説明

レーザ光源装置

【課題】特に機械的摺動部を用いることなく、スペックルコントラストを効果的に低減することができるレーザ光源装置を提供すること。
【解決手段】レーザ光源装置(100)は、レーザ光を出射するレーザ光源(110)と、レーザ光源(110)から出射されたレーザ光の偏光状態を制御する液晶変調素子(120)と、液晶変調素子(120)によって偏光状態が制御されたレーザ光を、P偏光(230)成分とS偏光(240)とに分岐させ、光路差を持たせて伝播させた後に合成する、偏光ビームスプリッタ(130)、第1の直角プリズム(140)、および第2の直角プリズム(150)とを有する。液晶変調素子(120)は、レーザ光源(110)から出射されたレーザ光の照射範囲を分割した複数のエリアごとに、レーザ光に対する複屈折性および旋光性のうち少なくとも一方を電気的に制御することで、レーザ光の偏光状態を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばディスプレイ装置の光源として用いられるレーザ光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザ光源をプロジェクション装置等のディスプレイ装置の光源として用いる試みが、活発となっている。レーザ光は、波長幅が狭く色純度が高い。また、レーザ光源は、一般的なランプ光源と比較して、より小型、高出力、かつ長寿命のデバイスである。したがって、レーザ光源を採用することによって、ディスプレイ装置の広色域化、薄型化、高輝度化、および長寿命化を図ることができる。
【0003】
その一方で、レーザ光には、スペックルノイズと呼ばれる明暗のパターンが観測者の網膜に結像され易いという特徴がある。スペックルノイズ(以下単に「スペックル」という)は、レーザ光が有する高いコヒーレンス特性(可干渉性)に起因するものである。特に、ディスプレイ用途の場合、つまり、レーザ光が面状光に変換されて映像出力に利用される場合、スペックルが映像に重畳して観測されることになり、映像の劣化を招くという問題が発生する。
【0004】
そこで、複数のスペックルパターンを重ね合わせることによってレーザ光のスペックルを低減する技術が、例えば特許文献1および特許文献2に記載されている。
【0005】
特許文献1に記載の装置は、偏光ビームスプリッタ(polarizing beam splitter:PBS)によってレーザ光を2つの光成分に分割し、これら2つの光成分を、レーザ光のコヒーレンス長(可干渉距離)以上の光路差を持たせて伝播した後に合成する。すなわち、レーザ光を、互いに干渉しない2つの光成分の合成光に変換する。これにより、2つのスペックルパターンの積分効果が得られ、コヒーレンス特性を低下させ、スペックルの濃淡比(スペックルコントラスト)を低減することができる。
【0006】
特許文献2に記載の装置は、ハーフミラーを用いて、レーザ光の分割および合成を行う。
【0007】
また、複数のスペックルパターンを時間平均的に重ね合わせることによってレーザ光のスペックルを低減する技術が、例えば特許文献3および特許文献4に記載されている。
【0008】
特許文献3に記載の装置は、変角ミラーの回転によって、照射面に対するレーザ光の照射位置を高速に移動させ、時間の経過とともにスペックルパターンを変化させる。これにより、複数のスペックルパターンの積分効果が得られ、コヒーレンス特性を低下させ、スペックルコントラストを低減することができる。
【0009】
特許文献4に記載の装置は、VA(vertical alignment)方式の液晶素子を用いて、レーザ光の偏光状態を変化させずに位相のみを変化させる位相変調を行うことによって、スペックルパターンを変化させる。
【特許文献1】特開2001−296503号公報
【特許文献2】特開2000−223396号公報
【特許文献3】特開昭63−100461号公報
【特許文献4】特開2007−163702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献3に記載の技術は、変角ミラーとその駆動装置という機械的摺動部を必要とするため、装置の信頼性、寿命、および静音性に問題がある。
【0011】
特許文献1、特許文献2、および特許文献4に記載の各技術は、機械的摺動部を必要としないため、このような問題は生じない。
【0012】
ところが、特許文献1および特許文献2に記載の技術では、光成分ごとのスペックルは固定された状態であるため、スペックルコントラストを十分に低減することが難しい。
【0013】
また、特許文献4に記載の技術では、積分効果が低く、スペックルコントラストを十分に低減することが難しい。これは、例えば、回転するレンチキュラレンズにレーザ光を透過させる場合に、位相情報が変調されるものの、残存スペックルが多く存在することからも明らかである。
【0014】
そこで、特許文献1または特許文献2に記載の技術と特許文献4に記載の技術とを組み合わせることが考えられる。しかしながら、分割された光成分ごとに位相変調が行われるに留まり、やはりスペックルコントラストを十分に低減することは困難である。
