説明

基板処理装置

【課題】搬送途上において基板を反転することを容易に可能とする。
【解決手段】基板処理装置は、基板の上方を向く主面を処理する処理部と、基板が載置される載置部近傍の前部移載位置501と処理部近傍の後部移載位置502との間にて基板を搬送する基板搬送部5とを有する。基板搬送部5では、基板を保持する基板保持部51の両側部に一対の円筒部55が設けられ、搬送方向におよそ沿って伸びる一対の外側レール部53が基板保持部51の両側に設けられる。昇降機構571,572は、搬送方向における一対の外側レール部53の両端部に高低差を設けることにより、前部移載位置501から後部移載位置502へと一対の円筒部55を転がして、基板を反転しつつ基板保持部51を搬送する。これにより、搬送途上において基板を反転することが容易に可能となり、基板処理装置におけるスループットを向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
枚葉式の基板処理装置では、処理対象の基板が載置される載置部と、基板を処理する処理部との間に基板搬送部が設けられ、基板搬送部により処理対象の基板が処理部近傍へと搬送される。一方、基板の裏面を処理する際には、基板が反転された後、基板が処理部へと搬入される。例えば、特許文献1では、基板を反転させる反転機構、および、反転機構を移動させる移動機構を設けることにより、基板の搬送の際に基板の反転を行って基板処理のスループットを向上する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−172160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の装置では、モータ等が内蔵された回転機構が反転機構に設けられるため、反転機構の重量が重くなり、反転機構を移動させる移動機構において大型の駆動源が必要となる。したがって、搬送途上において基板を反転することが容易に可能な新規の手法が求められる。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、搬送途上において基板を反転することが容易に可能な新規の手法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、基板を処理する基板処理装置であって、基板が載置される載置部と、搬入される基板の少なくとも上方を向く主面を処理する処理部と、前記載置部近傍の第1の位置と前記処理部近傍の第2の位置との間にて基板を搬送する基板搬送部と、前記載置部と前記基板搬送部との間にて基板を移載する第1移載部と、前記基板搬送部と前記処理部との間にて基板を移載する第2移載部とを備え、前記基板搬送部が、基板を保持する基板保持部と、前記第1の位置から前記第2の位置に向かう水平な搬送方向におよそ沿って伸びるとともに、前記搬送方向に垂直かつ水平な幅方向に関して前記基板保持部の両側にそれぞれ配置される一対のレール部と、前記幅方向における前記基板保持部の両側部にそれぞれ固定されるとともに、前記幅方向に平行な軸を中心とする一対の円筒部と、前記搬送方向における前記一対のレール部の両端部に高低差を設け、前記一対のレール部上において前記第1の位置および前記第2の位置の一方の位置から他方の位置へと前記一対の円筒部を転がすことにより、前記一方の位置から前記他方の位置へと前記基板保持部を搬送するとともに前記基板を反転するレール角度変更機構とを備える。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記基板搬送部が、前記一対のレール部とおよそ平行に設けられる他の一対のレール部と、前記基板保持部に固定されるとともに前記他の一対のレール部と当接する一対の当接部と、前記搬送方向における前記他の一対のレール部の両端部に高低差を設け、前記他の一対のレール部上において前記一方の位置から前記他方の位置へと前記一対の当接部を滑らせることにより、前記一方の位置から前記他方の位置へと前記基板保持部を搬送する他のレール角度変更機構とをさらに備え、前記基板処理装置が、基板の両主面のうち前記処理部における処理対象の主面を示す情報に基づいて、前記レール角度変更機構または前記他のレール角度変更機構の一方による前記基板保持部の搬送を選択する制御部をさらに備える。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の基板処理装置であって、前記レール角度変更機構により前記基板保持部が前記一方の位置から前記他方の位置へと移動する際に、前記一対の当接部と前記他の一対のレール部とが離間し、前記基板保持部が前記他方の位置に到達した際に、前記一対の当接部が、水平な前記他の一対のレール部と当接する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記一対のレール部が、前記第1の位置および前記第2の位置のそれぞれにおいて、前記一対の円筒部の移動を係止する係止部を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、搬送途上において基板を反転することが容易に可能となり、基板処理装置におけるスループットを向上することができる。
