撮像装置および撮像方法
【課題】AF評価値を検出する枠の位置や大きさを被写体に応じて変更し、その大きさや凹凸の影響を受けずに、正確なAF動作を実行する。
【解決手段】画面上でのAF評価値の取得領域の移動を可能とするモードと、AF評価値の取得領域の大きさの変更を可能とするモードを備え、操作部23からの使用者の指示に基づくCPU18の処理により行う。上,下,左,右移動スイッチにより画面に表示した取得領域の十字マークを移動し、任意の場所に移動させてOKスイッチを押すとその位置に固定されて、AF評価値を取得する領域が再設定される。また、使用者の指示で取得領域の枠が表示部22に追加表示され、左,右移動スイッチにより表示枠が縮小,拡大に変更され、任意の枠の大きさでOKスイッチが押されると取得領域が決定される。これにより被写体の大きさや、その凹凸の影響を受けることなく取得領域におけるAF評価値の取得が確実にできる。
【解決手段】画面上でのAF評価値の取得領域の移動を可能とするモードと、AF評価値の取得領域の大きさの変更を可能とするモードを備え、操作部23からの使用者の指示に基づくCPU18の処理により行う。上,下,左,右移動スイッチにより画面に表示した取得領域の十字マークを移動し、任意の場所に移動させてOKスイッチを押すとその位置に固定されて、AF評価値を取得する領域が再設定される。また、使用者の指示で取得領域の枠が表示部22に追加表示され、左,右移動スイッチにより表示枠が縮小,拡大に変更され、任意の枠の大きさでOKスイッチが押されると取得領域が決定される。これにより被写体の大きさや、その凹凸の影響を受けることなく取得領域におけるAF評価値の取得が確実にできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点等の自動検出に係り、マクロ撮影時などにおいて自動的に検出処理を行う撮像装置および撮像方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、焦点検出を自動で行う撮像装置において、測距エリアを移動することにより任意の位置の被写体の測距を可能とした技術が提案されている。例えば、特許文献1には、主要被写体が撮影範囲の中央部分に存在しない場合であっても、カメラの向きを調整することなく、主要被写体に焦点を合わせること、また、特許文献2には、撮像エリアを移動させ、その時点での撮像エリアの位置を記憶回路に記憶させ、焦点調節制御を行う際に、撮像エリアとして記憶回路に記憶された撮像エリアを設定することで、任意の撮影エリアに含まれる被写体に合焦させることが記載されています。
【0003】
また、デジタルスチルカメラ等の電子撮像装置には、一般的に、自動的に焦点を合わせるオートフォーカス(以下、AFという)の機能が搭載されている。その方法として、特許文献3に記載されている山登りAF制御が広く用いられている。
【0004】
この山登りAF制御は、1フィールドまたは1フレーム毎に得られた映像信号から高周波成分または近接画素の輝度差の積分値を求め、これを合焦度合いを示すAF評価値とする。合焦状態にあるときは、被写体のエッジ部分がはっきりしているためAF評価値が大きくなり、非合焦状態のときはAF評価値が小さくなることから、AF動作実行時は、撮影レンズを移動させながらこのAF評価値を順次取得していき、AF評価値が最も大きくなったところを合焦点として、撮影レンズを停止する制御を行う。
【0005】
デジタルスチルカメラ等のスチル画像を撮像する装置では、一般的にビデオカメラ等の動画を撮影する装置に比べ厳密な合焦が要求されるため、撮影動作のたびにAF動作を行うか、記録モードにおいて常に合焦動作を繰り返し行っている。
【0006】
また、デジタルスチルカメラにおいて、合焦位置とする各レンズ位置に、実際に駆動してAF評価値の取得を行う走査駆動が行われることから時間を要し、このため使用者が撮影チャンスを逃すおそれがあることから、特許文献4には、これを回避するため使用者が予め設定した撮影モードにより、レンズ位置を駆動するものが提案されている。
【特許文献1】特開2001−159730号公報
【特許文献2】特開2004−86160号公報
【特許文献3】特公昭39−5265号公報
【特許文献4】特開2001−311977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような構成のデジタルスチルカメラは、測距エリアを移動させたとしても、撮影被写体との距離が非常に近いマクロモードにおいては、物体の大小や、細かい凹凸により最適なAF評価値が得られないという問題が生じている。
【0008】
この問題はAF評価値を取得する領域(エリア)が大きすぎる、または小さすぎるために起こる現象であり、そのため被写体に適した取得領域を決定できるようなデジタルスチルカメラが望まれている。またマクロモードでは被写体深度が浅くなってしまうために、通常撮影以上に合焦精度が要求される。
【0009】
このため、前述の特許文献1に開示されたものでは、撮影範囲の中央部分に存在しない場合に、タッチパネルで合焦場所を指定して、デジタルスチルカメラの向きを調整することなく、主要被写体に焦点を合わせることはできるが、主要被写体の大きさにより、フォーカスブロック(AF評価値の取得領域)を変更できないため、特に、被写体が小さい場合に背景側に偽合焦してしまうという問題があった。
【0010】
同様に、特許文献2に開示されているものでは、予め記憶回路にて記憶された撮影エリアに移動させて、任意の場所での焦点調整は可能であるが、前述したような問題については改善されないままである。
【0011】
本発明は、前記従来技術の問題を解決することに指向するものであり、AF評価値を検出する取得領域(エリア)の位置や大きさを被写体に応じて変更することにより、被写体の大きさや、その凹凸の影響を受けることなく、正確なAF動作を実行することができる撮像装置および撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載した撮像装置は、撮影レンズを通過した光による被写体像を受光して画像データを得る撮像装置において、撮影レンズを光軸方向に移動させながら被写体像内のコントラスト検出領域からコントラストを検出することによって焦点を検出する自動焦点検出手段と、コントラスト検出領域の大きさを変更するコントラスト領域変更手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載した撮像装置は、請求項1記載の撮像装置であって、コントラスト領域変更手段により変更したコントラスト検出領域を表示するコントラスト領域表示手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載した撮像装置は、請求項1または2記載の撮像装置であって、少なくとも通常撮影モード,マクロ撮影モードを選択する撮影モード選択手段と、撮影モード選択手段がマクロ撮影モードの選択時に、自動焦点検出手段のコントラスト検出領域を移動するコントラスト領域移動手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載した撮像装置は、請求項3記載の撮像装置であって、コントラスト領域移動手段が移動するコントラスト検出領域の移動が所定の範囲を越えたとき、コントラスト領域変更手段がコントラスト検出領域の大きさを変更することを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に記載した撮像方法は、撮影レンズを通過した光による被写体像を受光して画像データを得る撮像方法において、撮影レンズを光軸方向に移動させながら被写体像内のコントラスト検出領域からコントラストを検出することによって焦点を検出する自動焦点検出工程と、コントラスト検出領域の大きさを変更するコントラスト領域変更工程と有することを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に記載した撮像方法は、請求項5記載の撮像方法であって、コントラスト領域変更工程により変更したコントラスト検出領域を表示するコントラスト領域表示工程を有することを特徴とする。
【0018】
また、請求項7に記載した撮像方法は、請求項5または6記載の撮像方法であって、少なくとも通常撮影モード,マクロ撮影モードを選択する撮影モード選択工程と、撮影モード選択工程がマクロ撮影モードの選択時に、自動焦点検出工程のコントラスト検出領域を移動するコントラスト領域移動工程を有することを特徴とする。
【0019】
また、請求項8に記載した撮像方法は、請求項7記載の撮像方法であって、コントラスト領域移動工程が移動するコントラスト検出領域の移動が所定の範囲を越えたとき、コントラスト領域変更手段がコントラスト検出領域の大きさを変更することを特徴とする。
【0020】
前記構成によれば、自動焦点検出手段が焦点検出に用いるコントラスト検出領域を被写体に応じて位置や枠サイズを変更することにより、焦点の正確な検出をすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、AF評価値を検出する取得領域を被写体に応じて位置や枠サイズを変更して、被写体の大きさや、その凹凸の影響を受けることなく、正確なAF動作を実行することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明における実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明の実施形態におけるデジタルスチルカメラ(以下、デジタルカメラという)の外観を示す(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は背面図である。また、図2はデジタルカメラ内部のシステム構成の概要を示すブロック回路図である。
【0024】
図1に示すように、デジタルカメラ本体の上面には、レリーズスイッチ(シャッタボタン)SW1、モードダイアルスイッチSW2、およびサブLCD(液晶ディスプレイ)1が配設されている。
【0025】
また、デジタルカメラ本体の正面には、撮影レンズを含む鏡胴ユニット7、光学ファインダ4、ストロボ発光部3、測距ユニット5、リモートコントロール受光部6が設けられている。
【0026】
デジタルカメラの背面には、電源スイッチSW13、LCDモニタ1’、AFLED8、ストロボLED9、広角方向ズームスイッチSW3、望遠方向ズームスイッチSW4、セルフタイマの設定・削除するセルフタイマスイッチSW5、メニュースイッチSW6、上移動・ストロボセットスイッチSW7、右移動スイッチSW8、ディスプレイスイッチSW9、下移動・マクロスイッチSW10、左移動・画像確認スイッチSW11、OKスイッチSW12、電源スイッチSW13が設けられている。カメラ本体の側面にはメモリカード/電池装填室の蓋2が設けられている。
【0027】
