説明

ロボット制御システム

【課題】
操作者がコントローラに設けられた第1接続確認操作手段を操作すると、コントローラの第1表示手段と、可搬式操作部に設けられた第2表示手段が同時に第1接続確認操作手段が操作される前の第1表示状態から第2表示状態に変化するため、操作者が把持している乾式操作部とコントローラの接続関係の誤認識を確実に防止できるロボット制御システムを提供する。
【解決手段】
コントローラ20AとTP10と通信接続が完了した後、コントローラ20Aが教示モードに設定されている際に、操作者がコントローラ20Aに設けられた運転準備ボタン58aを押すと、運転準備ボタン58aの運転準備ボタン表示灯63と、TP10の非常停止ボタン表示灯141aが同時に消灯から点滅パターンに変わるので、操作者が把持しているTP10とコントローラ20Aの接続関係の誤認識を確実に防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティーチペンダント(以下、TPという)とロボットコントローラ(以下、コントローラという)とが、無線LANや有線LAN等で接続される際、TPの接続により意図せぬロボットを誤操作してしまうことを防止するロボット制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コントローラ(ロボット制御装置)とロボットマニピュレータが一対一で対応しているシステムが提案されている。例えば、この技術は特許文献1において従来技術として取り挙げられている。この種のシステムの場合、TPとコントローラ、ロボットマニピュレータは常に一対になっている。このため、仮にこのシステムが複数台並んだ生産ラインを考えた場合、各TPで動作するロボットマニピュレータは確定されていることから、特定のTPによる操作によって、該TPと一対一で対応しているマニピュレータ以外の他のマニピュレータが意図せずして動いてしまうことはない。
【0003】
特許文献1では、この従来技術に対して、1台の制御装置(コントローラ)で2台以上のロボットの教示プログラムを記憶し、2台以上のロボットの該教示プログラムの再生運転を制御するシステムが提案されている。このシステムでは、コントローラにおいて、教示プログラム記憶部の教示プログラム識別部に、ロボット識別部と作業識別部とが設けられ、教示プログラムの選択手段にロボット選択手段と作業選択手段とが設けられている。そして、該ロボット選択手段により教示プログラムが選択された場合には、選択されたロボットの全作業プログラムが選択されるとともに、該作業選択手段により、教示プログラムが選択された場合には、選択された作業の全ロボットの該プログラムが選択される。そして、該ロボット選択手段及び作業選択手段の両方が選択された場合には、選択された作業ロボットの選択された作業プログラムが選択できるようにされている。
【0004】
このシステムの場合、例えば1つのロボットで作成された教示プログラムが他のロボットで再生されてしまうことがないため、該他のロボットが予期せぬ動作に至ることはない。
【0005】
又、特許文献2では、一台のコントローラに対して複数のTPが接続できるように複数のコネクタボックスを有するロボット制御装置が提案されている。このロボット制御装置は、接続されている複数のTPから情報が出力されているときにはそのいずれか一つの情報を受け入れると共にコントローラからの情報を複数のTPに対等に入力する制限手段と、前記コントローラと前記TPとの間で授受される信号を一時記憶するバッファとを有する。
【0006】
特許文献2では、接続されている複数のTPから情報が出力されているときには、その情報はそれぞれ異なるデータバッファに一旦ストアされ、排他的論理素子を介してコントローラがそのいずれか一つの情報を受け入れるようにされている。上記構成によれば、複数のTPから単一のコントローラに情報が出力されたときに、データバッファに一時記憶してデータの衝突の回避を図ることにより、一方のTPを操作している操作者の指令により、他方のTPを操作している操作者にとってロボットマニピュレータが予期せぬ動きをして、該操作者に危険が及ばないようにしている。
【0007】
特許文献3では、通電状態でTPのコネクタの抜き差しを行ってもロボットが停止することなく、しかも数多くのロボットを制御する上位の制御装置によって制御される全てのロボットが停止しないロボット制御装置が提案されている。この特許文献3では明記されていないものの、一台のTPを複数のコントローラに使い回すことができる可能性が示唆されている。
【0008】
上記特許文献1〜3に記載の従来技術では下記のようにまとめることができる。
1)コントローラとTPが一対一で、かつ一台のコントローラに対して複数のロボットマニピュレータが接続される場合、操作者が予期せぬロボットマニピュレータを操作してしまう危険性については、従来技術では既に考慮がなされている(特許文献1,特許文献2)。
【0009】
2)一台のTPを複数のコントローラに使い回すことができる可能性が示唆されている(特許文献2,特許文献3)。
なお、上記1)2)から推測される、複数のコントローラ及び複数のロボットマニピュレータに対して一台のTPを使い回したりする場合、操作者が意図しないロボットマニピュレータを誤って操作してしまう問題については、上記従来技術では、考慮されていない。
【0010】
ところで、近年、ネットワーク技術や、非有線通信技術が発達し、又、USB(Universal Serial Bus)や、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronic Engineers 1394 )等に見られるように、電源が入った状態でケーブルの挿抜や接続できる電気的通信手段が確立してきている。このような技術状況において、1台のTPを、ロボットが稼働状態の複数台のコントローラにつなぎ換えて使用する場合が考えられる。この利点には、以下のものがある。