【0011】
また、請求項2の発明では、基板の反転および非反転を選択的に行うことができ、請求項3の発明では、基板の姿勢を補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】基板処理装置の平面図である。
【図2】インデクサロボットの平面図である。
【図3】基板搬送部を示す図である。
【図4】基板搬送部を示す図である。
【図5】外側レール部の断面図である。
【図6】基板保持部の構成を示す図である。
【図7】固定板および可動板を示す斜視図である。
【図8】基板処理装置における動作の流れを示す図である。
【図9】基板保持部内への基板の搬入動作を説明するための図である。
【図10】基板保持部内への基板の搬入動作を説明するための図である。
【図11】基板保持部内への基板の搬入動作を説明するための図である。
【図12】基板搬送部における基板の搬送動作を説明するための図である。
【図13】基板搬送部における基板の搬送動作を説明するための図である。
【図14】基板搬送部における基板の搬送動作を説明するための図である。
【図15】基板搬送部における基板の搬送動作を説明するための図である。
【図16】基板搬送部における基板の搬送動作を説明するための図である。
【図17】基板搬送部における基板の搬送動作を説明するための図である。
【図18】基板保持部からの基板の搬出動作を説明するための図である。
【図19】基板保持部からの基板の搬出動作を説明するための図である。
【図20】基板保持部からの基板の搬出動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る基板処理装置1を示す平面図である。基板処理装置1は、所定の薬液やリンス液等により円形のシリコン基板(以下、単に「基板」という。)9を処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、インデクサブロック2、処理ブロック3および制御部10を備え、制御部10の制御により基板処理装置1の各構成要素が制御される。図1では、互いに垂直かつ水平な2方向をX方向およびY方向として示し、X方向およびY方向に垂直な鉛直方向をZ方向として示している。
【0014】
インデクサブロック2は、キャリア90を保持するキャリア保持部21、キャリア保持部21と処理ブロック3との間に配置されるインデクサロボット22、および、インデクサロボット22を図1中の縦方向(図1中のX方向であり、以下、「幅方向」ともいう。)に移動するインデクサロボット移動機構23を備える。キャリア保持部21では、複数のキャリア90が幅方向(すなわち、インデクサロボット22の移動方向)に沿って配列され、各キャリア90には複数の基板9が収容される。すなわち、キャリア保持部21では、キャリア90内に収容された状態の基板9が載置され、キャリア保持部21は基板9の載置部である。インデクサロボット22では、キャリア90からの基板9の搬出、および、キャリア90への基板9の搬入が行われる。
【0015】
処理ブロック3は、4つの処理部4、および、センターロボット31を備える。4つの処理部4はセンターロボット31を囲むように配置され、センターロボット31により処理ブロック3における基板9の搬送が行われる。各処理部4は、基板9を水平状態にて保持しつつ基板9を回転するスピンチャック、スピンチャックの周囲を囲むカップ部、スピンチャックの上方に配置される処理液ノズル等を備える。処理部4では、基板9の下方(図1中の(−Z)側)を向く面がスピンチャック側を向いた状態で基板9が保持され、処理液ノズルから基板9の上方((+Z)側)を向く面に所定の処理液(例えば、洗浄液)が付与されて基板9の当該面が処理される。すなわち、処理部4では、搬入される基板9の上方を向く面が処理される。処理ブロック3では、各処理部4に隣接して流体ボックス部41が設けられ、流体ボックス部41内に、各種処理液の供給に係る供給管、バルブ、流量計等が収容される。なお、処理ブロック3において、図1のZ方向に複数の処理部が重ねて設けられてもよい(すなわち、積層配置されてもよい。)。
【0016】
図2は、インデクサロボット22の平面図である。図2に示すように、インデクサロボット22はベース部221を有し、ベース部221には昇降回動部222が設けられる。昇降回動部222は、ベース部221内に設けられた昇降駆動機構により上下方向(Z方向)に昇降するとともに、ベース部221内に設けられた回動駆動機構により鉛直軸の周りで回動する。昇降回動部222には、2つの多関節型アーム223a,223bが設けられ、多関節型アーム223a,223bの先端にはハンド224a,224bが接続される。ハンド224aおよびハンド224bはZ方向に異なる高さに配置される。多関節型アーム223a,223bは図示省略の駆動機構により独立して駆動され、ハンド224a,224bを一定姿勢に維持しつつ水平方向に進退させる。インデクサロボット22では、各ハンド224a,224b上に基板9が載置されて保持される。ハンドの形状を除き、センターロボット31も図2のインデクサロボット22とほぼ同様の構造である。