【0015】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、特に機械的摺動部を用いることなく、スペックルコントラストを効果的に低減することができるレーザ光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のレーザ光源装置は、レーザ光を出射する光源部と、前記光源部から出射された前記レーザ光の偏光状態を制御する偏光状態制御手段と、前記偏光状態制御手段によって偏光状態が制御された前記レーザ光を、第1の偏光成分と第2の偏光成分とに分岐させる分岐手段と、前記分岐手段によって分岐された前記第1の偏光成分と前記第2の偏光成分とを、光路差を持たせて伝播させた後に合成する合成手段と、を有し、前記偏光状態制御手段は、前記光源部から出射された前記レーザ光の照射範囲を分割した複数のエリアごとに、前記レーザ光に対する複屈折性および旋光性のうち少なくとも一方を電気的に制御することで、前記レーザ光の偏光状態を制御する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光路差を持たせる2つの光成分の比を分割エリアごとに電気的に制御することができるので、特に機械的摺動部を用いることなく、スペックルコントラストを効果的に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図において、同一部分または対応部分には同一符号を付し、これについての説明は繰り返さない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るレーザ光源装置の構成を示す平面図である。
【0020】
図1において、レーザ光源装置100は、レーザ光源110、液晶変調素子120、偏光ビームスプリッタ130、第1の直角プリズム140、および第2の直角プリズム150を有する。
【0021】
以下、各図において、液晶変調素子120の主面の法線方向である紙面左右方向のうち右向きを、Z軸の正の方向とし、紙面上下方向のうち上向きを、Y軸の正の方向とし、これらに直交する方向のうち紙面奥向きを、X軸の正の方向とする。また、後述の偏光ビームスプリッタの偏光分離面を基準としてP偏光およびS偏光の語句を用いるものとする。
【0022】
レーザ光源110は、レーザ光を出射する。ここでは、レーザ光源110は、Z軸の正の方向にレーザ光210を出射するものとする。また、レーザ光210は、Y軸方向に振動するP偏光であるものとする。
【0023】
液晶変調素子120は、レーザ光源110からみてZ軸の正の方向に配置され、レーザ光源110から出射されたレーザ光210を入射してレーザ光220に変換し、Z軸の正の方向に出射する。
【0024】
このとき、液晶変調素子120は、レーザ光210の照射範囲を分割したエリア(以下「分割エリア」という)ごとに、レーザ光220に対する複屈折性および旋光性のうち少なくとも一方を電気的に制御する。これにより、液晶変調素子120は、レーザ光220の偏光状態を制御することができる。具体的には、液晶変調素子120は、例えば、レーザ光210のP偏光成分の全てまたは一部をS偏光成分に変換したレーザ光220を出射することができる。以下、液晶変調素子120から出射されるレーザ光220のうち、P偏光成分を、単に「P偏光」といい、S偏光成分を、単に「S偏光」という。液晶変調素子120の構成については後述する。
【0025】
偏光ビームスプリッタ130は、液晶変調素子120から出射されるレーザ光220を、P偏光230とS偏光240とに分岐させる。具体的には、偏光ビームスプリッタ130は、透過の作用によって、P偏光230をZ軸の正の方向に出射し、透過の作用および偏光分離面131における反射の作用によって、S偏光240をY軸の正の方向に偏向して出射する。
【0026】
第1の直角プリズム140および第2の直角プリズム150は、偏光ビームスプリッタ130から出射されたP偏光230とS偏光240とを、光路差を持たせて伝播させた後に合成する。具体的には、第1の直角プリズム140および第2の直角プリズム150は、反射の作用により、S偏光240を、所定の光路長で伝播させた後に再び偏光ビームスプリッタ130の偏光分離面131に入射させる。この所定の光路長は、レーザ光源110から出射されるレーザ光210のコヒーレンス長以上の長さであることが好ましい。本実施の形態では、この所定の光路長は、レーザ光210のコヒーレンス長以上であるものとする。また、第1の直角プリズム140および第2の直角プリズム150のY軸方向における位置の設定により、任意の光路差を設定することができる。
【0027】
S偏光240の偏光ビームスプリッタ130への再入射の位置は、S偏光240が偏光分離面131において最初に反射作用を受けた位置である。S偏光240の偏光ビームスプリッタ130への入射の方向は、Y軸の正の方向、つまりS偏光240が偏光分離面131から最初に出射した方向である。この結果、偏光ビームスプリッタ130は、再入射したS偏光240を、偏光分離面131における反射の作用によって、P偏光230と同じ位置からZ軸の正の方向に偏向して出射する。これにより、P偏光230とS偏光240とは、レーザ光210のコヒーレンス長以上の光路差が生じている状態で再度合成され、レーザ光250として出射される。
【0028】
レーザ光源装置100から出射されるレーザ光250は、後段の光学系によって拡大作用および拡散作用が与えられ、例えば、プロジェクション装置の拡散板等の拡散面に到達する。
【0029】
このような構成のレーザ光源装置100によれば、コヒーレンスが低下したレーザ光250を生成することができ、拡散面で観測されるスペックルノイズを低減することができる。また、液晶変調素子120の電気的制御により、P偏光230とS偏光240との比を分割エリアごとに容易に変化させることができる。