【0011】
1) TPの数を減らす事による省スペース化
2) TPの数を減らす事によるコスト削減
3) TPを非有線化にした場合は、ケーブルレスによる作業性の向上
4) TPを非有線化にした場合は、断線がなくなるための信頼性向上
ところが、その際に一番問題になるのが、操作者の安全の確保である。仮に、複数台のコントローラから所望の接続先であるコントローラを選択できない場合には、意図せぬコントローラにTPが接続されてしまい、TPからの操作により意図せぬロボットを動作させてしまう可能性があり、操作者の安全が確保できない問題がある。
【0012】
特許文献4では、本出願人が、この問題を解消するために、1台の可搬式操作部を、複数のコントローラにつなぎ換えて使用する場合、意図せぬロボットを操作してしまうことを防止する技術を提案している。特許文献4では、可搬式操作部とコントローラとが接続関係を結んだ際、可搬式操作部の接続先確認手段を操作することにより、接続先のコントローラ又はロボットに設けられた接続先確認表示灯を点灯させて、可搬式操作部とコントローラとの接続関係を確認できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平5−119827号公報、「産業用ロボットの作業プログラム選択方法」
【特許文献2】特許第2884912、「ロボット制御装置」
【特許文献3】特開2003−136447号公報
【特許文献4】特開2008−80474号公報、請求項4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、従来のロボット制御システムでは、操作者が可搬式操作部とコントローラ間の接続を思い込みで正しいと誤認識する場合があり、このような場合には、操作者が操作する可搬式操作部を操作すると、誤認識して接続されてしまったコントローラを介してロボットを誤操作する虞がある。
【0015】
又、特許文献4では、可搬式操作部とコントローラとが接続関係を結んだ際、可搬式操作部の接続先確認手段を操作することにより、接続先のコントローラ又はロボットに設けられた接続先確認表示灯を点灯させている。しかし、操作者が、特定のコントローラに接続関係を結んだと思い違いをした状態で、当該操作者が持っている可搬式操作部以外の他の可搬式操作部が、実際には既に該コントローラと接続されているときに、同様に他の操作者から接続先確認手段が同時に操作された場合には、他の可搬式操作部からの接続確認が行われたにもかかわらず、当該思い違いをした操作者は、接続先確認表示灯が表示されたことを誤認識してしまう問題がある。
【0016】
このような場合には、依然として、接続が完了したと思い込みしたコントローラのロボットに近寄ってしまう問題がある。
本発明の目的は、操作者がコントローラに設けられた第1接続確認操作手段を操作すると、コントローラの第1表示手段と、可搬式操作部に設けられた第2表示手段が同時に第1接続確認操作手段が操作される前の第1表示状態から第2表示状態に変化するため、操作者が把持している乾式操作部とコントローラの接続関係の誤認識を確実に防止できるロボット制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、可搬式操作部と、該可搬式操作部とネットワーク手段又は非有線通信手段を介して通信する複数のコントローラであって、再生モード又は教示モードに設定可能なコントローラと、前記コントローラ毎に接続されて該コントローラにより制御可能なロボットを備えたロボット制御システムにおいて、前記各コントローラは、第1接続確認操作手段と、第1表示手段と、教示モードの下で前記第1接続確認操作手段が操作された際に、前記第1接続確認操作手段が操作される前の第1表示状態から該第1表示状態とは異なる第2表示状態に前記第1表示手段を変化させる第1表示制御手段とを備えるとともに、前記第1接続確認操作手段が操作されたことに応じて、第1表示変化要求を前記ネットワーク手段、又は非有線通信手段を介して、通信接続されている前記可搬式操作部に通知し、前記可搬式操作部は、第2表示手段と、前記通知された前記第1表示変化要求に基づいて、前記第1接続確認操作手段が操作される前の第1表示状態から第2表示状態に前記第2表示手段を変化させる第2表示制御手段を備えることを特徴とするロボット制御システムを要旨とするものである。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1において、前記可搬式操作部は、第2接続確認操作手段を備えるとともに、前記第2接続確認操作手段がオン操作されたことに応じて、第2表示変化要求を前記ネットワーク手段、又は非有線通信手段を介して、通信接続された前記コントローラに通知し、前記第2表示制御手段は、前記第2接続確認操作手段のオン操作に応じて、第2表示手段の第2表示状態を、第1及び第2表示状態とは異なる第3表示状態に変化させ、前記コントローラの第1表示制御手段は、前記通知された前記第2表示変化要求に基づいて、前記第2接続確認操作手段が操作される前の第2表示状態から第3表示状態に前記第1表示手段を変化させることを特徴とする。
【0019】
請求項3の発明は、請求項2において、前記可搬式操作部は、第3接続確認操作手段を備えるとともに、前記第3接続確認操作手段が操作されたことに応じて第3表示変化要求を前記ネットワーク手段、又は非有線通信手段を介して、通信接続された前記コントローラに通知し、前記第2表示制御手段は、前記第3接続確認操作手段の操作に応じて、第2表示手段の第3表示状態を、第1表示状態に変化させ、前記コントローラの第1表示制御手段は、前記通知された前記第3表示変化要求に基づいて、前記第3接続確認操作手段が操作される前の第3表示状態から第1表示状態に前記第1表示手段を変化させることを特徴とする。
【0020】
