説明

増幅用光ファイバ、及び、それを用いた光ファイバ増幅器及び共振器

【課題】 所望のパワーの光を出力することができる増幅用光ファイバ、及び、それを用いた光ファイバ増幅器及び共振器を提供する。
【解決手段】 コア51と、コア51を被覆するクラッド52とを有する増幅用光ファイバ50であって、コア51は、所定の波長の光を少なくともLP01モード、及び、LP02モード、及び、LP03モードで伝播し、コア51には、LP01モード及びLP02モード及びLP03モードをパワーで規格化する場合における、LP02モード及びLP03モードの少なくとも一方の強度がLP01モードの強度よりも強い領域のうち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも外周側の領域の少なくとも一部に、所定の波長の光を誘導放出する活性元素が、LP01モードの強度がLP02モード及びLP03モードの強度よりも強い領域の少なくとも一部よりも高い濃度で添加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅用光ファイバ、及び、それを用いた光ファイバ増幅器及び共振器に関し、特に、所望のパワーの光を出力することができる増幅用光ファイバ、及び、それを用いた光ファイバ増幅器及び共振器に関する。
【背景技術】
【0002】
加工機や、医療機器等において使用されるファイバレーザ装置の一つとして、レーザ発振器(MO:Master Oscillator)等の種光源により発生される光を、増幅器(PA:Power Amplifier)で増幅して出力するMO−PA(Master Oscillator−Power Amplifier)型のファイバレーザ装置が知られている。この増幅器に用いられる増幅器の一つとして、増幅用光ファイバによって光を増幅する光ファイバ増幅器が知られている。
【0003】
この増幅用光ファイバにおいては、一般的にコアに希土類元素等の活性元素が添加されたダブルクラッドファイバが用いられている。このダブルクラッドファイバには、コアがシングルモード光のみを伝播するダブルクラッドファイバと、コアがマルチモード光を伝播するダブルクラッドファイバとがある。そして、コアがシングルモード光のみを伝播するダブルクラッドファイバにおいては、コアの断面積が小さいため、高出力のレーザ出力を得ようとするとコアを伝播する光の密度が高くなり過ぎる場合がある。この場合、非線形光学効果により光のエネルギーが所望でない波長に移行してしまい、期待したレーザ出力が得られないことがある。そこで、近年の光ファイバ増幅器の高出力化の要求に伴い、コアがマルチモード光を伝播するダブルクラッドファイバを用いた光ファイバ増幅器が注目されている。
【0004】
光がマルチモード伝播できるダブルクラッドファイバを増幅用光ファイバとして用いると、伝播する光において、LP01モード(基本モード)や、LP02モード等の高次モードが励振される。下記特許文献1には、活性元素が、高次モードの強度プロファイルに合わせて、分布するように添加される増幅用光ファイバが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2010−518633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の増幅用光ファイバの様に、単に、活性元素が、高次モードの強度プロファイルに合わせて、分布するように添加されると、増幅しようとする高次モードの他にLP01モードまで高い増幅率で増幅されることがある。ところで、LP01モードは、コアの中心に強度の強い場所が集中しているため、LP01モードが増幅されると、コアの中心において光の密度が高くなりすぎて、非線形光学効果が生じ易くなり、期待した出力光を得ることができない傾向がある。さらに、通常、増幅用光ファイバは、少なくとも一部が曲げられた状態で配置されて使用されるが、LP01モードは、増幅用光ファイバが曲げられた場所において、光の分布がコアの外周側にずれると共に、モードフィールドが歪んで面積が小さくなり易い。従って、LP01モードは、増幅用光ファイバが曲げられている場所においては、光の集中による非線形光学効果をより生じ易い。従って、パワーの高い光を出力しようとすると、非線形光学効果によって、所望のパワーの出力光を得られない虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、所望のパワーの光を出力することができる増幅用光ファイバ、及び、それを用いた光ファイバ増幅器及び共振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、コアと、前記コアを被覆するクラッドとを有する増幅用光ファイバであって、前記コアは、所定の波長の光を少なくともLP01モード、及び、LP02モード、及び、LP03モードで伝播し、前記コアには、前記LP01モード及び前記LP02モード及び前記LP03モードをパワーで規格化する場合における、前記LP02モード及び前記LP03モードの少なくとも一方の強度が前記LP01モードの強度よりも強い領域のうち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも外周側の領域の少なくとも一部に、前記所定の波長の光を誘導放出する活性元素が、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域の少なくとも一部よりも高い濃度で添加され、下記式1及び式2の少なくとも一方を満たすことを特徴とするものである。
【数1】

(ただし、rは、前記コアの径方向における中心からの距離であり、I01(r)は、前記LP01モードの前記コアの径方向における中心から距離rにおける強度であり、I02(r)は、前記LP02モードの前記コアの径方向における中心から距離rにおける強度であり、I03(r)は、前記LP03モードの前記コアの径方向における中心から距離rにおける強度であり、n(r)は、前記コアの径方向における中心から距離rにおける活性元素の添加濃度であり、bは前記コアの半径である。)
【0009】
本発明の増幅用光ファイバにおいては、LP02モード及びLP03モードの少なくとも一方がLP01モードよりも強い領域うち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも外周側の領域において、活性元素が、LP01モードの強度がLP02モード及びLP03モードの強度の少なくとも一部よりも強い領域よりも高い濃度で添加される。この活性元素が高い濃度で添加される領域においては、光の増幅率が高いため、LP02モード及びLP03モードの少なくとも一方が、高い増幅率で増幅される。一方、LP01モードの強度がLP02モード及びLP03モードの強度よりも強い領域の少なくとも一部においては、光の増幅率が高くないため、LP01モードの増幅が抑制される。このように、本発明の増幅用光ファイバは、LP01モードの増幅を抑え、ファイバ全体として、上記式1及び式2の少なくとも一方を満たすようにLP02モード及びLP03モードの少なくとも一方を積極的に増幅させる。
【0010】
ところで、LP02モードやLP03モードといった高次モードは、強度の強い場所が、コアの径方向に分散している。従って、このような高次モードが増幅されても、LP01モードが増幅される場合と比べて、非線形光学効果が生じづらい。従って、パワーの高い光を出力する場合においても、非線形光学効果により光のエネルギーが他の波長に移行することを抑制でき、所望のパワーの光を出力することができる。
【0011】
また、本発明者の知見によれば、増幅用光ファイバが曲げられた状態で使用される場合においても、高次モードは、光の中心がコアの外周側にずれづらく、モードフィールドの面積が小さくなりにくい。このため、本発明の増幅用光ファイバにおいては、曲げられた状態で使用されても、光の集中による非線形光学効果が生じることが抑制され、直線の状態で使用されて出力される光のパワーと比べて、出力される光のパワーが小さくなることを抑制することができる。
【0012】
