ポリマーの外側被覆を有するガラス物品およびその形成方法
電子装置の覆いとして使用するためのガラス物品およびその形成方法が本明細書に記載される。ガラス物品は、一般に、第1の表面、第2の表面および周辺縁部を含む、成形ガラス基板を備える。成形ガラス基板は、亀裂を形成せずに表面損傷に耐えるガラス物品の能力を改善する圧縮応力層を成形ガラス基板が有するように、強化ガラスから形成されうる。ポリマーの外側被覆は、前記成形ガラス基板の周辺縁部の接続機構と連結し、それによって、成形ガラス基板の周辺縁部を損傷から保護する。1つの実施の形態では、成形ガラス基板の周辺縁部の少なくとも一部は第1の表面からの接続機構のオフセットを備える。別の実施の形態では、ポリマーの外側被覆は、少なくとも1つのコネクタと一体的に形成される。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、「強化ガラスのポリマー外側被覆(Polymer Over-Molding Of Strengthened Glass)」という発明の名称で2009年5月8日に出願した米国仮特許出願第61/176,682号の優先権を主張し、参照することによってその全体が本明細書に援用される。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、一般に、ポリマー材料を用いてインサート成形されたガラス物品に関し、さらに具体的には、ポリマー材料で外側被覆された、強化された薄いガラス基板およびその形成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
射出成形は、一般に、さまざまなタイプの可塑性物品の成形に用いられる。射出成形法の特質の1つは、正確な寸法制御を伴う、複雑な形態の成形を可能にすることである。射出成形は、以前は、インサート成形または外側被覆として知られるプロセスにおいて、金属部品とともに用いられていた。例えば、可塑性の筐体内に組み込まれた金属部品を備えた電気コネクタは、インサート成形によって成形されうる。複雑な形状をした射出成形部品の一例は、自動車のヘッドランプ用のレンズである。このような部品の利点の1つは設計および製造の容易さであり、設置面および取り付け点のすべてを成形によってポリマー材料に容易に取り込むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
射出成形法は複雑な形状の成形および寸法制御を可能にするが、可塑性部品自体は、しばしば、望ましくない品質を有する。例えば、可塑性部品は柔らかく、ガラス、ガラスセラミックおよびセラミック部品などの他の材料と比較して、容易に傷がつきやすい。複雑かつ寸法的に制御された物品を製造するために、ポリマー材料の成形性に加えて、ガラス、ガラスセラミックおよびセラミック材料の優れた品質を兼ね備えることを可能にする方法について、本明細書で説明する。本方法によって成形されたガラス物品についても記載する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施の形態によれば、電子装置の覆いとして使用するためのガラス物品は、第1の表面、第2の表面、および周辺縁部を含む成形ガラス基板を備える。成形ガラス基板は、化学的に強化されたガラス、熱的に強化されたガラス、層状ガラスまたはそれらのさまざまな組合せなど、非強化ガラスまたは強化ガラスから形成されうる。成形ガラス基板が強化ガラスから形成される場合、成形ガラス基板は、少なくとも15μmの深さを有する、少なくとも10MPaの圧縮応力を伴う圧縮応力層を含む。成形ガラス基板の周辺縁部の少なくとも一部は、第1の表面からの接続機構のオフセットを含む。ポリマーの外側被覆は、成形ガラス基板の周辺縁部の接続機構に接続される。
【0006】
別の実施の形態では、電子装置の覆いとして使用するためのガラス物品は、第1の表面、第2の表面および周辺縁部を含む成形ガラス基板を備える。成形ガラス基板は、化学的に強化されたガラス、熱的に強化されたガラス、層状ガラスまたはそれらのさまざまな組合せなど、非強化ガラスまたは強化ガラスから形成されうる。成形ガラス基板が強化ガラスから形成される場合、成形ガラス基板は、少なくとも15μmの深さを有する、少なくとも10MPaの圧縮応力を伴う圧縮応力層を含む。ポリマーの外側被覆は、成形ガラス基板の周辺縁部の少なくとも一部に接続され、少なくとも1つのコネクタとともに一体的に形成される。
【0007】
別の実施の形態では、ポリマーの外側被覆を含むガラス物品の製造方法は、第1の表面、第2の表面、および周辺縁部を有する成形ガラス基板を形成する工程を含む。成形ガラス基板は、柔軟層が成形ガラス基板と射出成形金型の下型(first half)の間に配置されるように、射出成形金型の下型に形成された型穴に設置される。射出成形金型の上型(second half)を射出成形金型の下型と嵌合させる。ポリマー材料を射出成形金型に注入し、ポリマーの外側被覆が成形ガラス基板の周辺縁部の少なくとも一部と接続するように、ポリマーの外側被覆を成形する。
【0008】
本明細書に記載される実施の形態の追加の特徴および利点は後述する詳細な説明に記載され、一部には、その説明から当業者にとって容易に明白となり、あるいは、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、ならびに添付の図面を含めた、本明細書に記載される実施の形態の実施によって認識されよう。
【0009】
前述の概要および後述する詳細な説明は両方とも、さまざまな実施の形態を説明するものであり、特許請求の範囲に記載する本発明の性質および特徴を理解するための概観または枠組みを提供することが意図されていることが理解されるべきである。添付の図面は、さまざまな実施の形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に取り込まれ、その一部を構成する。図面は、本明細書に記載されるさまざまな実施の形態を例証しており、その説明とともに、特許請求の範囲に記載する本発明の原理および操作を説明する役割をする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本明細書に示し、説明する1つ以上の実施の形態に従った、成形ガラス基板およびポリマーの外側被覆を備えたガラス物品を概略的に示す図
【図2】本明細書に示し、説明する1つ以上の実施の形態に従った成形ガラス基板の断面を概略的に示す図
【図3】本明細書に示し、説明する1つ以上の実施の形態に従った成形ガラス基板およびポリマーの外側被覆を含むガラス物品の部分断面を概略的に示す図
【図4】本明細書に示し、説明するガラス物品を成形するための射出成形金型の斜視図を概略的に示す図
【図5】本明細書に示し、説明する1つ以上の実施の形態に従ったガラス物品を成形するための射出成形金型の型穴の断面を概略的に示す図
【図6】本明細書に示し、説明する1つ以上の実施の形態に従った射出成形金型に設置したガラス基板の断面を概略的に示す図
【図7】本明細書に示し、説明する1つ以上の実施の形態に従ったガラス物品を含む組立体の構造を概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面に例を示す、ポリマーの外側被覆を有するガラス物品のさまざまな実施の形態について詳細に述べる。できる限り、図面全体にわたり、同一または同様の部品についての参照には、同一の参照番号が用いられる。ガラス物品の1つの実施の形態が、図1に概略的に示されている。ガラス物品は、一般に、成形ガラス基板およびポリマーの外側被覆を備える。成形ガラス基板は、第1の表面、第2の表面、および周辺縁部を備える。ポリマーの外側被覆は、外側被覆することによって成形ガラス基板の周辺縁部に接続される。ガラス物品およびガラス物品の製造方法が、添付の図面に対する具体的言及とともに、本明細書にさらに詳細に記載される。
【0012】
「ガラス」という用語は、本明細書では、ガラス、ガラスセラミック、またはセラミックの材料、基板、または部品を意味し、セラミック部品はセラミック化すること(ceramming)によってガラス材料から作られる。「基板」および「部品」という用語は、本明細書では、金型に設置され、全体的または部分的に外側被覆されて「ガラス」物品を形成する、「ガラス」の基板または部品を意味し、「物品」という用語は、基板または部品のすべてまたは一部にポリマーを有する基板または部品を意味する。基板をポリマー材料で外側被覆することに関連して、基板が「全体的または部分的に」、「全体または一部において」、「すべてまたは一部」外側被覆されると称される場合、および同様の表現の場合、「全体的に」、「すべて」および「全体」という語句は、基板のすべての表面(面および端部)がポリマー材料で外側被覆されることを意味し、「部分的(一部)」という語句は、1つ以上の選択表面および端部がポリマー材料で外側被覆されることを意味する。例として、制限なく、「部分的(一部)」は、端部のみ、1つの面または両方の面のみ、または、1つの面または両方の面の端部および選択された一部を意味しうる。
【0013】
図1を参照すると、ガラス物品100が、本明細書に記載される1つ以上の実施の形態にしたがって概略的に示されている。ガラス物品100は、一般に、成形ガラス基板102およびポリマーの外側被覆104を備える。成形ガラス基板102は、一般に、第1の表面106、第1の表面106と反対側に位置する第2の表面108(図3に示す)、および周辺縁部を備える。図1に示す実施の形態では、ポリマーの外側被覆104は、成形ガラス基板102の周辺縁部の少なくとも一部に取り付けられる。例えば、図1に示す実施の形態では、ポリマーの外側被覆104は、成形ガラス基板102の周辺縁部全体に取り付けられている(すなわち、図1に示すように、ポリマーの外側被覆が成形ガラス基板の周辺縁部全体を取り囲む)。しかしながら、他の実施の形態(図示せず)では、ポリマーの外側被覆104は、成形ガラス基板102の周辺縁部の一部にのみ取り付けられる。
【0014】
図1には矩形の成形ガラス基板102が示されているが、成形ガラス基板は他の形状に成形されて差し支えないことが理解されるべきである。例えば、制限なく、成形ガラス基板は、円形、方形または任意の他の定形または非定形であって差し支えない。さらには、図1は成形ガラス基板102を平面的に示しているが、成形ガラス基板は、成形ガラス基板が少なくとも1つの寸法において曲線状の断面形状を有する場合など、曲線状であってもよいことも理解されるべきである。
【0015】
本明細書に記載されるガラス物品100の実施の形態では、成形ガラス基板102は、一般に、約0.2mm〜約2.0mmの範囲の厚さを有しうる。例えば、一部の実施の形態では、成形ガラス基板102は、0.3mm〜1mmの範囲の厚さを有する。他の実施の形態では、成形ガラス基板102は、0.3mm〜0.7mmの範囲の厚さを有する。さらに別の実施の形態では、成形ガラス基板102は、0.3mm〜0.5mmの範囲の厚さを有する。しかしながら、より厚い成形ガラス基板(すなわち2.0mmより厚い)もまた用いられうることが理解されるべきである。
【0016】
ガラス物品100がディスプレイに用いられる場合(すなわち、成形ガラス基板102を通して画像を見る場合)、成形ガラス基板102は、透明なガラスまたはガラスセラミック材料を備える。しかしながら、他の実施の形態では、成形ガラス基板102は、半透明または不透明のガラスまたはガラスセラミック材料であってもよい。
【0017】
図2に例証される成形ガラス基板102の厚さを通じた断面を参照すると、1つの実施の形態では、成形ガラス基板102は、強化ガラスを具備しており、ここで、圧縮応力が、成形ガラス基板102の表面(すなわち、第1の表面106および/または第2の表面108)より下の選択した深さdまで、成形ガラス基板102の表面に導入されて、圧縮応力層122を形成する。図2に示す成形ガラス基板102の実施の形態では、圧縮応力層122が成形ガラス基板102の第1の表面106に形成される。圧縮応力層122は、成形ガラス基板の第1の表面106における亀裂の伝播を妨げることによって、成形ガラス基板102の耐久性を改善する。成形ガラス基板102における圧縮応力層122の導入は、成形ガラス基板102における正味応力の和がゼロになるように、引張応力層124の発達を伴って起こる(正確な縮尺で描かれていない)。本明細書で報告される圧縮応力は、第1の表面106におけるピーク圧縮応力であることが理解されるべきである。圧縮応力は、ピーク応力から深さdにおけるゼロ値まで低下し、引張応力層の発達を伴うことも理解されるべきである。
