説明

差動4位相偏移変調器

【課題】差動4位相偏移変調器の小型化を図る。
【解決手段】駆動電圧信号を印加することにより、差動位相偏移変調された信号光を出力しうるマッハツェンダ型光変調器2,3を2個並列に配置するとともに、該2個のマッハツェンダ型光変調器の出力を合波することにより、差動4位相偏移変調光を出力しうる合波導波路4と、をそなえ、2個のマッハツェンダ型光変調器2,3では、合波導波路4で合波される2個の前記信号光が実質的に2π/4の位相偏移差となる移相用電圧についても前記駆動電圧信号とともに印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差動4位相偏移変調器に関し、特に、光伝送システムにおける送信器において用いて好適の、差動4位相偏移変調器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代の40 Gbit/s 光伝送システム導入の要求が高まっており、しかも10 Gbit/sシステムと同等の伝送距離や周波数利用効率が求められている。その実現手段として、従来10 Gb/s以下のシステムで適用されてきたNRZ(Non Return to Zero)変調方式に比べて、光信号対雑音比(OSNR)耐力、非線形性耐力に優れたDPSK(Differential Phase Shift Keying)変調方式の研究開発が活発になっている。更には、上述の変調方式に加えて、狭スペクトル(高周波数利用効率)の特徴を持ったDQPSK(Differential Quadrature Phase-Shift Keying)変調(差動4位相偏移変調)といった位相変調方式の研究開発も活発になっている。
【0003】
特に、DQPSK変調方式は、位相変調された二つのデジタル信号を、一つの周波数の信号光を用いて同時に伝送する方式である。この方式は、伝送するデータ速度(例えば40Gbit/s)に対してパルス繰り返し周波数が半分(例えば20 GHz)で済むため、従来のNRZ変調方式などと比較して信号スペクトル幅が半分となり、周波数利用効率、波長分散耐力、デバイス透過特性などの点で優れている。このため、光伝送システムの分野では、特にデータ速度が40 Gbit/sを超える高速伝送システムで本変調方式の適用が盛んに検討されている。
【0004】
図15は従来のDQPSK変調方式を採用するマッハツェンダ型(以下、単にMZ型という)のDQPSK変調器の構成例を示す図である。尚、以下の特許文献1にも同様のDQPSK変調器について記載されている。この図15に示すDQPSK変調器100においては、2つの子MZ型光変調器101,102と、これらの子MZ型光変調器101,102から構成される親MZ型導波路103と、π/2移相器104と、から構成される。
【0005】
すなわち、子MZ型光変調器101,102は、それぞれ、MZ型導波路101a,102a,変調電極101b,102bおよび動作点安定化のためのバイアス電圧供給用のバイアス電極101c,102cをそなえて構成される。そして、LD(Laser Diode)105から出力された光が、これらの子MZ型光変調器101,102に入力される。一方、DQPSK信号源106から2出力されたデータ信号(DATA1,DATA2)は、それぞれ、差動出力のドライバ107,108で増幅された後、子MZ型光変調器101および子MZ型光変調器102の変調電極101b,102bに入力される。これにより、子MZ型光変調器101,102では、それぞれ、DQPSK信号源105からのデータ信号(DATA1,DATA2)により変調されるようになっている。
【0006】
また、π/2移相器104は、子MZ型光変調器101,102で変調された信号の少なくとも一方について、互いにπ/2位相差を有するように位相シフトを行ない、親MZ型導波路103では、π/2移相器104で位相シフトが行なわれた子MZ型光変調器101,102からの信号光を合波することにより、DQPSK変調光として出力することができるようになっている。
【0007】
たとえば、子MZ型光変調器101では、LD105からの連続光について(図16のA参照)、DQPSK信号源106からの一方の系列の符号化データ(DATA1)で変調して、2値の光位相(0rad又はπrad)に情報が乗った光信号を出力する(図16のB参照)。更に、子MZ型光変調器102では、LD105からの連続光について(図16のA参照)、DQPSK信号源106からの他方の系列の符号化データ(DATA2)で変調するとともに、変調された光信号をπ/2移相器104においてφ=π/2だけ位相シフトする。これにより、2値の光位相(π/2rad又は3π/2rad)に情報が乗った光信号を出力する(図16のC参照)。
【0008】
そして、上述の子MZ型光変調器101,102からの変調光は親MZ型導波路103をなす合波導波路で合波されて出力される。即ち、子MZ型光変調器101,102からの変調光が合波されることで、親MZ型導波路103では、図16のDに示すように、光強度は一定であるが4値(π/4,3π/4,5π/4,7π/4)の光位相に情報が乗った光信号、即ちDQPSK変調された光信号を出力することができるようになっている。
【0009】
なお、特許文献1に記載されたDQPSK変調器においては、π/2移相器104や子MZ型光変調器101,102に供給する電圧信号にパイロット周波数成分を与え、親MZ型光変調器103をなす合波導波路の出力におけるパイロット周波数成分をモニタすることを通じてフィードバック制御を行なう技術について記載されている。
【特許文献1】国際公開第03/049333号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の図15や特許文献1に記載されたDQPSK変調器においては、低損失化やデバイスサイズの小型化を図るため、変調電極101bやπ/2移相器104の電極長を短くすることが必要となる。そのため、親MZ型導波路103から見て、子MZ型光変調器101側から出力される光信号と子MZ型光変調器102から出力される光信号の位相差をπ/2つけるためには、必要となる供給DC(Direct Current)バイアスの値が高くなるとともに、π/2移相器104に供給するDCバイアスの供給部およびそのDCバイアスを制御するフィードバック制御回路が大型化するという課題がある。また、子MZ型光変調器101および子MZ型光変調器102といった構成要素とともに、π/2移相器104の構成が必要なため、変調器のチップ構成やモジュール構成が複雑化するという課題もある。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、差動4(M:M=2n)位相偏移変調器の小型化を図ることを目的とする。
また、差動4(M)位相偏移変調器の低消費電力化を測ることを目的とする。
さらに、モジュール構成の簡素化を図ることを目的とする。
なお、上記目的に限らず、後述する発明を実施するための最良の形態に示す各構成により導かれる効果であって、従来の技術によっては得られない効果を奏することも本発明の他の目的の1つとして位置づけることができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)このため、本発明の差動M位相偏移変調器は、駆動電圧信号を印加することにより、差動位相偏移変調された信号光を出力しうるマッハツェンダ型光変調器をn(nは複数)個並列に配置するとともに、該n個のマッハツェンダ型光変調器の出力を合波することにより、差動M(M=2n)位相偏移変調光を出力しうる合波導波路と、をそなえ、該n個のマッハツェンダ型光変調器では、該合波導波路で合波されるn個の前記信号光が実質的に2π/Mの位相偏移差となる移相用電圧についても前記駆動電圧信号とともに印加することを特徴としている。
【0013】
