説明

干渉計

【課題】撮像面により生じるノイズを減らし干渉縞の測定精度を向上させることができる干渉計を提供する。
【解決手段】干渉計1は、第一の光軸C1上に光束L1を出射する光源2と、第一の光軸上に配置された参照面7aと、参照面で反射された光束L2と、第一の光軸上に配置された被検面W1で反射された光束L3、または第一の光軸上に配置された被検物Wを透過した後に反射されて再び被検物を透過した光束と、を干渉させた干渉光L4を、第一の光軸に交差する第二の光軸C2上に反射するビームスプリッタ4と、第二の光軸上に配置され干渉光を撮像するとともに、自身の法線が第二の光軸に対して傾くように配置された撮像面14を有する撮像手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、干渉計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、参照面により反射される参照光と、被検面により反射、もしくは被検物を透過後反射され、再び被検物を透過する被検光とを干渉させ、その干渉させた干渉光を撮像素子で観察することで波面収差を測定する干渉計が用いられている。
これらの干渉計は参照面及び被検面に所定の光源から光束を照射し、さらに、干渉光を観察部(撮像手段)へ光を導くために複数の光学部品が使用されている。干渉縞から波面収差を精度良く求めるためには参照光と被検光からなる干渉縞のみを観察することが望ましいが、実際には干渉計内の光学部品からの反射光によるコントラスト低下や干渉縞ノイズが発生し、測定精度を低下させる原因となっている。これらの原因による測定精度の低下をなくすため、特許文献1では、光学部品の一部を楔形状にすることで不要な反射光が撮像素子に到達することを防ぎ、ノイズの低減を図った干渉計の例が公開されている。また、特許文献2においては、撮像素子を保護するカバーガラスを撮像素子に対して傾けることで、撮像素子表面とカバーガラスの間の反射光による干渉縞ノイズの低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−349704号公報
【特許文献2】特開平5−316284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1および特許文献2に示す方法により干渉計内部でのノイズの発生を抑えることができるが、ノイズはこれらの方法で解決できるものだけではない。たとえば、干渉縞観察に用いられるCCDなどの撮像素子は干渉光を撮像する撮像面の反射率が高く、観察するべき干渉光が撮像面で反射し、干渉光が進んできた光路を逆行する現象が発生する。
また、撮像素子を埃等から保護するために撮像素子の前方にカバーガラスが配置されていると、その前面もしくは後面で干渉光が反射し、前述した場合と同様に干渉光が進んできた光路を逆行していく。この逆行した光が参照面や被検物の被検面等で反射されると、その反射光が参照光や被検光と干渉をおこして干渉縞ノイズとなり、本来観察するべき干渉縞の測定精度を悪化させてしまう。また、干渉計内部の光学部品はコーティングなどの処理により反射率が抑えられているが、完全に反射を抑えることは難しいため逆行した光がこれら光学部品で反射することで干渉縞のコントラストを低下させたり、干渉縞ノイズを発生させて測定精度の低下をもたらしたりしている。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、撮像面により生じるノイズを減らし干渉縞の測定精度を向上させることができる干渉計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の干渉計は、第一の光軸上に光束を出射する光源と、前記第一の光軸上に配置された参照面と、前記参照面で反射された前記光束と、前記第一の光軸上に配置された被検面で反射された前記光束、または前記第一の光軸上に配置された被検物を透過した後に反射されて再び前記被検物を透過した前記光束と、を干渉させた干渉光を、前記第一の光軸に交差する第二の光軸上に反射するビームスプリッタと、前記第二の光軸上に配置され前記干渉光を撮像するとともに、自身の法線が前記第二の光軸に対して傾くように配置された撮像面を有する撮像手段と、を備えることを特徴としている。
【0007】