また、図2において、11は撮影レンズ、12はメカニカルシャッタ、13はCCD、14はCCDからの信号を相関二重サンプリングおよびA/D変換するCDS回路14a,A/D変換器14cを有するF/E(フロントエンド)−IC、15は、A/D変換されたデジタル信号を輝度Y,色差U,V信号に変換したり、YUVデータをJPEG圧縮する等のデジタル信号処理をするDSP部、16は、撮影レンズ11を駆動するフォーカス駆動、メカニカルシャッタ12のシャッタ開閉動作を駆動するモータドライバ部、17はCCD駆動回路部、18はカメラ全体を制御するCPU、19は撮像した画像データ,ファイルからのリードデータを一時期保持し、DSP部15およびCPU18のワークメモリとして使われるメモリ、20はカメラ外部との通信ドライバ、21はデジタルカメラの着脱可能なメモリカード、22はDSP部15からの映像出力信号をLCDに表示可能な信号に変換する表示コントローラとそれを表示するLCDからなる表示部、23はデジタルカメラ使用者の操作を可能とする操作部、24はデジタルカメラに接続される第1外部装置、25は第1外部装置24に接続できるパーソナルコンピュータ(PC)等の第2外部装置である。
【0028】
この第1外部装置24に 表示装置があれば、デジタルカメラ本体の表示部22がない構成も可能である。例えば、デジタルカメラ本体内の電池を充電する充電回路を内蔵している。また、音声コーデック26は、入力アナログ部からの信号をデジタル変換してDSP部15に送信したり、DSP部15から受信したデジタル音声データをアナログ変換して、出力アナログ部へ出力する。
【0029】
次に、デジタルカメラの動作概要を図1および図2を参照しながら説明する。図1に示すモードダイアルスイッチSW2を「記録モード」に設定することで、デジタルカメラが記録モードで起動する。モードダイアルスイッチSW2の設定は、図2における操作部23に含まれるモードダイアルスイッチSW2の状態が記録モードONになったことをCPU18が検知し、モータドライバ16を制御して、鏡胴ユニット7を撮影可能位置に移動させる。さらにCCD13,F/E(フロントエンド)−IC14,表示部22等の各部に電源を投入して動作を開始させる。
【0030】
各部の電源が投入されると、まず、ファインダモードの動作が開始される。このファインダモードでは、撮影レンズ11を通して撮像素子(CCD13)に入射した光は、電気信号に変換されてアナログ信号のR,G,BとしてCDS回路14a,A/D変換器14cに送られる。A/D変換器14cでデジタル信号に変換されたそれぞれの信号はデジタル信号処理IC内のYUV変換部でYUV信号に変換されて、メモリコントローラによってメモリ19に書き込まれる。このYUV信号はメモリコントローラに読み出されて、表示出力制御部を介してTVやLCDモニタ1’へ送られて表示が行われる。この処理が1/30秒間隔で行われ、1/30秒毎に更新されるファインダモードの表示となる。
【0031】
また、デジタル信号処理ICのCCDI/Fブロック内に取り込まれたデジタルRGB信号より、画面の合焦度合いを示すAF評価値が算出される。AF評価値データは、特徴データとしてCPU18に読み出されて、AFの処理に利用される。また、AF評価値を取得する領域は、画面の水平・垂直ラインのうちの数十パーセントを用いることで、計算量の削減や、画面内の背景の影響を受けない最適な評価値を得ることができる。
【0032】
AF評価値は、例えば高周波成分抽出フィルタの出力積分値や、近接画素の輝度差の積分値によって作成される。本発明のデジタルカメラでは高周波成分抽出フィルタを用いることにする。また、この高周波成分抽出フィルタは撮影環境に合わせて変更可能なものにしておくと良い。
【0033】
合焦状態にあるときは、被写体のエッジ部分がはっきりとしているため、高周波成分が一番高くなる。これを利用して、AFによる合焦検出動作時は、それぞれの撮影レンズ位置におけるAF評価値を取得して、その極大になる点を合焦位置としてAFを実行する。
【0034】
いま、図1のレリーズスイッチSW1(シャッタボタン)が操作されると、合焦位置検出であるAFの動作と静止画記録処理が行われる。レリーズスイッチSW1が押され、図2の操作部23から静止画撮影開始信号がCPU18に取り込まれると、CPU18がフレームレートに同期してモータドライバ16を介して撮影レンズ11を駆動することにより山登りAFを実行する。合焦範囲が無限から至近までの全領域であった場合、撮影レンズ11は至近から無限、または無限から至近までの間の各フォーカス位置を移動し、デジタル信号処理ICで作成された各フレーム(=各フォーカス位置)におけるAF評価値をCPU18が読み出す。各フォーカス位置のAF評価値が極大になる点を合焦位置として、撮影レンズ11を合焦位置に移動する。
【0035】
AF完了後にCCD13から取り出されたアナログRGB信号はデジタルRGB信号に変換され、デジタル信号処理ICを介してメモリ19に格納される。デジタルRGB信号は再度デジタル信号処理回路(DSP部15)に読み込まれYUVデータに変換されて、メモリ19に書き戻される。
【0036】
また、スチル画像撮像時はYUV変換された画像データがデジタル信号処理IC内の画像圧縮伸張回路に送られる。画像圧縮伸張回路に送られたYUVデータは圧縮されてメモリ19に書き戻される。このメモリ19の圧縮データはデジタル信号処理回路(DSP部15)を介して読み出され、データ記憶メモリ(例えば、メモリカード21)に格納される。
【0037】
さらに、本実施形態のデジタルカメラについて、図3に示すデジタルカメラの記録時におけるメイン処理のフローチャートに基づき、図1,図2を参照しながら説明する。なお、本実施形態のデジタルカメラにおいては、静止画,動画,音声を記録できるものとする。
【0038】
図1に示すデジタルカメラのモードダイアルスイッチSW2を「記録モード」として、デジタルカメラの電源をONすると、図示しないが、カメラ内部のハードウェアの初期化、メモリカード内のファイル情報をメモリ19内に作成するなどの記録準備処理を行う。その後、記録のメイン処理が開始される。
【0039】
メイン処理では、モニタリング状態であるか否かを確認し(S1)、モニタリング停止状態のとき(処理S1のYes)、現在の状態が記録動作中か否かを確認(S2)、記録動作中でない場合(処理S2のNo)、モニタリング処理を開始する(S3)。このモニタリング状態はメイン処理に、最初に入った場合実行されることになる。
【0040】
このモニタリング処理は、デジタルカメラの受光した被写体像を表示部22にスルー画像として表示して、この際にAE(Automatic Exposure),AWB(Auto White Balance)追尾処理を実行するものであり、これにより、デジタルカメラの表示部22に表示している画像を、いつも適正な明るさ、自然な色合いに保つことができる。具体的には、撮像部のデータからデジタル画像処理を行うため各AE,AWBに対する評価値をCPU18で取得し、その値が所定値になるように、CCD駆動回路部17に露光時間をセットしたり、DSP部15の画像処理色パラメータを調節したりするフィードバック制御を行う。
【0041】
スイッチ判定処理として、デジタルカメラのスイッチから使用者操作を確認する(S4)。このスイッチ判定処理は、20ms毎の定期タイマ割り込み処理で入力されるスイッチ情報を確定して動作モードの判断を行う情報を取得する。動作モードの判断としては、撮影時のAE/AF処理,静止画記録処理,動画記録開始処理,動画記録終了処理,音声記録開始処理,音声記録終了処理等の各処理ブロックに作業を振り分ける働きをする。
【0042】
その一例として、静止画記録処理の画像をメモリカード21に記録するまでの動作を図1〜3を参照しながら説明する。
【0043】
図2に示す操作部23には、図1のレリーズスイッチSW1(シャッタボタン)があり、第1位置(半押し)と第2位置(さらに押し込む)の2段階のスイッチになっている。静止画撮影時は、第1位置にシャッタボタンが押されると、AE/AF処理を行う。CPU18は、モータドライバ16により撮影レンズ11を動かしフォーカスを合わせ、被写体像の画像データをDSP部15で評価し、CCD駆動回路部17に設定するCCD13の露光時間値を決める。
【0044】
図3に示すスイッチ判定処理(S4)において、第1位置の状態が判定された場合、次の動作モード判断(S5a)により静止画,動画,音声の動作モードが判断されて、それぞれの処理に移る。この例では静止画であることから、モニタリングを停止し(S6)、AE/AF処理して(S7)終了後には、再び処理S1へ戻る。また、スイッチ判定処理(S4)において、有効なスイッチ情報がなければ、何も処理をせず、前述の処理S1からのループを繰り返す。
【0045】
また、スイッチ判定処理(S4)において、第2位置の状態を判定した場合には、次の動作モード判断(S5b)により静止画の静止画記録処理(S8)を行う。CCD13からの撮像データは、DSP部15で画像処理,圧縮までが行われ、メモリ19に書き込まれる。CPU18は、画像圧縮データがメモリ19に格納されると、それをメモリカード21に書き込みを行う(S9)。
【0046】
このように図3に示すスイッチ判定処理(S4)において、静止画の場合は、第1位置の状態を継続して第2位置の状態へと移行すると、第2位置の状態を判定したとき静止画記録処理(S8)が実行され、撮影された静止画はメモリカード21まで書き込みが行われる(S9)。その後、撮影レンズ11を 次ぎの撮影に備えて、最適なレンズ位置に準備駆動する(S10)。また、図4に静止画記録のタイミングチャートを示す。なお動画,音声に係る処理については、本発明に直接関係しないので、説明は省略する。
【0047】
図5を参照しながら焦点調節について簡単に説明する。被写体A’が結像面Dに対して、最も焦点の合っているレンズ位置Aに制御する場合を考える。また、結像面DにはCCDなどの撮像素子が配置されている。ここで、人間の目では判別のつかない許容される「ぼけ」もあり、これを許容錯乱円σという。レンズ位置Aを中心に、被写体側のレンズ位置B、結像面側のレンズ位置Cでも同じ「ぼけ」量であるため、レンズ位置BからCの間であれば、焦点があっているとみなせ、この範囲に撮影レンズを制御する。逆に、レンズ位置Aであっても、前述の「ぼけ」のゆるされる範囲の被写体B’から被写体C’の距離にあるものには焦点があっているともいえる。これを焦点深度という。
【0048】
また、AFの動作について図6(a)〜(c)を用いて説明する。図6(a)に示すように、鏡胴ユニット7内で撮影レンズ11の移動するレンズ駆動範囲であり、無限遠結像位置から最至近結像位置の間で撮影レンズ11を駆動し、被写体の焦点調節を行う。合焦状態は、撮影データからのAF評価値で検出する。DSP部15は、CCD13のデータから輝度信号を作成し、そのデータにデジタルフィルタ処理を施し、所定の空間周波数成分のAF評価値を抽出する。一般に、レンズは被写体にピントがあっている場合には空間周波数は高く、ピントがあっていない場合には低い。
【0049】
撮影レンズ11を駆動しながら、各レンズ位置でAF評価値を取得する走査処理を行い、AF評価値が最も高い位置に、走査後の撮影レンズ11を駆動すればピントの最も合っている位置ということになる。
【0050】
レンズ駆動はパルスモータで行うとし、最至近と無限遠の間で10パルスあるとすると、撮影後の撮影レンズ11は任意位置にあるために、シャッタボタンが押され第1位置の状態のとき、一般には、まず、走査開始位置であるレンズ可動端に撮影レンズを駆動する。本実施形態では、走査を最至近から無限遠の方向に行うとして、走査開始位置である最至近結像位置に駆動する場合を考える。