【0018】
成形ガラス基板102の表面における圧縮応力層122の導入は、表面損傷(すなわち、引っかき傷、浅い亀裂、欠けなど)に耐える成形ガラス基板の能力を改善するが、表面損傷が圧縮応力層122を貫通して引張応力層124内にまで至る場合には、引張応力層124における引張応力は、成形ガラス基板102を通じた表面損傷の伝播を生じ、成形ガラス基板102に破砕を生じさせてしまう。成形ガラス基板102の端部110は、取り扱いによって、またはガラスの研磨および端部仕上げの結果として、損傷の影響を最も受けやすい。本明細書にさらに詳細に記載されるように、このような損傷を妨げるために、ポリマーの外側被覆が成形ガラス基板の周辺縁部の少なくとも一部に加えられる。
【0019】
圧縮応力層122は、成形ガラス基板102の表面より下、深さdにまで至る。1つの実施の形態では、成形ガラス基板102は、15μm以上の深さdを有する圧縮応力層122を有する。別の実施の形態では、成形ガラス基板102は、30μm以上の深さdを有する圧縮応力層122を有する。別の実施の形態では、成形ガラス基板102は、50μmより大きい深さdを有する圧縮応力層を有する。さらなる実施の形態では、成形ガラス基板102は、100μmより大きい深さdを有する圧縮応力層を有する。別の実施の形態では、成形ガラス基板102は、約500μmの深さdを有する圧縮層を有する。一部の実施の形態では、圧縮層の深さdは≧30μmかつ250μm未満であるが、他の実施の形態では、圧縮層の深さdは≧30μmかつ100μm未満である。
【0020】
成形ガラス基板102が圧縮応力層122を含む強化ガラスから形成される実施の形態では、圧縮応力層122におけるピーク圧縮応力(すなわち、表面106、108のうちの1つにおける圧縮応力)は10MPaより大きい。別の実施の形態では、圧縮応力層122における圧縮応力は約50MPaより大きい。さらなる実施の形態では、圧縮応力層122における圧縮応力は約200MPaより大きい。別の実施の形態では、圧縮応力層122における圧縮応力は約500MPaより大きい。
【0021】
成形ガラス基板102が強化ガラスから形成される場合、上述のように、強化ガラスは、熱的に強化されたガラス;化学的に強化された(すなわち、イオン交換された)ガラス;ガラスコアが低熱膨張率(CTE)のスキンガラスを用いて対称的に積層された層状ガラス;またはそれらのさまざまな組合せを含みうる。例えば、成形ガラス基板102は、積層化と熱的強化の組合せ;積層化と化学的強化の組合せ;または、積層化、化学的強化および熱的強化の組合せによって強化されうる。
【0022】
成形ガラス基板102が熱的強化によって強化される場合、熱的強化によって導入される圧縮応力は、成形ガラス基板の厚さTおよびガラスが強化プロセスの間にクエンチされる速度など、成形ガラス基板102の物理的特性に応じて決まる。熱的強化を通じて導入される圧縮応力は、約5MPa〜140MPaの範囲でありうる。1つの実施の形態では、圧縮応力層の最大深さは、一般に、0.21T、すなわち、成形ガラス基板102の厚さTの21%である。例えば、厚さT=2mmを有する成形ガラス基板は、成形ガラス基板の表面から約420μmの深さdに至る圧縮応力層を有しうる。
【0023】
成形ガラス基板102が化学的に(すなわち、イオン交換によって)強化される場合、ガラスに導入される圧縮応力は、ガラスの組成、ガラスの厚さ、および、イオン交換浴の温度およびイオン交換の時間などのプロセスパラメータに応じて決まる。例えば、ガラスに導入される圧縮応力の量は、Na+イオンがK+またはCs+イオンと交換されるか否か、または、Li+イオンがNa+、K+またはCs+イオンと交換されるか否かによって決まる。一般に、イオン交換を通じて成形ガラス基板に導入される圧縮応力は、約10MPa〜約800MPaの範囲であり、イオン交換プロセスによる圧縮応力層の深さdは、約15μm〜約100μmの範囲でありうる。
【0024】
成形ガラス基板102が積層化によって強化される実施の形態では、積層化によって導入される圧縮応力は、親ガラスとスキンガラスの熱膨張の差異、ならびにそれらの相対的な厚さに応じて決まる。一般に、積層化によって導入される圧縮応力は約10MPa〜約200MPaの範囲であり、圧縮応力層の深さdは約20μm〜約100μmの範囲でありうる。
【0025】
一部の実施の形態では、成形ガラス基板102は、熱的強化、化学的強化または積層化のみで個別に達成されうるよりも大きい圧縮応力および大きい圧縮の深さを有する圧縮応力層を有しうる。このような実施の形態は、前述のプロセスを連続的に組み合わせることによって達成することができる。例えば、1つの実施の形態では、成形ガラス基板102は、最初に化学的に強化され、続いて、熱的強化処理されうる。別の実施の形態では、成形ガラス基板102は、化学的または熱的のいずれかで強化され、その後積層化された層状ガラスから形成されうる。さらに別の実施の形態では、成形ガラス基板は、化学的に強化され、その後熱的強化された層状ガラスから形成されうる。一部の実施の形態では、圧縮応力層122の深さは≧30μmかつ100μm未満であり、圧縮応力層におけるピーク圧縮応力は200MPaより大きい。他の実施の形態では圧縮応力層122の深さは≧30μmかつ100μm未満であり、圧縮応力層におけるピーク圧縮応力は400MPaより大きい。他の実施の形態では圧縮応力層122の深さは≧30μmかつ100μm未満であり、圧縮応力層におけるピーク圧縮応力は400MPaより大きく1000MPa未満である。
【0026】
1つの実施の形態では、成形ガラス基板は、例えば、Corning,Inc.社製のGorilla(商標)ガラスなどの市販される強化ガラスから形成される。しかしながら、ガラス物品100は、本明細書では、強化ガラスから形成される成形ガラス基板を含むように記載されているが、他の実施の形態では、成形ガラス基板は非強化ガラスから形成されることが理解されるべきである。
【0027】
図2および3A〜3Cに示される成形ガラス基板102の実施の形態を参照すると、成形ガラス基板102は、成形ガラス基板102の周辺縁部110が成形ガラス基板102の第1の表面106および第2の表面108の両方と実質的に垂直になるように形成されうる。第1の表面106の少なくとも一部および第2の表面108の少なくとも一部が、図3A〜3Cに示されるように、ポリマーの外側被覆104によって覆われるように、ポリマーの外側被覆104が周辺縁部110から第1の表面106および第2の表面108上にわたり成形ガラス基板102の中心の方向に延在する場合、方形の周辺縁部を有する成形ガラス基板が用いられうる。
【0028】
しかしながら、他の実施の形態では、成形ガラス基板102の周辺縁部110は、図3D〜3Lに示されるように、接続機構114を用いて形成されうる。接続機構114は、成形ガラス基板102とポリマーの外側被覆104の接触面を増強する。接続機構114はまた、ポリマーの外側被覆104が、図3D〜3Iおよび3Lに示すように、成形ガラス基板102の第1の表面106および/または第2の表面108の少なくとも一方と同一表面になるように、ポリマーの外側被覆104が成形ガラス基板102上に形成されることを可能にする。第1の表面106と同一表面にあるポリマーの外側被覆104を具備することで、成形ガラス基板102が触覚インターフェース(すなわちタッチスクリーン)として用いられる場合など、成形ガラス基板102の第1の表面106上の可視的表面積および第1の表面106上の有効表面積の両方を増大させる。しかしながら、接続機構を備えた成形ガラス基板は、図3Hおよび3Jに示すように、第1の表面106または第2の表面108のうち少なくとも一方のすべてまたは一部にわたって延在するポリマーの外側被覆とともに使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0029】
図3D〜3Gに示される成形ガラス基板102の実施の形態を参照すると、接続機構114は、成形ガラス基板102の周辺縁部110に形成された凸部(tongue)である。これらの実施の形態では、接続機構114(すなわち凸部)は、成形ガラス基板102の第1の表面106から陥凹しており、それによって、成形ガラス基板102の周辺縁部110にシート123を形成する。
【0030】
図3Hは、概略的に、接続機構114を有する成形ガラス基板102の別の実施の形態の部分断面を示している。この実施の形態では、接続機構114は、成形ガラス基板102の周辺縁部110に形成された45°の斜角を備える。図3Hに示された実施の形態では、斜角は、第1の表面106の幅が第2の表面108の幅より狭くなるように、成形ガラス基板102の周辺縁部110に形成される。しかしながら、他の実施の形態では、斜角は、第2の表面108の幅が第1の表面106の幅よりも狭くなるように、成形ガラス基板102に形成されうることが理解されるべきである。さらには、図3Hは45°の斜角を示しているが、45°未満または45°より大きい他の斜角も使用して差し支えないことが理解されるべきである。さらに、図3Hに示すように、接続機構114が端部の斜角である実施の形態では、端部の斜角はポリマーの外側被覆104と成形ガラス基板102の接触面積を増大し、それによって、ポリマーの外側被覆104と成形ガラス基板102との接着を改善する。
【0031】
図3Iは、接続機構114を備えた成形ガラス基板102の別の実施の形態の部分断面を概略的に示している。この実施の形態では、接続機構114は、成形ガラス基板102の周辺縁部110に形成された凸部を備えている。接続機構(すなわち凸部)は第1の表面106と第2の表面108の両方から陥凹しており、それによって、第1の表面106に隣接した第1のシート125および第2の表面108に隣接した第2のシート126を形成する。図3Iに示す接続機構114の実施の形態では、凸部は、急な角度の移行なしに、成形ガラス基板102の周辺縁部110に形成される。さらに具体的には、接続機構は、接続機構114と成形ガラス基板102本体との間の応力集中点を最小限に抑える、または軽減するための滑らかな曲率半径を伴って成形ガラス基板102へと移行する。
【0032】
図3Jおよび3Kは、成形ガラス基板の別の実施の形態を概略的に示しており、ここで、接続機構114は対称的な端部斜角である。例えば、図3Jは、成形ガラス基板102の周辺縁部110が対称な端部斜角で形成された成形ガラス基板102の実施の形態を概略的に示しており、ここで、斜角の曲率半径は、ガラス基板の中心線140から成形ガラス基板102の表面106、108の方に向かって増大している。図3Kは、成形ガラス基板102の周辺縁部110が対称な端部斜角で形成された成形ガラス基板102の別の実施の形態を概略的に示しており、ここで、成形ガラス基板102は、表面106、108から周辺縁部110へと中心線140の方に向かって内側に先細になっている。図3Jおよび3Kは、表面106、108の一部を覆うポリマーの外側被覆104を示しているが、ポリマーの外側被覆は、第1の表面106または第2の表面108のうち少なくとも一方と同一表面にあって差し支えないことが理解されるべきである。さらには、図3Jおよび3Kでは、接続機構114は成形ガラス基板の中心線に対して対称であり、ポリマーの外側被覆を成形ガラス基板と一体的に機械的に接続しうる機構を提供する。
【0033】
図3Lは、成形ガラス基板102の周辺縁部110に形成された接続機構114を有する成形ガラス基板102の別の実施の形態を示している。この実施の形態では、接続機構114は、斜角になった凸部である。接続機構114は成形ガラス基板102の第1の表面106から陥凹しており、それによって、成形ガラス基板102の第1の表面106に隣接したシート123を形成する。さらに具体的には、接続機構114は、図3Dに示される接続機構114と同様に成形ガラス基板102の周辺縁部110に隣接して形成される。しかしながら、この実施の形態では、接続機構114は、成形ガラス基板102から離れて延在する方向に向かって先細になっている。さらには、接続機構114は、接続機構114と成形ガラス基板102本体との間の応力集中点を最小限に抑える、または軽減するための滑らかな曲率半径を伴って成形ガラス基板102へと移行する。
【0034】
1つの実施の形態では、図3D〜3Lに示す接続機構は、機械加工(すなわち、粉砕、製粉、レーザー切断など)によって成形ガラス基板に形成される。代替となる実施の形態では、成形ガラス基板は溶融ガラスから形成されることから、接続機構は、熱間成形法によって成形ガラス基板の周辺縁部に形成されうる。
【0035】
