説明

履物

【課題】履いて歩くだけで、縄跳びや爪先立ちの効果をえることができ、同時に、開張足の補助と足裏のアーチ補正と衝撃分散の効果によって、横のアーチを支えて鍛えことができる外反母趾対応履物を提供する。
【解決手段】爪先側3を反り上げた履物本体2の内部で爪先側3から踵側5に至る間に弾性板11を埋設し、前記履物本体2の踵側5にコイルスプリング10でクッション性を付与し、前記履物本体2の上面に、人差し指から小指が納まる凹部12と、開張足を抑制する中足骨サポート13と、足の踵側を囲むヒールカップ14を配置し、爪先側3を上方へ弧状に反り上げたことによりテコの原理が発生し、踵側5の上下運動と爪先側3の上下運動の組み合わせで、より縄跳び運動に近い効果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外反母趾対応の履物、更に詳しくは、履いているだけで、縄跳びや爪先立ちの効果が得られ、足裏の横アーチを鍛えることで外反母趾の症状を緩和することができる履物に関する。
【背景技術】
【0002】
足裏には、3つのアーチと呼ばれる弓形のカーブがあり、踵から親指の付け根を通る足の内側の縦アーチと、踵から小指の付け根を通る足の外側の縦アーチと、そして、親指の付け根と小指の付け根を通る横アーチであり、各アーチはそれぞれ板バネのように作用して、足に掛かる力を吸収、分散させるクッションになっている。
【0003】
従って、何らかの原因で足のアーチ構造が崩れてしまうと、クッションの効きが悪くなり、荷重のバランスが変わって、足に思わぬ負担が掛かることになり、そして、外反母趾の最大の原因は、上記した足の横アーチの崩れである。
【0004】
図3(a)は足Aに生じた外反母趾の状態を示し、足の横のアーチが崩れて低下したことで、親指の大本の骨と足先の骨が、足指の付け根を境に大きな角度αを作り、親指が2番目の指の下に潜り込んだり上に乗るようになり、2番目や3番目の指の付け根に荷重が掛かって、タコや筋状の角質ができたり、足指に痛みを感じることになり、横アーチを支えなければ症状が悪化することになる。
【0005】
従来、上記外反母趾の症状を緩和する有効な方法として、縄跳びが効果的であることが知られている。縄跳びのメカニズムは、図2(b)のように、足Aが爪先立ちの状態で着地することになるが、同図右側の着地時の状態から体重を支えるために、同図左側に示すように踵側が高さHだけ下がることになり、これによって指先に力が加わることになり、このような指先に加わる力によって、図3(b)のように、横のアーチCを鍛え、足指の付け根を境とする角度が小さくなり、外反母趾対策に効果が得られるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこでこの発明は、上記のような縄跳びによる外反母趾対策の効果に着目し、履いて歩くだけで、縄跳びや爪先立ちの効果をえることができ、同時に、開張足の補助と足裏のアーチ補正と衝撃分散の効果によって、横のアーチを支えて鍛えことができる外反母趾対応履物を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような課題を解決するため、この発明は、爪先側を反り上げた履物本体の内部で爪先側から踵側に至る間に弾性板を埋設し、前記履物本体の踵側に、この踵側を上下二又状にしてその間に組み込んだ弾性部材でクッション性を付与し、前記履物本体の上面に、足指の人差し指から小指が重なる位置に設けられ、人差し指から小指が納まる凹部と、足の横アーチが臨む位置に突設され、開張足を抑制する中足骨サポートと、踵側の周縁に沿って設けられ、足の踵側を囲むヒールカップを配置した構成を採用したものである。
【0008】
上記履物台である履物本体は、可撓性のある履物用材料を用い、爪先側に甲皮を設けてサンダルに形成され、踵側は踵後部から爪先側に向けて設けた切り欠きによって上台と下台の上下二又状となり、この上台と下台の対向面間にコイルスプリングを縮設し、踵部分にクッション性を付与していると共に、埋設した弾性板が爪先のローリング運動を補助し、爪先側を上方へ弧状に反り上げたことによりテコの原理が発生し、踵の上下運動と爪先の上下運動の組み合わせで、より縄跳び運動に近い効果が得られることになる。
【0009】
また、人差し指から小指が納まる凹部は、履物本体を指で掴めるようにし、外反母趾対策に効果をもたせ、上記中足骨サポートは、開張足を抑制するように横のアーチを支えることになる。
【0010】
更に、上記ヒールカップは、足の踵から両側に伸びるように、内側に傾斜を持たせて設けられ、足裏を定位置に保つと共に、足の接地範囲を広げ、衝撃吸収効果を発揮する。
【発明の効果】
【0011】
この発明によると、爪先側を反り上げた履物本体の踵側にクッション性を付与したので、爪先側を上方へ弧状に反り上げたことによりテコの原理が発生し、埋設した弾性板が爪先のローリング運動を補助し、踵の上下運動と爪先の上下運動の組み合わせで、より縄跳び運動に近い効果が得られることになり、履いて歩くだけで、外反母趾の症状を緩和することができる。
【0012】
また、この記履物本体の上面に、人差し指から小指が納まる凹部と、開張足を抑制する中足骨サポートと、足のヒールを囲むヒールカップを配置したので、人差し指から小指が凹部で履物本体を掴めることになり、外反母趾対策に効果をもたせ、中足骨サポートは、開張足を抑制するように横のアーチを支えることになり、開張足を補助して横アーチを鍛えることができる。
