説明

建物の窓管理システム

【課題】高い防犯性を実現できる窓管理システムを提供する。
【解決手段】建物10の窓部22にはサッシ戸25とシャッタ装置27とが設けられている。サッシ戸25には窓施錠装置26が設けられており、窓施錠装置26は施解錠の状態を検出する機能を有している。シャッタ装置27は昇降可能なシャッタカーテンと、そのシャッタカーテンの昇降状態を検出するカーテン昇降センサと、シャッタカーテンの昇降異常を検出する昇降異常センサとを有している。建物10の玄関15には、窓施錠装置26の検出結果とカーテン昇降センサの検出結果とを一括して表示する玄関モニタ装置29が設けられている。シャッタカーテンは、カーテン昇降センサによりシャッタカーテンの閉鎖動作の異常が検出された場合に非常停止され、シャッタカーテンの閉鎖動作を非常停止させたことが玄関モニタ装置により報知される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の窓管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、建物において窓部に設けられた窓シャッタが防犯目的で使用されている。例えば、住人が外出する際に留守中の防犯を図るべく窓シャッタが閉鎖される。また、窓シャッタとしては電動式のものが実用化されており、操作スイッチ装置に設けられたシャッタ開閉用のボタンが押し操作されることで、シャッタカーテンの閉鎖動作及び開放動作が行われるようになっている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−62548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば住人が外出する場合、その住人は窓シャッタを閉鎖状態にすべく閉鎖ボタンを押し操作してその後外出すると想定される。ここで、窓シャッタの閉鎖動作時には、シャッタカーテンの動作開始から終了までに所定の動作所要時間を要するため、実際に窓シャッタが閉鎖状態になったかどうかを確認せずに住人が外出することがあると考えられる。すなわち、住人は閉鎖ボタンを押し操作したことで当然窓シャッタが閉鎖したものとみなし、閉鎖完了を見届けずに外出する。
【0005】
かかる場合において、窓シャッタは、シャッタレール部にゴミや石があったり駆動系の異常があったりすると正常に閉鎖動作できず、結果として、窓シャッタが完全に閉じないまま住人が外出してしまうことがある。
【0006】
本発明は、高い防犯性を実現できる窓管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の発明の建物の窓管理システムは、建物の窓部に設けられ、該窓部の開閉を行うとともに窓施錠装置により施錠されるサッシ戸と、前記窓部において前記サッシ戸の屋外側に設けられ開閉動作する電動式のシャッタ装置と、前記窓施錠装置による前記サッシ戸の施錠状態を検出するサッシ検出手段と、前記シャッタ装置の動作状態を検出するシャッタ検出手段と、前記サッシ検出手段及び前記シャッタ検出手段の各検出結果を表示装置に表示させる表示制御手段と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
第1の発明によれば、シャッタ装置の動作状態及びサッシ戸の施錠状態のそれぞれの検出結果が表示装置により表示されるため、人は表示装置を見ることでシャッタ装置の実際の動作状態及びサッシ戸の実際の施錠状態をまとめて知ることができる。したがって、人はシャッタ装置の動作の様子や窓施錠装置の状態を見に行かなくても、シャッタ装置が正常に動作していることやサッシ戸が施錠状態にあることなどを表示装置にて確認することにより、窓部における防犯性能の低下を抑制できる。また、電動式のシャッタ装置は動作開始から所望の状態に移行するまでにある程度の動作所要時間が必要である。これに対して、本発明によれば、シャッタ装置の動作状態の検出結果が表示装置に表示されるため、人は動作中のシャッタ装置が動作完了するのをシャッタ装置の周辺で待っていなくてもシャッタ装置が所望の状態に移行したことを確認できる。
【0009】
以上の結果、シャッタ装置及びサッシ戸が設けられた窓部において高い防犯性を実現できる。
【0010】
第2の発明では、人が前記建物から外出することを検出する外出検出手段を備え、前記表示制御手段は、前記外出検出手段により人が外出することが検出された場合に前記表示装置に前記各検出結果を表示させる。
【0011】
第2の発明によれば、人が外出しようとした場合にシャッタ装置の動作状態及びサッシ戸の施錠状態をその人に知らせることができる。これにより、外出時においてシャッタ装置の閉め忘れやサッシ戸の施錠忘れを防止できる。
【0012】
第3の発明では、前記表示装置は、前記建物の出入口を有する出入口ホールに設置されており、前記外出検出手段は、前記出入口ホールに人がいることを人が外出することとして検出する。
【0013】
第3の発明によれば、表示装置が出入口ホールに設置されているため、外出する人は出入口ホールに移動してから、すなわち外出の間際にシャッタ装置の動作状態及びサッシ戸の施錠状態を知ることができる。この場合、外出する際の窓部の戸締りチェックの確実性を高めることができる。
【0014】
第4の発明では、前記シャッタ装置の閉鎖動作の異常を閉鎖異常として検出する閉鎖異常検出手段を備え、前記表示制御手段は、前記外出検出手段により人が外出することが検出された場合に前記閉鎖異常検出手段の検出結果を前記表示装置に表示させる。
【0015】
第4の発明によれば、人がシャッタ装置の閉鎖動作に異常が生じたことを知らず外出してしまうことを回避できる。つまり、人がシャッタ装置による戸締りが正常になされていないことを知らずに外出してしまうことを回避できる。
【0016】
第5の発明では、前記閉鎖異常検出手段により前記シャッタ装置の閉鎖異常が検出された場合に前記シャッタ装置の閉鎖動作を非常停止させる手段を備え、前記表示制御手段は、前記外出検出手段により人が外出することが検出された場合に、前記シャッタ装置の閉鎖動作が非常停止されたことを前記表示装置に表示させる。
【0017】
第5の発明によれば、シャッタ装置の閉鎖動作に異常が生じた場合にその閉鎖動作が非常停止される構成において、人がシャッタ装置の非常停止を知らずに外出してしまうことを回避できる。したがって、シャッタ装置の動作に関する安全性を確保しつつ、窓部の防犯性能が低下することを抑制できる。
【0018】
第6の発明では、人により操作装置に対して閉鎖操作が行われた場合に前記シャッタ装置の閉鎖動作を開始させる手段と、前記シャッタ装置の閉鎖動作が開始されてからの経過時間が所定時間に達するまでは人が前記建物から外出することを制限する外出制限処理を行う外出制限手段と、を備えている。