【0030】
次に、液晶変調素子120の構成とその動作について説明する。
【0031】
液晶変調素子120の駆動方式としては、偏光回転作用を透過光に与えることが可能な各種の方式を採用することができる。このような駆動方式には、例えば、TN(twisted nematic)方式、VA方式、IPS(in-plane switching)方式が含まれる。
【0032】
図2は、TN方式の液晶変調素子120の構成の一例を示す模式図である。
【0033】
図2に示すように、TN方式の液晶変調素子120は、離隔して対向配置された1対のガラス基板121および122を有する。ガラス基板121および122は、それぞれの互いに向かう側(以下「内側」という)の面に配置された1対の透明電極123、124と、更に内側に配置された1対の配向膜125、126とをそれぞれ有する。配向膜125と配向膜126との間には、液晶が充填および密閉されることにより、液晶層127が形成されている。
【0034】
配向膜125の溝方向と配向膜126の溝方向とは、互いに直交している。ここでは、配向膜125の溝方向はY軸方向であり、配向膜126の溝方向はX軸方向となっている。すなわち、レーザ光210が入射する側に配置された配向膜125の溝方向は、レーザ光210の偏光方向に一致している。
【0035】
したがって、液晶変調素子120は、透明電極123、124に印加する電圧の大小に応じた角度で、液晶層127内の液晶分子を配向膜125側から配向膜126側へと連続的に回転させ、レーザ光220の偏光方向を回転させることができる。
【0036】
また、液晶変調素子120における偏光方向の回転角(以下「偏向回転角」という)は最大90度である。したがって、液晶変調素子120は、P偏光を、S偏光に、またはP偏光とS偏光との両成分を所定の比で含む光に、変換することができる。または、液晶変調素子120は、P偏光を、そのまま出力することもできる。
【0037】
また、透明電極123、124は、印加する電圧を、上記分割エリアごとに制御可能となっている。したがって、液晶変調素子120は、分割エリアごとに、レーザ光220のP偏光とS偏光との比を任意に変化させることができる。
【0038】
なお、上述したTN方式の液晶変調素子等は、旋光性により偏光回転を行い、略直線偏光のレーザ光220を出力するものである。
【0039】
図3は、IPS方式の液晶変調素子120の構成の一例を示す模式図であり、図2に対応するものである。
【0040】
図3に示すように、IPS方式の液晶変調素子120は、出射側のガラス基板122に透明電極を配置していない。また、IPS方式の液晶変調素子120は、出射側の配向膜126の溝方向が、入射側の配向膜125と平行となっている。このような液晶変調素子120によっても、分割エリアごとに、レーザ光220のP偏光とS偏光との比を任意に変化させることができる。
【0041】
なお、上述したIPS方式またはVA方式の液晶変調素子等は、複屈折性により偏光回転を行い、楕円偏光のレーザ光220を出力するものである。これらの方式は、楕円偏光の軸方向を変化させることにより、レーザ光220のP偏光とS偏光との比を任意に変化させることができる。
【0042】
本実施の形態の液晶変調素子120の構成は、テレビジョン等の液晶表示装置において用いられる従来の液晶変調素子の構成とは異なっている。これは、従来の液晶変調素子が画素ごとの光の透過量の制御を目的とするのに対し、本実施の形態の液晶変調素子120は、レーザ光210に対する偏光状態の制御を目的とするためである。
【0043】
ここで、参考のために、従来の液晶変調素子の構成の一例について説明する。
【0044】
図4は、従来の液晶変調素子の構成を示す模式図であり、図2に対応するものである。ここでは、TN方式のカラー液晶変調素子を例として説明する。
【0045】
従来の液晶変調素子10は、図2に示す本実施の形態の液晶変調素子120の構成に加えて、クロスニコルに配置された1対の偏光板11、12と、カラーフィルタ13とを有する。また、従来の液晶変調素子10は、画素間の光のクロストークを防止して画像のコントラストを向上させるために、各画素を囲むように配置されたブラックマトリクス等のクロストーク防止手段(図示せず)を有する。このような構成により、従来の液晶変調素子10は、各画素に対応するエリアを透過する光の偏光状態を、例えばサブピクセル単位で変更することができる。
【0046】
図2と図4との比較からも明らかなように、本実施の形態の液晶変調素子120は、従来の液晶変調素子10において必要であった偏光板11、12、カラーフィルタ13、およびクロストーク防止手段を有していない。
【0047】
偏光板11を有していないのは、単一の偏光方向を有するレーザ光210を入射光とするからである。偏光板12を有していないのは、出射光の偏光方向を変化させるものであるからである。クロストーク防止手段を有していないのは、クロストークを防止する必要がないからである。
【0048】
このように、本実施の形態の液晶変調素子120は、従来の液晶変調素子10に比べて、部品点数を少なくすることができるので、低コストで作製することができる。
【0049】
また、従来の液晶変調素子10では、ブラックマトリクス等の影響により実質的な開口率が100%未満となるが、本実施の形態の液晶変調素子120は、実質的な開口率をほぼ100%とすることができ、非常に高い透過率を実現することができる。
【0050】
