説明

低電圧誤動作防止回路及び方法、並びに低電圧誤動作防止回路を備えた電子機器

【課題】消費電流を抑えつつ、起動信号の状態と監視電圧の状態に応じて適切に起動シーケンスを実行することができる低電圧誤動作防止回路を提供する。
【解決手段】監視対象電圧に基づいて集積回路のシーケンスを制御する低電圧誤動作防止回路であって、外部からの集積回路起動信号により動作がオン又はオフされ、監視対象電圧がしきい値電圧より高いか否かを判断し、当該判断結果を示す電圧検出信号を出力する電圧検出回路と、上記電圧検出回路からの電圧検出信号に基づいて上記電圧検出回路のしきい値電圧を制御するしきい値電圧制御回路と、上記電圧検出回路からの電圧検出信号と、上記外部からの集積回路起動信号とに基づいて、上記集積回路のシーケンスを制御するシーケンス制御回路とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話やタブレット型PCなどの携帯電子機器のための低電圧誤動作防止回路及び方法、並びに上記低電圧誤動作防止回路を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やタブレット型PCなどの携帯電子機器には、デジタル信号処理を行うCPUやDSPが搭載されている。その他にも機器が有する機能に応じて、さまざまな電子回路部品が搭載される。上述の携帯電子機器はその多くが機器に電池を搭載しており、電子回路部品はその電池が供給する電力、あるいは電池電圧を安定した電圧源に変換する電源制御回路からの電力供給を受けて駆動する。
【0003】
各電子回路部品には、その部品が安定して動作することが可能な電源電圧範囲が規定されており、その範囲を脱した電力供給状況化で駆動させると正常に動作しない。こうした電子回路部品には、供給されている電源電圧を監視(以下、監視電圧という。)して、その電圧が所定のしきい値電圧以上であれば起動制御有効とし、所定のしきい値電源電圧以下であれば強制的に終了制御を行うための低電圧誤動作防止機能(UVLO)が実装される。以下、低電圧誤動作防止機能(UVLO)の回路を低電圧誤動作防止回路という。
【0004】
従来技術として、前述の低電圧誤動作防止回路のしきい値電圧を1つの値ではなく、ヒステリシス特性を持たせ監視電圧が所定値以上となると回路を動作させ、監視電圧がヒステリシス特性の最低値となると動作を停止させる技術が考えられ既に知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、今までのヒステリシス特性を持たせた低電圧誤動作防止回路には、以下の2つの問題があった。
【0006】
今までのヒステリシス特性を持たせた低電圧誤動作防止回路では、監視電圧が上のしきい値電圧を上回ると、下のしきい値電圧を下回るまでは起動シーケンスを実行することが可能となる。しかし、監視電圧が2つのしきい値間である場合、起動シーケンスを実行しても、CPUなどの負荷回路が起動できず、正常に動作しない場合が想定される。これが1つ目の問題である。また、2つ目の問題は、低電圧誤動作防止回路は起動信号の有無にかかわらず、常時監視しているため、消費電流が多いことである。電圧監視情報である、電圧検出回路からの電圧検出信号DETOが必要となるのは、起動信号PONがHレベルのときだけである。以下、従来例に係る1つ目の問題についての具体例、図4を参照して以下に説明する。
【0007】
図4は従来例に係る低電圧誤動作防止回路の動作を示すタイミングチャートである。図4において、上から順に、低電圧誤動作防止回路により監視される電源電圧Vsup、電圧検出回路の状態、電源電圧Vsupがしきい値を上回るか否かを示す電圧検出回路からの電圧検出信号DETO、外部回路からの起動信号PON、低電圧誤動作防止回路によって制御される被制御集積回路(IC)の状態を示している。ここで、電圧検出回路からの電圧検出信号DETOは電源電圧Vsupがしきい値電圧より高い電圧であるとき、電圧検出回路からの電圧検出信号DETOがHレベルとなり、電源電圧Vsupがしきい値電圧より低い電圧であるとき、電圧検出回路からの電圧検出信号DETOがLレベルとなる。電圧検出回路からの電圧検出信号DETOがHレベルで、かつ、起動信号PONがHレベルとなるとき、被制御集積回路の起動シーケンスが実行される。
【0008】
この低電圧誤動作防止回路はヒステリシス特性を有しているため、第1の電圧しきい値Vth1と第2の電圧しきい値Vth2との2つのしきい値を有し、電圧検出回路からの電圧検出信号DETOがLレベルのときはそのしきい値は第1の電圧しきい値Vth1となり、電圧検出回路からの電圧検出信号DETOがHレベルのときはそのしきい値は第2の電圧しきい値Vth2となる。ここで、第1の電圧しきい値Vth1は、上記ICが、非起動状態から起動状態へと移行可能な電圧の下限に設定される。一方、第2の電圧しきい値Vth2は、非起動状態から起動状態への移行は不可能であるが、動作は可能である電圧の下限に対応して設定される。
