説明

作業車両

【課題】旋回内側後輪のスリップが発生する圃場状況にあっても、円滑な旋回走行を確保するとともに、作業部の下降および再稼動の位置ずれを抑えて作業精度を確保することができる作業車両を提供する。
【解決手段】作業車両は、前輪10の操舵開始により、旋回内側後輪の回転距離のカウント開始、作業部4の停止、旋回内側後輪11のサイドクラッチ切、同後輪11の回転距離nに基づく設定値N2対応の作業部4の再稼動までの一連の旋回連動制御をする制御装置163を備えて構成され、この旋回連動制御は、内側サイドクラッチの断続動作によって旋回内側の後輪11に外側と同速の走行動力を間欠的に伝動する内側間欠伝動制御に切替え可能に構成し、この内側間欠伝動制御への切替えと対応して設定値N2を小さくする補正を行うようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の旋回動作と連動して機体後部の作業部を定形パターンに沿って動作させることができる作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業車両につき機体後部に苗移植機等の作業部を昇降可能に備えるものは、機体旋回と連動して作業部を定形パターンにより動作制御するものが知られている。例えば、特許文献1の作業車両は、隣接の未作業行程に逐次移行する往復作業走行における機体旋回の都度、前輪の操舵開始により、機体後部の作業部の動作停止および上昇、後輪の旋回内側の走行動力の遮断、旋回走行距離に基づく作業部の下降および再稼動まで、定形パターンに沿った一連の旋回連動制御をする制御装置を備えて構成される。
【0003】
この制御装置により、前輪の操舵が開始されると、機体後部の作業部の動作停止および上昇、後輪サイドクラッチによる旋回内側の走行動力の遮断とともに、左右の後輪の旋回内側の回転距離のカウントが行われ、さらに、内側後輪の回転距離に基づく基準距離の走行による作業部の下降および再稼動に至る一連の旋回連動制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−344020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、荒れた圃場等の走行条件が悪い状況においては、作業車両の旋回走行の際に、旋回内側の車輪にスリップが発生することがあり、それに伴う不安定な旋回動作により隣接の復行作業の乱れを招くとともに、走行距離カウントの狂いにより作業部の再稼働位置に誤差を生じることから、計画に沿った作業行程を確保できず、作業処理領域の乱れを生じるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、旋回内側後輪のスリップが発生する圃場状況にあっても、スリップによる不安定走行を回避して円滑な旋回走行を確保するとともに、作業部の下降および再稼動の位置ずれを抑えて計画に沿った作業精度を確保することができる作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、前輪の操舵開始により、左右の後輪の旋回内側の回転距離のカウントの開始、機体後部の作業部の停止、サイドクラッチによる左右の後輪の旋回内側の走行動力の遮断、同内側の後輪回転距離に基づく設定値と対応する基準距離の走行による作業部の再稼動の一連の旋回連動制御をする制御装置を備えた作業車両において、上記制御装置による旋回連動制御は、内側サイドクラッチの断続動作によって旋回内側の後輪に走行動力を間欠的に伝動する内側間欠伝動制御に切替え可能に構成し、この内側間欠伝動制御への切替えと対応して設定値を小さくする補正を行うことを特徴とする。
【0008】
前輪の操舵が開始されると、制御装置により、左右の後輪の旋回内側の回転距離のカウントが開始されるとともに、機体後部の作業部の稼動停止、後輪サイドクラッチによる旋回内側の走行動力の遮断が行われ、次いで、後輪の回転距離に基づく基準距離の走行による作業部の再稼動までの一連の旋回連動制御が行われ、一方、内側のサイドクラッチの断続動作による内側間欠伝動制御に切替えることにより、旋回走行の過程において、旋回内側の後輪に走行動力が間欠伝動されるとともに、間欠伝動と対応するように設定値が補正される。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記制御装置による内側間欠伝動制御は、外側後輪の回転速度に基づいて定めた閾値に対して内側後輪の回転速度が小さい範囲に限定して旋回内側の後輪に走行動力を伝動するとともに、旋回内側の後輪のサイドクラッチを伝動状態に切替えた状態での該後輪の累積回転数に応じて、該累積回転数が大きいほど設定値を小さくする補正を行うことを特徴とする。
