説明

放熱基板とその製造方法及び電源ユニット及びプラズマ表示装置

【課題】PDP(プラズマディスプレイパネル)等の電源ユニットに使われるコイルのインダクタンス値がばらついても、プラズマテレビの電力損の最小化に影響を与えない電源ユニットを提供する。
【解決手段】金属板11の上に、リードフレーム12を埋め込んだシート状の伝熱樹脂部10を固定し、更に前記リードフレーム12の一部を前記伝熱樹脂部10に埋め込んだ状態で略90度折り曲げたコイル20とし、更にコイル20の略中央部に形成した孔16にフェライトコア17を挿入し、インダクタンス値(L成分)を調整することで、プラズマテレビの電力損を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ表示装置(プラズマテレビを含む)や車載用の電源ユニット等に使われる放熱基板とその製造方法及び電源ユニット及びプラズマ表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プラズマ表示装置や車載用の電源ユニット等は放熱が課題となるため、放熱基板が用いられることが多い。以下、PDP(プラズマディスプレイパネル)等に用いられる放熱基板を例に説明するが、民生用機器や車載用の電源ユニット等に応用できることは言うまでもない。
【0003】
プラズマテレビの電源ユニットでの放熱について、図9を用いて説明する。図9は、従来のプラズマテレビの電源ユニットの一例を示す斜視図であり、例えば特許文献1に相当する。図9において、回路基板1の上に、コンデンサ2等の電子部品が実装されている。なおヒートシンク3の下部に平面コイル素子やパワー系の半導体(共にヒートシンク3の影に隠れるので図示していない)が実装されている。
【0004】
例えばプラズマテレビ用の電源ユニット(例えば、電力回収回路)では、110V近くの電圧で、LC発振(詳細は、後述する図10(A)、(B)を用いて説明する)を起こしながら、最大100A近くの大電流が流れる。そのためプラズマテレビ用の電源ユニットは、放熱が必須であり、基板には放熱性が要求される。そのため図9に示すように、発熱を伴う平面コイル素子や半導体(共に図9では図示していない)は、巨大なヒートシンク3を使って放熱を行っている。
【0005】
そしてプラズマテレビでは、放熱性と同時に更なる低消費電力化が必要となる。次に、図10(A)、(B)を用いて、プラズマテレビ(あるいはプラズマ表示装置)の電源ユニットの一部である電力回収回路における消費電力化について説明する。
【0006】
図10(A)、(B)は、プラズマテレビに使われる電源のブロック図及び回路図である。図10(A)は、プラズマテレビに使われる電源のブロック図の一例である。図10(A)において、中央のプラズマパネル4は表示部(例えば画像が表示されるプラズマパネル)に相当するが、回路的には一種のコンデンサ(あるいは負荷容量、C成分)として機能する。そして中央のプラズマパネル4の左側にはスキャン側の電力回収回路5が、右側にはサステイン側の電力回収回路6が形成されている。そしてこれらスキャン側の電力回収回路5やサステイン側の電力回収回路6と、中央部のプラズマパネル4との間でLC発振させることで、低消費電力化を行っている。
【0007】
図10(B)は、プラズマテレビに使われる電源の回路図の一例であり、プラズマパネル4をLC発振させる様子を示す回路図に相当する。図10(B)において、プラズマパネル4の左側にはスキャン側の電力回収回路5が、プラズマパネル4の右側にはサステイン側の電力回収回路6が設置されている。
【0008】
図10(B)においてスキャン側の電力回収回路5は、インダクタンス形成用のコイル7aを始めとして、コンデンサC1や、パワー系の半導体素子からなるスイッチS1〜S4、ダイオードD1〜D2等から形成されている。同様にサステイン側の電力回収回路6は、インダクタンス形成用のコイル7bを始めとして、コンデンサC2や、パワー系の半導体素子からなるスイッチS5〜S8、ダイオードD3〜D4等から形成されている。そして図10(B)に示すように、プラズマパネル4を一種の負荷容量(C成分)と、スキャン側の電力回収回路5のコイル7aやサステイン側の電力回収回路6のコイル7bをインダクタンス(L成分)とする。そして前記C成分と前記L成分との間でLC発振を起こすことで、プラズマディスプレイの消費電力化の削減を行っている。なお必要な電力は、(Vsus)から供給する。
【0009】
従来こうした電力回収回路のインダクタンス部品(例えば、図10(A)、(B)におけるコイル7a、7b)には、市販の巻き線型コイルが使われていた。しかし市販の巻き線型コイルのインダクタンス値(L成分)は、±20%程度のバラツキを有している。
【0010】
一方、プラズマディスプレイを構成するプラズマパネル(図10(A)、(B)でプラズマパネル4として図示した部分)の容量値(例えばプラズマパネル4のC成分)も、一定のバラツキを有している。その結果、±20%程度のバラツキを有しているコイル部品(L成分)と、一定のバラツキを有しているプラズマパネル(C成分)を組み合わせた場合、互いのバラツキが重畳され、プラズマテレビにおけるLC発振の最適化に影響を及ぼす可能性がある。
【特許文献1】特開2004−273937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように前記従来の構成では、プラズマパネル4の負荷容量(C成分)とコイル7a、7bのL成分を用いたLC発振により電力を供給/回収する電力回収回路を用いて省電力化を行おうとした場合に、L成分やC成分のバラツキがLC発振の最適化による低消費電力化に影響を与えてしまう可能性があるという課題を有していた。
【0012】
本発明では、上記のような課題を解決するため、コイルのインダクタンスを可変とし、プラズマパネルの特性バラツキ(例えばC成分のバラツキ)を吸収しながらLC発振等の最適化を行い、プラズマテレビにおける低消費電力化を実現させようとするものである。
【0013】