(2)この場合においては、前記nを2、前記Mを4として、第1駆動電圧信号を印加することにより、差動位相偏移変調された第1信号光を出力しうる第1マッハツェンダ型光変調器と、第2駆動電圧信号を印加することにより、差動位相偏移変調された第2信号光を出力しうる第2マッハツェンダ型光変調器と、を並列に配置するとともに、該合波導波路は、該第1,第2マッハツェンダ型光変調器の出力を合波することにより、差動4位相偏移変調光を出力しうるように構成され、かつ、該第1,第2マッハツェンダ型光変調器のうちの少なくとも一方に対して、前記第1信号光および前記第2信号光の位相差が実質的にπ/2となる移相用電圧についても駆動電圧信号とともに印加することとしてもよい。
【0014】
(3)また、上述の(2)の構成において、該第1マッハツェンダ型光変調器は、第1マッハツェンダ型光導波路と、該第1マッハツェンダ型光導波路において前記第1駆動電圧信号を印加するための第1変調用電極部と、前記第1駆動電圧信号による変調の際のバイアス制御用の第1バイアス制御用電圧を供給するための第1バイアス用電極部と、をそなえるとともに、該第2マッハツェンダ型光変調器は、第2マッハツェンダ型光導波路と、該第2マッハツェンダ型光導波路において前記第2駆動電圧信号を印加するための第2変調用電極部と、前記第2駆動電圧信号による変調の際のバイアス制御のための第2バイアス制御用電圧を供給するための第2バイアス用電極部と、をそなえることしてもよい。
【0015】
(4)さらに、上述の(2)の構成において、該第1マッハツェンダ型光変調器は、第1マッハツェンダ型光導波路と、該第1マッハツェンダ型光導波路において前記第1駆動電圧信号と前記第1駆動電圧信号による変調の際のバイアス制御のための第1バイアス制御用電圧とが重畳された第1重畳電圧を供給するための第1重畳電圧用電極部と、をそなえるとともに、該第2マッハツェンダ型光変調器は、第2マッハツェンダ型光導波路と、該第2マッハツェンダ型光導波路において前記第2駆動電圧信号と前記第2駆動電圧信号による変調の際のバイアス制御のための第2バイアス制御用電圧とが重畳された第2重畳電圧を供給するための第2重畳電圧用電極部と、をそなえることもできる。
【0016】
(5)また、上述の(3)の構成において、前記第1,第2変調用電極部の少なくとも一方に対応する前記駆動電圧信号に、前記移相用電圧を重畳して印加することとしてもよい。
(6)さらに、上述の(3)の構成において、前記第1,第2バイアス用電極部のうちの少なくとも一方に対応する前記バイアス制御用電圧に、前記移相用電圧を重畳して印加することもできる。
【0017】
(7)また、上述の(4)の構成において、前記第1,第2重畳電圧用電極部の少なくとも一方には、前記移相用電圧を更に重畳した重畳電圧を印加することもできる。
(8)さらに、上述の(2)の構成において、該第1,第2マッハツェンダ形光変調器は、それぞれ、2本のアーム導波路を有するマッハツェンダ型導波路をそなえるとともに、各2本のアーム導波路に対して電界を印加するための2つの電極がそなえられ、前記移相用電圧は、該第1,第2マッハツェンダ形光変調器のうちの少なくとも一方における該2つの電極の双方に供給されることとしてもよい。
【0018】
(9)また、上述の(8)の構成において、該第1,第2マッハツェンダ形光変調器における各2つの電極に供給される前記移相用電圧の印加比率を設定する印加比率設定部を更にそなえることもできる。
(10)さらに、上述の(2)の構成において、入力される光を2分岐し、それぞれ、該第1マッハツェンダ型光変調器および該第2マッハツェンダ型光変調器に出力しうる分岐導波路を更にそなえることとしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
このように、本発明によれば、2(n)個のマッハツェンダ型光変調器では、合波導波路で合波されるn個の前記信号光が実質的に2π/4(M)の位相偏移差となる移相用電圧についても前記駆動電圧信号とともに印加することができるので、従来技術におけるπ/2移相器に相当する機能を2(n)個のマッハツェンダ型光変調器に持たせることができるので、このπ/2移相器を搭載するために確保されていた導波路スペースを省略することができ、デバイス規模の縮小化を図ることができるほか、このπ/2移相器を搭載するために確保されていた導波路スペースを2(n)個のマッハツェンダ型光変調器のための形成領域とすれば、既存のデバイス規模を維持しながら、電極長を長くすることができるので、電極に印加する電圧を低減させて、消費電力の削減を図ることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照することにより、本発明の実施の形態について説明する。
なお、以下の各実施形態にかかわらず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。又、上述の本願発明の目的のほか、他の技術的課題,その技術的課題を解決する手段及び作用効果についても、以下の実施の形態による開示によって明らかとなる。
【0021】
〔A〕第1実施形態の説明
図1は本発明の第1実施形態にかかるDQPSK変調器1を示す図である。この図1に示すDQPSK変調器1は、第1MZ型光変調器2と第2MZ型光変調器3と合波導波路4とをそなえているが、これらの構成とともに、LDからなる光源5,分岐導波路6,DQPSK信号源7,ドライバ8−1,8−2,フォトダイオード(PD)9,ABC(Automatic Bias Control)回路部10,位相シフト制御部11,バイアス供給部12−1〜12−3およびバイアスT13−2を含んでDQPSK変調器1を構成することもできる。
【0022】
ここで、DQPSK信号源7は、DQPSK信号光として変調されるもととなるデータ(DATA1およびDATA2)を生成するものであり、ドライバ8−1,8−2は、それぞれ、DQPSK信号源7からの(プリコード処理等が施された)第1,第2データに基づく電気信号(DATA1,DATA2)について増幅し、差動電気信号をなす第1,第2駆動電気信号として、第1,第2MZ型光変調器2,3に供給する。
【0023】
したがって、上述のDQPSK信号源7およびドライバ8−1により、第1駆動電圧信号を発生する第1駆動電圧発生部を構成し、DQPSK信号源7およびドライバ8−2により、第2駆動電圧信号を発生する第2駆動電圧発生部を構成する。尚、上述のDQPSK信号源7の構成および動作については、例えば、特表2004−516743号公報等に記載されている。
【0024】
また、分岐導波路6は、光源5からの光を2分岐するものであり、第1MZ型光変調器2は、ドライバ8−1からの第1駆動電圧信号を印加することにより、分岐導波路6からの光が差動位相偏移変調(DPSK変調)された第1信号光を出力しうるものであり、分岐導波路6の一方の出力が接続された第1MZ型導波路2aおよび第1駆動電圧信号を印加するための変調電極2bとともに、バイアス電極2cをそなえている。従って、変調電極2bは、第1MZ型光導波路2aにおいて第1駆動電圧信号を印加するための第1変調用電極部であり、バイアス電極2cは、第1駆動電圧信号による変調の際のバイアス制御のための第1バイアス制御用電圧を供給するための第1バイアス用電極部である。
【0025】
同様に、第2MZ型光変調器3は、ドライバ8−2からの第2駆動電気信号を印加することにより、分岐導波路6からの光が差動位相偏移変調(DPSK変調)された第2信号光を出力するものであり、分岐導波路6の他方の出力が接続された第2MZ型導波路3aおよび第2駆動電圧信号を印加するための変調電極3bとともに、バイアス電極3cをそなえている。従って、変調電極3bは、第2MZ型光導波路3aにおいて第2駆動電圧信号を印加するための第2変調用電極部であり、バイアス電極3cは、第2駆動電圧信号による変調の際のバイアス制御のための第2バイアス制御用電圧を供給するための第2バイアス用電極部である。
【0026】
さらに、合波導波路4は、第1MZ型光変調器2および第2MZ型光変調器3の出力、即ち第1MZ型光変調器2および第2MZ型光変調器3でそれぞれ差動位相偏移変調された第1,第2信号光を合波するものであり、この合波導波路4を通じて、差動4位相偏移変調(DQPSK変調)された信号光を出力することができるようになっている。尚、少なくとも上述の分岐導波路6,第1,第2MZ型光変調器2,3および合波導波路4は、適宜同一基板上に一体に形成することができる。