また、本発明の他の干渉計は、第一の光軸上に光束を出射する光源と、第二の光軸上に配置された参照面と、前記光束を反射して前記参照面に導き、前記参照面で反射された前記光束と、前記第二の光軸上に配置された被検面で反射された前記光束、または前記第二の光軸上に配置された被検物を透過した後に反射されて再び前記被検物を透過した前記光束と、を干渉させた干渉光を、前記第二の光軸上に透過するビームスプリッタと、前記第二の光軸上に配置されて前記ビームスプリッタを透過した前記干渉光を撮像するとともに、自身の法線が前記第二の光軸に対して傾くように配置された撮像面を有する撮像手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】
また、上記の干渉計において、前記撮像手段は、前記撮像面を有する撮像素子と、前記撮像素子を収容し、前記撮像素子が撮像する前記干渉光が入射する側に開口が形成された本体部と、板状に形成され前記本体部の前記開口を気密に覆うとともに、自身の前面が前記撮像面と略平行に配置されたカバーガラスと、を有することがより好ましい。
【0009】
また、上記の干渉計において、前記撮像面により反射された前記干渉光を遮断する遮蔽板をさらに備えることがより好ましい。
【0010】
また、上記の干渉計において、前記干渉光を所定の集光点に集光させる集光レンズと、集光した前記干渉光を前記撮像面に入射する前に平行光にする結像レンズと、をさらに備え、前記遮蔽板には開口が形成され、前記集光点が前記開口内に位置するよう配置されていることがより好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の干渉計によれば、撮像面により生じるノイズを減らし干渉縞の測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態の干渉計の説明図である。
【図2】同干渉計の撮像面に入射した干渉光が反射された状態を示す要部拡大図である。
【図3】同干渉計のカバーガラスに入射した干渉光が反射された状態を示す要部拡大図である。
【図4】本発明の第2実施形態の干渉計の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る干渉計の第1実施形態を、図1から図3を参照しながら説明する。図1に示すように、本実施形態の干渉計1は、被検物Wの被検面W1の形状を干渉縞によって測定するフィゾー干渉計である。
干渉計1の概略構成は、レーザ光源(光源)2、発散レンズ3、ビームスプリッタ4、1/4波長板5、コリメータレンズ(集光レンズ)6、参照レンズ7、および観察光学系8からなる。
これらの構成のうち、レーザ光源2、発散レンズ3、ビームスプリッタ4、1/4波長板5、コリメータレンズ6、および参照レンズ7は、干渉計1の第一の光軸C1上にこの順で配置されている。また、観察光学系8は、第一の光軸C1に交差する第二の光軸C2上に配置されている。
【0014】
レーザ光源2は、被検物Wおよび参照レンズ7に照射するレーザ光である測定光(光束)L1を第一の光軸C1上に出射する。
発散レンズ3は、入射する測定光L1を発散光として出射するものである。
ビームスプリッタ4の内部には、特定の偏光状態にある光を反射する反射面4aが形成されている。第一の光軸C1上を進み1/4波長板5側から入射してビームスプリッタ4の反射面4aで反射された光は、第二の光軸C2上を進むように設定されている。
1/4波長板5は、測定光L1の波長に対する1/4波長板であり、通過する測定光L1の偏光状態を変化させる。
参照レンズ7のコリメータレンズ6に対する反対側には、高精度に研磨された参照面7aが形成されていて、参照レンズ7にコリメータレンズ6側から入射する平行光は、参照面7aに垂直に入射するように構成されている。
【0015】
観察光学系8は、第二の光軸C2上に配置されたピンホール板(遮蔽板)9、結像レンズ10、および撮像手段11を有している。ピンホール板9、結像レンズ10、および撮像手段11は、第二の光軸C2上にビームスプリッタ4側からこの順で配置されている。