また、本実施の形態の液晶変調素子120の透過率は、ブラックマトリクスを考慮しない場合でも、従来の液晶変調素子10の透過率の約3.75倍となる。これは、入射光が白色レーザ光であり、偏光板11の透過率が80%であり、カラーフィルタ13における光量の減衰が1/3であり、偏光板12を配置しない場合の数値である。偏光板12を配置しないのは、偏光板12を配置すると直線偏光しか出射されなくなるためである。
【0051】
次に、液晶変調素子120による偏光状態の制御およびその効果について説明する。
【0052】
図5は、液晶変調素子120による偏光状態の制御の様子の一例を示す模式図である。ここでは、液晶変調素子120をZ軸の正の方向側からみたときの、レーザ光220の偏光方向(以下「変調後偏光方向」という)を示す。
【0053】
図5(A)および図5(B)に示すように、液晶変調素子120の光透過領域300は、X−Y平面において、複数の分割エリアに区切られている。液晶変調素子120は、各分割エリア310に対して個別に偏光回転角を設定することが可能な構成となっている。すなわち、液晶変調素子120は、分割エリア310ごとに1対または複数対の透明電極を配置しており、分割エリア310ごとに透明電極への印加電圧を制御する。なお、一般に、光の偏光方向が回転するときには、位相も変調される。
【0054】
液晶変調素子120に入射するレーザ光210は、レーザ光210の照射範囲(透過範囲)211で連続した、各分割エリア310を照射範囲とする複数の微小レーザ光の集合体と考えることができる。したがって、分割エリア310ごとに変調を行うことにより、出射するレーザ光220全体として、自由度の高い偏光状態制御を行うことができる。
【0055】
この偏光状態制御は、どの分割エリア310を透過する微小レーザ光をどの程度S偏光に変換するかについての制御を含む。また、偏光状態制御は、副次的作用として、各微小レーザ光の位相状態をどの程度変更するのかについての制御も含む。
【0056】
ここでは、図5(A)に示す各分割エリア310の変調後偏光方向311は、隣り合う分割エリア310の間で互いに直交している。この場合、液晶の応答速度に起因する過渡状態を無視すれば、隣り合う分割エリア310は常にコヒーレンス長以上の光路差を有することになる。したがって、隣り合う分割エリア310の微小レーザ光の間では干渉は発生せず、隣り合う分割エリア310の間で変調後偏光方向311を一致させた場合よりもスペックルを低減することが可能となる。
【0057】
また、液晶変調素子120は、例えば、図5(A)に示す状態と図5(B)に示す状態とを交互に切り替える動作を、高速で繰り返しても良い。図5(A)に示す各分割エリア310の変調後偏光方向311と、図5(B)における対応する分割エリア310の変調後偏光方向312とは、直交している。この場合、液晶の応答速度に起因する過渡状態を無視すれば、2つのスペックルパターンが、拡散面で観測されることになる。この場合、繰り返し周期を、人間の目の残像時間(約1/30秒)以下にすれば、スペックルパターンは2つのパターンが積分された状態で観測され、結果として更にスペックルを低減させることができる。
【0058】
図6は、スペックルの積分効果を示す模式図である。
【0059】
複数のスペックルパターンが積分された状態で観測される場合、積分されるスペックルパターンの数が多いほど、最終的に観測されるスペックルは減少する。また、積分されるスペックルパターンの互いの相関が小さいほど、スペックル減少の効果は高くなる。例えば、図6に示すように、N個のパターンのスペックルパターンP〜Pを積分すると、輝度の濃淡が平均化されたスペックルパターンPが得られる。
【0060】
また、レーザ光220の偏光方向の分布が時間的周期性および空間的周期性を失うほど、つまり、よりランダムになるほど、積分されるスペックルパターンの数は増大し、観測されるスペックルは低減する。したがって、液晶変調素子120は、例えば、各分割エリア310の偏光回転角を、同一の周期で位相をずらした状態で変化させたり、異なる周期で偏光回転角を変化させたりする。また、液晶変調素子120は、例えば、各分割エリア310の偏光回転角を、非周期的かつ異なるパターンで変化させるようにしても良い。
【0061】
次に、液晶変調素子120の制御内容の具体例について説明する。
【0062】
液晶変調素子120は、分割エリアごとに、入射光の偏光方向を回転させる角度(以下「偏光回転角」という)を、0度から90度の所定の角度までの範囲で時間的に変化させる。また、液晶変調素子120は、出射するレーザ光220のP偏光230とS偏光240との偏光成分比が、ほぼ1:1となるようにする。また、液晶変調素子120の全ての分割エリアを、同一の大きさとする。
【0063】
具体例として、2つの駆動方法について説明する。
【0064】
1つ目は、液晶変調素子120は、図5に示したように、変調後偏光方向を0度または90度の2値で切り替える駆動方法である。但し、液晶変調素子120は、変調後偏光方向を0度にする分割エリア(または、変調後偏光方向を90度にする分割エリア)を、全ての分割エリアのほぼ半数となるように、ランダムに選択する。
【0065】
2つ目は、液晶変調素子120は、レーザ光210を全てのエリアで45度回転させた状態を基準として、プラスマイナス45度の範囲内で回転角を変化させる駆動方法である。
【0066】