【0019】
第6の発明によれば、シャッタ装置の閉鎖動作が開始されてからの経過時間が所定時間に達するまでは人の外出が制限される。この場合、シャッタ装置の動作完了には所要時間は必要であることを考慮することになり、シャッタ装置の動作完了を待たずに人が外出してしまうことを抑制できる。
【0020】
第7の発明では、前記建物の出入口に設けられた出入口ドアの施解錠を行うドア施錠装置を備え、前記外出制限手段は、前記外出制限処理として前記ドア施錠装置の解錠を制限する処理を行う。
【0021】
第7の発明によれば、第6の発明の外出制限処理として出入口ドアの解錠制限処理が行われる。これにより、シャッタ装置の動作完了を待たずに人が外出してしまうことをより確実に規制できる。
【0022】
第8の発明では、前記シャッタ装置は、複数のスラットを有し且つ各スラットが開閉可能であるシャッタカーテンと、前記スラットの開閉駆動を行うスラット駆動部とを有しており、前記スラットの開閉状態を検出するスラット検出手段が設けられており、前記表示制御手段は、前記サッシ検出手段及び前記シャッタ検出手段の各検出結果とともに前記スラット検出手段の検出結果を前記表示装置に表示させる。
【0023】
第8の発明によれば、人は表示装置を見ることでシャッタ装置の実際の動作状態及びサッシ戸の実際の施錠状態に加えて、スラットの実際の回動状態をまとめて知ることができる。したがって、人はシャッタカーテンのスラットの状態を見に行かなくても、スラットが閉状態にあることを確認できるため、窓部における防犯性能の低下をより確実に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態における建物の間取り図。
【図2】窓部周辺の構成を示す概略断面図。
【図3】シャッタ装置の正面図。
【図4】シャッタ制御処理の処理手順を示すフローチャート。
【図5】窓報知制御処理の処理手順を示すフローチャート。
【図6】窓部周辺の構成を示す概略断面図。
【図7】スラットの構成を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明を建物に設けられた窓部の状態を管理する窓管理システムとして具体化している。図1は建物10の間取り図である。
【0026】
図1に示すように、住宅等の建物10には、寝室11、書斎12、子供部屋13、居間14、玄関15といった複数の建物内空間が設けられている。玄関15において外壁16には玄関出入口17が形成されており、玄関出入口17には玄関ドア18が設けられている。玄関ドア18は玄関出入口17を開閉する開き戸となっており、外壁16に対して軸支されている。玄関出入口17には玄関ドア18を施錠する玄関施錠装置19が設けられている。玄関施錠装置19は玄関ドア18に取り付けられており、施錠状態及び解錠状態に移行することが可能となっている。
【0027】
寝室11、書斎12、子供部屋13、居間14のそれぞれにおいて外壁16には開口部としての窓部22が設けられている。各窓部22にはサッシ戸25がそれぞれ設けられている。サッシ戸25は引き違い式の開閉体となっており、水平方向にスライド移動することで窓部22を開閉する。窓部22にはサッシ戸25を施錠する窓施錠装置26が設けられている。窓施錠装置26はサッシ戸25に取り付けられており、施錠状態及び解錠状態に移行することが可能となっている。
【0028】
窓部22においてサッシ戸25の屋外側には電動式のシャッタ装置27が設けられている。シャッタ装置27は、窓部22の全体を屋外側から覆う閉状態と、窓部22の少なくとも一部を屋外側に露出させた開状態とに移行可能となっている。
【0029】
本実施形態の窓管理システムにおいては、各建物内空間における窓部22の状態を報知する表示装置としての玄関モニタ装置29が玄関15に設けられている。玄関モニタ装置29は、玄関15の内壁面に取り付けられており、報知音声を出力するスピーカと黄色や赤色に点灯する報知ランプと報知画面を表示する表示モニタとを含んで構成されている。玄関モニタ装置29においてはサッシ戸25の施錠状態とシャッタ装置27の動作状態とが報知ランプや表示モニタにより報知される。
【0030】
窓管理システムについて図2、図3を参照しつつ説明する。図2は窓部22周辺の構成を示す概略断面図、図3はシャッタ装置27の正面図である。なお、図2は窓管理システムに関する電気的な構成を示すブロック図を含む図となっている。
【0031】
図2に示すように、シャッタ装置27は、昇降するシャッタカーテン32と、シャッタカーテン32を収納するシャッタケース33とを有している。シャッタケース33は横長箱状に形成されており、窓部22の上方において外壁16の屋外面に取り付けられている。シャッタケース33の内部には、シャッタカーテン32を巻き取る巻取ドラム34が設けられている。巻取ドラム34は水平方向に延びる回転軸を中心として回転可能となっており、回転することでシャッタカーテン32の巻き取り及び繰り出しを行う。シャッタカーテン32は巻取ドラム34に巻き取られることでシャッタケース33に収納され、巻取ドラム34から繰り出されることでシャッタケース33から引き出される。
【0032】
図3に示すように、シャッタケース33の下方には左右一対のシャッタレール37が設けられている。シャッタレール37は上下方向に延びており、シャッタカーテン32はシャッタレール37に沿って上下方向に昇降する。シャッタレール37の下方には、シャッタカーテン32の下端と平行に延びているシャッタ受部38が設けられている。シャッタ受部38は板面を上下方向に向けた板部材となっており、その板面はシャッタケース33の下面と対向している。なお、シャッタレール37及びシャッタ受部38は外壁16から屋外側へ突出した状態となっている。
【0033】
シャッタカーテン32はスラット39を複数有するスラット式シャッタカーテンとなっている。スラット39は横長形状に形成されており、シャッタカーテン32において上下に並べられている。この場合、複数のスラット39はシャッタカーテン32の移動方向に沿って並んでおり、各スラット39が一体的に上下方向にスライド移動することによりシャッタカーテン32が昇降することになる。
【0034】
スラット39は、鉛直方向を基準とした傾斜角度が調整可能となっている。具体的には、シャッタ装置27には、各スラット39の傾斜角度を調整するための開閉ガイド機構41が設けられている。開閉ガイド機構41は、スラット39の端部に係合可能な係合リンク部42を有しており、係合リンク部42は全てのスラット39と係合可能になっている。開閉ガイド機構41は、係合リンク部42を各スラット39に対して係合及び解除させる機能と、係合リンク部42をスラット39と係合させた場合にその係合リンク部42を介してスラット39を回動させる機能とを有しており、スラット39を回動させることでスラット39の傾斜角度を調整する。開閉ガイド機構41は、スラット39ごとに個別に傾斜角度を調整することが可能となっている。なお、開閉ガイド機構41はシャッタレール37の内部に設けられている。