上記内側間欠伝動制御が適用される場合は、旋回走行の過程において、外側後輪の回転速度に基づく閾値と内側後輪の回転速度とを対比することによって内側のスリップが検出され、このスリップの検出の範囲でサイドクラッチにより走行動力が内側後輪に伝動されるとともに、作業部の再稼動のための基準距離がスリップの発生と対応して補正される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明の作業車両は、前輪の操舵が開始されると、制御装置により、左右の後輪の旋回内側の回転距離のカウントが開始されるとともに、機体後部の作業部の稼動停止、後輪サイドクラッチによる旋回内側の走行動力の遮断が行われ、次いで、後輪の回転距離に基づく基準距離の走行による作業部の再稼動までの一連の旋回連動制御が行われ、一方、内側のサイドクラッチの断続動作による内側間欠伝動制御に切替えることにより、旋回走行の過程において、旋回内側の後輪に走行動力が間欠伝動されることから、内側後輪のスリップが発生する状況にあっても、スリップを効果的に防止して操向内側の後輪を適正な回転速度で回転させて円滑に操向できるとともに、基準距離についての対応補正により、作業部の再稼動の制御が適正化されることから、操向内側の後輪のスリップの影響を極力抑えて作業部の動作位置を適正に制御でき、未作業域の発生を防止したり過作業域を小さくしたりできる。
【0011】
請求項2の発明の作業車両は、請求項1の効果に加え、内側間欠伝動制御が適用される場合に、旋回走行の過程において、外側後輪の回転速度に基づく閾値と内側後輪の回転速度とを対比することによって内側のスリップが検出され、このスリップの検出の範囲でサイドクラッチにより走行動力が内側後輪に伝動されるとともに、作業部の再稼動のための基準距離がスリップの発生と対応して補正されるので、旋回条件が悪い圃場状況にあっても、操向内側の後輪のスリップが最小限度に抑えられて操向内側の後輪を適正な回転速度で回転させて円滑に操向できるとともに、連動する作業部の動作精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例の乗用型田植機の側面図
【図2】図1の乗用型田植機の平面図
【図3】図1の乗用型田植機の操向操作に連動する後輪のクラッチ作動機構の平面図(a)および側面図(b)
【図4】図3(b)のミッションケース周辺の拡大図
【図5】図3(a)に油圧式無段変速装置を図示した場合の図
【図6】図1の乗用型田植機の制御ブロック図
【図7】図1の乗用型田植機の旋回連動制御の考え方を示す図
【図8】制御処理の動作区分図
【図9】図7の旋回連動制御のフローチャート
【図10】旋回連動制御のフローチャート
【図11】図1の乗用型田植機の操作盤のポンピングクラッチ調節ダイヤル部分の平面図
【図12】図1の乗用型田植機の操作盤の植始め調節ダイヤル部分の平面図
【図13】図1の乗用型田植機の操向操作に連動する後輪のクラッチ作動用の油圧回路図
【図14】本発明の一実施例の乗用田植機の変速レバーのリップ部の側面図(a)と背面図(b)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1及び図2は本発明を用いた一実施例である粉粒体繰出し装置として施肥装置を装着した乗用型田植機の側面図と平面図である。この施肥装置付き乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付装置4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
【0014】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
【0015】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及び油圧式無段変速装置23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付装置4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構28によって施肥装置5へ伝動される。
【0016】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になって畦クラッチペダル109等が配置されている。フロアステップ35は一部格子状になっており(図2参照)、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。
【0017】
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38,38が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付装置4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付装置4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付装置4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0018】