【0051】
まず、撮影レンズ11の駆動には、停止位置での初期励磁10msと、走査開始位置までの駆動と、走査開始位置での停止励磁10msが必要である。走査開始位置までの駆動時間は、図6(b)に示すように、停止位置が無限遠結像位置であったとして、レンズ駆動範囲を10パルスとし、パルスモータを500ppsで駆動すると、20ms必要となり、初期位置から停止位置とするまでに合計40msかかることになる。
【0052】
続いて、コントラストのAF評価値を取得するには、CCD13の露光自体に数十msの時間をかけながら、レンズ駆動範囲の各レンズ位置を走査する。例えば、必要な露光時間が33msとし、全走査駆動するレンズ位置が10ポイントであれば330msの時間を要する。被写体の合焦位置が、走査範囲の中央とすると、停止励磁10msを加えて175msである(図6(c)参照)。このように、走査前の40msは焦点調節時間の23%に相当する。
【0053】
このため、次ぎの撮影時における合焦時間を短縮するようなレンズ位置に自動で移動する準備駆動を行う。この準備駆動の処理について、図7のフローチャートに示すように、撮影後に目標レンズ位置を決定し(S17)、この位置にレンズを移動する準備駆動を行う(S18)。
【0054】
図8(a)に示すように、例えば目標レンズ位置を走査開始位置である最至近のレンズ位置Aとして、駆動する。または、前述したレンズの焦点深度により無限から手前の距離まで焦点があっている記録時のレンズ位置Bとして、駆動しても良い。また、被写体像のスルー画像を表示部に表示している場合に、デジタルカメラに内蔵する表示部が小さく、このため「ぼけ」の判別がつきにくいようなとき、CCDの結像面での許容錯乱円σの径を記録撮影時よりも大きくとるこができ、レンズ位置を走査開始位置の最至近により近づけたレンズ位置Cにすることができる。
【0055】
さらに、撮影から次の撮影までの時間が短いような場合には、同一被写体への撮影の可能性が高く、準備駆動も現在のレンズ位置から深度分を最至近側に移動させておき、次回の撮影時に、無限遠方向に無駄なく走査して、略同一距離の被写体の焦点位置を見つけることができる。また、所定の時間後に段階的に最至近へ移動する準備駆動を継続しても良い。
【0056】
デジタルカメラに撮像素子とは別に被写体との距離情報を得る手段として、光を投光して被写体からの反射光を受光した位置で三角測距し概略の距離を求める測距センサユニット(図2参照)を有するような場合、その距離情報から、次ぎの撮影時のAF動作における合焦時間が短縮されるようなレンズ位置に自動で準備駆動することも可能である。具体的には図8(b)に示すように、得た距離情報より演算で求まるレンズ位置Eから、準備駆動の走査をする方向とは逆方向に所定量ずれたレンズ位置Dとしておく。これにより、多少距離情報に誤差があったり、また被写体自体が動いたとしても、走査を開始した直後に合焦位置が得られる確立が高くなる。
【0057】
なお、本実施形態では、準備駆動において撮影時に最も合焦となるレンズ位置から多少移動させるため、正確にはぼけた状態になる。しかし、デジタルカメラに内蔵された小さな表示部においては、その「ぼけ」は判別つかずほとんど問題にはならない。表示機能を外部出力に切り替えられるデジタルカメラの場合には、「ぼけ」が判別できる場合も考えられるので、そのときには、図9のフローチャートに示す処理S19の処理により外部出力表示の場合、準備駆動に係る処理S17,S18を禁止すれば良い。
【0058】
また、図10は本実施形態の静止画撮影時のメイン処理におけるAEの処理を示すフローチャートであり、前述の図3に示したフローチャートにおいて説明した構成要件に対応し同等の処理を行うものには同一の符号を付す。
【0059】
AEの処理について図2を参照しながら図10に基づき説明する。静止画撮影時には、前述した図3の処理S1〜S4が行われ、シャッタボタンが第1位置の状態と判断されると、AE処理として撮像データをDSP部15で評価し、CCD駆動回路部17に設定するCCD13の露光時間値を決める。次に多点測距処理において、多点測距処理の測距データに従ってモータドライバ16により撮影レンズ11を駆動してフォーカスを合わせる。
【0060】
また、AE処理では、撮像画面の縦横を複数分割した各エリアの測光値を得て、その結果から後述する内容により自動で露出演算する。また、多点測距処理としては、図11(a)〜(c)に示すように、AF処理部は、左右別々の光学系のラインCCDからなるセンサの輝度信号を比較して、相関の強い信号同士の位相差Lから距離を三角測距の原理により算出する。これにより、ラインセンサ方向の複数のエリアの距離を測定する。一般に、多点測距データのうち、一番近距離のエリアを主要被写体として、その測距データに従って撮影レンズ11を駆動する。
【0061】
図10に示すスイッチ判定処理(S4)で、第1位置の状態が判定されると、AE処理,多点測距処理した結果の第1距離情報がメモリ19などに記憶される。終了後は、再び処理S1から繰り返され、スイッチ判定処理(S4)において、有効なスイッチ情報がなければ何もせず処理S1へ戻り、前述のループを繰り返す。
【0062】
ここで、スイッチ情報として第2位置の状態を判定すると、静止画の撮影をする。CCD13の撮像データは、DSP部15で画像処理、圧縮まで行われてメモリ19に書き込まれる。CPU18は、画像圧縮データがメモリ19に格納されると、それをメモリカード21に書き込みを行う。
【0063】
このように図10に示すスイッチ判定処理(S4)において、静止画の場合は、第1位置の状態を継続して第2位置の状態へと移行すると、第2位置の状態を判定したとき静止画記録処理(S8)が実行され、撮影された静止画はメモリカード21まで書き込みが行われる(S9)。その後、撮影レンズ11を次の撮影に備えて、最適なレンズ位置に準備駆動する(S10)。
【0064】
前述の通り、第1位置の状態のときに各エリアの明るさや距離の被写界情報を得ることができる。この被写界情報からデジタルカメラは制御部のプログラムに従って自動露出値や撮影レンズの合焦位置を演算出力する。
【0065】
一般的にはAE値は、表示部22の画面内における輝度分布のほぼ中央が適正露光量となるように演算される。撮影レンズ11の合焦位置(ピント位置)は、前述の通り多点測距データにより最も近距離の結果に対するレンズ位置を求める。多くの場合、主要被写体が画面中央であることから適正な露出やピント位置が得られる。使用者は、デジタルカメラの表示部22において、前述した処理結果の明るさやピント位置で被写界を確認できる。
【0066】
しかし、主要被写体が画面中央にない場合、例えば被写界の各エリアのコントラスト差が大きいときには、主要被写体が適当な露出になっているとは限らず、また、デジタルカメラにおいて、撮影後にPC等により画像補正することを前提として、やや露出アンダーに撮影する場合もある。
【0067】
これに対応するために、例えば全画面を縦横16×16の256エリアに分け、各輝度情報が得られる構成とし、輝度情報としては0から最大までの輝度を10の輝度レンジに分けてエリア個数別のヒストグラムを作成する。各輝度レンジの範囲に入るエリアの個数を求め、低域輝度スレッシュと高域輝度スレッシュを求める。
【0068】
この低域輝度・高域輝度スレッシュは、全エリア個数の1/4となる64個が占めるエリア個数の輝度レンジとし、図12に示すようなヒストグラムが得られた場合に、エリア個数0から64個目までは1〜3輝度レンジに入っているため低域輝度スレッシュを3輝度レンジとする。
【0069】
また、エリア個数の明るさ最大値から65個目は7〜10輝度レンジに入っていることから高域輝度スレッシュを6輝度レンジとする。低域と高域の輝度レンジのレンジ差は「6−3=3」となり、自動露出演算では、この輝度レンジの中央となる5輝度レンジの輝度が適正露光量となる露光(Ev)値を算出する。
【0070】
また、図13に示すようなヒストグラムである場合、低域輝度スレッシュの輝度レンジは2、高域輝度スレッシュの輝度レンジは8でありレンジ差は6となり、自動露出演算は5または6輝度レンジの輝度が適正露光量となるEv値を算出する。しかし、図13のヒストグラムでは、高域に分布するエリア個数が多く、画面全体に白っぽく露出が飛び気味の映像となる。
【0071】
これを回避して露出を補正するための推奨設定生成部を設け、この推奨設定生成部には、前述のようにレンジ差が大きい場合に、アンダー露出になるEvシフト値を持った図14(a)に示すテーブルを有している。例えば、使用者が推奨設定用の操作ボタンを操作すると、レンジ差(Δレベル):6から−0.3Evシフトする第1推奨設定から演算して、デジタルカメラの露出に反映して、表示部22にはその明るさで表示を行う。
【0072】
また、推奨設定生成部に、第1推奨設定とは異なる例えば−0.2Evシフトする第2推奨設定を設ける。再度、使用者が推奨設定用の操作ボタンを操作すると、第2推奨設定から演算した露出を反映した明るさで表示部22に表示する。この推奨設定を複数設けこれを選択することにより使用者が自分の所望する明るさに表示されたときに、シャッタボタンを操作すると、その露出の明るさで撮影ができる。
【0073】
また、本実施形態におけるデジタルカメラは、シャッタボタンを操作したときに合焦位置を求める合焦枠として、表示部22に表示する多点測距データを得る5つのa〜eポイントのうち自動で最至近のポイントを選択する。
【0074】
図15に示す表示例では、bポイントを選択して、bポイントを実線枠で表示する。撮影レンズ11は、bポイントの距離が最も合焦するように配置移動されるため、その後ろのdポイントの被写体B’は「ぼけ」ることになる。
【0075】
ここで、推奨設定生成部において、dポイントにも被写体B’があることを多点測距データから検知し、かつbポイントとdポイントの距離範囲が撮影レンズ11の被写界深度内にあった場合に、使用者が推奨設定用の操作ボタンを操作することによって、第1推奨設定として、bポイントとdポイントを表示部22に合焦枠の実線表示し、その両方の被写体でおおよそ合焦できるレンズ位置をとることを示す。この状態において、シャッタボタンを操作すると、被写体A’,B’のほぼピントのあった撮影ができる。
【0076】
前述した例では、図14(a)の固定テーブルから推奨値を算出していた。しかし、自動露出と手動による露出補正機能があるデジタルカメラの場合に、その使用者の所望する補正の度合いを推奨設定生成部で加味することもできる。例えば、レンジ差(Δレベル):10の被写界に対して、撮影者が手動で−1Evの補正をしたとする。この操作データを図14(b)の通り、推奨設定生成部の参照するテーブルに反映しても良い。つまり、レンジ差:10の元データ−0.8Evと手動補正の−1.0Evを平均化し、テーブル値を−0.9Evに更新すれば良い。もちろん、他のテーブル値も順次値を変更する。さらに、推奨設定生成部が参照するテーブルなどのデータは、デジタルカメラ内にある固定されたデータであったり、また、前述のようにデジタルカメラを実操作したデータで更新する他に、外部から入力できても良い。
【0077】