【0035】
スラット39は、その長手方向に延びる回動軸を中心として回動可能となっている。回動軸は係合リンク部42と係合する部分を含んで水平方向に延びている。隣り合うスラット39は、それぞれが鉛直方向に立った状態となることで端部同士が当接又は連結される。この場合、隣り合うスラット39間には通気可能な隙間が形成されておらず、スラット39は非通気状態となっている。これに対して、スラット39が鉛直方向に対して傾斜した場合、隣り合うスラット39間に通気可能な隙間が形成されており、スラット39は通気状態となっている。スラット39は、回動することでスラット39間の隙間を開閉することになる。
【0036】
図2の説明に戻り、シャッタ装置27には、巻取ドラム34を回転させる巻取駆動部45と、スラット39を回動させるスラット駆動部46とが設けられている。巻取駆動部45及びスラット駆動部46はそれぞれ電気モータを含んで構成されており、巻取駆動部45は駆動することでシャッタカーテン32を昇降させ、スラット駆動部46は駆動することで各スラット39の傾斜角度を個別に変えることが可能となっている。ここで、シャッタ装置27は、巻取駆動部45が駆動することによりシャッタカーテン32の昇降が行われるため、シャッタカーテン32が開状態又は閉状態に移行する際にはある程度の動作所要時間(例えば数秒〜数十秒程度)が必要になる。
【0037】
窓管理システムに関する電気的な構成について説明する。
【0038】
窓管理システムにおいて、制御手段としてのコントローラ51は、CPUや各種メモリ等からなるマイクロコンピュータを含んで構成されており、建物10において例えば玄関15の内壁面に取り付けられている。コントローラ51は記憶部52を有しており、記憶部52には、住人の行動予定を示すスケジュール情報や、サッシ戸25の開閉予定に関する情報、シャッタ装置27の動作予定に関する情報などが記憶されている。
【0039】
コントローラ51には、シャッタカーテン32の実際の昇降状態を検出するカーテン昇降センサ55と、スラット39の実際の回動状態を検出するスラット回動センサ56と、シャッタカーテン32の昇降異常を検出する昇降異常センサ57と、スラット39の回動異常を検出する回動異常センサ58と、シャッタカーテン32の下端面に加えられた荷重を検出するカーテン下端センサ59と、シャッタ受部38の上面に加えられた荷重を検出するシャッタ受部センサ60とが接続されており、これらセンサ55〜60はコントローラ51に対して検出信号を出力する。これらセンサ55〜60は、建物10において複数のシャッタ装置27のそれぞれに設けられている。なお、昇降異常センサ57がシャッタ検出手段に相当し、回動異常センサ58がスラット検出手段に相当する。
【0040】
カーテン昇降センサ55は、シャッタ装置27の巻取ドラム34に設けられており、巻取ドラム34の回転角度を検出する回転角度センサとなっている。コントローラ51は、カーテン昇降センサ55により検出された巻取ドラム34の回転角度に基づいてシャッタケース33からのシャッタカーテン32の繰り出し量を算出する。具体的に説明すると、記憶部52には、シャッタケース33にシャッタカーテン32が開状態から閉状態になるまでに要する巻取ドラム34の回転角度があらかじめ記憶されており、コントローラ51は、その回転角度と検出された実際の巻取ドラム34の回転角度とを比較し、その比率に基づいてシャッタカーテン32の繰り出し量を算出する。なお、コントローラ51は比率が1:1である場合にシャッタカーテン32が実際に閉状態にあると判定する。
【0041】
スラット回動センサ56は、各スラット39に設けられており、シャッタケース33又はシャッタレール37に対するスラット39の相対的な位置を検出するエンコーダとなっている。なお、シャッタケース33又はシャッタレール37にはスラット回動センサ56と一対になるエンコーダが設けられている。コントローラ51は、スラット回動センサ56により検出された実際のスラット39の位置を閉状態にある場合のスラット39の位置と比較し、それら位置が同じであればスラット39が実際に閉状態にあると判定する。
【0042】
昇降異常センサ57は、シャッタ装置27の巻取駆動部45に設けられている。昇降異常センサ57は、巻取駆動部45に内蔵された基板ECUに過電流が流れたことを検出するセンサとなっている。なお、巻取駆動部45の基板ECUにて過電流が生じた場合、シャッタカーテン32の昇降が電力ケーブルや箱等の障害物により妨げられて巻取駆動部45の電気モータの回転数が無理に低下させられた状態となっていることが想定される。
【0043】
回動異常センサ58は、シャッタ装置27のスラット駆動部46に設けられている。回動異常センサ58は、スラット駆動部46に内蔵された基板ECUに過電流が流れたことを検出するセンサとなっている。なお、スラット駆動部46の基板ECUにて過電流が生じた場合、スラット39の回動が障害物等により妨げられてスラット駆動部46の電気モータの回転数が無理に低下させられた状態となっていることが想定される。
【0044】
カーテン下端センサ59は、複数のスラット39のうちシャッタカーテン32の下端面を形成するスラット39に設けられている。カーテン下端センサ59は、シャッタカーテン32の下端面への荷重を検出することによりその下端面に障害物等が接触したことを検出する。シャッタ受部センサ60は、窓部22においてシャッタ受部38に設けられている。シャッタ受部センサ60は、シャッタ受部38の上面への荷重を検出することによりその上面に障害物等が接触したことを検出する。したがって、降下動作中のシャッタカーテン32とシャッタ受部38との間に障害物が挟まれた場合、カーテン下端センサ59及びシャッタ受部センサ60の両センサにより障害物との接触が荷重として検出される。
【0045】
なお、昇降異常センサ57、カーテン下端センサ59、シャッタ受部センサ60が異常検出手段を構成している。
【0046】
コントローラ51には、玄関施錠装置19と、窓施錠装置26と、人により入力操作が行われるシャッタ操作装置65と、有線又は無線通信が可能な通信装置66とが接続されている。玄関施錠装置19及び窓施錠装置26は、玄関ドア18及びサッシ戸25の施解錠の状態を検出するセンサをそれぞれ有しており、それらセンサの検出信号を施錠装置19,26の状態を示す信号としてコントローラ51に対して出力する。この場合、窓施錠装置26は、サッシ戸25の施錠状態を検出するサッシ検出手段を有していることになる。また、コントローラ51は指令信号を出力することにより、玄関施錠装置19の動作制御を行う。