【0009】
電源電圧Vsupが第1の電圧しきい値Vth1を上回る時刻t11で、電圧検出回路からの電圧検出信号DETOがHレベルとなり、そのしきい値は第2の電圧しきい値Vth2に変更され、電源電圧Vsupが第1の電圧しきい値Vth1を下回っても第2の電圧しきい値Vth2を下回るまでは、電圧検出回路からの電圧検出信号DETOはHレベルを維持しつづける。時刻t12では、外部からの起動信号PONがHレベルになり、起動シーケンスが実行される。その後、時刻t13で外部からの起動信号PONがLレベルとなると終了シーケンスが実行され、上記ICは非起動状態となる。その後、時刻t14で再び外部からの起動信号PONがHレベルとなると、電圧検出回路からの電圧検出信号DETOはHレベルであるため起動シーケンスを実行するが、電源電圧Vsupは第1の電圧しきい値Vth1より低いため、正常に動作できない。なお、その後、時刻t15で電源電圧Vsupは第1の電圧しきい値Vth1を超える。
【0010】
ところで、特許文献2には、監視電圧の状態に応じて適切に起動シーケンスを実行する目的で、監視電圧としきい値とを比較した信号と外部からの起動信号によりしきい値を変更することで、本来起動すべきでない状態で起動シーケンスを実行するのを防止することができる低電圧誤動作防止回路が開示されている。ここで、低電圧誤動作防止回路は常時電圧監視を行っており、消費電流が多いという問題を解消できていない。
【0011】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、消費電流を抑えつつ、起動信号の状態と監視電圧の状態に応じて適切に起動シーケンスを実行することができる低電圧誤動作防止回路及び方法、並びに低電圧誤動作防止回路を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る低電圧誤動作防止回路は、
監視対象電圧に基づいて集積回路のシーケンスを制御する低電圧誤動作防止回路であって、
外部からの集積回路起動信号により動作がオン又はオフされ、監視対象電圧がしきい値電圧より高いか否かを判断し、当該判断結果を示す電圧検出信号を出力する電圧検出回路と、
上記電圧検出回路からの電圧検出信号に基づいて上記電圧検出回路のしきい値電圧を制御するしきい値電圧制御回路と、
上記電圧検出回路からの電圧検出信号と、上記外部からの集積回路起動信号とに基づいて、上記集積回路のシーケンスを制御するシーケンス制御回路とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る低電圧誤動作防止方法は、監視対象電圧に基づいて集積回路のシーケンスを制御する低電圧誤動作防止方法であって、
電圧検出回路が、外部からの集積回路起動信号により動作がオン又はオフされ、監視対象電圧がしきい値電圧より高いか否かを判断し、当該判断結果を示す電圧検出信号を出力するステップと、
上記電圧検出信号に基づいて上記電圧検出回路のしきい値電圧を制御するステップと、
上記電圧検出信号と、上記外部からの集積回路起動信号とに基づいて、上記集積回路のシーケンスを制御するステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明に係る電子機器は、上記低電圧誤動作防止回路と、上記集積回路とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
従って、本発明によれば、外部からの集積回路起動信号により動作がオン又はオフされ、監視対象電圧がしきい値電圧より高いか否かを判断し、当該判断結果を示す電圧検出信号を出力し、上記電圧検出信号に基づいて上記電圧検出回路のしきい値電圧を制御し、上記電圧検出信号と、上記外部からの集積回路起動信号とに基づいて、上記集積回路のシーケンスを制御するので、消費電流を抑えつつ、集積回路起動信号の状態と監視電圧の状態に応じて適切に起動シーケンスを実行することができる。例えば上記起動信号がLレベルのときに低電圧誤動作防止回路をオフするので電流消費量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る低電圧誤動作防止回路の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の低電圧誤動作防止回路の動作(作用効果)を示すタイミングチャートである。
【図3】変形例に係る低電圧誤動作防止回路の動作(作用効果)を示すタイミングチャートである。
【図4】従来例に係る低電圧誤動作防止回路の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0018】
実施形態.