具体的には、例えば、液晶変調素子120は、光透過領域300を、それぞれ複数の分割エリアから成るH個のエリアに区分し、区分エリアの中でそれぞれ分割エリアのペアを作る。そして、液晶変調素子120は、ペアを構成する一方の分割エリアを45+α(t)度に変調し、もう一方の分割エリアを45−α(t)度に変調する。ここで、α(t)は時間tの関数である。これにより、液晶変調素子120から出射されるレーザ光220のS偏光とP偏光の比は、常に1:1で一定となる。なお、1:1以外の比とする場合には、基準となる角度を45度以外とすれば良い。
【0067】
このような駆動方法により、液晶変調素子120は、偏光ビームスプリッタ130の偏光分離面に対し、S偏光とP偏光の比が等しい状態でレーザ光220を入射させ、コヒーレンスを低下させ、かつ、複数のスペックルパターンを生じさせて時間平均的に重ね合わせることができる。
【0068】
なお、上記2つの駆動方法において、偏光回転角の範囲、およびP偏光230とS偏光240との比は、上記内容に限定されるものではない。また、液晶変調素子120は、H個の区分エリアの取り方、および、各区分エリアの中でのペアの組み方を、時間変化させて良い。
【0069】
更に、液晶変調素子120は、映像の輝度に適応させて、レーザ光220の偏光状態を制御しても良い。例えば、液晶変調素子120は、暗いシーン(レーザ光210の輝度が低い)と明るいシーン(レーザ光210の輝度が高い)とで、常に同じレベルのスペックルが観測されるように、レーザ光220の偏光状態をコントロールする。一般的に、スペックルは、映像の輝度が高いほど観測され易く、目立つ。したがって、このようなコントロールにより、スペックルの強度の変化による違和感を低減することができる。
【0070】
具体的には、例えば、液晶変調素子120は、P偏光のスペックルを低減する方向に働くS偏光の比率が、明るいシーンよりも暗いシーンにおいて時間平均的に少なくなるように、各分割エリアの偏光回転角を制御する。このような制御は、液晶変調素子120にて消費される電力の削減にも有効である可能性がある。
【0071】
また、例えば、液晶変調素子120は、明るいシーンよりも暗いシーンにおいて、積分されるスペックルパターンの数が少なくなるように、各分割エリアの偏光回転角を制御しても良い。スペックルパターンの数の制御は、例えば、偏光回転角の分布の時間的周期性および空間的周期性を変化させることによって可能である。
【0072】
なお、一般に、レーザ光はガウシアン分布であったりその断面が楕円形に変形したりするため、レーザ光210の照射範囲内の分割エリア間で光強度に差が出る。したがって、液晶変調素子120は、各分割エリアにおけるレーザ光の光強度の差をも考慮して、レーザ光220のS偏光とP偏光の光強度が略等しくなるように、各分割エリアの回転角を制御することが好ましい。このような制御は、例えば、上記した区分エリアを十分に小さく取ることによって、容易に実現することができる。
【0073】
以上のように、本実施の形態に係るレーザ光源装置100によれば、レーザ光源110から出射されるレーザ光の断面における、任意の位置のコヒーレンスを、選択的に低下させることが可能となる。また、これを時間的に変調することで、複数のスペックルパターンを生成し、積分の効果によってスペックルを低減することが可能となる。
【0074】
一般的に、レーザ光のようなコヒーレンス光を拡散面に照射した場合に生ずるスペックルについて、ビームパターン(レーザ光断面における強度分布)の各部分の変化と、観測されるスペックルパターンの各部分の変化との対応関係を定量化することは困難である。また観測位置や観測者の瞳径によっても、観測されるスペックルパターンは異なる。
【0075】
従って、特許文献1〜特許文献4に記載の装置で行われる、複数の静的なビームパターンの重ね合わせによってでは、スペックルを低減することができる観測条件は限られる。
【0076】
本実施の形態に係るレーザ光源装置100においては、重ね合わせられる個々のビームパターンをより複雑なパターンにすることができ、スペックルが低減する観測条件の範囲を拡大することができる。
【0077】
また、一般的なモノクロ液晶変調素子から偏光板を取り除いたような簡易な素子を用いた制御で、レーザ光源装置100の後段で光が散乱した場合において発生するスペックルを、機械的摺動部なく、大きく減少させることができる。
【0078】
また、液晶変調素子は分割エリアごとに電気的にレーザ光の偏光状態を制御することができるので、上記スペックル低減を容易に実現することができる。
【0079】
ところで、特許文献4に記載の装置から出力されるビーム光は偏光方向が揃っているのに対し、本実施の形態に係るレーザ光源装置100から出力されるビーム光は偏光方向が不揃いな状態となる。
【0080】
しかし、レーザ光源装置100の後段の投影系が、液晶表示素子等の偏光を維持する必要がある装置を用いるものではなく、DMD(digital micromirror device)や2次元MEMS(micro electro mechanical systems)スキャナ等の偏光を維持する必要がないものである場合には、導光効率は悪化しない。また、特許文献4に記載の装置では、液晶変調素子としてネマティック型液晶を用いたVA方式しか採用することができないが、本実施の形態に係るレーザ光源装置100は、TN方式やIPS方式等の液晶変調素子を用いることができ、汎用性において有利である。
【0081】