【0047】
シャッタ操作装置65は、1つのシャッタ装置27と対になるように、建物内空間において窓部22周辺の人が操作可能な位置にシャッタ装置27ごとに設けられている。シャッタ操作装置65は、入力操作に伴う入力信号をコントローラ51に対して出力し、コントローラ51はその入力信号に合わせてシャッタカーテン32を昇降させたりスラット39を回動させたりする。したがって、人はシャッタ操作装置65を操作することによりシャッタカーテン32やスラット39を開閉させることができる。特に、シャッタ操作装置65に対してカーテン閉鎖操作が行われた場合、シャッタ操作装置65からカーテン閉鎖信号がコントローラ51に対して出力され、コントローラ51は巻取駆動部45を動作させてシャッタカーテン32の閉鎖動作を開始させる。
【0048】
通信装置66は人が携帯する携帯機Kとの無線通信が可能となっている。通信装置66は、スマートキー等の携帯機Kから携帯者の識別情報が出力された場合にその識別情報を受信する。コントローラ51は、受信した識別情報とあらかじめ記憶部に記憶されている識別情報とを照合して携帯者の認証処理を行い、それら識別情報が一致した場合に携帯者が登録者であると判定する。通信装置66は玄関15を対象エリアとして定期的にリクエスト信号を出力しており、携帯者が玄関15に進入することで携帯機Kがリクエスト信号を受信した場合に携帯機Kから識別信号が出力される。したがって、コントローラ51は、携帯者が玄関に進入した場合にその携帯者を対象として認証処理を行う。
【0049】
窓管理システムにおいてコントローラ51は、シャッタ装置27の動作制御を行うシャッタ制御処理と、窓部22の状態を報知する窓報知制御処理とを行う。ここでは、シャッタ制御処理の処理手順について図4のフローチャートを参照しつつ説明し、窓報知制御処理の処理手順について図5のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、コントローラ51は、シャッタ制御処理及び窓報知制御処理をそれぞれ所定周期で繰り返し実行する。
【0050】
まず、シャッタ制御処理の処理手順について説明する。
【0051】
図4においてステップS101では、カーテン昇降センサ55の検出信号に基づいてシャッタカーテン32が閉鎖動作中であるか否かを判定する。ここでは、都度のシャッタカーテン32の繰り出し量を算出するとともに記憶部52に記憶し、その算出値が前回処理の算出値より小さい場合にシャッタカーテン32が閉鎖動作中であるとして、ステップS102に進む。
【0052】
ステップS102では、閉鎖動作中のシャッタカーテン32に異常が発生したか否かを判定する。ここでは、シャッタカーテン32が閉状態に移行完了していないことを条件として、昇降異常センサ57の検出信号に基づいて巻取駆動部45が過負荷となったか否かを判定し、過負荷となった場合にシャッタカーテン32の閉鎖動作に異常が生じたとして、ステップS103に進む。
【0053】
ステップS103では、シャッタカーテン32の非常停止処理を行う。非常停止処理では、シャッタ装置27の巻取駆動部45に非常停止信号を出力し、シャッタカーテン32を停止させる。これにより、シャッタカーテン32が障害物を挟んだ状態であるにもかかわらず巻取駆動部45を駆動させ続けるといった不都合が回避される。また、非常停止処理とともに、シャッタカーテン32を非常停止させた非常停止時間の長さを非常停止タイマにより計測する処理を行う。
【0054】
シャッタカーテン32が閉鎖動作中でない場合、ステップS104に進み、シャッタ操作装置65に対してカーテン閉鎖操作が行われたか否かを判定する。ここでは、シャッタ操作装置65からカーテン閉鎖信号を受信したか否かを判定し、カーテン閉鎖信号を受信した場合、カーテン閉鎖操作が行われたとしてステップS105に進む。ステップS105では、巻取駆動部45を動作させてシャッタカーテン32の閉鎖動作を開始させる。ステップS106では、シャッタカーテン32が閉鎖動作を開始してからの経過時間を閉鎖動作経過時間txとして計測する。
【0055】
なお、閉鎖動作経過時間txをカーテン閉鎖操作が行われてからの経過時間としてもよい。また、ステップS105においてシャッタカーテン32の閉鎖動作が開始された後は、閉鎖動作経過時間txの計測が継続して行われる。
【0056】
シャッタ操作装置65に対してカーテン閉鎖操作が行われていない場合、ステップS107に進み、シャッタカーテン32を非常停止させた状態にあるか否かを判定する。ここでは、巻取駆動部45に対して出力した最新の信号が非常停止信号であるか否かを判定し、最新の信号が非常停止信号である場合、シャッタカーテン32が非常停止された状態にあるとしてステップS108に進む。
【0057】
ステップS108では、シャッタカーテン32の閉鎖異常が障害物を挟んだことによる異常であるか否かを判定する。ここでは、カーテン下端センサ59及びシャッタ受部38の各検出信号に基づいてシャッタカーテン32の下端面及びシャッタ受部38の上面のそれぞれに荷重が加えられているか否かを判定し、それぞれに加重が加えられている場合、閉鎖異常は障害物挟み異常であるとして、ステップS109に進む。
【0058】
ステップS109では、障害物が撤去されたか否かを判定する。ここでは、シャッタカーテン32の非常停止時間が所定時間(例えば1分)に達したか否かを判定する。そして、非常停止時間が所定時間に達した場合に、シャッタカーテン32の下端面及びシャッタ受部38の上面のそれぞれに加重が加えられているか否かの判定を再び行い、それぞれに加重が加えられていれば障害物が撤去されていないとしてステップS110に進む。なお、非常停止時間が所定時間に達していない場合、非常停止時間の計測を継続して行うとして、そのまま本シャッタ制御処理を終了する。
【0059】
ステップS110では、シャッタカーテン32の暫定停止処理を行う。ここでは、非常停止させたシャッタカーテン32の下端部の位置を非常停止位置とし、シャッタカーテン32の下端部が非常停止位置より少しだけ高い位置を暫定停止位置として算出する。そして、非常停止させたシャッタカーテン32を上昇させて一旦開状態に移行させ、再びシャッタカーテン32を降下させてそのシャッタカーテン32の下端部が暫定停止位置となるようにシャッタカーテン32の閉鎖動作を停止させる。この結果、シャッタカーテン32の下端部が継続して障害物に接触することでシャッタカーテン32が変形するなどといった不都合を回避しつつ、シャッタカーテン32の開放量を極力小さくできる。
【0060】
なお、暫定停止処理では、非常停止させてシャッタカーテン32を上昇させ、全開状態にて停止させてもよい。この場合でも、シャッタカーテン32と障害物との継続的な接触を回避できる。
【0061】