請求項4の発明は、請求項2又は請求項3において、前記第2接続確認操作手段は、イネーブルスイッチであり、可搬式操作部は、前記イネーブルスイッチのオン操作に応じて、前記第2表示変化要求とともに、通電要求コマンドを該可搬式操作部に接続されたコントローラに通知し、前記コントローラは前記通電要求コマンドに基づいてロボットを動作するための通電を行うことを特徴とすることを特徴とする。
【0021】
請求項5の発明は、請求項3又は請求項4において、前記第3接続確認操作手段は、ロボットを停止するために操作される非常停止ボタンであり、可搬式操作部は、前記非常停止ボタンの操作に応じて、前記第3表示変化要求とともに、非常停止指令を該可搬式操作部に接続されたコントローラに通知し、前記コントローラは前記非常停止指令に基づいてロボットを停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上詳述したように、請求項1の発明によれば、可搬式操作部とコントローラとの接続完了後に、コントローラが教示モードに設定されている状態で、操作者がコントローラの第1接続確認操作手段を操作すると、コントローラの第1表示手段と、可搬式操作部の第2表示手段が、第1接続確認操作手段が操作される前の第1表示状態から第2表示状態に同様に変化する。このため、操作者は、操作した第1接続確認操作手段を有するコントローラと可搬式操作部とが、間違いなく接続されているか否かを確認でき、操作者が把持している可搬式操作部とコントローラの接続関係の誤認識を確実に防止できる。
【0023】
請求項2の発明によれば、操作者が可搬式操作部の第2接続確認操作手段をオン操作すると、コントローラの第1接続確認操作手段の第1表示手段と、可搬式操作部の第2表示手段が同時に第2表示状態から第3表示状態に変わるため、操作者が把持している可搬式操作部とコントローラの接続関係の誤認識をさらに確実に防止できる。
【0024】
請求項3の発明によれば、操作者が可搬式操作部の第3接続確認操作手段を操作すると、コントローラの第1表示手段と、可搬式操作部に配置された第2表示手段が同時に第3表示状態から第1表示状態に変わるので、操作者が把持している可搬式操作部とコントローラの接続関係の誤認識をさらに確実に防止できる。
【0025】
請求項4の発明によれば、第2接続確認操作手段は、イネーブルスイッチであることにより、イネーブルスイッチのオン操作に基づいて、第1及び第2表示手段が第2表示状態から第3表示状態にともに変化することを確認できることにより、ロボットに通電を行いながら可搬式操作部とコントローラの接続関係の誤認識を防止できる。
【0026】
請求項5の発明によれば、第3接続確認操作手段は、非常停止ボタンであることにより、非常停止ボタンの操作に基づいて、第1,第2表示手段が第3表示状態から第1表示状態にともに変化することを確認できることにより、ロボットの動作を停止しながら可搬式接続部とコントローラの接続関係の誤認識を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明を具体化した一実施形態のロボット制御システムのコントローラとTPのブロック回路図。
【図2】運転準備信号制御ラダー部及びマグネットスイッチ制御ラダー部が実行する制御ラダーを示すラダー図。
【図3】TPをコントローラ20A〜20Cのいずれかに接続する場合の説明図。
【図4】運転準備ボタン表示灯と非常停止ボタン表示灯の表示状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を、可搬式操作部としてのTP(ティーチペンダント)10と複数のコントローラ20A,20B,20Cとが無線LANを介して通信を行うロボット制御システム30に具体化した一実施形態を図1〜図4を参照して説明する。なお、図1では、複数のコントローラのうち、説明の便宜上、1つのコントローラ20Aのみが図示されている。
【0029】
図3に示すようにロボット制御システム30の複数のコントローラ20A,20B,20Cがそれぞれ制御するロボットR1,R2,R3は、例えば溶接ロボットである、なお、ロボットは、溶接ロボットに限定されるものではなく、例えば搬送ロボット等の他のロボットであってもよい。なお、コントローラ20A,20B,20Cの構成は同じであるため、コントローラ20Aの構成を以下に説明し、他のコントローラ20B,20Cの説明を省略する。
【0030】
(1. TP10)
図1に示すようにTP10はCPU11、ROM12、RAM13、入出力ポート14、LANI/F15、キーボード16(図3参照)、表示装置17(図3参照)、有線・無線変換器18、及びタイマ19等の各部を備えているとともに各部はバス11aを介して接続されている。
【0031】
CPU11は、中央演算処理装置である。ROM12には、TP10からのロボットR1等の操作やTP10との通信をCPU11が実行するための各種制御プログラムとその制御定数が格納される。RAM13は、CPU11のワーキングエリアとして用いられ、計算途中のデータが一時的に格納される。
【0032】
入出力ポート14は、常閉スイッチである非常停止ボタン140aのオンオフを検出する非常停止ボタン検出部140と、非常停止ボタン表示灯141aを点灯駆動する非常停止ボタン表示灯駆動部141と、常開スイッチからなるイネーブルスイッチ142aのオンオフを検出するイネーブルスイッチ検出部142を備えている。前記イネーブルスイッチ142aは、TP10の背面に配置され、操作者がTP10を把持している際に、オン操作可能である。すなわち、イネーブルスイッチ142aは、教示モードにおいて、TP10が接続したコントローラのロボットのモータ(図示しない)への電力の通電を行うために操作される。 LANI/F15はコントローラ20Aとの接続に使用される通信機である。有線・無線変換器18は、LANI/F15を介して出力されたデータを無線で送信したり、コントローラ20Aから無線送信されたデータを受信してLANI/F15に該データを出力する。キーボード16は、各種キーを備え、TP10の操作者がロボットの操作を入力するためのインターフェイスとして使用される。