また、前記コアには、前記LP01モード及び前記LP02モード及び前記LP03モードをパワーで規格化する場合における、前記LP02モードの強度が、前記LP01モードの強度よりも強い領域のうち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも外周側の領域の少なくとも一部、及び、前記LP03モードの強度が前記LP01モードの強度よりも強い領域のうち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも外周側の領域の少なくとも一部のそれぞれにおいて、前記活性元素が、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域の少なくとも一部よりも、高い濃度で添加され、前記式1及び前記式2の両方を満たすことが好ましい。
【0013】
このような増幅用光ファイバにおいては、ファイバ全体として、上記式1、及び、式2を満たすように、LP02モード及びLP03モードがLP01モードよりも高く増幅される。従って、よりパワーの高い光を出力することができる。
【0014】
さらに、前記コアには、前記LP01モード及び前記LP02モード及び前記LP03モードをパワーで規格化する場合における、前記LP02モードの強度及び前記LP03モードの強度が共に前記LP01モードの強度よりも強い領域のうち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも外周側の領域の少なくとも一部において、前記活性元素が、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域の少なくとも一部よりも、高い濃度で添加されていることが好ましい。
【0015】
このような増幅用光ファイバによれば、ファイバ全体として、上記式1、及び、式2を満たすように、LP02モード及びLP03モードの双方の強度が、LP01の強度よりも強い領域の少なくとも一部に活性元素を高い濃度で添加すれば良い。従って、LP02モード及びLP03モードが、LP01モードよりも高い増幅率で増幅されるように、効率的に活性元素を添加することができる。
【0016】
また、前記コアには、前記LP01モード及び前記LP02モード及び前記LP03モードをパワーで規格化する場合における、前記LP02モード及び前記LP03モードの少なくとも一方の強度が前記LP01モードの強度よりも強い領域のうち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも外周側の領域の少なくとも一部において、前記所定の波長の光を誘導放出する活性元素が、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い全ての領域よりも高い濃度で添加されていることが好ましい。
【0017】
このような増幅用光ファイバによれば、活性元素が高い濃度で添加される領域においては、LP01モードの強度がLP02モード及びLP03モードの強度よりも強い領域のどこよりも、光が高い増幅率で増幅される。こうして、光が高い増幅率で増幅される場所においては、LP02モード及びLP03モードの少なくとも一方が、高い増幅率で増幅され、ファイバ全体として更に、LP01モードよりもLP02モード及びLP03モードの少なくとも一方を高い増幅率で増幅することができ、よりパワーの高い光を出力することができる。
【0018】
さらに、前記コアには、前記LP01モード及び前記LP02モード及び前記LP03モードをパワーで規格化する場合における、前記LP02モードの強度が前記LP01モードの強度よりも強い領域のうち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも外周側の領域の少なくとも一部、及び、前記LP03モードの強度が前記LP01モードの強度よりも強い領域のうち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも外周側の領域の少なくとも一部のそれぞれにおいて、前記活性元素が、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い全ての領域よりも高い濃度で添加され、前記式1及び前記式2の両方を満たすことが好ましい。
【0019】
このような増幅用光ファイバにおいては、ファイバ全体として、LP02モード及びLP03モードが、LP01モードよりも高い増幅率で増幅されるので、よりパワーの高い光を出力することができる。
【0020】
さらに、前記コアには、前記LP01モード及び前記LP02モード及び前記LP03モードをパワーで規格化する場合における、前記LP02モードの強度及び前記LP03モードの強度が共に前記LP01モードの強度よりも強い領域のうち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも外周側の領域の少なくとも一部において、前記活性元素が、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い全ての領域よりも、高い濃度で添加されていることが好ましい。
【0021】
このような増幅用光ファイバによれば、LP02モード及びLP03モードの双方の強度が、LP01モードの強度よりも強い領域の少なくとも一部に活性元素を添加すれば良いため、ファイバ全体として、LP02モード及びLP03モードが、LP01モードよりも高い増幅率で増幅されるように、効率的に活性元素を添加することができる。
【0022】
また、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域の少なくとも一部には、前記活性元素が添加されないことが好ましい。
【0023】
このような増幅用光ファイバによれば、LP01モードの強度が強い領域うち活性元素が添加されていない領域においては、光が増幅されないため、ファイバ全体としてLP01モードの増幅を抑制でき、非線形光学効果が生じることをより抑制することができる。
【0024】
前記コアには、前記LP01モード及び前記LP02モード及び前記LP03モードを
パワーで規格化する場合における、前記LP02モード及び前記LP03モードの少なくとも一方の強度が前記LP01モードの強度よりも強い領域のうち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも内周側の領域に、前記活性元素が、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域の少なくとも一部よりも、高い濃度で更に添加されていることが好ましい。
【0025】
また、前記クラッド内に前記コアを挟む一対の応力付与部が設けられていることが好ましい。このような応力付与部を設けることにより、単一偏波の光を伝搬することができる。
【0026】
また、本発明の光ファイバ増幅器は、上記の増幅用光ファイバと、種光を前記増幅用光ファイバに入力させる種光源と、前記増幅用光ファイバの前記活性元素を励起する励起光を出力する励起光源と、を備えることを特徴とするものである。
【0027】
このような光ファイバ増幅器によれば、LP01モードが励振される場合においても、LP01モードよりもLP02モードやLP03モードをより高い増幅率で増幅するため、パワーの高い光を出力する場合においても、所望のパワーの光を出力することができる。
【0028】
さらに、上記光ファイバ増幅器において、前記増幅用光ファイバに入力する種光は、前記増幅用光ファイバの軸対称のモードのみを励振することが好ましい。
【0029】
このような光ファイバ増幅器によれば、増幅用光ファイバにおいて、非軸対称の高次モードが伝播しないため、非軸対称の高次モードが増幅されて出力することがないので、良好なビーム品質の光を出力することができる。
【0030】
また、本発明の共振器は、上記に記載の増幅用光ファイバと、前記増幅用光ファイバの前記活性元素を励起する励起光を出力する励起光源と、前記増幅用光ファイバの一方側に設けられ、前記励起光により励起された前記活性元素が放出する光の少なくとも一部の波長の光を反射する第1FBG(Fiber Bragg Grating)と、前記増幅用光ファイバの他方側に設けられ、前記第1FBGが反射する光と同じ波長の光を前記第1FBGよりも低い反射率で反射する第2FBGと、を備えることを特徴とするものである。
【0031】
このような共振器によれば、光の共振において、増幅用光ファイバのコアを光が伝播するときに、LP02モードやLP03モードがLP01モードより強く増幅されるので、非線形光学効果が抑制されて、パワーの高い光を出力する場合においても、所望のパワーの光を出力することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明によれば、所望のパワーの光を出力することができる増幅用光ファイバ、及び、それを用いた光ファイバ増幅器及び共振器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光ファイバ増幅器を示す図である。