障害物が撤去された場合(ステップS109がNO判定の場合)、ステップS111に進み、シャッタカーテン32の閉鎖処理を行う。この場合、障害物挟み異常によりシャッタカーテン32が一旦は非常停止されても、その後に障害物が取り除かれれば人がシャッタ操作装置65を操作しなくてもシャッタカーテン32が閉状態とされる。
【0062】
なお、コントローラ51はシャッタカーテン32の昇降制御に加えてスラット39の回動制御を行う。例えば、コントローラ51は、回動異常センサ58によりスラット39の回動異常が検出された場合、回動停止信号を出力し、スラット39の回動を非常停止させる。これにより、スラット39に回動異常が生じているにもかかわらずスラット駆動部46を駆動させ続けるといった不都合を回避できる。
【0063】
次に、窓報知制御処理の処理手順について説明する。
【0064】
図5において、ステップS201では、シャッタカーテン32の繰り出し量(シャッタ制御処理のステップS101の算出結果)に基づいてシャッタカーテン32の開閉状態を取得する。ここでは、シャッタカーテン32の開閉状態を閉状態、開状態、昇降動作中、非常停止状態、暫定停止状態のいずれかに該当させて取得する。なお、シャッタカーテン32の少なくとも一部が巻き取られた状態は開状態に相当する。
【0065】
ステップS202では、スラット回動センサ56の検出信号に基づいてスラット39の開閉状態を取得する。ここでは、スラット39の開閉状態を通気状態、非通気状態、回動動作中、非常停止状態のいずれかに該当させて取得する。ステップS203では、窓施錠装置26の検出信号に基づいてサッシ戸25の施錠状態を取得する。ステップS204では、通常報知処理を実行する。通常報知処理では、シャッタカーテン32の開閉状態、スラット39の開閉状態、窓部22におけるサッシ戸25の施錠状態を玄関モニタ装置29にて報知ランプや表示モニタにより一括して報知させる。
【0066】
玄関モニタ装置29において報知ランプは、シャッタカーテン32について閉状態、開状態、昇降動作中、非常停止状態、暫定停止状態のそれぞれについて個別に設けられており、通常報知処理では該当する状態の表示ランプを点灯させる。なお、開状態、閉状態、昇降動作中の各表示ランプは黄色にて点灯させ、非常停止状態、暫定停止状態の表示ランプは赤色にて点灯させる。また、報知ランプは、スラット39について閉状態、開状態、非常停止状態のそれぞれについて個別に設けられ、サッシ戸25について施錠状態、解錠状態のそれぞれについて個別に設けられている。
【0067】
ステップS205では、人が外出するか否かを判定する。ここでは、携帯機Kの携帯者が玄関15に移動したことに伴う認証処理が行われたか否かを判定するとともに、玄関施錠装置19により玄関ドア18の解錠が検出されたか否かを判定し、認証処理が行われ且つ玄関ドア18が解錠された場合に、人が外出する際の予備動作が行われたとしてステップS206に進む。なお、窓施錠装置26によりサッシ戸25の施錠が検出され、且つ玄関施錠装置19により玄関ドア18の解錠が検出された場合に、外出の予備動作が行われたと判定してもよい。
【0068】
ステップS206では、閉鎖動作経過時間txが閉鎖所要時間Tに達したか否かを判定する。ここで、閉鎖所要時間Tは、全開状態にあるシャッタカーテン32が閉状態に移行するまでに要する時間と同じ値に定められており、閉鎖動作経過時間txが閉鎖所要時間Tに達していない場合(tx<Tの場合)、シャッタカーテン32が閉状態に移行していないとして、ステップS207に進む。
【0069】
ステップS207では、玄関ドア18の解錠禁止処理を行う。解錠禁止処理では、玄関施錠装置19に対して解錠禁止信号を出力し、屋内側からの操作では玄関施錠装置19を解錠状態に移行させることができないようにする。この場合、シャッタカーテン32が閉鎖動作中である時は玄関出入口17からの人の外出が規制されるため、シャッタカーテン32の閉鎖動作に異常が発生した時には既に人が玄関出入口17から屋外へ出てしまっているということが回避される。
【0070】
閉鎖動作経過時間txが閉鎖所要時間Tに達した場合(tx≧Tの場合)、ステップS208に進み、玄関ドア18の解錠許可処理を行う。解錠許可処理では、玄関施錠装置19に対して解錠許可信号を出力し、屋内側からの操作により玄関施錠装置19が解錠状態に移行されるようにする。このため、シャッタカーテン32の閉鎖動作が正常に完了したことを条件として、人は玄関出入口17から外出することができる。
【0071】
ステップS209では、シャッタカーテン32が異常状態にあるか否かを判定する。ここでは、シャッタカーテン32が非常停止状態及び暫定停止状態のいずれかの状態にあるか否かを判定し、いずれかの状態にある場合にシャッタカーテン32が異常状態にあるとして、ステップS210に進む。
【0072】
ステップS210では、外出時異常報知処理を実行する。外出時異常報知処理では、シャッタカーテン32が非常停止状態又は暫定停止状態にあることを、その旨を知らせる音声等により玄関モニタ装置29から報知させる。これにより、玄関15を通って外出するは、建物内空間に戻って窓部22周辺を視認しなくてもシャッタ装置27が閉状態になっていないことを知ることができる。なお、外出時異常報知処理では、玄関モニタ装置29にて表示モニタや報知ランプによる報知が行われてもよい。
【0073】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0074】
シャッタ装置27の動作状態とサッシ戸25の施錠状態とが玄関モニタ装置29の報知ランプや表示モニタにより一括して表示されるため、人は玄関モニタ装置29を見ることでシャッタ装置27の実際の動作状態とサッシ戸25の実際の施錠状態をまとめて知ることができる。したがって、人はシャッタ装置27やサッシ戸25を見るために書斎12等に行かなくても、シャッタ装置27が動作していることやサッシ戸25が施錠状態にあることなどを玄関モニタ装置29にて確認することができ、ひいては、シャッタカーテン32の閉め忘れやサッシ戸25の施錠忘れを防止できる。
【0075】
玄関モニタ装置29は玄関15に設けられているため、人はシャッタ装置27の動作開始から動作完了までシャッタ装置27の周辺にて待っている必要がない。例えば、人が外出する前に書斎12のシャッタ操作装置65にてカーテン閉鎖操作を行った場合、シャッタカーテン32が閉状態に移行するまでにある程度の動作所要時間が必要であるが、人は外出時刻等を気にしながら書斎12で待っていなくても、玄関15に移動して玄関モニタ装置29を見ることにより戸締りチェックの一環としてシャッタ装置27の動作完了を知ることができる。したがって、外出時においてシャッタカーテン32の閉め忘れや、シャッタカーテン32が正常に閉まらなかったことを知らずに外出してしまうことを防止できる。
【0076】