【0017】
図1に示すように、インデクサロボット22とセンターロボット31との間には基板搬送部5が設けられる。基板処理装置1では、インデクサロボット22が移載部としてキャリア保持部21と基板搬送部5との間にて基板9を移載し、センターロボット31が他の移載部として基板搬送部5と処理部4との間にて基板9を移載する。基板搬送部5は、インデクサロボット22により基板9が移載される位置(すなわち、キャリア保持部21近傍の位置)と、センターロボット31により基板9が移載される位置(すなわち、処理部4近傍の位置)との間にて、Y方向に沿って基板9を搬送する。本実施の形態では、基板搬送部5におけるインデクサロボット22側の端部およびセンターロボット31側の端部を、それぞれ「前部」および「後部」と呼ぶ。また、インデクサロボット22により基板9が移載されるY方向の位置501を「前部移載位置501」と呼び、センターロボット31により基板9が移載されるY方向の位置502を「後部移載位置502」と呼ぶ。
【0018】
図3および図4は基板搬送部5を示す図であり、図3は(−Y)側から(+Y)方向を向いて基板搬送部5を見た図であり、図4は(+X)側から(−X)方向を向いて基板搬送部5を見た図である。基板搬送部5は、基板9を保持する基板保持部51を有する。基板保持部51の内部構造については後述する。
【0019】
幅方向(X方向)における基板保持部51の両側には、前部移載位置501から後部移載位置502に向かう水平な搬送方向(すなわち、Y方向)におよそ沿って伸びる一対のレール部52が配置される。また、一対のレール部52の外側(すなわち、(+X)側および(−X)側)には、搬送方向に伸びる他の一対のレール部53が一対のレール部52とおよそ平行に設けられる。以下の説明では、レール部52を「内側レール部52」と呼び、レール部53を「外側レール部53」と呼ぶ。
【0020】
幅方向における基板保持部51の各側部には、ブロック状の当接部54が固定され、当接部54の外側には幅方向に平行な軸(本実施の形態では、基板保持部51の重心近傍を通過する軸)を中心とする円筒部55が固定される。すなわち、基板保持部51の両側部には、一対の当接部54および一対の円筒部55が固定される。幅方向に関して、一対の当接部54は一対の内側レール部52と同じ位置に配置され、一対の円筒部55は一対の外側レール部53とほぼ同じ位置に配置される。当接部54は略直方体であり、Z方向に垂直な2つの面540はほぼ鏡面である。後述する基板9の搬送の一態様では、当該2つの面540の一方が、内側レール部52の(+Z)側の面520と摺動するため、以下、当接部54の面540を「摺動面540」といい、内側レール部52の面520を「搬送面520」という。基板搬送部5では、必要に応じて搬送面520および摺動面540に潤滑グリース等が塗布されてもよい。
【0021】
図4に示すように、一対の内側レール部52の前部には内側レール前部昇降機構561が接続され、一対の内側レール部52の後部には内側レール後部昇降機構562が接続される。また、一対の外側レール部53の前部には外側レール前部昇降機構571が接続され、一対の外側レール部53の後部には外側レール後部昇降機構572が接続される。これらの昇降機構561,562,571,572は制御部10に接続される。基板搬送部5では、一対の内側レール部52または一対の外側レール部53の一方を用いて基板保持部51の搬送が行われ、一対の内側レール部52を用いる際には一対の内側レール部52と一対の当接部54とが当接する。また、一対の外側レール部53を用いる際には一対の外側レール部53と一対の円筒部55とが当接する。
【0022】
図5は外側レール部53の断面図であり、YZ平面に平行な面における外側レール部53の断面を示す。図3および図5に示すように、前部移載位置501および後部移載位置502のそれぞれにおいて、各外側レール部53の内側レール部52に対向する内側面にはZ方向に伸びる溝533が形成される。平面視における(すなわち、(+Z)側から(−Z)方向を見た場合における)溝533の断面形状は円筒部55よりも僅かに大きい。図5に示すように、前部移載位置501における溝533には前部押出部材531が挿入され、前部押出部材531には前部押出部材昇降機構581が接続される。また、後部移載位置502における溝533には後部押出部材532が挿入され、後部押出部材532には後部押出部材昇降機構582が接続される。
【0023】
