説明

捲回型二次電池

【課題】電極活物質層の膨張収縮が容易な電極捲回体を組み込んだ二次電池を提供する。
【解決手段】帯状積層ユニット(3、4)の外周端が電極捲回体(10)に固定され、正極セパレータ(A、B)および負極セパレータ(A、B)は接しており、センターピン(7)の長軸方向にピン開口部(7D)が形成され、帯状積層ユニット(3、4)の内周端が、センターピン(7)のピン開口部(7D)を通って、センターピン(7)の内側で電極ピン(3A、3B)によって固定され、電極ピン(3A、3B)は、帯状積層ユニット(3、4)の内周端がセンターピン(7)から飛び出すことを防ぐ捲回型二次電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捲回型二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
充放電反応にリチウムイオンの吸蔵・放出を利用するリチウムイオン二次電池(以下、リチウムイオン電池)は、従来の鉛電池やニッケルカドミウム電池よりも大きなエネルギー密度が得られること、充放電反応に寄与するリチウムがほとんど金属リチウムとして電極に析出しないこと、充放電を繰り返した際の容量の再現性に優れており安定な充放電特性を得ることができること等の理由から、携帯電話やノートパソコンなどのポータブル電子機器用電源、災害時補助用電源、自動車や二輪車等の移動体用電源等様々な用途へ適用できる電池として大いに期待されている。
【0003】
リチウムイオン電池の正極・負極の活物質を含む電極活物質層(活物質層)は膨張収縮することが知られている。
【0004】
活物質層は、主に次の(1)から(3)の理由によって膨張収縮する。即ち、(1)活物質へのリチウムイオン挿入による膨張と、活物質からのリチウムイオン脱離による収縮、(2)活物質層に含まれるバインダの電解液保持による膨張と電解液放出による収縮、(3)温度変化による膨張収縮である。
【0005】
(1)は充放電のたびに繰り返し発生する。(1)による膨張収縮の大きさは、活物質層内の活物質含有量や空孔の状態や充電深度等で変化するが、我々の経験として、10+1[%]〜10+2[%]のオーダーである。例えば、負極活物質である黒鉛は膨張収縮によって直径が最大で約10[%]変化し、同じく負極活物質であるSn系合金は直径が最大で約400[%]変化する。
【0006】
(2)は実質的には電池製造時における電解液注液工程で一度だけ発生する。(2)による膨張収縮の大きさは、バインダの組成や、電極層内の空孔の状態等で変化するが、我々の経験として、10-1[%]〜100[%]のオーダーである。
【0007】
(3)は温度変動の度に繰り返し発生する。(3)による膨張収縮の大きさは、例えば、負極活物質である黒鉛の熱膨張係数は約5×10-6[1/K]であり、バインダであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)の熱膨張係数は約0.2×10-6[1/K]であり、電池使用環境の温度差が10+2[℃](−30[℃]〜60[℃])程度であることを考慮すると、10-3〜10-5のオーダーとなる。
【0008】
これらのオーダーは、活物質層の膨張収縮が、実質的には(1)と(2)に支配されていることを示唆している。
【0009】
ここで、活物質でのリチウムイオンの挿入・脱離による膨張収縮は電池反応によるものであること、バインダの電解液保持による膨張は、リチウムイオンが電導する電解液ネットワークの形成の一助となることを考慮すると、活物質層の膨張収縮を抑え込むことは、リチウムイオンの挿入・脱離や電導を制限することになり、電池の充放電特性の低下に繋がる可能性がある。そのため、如何にして活物質層の膨張収縮を容易にするかが重要な課題となる。特に、リチウムイオンの挿入・脱離による膨張収縮は、発生頻度も膨張収縮の変位量も大きいため、これを制限することは電池特性に与える影響が大きい。
【0010】
正極活物質層と負極活物質層とセパレータとは、電極捲回体の中では、両活物質層の間にセパレータを挟んで密着して層状体を形成している。この時、活物質層とセパレータとの結着性がよいため、一方の活物質層の膨張収縮の応力が、セパレータを経由してもう一方の活物質層へ伝わる。ここで、膨張収縮がリチウムイオンの挿入・脱離によるものであるため、充放電時の両活物質層の膨張収縮の方向は互いに逆である。例えば、正極活物質からリチウムイオンが脱離して、正極活物質層が収縮する時、負極活物質にはリチウムイオンが挿入され、負極活物質層は膨張する。そのため、活物質層の膨張収縮によって伝達する応力を考察すると、捲回体中心方向、即ち活物質層の厚さ方向の応力は、膨張収縮の応力の方向が一致するため応力の伝達は少ない。しかしながら、電極捲回体周方向の応力、即ち活物質層を塗布した電極シートの巻き方向への応力は、活物質層どうしで互いに逆方向への力として伝達する。この応力は活物質層が電極捲回体の周方向へ膨張収縮することを制限する力となる。
【0011】
そのため、活物質層の膨張収縮を容易にするためには、正極活物質層と負極活物質層との間で互いに作用する捲回体周方向の応力を取り除く方法が求められる。