以上の結果、シャッタ装置27及びサッシ戸25が設けられた窓部22において高い防犯性を実現できる。
【0077】
コントローラ51は玄関モニタ装置29を対象とした制御処理として、人が外出しない場合に通常報知処理を行い、人が外出する場合に外出時異常報知処理を行う。ここで、外出時異常報知処理はシャッタカーテン32が非常停止状態又は暫定停止状態にあることを報知する処理であるため、人は玄関15に居ながらにしてシャッタカーテン32の動作に異常があったことを知ることができる。したがって、シャッタカーテン32が閉状態になっていないにもかかわらず人が外出してしまうという不都合を回避できる。また、この場合、人はシャッタカーテン32の動作に異常がなければ書斎12等に戻る必要がなく、異常があった場合だけ書斎12等に戻ってシャッタ装置27に対して異常解消作業を行えばよい。
【0078】
シャッタカーテン32の閉鎖動作中においては、シャッタカーテン32の下端部とシャッタ受部38との間に障害物が挟まれた場合、シャッタカーテン32の閉鎖動作が非常停止される。このため、シャッタカーテン32を昇降させるための巻取駆動部45が過負荷となることを回避できる。さらに、障害物の挟み込みが所定時間以上継続された場合、シャッタカーテン32はその下端部が障害物に接触しない暫定停止位置にて停止するように動作制御される。このため、シャッタカーテン32が障害物に継続的に接触することにより変形するといった不都合を回避できる。
【0079】
シャッタ操作装置65に対してカーテン閉鎖操作が行われてからの閉鎖動作経過時間txが閉鎖所要時間Tに達していない場合、玄関ドア18の解錠が禁止されるため、シャッタカーテン32が正常に閉状態に移行するまでは人が玄関出入口17から外出できないようになっている。したがって、シャッタカーテン32の閉鎖動作に異常が発生してシャッタカーテン32が開いた状態で停止した場合、その旨を人が外出する前にその人に確実に知らせることができる。この結果、例えばシャッタカーテン32が開いたままの状態で放置されることを抑制できる。つまり、窓部22の防犯性能が低下したままの状態で放置されることを抑制できる。
【0080】
玄関モニタ装置29は、シャッタカーテン32の開閉状態に加えて、スラット39の開閉状態及びサッシ戸25の施錠状態を報知することが可能となっている。このため、住人の外出に際して、スラット39の閉め忘れやサッシ戸25の施錠忘れを防止することができる。
【0081】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、シャッタ装置27の動作状態が報知されることで防犯性能を確保する構成としたが、これに加えて第2実施形態では、屋外において窓部22周辺に人がいる場合に警戒処理を行うことで防犯性能を高める構成とする。図6は窓部22周辺の構成を示す概略断面図である。
【0082】
図6に示すように、シャッタケース33には、屋外において窓部22周辺にいる人を検知する人感センサ71と、人感センサ71を保護するセンサ保護装置72と、警戒用の光を発生させる発光装置73と、警戒用の音声を出力するスピーカ装置74とが設けられている。
【0083】
人感センサ71はシャッタケース33の下面に取り付けられており、人の熱を検知する熱センサとなっている。このため、人感センサ71は、風により揺れる植栽や飛来物などを人として検知しにくくなっている。また、人感センサ71の検知範囲はグランドレベルで半径2mの円の内側となっている。なお、シャッタケース33はその下面がグランドレベルに立っている人では手の届きにくい高さ(例えば2.3m)となる位置に取り付けられている。この場合、人感センサ71にはグランドレベルに立っている人では手が届きにくくなっている。
【0084】
センサ保護装置72は、人感センサ71を下方から覆うようにしてシャッタケース33の下面に取り付けられている。センサ保護装置72は、人感センサ71を屋外側から視認できないようにする保護カバーを有しており、その保護カバーは保護状態と非保護状態とに移行可能になっている。センサ保護装置72は駆動部を有しており、その駆動部が駆動することにより保護カバーの状態移行が行われる。センサ保護装置72の保護カバーは非透明性の材料により形成されている。この場合、人感センサ71はセンサ保護装置72が非保護状態にある場合に人検知が可能となり、センサ保護装置72が保護状態にある場合は人検知が不可となる。
【0085】
なお、人感センサ71はシャッタケース33内に設けられていてもよい。この場合、センサ保護装置72の状態に関係なく人感センサ71に風雨が当たることが抑制されるため、人感センサ71が汚れることを防止できる。さらに、人感センサ71をシャッタケース33内において屋外側から視認しにくい位置に設置することにより、人感センサ71が屋外側から不審者に見つけられることを抑制できる。
【0086】
発光装置73及びスピーカ装置74はシャッタケース33内に設けられている。シャッタケース33において発光装置73の周辺であってその発光装置73の屋外側の部分は透明性を有しており、発光装置73が発光した場合にその光が屋外側から視認されるようになっている。
【0087】
なお、人感センサ71と発光装置73とはセンサーライトとして一体的に設けられていてもよい。ただし、この場合、センサ保護装置72の保護カバーは透明性を有していることが好ましい。
【0088】
人感センサ71、センサ保護装置72、発光装置73、スピーカ装置74はそれぞれコントローラ51と電気的に接続されている。人感センサ71は検出信号をコントローラ51に対して出力する。コントローラ51は指令信号を出力し、センサ保護装置72、発光装置73、スピーカ装置74の動作制御を行う。
【0089】
コントローラ51は、人感センサ71により屋外の窓部22周辺にて人が検知された場合、その人を対象として認証処理を行う。検知された人が非登録者である場合や、携帯機Kを有していない人である場合、その人を不審者であるとして、警戒処理を行う。警戒処理では、巻取駆動部45にシャッタカーテン32を閉状態に移行させる処理、スラット駆動部46にスラット39を閉状態に移行させる処理、発光装置73から警戒光を発生させる処理、スピーカ装置74から警戒音声を出力させる処理を行う。なお、電動式のシャッタ装置27において、スラット39はシャッタカーテン32に比べて閉状態になるまでの動作所要時間が短いため、不審者に対する警戒処理として有効である。
【0090】
また、コントローラ51は、警戒処理としてセンサ保護装置72を保護状態に移行させる処理を行う。この処理により、不審者が人感センサ71を検知不能な状態にすることや人感センサ71にいたずらすることなどに対して抑止力を発揮できる。ここでは、センサ保護装置72が保護状態にある継続時間を計測し、その継続時間が所定時間(例えば数秒)に達した場合にセンサ保護装置72を非保護状態に移行させ、再び人感センサ71により不審者が検知されればセンサ保護装置72を保護状態に移行させる。これにより、人感センサ71の保護を図りつつ不審者の検知を行うことができる。