苗植付装置4は8条植の構成で、フレームを兼ねる苗植付伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口51a、…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a、…に供給すると苗送りベルト51b、…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a、…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52、…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ(図示せず)等を備えている。苗植付装置4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にミドルフロート57とサイドフロート56がそれぞれ設けられている。これらフロート55〜57を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55〜57が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52、…により苗が植付けられる。各フロート55〜57は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎角制御センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付装置4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0019】
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61、…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62、…でフロート55〜57の左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示せず)、…まで導き、施肥ガイド、…の前側に設けた作溝体(図示せず)、…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62、…に吹き込まれ、施肥ホース62、…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
【0020】
苗植付装置4には整地装置の一例であるロータ27(27a,27b)が取り付けられている。また、苗載台51は苗植付装置4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする構成である。
【0021】
ロータ27は、次のような支持構造に支持されている。すなわち苗載台51の前記支持枠体65の両側辺部材65bに上端を回動自在に支持された梁部材66と該梁部材66の両端に固着した支持アーム67と該支持アーム67に回動自在に取り付けられたロータ支持フレーム68が設けられ、該ロータ支持フレーム68の下端にはロータ27(サイドロータ27aとセンタロータ27b)の駆動軸70(70a,70b)が取り付けられている。また該ロータ支持フレーム68の下端部近くは苗植付伝動ケース50に回動自在に取り付けられた連結部材71に連結している。
【0022】
フロート55〜57との配置位置の関係でセンタフロート55の前方にあるロータ27bはサイドフロート56とミドルフロート57の前方にある各ロータ27aより前方に配置されている。そのためロータ27aの駆動軸70aへの動力は後輪11のギアケース18内のギアから伝達され、ロータ27bの駆動軸70bへは両方のロータ27a,27aの駆動軸70a,70aの車体内側の端部からそれぞれ動力が伝達される。
【0023】
また、ロータ27bは梁部材66に上端部が支持された一対のリンク部材76,77によりスプリング78を介して吊り下げられている。
また、ロータ上下位置調節レバー81の下端部には折曲片82が固着されており、該折曲片82は支持枠体65に回動自在に支持されている。そして前記レバー81が車両の左右方向に回動操作されると、支持枠体65の両側辺部材65bに回動自在に支持された梁部材66に固着支持された突出部66aの近くを折曲片82が上下に回動する。折曲片82は前記突出部66aの下方を係止しているので、該突出部66aがレバー81の機体右方向の回動で、上向きに梁部材66を中心として回動する。該突出部66aの前記回動により第一リンク部材76の梁部材66との連結部と反対側の端部も梁部材66を中心として上向きに回動する。この第一リンク部材76の上方への回動により第二リンク部材77とスプリング78を介してロータ27bを上方に上げることができる。ロータ27bを上方に移動させると、駆動軸70bと駆動軸70aを介してロータ27aも同時に上方に移動する。
なお、ロータ上下位置調節レバー81は車体2のほぼ中央部に設けているので、ロータ27a,27bの上下動を行う場合に左右のバランスを取りやすい。