【0027】
また、PD9は合波導波路4から出力される差動4位相偏移変調信号光のパワーについてモニタするものであり、モニタ結果についてはABC回路部10および位相シフト制御部11に出力されるようになっている。ABC回路10は、PD9からのモニタ結果に基づいて、バイアス供給部12−1,12−2を通じてバイアス電極2c,3cに供給するバイアス電圧をフィードバック制御するようになっている。
【0028】
具体的には、ABC回路部10においては、第1,第2MZ型光変調器2,3において差動位相偏移変調された信号光のそれぞれが、適正な位相差(この場合にはπ位相)を有する2値の位相点に情報が乗るように(動作点が安定化するように)、当該第1,第2MZ型光変調器2,3をなすバイアス電極2c,3cに供給するバイアス電圧を、バイアス供給部12−1,12−2を通じてフィードバック制御するようになっている。
【0029】
なお、上述のABC回路部10による第1,第2MZ型光変調器2,3の動作点安定化のための技術としては、例えば特開平3−251815号公報や特開2000−162563号公報に記載された技術を適用することができる。
さらに、位相シフト制御部11は、PD9からのモニタ結果に基づいて、第1,第2MZ型光変調器2,3において差動位相偏移変調された信号光が、相対的に適正な位相差(この場合にはπ/2位相)を有するように(図16のC参照)、位相シフトのためのバイアス電圧を、第1,第2MZ型光変調器2,3のうちの少なくとも一方(この場合には第2MZ型光変調器3)に供給すべく、バイアス供給部12−3を制御するものである。
【0030】
なお、第1実施形態においては、バイアス供給部12−3では位相シフトのためのバイアス電圧を、バイアスT13−2を介して第2MZ型光変調器3の変調電極3bに対して供給するようになっており、これにより、第2MZ型光導波路3aをなす2本のアーム双方それぞれに形成される変調電極3bに上記のバイアス電圧を供給することができるので、第2MZ型光導波路3aの両アームを伝搬する信号光に対して同等の位相シフトを施すことができるようになる。
【0031】
また、バイアス供給部12−1は、ABC回路部10からの制御を受けて、第1MZ型光変調器2において変調される信号光について、情報が乗る2つの位相点が適正な位相差となるように、即ち2つの位相点がπの位相差を有する(0,π)の位相点となるように(図16のB参照)、バイアス電圧をバイアス電極2cに供給するものである。尚、バイアス供給部12−1では、第1MZ型光変調器2をなす2本のアーム導波路上のバイアス電極2cの双方を通じてバイアス電圧を供給してもよいし、一方のバイアス電極2cを通じてバイアス電圧を供給することとしてもよい。
【0032】
同様に、バイアス供給部12−2はABC回路部10からの制御を受けて、第2MZ型光変調器3において変調される信号光がπの位相差を有する(π/2,3π/2)の2つの位相点に情報が乗るように(図16のC参照)バイアス電圧をバイアス電極2cに供給するものである。尚、バイアス供給部12−2においても、第2MZ型光変調器3をなす2本の変調導波路上のバイアス電極3cの双方を通じてバイアス電圧を供給してもよいし、一方のバイアス電極3cを通じてバイアス電圧を供給することとしてもよい。
【0033】
したがって、上述のABC回路部10およびバイアス供給部12−1は、第1駆動電圧信号による変調の際の(動作点安定化のための)バイアス制御用の第1バイアス制御用電圧を発生させる第1バイアス制御用電圧発生部を構成する。又、上述のABC回路部10およびバイアス供給部12−2は、第2駆動電圧信号による変調の際の(動作点安定化のための)バイアス制御用の第2バイアス制御用電圧を発生させる第2バイアス制御用電圧発生部を構成する。
【0034】
さらに、バイアス供給部12−3は、位相シフト制御部11からの制御を受けて、第1,第2MZ型光変調器2,3において差動位相偏移変調された信号光が、相対的に適正なπ/2の位相差を有するように、第2MZ型光変調器3に対してπ/2の位相シフトのためのバイアス電圧を出力するものである。そして、バイアスT13−2は、ドライバ8−2から差動出力され変調電極3bに供給されることとなる第2駆動信号に、バイアス供給部12−3からの位相シフト用のバイアス電圧を重畳するためのものである。
【0035】
位相シフト制御部11においては、ディザリングによりバイアス電圧を最適制御点に安定化させることができるようになっているが、上述のバイアスT13−2においては、ドライバ8−2からの(変調信号成分を有する)第2駆動電圧信号にもディザリングのための低周波成分を含んだバイアス電圧を重畳させることができるようになっている。
たとえば、位相シフト制御部11においては、位相シフト用のバイアス電圧の安定化のために、バイアス供給部12−3で例えば低周波信号を重畳したバイアス電圧を印加するとともに、PD9から出力されるモニタ信号中に含まれる高調波成分を除く印加低周波信号の成分が最大となるように位相シフトのためのバイアス電圧をバイアス供給部12−3を通じてフィードバック制御することができる。尚、同様の技術には、本願出願人による特許出願(特願2005−192971)の願書に最初に添付した明細書に記載されたものがある。
【0036】
したがって、上述のPD9,位相シフト制御部11およびバイアス供給部12−3により、合波導波路4で合波される2つの信号光が実質的にπ/2の位相偏移差となる移相用電圧を発生させる移相用電圧発生部を構成し、バイアスT13−2により、第1および第2駆動電圧信号のうちの少なくとも一方に、バイアス供給部12−3で発生した移相用電圧を結合させる重畳部を構成する。
【0037】
つぎに、上述のごとく構成されたDQPSK変調器1における具体的な信号の流れを説明する。DQPSK信号源7から出力されたデータ信号(DATA1)は、差動出力のドライバ8−1により増幅された後、第1駆動電気信号として第1MZ型光変調器2の変調電極2bにそのまま入力される。一方、DQPSK信号源7から出力されたデータ信号(DATA2)は、差動出力のドライバ8−2により増幅された後(第2駆動電気信号)、バイアスT13−2を通してπ/2位相シフト分のDCバイアスが付加されて、第2MZ型光変調器3の変調電極3bに入力される。
【0038】
また、光源5から出力された光信号は第1,第2MZ型光変調器2,3および合波導波路4を通る。このとき、ドライバ8−1,8−2から出力されたデータ信号(第1,第2駆動電気信号)により位相変調される。又、第1,第2MZ型光変調器2,3の動作点を安定化させるため、第1,第2MZ型光変調器2,3のバイアス電極2c,3cには、それぞれABC回路部10によりフィードバック制御されたDCバイアスがバイアス供給部12−1,12−2を通じて供給されている。
【0039】
さらに、合波導波路4から見て、第1MZ型光変調器2から出力される光信号と第2MZ型光変調器3から出力される光信号の位相差が安定してπ/2になるように、第1,第2MZ型光変調器2,3のいずれか一方、例えば第2MZ型光変調器3の変調電極3bに、位相シフト制御部11によりフィードバック制御されたDCバイアスがバイアス供給部12−3およびバイアスT13−2を介して供給されている。
【0040】
これにより、たとえば図2の(A)に示すように、従来技術のDQPSK変調器100においては子MZ型光変調器101を信号光が伝搬する段階においては位相シフトは行なわれず(各アームでの位相状態はφ=0である)、後段の親MZ型導波路103にそなえられたπ/2移相器104によって位相シフト(φ=π/2)が行なわれていたのに対して、第1実施形態においては、図2の(B)に示すように、第1,第2MZ型光変調器2,3を信号光が伝搬する段階において位相シフトが行なわれているので(各アームでの位相状態がφ=π/2)、(A)のようなπ/2移相器104をそなえる必要がなくなる。
【0041】