なお、レーザ光210の光路差生成を目的とした導光光学系として機能する、第1の直角プリズム140および第2の直角プリズム150は、4枚のミラーに置き換えても良い。ミラーの方が、光学系を構成する際の材料コストを安くすることができる場合がある。しかし、直角プリズムの方が、一般的にレーザ光210の反射率がよく、かつ、光学系を構成する際の配置および配置の調整が簡易であるというメリットがある。
【0082】
更には、この一連の、分岐部、導光光学系、および合成部(偏光ビームスプリッタ130、第1の直角プリズム140、第2の直角プリズム150)としては、ハーフミラーあるいはビームスプリッタを偏光ビームスプリッタ130に置き換えて配置した、マイケルソン干渉計やマッハツェンダ干渉計の構成を採ることができる。また、この一連の装置部は、特許文献1に記載された例のように、2つの偏光ビームスプリッタと1つの直角プリズムに置き換えて構成されても良い。
【0083】
(実施の形態1の変形例)
小さい径のレーザ光210で高輝度の面状光を得ようとする場合、液晶変調素子120を通過する際の光密度が高くなり、液晶変調素子120を損傷してしまう可能性がある。また、小さい径のレーザ光210でスペックルの効果的な低減を図ろうとすると、照射範囲に十分な数の分割エリアを配置するために分割エリアを非常に小さくする必要があり、製造面および透過率(開口率)の面で不利となる可能性がある。
【0084】
そこで、拡大光学系を用いてレーザ光210の径を拡大し、径が拡大されたレーザ光210を液晶変調素子120に入射するようにしても良い。
【0085】
図7は、拡大光学系およびその周辺の構成を示す平面図である。
【0086】
図7に示すように、拡大光学系160は、レーザ光源110と液晶変調素子120との間に配置され、レーザ光源110から出射されるレーザ光210を拡大して、拡大したレーザ光210を液晶変調素子120に入射させる。拡大光学系160は、例えば、第1および第2の凸レンズ161、162を有する。
【0087】
このような拡大光学系160を設けることにより、レーザ光210の径が小さい場合であっても、レーザ光210による液晶変調素子120の損傷を防ぎつつ、スペックルの低減を図ることができる。
【0088】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2に係るレーザ光源装置の構成を示す平面図である。
【0089】
図8に示すように、発明の実施の形態2に係るレーザ光源装置100aは、第1の直角プリズム140および第2の直角プリズム150を、実施の形態1のレーザ光源装置100とは異なる位置で配置している。具体的には、第1の直角プリズム140および第2の直角プリズム150は、S偏光240を、偏光ビームスプリッタ130の偏光分離面131のうち、S偏光240が最初に反射作用を受けた位置とは異なる位置に入射させる位置および向きで、配置されている。
【0090】
ここでは、第1の直角プリズム140の位置が、図1における位置からシフトしている。これにより、第1の直角プリズム140に対するS偏光240の入射位置がシフトし、S偏光240の偏光分離面131への再入射位置(再反射位置)がシフトする。
【0091】
図8に示すように、偏光分離面131が、Y軸の正の方向とZ軸の正の方向とを二分する向きで配置され、第2の直角プリズム150がZ軸の負の方向にシフトしている場合には、S偏光240は、P偏光230に対してY軸の負の方向にシフトする。この結果、P偏光230とS偏光240とは、互いの光軸がY軸方向にずれた状態で、1つのレーザ光250へと合成される。
【0092】
なお、図8において、レーザ光源装置100aから最終的に出射されるレーザ光250は、P偏光とS偏光が重なっていない状態となっているが、一部が重なった状態であっても良い。また、第1の直角プリズム140および第2の直角プリズム150の両方、または第1の直角プリズム140のみを、Z軸方向に適宜移動させることによって、S偏光240の偏光分離面131への再入射位置をシフトさせるようにしても良い。
【0093】
このような構成によれば、実施の形態1に述べたスペックル減少効果に加えて、レーザ光210の断面のどの部分を所定の位置に平行移動させるかを制御することができる。また、平行移動させる部分の選択を、時間的に変化させることができる。これにより、レーザ光210の空間的コヒーレンスをも低下させることができる。すなわち、更に多様なビームパターンを持ったレーザ光250を出力することができ、スペックルをさらに減少させることができる。
【0094】
また、本実施の形態は、レーザ光210のコヒーレンス長が極めて長く、充分な光路差を、偏光ビームスプリッタ130、第1の直角プリズム140、および第2の直角プリズム150で生ずることができなかった場合についても、有効である。すなわち、P偏光230の位置とS偏光240の位置とをずらすので、コヒーレンス特性を低下させることができる。
【0095】
(実施の形態2の変形例)
本実施の形態のレーザ光源装置100aから出力されるレーザ光250の照射範囲は、実施の形態1のレーザ光源装置100から出力されるレーザ光250の照射範囲よりも大きくなる。また、本実施の形態のレーザ光源装置100aから出力されるレーザ光250の強度分布は、元のレーザ光210の強度分布に比べて不均一となる。そこで、レーザ光250の照射範囲を縮小し、かつレーザ光250の強度分布を均一化する均一化光学系を、レーザ光250の光路上に配置しても良い。
【0096】
図9は、均一化光学系の構成の一例を示す平面図である。
【0097】