【図2】図1の増幅用光ファイバの長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。
【図3】図2の増幅用光ファイバのコアの様子を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る増幅用光ファイバのコアの様子を示す図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る増幅用光ファイバのコアの様子を示す図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る増幅用光ファイバのコアの様子を示す図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る増幅用光ファイバのコアの様子を示す図である。
【図8】本発明の第6実施形態に係る共振器を示す図である。
【図9】第1実施形態における増幅用光ファイバの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係る増幅用光ファイバ、及び、光ファイバ増幅器及び共振器の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0035】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る光ファイバ増幅器を示す図である。
【0036】
図1に示すように、本実施形態における光ファイバ増幅器1は、種光となる光を出力する種光源10と、励起光を出力する励起光源20と、種光及び励起光が入力する光コンバイナ30と、光コンバイナ30から出力される種光及び励起光が入力し、励起光により励起される活性元素が添加された増幅用光ファイバ50とを主な構成として備える。
【0037】
種光源10は、例えば、半導体レーザ装置や、ファブリペロー型やファイバリング型のファイバレーザ装置から構成されている。この種光源10は、LP02モード及びLP03モードを含む光を光ファイバから出力するように構成されている。また、種光源10から出力される種光は、LP02モード及びLP03モードを含む光である限りにおいて、特に制限されるものではないが、波長は、増幅用光ファイバ50に添加される活性元素が誘導放出できる波長であり、例えば、活性元素をイッテルビウム(Yb)とした場合には、波長が1070nmのレーザ光とされる。
【0038】
また、種光源10の出力光は、コア、及び、コアを被覆するクラッドから構成されるシングルモードファイバ15から出力される。このシングルモードファイバ15は、種光源10から出力される光を、LP01モードのシングルモード光として伝播する。このシングルモードファイバ15の構成は特に制限されるものではないが、例えば、種光の波長が上記のように1070nmである場合には、コアの直径が10μmとされ、コアとクラッドとの比屈折率差が0.13%とされる。
【0039】
励起光源20は、複数のレーザダイオード21から構成され、レーザダイオード21は、本実施形態においては、例えば、GaAs系半導体を材料としたファブリペロー型半導体レーザであり、中心波長が915nmの光を出力する。また、励起光源20のそれぞれのレーザダイオード21は、マルチモードファイバ22に接続されており、レーザダイオード21から出力される励起光は、マルチモードファイバ22をマルチモード光として伝播する。
【0040】
マルチモードファイバ22及びシングルモードファイバ15が接続される光コンバイナ30は、シングルモードファイバ15を中心としてその周りにマルチモードファイバを配置した部分が溶融延伸されて一体化することにより構成されており、増幅用光ファイバ50に光学的に接続されている。
【0041】
図2は、増幅用光ファイバ50の長手方向に垂直な断面における構造を示す図である。図2に示すように増幅用光ファイバ50は、コア51と、コア51を被覆するクラッド52と、クラッド52を被覆する外部クラッド53とから構成される。クラッド52の屈折率はコア51の屈折率よりも低く、外部クラッド53の屈折率はクラッド52の屈折率よりも低くされる。例えば、本実施形態において、コア51とクラッド52との比屈折率差は、0.32%とされる。また、コア51の直径は、例えば30μmとされ、クラッド52の外径は、例えば420μmとされ、外部クラッド53の外径は、例えば440μmとされる。また、コア51を構成する材料としては、例えば、石英の屈折率を上昇させるアルミニウム等の元素が添加される石英が挙げられ、コア51の少なくとも一部の領域には、励起光源20から出力される励起光により励起状態とされる活性元素であるイッテルビウム(Yb)が添加される。なお、このような活性元素としては、イッテルビウム(Yb)の他に、例えばネオジウム(Nd)やエルビウム(Er)等の希土類元素を挙げることができる。さらに活性元素として、希土類元素の他に、ビスマス(Bi)やクロム(Cr)等が挙げられる。また、クラッド52を構成する材料としては、例えば、ドーパントが添加されない石英が挙げられ、外部クラッド53を構成する材料としては、例えば、紫外線硬化樹脂が挙げられる。
【0042】
上記のようなコア51とクラッド52との屈折率差により、コア51には種光源からの所定の波長の光が閉じ込められて伝播する。このコア51を伝播する光のモードとしては、基本モードであるLP01モードの他に、高次のモードとして、LP02モードやLP03モードが存在する。本実施形態に係る増幅用光ファイバ50においては、LP04以上の高次モードが存在しても良いが、本実施形態においては、特にLP04モード以上の高次モードの増幅については、考慮しないものとする。或いは、LP04以上の高次モードが伝播しないように、種光源の光の波長、コア51並びにクラッド52の寸法、及びコア51とクラッド52との比屈折率差を設定しても良い。このようにLP04モード以上の高次モードが伝播されないように設定するには、例えば、上述のように、種光の波長が1070nmであり、コア51の直径が30μmで、コア51とクラッド52との比屈折率差が0.32%となるようにすれば良い。
【0043】
次に増幅用光ファイバ50のコア51について、さらに詳しく説明する。図3は、図2に示す増幅用光ファイバ50のコア51の様子を示す図である。具体的には、図3(A)は、増幅用光ファイバ50の長手方向に対して垂直な断面におけるコア51の構造を示す図である。また、図3(B)は、コア51を伝播するLP01モード及びLP02モード及びLP03モードにおける規格化した単位面積当たりの強度の分布を示す図である。また、図3(C)は、コア51を伝播するLP01モード及びLP02モード及びLP03モードの強度を面積で積分し、規格化したパワーの分布を示す図である。また、図3(D)は、コア51に添加されている活性元素の濃度分布の様子を示す図である。
【0044】
図3(B)に示すように、それぞれのモードは、コア51の中心で最も強くなる強度分布を有している。この中心における強度は、LP03モードが最も大きく、次いでLP02モードであり、LP01モードの強度が最も小さい。そして、コア51の中心から径方向に離れると、LP01モードの強度が、LP03モードの強度よりも大きくなる。ここで、図3に示すように、コア51の中心から、LP01モードの強度が、LP03モードの強度よりも大きくなるまでの径方向における領域を領域Aとする。更にコア51の中心から径方向に離れると、LP01モードの強度が、LP02モード及びLP03モードの強度よりも大きくなる。ここで、領域Aの外周側でLP01モードの強度が、LP02モード及びLP03モードの強度よりも大きくなるまでの領域を領域Bとする。そして、更にコア51の中心から径方向に離れると、一時的にLP03モードの強度がLP01モードの強度よりも大きくなる。ここで、領域Bの外周側で、一時的にLP03モードの強度がLP01モードの強度よりも大きくなるまでの領域を領域Cとして、一時的にLP03モードの強度がLP01モードの強度よりも大きくなっている領域を領域Dとする。そして、更にコア51の中心から径方向に離れると、領域Dの外周側において、LP01モードの強度が、LP02モード及びLP03モードの強度よりも大きくなっている。この領域Dの外周側で、LP01モードの強度が、LP02モード及びLP03モードの強度よりも大きくなっている領域を領域Eとする。更に領域Eの外周側において、LP02モードの強度がLP01モードの強度よりも大きくなり、更に、外周側においては、LP01モードの強度は、LP02モード及びLP03モードの強度よりも小さくなる。この領域Eの外周側で、LP01モードの強度が、LP02モード及びLP03モードの強度よりも小さくなるまでの領域を領域Fとし、領域Fの外周側の領域を領域Gとする。