なお、第1実施形態にかかるDQPSK変調器1においては、3つのバイアス供給部12−1〜12−3をそなえているが、それらのバイアス制御のアルゴリズムの一例を図3に示す。この図3に示すように、バイアス制御を開始すると、まず、第1MZ型光変調器2または第2MZ型光変調器3の動作点を決定するバイアス電圧を供給するバイアス供給部12−1およびバイアス供給部12−2を、ABC回路部10でフィードバック制御する(ステップS1,S2)。この場合においては、第1MZ型光変調器2および第2MZ型光変調器3に対するバイアス電圧の制御の順序を逆とすることもできる。
【0042】
その後、位相シフト制御部11ではバイアス供給部12−3を制御することを通じて、合波導波路4から見て、第1MZ型光変調器2から出力される光信号と第2MZ型光変調器3から出力される光信号の位相差が安定してπ/2になるように、第2MZ型光変調器3の2つの変調電極3bに同時にバイアス電圧を供給する(ステップS3)。以上の制御(ステップS1〜S3)を繰り返し行なうことにより、バイアス供給部12−1〜12−3から供給されるバイアス電圧を安定化させることができ、DQPSK変調信号の品質を維持することができる。
【0043】
このように、第1実施形態におけるDQPSK変調器1によれば、前述の図15に示すものに比べ、親MZ型導波路103にそなえられるπ/2移相器104に相当する機能を変調電極3bに持たせることができるので、このπ/2移相器104を搭載するために確保されていた導波路スペースを省略することができる。従って、デバイス規模の縮小化を図ることができるほか、このπ/2移相器104を搭載するために確保されていた導波路スペースを第1,第2MZ型光変調器2,3のための形成領域とすれば、既存のデバイス規模を維持しながら、変調電極2b,3bおよびバイアス電極2c,3cのために必要とされる電極長を長くすることができるので、消費電力の削減を図ることができるという利点がある。
【0044】
なお、第1実施形態においては、位相シフトのためのバイアス電圧を第2MZ型光変調器3の変調電極3bに供給するようになっているが、適宜バイアスTをドライバ8−1と変調電極2bとの間に介装しながら、第1MZ型光変調器2の変調電極2bに供給するように構成してもよいし、第1,第2MZ型光変調器2,3双方の変調電極2b,3bに供給するように構成してもよい。第1,第2MZ型光変調器2,3双方の変調電極2b,3bに供給する場合には、少なくとも、変調電極2bに供給するバイアス電圧による位相シフト量と変調電極3bに供給するバイアス電圧による位相シフト量とが実質的にπ/2の位相差を有するように、バイアス電圧をそれぞれ設定する。
【0045】
〔A1〕第1実施形態の第1変形例の説明
図4は本発明の第1実施形態の第1変形例にかかるDQPSK変調器1Aを示す図である。この図4に示すDQPSK変調器1Aは、前述の図1に示すもの(符号1参照)に比して、バイアス供給部12−3からの位相シフト用のバイアス電圧を、第2MZ型光変調器3の変調電極3bを通じてではなく、バイアス電極3cを通じて供給するようになっている点が異なるが、それ以外の構成については前述の図1に示すものと基本的に同様である。尚、図4中、図1と同一の符号はほぼ同様の部分を示す。
【0046】
すなわち、図4に示すDQPSK変調器1Aにおいては、第2MZ型導波路3aをなす両アームにバイアス電極3cが形成されるとともに、これらのバイアス電極3cに対して位相シフト制御部11での制御を受けたバイアス電圧がバイアス供給部12−3を介して印加されるようになっているのである。尚、前述の図1に示すものと同様、バイアス電極3cに対しては、ABC回路部10による制御を受けたバイアス供給部12−2からのバイアス電圧についても印加されるようになっているが、このバイアス電圧については、両アームのバイアス電極3cに印加されるようにしてもよいし、一方のバイアス電極3cに印加されるようにしてもよい。
【0047】
このように構成されたDQPSK変調器1Aにおいては、π/2移相器104(図15参照)に相当する機能をバイアス電極3cに持たせることができるので、前述の図1に示すものと同様、このπ/2移相器104を搭載するために確保されていた導波路スペースを省略することができ、デバイス規模の縮小化を図ることができる。又、このπ/2移相器104を搭載するために確保されていた導波路スペースを第1,第2MZ型光変調器2,3のための形成領域とすれば、既存のデバイス規模を維持しながら、変調電極2b,3bおよびバイアス電極2c,3cのために必要とされる電極長を長くすることができるので、消費電力の削減を図ることができるようになる。
【0048】
〔A2〕第1実施形態の第2変形例の説明
図5は本発明の第1実施形態の第1変形例にかかるDQPSK変調器1Bを示す図である。この図5に示すDQPSK変調器1Bは、前述の図4に示すバイアス供給部12−2およびバイアス供給部12−3としての機能を共用化させたバイアス供給部12−4をそなえており、この点が図4に示すDQPSK変調器1Aと異なる。尚、この点以外の構成については、前述の図4に示すDQPSK変調器1Aと同様であり、図5中、図4と同一の符号はほぼ同様の部分を示している。このように構成されたDQPSK変調器1Bにおいても、π/2移相器104(図15参照)に相当する機能をバイアス電極3cに持たせることができるので、図1に示すDQPSK変調器1と同様の利点を得ることができる。
【0049】
〔A3〕第1実施形態の第3変形例の説明
図6は本発明の第1実施形態の第3変形例にかかるDQPSK変調器1Cを示す図である。この図6に示すDQPSK変調器1Cは、前述の図4に示すバイアス供給部12−3に代えて、位相シフト制御部11からの制御により、それぞれ第1,第2MZ型光変調器2,3に対して位相シフト用のバイアス電圧を供給するバイアス供給部12−31,12−32をそなえており、この点が図4に示すDQPSK変調器1Aと異なる。尚、この点以外の構成については図4に示すDQPSK変調器1Aと基本的に同様であり、図6中、図4と同一の符号はほぼ同様の部分を示している。
【0050】
すなわち、図6に示すDQPSK変調器1Cの第1MZ型光変調器2においては、第1MZ型導波路2aをなす2本のアーム双方にバイアス電極2cが形成され、第2MZ型光変調器3においては、第2MZ型導波路3aをなす2本のアーム双方にバイアス電極3cが形成されている。
そして、バイアス供給部12−31では、位相シフト制御部11からの制御を受けて、第1MZ型導波路2aをなす2本のアーム双方のバイアス電極2cに対して、位相シフト用のバイアス電圧を印加する一方、バイアス供給部12−32においては、位相シフト制御部11からの制御を受けて、第2MZ型導波路3aをなす2本のアーム双方のバイアス電極3cに対して、位相シフト用のバイアス電圧を印加するようになっている。
【0051】
ここで、バイアス供給部12−31,12−32においてそれぞれバイアス電極2c、3cに対して供給するバイアス電圧は、第1,第2MZ型光変調器2,3から出力され合波導波路4で合波される2つの信号光が、相対的にπ/2の位相差を有するようなバイアス電圧に設定される。
たとえば、この図6に示すように、バイアス供給部12−31では、第1MZ型光変調器2を通じて合波導波路4から出力される信号光の位相シフト量(移相量)φ1が、φ1=−π/4となるようなバイアス電圧を供給し、バイアス供給部12−32では、第2MZ型光変調器3を通じて合波導波路4から出力される信号光の位相シフト量(移相量)φ2が、φ2=π/4となるようなバイアス電圧を供給する。このようにすれば、第1,第2MZ型光変調器2,3を通じて合波導波路4から出力される2つの信号光の相対的位相差をπ/2とすることができるようになる。
【0052】
なお、本発明によれば、バイアス供給部12−31,12−32にて供給するバイアス電圧をそれぞれ移相量φ1=−π/4,φ2=π/4となるようなバイアス電圧としているが、相対的にπ/2の位相差が得られるのであれば、個々のバイアス供給部12−31,12−32で供給するバイアス電圧の値については、これ以外の移相量となる値を設定することとしてもよい。
【0053】
このように構成されたDQPSK変調器1Cにおいても、π/2移相器104(図15参照)に相当する機能をバイアス電極2c,3cに持たせることができるので、図1に示すDQPSK変調器1と同様の利点を得ることができ、又、位相シフトのために必要とされるバイアス電圧を、複数のMZ型光変調器2,3の電極2c,3cに分散させることができるので、消費電力の抑制に更に寄与することができる。
