説明

周波数及び圧力感応型ショックアブソーバ

【課題】周波数及び圧力感応型ショックアブソーバの提供。
【解決手段】このショックアブソーバは、シリンダ10と、ピストンロッド20と、メインピストンバルブ組立体30と、感応ユニット100とを有する。メインピストンバルブ組立体30は、シリンダ10の内部を上部チャンバ及び下部チャンバに二分した状態で作動して移動速度に応じた減衰力を発生させる。感応ユニット100は、メインピストンバルブ組立体30の下方でピストンロッド20の一端に設置され、周波数及び圧力に応じて変化する減衰力を発生させる。感応ユニット100は、ピストンロッド20の一端に固定された中空のハウジング110と、補助バルブ組立体140とを備える。補助バルブ組立体140は、ハウジング110の内部の空間及び上記下部チャンバ間の作動流体の流動によって減衰力を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数及び圧力感応型ショックアブソーバに関し、さらに詳しくは、ピストンバルブの圧縮及び伸張運動時に低振幅と高振幅に対して減衰力をそれぞれ制御することができ、乗車感とハンドリング特性を同時に満たすことができる周波数及び圧力感応型ショックアブソーバに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両には走行時に車軸が路面から受ける衝撃や振動を緩衝して乗車感を向上させるための緩衝装置が設けられ、このような緩衝装置の1つとしてショックアブソーバが使用される。
【0003】
ショックアブソーバは路面状態による車両の振動に応じて作動し、このとき、ショックアブソーバの作動速度に応じて、すなわち、作動速度の速さに応じてショックアブソーバで発生する減衰力が変わる。
【0004】
ショックアブソーバで発生する減衰力特性をどのように調節するかによって車両の乗車感と走行安全性を制御できる。したがって、車両の設計時、ショックアブソーバの減衰力特性を調節することは非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のピストンバルブは、1つの流路を使用して高速、中速及び低速で一定の減衰特性を持つように設計されているので、低速減衰力を低くして乗車感の改善を図ろうとする場合、中高速減衰力にまで影響を及ぼし得る。また、従来のショックアブソーバは周波数やストロークにかかわらずピストンの速度変化に応じて減衰力が変化する構造を有する。このようにピストンの速度変化に応じてのみ変更される減衰力は、様々な路面状態で同じ減衰力を発生させるため、乗車感とハンドリング特性を同時に満たすことが難しい問題点がある。
【0006】
そのため、様々な路面条件、すなわち、加振周波数及びストロークに応じて減衰力が可変であり、車両の乗車感とハンドリング特性を同時に満たすことができるショックアブソーバのバルブ構造に対する研究開発が持続的に行われる必要がある。
【0007】
このような従来の問題点を解決するための本発明は、周波数及び圧力に応じて変化する減衰力を発生させる感応ユニットを含んで車両の乗車感とハンドリング特性を同時に満たすことができる周波数及び圧力感応型ショックアブソーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明によれば、周波数及び圧力に応じて減衰力が可変する周波数及び圧力感応型ショックアブソーバであって、作動流体が充填されているシリンダと、一端は前記シリンダの内部に位置し他端は前記シリンダの外部に延長されるピストンロッドと、前記ピストンロッドの一端に設置され、前記シリンダ内部を上部チャンバ及び下部チャンバに二分した状態で作動して移動速度に応じて変化する減衰力を発生させるように構成されるメインピストンバルブ組立体と、前記メインピストンバルブ組立体の下方で前記ピストンロッドの一端に設置され、周波数及び圧力に応じて変化する減衰力を発生させるように構成される感応ユニットと、を含み、前記感応ユニットは、前記ピストンロッドの一端に固定され内部が空である中空のハウジングと、前記ハウジング内で上下移動可能に配置されるフリーピストンと、前記ハウジングの下端に設置され前記ハウジング内部の空間と前記下部チャンバとの間の作動流体の流動によって減衰力を発生させるように構成される補助バルブ組立体と、を含むことを特徴とする周波数及び圧力感応型ショックアブソーバが提供される。
【0009】
前記感応ユニットは、前記ハウジング内に設置される内部チューブをさらに含み、前記フリーピストンは前記内部チューブ内で上下に移動可能に配置されることが好ましい。
【0010】
前記内部チューブは、前記フリーピストンがハウジング内で上下に移動することによってシリンダ内の上部チャンバと下部チャンバとの間を連通する通路が開閉され得るように、凸部、凹部、孔及び切欠部のうち1つ以上が形成された内周面を持つことが好ましい。
【0011】
前記フリーピストンは、前記ハウジングの内部空間内で周波数及び圧力に応じて上下に移動するが、上部弾性手段及び下部弾性手段によって初期位置に戻るように支持されることが好ましい。