【0012】
活物質層の膨張収縮の容易にする方法としては、これまで大きく二つの観点がある。活物質層全体の膨張収縮に着目する観点と、活物質層の中をある程度の大きさに分割して、その分割部に着目する観点である。
【0013】
前者の方法としては、例えば、特許文献1に、ゴム弾性部材を混ぜ込んで活物質層を形成し、活物質単体の膨張収縮をゴム弾性部材で吸収することで活物質層の膨張収縮を容易にする方法が提案されている。
後者の方法としては、例えば、特許文献2に、集電箔上に活物質層を島状に配置し、島と島の間の空間を利用して活物質層の膨張収縮を容易にする方法が提案されている。また、例えば、特許文献3に、活物質層の表面に、捲回方向と交差する方向に伸びる無数の溝を設け、溝と溝の間の空間を利用して活物質層の膨張収縮を容易にする方法が提案されている。
【0014】
特許文献4乃至6には、セパレータを二枚重ねて捲回して得られる電極捲回体および、その捲回体を用いる電池について記載されている。特許文献4乃至6は、セパレータを二枚重ねにすることで、セパレータを経由する短絡を防止することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平9−306499号公報
【特許文献2】特開2011−23130号公報
【特許文献3】特開2010−165563号公報
【特許文献4】特開2001−185220号公報
【特許文献5】特開2001−229970号公報
【特許文献6】特開2010-205545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1乃至3の従来法では、活物質層内に活物質以外の物質を盛り込んだりすることによる活物質層のエネルギー密度の低下や、活物質層内の空間を増やすことによる活物質層の機械的強度の低下が問題となる。
【0017】
また、特許文献4乃至6には、活物質層の膨張収縮に関する記載がない。さらに、特許文献4乃至6には、(1)活物質層の膨張収縮に着目していること、(2)膨張収縮の管理方法を提案していること、(3)セパレータ群を用いることで新たに生じた課題に対する解法をも合わせて提案していること、に関する記載はない。
【0018】
そこで、本発明では、エネルギー密度と機械的強度を低下させずに、活物質層の膨張収縮を容易にする方法を提供する。特に、正極活物質層と負極活物質層の間で伝達する膨張収縮の応力に着目し、この応力を解消することで活物質層の膨張収縮を容易にする方法を提案する。
【0019】
また、本発明では、各々が独立している複数の帯状セパレータからなるセパレータ群層を有す電極捲回体において、電極の膨張収縮を容易にする方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の特徴は、以下の通りである。
(1)正極帯状積層ユニットと、負極帯状積層ユニットと、を有する電極捲回体と、正極帯状積層ユニットおよび負極帯状積層ユニットが捲回されるセンターピンと、センターピンの内側に形成された正極電極ピンおよび負極電極ピンと、を有する二次電池であって、正極帯状積層ユニットの外周端および負極帯状積層ユニットの外周端が電極捲回体に固定され、正極帯状積層ユニットは、正極シートおよび正極セパレータを有し、負極帯状積層ユニットは、負極シートおよび負極セパレータを有し、正極セパレータおよび負極セパレータは接しており、センターピンの長軸方向にピン開口部が形成され、正極帯状積層ユニットの内周端が、センターピンのピン開口部を通って、センターピンの内側で正極電極ピンによって固定され、正極電極ピンは、正極帯状積層ユニットの内周端がセンターピンから飛び出すことを防ぎ、負極帯状積層ユニット内周端が、センターピンのピン開口部を通って、センターピンの内側で負極電極ピンによって固定され、負極電極ピンは、負極帯状積層ユニットの内周端がセンターピンから飛び出すことを防ぐ捲回型二次電池。
(2)上記において、センターピンは、軸部、上蓋および下蓋を有し、上蓋および下蓋は、正極電極ピンおよび負極電極ピンがセンターピンの長軸方向から飛び出すことを防ぐ捲回型二次電池。
(3)上記において、上蓋および下蓋に凸部が形成され、上蓋の凸部および上蓋の凸部は、センターピンの内側に向いている捲回型二次電池。
(4)上記において、上蓋および下蓋に蓋開口部が形成され、正極シートの未塗工部に正極集電リードが形成され、負極シートの未塗工部に負極集電リードが形成され、正極集電リードの、上蓋の蓋開口部と接する部分に、正極リード絶縁部が形成され、負極集電リードの、下蓋の蓋開口部と接する部分に、負極リード絶縁部が形成され、正極リード絶縁部は、正極集電リードおよび上蓋を絶縁し、負極リード絶縁部は、負極集電リードおよび下蓋を絶縁する捲回型二次電池。
(5)上記において、正極帯状積層ユニットの外周部に正極集電リードが溶接され、負極帯状積層ユニットの外周部に負極集電リードが溶接される捲回型二次電池。
(6)上記において、上蓋および下蓋に蓋開口部が形成され、蓋開口部の開口面積をSS、正極電極ピンの長手方向に直交する平面で切断した時の正極電極ピンの断面積をSPA、負極電極ピンの長手方向に直交する平面で切断した時の負極電極ピンの断面積をSPB、としたとき、SS<SPA、SS<SPBが成立する捲回型二次電池。