【0024】
また、苗植付装置4を圃場に下げたときに、苗植付装置4を水平位置に戻すケーブル45をセンタロータ27bのリンク部材76,77とスプリング78等からなる引上げスプリング部と油圧ピストン46と連動させた。
【0025】
このように、センタロータ27bのスプリング78等によるスイング機構の他にケーブル45を設けることで苗植付装置4を上昇位置から下降させるごとにセンタロータ27bを水平位置に戻すことができ、センタロータ27bの保持位置を安定化させることができる。
【0026】
エンジン20の回転動力は、ベルト伝動装置21などを介して油圧式変速装置23に伝えられ、油圧式変速装置23からの出力はベルト(図示せず)を介してミッションケース12の図示しない入力軸に伝えられる。
【0027】
苗植付装置4は、走行車体2のメインフレーム15に昇降リンク装置3で昇降自在に装着されているが、その昇降させる構成と苗植付装置4の構成について説明する。先ず、走行車体2に基部が回動自在に設けられた一般的な油圧シリンダー46(図1)のピストン上端部を昇降リンク装置3に連結し、走行車体2に設けた油圧ポンプ(図示せず)により油圧シリンダー46に圧油を供給・排出して、油圧シリンダー46のピストンを伸進・縮退させて昇降リンク装置3に連結した苗植付装置4が上下動されるように構成されている。
【0028】
(サイドクラッチと間欠制御)
図3(a)の展開平面図には、図1の乗用型田植機の操向操作に連動する後輪11のサイドクラッチ作動機構図を示し、図3(b)には、図3(a)の側面図を示す。また、図4には、図3(b)のミッションケース12周辺の拡大図を示し、図5には、図3(a)の平面図に油圧式無段変速装置23を図示した場合を示している。
【0029】
左右の後輪11の伝動軸のサイドクラッチ操作アーム86Iを作動させるクラッチ連動用の左右ロッド180がミッションケース12の左右両側に設けられ、該クラッチ連動用の左右ロッド180とサイドクラッチ操作アーム86Iは左右のプルシリンダ217を介して連結している。
【0030】
左右のサイドクラッチ操作アーム86Iは、前記左右のプルシリンダ217(旋回時にシリンダ217を引き、旋回内側の後輪11の伝動軸のサイドクラッチを切る)作動制御用のサイドクラッチ制御用電磁バルブ221(図4,図5,図13)を備えている。上記構成を用いて、ハンドル34を一定角度回転させた後に、一つは継続して前記サイドクラッチを切り又は入りにする制御(A)ともう一つは一定周期で前記サイドクラッチを接続/切断する制御(B)に切替え選択可能にした。制御(A)は標準用であり、制御(B)は湿田用である。ハンドル34を操作するとトルクジェネレータ(パワーステアリング)37(図13にも図示)によって旋回内側のプルシリンダ217を作動させてサイドクラッチを切り(又は入り)にする。これらサイドクラッチ操作アーム86I、クラッチ連動用の左右ロッド180、プルシリンダ217、サイドクラッチ制御用電磁バルブ221などをステアリング機構と言う。
【0031】
上記した実施例では、ステアリングハンドル34の所定角以上の操作により、旋回内側の後輪11のサイドクラッチ(図示せず)を切る例を示したが、サイドクラッチスイッチを作業モニタ装置に備えた操作盤33(図2)に設けておき、手動でサイドクラッチの「切」が可能な構成にしても良い。または、サイドクラッチペダルにより、手動でサイドクラッチの「切」が可能な構成にしても良い。
【0032】
(苗植付部制御)
次に、後進時に苗植付装置4を自動的に上昇させる制御構成について説明する。先ず、チェンジレバー90(前後進レバー)を後進速に操作すると、チェンジレバー90の基部に設けた接当片が接当してONになるバックリフトスイッチ191が設けられており、制御装置163(図6)の苗植付装置上昇手段により電磁油圧バルブ(昇降バルブ)161を作動させる電磁ソレノイドを制御して油圧シリンダー46にて苗植付装置4を最大位置まで上昇させるように構成されている。
【0033】
このように、チェンジレバー90を後進速に操作すると、自動的に苗植付装置4を最大位置まで上昇させるように構成しておくと、圃場の畦際で機体を旋回させるため等に機体を畦に向かって後進させる時に、自動的に苗植付装置4は最大位置まで上昇しているので、苗植付装置4が畦に衝突して破損することが未然に防止でき作業性が良い。
【0034】
また、前記ステアリングハンドル34を左右何れかに200度回転させた時に図6に示すオートリフトスイッチ183がONになると、制御装置163の苗植付部上昇手段により電磁油圧バルブ161を作動させる電磁ソレノイドを制御して油圧シリンダー46にて苗植付装置4を最大位置まで上昇させるように構成されている。
【0035】
このように、畦際で機体を旋回させるためにステアリングハンドル34を左右何れかに最大限まで回転させると、オートリフトスイッチ183がONになり、自動的に苗植付装置4は最大位置まで上昇するので、機体旋回時に苗植付装置4を上昇させる操作が不要となり、能率良く機体旋回が行えて作業性が良い。