【0012】
前記ハウジングの内部空間は前記ピストンロッドの内部に形成される連結通路を介して上部チャンバと連通され得ることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上述のような本発明によれば、周波数及び圧力に応じて変化する減衰力を発生させる感応ユニットを含む周波数及び圧力感応型ショックアブソーバが提供され得る。それにより、本発明による製造方法によって製造されたショックアブソーバは、車両の乗車感とハンドリング特性を同時に満たすことができる。
【0014】
本発明の感応ユニットは、周波数だけでなく圧力に感応して減衰力を変化させることができ、高圧の流量が入力されたとき、メインバルブとともに感応ユニットに含まれたサブバルブでもともに負荷を吸収できる。それにより全体的にショックアブソーバに加えられる衝撃エネルギーを效果的に分散して吸収させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明による周波数及び圧力感応型ショックアブソーバのバルブ構造を示す断面図である。
【図2】図2は、高周波時の本発明の好ましい第1実施形態による周波数及び圧力感応型ショックアブソーバのバルブ構造による流体の流動を説明するための要部断面図である。
【図3】図3は、低周波時の本発明の好ましい第1実施形態による周波数及び圧力感応型ショックアブソーバのバルブ構造による流体の流動を説明するための要部断面図である。
【図4】図4は、低周波時の本発明の好ましい第2実施形態による周波数及び圧力感応型ショックアブソーバのバルブ構造による流体の流動を説明するための要部断面図である。
【図5】図5は、高周波時の本発明の好ましい第2実施形態による周波数及び圧力感応型ショックアブソーバのバルブ構造による流体の流動を説明するための要部断面図である。
【図6】図6は、本発明による様々な形態の内部チューブの斜視図である。
【図7】図7は、本発明の好ましい第3実施形態による周波数及び圧力感応型ショックアブソーバのバルブ構造を示す断面図である。
【図8】図8は、低周波圧縮時の本発明の好ましい第3実施形態による周波数及び圧力感応型ショックアブソーバのバルブ構造による流体の流動を説明するための要部断面図である。
【図9】図9は、低周波リバウンド時の本発明の好ましい第3実施形態による周波数及び圧力感応型ショックアブソーバのバルブ構造による流体の流動を説明するための要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態による周波数及び圧力感応型ショックアブソーバのバルブ構造を、図面を参照して詳しく説明する。
【0017】
図1に示すように、本発明による周波数及び圧力感応型ショックアブソーバは、オイルなどの作動流体が充填されている略円筒状のシリンダ10と、一端はシリンダの内部に位置し他端はシリンダの外部に延長されるピストンロッド20を含む。
【0018】
本発明によるショックアブソーバのバルブ構造は、このピストンロッド20の一端に設置され、シリンダ内部を上部チャンバ11及び下部チャンバ12に二分した状態で作動して移動速度に応じて変化する減衰力を発生させるメインピストンバルブ組立体30と、このメインピストンバルブ組立体30とともに移動し周波数及び圧力に応じて変化する減衰力を発生させる感応ユニット100を含む。
【0019】
メインピストンバルブ組立体30及び感応ユニット100は、ピストンロッド20の末端に連続して設置される。ピストンロッド20の他端側は、ロッドガイド及びオイルシールにスライド運動が可能であるとともに液密的に貫通してシリンダの外部に延長されている。
【0020】
メインピストンバルブ組立体30は、ショックアブソーバの圧縮時に作動流体が通過する1つ以上のメイン圧縮通路32及びショックアブソーバの伸張時に作動流体が通過する1つ以上のメインリバウンド通路33が形成されているメインピストン本体31と、このメインピストン本体31の上部に配置されてメイン圧縮通路32を通過した作動流体の圧力に対抗して減衰力を発生させるメイン圧縮バルブ手段35と、メインピストン本体31の下部に配置されてメインリバウンド通路33を通過した作動流体の圧力に対抗して減衰力を発生させるメインリバウンドバルブ手段37を含むことができる。
【0021】
また、メインピストン本体31の外周表面にはシリンダ10の内周面との密着及び摩耗などを防止するためにテフロン素材(「テフロン」は登録商標)のバンド39が設置されることができる。
【0022】
本第1実施形態による感応ユニット100は、前記メインピストンバルブ組立体30の下方に配置されるようにピストンロッド20の下端に装着され、内部が空である中空のハウジング110と、このハウジング110内で移動しながら流路を開閉させるフリーピストン120と、ハウジング110の下端に装着される補助バルブ組立体140と、を含む。
【0023】