(7)上記において、正極電極ピンの長手方向における平面で切断した時の正極電極ピンの断面は、円形をしており、負極電極ピンの長手方向における平面で切断した時の負極電極ピンの断面は、円形をしており、センターピンの長手方向におけるピン開口部の形状は矩形であり、センターピンの長手方向におけるピン開口部の短辺長をL、正極電極ピンの円形の断面における直径をD1、負極電極ピンの円形の断面における直径をD2、としたとき、L<D1、L<D2の関係が成立する捲回型二次電池。
(8)上記において、正極電極ピンの長手方向に直交する平面で切断した時の正極電極ピンの断面は、矩形をしており、負極電極ピンの長手方向に直交する平面で切断した時の負極電極ピンの断面は、矩形をしており、センターピンの長手方向におけるピン開口部の形状は矩形であり、センターピンの長手方向におけるピン開口部の短辺長をL、正極電極ピンの矩形の一片の長さをHA、負極電極ピンの矩形の一片の長さをHB、正極帯状積層ユニットの厚さをHS1、負極帯状積層ユニットの厚さをHS2、としたとき、L<HA+HS1、L<HB+HS2の関係が成立する捲回型二次電池。
(9)上記において、正極電極ピンの長手方向の長さをHPA、負極電極ピンの長手方向の長さをHPB、上蓋の内壁と下蓋の内壁との直線距離をH、上蓋の凸部の高さをHU、下蓋の凸部の高さをHD、としたとき、H>HPA>(H−HU−HD)、H>HPB>(H−HU−HD)の関係が成立する捲回型二次電池。
【発明の効果】
【0021】
活物質層の膨張収縮が容易となる。また、それに付随して、充放電のレート特性が向上する。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1記載の電極積層ユニットの構造。
【図2】実施例1記載の電極セパレータ複合シート。
【図3】実施例1記載の電極ピンの構造。
【図4】実施例1記載の電極ピンの構造。
【図5】実施例1記載の電極ピンの構造。
【図6】実施例1記載の電極ピンの構造。
【図7】実施例1記載の電極ピンの構造。
【図8】実施例1記載の電極ピンの構造。
【図9】実施例1記載の電極ピンの構造。
【図10】実施例1記載の単純筒型センターピンの構造。
【図11】実施例1記載の上蓋および下蓋の構造。
【図12】実施例1記載のセンターピン一体化方法。
【図13】実施例1記載のセンターピン一体化方法。
【図14】実施例1記載のセンターピン周辺の構造。
【図15】実施例1記載の電極捲回方法。
【図16】実施例1記載の電極捲回体。
【図17】実施例1記載の電極捲回体と円筒缶。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体的な実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、実施例における図は、略図であり、図中の位置関係系や寸法等に正確さを保証するものではない。本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0024】
本発明では、活物質層どうしで応力が伝達するということは、正極活物質層および負極活物質層が膨張収縮する時に捲回体周方向へ摩擦力が働くためであると考え、この摩擦力を除去することを考えた。具体的には、各々が独立している複数の帯状セパレータからなるセパレータ群層を有する電極捲回体を用いることを考えた。この時、セパレータとセパレータの界面は滑りやすいため、セパレータ群内において、捲回体周方向への摩擦力は解消される。この方法であれば、従来の活物質層をそのまま使用することができるため、従来法のように活物質層のエネルギー密度や機械的強度が変化することはない。更に、セパレータ群は任意の厚さのセパレータで構成できるため、セパレータ群の厚さを、従来の一枚セパレータと同じにすることが可能であり、こうすることで、セパレータ群を用いた場合であっても、電池のエネルギー密度は従来の電池と同じとすることができる。
【0025】
本発明の一実施形態では、各々が独立している複数の帯状セパレータからなるセパレータ群を用いることで電極シート間の摩擦を解消し、更に電極シートの両端について、電極シートの一端を固定端とし、もう一端を開放端とすることで、電極シートを電極捲回体の周方向へ滑りやすくするよう管理して、電極活物質層の膨張収縮を容易にする方法を提案する。また、本発明に至る過程において、セパレータ群を用いると、電極シートが電極捲回体長手方向に滑りやすくなり、それによって電極捲回体端部から電極シートが露出して短絡する可能性が示唆された。本発明には電極捲回体長手方向の滑りを抑制する方法も含まれている。
【実施例1】
【0026】
<電極シートの作製>
