説明

多数個取り印刷配線板及び印刷配線板の製造方法

【課題】切断線で切断することで、側面に分割スルーホール溝電極を有する個片の印刷配線板に分割される多数個取り印刷配線板上の各個片の印刷配線板を多数個取り印刷配線板の状態で電気検査する。
【解決手段】個片の印刷配線板以外の領域である捨て板部分の、前記切断線によって切断されて形成される分割スルーホール溝電極同士が、多数個取りのパターンの繰り返しのピッチで対応する、個片の印刷配線板内の位置の分割スルーホール溝電極同士が電気接続している場合に、前記捨て板部分の分割スルーホール溝電極同士も電気接続する配線パターンを有する多数個取り印刷配線板を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷配線板の製造方法に関し、特に側面に半円状のスルーホールを有する印刷配線板の製造方法及び多数個取り印刷配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話、自動車電話などの無線機器やその他の各種通信機器に用いられる電圧制御発振器(VCO)やアンテナスイッチなどの回路モジュールにおいて、モジュール基板の上に搭載された回路部品から発生する電磁波の漏洩を防止し、あるいは外部から浸入する電磁波を遮蔽するために、導電性のシールドケースを被せ、シールドケースと電気接続するために、側面に半円状のスルーホールを有する印刷配線板を用いた回路モジュールが開発されている。
【0003】
また、この半円状のスルーホールを内部回路と接続された回路モジュールの端子として使用し、回路モジュールをはんだ実装する際に半円状のスルーホールを接合部として使用し、その凹部の内壁にはんだを上らせることにより、実装の強度を向上させ、かつ、外側からの外観検査を容易にする実装構造及び方法が開発されている。
【0004】
特許文献1の技術では、その回路モジュールに用いる側面に半円状のスルーホールを有する印刷配線板の製造方法として、多数個取り印刷配線板のスルーホールを切断線で切断して分割することで側面に分割スルーホール溝電極を有する個片の印刷配線板を製造する製造方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−106753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術では、個片の印刷配線板の配線の導通を検査する電気検査をどのように行うかについては記載されていない。そのため、電気検査技術を確立すべき技術課題があった。
【0007】
また、多数個取り印刷配線板を個片の印刷配線板に分割する前に多数個取り印刷配線板の上に電子部品を実装して複数の回路モジュールを製造し、多数個取り印刷配線板において、複数の回路モジュールを個々に動作させて電気検査した上で、多数個取り印刷配線板を切断して個々の回路モジュールに分割することも望まれていた。
【0008】
本発明は上記課題に鑑み考案されたもので、多数個取り印刷配線板の状態で、個片の印刷配線板毎の配線パターンを、他の個片の印刷配線板の領域の配線パターンから電気的に切り離した多数個取り印刷配線板を製造する。そして、その多数個取り印刷配線板上の各個片の印刷配線板の電気特性を多数個取り印刷配線板の状態で電気検査することで多数個取り印刷配線板の品質を保証する製造方法を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、切断線で切断することで、側面に分割スルーホール溝電極を有する個片の印刷配線板に分割される多数個取り印刷配線板であって、前記個片の印刷配線板以外の領域である捨て板部分の、前記切断線によって切断されて形成さ
れる分割スルーホール溝電極同士が、多数個取りのパターンの繰り返しのピッチで対応する、個片の印刷配線板内の位置の分割スルーホール溝電極同士が電気接続している場合に、前記捨て板部分の分割スルーホール溝電極同士も電気接続する配線パターンを有することを特徴とする多数個取り印刷配線板である。
【0010】
また、本発明は、多数個取り印刷配線板を切断線で切断しスルーホールを該切断線で分割することで側面に分割スルーホール溝電極を有する個片の印刷配線板を製造する方法であって、前記多数個取り印刷配線の前記個片の印刷配線板の領域に電気検査のプローブを設置し、かつ、該個片の印刷配線板の前記切断線によって切断されるスルーホールの該個片の印刷配線板の領域の外側の位置に電気検査のプローブを設置して該個片の印刷配線板毎に電気検査する工程を有することを特徴とする印刷配線板の製造方法である。