再び図1を参照すると、成形ガラス基板102の周辺縁部に取り付けられたポリマーの外側被覆104は、一般に、射出成形可能なポリマー材料を含む。ポリマーの外側被覆104を形成しうる適切な射出成形可能なポリマー材料としては、制限なく:ポリスチレン(PS)、耐衝撃性PS、ポリカーボネート(PC)、ナイロン(しばしばポリアミド(PA)と称される)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)(ABS)、PC−ABS混合物、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびPBT共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびPET共重合体を含む熱可塑性プラスチック、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン(環状−PO)を含むポリオレフィン(PO)、改質ポリフェニレンオキシド(mPPO)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を含むアクリルポリマー、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリエーテルイミド(PEI)およびこれらのポリマーを互いに混合したものが挙げられる。適切な射出成形可能な熱硬化性ポリマーとしては、エポキシ、アクリル、スチレン、フェノール、メラミンおよびシリコーンの樹脂が挙げられる。ポリマーは、衝撃改質剤、難燃剤、UV抑制剤、帯電防止剤、離型剤、ガラス、金属またはカーボン・ファイバーまたは粒子(球体を含む)、タルク、粘土または雲母を含めた充填剤、および着色剤を含みうる。
【0036】
1つの実施の形態では、ポリマーの外側被覆104は、成形ガラス基板の第1の表面106または第2の表面108の少なくとも一方にわたり、全体的または部分的に延在する。例えば、図3A〜3Cは、ポリマーの外側被覆104が成形ガラス基板102の周辺縁部から、選択された距離Lだけ(図3Aに示す)第1の表面106および第2の表面108の両方に部分的に延在する実施の形態を概略的に示しており、図3Hおよび3Jは、ポリマーの外側被覆が成形ガラス基板102の第2の表面108全体にわたって延在する実施の形態を概略的に示している。ポリマーの外側被覆が成形ガラス基板102の表面106、108の少なくとも1つまたは両方にわたり、選択された距離Lだけ部分的に延在する実施の形態では、選択された距離Lは、約1.0mm〜約10mmの範囲でありうる。他の実施の形態では、選択された距離Lは約2mm〜約6mmでありうる。選択された距離Lは、最終的には、ガラス物品の最終用途によって決まる。
【0037】
成形ガラス基板102が上述の接続機構を備える場合など、代替となる実施の形態では、ポリマーの外側被覆104は、ポリマーの外側被覆104が、上述のように、成形ガラス基板10第1の表面106または第2の表面108の少なくとも一方と同一表面になるように形成されうる。例えば、図3D〜3Iおよび3Lは、接続機構114を備えた成形ガラス基板102の実施の形態を示しており、ここで、ポリマーの外側被覆104は成形ガラス基板102の第1の表面106と同一表面にある。「同一表面にある」という用語は、本明細書では、成形ガラス基板102とポリマーの外側被覆104との間に顕著なトポグラフィー変動を有さず、成形ガラス基板102の表面(第1の表面106または第2の表面108のいずれか)とポリマーの外側被覆104の間の移行が滑らかで連続的であることを意味する。
【0038】
図3A〜3Eおよび図3G〜3Lを参照すると、ポリマーの外側被覆104は、ガラス物品を筐体または同様の構造に連結するための少なくとも1つのコネクタとともに形成されうる。例えば、図3A、3Dおよび3H〜3Lに示される実施の形態では、ポリマーの外側被覆104は、ガラス物品がそこに取り付けられるように、筐体、装置などにおける対応するコネクタと対になりうるメカニカルコネクタ112とともに一体的に成形される。図3A〜3Eおよび図3G〜3Lに示すメカニカルコネクタ112の実施の形態では、メカニカルコネクタ112は、ポリマーの外側被覆104から延在する方形の隆起である。メカニカルコネクタは、対応する形状を有するチャネルに受け入れられて差し支えなく、メカニカルコネクタ112がチャネルと締まり嵌めを形成するように、適切にサイズ化される。あるいは、メカニカルコネクタが、接着剤、超音波溶接または同様の接合技術を用いて対応するチャネルと連結しうるように、メカニカルコネクタは適切にサイズ化されて差し支えない。1つの実施の形態では(図示せず)、メカニカルコネクタ112は、メカニカルコネクタ112から伸びる可撓性のクリップを形成する1つ以上の棘状の突起または伸張部分を含みうる。クリップは、ガラス物品が筐体または装置に着脱可能に取り付けられるように、筐体または装置における対応する開口部と適合しうる。
【0039】
図3Cおよび3Eを参照すると、代替となる実施の形態において、ポリマーの外側被覆104に形成されるコネクタは、ポリマーの外側被覆104に一体的に形成されるチャネル116でありうる。チャネル116は、ガラス物品がそこに取り付けられるように、筐体、装置または他のガラス物品上のメカニカルコネクタ(例えば、図3A〜3Eおよび図3G〜3Lに示すメカニカルコネクタ112)を受け入れるように適切にサイズ化されうる。したがって、チャネル116は、チャネル116とメカニカルコネクタが互いに締まり嵌めを形成するようにサイズ化されうることが理解されるべきである。あるいは、チャネル116は、チャネルが接着剤、超音波溶接または同様の接合技術を用いて対応するメカニカルコネクタと連結しうるように、適切にサイズ化されうる。1つの実施の形態では(図示せず)、チャネルは、メカニカルコネクタから伸びる1つ以上の可撓性のクリップの棘状の突起または伸張部分を受け入れるための1つ以上の開口部を備えていてもよい。開口部は、ガラス物品が筐体または装置と着脱可能に連結されるように、筐体または装置における対応するクリップと適合しうる。
【0040】
図3Bおよび3Gを参照すると、さらに別の実施の形態では、コネクタは、ポリマーの外側被覆と一体成形された、予備成形されたコネクタである。例えば、図3Bおよび3Gに示す実施の形態において、ポリマーの外側被覆104は、ポリマーの外側被覆から延びる金属性のコネクタ118と一体成形される。1つの実施の形態では、金属性のコネクタ118は、ガラス物品がそこに取り付けられるように、金属性のコネクタ118と取り付けられたガラス物品とを、筐体、装置などに連結するのに用いられうる、1つ以上の穴(図示せず)とともに形成されてもよい。別の実施の形態では、金属性のコネクタ118は、筐体、装置などに配置された、チャネルなどの対応するコネクタと締まり嵌めを形成するように、適切にサイズ化されうる。さらに別の実施の形態では(図示せず)、金属性のコネクタは、電気エネルギー源を、成形ガラス基板の第1の表面または第2の表面のうちの一方に施用されたコーティングと電気的に連結させるのに使用してもよい。例えば、1つ以上の導線(図示せず)は、金属性のコネクタが導線と、続いて成形ガラス基板の表面と電気的に連結されるように、成形ガラス基板の片面または両面に電気的に連結され、ポリマーの外側被覆とともに成形されうる。
【0041】
特定のコネクタの実施の形態が図3A〜Eおよび3G〜3Lに示されているが、ポリマーの外側被覆104は、さまざまな構成を有するさまざまなタイプのコネクタとともに形成(すなわち、成形または一体成形)されうることが理解されるべきである。さらには、成形された、またはポリマーの外側被覆と一体成形されたコネクタは、メカニカルコネクタまたは電気コネクタのいずれかであって差し支えないことが理解されるべきである。
【0042】
図4を参照すると、射出成形金型200の1つの実施の形態が概略的に示されている。射出成形金型200は、上述の成形ガラス基板102およびポリマーの外側被覆104を備えたガラス物品の形成に使用されうる。射出成形金型200は、一般に、下型202および上型204を備える。射出成形金型200の下型202は、入り口205を介してポリマー材料の供給源(図示せず)と流体連結される型穴203を伴って形成される。射出成形金型200の上型204は、下型202と嵌合するように成形され、それによって、ポリマー材料が射出成形金型200内に注入される際に、型穴203を封止する。本明細書に記載される実施の形態では、射出成形金型200は、金属性の材料から形成され、制限なく、鉄鋼、アルミニウムなどが挙げられる。1つの実施の形態では(図示せず)、射出成形金型は、入り口205を介して金型に注入した加熱ポリマー材料を冷却するための冷却システムを備えていてもよい。別の実施の形態では(図示せず)、射出成形金型の下型および/または上型は、成形ガラス基板を射出成形金型に固定するための1つ以上の真空孔を備えていてもよい。
【0043】
図4および5A〜5Cを参照すると、型穴203は、中央の台座207の周りに延在するフローチャネル206とともに形成される。柔軟層208は、台座207に配置され、射出成形法の間に成形ガラス基板(図示せず)の衝撃を和らげ、成形ガラス基板を損傷から保護する。例えば、成形ガラス基板が強化ガラスから形成される実施の形態では、型穴内の金型表面における表面の凹凸(すなわち、引っかき傷、とげ、表面粗さなど)は、圧縮応力層の深さdよりも大きく金型から突出する場合がある。射出成形プロセスの間に、これらの表面の凹凸が圧縮応力層を通じて押圧される場合、成形ガラス基板は不良となる(すなわち、粉砕する)。したがって、柔軟層208は、射出成形プロセスの間の成形ガラス基板の損傷を防ぐために、射出成形金型の下型200と成形ガラス基板との接触面として利用される。例えば、図5Aは射出成形金型の下型202aの1つの実施の形態を示しており、ここで、柔軟層208は型穴における台座207上に配置される。1つの実施の形態では、柔軟層208は、例えば、ゴム材料または他の同様の弾性的に変形可能および回復可能な材料など、弾力性のある材料から形成される。別の実施の形態では、柔軟層208は、成形ガラス基板と反対側に接着剤層を有する弾力性のある材料から形成される。接着剤材料の層は、射出成形法の間に型穴203への成形ガラス基板の固定を容易にする。一部の実施の形態では、柔軟層208は2000MPa未満の弾性率を有する。他の実施の形態では、柔軟層208は200MPa未満の弾性率を有する。さらに他の実施の形態では、柔軟層208は200MPa未満かつ1MPaより大きい弾性率を有する。別の実施の形態では、柔軟層208は1mm未満の厚さを有する。さらに他の実施の形態では、柔軟層208は1mm未満かつ0.01mmより大きい厚さを有する。
【0044】
柔軟層208は、型穴203内に配置されるように示され、説明されているが、他の実施の形態では、柔軟層208は、成形ガラス基板102が型穴203に設置されるときに柔軟層208が成形ガラス基板102と射出成形金型の下型の台座207の間に配置されるように、成形ガラス基板102に取り外し可能に取り付けられて差し支えないことが理解されるべきである。さらに他の実施の形態では、柔軟層は、図6Bに示すように、成形ガラス化基板と射出成形金型200の上型204bの間にもさらに配置されうる。
【0045】
図5Bを参照すると、射出成形金型の下型202bの1つの実施の形態が断面に概略的に示されている。図5Bに示す実施の形態では、射出成形金型の下型202bにおけるフローチャネル206は、コネクタ機構210を伴って形成される。コネクタ機構210は、とりわけ、図3Aに示すようなコネクタを伴ったポリマーの外側被覆の形成に利用される。図5Bに概略的に示す実施の形態では、コネクタ機構210は、フローチャネル206に形成された方形のチャネルである。あるいは、コネクタ機構210が図5Bに示すチャネルの場合、予備成形されたコネクタ片(図3Bおよび3Gに示す金属性のコネクタ118など)がコネクタ機構210に挿入されて差し支えなく、図3Bおよび3Gに示すように、予備成形されたコネクタ片がポリマーの外側被覆に組み込まれるように、ポリマーの外側被覆が予備成形されたコネクタ片の周りに形成される。
【0046】
図5Bはチャネルの形態のコネクタ機構210を示しているが、コネクタ機構は他の形状および/または形態をとってもよいことが理解されるべきである。例えば、図5Cは、射出成形金型の下型202cの型穴203におけるフローチャネル206に形成されたコネクタ機構212の別の実施の形態を示している。この実施の形態では、コネクタ機構212は、フローチャネル206から延在する隆起である。隆起は、図3Cおよび3Eに示すように、ポリマーの外側被覆にチャネルまたは溝型のコネクタを形成するのに利用されうる。