補助バルブ組立体140は、ショックアブソーバの圧縮時に作動流体が通過する1つ以上の補助圧縮通路142及びショックアブソーバの伸張時に作動流体が通過する1つ以上の補助リバウンド通路143が形成されている補助バルブ本体141と、この補助バルブ本体141の上部に配置され、補助圧縮通路142を通過した作動流体の圧力に対抗して減衰力を発生させる補助圧縮バルブ手段145と、補助バルブ本体141の下部に配置され、補助リバウンド通路143を通過した作動流体の圧力に対抗して減衰力を発生させる補助リバウンドバルブ手段147と、を含む。補助バルブ本体141の上下部に補助圧縮バルブ手段145と補助リバウンドバルブ手段147とが配置されることができるように、補助バルブ本体141の中央にはリベット、ボルト及びナットなどからなる固定部材144が設置される。
【0024】
補助バルブ組立体140の補助バルブ本体141は、ハウジング110によって前記メインピストンバルブ組立体30の下部に固定される。ハウジング110の内部空間、特にフリーピストン120の上側空間である上部空間111は、ピストンロッド20の内部に形成される連結通路21を介して上部チャンバ11と連通され得る。ハウジング210の内部空間は、フリーピストン120によって上部空間111と下部空間112とに区分されることができる。
【0025】
フリーピストン120は、ハウジング110の内部空間内で周波数(振幅)に応じて上下に移動するように設置される。フリーピストン120は上部弾性手段としての上部スプリング157及び下部弾性手段としての下部スプリング158によってハウジング110の内部空間内に支持されている。上部弾性手段及び下部弾性手段は、スプリング、ディスク及びクリップのうち選択されたいずれか1つであることがあり、弾性によってフリーピストン120を支持できるものであればいかなる手段でも活用できる。弾性手段としての上部スプリング157と下部スプリング158の形態や弾性係数は互いに異なることがあり、設計時に様々に変形され得る。ただし、上部スプリング157と下部スプリング158として円錐型コイルスプリング(Cone−Type Coil Spring)を使用する場合、乗車感の向上及び自由長のさらなる確保に有利である。
【0026】
フリーピストン120の上部表面には、上部スプリング157の下端が定着できる定着部が形成されることができ、フリーピストン120の下部表面には、下部スプリング158の上端が定着できる定着部が形成されることができる。下部スプリング158の下端は、補助バルブ組立体140の固定部材144上に定着される。フリーピストン120の外周面には、メインピストンバルブ組立体と同様に、例えばテフロン素材からなるバンド129が付着され得る。
【0027】
本発明によれば、フリーピストン120がハウジング110内で上下に移動することによって、シリンダ10内の上部チャンバ11と下部チャンバ12の間を連通する通路が開閉され得るように、凸部、凹部、孔、または切欠部が形成される内部チューブ130がハウジング110内に挿入されることができる。
【0028】
本第1実施形態によれば、ハウジング110内に挿入される内部チューブ130は、その内側表面に凹状に形成される1つ以上の上部凹部131と、この上部凹部131と連結されないが一直線上に形成される1つ以上の下部凹部132を有する。フリーピストン120は、外力が加えられない状態で上部凹部131と下部凹部132の間に位置する。すなわち、外力が加えられない状態で、フリーピストン120は、凹部が形成されていない高さに維持されて上部チャンバ11及び下部チャンバ12の間の作動流体の流動を許さない。このために凹部が形成されていない部分の内部チューブ130の内径は、フリーピストン120の外径と略一致する寸法を有する。
【0029】
本発明の第1実施形態によれば、上部空間111と下部空間112の間の通路が開放されたとき、フリーピストン120に圧力を加えた作動流体がこの通路を介して流動する。言い換えると、フリーピストン120を加圧した作動流体が通路を介してフリーピストンの反対側に流動するので、本発明の第1実施形態によれば、フリーピストンを加圧する作動流体の流れとフリーピストンを経て反対側に流動する作動流体の流れとは、別個に形成されるのではなく、1つの流れに形成される。
【0030】
以下、図2及び図3を参照して本発明の好ましい第1実施形態によるバルブ構造の作動を説明する。
【0031】
図2には高周波(すなわち、低振幅)時のフリーピストン120の位置を示しており、図3には低周波(すなわち、高振幅)時のフリーピストン120の位置を示している。フリーピストン120は、慣性及び作動流体の圧力などのような外力が加えられる場合、上部スプリング157や下部スプリング158を圧縮させながら移動できる。すなわち、フリーピストン120に作用する外力の大きさが、上部スプリング157や下部スプリング158を圧縮させることができる程度に大きい場合、フリーピストン120が上部又は下部に移動する。
【0032】