その結果、一定量のバラツキを有するプラズマパネルであっても、個々にLC発振を最適化することができ、プラズマテレビの低消費電力化を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は、金属板と、前記金属板上に固定したシート状の、無機フィラーと樹脂とからなる伝熱樹脂部と、前記伝熱樹脂部に埋め込んだ、一部にコイルパターンを有するリードフレームと、からなる放熱基板であって、前記コイルパターンの少なくとも一部分以上は、前記伝熱樹脂部に埋め込んだ状態で、前記リードフレームから略90度折り曲げた放熱基板としたものである。
【0015】
このような放熱基板の構成によって、伝熱樹脂部に埋め込んだ状態で、少なくとも一部が他のリードフレームや金属板からなる平面から略90度折り曲げたコイルパターンを、電力回収回路におけるインダクタンス部分(L成分)とすることができる。そして、このインダクタンス部分(L成分)を可変としたことで、例えばプラズマテレビを製造した後であっても(あるいは製造途中であっても)、例えばフェライトコアの位置に応じてその値を増減できる。
【0016】
その結果、本発明の放熱基板とその製造方法及び、これを用いた電源ユニット及びプラズマ表示装置において、1台1台プラズマパネルの容量値(いわゆるC成分)に応じて、LC発振を最適化調整できるため、消費電力の低減が可能となる。
【0017】
またリードフレーム(及びリードフレームから構成したコイル部分)の成形を金型で行うことで、コイル部分のインダクタンス値の高精度化や低コスト化ができる。またリードフレーム(及び前記リードフレームから形成したコイル部分の一部分以上)を前記伝熱樹脂部に埋め込むことで、その寸法安定性、放熱性を高める効果も得られる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の放熱基板とその製造方法及び、これを用いた電源ユニット及びこれを用いたプラズマ表示装置によれば、プラズマパネルの負荷容量(C成分)にバラツキが発生した場合、コイル部分のインダクタンス値(L成分)を調整することで、その特性バラツキ等に起因する電力損を最小に抑えることができ、プラズマテレビを始めとする各種機器の低消費電力化を実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(実施の形態)
実施の形態として、放熱基板について図1を用いて説明する。図1(A)、(B)は、実施の形態における放熱基板の斜視図及び断面図である。図1(A)、(B)において、10は伝熱樹脂部、11は金属板、12はリードフレーム、13はパワーデバイス、14はコンデンサ、15は折り曲げ部、16は孔、17はフェライトコア、18a、18bは矢印である。
【0020】
図1(A)は、放熱基板の斜視図であり、例えばプラズマテレビの電源ユニットに相当する。図1(A)において、金属板11の上に、配線パターン状にリードフレーム12を埋め込んだシート状の伝熱樹脂部10を固定する。そしてこのシート状の伝熱樹脂部10に埋め込んだリードフレーム12を、積極的に配線パターンとし、このリードフレーム12の表面にパワーデバイス13やコンデンサ14等を実装する。ここでパワーデバイス13としては、高電圧や大電流をスイッチングする半導体等であり、例えば後述する図4(B)に示すスイッチS11〜S18に相当する。同様に図1(A)のコンデンサ14は、後述する図4(B)におけるコンデンサC11、C12に相当する。
【0021】
図1(A)において、伝熱樹脂部10の一部は、金属板11から略90度の角度で折り曲げ(あるいは盛り上げ)、折り曲げ部15を形成している。そして折り曲げ部15の内部には、リードフレーム12からなるコイルが少なくともその一部分以上が、略90度折り曲げた状態で埋め込まれている(コイルについては、後述する図2等で説明する)。そして折り曲げ部15の略中央部に、孔16を形成する。そしてこの孔16にフェライトコア17を矢印18aに示すように挿入する。また図1(A)における矢印18bは、後述する図2の説明で使用するものであり、図2で伝熱樹脂部10に埋め込んだコイルパターンを説明するためのものである。
【0022】
図1(B)は、図1(A)の任意の部分の断面図に相当する。図1(B)に示すように、金属板11の上に、リードフレーム12を埋め込んだ状態で、シート状の伝熱樹脂部10を固定している。なお図1(B)において、パワーデバイス13、コンデンサ14は図示していない。
【0023】
図1(B)に示すように、リードフレーム12を、シート状の伝熱樹脂部10に埋め込み、その表面を平坦に(少なくともリードフレーム12と伝熱樹脂部10の段差が30ミクロン以下になるように、望ましくは20ミクロン以下、更に望ましくは10ミクロン以下になるように)することで、この上に形成するソルダーレジスト(図示していない)の形成や、パワーデバイス13等の実装性を高める。
【0024】
そして図1(A)、(B)に示すように、パワーデバイス13、コンデンサ14をリードフレーム12に直接実装することで、大電流に対応させる。このようにリードフレーム12(例えば厚み500ミクロン)を用いることで、一般のプリント配線基板に使われる銅箔(一般的には厚み18〜36ミクロン)に比べて、例えば100Aといった大電流に対応できる。またパワーデバイス13等に発生した熱は、放熱性に優れたリードフレーム12を介して、伝熱樹脂部10や金属板11に放熱する効果も得られる。
【0025】
本実施の形態ではコイルをリードフレーム12の一部として一体化することで、コイルとリードフレーム12との接続が不要となるため、接続に関する課題は発生しにくい。一方、従来の巻き線コイルを使った場合、巻き線コイルの両端をリードフレーム12に半田付けする必要があったため、半田付け等の接続に起因する課題(工数、コスト、信頼性、電流容量)が発生していた。
【0026】
次に図2を用いて、伝熱樹脂部に埋め込んだコイルの少なくとも、その一部分以上を折り曲げた状態について説明する。図2(A)〜(C)は、伝熱樹脂部に埋め込んだコイルパターンを説明する斜視図及び断面図であり、図2(A)は、図1(A)における矢印18b側から見た様子に相当する。また図2(B)、図2(C)は、図2(A)の矢印18cにおける断面図に相当する。図2(A)における19は点線であり、説明用の補助線である。また20はコイルであり、リードフレーム12の一部を渦巻き状のコイルパターンとしたものである。そしてコイル20の一部以上を略90度折り曲げることで、コイル20のインダクタンスの調整を容易にしている。