例えば、デジタルカメラにおいて、プロカメラマンのデータを入力すれば良い。入力手段としては、PCからのUSB等のインタフェースを介した通信などの手段が考えられる。
【0078】
また、前述した推奨設定生成部の処理は、図10に示したフローチャートのスイッチ判定処理(S4)において、第1位置、第2位置の状態判定に加え、推奨設定用の操作ボタンの操作における判定を行う。この推奨設定用の操作ボタンの判定により前述した推奨設定の演算処理を実施し(S20)、この推奨設定に基づいて表示部で表示処理をする(S21)。また、この推奨設定の演算処理が実施され、さらに前述した第2位置の状態を判定して(S5b)静止画の場合、静止画記録処理(S8)を行う際に、露出補正等は推奨設定に基づき処理が行われる。
【0079】
次に、本発明の実施形態1におけるデジタルカメラの動作について図16を参照しながら説明する。図16はデジタルカメラの撮影モード選択を行う指示によってマクロモードを設定したときのLCDモニタ(表示部)の表示画面を示す図である。図1に示すデジタルカメラのレリーズスイッチSW1は、前述したように2段階のスイッチになっており、半押し(第1位置)で合焦動作を行い、さらに押し込む(第2位置)ことにより記録動作を実行する。このときの合焦動作は、図16の画面に表示された十字マークの位置に基づいてその十字マークを囲むような矩形領域をAF評価値の取得領域(例えば、山登りAF制御に用いるコントラストを得るコントラスト検出領域であるエリア)として設定し、実行している。
【0080】
なお、前述の図15に示した例では、複数のポイントの中から選択してAE/AF処理を行っていたが、本実施形態1では、1つのエリアとして、その位置および枠サイズを任意に変更する。また、前述の多点測距データを得るため、AF評価値を検知するエリアの変更を使用者の指示する操作により行うものである。
【0081】
例えば、図2に示す表示部22が図16に示す状態のときに、下移動スイッチSW10を押すと図17(a)のようなエリア位置変更モード設定画面へ変更され、また上移動スイッチSW7を押すと図18(a)のようなエリア枠変更モード設定画面へと変更される。ここでエリア位置変更モードは画面上でのAF評価値の取得領域の移動することを可能とするモードであり、またエリア枠変更モードではAF評価値の取得領域の大きさを変更することを可能とするモードである。
【0082】
多点測距データを得るためAF評価値を検知するエリアとして、操作部23からの使用者の指示に基づくCPU18の処理によって、図17(a)に示すエリア位置変更モードのときには、上,下,左,右移動スイッチSW7,10,11,8のいずれかを押すと画面中心に表示されている十字マークを移動させることができる。画面内の任意の場所に移動させ(図17(b)参照)、その後、OKスイッチSW12を押すと十字マークがその位置に固定される(図17(c)参照)。固定した際にAF評価値を取得する領域が再設定される。これは、上下左右の各移動スイッチ一回の押下に対する、AF評価値領域の移動量が予めROM等のメモリ上に格納されているため、位置を固定した際にそのスイッチの押された回数から計算し、移動・設定することが可能である。
【0083】
また、エリア枠変更モードでは図18(a)の画面のように、使用者の入力指示によりAF評価値の取得領域(破線で表示)が新たに表示部22に追加表示される。このとき、左,右移動スイッチSW11,SW8を押すことによりこの破線表示の枠サイズが変更される。ここでは左移動スイッチSW11が縮小、右移動スイッチSW8が拡大するようにしている(図18(b),(c)参照)。任意の枠の大きさに拡大・縮小させ、その後、OKスイッチSW12が押されると、その変更したAF評価値の取得領域が決定される(図18(d),(e)参照)。変更後の画面表示は、設定したAF評価値の取得領域がデジタルカメラの初期設定された領域と異なっている場合は、実線の枠で表示され、再度エリア枠変更モードによる変更が行われるまで継続表示される。
【0084】
本発明の実施形態2におけるデジタルカメラの動作について説明する。本実施形態2においても、前述の実施形態1でした説明と同様に、図16のマクロモード設定のLCD表示画面にて、図17(a)のエリア位置変更モード画面へ変更され、画面中心に表示の十字マークとAF評価値の取得領域を画面内の任意の場所に移動し、位置を固定した際にAF評価値の取得領域が再設定される。
【0085】
本実施形態2においては、実施形態1におけるAF評価値を取得するエリア枠の変更に代えて、このAF評価値の取得領域を決定するために、図19のような画面内における十字マークの位置により、例えば第1〜第3ターゲット範囲内において識別を行う。この3つのいずれかのターゲット範囲に十字マークが入っているかによって、AF評価値の取得領域は変更される。
【0086】
例えば、図20(a)に示すように十字マークが第1ターゲット範囲内に入っている場合は、AF評価値の取得領域は小さくなり、その領域が破線表示される。また、図20(b)のように十字マークが第2ターゲット範囲内にある場合は、第1ターゲット範囲内の取得領域よりは大きくなり、その領域が破線表示される。図20(c)に示すように、第3ターゲット範囲内にあっては、さらに大きなAF評価値の取得領域とする。
【0087】
なお、実施形態2において、十字マークの位置する3つのターゲット領域によりAF評価値の取得領域を変動させているが、このターゲット領域は画面内において3つ以上、または3つ未満でも問題はなく、そのターゲット範囲も任意の矩形領域に設定しても良い。
【0088】
また、実施形態1,2において、初期設定のAF評価値の取得領域が変更された場合に、当然のことながら出力値が上下に変動することになる。例えば、初期設定のAF評価値の取得領域において、レンズ位置によるAF評価値の軌跡が、図21(a)に示すような特性であった場合、AF評価値の取得領域を小さくした場合には、図21(b)に示すように全体の評価値が下がり、ピーク位置の検出が困難になる可能性も考えられる。このような場合、AF評価値の取得領域の変更後、AF評価値を取得したときには高周波成分抽出フィルタをさらに強調させることによって、AF評価値を大きくして処理を行っても良い(図21(c)参照)。
【0089】
本実施形態1,2のように、AF評価値を取得する領域を変更する手段を設けることにより、被写体に適したAFスキャンを行うことが可能となる。そのため、被写体が極端に小さい場合や、被写体の凹凸が大きい場合、また背景に影響を受けるような被写体環境下においてのAF評価値を用いる合焦精度が向上でき、被写体に適したAFスキャンが可能となり、正確なAF動作を実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明に係る撮像装置および撮像方法は、AF評価値を検出する取得領域を被写体に応じて位置や枠サイズを変更して、被写体の大きさや、その凹凸の影響を受けることなく、正確なAF動作を実行することができ、焦点等の自動検出に係り、マクロ撮影時などにおける検出処理として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施形態におけるデジタルスチルカメラの外観を示す(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は背面図
【図2】デジタルカメラ内部のシステム構成の概要を示すブロック回路図
【図3】デジタルカメラのメイン処理を示すフローチャート
【図4】静止画記録のタイミングチャート
【図5】焦点調節について説明する図
【図6】(a)〜(c)はAFの撮影レンズを移動するレンズ駆動範囲を説明する図
【図7】撮影レンズの準備駆動を示すフローチャート
【図8】(a),(b)は撮影レンズの準備駆動を説明する図
【図9】外部出力表示の場合の準備駆動を示すフローチャート
【図10】デジタルカメラのメイン処理におけるAEの処理を示すフローチャート
【図11】(a)〜(c)は左右センサの輝度信号を比較し、位相差Lから距離の算出を説明する図
【図12】表示部の輝度レンジとエリア個数の関係を示すヒストグラム
【図13】表示部の輝度レンジとエリア個数の関係を示す別ヒストグラム
【図14】推奨設定生成部の(a)はEvシフト値のテーブル、(b)は補正演算したEvシフト値のテーブルを示す図
【図15】推奨設定生成部の多点測距データから距離の検知を説明する図
【図16】デジタルカメラのマクロモード設定時の表示例を示す図
【図17】(a)〜(c)はエリア位置の変更モードの動作を説明する図
【図18】(a)〜(e)はエリア枠の変更モードの動作を説明する図
【図19】AF評価値の取得領域を決定する範囲を説明する図
【図20】(a)〜(c)は取得領域によりエリア枠の変更を説明する図
【図21】(a)取得領域に応じた評価値の変化および補正した結果を示す図
【符号の説明】
【0092】
1’ LCDモニタ
11 撮影レンズ
12 メカニカルシャッタ
13 CCD
14 F/E−IC
14a CDS回路
14c A/D変換器
15 DSP部
16 モータドライバ
17 CCD駆動回路部
18 CPU
19 メモリ
20 通信ドライバ
21 メモリカード
22 表示部
23 操作部
24 第1外部装置
25 第2外部装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点等の自動検出に係り、マクロ撮影時などにおいて自動的に検出処理を行う撮像装置および撮像方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、焦点検出を自動で行う撮像装置において、測距エリアを移動することにより任意の位置の被写体の測距を可能とした技術が提案されている。例えば、特許文献1には、主要被写体が撮影範囲の中央部分に存在しない場合であっても、カメラの向きを調整することなく、主要被写体に焦点を合わせること、また、特許文献2には、撮像エリアを移動させ、その時点での撮像エリアの位置を記憶回路に記憶させ、焦点調節制御を行う際に、撮像エリアとして記憶回路に記憶された撮像エリアを設定することで、任意の撮影エリアに含まれる被写体に合焦させることが記載されています。
【0003】
また、デジタルスチルカメラ等の電子撮像装置には、一般的に、自動的に焦点を合わせるオートフォーカス(以下、AFという)の機能が搭載されている。その方法として、特許文献3に記載されている山登りAF制御が広く用いられている。
【0004】
この山登りAF制御は、1フィールドまたは1フレーム毎に得られた映像信号から高周波成分または近接画素の輝度差の積分値を求め、これを合焦度合いを示すAF評価値とする。合焦状態にあるときは、被写体のエッジ部分がはっきりしているためAF評価値が大きくなり、非合焦状態のときはAF評価値が小さくなることから、AF動作実行時は、撮影レンズを移動させながらこのAF評価値を順次取得していき、AF評価値が最も大きくなったところを合焦点として、撮影レンズを停止する制御を行う。
【0005】
デジタルスチルカメラ等のスチル画像を撮像する装置では、一般的にビデオカメラ等の動画を撮影する装置に比べ厳密な合焦が要求されるため、撮影動作のたびにAF動作を行うか、記録モードにおいて常に合焦動作を繰り返し行っている。
【0006】