【0036】
一方、操作盤33には、苗植付装置4の自動上昇を行わせる状態と行わせない状態とに切替える自動リフト切替スイッチ192(図6)が設けられており、自動リフト切替スイッチ192を自動にしていると、上記のようにバックリフトスイッチ191がONになるかオートリフトスイッチ183がONになると自動的に苗植付装置4は制御装置163の苗植付装置上昇手段により自動上昇される。そして、自動リフト切替スイッチ192をOFFにしていると、バックリフトスイッチ191がONになってもオートリフトスイッチ183がONになっても苗植付装置4は自動上昇されない。
【0037】
このように、一つの自動リフト切替スイッチ192で、バックリフトスイッチ191がONになってもオートリフトスイッチ183がONになっても苗植付装置4は自動上昇されない状態にすることができるので、バックリフトとオートリフトの各々を入り切りするスイッチを別々に設けた構成よりも簡潔な構成となり、一つのスイッチで両者の状態切替えが行えるので、操作ミスが少なくなり作業性が良い。
【0038】
なお、自動リフト切替スイッチ192をOFFにして、バックリフトスイッチ191がONになってもオートリフトスイッチ183がONになっても苗植付装置4が自動上昇しない状態にしておくと、機体を後進で納屋等にしまう時にチェンジレバー90を後進速に操作しても苗植付装置4が自動上昇しないので、苗植付装置4を下げたまま後進することができ、納屋の入口上部や納屋内の他の部材に苗植付装置4をぶつけてしまうような事態が回避できる。また、扇型やひょうたん型等の変形圃場で畦際に沿って周り植えをする場合に、曲がった畦に沿ってステアリングハンドル34を回しながら植付け作業を行うが、この時に、自動リフト切替スイッチ192を自動位置にしていると、ステアリングハンドル34を左右何れかに200度以上回転すると自動的に苗植付装置4が上昇してしまい植付け作業が行えないが、自動リフト切替スイッチ192をOFFにしていると、ステアリングハンドル34を左右何れかに200度以上回転しても苗植付装置4は上昇しないので植付け作業が行え、変形圃場でも適切に苗植付け作業が行える。
【0039】
また、上記構成からなる田植機1では、本実施例の制御装置163は旋回内側の後輪11のドライブシャフト(伝動軸)(図示せず)の回転数の検出に基づいて、旋回時の苗植え付けなどの諸作動を自動的に行わせる旋回連動制御ができる。この制御モードを自動植付開始モードということがあるが、特に、旋回内側の後輪11が所定角度以上操舵されているときに、前記旋回連動制御ができる。
【0040】
旋回後の苗の植始め位置の設定を後輪の回転数に基づいて自動的に行う制御モード(自動植付開始モード)の設定ができ、この制御モード設定は旋回開始タイミングをハンドル34の旋回角度(切れ角)センサ193で検知し、該旋回角度センサ193で検知した旋回開始時からの走行距離を車輪(旋回内側の後輪11の伝動軸)の回転数センサ205の検出値に基づき測定し、前記走行距離が所定値に達すると苗植付レバー19(図2)の操作をしなくても、自動的に苗の植え付けを開始する自動植付開始モードである。
【0041】
(制御動作)
この制御の考え方を図7と図8に示す。
すなわち、ステアリングハンドル34を切り、旋回内側の後輪11のサイドクラッチが切れた状態で、左右ドライブシャフトの回転数を検出し、旋回時の内側の後輪11の伝動軸回転数が設定値N1を超えると苗植付装置4を下降させる。その後、後輪11の伝動軸回転数が設定値N2と苗植付け具126の作動が「切り」状態に入って(=苗植付装置52が上げ状態に移って)からステアリングハンドル34の切り操作開始までの後輪11の伝動軸の回転数nの合計値以上になると植付「入り」にする機構である。
【0042】
(旋回連動制御)
上記旋回連動制御のフローを図9に示す。
まず、左右の後輪11,11の伝動軸の回転数を伝動軸回転数センサ205で検出し、また設定値N1(旋回開始から機体90°旋回までの旋回内側の後輪11のドライブシャフト(伝動軸)回転信号設定値)、N2(機体90°旋回から植付クラッチ「入り」までの前記ドライブシャフト回転信号設定値)、θ1((直進操作時のハンドル切り設定角度の)下限値)、θ2((直進操作時のハンドル切り設定角度の)上限値)をセットする。
【0043】
次いで、圃場の硬軟や水深、耕盤深さ等の圃場条件の相違に対応するために、前記回転数N1、N2及びハンドル切り角度θ1、θ2の各設定値を調節する設定ダイヤル206a〜208b(図6)により、補正値n0を設定する。
【0044】
苗植付装置4の苗植付け具126が苗の植え付け状態にあるか無いかをフィンガーレバー166の操作に伴う制御装置163の状態で検出して、植付「入」から植付「切」になったとき、苗植付け具126の作動が「入り」状態に入ってから苗植付け具126の作動が「切り」状態になるまでの後輪11の伝動軸の回転数nを伝動軸回転数センサ205で検出して、その値(n)を記憶しておく。次いで、ステアリングハンドル34の切り角度(操舵角度)θをステアリングハンドル34のシャフトに設けたハンドル切れ角センサ(ポテンショメータ)193(図6)で検出して直進時(θ1<θ<θ2)以外の時には左右のいずれの方向に旋回中であるかどうかを検出する。