【0027】
図2(A)において、金属板11の上に、リードフレーム12を伝熱樹脂部10に埋め込んだ状態で固定する。なおリードフレーム12の一部は、点線19にて省略している。
【0028】
図2(A)に示すように、リードフレーム12からなるコイル20は、例えば、その中央部付近で、伝熱樹脂部10に埋め込んだ状態で、その一部分以上を略90度折り曲げている。そしてコイル20を埋め込む伝熱樹脂部10の一部に、例えばコイル20の略中央部に孔16を形成する。そしてフェライトコア17を、例えば矢印18bに示すように回転させながら、矢印18aに示すように孔16の中に挿入する。このときフェライトコア17の表面や、孔16の表面にネジ山を形成しても良い。こうしてコイル20を伝熱樹脂部10に埋め込んだ状態で、少なくともその一部(図2(A)〜図2(C)においてコイル20はその半分付近で折り曲げているが、コイル20の途中でなくて、コイル20全体を略90度折り曲げても良い)を略90度折り曲げることで、電源ユニットを、その外部から(例えば、プラズマテレビの裏蓋ケース越しに)、ドライバ等を用いて、フェライトコア17の位置を調整しやすくできる。またコイル20を略90度折り曲げていることによって、フェライトコア17を用いた作業性、調整のしやすさを高めている。また金属板11の影響も抑えられる。
【0029】
図2(B)、図2(C)は、図2(A)の矢印18cにおける断面図に相当する。図2(B)に示すように、リードフレーム12を埋め込んだシート状の伝熱樹脂部10を、金属板11上に固定する。そして伝熱樹脂部10にコイル20を埋め込んだ状態で、一部を盛り上げ(あるいは略90度折り曲げ)、折り曲げ部15とする。
【0030】
そして図2(B)に示すように、フェライトコア17を矢印18bに示すように回転させることで、フェライトコア17を、孔16(図2(B)では孔16は図示していない。その代わり図2(B)における点線19が孔16の位置を示す)に挿入する。そしてフェライトコア17とコイル20との位置を、図2(B)〜(C)に示すように調整することで、コイル20のインダクタンス値を変化させる。
【0031】
なおフェライトコア17は、棒状でも良いが、図2(A)〜(C)に示すように、鍔(つば)を付けても良い。鍔を付けることで閉磁路が作りやすくでき、インダクタンスの調整量を大きくできる。
【0032】
なおコイル20を伝熱樹脂部10から露出させる必要は無い。コイル20を伝熱樹脂部10の内部に完全に埋め込んでも良い。コイル20を伝熱樹脂部10の内部に完全に埋め込むことで、コイル20の信頼性を高めることができる。あるいはコイル20の一部(あるいは一面)を伝熱樹脂部10と略同一面になるように埋め込むことができる。コイル20を、リードフレーム12同様に伝熱樹脂部10と略同一平面になるように埋め込む場合、前記コイル20やリードフレーム12の上に、ソルダーレジスト(なお図1〜図2等では、ソルダーレジストは図示していない)を形成することが望ましい。コイル20を伝熱樹脂部10やソルダーレジストに埋め込むことで、フェライトコア17とコイル20の接触を防止する。またソルダーレジストを形成することで、半田付けの際にリードフレーム12上で半田が流れすぎる(あるいは広がりすぎる)ことを防止できる。
【0033】
次に図3(A)〜(C)を用いて、渦巻き状(あるいは蚊取り線香状)のコイル20の中央部を、他のリードフレーム12に電気的に接続する様子を説明する。なお図3(A)〜(C)において、説明しやすくするためコイル20は略90度の折り曲げは行っていない。
【0034】
図3(A)、(B)は、それぞれコイルの一端をジャンパーによって引き出す様子を示す斜視図、図3(C)はリードフレームを用いた場合を示す断面図である。図3(A)において、21はジャンパーであり、銅線等で形成した導体である。金属板11の上に、シート状の伝熱樹脂部10の中に埋め込んだコイル20の一部と、リードフレーム12の間を、ジャンパー21を矢印18aのように実装することで、電気的に接続する。図3(A)における点線19は、ジャンパー21の実装位置を示す。図3(B)はジャンパー21によって、コイル20の中央部と、リードフレーム12を、電気的に接続している。なおジャンパー21としては、市販のジャンパーチップ(いわゆる0Ωのチップ抵抗器)や、絶縁被覆したリードフレーム等を使うことができる。なおジャンパー21とリードフレーム12やコイル20との接続は、半田付け以外に溶接(レーザー溶接、あるいはスポット溶接等)を使うことも有効である。溶接することで、半田に起因する課題発生を防止でき、高信頼性が得られる。
【0035】
図3(C)は、リードフレーム12(あるいはコイル20を構成するリードフレーム12)を用いて、渦巻き状(あるいは蚊取り線香状)のコイル20の中央部を、他のリードフレーム12に電気的に接続する様子を説明する断面図に相当する。例えばコイル20やリードフレーム12の一部を、前記伝熱樹脂部10から引き剥がし、これを折り曲げ、図3(C)に示すようなジャンパー21とすることもできる。このようにコイル20やリードフレーム12の一部を、ジャンパー21とすることで、市販のジャンパー21を使うより接続箇所を減らせる。そして、矢印18bで示す位置で、半田付けあるいは溶接を行う。なお図3(C)においてリードフレーム12から構成されたジャンパー21の表面の絶縁(あるいは絶縁被覆)は図示していない。
【0036】
次に図1等で説明したインダクタンスを可変とした放熱基板を、プラズマテレビの電源モジュールに応用する場合について、図4(A)、図4(B)を用いて説明する。
【0037】
図4(A)、(B)は、プラズマテレビの電源モジュールに応用する様子を説明するブロック図及び回路図である。図4(A)はプラズマテレビの電源モジュールのブロック図の一例、図4(B)は回路図の一例である。図4(A)、(B)において、22はスキャン側の電力回収回路、23はプラズマパネル、24はサステイン側の電力回収回路である。