【0047】
図6Aを参照すると、ポリマーの外側被覆を有する成形ガラス基板102を備えたガラス物品の形成のため、成形ガラス基板102が台座207に配置され、柔軟層208が成形ガラス基板102と台座207の間に配置されるように、成形ガラス基板102が、最初に、射出成形金型の下型202aの型穴203に配置される。この実施の形態では、成形ガラス基板102の周辺縁部は接続機構114を備え、射出成形金型の上型204aは、得られたポリマーの外側被覆(図示せず)が成形ガラス基板の第1の表面106と同一表面になるように形成される。
【0048】
その後、ポリマー材料211が入り口205(図4に示す)を通じて型穴に注入され、フローチャネル206を満たし、成形ガラス基板102の露出部分の周りに適合する。射出成形金型の下型202aが定位置に保持されると同時に、力Fが射出成形金型の上型204aに印加される。射出成形金型の上型204aに印加される力Fは、射出成形金型の上型204aを型穴に固定し、射出成形金型の上型204aを下型202aに封止し、それによって、ポリマー材料211が成形ガラス基板102の周りに流れ、成形ガラス基板102の露出部分を包み込むことを確実にする。図6Aに示す射出成形金型の下型202aおよび上型204aは、図3Fに示すものと同様のポリマーの外側被覆を有する成形ガラス基板を備えたガラス物品を作り出す。
【0049】
図6Bを参照すると、射出成形法の別の実施の形態が概略的に示されている。この実施の形態では、射出成形金型の下型202bおよび上型204bは、図3Aに示したものと同様のポリマーの外側被覆を有する成形ガラス基板を備えたガラス物品を作り出すように形状化される。この実施の形態では、成形ガラス基板102は、成形ガラス基板102が台座207に配置され、柔軟層208が成形ガラス基板102と台座207の間に配置されるように、射出成形金型の下型202bの型穴に最初に配置される。成形ガラス基板102の周辺縁部は、上述のように、実質的に方形である。しかしながら、この実施の形態では、射出成形金型の上型204bは、ポリマー材料が成形ガラス基板102の第1の表面106の一部に流れるようにする肩部213を伴って形成される。さらには、この実施の形態では、柔軟層208が成形ガラス基板102の第2の表面108と台座207の間に配置されると同時に、追加の柔軟層208が成形ガラス基板102の第1の表面106と射出成形金型の上型204bの間に配置される。その後、力が射出成形金型に印加される際に、ポリマー材料がフローチャネル206ならびにコネクタ機構210を満たすように、ポリマー材料211がフローチャネル206内に注入される。
【0050】
本明細書では、成形ガラス基板およびポリマーの外側被覆を備えたガラス物品は、射出成形法によって形成されるように記載しているが、他のポリマー成形技術も使用して差し支えないことが理解されるべきである。例えば、1つの実施の形態では(図示せず)、ガラス物品は、UV硬化性のポリマー材料を用いるトランスファー成形法を利用して成形されてもよい。
【0051】
図7Aおよび7Bを参照すると、組立体400を形成するために、筐体300上に取り付けるために配置された(図7A)、ならびに、筐体300上に取り付けられた(図7B)、成形ガラス基板102とポリマーの外側被覆104を備えたガラス物品100が示されている。筐体300は、その上に配置された1つ以上の電子装置(図示せず)を有していてもよい。この実施の形態では、成形ガラス基板102は、ポリマーの外側被覆104が成形ガラス基板102の第1の表面106と同一表面になるように、接続機構114を伴って成形される。ポリマーの外側被覆104は、ガラス物品100を筐体300と位置合わせし、連結するためのメカニカルコネクタ112を伴って一体的に成形される。さらに具体的には、図7Aおよび7Bに示す実施の形態では、ポリマーの外側被覆104のメカニカルコネクタ112は、一般に、筐体300に形成されたチャネル302に対応し、対になる。
【0052】
組立体400を形成するため、ガラス物品100は、図7Aに示すように、メカニカルコネクタ112が筐体300のチャネル302と位置合わせするように、筐体300に対して配置される。1つの実施の形態では、ガラス物品100の筐体300への接合をさらに促進するために、接着剤または同様の結合材料が、接続機構、ポリマーの外側被覆、チャネル、および/または筐体に施用される。ガラス物品および筐体は、ポリマーの外側被覆104のメカニカルコネクタ112が、図7Bに示すように、筐体300のチャネル302と嵌合して組立体400を形成するように、互いに押圧される。1つの実施の形態では、メカニカルコネクタ112は、図7Bに示すように、筐体300におけるチャネル302との締まり嵌めを有する。しかしながら、他の実施の形態(図示せず)では、メカニカルコネクタ112は、筐体300における対応する締め具または開口部と機械的に対になるクリップまたは同様のコネクタを備え、それによって、ガラス物品100を筐体300に固定してもよい。他の実施の形態では、ポリマーの外側被覆104のメカニカルコネクタ112と筐体300との連結は、メカニカルコネクタを筐体に超音波溶接することによって強化されうる。さらに他の実施の形態では、ポリマーの外側被覆は、チャネルを伴って成形されて差し支えなく(図3Cおよび3Eに示す)、筐体は、チャネルに対応するメカニカルコネクタを伴って形成されうる。図7Bに示す組立体400は、さまざまな電子装置に組み込まれて差し支えない。例として、限定せずに、これらの組立体は、携帯電話、タブレット型コンピュータ、ノートブック型コンピュータ、電気器具、自動車のヘッドランプ、個人用音楽プレーヤー、電子書籍リーダー、ハンドヘルド計算器、コンピュータマウスの上部覆いなど、電子装置の覆いとして用いられうる。他の用途としては、医療用の包装および試験装置、生物学的アッセイおよび細胞培養用の装置が挙げられる。
【0053】
図7Bは筐体300に取り付けられたガラス物品100を示しているが、他の実施の形態では、ガラス物品100は、第2のガラス物品に取り付けられ、それによって、2つのガラス物品を含み、その間に1つ以上の電子装置が配置されうる組立体を形成してもよいことが理解されるべきである。
【0054】
本明細書に記載される方法は、成形ガラス基板の周囲の少なくとも一部に取り付けられたポリマーの外側被覆を有する成形ガラス基板を備えたガラス物品の製造に利用して差し支えないことが理解されるべきである。ポリマーの外側被覆は、成形ガラス基板の製造の間に、特別な端部の仕上げを必要とせずに、成形ガラス基板の端部を保護し、成形ガラス基板の耐久性を改善する。ガラス基板の端部の仕上げは、使用の間に成形ガラス基板の不具合を生じうる端部の欠陥(例えば、微小亀裂)が除去されるが、時間がかかり、やや費用のかかる方法である。本明細書に記載される成形ガラス基板上のポリマーの外側被覆を利用することによって、端部の仕上げは簡易化(例えば、100〜600グリットの粗い研磨のみ)または排除することができ、それによって、生産コストを低減することができる。さらには、ガラス物品における成形ガラス基板の端部に連結したポリマーの外側被覆の使用は、例えば、ガラス物品が硬表面に落下することによって生じる、偶発的な損傷の衝撃を和らげ、このような衝撃から成形ガラス基板の端部を保護する。
【0055】
本明細書に記載のガラス物品は、単一の物品に、ガラスと塑性体の両方の有利な特性を兼ね備えさせる。特に、正確な寸法制御とともにポリマーを複雑な形状へと成形する能力は、さまざまな用途に用いられうる単一の物品において、ガラスの高い強度、耐衝撃性、耐久性および高温特性と上手く調和する。例えば、ガラスの高温特性は、例えばヘッドランプの動作温度が高い場合に、ハロゲンタイプの自動車のヘッドランプにガラス物品を容易に組み込めるようにする。物品へのガラスの組み込みの追加の利点としては、透明性、寸法安定性、化学的不活性、熱的安定性、空気および気体透過に対する耐性、紫外線劣化に対する耐性および引っかき抵抗性が挙げられる。一部の実施の形態では、特定の光の波長に対して透明なではない成形ガラス基板が組み込まれうる。他の実施の形態では、成形ガラス基板の使用は、ガラス表面への微細表面構造の取り込みを促進し、例えば、タッチスクリーンおよびディスプレイスクリーンにおける使用に適切なアンチグレアおよび/または低摩擦面を作り出す。
【0056】
さらには、本明細書に記載の実施の形態は、高い耐衝撃性を有する軽量の薄いシート状に成形されたガラス基板と、精密に成形されうるポリマー材料との併用を促進し、それによって、ポリマーの軽量特性を有するが、ガラスの耐衝撃性、強度および耐久性を加えたガラス物品を実現する。
【0057】
本明細書に記載される実施の形態には、特許請求の範囲に記載される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更およびバリエーションがなされうることは、当業者には明白であろう。よって、本明細書は、本明細書に記載されるさまざまな実施の形態の変更およびバリエーションが添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内に含まれることを条件として、これらの変更およびバリエーションにも及ぶことが意図されている。
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、「強化ガラスのポリマー外側被覆(Polymer Over-Molding Of Strengthened Glass)」という発明の名称で2009年5月8日に出願した米国仮特許出願第61/176,682号の優先権を主張し、参照することによってその全体が本明細書に援用される。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、一般に、ポリマー材料を用いてインサート成形されたガラス物品に関し、さらに具体的には、ポリマー材料で外側被覆された、強化された薄いガラス基板およびその形成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
射出成形は、一般に、さまざまなタイプの可塑性物品の成形に用いられる。射出成形法の特質の1つは、正確な寸法制御を伴う、複雑な形態の成形を可能にすることである。射出成形は、以前は、インサート成形または外側被覆として知られるプロセスにおいて、金属部品とともに用いられていた。例えば、可塑性の筐体内に組み込まれた金属部品を備えた電気コネクタは、インサート成形によって成形されうる。複雑な形状をした射出成形部品の一例は、自動車のヘッドランプ用のレンズである。このような部品の利点の1つは設計および製造の容易さであり、設置面および取り付け点のすべてを成形によってポリマー材料に容易に取り込むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
射出成形法は複雑な形状の成形および寸法制御を可能にするが、可塑性部品自体は、しばしば、望ましくない品質を有する。例えば、可塑性部品は柔らかく、ガラス、ガラスセラミックおよびセラミック部品などの他の材料と比較して、容易に傷がつきやすい。複雑かつ寸法的に制御された物品を製造するために、ポリマー材料の成形性に加えて、ガラス、ガラスセラミックおよびセラミック材料の優れた品質を兼ね備えることを可能にする方法について、本明細書で説明する。本方法によって成形されたガラス物品についても記載する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施の形態によれば、電子装置の覆いとして使用するためのガラス物品は、第1の表面、第2の表面、および周辺縁部を含む成形ガラス基板を備える。成形ガラス基板は、化学的に強化されたガラス、熱的に強化されたガラス、層状ガラスまたはそれらのさまざまな組合せなど、非強化ガラスまたは強化ガラスから形成されうる。成形ガラス基板が強化ガラスから形成される場合、成形ガラス基板は、少なくとも15μmの深さを有する、少なくとも10MPaの圧縮応力を伴う圧縮応力層を含む。成形ガラス基板の周辺縁部の少なくとも一部は、第1の表面からの接続機構のオフセットを含む。ポリマーの外側被覆は、成形ガラス基板の周辺縁部の接続機構に接続される。
【0006】