基板搬送部5では、前部押出部材531の(+Z)側の面が、外側レール部53の(+Z)側の面530(後述するように、基板保持部51の搬送時に円筒部55が当接する面であり、以下、「搬送面530」という。)と同じ高さ、もしくは、搬送面530よりも僅かに高くなる押出位置、または、搬送面530よりも下方となる係止位置のいずれかに前部押出部材531が配置される。同様に、後部押出部材532も押出位置または係止位置のいずれかに配置される。また、図3および図4に示すように、各内側レール部52において、前部移載位置501および後部移載位置502のそれぞれには(正確には、前部移載位置501の(−Y)側近傍および後部移載位置502の(+Y)側近傍のそれぞれには)、当接部54の移動を係止する係止部材521が設けられる。
【0024】
図6は基板保持部51の構成を示す図である。図6に示すように、基板保持部51は、Z方向に垂直な2つの平板511、および、X方向に垂直な2つの平板512を有し、これらの平板511,512により(+Y)側および(−Y)側が開口した外枠が形成される。直立する2つの平板512のZ方向の中央には、平板511と平行な固定板513が固定される。すなわち、外枠の内部が固定板513により(+Z)側の第1空間510aと(−Z)側の第2空間510bとに仕切られる。
【0025】
第1空間510aおよび第2空間510bのそれぞれにおいて、一方の平板512には固定板513に垂直な方向に伸びるリニアガイド514が設けられる。各リニアガイド514には、X方向に伸びる支持部材515の一端が連結部材を介して摺動可能に取り付けられる。支持部材515にはシリンダ516が接続され、シリンダ516により支持部材515がリニアガイド514に沿ってZ方向に移動する。支持部材515には、固定板513に平行な可動板517a,517bが取り付けられ、可動板517a,517bは支持部材515と共に昇降する。なお、シリンダ516の駆動源はチューブを介して導入される高圧エアや、充電池が接続されたモータ等である。
【0026】
図7は、固定板513および2つの可動板517a,517bのみを示す斜視図である。図6および図7に示すように、固定板513の両主面には同じ高さの複数の支持ピン5131が設けられる。また、各可動板517a,517bにおいて固定板513と対向する主面には同じ高さの複数の支持ピン5171が設けられる。後述するように、第1空間510aおよび第2空間510bのそれぞれに基板9が搬入された際に、複数の支持ピン5131は基板9の一方の主面の外縁部に当接するように設けられ、複数の支持ピン5171は基板9の他方の主面の外縁部に当接するように設けられる。実際には、2つの可動板517a,517bが固定板513から最も離れた状態において、各可動板517a,517bと固定板513との間の距離は、ハンド224a,224bの高さの差とほぼ等しい。
【0027】
次に、基板処理装置1における動作の流れについて図8に沿って説明する。図1の基板処理装置1の制御部10では、それぞれが基板に対する処理の内容を示す複数のレシピが予め準備されており、操作者の入力に基づいて一のレシピが選択される(ステップS11)。ここで、レシピは、基板9の両主面のうち処理部4における処理対象の主面を示す情報や、当該主面に対して付与する処理液の種類を示す情報等を含んでいる。
【0028】
続いて、キャリア90内の2つの基板9がインデクサロボット22の2つのハンド224a,224bにより取り出される。このとき、キャリア90内では、各種パターンが形成された主面(以下、「パターン形成面」という。)を上方((+Z)側)に向けて複数の基板9が収容されており、パターン形成面とは異なる主面(以下、単に「裏面」という。)がハンド224a,224bに当接する。ハンド224a,224b上の2つの基板9は、前部移載位置501において基板搬送部5の基板保持部51内に同時に搬入される(ステップS12)。
【0029】
図9ないし図11は、基板保持部51内への基板9の搬入動作を説明するための図であり、図9ないし図11では、基板保持部51の構成として固定板513および2つの可動板517a,517bのみを示している(後述の図18ないし図20において同様)。基板保持部51内への基板9の搬入動作では、図9に示すように、インデクサロボット22において基板9を保持する一方のハンド224aが一方の可動板517aと固定板513との間に進入し、他方のハンド224bが他方の可動板517bと固定板513との間に進入する。続いて、インデクサロボット22の昇降回動部222が下降することにより、図10中に二点鎖線にて示すように、ハンド224aが固定板513の主面近傍に配置され、ハンド224bが可動板517bの主面近傍に配置される。これにより、ハンド224a上の基板9が固定板513の複数の支持ピン5131上に載置され、ハンド224b上の基板9が可動板517bの複数の支持ピン5171上に載置される。なお、支持ピン5131,5171はハンド224a,224bと干渉しない位置に配置されている(センターロボット31において同様。)。