【0054】
〔A4〕第1実施形態の第4変形例の説明
図7は本発明の第1実施形態の第4変形例にかかるDQPSK変調器1Dを示す図である。この図7に示すDQPSK変調器1Dは、前述の図6に示すバイアス供給部12−1およびバイアス供給部12−31としての機能を共用化させたバイアス供給部12−41をそなえるとともに、バイアス供給部12−2およびバイアス供給部12−32としての機能を共用化させたバイアス供給部12−42をそなえており、この点が図6に示すDQPSK変調器1Cと異なる。尚、この点以外の構成については、前述の図6に示すDQPSK変調器1Cと同様であり、図7中、図6と同一の符号はほぼ同様の部分を示している。このように構成されたDQPSK変調器1Dにおいても、π/2移相器104(図15参照)に相当する機能をバイアス電極2c,3cに持たせることができるので、図1に示すDQPSK変調器1と同様の利点を得ることができる。
【0055】
〔B〕第2実施形態の説明
図8は本発明の第2実施形態にかかるDQPSK変調器21を示す図である。この図8に示すDQPSK変調器21は、前述の第1実施形態におけるDQPSK変調器1に比して、各第1,第2MZ型光変調器22,23の構成とともに、各第1,第2MZ型光変調器22,23に対するバイアス電圧の供給態様が異なっている(図1の符号2,3参照)。尚、これ以外の構成については前述の図1に示すDQPSK変調器1と基本的に同様であり、図8中、図1と同一の符号はほぼ同様の部分を示している。
【0056】
ここで、第1,第2MZ型光変調器22,23は、それぞれ、前述の第1実施形態の場合と同様の第1,第2MZ型光導波路2a,3aをそなえるとともに、変調・バイアス共用の電極2d,3dをそなえている。
電極2dは、第1MZ型光導波路2aをなす2本のアームの双方にそれぞれ形成されて、ドライバ8−1からの第1駆動電圧信号とともにバイアス供給部12−1からのバイアス電圧がバイアスT13−1を介して重畳して供給されるようになっている。又、電極3dは、第2MZ型光導波路3aをなす2本のアームの双方にそれぞれ形成されて、ドライバ8−2からの第2駆動電圧信号とともにバイアス供給部12−2,12−3からのバイアス電圧がバイアスT13−2を介して重畳して供給されるようになっている。
【0057】
したがって、上述の電極2dは、第1MZ型光導波路2aにおいて第1駆動電圧信号と第1駆動電圧信号による変調の際のバイアス制御のための第1バイアス制御用電圧とが重畳された第1重畳電圧を供給するための第1重畳電圧用電極部である。一方、電極3dは、第2MZ型光導波路3aにおいて第2駆動電圧信号と第2駆動電圧信号による変調の際のバイアス制御のための第2バイアス制御用電圧とが重畳された第2重畳電圧を供給するための第2重畳電圧用電極部である。
【0058】
また、上述のバイアスT13−1は、ドライバ8−1で発生した第1駆動電圧信号およびバイアス供給部12−1で発生した第1バイアス制御用電圧を電圧重畳し、第1重畳電圧として、第1重畳電圧用電極部としての電極2dに印加する第1電圧重畳部である。一方、バイアスT13−2は、ドライバ8−2で発生した第2駆動電圧信号およびバイアス供給部12−2で発生した第2バイアス制御用電圧を電圧重畳し、第2重畳電圧として、第2重畳電圧用電極部としての電極3dに印加する第2電圧重畳部である。そして、第1,第2電圧重畳部のうちの少なくとも一方となる電極3dには、バイアス供給部12−3で発生した移相用電圧を更に電圧重畳している。
【0059】
なお、第2実施形態におけるDQPSK変調器21のバイアスT13−2においては、バイアス供給部12−3から出力される(実質的に移相量φ=π/2の)位相シフト用のバイアス電圧を、バイアス供給部12−2からの動作点安定化のためのバイアス電圧とともに、ドライバ8−2からの第2駆動電気信号(差動電圧信号)に重畳して、電極3dに印加するようになっている。
【0060】
このとき、バイアス供給部12−3では、位相シフトのためのバイアス電圧を、バイアスT13−2を介して、第2MZ型光導波路3aをなす2本のアーム双方それぞれに形成される電極3dに供給することができるので、第2MZ型光導波路3aの両アームを伝搬する信号光に対して同等の位相シフトを施すことができるようになる。
これにより、第1,第2MZ型光変調器22,23においては、変調・バイアス共用の電極2d,3dをそなえているので、前述の図1においてバイアス電極2c,3cをそれぞれ形成するために確保されていた導波路スペースを省略することができ、デバイス規模の縮小化を図ることができる。又、このバイアス電極2c,3cを形成するために確保されていた導波路スペースを上述の電極2d,3dのための形成領域に含めることとすれば、既存のデバイス規模を維持しながら、電極2d,3dのために必要とされる電極長を長くすることができるので、より消費電力の削減を図ることができるようになる。
【0061】
上述のごとく構成された第2実施形態にかかるDQPSK変調器21では、DQPSK信号源7から出力されたデータ信号(DATA1)は、差動出力のドライバ8−1により増幅された後、第1駆動電気信号としてバイアスT13−1に出力される。一方、DQPSK信号源7から出力されたデータ信号(DATA2)は、差動出力のドライバ8−2により増幅された後、第2駆動電気信号としてバイアスT13−2に出力される。
【0062】
そして、バイアスT13−1では、ドライバ8−1からの第1駆動電圧信号と、ABC回路部10により制御されたバイアス供給部12−1からの動作点安定化のためのバイアス電圧と、を重畳し、電極2dに供給される。これにより、第1MZ型光変調器22においては、バイアス供給部12−1からのバイアス電圧によって動作点を安定化した上で、DQPSK信号源7からのDATA1によって光源5からの光を変調し、差動位相偏移変調された光信号として出力される。
【0063】
一方、バイアスT13−2では、ドライバ8−2からの第2駆動電圧信号と、ABC回路部10により制御されたバイアス供給部12−2からの動作点安定化のためのバイアス電圧と、更に、位相シフト制御部11により制御されたバイアス供給部12−3からの位相シフト用のバイアス電圧と、を重畳し、電極3dに供給される。これにより、第2MZ型光変調器23においては、バイアス供給部12−2からのバイアス電圧によって動作点を安定化した上で、DQPSK信号源7からのDATA2によって光源5からの光を変調し、差動位相偏移変調された光信号として出力される。
【0064】
このとき、バイアス供給部12−3からのバイアス電圧によって、合波導波路4で第1MZ型光変調器22からの信号光と合波される、第2MZ型光変調器23からの信号光には、第1MZ型光変調器22からの信号光と実質的にπ/2の位相差を有するように位相シフトを施すことができる。
このように、第2実施形態にかかるDQPSK変調器21においても、π/2移相器104(図15参照)に相当する機能を第2MZ型光変調器23の電極3dに持たせることができるので、第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができる。
【0065】
また、変調・バイアス共用の電極2d,3dをそなえているので、前述の図1においてバイアス電極2c,3cをそれぞれ形成するために確保されていた導波路スペースを省略することができ、デバイス規模の縮小化を図ることができる。又、このバイアス電極2c,3cを形成するために確保されていた導波路スペースを上述の電極2d,3dのための形成領域に含めることとすれば、既存のデバイス規模を維持しながら、電極2d,3dのために必要とされる電極長を長くすることができるので、より消費電力の削減を図ることができる利点もある。
【0066】
なお、第2実施形態においては、位相シフトのためのバイアス電圧を第2MZ型光変調器23の電極3dに供給するようになっているが、バイアスT13−1を通じて第1MZ型光変調器2の電極2dに供給するように構成してもよい。
〔B1〕第2実施形態の第1変形例の説明