【0045】
このようにそれぞれの領域を定義する場合に、領域Aは、コア51の長さ方向に垂直な断面における形状が、円形となり、他の領域B〜Gは、それぞれリング状に分布する。そして、コア51の直径が、例えば、上述のように、30μmである場合に、中心から領域Aと領域Bとの境界までの距離は、約3μmであり、中心から領域Bと領域Cとの境界までの距離は、約4μmであり、中心から領域Cと領域Dとの境界までの距離は、約7μmであり、中心から領域Dと領域Eとの境界までの距離は、約8.5μmであり、中心から領域Eと領域Fとの境界までの距離は、約10μmであり、中心から領域Fと領域Gとの境界までの距離は、約12μmとなる。
【0046】
上記の様に区分した領域をそれぞれのモードの強度で分類すると、領域A及び領域Gにおいては、LP02モード及びLP03モードの強度が、LP01モードの強度よりも大きくなる。また、領域B及び領域Fにおいては、LP02モードの強度が、LP01モードよりも大きくなり、領域Dにおいては、LP03モードの強度が、LP01モードよりも大きくなる。そして、領域C及び領域Eにおいては、LP01モードの強度が、LP02モード及びLP03モードよりも大きくなる。
【0047】
このようなLP01モード、LP02モード、LP03モードの強度の関係は、図3(C)に示す分布においても同様となる。
【0048】
そして、コア51には、LP01モード及びLP02モード及びLP03モードをパワーで規格化する場合における、LP02モード及びLP03モードの少なくとも一方の強度が、LP01モードの強度よりも強い領域の少なくとも一部において、活性元素が、LP01モードの強度がLP02モード及びLP03モードの強度よりも強い領域の少なくとも一部よりも高い濃度で添加されている。本実施形態においては、図3(D)に示すように、図LP01モードの強度が、LP02モード及びLP03モードよりも強い領域Cにおける領域D側の領域と領域Eとを含む中間領域56よりも、LP02モード及びLP03モードの強度がLP01モードの強度よりも強い領域である領域A及び領域G、及び、LP02モードの強度がLP01モードの強度よりも強い領域B及び領域Fにおける領域G側を含む中心領域55及び外周領域57において、活性元素の一つであるYbが高い濃度で添加されている。なお、活性元素は、コア51の円周方向に同じ濃度で添加されている。
【0049】
本実施形態において添加される活性元素Ybの濃度は、例えば、中心領域55及び外周領域57において、16×1025(個/m)とされ、中間領域56において、8×1025(個/m)とされる。
【0050】
このように活性元素が添加されることにより、増幅用光ファイバ50は、下記式1及び式2のいずれも満たすものとされる。
【数2】

【0051】
ただし、rは、コア51の径方向における中心からの距離であり、I01(r)は、図3(B)に示すLP01モードのコア51の径方向における中心から距離rにおける強度であり、I02(r)は、図3(B)に示すLP02モードのコア51の径方向における中心から距離rにおける強度であり、I03(r)は、図3(B)に示すLP03モードのコア51の径方向における中心から距離rにおける強度であり、n(r)は、コア51の径方向における中心から距離rにおける活性元素の添加濃度であり、bはコア51の半径である。なお、rの単位は、(m)であり、I01(r)、I02(r)I03(r)の単位は、(W/m)であり、n(r)の単位は、(個/m)であり、bの単位は、(m)である。
【0052】
上述の中心領域55、中間領域56、外周領域57における活性元素Ybの添加濃度とは、式1及び式2の関係を満たすものであれば、適宜、変更することができる。すなわち、コア51内の活性元素の添加濃度分布は、式1及び式2の関係を満たすものであれば、ファイバ全体として、LP01モードよりもLP02モード及びLP03モードを高い増幅率で増幅することができる。このため、非線形光学効果が生じることを抑制することができ、所望の増幅率で光を増幅できる。
【0053】
このように、本発明において特徴的な点は、式1及び式2の関係を満たすために、LP01モード及びLP02モード及びLP03モードをパワーで規格化する場合における、LP02モード及びLP03モードの少なくとも一方の強度が、LP01モードの強度よりも強い領域の少なくとも一部において、活性元素が、LP01モードの強度がLP02モード及びLP03モードの強度よりも強い少なくとも一部よりも高い濃度で添加された点にある。
【0054】
次に、光ファイバ増幅器1の動作について説明する。
【0055】
まず、種光源10から種光がシングルモードファイバ15から出力される。この種光の波長は、例えば、上述のように1070μmとされる。このとき上述のシングルモードファイバ15の構成により、LP01モードを含む種光が伝播する。そして、シングルモードファイバ15を伝播する種光は、光コンバイナ30に入力する。
【0056】
また、励起光源20からは、増幅用光ファイバ50のコア51に添加されている活性元素Ybを励起する励起光が出力される。このときの波長は、上述のように、例えば915μmの波長とされる。そして、励起光源20から出力された励起光は、マルチモードファイバ22を伝播して、光コンバイナ30に入力する。
【0057】
光コンバイナ30に入力した種光及び励起光は、増幅用光ファイバ50に入力して、種光は、増幅用光ファイバ50のコア51を伝播し、励起光は、増幅用光ファイバ50のクラッド52を主に伝播する。種光は、主としてLP01モードとして入力するが、増幅用光ファイバ50のコア51は、種光の波長の光に対して、LP01モードおよびLP02モード及びLP03モードとして伝播し得るため、LP01モードが入力されるとLP02モード及びLP03モードが励振され、LP01モードおよびLP02モード及びLP03モードとして伝播する。そして、励起光がコア51を通過する際、コア51に添加されている活性元素Ybが励起される。励起された活性元素Ybは、種光により誘導放出を起こして、この誘導放出によりLP01モードおよびLP02モード及びLP03モードの種光は増幅される。
【0058】
このとき、コア51の中心領域55及び外周領域57における活性元素Ybの濃度が、コア51の中間領域56における活性元素Ybの濃度よりも高くされ、上記式1及び式2を満たしている。このため、コア51全体として、LP02モード及びLP03モードは、LP01モードよりも高い増幅率で増幅される。特にLP01モードの強度が、LP02モード及びLP03モード強度よりも強い領域である領域Cにおける領域D側の領域及び領域Eにおいては、活性元素Ybが低い濃度で添加されているため、LP01モード光の増幅が抑制される。
【0059】
上述のように、活性元素は、上記の式1及び式2を満たすように添加されているため、コア51全体として、LP01モードよりもLP02モード及びLP03モードが高い増幅率で増幅された種光は、増幅用光ファイバ50から出力光として出力する。従って、出力光においては、LP01モードのパワーが低く抑えられている。
【0060】
以上説明したように、本実施形態の増幅用光ファイバ50においては、LP02モード及びLP03モードの少なくとも一方がLP01モードよりも強い領域A、及び、領域B、及び、領域Fの一部、及び、領域Gにおいて、活性元素が、LP01モードの強度がLP02モード及びLP03モードの強度の少なくとも一部よりも強い領域Cの一部及び領域Eよりも高い濃度で添加される。この活性元素が高い濃度で添加される領域においては、光の増幅率が高いため、LP02モード及びLP03モードの少なくとも一方が、高い増幅率で増幅される。特に領域A及び領域Gにおいては、光が高い増幅率で増幅されるので、LP02モード及びLP03モードの双方が高い増幅率で増幅される。一方、LP01モードの強度がLP02モード及びLP03モードの強度よりも高い領域Cの一部及び領域Eにおいては、光の増幅率が高くないため、LP01モードの増幅が抑制される。このように、本実施形態の増幅用光ファイバは、LP01モードの増幅を抑え、増幅用光ファイバ50全体として、上記式1及び式2を満たすようにLP02モード及びLP03モードを積極的に増幅させる。このように増幅用光ファイバ50において積極的に増幅されるLP02モードやLP03モードといった高次モードは、強度の強い場所が、コア51の径方向に分散している。従って、このような高次モードが増幅されても、LP01モードが増幅される場合と比べて、非線形光学効果が生じづらい。従って、増幅用光ファイバ50においては、非線形光学効果に阻害されることが抑制された状態で、光をより高い増幅率で増幅することができ、増幅用光ファイバ50全体として、パワーの高い光を出力することができる。