【0030】
図10中に実線にて示すように、ハンド224a,224bが可動板517a,517bと固定板513との間から退避した後、シリンダ516により可動板517a,517bが固定板513に向かって移動する(すなわち、可動板517aが(−Z)方向に移動し、可動板517bが(+Z)方向に移動する)。これにより、図11に示すように、可動板517aの複数の支持ピン5171と固定板513の(+Z)側の主面上の複数の支持ピン5131とにより一方の基板9の外縁部が把持され、固定板513の(−Z)側の主面上の複数の支持ピン5131と可動板517bの複数の支持ピン5171とにより他方の基板9の外縁部が把持される。以上の動作により、基板保持部51内に基板9が搬入されて保持される。なお、インデクサロボット22により、キャリア保持部21から基板搬送部5に基板9が1枚づつ移載されてもよく、インデクサロボット22が1つのハンドのみを有するものであってもよい(センターロボット31において同様)。
【0031】
基板9が基板搬送部5に移載されると、制御部10では、前部移載位置501から後部移載位置502に基板9を搬送する際に、基板9を反転するか否かが確認される。ここでは、ステップS11にて選択されたレシピに基づいて、基板9を反転することが確認され(ステップS13)、図4の外側レール前部昇降機構571および外側レール後部昇降機構572により、一対の外側レール部53が上昇して、内側レール部52よりも上方に配置される。このとき、図5の前部押出部材昇降機構581により各前部押出部材531が搬送面530よりも下方となる係止位置に配置されており、図5に対応する図12(後述の図13ないし図16において同様)に示すように、前部移載位置501において外側レール部53に凹部534が形成されて、円筒部55が凹部534内に収容される。また、一対の当接部54は内側レール部52の搬送面520から離間する。なお、図12、並びに、後述の図13ないし図17では、基板保持部51内の基板9のパターン形成面が向く方向を符号A1を付す矢印にて示している。
【0032】
続いて、外側レール後部昇降機構572により外側レール部53の後部が下降し、図13に示すように、搬送方向における外側レール部53の両端部に高低差が設けられる。このとき、内側レール後部昇降機構562により内側レール部52の後部も同様に下降するため、外側レール部53と内側レール部52とが互いにおよそ平行な状態が保たれる。そして、図14および図15に示すように、前部押出部材昇降機構581が各前部押出部材531を上昇して押出位置に配置することにより、一対の外側レール部53の搬送面530上において一対の円筒部55が転がって、基板保持部51が(+Y)方向へと搬送される。
【0033】
このとき、図15に示すように、後部押出部材昇降機構582により各後部押出部材532が搬送面530よりも下方となる係止位置に配置されており、後部移載位置502において外側レール部53に凹部534が形成される。したがって、(+Y)方向へと移動する円筒部55が凹部534内に嵌る。また、外側レール部53において前部移載位置501から後部移載位置502までの距離が円筒部55の円周のほぼ半分であるため、一対の円筒部55に固定された基板保持部51では、後部移載位置502において第1空間510aが(−Z)側に配置され、第2空間510bが(+Z)側に配置される。
【0034】
続いて、外側レール後部昇降機構572により外側レール部53の後部が上昇することにより、図16に示すように外側レール部53が水平となる。また、内側レール後部昇降機構562により内側レール部52の後部も同様に同時に上昇し、外側レール部53よりも下方にて内側レール部52も水平となる。その後、外側レール前部昇降機構571および外側レール後部昇降機構572により一対の外側レール部53が下降する。これにより、外側レール部53の搬送面530と、内側レール部52の搬送面520とが同じ高さとなる。このとき、図17に示すように、当接部54の摺動面540が内側レール部52の水平な搬送面520と当接し、円筒部55が後部押出部材532から離間するため、基板保持部51内の基板9が正確に水平となる。以上の動作により、前部移載位置501から後部移載位置502に基板9が搬送されるとともに、図18に示すように、基板保持部51内の第1空間510aおよび第2空間510bが、図11に示す状態から反転される(すなわち、基板9が反転される)(ステップS14)。
【0035】