別の実施の形態では、電子装置の覆いとして使用するためのガラス物品は、第1の表面、第2の表面および周辺縁部を含む成形ガラス基板を備える。成形ガラス基板は、化学的に強化されたガラス、熱的に強化されたガラス、層状ガラスまたはそれらのさまざまな組合せなど、非強化ガラスまたは強化ガラスから形成されうる。成形ガラス基板が強化ガラスから形成される場合、成形ガラス基板は、少なくとも15μmの深さを有する、少なくとも10MPaの圧縮応力を伴う圧縮応力層を含む。ポリマーの外側被覆は、成形ガラス基板の周辺縁部の少なくとも一部に接続され、少なくとも1つのコネクタとともに一体的に形成される。
【0007】
別の実施の形態では、ポリマーの外側被覆を含むガラス物品の製造方法は、第1の表面、第2の表面、および周辺縁部を有する成形ガラス基板を形成する工程を含む。成形ガラス基板は、柔軟層が成形ガラス基板と射出成形金型の下型(first half)の間に配置されるように、射出成形金型の下型に形成された型穴に設置される。射出成形金型の上型(second half)を射出成形金型の下型と嵌合させる。ポリマー材料を射出成形金型に注入し、ポリマーの外側被覆が成形ガラス基板の周辺縁部の少なくとも一部と接続するように、ポリマーの外側被覆を成形する。
【0008】
本明細書に記載される実施の形態の追加の特徴および利点は後述する詳細な説明に記載され、一部には、その説明から当業者にとって容易に明白となり、あるいは、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、ならびに添付の図面を含めた、本明細書に記載される実施の形態の実施によって認識されよう。
【0009】
前述の概要および後述する詳細な説明は両方とも、さまざまな実施の形態を説明するものであり、特許請求の範囲に記載する本発明の性質および特徴を理解するための概観または枠組みを提供することが意図されていることが理解されるべきである。添付の図面は、さまざまな実施の形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に取り込まれ、その一部を構成する。図面は、本明細書に記載されるさまざまな実施の形態を例証しており、その説明とともに、特許請求の範囲に記載する本発明の原理および操作を説明する役割をする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本明細書に示し、説明する1つ以上の実施の形態に従った、成形ガラス基板およびポリマーの外側被覆を備えたガラス物品を概略的に示す図
【図2】本明細書に示し、説明する1つ以上の実施の形態に従った成形ガラス基板の断面を概略的に示す図
【図3】本明細書に示し、説明する1つ以上の実施の形態に従った成形ガラス基板およびポリマーの外側被覆を含むガラス物品の部分断面を概略的に示す図
【図4】本明細書に示し、説明するガラス物品を成形するための射出成形金型の斜視図を概略的に示す図
【図5】本明細書に示し、説明する1つ以上の実施の形態に従ったガラス物品を成形するための射出成形金型の型穴の断面を概略的に示す図
【図6】本明細書に示し、説明する1つ以上の実施の形態に従った射出成形金型に設置したガラス基板の断面を概略的に示す図
【図7】本明細書に示し、説明する1つ以上の実施の形態に従ったガラス物品を含む組立体の構造を概略的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面に例を示す、ポリマーの外側被覆を有するガラス物品のさまざまな実施の形態について詳細に述べる。できる限り、図面全体にわたり、同一または同様の部品についての参照には、同一の参照番号が用いられる。ガラス物品の1つの実施の形態が、図1に概略的に示されている。ガラス物品は、一般に、成形ガラス基板およびポリマーの外側被覆を備える。成形ガラス基板は、第1の表面、第2の表面、および周辺縁部を備える。ポリマーの外側被覆は、外側被覆することによって成形ガラス基板の周辺縁部に接続される。ガラス物品およびガラス物品の製造方法が、添付の図面に対する具体的言及とともに、本明細書にさらに詳細に記載される。
【0012】
「ガラス」という用語は、本明細書では、ガラス、ガラスセラミック、またはセラミックの材料、基板、または部品を意味し、セラミック部品はセラミック化すること(ceramming)によってガラス材料から作られる。「基板」および「部品」という用語は、本明細書では、金型に設置され、全体的または部分的に外側被覆されて「ガラス」物品を形成する、「ガラス」の基板または部品を意味し、「物品」という用語は、基板または部品のすべてまたは一部にポリマーを有する基板または部品を意味する。基板をポリマー材料で外側被覆することに関連して、基板が「全体的または部分的に」、「全体または一部において」、「すべてまたは一部」外側被覆されると称される場合、および同様の表現の場合、「全体的に」、「すべて」および「全体」という語句は、基板のすべての表面(面および端部)がポリマー材料で外側被覆されることを意味し、「部分的(一部)」という語句は、1つ以上の選択表面および端部がポリマー材料で外側被覆されることを意味する。例として、制限なく、「部分的(一部)」は、端部のみ、1つの面または両方の面のみ、または、1つの面または両方の面の端部および選択された一部を意味しうる。
【0013】
図1を参照すると、ガラス物品100が、本明細書に記載される1つ以上の実施の形態にしたがって概略的に示されている。ガラス物品100は、一般に、成形ガラス基板102およびポリマーの外側被覆104を備える。成形ガラス基板102は、一般に、第1の表面106、第1の表面106と反対側に位置する第2の表面108(図3に示す)、および周辺縁部を備える。図1に示す実施の形態では、ポリマーの外側被覆104は、成形ガラス基板102の周辺縁部の少なくとも一部に取り付けられる。例えば、図1に示す実施の形態では、ポリマーの外側被覆104は、成形ガラス基板102の周辺縁部全体に取り付けられている(すなわち、図1に示すように、ポリマーの外側被覆が成形ガラス基板の周辺縁部全体を取り囲む)。しかしながら、他の実施の形態(図示せず)では、ポリマーの外側被覆104は、成形ガラス基板102の周辺縁部の一部にのみ取り付けられる。
【0014】
図1には矩形の成形ガラス基板102が示されているが、成形ガラス基板は他の形状に成形されて差し支えないことが理解されるべきである。例えば、制限なく、成形ガラス基板は、円形、方形または任意の他の定形または非定形であって差し支えない。さらには、図1は成形ガラス基板102を平面的に示しているが、成形ガラス基板は、成形ガラス基板が少なくとも1つの寸法において曲線状の断面形状を有する場合など、曲線状であってもよいことも理解されるべきである。
【0015】
本明細書に記載されるガラス物品100の実施の形態では、成形ガラス基板102は、一般に、約0.2mm〜約2.0mmの範囲の厚さを有しうる。例えば、一部の実施の形態では、成形ガラス基板102は、0.3mm〜1mmの範囲の厚さを有する。他の実施の形態では、成形ガラス基板102は、0.3mm〜0.7mmの範囲の厚さを有する。さらに別の実施の形態では、成形ガラス基板102は、0.3mm〜0.5mmの範囲の厚さを有する。しかしながら、より厚い成形ガラス基板(すなわち2.0mmより厚い)もまた用いられうることが理解されるべきである。
【0016】
ガラス物品100がディスプレイに用いられる場合(すなわち、成形ガラス基板102を通して画像を見る場合)、成形ガラス基板102は、透明なガラスまたはガラスセラミック材料を備える。しかしながら、他の実施の形態では、成形ガラス基板102は、半透明または不透明のガラスまたはガラスセラミック材料であってもよい。
【0017】
図2に例証される成形ガラス基板102の厚さを通じた断面を参照すると、1つの実施の形態では、成形ガラス基板102は、強化ガラスを具備しており、ここで、圧縮応力が、成形ガラス基板102の表面(すなわち、第1の表面106および/または第2の表面108)より下の選択した深さdまで、成形ガラス基板102の表面に導入されて、圧縮応力層122を形成する。図2に示す成形ガラス基板102の実施の形態では、圧縮応力層122が成形ガラス基板102の第1の表面106に形成される。圧縮応力層122は、成形ガラス基板の第1の表面106における亀裂の伝播を妨げることによって、成形ガラス基板102の耐久性を改善する。成形ガラス基板102における圧縮応力層122の導入は、成形ガラス基板102における正味応力の和がゼロになるように、引張応力層124の発達を伴って起こる(正確な縮尺で描かれていない)。本明細書で報告される圧縮応力は、第1の表面106におけるピーク圧縮応力であることが理解されるべきである。圧縮応力は、ピーク応力から深さdにおけるゼロ値まで低下し、引張応力層の発達を伴うことも理解されるべきである。
【0018】
成形ガラス基板102の表面における圧縮応力層122の導入は、表面損傷(すなわち、引っかき傷、浅い亀裂、欠けなど)に耐える成形ガラス基板の能力を改善するが、表面損傷が圧縮応力層122を貫通して引張応力層124内にまで至る場合には、引張応力層124における引張応力は、成形ガラス基板102を通じた表面損傷の伝播を生じ、成形ガラス基板102に破砕を生じさせてしまう。成形ガラス基板102の端部110は、取り扱いによって、またはガラスの研磨および端部仕上げの結果として、損傷の影響を最も受けやすい。本明細書にさらに詳細に記載されるように、このような損傷を妨げるために、ポリマーの外側被覆が成形ガラス基板の周辺縁部の少なくとも一部に加えられる。
【0019】
圧縮応力層122は、成形ガラス基板102の表面より下、深さdにまで至る。1つの実施の形態では、成形ガラス基板102は、15μm以上の深さdを有する圧縮応力層122を有する。別の実施の形態では、成形ガラス基板102は、30μm以上の深さdを有する圧縮応力層122を有する。別の実施の形態では、成形ガラス基板102は、50μmより大きい深さdを有する圧縮応力層を有する。さらなる実施の形態では、成形ガラス基板102は、100μmより大きい深さdを有する圧縮応力層を有する。別の実施の形態では、成形ガラス基板102は、約500μmの深さdを有する圧縮層を有する。一部の実施の形態では、圧縮層の深さdは≧30μmかつ250μm未満であるが、他の実施の形態では、圧縮層の深さdは≧30μmかつ100μm未満である。
【0020】
成形ガラス基板102が圧縮応力層122を含む強化ガラスから形成される実施の形態では、圧縮応力層122におけるピーク圧縮応力(すなわち、表面106、108のうちの1つにおける圧縮応力)は10MPaより大きい。別の実施の形態では、圧縮応力層122における圧縮応力は約50MPaより大きい。さらなる実施の形態では、圧縮応力層122における圧縮応力は約200MPaより大きい。別の実施の形態では、圧縮応力層122における圧縮応力は約500MPaより大きい。
【0021】
成形ガラス基板102が強化ガラスから形成される場合、上述のように、強化ガラスは、熱的に強化されたガラス;化学的に強化された(すなわち、イオン交換された)ガラス;ガラスコアが低熱膨張率(CTE)のスキンガラスを用いて対称的に積層された層状ガラス;またはそれらのさまざまな組合せを含みうる。例えば、成形ガラス基板102は、積層化と熱的強化の組合せ;積層化と化学的強化の組合せ;または、積層化、化学的強化および熱的強化の組合せによって強化されうる。
【0022】
成形ガラス基板102が熱的強化によって強化される場合、熱的強化によって導入される圧縮応力は、成形ガラス基板の厚さTおよびガラスが強化プロセスの間にクエンチされる速度など、成形ガラス基板102の物理的特性に応じて決まる。熱的強化を通じて導入される圧縮応力は、約5MPa〜140MPaの範囲でありうる。1つの実施の形態では、圧縮応力層の最大深さは、一般に、0.21T、すなわち、成形ガラス基板102の厚さTの21%である。例えば、厚さT=2mmを有する成形ガラス基板は、成形ガラス基板の表面から約420μmの深さdに至る圧縮応力層を有しうる。
【0023】
成形ガラス基板102が化学的に(すなわち、イオン交換によって)強化される場合、ガラスに導入される圧縮応力は、ガラスの組成、ガラスの厚さ、および、イオン交換浴の温度およびイオン交換の時間などのプロセスパラメータに応じて決まる。例えば、ガラスに導入される圧縮応力の量は、Na+イオンがK+またはCs+イオンと交換されるか否か、または、Li+イオンがNa+、K+またはCs+イオンと交換されるか否かによって決まる。一般に、イオン交換を通じて成形ガラス基板に導入される圧縮応力は、約10MPa〜約800MPaの範囲であり、イオン交換プロセスによる圧縮応力層の深さdは、約15μm〜約100μmの範囲でありうる。
【0024】