ピンホール板9には開口9aが形成されていて、ピンホール板9は、第一の光軸C1上でコリメータレンズ6からビームスプリッタ4を通って発散レンズ3までの距離と、第一の光軸C1上を通って反射面4aで第二の光軸C2上に反射される光路上でコリメータレンズ6から開口9aまでの距離とが略等しくなるように配置されている。これらの構成により、発散レンズ3で発散された測定光L1はコリメータレンズ6に入射して平行光となり、コリメータレンズ6の参照レンズ7側から出射される。また、コリメータレンズ6に参照レンズ7側から入射した平行光は、1/4波長板5を透過すると前述の特定の偏光状態になり、ビームスプリッタ4の反射面4aで反射されて開口9a内に位置する集光点A1に集光する。
結像レンズ10は、ピンホール板9の開口9aを通って進む発散する光を後述する撮像面14に入射する前に平行光にする。
【0016】
撮像手段11は、平行光となった後述する干渉光L4を撮像するものである。撮像手段11は、光を撮像する平面状に形成された撮像面14を有するCCD(撮像素子)15と、CCD15を収容し、干渉光L4が入射する側に開口16aが形成されたベース部材(本体部)16と、平行平板状に形成され開口16aを気密に覆うカバーガラス17と、を有している。
【0017】
CCD15は、撮像面14が第二の光軸C2上に配置され、撮像面14が結像レンズ10に対向するとともに、撮像面14の法線N1が第二の光軸C2に対して所定の角度α1傾いた状態で配置されている。この角度α1の設定値については後述する。
カバーガラス17の結像レンズ10側の前面17aとその反対側の後面17bとは、それぞれが平面状であって互いに平行になるように形成されている。さらに、カバーガラス17の前面17aは、撮像面14に略平行になるように配置されている。
なお、カバーガラス17は、不図示の接着剤等によって後面17bをベース部材16の開口16aの外縁部に固定されている。この構成により、カバーガラス17はベース部材16の開口16aを気密に封止している。
【0018】
次に、以上のように構成された干渉計1で被検物Wの被検面W1の形状を測定する手順について説明する。
まず、使用者は、被検面W1が参照面7aに対向するとともに第一の光軸C1上に配置され、かつ、参照レンズ7における参照面7aに対して垂直に出射された測定光L1が被検面W1に垂直に入射するように被検物Wを配置する。
続いて、レーザ光源2から第一の光軸C1上に直線偏光状態の測定光L1を出射させると、測定光L1は発散レンズ3を透過して発散光となり、ビームスプリッタ4を透過し、さらに1/4波長板5を透過したときに偏光状態が変化する。そして、コリメータレンズ6を透過して平行光となり、参照レンズ7に入射する。
【0019】
測定光L1の一部は、参照面7aで反射されて参照光(光束)L2となる。測定光L1のうち参照レンズ7を透過したものは、被検物Wの被検面W1で反射されて被検光(光束)L3となる。被検光L3は参照レンズ7の参照面7aを透過し、被検光L3と参照光L2とが干渉して干渉光L4となる。
ここで、測定光L1は参照面7aと被検面W1にそれぞれ垂直に入射するので、干渉光L4は測定光L1の光路を逆行するように第一の光軸C1上を進んでいく。すなわち、参照レンズ7を透過した干渉光L4は平行光となってコリメータレンズ6に入射し、コリメータレンズ6によって収束する光となる。
【0020】
収束する干渉光L4は、1/4波長板4を再び透過することで前述の特定の偏光状態に変化し、これにより偏光ビームスプリッタ4の反射面4aで反射され、観察光学系8の第二の光軸C2上を進んで集光点A1に集光する。
集光点A1に集光した干渉光L4は発散光となり、結像レンズ10を透過して平行光となって撮像手段11に入射する。
【0021】
ここで、前述した内容を再び図2の拡大図を用いて説明するが、CCD15は、撮像面14の法線N1が第二の光軸C2に対して所定の角度α1傾いた状態で配置されている。
撮像面14に入射した干渉光L4は、撮像面14で撮像されて干渉光L4の干渉縞が観察されるとともに、撮像面14により反射される。撮像面14の法線N1は第二の光軸C2に対して角度α1傾いているため、撮像面14で反射される干渉光L4は、第二の光軸C2に対して角度α1の2倍である角度α2傾いて進み、干渉光L4の光路を逆行しない。反射された干渉光L4は結像レンズ10によって集光点A2に集光する。
【0022】