【0038】
図4(A)において、プラズマパネル23は、実際のプラズマパネルを示すが、図4(B)において23は、回路図におけるプラズマパネル23の負荷容量(C成分)を示している。
【0039】
図4(A)において、プラズマパネル23は一種の負荷容量として機能する。そしてプラズマパネル23の左右に設置したスキャン側の電力回収回路22、サステイン側の電力回収回路24から、プラズマパネル23の負荷容量(C成分)を利用したLC発振を行う。なお映像信号は、信号処理回路を介して、スキャン側の電力回収回路22やサステイン側の電力回収回路24、パネル駆動回路(アドレス)等に送る。
【0040】
次に図4(B)を用いて更に詳しく説明する。図4(B)において、スキャン側の電力回収回路22は、コンデンサC11、半導体等で形成したスイッチS11〜S14、ダイオードD11〜D12、コイル20a等から形成している。同様にサステイン側の電力回収回路24は、コンデンサC12、半導体等で形成したスイッチS15〜S18、ダイオードD13〜D14、コイル20b等から形成している。そしてコイル20a、20bは、図1、図2等で説明したものであり、フェライトコア17によってそのインダクタンス値を可変としたものである。
【0041】
なお図4(B)と、図10(B)との違いは、コイルが可変か、固定かの違いである。本実施の形態において、コイル20のインダクタンスを可変とすることで、従来の回路設計(従来の回路定数のまま)をそのまま活用できる。更に本実施の形態の特徴(放熱性が高い、コイル20を小さくできる等)を生かすことで、回路の最適化(あるいは部品点数の削減による低コスト化)も可能である。
【0042】
次にプラズマディスプレイの発光時の低消費電力化について説明する。プラズマディスプレイの場合、プラズマパネル23の個々の画素に相当する発光部分に電圧を印加して表示を行う際に、プラズマパネル23で示す負荷容量を利用し、充放電を行うことが多い。そしてプラズマパネル23で示す負荷容量から、充放電される電力は、スキャン側の電力回収回路22のコイル20a、サステイン側の電力回収回路24のコイル20bを介して吸収し、再放出する。このようにして(Vsus)から供給した電力を、プラズマパネル23をC成分としたLC発振によって再利用することで電力損を減らす。
【0043】
このように図4(B)におけるプラズマパネル23を負荷容量(C成分)として、コイル20a、20bによるLC発振によるエネルギーの受け渡しを利用して電力回収を行うことで、プラズマテレビの低消費電力化を実現する。
【0044】
一般的にプラズマパネル23は、そのサイズ(40インチ、50インチ等)、解像度、あるいはその画素寸法、製品の設計仕様等によって、その負荷容量が大きく変化(いわゆる設計差)する。更に同じ仕様(あるいは同じ設計)のプラズマパネル23であっても、製品間のバラツキ(いわゆる個体差)によってその負荷容量にバラツキが発生する。
【0045】
従来の電源ユニットは市販のコイル部品を使っている。そのためインダクタンス値がそのスペック上、最大±20%のバラツキを有していた。そのため電力損の最小化に限界があった。しかし本発明の放熱基板を用いた電源ユニットの場合、図1〜図2等で示したように、プラズマパネル23の負荷容量の大小に応じてそのインダクタンス値を個々に調整できるため、プラズマパネル23の容量バラツキも吸収できる。更に異なる仕様(あるいはインチ数)のプラズマパネル23に対しても、1種類の電源ユニットで対応することができる。
【0046】
次にプラズマパネル23の消費電力の削減について、図5を用いて説明する。
【0047】
図5(A)〜(C)は、プラズマパネルに印加する(発光させる)タイミング図である。図5において、25は正弦電圧、26はパルス電圧である。図5(A)〜(C)のX軸は時間、Y軸は電圧である。そして図5(A)と図5(C)は、電源ユニットのコイル20のインダクタンスと、プラズマパネル23の負荷容量とのミスマッチング(T1、T2で示した時間のズレの発生)を説明するものである。プラズマパネル23の発光部では、図4(B)等で説明したように電力回収回路によって、例えば正弦電圧25が印加される。そしてここにパルス電圧26を重畳することでプラズマパネル23が閾値電圧を超え、発光する。図5(A)では、正弦電圧25のピークと、パルス電圧26のタイミングがT1だけずれている。その結果、図5(A)に示すようにVdif1で示した分の電圧ロスが発生している。また図5(C)では、正弦電圧25のピークと、パルス電圧26のタイミングがT2だけずれているため、Vdif2で示した分の電圧ロスが発生している。一方、図5(B)は正弦電圧25のピークと、パルス電圧26のタイミングが一致した場合を示すものであり、正弦電圧25のピークとパルス電圧26のタイミングが一致しているため、電圧ロスが発生しにくい。なお図5(A)〜(C)において、正弦電圧25の一部は点線で示している。なおここで、正弦電圧25は便宜的に正弦電圧としたものであり、サインウエーブ等に限定するものではない。
【0048】
ここでプラズマディスプレイを発光させるには、正弦電圧25と、パルス電圧26の合計が、一定電圧、あるいは一種のスレショールド電圧(例えば110V)を超えることが必要となる。ここで(Vsus)(あるいは図5(A)〜(C)で示す正弦電圧25)の信号は、例えば電圧100〜200V程度でありながらも、1周期が5マイクロ秒と極めて短い。そのためLC発振は、プラズマパネル23の負荷容量のバラツキやコイル20のインダクタンスのバラツキの影響を受けやすい。こうしたバラツキが、正弦電圧25とパルス電圧26のタイミングに影響する。またこうした電子回路に用いる各種電子部品の特性バラツキも、そのタイミングに影響を与えやすい。
【0049】
本発明の場合、図5(A)や図5(C)に示したような場合、図2等で示したように、コイル20に挿入するフェライトコア17の位置を調整することで、インダクタンスを変化させることで対応できる。その結果プラズマテレビにおけるムダな電圧ロスや電力損を減らせる。
【0050】