図1は本発明の一実施形態に係る低電圧誤動作防止回路の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る低電圧誤動作防止回路は例えば携帯電子機器のための電源制御回路であって、外部からの起動信号PONの状態と監視すべき電源電圧Vsupの状態に応じて電圧を監視するか否かを切り替えることにより、消費電流を抑えつつ、起動信号の状態と監視電圧の状態に応じて適切に起動シーケンスを実行することを特徴としている。ここで、低電圧誤動作防止回路は、特に、外部からの集積回路(以下、ICという)20の起動信号(以下、起動信号という。)PONがLレベルのときは、電圧検出回路11の動作をオフして電圧を監視しないことを特徴としている。
【0019】
図1において、低電圧誤動作防止回路10は、電圧検出回路11と、しきい値電圧制御回路12と、シーケンス制御回路13とを備えて構成される。電圧検出回路11は電圧コンパレータを有し、監視対象の電源電圧Vsupが、しきい値電圧制御回路12から指定されるしきい値電圧より高いか否かを判断し、高いときにHレベルの電圧検出信号DETOを出力する一方、高くないときにLレベルの電圧検出信号DETOを出力する。しきい値電圧制御回路12は、電圧検出回路11からの電圧検出信号DETOに基づいてしきい値電圧を制御して、指定すべきしきい値電圧を電圧検出回路11に出力する。シーケンス制御回路13は、電圧検出回路11からの電圧検出信号DETOと、外部からの起動信シ号PONに基づいて、当該携帯電子機器のためのIC20に対するーケンス制御信号SEQを発生して出力する。
【0020】
ここで、低電圧誤動作防止回路10はヒステリシス特性を持ち、監視対象の電源電圧がしきい値を満たすか否かを示す電圧検出回路11からの電圧検出信号DETOの状態に依存して、電圧検出回路11のしきい値が変更される。また、電圧検出回路11は外部からの起動信号PONの状態に基づいてその動作がオン又はオフされる。外部からの起動信号PONがIC起動を指示してそれを期待する信号(オン指示信号)である場合、電圧検出回路11はオンされ、電圧監視を行う。電圧検出回路11は電圧監視を行っている間、電源電圧Vsupが上記しきい値を上回ると、起動シーケンス実行を期待するHレベルの電圧検出信号DETOをシーケンス制御回路13に出力する一方、電源電圧Vsupが上記しきい値以下になると、終了シーケンス実行を期待するLレベルの電圧検出信号をシーケンス制御回路13に出力する。外部の起動信号PONがIC非起動を指示してそれを期待する信号(オフ指示信号)である場合、電圧検出回路11はオフされ、電圧監視を行わない。電圧監視を行っていない間、終了シーケンス実行を期待するLレベルの電圧検出信号DETOを出力する。
【0021】