【0013】
更に、上記ヒールカップが足の踵側を囲むことで足裏を定位置に保つと共に、足の接地範囲を広げ、衝撃吸収効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1のように、履物1は、履物台である履物本体2の爪先側3に甲皮4を設けてサンダルに形成され、履物本体2は、可撓性のある履物用材料を用いて上下多層構造に形成され、踵側5は踵後部から爪先側の途中に達するように設けた切り欠き6によって上台7と下台8の上下二又状となり、この上台7と下台8の対向面間に、両端をウレタン等の接着性の良い取付け部材9を用いて固定することにより、防錆処理を施したコイルスプリング10を縮設し、踵側5にクッション性を付与している。
【0016】
上記履物本体2の爪先側3は、上方に向けて弧状に反り上げた形状に成形され、爪先側3でローリング運動ができるようになっていると共に、この履物本体2の内部で爪先側3から踵側5に至る間に金属板バネを用いた弾性板11が埋設され、前記埋設した弾性板11が爪先側3のローリング運動を補助し、爪先側3を上方へ弧状に反り上げたことによりテコの原理が発生し、踵側5の上下運動と爪先側3の上下運動の組み合わせで、より縄跳び運動に近い効果が得られることになる。
【0017】
上記履物本体2の上面に、足指の人差し指から小指が重なる位置に設けられ、人差し指から小指が納まる凹部12と、足の横アーチが臨む位置に突設され、開張足を抑制する中足骨サポート13と、踵側5の周縁に沿って設けられ、足の踵側を囲むヒールカップ14が配置されている。
【0018】
上記凹部12は、揃えた人差し指から小指が納まることにより、外反母趾に関係のある開張足を補助すると共に、履物本体2を指で掴めるようにし、外反母趾対策に効果をもたせることになる。
【0019】
上記中足骨サポート13は、履物本体2の上面に突出することで、開張足を抑制するように横のアーチを支え、開張足を補助して横アーチを鍛えることになる。
【0020】
また、ヒールカップ14は、足Aの踵から両側に沿って伸びるように、内側に傾斜を持たせて設けられ、足裏を定位置に保つと共に、足Aの接地範囲を広げ、衝撃吸収効果を発揮する。
【0021】
この発明の履物1は、上記のような構成であり、これを履いて歩くと、爪先側3が反り上がっていると共に踵側5にクッション性があり、爪先側3を上方へ弧状に反り上げたことによりテコの原理が発生し、埋設した弾性板11が爪先側3のローリング運動を補助し、踵側5の上下運動と爪先側3の上下運動の組み合わせで、より縄跳び運動に近い効果が得られることになり、外反母趾の症状を緩和することができる。
【0022】
また、上記履物本体2の上面に設けた凹部12に人差し指から小指が納まり、開張足を補助すると同時に履物本体1を指で掴めるようにすることができ、しかも、足の横アーチが臨む位置に突設された中足骨サポート13が横のアーチを支えることになり、開張足を補助して横アーチを鍛えることができる。
【0023】
更に、ヒールカップ14に足Aの踵側が納まり、足裏を定位置に保つと共に、足Aの接地範囲を広げ隙間を減らし、衝撃吸収効果を発揮する。
【0024】
上記のように、この発明の履物1は、履いて歩くだけで縄跳びや爪先立ちの効果が得られ、足Aの横アーチを鍛えることで、外反母趾の症状を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)はこの発明に係る履物の斜視図、(b)は同縦断側面図
【図2】(a)はこの発明に係る履物の使用状態を示す側面図、(b)は縄跳びのメカニズムを示す説明図
【図3】(a)は外反母趾が発生した足の平面図、(b)は縄跳び運動によって外反母趾対策に効果が得られる状態を示す平面図
【符号の説明】
【0026】
1 履物
2 履物本体
3 爪先側
4 甲皮
5 踵側
6 切り欠き
7 上台
8 下台
9 取付け部材
10 コイルスプリング
11 弾性板
12 凹部
13 中足骨サポート
14 ヒールカップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
爪先側を反り上げた履物本体の内部で爪先側から踵側に至る間に弾性板を埋設し、前記履物本体の踵側に、この踵側を上下二又状にしてその間に組み込んだ弾性部材でクッション性を付与し、前記履物本体の上面に、足指の人差し指から小指が重なる位置に設けられ、人差し指から小指が納まる凹部と、足の横アーチが臨む位置に突設され、開張足を抑制する中足骨サポートを配置した履物。
【請求項2】
上記履物本体の上面に、踵側の周縁に沿って足の踵側を囲むヒールカップを設けた請求項1に記載の履物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−61960(P2008−61960A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245955(P2006−245955)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(506307991)
【出願人】(504409082)
【Fターム(参考)】