また、デジタルスチルカメラにおいて、合焦位置とする各レンズ位置に、実際に駆動してAF評価値の取得を行う走査駆動が行われることから時間を要し、このため使用者が撮影チャンスを逃すおそれがあることから、特許文献4には、これを回避するため使用者が予め設定した撮影モードにより、レンズ位置を駆動するものが提案されている。
【特許文献1】特開2001−159730号公報
【特許文献2】特開2004−86160号公報
【特許文献3】特公昭39−5265号公報
【特許文献4】特開2001−311977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような構成のデジタルスチルカメラは、測距エリアを移動させたとしても、撮影被写体との距離が非常に近いマクロモードにおいては、物体の大小や、細かい凹凸により最適なAF評価値が得られないという問題が生じている。
【0008】
この問題はAF評価値を取得する領域(エリア)が大きすぎる、または小さすぎるために起こる現象であり、そのため被写体に適した取得領域を決定できるようなデジタルスチルカメラが望まれている。またマクロモードでは被写体深度が浅くなってしまうために、通常撮影以上に合焦精度が要求される。
【0009】
このため、前述の特許文献1に開示されたものでは、撮影範囲の中央部分に存在しない場合に、タッチパネルで合焦場所を指定して、デジタルスチルカメラの向きを調整することなく、主要被写体に焦点を合わせることはできるが、主要被写体の大きさにより、フォーカスブロック(AF評価値の取得領域)を変更できないため、特に、被写体が小さい場合に背景側に偽合焦してしまうという問題があった。
【0010】
同様に、特許文献2に開示されているものでは、予め記憶回路にて記憶された撮影エリアに移動させて、任意の場所での焦点調整は可能であるが、前述したような問題については改善されないままである。
【0011】
本発明は、前記従来技術の問題を解決することに指向するものであり、AF評価値を検出する取得領域(エリア)の位置や大きさを被写体に応じて変更することにより、被写体の大きさや、その凹凸の影響を受けることなく、正確なAF動作を実行することができる撮像装置および撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載した撮像装置は、撮影レンズを通過した光による被写体像を受光して画像データを得る撮像装置において、撮影レンズを光軸方向に移動させながら被写体像内のコントラスト検出領域からコントラストを検出することによって焦点を検出する自動焦点検出手段と、コントラスト検出領域の大きさを変更するコントラスト領域変更手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載した撮像装置は、請求項1記載の撮像装置であって、コントラスト領域変更手段により変更したコントラスト検出領域を表示するコントラスト領域表示手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載した撮像装置は、請求項1または2記載の撮像装置であって、少なくとも通常撮影モード,マクロ撮影モードを選択する撮影モード選択手段と、撮影モード選択手段がマクロ撮影モードの選択時に、自動焦点検出手段のコントラスト検出領域を移動するコントラスト領域移動手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載した撮像装置は、請求項3記載の撮像装置であって、コントラスト領域移動手段が移動するコントラスト検出領域の移動が所定の範囲を越えたとき、コントラスト領域変更手段がコントラスト検出領域の大きさを変更することを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に記載した撮像方法は、撮影レンズを通過した光による被写体像を受光して画像データを得る撮像方法において、撮影レンズを光軸方向に移動させながら被写体像内のコントラスト検出領域からコントラストを検出することによって焦点を検出する自動焦点検出工程と、コントラスト検出領域の大きさを変更するコントラスト領域変更工程と有することを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に記載した撮像方法は、請求項5記載の撮像方法であって、コントラスト領域変更工程により変更したコントラスト検出領域を表示するコントラスト領域表示工程を有することを特徴とする。
【0018】
また、請求項7に記載した撮像方法は、請求項5または6記載の撮像方法であって、少なくとも通常撮影モード,マクロ撮影モードを選択する撮影モード選択工程と、撮影モード選択工程がマクロ撮影モードの選択時に、自動焦点検出工程のコントラスト検出領域を移動するコントラスト領域移動工程を有することを特徴とする。
【0019】
また、請求項8に記載した撮像方法は、請求項7記載の撮像方法であって、コントラスト領域移動工程が移動するコントラスト検出領域の移動が所定の範囲を越えたとき、コントラスト領域変更手段がコントラスト検出領域の大きさを変更することを特徴とする。
【0020】
前記構成によれば、自動焦点検出手段が焦点検出に用いるコントラスト検出領域を被写体に応じて位置や枠サイズを変更することにより、焦点の正確な検出をすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、AF評価値を検出する取得領域を被写体に応じて位置や枠サイズを変更して、被写体の大きさや、その凹凸の影響を受けることなく、正確なAF動作を実行することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明における実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明の実施形態におけるデジタルスチルカメラ(以下、デジタルカメラという)の外観を示す(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は背面図である。また、図2はデジタルカメラ内部のシステム構成の概要を示すブロック回路図である。
【0024】
図1に示すように、デジタルカメラ本体の上面には、レリーズスイッチ(シャッタボタン)SW1、モードダイアルスイッチSW2、およびサブLCD(液晶ディスプレイ)1が配設されている。
【0025】
また、デジタルカメラ本体の正面には、撮影レンズを含む鏡胴ユニット7、光学ファインダ4、ストロボ発光部3、測距ユニット5、リモートコントロール受光部6が設けられている。
【0026】
デジタルカメラの背面には、電源スイッチSW13、LCDモニタ1’、AFLED8、ストロボLED9、広角方向ズームスイッチSW3、望遠方向ズームスイッチSW4、セルフタイマの設定・削除するセルフタイマスイッチSW5、メニュースイッチSW6、上移動・ストロボセットスイッチSW7、右移動スイッチSW8、ディスプレイスイッチSW9、下移動・マクロスイッチSW10、左移動・画像確認スイッチSW11、OKスイッチSW12、電源スイッチSW13が設けられている。カメラ本体の側面にはメモリカード/電池装填室の蓋2が設けられている。
【0027】
また、図2において、11は撮影レンズ、12はメカニカルシャッタ、13はCCD、14はCCDからの信号を相関二重サンプリングおよびA/D変換するCDS回路14a,A/D変換器14cを有するF/E(フロントエンド)−IC、15は、A/D変換されたデジタル信号を輝度Y,色差U,V信号に変換したり、YUVデータをJPEG圧縮する等のデジタル信号処理をするDSP部、16は、撮影レンズ11を駆動するフォーカス駆動、メカニカルシャッタ12のシャッタ開閉動作を駆動するモータドライバ部、17はCCD駆動回路部、18はカメラ全体を制御するCPU、19は撮像した画像データ,ファイルからのリードデータを一時期保持し、DSP部15およびCPU18のワークメモリとして使われるメモリ、20はカメラ外部との通信ドライバ、21はデジタルカメラの着脱可能なメモリカード、22はDSP部15からの映像出力信号をLCDに表示可能な信号に変換する表示コントローラとそれを表示するLCDからなる表示部、23はデジタルカメラ使用者の操作を可能とする操作部、24はデジタルカメラに接続される第1外部装置、25は第1外部装置24に接続できるパーソナルコンピュータ(PC)等の第2外部装置である。
【0028】
この第1外部装置24に 表示装置があれば、デジタルカメラ本体の表示部22がない構成も可能である。例えば、デジタルカメラ本体内の電池を充電する充電回路を内蔵している。また、音声コーデック26は、入力アナログ部からの信号をデジタル変換してDSP部15に送信したり、DSP部15から受信したデジタル音声データをアナログ変換して、出力アナログ部へ出力する。
【0029】
次に、デジタルカメラの動作概要を図1および図2を参照しながら説明する。図1に示すモードダイアルスイッチSW2を「記録モード」に設定することで、デジタルカメラが記録モードで起動する。モードダイアルスイッチSW2の設定は、図2における操作部23に含まれるモードダイアルスイッチSW2の状態が記録モードONになったことをCPU18が検知し、モータドライバ16を制御して、鏡胴ユニット7を撮影可能位置に移動させる。さらにCCD13,F/E(フロントエンド)−IC14,表示部22等の各部に電源を投入して動作を開始させる。
【0030】
各部の電源が投入されると、まず、ファインダモードの動作が開始される。このファインダモードでは、撮影レンズ11を通して撮像素子(CCD13)に入射した光は、電気信号に変換されてアナログ信号のR,G,BとしてCDS回路14a,A/D変換器14cに送られる。A/D変換器14cでデジタル信号に変換されたそれぞれの信号はデジタル信号処理IC内のYUV変換部でYUV信号に変換されて、メモリコントローラによってメモリ19に書き込まれる。このYUV信号はメモリコントローラに読み出されて、表示出力制御部を介してTVやLCDモニタ1’へ送られて表示が行われる。この処理が1/30秒間隔で行われ、1/30秒毎に更新されるファインダモードの表示となる。
【0031】
また、デジタル信号処理ICのCCDI/Fブロック内に取り込まれたデジタルRGB信号より、画面の合焦度合いを示すAF評価値が算出される。AF評価値データは、特徴データとしてCPU18に読み出されて、AFの処理に利用される。また、AF評価値を取得する領域は、画面の水平・垂直ラインのうちの数十パーセントを用いることで、計算量の削減や、画面内の背景の影響を受けない最適な評価値を得ることができる。
【0032】
AF評価値は、例えば高周波成分抽出フィルタの出力積分値や、近接画素の輝度差の積分値によって作成される。本発明のデジタルカメラでは高周波成分抽出フィルタを用いることにする。また、この高周波成分抽出フィルタは撮影環境に合わせて変更可能なものにしておくと良い。
【0033】
合焦状態にあるときは、被写体のエッジ部分がはっきりとしているため、高周波成分が一番高くなる。これを利用して、AFによる合焦検出動作時は、それぞれの撮影レンズ位置におけるAF評価値を取得して、その極大になる点を合焦位置としてAFを実行する。
【0034】