【0045】
左旋回中であると左後輪11の伝動軸の回転数を検出して、回転数n1がn1≧N1+n0になると、旋回開始から機体が90度以上旋回したことになるので苗植付装置4を下げる。この苗植付装置4の下降で枕地が均平化される。また、機体を90度旋回させた後には、ハンドル34の旋回度合いを緩めながら前進させ、左後輪11の左右ドライブシャフトの回転数n2がn2≧N2+n+n0になると、苗植付け具126を作動させて苗の植え付けを開始させる。
【0046】
本実施例の田植機では、自動植付開始モードが設定された時にのみ自動的に旋回外側の後輪11の回転数に応じて、旋回内側の後輪11の駆動を断続的にサイドクラッチを伝動することからなるポンピングブレーキ旋回(ポンピングクラッチ旋回ともいう)を行うことができる。このようにポンピングブレーキ旋回を行うことにより、ブレーキングによる衝撃も少なく、エンジン回転や車速の影響を受けずに後輪11の旋回角度に応じたブレーキングの周期を得ることができる。前記旋回内側の後輪11のクラッチをオン/オフするポンピングブレーキ旋回において、車速が遅ければ遅い程ポンピングの周期を短く、速ければ速いほどポンピングの周期を長くすることで、オペレータに旋回時の違和感がないブレーキングを行うことができる。
【0047】
例えば、車速0m/sで旋回内側の後輪11の伝動軸のサイドクラッチ(図示せず:クラッチ操作アーム86Iなどにより行う)の作動周期(オン/オフを含む)が0.5秒、車速0.5m/sで前記サイドクラッチ作動周期(オン/オフを含む)が1.0秒、車速1.0m/sで前記サイドクラッチ作動周期(オン/オフを含む)が1.5秒となるように一次関数的に車速に応じて旋回内側の後輪11の伝動軸のサイドクラッチ作動周期を変更する。
【0048】
高速走行時は特に後輪11の伝動軸のクラッチをオンするときでも、オフするときでも衝撃が大きい。そこで上記のように、ポンピングブレーキによる衝撃を少なくするために、高速走行時ほどポンピングブレーキ(クラッチ操作アーム86Iなどにより行う)のオン/オフの周期を長めにする。
【0049】
本実施例の8条植の田植機のように、大型の走行車両は旋回時には比較的大回りをする必要がある。しかし、旋回中に旋回内側の後輪11の伝動軸のサイドクラッチを切ったままでおくと、小回りになり過ぎる。しかし、本実施例のように そこで旋回内側の後輪11の伝動軸をポンピングブレーキ制御すると、オペレータに旋回時の違和感がないブレーキングを行うことができ、オペレータの希望する適切な旋回半径で8条植の田植機に相応しい比較的大回りの旋回が可能となる。
【0050】
(調節ダイヤル)
前記旋回内側の後輪11の伝動軸のサイドクラッチの接続は、図11に示すように操作盤33に設けているポンピングクラッチ調節ダイヤル210で設定された回転数(回転角度)に旋回内側の後輪11の回転数が達するまでなされる。
【0051】
ポンピングクラッチ調節ダイヤル210は、後輪回転角度(=後輪11の伝動軸の回転角度)で11度〜27度の間で調整を行う。なお、前記ポンピングクラッチ調節ダイヤル210を後輪11(後輪11の伝動軸)の回転角度でなく、後輪11の伝動軸作動用のクラッチ(図示せず)の作動時間、例えば210msから510msまでの時間で設定できる構成にして、このポンピングクラッチ調節ダイヤル210で設定された時間の間、旋回内側の後輪11の伝動軸のサイドクラッチ(図示せず)が接続される構成としても良い。
【0052】
また、路上走行などで高速走行しているときには、ポンピングクラッチ旋回を選択すると、大回り旋回になり易く、そのためむしろハンドリングに違和感があるので、路上走行などの高速走行中には、前記ポンピングクラッチ旋回は不要である。そこで、走行車両が一定車速、例えば1.0m/s以上で高速走行しているときには、クラッチのポンピングが行われないようにしている。
【0053】
本実施例の田植機において、ステアリングハンドル34を回して旋回する場合に、旋回外側の後輪11の回転数(a1)に応じて旋回内側の後輪11の回転数(b1;b1<a1)を決めるように前記ポンピングクラッチ制御を行う構成としても良い。
【0054】
(内側間欠伝動制御)
上記ポンピングクラッチ旋回のための制御(以下において「内側間欠伝動制御」という。)は、モード切替えによって内側クラッチを切ったままの単純旋回制御と何れかを選択可能に制御装置163を構成するとともに、内側間欠伝動制御への切替えと対応して、作業部4を下降および再稼動するべき基準距離である設定値N1,N2を小さくするように補正することにより、内側間欠伝動制御を選択した場合は、旋回走行の過程において、旋回内側の後輪11に外側と同速の走行動力が間欠伝動されることによって機体旋回が安定化されるとともに、間欠伝動と対応するように設定値N1,N2が補正されることによって作業部4の下降および再稼動の制御が適正化されることから、操向内側の後輪11のスリップの影響を極力抑えて作業部4の動作位置を適正に制御でき、未作業域の発生を防止したり過作業域を小さくしたりできる。