正極活物質としてLiNi0.33Mn0.33Co0.332、導電剤として粉末状炭素、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、正極活物質:導電剤:結着剤=85:10:5の重量比で測りとり、これに分散用溶媒として適量のN−メチル−ピロリドン(NMP)を加えた後、これらを混練機で30分間混練し正極スラリーを得た。この正極スラリーをアルミニウムの集電シート(厚さ20μm、幅56mm)に両面塗工して、正極シート1を得た。正極スラリーが集電シートに両面塗工された部分が正極活物質層1Bとなる。
【0027】
負極活物質として天然黒鉛、導電剤として粉末状炭素、結着剤としてPVDFを、負極活物質:導電剤:結着剤=90:5:5の重量比で測りとり、これに分散用溶媒として適量のNMPを加えた後、これらを混練機で30分間混練し負極スラリーを得た。得られた負極スラリーを銅の集電シート(厚さ10μm、幅57mm)に両面塗工して、負極シート2を得た。負極スラリーが集電シートに両面塗工された部分が負極活物質層2Bとなる。
【0028】
<電極捲回体の作製>
<シート作製工程>
正極シート1の未塗工部1Eにアルミニウムの正極集電リード1A(厚さ100μm、幅3mm)を、負極シート2の未塗工部2Eにニッケルの負極集電リード2A(厚さ100μm、幅3mm)を抵抗溶接した後、両極ともプレス機を用いて13tから14tで圧延成型し、その後120℃で3時間真空乾燥した。次に、幅が正極シート1および負極シート2より長いポリエチレン多孔体(厚さ15μm、空隙率70%、幅58mm)のセパレータAとセパレータBを用いて、正極シート1および負極シート2とをそれぞれ挟み、図1に示す、「セパレータA(正極セパレータ)−正極シート1−セパレータB(正極セパレータ)」からなる正極帯状積層ユニット3および「セパレータA(負極セパレータ)−負極シート2−セパレータB(負極セパレータ)」からなる負極帯状積層ユニット4を形成した。この時、帯状積層ユニットの横から電極シートがはみ出ないように、正極シート1、負極シート2およびセパレータA、セパレータBは中心線を合わせるように積層する。その後、正極帯状積層ユニット3の一端(内周端)を正極電極ピン3Aで、負極帯状積層ユニット4の一端(内周端)を負極電極ピン4Aで固定し、図2に示す、正極帯状積層ユニット3と正極電極ピン3Aからなる正極セパレータ複合シート5および負極帯状積層ユニット4と負極電極ピン4Aからなる負極セパレータ複合シート6を得た。正極帯状積層ユニット3のセパレータおよび負極帯状積層ユニット4のセパレータは接している。
【0029】
ここで、セパレータAおよびセパレータBには、二枚以上のセパレータを積層したセパレータ群や、多層一体化セパレータを用いることもできる。セパレータ群としては、例えば、ポリプロピレン(PP)セパレータとポリエチレン(PE)セパレータを積層してなるセパレータ群や、セルロースセパレータとPEセパレータを積層してなるセパレータ群を用いることができる。多層一体化セパレータとしては、例えば、PPセパレータとPEセパレータの一体化セパレータや、PPセパレータの表面にセラミックス層を塗布した一体化セパレータを用いることができる。
【0030】
以下、特に区別する必要がない場合には、正極シート1と負極シート2のことをあわせて‘電極シート’、正極電極ピン3Aと負極電極ピン4Aのことをあわせて‘電極ピン’、正極帯状積層ユニット3と負極帯状積層ユニット4のことをあわせて‘電極帯状積層ユニット’、正極セパレータ複合シート5と負極セパレータ複合シート6のことをあわせて‘電極セパレータ複合シート’と表現する。
【0031】
電極ピンの材質は、絶縁性の部材であれば限定的ではないが、軽量で加工が容易であることからプラスチックが好ましい。
【0032】
電極ピンは、電極帯状積層ユニットを挟んで使用する。電極ピンの形状は、センターピンの形状に応じて様々な形状を用いることができる。例えば、センターピンが筒状の場合には、電極ピンの形状は、図3に示すような中空の筒状となり、センターピンが略矩形の場合には図4に示すような板状となる。電極ピンは、一点部品から構成されていても、二点以上の複数部品を組み合わせて構成されていてもよい。一点部品の場合には、複数部品の場合と比較して部品点数が少ないメリットがあるが、複雑な部品形状になるため、部品を製造するための金型が複雑になったり、部品の歩留まりが低下したりするデメリットがある。複数部品の場合には、一点部品の場合と比較して部品点数が増えるデメリットがあるが、一点一点の部品形状は単純にできるため、部品製造上のメリットがある。
【0033】
一点部品の場合は、図5に示すような、筒の一部を長手方向に割ってから開いたような形状のものや、図6に示すような、板を横から一部だけ割いたようなものを使用することができる。
【0034】
二点以上の場合には、図7に示すような、筒を長手方向に二つに割ったような形状のものや、図8に示すような、板を二つに割ったような形状のものを使用することができる。また、電極ピンを、電極ピンが電極帯状積層ユニットを挟んだ状態で固定するためには、電極ピン自体に立体的な工夫を施す方法や、熱溶着や接着剤で電極ピンをくっ付ける等の方法を用いることができる。
【0035】