いま、図1のレリーズスイッチSW1(シャッタボタン)が操作されると、合焦位置検出であるAFの動作と静止画記録処理が行われる。レリーズスイッチSW1が押され、図2の操作部23から静止画撮影開始信号がCPU18に取り込まれると、CPU18がフレームレートに同期してモータドライバ16を介して撮影レンズ11を駆動することにより山登りAFを実行する。合焦範囲が無限から至近までの全領域であった場合、撮影レンズ11は至近から無限、または無限から至近までの間の各フォーカス位置を移動し、デジタル信号処理ICで作成された各フレーム(=各フォーカス位置)におけるAF評価値をCPU18が読み出す。各フォーカス位置のAF評価値が極大になる点を合焦位置として、撮影レンズ11を合焦位置に移動する。
【0035】
AF完了後にCCD13から取り出されたアナログRGB信号はデジタルRGB信号に変換され、デジタル信号処理ICを介してメモリ19に格納される。デジタルRGB信号は再度デジタル信号処理回路(DSP部15)に読み込まれYUVデータに変換されて、メモリ19に書き戻される。
【0036】
また、スチル画像撮像時はYUV変換された画像データがデジタル信号処理IC内の画像圧縮伸張回路に送られる。画像圧縮伸張回路に送られたYUVデータは圧縮されてメモリ19に書き戻される。このメモリ19の圧縮データはデジタル信号処理回路(DSP部15)を介して読み出され、データ記憶メモリ(例えば、メモリカード21)に格納される。
【0037】
さらに、本実施形態のデジタルカメラについて、図3に示すデジタルカメラの記録時におけるメイン処理のフローチャートに基づき、図1,図2を参照しながら説明する。なお、本実施形態のデジタルカメラにおいては、静止画,動画,音声を記録できるものとする。
【0038】
図1に示すデジタルカメラのモードダイアルスイッチSW2を「記録モード」として、デジタルカメラの電源をONすると、図示しないが、カメラ内部のハードウェアの初期化、メモリカード内のファイル情報をメモリ19内に作成するなどの記録準備処理を行う。その後、記録のメイン処理が開始される。
【0039】
メイン処理では、モニタリング状態であるか否かを確認し(S1)、モニタリング停止状態のとき(処理S1のYes)、現在の状態が記録動作中か否かを確認(S2)、記録動作中でない場合(処理S2のNo)、モニタリング処理を開始する(S3)。このモニタリング状態はメイン処理に、最初に入った場合実行されることになる。
【0040】
このモニタリング処理は、デジタルカメラの受光した被写体像を表示部22にスルー画像として表示して、この際にAE(Automatic Exposure),AWB(Auto White Balance)追尾処理を実行するものであり、これにより、デジタルカメラの表示部22に表示している画像を、いつも適正な明るさ、自然な色合いに保つことができる。具体的には、撮像部のデータからデジタル画像処理を行うため各AE,AWBに対する評価値をCPU18で取得し、その値が所定値になるように、CCD駆動回路部17に露光時間をセットしたり、DSP部15の画像処理色パラメータを調節したりするフィードバック制御を行う。
【0041】
スイッチ判定処理として、デジタルカメラのスイッチから使用者操作を確認する(S4)。このスイッチ判定処理は、20ms毎の定期タイマ割り込み処理で入力されるスイッチ情報を確定して動作モードの判断を行う情報を取得する。動作モードの判断としては、撮影時のAE/AF処理,静止画記録処理,動画記録開始処理,動画記録終了処理,音声記録開始処理,音声記録終了処理等の各処理ブロックに作業を振り分ける働きをする。
【0042】
その一例として、静止画記録処理の画像をメモリカード21に記録するまでの動作を図1〜3を参照しながら説明する。
【0043】
図2に示す操作部23には、図1のレリーズスイッチSW1(シャッタボタン)があり、第1位置(半押し)と第2位置(さらに押し込む)の2段階のスイッチになっている。静止画撮影時は、第1位置にシャッタボタンが押されると、AE/AF処理を行う。CPU18は、モータドライバ16により撮影レンズ11を動かしフォーカスを合わせ、被写体像の画像データをDSP部15で評価し、CCD駆動回路部17に設定するCCD13の露光時間値を決める。
【0044】
図3に示すスイッチ判定処理(S4)において、第1位置の状態が判定された場合、次の動作モード判断(S5a)により静止画,動画,音声の動作モードが判断されて、それぞれの処理に移る。この例では静止画であることから、モニタリングを停止し(S6)、AE/AF処理して(S7)終了後には、再び処理S1へ戻る。また、スイッチ判定処理(S4)において、有効なスイッチ情報がなければ、何も処理をせず、前述の処理S1からのループを繰り返す。
【0045】
また、スイッチ判定処理(S4)において、第2位置の状態を判定した場合には、次の動作モード判断(S5b)により静止画の静止画記録処理(S8)を行う。CCD13からの撮像データは、DSP部15で画像処理,圧縮までが行われ、メモリ19に書き込まれる。CPU18は、画像圧縮データがメモリ19に格納されると、それをメモリカード21に書き込みを行う(S9)。
【0046】
このように図3に示すスイッチ判定処理(S4)において、静止画の場合は、第1位置の状態を継続して第2位置の状態へと移行すると、第2位置の状態を判定したとき静止画記録処理(S8)が実行され、撮影された静止画はメモリカード21まで書き込みが行われる(S9)。その後、撮影レンズ11を 次ぎの撮影に備えて、最適なレンズ位置に準備駆動する(S10)。また、図4に静止画記録のタイミングチャートを示す。なお動画,音声に係る処理については、本発明に直接関係しないので、説明は省略する。
【0047】
図5を参照しながら焦点調節について簡単に説明する。被写体A’が結像面Dに対して、最も焦点の合っているレンズ位置Aに制御する場合を考える。また、結像面DにはCCDなどの撮像素子が配置されている。ここで、人間の目では判別のつかない許容される「ぼけ」もあり、これを許容錯乱円σという。レンズ位置Aを中心に、被写体側のレンズ位置B、結像面側のレンズ位置Cでも同じ「ぼけ」量であるため、レンズ位置BからCの間であれば、焦点があっているとみなせ、この範囲に撮影レンズを制御する。逆に、レンズ位置Aであっても、前述の「ぼけ」のゆるされる範囲の被写体B’から被写体C’の距離にあるものには焦点があっているともいえる。これを焦点深度という。
【0048】
また、AFの動作について図6(a)〜(c)を用いて説明する。図6(a)に示すように、鏡胴ユニット7内で撮影レンズ11の移動するレンズ駆動範囲であり、無限遠結像位置から最至近結像位置の間で撮影レンズ11を駆動し、被写体の焦点調節を行う。合焦状態は、撮影データからのAF評価値で検出する。DSP部15は、CCD13のデータから輝度信号を作成し、そのデータにデジタルフィルタ処理を施し、所定の空間周波数成分のAF評価値を抽出する。一般に、レンズは被写体にピントがあっている場合には空間周波数は高く、ピントがあっていない場合には低い。
【0049】
撮影レンズ11を駆動しながら、各レンズ位置でAF評価値を取得する走査処理を行い、AF評価値が最も高い位置に、走査後の撮影レンズ11を駆動すればピントの最も合っている位置ということになる。
【0050】
レンズ駆動はパルスモータで行うとし、最至近と無限遠の間で10パルスあるとすると、撮影後の撮影レンズ11は任意位置にあるために、シャッタボタンが押され第1位置の状態のとき、一般には、まず、走査開始位置であるレンズ可動端に撮影レンズを駆動する。本実施形態では、走査を最至近から無限遠の方向に行うとして、走査開始位置である最至近結像位置に駆動する場合を考える。
【0051】
まず、撮影レンズ11の駆動には、停止位置での初期励磁10msと、走査開始位置までの駆動と、走査開始位置での停止励磁10msが必要である。走査開始位置までの駆動時間は、図6(b)に示すように、停止位置が無限遠結像位置であったとして、レンズ駆動範囲を10パルスとし、パルスモータを500ppsで駆動すると、20ms必要となり、初期位置から停止位置とするまでに合計40msかかることになる。
【0052】
続いて、コントラストのAF評価値を取得するには、CCD13の露光自体に数十msの時間をかけながら、レンズ駆動範囲の各レンズ位置を走査する。例えば、必要な露光時間が33msとし、全走査駆動するレンズ位置が10ポイントであれば330msの時間を要する。被写体の合焦位置が、走査範囲の中央とすると、停止励磁10msを加えて175msである(図6(c)参照)。このように、走査前の40msは焦点調節時間の23%に相当する。
【0053】
このため、次ぎの撮影時における合焦時間を短縮するようなレンズ位置に自動で移動する準備駆動を行う。この準備駆動の処理について、図7のフローチャートに示すように、撮影後に目標レンズ位置を決定し(S17)、この位置にレンズを移動する準備駆動を行う(S18)。
【0054】
図8(a)に示すように、例えば目標レンズ位置を走査開始位置である最至近のレンズ位置Aとして、駆動する。または、前述したレンズの焦点深度により無限から手前の距離まで焦点があっている記録時のレンズ位置Bとして、駆動しても良い。また、被写体像のスルー画像を表示部に表示している場合に、デジタルカメラに内蔵する表示部が小さく、このため「ぼけ」の判別がつきにくいようなとき、CCDの結像面での許容錯乱円σの径を記録撮影時よりも大きくとるこができ、レンズ位置を走査開始位置の最至近により近づけたレンズ位置Cにすることができる。
【0055】
さらに、撮影から次の撮影までの時間が短いような場合には、同一被写体への撮影の可能性が高く、準備駆動も現在のレンズ位置から深度分を最至近側に移動させておき、次回の撮影時に、無限遠方向に無駄なく走査して、略同一距離の被写体の焦点位置を見つけることができる。また、所定の時間後に段階的に最至近へ移動する準備駆動を継続しても良い。
【0056】
デジタルカメラに撮像素子とは別に被写体との距離情報を得る手段として、光を投光して被写体からの反射光を受光した位置で三角測距し概略の距離を求める測距センサユニット(図2参照)を有するような場合、その距離情報から、次ぎの撮影時のAF動作における合焦時間が短縮されるようなレンズ位置に自動で準備駆動することも可能である。具体的には図8(b)に示すように、得た距離情報より演算で求まるレンズ位置Eから、準備駆動の走査をする方向とは逆方向に所定量ずれたレンズ位置Dとしておく。これにより、多少距離情報に誤差があったり、また被写体自体が動いたとしても、走査を開始した直後に合焦位置が得られる確立が高くなる。
【0057】
なお、本実施形態では、準備駆動において撮影時に最も合焦となるレンズ位置から多少移動させるため、正確にはぼけた状態になる。しかし、デジタルカメラに内蔵された小さな表示部においては、その「ぼけ」は判別つかずほとんど問題にはならない。表示機能を外部出力に切り替えられるデジタルカメラの場合には、「ぼけ」が判別できる場合も考えられるので、そのときには、図9のフローチャートに示す処理S19の処理により外部出力表示の場合、準備駆動に係る処理S17,S18を禁止すれば良い。
【0058】
また、図10は本実施形態の静止画撮影時のメイン処理におけるAEの処理を示すフローチャートであり、前述の図3に示したフローチャートにおいて説明した構成要件に対応し同等の処理を行うものには同一の符号を付す。