また、図3に示すように、カバーガラス17の前面17aおよび後面17bで反射した干渉光L4は結像レンズ10によって集光点A3および集光点A4にそれぞれ集光する。なお、説明の便宜のため、後面17bで反射し集光点A4に集光する干渉光L4は点線で示している。
カバーガラス17の前面17aと後面17bとは平面状であって互いに平行になるように形成されているので、カバーガラス17の前面17aおよび後面17bで反射した干渉光L4は、ほぼ同一の光路上を進み、集光点A3と集光点A4はほぼ同一の点となる(以下、これらをまとめて「集光点A3」と称する。)。
また、カバーガラス17の前面17aは撮像面14に略平行になるように配置されているので、その法線N2は撮像面14の法線N1とほぼ平行となり、法線N2と第二の光軸C2とのなす角を、法線N1と第二の光軸C2との成す角と同じα1とすると、カバーガラス17の前面17aで反射される干渉光L4は、撮像面14で反射される干渉光L4と同様に、第二の光軸C2に対して角度α2傾いて進むことになる。
本実施形態においては、撮像面14で反射された干渉光L4とカバーガラス17の前面17aで反射された干渉光L4とが、それぞれピンホール板9で遮断されるように、すなわちピンホール板9の開口9aを通過しないように前述の角度α1の設定値が定められている。
【0023】
なお、上記の角度α1は、光学設計ソフトを用いて計算すること等で求めることができる。また、撮像面14や、カバーガラス17の前面17aで反射される干渉光L4を実際に見ながら角度α1を設定してもよい。
【0024】
以上説明したように、本実施形態の干渉計1によれば、CCD15は、撮像面14の法線N1が第二の光軸C2に対して傾くように配置されている。このため、撮像面14で反射した干渉光L4が第二の光軸C2上を進んで干渉光L4を測定するときにノイズが発生することを抑え、干渉縞の測定精度を向上させることができる。
さらに、カバーガラス17の前面17aと後面17bの法線N2も第二の光軸C2に対して傾くように配置されているので、ノイズの発生をより確実に抑えることができる。
また、CCD15は、ベース部材16およびカバーガラス17により気密に覆われているので、CCD15を埃等から保護することができる。
【0025】
そして、撮像面14およびカバーガラス17で反射した干渉光L4をピンホール板9で遮断するので、干渉縞の測定時のノイズをより確実に低減させることができる。
また、干渉計には、コリメータレンズ6および結像レンズ10が備えられており、コリメータレンズで干渉光L4を一度集光するので、集光点がピンホール板9の開口9a内にくるように配置することで、ピンホール板9の開口9aの径を小さくすることができ、撮像面14の法線N1と第二の光軸C2との傾き角度が小さい状態でもノイズが発生することを抑え、干渉縞の精度を向上させることができる。
【0026】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の干渉計について図4を用いて説明する。なお、上述した第1実施形態に係る干渉計と構成を共通とする箇所には同一符号を付けてその説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図4に示すように、本実施形態の干渉計21は透過波面型のフィゾー干渉計である。本実施形態の干渉計21では、レーザ光源2、発散レンズ3、ビームスプリッタ4は、第一の光軸C3上にこの順で配置されている。ビームスプリッタ4は、第一の光軸C3に交差する第二の光軸C4上にあり、第一の光軸C3上を進み、発散レンズ3側から入射する特定の偏光状態の光は、ビームスプリッタ4の反射面4aで反射し、第二の光軸C4上を進むように設定されている。
【0027】
この第二の光軸C4には、ビームスプリッタ4に続き、1/4波長板5、コリメータレンズ6、参照板22、および参照球23がこの順で配置されている。
参照板22の参照球23側には、高精度に研磨された参照面22aが形成されており、この参照面22aは、第二の光軸C4に垂直に配置される。
本実施形態では、凸レンズ等の被検物W10が測定され、被検物W10は、参照板22と参照球23との間の第二の光軸C4上に配置される。
参照球23には、凹形に形成された球面である反射面23aが形成されていて、後述するコリメータレンズ6からの平行光が被検物W10を透過後に集光する集光点と、被検物W10を透過し、反射面23aで反射後集光する集光点とが、第二の光軸C2上の集光点A5で一致するように適宜設定される。なお、集光点A5は、参照球23の球心となる。