図2は図1の低電圧誤動作防止回路の動作(作用効果)を示すタイミングチャートである。図2において、上から順に、低電圧誤動作防止回路10により監視される電源電圧Vsup、電圧検出回路11の状態、電源電圧Vsupがしきい値を上回るか否かを示す電圧検出回路11からの電圧検出信号DETO、外部からの起動信号PON、及び低電圧誤動作防止回路10によって制御されるIC20の状態を示す。上述のように、電源電圧Vsupがしきい値電圧Vthより高電圧であるとき、電圧検出信号DETOがHレベルとなる一方、電源電圧Vsupがしきい値電圧Vth以下のとき電圧検出信号DETOがLレベルとなる。ここで、電圧検出信号DETOがHレベルで、かつ、外部からの起動信号PONがHレベルとなるとき、IC20の起動シーケンスが実行される。
【0022】
この低電圧誤動作防止回路10はヒステリシス特性を有しているため、第1の電圧しきい値Vth1と第2の電圧しきい値Vth2との2つのしきい値を有し、電圧検出信号DETOがLレベルのときは電圧検出回路11のしきい値が第1のしきい値電圧Vth1となり、電圧検出信号DETOがHレベルのときはしきい値が第2のしきい値電圧Vth2となるようにしきい値電圧制御回路12により制御される。ここで、第1の電圧しきい値Vth1は、IC20が、非起動状態から起動状態へと移行可能な電圧の下限に設定される。一方、第2の電圧しきい値Vth2は、非起動状態から起動状態への移行は不可能であるが、動作は可能である電圧の下限に対応して設定される。
【0023】
図2において、時刻t1のとき、電源電圧Vsupが第1の電圧しきい値Vth1を上回るが、起動信号PONがLレベルであるため電圧検出回路11はオフのままであり、電圧検出信号DETOはLレベルのままである。起動信号PONがHレベルとなる時刻t2で、電圧検出回路11はオンされ電圧監視を行う。電源電圧Vsupが第1の電圧しきい値Vth1を上回っているため、電圧検出信号DETOがHレベルとなり、このときシーケンス回路13は起動シーケンスのためのシーケンス制御信号SEQをIC20に出力することによりIC20に対して起動シーケンスが実行される。次いで、電源電圧Vsupが上昇すると、電圧検出信号DETOがHレベルとなるので、電圧検出回路11のしきい値は第2の電圧しきい値Vth2に変更され、電源電圧Vsupが第1の電圧しきい値Vth1を下回っても第2の電圧しきい値Vth2を下回るまでは電圧検出信号DETOはHレベルを維持しつづける。
【0024】
時刻t3で、外部からの起動信号PONがLレベルとなると終了シーケンスが実行され、IC20は非起動状態となる。また、外部からの起動信号PONがLレベルとなるため、電圧検出回路11もオフされ電圧監視を停止し、電圧検出信号DETOはLレベルとなり、電圧検出回路11のしきい値は第1の電圧しきい値Vth1に変更される。その後、時刻t4で再び起動信号PONがHレベルとなると、電圧検出回路11はオンされ電圧監視を行うが、電源電圧Vsupが第1の電圧しきい値Vth1を上回っていないため電圧検出信号DETOはLレベルのままとなり、起動シーケンスは実行されない。その後、電源電圧Vsupが第1の電圧しきい値Vth1を上回る時刻t5で電圧検出信号DETOがHとなるため、起動シーケンスが実行され、IC20は起動状態となる。
【0025】
変形例.