図2にはショックアブソーバのピストンロッドが移動する振幅が小さく振動数が高いので、フリーピストン120に作用する外力の大きさが上部スプリング157や下部スプリング158を圧縮させることができる程度に大きくはない状態を示している。フリーピストン120が移動しない状態で、フリーピストン120の外部表面は、内部チューブ130の内部表面と全体の周りにかけて接しているので、作動流体の流動が不可能になる。このとき、上部チャンバ11の作動流体は、ピストンロッド20内部に形成された連結通路21とハウジング110の内部空間のうちフリーピストン120の上側空間、すなわち、上部空間111までは流動できるが、フリーピストン120によってそれ以上の流動は不可能である。
【0033】
また、フリーピストン120に外力が作用してフリーピストン120が動くが、フリーピストン120が上部凹部131又は下部凹部132まで移動できるほどフリーピストン120に作用する外力の大きさが大きくない場合も、フリーピストン120の外部表面は、内部チューブ130の内部表面と全体の周りにかけて接している。したがって、この場合も、上部チャンバ11の作動流体が下部チャンバ12へ流動するか、下部チャンバ12の作動流体が上部チャンバ11へ流動することはフリーピストン120によって防止される。
【0034】
しかし、フリーピストン120が動くため、ハウジング内の上部空間111に存在する作動流体が連結通路21を介して上部チャンバ11へ流動するか、上部チャンバ11の作動流体が連結通路21を介してハウジング内の上部空間111へ流動し得る。また、ハウジング内の下部空間112に存在する作動流体が補助バルブ組立体140を介して下部チャンバ12へ流動するか、下部チャンバ12の作動流体が補助バルブ組立体140を介してハウジング内の下部空間112へ流動し得る。
【0035】
このとき、補助バルブ組立体140は、フリーピストン120が動くことによって生じる作動流体の流動によって減衰力を発生する。
【0036】
このように高周波及び低振幅時に減衰力は、メインピストンバルブ組立体40によって得られるとともに、フリーピストン120の移動距離に応じた作動流体の流動量だけ補助バルブ組立体140によって得られるようになる。すなわち、高周波及び低振幅時に、減衰力は、メインピストンバルブ組立体40によって得られるだけでなく、フリーピストン120が移動した分だけ補助バルブ組立体140によっても得られることができるため、メインピストンバルブ組立体40に加えられる圧力が補助バルブ組立体140側に分散されることによって、よりソフトな減衰力を得ることができるようになる。
【0037】
図3にはショックアブソーバのピストンロッドが移動する振幅が大きく振動数は小さいので、フリーピストン120に作用する外力の大きさが上部スプリング157や下部スプリング158を圧縮させることができる程度に大きい状態を示している。このとき、上部チャンバ11の作動流体は、ピストンロッド20内部に形成された連結通路21、内部チューブ130の内側表面に形成された下部凹部132、補助バルブ組立体140を介して下部チャンバ12へ流動できる。下部チャンバ12から上部チャンバ11への流動も可能であることは無論である。すなわち、下部チャンバ12の作動流体は、補助バルブ組立体140、内部チューブ130の内側表面に形成された下部凹部132、ピストンロッド20内部に形成された連結通路21を介して上部チャンバ11へ流動できる。
【0038】
図3には伸張行程時の状態のみを示しているが、圧縮行程時にショックアブソーバのピストンロッドが移動する振幅が大きく振動数が小さいので、フリーピストン120に作用する外力の大きさが上部スプリング157を圧縮させることができる程度に大きい場合にも、フリーピストン120が上側へ移動して上部凹部131を介する作動流体の流動が可能になる。
【0039】
このように低周波及び高振幅時には、メインピストンバルブ組立体30及び補助バルブ組立体140によって減衰力が得られる。
【0040】
以下、図4及び図5を参照して本発明の好ましい第2実施形態によるバルブ構造を説明する。第2実施形態によるバルブ構造は感応ユニットにおいて前述した第1実施形態によるバルブ構造と相違点を持つので、その相違点を中心に説明する。
【0041】
本第2実施形態による感応ユニット200は、前記メインピストンバルブ組立体30の下方に配置されるようにピストンロッド20の下端に装着され、内部が空である中空のハウジング210と、このハウジング210内で移動しながら流路を開閉させるフリーピストン220と、ハウジング210の下端に装着される補助バルブ組立体240と、を含む。
【0042】
補助バルブ組立体240は、ショックアブソーバの圧縮時に作動流体が通過する1つ以上の補助圧縮通路242及びショックアブソーバの伸張時に作動流体が通過する1つ以上の補助リバウンド通路243が形成されている補助バルブ本体241と、この補助バルブ本体241の上部に配置され補助圧縮通路242を通過した作動流体の圧力に対抗して減衰力を発生させる補助圧縮バルブ手段245と、補助バルブ本体241の下部に配置され補助リバウンド通路243を通過した作動流体の圧力に対抗して減衰力を発生させる補助リバウンドバルブ手段247と、を含む。補助バルブ本体241の上下部に補助圧縮バルブ手段245と補助リバウンドバルブ手段247が配置されることができるように、補助バルブ本体241の中央にはリベット、ボルト及びナットなどからなる固定部材244が設置される。