【0028】
さらに、第二の光軸C4上の、ビームスプリッタ4を挟んだ1/4波長板5の反対側には、観察光学系8が配置されている。観察光学系8のそれぞれの構成部材は第二の光軸C4上に配置されているが、その配置は第1実施形態における観察光学系8の構成部材が、第1実施形態における第二の光軸C2上に並ぶのと同じ配置となっている。よって、CCD15の撮像面14の法線N1は、第二の光軸C4に対して角度α1だけ傾いて配置される。
また、図4に示した集光点A6、A7は第1実施形態で説明した集光点A1、A2にそれぞれ対応している。
また、ピンホール板9は、第二の光軸C4上でコリメータレンズ6からビームスプリッタ4を通って開口9aまでの距離と、第二の光軸C4上を通って反射面4aで第一の光軸C3に反射される光路上でコリメータレンズ6から発散レンズ3までの距離とが略等しくなるように配置されている。
【0029】
次に、以上のように構成された干渉計21で被検物W10を測定する手順について説明する。
まず、使用者は、参照板22と参照球23の間の第二の光軸C2上に被検物W10を配置する。このとき、被検物W10を、コリメータレンズ6からの平行光が被検物W10を透過後に集光する集光点と、コリメータレンズ6からの平行光が被検物W10を透過し、さらに反射面23aで反射された後集光する集光点とが一致するような位置に配置する。
続いて、レーザ光源2から第一の光軸C3上に測定光(光束)L6を出射する。この測定光L6は、ビームスプリッタ4の反射面4aで反射するような特定の偏光状態でレーザ光源2から射出され、これにより測定光L6は反射面4aで反射する。その後、1/4波長板5を通ることで偏光状態が変化して、コリメータレンズ6を透過して平行光となる。
【0030】
平行光となった測定光L6は参照板22に入射し、この測定光L6の一部は、参照板22の参照面22aで反射されて参照光(光束)L7となる。測定光L6のうち参照板22を透過したものは、被検物W10を透過して集光点A5で集光した後で、参照球23の反射面23aに垂直に入射して反射され、第二の光軸C4上を逆向きに進んで再び被検物W10を透過して被検光(光束)L8となる。
そして、被検光L8は、参照板22の参照面22aを透過し、被検光L8と参照光L7とが干渉して干渉光L9となる。ここで、測定光L6は、参照面22aと反射面23aにそれぞれ垂直に入射するので、干渉光L9は測定光L6の光路を逆行するように第二の光軸C4上を進んでいく。
すなわち、参照板22を透過した干渉光L9は平行光となってコリメータレンズ6に入射し、コリメータレンズ6によって収束する光となる。
【0031】
収束する干渉光L9は、1/4波長板5を再び透過することで偏光状態が変化し、これにより偏光ビームスプリッタ4を透過し、観察光学系8の第二の光軸C4上を進んで集光点A6に集光する。
集光点A6に集光した干渉光L4は発散光となり、結像レンズ10を透過して平行光となって撮像手段11に入射し、CCD15の撮像面14で干渉光L9の干渉縞が観察される。
本実施の形態における観察光学系8の配置は、第1実施形態における第二の光軸C2が、第二の光軸C4に置き換わったものであり、第1実施形態と同様に干渉光の撮像面による反射光により生じるノイズを減らすことができる。
以上説明したように、本実施形態の干渉計21によれば、第1実施形態の干渉計1と同様に撮像面により生じるノイズを減らし、干渉縞の測定精度を向上させることができる。
【0032】
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更等も含まれる。
たとえば、上記第1実施形態及び第2実施形態では、撮像面14で反射した干渉光L4を遮断するピンホール板9を備えなくてもよい。撮像面14で反射した干渉光が、撮像面14で測定される干渉光の光路に入らないように角度α1を調整すれば、干渉光L4の光路を逆行することを防げるからである。
ただし、ピンホール板9がある方が、反射された干渉光がノイズとなるのをより確実に防ぐことができるので好ましい。このとき、ピンホール板9に代えて、開口が形成されていない遮蔽板を第二の光軸上以外の位置に、撮像面14で反射された干渉光を遮断するように配置してもよい。