図3は変形例に係る低電圧誤動作防止回路の動作(作用効果)を示すタイミングチャートである。図3において、低電圧誤動作防止回路10により監視される電源電圧Vsup、電圧検出回路11の状態、電源電圧Vsupがしきい値を上回るか否かを示す電圧検出回路11からの電圧検出信号DETO、例えば外部スイッチにより発生される起動信号PON、起動信号PONを電圧検出回路11の内部で保持しているオンホールド信号、低電圧誤動作防止回路10によって制御されるIC20の状態を示す。
【0026】
ここで、電源電圧Vsupがしきい値電圧Vthより高電圧であるとき、電圧検出信号DETOがHレベルとなり、電源電圧Vsupがしきい値電圧Vth以下のとき、電圧検出信号DETOがLレベルとなる。電圧検出信号DETOがHレベルで、かつ、外部からの起動信号PONがHレベルとなるとき、回路の起動シーケンスが実行される。
【0027】
この低電圧誤動作防止回路10はヒステリシス特性を有しているため、第1の電圧しきい値Vth1と第2の電圧しきい値Vth2との2つのしきい値を有し、電圧検出信号DETOがLレベルのときは電圧検出回路11のしきい値はVth1となり、電圧検出信号DETOがHレベルのときは電圧検出回路11のしきい値はVth2となるようにしきい値電圧制御回路12により制御される。ここで、第1の電圧しきい値Vth1は、IC20が、非起動状態から起動状態へと移行可能な電圧の下限に設定される。一方、第2の電圧しきい値Vth2は、非起動状態から起動状態への移行は不可能であるが、IC20の動作は可能である電圧の下限に対応して設定される。
【0028】
外部からの起動信号PONが一度Hレベルとなるときは起動信号PONの立ち上がりを検出し、起動信号PONを電圧検出回路11の内部で保持しているオンホールド信号がHレベルとなり、IC20の起動を指示してそれを期待する。再び起動信号PONがHレベルとなるときは起動信号PONの立ち下がりを検出し、オンホールド信号はLレベルになりIC20の非起動を指示してそれを期待する。
【0029】
図3において、時刻t1のとき、電源電圧Vsupが第1の電圧しきい値Vth1を上回るが、起動信号PONが一度もHレベルになっておらず、オンホールド信号がLレベルであるため、電圧検出回路11はオフされたままであり、電圧検出信号DETOはLレベルのままである。次いで、起動信号PONの立ち上がりを検出する時刻t2でオンホールド信号もHレベルとなる。また、起動信号PONの立ち上がりが検出されると、電圧検出回路11はオンされ電圧監視を行う。電源電圧Vsupが第1の電圧しきい値Vth1を上回っているため電圧検出信号DETOがHレベルとなり、起動シーケンスが実行される。また、電圧検出信号DETOがHレベルとなるので、電圧検出回路11のしきい値は第2の電圧しきい値Vth2に変更され、電源電圧Vsupが第1の電圧しきい値Vth1を下回っても第2の電圧しきい値Vth2を下回るまでは電圧検出信号DETOはHレベルを維持しつづける。
【0030】
次いで、時刻t3で起動信号PONの立ち下がりを検出するとオンホールド信号はLレベルとなり、終了シーケンスが実行され、IC20は非起動状態となる。また、起動信号PONの立ち下がりを検出すると、電圧検出回路11もオフされとなり電圧監視を停止し、電圧検出信号DETOはLレベルとなり、電圧検出回路11のしきい値は第1の電圧しきい値Vth1に変更される。その後、時刻t4で再び起動信号PONの立ち上がりが検出されると、電圧検出回路11はオンされ電圧監視を行うが、電源電圧Vsupが第1の電圧しきい値Vth1を上回っていないため電圧検出信号DETOはLレベルのままとなり、起動シーケンスは実行されない。その後、電源電圧Vsupが第1の電圧しきい値Vth1を上回る時刻t5で電圧検出信号DETOがHレベルとなるため、起動シーケンスが実行され、IC20は起動状態となる。
【0031】
以上の実施形態においては、例えば携帯電子機器などの電子機器のための低電圧誤動作防止回路について説明しているが、本発明はこれに限らず、低電圧誤動作防止回路10及びIC20とを備えて、例えば携帯電子機器などの電子機器を構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上詳述したように、本発明によれば、外部からの集積回路起動信号により動作がオン又はオフされ、監視対象電圧がしきい値電圧より高いか否かを判断し、当該判断結果を示す電圧検出信号を出力し、上記電圧検出信号に基づいて上記電圧検出回路のしきい値電圧を制御し、上記電圧検出信号と、上記外部からの集積回路起動信号とに基づいて、上記集積回路のシーケンスを制御するので、消費電流を抑えつつ、集積回路起動信号の状態と監視電圧の状態に応じて適切に起動シーケンスを実行することができる。例えば上記起動信号がLレベルのときに低電圧誤動作防止回路をオフするので電流消費量を低減できる。
【符号の説明】