【0033】
表示装置17は、液晶ディスプレイ等からなり、TP10の操作者がロボットの操作条件や動作状態を確認するための表示機として使用される。タイマ19は定期時刻ごとに同期信号を発生する。そして、該同期信号はティーチペンダント10で実施される定期的な演算のタイミングとして使用される。
【0034】
TP10は、キーボード16の特定のキー入力操作により、TP10の教示モード及び再生モードのモード選択が可能である。モード選択されると、CPU11は、RAM13に、現在のTP10のモードをモード情報として記憶する。
【0035】
教示モードは、TP10の操作により、該TP10に接続されたコントローラに対してコマンドやパラメータを送り、作業手順である作業プログラムの登録又は編集を行うモードである。教示モードでは、ロボットの位置を登録するためにTP10の操作に応じてロボットの動作を行なうことができ、更にシステムの諸設定、状態表示や診断を行なうことができる。一方、再生モードは、該TP10に接続されたコントローラに対して再生指示を出すことにより、該コントローラが前記作業プログラムの再生を行なうことで自動でロボットによる作業を行なうモードである。
【0036】
(2. コントローラ20A)
コントローラ20Aは、CPU21、ROM22、RAM23、記憶装置24、LANI/F25、タイマ26、サーボドライバ27、有線・無線変換器28及び入出力ポート53の各部を備えているとともに各部はバス29を介して接続されている。
【0037】
前記ROM22には、TP接続確認処理プログラム131、運転準備信号「開」処理プログラム132、運転準備信号「閉」処理プログラム133、コントローラ20Aが制御対象とするロボットR1の動作制御を実行するための制御プログラム等の各種制御プログラムとその制御定数が格納されている。
【0038】
RAM23は、CPU21のワーキングエリアとして用いられ、計算途中のデータが一時的に格納される。
記憶装置24には、ロボットR1の作業が教示されたデータや、制御プログラムの実行条件、ならびに各種の制御変数が格納される。又、記憶装置24には、教示モードで、TP10から送られたコマンドやパラメータに基づいて、作業手順である作業プログラムが登録されている。又、記憶装置24は、コントローラ20Aが、教示モードに設定されているか、再生モードに設定されているかのモード状態を記憶する。このモード設定は、TP10からのモードの設定指示等により行われる。
【0039】
なお、本実施形態では記憶装置24は、ハードディスクにて構成しているが、ハードディスクに限定するものではなく、他の読出し書換可能な記憶装置であってもよい。
LANI/F25は、TP10との接続に使用される通信機である。有線・無線変換器28は、LANI/F25を介して出力されたデータを無線で送信したり、TP10から無線送信されたデータを受信してLANI/F25に該データを出力する。タイマ26は、定期時刻毎に同期信号を発生する。同期信号は、CPU21からのサーボドライバ27への指令値の更新タイミングとして使用される。サーボドライバ27は、ロボットR1の各関節を駆動する図示しないモータに接続され、該モータに通電させる電流を制御する。サーボドライバ27にはその電源として例えばAC200Vが供給されるが、その供給はマグネットスイッチ(以下、MS)でOn/Offされる。
【0040】
コントローラ20Aは、常開スイッチである運転準備ボタン58aにてオンオフされるスイッチ回路58を有し、同スイッチ回路58は、入出力ポート53に接続されている。運転準備ボタン58aは、ロボットR1自体、又はロボットR1の近位、或いは、コントローラ20A自体、又はコントローラ20Aの近位に設けられている。入出力ポート53には、前記スイッチ回路58が接続された運転準備信号制御ラダー59が設けられている。運転準備信号制御ラダー59は、運転準備ボタン58aのオンオフにより、運転準備信号制御を行うためのものである。入出力ポート53には、マグネットスイッチ制御ラダー60が設けられている。マグネットスイッチ制御ラダー60(なお、図1では、MS制御ラダーと記載)は、非常停止スイッチ61aのオンオフに応じてマグネットスイッチ制御を行うためのものである。又、コントローラ20Aは、運転準備ボタン表示灯63の点灯回路62を備えている。点灯回路62は、入出力ポート53に接続されている。入出力ポート53には、点灯回路62を点灯駆動する運転準備ボタン表示灯駆動回路64が設けられている。
【0041】
本実施形態では、コントローラ20AのCPU21は、第1表示制御手段に相当する。コントローラ20Aの運転準備ボタン58aは、第1接続確認操作手段に相当し、運転準備ボタン表示灯63は、第1表示手段に相当する。
【0042】
TP10のCPU11は、第2表示制御手段に相当し、イネーブルスイッチ142aは、第2接続確認操作手段に相当し、非常停止ボタン表示灯141aは、第2表示手段に相当する。又、非常停止ボタン140aは、第3接続確認操作手段に相当する。
【0043】
本実施形態では、TP10のLANI/F15、有線・無線変換器18、コントローラ20AのLANI/F25、有線・無線変換器28とにより、無線LANからなるネットワーク手段が構成されている。なお、無線LANでは通信パケットによりLANI/F15,25間の交信が行われている。なお、本実施形態を含めた以下の各実施形態では、各種メッセージが作成されて交信相手に送信されるが、特段に説明が無くても通信パケットとして各種メッセージが作成されている。
【0044】
(実施形態の作用)
上記のように構成されたロボット制御システム30において、ティーチペンダント10が複数のコントローラのうち、コントローラ20Aに接続する際の作用を説明する。なお、TP10とコントローラ間は、接続された際には公知の安全通信及び非安全通信で通信を行うこととなるが、本発明とは直接関係しないため、説明を省略する。