【0061】
なお、増幅用光ファイバ50が曲げられた状態で使用される場合においても、高次モードは、光の中心がコア51の外周側にずれづらく、モードフィールドの面積が小さくなりにくい。このため、本実施形態の増幅用光ファイバ50においては、曲げられた状態で使用されても、光の集中による非線形光学効果が生じることが抑制され、直線の状態で使用されて出力される光のパワーと比べて、出力される光のパワーが小さくなることを抑制することができる。
【0062】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図4を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。図4は、本発明の第2実施形態に係る増幅用光ファイバのコアの様子を示す図であり、第1実施形態における図3に相当する図である。
【0063】
図4(A)に示すように、本実施形態における増幅用光ファイバは、第1実施形態における増幅用光ファイバ50のコア51に代えて、コア51aが用いられている。このコア51aは、第1実施形態のコア51と同様にして、中心領域55、中間領域56、外周領域57に区切られているのと同様に、中心領域55a、中間領域56a、外周領域57aに区切られている。そして、中心領域55a及び外周領域57aには、図4(D)に示すように、第1実施形態におけるコア51の中心領域55及び外周領域57と同様の濃度で活性元素が添加されている。しかし、本実施形態の増幅用光ファイバのコア51aは、中間領域56aに活性元素が添加されていない点において、第1実施形態の増幅用光ファイバ50のコア51と異なる。そして、コア51aの活性元素の添加は、第1実施形態と同様にして、上記式1及び式2の関係を満たすように設定されている。
【0064】
本実施形態の増幅用光ファイバにおいては、コア51aの中間領域56aに活性元素が添加されていないため、LP02モード及びLP03モードの強度よりもLP01モードの強度が強い領域Cの一部と、領域Eを含む中間領域56aにおいて、LP01モードが増幅されない。そして、第1の実施形態と同様に、LP02モード及びLP03モードの強度がLP01モードの強度よりも強い領域である領域A、及び、領域G、及び、LP02モードがLP01モードの強度が強い領域である領域B及び領域Fの一部を含む中心領域55a及び外周領域57aにおいて、光が増幅される。そして、上述のように、コア51aには、上記式1及び式2を満たすように活性元素が添加されているため、コア51a全体として、LP02モード及びLP03モードがLP01モードよりも高い増幅率で増幅される。
【0065】
本実施形態の増幅用光ファイバによれば、LP01モードの強度が強い領域Cの一部及び領域Eを含む中間領域56aにおいて活性元素が添加されていないため、この領域においてLP01モードが増幅されない。従って、コア51a全体として、LP02モード及LP03モードをLP01モードよりも、より高い増幅率で増幅することができる。従って、非線形光学効果を抑制して、パワーの高い光が出力される場合においても、所望のパワーの光を出力することができる。
【0066】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図5を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。図5は、本発明の第3実施形態に係る増幅用光ファイバのコアの様子を示す図であり、第1実施形態における図3に相当する図である。
【0067】
図5(A)に示すように、実施形態における増幅用光ファイバは、第1実施形態における増幅用光ファイバ50のコア51に代えて、コア51bが用いられている。このコア51bは、中心領域55b、中間領域56b、外周領域57bに区切られている。ただし、中心領域55bと中間領域56bとの境界が、領域Bと領域Cとの境界と一致しており、中間領域56bと外周領域57bとの境界が、領域Eと領域Fとの境界に一致している点において、第1実施形態のコア51と異なる。従って、中間領域56bには、LP01モードの強度がLP02モード及びLP03モードの強度よりも強い領域C及び領域Eの全てを含んでいる。
【0068】
そして、本実施形態の増幅用光ファイバのコア51bは、中心領域55bに添加される活性元素Ybの濃度が、第1実施形態のコア51の中心領域55に添加される活性元素Ybの濃度と同様とされ、中間領域56bに添加される活性元素Ybの濃度が、第1実施形態のコア51の中間領域56に添加される活性元素Ybの濃度と同様とされ、外周領域57bに添加される活性元素Ybの濃度が、第1実施形態のコア51の外周領域57に添加される活性元素Ybの濃度と同様とされる。
【0069】
そして、このように活性元素が添加されることにより、本実施形態においても、コア51bは、式1及び式2の関係を満たすように設定されている。
【0070】
本実施形態の増幅用光ファイバにおいては、中間領域56bが、LP01モードがLP02モード及びLP03モードよりも強い領域C及び領域Eの全てを含む。この中間領域56bにおいては、活性元素の濃度が低く抑えられているため、領域C及び領域Eにおいて、LP01モードの増幅が抑制される。また、中心領域55b及び外周領域57bにおいては、LP02モード及びLP03モードの少なくとも一方の強度がLP01モードの強度よりも強く、これらの領域においては、第1の実施形態と同様にして活性元素Ybが高い濃度で添加されるため、LP02モード及びLP03モードの少なくとも一方が高い増幅率で増幅される。特に中心領域55bに含まれる領域A、及び、外周領域に含まれる領域Gにおいては、LP02モード及びLP03モード双方に強度がLP01モードの強度よりも強いため、ファイバ全体として、LP02モード及びLP03モードの双方が、LP01モードよりも高い増幅率で増幅される。
【0071】
本実施形態の増幅用光ファイバによれば、LP01モードの強度がLP02モード及びLP03モードの強度よりも強い全ての領域において、光の増幅を抑制できるため、非線形光学効果を抑制でき、増幅用光ファイバ50全体として、第1実施形態よりも光の増幅率を高くする場合においても、所望のパワーに光を出力することができる。
【0072】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図6を参照して詳細に説明する。なお、第3実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。図6は、本発明の第4実施形態に係る増幅用光ファイバのコアの様子を示す図であり、第1実施形態における図3に相当する図である。
【0073】
図6(A)に示すように、実施形態における増幅用光ファイバは、第3実施形態における増幅用光ファイバのコア51bに代えて、コア51cが用いられている。このコア51cは、第3実施形態のコア51bが中心領域55b、中間領域56b、外周領域57bに区切られているのと同様にして、中心領域55c、中間領域56c、外周領域57cに区切られている。そして、図6(D)に示すように、中心領域55c及び外周領域57cには、第3実施形態におけるコア51bの中心領域55b及び外周領域57bと同様の濃度で活性元素が添加されている。しかし、本実施形態の増幅用光ファイバのコア51cは、中間領域56cに活性元素が添加されていない点において、第3実施形態のコア51bと異なる。従って、LP01モード及びLP02モード及びLP03モードをパワーで規格化する場合における、LP01モードの強度が、LP02モード及びLP03モードの強度よりも強い領域である領域C及び領域Eにおいて、活性元素Ybが添加されていない。