後部移載位置502における基板保持部51内の2つの基板9は、センターロボット31により基板保持部51から搬出される。具体的には、図19に示すように、シリンダ516により可動板517b,517aが固定板513から離れる方向に移動する(すなわち、可動板517bが(+Z)方向に移動し、可動板517aが(−Z)方向に移動する)。また、センターロボット31の一方のハンド314aが(+Z)側の基板9と固定板513との間に進入し、他方のハンド314bが(−Z)側の基板9と可動板517aとの間に進入する。続いて、センターロボット31の昇降回動部が上昇することにより、図20に示すように、ハンド314a,314b上に基板9が載置される。このとき、基板9のパターン形成面がハンド314a,314bに当接する。そして、ハンド314a,314bが可動板517b,517aと固定板513との間から退避することにより、2つの基板9が同時に基板保持部51から搬出される。2つの基板9は異なる処理部4内に順次搬入される。以上の動作により、基板搬送部5から処理部4に基板9がセンターロボット31により移載される(ステップS15)。
【0036】
各処理部4では、裏面を上方に向けて基板9が保持され、基板9を回転しつつ基板9の裏面に処理液が付与されて裏面が処理される(ステップS16)。ここでは、処理液として洗浄液が用いられ、基板9の裏面が洗浄される。必要に応じて、純水が裏面に付与される。また、基板9を高速に回転して、裏面の乾燥が行われる。
【0037】
処理部4における基板9の処理が完了すると、センターロボット31により2つの基板9が2つの処理部4から順次取り出され、その後、基板搬送部5内に搬入される。基板搬送部5内への基板9の搬入動作は、ステップS12と同様である(ステップS17)。なお、処理部4における処理が先に完了した1つの基板9のみが基板搬送部5に搬入されてもよい。
【0038】
基板搬送部5では、ステップS14と同様の動作により、後部移載位置502から前部移載位置501に基板9を搬送しつつ基板9が反転される(ステップS18)。これにより、前部移載位置501における基板保持部51内の基板9では、パターン形成面が上方を向く。続いて、インデクサロボット22により基板9が基板保持部51から搬出される。基板搬送部5からの基板9の搬出動作は、ステップS15と同様である。そして、基板9がキャリア90内へと戻され、基板処理装置1における処理が完了する(ステップS19)。
【0039】
一方、ステップS11にて選択されたレシピに基づいて、基板9を反転しないことが確認された場合には(ステップS13)、図4の外側レール前部昇降機構571および外側レール後部昇降機構572により、一対の外側レール部53が下降して、内側レール部52よりも下方に配置される。このとき、一対の円筒部55は一対の外側レール部53から離間し、一対の当接部54は一対の内側レール部52と当接した状態である。続いて、内側レール後部昇降機構562により内側レール部52の後部が下降し、外側レール後部昇降機構572により外側レール部53の後部も同様に下降する。すなわち、外側レール部53と内側レール部52とが互いにおよそ平行な状態を保ちつつ、搬送方向における内側レール部52(および外側レール部53)の両端部に高低差が設けられる。これにより、当接部54の(−Z)側の摺動面540が内側レール部52の搬送面520上を摺動して、基板保持部51が後部移載位置502に向けて移動する。そして、当接部54が後部の係止部材521に当接することにより、基板保持部51が後部移載位置502にて停止する。
【0040】
その後、内側レール後部昇降機構562および外側レール後部昇降機構572により、内側レール部52の後部および外側レール部53の後部が上昇し、内側レール部52および外側レール部53が水平となる。これにより、基板保持部51内の基板9も水平となる。以上の動作により、基板9を反転することなく、前部移載位置501から後部移載位置502に基板9が搬送される(ステップS20)。続いて、センターロボット31により基板9が基板搬送部5から処理部4に移載される(ステップS21)。
【0041】
処理部4では、パターン形成面を上方に向けて基板9が保持され、基板9を回転しつつパターン形成面に処理液が付与されてパターン形成面が処理される(ステップS22)。必要に応じて、純水のパターン形成面への付与およびパターン形成面の乾燥が行われる。処理部4における基板9の処理が完了すると、センターロボット31により処理部4から基板搬送部5に基板9が移載される(ステップS23)。
【0042】
基板搬送部5では、ステップS20と同様の動作により、基板9を反転することなく、後部移載位置502から前部移載位置501に基板9が搬送される(ステップS24)。そして、インデクサロボット22により基板搬送部5からキャリア保持部21へと(正確には、キャリア保持部21におけるキャリア90内へと)基板9が移載され、基板処理装置1における処理が完了する(ステップS19)。実際の基板処理装置1における処理では、上記ステップS12〜S19の動作、または、上記ステップS12,S13,S20〜S24,S19の動作は複数対の基板9に対して部分的に並行して行われる。
【0043】