【0045】
なお、説明の便宜上、コントローラ20Aは、教示モードに設定されているものとする。又、TP10とコントローラ20Aとは、通信接続が完了する前は、運転準備ボタン表示灯63、非常停止ボタン表示灯141aは、第1表示状態として消灯している状態ものとする。
【0046】
1)ステップ1(以下、ステップをSで表わす) TP10とコントローラ20Aの接続処理開始
操作者がTP10をキーボード16を入力操作して、TP10とコントローラ20Aとの接続処理を開始する。この接続処理としては、図3に示すように、1ヶのTP10が、複数のコントローラ20A,20B,20Cから任意の1つを選択するケースがある。
【0047】
操作者は、TP10のキーボード16を入力操作して、接続可能な複数のコントローラ20A,20B,20Cの中から所望の接続先を1つ選択し、選択したコントローラ20Aに対して接続要求コマンドを通知する。接続要求コマンドは、LANI/F15を介してTP10からコントローラ20Aに通知される。又、TP10は、この接続要求コマンドと合わせて、TP10のモード情報、すなわち、TP10が、現在教示モード、又は再生モードのいずれに設定されているかを示す情報を通知する。
【0048】
2)S2 コントローラ20AのTP10接続確認処理
コントローラ20AのCPU21は、有線・無線変換器28、LANI/F25を介してティーチペンダントTPから接続要求コマンドを受信すると、ROM22のTP接続確認処理プログラム131が実行される。そして、CPU21は、このプログラムに従ってコントローラ自身が現在、接続可能な状況かどうかを判断する。接続可能な状況の判断条件には以下のものがある。
【0049】
・現在、コントローラ20Aは他のティーチペンダントTPと接続状態に無い。
・ティーチペンダントTPのモード(教示/再生)と、コントローラ20Aのモード(教示/再生)が一致している。このモードの一致は、ティーチペンダントTPから送信されるティーチペンダントTPのモード情報に基づいて判断される。
【0050】
3)S3 コントローラ20Aによる運転準備信号の「開」処理
CPU21は、現在、TP10以外の他のティーチペンダントと接続状態に無く、かつコントローラ20Aが教示モードである時には、接続要求コマンドを発信したティーチペンダントTPと接続状態を確立可能と判断し、運転準備信号「開」処理プログラム132に従って運転準備制御信号を「開」にする(図2参照)。図2は、運転準備信号制御ラダー59及びマグネットスイッチ制御ラダー60が実行する制御ラダーを示すラダー図である。
【0051】
なお、説明の便宜上、図2において、当初は、運転準備信号制御ラダー59、及びマグネットスイッチ制御ラダー60では運転準備信号が「閉」になっているものとし、マグネットスイッチ制御ラダー60では、非常停止ボタン信号は「閉」、マグネットスイッチMSは「閉」になっているものとする。すなわち、非常停止ボタン140aは常閉スイッチであるため、通常はオン状態であり、この状態のときには、非常停止ボタン検出部140の検出に基づいてTP10からコントローラ20Aに、非常停止ボタン信号が「閉」の通知がされているものとする。
【0052】
この状態で、図2において、CPU21が、前述のように運転準備制御信号を「開」にすると、入出力ポート53の運転準備信号制御ラダー59では、予めプログラミングされた運転準備信号制御ラダープログラムにより、運転準備信号も「開」となる。さらに、運転準備信号が「開」になると、予めプログラミングされたマグネットスイッチ制御ラダー60が備えるMS制御ラダープログラムにより、マグネットスイッチMSが「開」となる。
【0053】
具体的には、マグネットスイッチ制御ラダー60から、マグネットスイッチMSに電力遮断コマンドが出力され、サーボドライバ27への電力が遮断されることにより、ロボットR1のアームを駆動するロボットモータへの電力供給が断たれる。この結果、ロボットR1は動作できない安全な状態となる。
【0054】
4)S4 操作者による運転準備ボタン操作
次に、ティーチペンダントTPの操作者が、ロボットR1のアームを駆動するロボットモータに電力を供給したいときには、操作者がコントローラ20Aに有線で接続されている運転準備ボタン58aを押す。
【0055】
5)S5 コントローラ20Aによる表示灯制御
コントローラ20AのCPU21は、操作者による運転準備ボタン58aの「閉」を検知すると、上記のステップ3で「開」とした運転準備制御信号を運転準備信号「開」処理プログラム132に従って即座に「閉」にすると同時に運転準備ボタン表示灯63を「点滅モード」にする。これにより、運転準備ボタン表示灯63は、第1表示状態の消灯から第2表示状態の点滅状態となる。
【0056】
又、CPU21は、運転準備ボタン58aの「閉」を検知すると、有線・無線変換器28、LANI/F25を介して非常停止ボタン表示灯141aの点滅要求コマンド(第1表示変化要求)を、接続済みのTP10に対して送信する。
【0057】
TP10は、LANI/F15を介して非常停止ボタン表示灯141aの点滅要求コマンドを受信すると、非常停止ボタン表示灯駆動部141を介して非常停止ボタン表示灯141aを「点滅モード」にする。これにより、非常停止ボタン表示灯141aは、第1表示状態の消灯から第2表示状態の点滅状態となる。
【0058】
ここで、非常停止ボタン表示灯141aの点滅は、運転準備ボタン表示灯63の点滅と同期した同じ点滅パターンであると、操作者に両者が通信接続されていることが分かりやすくて好ましい。なお、点滅パターンは、全く同じでなくても、例えば、非常停止ボタン表示灯141aが点滅モードにおいて、点灯している期間は、運転準備ボタン表示灯63の点滅モードでは、運転準備ボタン表示灯63は消灯し、反対に、非常停止ボタン表示灯141aが点滅モードにおいて、消灯している期間は、運転準備ボタン表示灯63の点滅モードでは、運転準備ボタン表示灯63は点灯しているようにしてもよい。