【0011】
また、本発明は、上記の印刷配線板の製造方法であって、前記個片の印刷配線板の領域の集合の外側の領域である捨て板部分の、前記切断線によって切断されて形成される分割スルーホール溝電極同士が、多数個取りのパターンの繰り返しのピッチで対応する、個片の印刷配線板内の位置の分割スルーホール溝電極同士が電気接続している場合に、前記捨て板部分の前記分割スルーホール溝電極同士も電気接続する配線パターンを形成する工程を有することを特徴とする印刷配線板の製造方法である。
【0012】
また、本発明は、上記の印刷配線板の製造方法であって、前記個片の印刷配線板毎に電気検査する工程が、前記個片の印刷配線板の領域の外側に設置する前記電気検査のプローブが前記捨て板部分の分割スルーホール溝電極に電気接続して電気検査する場合と、前記個片の印刷配線板の領域の外側に設置する前記電気検査のプローブが他の前記個片の印刷配線板の領域内の分割スルーホール溝電極に電気接続して電気検査する場合とで、同じ検査データを用いて電気検査することを特徴とする印刷配線板の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の印刷配線板の製造方法によると、多数個取り印刷配線板を個片の印刷配線板の配線パターン毎に電気検査のプローブを設置して、個片の印刷配線板を順に電気検査する。その際に、電気検査のプローブを電気検査対象用の個片の印刷配線板の配線パターンに設置するとともに、その印刷配線板に隣接する印刷配線板の配線パターンにも電気検査のプローブを設置して電気検査することにより、個片へ分割する切断線Aによって分割されるスルーホールの壁面の導体が個片間で電気的に短絡していないことを電気検査する。
【0014】
これにより、個片の印刷配線板間で配線パターンが電気的に絶縁されている事を電気検査により保障した多数個取り印刷配線板を供給することができる効果がある。また、この多数個取り印刷配線板を個片の印刷配線板に分割する前に、そのまま、電子部品を設置して、複数の回路モジュールを多数個取り印刷配線板上に形成して、その回路モジュールの動作を、多数個取り印刷配線板の状態で個片毎に検査することができる効果がある。
【0015】
更に、本発明は、捨て板部分10dのスルーホール11についても、捨て板部分10dのそのスルーホール11同士が、それに、(多数個取りのパターンの繰り返しのピッチで)対応する個片の印刷配線板のスルーホール11同士が電気的に導通する場合には、その捨て板部分10dのスルーホール11同士も捨て板部分10dに配線パターン18を形成してで電気接続させておく。これにより、電気検査の検査データの切り替え処理を不要にして検査コストを低減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の印刷配線板の部分説明図である。
【図2】分離された導体皮膜を有するスルーホールを説明する部分断面図である。
【図3】板材にスルーホールを形成した状態の断面図である。
【図4】スルーホールにめっき皮膜を形成した状態の断面図である。
【図5】本発明の露光工程を示す説明図である。
【図6】本発明のレジストパターンを示す断面説明図である。
【図7】本発明のソルダーレジスト印刷前の多数個取り印刷配線板の平面図である。
【図8】本発明のソルダーレジスト印刷後の多数個取り印刷配線板の平面図である。
【図9】本発明の多数個取り印刷配線板への電気検査プローブの設置位置を示す側面図である。
【図10】多数個取り印刷配線板への電気検査プローブの設置位置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は本実施形態の、個片に分割した印刷配線板10を示す。本実施形態により個片に分割した印刷配線板10は、多数個取り印刷配線板50を切断線Aで個片の印刷配線板10に切断することで、切断線Aで切断した端面(側面)に、スルーホール11を切断線Aで切断(分割)して形成した、断面半円状の凹部の内壁に、めっき皮膜等の導体皮膜12から成る、断面半円状の分割スルーホール溝電極11aを有する。
【0018】
この導体皮膜12には表面に設けられた配線パターン13が接続されている。ここで、分割スルーホール溝電極11aをスルホール内に形成している導体皮膜12のパターンの端縁は、分割スルーホール溝電極11aが位置する端面と該分割スルーホール溝電極11aとの角部よりも奥に位置させる。
【0019】