【0074】
そして、このような濃度分布で活性元素が添加されることにより、本実施形態においても、コア51cは、式1及び式2の関係を満たすように設定されている。
【0075】
本実施形態の増幅用光ファイバにおいては、LP02モード及びLP03モードよりもLP01モードよりも強い領域C及び領域Eを含む中間領域56cにおいて活性元素が添加されていないため、LP01モードの強度が強い領域C及び領域Eにおいて、光が増幅されず、このため、ファイバ全体としてLP01モードの増幅が抑制される。そして、第3の実施形態と同様に、LP02モード及びLP03モードの少なくとも一方の強度がLP01モードの強度よりも強い領域である中心領域55c及び外周領域57c、光が高い増幅率で増幅されるため、増幅用光ファイバ全体として、LP02モード及びLP03モードが高い増幅率で増幅される。
【0076】
本実施形態の増幅用光ファイバによれば、中間領域56cにおいて、光が増幅されないため、ファイバ全体として、LP01モードの増幅をより抑制することができ、よりパワーの高い光を出力することができる。
【0077】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図7を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。図7は、本発明の第5実施形態に係る増幅用光ファイバのコアの様子を示す図であり、第1実施形態における図3に相当する図である。
【0078】
図7(A)に示すように、実施形態における増幅用光ファイバは、第1実施形態における増幅用光ファイバのコア51に代えて、コア51dが用いられている。このコア51dは、図7(D)に示すように、領域A、領域B、領域D、領域F、領域Gには、活性元素Ybが高い濃度で添加され、領域C、領域Eには、活性元素Ybが領域A等より低い濃度で添加されている。すなわち、本実施形態の増幅用光ファイバは、コア51において、LP01モード及びLP02モード及びLP03モードをパワーで規格化する場合における、LP02モード及びLP03モードの少なくとも一方の強度が、LP01モードの強度よりも強い領域(領域A、領域B、領域D、領域F、領域G)の全てにおいて、活性元素が、LP01モードの強度がLP02モード及びLP03モードの強度よりも強い全ての領域(領域C、領域E)よりも、高い濃度で添加されるものである。
【0079】
そして、本実施形態においても、上述の式1及び式2を満たす。
【0080】
このような増幅用光ファイバにおいては、LP02モード及びLP03モードの少なくとも一方の強度が、LP01モードの強度よりも強い領域において、高い増幅率で光が増幅され、LP01モードの強度がLP02モード、LP03モードの強度よりも強い領域においては、光が低い増幅率で増幅される。従って、本実施形態の増幅用光ファイバによれば、LP01モードの増幅が抑制され、よりLP02モード及びLP03モードを増幅することができるので、更に高い増幅率で光を増幅することができる。
【0081】
なお、本実施形態の増幅用光ファイバのコア51において、LP01モード及びLP02モード及びLP03モードをパワーで規格化する場合における、LP01モードの強度がLP02モード及びLP03モードの強度よりも強い領域には、活性元素が添加されない構成としても良い。つまり領域C及び領域Eには、活性元素が添加されない構成としても良い。このように構成することにより、LP01モードの強度が、LP02モード及びLP03モードの強度よりも強い領域で、光が増幅されず、よりLP01モードの増幅を抑制することができる。従って、非線形光学効果が生じることをより抑制することができる。
【0082】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図8を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。図8は、本発明の第6実施形態に係る共振器を示す図である。
【0083】
図8に示すように、本実施形態の共振器2は、励起光源20と、増幅用光ファイバ50と、光コンバイナ30と、増幅用光ファイバ50と光コンバイナ30との間に設けられるダブルクラッドファイバ65と、ダブルクラッドファイバ65に設けられる第1FBG61と、増幅用光ファイバ50のダブルクラッドファイバ65側と反対側に設けられるマルチモードファイバ66と、マルチモードファイバ66に設けられる第2FBG62とを主な構成として備える。
【0084】
ダブルクラッドファイバ65は、長手方向に垂直な断面の構造が増幅用光ファイバと同様であり、コアと、コアを被覆するクラッドと、クラッドを被覆する外部クラッドとから構成される。ダブルクラッドファイバ65のコア、クラッド、及び、外部クラッドの外径や屈折率等は、増幅用光ファイバ50のコア、クラッド、及び、外部クラッドと略同様であるが、ダブルクラッドファイバ65のコアには、活性元素が添加されていない。そして、第1実施形態において、増幅用光ファイバ50が光コンバイナ30に接続されるのと同様にして、ダブルクラッドファイバ65の一端が、光コンバイナ30に接続されて、マルチモードファイバ22のコアとダブルクラッドファイバ65のクラッドとが光学的に接続されている。また、ダブルクラッドファイバ65の他端は、増幅用光ファイバ50に接続され、ダブルクラッドファイバ65のコアと増幅用光ファイバ50のコア51とが接続され、ダブルクラッドファイバ65のクラッドと増幅用光ファイバ50のクラッド52とが接続されている。
【0085】
また、ダブルクラッドファイバ65のコアには、第1FBG61が設けられている。こうして第1FBG61は、増幅用光ファイバ50の一方側に設けられている。第1FBG61は、ダブルクラッドファイバ65の長手方向に沿って一定の周期で屈折率が高くなる部分が繰り返されており、この周期が調整されることにより、励起状態とされた増幅用光ファイバ50の活性元素が放出する光の少なくとも一部の波長を反射するように構成されている。第1FBG61は、上述のように活性元素がYbである場合、例えば1070nmにおいて反射率が、例えば100%とされる。
【0086】
また、増幅用光ファイバ50のダブルクラッドファイバ65側と反対側に設けられるマルチモードファイバ66は、増幅用光ファイバ50と同様にLP01モード、LP02モード、LP03モードを伝播するように、コアの直径や、コア及びクラッドの屈折率が設定されている。そして、マルチモードファイバ66は、一端が増幅用光ファイバ50に接続されて、他端には何も接続されず自由端となっており、増幅用光ファイバ50のコア51とマルチモードファイバ66のコアとが接続されている。
【0087】
また、マルチモードファイバ66のコアには、第2FBG62が設けられている。こうして第2FBG62は、増幅用光ファイバ50の他方側に設けられている。第2FBG62は、マルチモードファイバ66の長手方向に沿って一定の周期で屈折率が高くなる部分が繰り返されており、第1FBG61が反射する光と同じ波長の光を第1FBG61よりも低い反射率で反射するように構成され、例えば、第1FBG61が反射する光と同じ波長の光を50%の反射率で反射するように構成されている。
【0088】
このような共振器2においては、励起光源20のそれぞれのレーザダイオード21から励起光が出力されると、この励起光が光コンバイナ30において、ダブルクラッドファイバ65のクラッドに入力して、ダブルクラッドファイバ65のクラッドから、増幅用光ファイバ50のクラッドに入力する。そして、第1実施形態と同様にして、増幅用光ファイバ50のコア51に添加されている活性元素を励起状態とする。そして励起状態とされた活性元素は、特定の波長の自然放出光を放出する。このときの自然放出光は、例えば、中心波長が1070nmで一定の帯域を有する光である。この自然放出光は、増幅用光ファイバ50のコア51を伝播して、ダブルクラッドファイバ65のコアに設けられている第1FBG61により反射され、反射された光が、第2FBG62で反射されて、光の共振が生じる。そして、光が、増幅用光ファイバ50のコア51を伝播するときに増幅されて、一部の光が第2FBGと透過して、マルチモードファイバ66から出力される。
【0089】
本実施形態においても、増幅用光ファイバ50のコア51を光が伝播するときに、LP02モード及びLP03モードがLP01モードの光より強く増幅されるので、非線形光学効果が抑制され、パワーの高い光を出力する場合においても、所望のパワーの光を出力することができる。