図9は本発明の第2実施形態の第1変形例にかかるDQPSK変調器21Aを示す図である。この図9に示すDQPSK変調器21Aは、前述の図8に示すバイアス供給部12−3に代えて、位相シフト制御部11からの制御により、第1,第2MZ型光変調器22,23に対して位相シフト用のバイアス電圧をそれぞれ供給するバイアス供給部12−33をそなえており、この点が図8に示すDQPSK変調器21と異なる。尚、この点以外の構成については図8に示すDQPSK変調器21と基本的に同様であり、図9中、図8と同一の符号はほぼ同様の部分を示している。
【0067】
すなわち、バイアス供給部12−33では、位相シフト制御部11からの制御を受けて、第1MZ型導波路22をなす2本のアーム双方に形成された電極2dに対して、位相シフト用のバイアス電圧を印加するとともに、第2MZ型導波路3aをなす2本のアーム双方に形成された電極3dに対して、位相シフト用のバイアス電圧を印加する。
このとき、バイアス供給部12−33において電極2d、3dに対してそれぞれ供給するバイアス電圧は、第1,第2MZ型光変調器22,23から出力され合波導波路4で合波される2つの信号光が、相対的にπ/2の位相差を有するようなバイアス電圧に設定される。
【0068】
たとえば、この図9に示すように、電極2dには、第1MZ型光変調器22を通じて合波導波路4から出力される信号光の位相シフト量(移相量)φ1が、φ1=−π/4となるようなバイアス電圧が供給され、電極3dには、第2MZ型光変調器23を通じて合波導波路4から出力される信号光の位相シフト量(移相量)φ2が、φ2=π/4となるようなバイアス電圧を供給する。このようにすれば、第1,第2MZ型光変調器22,23を通じて合波導波路4から出力される2つの信号光の相対的位相差をπ/2とすることができるようになる。尚、第1,第2MZ型光変調器22,23への移相量設定の割り当てを逆としてもよい。
【0069】
なお、本発明によれば、バイアス供給部12−31,12−32にて供給するバイアス電圧をそれぞれ移相量φ1=−π/4,φ2=π/4(又はそれぞれφ1=π/4,φ2=−π/4)となるようなバイアス電圧としているが、相対的にπ/2の位相差が得られるのであれば(φ1−φ2=π/2又は−π/2)、図10に示すDQPSK変調器21Bのように、バイアス供給部12−34において個々の電極2d,3dに供給するバイアス電圧の値については、これ以外の移相量φ1=φa,φ2=φbとなる値の組み合わせを設定することとしてもよい。
【0070】
このように構成されたDQPSK変調器21A,21Bにおいても、前述の第2実施形態の場合と同様の利点を得ることができるほか、位相シフトのために必要とされるバイアス電圧を、複数のMZ型光変調器22,23の電極2d,3dに分散させることができるので、消費電力の抑制に更に寄与することができる。
〔B2〕第2実施形態の第2変形例の説明
図11は本発明の第2実施形態の第2変形例にかかるDQPSK変調器21Cを示す図である。この図11に示すDQPSK変調器21Cは、前述の図8に示すDQPSK変調器21の構成に、バイアス比設定部14が追加されたものである。このバイアス比設定部14は、位相シフト用のバイアス電圧が供給される2つの電極3dについて、個体差によるバイアス供給比率のずれを補正するためのものである。
【0071】
すなわち、2つの電極3dにおける互いのバイアス供給比率が相違する要因となる、損失差や、電極長の相違等をあらかじめ測定しておき、これらの測定結果をもとに、バイアス供給比率のずれを補正すべく、バイアス供給部12−3からのバイアス電圧をバイアス比設定部14で割り当て(バイアス比)を設定することができるようになる。このバイアス比設定部14でバイアス比が設定されたバイアス電圧は、バイアスT13−2を通じて対応する電極3dに供給されるようになっている。
【0072】
したがって、上述のバイアス比設定部14は、第1,第2マッハツェンダ形光変調器22,23における各2つの電極2d,3dに供給される移相用電圧の印加比率を設定する印加比率設定部である。
このように構成されたDQPSK変調器21Cにおいては、バイアス比設定部14をそなえているので、第2MZ型光変調器23の2つの電極3d間の損失などによるバイアス供給比率の違いを低減し、π/2シフトからのずれを補正することができる。
【0073】
また、このバイアス比設定部の構成は、前述の図9又は図10に示すDQPSK変調器21A,21Bに適用することもできる。例えば、図12に示すDQPSK変調器21Dのように、図10に示すDQPSK変調器21Bの構成に、印加比率設定部としてのバイアス比設定部14aを構成することとしてもよい。この図12におけるバイアス比設定部14aは、位相シフト用のバイアス電圧が供給される第1,第2MZ型光変調器22,23における各2つの電極2d,3dについて、個体差によるバイアス供給比率のずれをそれぞれ補正するためのものである。
【0074】
これにより、電極2d,3dにおける互いのバイアス供給比率が相違する要因となる、損失差や、電極長の相違等をあらかじめ測定しておき、これらの測定結果をもとに、バイアス供給比率のずれを補正すべく、バイアス供給部12−34からのバイアス電圧を割り当て(バイアス比)をバイアス比設定部14aで設定することができるようになる。
すなわち、このように構成されたDQPSK変調器21Dにおいても、バイアス比設定部14aをそなえているので、第1,第2MZ型光変調器22,23の各2つの電極2d,3d間の損失などによるバイアス供給比率の違いを低減し、π/2シフトからのずれを補正することができる。
【0075】
〔B3〕第2実施形態の第3変形例の説明
図13は本発明の第2実施形態の第3変形例にかかるDQPSK変調器21Eを示す図である。この図13に示すDQPSK変調器21Eは、前述の図8に示すDQPSK変調器21におけるバイアス供給部12−1〜12−3の構成を共用化したバイアス供給部12−5をそなえるとともに、印加比率設定部としてのバイアス比設定部14bをそなえており、この点が前述の図8に示すDQPSK変調器21と異なっている。尚、この点以外の構成については図8に示すDQPSK変調器21と基本的に同様であり、図13中、図8と同一の符号はほぼ同様の部分を示している。
【0076】
すなわち、バイアス供給部12−5は、ABC回路部10からの制御に基づく第1,第2MZ型光変調器22,23に対する動作点制御用のバイアス電圧とともに、位相シフト制御部11からの制御に基づく第2MZ型光変調器23に対する位相シフト用のバイアス電圧を出力するようになっており、バイアス比設定部14bは、バイアス供給部12−5からのバイアス電圧信号について、第1,第2MZ型光変調器22,23における各2つの電極2d,3dへのバイアス電圧信号として、電極2d,3dの個体差に応じてバイアス比を設定しながら分配するものである。
【0077】
具体的には、バイアス供給部12−5からのバイアス電圧信号を第1MZ型光変調器22のための動作点制御用のバイアス電圧と、第2MZ型光変調器23のための動作点制御および位相シフト用のバイアス電圧信号と、に分配するとともに、更に、各2つの電極2d,3dの個体差に基づくバイアス供給比率のずれを補正すべく、バイアス供給部12−5からのバイアス電圧の割り当て設定(バイアス比設定)を行なうものである。このバイアス比設定部14bでバイアス比が設定されたバイアス電圧は、バイアスT13−1を通じて対応する電極2dに、バイアスT13−2を通じて対応する電極3dに、それぞれ供給されるようになっている。
【0078】
また、このような共用化されたバイアス供給部の構成およびバイアス比設定部の構成は、前述の図9又は図10に示すDQPSK変調器21A,21Bに適用することもできる。例えば、図14に示すDQPSK変調器21Fのように、図9に示すDQPSK変調器21Aにおけるバイアス供給部12−1,12−2,12−33の構成を共用化したバイアス供給部12−6をそなえるとともに、印加比率設定部としてのバイアス比設定部14cをそなえることとしてもよい。
【0079】