図2は、第1の実施形態の製造過程で形成する、個片の印刷配線板10に分割する以前の多数個取り印刷配線板50の、切断線Aで切断される以前のスルーホール11の部分を拡大して示す部分拡大図である。多数個取り印刷配線板50の表裏に配線パターン13、14が形成されている。15a、15b、16a、16bはスルーホール11を囲んで形成されたランドである。スルーホール11内壁にはめっき皮膜等から成る導体皮膜12が形成されている。本実施形態では、導体皮膜12がスルーホール11の周方向に2分割され、2つの導体皮膜12a、12bに分離されている。分割された各導体皮膜12a、12bはそれぞれ表裏の対応する配線パターン13、14に接続されている。
【0020】
多数個取り印刷配線板50を個片の印刷配線板10に分割する際に、このスルーホール11を切断線Aに沿って切断して、導体皮膜12aと導体皮膜12bとを、異なる個片の印刷配線板10に分ける。すなわち、このスルーホール11を切断線Aで切断(分割)することで、分割されたスルーホール11の印刷配線板10の端面に露出した断面半円状の凹部の内壁の、めっき皮膜12による側面電極パターンである分割スルーホール溝電極11aにする。
【0021】
多数個取り印刷配線板50は、また、図10(b)の平面図に示すように、個片の印刷配線板10以外の領域である捨て板部分10dの、切断線Aによって切断されて形成される分割スルーホール溝電極11a同士が、多数個取りのパターンの繰り返しのピッチで対応する、個片の印刷配線板10内の位置の分割スルーホール溝電極11a同士が電気接続している場合に、捨て板部分10dの分割スルーホール溝電極11a同士も電気接続する捨て板部の配線パターン18を有する。
【0022】
(製造方法)
図2〜図10は印刷配線板10の製造工程の一例を示す断面図である。まず、図3に示すように、表裏に銅箔等の金属箔20が貼設された板材21に、後記する工程で個片に分
割する切断線上に位置して複数のスルーホール11を形成する。
【0023】
次に、図4に示すように、無電解めっき、さらに該無電解めっきの上に電解めっきあるいは無電解めっきを施して、スルーホール11の内壁にめっき皮膜から成る導体皮膜12を形成する。
【0024】
次いで図5に示すように、金属箔20、20上、およびスルーホール11内の導体皮膜12上にネガ型の感光性樹脂膜(感光膜)22を形成する。この感光膜22は液状レジストを塗布して形成してもよいが、電着レジストを電着するようにすることで、小径のスルーホール11の内壁にもほぼ均一厚さで感光膜22を形成できるので好適である。
【0025】
感光膜22は、所要のマスクパターン32が形成されているフォトマスク30、31を用いて露光する。このフォトマスク30、31のマスクパターン32は形成すべき配線パターン13、14を形成すべき部分の感光性樹脂膜(感光膜)22を露光し、金属箔20、20の導体を除去すべき部分のパターンを遮光する、逆版のパターンで形成されている。マスクパターン32において、銅箔20部分にランド15a、15b、16a、16bを形成し、かつ、スルーホール11の内壁に導体皮膜12a、12bを形成するために露光する円形の露光パターンは、遮光帯パターン32bで2分割した形状の露光部分32aを形成したマスクパターン32にする。
【0026】
このフォトマスク30、31には、多数個取り印刷配線板50の配線パターン13、14及び捨て板部の配線パターン18のネガ型のイメージのマスクパターン32を形成する。すなわち、個片の印刷配線板に隣接する捨て板部分10dのスルーホール11についても、図7の多数個取り印刷配線板50の平面図のように、捨て板部分10dにおいても、該当するスルーホール11同士は配線パターン18で電気接続するようにする。捨て板部分10dとは、個片の印刷配線板を形成する領域以外の多数個取り印刷配線板50の領域である。
【0027】
(変形例1)
変形例1として、捨て板部分10dの配線パターン18を以下のように形成する。すなわち、捨て板部分10dのそのスルーホール11の位置に(多数個取りのパターンの繰り返しのピッチで)対応する、個片の印刷配線板のスルーホール11が、他のスルーホール11と電気的に導通する場合には、その捨て板部分10dのスルーホール11も、個片の印刷配線板では導通する他のスルーホール11に(多数個取りのパターンの繰り返しのピッチで)対応する捨て板部分10dのスルーホール11とを捨て板部分10dに形成した配線パターン18で電気接続させるようにする。
【0028】