【0090】
なお、本実施形態においては、増幅用光ファイバとして、第1実施形態の増幅用光ファイバ50を用いた例で説明したが、第2実施形態〜第5実施形態で説明した増幅用光ファイバ50を用いても良い。
【0091】
以上、本発明について、第1〜第6実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0092】
例えば、上述の実施形態の増幅用光ファイバ50は、クラッド52内にコア51(51a,51b,51c,51d)のみが配置される構造とされたが、本発明は、これに限らない。例えば、第1実施形態の増幅用光ファイバ50のクラッド52内に一対の応力付与部が設けられても良い。図9は、このような第1実施形態における増幅用光ファイバ50の変形例を示す図である。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。
【0093】
図9において、増幅用光ファイバ54は、コア51を挟む一対の応力付与部58が、クラッド52内に設けられる点において、第1実施形態の増幅用光ファイバ50と異なる。つまり、本変形例の増幅用光ファイバ54は、偏波保持ファイバ(PANDA fiber)とされる。例えば、上記のように、コア51の直径が30μmで、コア51とクラッド52との比屈折率差が0.32%である場合、それぞれの応力付与部58は、例えば、直径が35μmとされ、クラッド52との比屈折率差が−1%とされて、コア51の外周面から5μmの間隔をあけて設けられる。応力付与部58を構成する材料としては、例えば、ドーパントとしてホウ素(B)が添加された石英を挙げることができる。このような応力付与部58を設けることにより、単一偏波の光を伝搬することができる。このような増幅用光ファイバ54は、コア51に入力する光と、コア51から出力する光との偏波消光比を20dB程度にすることができる。
【0094】
この単一偏波の光を出力することにより、単一偏波ではない光を出力する場合と比べて、出力する光と効率的に波長変換することができる。例えば、図1の光ファイバ増幅器1において、増幅用光ファイバ50の代わりに増幅用光ファイバ54を用い、増幅用光ファイバ54の出力端に波長変換用ファイバ等の波長変換器を接続することにより、効率的に波長変換された光を得ることができる。例えば、種光源10から波長が近赤外域の種光を出力して、可視光域や紫外光域の光を得ることができる。また、図8に示す共振器においても、増幅用光ファイバ50に代わりに、増幅用光ファイバ54を用い、共振器の出力端に波長変換器を接続することで、増幅用光ファイバ54から出力される光から効率的に波長変換された光を得ることができる。従って、第1FBG61や第2FBG62の反射帯域と異なる帯域の光を得ることができる。
【0095】
このような応力付与部は、第2〜5実施形態のようなコアを有する増幅用光ファイバにおいても、上記第1実施形態の変形例と同様にしてクラッドに設けられても良い。
【0096】
また、上述のそれぞれの本実施形態においては、コア内の活性元素の添加濃度分布は、式1及び式2の関係を満たすものとしたが、式1及び式2の関係のいずれか一方を満たすものであれば、LP01モードよりも、LP02モード及びLP03モードの何れかを高い増幅率で増幅することができ、従来と比較して、LP02モード及びLP03モードの何れかをLP01モードよりも高い増幅率で増幅することができるので、従来の増幅用光ファイバと比較して、パワーの高い光を出力する場合においても、所望のパワーの光を出力することができる。
【0097】
また、第1実施形態、及び、第2実施形態において、領域Dにおいて、他の中間領域よりも、活性元素が高い濃度で添加されても良い。例えば、領域Dにおいて、中心領域、外周領域と同様の濃度の活性元素が添加されても良い。こうすることで、コアには、LP01モード及びLP02モード及びLP03モードをパワーで規格化する場合における、LP02モード及びLP03モードの少なくとも一方の強度が、LP01モードの強度よりも強い領域の全て(領域A、領域B、領域D、領域Fの一部、領域G)において、活性元素が、LP01モードの強度がLP02モード及びLP03モードの強度よりも強い領域の少なくとも一部(領域Cの一部、領域E)よりも、高い濃度で添加され、上記の式1及び式2の両方を満たすことになる。このように構成することで、第1実施形態及び第2実施形態よりも更に、LP03モードを高い増幅率で増幅することができる。
【0098】
また、上述のそれぞれの実施形態に係る増幅用光ファイバ50では、中心領域、中間領域、外周領域において、活性元素Yb添加濃度は、2段階に設定するものとしたが、式1及び式2の少なくとも一方の関係を満たすものであれば、2段階に異なるものでなく、3段階以上に変化する分布であっても良いし、連続的に変化する分布であっても良い。
【0099】
また、第1実施形態〜第4実施形態において、上記の式1及び式2の少なくとも一方を満たす限りにおいて、外周領域に活性元素が添加されていないものとしても良く、或いは、上記の式1及び式2の少なくとも一方を満たす限りにおいて、中心領域に活性元素が添加されていないものとしても良い。このように構成する場合においても、入力される光のうちLP02モード及びLP03モードの少なくとも一方が、LP01モードよりも高い増幅率で増幅される。
【0100】
また、第1実施形態〜第4実施形態において、式1及び式2の少なくとも一方を満たす限りにおいて、中心領域55b及び外周領域57bに添加される活性元素を互いに異なる濃度としても良い。
【0101】
また、第1〜第6実施形態において、増幅用光ファイバは、コアに入力される光のうちLP03以上の高次モードを伝播しない構成としたが、LP03モード以上の高次モードを伝播する構成としても良い。
【0102】
また、第1〜第5実施形態において、励起光を増幅用光ファイバの出力端側と反対側の端面から入力する前方励起構成を例に説明したが、励起光用の光コンバイナを増幅用光ファイバの出力端側に設け、励起光を増幅用光ファイバの出力端側端面から入力する後方励起構成としてもよい。
【0103】
また、種光源10に接続される光ファイバとして、マルチモードファイバを用いて、増幅用光ファイバにマルチモード光を入力しても良い。このとき、光コンバイナの種光伝播用のファイバにマルチモードファイバを用い、種光源に接続されるマルチモードファイバの中心軸と、光コンバイナの種光伝播用のファイバの中心軸とを概略一致させて融着接続する。こうすることで、このマルチモードファイバは、軸対称のモードを伝播し、増幅用光ファイバに入力する種光が軸対称のモードから成る光とされる。こうすることで、増幅用光ファイバに入力される種光は、LP01モードの他に、軸対称の高次モードのみとなる。このため、増幅用光ファイバに入力される種光に非軸対称の高次モードが含まれる場合と比べて、集光を行いやすい良好なビーム品質の光を出力することができる。このようなマルチモードファイバの一例として、LP01モード及びLP02モード及びLP03モードを伝播し、LP04モード以上の高次モードを伝播しないマルチモードファイバが挙げられる。このようなマルチモードファイバとしては、コアを伝播する光が、1070μmである場合に、コアの直径を30μmとし、コアとクラッドとの比屈折率差を0.32%とすれば良い。
【0104】
なお、上記実施形態で説明した光ファイバ増幅器1や共振器2は、そのままファイバレーザ装置として用いられることができる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
以上説明したように、本発明によれば、所望のパワーの光を出力することができる増幅用光ファイバ、及び、それを用いた光ファイバ増幅器及び共振器が提供され、レーザ光を用いる加工分野、医療分野等に利用することができる。
【符号の説明】
【0106】
1・・・光ファイバ増幅器
2・・・共振器
10・・・種光源
15・・・シングルモードファイバ
20・・・励起光源
21・・・レーザダイオード
22・・・マルチモードファイバ
30・・・光コンバイナ
50、54・・・増幅用光ファイバ
51、51a、51b、51c、51d・・・コア
52・・・クラッド
53・・・外部クラッド
55、55a、55b、55c・・・中心領域
56、56a、56b、56c・・・中間領域
57、57a、57b、57c・・・外周領域
58・・・応力付与部
61・・・第1FBG
62・・・第2FBG