なおここでコイル20のインダクタンス値としては、プラズマパネル23の寸法(インチ数)等の影響も受けるが、例えば40〜50インチ程度では、0.1μH以上10.0μH以下(望ましくは0.2μH以上5.0μH以下、更に望ましくは0.5μH以上2.0μH以下)とすることが回路定数的に望ましい。そのため本発明では、この範囲内でインダクタンスを可変させている。ここでコイル20を複数個作成し、これを互いに並べても(あるいは互いに組み合わせても)良い。なおコイル20一個当たりのインダクタンスが0.1μH(マイクロヘンリー)未満の場合、あるいは10μHを超える場合、プラズマテレビにおけるLC発振に影響を与える場合がある。なおインダクタンス値は、プラズマパネル23の仕様に合わせて変更できる。次に電圧損を減らすことでの消費電力削減効果について、図6を用いて説明する。
【0051】
図6は、プラズマテレビの消費電力の低減効果について説明する図である。図6において、27は電力回収回路未使用時、28は電力回収回路使用時(従来例)である。そして29は電力回収回路使用時(本発明)であり、図1や図2で示したようにコイル20のインダクタンスを可変としたものである。図6において、X軸はサステインパルス数、Y軸はプラズマパネル23等での消費電力を示す。図6より、サステインパルス数の増加に応じて、それぞれのグラフにおいて、消費電力が増加することが判る。図6において電力回収回路未使用時27に比べ、電力回収回路使用時(従来例)28の方が、消費電力が小さい。また電力回収回路使用時(本発明)29の方が電力回収回路使用時(従来例)28より、更に消費電力が小さい。これは電力回収回路使用時(本発明)29の場合、図5(A)〜(C)で説明したように、プラズマテレビ1台1台におけるコイル20のインダクタンスのバラツキを調整することで、様々なロスを削減できたからである。
【0052】
このように本発明で提案する電源ユニットは、放熱基板を用いて形成した電源ユニットのコイル20のインダクタンスを調整することで、更なる消費電力の抑制効果が得られる。またこの抑制効果は、サステインパルス数を増加した状態でも得られるため、プラズマテレビの大画面化、高精細度化に対応できる。そして本発明の放熱基板を、例えばプラズマ表示装置用の電源ユニットとして用いることで、プラズマ表示装置の消費電力を低減できる。
【0053】
更にプラズマディスプレイを点灯させるには、サステインパルス電圧Vsusが流れる配線にはピーク電流として110A程度が、それぞれの電力回収配線にはピーク電流50A程度が流れる。そのためプラズマテレビ用の電源ユニットには、高放熱性も要求される。
【0054】
次に図7(A)、(B)を用いて、本発明で提案する放熱基板の部品実装部での放熱効果について説明する。図7(A)、(B)は、放熱基板の放熱の様子を示す断面図であり、図7(A)は発熱前(電流印加前)、図7(B)は発熱後(電流印加後)に相当する。図7において、30は半田、31はヒートシンクである。なお図7(A)においてヒートシンク31は図示していない。図7(A)に示すように、金属板11の上に、コイル20やリードフレーム12を埋め込んだ状態で伝熱樹脂部10を形成する。そして半田30を使い、リードフレーム12の表面には放熱が要求されるパワーデバイス13を実装する。図7(B)は、パワーデバイス13に発生した熱を、リードフレーム12を介して伝熱樹脂部10、金属板11に拡散する様子を示す。図7(B)において矢印18aは、熱が拡散する方向を示す。
【0055】
本発明の場合、同じ断面積のコイル20においても伝熱樹脂部10に埋め込むことで、発熱を抑えられる。その結果、従来のコイル(例えば巻き線コイル)に比べ、本実施の形態のコイル20(伝熱樹脂部10に埋め込んでいる)の方が、コイル20を構成する導体(あるいはリードフレーム12)の断面積を小さくできる。これは本発明のコイル20は放熱効果により温度上昇しにくいためである。その結果コイル20導体の断面積を小さくすることもでき、同じターン数でもコイル20自体の面積や大きさをより小さくできる。コイル20の占める面積を小さくできるため、電源モジュールの小型化、低コスト化も実現できる。
【0056】
図7(B)において、後述する図8で示すように、コイル20をプレス成型で作成することで、導体断面を略四角形とできるため、従来の銅線(断面が丸)に比べ、抵抗値も抑える効果が得られる。そのようにしてコイル20を形成する配線長(あるいは線路長)自体を短くできるため、本発明のコイル20はコイル特性であるQ値(一般的にコイルのQ値は高いことが望ましい)を高められる。
【0057】
次に図8を用いて、放熱基板の製造方法の一例について説明する。図8(A)〜(D)は、放熱基板の製造方法の一例を説明する断面図である。
【0058】
図8(A)〜(D)において、32は板材である。まず図8(A)に示すように、銅板等からなる板材32を用意する。次に、プレス装置や金型(図示していない)を用いて、板材32を所定形状に加工する。こうして図8(B)に示すように、所定形状に加工したリードフレーム12を作成する。例えば板材32の一部を、コイル形状(例えば、蚊取り線香状の螺旋パターン)に打抜く。
【0059】
次に図8(C)に示すように、金属板11の上に、伝熱樹脂部10や、リードフレーム12をセットする。そして矢印18に示すようにして、金属板11やリードフレーム12を伝熱樹脂部10に埋め込む。なお図8(C)において、プレス装置や金型は図示していない。このように加熱した状態でプレスすることで、伝熱樹脂部10の粘度を下げ、リードフレーム12の隙間への回り込み性を高めることができる。ここで伝熱樹脂部10を、例えば図8(C)に示すように、楕円形(あるいは蒲鉾型等)とすることで、金属板11と伝熱樹脂部10の隙間に空気残りを減らせる。ここで空気残りはボイドとも呼ばれるもので、金属板11やリードフレーム12と、伝熱樹脂部10との界面に発生した空間のことで、放熱性に影響を与える可能性がある。
【0060】
図8(D)は、リードフレーム12や金属板11を埋め込んだ状態で伝熱樹脂部10が熱硬化した後の断面図を示す。なお図1や図2に示した伝熱樹脂部10における孔16は、図8(C)に示すプレス時に形成することができる。孔16の形成方法としては、金型を使っても良いが、伝熱樹脂部10が熱硬化する前に、ポンチやドリル、リーマー等で加工しても良い。
