ステージ33が降下し、回転ステージ33から支持フォーク28にトレイ3が受け渡される。
【0059】
回転ステージ33からトレイ3が受け渡された支持フォークは旋回軸30の旋回によりストック部13の収容室17に向けられる。支持フォーク28は連通口20Bを通って収容室17内に進入する。図14を参照して説明した主棚部67b,68bから支持アーム28へトレイ3を移載する際と逆の動作により、支持フォーク28からカセット62の空いている仮置き棚部67c,68cにトレイ3が移載される。つまり、トレイ3を支持した支持フォーク28が出入口71からカセット62内に進入し、トレイ3が仮置き棚部67c,68cの上昇に配置される。次に、リフター駆動機構64によってリフター61の昇降台63に装着されたカセット62が上昇することで、支持フォーク28のアーム39A,39Bから仮置き棚部67c,68cにトレイ3が受け渡される。
【0060】
図12を参照すると、2枚目以降のトレイ3に対するここまでに説明した処理、すなわちカセット62の主棚部67b,68bから回転ステージ33への搬送、回転ステージ33上でのアラインメント処理(回転角度位置調整)、及び回転ステージ33からカセット62の仮置き棚部67c,68cへの搬送は1枚前のトレイ3についてのプラズマ処理中に実行される。また、1枚前のトレイ3についてプラズマ処理部11の処理室16からカセット62の主棚部67b,68bの搬送終了後、以下の処理が実行される。
【0061】
まず、旋回軸30の旋回により支持フォーク28はストック部13の収容室17に向けられる。支持フォーク28は連通口20Bを通って収容室17内に進入し、仮置き棚部67c,68cに支持されたトレイ3の下面3bの下側に間隔をあけて挿入される。次に、リフター駆動機構64によってリフター61の昇降台63に装着されたカセット62が降下することで、仮置き棚部67c,68cから支持フォーク28のアーム39A,39Bにトレイ3が受け渡される。
【0062】
図13Dに示すように、トレイ3を受け取った支持フォーク28は搬送室19内で旋回してプラズマ処理部11の処理室16に向けられる。その後、ゲートバルブ21Aが閉弁状態から開弁状態に切り換えられて連通口20Aが開放される。
【0063】
さらに、図15に示す動作でトレイ3がステージ23に載置される。まず、連通口20Aを介して支持アーム28が処理室17内に進入し、ステージ23の上方に配置される。次に、昇降ロッド24が上昇してその上端がトレイ3の下面3bを押し上げ、それによって支持アーム28から昇降ロッド24にトレイ3が受け渡される。その後、昇降ロッド24が降下し、トレイ3がステージ23の上端面23aに載置される。図10を併せて参照すると、トレイ3がステージ23の上端面23aに向けて降下するのに伴い、トレイ3の下面3b側から基板保持部23bが基板収容孔4へ進入する。そのため、トレイ3がステージ23の上端面23aに載置されると、個々の基板収容孔4内の基板2は基板支持部5の基板支持面5aから持ち上げられて基板保持部23bの上端に載置される。
【0064】
ステージ23へのトレイ3の配置完了後、基板2に対するプラズマエッチング処理が実行される。
【0065】
エッチング処理後、図15を参照して説明したステージ23への載置時と逆の動作を実行することで支持フォーク28は処理室16内でステージ23からトレイ3を受け取り、さらに搬送室19に戻る。トレイ3を支持している支持フォーク28は搬送室19内で旋回してストック部13の収容室17に向けられる。支持フォーク28は連通口20Bを通って収容室17内に進入する。図14を参照して説明した主棚部67b,68bから支持アーム28へトレイ3を移載する際と逆の動作(支持アーム28から仮置き棚部67c,68cにトレイ3を移載する際と同様の動作)により、支持フォーク28からカセット62の空いている主棚部67b,68bにトレイ3が移載される。
【0066】
本実施形態のドライエッチング装置1は特に以下の点に特徴がある。
【0067】
まず、1枚のトレイ3の基板2についてプラズマ処理部11の処理室16内にドライエッチング処理を実行中に、次の1枚のトレイ3について、カセット62の主棚部67b,68bから回転ステージ33への搬送、回転ステージ33の回転とノッチ検出センサー44によるトレイ3の回転角度位置調整(基板検出センサー43A,43Bにより基板有無検知も同時に実行される)、及び回転ステージ33からカセット62の仮置き棚部67b,68cへの搬送が実行される。そのため、構成が簡易で低コストのシングルアーム型の搬送装置15を採用しつつ高スループットを実現できる。
【0068】
次に、トレイ3の回転角度位置調整(基板検出センサー43A,43Bにより基板有無検知)後のトレイ3をプラズマ処理部11の処理室16でのドライエッチング処理前に仮置きするための機構は、仮置き棚部67c,68cとしてストック部13の収容室17に収容された処理室17に設けている。このための仮置きのために専用のチャンバを別途設ける必要がなく、ドライエッチング装置の小型化ないし設置面積の低減を図ることができる。
【0069】
また、プラズマ処理部11の処理室16でのドライエッチング処理前に実行する必要がある予備的処理であるトレイ3の回転角度位置調整と、基板有無検知とは、搬送機構15を収容するための搬送室19内に収容された回転ステージ33(ノッチ検出センサー44、基板検出センサー43A,43B)により実行されるので、これらの予備的処理のために専用のチャンバを別途設ける必要がなく、この点でもドライエッチング装置の小型化ないし設置面積の低減を図ることができる。