以上に説明したように、基板処理装置1における基板搬送部5では、レール角度変更機構である外側レール前部昇降機構571および外側レール後部昇降機構572により、搬送方向における一対の外側レール部53の両端部に高低差が設けられる。これにより、一対の外側レール部53において、前部移載位置501および後部移載位置502の一方の位置から他方の位置へと一対の円筒部55を転がして、基板9を反転しつつ当該一方の位置から当該他方の位置へと基板保持部51を搬送することができる。このように、基板処理装置1では、基板9を反転させるための複雑な機構や搬送用の大型の駆動源等を用いることなく、搬送途上において基板9を反転することが容易に可能となり、基板処理装置1におけるスループットを向上することができる。
【0044】
また、基板保持部51が当該一方の位置から当該他方の位置へと移動する際に、一対の当接部54と一対の内側レール部52とが離間し、基板保持部51が当該他方の位置に到達した際に、一対の当接部54が、水平な一対の内側レール部52と当接する。これにより、当該他方の位置における基板9の姿勢(すなわち、水平面に対する傾き)を補正することができる。
【0045】
基板処理装置1では、他のレール角度変更機構である内側レール前部昇降機構561および内側レール後部昇降機構562により、搬送方向における一対の内側レール部52の両端部に高低差が設けられる。これにより、一対の内側レール部52上において、前部移載位置501および後部移載位置502の一方の位置から他方の位置へと一対の当接部54を滑らせて、基板9を反転することなく、当該一方の位置から当該他方の位置へと基板保持部51を搬送することができる。さらに、基板9の両主面のうち処理部4における処理対象の主面を示す情報に基づいて、制御部10が上記2つのレール角度変更機構の一方による基板保持部51の搬送を選択する。このように、基板処理装置1では、基板9の反転および非反転を選択的に行うことができ、基板処理装置1において様々な処理を行うことが可能となる。
【0046】
外側レール部53では、凹部534を形成する押出部材531,532が、円筒部55の移動を係止する係止部として、前部移載位置501および後部移載位置502のそれぞれに設けられることにより、円筒部55の移動を確実に停止することができる。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0048】
前部移載位置501と後部移載位置502との間にて円筒部55がおよそ(3/2)回転または(5/2)回転することにより、基板保持部51にて保持される基板9が反転されてもよい。すなわち、前部移載位置501と後部移載位置502との間にて円筒部55が、およそ(n/2)回転(ただし、nは1以上の奇数)することにより、基板9を搬送しつつ反転することが可能である。また、搬送直後の基板保持部51の傾きを補正することが可能な基板搬送部5では、円筒部55の回転数が(n/2)回転からある程度ずれていても、基板9の反転が実現可能である。
【0049】
基板処理装置1では、当接部54が内側レール部52上を摺動するが、例えば、基板保持部51において回転可能に支持されるローラが当接部として設けられてもよく、また、内側レール部52の搬送面520に搬送方向に沿って複数のローラが配列されてもよい。上記のいずれの場合も、搬送方向における内側レール部52の両端部に高低差を設けることにより、内側レール部52上において一対の当接部を滑らせることが可能である。
【0050】
円筒部55を転がらせる一対のレール部、および、当接部54を滑らせる他の一対のレール部の配置は、適宜変更されてよく、例えば、当該一対のレール部が、当該他の一対のレール部よりも内側に配置されてもよい。
【0051】
外側レール部53を傾けるレール角度変更機構は、外側レール前部昇降機構571および外側レール後部昇降機構572以外の構成にて実現されてもよく、内側レール部52を傾ける他のレール角度変更機構も内側レール前部昇降機構561および内側レール後部昇降機構562以外の構成にて実現されてもよい。例えば、内側レール部52および外側レール部53が同一の支持プレート上に設けられ、当該支持プレートを傾斜させる機構が設けられることにより、内側レール部52および外側レール部53が同時に同様に傾けられてもよい。この場合、支持プレートを傾斜させる機構により上記2つのレール角度変更機構が実現される。なお、内側レール部52と外側レール部53との高さを変更する機構は別途設けられる。
【0052】
外側レール部53では、係止部材521と同様の部材が係止部として設けられることにより、前部移載位置501および後部移載位置502のそれぞれにおいて円筒部55の移動が係止されてもよい。また、基板保持部51では、1または3以上の基板9が保持されてもよい。
【0053】