フォトマスク30、31を用いて、ネガ型の感光膜22を露光し、現像する。これにより、図6のように、金属箔20、20上にパターン化したレジスト膜23が形成され、また、スルーホール11の内壁に、導体皮膜12aと12bを形成するためのレジスト膜23aと23bが、スルーホール11の切断線Aを跨ぐ幅0.5mm程度の帯状のスリット領域23cで隔てられて形成される。この帯状のスリット領域23cは、フォトマスク30、31の遮光帯パターン32bによって、露光光が帯状の遮光されてスルーホール11が露光されることで形成される。すなわち、帯状のスリット領域23cの部分の感光膜22の部分には、遮光帯パターン32bの影になって露光光が投影されないので、その部分の感光膜22は露光・硬化されず現像の際に除去されてスリット領域23cになり、帯状のスリット領域23cで隔てられたレジスト膜23aと23bがスルーホール11内に残存して形成される。
【0029】
なおスルーホール11内の露光は板材21が0.6mm程度の厚さなので、露光部分3
2aで十分に露光され、遮光帯パターン32bが帯状のスリット領域23cを形成するべく十分に解像されて感光膜22に投影される。
【0030】
次いで、スルーホール11内の、帯状のスリット領域23cを挟んだ2つのレジスト膜23aと23bと、基板の表裏面のレジスト膜23をマスクにして、スルーホール11内壁の導体皮膜12および基板の表裏面の金属箔20、20をエッチングする。それにより、図2のように、スルーホール11内壁の導体皮膜12が、帯状のスリット領域23cに露出された部分がエッチングされて帯状の間隙12cが形成されて、導体皮膜12aと導体皮膜12bとの2つが形成される。また、基板の表裏面では、金属箔20、20がエッチングされて配線パターン13、14が形成される。
【0031】
これにより、図7の平面図のように、個辺の印刷配線板10の配線パターン13、14が、多数個繰り返して形成されている多数個取り印刷配線板50が形成される。この多数個取り印刷配線板50では、図7のように、捨て板部分10dに配線パターン18を形成する。すなわち、捨て板部分10dのスルーホール11のうち、個片の印刷配線板に隣接する他の印刷配線板では、他のスルーホール11と電気的に導通するスルーホール11では、捨て板部分10dのスルーホール11においても、そのスルーホール11を該当する他のスルーホール11と導通させる配線パターン18が捨て板部分10dに形成されている。
【0032】
次に、この多数個取り印刷配線板50の配線パターン13、14の上に、図8のように、ソルダーレジスト17を印刷する。
【0033】
(多数個取り印刷配線板50の電気検査)
次に、この多数個取り印刷配線板50を、個片に分割する以前に、電気検査により、配線間の導通の有無を検査する。すなわち、多数個取り印刷配線板50の電気検査において、図9及び図10のように、1つの電気検査対象用の個片の印刷配線板10の配線パターンに電気検査のプローブ41を接触させて電気検査する。それとともに、その個片の印刷配線板10と切断線Aによって分割されて隣接する印刷配線板の、その分割されるスルーホール11の導体のパターンにも電気検査のプローブ41を接触させて電気検査する。
【0034】
電気検査のプローブ41は、図9のように、1つの印刷配線板10の配線パターン上とその印刷配線板10の周辺部分の配線パターン上に設置するプローブ41を電気検査ヘッド40にまとめて設置し、その電気検査ヘッド40を多数個取り印刷配線板50における個片の印刷配線板10の位置に合わせて、個片の印刷配線板10を順に電気検査することで多数個取り印刷配線板50の全体の電気検査を行う。
【0035】
図9(a)は、多数個取り印刷配線板50における電気検査対象の個片の印刷配線板10と、切断線Aによって分割されて隣接する他の印刷配線板10b及び10cへの、電気検査のプローブ41の設置位置を示す側面図であり、図10(a)は、多数個取り印刷配線板50の電気検査対象の個片の印刷配線板10と周辺の印刷配線板10b及び10cへの電気検査のプローブ41の設置位置を示す平面図である。印刷配線板10と印刷配線板10b又は10cに分割されるスルーホール11の、印刷配線板10側のランドと、印刷配線板10b側及び10c側のランドとに電気検査のプローブ41を設置して電気検査する。
【0036】
すなわち、多数個取り印刷配線50の個片の印刷配線板10の領域に電気検査のプローブ41を設置し、かつ、その個片の印刷配線板10と切断線Aによって切断されるスルーホール11の、切断線Aにより分割されて個片の印刷配線板10の領域の外側になる部分にも電気検査のプローブ41を設置して、個片の印刷配線板毎に電気検査する。これによ