【0059】
なお、操作者による運転準備ボタン58aの押す操作時間は、運転準備信号制御ラダープログラムの実行周期よりも長い時間となるように、運転準備ボタン58aの「閉」状態を保持しておけば、運転準備信号制御ラダープログラムにより運転準備信号が「閉」となる。本実施形態では、前記実行周期は、30msec程度としているため、操作者が運転準備ボタン58aの「閉」状態を0.1秒以上保持しておけば、運転準備信号制御ラダープログラムにより運転準備信号が「閉」となる。又、運転準備信号が「閉」となり、かつ、後述するイネーブルスイッチ142aのオン操作に基づく通電要求コマンドがあった場合、MS制御ラダープログラムにより、マグネットスイッチMSも「閉」となりロボットのアームを駆動するモータ(図示しない)へ電力が供給される。このようにモータが通電されることで、操作者はTP10の操作としてロボットを所望の位置に動作させて、ティーチング作業(教示)を行うことが可能となる。
【0060】
6)S6 操作者によるイネーブルスイッチ142aのオン操作
前記のようにステップ5を経た上で、TP10の操作者が、ロボットR1のアームを駆動するモータへの電力供給させたいときには、操作者が、TP10に具備されているイネーブルスイッチ142aを押す。イネーブルスイッチ142aがオン(「閉」)操作されると、イネーブルスイッチ検出部142の「閉」の検出に基づいて、CPU11は、通電要求コマンドをコントローラ20Aに対して通知する。通電要求コマンドは、LANI/F15を介してTP10からコントローラ20Aに通知される。
【0061】
コントローラ20AのCPU21は、有線・無線変換器28、LANI/F25を介してティーチペンダントTPから通電要求コマンドを受信すると、この通電要求コマンドに従ってマグネットスイッチMSを「閉」とし、モータを通電状態にする。この通電状態において、TP10を用いた手動運転操作を行うことが可能になり、ロボットに所望の作業を教示することができる。
【0062】
7)S7 TP10による第1の表示灯制御
又、TP10のCPU11は、イネーブルスイッチ検出部142がイネーブルスイッチ142aの「閉」を検知すると、非常停止ボタン表示灯141aを「点灯モード」にする。これにより、非常停止ボタン表示灯141aは、点滅を伴わないで点灯する。すなわち、非常停止ボタン表示灯141aは、第2表示状態の点滅から、第3表示状態の点灯に変化する。
【0063】
又、CPU11は、LANI/F15を介して運転準備ボタン表示灯63の点灯要求コマンド(第2表示変化要求)を、接続済みのコントローラ20Aに対して送信する。コントローラ20AのCPU21は、有線・無線変換器28、LANI/F25を介して運転準備ボタン表示灯63の点灯要求コマンドを受信すると、運転準備ボタン表示灯駆動回路64により運転準備ボタン表示灯63を「点灯モード」にする。これにより、運転準備ボタン表示灯63は、点滅を伴わないで点灯する。すなわち、運転準備ボタン表示灯63は、第2表示状態の点滅から、第3表示状態の点灯に変化する。
【0064】
なお、ここで、操作者が、ロボットR1のアームを駆動するモータへの電力供給を停止させたいときには、TP10に具備されているイネーブルスイッチ142aを離す(オフ操作する)。
【0065】
すると、TP10のCPU11は、イネーブルスイッチ検出部142がイネーブルスイッチ142aの「開」を検知し、非常停止ボタン表示灯駆動部141を介して非常停止ボタン表示灯141aを「点滅モード」にする。これにより、非常停止ボタン表示灯141aは、点滅する。又、CPU11は、LANI/F15、有線・無線変換器18を介して運転準備ボタン表示灯63の点滅要求コマンドと電力遮断コマンドを、コントローラ20Aに対して送信する。
【0066】
コントローラ20AのCPU21は、有線・無線変換器28、LANI/F25を介して運転準備ボタン表示灯63の点滅要求コマンドと電力遮断コマンドを受信すると、運転準備ボタン表示灯63の点滅要求コマンドに基づいて運転準備ボタン表示灯駆動回路64を介して運転準備ボタン表示灯63を「点滅モード」にする。これにより、運転準備ボタン表示灯63は、点滅する。又、コントローラ20Aは、電力遮断コマンドに従って、マグネットスイッチMSを「開」としモータの通電を遮断状態にする。この結果、先ほどとは逆に、非常停止ボタン表示灯141aは「点滅モード」、運転準備ボタン表示灯63は「点滅モード」となる。
【0067】
8)S8 操作者による非常停止ボタン140aの操作
操作者が、ロボットのアームを駆動するモータへの電力供給を強制的に遮断させたいときには、TP10の非常停止ボタン140aを押して「開」にする。
【0068】
9)S9 TP10による第2の表示灯制御
CPU11は、非常停止ボタン検出部140の非常停止ボタン140aのオフの検出に基づいて、非常停止ボタン表示灯駆動部141により非常停止ボタン表示灯141aを「消灯モード」にする。これにより、非常停止ボタン表示灯141aが消灯する。
【0069】
又、CPU11は、非常停止ボタン検出部140の非常停止ボタン140aのオフの検出に基づいて、「開」の非常停止ボタン信号(非常停止指令)と、運転準備ボタン表示灯63の消灯要求コマンド(第3表示変化要求)を、LANI/F15、有線・無線変換器18を介してコントローラ20Aに対して通知する。
【0070】
コントローラ20AのCPU21は、有線・無線変換器28、LANI/F25を介して「開」の非常停止ボタン信号(非常停止指令)と、運転準備ボタン表示灯63の消灯要求コマンドを受信すると、運転準備ボタン表示灯63の消灯要求コマンドに基づいて運転準備ボタン表示灯駆動回路64を介して運転準備ボタン表示灯63を「消灯モード」にする。すなわち、運転準備ボタン表示灯63を消灯する。