すなわち、バイアス供給部12−6は、ABC回路部10からの制御に基づく第1,第2MZ型光変調器22,23に対する動作点制御用のバイアス電圧とともに、位相シフト制御部11からの制御に基づく第1,第2MZ型光変調器22,23に対する位相シフト用のバイアス電圧を出力するようになっており、バイアス比設定部14cは、バイアス供給部12−6からのバイアス電圧信号について、第1,第2MZ型光変調器22,23における各2つの電極2d,3dへのバイアス電圧信号として、電極2d,3dの個体差に応じてバイアス比を設定しながら分配するものである。
【0080】
具体的には、バイアス供給部12−6からのバイアス電圧信号を、第1MZ型光変調器22のためのバイアス電圧(動作点制御用のバイアス電圧および位相シフト用(φ1=−π/4又はπ/4)のバイアス電圧)と、第2MZ型光変調器23のためのバイアス電圧(動作点制御用のバイアス電圧および位相シフト用(φ1=π/4又は−π/4)のバイアス電圧)と、に分配する。更に、各2つの電極2d,3dの個体差に基づくバイアス供給比率のずれを補正すべく、バイアス供給部12−6からのバイアス電圧の割り当て設定(バイアス比設定)を行なうものである。このバイアス比設定部14cでバイアス比が設定されたバイアス電圧は、バイアスT13−1を通じて対応する電極2dに、バイアスT13−2を通じて対応する電極3dに、それぞれ供給されるようになっている。
【0081】
このように構成されたDQPSK変調器21E,21Fにおいても、バイアス比設定部14aをそなえているので、第1,第2MZ型光変調器22,23の各2つの電極2d,3d間の損失などによるバイアス供給比率の違いを低減し、π/2シフトからのずれを補正することができる。
〔C〕その他
なお、図11〜図14に示す印加比率設定部としてのバイアス比設定部の構成については、適宜第1実施形態の各構成にも適用することが可能である。
【0082】
さらに、上述の各実施形態においては、nを2とした差動M(22=4)位相偏移変調器、即ちDQPSK変調器について詳述したが、本発明によれば、nを3以上の整数とした差動M(M=2n)位相偏移変調器においても適用することが可能である。この場合においては、駆動電圧信号を印加することにより、差動位相偏移変調された信号光を出力しうるマッハツェンダ型光変調器をn(nは複数)個並列に配置するとともに、このn個のマッハツェンダ型光変調器の出力を合波することにより、差動M(M=2n)位相偏移変調光を出力しうる合波導波路と、をそなえ、n個のマッハツェンダ型光変調器では、合波導波路で合波されるn個の前記信号光が実質的に2π/Mの位相偏移差となる移相用電圧についても前記駆動電圧信号とともに印加するようになっている。
【0083】
また、上述した実施形態の開示により、当業者が本発明の装置を製造することは可能である。
〔D〕付記
(付記1)
駆動電圧信号を印加することにより、差動位相偏移変調された信号光を出力しうるマッハツェンダ型光変調器をn(nは複数)個並列に配置するとともに、
該n個のマッハツェンダ型光変調器の出力を合波することにより、差動M(M=2n)位相偏移変調光を出力しうる合波導波路と、をそなえ、
該n個のマッハツェンダ型光変調器では、該合波導波路で合波されるn個の前記信号光が実質的に2π/Mの位相偏移差となる移相用電圧についても前記駆動電圧信号とともに印加することを特徴とする、差動M位相偏移変調器。
【0084】
(付記2)
前記nを2、前記Mを4として、
第1駆動電圧信号を印加することにより、差動位相偏移変調された第1信号光を出力しうる第1マッハツェンダ型光変調器と、
第2駆動電圧信号を印加することにより、差動位相偏移変調された第2信号光を出力しうる第2マッハツェンダ型光変調器と、を並列に配置するとともに、
該合波導波路は、該第1,第2マッハツェンダ型光変調器の出力を合波することにより、差動4位相偏移変調光を出力しうるように構成され、
かつ、該第1,第2マッハツェンダ型光変調器のうちの少なくとも一方に対して、前記第1信号光および前記第2信号光の位相差が実質的にπ/2となる移相用電圧についても駆動電圧信号とともに印加することを特徴とする、付記1記載の差動M位相偏移変調器。
【0085】
(付記3)
該第1マッハツェンダ型光変調器は、第1マッハツェンダ型光導波路と、該第1マッハツェンダ型光導波路において前記第1駆動電圧信号を印加するための第1変調用電極部と、前記第1駆動電圧信号による変調の際のバイアス制御用の第1バイアス制御用電圧を供給するための第1バイアス用電極部と、をそなえるとともに、
該第2マッハツェンダ型光変調器は、第2マッハツェンダ型光導波路と、該第2マッハツェンダ型光導波路において前記第2駆動電圧信号を印加するための第2変調用電極部と、前記第2駆動電圧信号による変調の際のバイアス制御のための第2バイアス制御用電圧を供給するための第2バイアス用電極部と、をそなえたことを特徴とする、付記2記載の差動M位相偏移変調器。
【0086】
(付記4)
該第1マッハツェンダ型光変調器は、第1マッハツェンダ型光導波路と、該第1マッハツェンダ型光導波路において前記第1駆動電圧信号と前記第1駆動電圧信号による変調の際のバイアス制御のための第1バイアス制御用電圧とが重畳された第1重畳電圧を供給するための第1重畳電圧用電極部と、をそなえるとともに、
該第2マッハツェンダ型光変調器は、第2マッハツェンダ型光導波路と、該第2マッハツェンダ型光導波路において前記第2駆動電圧信号と前記第2駆動電圧信号による変調の際のバイアス制御のための第2バイアス制御用電圧とが重畳された第2重畳電圧を供給するための第2重畳電圧用電極部と、をそなえたことを特徴とする、付記2記載の差動M位相偏移変調器。
【0087】
(付記5)
前記第1,第2変調用電極部の少なくとも一方に対応する前記駆動電圧信号に、前記移相用電圧を重畳して印加することを特徴とする、付記3記載の差動M位相偏移変調器。
(付記6)
前記移相用電圧を発生させる移相用電圧発生部と、
前記第1および第2駆動電圧信号のうちの少なくとも一方に、該移相用電圧発生部で発生した前記移相用電圧を結合させる重畳部と、を更にそなえたことを特徴とする、付記5記載の差動M位相偏移変調器。
【0088】
(付記7)
前記第1,第2バイアス用電極部のうちの少なくとも一方に対応する前記バイアス制御用電圧に、前記移相用電圧を重畳して印加することを特徴とする、付記3記載の差動M位相偏移変調器。
(付記8)
前記第1駆動電圧信号を発生させる第1駆動電圧発生部と、
前記第2駆動電圧信号を発生させる第2駆動電圧発生部と、
前記第1バイアス制御用電圧を発生させる第1バイアス制御用電圧発生部と、
前記第2バイアス制御用電圧を発生させる第2バイアス制御用電圧発生部と、を更にそなえたことを特徴とする、付記3記載の差動M位相偏移変調器。
【0089】
(付記9)
前記第1,第2重畳電圧用電極部の少なくとも一方には、前記移相用電圧を更に重畳した重畳電圧を印加することを特徴とする、付記4記載の差動M位相偏移変調器。
(付記10)
前記移相用電圧を発生させる移相用電圧発生部と、
前記第1および第2重畳電圧用電極部に供給する前記第1および第2重畳電圧のうちの少なくとも一方に、該移相用電圧発生部で発生した前記移相用電圧を更に重畳させる重畳部と、を更にそなえたことを特徴とする、付記9記載の差動M位相偏移変調器。
【0090】
(付記11)
前記第1駆動電圧信号を発生させる第1駆動電圧発生部と、
前記第2駆動電圧信号を発生させる第2駆動電圧発生部と、
前記第1バイアス制御用の電圧を発生させる第1バイアス制御用電圧発生部と、
前記第2バイアス制御用の電圧を発生させる第2バイアス制御用電圧発生部と、
該第1駆動用電圧発生部で発生した前記第1駆動電圧信号および該第1バイアス制御用電圧発生部で発生した第1バイアス制御用電圧を電圧重畳し、前記第1重畳電圧として、該第1重畳電圧用電極部に印加する第1電圧重畳部と、
該第2駆動用電圧発生部で発生した前記第2駆動電圧信号および該第2バイアス制御用電圧発生部で発生した第2バイアス制御用電圧を電圧重畳し、前記第2重畳電圧として、該第2重畳電圧用電極部に印加する第2電圧重畳部と、
該移相用電圧を発生させる移相用電圧発生部と、を更にそなえ、