り、個片の印刷配線板10と切断線Aによって切断されるスルーホール11が個片毎に導通せずに電気的に完全に分離されていることを電気検査で確認することができる効果がある。
【0037】
次に、図9(b)のように、検査ヘッドの位置を他の印刷配線板10の位置に移動させて電気検査する場合には以下のようにする。図9(b)は、多数個取り印刷配線板50における電気検査対象の個片の印刷配線板10と、切断線Aによって分割されて隣接する、捨て板部分10dへの、電気検査のプローブ41の設置位置を示す側面図であり、図10(a)は、多数個取り印刷配線板50の電気検査対象の個片の印刷配線板10と周辺の捨て板部分10dへの電気検査のプローブ41の設置位置を示す平面図である。印刷配線板10と捨て板部分10dに分割されるスルーホール11の、印刷配線板10側のランドと、捨て板部分10d側のランドとに電気検査のプローブ41を設置して電気検査する。
【0038】
多数個取り印刷配線50を電気検査する際に、測定対象とする個片の印刷配線板10の領域が、周囲を他の個片の印刷配線板10b、10cの領域で囲まれている場合と、捨て板部分10dに隣接する場合とでは、その測定対象とする個片の印刷配線板10の領域の外側のスルーホール11に接続する配線のパターンが異なり検査すべき配線パターンが異なる。
【0039】
そのため、その測定対象とする個片の印刷配線板10の領域の外側のスルーホール11に接続する配線のパターンに応じて、電気検査の検査データを切り替えて、異なる電気検査データを用いて検査する。すなわち、測定対象とする個片の印刷配線板に隣接する他の個片の印刷配線板が、スルーホール同士を配線パターンで接続している場合、捨て板部分のスルーホール同士は電気的に接続されていないので、周囲を他の個片の印刷配線板で囲まれている個片の印刷配線板の検査データと、捨て板部分と隣接する個片の印刷配線板とでは、その個片の印刷配線板の周囲の切断線で切断された部分のスルーホールとの電気接続の検査データとの複数の検査データを切り替えて電気検査する
【0040】
(変形例1による電気検査)
先に説明した変形例1を利用することで、以下のように、電気検査の検査データの切り替え処理を不要にして検査コストを低減できる効果がある。すなわち、変形例1により、捨て板部分10dのスルーホール11についても、捨て板部分10dのそのスルーホール11の位置に(多数個取りのパターンの繰り返しのピッチで)対応する、個片の印刷配線板のスルーホール11が、他のスルーホール11と電気的に導通する場合には、その捨て板部分10dのスルーホール11も、個片の印刷配線板では導通する他のスルーホール11に(多数個取りのパターンの繰り返しのピッチで)対応する捨て板部分10dのスルーホール11とを、捨て板部分10dに形成した配線パターン18で電気接続させておく。これにより、電気検査の検査データの切り替え処理を不要にして検査コストを低減できる効果がある。
【0041】
このように、本実施形態では、多数個取り印刷配線板50を個片の印刷配線板10の配線パターン毎に電気検査のプローブ41を設置して、個片の印刷配線板10を順に電気検査する際に、電気検査のプローブ41を電気検査対象用の個片の印刷配線板10の配線パターンに設置するとともに、その印刷配線板10の領域に隣接する他の印刷配線板10の配線パターンにも電気検査のプローブ41を設置して電気検査することにより、個片へ分割する切断線Aによって分割されるスルーホール11の壁面の導体が個片間で電気的に短絡していないことを電気検査する。
【0042】
これにより、個片の印刷配線板間10で配線パターンが電気的に絶縁されている事を電気検査により保障した多数個取り印刷配線板50を供給することができる効果がある。ま
た、この多数個取り印刷配線板50を個片の印刷配線板10に分割する前に、そのまま、電子部品を設置して、複数の回路モジュールを多数個取り印刷配線板50上に形成して、その回路モジュールの動作を、多数個取り印刷配線板50の状態で個片毎に検査することができる効果がある。
【0043】
次に、この多数個取り印刷配線板50を図1のように、切断線Aに交差するスルーホール11を分割しつつ個片に分割する。多数個取り印刷配線板50を個片に分割する時期は、製造工程の必要に応じて、電子部品を設置した後の多数個取り印刷配線板50を個片に分割しても良い。多数個取り印刷配線板50の個片への分割は、切断線Aに沿ってルーター、金型プレス等により板材21を所定形状の個片に切断する。そして、多数個取り印刷配線板50が分割された個片の印刷配線板10では、図1のように、スルーホール11の切断線Aの部分の端面に分割スルーホール溝電極30による端部の側面電極パターンがあらわれる。