【0043】
補助バルブ組立体240の補助バルブ本体241は、ハウジング210によって前記メインピストンバルブ組立体30の下部に固定される。ハウジング210の内部空間、特にフリーピストン220の上側空間である上部空間211は、ピストンロッド20の内部に形成される連結通路21を介して上部チャンバ11と連通され得る。ハウジング210の内部空間は、フリーピストン220によって上部空間211と下部空間212とに区分されることができる。
【0044】
フリーピストン220は、ハウジング210の内部空間内で周波数(振幅)に応じて上下に移動するように設置される。フリーピストン220は、上部弾性手段としての上部スプリング257及び下部弾性手段としての下部スプリング258によってハウジング210の内部空間内に支持されている。上部弾性手段及び下部弾性手段は、スプリング、ディスク及びクリップのうち選択されたいずれか1つであることがあり、弾性によってフリーピストン220を支持できるものであればいかなる手段でも活用できる。弾性手段としての上部スプリング257と下部スプリング258の形態や弾性係数は互いに異なることがあり、設計時に様々に変形され得る。ただし、上部スプリング257と下部スプリング258として円錐型コイルスプリングを使用する場合、乗車感の向上及び自由長のさらなる確保に有利である。
【0045】
フリーピストン220の上部表面には、上部スプリング257の下端が定着できる定着部が形成されることができ、フリーピストン220の下部表面には、下部スプリング258の上端が定着できる定着部が形成されることができる。下部スプリング258の下端は、補助バルブ組立体240の固定部材244上に定着される。フリーピストン220の外周面には、メインピストンバルブ組立体と同様に、例えばテフロン素材からなるバンド229が付着され得る。
【0046】
本発明によれば、フリーピストン220がハウジング210内で上下に移動することによって、シリンダ10内の上部チャンバ11と下部チャンバ12の間を連通する通路が開閉され得るように、凸部、凹部、孔または切欠部が形成される内部チューブ230がハウジング210内に挿入されることができる。
【0047】
本第2実施形態によれば、ハウジング210内に挿入される内部チューブ230は、その内側表面にリング状に凹んで形成されるリング状凹部231を有する。フリーピストン220は、外力が加えられない状態でリング状凹部231が形成された位置に位置する。すなわち、外力が加えられない状態で、フリーピストン220は、凹部が形成された高さに維持されて上部チャンバ11及び下部チャンバ12の間の作動流体の流動を許す。一方、外力が加えられてフリーピストン220が所定距離以上上下に移動してフリーピストン220がリング状凹部231が形成された部分から離れると、フリーピストン220によって上部チャンバ11及び下部チャンバ12の間の作動流体の流動通路が閉鎖される。このために凹部が形成されていない部分の内部チューブ230の内径は、フリーピストン220の外径と略一致する寸法を有する。
【0048】
以下、図4及び図5を参照して本発明の好ましい第2実施形態によるバルブ構造の作動を説明する。
【0049】
図4には低周波(すなわち、高振幅)時のフリーピストン220の位置を示しており、図5には高周波(すなわち、低振幅)時のフリーピストン220の位置を示している。フリーピストン220は、慣性及び作動流体の圧力などのような外力が加えられる場合、上部スプリング257や下部スプリング258を圧縮させながら移動できる。すなわち、フリーピストン220に作用する外力の大きさが上部スプリング257や下部スプリング258を圧縮させることができる程度に大きい場合、フリーピストン220が上部又は下部に移動する。
【0050】
図4にはショックアブソーバのピストンロッドが移動する振幅が大きく振動数が小さいので、フリーピストン220に作用する外力の大きさが上部スプリング257や下部スプリング258を圧縮させることができる程度に大きい状態を示している。フリーピストン220が移動した状態で、フリーピストン220の外部表面は、内部チューブ230の内部表面と全体の周りにかけて接しているので作動流体の流動が不可能になる。このとき、上部チャンバ11の作動流体は、ピストンロッド20内部に形成された連結通路21とハウジング210の内部空間のうちフリーピストン220の上側空間、すなわち、上部空間211までは流動できるが、フリーピストン220によってそれ以上の流動は不可能である。
【0051】
図4には伸張行程時の状態のみを示しているが、圧縮行程時にショックアブソーバのピストンロッドが移動する振幅が大きくて振動数が小さいので、フリーピストン220に作用する外力の大きさが上部スプリング257を圧縮させることができる程度に大きい場合にも、フリーピストン220が上側へ移動して作動流体の流動が不可能になる。