【0061】
更に詳しく説明する。リードフレーム12の厚みは0.1mm以上2.0mm以下(望ましくは1.0mm以下)程度が望ましい。リードフレーム12の厚みが0.1mm未満の場合、フニャフニャしたり、折れ曲がったりしやすく、その取り扱いが難しい。リードフレーム12の厚みが2.0mmを超えると、プレスによる打抜きが難しくなり、リードフレーム12自体のパターン精度が低下する。そのため加工精度の面から、リードフレーム12としては0.2〜1.0mm(更に望ましくは0.3〜0.5mm)が望ましい。
【0062】
また伝熱樹脂部10としては、無機フィラー70重量%以上95重量%以下と、熱硬化性樹脂5重量%以上30重量%以下からなることが望ましい。ここで無機フィラーは略球形状で、その直径は0.1ミクロン以上100ミクロン以下が適当である(0.1ミクロン未満の場合、樹脂への分散が難しくなり、また100ミクロンを超えると伝熱樹脂部10の厚みが厚くなり熱拡散性に影響を与える)。そのため伝熱樹脂部10における無機フィラーの充填量は、熱伝導率を上げるために70から95重量%と高濃度に充填している。特に、本実施の形態では、無機フィラーは、平均粒径3ミクロンと平均粒径12ミクロンの2種類のAl23を混合したものを用いている。この大小2種類の粒径のAl23を用いることによって、大きな粒径のAl23の隙間に小さな粒径のAl23を充填できるので、Al23を90重量%近くまで高濃度に充填できるものである。この結果、伝熱樹脂部10の熱伝導率は5W/(m・K)程度となる。なお無機フィラーとしてはAl23の代わりに、MgO、BN、SiO2、SiC、Si34、及びAlNからなる群から選択される少なくとも一種以上を含んでもよい。
【0063】
なお無機フィラーを用いると、放熱性を高められるが、特にMgOを用いると線熱膨張係数を大きくできる。またSiO2を用いると誘電率を小さくでき、BNを用いると線熱膨張係数を小さくできる。こうして伝熱樹脂部10としての熱伝導率が1W/(m・K)以上20W/(m・K)以下のものを形成することができる。なお熱伝導率が1W/(m・K)未満の場合、放熱基板の放熱性に影響を与える。また熱伝導率を20W/(m・K)より高くしようとした場合、フィラー量を増やす必要があり、プレス時の加工性に影響を与える場合がある。
【0064】
なお熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびシアネート樹脂の内、少なくとも1種類の樹脂を含んでいる。これらの樹脂は耐熱性や電気絶縁性に優れている。伝熱樹脂部10の厚みは、薄くすれば、リードフレーム12に装着したパワーデバイス13に生じる熱を金属板11に伝えやすいが、逆に絶縁耐圧が問題となり、厚すぎると、熱抵抗が大きくなるので、絶縁耐圧と熱抵抗を考慮して最適な厚さである50ミクロン以上1000ミクロン以下に設定すれば良い。
【0065】
次にリードフレーム12の材質について説明する。リードフレーム12の材質としては、銅を主体とするものが望ましい。これは銅が熱伝導性と導電率が共に優れているためである。またリードフレーム12としての加工性や、熱伝導性を高めるためには、リードフレーム12となる銅素材に銅以外の少なくともSn、Zr、Ni、Si、Zn、P、Fe等の群から選択される少なくとも1種類以上の材料とからなる合金を使うことが望ましい。例えばCuを主体として、ここにSnを加えた、合金(以下、Cu+Snとする)を用いることができる。Cu+Sn合金の場合、例えばSnを0.1重量%以上0.15重量%未満添加することで、その軟化温度を127℃まで高められる。比較のためSn無しの銅(Cu>99.96重量%)を用いて、リードフレーム12を作成したところ、導電率は低いが、出来上がった放熱基板において特に形成部等に歪みが発生する場合があった。そこで詳細に調べたところ、その材料の軟化点が110℃程度と低いため、後の部品実装時(半田付け時)に変形する可能性があることが予想された。一方、Cu+Sn>99.96重量%の銅系の材料を用いた場合、実装した各種部品や複数個のLEDによる発熱の影響は特に受けなかった。また半田付け性やダイボンド性にも影響が無かった。そこでこの材料の軟化点を測定したところ、127℃であることが判った。このように、銅を主体として、いくつかの元素を添加することが望ましい。銅に添加する元素として、Zrの場合、0.015重量%以上0.15重量%以下の範囲が望ましい。添加量が0.015重量%未満の場合、軟化温度の上昇効果が少ない場合がある。また添加量が0.15重量%より多いと電気特性に影響を与える場合がある。また、Ni、Si、Zn、P等を添加することでも軟化温度を高くできる。この場合、Niは0.1重量%以上5重量%未満、Siは0.01重量%以上2重量%以下、Znは0.1重量%以上5重量%未満、Pは0.005重量%以上0.1重量%未満が望ましい。そしてこれらの元素は、この範囲で単独、もしくは複数を添加することで、銅素材の軟化点を高くできる。なお添加量がここで記載した割合より少ない場合、軟化点上昇効果が低い場合がある。またここで記載した割合より多い場合、導電率への影響の可能性がある。同様に、Feの場合0.1重量%以上5重量%以下、Crの場合0.05重量%以上1重量%以下が望ましい。これらの元素の場合も前述の元素と同様である。
【0066】
なおリードフレーム12に使う銅合金の引張り強度は、600N/mm2以下が望ましい。引張り強度が600N/mm2を超える材料の場合、リードフレーム12の加工性に影響を与える場合がある。またこうした引張り強度の高い材料は、その電気抵抗が増加する傾向にある。一方、引張り強度が600N/mm2以下(更にリードフレーム12に微細で複雑な加工が必要な場合、望ましくは127N/mm2以下)とすることでスプリングバック(必要な角度まで曲げても圧力を除くと反力によってはねかえってしまうこと)の発生を抑えられ、形成精度を高められる。このようにリードフレーム材料としては、Cuを主体とすることで導電率を下げられ、更に柔らかくすることで加工性を高められ、更にリードフレーム12による放熱効果も高められる。なおリードフレーム12に使う銅合金の引張り強度は、10N/mm2以上が望ましい。これは一般的な鉛フリー半田の引張り強度(30〜70N/mm2程度)に対して、リードフレーム12に用いる銅合金はそれ以上の強度が必要なためである。リードフレーム12に用いる銅合金の引張り強度が、10N/mm2未満の場合、リードフレーム12上にパワーデバイス13等を半田付け実装する場合、半田部分ではなくてリードフレーム12部分で凝集破壊する可能性がある。