例えば図9には、電極ピン自体に立体的な工夫を施す方法として、電極ピンに‘かえし’構造を施した例を示す。この方法の場合、電極ピンを筒状にした時に、かえし部3Bおよび4Bが、かえしの受け部3Cおよび4Cに引っ掛かり電極ピンが固定されるため、接着剤を使用しないメリットがある。また、電極ピンの長手方向の長さは、挟む電極シートの幅より長く、セパレータAおよびセパレータBと同程度であることが好ましい。こうすることで電極帯状積層ユニットを電極ピンで挟んだ時に、電極ピンから電極シート(帯状積層ユニットの内周端)が飛び出ないようになっており、電極ピンの両端部を介して、電極が短絡することはない。
ここで、セパレータ群を用いることで、セパレータ群を用いない場合と比較して、電極シートは電極捲回体の長手方向にも滑りやすくなっている。そのため、電極ピンを用いない場合、電極捲回体の端部で電極シートがセパレータからはみ出して、短絡する可能性が高くなっている。本検討の場合、電極ピンが電極シートを固定するため、電極シートが電極捲回体の長手方向に滑って、電極シートがセパレータからはみ出て短絡することはない。
【0036】
<捲回工程>
詳しくは<センターピンの軸部/上蓋/下蓋の一体化>の項で説明するが、本発明の捲回体では、電極セパレータ複合シートはセンターピン内部に突出している。またこの時、電極セパレータ複合シートの端部はセンターピン7に熱溶着や、テープ等で固定されていない。
【0037】
そのため、図10に示すような単純筒型のセンターピン7を用いると、センターピン7の長手方向を上下にした時に、電極セパレータ複合シートがセンターピン端部7Fから飛び出す可能性がある。
【0038】
また、<捲回>の項で説明するが、捲回時に電極セパレータ複合シートにテンションが加わるため、捲回時にセンターピン7の開口部から電極セパレータ複合シートが飛び出す可能性がある。
【0039】
そのため、センターピン7には、横からの飛び出し防止機構と、開口部からの飛び出し防止機構を設ける必要がある。横からの飛び出し防止機構としては、例えばセンターピン7の上下に蓋を付けることが考えられる。開口部からの飛び出し防止機構としては、例えば、電極ピンの大きさを工夫することが考えられる。
【0040】
<センターピンの軸部/上蓋/下蓋の一体化>
センターピン7は、軸部7Aと上蓋7Bと下蓋7Cを一体化して形成される。上下の蓋部分は飛び出し防止機構として機能する。センターピン7の材質は限定的ではないが、金属あるいは樹脂を用いることができる。本実施例では、金属製のセンターピン7を用いた。上蓋7B、下蓋7Cは、正極電極ピン3Aおよび負極電極ピン4Aがセンターピン7の長軸方向から飛び出すことを防いでいる。
【0041】
図11には、上蓋7Bおよび下蓋7Cの構造を示す。上蓋7Bと下蓋7Cは同じ形状とすることができる。蓋は、凸部7Hと、空孔7E、蓋開口部7Iを有す形状である。凸部7Hは電極ピンへ立体的な制約を与える部分であり、空孔7Eは缶底溶接用の電極を通す部分であり、蓋開口部7Iは正極集電リード1Aおよび負極集電リード2Aを通す部分である。なお、正極集電リード1Aおよび負極集電リード2Aがセンターピン内部に無い場合は、蓋開口部7Iは無くてもよい。電極ピンが空孔7Eからセンターピンの外へ出ないように、凸部7Hは、上蓋7Bおよび下蓋7Cの両方に形成されていることが好ましい。まず、図12に示すように、センターピン7の下蓋7Cの凸部7Hをセンターピン7の軸部7Aの中に差し込んだ後、センターピン7の端部7Gと下蓋7Cを超音波溶接で接合し、軸部7Aと下蓋7Cとを一体化した。
【0042】
次に、図13に示すように、軸部7Aの捲回方向と交差する方向、つまり、センターピン7の長軸方向に伸びる略矩形のピン開口部7Dに、軸部7Aの端部7Gから、電極ピンがセンターピン7の内部に収容されるようにして電極セパレータ複合シートを、スライドさせて挿入した。続いて、軸部7Aに、上蓋7Bの凸部7Hを差し込み、端部7Gと上蓋7Bを超音波溶接で接合し、軸部7Aと上蓋7Bとを一体化した。なお、樹脂製のセンターピン7を用いる場合には、溶接ではなく、接着剤で一体化することで、金属製のセンターピン7と同様の形状のセンターピン7を得ることができる。
センターピン7一体化後の、センターピン7、正極電極ピン3A、負極電極ピン4A、正極集電リード1A、負極集電リード2Aの位置関係を示すために、図14には、センターピン7周辺の断面図を示す。センターピン7の両端部は、上蓋7Bと下蓋7Cの空孔7Eと蓋開口部7Iを除き、閉じられている。図14に示すように、センターピン7の上蓋7Bと下蓋7Cの凸部7Hはセンターピン7の内側を向いている。正極電極ピン3Aおよび負極電極ピン4Aは、センターピン7の上蓋7Bと下蓋7Cの凸部7Hによって、立体的な制約を受けて、センターピン7の中心軸部を避けて収納されている。
【0043】
電極ピンにセンターピン7から立体的な制約を与えるために、センターピン7の上蓋7B内壁とそれに対向する下蓋7C内壁との直線距離をHとした時に、Hと、電極ピンの長手方向の長さHP(正極電極ピン3Aの場合はHPA、負極電極ピン4Aの場合はHPB)と、上蓋7Bの凸部7Hの高さHUと、下蓋7Cの凸部7Hの高さHDの間に、H>HP>(H−HU−HD)が成立する。
【0044】