【0052】
このように低周波及び高振幅時には作動流体が主にメインピストンバルブ組立体30を介して流動できるので、減衰力は主にメインピストンバルブ組立体40によって得られるようになる。
【0053】
図5にはショックアブソーバのピストンロッドが移動する振幅が小さく振動数が高いので、フリーピストン220に作用する外力の大きさが上部スプリング257や下部スプリング258を圧縮させることができる程度に大きくはない状態を示している。このとき、上部チャンバ11の作動流体は、ピストンロッド20内部に形成された連結通路21、内部チューブ230の内側表面に形成されたリング状凹部232、補助バルブ組立体240を介して下部チャンバ12へ流動できる。下部チャンバ12から上部チャンバ11への流動も可能であることは無論である。すなわち、下部チャンバ12の作動流体は、補助バルブ組立体240、内部チューブ230の内側表面に形成されたリング状凹部232、ピストンロッド20内部に形成された連結通路21を介して上部チャンバ11へ流動できる。
【0054】
このように高周波及び低振幅時にはメインピストンバルブ組立体30及び補助バルブ組立体240によって減衰力が得られることができる。
【0055】
図6には様々な形態の内部チューブを示している。図6の(a)には本発明の第1実施形態に適用された内部チューブ130の斜視図を示しているが、円筒状チューブをプレスなどで加圧して上部及び下部凹部を形成した例である。図6の(b)には内部表面を円周方向に加工した例を示している。必要であれば、図6の(c)に示すように円筒状チューブに複数の孔を形成したり、図6の(d)に示すように上下部に切欠部を形成して内部チューブを製作しても良い。
【0056】
以下、図7乃至図9を参照して本発明の好ましい第3実施形態によるバルブ構造を説明する。第3実施形態によるバルブ構造は、感応ユニットにおいて前述した第1実施形態によるバルブ構造と相違点を持つので、その相違点を中心に説明する。
【0057】
本第3実施形態による感応ユニット300は、メインピストンバルブ組立体30aの下方に配置されるようにピストンロッド20の下端に装着され内部が空いている中空のハウジング310と、このハウジング310内で移動しながら流路を開閉させるフリーピストン320と、ハウジング310の下端に装着される補助バルブ組立体340と、を含む。
【0058】
図7に示すメインピストンバルブ組立体30aは、図1に示すメインピストンバルブ組立体30と互いに異なる構成を持つものとして図示されているが、これらのメインピストンバルブ組立体30、30aの構成は例示にすぎず、本発明はメインピストンバルブ組立体の構成によって限定されない。
【0059】
補助バルブ組立体340は、ショックアブソーバの圧縮時に作動流体が通過する1つ以上の補助圧縮通路342及びショックアブソーバの伸張時に作動流体が通過する1つ以上の補助リバウンド通路343が形成されている補助バルブ本体341と、この補助バルブ本体341の上部に配置されて補助圧縮通路342を通過した作動流体の圧力に対抗して減衰力を発生させる補助圧縮バルブ手段345と、補助バルブ本体341の下部に配置されて補助リバウンド通路343を通過した作動流体の圧力に対抗して減衰力を発生させる補助リバウンドバルブ手段347と、を含む。補助バルブ本体341の上下部に補助圧縮バルブ手段345と補助リバウンドバルブ手段347が配置されることができるように、補助バルブ本体341の中央にはリベット、ボルト及びナットなどからなる固定部材344が設置される。
【0060】
図7に示す補助バルブ組立体340は、図1に示す補助バルブ組立体140と互いに異なる構成を持つものとして図示されているが、これらの補助バルブ組立体140、340の構成は例示にすぎない。
【0061】
補助バルブ組立体340の補助バルブ本体341は、ハウジング310によって前記メインピストンバルブ組立体30aの下部に固定される。ハウジング310の内部空間、特にフリーピストン320の上側空間である上部空間311は、ピストンロッド20の内部に形成される連結通路21を介して上部チャンバ11と連通され得る。フリーピストン320の下側空間である下部空間312は、補助バルブ組立体340を介して下部チャンバ12と連通され得る。ハウジング310の内部空間は、フリーピストン320によって上部空間311と下部空間312とに区分されることができる。
【0062】
フリーピストン320は、ハウジング310の内部空間内で周波数(振幅)に応じて上下に移動するように設置される。フリーピストン320は、上部弾性手段としての上部スプリング357及び下部弾性手段としての下部スプリング358によってハウジング310の内部空間内に支持されている。上部弾性手段及び下部弾性手段は、スプリング、ディスク及びクリップのうち選択されたいずれか1つであることがあり、弾性によってフリーピストン320を支持できるものであればいかなる手段でも活用できる。弾性手段としての上部スプリング357と下部スプリング358の形態や弾性係数は互いに異なることがあり、設計時に様々に変形され得る。ただし、上部スプリング357と下部スプリング358として円錐型コイルスプリングを使用する場合、乗車感の向上及び自由場のさらなる確保に有利である。