【0070】
さらに、リフター61によりカセット62が昇降することで、主棚部67b,68bと支持フォーク28間でのトレイ3の受け渡しと、仮置き棚部67c,68c間の支持フォーク28間でのトレイ3の受け渡しとが実装される。そのため、シングルアーム型の搬送装置15の支持フォーク28は、水平移動機構29による水平方向移動と旋回軸30による旋回とが可能であればよい。つまり、支持フォーク28は昇降機能を備えている必要がなく、搬送装置15の構成を簡素化できる。
【0071】
本発明は実施形態に限定されず種々の変形が可能である。
【0072】
図4に示すように、トレイ3に対する基板2の位置ずれを光学的に検出するための位置ずれセンサー81(例えば一定位置から基板2までの距離を測定するセンサー)を設け、この位置ずれセンサー18の出力に基づいて、制御部46の基板位置ずれ確認処理部82がトレイ3に対する基板3の位置ずれの有無を判定してもよい。
【0073】
プラズマ処理部11、搬送部12、及びストック部13の平面視での配置は実施形態のようなL字状(図1)に限定されない。例えば、図16に示す変形例のドライエッチング装置1のように、プラズマ処理部11とストック部13が搬送部12を挟んだ互いに反対側に配置し、プラズマ処理部11、ストック部13、及び搬送部12が平面視で概ね直線状を呈するように配置してもよい。
【0074】
ストック部13に関連する具体的な構成も実施例のものに限定されない。例えば、図17に示す変形例のドライエッチング装置1は、ストック部13に隣接して設けられた移載部83を備える。移載部83からストック部13に処理前の基板2を収容したトレイ3が供給され、これらのトレイ3は基板2の処理後にストック部13から移載部71に戻される。ストック部13内にはアラインメント後のトレイ3を配置するための仮置き部(図示せず)が設けられている。移載部83内の移載室84には移載ロボット85が収容されている。
【0075】
移載ロボット85は、図17において矢印A1で概念的に示すように、トレイ3の基板収容孔4にドライエッチング前の基板2を収容する作業、つまりトレイ3へ基板2を移載する作業を実行する。また、移載ロボット85は、図17において矢印A2で概念的に示すように、ドライエッチング済みの基板2をトレイ3から移載する作業を実行する。さらに、移載ロボット72は、処理前の基板2を収容したトレイ3を移載部83からストック部13に搬入する作業(図17の矢印B1)と、処理後の基板2を収容したトレイ3をストック部13から移載部83に搬出する作業(図14の矢印B2)とを実行する。
【0076】
トレイは有底の基板収容孔を有するものでもよい。また、本発明はトレイに基板を収容する場合に限定されず、例えば実施形態におけるトレイ3に相当するような大型の基板自体にも本発明を適用できる。さらに、本発明はドライエッチング装置に限定されずCVD装置等の他のプラズマ処理装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0077】
1 ドライエッチング装置
2 基板
3 トレイ
3a 上面
3b 下面
3c ノッチ
4 基板収容孔
5 基板支持部
5a 基板支持面
11 プラズマ処理部
12 搬送部
13 ストック部
15 搬送装置
16 処理室
17 収容室
19 搬送室
20A,20B,20C 連通口
21A,21B ゲートバルブ
23 ステージ
23a 上端面
23b 基板保持部
24 昇降ロッド
28 支持フォーク
29 水平移動機構
30 旋回軸
31 搬送機構駆動部
33 回転ステージ
36 回転軸
37 回転ステージ駆動機構
38 ベース
39A,39B アーム
40 突起
40a 規制面
41 突起
41a 規制面
42 窓
43A,43B 基板検出センサー
44 ノッチ検出センサー
45A,45B,45C 光反射部材
46 制御部
47 操作・入力部
48 真空ポンプ
49 表示部
51 トレイ搬送処理部
52 リフター昇降処理部
53 アラインメント処理部
54 基板有無確認処理部
61 リフター
62 カセット
63 昇降台
63a 上面
63b 下面
63c 切欠
64 リフター駆動機構
65 底板
66 天板
66a ハンドル
67A,67B 主棚板部材
67a 内面
67b 主棚部
67c 仮置き棚部
68A,68B 副棚板部材
68a 内面
68b 主棚部
68c 仮置き棚部
71 出入口
72 扉
73A,73B,73C 規制部
74A,74B ロック機構
75 軸受部
76 ロッド
77 ばね
78 可動規制部材
79 ノブ
81 位置ずれセンサー
82 基板位置ずれ確認処理部
83 移載部
84 移載室
85 移載ロボット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理前後の対象物を収納する主収納部と、仮置き部とを備えるストック部と、
前記ストック部から搬入される前記対象物に対してプラズマ処理を実行するプラズマ処理部と、
単一のアームで前記対象物を搬送する搬送装置を収容した搬送部と、
前記ストック部から前記プラズマ処理部に搬入される前の前記対象物が配置される、前記搬送部に収容された準備ステージと、
前記準備ステージと協働して前記対象物に対して前記プラズマ処理のための予備的処理を実行するための予備処理部とを備え、