なお、間欠伝動は設定パルス幅を調節可能とし、この設定パルス幅に応じて、設定値N1,N2を補正をするようにしてもよい。
【0055】
また、別の内側間欠伝動制御のフローチャートを図10に示すように、機体旋回のためのステアリング操作が行われた場合に、旋回内側のサイドクラッチの「切」出力のステップ1(以下においてS1の如く略記する。)、および、外側後輪11の回転数に基づく閾値の算出(S2)を行い、この閾値に対して内側後輪11の回転数が小さい場合について、所定時間のサイドクラッチの「入」出力と設定値N1,N2の補正(S3a〜S3c)とを行うようにして旋回連動制御を行う。上記閾値は、ポンピング調節ダイヤル210により設定(例えば、外側駆動後輪の回転速度の5分の1)する。
【0056】
上記制御により、内側後輪11のスリップの発生が閾値に基づいて検出され、このスリップ発生に応じた内側後輪の駆動によって操向内側の後輪11のスリップが抑えられて操向性が確保されるとともに、内側の後輪駆動と対応して設定値N1,N2が補正されることから、連動する作業部4の動作精度を向上することができる。
【0057】
この場合において、閾値に対して内側後輪11の回転数が小さい範囲に限定してサイドクラッチの「入」および設定値N1,N2の補正を行うことにより、内側の後輪駆動と設定値N1,N2の補正がスリップの検出範囲と対応することから、操向内側の後輪11のスリップが最小限度に抑えられて操向内側の後輪11を適正な回転速度で回転させて円滑に操向できるとともに、機体の旋回動作と連動する作業部4の動作精度を更に向上することができる。
【0058】
次に、機体旋回に伴う関連制御について説明する。
ポンピングクラッチ旋回が「オン」になった場合、すなわち、内側サイドクラッチが「入」のとき、ポンピング調節ダイヤル210による切替スイッチが「入」のときは、前輪デフロック作動ソレノイド101を制御装置163により制御してフロントオートデフロックを作動させることにより、機体の旋回動作を助けることができる。
また、フロアステップ35に配置された片ブレーキペダル102の踏込み操作によってポンピングを終了することにより、ポンピング時におけるブレーキの踏込みを可能とし、ポンプの破損を防止することができる。
【0059】
ポンピングパルスが大きい場合は、旋回が大廻りとなることから、フロントアクスルに可動式のステアリング切れ角ストッパを設け、ポンピングパルスが大きい程、ステアリングストッパ用ソレノイド103により切れ角を小さくすることにより、小回りが可能となる。
また、ポンピングパルス幅が大きくなると揺れが大きくなり過ぎ、リンクの破損を招くことから、パルス幅が大きいときは、変速規制ソレノイド104により速度規制をする。
【0060】
変形圃場で機体を旋回するためには、畦クラッチが「切」のときは、畦クラッチレバーセンサー105の信号によってオートリフト動作開始のステアリング切れ角を大きくすることにより、誤作動を防止することができる。
枕地処理の際は、操作盤33のマーカスイッチ106(図12)の操作によってオートマーカが「切」のときに、オートリフト動作を開始するステアリング切れ角を大きくすることにより、オートマーカの「切」と対応する枕地処理における作業に入ったときの機体旋回による植付部の上昇を防止することができる。
【0061】
ステアリング34の切り速度が速く、機体が傾いている場合は、傾斜センサ107の信号によって自動で植付部4を下降することにより、機体の転倒を防止して安全性を向上することができる。
また、植え仕舞いにおいては、変速レバー117(図14)に設けた「チョイ上げ」のための任意昇降スイッチ117cの信号によりオートローリングを「切」にするように制御する。一般に圃場出口は傾斜していることが多く、そのような場所でオートローリングによって無理に水平にすると浮苗が発生し、泥落としも大きくなるので、そのような事態を回避することができる。
【0062】
(モード設定)
前記自動植付開始モードの設定は植始め調節ダイヤル212(図12)で行い、また前記旋回開始時からの苗の植付け始めまでの走行距離は、図12に示す植始め調節ダイヤル212を回して設定する。
前記植始め調節ダイヤル212の回転角度に応じて前記走行距離を適宜選択できる構成であるが、該ダイヤル212の前記走行距離の調節範囲より外れたダイヤル旋回角度領域(しかも自動植付開始モードに入る前のダイヤル旋回角度領域)に、車両の旋回開始時に自動的に苗植付装置4を上昇させる制御モードを選択できるオ−トリフト機能及び車両の後進時に自動的に苗植付装置4を上昇させる制御モードを選択できるバックリフト機能を兼用させている。
【0063】