【0059】
AEの処理について図2を参照しながら図10に基づき説明する。静止画撮影時には、前述した図3の処理S1〜S4が行われ、シャッタボタンが第1位置の状態と判断されると、AE処理として撮像データをDSP部15で評価し、CCD駆動回路部17に設定するCCD13の露光時間値を決める。次に多点測距処理において、多点測距処理の測距データに従ってモータドライバ16により撮影レンズ11を駆動してフォーカスを合わせる。
【0060】
また、AE処理では、撮像画面の縦横を複数分割した各エリアの測光値を得て、その結果から後述する内容により自動で露出演算する。また、多点測距処理としては、図11(a)〜(c)に示すように、AF処理部は、左右別々の光学系のラインCCDからなるセンサの輝度信号を比較して、相関の強い信号同士の位相差Lから距離を三角測距の原理により算出する。これにより、ラインセンサ方向の複数のエリアの距離を測定する。一般に、多点測距データのうち、一番近距離のエリアを主要被写体として、その測距データに従って撮影レンズ11を駆動する。
【0061】
図10に示すスイッチ判定処理(S4)で、第1位置の状態が判定されると、AE処理,多点測距処理した結果の第1距離情報がメモリ19などに記憶される。終了後は、再び処理S1から繰り返され、スイッチ判定処理(S4)において、有効なスイッチ情報がなければ何もせず処理S1へ戻り、前述のループを繰り返す。
【0062】
ここで、スイッチ情報として第2位置の状態を判定すると、静止画の撮影をする。CCD13の撮像データは、DSP部15で画像処理、圧縮まで行われてメモリ19に書き込まれる。CPU18は、画像圧縮データがメモリ19に格納されると、それをメモリカード21に書き込みを行う。
【0063】
このように図10に示すスイッチ判定処理(S4)において、静止画の場合は、第1位置の状態を継続して第2位置の状態へと移行すると、第2位置の状態を判定したとき静止画記録処理(S8)が実行され、撮影された静止画はメモリカード21まで書き込みが行われる(S9)。その後、撮影レンズ11を次の撮影に備えて、最適なレンズ位置に準備駆動する(S10)。
【0064】
前述の通り、第1位置の状態のときに各エリアの明るさや距離の被写界情報を得ることができる。この被写界情報からデジタルカメラは制御部のプログラムに従って自動露出値や撮影レンズの合焦位置を演算出力する。
【0065】
一般的にはAE値は、表示部22の画面内における輝度分布のほぼ中央が適正露光量となるように演算される。撮影レンズ11の合焦位置(ピント位置)は、前述の通り多点測距データにより最も近距離の結果に対するレンズ位置を求める。多くの場合、主要被写体が画面中央であることから適正な露出やピント位置が得られる。使用者は、デジタルカメラの表示部22において、前述した処理結果の明るさやピント位置で被写界を確認できる。
【0066】
しかし、主要被写体が画面中央にない場合、例えば被写界の各エリアのコントラスト差が大きいときには、主要被写体が適当な露出になっているとは限らず、また、デジタルカメラにおいて、撮影後にPC等により画像補正することを前提として、やや露出アンダーに撮影する場合もある。
【0067】
これに対応するために、例えば全画面を縦横16×16の256エリアに分け、各輝度情報が得られる構成とし、輝度情報としては0から最大までの輝度を10の輝度レンジに分けてエリア個数別のヒストグラムを作成する。各輝度レンジの範囲に入るエリアの個数を求め、低域輝度スレッシュと高域輝度スレッシュを求める。
【0068】
この低域輝度・高域輝度スレッシュは、全エリア個数の1/4となる64個が占めるエリア個数の輝度レンジとし、図12に示すようなヒストグラムが得られた場合に、エリア個数0から64個目までは1〜3輝度レンジに入っているため低域輝度スレッシュを3輝度レンジとする。
【0069】
また、エリア個数の明るさ最大値から65個目は7〜10輝度レンジに入っていることから高域輝度スレッシュを6輝度レンジとする。低域と高域の輝度レンジのレンジ差は「6−3=3」となり、自動露出演算では、この輝度レンジの中央となる5輝度レンジの輝度が適正露光量となる露光(Ev)値を算出する。
【0070】
また、図13に示すようなヒストグラムである場合、低域輝度スレッシュの輝度レンジは2、高域輝度スレッシュの輝度レンジは8でありレンジ差は6となり、自動露出演算は5または6輝度レンジの輝度が適正露光量となるEv値を算出する。しかし、図13のヒストグラムでは、高域に分布するエリア個数が多く、画面全体に白っぽく露出が飛び気味の映像となる。
【0071】
これを回避して露出を補正するための推奨設定生成部を設け、この推奨設定生成部には、前述のようにレンジ差が大きい場合に、アンダー露出になるEvシフト値を持った図14(a)に示すテーブルを有している。例えば、使用者が推奨設定用の操作ボタンを操作すると、レンジ差(Δレベル):6から−0.3Evシフトする第1推奨設定から演算して、デジタルカメラの露出に反映して、表示部22にはその明るさで表示を行う。
【0072】
また、推奨設定生成部に、第1推奨設定とは異なる例えば−0.2Evシフトする第2推奨設定を設ける。再度、使用者が推奨設定用の操作ボタンを操作すると、第2推奨設定から演算した露出を反映した明るさで表示部22に表示する。この推奨設定を複数設けこれを選択することにより使用者が自分の所望する明るさに表示されたときに、シャッタボタンを操作すると、その露出の明るさで撮影ができる。
【0073】
また、本実施形態におけるデジタルカメラは、シャッタボタンを操作したときに合焦位置を求める合焦枠として、表示部22に表示する多点測距データを得る5つのa〜eポイントのうち自動で最至近のポイントを選択する。
【0074】
図15に示す表示例では、bポイントを選択して、bポイントを実線枠で表示する。撮影レンズ11は、bポイントの距離が最も合焦するように配置移動されるため、その後ろのdポイントの被写体B’は「ぼけ」ることになる。
【0075】
ここで、推奨設定生成部において、dポイントにも被写体B’があることを多点測距データから検知し、かつbポイントとdポイントの距離範囲が撮影レンズ11の被写界深度内にあった場合に、使用者が推奨設定用の操作ボタンを操作することによって、第1推奨設定として、bポイントとdポイントを表示部22に合焦枠の実線表示し、その両方の被写体でおおよそ合焦できるレンズ位置をとることを示す。この状態において、シャッタボタンを操作すると、被写体A’,B’のほぼピントのあった撮影ができる。
【0076】
前述した例では、図14(a)の固定テーブルから推奨値を算出していた。しかし、自動露出と手動による露出補正機能があるデジタルカメラの場合に、その使用者の所望する補正の度合いを推奨設定生成部で加味することもできる。例えば、レンジ差(Δレベル):10の被写界に対して、撮影者が手動で−1Evの補正をしたとする。この操作データを図14(b)の通り、推奨設定生成部の参照するテーブルに反映しても良い。つまり、レンジ差:10の元データ−0.8Evと手動補正の−1.0Evを平均化し、テーブル値を−0.9Evに更新すれば良い。もちろん、他のテーブル値も順次値を変更する。さらに、推奨設定生成部が参照するテーブルなどのデータは、デジタルカメラ内にある固定されたデータであったり、また、前述のようにデジタルカメラを実操作したデータで更新する他に、外部から入力できても良い。
【0077】
例えば、デジタルカメラにおいて、プロカメラマンのデータを入力すれば良い。入力手段としては、PCからのUSB等のインタフェースを介した通信などの手段が考えられる。
【0078】
また、前述した推奨設定生成部の処理は、図10に示したフローチャートのスイッチ判定処理(S4)において、第1位置、第2位置の状態判定に加え、推奨設定用の操作ボタンの操作における判定を行う。この推奨設定用の操作ボタンの判定により前述した推奨設定の演算処理を実施し(S20)、この推奨設定に基づいて表示部で表示処理をする(S21)。また、この推奨設定の演算処理が実施され、さらに前述した第2位置の状態を判定して(S5b)静止画の場合、静止画記録処理(S8)を行う際に、露出補正等は推奨設定に基づき処理が行われる。
【0079】
次に、本発明の実施形態1におけるデジタルカメラの動作について図16を参照しながら説明する。図16はデジタルカメラの撮影モード選択を行う指示によってマクロモードを設定したときのLCDモニタ(表示部)の表示画面を示す図である。図1に示すデジタルカメラのレリーズスイッチSW1は、前述したように2段階のスイッチになっており、半押し(第1位置)で合焦動作を行い、さらに押し込む(第2位置)ことにより記録動作を実行する。このときの合焦動作は、図16の画面に表示された十字マークの位置に基づいてその十字マークを囲むような矩形領域をAF評価値の取得領域(例えば、山登りAF制御に用いるコントラストを得るコントラスト検出領域であるエリア)として設定し、実行している。
【0080】
なお、前述の図15に示した例では、複数のポイントの中から選択してAE/AF処理を行っていたが、本実施形態1では、1つのエリアとして、その位置および枠サイズを任意に変更する。また、前述の多点測距データを得るため、AF評価値を検知するエリアの変更を使用者の指示する操作により行うものである。
【0081】
例えば、図2に示す表示部22が図16に示す状態のときに、下移動スイッチSW10を押すと図17(a)のようなエリア位置変更モード設定画面へ変更され、また上移動スイッチSW7を押すと図18(a)のようなエリア枠変更モード設定画面へと変更される。ここでエリア位置変更モードは画面上でのAF評価値の取得領域の移動することを可能とするモードであり、またエリア枠変更モードではAF評価値の取得領域の大きさを変更することを可能とするモードである。
【0082】
多点測距データを得るためAF評価値を検知するエリアとして、操作部23からの使用者の指示に基づくCPU18の処理によって、図17(a)に示すエリア位置変更モードのときには、上,下,左,右移動スイッチSW7,10,11,8のいずれかを押すと画面中心に表示されている十字マークを移動させることができる。画面内の任意の場所に移動させ(図17(b)参照)、その後、OKスイッチSW12を押すと十字マークがその位置に固定される(図17(c)参照)。固定した際にAF評価値を取得する領域が再設定される。これは、上下左右の各移動スイッチ一回の押下に対する、AF評価値領域の移動量が予めROM等のメモリ上に格納されているため、位置を固定した際にそのスイッチの押された回数から計算し、移動・設定することが可能である。
【0083】
また、エリア枠変更モードでは図18(a)の画面のように、使用者の入力指示によりAF評価値の取得領域(破線で表示)が新たに表示部22に追加表示される。このとき、左,右移動スイッチSW11,SW8を押すことによりこの破線表示の枠サイズが変更される。ここでは左移動スイッチSW11が縮小、右移動スイッチSW8が拡大するようにしている(図18(b),(c)参照)。任意の枠の大きさに拡大・縮小させ、その後、OKスイッチSW12が押されると、その変更したAF評価値の取得領域が決定される(図18(d),(e)参照)。変更後の画面表示は、設定したAF評価値の取得領域がデジタルカメラの初期設定された領域と異なっている場合は、実線の枠で表示され、再度エリア枠変更モードによる変更が行われるまで継続表示される。