正極集電リード1Aおよび負極集電リード2Aは、集電リードの通過部となる蓋開口部7Iを通して、センターピン7の外部へ引き出されている。なお、正極集電リード1Aの上蓋7Bと接触する部分は正極集電リード絶縁部1Cで、負極集電リード2Aの下蓋7Cと接触する部分は負極集電リード絶縁部2Cである。正極集電リード絶縁部1Cおよび負極集電リード絶縁部2Cの構成は、絶縁が保持できる限り限定的ではないが、例えば、正極集電リード1Aおよび負極集電リード2Aの対象部分にカプトン(登録商標)テープを巻き付けた構成とすることができる。正極集電リード絶縁部1Cは、正極集電リード1Aおよび上蓋7Bを絶縁し、負極集電リード絶縁部2Cは、負極集電リード1Bおよび下蓋7Cを絶縁している。
【0045】
ここで、先述したように、センターピン7の端部から正極セパレータ複合シート5および負極セパレータ複合シート6が飛び出さないように飛び出し防止機構が必要であり、そのために、センターピン7の蓋開口部7Iの形状と、電極ピンとの形状には注意が必要である。
【0046】
電極ピンの飛び出しを防止するためには、電極ピンを図3のA−A断面および図4のB−B断面で切断した時の電極ピンの断面積SPと、蓋開口部7Iの開口面積SSとの間に、SP>SSの関係が成立するようにする。図3および図4の場合、上蓋7Bおよび下蓋7Cの蓋開口部7Iの開口面積をSS、正極電極ピン3Aの長手方向に直交する平面で切断した時の前記正極電極ピン3Aの断面積をSPA、負極電極ピン4Aの長手方向に直交する平面で切断した時の前記負極電極ピン4Aの断面積をSPB、としたとき、SS<SPA、SS<SPBが成立している。
【0047】
また、センターピン7の端部の場合と同様に、捲回時にセンターピン7のピン開口部7Dから正極セパレータ複合シート5および負極セパレータ複合シート6が飛び出さないようピン開口部7Dからの飛び出し防止機構が必要であり、そのために、センターピン7のピン開口部7Dの形状と、電極ピンとの形状には注意が必要である。
例えば、電極ピンが図3や図5や図7に示したような筒状の場合には、矩形とした場合のピン開口部7Dの短辺長Lと、電極ピンの略円形の断面における直径DPとの間にDP>Lの関係が成立するようにする。
【0048】
例えば、電極ピンが図4や図6や図8に示したような板状の場合には、センターピン7の長手方向におけるピン開口部7Dの短辺長をL、正極電極ピン3Aの矩形の一片の長さをHA、負極電極ピン4Aの矩形の一片の長さをHB、正極帯状積層ユニット3の厚さをHS1、負極帯状積層ユニット4の厚さをHS2、としたとき、L<HA+HS1、L<HB+HS2の関係が成立している。
【0049】
この関係により、電極捲回体作製時に電極セパレータ複合シートを、捲回方向に引っ張っても、電極セパレータ複合シートはセンターピン7から飛び出さない。
【0050】
また、電極ピンはセンターピン7の中心軸部を避けて収納されており、センターピン7の中心軸部は軸に対して上下方向に抜ける空孔7Eとなっている。この空孔部分は、後述する負極集電リード2Aの缶底溶接時に、溶接用電極を挿入するために使用される。
【0051】
<捲回>
図15は捲回時におけるセンターピン7、電極ピン、セパレータ複合シートの位置関係を説明するための断面図である。図15に示すように、正極セパレータ複合シート5を矢印8Aの方向に、負極セパレータ複合シート6を矢印8Bの方向に引っ張り、センターピン7と正極電極ピン3Aと負極電極ピン4Aとを引っかけて、正極セパレータ複合シート5と負極セパレータ複合シート6とを矢印8の方向に捲回した。この時、捲回を終えた状態でも引っ張り応力が残るように、正極セパレータ複合シート5と負極セパレータ複合シート6を引くテンションを調整した。その後、図16に示すように、正極セパレータ複合シート5と負極セパレータ複合シート6の端部を、カプトン(登録商標)テープ9で電極捲回体の外周部(外周端)10Bに固定し、電極捲回体10を得た。図16では、電極捲回体内部の積層部10Aに正極集電リード1Aが形成されている。
【0052】
<円筒型二次電池の作製>
電極捲回体10の上下に絶縁フィルム11を配し、その状態で電極捲回体10を円筒缶12へ挿入し、その後、負極集電リード2Aを円筒缶12の缶底に抵抗溶接した。この時、缶底溶接に使用する電極は、センターピン7の中心軸部の空孔7Eに挿入した。次に、円筒缶12に缶蓋13を支えるためのくびれ加工をした。続いて、正極集電リード1Aを缶蓋13に抵抗溶接して、図17に示す状態にした。なお、図17ではくびれ加工部分は省略した。そして電解液(エチレンカーボネート(EC):エチルメチルカーボネ−ト(EMC)=1:3溶液にLiPF6を1MLiPF6の濃度になるよう溶解させて作製)を注液後、カシメにより円筒缶12を封口し、円筒型二次電池14を得た。本発明を適用する上で、円筒型二次電池以外に捲回型の角型二次電池を採用しても良い。
【0053】
ここで、円筒缶12の封口前に実施する注液によって活物質層は膨張する。これは、結着剤の補液効果によるものである。電極シートは、活物質層が塗布されているので、電極活物質層の膨張によって捲回体周方向へ滑る。この時、電極シートはセパレータと密着性がよいため、電極シートの両端のセパレータと一緒に滑る。即ち、電極セパレータ複合シート毎に滑る。