【0067】
なおリードフレーム12の、伝熱樹脂部10から露出している面(パワーデバイス13等の実装面)に、予め半田付け性を改善するように半田層や錫層を形成しておくことも有用である。なおリードフレーム12の伝熱樹脂部10に接する面(もしくは埋め込んだ面)には、半田層は形成しないことが望ましい。このように伝熱樹脂部10と接する面に半田層や錫層を形成すると、半田付け時にこの層が柔らかくなり、リードフレーム12と伝熱樹脂部10の接着性(もしくは結合強度)に影響を与える場合がある。なお図1、図2等において、半田層や錫層は図示していない。
【0068】
金属製の金属板11としては、熱伝導の良いアルミニウム、銅またはそれらを主成分とする合金からできている。特に、本実施の形態では、金属板11の厚みを1mmとしているが、その厚みは製品仕様に応じて設計できる(なお金属板11の厚みが0.1mm以下の場合、放熱性や強度的に不足する可能性がある。また金属板11の厚みが50mmを超えると、重量面で不利になる)。金属板11としては、単なる板状のものだけでなく、より放熱性を高めるため、伝熱樹脂部10を積層した面とは反対側の面に、表面積を広げるためにフィン部(あるいは凹凸部)を形成しても良い。全膨張係数は8×10-6/℃〜20×10-6/℃としており、金属板11やパワーデバイス13の線膨張係数に近づけることにより、本発明の放熱基板や、これを用いた電源ユニット全体の反りや歪みを小さくできる。またこれらの部品を表面実装する際、互いに熱膨張係数をマッチングさせることは信頼性的にも重要となる。また金属板11を他の放熱板(図示していない)にネジ止めできる。
【0069】
なお図1から図4において、金属板11を省略することも可能である。また金属板11に放熱用のラジエターやフィンを取り付けても良い。
【0070】
以上のようにして、金属板11と、前記金属板11の上に固定したシート状の、無機フィラーと樹脂とからなる伝熱樹脂部10と、前記伝熱樹脂部10に埋め込んだ、一部にコイル20を有するリードフレーム12と、からなる放熱基板であって、前記コイル20の少なくとも一部分以上は、前記伝熱樹脂部10に埋め込んだ状態で、前記リードフレーム12から略90度折り曲げた放熱基板を提供することによって、コイル20のインダクタンスを、放熱基板の外から可変しやすくすることで、高放熱性、大電流に対応できる放熱基板を提供する。
【0071】
また金属板11と、前記金属板11の上に固定したシート状の、無機フィラーと樹脂とからなる伝熱樹脂部10と、前記伝熱樹脂部10に埋め込んだ、一部にコイル20を有するリードフレーム12と、からなる放熱基板であって、前記コイル20の少なくとも一部分以上は、前記伝熱樹脂部10に埋め込んだ状態で、前記リードフレーム12から略90度折り曲げた構造部(折り曲げ部15)と、前記コイル20の略中央の孔16と、を有している放熱基板を提供することによって、コイル20のインダクタンスを、放熱基板の外から可変しやすくすることで、高放熱性、大電流に対応できる放熱基板を提供する。
【0072】
金属板11と、前記金属板11の上に固定した、無機フィラーと熱硬化性樹脂とからなる伝熱樹脂部10と、前記伝熱樹脂部10に埋め込んだ、一部にコイル20を有するリードフレーム12と、からなる放熱基板であって、前記コイル20が形成するコイルパターンの少なくとも一部分以上は、前記伝熱樹脂部10に埋め込んだ状態で、前記リードフレーム12から略90度折り曲げた構造部(折り曲げ部15)と、前記コイル20の略中央の孔16と、前記孔16に挿入したフェライトコア17と、を有している放熱基板を提供することによって、コイル20のインダクタンスを、放熱基板の外から可変しやすくすることで、高放熱性、大電流に対応できる放熱基板を提供する。
【0073】
少なくともその一部に、リードフレーム12から略90度に折り曲げたコイル20を有するリードフレーム12と、金属板11と、その間に伝熱樹脂部10をセットする工程と、リードフレーム12と伝熱樹脂部10と金属板11とを金型を用いて、加熱・加圧プレスして、前記リードフレーム12を前記伝熱樹脂部10に埋め込む工程と、前記伝熱樹脂部10を硬化させる工程と、を有する放熱基板の製造方法を提供することによって、コイル20のインダクタンスを、放熱基板の外から可変しやすくすることで、高放熱性、大電流に対応できる放熱基板を提供する。
【0074】
金属板11と、前記金属板11の上に固定したシート状の、無機フィラーと熱硬化性樹脂とからなる伝熱樹脂部10と、前記伝熱樹脂部10に埋め込んだ、一部にコイル20を有するリードフレーム12と、からなる放熱基板を有する電源ユニットであって、前記電源ユニットは、少なくとも、前記コイル20の少なくとも一部が、前記伝熱樹脂部10に埋め込んだ状態で前記リードフレーム12から略90度折り曲げた構造部(折り曲げ部15)もしくは、前記コイル20の略中央に形成した孔16もしくは、前記孔16に挿入したフェライトコア17によってインダクタンスを調整する機構部、を有する電源ユニットとすることで、PDPや車載用の用途に応じて、インダクタンス値を調整できる電源ユニットを提供でき、電源ユニットの省電力化、電力損の低減が可能となる。
【0075】