基板処理装置1では、図8に示す一度の動作により、基板9の裏面またはパターン形成面の一方のみが処理されるが、例えば、基板搬送部5の上方等に基板9を反転する反転機構を設けることにより、基板9の裏面およびパターン形成面が順次処理されてもよい。この場合、基板搬送部5により基板9を反転しつつ後部移載位置502へと搬送した後、基板9が処理部4内に搬入され、基板9の裏面が処理される。続いて、センターロボット31により基板9が反転機構に搬送され、基板9が反転される。反転後の基板9は処理部4内に搬入され、基板9のパターン形成面が処理される。そして、基板搬送部5により基板9を反転することなく前部移載位置501へと搬送し、基板9がキャリア90内に戻される。
【0054】
また、処理部4では、基板9の両面が処理可能であってもよい。この場合、例えば、スピンチャックに中空の回転軸が設けられ、供給管が回転軸内に配置される。そして、供給管の一端が基板9の下方を向く面に対向して設けられ、基板9の下方を向く面に対して供給管から処理液が付与される(例えば、簡易的な裏面の洗浄が行われる。)。以上のように、処理部4は、搬入される基板9の少なくとも上方を向く主面を処理するものであればよい。
【0055】
基板処理装置1において処理される基板9は、シリコン基板に限定されず、ガラス基板等の他の種類の基板であってもよい。
【0056】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0057】
1 基板処理装置
4 処理部
5 基板搬送部
9 基板
10 制御部
21 キャリア保持部
22 インデクサロボット
31 センターロボット
51 基板保持部
52 内側レール部
53 外側レール部
54 当接部
55 円筒部
501 前部移載位置
502 後部移載位置
531 前部押出部材
532 後部押出部材
561 内側レール前部昇降機構
562 内側レール後部昇降機構
571 外側レール前部昇降機構
572 外側レール後部昇降機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置であって、
基板が載置される載置部と、
搬入される基板の少なくとも上方を向く主面を処理する処理部と、
前記載置部近傍の第1の位置と前記処理部近傍の第2の位置との間にて基板を搬送する基板搬送部と、
前記載置部と前記基板搬送部との間にて基板を移載する第1移載部と、
前記基板搬送部と前記処理部との間にて基板を移載する第2移載部と、
を備え、
前記基板搬送部が、
基板を保持する基板保持部と、
前記第1の位置から前記第2の位置に向かう水平な搬送方向におよそ沿って伸びるとともに、前記搬送方向に垂直かつ水平な幅方向に関して前記基板保持部の両側にそれぞれ配置される一対のレール部と、
前記幅方向における前記基板保持部の両側部にそれぞれ固定されるとともに、前記幅方向に平行な軸を中心とする一対の円筒部と、
前記搬送方向における前記一対のレール部の両端部に高低差を設け、前記一対のレール部上において前記第1の位置および前記第2の位置の一方の位置から他方の位置へと前記一対の円筒部を転がすことにより、前記一方の位置から前記他方の位置へと前記基板保持部を搬送するとともに前記基板を反転するレール角度変更機構と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記基板搬送部が、
前記一対のレール部とおよそ平行に設けられる他の一対のレール部と、
前記基板保持部に固定されるとともに前記他の一対のレール部と当接する一対の当接部と、
前記搬送方向における前記他の一対のレール部の両端部に高低差を設け、前記他の一対のレール部上において前記一方の位置から前記他方の位置へと前記一対の当接部を滑らせることにより、前記一方の位置から前記他方の位置へと前記基板保持部を搬送する他のレール角度変更機構と、
をさらに備え、
前記基板処理装置が、
基板の両主面のうち前記処理部における処理対象の主面を示す情報に基づいて、前記レール角度変更機構または前記他のレール角度変更機構の一方による前記基板保持部の搬送を選択する制御部をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記レール角度変更機構により前記基板保持部が前記一方の位置から前記他方の位置へと移動する際に、前記一対の当接部と前記他の一対のレール部とが離間し、前記基板保持部が前記他方の位置に到達した際に、前記一対の当接部が、水平な前記他の一対のレール部と当接することを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記一対のレール部が、前記第1の位置および前記第2の位置のそれぞれにおいて、前記一対の円筒部の移動を係止する係止部を有することを特徴とする基板処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2013−74234(P2013−74234A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214015(P2011−214015)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】