【0054】
ここで、本発明の場合、電極セパレータ複合シートは、電極捲回体の外周で固定されているため、電極捲回体の外周方向へ滑ることができず、電極捲回体中心部へ向かって滑る。電極セパレータ複合シートとセンターピン7とは固定されていないため、滑った電極セパレータ複合シートはセンターピン7の内側に突出する。この突出により、電極セパレータ複合シートには滑りシロとして、いわゆる‘遊び’が生じる。この遊びによって電極セパレータ複合シートは電極捲回体の周方向へ滑ることができるようになり、活物質層の膨張収縮を容易にすることが可能となる。
【0055】
なお、電極セパレータ複合シートの突出部分に正極活物質層1Bと負極活物質層2Bが存在しても、突出部分は活物質層どうしを押し付ける面圧が低いことから充放電に寄与できないため、正極活物質層1Bと負極活物質層2Bは突出部分以外にのみ塗布されることが好ましい。また、ピン開口部7D付近の正極活物質層1Bと負極活物質層2Bも面圧が低くなるため、未塗工部1Eと2Eの巻き数を調整してピン開口部7Dと正極活物質層1Bと負極活物質層2Bとの距離を引き離して、活物質層の面圧を確保することが好ましい。
【0056】
また、正極集電リード溶接部1Dと負極集電リード溶接部2Dは立体的にかさばっているため滑りにくい。そのため、正極集電リード溶接部1Dと負極集電リード溶接部2Dを電極捲回体内部の積層部10Aに配置すると、正極集電リード溶接部1Dと負極集電リード溶接部2Dによって電極シートの周方向への滑りが妨げられてしまう。そこで、正極集電リード溶接部1Dと負極集電リード溶接部2Dは、電極ピン内部に収容される位置に溶接することが最も好ましい。
【0057】
しかしながら、正極集電リード溶接部1Dと負極集電リード溶接部2Dを電極ピン内部に収容される位置に溶接することが困難な場合には、正極集電リード溶接部1Dと負極集電リード溶接部2Dが電極捲回体10の外周部10Bに近い位置に配置されるよう溶接位置を調整することが好ましい。
【0058】
本発明では活物質の膨張収縮時に、電極セパレータ複合シートは電極捲回体の中央に向かって滑るため、正極集電リード溶接部1Dと負極集電リード溶接部2Dを捲回体の外周部に近い位置に配置することで、電極セパレータ複合シートが滑ることへの影響を少なくすることができる。
【0059】
本発明による捲回型二次電池の用途は、特に限定されない。例えば、パーソナルコンピュータ、ワープロ、コードレス電話子機、電子ブックプレーヤ、携帯電話、自動車電話、ハンディターミナル、トランシーバ、携帯無線機等の携帯情報通信機器の電源として使用することができる。また、携帯コピー機、電子手帳、電卓、液晶テレビ、ラジオ、テープレコーダ、ヘッドホンステレオ、ポータブルCDプレーヤ、ビデオムービー、電気シェーバー、電子翻訳機、音声入力機器、メモリーカード等の各種携帯機器の電源として使用できる。その他、冷蔵庫、エアコン、テレビ、ステレオ、温水器、オーブン電子レンジ、食器洗い機、乾燥器、洗濯機、照明器具、玩具等の家庭用電気機器として使用できる。また、家庭用、業務用を問わずに、電動工具や介護用機器(電動式車いす、電動式ベッド、電動式入浴設備など)の用電池としても利用可能である。さらに、産業用途として、医療機器、建設機械、電力貯蔵システム、エレベータ、無人移動車両などの電源として、さらには電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、ゴルフカート、ターレット車などの移動体用電源として、本発明を適用することができる。さらには、太陽電池や燃料電池から発生させた電力を本発明の電池モジュールに充電し、宇宙ステーション、宇宙船、宇宙基地などの地上以外で利用可能な蓄電システムとして用いることも可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 正極シート
1A 正極集電リード
1B 正極活物質層
1C 正極集電リード絶縁部
1D 正極集電リード溶接部
1E、2E 未塗工部
2 負極シート
2A 負極集電リード
2B 負極活物質層
2C 負極集電リード絶縁部
2D 負極集電リード溶接部
3 正極帯状積層ユニット
3A 正極電極ピン
3B、4B かえし部
3C、4C かえしの受け部
4 負極帯状積層ユニット
4A 負極電極ピン
5 正極セパレータ複合シート
6 負極セパレータ複合シート
7 センターピン
7A 軸部
7B 上蓋
7C 下蓋
7D ピン開口部
7E 空孔
7F センターピン端部
7G 端部
7H 凸部
7I 蓋開口部
9 カプトン(登録商標)テープ
10 電極捲回体
10A 積層部
10B 外周部
11 絶縁フィルム
12 円筒缶
13 缶蓋
14 円筒型二次電池
A、B セパレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極帯状積層ユニットと、
負極帯状積層ユニットと、を有する電極捲回体と、
前記正極帯状積層ユニットおよび前記負極帯状積層ユニットが捲回されるセンターピンと、