【0091】
コントローラ51は、警戒処理の実行後、人感センサ71により人が検知されない時間が所定時間(例えば5分)に達した場合、警戒解除処理を行う。警戒解除処理では、シャッタカーテン32及びスラット39を警戒処理実行前の開閉状態に戻し、発光装置73及びスピーカ装置74の駆動を停止させる。
【0092】
なお、警戒処理の実行後、人が検知されない期間が所定期間に達しても、警戒解除処理を行わなくてもよい。また、警戒処理の実行後、人の検知継続時間が所定時間(例えば5分)に達した場合、追加処理として、スピーカ装置74から別の内容の音声を出力させる処理や、出力音声の音量を大きくする処理を行ってもよい。
【0093】
本実施形態では、シャッタ装置27の構造に関して防犯性能が高められている。まず、シャッタカーテン32の防犯構造について図7を参照しつつ説明する。図7はスラット39の構成を示す概略断面図であり、(a)に通気状態にある場合の図を示し、(b)に非通気状態にある場合の図を示す。
【0094】
図7に示すように、シャッタカーテン32のスラット39は隣のスラット39と係合する構成となっている。具体的には、スラット39の下端部には斜め下方に延びるテール部79が設けられており、テール部79の先端に係合部81が設けられている。スラット39の上部には隣のスラット39の係合部81が係合可能な被係合部82が設けられている。
【0095】
図7(b)に示すように、シャッタカーテン32において各スラット39が閉状態にある場合、上下に隣り合うスラット39のうち上のスラット39の係合部81が下のスラット39の被係合部82に係合されている。この場合、例えば不審者によりスラット39に上下方向に向かう外力が加えられても、係合部81と被係合部82との係合が解除されない限りはスラット39が上下に移動しにくくなっている。したがって、スラット39間に隙間を強引に作り出すことが困難になっており、防犯性能が高められている。
【0096】
これに対して、図7(a)に示すように、シャッタカーテン32において各スラット39が開状態にある場合、隣り合うスラット39について係合部81と被係合部82との係合が解除され、スラット39の間に隙間が形成されている。
【0097】
次に、シャッタケース33の防犯構造について簡単に説明する。シャッタケース33は外壁16の屋外側面に取り付けられており、シャッタケース33と外壁16とが当接する部分に固定用のビスが屋内側から螺着されている。この場合、ビスを屋外側から外すことが困難になっているため、不審者がシャッタケース33を外して窓部22から屋内へ侵入することに対して抑止力を発揮できる。なお、建物10がユニット式建物である場合、工場において建物ユニットの壁部にシャッタケース33を取り付け固定しておき、その状態で建築現場に搬送することが好ましい。これにより、シャッタケース33を固定するためのビスを屋内側から螺着することが容易となる。
【0098】
また、シャッタ装置27においては、巻取駆動部45、スラット駆動部46、人感センサ71、センサ保護装置72、発光装置73、スピーカ装置74などに接続されている電気配線が屋外側に露出しないように配設されている。これにより、不審者により電気配線が切断されてシャッタカーテン32が強引に開けられるということを回避できる。
【0099】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0100】
屋外において窓部22の周辺に不審者がいることを条件として、シャッタカーテン32やスラット39の閉鎖処理などの警戒処理が行われるため、例えば住人の外出中にはシャッタカーテン32やスラット39を常に閉状態にしておかなくても、不審者が窓部22から侵入することに対して抑止力を発揮できる。したがって、建物10に住人が不在であっても建物内空間への日射を確保しつつ、防犯性能を確保することができる。
【0101】
人感センサ71がセンサ保護装置72により適宜保護されているため、人感センサ71の検知能力が不審者により無効化されてしまうことを回避できる。したがって、不審者が検知された場合に警戒処理を行うことで防犯性能を高める構成において、防犯性能の低下を回避できる。なお、住人が建物10内にいる場合にセンサ保護装置72を保護状態にしておくことにより、人感センサ71に風雨等による汚れが付着することを抑制できる。したがって、人感センサ71に汚れが付着することにより人感センサ71の検知精度が低下することを抑制できる。
【0102】
(他の実施形態)
本発明は上記各実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0103】
(1)上記第1実施形態において、人が外出しようとした場合に通常報知処理が実行されてもよい。例えば、人の外出予備動作が検出された場合に、シャッタカーテン32が昇降動作中であればその旨が報知される構成とする。この構成によれば、シャッタカーテン32が閉鎖動作中であって住人が書斎12から玄関15に移動した場合に、住人は書斎12等に戻ってシャッタ装置27を視認しなくても、シャッタカーテン32が閉状態になったことを玄関モニタ装置29で玄関15に居ながらにして確認することができる。
【0104】
(2)上記第1実施形態において、住人の外出予定に合わせて通常報知処理や外出時異常報知処理が実行されてもよい。例えば、住人の外出予定を含むスケジュール情報が記憶されており、コントローラ51がそのスケジュール情報に基づいて外出時異常報知処理を行う構成とする。この構成によれば、住人が玄関15に行くより前や玄関ドア18を解錠させる前に、その住人にシャッタカーテン32が非常停止状態や暫定停止状態にあることを知らせることができる。
【0105】
(3)上記第1実施形態において、携帯機Kがコントローラ51からの信号を受信可能な携帯電話等であれば、外出時異常報知処理において異常報知を携帯機Kにより行わせてもよい。この場合、人が外出してからシャッタ装置27の動作異常が検出されても、その動作異常の検出を携帯機Kから携帯者に知らせることができる。
【0106】
(4)上記第1実施形態において、シャッタ装置27の閉鎖動作経過時間txが閉鎖所要時間Tに達するまで建物10からの人の外出が制限される構成としては、玄関ドア18の解錠を制限する構成の他に、玄関モニタ装置29により外出禁止の旨が報知される構成、コントローラ51により運転制御される車両の始動が制限される構成などが挙げられる。いずれの構成においても、シャッタ装置27の閉鎖動作が完了していない場合に、人の外出が制限されることになり、シャッタ装置27の閉鎖動作の異常がそのまま放置されるという不都合を回避できる。