前記搬送装置は、前記プラズマ処理前の前記対象物を前記ストック部の前記主収納部から前記準備ステージに搬送し、前記予備的処理後の前記対象物を前記準備ステージから前記ストック部の前記仮置き部を経て前記前記プラズマ処理部へ搬送し、かつプラズマ処理後の前記対象物を前記プラズマ処理部から前記ストック部の前記主収納部に搬送する、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記プラズマ処理部内で1個の前記対象物について前記プラズマ処理を実行中に、
前記搬送装置が前記ストック部の前記主収納部から別の1個の前記対象物を前記準備ステージに搬送し、前記準備処理部が前記準備ステージ上の前記別の1個の対象物に対して前記予備的処理を実行し、さらに前記搬送装置が前記予備的処理後の前記別の1個の対象物を前記準備ステージから前記ストック部の前記仮置き部に搬送する、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記準備ステージは鉛直方向に沿って延びる回転軸周りに回転可能であり、
前記予備処理部は前記準備ステージを前記回転軸周りに回転させることで、前記準備ステージに載置された前記対象物の回転角度位置を調整する、請求項1又は請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記対象物は外周縁にノッチを備え、
前記予備処理部は、前記準備ステージに載置された前記対象物の前記ノッチを光学的に検出するノッチ検出センサーを備え、前記ノッチ検出センサーからの出力に応じて前記準備ステージを回転させることで前記対象物の回転角度位置を調整する、請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記予備処理部は、前記対象物が前記プラズマ処理に適した状態であるか否かの検査を実行する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記対象物は基板が収容された搬送可能なトレイであり、
前記予備処理部は、前記準備ステージに載置された前記トレイにおける前記基板の有無を光学的に検出する基板検出センサーを備え、前記基板検出センサーからの出力に基づいて基板の有無を判定する、請求項5に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記対象物は基板が収容された搬送可能なトレイであり、
前記予備処理部は、前記準備ステージに載置された前記トレイに対する前記基板の位置ずれを光学的に検出する位置ずれ検出センサーを備え、前記基板検出センサーからの出力に基づいて前記トレイに対する前記基板の位置ずれの有無を判定する、請求項5又は請求項6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記準備ステージは鉛直方向に沿って昇降する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
搬送部に収容された搬送装置によって、ストック部の主収納部に収納されたプラズマ処理の対象物を搬送部に収容された準備ステージへ搬送し、
前記準備ステージ上に配置された前記対象物に対して前記プラズマ処理のための予備的処理を実行し、
前記予備的処理の終了後の前記対象物を前記搬送装置により前記ストック部の仮置き部に搬送し、
前記仮置き部から前記プラズマ処理部に前記搬送装置によって前記対処物を搬送してプラズマ処理を実行する、プラズマ処理方法。
【請求項10】
前記プラズマ処理部内で1個の前記対象物について前記プラズマ処理を実行中に、前記ストック部の前記主収納部から別の1個の前記対象物を前記準備ステージに搬送し、前記準備ステージ上の前記別の1個の対象物に対して前記予備的処理を実行し、さらに予備的処理後の前記別の1個の対象物を前記準備ステージから前記ストック部の前記仮置き部に搬送する、請求項9に記載のプラズマ処理方法。
【請求項11】
前記予備的処理は、前記準備ステージを鉛直軸方向に沿って延びる回転軸周りに回転させて前記準備ステージに載置された前記対象物の回転角度位置を調整するものである、請求項9又は請求項10に記載のプラズマ処理方法。
【請求項12】
前記対象物は外周縁にノッチを備え、
前記予備的処理は、前記準備ステージ上に載置された前記対象物の前記ノッチを光学的に検出するノッチ検出センサからの出力に応じて前記準備ステージを回転させるものである、請求項11に記載のプラズマ処理方法。
【請求項13】
前記予備的処理は、前記対象物が前記プラズマ処理に適した状態であるか否かの検査である、請求項9又は請求項10に記載のプラズマ処理方法。
【請求項14】
前記対象物は基板が収容された搬送可能なトレイであり、
前記予備的処理は、前記準備ステージに載置された前記トレイにおける前記基板の有無を光学的に検出する基板検出センサーからの出力に基づく基板の有無の判定である、請求項13に記載のプラズマ処理方法。
【請求項15】
前記対象物は基板が収容された搬送可能なトレイであり、
前記予備的処理は、前記準備ステージに載置された前記トレイに対する前記基板の位置ずれを光学的に検出する位置ずれ検出センサーからの出力に基づいく前記基板の位置ずれの有無の判定である、請求項13に記載のプラズマ処理方法。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−222289(P2012−222289A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89265(P2011−89265)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】