【0071】
又、CPU21は、「開」の非常停止ボタン信号(非常停止指令)に基づいて、マグネットスイッチ制御ラダー60では、前記MS制御ラダープログラムにより、マグネットスイッチMSが「開」となる。
【0072】
この結果、サーボドライバ27への電力が遮断されることにより、ロボットR1のアームを駆動するロボットモータへの電力供給が断たれ、ロボットR1は動作できない安全な状態となる。
【0073】
さて、本実施形態によれば、以下のような特徴がある。
(1) 本実施形態のロボット制御システムによれば、コントローラ20AとTP10と通信接続が完了した後、コントローラ20Aが教示モードに設定されている際に、S4とS5の段階で、操作者がコントローラ20Aに設けられた運転準備ボタン58a(第1接続確認操作手段)を押すと、運転準備ボタン58aの運転準備ボタン表示灯63(第1表示手段)と、TP10の非常停止ボタン表示灯141a(第2表示手段)が同時に消灯(第1表示状態)から点滅パターン(第2表示状態)に変わるので、操作者が把持しているTP10とコントローラ20Aの接続関係の誤認識を確実に防止できる。特に、教示モードでは、ロボットが動作するため、操作者が、接続関係を誤認識することが防止できる意義は大きい。
【0074】
(2) 本実施形態のロボット制御システムによれば、加えて、上記のS6とS7の段階で、操作者がTP10のイネーブルスイッチ142a(第2接続確認操作手段)をON操作すると、コントローラ20Aの運転準備ボタン58a(第1接続確認操作手段)の運転準備ボタン表示灯63(第1表示手段)と、TP10の非常停止ボタン表示灯141a(第2表示手段)が同時に点滅パターン(第2表示状態)から点灯パターン(第3表示状態)に変わるので、操作者が把持しているTP10とコントローラ20Aの接続関係の誤認識をさらに確実に防止できる。
【0075】
(3) 本実施形態のロボット制御システムによれば、さらに、上記のS8とS9の段階で、操作者がTP10の非常停止ボタン140a(第3接続確認操作手段)を「開」に操作すると、コントローラ20Aの運転準備ボタン58a(第1接続確認操作手段)の運転準備ボタン表示灯63(第1表示手段)と、TP10の非常停止ボタン表示灯141a(第2表示手段)が同時に点灯パターン(第3表示状態)から消灯(第1表示状態)に変わるので、操作者が把持しているTP10とコントローラ20Aの接続関係の誤認識をさらに確実に防止できる。
【0076】
(4) 本実施形態のロボット制御システムによれば、イネーブルスイッチ142aを第2接続確認操作手段としている。そして、TP10は、イネーブルスイッチ142aのオン操作に応じて、点灯要求コマンド(第2表示変化要求)とともに、通電要求コマンドをTP10に接続されたコントローラ20Aに通知する。コントローラ20Aは通電要求コマンドに基づいてロボットR1を動作するための通電を行う。この結果、イネーブルスイッチ142aのオン操作に基づいて、運転準備ボタン表示灯63、運転準備ボタン表示灯63、非常停止ボタン表示灯141aが点滅(第2表示状態)から点灯(第3表示状態)にともに変化することを確認できることにより、ロボットR1に通電を行いながらTP10とコントローラ20Aの接続関係の誤認識をすることがない。
【0077】
(5) 本実施形態のロボット制御システムによれば、第3接続確認操作手段を非常停止ボタン140aとしていることにより、非常停止ボタン140aの操作に基づいて、運転準備ボタン表示灯63、非常停止ボタン表示灯141aが点灯(第3表示状態)から消灯(第1表示状態)にともに変化することを確認できることにより、ロボットの動作を停止しながら可搬式接続部とコントローラの接続関係の誤認識を防止できる。
【0078】
(6) 本実施形態では、以上の9つのS(ステップ)を経て、TP10とコントローラ20Aの接続、モータへの電力遮断、ならびにモータへの電力通電の再開を行うことで、万が一、意図せぬロボットコントローラ20Aへ接続した場合でも、上記のS4とS5の段階で運転準備信号が「閉」にならないので、誤ったロボットを動作させることが無く安全である。
【0079】
(7) 本実施形態によれば、ロボットが複数存在する場合でも、運転準備ボタン58aをコントローラ又はロボットの近傍に配置し、運転準備ボタン58aとロボットの関連を明確にすることで、より強固なロボットの誤操作防止が可能となる。
【0080】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 前記実施形態では、第1表示状態を消灯、第2表示状態を点滅、第3表示状態を点灯としたが限定するものではない。例えば、第1表示状態を、所定周期を有する第1点滅状態とし、第2表示状態を、第1点滅状態とは異なる点滅パターン、すなわち、第1点滅状態とは異なる周期(短い周期、或いは長い周期)の第2点滅状態としてもよい。
【0081】
又、第1点滅状態の点滅パターンは、一定時間毎に「010101」(「0」は消灯、「1」は点灯を意味し、「0」、「1」となる期間をそれぞれ同じとする)のパターンで点滅し、第2点滅状態の点滅パターンは同じ一定時間毎に「001001」のように、点滅してもよい。このように異なる点滅パターンは種々考えることができる。
【0082】
・ 前記実施形態では、第1表示手段、及び第2表示手段を表示灯にて構成したが、表示灯に限定するものではない。表示灯以外のものとして、バイブレータ等からなる振動体、或いは音響発生装置をコントローラ及びTPに設けてもよい。バイブレータにした場合は、例えば、第1表示状態を無振動にし、第2表示状態を低周波数の振動状態とする。又、第3表示状態は、高周波数の振動状態とする。
【0083】
又、音響発生装置の場合は、例えば、第1表示状態、第2表示状態、第3表示状態の各状態でそれぞれ音の周波数を異ならしめるようにする。