該第1,第2電圧重畳部のうちの少なくとも一方は、該移相用電圧発生部で発生した前記移相用電圧を更に電圧重畳することを特徴とする、付記4記載の差動M位相偏移変調器。
【0091】
(付記12)
該第1,第2マッハツェンダ形光変調器は、それぞれ、2本のアーム導波路を有するマッハツェンダ型導波路をそなえるとともに、各2本のアーム導波路に対して電界を印加するための2つの電極がそなえられ、前記移相用電圧は、該第1,第2マッハツェンダ形光変調器のうちの少なくとも一方における該2つの電極の双方に供給されることを特徴とする、付記2記載の差動M位相偏移変調器。
【0092】
(付記13)
該第1,第2マッハツェンダ形光変調器における各2つの電極に供給される前記移相用電圧の印加比率を設定する印加比率設定部を更にそなえたことを特徴とする、付記12記載の差動M位相偏移変調器。
(付記14)
入力される光を2分岐し、それぞれ、該第1マッハツェンダ型光変調器および該第2マッハツェンダ型光変調器に出力しうる分岐導波路を更にそなえたことを特徴とする、付記2記載の差動M位相偏移変調器。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるDQPSK変調器を示す図である。
【図2】第1実施形態にかかるDQPSK変調器の作用効果を説明するための図である。
【図3】第1実施形態にかかるDQPSK変調器の制御シーケンスを説明するためのフローチャートである。
【図4】第1実施形態の変形例にかかるDQPSK変調器を示す図である。
【図5】第1実施形態の変形例にかかるDQPSK変調器を示す図である。
【図6】第1実施形態の変形例にかかるDQPSK変調器を示す図である。
【図7】第1実施形態の変形例にかかるDQPSK変調器を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態にかかるDQPSK変調器を示す図である。
【図9】第2実施形態の変形例にかかるDQPSK変調器を示す図である。
【図10】第2実施形態の変形例にかかるDQPSK変調器を示す図である。
【図11】第2実施形態の変形例にかかるDQPSK変調器を示す図である。
【図12】第2実施形態の変形例にかかるDQPSK変調器を示す図である。
【図13】第2実施形態の変形例にかかるDQPSK変調器を示す図である。
【図14】第2実施形態の変形例にかかるDQPSK変調器を示す図である。
【図15】従来のDQPSK変調方式を採用するマッハツェンダ型のDQPSK変調器の構成例を示す図である。
【図16】DQPSK変調方式を説明するための図である。
【符号の説明】
【0094】
1,1A〜1D,21,21A〜21F,100 DQPSK変調器
2,22 第1MZ型光変調器
3,23 第2MZ型光変調器
2a 第1MZ型光導波路
3a 第2MZ型光導波路
2b,3b,101b,102b 変調電極
2c,3c バイアス電極
2d,3d 電極
4 合波導波路
5,105 光源
6 分岐導波路
7,106 DQPSK信号源
8−1,8−2,107,108 ドライバ
9 フォトダイオード
10 ABC回路部
11 位相シフト制御部
12−1〜12−6,12−31〜12−34,12−41,12−42 バイアス供給部
13−1,13−2 バイアスT
14,14a〜14c バイアス比設定部
101,102 子MZ型光変調器
101a,102a MZ型導波路
103 親MZ型導波路
104 π/2移相器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電圧信号を印加することにより、差動位相偏移変調された信号光を出力しうるマッハツェンダ型光変調器を2個並列に配置するとともに、
該2個のマッハツェンダ型光変調器の出力を合波することにより、差動4位相偏移変調光を出力しうる合波導波路と、をそなえ、
該2個のマッハツェンダ型光変調器では、該合波導波路で合波される2個の前記信号光が実質的に2π/4の位相偏移差となる移相用電圧についても前記駆動電圧信号とともに印加することを特徴とする、差動4位相偏移変調器。
【請求項2】
第1駆動電圧信号を印加することにより、差動位相偏移変調された第1信号光を出力しうる第1マッハツェンダ型光変調器と、
第2駆動電圧信号を印加することにより、差動位相偏移変調された第2信号光を出力しうる第2マッハツェンダ型光変調器と、を並列に配置するとともに、
該合波導波路は、該第1,第2マッハツェンダ型光変調器の出力を合波することにより、差動4位相偏移変調光を出力しうるように構成され、
かつ、該第1,第2マッハツェンダ型光変調器のうちの少なくとも一方に対して、前記第1信号光および前記第2信号光の位相差が実質的にπ/2となる移相用電圧についても駆動電圧信号とともに印加することを特徴とする、請求項1記載の差動4位相偏移変調器。
【請求項3】
該第1マッハツェンダ型光変調器は、第1マッハツェンダ型光導波路と、該第1マッハツェンダ型光導波路において前記第1駆動電圧信号を印加するための第1変調用電極部と、前記第1駆動電圧信号による変調の際のバイアス制御用の第1バイアス制御用電圧を供給するための第1バイアス用電極部と、をそなえるとともに、
該第2マッハツェンダ型光変調器は、第2マッハツェンダ型光導波路と、該第2マッハツェンダ型光導波路において前記第2駆動電圧信号を印加するための第2変調用電極部と、前記第2駆動電圧信号による変調の際のバイアス制御のための第2バイアス制御用電圧を供給するための第2バイアス用電極部と、をそなえたことを特徴とする、請求項2記載の差動4位相偏移変調器。
【請求項4】
該第1マッハツェンダ型変調器は、第1マッハツェンダ型光導波路と、該第1マッハツェンダ型光導波路において前記第1駆動電圧信号と前記第1駆動電圧信号による変調の際のバイアス制御のための第1バイアス制御用電圧とが重畳された第1重畳電圧を供給するための第1重畳電圧用電極部と、をそなえるとともに、
該第2マッハツェンダ型変調器は、第2マッハツェンダ型光導波路と、該第2マッハツェンダ型光導波路において前記第2駆動電圧信号と前記第2駆動電圧信号による変調の際のバイアス制御のための第2バイアス制御用電圧とが重畳された第2重畳電圧を供給するための第2重畳電圧用電極部と、をそなえたことを特徴とする、請求項2記載の差動4位相偏移変調器。
【請求項5】
前記第1,第2変調用電極部の少なくとも一方に対応する前記駆動電圧信号に、前記移相用電圧を重畳して印加することを特徴とする、請求項3記載の差動4位相偏移変調器。
【請求項6】
前記第1,第2バイアス用電極部のうちの少なくとも一方に対応する前記バイアス制御用電圧に、前記移相用電圧を重畳して印加することを特徴とする、請求項3記載の差動4位相偏移変調器。
【請求項7】
前記第1,第2重畳電圧用電極部の少なくとも一方には、前記移相用電圧を更に重畳した重畳電圧を印加することを特徴とする、請求項4記載の差動4位相偏移変調器。
【請求項8】
該第1,第2マッハツェンダ形光変調器は、それぞれ、2本のアーム導波路を有するマッハツェンダ型導波路をそなえるとともに、各2本のアーム導波路に対して電界を印加するための2つの電極がそなえられ、前記移相用電圧は、該第1,第2マッハツェンダ形光変調器のうちの少なくとも一方における該2つの電極の双方に供給されることを特徴とする、請求項2記載の差動4位相偏移変調器。
【請求項9】
該第1,第2マッハツェンダ形光変調器における各2つの電極に供給される前記移相用電圧の印加比率を設定する印加比率設定部を更にそなえたことを特徴とする、請求項8記載の差動4位相偏移変調器。
【請求項10】
入力される光を2分岐し、それぞれ、該第1マッハツェンダ型光変調器および該第2マッハツェンダ型光変調器に出力しうる分岐導波路を更にそなえたことを特徴とする、請求項2記載の差動4位相偏移変調器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−122786(P2008−122786A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308029(P2006−308029)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】