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、前記コアを被覆するクラッドとを有する増幅用光ファイバであって、
前記コアは、所定の波長の光を少なくともLP01モード、及び、LP02モード、及び、LP03モードで伝播し、
前記コアには、前記LP01モード及び前記LP02モード及び前記LP03モードをパワーで規格化する場合における、前記LP02モード及び前記LP03モードの少なくとも一方の強度が前記LP01モードの強度よりも強い領域のうち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも外周側の領域の少なくとも一部に、前記所定の波長の光を誘導放出する活性元素が、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域の少なくとも一部よりも高い濃度で添加され、
下記式1及び式2の少なくとも一方を満たす
ことを特徴とする増幅用光ファイバ。
【数1】

(ただし、rは、前記コアの径方向における中心からの距離であり、I01(r)は、前記LP01モードの前記コアの径方向における中心から距離rにおける強度であり、I02(r)は、前記LP02モードの前記コアの径方向における中心から距離rにおける強度であり、I03(r)は、前記LP03モードの前記コアの径方向における中心から距離rにおける強度であり、n(r)は、前記コアの径方向における中心から距離rにおける活性元素の添加濃度であり、bは前記コアの半径である。)
【請求項2】
前記コアには、前記LP01モード及び前記LP02モード及び前記LP03モードをパワーで規格化する場合における、前記LP02モードの強度が前記LP01モードの強度よりも強い領域のうち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも外周側の領域の少なくとも一部、及び、前記LP03モードの強度が前記LP01モードの強度よりも強い領域のうち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも外周側の領域の少なくとも一部のそれぞれにおいて、前記活性元素が、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域の少なくとも一部よりも高い濃度で添加され、
前記式1及び前記式2の両方を満たす
ことを特徴とする請求項1に記載の増幅用光ファイバ。
【請求項3】
前記コアには、前記LP01モード及び前記LP02モード及び前記LP03モードをパワーで規格化する場合における、前記LP02モードの強度及び前記LP03モードの強度が共に前記LP01モードの強度よりも強い領域のうち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも外周側の領域の少なくとも一部において、前記活性元素が、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域の少なくとも一部よりも、高い濃度で添加されている
ことを特徴とする請求項2に記載の増幅用光ファイバ。
【請求項4】
前記コアには、前記LP01モード及び前記LP02モード及び前記LP03モードをパワーで規格化する場合における、前記LP02モード及び前記LP03モードの少なくとも一方の強度が前記LP01モードの強度よりも強い領域のうち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも外周側の領域の少なくとも一部において、前記所定の波長の光を誘導放出する活性元素が、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い全ての領域よりも高い濃度で添加されている
ことを特徴とする請求項1に記載の増幅用光ファイバ。
【請求項5】
前記コアには、前記LP01モード及び前記LP02モード及び前記LP03モードをパワーで規格化する場合における、前記LP02モードの強度が前記LP01モードの強度よりも強い領域のうち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも外周側の領域の少なくとも一部、及び、前記LP03モードの強度が前記LP01モードの強度よりも強い領域のうち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも外周側の領域の少なくとも一部のそれぞれにおいて、前記活性元素が、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い全ての領域よりも高い濃度で添加され、
前記式1及び前記式2の両方を満たす
ことを特徴とする請求項4に記載の増幅用光ファイバ。
【請求項6】
前記コアには、前記LP01モード及び前記LP02モード及び前記LP03モードをパワーで規格化する場合における、前記LP02モードの強度及び前記LP03モードの強度が共に前記LP01モードの強度よりも強い領域のうち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも外周側の領域の少なくとも一部において、前記活性元素が、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い全ての領域よりも、高い濃度で添加されている
ことを特徴とする請求項5に記載の増幅用光ファイバ。
【請求項7】
前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域の少なくとも一部には、前記活性元素が添加されないことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の増幅用光ファイバ。
【請求項8】
前記コアには、前記LP01モード及び前記LP02モード及び前記LP03モードをパワーで規格化する場合における、前記LP02モード及び前記LP03モードの少なくとも一方の強度が前記LP01モードの強度よりも強い領域のうち、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域よりも内周側の領域に、前記活性元素が、前記LP01モードの強度が前記LP02モード及び前記LP03モードの強度よりも強い領域の少なくとも一部よりも、高い濃度で更に添加されている
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の増幅用光ファイバ。
【請求項9】
前記クラッド内に前記コアを挟む一対の応力付与部が設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の増幅用光ファイバ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の増幅用光ファイバと、
種光を前記増幅用光ファイバに入力させる種光源と、
前記増幅用光ファイバの前記活性元素を励起する励起光を出力する励起光源と、
を備えることを特徴とする光ファイバ増幅器。
【請求項11】
前記増幅用光ファイバに入力する種光は、前記増幅用光ファイバの軸対称のモードのみを励振することを特徴とする請求項10に記載の光ファイバ増幅器。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか1項に記載の増幅用光ファイバと、
前記増幅用光ファイバの前記活性元素を励起する励起光を出力する励起光源と、
前記増幅用光ファイバの一方側に設けられ、前記励起光により励起された前記活性元素が放出する光の少なくとも一部の波長の光を反射する第1FBGと、
前記増幅用光ファイバの他方側に設けられ、前記第1FBGが反射する光と同じ波長の光を前記第1FBGよりも低い反射率で反射する第2FBGと、
を備えることを特徴とする共振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−48277(P2013−48277A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−238137(P2012−238137)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【分割の表示】特願2012−520399(P2012−520399)の分割
【原出願日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】