前記センターピンの内側に形成された正極電極ピンおよび負極電極ピンと、を有する二次電池であって、
前記正極帯状積層ユニットの外周端および前記負極帯状積層ユニットの外周端が前記電極捲回体に固定され、
前記正極帯状積層ユニットは、正極シートおよび正極セパレータを有し、
前記負極帯状積層ユニットは、負極シートおよび負極セパレータを有し、
前記正極セパレータおよび前記負極セパレータは接しており、
前記センターピンの長軸方向にピン開口部が形成され、
前記正極帯状積層ユニットの内周端が、前記センターピンのピン開口部を通って、前記センターピンの内側で前記正極電極ピンによって固定され、
前記正極電極ピンは、前記正極帯状積層ユニットの内周端が前記センターピンから飛び出すことを防ぎ、
前記負極帯状積層ユニット内周端が、前記センターピンのピン開口部を通って、前記センターピンの内側で前記負極電極ピンによって固定され、
前記負極電極ピンは、前記負極帯状積層ユニットの内周端が前記センターピンから飛び出すことを防ぐ捲回型二次電池。
【請求項2】
請求項1において、
前記センターピンは、軸部、上蓋および下蓋を有し、
前記上蓋および前記下蓋は、前記正極電極ピンおよび前記負極電極ピンが前記センターピンの長軸方向から飛び出すことを防ぐ捲回型二次電池。
【請求項3】
請求項2において、
前記上蓋および前記下蓋に凸部が形成され、
前記上蓋の凸部および前記上蓋の凸部は、前記センターピンの内側に向いている捲回型二次電池。
【請求項4】
請求項2または3において、
前記上蓋および前記下蓋に蓋開口部が形成され、
前記正極シートの未塗工部に正極集電リードが形成され、
前記負極シートの未塗工部に負極集電リードが形成され、
前記正極集電リードの、前記上蓋の前記蓋開口部と接する部分に、正極リード絶縁部が形成され、
前記負極集電リードの、前記下蓋の前記蓋開口部と接する部分に、負極リード絶縁部が形成され、
前記正極リード絶縁部は、前記正極集電リードおよび前記上蓋を絶縁し、
前記負極リード絶縁部は、前記負極集電リードおよび前記下蓋を絶縁する捲回型二次電池。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記正極帯状積層ユニットの外周部に正極集電リードが溶接され、
前記負極帯状積層ユニットの外周部に負極集電リードが溶接される捲回型二次電池。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかにおいて、
前記上蓋および前記下蓋に蓋開口部が形成され、
前記蓋開口部の開口面積をSS、
前記正極電極ピンの長手方向に直交する平面で切断した時の前記正極電極ピンの断面積をSPA、
前記負極電極ピンの長手方向に直交する平面で切断した時の前記負極電極ピンの断面積をSPB、としたとき、
SS<SPA、SS<SPBが成立する捲回型二次電池。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記正極電極ピンの長手方向における平面で切断した時の前記正極電極ピンの断面は、円形をしており、
前記負極電極ピンの長手方向における平面で切断した時の前記負極電極ピンの断面は、円形をしており、
前記センターピンの長手方向における前記ピン開口部の形状は矩形であり、
前記センターピンの長手方向における前記ピン開口部の短辺長をL、
前記正極電極ピンの円形の断面における直径をD1、
前記負極電極ピンの円形の断面における直径をD2、としたとき、
L<D1、L<D2の関係が成立する捲回型二次電池。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記正極電極ピンの長手方向に直交する平面で切断した時の前記正極電極ピンの断面は、矩形をしており、
前記負極電極ピンの長手方向に直交する平面で切断した時の前記負極電極ピンの断面は、矩形をしており、
前記センターピンの長手方向における前記ピン開口部の形状は矩形であり、
前記センターピンの長手方向における前記ピン開口部の短辺長をL、
前記正極電極ピンの矩形の一片の長さをHA、
前記負極電極ピンの矩形の一片の長さをHB、
前記正極帯状積層ユニットの厚さをHS1、
前記負極帯状積層ユニットの厚さをHS2、としたとき、
L<HA+HS1、L<HB+HS2の関係が成立する捲回型二次電池。
【請求項9】
請求項3乃至8のいずれかにおいて、
前記正極電極ピンの長手方向の長さをHPA、
前記負極電極ピンの長手方向の長さをHPB、
前記上蓋の内壁と前記下蓋の内壁との直線距離をH、
前記上蓋の前記凸部の高さをHU、
前記下蓋の前記凸部の高さをHD、としたとき、
H>HPA>(H−HU−HD)、H>HPB>(H−HU−HD)の関係が成立する捲回型二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−51034(P2013−51034A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186719(P2011−186719)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】