【0033】
また、周囲の環境に埃等が少ない場合やCCD15を短期間しか用いない場合には、カバーガラス17およびベース部材16は備えられなくてもよい。CCD15を埃等から保護する必要性が低いからである。
さらに、上記第1実施形態の干渉計1において、参照レンズ7に代えて、第一の光軸C1上に参照板22および参照球23を配置して、干渉計を透過波面型のフィゾー干渉計としてもよいし、上記第2実施形態の干渉計21において、参照板22および参照球23に代えて、第二の光軸C4上に参照レンズ7を配置して、干渉計を反射波面型のフィゾー干渉計としてもよい。
【0034】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、干渉計はフィゾー干渉計として説明したが、たとえば、トワイマングリーン型等、他の種類の干渉計として構成されてもかまわない。
【符号の説明】
【0035】
1、21 干渉計
2 レーザ光源(光源)
4 ビームスプリッタ
7a、22a 参照面
9 ピンホール板(遮蔽板)
9a 開口
10 結像レンズ
11 撮像手段
14 撮像面
15 CCD(撮像素子)
16 ベース部材(本体部)
16a 開口
17 カバーガラス
A1、A6 集光点
C1、C3 第一の光軸
C2、C4 第二の光軸
L1、L6 測定光(光束)
L2、L7 参照光(光束)
L3、L8 被検光(光束)
L4、L9 干渉光
N1、N2 法線
W1 被検面
W10 被検物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の光軸上に光束を出射する光源と、
前記第一の光軸上に配置された参照面と、
前記参照面で反射された前記光束と、前記第一の光軸上に配置された被検面で反射された前記光束、または前記第一の光軸上に配置された被検物を透過した後に反射されて再び前記被検物を透過した前記光束と、を干渉させた干渉光を、前記第一の光軸に交差する第二の光軸上に反射するビームスプリッタと、
前記第二の光軸上に配置され前記干渉光を撮像するとともに、自身の法線が前記第二の光軸に対して傾くように配置された撮像面を有する撮像手段と、
を備えることを特徴とする干渉計。
【請求項2】
第一の光軸上に光束を出射する光源と、
第二の光軸上に配置された参照面と、
前記光束を反射して前記参照面に導き、前記参照面で反射された前記光束と、前記第二の光軸上に配置された被検面で反射された前記光束、または前記第二の光軸上に配置された被検物を透過した後に反射されて再び前記被検物を透過した前記光束と、を干渉させた干渉光を、前記第二の光軸上に透過するビームスプリッタと、
前記第二の光軸上に配置されて前記ビームスプリッタを透過した前記干渉光を撮像するとともに、自身の法線が前記第二の光軸に対して傾くように配置された撮像面を有する撮像手段と、
を備えることを特徴とする干渉計。
【請求項3】
前記撮像手段は、
前記撮像面を有する撮像素子と、
前記撮像素子を収容し、前記撮像素子が撮像する前記干渉光が入射する側に開口が形成された本体部と、
板状に形成され前記本体部の前記開口を気密に覆うとともに、自身の前面が前記撮像面と略平行に配置されたカバーガラスと、
を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の干渉計。
【請求項4】
前記撮像面により反射された前記干渉光を遮断する遮蔽板をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の干渉計。
【請求項5】
前記干渉光を所定の集光点に集光させる集光レンズと、
集光した前記干渉光を前記撮像面に入射する前に平行光にする結像レンズと、
をさらに備え、
前記遮蔽板には開口が形成され、前記集光点が前記開口内に位置するよう配置されていることを特徴とする請求項4に記載の干渉計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−112607(P2011−112607A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271619(P2009−271619)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】