そして、植始め調節ダイヤル212のダイヤル回転操作でオ−トリフト機能に対応した位置に植始め調節ダイヤル212の指示部が「オートリフト」と指示された位置に至ると、当該オートリフト機能がオンになり、オートリフト制御モードが開始すると同時に前記ポンピングクラッチ制御を開始する制御モードを採用することもできる。
【0064】
これは湿田での旋回走行中では、車輪10,11がスリップし易く、自動植付開始モードで苗の植え付け開始位置が予定した位置になり難いため、前記ポンピングクラッチ旋回を選定するが、このときのみ連動してポンピングクラッチ制御をすることができる。
こうしてスリップし易い条件下での車両の旋回走行を容易に行うことができるようになる。
【0065】
また、自動植付開始モードが設定されていない時、例えば路上走行時には前記ポンピングクラッチ旋回をしないで、通常の旋回内側の車輪(後輪11)の伝動軸のサイドクラッチを切りながら旋回する通常の旋回モードとすることもできる。
【0066】
(油圧系)
昇降バルブ161の下げPWM(Pulse Wide Modulation)制御時の騒音の対応策として次のような構成を採用することができる。すなわち、図13に示す油圧回路図において昇降バルブ161より昇降シリンダ46側にあるチェックバルブ162のスプールの後方から出る作動油を利用して、スプールがストロークしすぎるとスプールのポートを閉める構成でダンパー効果を得るようにして昇降バルブ161の下げPWM制御時の騒音を小さくする。
【0067】
現行の前記チェックバルブ162では、昇降バルブ161の下げのPWM制御時にスプールが高速にプラグ等に当たることにより騒音が発生する。個々の部品の精度などの違いにより大きな音が発生するものがあり問題となっているが、騒音が発生する箇所としてチェックバルブ162のスプールがそのストッパになっているプラグに当たる時に大きい音となることが分かったのでチェックバルブ162のスプールがプラグに当たる前にポートを閉めてダンパー効果によりプラグに当たらないようにして騒音の発生を防ぐことができた。
【0068】
(変速レバーグリップ)
また、図14に示すように、変速レバー117のグリップの側面上側に親指で押し操作して苗植付クラッチの入切を切り替えるための植付スイッチ117aを設け、該グリップの側面下側に親指で上下に操作して苗植付装置4の昇降操作をするためのトグルスイッチ式の昇降スイッチ117bを設け、該グリップの後面に親指で押し操作して苗植付装置4を任意の高さに下降させるための任意下降スイッチ117cを設けたものにおいて、グリップの前面に人差し指で左右に操作して苗植付位置の指標となるマーカの左右切換をするためのマーカ切換スイッチ117dを設けた構成を採用しても良い。この場合にはオペレータが変速レバー117を握ったままでマーカの左右の切り換えができる。
【符号の説明】
【0069】
1 乗用型田植機
3 昇降リンク装置
11 後輪
12 ミッションケース
34 ステアリングハンドル
86I サイドクラッチ操作アーム
163 制御装置
210 ポンピングクラッチ調節ダイヤル
217 プルシリンダ
221 サイドクラッチ制御用電磁バルブ
N1 設定値(90°旋回位置)
N2 設定値(植付クラッチ「入り」位置)
n 回転距離
θ 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪(10)の操舵開始により、左右の後輪(11)の旋回内側の回転距離のカウントの開始、機体後部の作業部(4)の停止、サイドクラッチによる左右の後輪(11)の旋回内側の走行動力の遮断、同内側の後輪回転距離(n)に基づく設定値(N2)と対応する基準距離の走行による作業部(4)の再稼動の一連の旋回連動制御をする制御装置(163)を備えた作業車両において、
上記制御装置(163)による旋回連動制御は、内側サイドクラッチの断続動作によって旋回内側の後輪(11)に走行動力を間欠的に伝動する内側間欠伝動制御に切替え可能に構成し、この内側間欠伝動制御への切替えと対応して設定値(N2)を小さくする補正を行うことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記制御装置(163)による内側間欠伝動制御は、外側後輪(11)の回転速度に基づいて定めた閾値に対して内側後輪(11)の回転速度が小さい範囲に限定して旋回内側の後輪(11)に走行動力を伝動するとともに、旋回内側の後輪(11)のサイドクラッチを伝動状態に切替えた状態での該後輪の累積回転数に応じて、該累積回転数が大きいほど設定値(N2)を小さくする補正を行うことを特徴とする請求項1記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−239934(P2010−239934A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95037(P2009−95037)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】