図9に示すように、均一化光学系170は、入射側レンズ171、出射側レンズ172、およびロッドレンズ173を有する。ロッドレンズ173は、入射側レンズ171と出射側レンズ172との間に配置されている。
【0098】
入射側レンズ171は、偏光ビームスプリッタ130から出射されたレーザ光250を入射し、絞ったレーザ光250をロッドレンズ173に入射させる。
【0099】
ロッドレンズ173は、入射されたレーザ光250を、内部で全反射を繰り返しながら伝搬し、出射側レンズ172に入射させる。出射側レンズ172は、入射したレーザ光250を平行光にコリメートして出力する。
【0100】
このような均一化光学系170を配置することにより、レーザ光250の広がりを改善し、レーザ光250の強度分布を均一化することができる。
【0101】
なお、例えば、レーザ光250がY軸方向に広がっている場合には、入射側レンズ171に、Y軸方向において透過光を収束するシリンドリカルレンズを適宜組み合わせても良い。または、入射側レンズ171を、Y軸方向とX軸方向においてそれぞれ収束を行う、焦点距離の異なる複数のレンズに置き換えても良い。
【0102】
また、ロッドレンズ173を、光ファイバに置き換えてもよく、更に、そのまま光ファイバ出力をレーザ光源装置100aの出力としても良い。
【0103】
また、均一化光学系170は、ロッドレンズ173を省略しても良い。この場合でも、均一化光学系170の均一化性能はやや低下するものの、部品点数を抑えた状態で、Y軸方向への広がりを縮小することができる。
【0104】
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3に係るレーザ光源装置の構成を示す平面図である。
【0105】
図10に示すように、本実施の形態3に係るレーザ光源装置100bは、実施の形態1の第1の直角プリズム140および第2の直角プリズム150を有しておらず、偏光ビームスプリッタ130のZ軸の正の方向側に、直角プリズム180を配置している。直角プリズム180の反射面181は、偏光ビームスプリッタ130の偏光分離面131と平行となっている。
【0106】
このような構成によっても、レーザ光210の断面のどの部分を所定の位置に平行移動させるかを制御することができる。また、平行移動させる部分の選択を、時間的に変化させることができる。また、実施の形態1に示す構成に比べて、直角プリズムの個数を減らすことができるので、装置の簡素化および低コスト化を図ることができる。
【0107】
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4に係るレーザ光源装置の構成を示す平面図である。
【0108】
図11に示すように、本実施の形態に係るレーザ光源装置100cは、S偏光240の光路のうち、第1の直角プリズム140と第2の直角プリズム150との間に、反転光学系190を配置している。
【0109】
反転光学系190は、1対の凸レンズ191、192を有し、S偏光240のビームパターンを反転させる作用を持つ。なお、反転光学系190は、対向させた1対のシリンドリカルレンズや、ダブプリズムを有する構成としたり、これらを組み合わせた構成としても良い。また、反転光学系190の挿入位置は、第1の直角プリズム140と第2の直角プリズム150との間に限らず、S偏光240がP偏光230と分岐してから再度P偏光230と合成されるまでの間であれば良い。
【0110】
このような構成によれば、反転光学系190が必要になるものの、実施の形態2で述べた効果と同等の効果を得ることができる。また、実施の形態2の構成に比べて、第1および第2の直角プリズム140、150の位置を調整する必要がなくなり、ビームの広がりや強度の不均一を回避することができる。
【0111】
以上説明した各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。すなわち、上記レーザ光源装置の構成および使用時の動作についての説明は例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更および追加が可能であることは明らかである。
【0112】
また、上記実施の形態は、各々組み合わせることが可能である。具体的には、例えば、実施の形態1で述べた液晶変調素子の駆動方法および拡大光学系を、実施の形態2乃至実施の形態4に係るレーザ光源装置に対して適用することができる。また、実施の形態2で述べた均一化光学系を、実施の形態1、実施の形態3、および実施の形態4に係るレーザ光源装置に対して適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明に係るレーザ光源装置は、光成分の割合を分割エリアごとに電気的に制御することができるので、特に機械的摺動部を用いることなく、スペックルコントラストを効果的に低減することができるレーザ光源装置として有用である。レーザ光源を用いるアプリケーションにおいて、レーザ光のコヒーレンス特性に起因するスペックルが、悪影響を及ぼす場合がある。既存のレーザ光源装置を本発明のレーザ光源装置に置き換えることにより、機械的摺動部なく、スペックルを大きく減少させることが可能である。このようなレーザ光源装置は、特に信頼性、寿命、静音性などを要求されるディスプレイ用光源として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の実施の形態1に係るレーザ光源装置の構成を示す平面図