【0107】
(5)上記第1実施形態において、玄関モニタ装置29等の表示装置は、玄関出入口17等の出入口を有する出入口ホールに設けられていればよい。例えば、勝手口を有する出入口ホールとしてのキッチンや、裏口を有する出入口ホールとしての廊下に設けられている構成とする。この場合、携帯機Kの携帯者がキッチンや廊下に移動したことを条件としてその携帯者の認証処理が行われることが好ましい。これにより、人がキッチンや廊下を通って勝手口や裏口から外出する場合に、キッチンや廊下において表示装置にてシャッタ装置27の動作状態及びサッシ戸25の施錠状態を一括して表示することができる。
【0108】
(6)上記第1実施形態において、人が建物から外出することを検出する外出検出手段として、玄関15に人がいることを検出する人検知手段が玄関15に設けられていてもよい。
【0109】
(7)上記第1実施形態では、シャッタカーテン32の閉鎖動作経過時間txの計測は、あらかじめ定められた動作予定に合わせてシャッタカーテン32の閉鎖動作が開始された場合に行われてもよい。例えば、人の行動予定を示すスケジュール情報が記憶部52に記憶されており、コントローラ51がそのスケジュール情報の外出予定時刻に合わせてシャッタカーテン32を閉鎖させ、閉鎖動作経過時間txが閉鎖所要時間Tに達していなければ玄関ドア18の解錠を許可しない構成とする。この構成によれば、シャッタ装置27が自動運転された場合でも、シャッタカーテン32の閉鎖動作が正常に完了する前に人が玄関出入口17から屋外に出ることを規制できる。
【0110】
(8)上記各実施形態において、シャッタカーテン32は水平方向にスライド移動することで開放状態及び閉鎖状態に移行する構成であってもよい。例えば、縦長形状のスラット39が水平方向に並べられている構成とする。
【0111】
(9)上記第1実施形態において、スラット回動センサ56は複数のスラット39の少なくとも1つのスラット39に設けられていればよい。この場合、全てのスラット39がまとめて開閉する構成とすることが好ましい。これは、1つのスラット39の開閉状態を検出することが他の全てのスラット39の開閉状態を検出することに相当するためである。
【符号の説明】
【0112】
10…建物、15…出入口ホールとしての玄関、17…出入口としての玄関出入口、18…出入口ドアとしての玄関ドア、19…ドア施錠装置としての玄関施錠装置、22…窓部、25…サッシ戸、26…窓施錠装置及びサッシ検出手段としての窓施錠装置、27…シャッタ装置、29…表示装置としての玄関モニタ装置、32…シャッタカーテン、39…スラット、46…スラット駆動部、51…表示制御手段及び外出制限手段としてのコントローラ、55…シャッタ検出手段としてのカーテン昇降センサ、56…スラット検出手段としてのスラット回動センサ、57…閉鎖異常検出手段を構成する昇降異常センサ、65…操作装置としてのシャッタ操作装置、シャッタ66…外出検出手段を構成する通信装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の窓部に設けられ、該窓部の開閉を行うとともに窓施錠装置により施錠されるサッシ戸と、
前記窓部において前記サッシ戸の屋外側に設けられ開閉動作する電動式のシャッタ装置と、
前記窓施錠装置による前記サッシ戸の施錠状態を検出するサッシ検出手段と、
前記シャッタ装置の動作状態を検出するシャッタ検出手段と、
前記サッシ検出手段及び前記シャッタ検出手段の各検出結果を表示装置に表示させる表示制御手段と、
を備えていることを特徴とする建物の窓管理システム。
【請求項2】
人が前記建物から外出することを検出する外出検出手段を備え、
前記表示制御手段は、前記外出検出手段により人が外出することが検出された場合に前記表示装置に前記各検出結果を表示させることを特徴とする請求項1に記載の建物の窓管理システム。
【請求項3】
前記表示装置は、前記建物の出入口を有する出入口ホールに設置されており、
前記外出検出手段は、前記出入口ホールに人がいることを人が外出することとして検出することを特徴とする請求項2に記載の建物の窓管理システム。
【請求項4】
前記シャッタ装置の閉鎖動作の異常を閉鎖異常として検出する閉鎖異常検出手段を備え、
前記表示制御手段は、前記外出検出手段により人が外出することが検出された場合に前記閉鎖異常検出手段の検出結果を前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項2又は3に記載の建物の窓管理システム。
【請求項5】
前記閉鎖異常検出手段により前記シャッタ装置の閉鎖異常が検出された場合に前記シャッタ装置の閉鎖動作を非常停止させる手段を備え、
前記表示制御手段は、前記外出検出手段により人が外出することが検出された場合に、前記シャッタ装置の閉鎖動作が非常停止されたことを前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項4に記載の建物の窓管理システム。
【請求項6】
人により操作装置に対して閉鎖操作が行われた場合に前記シャッタ装置の閉鎖動作を開始させる手段と、
前記シャッタ装置の閉鎖動作が開始されてからの経過時間が所定時間に達するまでは人が前記建物から外出することを制限する外出制限処理を行う外出制限手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の建物の窓管理システム。
【請求項7】
前記建物の出入口に設けられた出入口ドアの施解錠を行うドア施錠装置を備え、
前記外出制限手段は、前記外出制限処理として前記ドア施錠装置の解錠を制限する処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の建物の窓管理システム。
【請求項8】
前記シャッタ装置は、複数のスラットを有し且つ各スラットが開閉可能であるシャッタカーテンと、前記スラットの開閉駆動を行うスラット駆動部とを有しており、
前記スラットの開閉状態を検出するスラット検出手段が設けられており、
前記表示制御手段は、前記サッシ検出手段及び前記シャッタ検出手段の各検出結果とともに前記スラット検出手段の検出結果を前記表示装置に表示させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の建物の窓管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−236709(P2011−236709A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111490(P2010−111490)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】