【0084】
本発明の実施形態2におけるデジタルカメラの動作について説明する。本実施形態2においても、前述の実施形態1でした説明と同様に、図16のマクロモード設定のLCD表示画面にて、図17(a)のエリア位置変更モード画面へ変更され、画面中心に表示の十字マークとAF評価値の取得領域を画面内の任意の場所に移動し、位置を固定した際にAF評価値の取得領域が再設定される。
【0085】
本実施形態2においては、実施形態1におけるAF評価値を取得するエリア枠の変更に代えて、このAF評価値の取得領域を決定するために、図19のような画面内における十字マークの位置により、例えば第1〜第3ターゲット範囲内において識別を行う。この3つのいずれかのターゲット範囲に十字マークが入っているかによって、AF評価値の取得領域は変更される。
【0086】
例えば、図20(a)に示すように十字マークが第1ターゲット範囲内に入っている場合は、AF評価値の取得領域は小さくなり、その領域が破線表示される。また、図20(b)のように十字マークが第2ターゲット範囲内にある場合は、第1ターゲット範囲内の取得領域よりは大きくなり、その領域が破線表示される。図20(c)に示すように、第3ターゲット範囲内にあっては、さらに大きなAF評価値の取得領域とする。
【0087】
なお、実施形態2において、十字マークの位置する3つのターゲット領域によりAF評価値の取得領域を変動させているが、このターゲット領域は画面内において3つ以上、または3つ未満でも問題はなく、そのターゲット範囲も任意の矩形領域に設定しても良い。
【0088】
また、実施形態1,2において、初期設定のAF評価値の取得領域が変更された場合に、当然のことながら出力値が上下に変動することになる。例えば、初期設定のAF評価値の取得領域において、レンズ位置によるAF評価値の軌跡が、図21(a)に示すような特性であった場合、AF評価値の取得領域を小さくした場合には、図21(b)に示すように全体の評価値が下がり、ピーク位置の検出が困難になる可能性も考えられる。このような場合、AF評価値の取得領域の変更後、AF評価値を取得したときには高周波成分抽出フィルタをさらに強調させることによって、AF評価値を大きくして処理を行っても良い(図21(c)参照)。
【0089】
本実施形態1,2のように、AF評価値を取得する領域を変更する手段を設けることにより、被写体に適したAFスキャンを行うことが可能となる。そのため、被写体が極端に小さい場合や、被写体の凹凸が大きい場合、また背景に影響を受けるような被写体環境下においてのAF評価値を用いる合焦精度が向上でき、被写体に適したAFスキャンが可能となり、正確なAF動作を実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明に係る撮像装置および撮像方法は、AF評価値を検出する取得領域を被写体に応じて位置や枠サイズを変更して、被写体の大きさや、その凹凸の影響を受けることなく、正確なAF動作を実行することができ、焦点等の自動検出に係り、マクロ撮影時などにおける検出処理として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施形態におけるデジタルスチルカメラの外観を示す(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は背面図
【図2】デジタルカメラ内部のシステム構成の概要を示すブロック回路図
【図3】デジタルカメラのメイン処理を示すフローチャート
【図4】静止画記録のタイミングチャート
【図5】焦点調節について説明する図
【図6】(a)〜(c)はAFの撮影レンズを移動するレンズ駆動範囲を説明する図
【図7】撮影レンズの準備駆動を示すフローチャート
【図8】(a),(b)は撮影レンズの準備駆動を説明する図
【図9】外部出力表示の場合の準備駆動を示すフローチャート
【図10】デジタルカメラのメイン処理におけるAEの処理を示すフローチャート
【図11】(a)〜(c)は左右センサの輝度信号を比較し、位相差Lから距離の算出を説明する図
【図12】表示部の輝度レンジとエリア個数の関係を示すヒストグラム
【図13】表示部の輝度レンジとエリア個数の関係を示す別ヒストグラム
【図14】推奨設定生成部の(a)はEvシフト値のテーブル、(b)は補正演算したEvシフト値のテーブルを示す図
【図15】推奨設定生成部の多点測距データから距離の検知を説明する図
【図16】デジタルカメラのマクロモード設定時の表示例を示す図
【図17】(a)〜(c)はエリア位置の変更モードの動作を説明する図
【図18】(a)〜(e)はエリア枠の変更モードの動作を説明する図
【図19】AF評価値の取得領域を決定する範囲を説明する図
【図20】(a)〜(c)は取得領域によりエリア枠の変更を説明する図
【図21】(a)取得領域に応じた評価値の変化および補正した結果を示す図
【符号の説明】
【0092】
1’ LCDモニタ
11 撮影レンズ
12 メカニカルシャッタ
13 CCD
14 F/E−IC
14a CDS回路
14c A/D変換器
15 DSP部
16 モータドライバ
17 CCD駆動回路部
18 CPU
19 メモリ
20 通信ドライバ
21 メモリカード
22 表示部
23 操作部
24 第1外部装置
25 第2外部装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズを通過した光による被写体像を受光して画像データを得る撮像装置において、
撮影レンズを光軸方向に移動させながら前記被写体像内のコントラスト検出領域からコントラストを検出することによって焦点を検出する自動焦点検出手段と、前記コントラスト検出領域の大きさを変更するコントラスト領域変更手段とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の撮像装置であって、前記コントラスト領域変更手段により変更したコントラスト検出領域を表示するコントラスト領域表示手段を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の撮像装置であって、少なくとも通常撮影モード,マクロ撮影モードを選択する撮影モード選択手段と、前記撮影モード選択手段がマクロ撮影モードの選択時に、自動焦点検出手段のコントラスト検出領域を移動するコントラスト領域移動手段を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項3記載の撮像装置であって、前記コントラスト領域移動手段が移動するコントラスト検出領域の移動が所定の範囲を越えたとき、コントラスト領域変更手段が前記コントラスト検出領域の大きさを変更することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
撮影レンズを通過した光による被写体像を受光して画像データを得る撮像方法において、
撮影レンズを光軸方向に移動させながら被写体像内のコントラスト検出領域からコントラストを検出することによって焦点を検出する自動焦点検出工程と、前記コントラスト検出領域の大きさを変更するコントラスト領域変更工程と有することを特徴とする撮像方法。
【請求項6】
請求項5記載の撮像方法であって、前記コントラスト領域変更工程により変更したコントラスト検出領域を表示するコントラスト領域表示工程を有することを特徴とする撮像方法。
【請求項7】
請求項5または6記載の撮像方法であって、少なくとも通常撮影モード,マクロ撮影モードを選択する撮影モード選択工程と、前記撮影モード選択工程がマクロ撮影モードの選択時に、自動焦点検出工程のコントラスト検出領域を移動するコントラスト領域移動工程を有することを特徴とする撮像方法。
【請求項8】
請求項7記載の撮像方法であって、前記コントラスト領域移動工程が移動するコントラスト検出領域の移動が所定の範囲を越えたとき、コントラスト領域変更手段が前記コントラスト検出領域の大きさを変更することを特徴とする撮像方法。
【請求項1】
撮影レンズを通過した光による被写体像を受光して画像データを得る撮像装置において、
撮影レンズを光軸方向に移動させながら前記被写体像内のコントラスト検出領域からコントラストを検出することによって焦点を検出する自動焦点検出手段と、前記コントラスト検出領域の大きさを変更するコントラスト領域変更手段とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の撮像装置であって、前記コントラスト領域変更手段により変更したコントラスト検出領域を表示するコントラスト領域表示手段を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の撮像装置であって、少なくとも通常撮影モード,マクロ撮影モードを選択する撮影モード選択手段と、前記撮影モード選択手段がマクロ撮影モードの選択時に、自動焦点検出手段のコントラスト検出領域を移動するコントラスト領域移動手段を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項3記載の撮像装置であって、前記コントラスト領域移動手段が移動するコントラスト検出領域の移動が所定の範囲を越えたとき、コントラスト領域変更手段が前記コントラスト検出領域の大きさを変更することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
撮影レンズを通過した光による被写体像を受光して画像データを得る撮像方法において、
撮影レンズを光軸方向に移動させながら被写体像内のコントラスト検出領域からコントラストを検出することによって焦点を検出する自動焦点検出工程と、前記コントラスト検出領域の大きさを変更するコントラスト領域変更工程と有することを特徴とする撮像方法。
【請求項6】
請求項5記載の撮像方法であって、前記コントラスト領域変更工程により変更したコントラスト検出領域を表示するコントラスト領域表示工程を有することを特徴とする撮像方法。
【請求項7】
請求項5または6記載の撮像方法であって、少なくとも通常撮影モード,マクロ撮影モードを選択する撮影モード選択工程と、前記撮影モード選択工程がマクロ撮影モードの選択時に、自動焦点検出工程のコントラスト検出領域を移動するコントラスト領域移動工程を有することを特徴とする撮像方法。
【請求項8】
請求項7記載の撮像方法であって、前記コントラスト領域移動工程が移動するコントラスト検出領域の移動が所定の範囲を越えたとき、コントラスト領域変更手段が前記コントラスト検出領域の大きさを変更することを特徴とする撮像方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−52022(P2008−52022A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227757(P2006−227757)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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