【0063】
フリーピストン320には、低周波圧縮時に開放されて下部空間312の作動流体が上部空間311に流動できるようにする貫通穴325が形成されており、この貫通穴325は、外部から圧力が加えられないとき、バルブ体326によって閉鎖された状態を維持する。バルブ体326は、フリーピストン320の上部表面に積層される。上部スプリング357の下端がバルブ体326に定着され、それによってバルブ体326をフリーピストン320側に加圧する。フリーピストン320の下部表面には、下部スプリング358の上端が定着できる定着部が形成され得る。下部スプリング358の下端は、補助バルブ組立体340の固定部材344上に定着される。
【0064】
フリーピストン320の外周面には、前記第1及び第2実施形態と同じテフロン素材のバンドが付着されることもできるが、本第3実施形態では、ゴム素材のリップ部329が一体に成形されることができる。リップ部329は、ハウジング310の内部表面に密着されて密封機能を行うことができる。
【0065】
本第3実施形態によれば、ハウジング310内に別途の内部チューブは挿入されず、必要に応じて段差部313及び溝部314をハウジング310の内部表面に直接形成して、フリーピストン320がハウジング310内で上下に移動することによって、シリンダ10内の上部チャンバ11と下部チャンバ12の間を連通する通路が開閉されることができるようにする。
【0066】
本第3実施形態によれば、ハウジング310の上部空間311の内部表面には、フリーピストン320の移動を制限する段差部313が形成されており、ハウジング310の下部空間312の内部表面には複数個の溝部314が形成されている。ハウジング310の内部表面のうち段差部313と溝部314の間には、フリーピストン320の外径、さらに詳しくはフリーピストン320の外周縁に一体に成形されたリップ部329の外径と略同じ寸法の内径を有する中間部315が形成される。フリーピストン320は、外力が加えられない状態で、ハウジング310の中間部315に位置する。
【0067】
フリーピストン320は、外力が加えられない状態で中間部315に位置する。それによってフリーピストン320は、上部チャンバ11及び下部チャンバ12の間の作動流体の流動を許さない。一方、外力が加えられてフリーピストン320が所定距離以上下方に移動して、フリーピストン320が中間部315から離れると、溝部314を介する作動流体の流動が可能になる。また、外力が加えられてフリーピストン320の上部表面に積層されたバルブ体326が上部スプリング357を圧縮させながら上側へ移動すると、貫通穴325が開放されて作動流体の流動が可能になる。
【0068】
本発明の第3実施形態によれば、上部空間311と下部空間312の間の通路が開放されたとき、フリーピストン320に圧力を加えた作動流体がこの通路を介して流動する。言い換えると、フリーピストン320を加圧した作動流体が通路を介してフリーピストンの反対側に流動するので、本発明の第3実施形態によれば、フリーピストンを加圧する作動流体の流れとフリーピストンを経て反対側に流動する作動流体の流れとは別個に形成されるのではなく、1つの流れに形成される。
【0069】
以下、図7乃至図9を参照して本発明の好ましい第3実施形態によるバルブ構造の作動を説明する。
【0070】
図7には外力が加えられない初期状態でのフリーピストン320の位置を示している。図8には低周波(すなわち、高振幅)圧縮時のフリーピストン320の位置を示しており、図9には低周波(すなわち、高振幅)リバウンド時のフリーピストン320の位置を示している。フリーピストン320は、慣性及び作動流体の圧力などのような外力が加えられる場合、上部スプリング357や下部スプリング358を圧縮させながら移動できる。すなわち、フリーピストン320に作用する外力の大きさが、上部スプリング357や下部スプリング358を圧縮させることができる程度に大きい場合、フリーピストン320が上部又は下部に移動する。
【0071】
図7にはショックアブソーバのピストンロッドが移動する振幅が小さく振動数が高いので、フリーピストン320に作用する外力の大きさが上部スプリング357や下部スプリング358を圧縮させることができる程度に大きくはない状態を示している。フリーピストン320が中間部315に位置する状態で、フリーピストン320の外部表面はハウジング内部表面の中間部315に接しているので、上部空間311と下部空間312の間での作動流体の流動は不可能である。
【0072】