・ 前記実施形態では、第1表示手段の運転準備ボタン表示灯63、及び第2表示手段の非常停止ボタン表示灯141aをそれぞれ単一の表示灯にて構成した。この構成に代えてコントローラの第1表示手段を、第1表示状態用、第2表示状態用、第3表示状態用に合わせて異なる色の表示灯を3つ設け、TP10の第2表示手段も第1表示手段と同色にして3つの異なる色の表示灯を3つ設ける。そして、第1表示状態、第2表示状態、第3表示状態にするときは、コントローラ、可搬式操作部は、それぞれ同色の表示灯を点灯する。
【0084】
・ 前記各実施形態では、ティーチペンダント10・コントローラ20A間を、無線LANによるネットワーク手段にて構築したが、ネットワーク手段として有線LANによって構築してもよい。
【0085】
・ 前記各実施形態では、ティーチペンダント10と複数のコントローラ20A間を、単に非有線通信手段としての無線でティーチペンダント10と複数のコントローラ20A間を交信可能としてもよい。又、非有線通信手段は無線に限定されるものではなく、赤外線通信、光通信、或いは磁気通信で行うようにしても良い。
【0086】
・ 前記実施形態では、第2接続確認操作手段をイネーブルスイッチ142aとしたが、キーボード16に設けられた任意のキー等に割り当てても良い。
・ 前記実施形態では、第3接続確認操作手段を非常停止ボタン140aとしたが、キーボード16に設けられた任意のキー等に割り当てても良い。
【符号の説明】
【0087】
10…TP、11…CPU(第2表示制御手段)、20A…コントローラ、
21…CPU(第1表示制御手段)、
58a…運転準備ボタン(第1接続確認操作手段)、
63…運転準備ボタン表示灯(第1表示手段)、
140a…非常停止ボタン(第3接続確認操作手段)、
141a…非常停止ボタン表示灯(第2表示手段)、
142a…イネーブルスイッチ(第2接続確認操作手段)、R1…ロボット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬式操作部と、該可搬式操作部とネットワーク手段又は非有線通信手段を介して通信する複数のコントローラであって、再生モード又は教示モードに設定可能なコントローラと、前記コントローラ毎に接続されて該コントローラにより制御可能なロボットを備えたロボット制御システムにおいて、
前記各コントローラは、第1接続確認操作手段と、第1表示手段と、教示モードの下で前記第1接続確認操作手段が操作された際に、前記第1接続確認操作手段が操作される前の第1表示状態から該第1表示状態とは異なる第2表示状態に前記第1表示手段を変化させる第1表示制御手段とを備えるとともに、前記第1接続確認操作手段が操作されたことに応じて、第1表示変化要求を前記ネットワーク手段、又は非有線通信手段を介して、通信接続されている前記可搬式操作部に通知し、
前記可搬式操作部は、第2表示手段と、前記通知された前記第1表示変化要求に基づいて、前記第1接続確認操作手段が操作される前の第1表示状態から第2表示状態に前記第2表示手段を変化させる第2表示制御手段を備えることを特徴とするロボット制御システム。
【請求項2】
前記可搬式操作部は、第2接続確認操作手段を備えるとともに、前記第2接続確認操作手段がオン操作されたことに応じて、第2表示変化要求を前記ネットワーク手段、又は非有線通信手段を介して、通信接続された前記コントローラに通知し、前記第2表示制御手段は、前記第2接続確認操作手段のオン操作に応じて、第2表示手段の第2表示状態を、第1及び第2表示状態とは異なる第3表示状態に変化させ、前記コントローラの第1表示制御手段は、前記通知された前記第2表示変化要求に基づいて、前記第2接続確認操作手段が操作される前の第2表示状態から第3表示状態に前記第1表示手段を変化させることを特徴とする請求項1に記載のロボット制御システム。
【請求項3】
前記可搬式操作部は、第3接続確認操作手段を備えるとともに、前記第3接続確認操作手段が操作されたことに応じて第3表示変化要求を前記ネットワーク手段、又は非有線通信手段を介して、通信接続された前記コントローラに通知し、
前記第2表示制御手段は、前記第3接続確認操作手段の操作に応じて、第2表示手段の第3表示状態を、第1表示状態に変化させ、
前記コントローラの第1表示制御手段は、前記通知された前記第3表示変化要求に基づいて、前記第3接続確認操作手段が操作される前の第3表示状態から第1表示状態に前記第1表示手段を変化させることを特徴とする請求項2に記載のロボット制御システム。
【請求項4】
前記第2接続確認操作手段は、イネーブルスイッチであり、
可搬式操作部は、前記イネーブルスイッチのオン操作に応じて、前記第2表示変化要求とともに、通電要求コマンドを該可搬式操作部に接続されたコントローラに通知し、
前記コントローラは前記通電要求コマンドに基づいてロボットを動作するための通電を行うことを特徴とすることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のロボット制御システム。
【請求項5】
前記第3接続確認操作手段は、ロボットを停止するために操作される非常停止ボタンであり、可搬式操作部は、前記非常停止ボタンの操作に応じて、前記第3表示変化要求とともに、非常停止指令を該可搬式操作部に接続されたコントローラに通知し、前記コントローラは前記非常停止指令に基づいてロボットを停止することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のロボット制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−67894(P2011−67894A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220402(P2009−220402)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【出願人】(000005197)株式会社不二越 (625)
【Fターム(参考)】