金属板11と、前記金属板11の上に固定した、無機フィラーと樹脂とからなる伝熱樹脂部10と、前記伝熱樹脂部10に埋め込んだ、一部にコイル20を有するリードフレーム12と、からなる放熱基板を有する電源ユニットを用いたプラズマ表示装置であって、前記電源ユニットは、少なくとも前記コイル20の少なくとも一部が、前記伝熱樹脂部10に埋め込んだ状態で前記リードフレーム12から略90度折り曲げた構造部(折り曲げ部15)もしくは、フェライトコア17によってインダクタンスを調整してプラズマディスプレイパネルの電力損を低減する機構部、を有するプラズマ表示装置とすることで、個々のプラズマ表示装置においてコイル20やプラズマパネル23によって形成した電力回収回路におけるLC共振回路の各種タイミングを最適化できるため、電力損を少なくしたプラズマ表示装置を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上のように、本発明にかかる放熱基板とその製造方法及び、これを用いた発光モジュール及び表示装置は、PDPの消費電力の低減を可能にするのみならず、各種車載用電源ユニット等にも応用でき、機器の小型化、高性能化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】(A)、(B)はそれぞれ実施の形態における放熱基板の斜視図と断面図
【図2】(A)は伝熱樹脂部に埋め込んだコイルパターンを説明する斜視図、(B)と(C)はそれぞれ断面図
【図3】(A)、(B)はそれぞれコイルの一部をジャンパーによって外部に引き出す様子を示す斜視図、(C)は断面図
【図4】(A)、(B)はプラズマテレビの電源モジュールに応用する様子を説明するブロック図と回路図
【図5】(A)〜(C)はプラズマパネルに印加する(発光させる)タイミング図
【図6】プラズマテレビの消費電力の低減効果について説明する図
【図7】(A)、(B)は、放熱基板の放熱の様子を示す断面図
【図8】(A)〜(D)は、放熱基板の製造方法の一例を説明する断面図
【図9】従来の電力回収回路の一例を示す斜視図
【図10】(A)、(B)はプラズマテレビに使われる電源のブロック図と回路図
【符号の説明】
【0078】
10 伝熱樹脂部
11 金属板
12 リードフレーム
13 パワーデバイス
14 コンデンサ
15 折り曲げ部
16 孔
17 フェライトコア
18 矢印
19 点線
20 コイル
21 ジャンパー
22 スキャン側の電力回収回路
23 プラズマパネル
24 サステイン側の電力回収回路
25 正弦電圧
26 パルス電圧
27 電力回収回路未使用時
28 電力回収回路使用時(従来例)
29 電力回収回路使用時(本発明)
30 半田
31 ヒートシンク
32 板材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板と、
前記金属板上に固定したシート状の、無機フィラーと樹脂とからなる伝熱樹脂部と、
前記伝熱樹脂部に埋め込んだ、一部にコイルパターンを有するリードフレームと、からなる放熱基板であって、
前記コイルパターンの少なくとも一部分以上は、前記伝熱樹脂部に埋め込んだ状態で、前記リードフレームから略90度折り曲げた放熱基板。
【請求項2】
伝熱樹脂部に埋め込んだコイルパターンの略中央に、孔を有している請求項1に記載の放熱基板。
【請求項3】
伝熱樹脂部に埋め込んだコイルパターンの略中央部の孔に、フェライトコアを挿入した請求項1に記載の放熱基板。
【請求項4】
伝熱樹脂部は、熱伝導率が1W/(m・K)以上20W/(m・K)以下である請求項1に記載の放熱基板。
【請求項5】
無機フィラーは、Al23、MgO、BN、SiO2、SiC、Si34、及びAlNからなる群から選択される少なくとも一種を含む請求項1に記載の放熱基板。
【請求項6】
樹脂は熱硬化性樹脂であり、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及びイソシアネート樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含む請求項1に記載の放熱基板。
【請求項7】
Snは0.1重量%以上0.15重量%以下、Zrは0.015重量%以上0.15重量%以下、Niは0.1重量%以上5重量%以下、Siは0.01重量%以上2重量%以下、Znは0.1重量%以上5重量%以下、Pは0.005重量%以上0.1重量%以下、Feは0.1重量%以上5重量%以下である群から選択される少なくとも一種以上を含む、銅を主体とするリードフレームを用いる請求項1に記載の放熱基板。
【請求項8】
少なくとも、
一部に略90度に折り曲げたコイルパターンを有するリードフレームと、金属板と、その間に伝熱樹脂部をセットする工程と、
前記リードフレームと前記伝熱樹脂部と前記金属板を、金型で加熱・加圧プレスして、前記リードフレームを前記伝熱樹脂部に埋め込み、一体化する工程と、
前記伝熱樹脂部を硬化させる工程と、
を有する放熱基板の製造方法。
【請求項9】
金属板と、
前記金属板上に固定したシート状の、無機フィラーと熱硬化性樹脂とからなる伝熱樹脂部と、
前記伝熱樹脂部に埋め込んだ、一部にコイルパターンを有するリードフレームと、からなる放熱基板を有する電源ユニットであって、
前記放熱基板は少なくとも、
前記コイルパターンの少なくとも一部分以上が、前記伝熱樹脂部に埋め込んだ状態で前記リードフレームから略90度折り曲げた構造部、
もしくは前記コイルパターンの略中央付近に形成した孔、
もしくは前記孔に挿入したフェライトコアによってインダクタンスを調整する機構部の内、
少なくとも一つ以上を有している電源ユニット。
【請求項10】
金属板と、
前記金属板上に固定した、無機フィラーと樹脂とからなる伝熱樹脂部と、
前記伝熱樹脂部に埋め込んだ、一部にコイルパターンを有するリードフレームと、からなる放熱基板を用いた電力回収回路を有するプラズマ表示装置であって、
前記放熱基板は、
前記コイルパターンの少なくとも一部が、前記伝熱樹脂部に埋め込んだ状態で前記リードフレームから略90度折り曲げた構造部、
もしくは前記コイルパターンの略中央付近に形成した孔、
もしくはフェライトコアによるインダクタンスの調整機構部の内、
少なくとも一つ以上を有し、
インダクタンス値を調整したプラズマ表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−60109(P2008−60109A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231735(P2006−231735)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】