【0044】
本実施形態では、スルーホール11の切断線Aの部分の導体皮膜12は、帯状の間隙12cの部分が除去されているので、柔らかい銅のめっき皮膜等から成る導体皮膜12が切断されず、比較的に硬いプラスチック製の板材21が切断される。
【0045】
なお、上記した印刷配線板10は単層のもので説明したが、多層に形成できることはもちろんである。多層の印刷配線板は、各層を順次にビルドアップして製造することもでき、また、各単層の印刷配線板を形成した後、位置合わせして積層し、適当な接着材を介して接合して製造することもできる。
【符号の説明】
【0046】
10、10b、10c・・・印刷配線板
10d・・・捨て板部分
11・・・スルーホール
11a・・・分割スルーホール溝電極
12・・・めっき皮膜(導体皮膜)
12a、12b・・・導体皮膜
12c・・・帯状の間隙
13、14・・・配線パターン
15a、15b、16a、16b・・・ランド
17・・・ソルダーレジスト
18・・・捨て板部の配線パターン
20・・・銅箔
21・・・板材
22・・・感光膜
23、23a、23b・・・レジスト膜
23c・・・帯状のスリット領域
30、31・・・フォトマスク
32・・・マスクパターン
32a・・・露光部分
32b・・・遮光帯パターン
40・・・電気検査ヘッド
41・・・電気検査のプローブ
50・・・多数個取り印刷配線板
A・・・切断線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断線で切断することで、側面に分割スルーホール溝電極を有する個片の印刷配線板に分割される多数個取り印刷配線板であって、前記個片の印刷配線板以外の領域である捨て板部分の、前記切断線によって切断されて形成される分割スルーホール溝電極同士が、多数個取りのパターンの繰り返しのピッチで対応する、個片の印刷配線板内の位置の分割スルーホール溝電極同士が電気接続している場合に、前記捨て板部分の分割スルーホール溝電極同士も電気接続する配線パターンを有することを特徴とする多数個取り印刷配線板。
【請求項2】
多数個取り印刷配線板を切断線で切断しスルーホールを該切断線で分割することで側面に分割スルーホール溝電極を有する個片の印刷配線板を製造する方法であって、前記多数個取り印刷配線の前記個片の印刷配線板の領域に電気検査のプローブを設置し、かつ、該個片の印刷配線板の前記切断線によって切断されるスルーホールの該個片の印刷配線板の領域の外側の位置に電気検査のプローブを設置して該個片の印刷配線板毎に電気検査する工程を有することを特徴とする印刷配線板の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷配線板の製造方法であって、前記個片の印刷配線板の領域の集合の外側の領域である捨て板部分の、前記切断線によって切断されて形成される分割スルーホール溝電極同士が、多数個取りのパターンの繰り返しのピッチで対応する、個片の印刷配線板内の位置の分割スルーホール溝電極同士が電気接続している場合に、前記捨て板部分の前記分割スルーホール溝電極同士も電気接続する配線パターンを形成する工程を有することを特徴とする印刷配線板の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷配線板の製造方法であって、前記個片の印刷配線板毎に電気検査する工程が、前記個片の印刷配線板の領域の外側に設置する前記電気検査のプローブが前記捨て板部分の分割スルーホール溝電極に電気接続して電気検査する場合と、前記個片の印刷配線板の領域の外側に設置する前記電気検査のプローブが他の前記個片の印刷配線板の領域内の分割スルーホール溝電極に電気接続して電気検査する場合とで、同じ検査データを用いて電気検査することを特徴とする印刷配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−41988(P2013−41988A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177874(P2011−177874)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(000236931)株式会社トッパンNECサーキットソリューションズ (54)
【Fターム(参考)】