成形ガラス基板102が積層化によって強化される実施の形態では、積層化によって導入される圧縮応力は、親ガラスとスキンガラスの熱膨張の差異、ならびにそれらの相対的な厚さに応じて決まる。一般に、積層化によって導入される圧縮応力は約10MPa〜約200MPaの範囲であり、圧縮応力層の深さdは約20μm〜約100μmの範囲でありうる。
【0025】
一部の実施の形態では、成形ガラス基板102は、熱的強化、化学的強化または積層化のみで個別に達成されうるよりも大きい圧縮応力および大きい圧縮の深さを有する圧縮応力層を有しうる。このような実施の形態は、前述のプロセスを連続的に組み合わせることによって達成することができる。例えば、1つの実施の形態では、成形ガラス基板102は、最初に化学的に強化され、続いて、熱的強化処理されうる。別の実施の形態では、成形ガラス基板102は、化学的または熱的のいずれかで強化され、その後積層化された層状ガラスから形成されうる。さらに別の実施の形態では、成形ガラス基板は、化学的に強化され、その後熱的強化された層状ガラスから形成されうる。一部の実施の形態では、圧縮応力層122の深さは≧30μmかつ100μm未満であり、圧縮応力層におけるピーク圧縮応力は200MPaより大きい。他の実施の形態では圧縮応力層122の深さは≧30μmかつ100μm未満であり、圧縮応力層におけるピーク圧縮応力は400MPaより大きい。他の実施の形態では圧縮応力層122の深さは≧30μmかつ100μm未満であり、圧縮応力層におけるピーク圧縮応力は400MPaより大きく1000MPa未満である。
【0026】
1つの実施の形態では、成形ガラス基板は、例えば、Corning,Inc.社製のGorilla(商標)ガラスなどの市販される強化ガラスから形成される。しかしながら、ガラス物品100は、本明細書では、強化ガラスから形成される成形ガラス基板を含むように記載されているが、他の実施の形態では、成形ガラス基板は非強化ガラスから形成されることが理解されるべきである。
【0027】
図2および3A〜3Cに示される成形ガラス基板102の実施の形態を参照すると、成形ガラス基板102は、成形ガラス基板102の周辺縁部110が成形ガラス基板102の第1の表面106および第2の表面108の両方と実質的に垂直になるように形成されうる。第1の表面106の少なくとも一部および第2の表面108の少なくとも一部が、図3A〜3Cに示されるように、ポリマーの外側被覆104によって覆われるように、ポリマーの外側被覆104が周辺縁部110から第1の表面106および第2の表面108上にわたり成形ガラス基板102の中心の方向に延在する場合、方形の周辺縁部を有する成形ガラス基板が用いられうる。
【0028】
しかしながら、他の実施の形態では、成形ガラス基板102の周辺縁部110は、図3D〜3Lに示されるように、接続機構114を用いて形成されうる。接続機構114は、成形ガラス基板102とポリマーの外側被覆104の接触面を増強する。接続機構114はまた、ポリマーの外側被覆104が、図3D〜3Iおよび3Lに示すように、成形ガラス基板102の第1の表面106および/または第2の表面108の少なくとも一方と同一表面になるように、ポリマーの外側被覆104が成形ガラス基板102上に形成されることを可能にする。第1の表面106と同一表面にあるポリマーの外側被覆104を具備することで、成形ガラス基板102が触覚インターフェース(すなわちタッチスクリーン)として用いられる場合など、成形ガラス基板102の第1の表面106上の可視的表面積および第1の表面106上の有効表面積の両方を増大させる。しかしながら、接続機構を備えた成形ガラス基板は、図3Hおよび3Jに示すように、第1の表面106または第2の表面108のうち少なくとも一方のすべてまたは一部にわたって延在するポリマーの外側被覆とともに使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0029】
図3D〜3Gに示される成形ガラス基板102の実施の形態を参照すると、接続機構114は、成形ガラス基板102の周辺縁部110に形成された凸部(tongue)である。これらの実施の形態では、接続機構114(すなわち凸部)は、成形ガラス基板102の第1の表面106から陥凹しており、それによって、成形ガラス基板102の周辺縁部110にシート123を形成する。
【0030】
図3Hは、概略的に、接続機構114を有する成形ガラス基板102の別の実施の形態の部分断面を示している。この実施の形態では、接続機構114は、成形ガラス基板102の周辺縁部110に形成された45°の斜角を備える。図3Hに示された実施の形態では、斜角は、第1の表面106の幅が第2の表面108の幅より狭くなるように、成形ガラス基板102の周辺縁部110に形成される。しかしながら、他の実施の形態では、斜角は、第2の表面108の幅が第1の表面106の幅よりも狭くなるように、成形ガラス基板102に形成されうることが理解されるべきである。さらには、図3Hは45°の斜角を示しているが、45°未満または45°より大きい他の斜角も使用して差し支えないことが理解されるべきである。さらに、図3Hに示すように、接続機構114が端部の斜角である実施の形態では、端部の斜角はポリマーの外側被覆104と成形ガラス基板102の接触面積を増大し、それによって、ポリマーの外側被覆104と成形ガラス基板102との接着を改善する。
【0031】
図3Iは、接続機構114を備えた成形ガラス基板102の別の実施の形態の部分断面を概略的に示している。この実施の形態では、接続機構114は、成形ガラス基板102の周辺縁部110に形成された凸部を備えている。接続機構(すなわち凸部)は第1の表面106と第2の表面108の両方から陥凹しており、それによって、第1の表面106に隣接した第1のシート125および第2の表面108に隣接した第2のシート126を形成する。図3Iに示す接続機構114の実施の形態では、凸部は、急な角度の移行なしに、成形ガラス基板102の周辺縁部110に形成される。さらに具体的には、接続機構は、接続機構114と成形ガラス基板102本体との間の応力集中点を最小限に抑える、または軽減するための滑らかな曲率半径を伴って成形ガラス基板102へと移行する。
【0032】
図3Jおよび3Kは、成形ガラス基板の別の実施の形態を概略的に示しており、ここで、接続機構114は対称的な端部斜角である。例えば、図3Jは、成形ガラス基板102の周辺縁部110が対称な端部斜角で形成された成形ガラス基板102の実施の形態を概略的に示しており、ここで、斜角の曲率半径は、ガラス基板の中心線140から成形ガラス基板102の表面106、108の方に向かって増大している。図3Kは、成形ガラス基板102の周辺縁部110が対称な端部斜角で形成された成形ガラス基板102の別の実施の形態を概略的に示しており、ここで、成形ガラス基板102は、表面106、108から周辺縁部110へと中心線140の方に向かって内側に先細になっている。図3Jおよび3Kは、表面106、108の一部を覆うポリマーの外側被覆104を示しているが、ポリマーの外側被覆は、第1の表面106または第2の表面108のうち少なくとも一方と同一表面にあって差し支えないことが理解されるべきである。さらには、図3Jおよび3Kでは、接続機構114は成形ガラス基板の中心線に対して対称であり、ポリマーの外側被覆を成形ガラス基板と一体的に機械的に接続しうる機構を提供する。
【0033】
図3Lは、成形ガラス基板102の周辺縁部110に形成された接続機構114を有する成形ガラス基板102の別の実施の形態を示している。この実施の形態では、接続機構114は、斜角になった凸部である。接続機構114は成形ガラス基板102の第1の表面106から陥凹しており、それによって、成形ガラス基板102の第1の表面106に隣接したシート123を形成する。さらに具体的には、接続機構114は、図3Dに示される接続機構114と同様に成形ガラス基板102の周辺縁部110に隣接して形成される。しかしながら、この実施の形態では、接続機構114は、成形ガラス基板102から離れて延在する方向に向かって先細になっている。さらには、接続機構114は、接続機構114と成形ガラス基板102本体との間の応力集中点を最小限に抑える、または軽減するための滑らかな曲率半径を伴って成形ガラス基板102へと移行する。
【0034】
1つの実施の形態では、図3D〜3Lに示す接続機構は、機械加工(すなわち、粉砕、製粉、レーザー切断など)によって成形ガラス基板に形成される。代替となる実施の形態では、成形ガラス基板は溶融ガラスから形成されることから、接続機構は、熱間成形法によって成形ガラス基板の周辺縁部に形成されうる。
【0035】
再び図1を参照すると、成形ガラス基板102の周辺縁部に取り付けられたポリマーの外側被覆104は、一般に、射出成形可能なポリマー材料を含む。ポリマーの外側被覆104を形成しうる適切な射出成形可能なポリマー材料としては、制限なく:ポリスチレン(PS)、耐衝撃性PS、ポリカーボネート(PC)、ナイロン(しばしばポリアミド(PA)と称される)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)(ABS)、PC−ABS混合物、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびPBT共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびPET共重合体を含む熱可塑性プラスチック、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン(環状−PO)を含むポリオレフィン(PO)、改質ポリフェニレンオキシド(mPPO)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を含むアクリルポリマー、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリエーテルイミド(PEI)およびこれらのポリマーを互いに混合したものが挙げられる。適切な射出成形可能な熱硬化性ポリマーとしては、エポキシ、アクリル、スチレン、フェノール、メラミンおよびシリコーンの樹脂が挙げられる。ポリマーは、衝撃改質剤、難燃剤、UV抑制剤、帯電防止剤、離型剤、ガラス、金属またはカーボン・ファイバーまたは粒子(球体を含む)、タルク、粘土または雲母を含めた充填剤、および着色剤を含みうる。
【0036】
1つの実施の形態では、ポリマーの外側被覆104は、成形ガラス基板の第1の表面106または第2の表面108の少なくとも一方にわたり、全体的または部分的に延在する。例えば、図3A〜3Cは、ポリマーの外側被覆104が成形ガラス基板102の周辺縁部から、選択された距離Lだけ(図3Aに示す)第1の表面106および第2の表面108の両方に部分的に延在する実施の形態を概略的に示しており、図3Hおよび3Jは、ポリマーの外側被覆が成形ガラス基板102の第2の表面108全体にわたって延在する実施の形態を概略的に示している。ポリマーの外側被覆が成形ガラス基板102の表面106、108の少なくとも1つまたは両方にわたり、選択された距離Lだけ部分的に延在する実施の形態では、選択された距離Lは、約1.0mm〜約10mmの範囲でありうる。他の実施の形態では、選択された距離Lは約2mm〜約6mmでありうる。選択された距離Lは、最終的には、ガラス物品の最終用途によって決まる。
【0037】
成形ガラス基板102が上述の接続機構を備える場合など、代替となる実施の形態では、ポリマーの外側被覆104は、ポリマーの外側被覆104が、上述のように、成形ガラス基板10第1の表面106または第2の表面108の少なくとも一方と同一表面になるように形成されうる。例えば、図3D〜3Iおよび3Lは、接続機構114を備えた成形ガラス基板102の実施の形態を示しており、ここで、ポリマーの外側被覆104は成形ガラス基板102の第1の表面106と同一表面にある。「同一表面にある」という用語は、本明細書では、成形ガラス基板102とポリマーの外側被覆104との間に顕著なトポグラフィー変動を有さず、成形ガラス基板102の表面(第1の表面106または第2の表面108のいずれか)とポリマーの外側被覆104の間の移行が滑らかで連続的であることを意味する。
【0038】