【0033】
10…低電圧
11…電圧検出回路、
12…しきい値電圧制御回路、
13…シーケンス制御回路、
20…集積回路(IC)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】特開2004−022947号公報
【特許文献2】特開2007−306648号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象電圧に基づいて集積回路のシーケンスを制御する低電圧誤動作防止回路であって、
外部からの集積回路起動信号により動作がオン又はオフされ、監視対象電圧がしきい値電圧より高いか否かを判断し、当該判断結果を示す電圧検出信号を出力する電圧検出回路と、
上記電圧検出回路からの電圧検出信号に基づいて上記電圧検出回路のしきい値電圧を制御するしきい値電圧制御回路と、
上記電圧検出回路からの電圧検出信号と、上記外部からの集積回路起動信号とに基づいて、上記集積回路のシーケンスを制御するシーケンス制御回路とを備えたことを特徴とする低電圧誤動作防止回路。
【請求項2】
上記電圧検出回路は、上記外部からの集積回路起動信号が上記集積回路の起動を指示していないときには、上記電圧検出回路をオフされることを特徴とする請求項1記載の低電圧誤動作防止回路。
【請求項3】
上記電圧検出回路は、上記集積回路起動信号をトリガとして、上記集積回路起動信号を所定値に保持することを特徴とする請求項1又は2記載の低電圧誤動作防止回路。
【請求項4】
上記しきい値電圧制御回路は、第1の電圧しきい値と第2の電圧しきい値とを有し、上記電圧検出信号が第1の値のときは上記電圧検出回路のしきい値を上記第1のしきい値電圧に設定し、上記電圧検出信号が上記第1の値よりも高い第2の値のときは上記電圧検出回路のしきい値を上記第2のしきい値電圧に設定するように制御することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の低電圧誤動作防止回路。
【請求項5】
上記第1の電圧しきい値は、上記集積回路が非起動状態から起動状態へと移行可能な電圧の下限に設定される一方、上記第2の電圧しきい値は、非起動状態から起動状態への移行は不可能であるが、動作は可能である電圧の下限に対応して設定されることにより、上記低電圧誤動作防止回路が所定のヒステリシス特性を有することを特徴とする請求項4記載の低電圧誤動作防止回路。
【請求項6】
監視対象電圧に基づいて集積回路のシーケンスを制御する低電圧誤動作防止方法であって、
電圧検出回路が、外部からの集積回路起動信号により動作がオン又はオフされ、監視対象電圧がしきい値電圧より高いか否かを判断し、当該判断結果を示す電圧検出信号を出力するステップと、
上記電圧検出信号に基づいて上記電圧検出回路のしきい値電圧を制御するステップと、
上記電圧検出信号と、上記外部からの集積回路起動信号とに基づいて、上記集積回路のシーケンスを制御するステップとを含むことを特徴とする低電圧誤動作防止方法。
【請求項7】
上記電圧検出回路が、上記外部からの集積回路起動信号が上記集積回路の起動を指示していないときには、上記電圧検出回路をオフされるステップをさらに含むことを特徴とする請求項6記載の低電圧誤動作防止方法。
【請求項8】
上記電圧検出回路が、上記集積回路起動信号をトリガとして、上記集積回路起動信号を所定値に保持するステップをさらに含むことを特徴とする請求項6又は7記載の低電圧誤動作防止方法。
【請求項9】
上記しきい値電圧を制御するステップは、第1の電圧しきい値と第2の電圧しきい値とを有し、上記電圧検出信号が第1の値のときは上記電圧検出回路のしきい値を上記第1のしきい値電圧に設定し、上記電圧検出信号が上記第1の値よりも高い第2の値のときは上記電圧検出回路のしきい値を上記第2のしきい値電圧に設定するように制御することを特徴とする請求項6から8までのいずれか1項記載の低電圧誤動作防止方法。
【請求項10】
上記第1の電圧しきい値は、上記集積回路が非起動状態から起動状態へと移行可能な電圧の下限に設定される一方、上記第2の電圧しきい値は、非起動状態から起動状態への移行は不可能であるが、動作は可能である電圧の下限に対応して設定されることにより、上記低電圧誤動作防止方法が所定のヒステリシス特性を有することを特徴とする請求項9記載の低電圧誤動作防止方法。
【請求項11】
請求項1から5までのいずれか1項記載の低電圧誤動作防止回路と、上記集積回路とを備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−84099(P2013−84099A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223179(P2011−223179)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】