図8にはショックアブソーバのピストンロッドが下方に移動する振幅が大きく振動数が小さいので、フリーピストン320に作用する外力の大きさが上部スプリング357を圧縮させることができる程度に大きい状態を示している。上部スプリング357を圧縮させながら移動するフリーピストン320は、段差部313と接するとそれ以上の移動が制限される。このとき、さらに外力が加えられると、貫通穴325を防いでいたバルブ体326が上部スプリング357をさらに圧縮させながら移動するようになり、それによって貫通穴325が開放されて、下部空間312の作動流体が上部空間311に流動できるようになる。
【0073】
図9にはショックアブソーバのピストンロッドが上側へ移動する振幅が大きく振動数が小さいので、フリーピストン320に作用する外力の大きさが下部スプリング358を圧縮させることができる程度に大きい状態を示している。下部スプリング358を圧縮させながら移動するフリーピストン320が溝部314が形成された部分まで移動すると、作動流体が流動できる通路が開放されて上部空間311の作動流体が下部空間312に流動できるようになる。
【0074】
以上のように本発明による周波数及び圧力感応型ショックアブソーバを、例示された図面を参照して説明したが、本発明は以上で説明された実施形態と図面によって限定されず、特許請求の範囲内で本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって様々な修正及び変形がなされることができることは無論である。
【符号の説明】
【0075】
10:シリンダ
11:上部チャンバ
12:下部チャンバ
20:ピストンロッド
21:連結通路
30:メインピストンバルブ組立体
31:メインピストン本体
32:メイン圧縮通路
33:メインリバウンド通路
35:メイン圧縮バルブ手段
37:メインリバウンドバルブ手段
39:バンド
100、200、300:感応ユニット
110、210、310:ハウジング
120、220、320:フリーピストン
130、230、330:内部チューブ
131:上部凹部
132:下部凹部
140、240、340:補助バルブ組立体
141、241、341:補助バルブ本体
142、242、342:補助圧縮通路
143、243、343:補助リバウンド通路
145、245、345:補助圧縮バルブ手段
147、247、347:補助リバウンドバルブ手段
157、257、357:上部スプリング
158、258、358:下部スプリング
231:リング状凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数及び圧力に応じて減衰力が可変する周波数及び圧力感応型ショックアブソーバであって、
作動流体が充填されているシリンダと、
一端は前記シリンダの内部に位置し他端は前記シリンダの外部に延長されるピストンロッドと、
前記ピストンロッドの一端に設置され、前記シリンダ内部を上部チャンバ及び下部チャンバに二分した状態で作動して移動速度に応じて変化する減衰力を発生させるように構成されるメインピストンバルブ組立体と、
前記メインピストンバルブ組立体の下方で前記ピストンロッドの一端に設置され、周波数及び圧力に応じて変化する減衰力を発生させるように構成される感応ユニットと、を含み、
前記感応ユニットは、前記ピストンロッドの一端に固定され内部が空である中空のハウジングと、前記ハウジング内で上下移動可能に配置されるフリーピストンと、前記ハウジングの下端に設置され前記ハウジング内部の空間と前記下部チャンバとの間の作動流体の流動によって減衰力を発生させるように構成される補助バルブ組立体と、を含むことを特徴とする周波数及び圧力感応型ショックアブソーバ。
【請求項2】
前記感応ユニットは、前記ハウジング内に設置される内部チューブをさらに含み、
前記フリーピストンは前記内部チューブ内で上下に移動可能に配置されることを特徴とする請求項1に記載の周波数及び圧力感応型ショックアブソーバ。
【請求項3】
前記内部チューブは、前記フリーピストンがハウジング内で上下に移動することによってシリンダ内の上部チャンバと下部チャンバとの間を連通する通路が開閉され得るように、凸部、凹部、孔及び切欠部のうち1つ以上が形成された内周面を持つことを特徴とする請求項2に記載の周波数及び圧力感応型ショックアブソーバ。
【請求項4】
前記フリーピストンは、前記ハウジングの内部空間内で周波数及び圧力に応じて上下に移動するが、上部弾性手段及び下部弾性手段によって初期位置に戻るように支持されることを特徴とする請求項1に記載の周波数及び圧力感応型ショックアブソーバ。
【請求項5】
前記ハウジングの内部空間は前記ピストンロッドの内部に形成される連結通路を介して上部チャンバと連通され得ることを特徴とする請求項1に記載の周波数及び圧力感応型ショックアブソーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−53748(P2013−53748A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−187100(P2012−187100)
【出願日】平成24年8月28日(2012.8.28)
【出願人】(505468174)マンド株式会社 (43)
【氏名又は名称原語表記】MANDO CORPORATION
【Fターム(参考)】