図3A〜3Eおよび図3G〜3Lを参照すると、ポリマーの外側被覆104は、ガラス物品を筐体または同様の構造に連結するための少なくとも1つのコネクタとともに形成されうる。例えば、図3A、3Dおよび3H〜3Lに示される実施の形態では、ポリマーの外側被覆104は、ガラス物品がそこに取り付けられるように、筐体、装置などにおける対応するコネクタと対になりうるメカニカルコネクタ112とともに一体的に成形される。図3A〜3Eおよび図3G〜3Lに示すメカニカルコネクタ112の実施の形態では、メカニカルコネクタ112は、ポリマーの外側被覆104から延在する方形の隆起である。メカニカルコネクタは、対応する形状を有するチャネルに受け入れられて差し支えなく、メカニカルコネクタ112がチャネルと締まり嵌めを形成するように、適切にサイズ化される。あるいは、メカニカルコネクタが、接着剤、超音波溶接または同様の接合技術を用いて対応するチャネルと連結しうるように、メカニカルコネクタは適切にサイズ化されて差し支えない。1つの実施の形態では(図示せず)、メカニカルコネクタ112は、メカニカルコネクタ112から伸びる可撓性のクリップを形成する1つ以上の棘状の突起または伸張部分を含みうる。クリップは、ガラス物品が筐体または装置に着脱可能に取り付けられるように、筐体または装置における対応する開口部と適合しうる。
【0039】
図3Cおよび3Eを参照すると、代替となる実施の形態において、ポリマーの外側被覆104に形成されるコネクタは、ポリマーの外側被覆104に一体的に形成されるチャネル116でありうる。チャネル116は、ガラス物品がそこに取り付けられるように、筐体、装置または他のガラス物品上のメカニカルコネクタ(例えば、図3A〜3Eおよび図3G〜3Lに示すメカニカルコネクタ112)を受け入れるように適切にサイズ化されうる。したがって、チャネル116は、チャネル116とメカニカルコネクタが互いに締まり嵌めを形成するようにサイズ化されうることが理解されるべきである。あるいは、チャネル116は、チャネルが接着剤、超音波溶接または同様の接合技術を用いて対応するメカニカルコネクタと連結しうるように、適切にサイズ化されうる。1つの実施の形態では(図示せず)、チャネルは、メカニカルコネクタから伸びる1つ以上の可撓性のクリップの棘状の突起または伸張部分を受け入れるための1つ以上の開口部を備えていてもよい。開口部は、ガラス物品が筐体または装置と着脱可能に連結されるように、筐体または装置における対応するクリップと適合しうる。
【0040】
図3Bおよび3Gを参照すると、さらに別の実施の形態では、コネクタは、ポリマーの外側被覆と一体成形された、予備成形されたコネクタである。例えば、図3Bおよび3Gに示す実施の形態において、ポリマーの外側被覆104は、ポリマーの外側被覆から延びる金属性のコネクタ118と一体成形される。1つの実施の形態では、金属性のコネクタ118は、ガラス物品がそこに取り付けられるように、金属性のコネクタ118と取り付けられたガラス物品とを、筐体、装置などに連結するのに用いられうる、1つ以上の穴(図示せず)とともに形成されてもよい。別の実施の形態では、金属性のコネクタ118は、筐体、装置などに配置された、チャネルなどの対応するコネクタと締まり嵌めを形成するように、適切にサイズ化されうる。さらに別の実施の形態では(図示せず)、金属性のコネクタは、電気エネルギー源を、成形ガラス基板の第1の表面または第2の表面のうちの一方に施用されたコーティングと電気的に連結させるのに使用してもよい。例えば、1つ以上の導線(図示せず)は、金属性のコネクタが導線と、続いて成形ガラス基板の表面と電気的に連結されるように、成形ガラス基板の片面または両面に電気的に連結され、ポリマーの外側被覆とともに成形されうる。
【0041】
特定のコネクタの実施の形態が図3A〜Eおよび3G〜3Lに示されているが、ポリマーの外側被覆104は、さまざまな構成を有するさまざまなタイプのコネクタとともに形成(すなわち、成形または一体成形)されうることが理解されるべきである。さらには、成形された、またはポリマーの外側被覆と一体成形されたコネクタは、メカニカルコネクタまたは電気コネクタのいずれかであって差し支えないことが理解されるべきである。
【0042】
図4を参照すると、射出成形金型200の1つの実施の形態が概略的に示されている。射出成形金型200は、上述の成形ガラス基板102およびポリマーの外側被覆104を備えたガラス物品の形成に使用されうる。射出成形金型200は、一般に、下型202および上型204を備える。射出成形金型200の下型202は、入り口205を介してポリマー材料の供給源(図示せず)と流体連結される型穴203を伴って形成される。射出成形金型200の上型204は、下型202と嵌合するように成形され、それによって、ポリマー材料が射出成形金型200内に注入される際に、型穴203を封止する。本明細書に記載される実施の形態では、射出成形金型200は、金属性の材料から形成され、制限なく、鉄鋼、アルミニウムなどが挙げられる。1つの実施の形態では(図示せず)、射出成形金型は、入り口205を介して金型に注入した加熱ポリマー材料を冷却するための冷却システムを備えていてもよい。別の実施の形態では(図示せず)、射出成形金型の下型および/または上型は、成形ガラス基板を射出成形金型に固定するための1つ以上の真空孔を備えていてもよい。
【0043】
図4および5A〜5Cを参照すると、型穴203は、中央の台座207の周りに延在するフローチャネル206とともに形成される。柔軟層208は、台座207に配置され、射出成形法の間に成形ガラス基板(図示せず)の衝撃を和らげ、成形ガラス基板を損傷から保護する。例えば、成形ガラス基板が強化ガラスから形成される実施の形態では、型穴内の金型表面における表面の凹凸(すなわち、引っかき傷、とげ、表面粗さなど)は、圧縮応力層の深さdよりも大きく金型から突出する場合がある。射出成形プロセスの間に、これらの表面の凹凸が圧縮応力層を通じて押圧される場合、成形ガラス基板は不良となる(すなわち、粉砕する)。したがって、柔軟層208は、射出成形プロセスの間の成形ガラス基板の損傷を防ぐために、射出成形金型の下型200と成形ガラス基板との接触面として利用される。例えば、図5Aは射出成形金型の下型202aの1つの実施の形態を示しており、ここで、柔軟層208は型穴における台座207上に配置される。1つの実施の形態では、柔軟層208は、例えば、ゴム材料または他の同様の弾性的に変形可能および回復可能な材料など、弾力性のある材料から形成される。別の実施の形態では、柔軟層208は、成形ガラス基板と反対側に接着剤層を有する弾力性のある材料から形成される。接着剤材料の層は、射出成形法の間に型穴203への成形ガラス基板の固定を容易にする。一部の実施の形態では、柔軟層208は2000MPa未満の弾性率を有する。他の実施の形態では、柔軟層208は200MPa未満の弾性率を有する。さらに他の実施の形態では、柔軟層208は200MPa未満かつ1MPaより大きい弾性率を有する。別の実施の形態では、柔軟層208は1mm未満の厚さを有する。さらに他の実施の形態では、柔軟層208は1mm未満かつ0.01mmより大きい厚さを有する。
【0044】
柔軟層208は、型穴203内に配置されるように示され、説明されているが、他の実施の形態では、柔軟層208は、成形ガラス基板102が型穴203に設置されるときに柔軟層208が成形ガラス基板102と射出成形金型の下型の台座207の間に配置されるように、成形ガラス基板102に取り外し可能に取り付けられて差し支えないことが理解されるべきである。さらに他の実施の形態では、柔軟層は、図6Bに示すように、成形ガラス化基板と射出成形金型200の上型204bの間にもさらに配置されうる。
【0045】
図5Bを参照すると、射出成形金型の下型202bの1つの実施の形態が断面に概略的に示されている。図5Bに示す実施の形態では、射出成形金型の下型202bにおけるフローチャネル206は、コネクタ機構210を伴って形成される。コネクタ機構210は、とりわけ、図3Aに示すようなコネクタを伴ったポリマーの外側被覆の形成に利用される。図5Bに概略的に示す実施の形態では、コネクタ機構210は、フローチャネル206に形成された方形のチャネルである。あるいは、コネクタ機構210が図5Bに示すチャネルの場合、予備成形されたコネクタ片(図3Bおよび3Gに示す金属性のコネクタ118など)がコネクタ機構210に挿入されて差し支えなく、図3Bおよび3Gに示すように、予備成形されたコネクタ片がポリマーの外側被覆に組み込まれるように、ポリマーの外側被覆が予備成形されたコネクタ片の周りに形成される。
【0046】
図5Bはチャネルの形態のコネクタ機構210を示しているが、コネクタ機構は他の形状および/または形態をとってもよいことが理解されるべきである。例えば、図5Cは、射出成形金型の下型202cの型穴203におけるフローチャネル206に形成されたコネクタ機構212の別の実施の形態を示している。この実施の形態では、コネクタ機構212は、フローチャネル206から延在する隆起である。隆起は、図3Cおよび3Eに示すように、ポリマーの外側被覆にチャネルまたは溝型のコネクタを形成するのに利用されうる。
【0047】
図6Aを参照すると、ポリマーの外側被覆を有する成形ガラス基板102を備えたガラス物品の形成のため、成形ガラス基板102が台座207に配置され、柔軟層208が成形ガラス基板102と台座207の間に配置されるように、成形ガラス基板102が、最初に、射出成形金型の下型202aの型穴203に配置される。この実施の形態では、成形ガラス基板102の周辺縁部は接続機構114を備え、射出成形金型の上型204aは、得られたポリマーの外側被覆(図示せず)が成形ガラス基板の第1の表面106と同一表面になるように形成される。
【0048】
その後、ポリマー材料211が入り口205(図4に示す)を通じて型穴に注入され、フローチャネル206を満たし、成形ガラス基板102の露出部分の周りに適合する。射出成形金型の下型202aが定位置に保持されると同時に、力Fが射出成形金型の上型204aに印加される。射出成形金型の上型204aに印加される力Fは、射出成形金型の上型204aを型穴に固定し、射出成形金型の上型204aを下型202aに封止し、それによって、ポリマー材料211が成形ガラス基板102の周りに流れ、成形ガラス基板102の露出部分を包み込むことを確実にする。図6Aに示す射出成形金型の下型202aおよび上型204aは、図3Fに示すものと同様のポリマーの外側被覆を有する成形ガラス基板を備えたガラス物品を作り出す。
【0049】
図6Bを参照すると、射出成形法の別の実施の形態が概略的に示されている。この実施の形態では、射出成形金型の下型202bおよび上型204bは、図3Aに示したものと同様のポリマーの外側被覆を有する成形ガラス基板を備えたガラス物品を作り出すように形状化される。この実施の形態では、成形ガラス基板102は、成形ガラス基板102が台座207に配置され、柔軟層208が成形ガラス基板102と台座207の間に配置されるように、射出成形金型の下型202bの型穴に最初に配置される。成形ガラス基板102の周辺縁部は、上述のように、実質的に方形である。しかしながら、この実施の形態では、射出成形金型の上型204bは、ポリマー材料が成形ガラス基板102の第1の表面106の一部に流れるようにする肩部213を伴って形成される。さらには、この実施の形態では、柔軟層208が成形ガラス基板102の第2の表面108と台座207の間に配置されると同時に、追加の柔軟層208が成形ガラス基板102の第1の表面106と射出成形金型の上型204bの間に配置される。その後、力が射出成形金型に印加される際に、ポリマー材料がフローチャネル206ならびにコネクタ機構210を満たすように、ポリマー材料211がフローチャネル206内に注入される。
【0050】
本明細書では、成形ガラス基板およびポリマーの外側被覆を備えたガラス物品は、射出成形法によって形成されるように記載しているが、他のポリマー成形技術も使用して差し支えないことが理解されるべきである。例えば、1つの実施の形態では(図示せず)、ガラス物品は、UV硬化性のポリマー材料を用いるトランスファー成形法を利用して成形されてもよい。
【0051】
図7Aおよび7Bを参照すると、組立体400を形成するために、筐体300上に取り付けるために配置された(図7A)、ならびに、筐体300上に取り付けられた(図7B)、成形ガラス基板102とポリマーの外側被覆104を備えたガラス物品100が示されている。筐体300は、その上に配置された1つ以上の電子装置(図示せず)を有していてもよい。この実施の形態では、成形ガラス基板102は、ポリマーの外側被覆104が成形ガラス基板102の第1の表面106と同一表面になるように、接続機構114を伴って成形される。ポリマーの外側被覆104は、ガラス物品100を筐体300と位置合わせし、連結するためのメカニカルコネクタ112を伴って一体的に成形される。さらに具体的には、図7Aおよび7Bに示す実施の形態では、ポリマーの外側被覆104のメカニカルコネクタ112は、一般に、筐体300に形成されたチャネル302に対応し、対になる。