【図2】実施の形態1におけるTN方式の液晶変調素子の構成の一例を示す模式図
【図3】実施の形態1におけるIPS方式の液晶変調素子の構成の一例を示す模式図
【図4】従来の液晶変調素子の構成を示す模式図
【図5】実施の形態1における液晶変調素子による偏光状態の制御の様子の一例を示す模式図
【図6】実施の形態1におけるスペックルの積分効果を示す模式図を示す模式図
【図7】実施の形態1の変形例における拡大光学系およびその周辺の構成を示す平面図
【図8】本発明の実施の形態2に係るレーザ光源装置の構成を示す平面図
【図9】実施の形態2の変形例における均一化光学系の構成の一例を示す平面図
【図10】本発明の実施の形態3に係るレーザ光源装置の構成を示す平面図
【図11】本発明の実施の形態4に係るレーザ光源装置の構成を示す平面図
【符号の説明】
【0115】
100、100a、100b、100c レーザ光源装置
110 レーザ光源
120 液晶変調素子
130 偏光ビームスプリッタ
140 第1の直角プリズム
150 第2の直角プリズム
121、122 ガラス基板
123、124 透明電極
125、126 配向膜
127 液晶層
160 拡大光学系
161 第1の凸レンズ
162 第2の凸レンズ
170 均一化光学系
171 入射側レンズ
172 出射側レンズ
173 ロッドレンズ
180 直角プリズム
181 反射面
190 反転光学系
191、192 凸レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射する光源部と、
前記光源部から出射された前記レーザ光の偏光状態を制御する偏光状態制御手段と、
前記偏光状態制御手段によって偏光状態が制御された前記レーザ光を、第1の偏光成分と第2の偏光成分とに分岐させる分岐手段と、
前記分岐手段によって分岐された前記第1の偏光成分と前記第2の偏光成分とを、光路差を持たせて伝播させた後に合成する合成手段と、を有し、
前記偏光状態制御手段は、
前記光源部から出射された前記レーザ光の照射範囲を分割した複数のエリアごとに、前記レーザ光に対する複屈折性および旋光性のうち少なくとも一方を電気的に制御することで、前記レーザ光の偏光状態を制御する、
レーザ光源装置。
【請求項2】
前記偏光状態制御手段は、
少なくとも2つの前記エリア間において、異なる偏光状態制御を行う、
請求項1に記載のレーザ光源装置。
【請求項3】
前記偏光状態制御手段は、
第1の偏光成分と第2の偏光成分との比がほぼ1:1となるように、前記レーザ光の偏光状態を制御する、
請求項2に記載のレーザ光源装置。
【請求項4】
前記偏光状態制御手段は、
偏光回転角が0度から90度までの間の多値を取るように、前記レーザ光の偏光状態を制御する、
請求項2または請求項3に記載のレーザ光源装置。
【請求項5】
前記偏光状態制御手段は、
偏光回転角が0度および90度の2値を取るように、前記レーザ光の偏光状態を制御する、
請求項2または請求項3に記載のレーザ光源装置。
【請求項6】
前記偏光状態制御手段は、
液晶変調素子である、
請求項1に記載のレーザ光源装置。
【請求項7】
前記液晶変調素子は、
ガラス基板と、透明電極と、配向膜と、液晶層と、を有する、
請求項6記載のレーザ光源装置。
【請求項8】
前記分岐手段は、
偏光ビームスプリッタである、
請求項1記載のレーザ光源装置。
【請求項9】
前記合成手段は、
前記第1の偏光成分と前記第2の偏光成分とを近接させる導光光学系と、
近接した前記第1の偏光成分と前記第2の偏光成分とを同一方向に出射させる合成素子と、を有する、
請求項1に記載のレーザ光源装置。
【請求項10】
前記合成素子は、
前記第1の偏光成分および前記第2の偏光成分の少なくとも1つの光軸を、分岐前の光軸とずらして結合する、
請求項9に記載のレーザ光源装置。
【請求項11】
前記分岐手段および前記合成素子は、
1つの偏光ビームスプリッタである、
請求項9に記載のレーザ光源装置。
【請求項12】
前記合成素子は、
前記分岐手段とは異なる偏光ビームスプリッタである、
請求項9に記載のレーザ光源装置。
【請求項13】
前記合成素子は、
反射ミラーまたはプリズムである、
請求項9に記載のレーザ光源装置。
【請求項14】
前記導光光学系は、
反射ミラーまたはプリズムを有する、
請求項9記載のレーザ光源装置。
【請求項15】
前記導光光学系は、
前記第1の偏光成分および前記第2の偏光成分のいずれかのビームパターンを反転させる反転光学系を有する、
請求項9に記載のレーザ光源装置。
【請求項16】
前記反転光学系は、
1対の凸レンズもしくはシリンドリカルレンズ、またはダブプリズムを有する、
請求項15に記載のレーザ光源装置。
【請求項17】
前記光源部から出射された前記レーザ光を入射してその径を拡大し、径が拡大した前記レーザ光を前記偏光状態制御手段に入射させる拡大光学系、を更に有する、
請求項1に記載のレーザ光源装置。
【請求項18】
前記合成手段から出射された前記第1の偏光成分と前記第2の偏光成分との合成光の強度分布を均一化する均一化光学系、を更に有する、
請求項1に記載のレーザ光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−224311(P2010−224311A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72671(P2009−72671)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】