【0052】
組立体400を形成するため、ガラス物品100は、図7Aに示すように、メカニカルコネクタ112が筐体300のチャネル302と位置合わせするように、筐体300に対して配置される。1つの実施の形態では、ガラス物品100の筐体300への接合をさらに促進するために、接着剤または同様の結合材料が、接続機構、ポリマーの外側被覆、チャネル、および/または筐体に施用される。ガラス物品および筐体は、ポリマーの外側被覆104のメカニカルコネクタ112が、図7Bに示すように、筐体300のチャネル302と嵌合して組立体400を形成するように、互いに押圧される。1つの実施の形態では、メカニカルコネクタ112は、図7Bに示すように、筐体300におけるチャネル302との締まり嵌めを有する。しかしながら、他の実施の形態(図示せず)では、メカニカルコネクタ112は、筐体300における対応する締め具または開口部と機械的に対になるクリップまたは同様のコネクタを備え、それによって、ガラス物品100を筐体300に固定してもよい。他の実施の形態では、ポリマーの外側被覆104のメカニカルコネクタ112と筐体300との連結は、メカニカルコネクタを筐体に超音波溶接することによって強化されうる。さらに他の実施の形態では、ポリマーの外側被覆は、チャネルを伴って成形されて差し支えなく(図3Cおよび3Eに示す)、筐体は、チャネルに対応するメカニカルコネクタを伴って形成されうる。図7Bに示す組立体400は、さまざまな電子装置に組み込まれて差し支えない。例として、限定せずに、これらの組立体は、携帯電話、タブレット型コンピュータ、ノートブック型コンピュータ、電気器具、自動車のヘッドランプ、個人用音楽プレーヤー、電子書籍リーダー、ハンドヘルド計算器、コンピュータマウスの上部覆いなど、電子装置の覆いとして用いられうる。他の用途としては、医療用の包装および試験装置、生物学的アッセイおよび細胞培養用の装置が挙げられる。
【0053】
図7Bは筐体300に取り付けられたガラス物品100を示しているが、他の実施の形態では、ガラス物品100は、第2のガラス物品に取り付けられ、それによって、2つのガラス物品を含み、その間に1つ以上の電子装置が配置されうる組立体を形成してもよいことが理解されるべきである。
【0054】
本明細書に記載される方法は、成形ガラス基板の周囲の少なくとも一部に取り付けられたポリマーの外側被覆を有する成形ガラス基板を備えたガラス物品の製造に利用して差し支えないことが理解されるべきである。ポリマーの外側被覆は、成形ガラス基板の製造の間に、特別な端部の仕上げを必要とせずに、成形ガラス基板の端部を保護し、成形ガラス基板の耐久性を改善する。ガラス基板の端部の仕上げは、使用の間に成形ガラス基板の不具合を生じうる端部の欠陥(例えば、微小亀裂)が除去されるが、時間がかかり、やや費用のかかる方法である。本明細書に記載される成形ガラス基板上のポリマーの外側被覆を利用することによって、端部の仕上げは簡易化(例えば、100〜600グリットの粗い研磨のみ)または排除することができ、それによって、生産コストを低減することができる。さらには、ガラス物品における成形ガラス基板の端部に連結したポリマーの外側被覆の使用は、例えば、ガラス物品が硬表面に落下することによって生じる、偶発的な損傷の衝撃を和らげ、このような衝撃から成形ガラス基板の端部を保護する。
【0055】
本明細書に記載のガラス物品は、単一の物品に、ガラスと塑性体の両方の有利な特性を兼ね備えさせる。特に、正確な寸法制御とともにポリマーを複雑な形状へと成形する能力は、さまざまな用途に用いられうる単一の物品において、ガラスの高い強度、耐衝撃性、耐久性および高温特性と上手く調和する。例えば、ガラスの高温特性は、例えばヘッドランプの動作温度が高い場合に、ハロゲンタイプの自動車のヘッドランプにガラス物品を容易に組み込めるようにする。物品へのガラスの組み込みの追加の利点としては、透明性、寸法安定性、化学的不活性、熱的安定性、空気および気体透過に対する耐性、紫外線劣化に対する耐性および引っかき抵抗性が挙げられる。一部の実施の形態では、特定の光の波長に対して透明なではない成形ガラス基板が組み込まれうる。他の実施の形態では、成形ガラス基板の使用は、ガラス表面への微細表面構造の取り込みを促進し、例えば、タッチスクリーンおよびディスプレイスクリーンにおける使用に適切なアンチグレアおよび/または低摩擦面を作り出す。
【0056】
さらには、本明細書に記載の実施の形態は、高い耐衝撃性を有する軽量の薄いシート状に成形されたガラス基板と、精密に成形されうるポリマー材料との併用を促進し、それによって、ポリマーの軽量特性を有するが、ガラスの耐衝撃性、強度および耐久性を加えたガラス物品を実現する。
【0057】
本明細書に記載される実施の形態には、特許請求の範囲に記載される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更およびバリエーションがなされうることは、当業者には明白であろう。よって、本明細書は、本明細書に記載されるさまざまな実施の形態の変更およびバリエーションが添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内に含まれることを条件として、これらの変更およびバリエーションにも及ぶことが意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置の覆いとして使用するためのガラス物品であって、
第1の表面、第2の表面、周辺縁部、約0.2mm〜約2mmの範囲の厚さ、および10MPaを超える圧縮規模を有する圧縮層を備えた成形ガラス基板であって、前記周辺縁部の少なくとも一部が前記第1の表面からの接続機構のオフセットを含む、成形ガラス基板と、
前記成形ガラス基板の周辺縁部の接続機構に接続したポリマーの外側被覆と、
を備えたガラス物品。
【請求項2】
前記ポリマーの外側被覆が前記成形ガラス基板の第1の表面と同一表面にあることを特徴とする請求項1記載のガラス物品。
【請求項3】
前記ポリマーの外側被覆がコネクタと一体的に形成され、
前記コネクタが、電気コネクタまたはメカニカルコネクタのうち少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項1記載のガラス物品。
【請求項4】
前記ポリマーの外側被覆が、前記成形ガラス基板の周辺縁部から内側に、および、選択した距離だけ前記成形ガラス基板の第1の表面または第2の表面のうち少なくとも一方の上に延在することを特徴とする請求項1記載のガラス物品。
【請求項5】
前記圧縮層が、約15μmを超える厚さを有することを特徴とする請求項1記載のガラス物品。
【請求項6】
ポリマーの外側被覆を備えたガラス物品の製造方法であって、
第1の表面、第2の表面、および周辺縁部を有する成形ガラス基板を形成し、
射出成形金型の下型に形成された型穴に前記成形ガラス基板を設置し、ここで、柔軟層が前記成形ガラス基板と前記射出成形金型の下型の間に配置され、
前記射出成形金型の上型を前記射出成形金型の下型と嵌合させ、
ポリマー材料を前記射出成形金型内に注入して前記ポリマーの外側被覆を成形し、ここで、前記ポリマーの外側被覆が前記成形ガラス基板の周辺縁部の少なくとも一部に接続される、
各工程を有してなる方法。
【請求項7】
前記柔軟層が弾性的に回復可能な材料を含むことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記成形ガラス基板の周辺縁部に接続機構を形成する工程をさらに含み、
前記接続機構が、前記成形ガラス基板の第1の表面または第2の表面のうち少なくとも一方からオフセットされていることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記型穴が、少なくとも1つのコネクタ機構を備え、それによって、前記ポリマーの外側被覆が少なくとも1つのコネクタとともに形成されることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項10】
ポリマー材料を前記型穴に注入する前に、前記型穴に前記コネクタ部品を配置する工程をさらに含み、それによって、前記コネクタ部品が前記ポリマーの外側被覆と一体成形されることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項1】
電子装置の覆いとして使用するためのガラス物品であって、
第1の表面、第2の表面、周辺縁部、約0.2mm〜約2mmの範囲の厚さ、および10MPaを超える圧縮規模を有する圧縮層を備えた成形ガラス基板であって、前記周辺縁部の少なくとも一部が前記第1の表面からの接続機構のオフセットを含む、成形ガラス基板と、
前記成形ガラス基板の周辺縁部の接続機構に接続したポリマーの外側被覆と、
を備えたガラス物品。
【請求項2】
前記ポリマーの外側被覆が前記成形ガラス基板の第1の表面と同一表面にあることを特徴とする請求項1記載のガラス物品。
【請求項3】
前記ポリマーの外側被覆がコネクタと一体的に形成され、
前記コネクタが、電気コネクタまたはメカニカルコネクタのうち少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項1記載のガラス物品。
【請求項4】
前記ポリマーの外側被覆が、前記成形ガラス基板の周辺縁部から内側に、および、選択した距離だけ前記成形ガラス基板の第1の表面または第2の表面のうち少なくとも一方の上に延在することを特徴とする請求項1記載のガラス物品。
【請求項5】
前記圧縮層が、約15μmを超える厚さを有することを特徴とする請求項1記載のガラス物品。
【請求項6】
ポリマーの外側被覆を備えたガラス物品の製造方法であって、
第1の表面、第2の表面、および周辺縁部を有する成形ガラス基板を形成し、
射出成形金型の下型に形成された型穴に前記成形ガラス基板を設置し、ここで、柔軟層が前記成形ガラス基板と前記射出成形金型の下型の間に配置され、
前記射出成形金型の上型を前記射出成形金型の下型と嵌合させ、
ポリマー材料を前記射出成形金型内に注入して前記ポリマーの外側被覆を成形し、ここで、前記ポリマーの外側被覆が前記成形ガラス基板の周辺縁部の少なくとも一部に接続される、
各工程を有してなる方法。
【請求項7】
前記柔軟層が弾性的に回復可能な材料を含むことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記成形ガラス基板の周辺縁部に接続機構を形成する工程をさらに含み、
前記接続機構が、前記成形ガラス基板の第1の表面または第2の表面のうち少なくとも一方からオフセットされていることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記型穴が、少なくとも1つのコネクタ機構を備え、それによって、前記ポリマーの外側被覆が少なくとも1つのコネクタとともに形成されることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項10】
ポリマー材料を前記型穴に注入する前に、前記型穴に前記コネクタ部品を配置する工程をさらに含み、それによって、前記コネクタ部品が前記ポリマーの外側被覆と一体成形されることを特徴とする請求項6記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図3J】
【図3K】
【図3L】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図3J】
【図3K】
【図3L】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【公表番号】特表2012−526040(P2012−526040A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509960(P2012−509960)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/033811
【国際公開番号】WO2010/129732
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/033811
【国際公開番号】WO2010/129732
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
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