説明

板ガラス吸着装置

【課題】交互に挟まれた状態にある板ガラスと合紙を同時に取り出す際に、安定して両者を吸着保持でき、また、ガラス板からはみ出ている合紙端部の折れ曲がりや癖付き等に対しても確実に吸着保持できる吸着装置を提供すること。
【解決手段】板ガラスGの一方の平面側を吸着するガラス吸着パッド11と、ガラス吸着パッド11が板ガラスGを吸着する際、板ガラスGの他方の平面側に位置する合紙Pの板ガラスGの周辺からはみ出た合紙端部を、板ガラスGの一方の平面側から、板ガラスGの辺に沿って長手方向に配置され合紙端部に線状に接触する吸着開口部12aにより吸着する合紙吸着治具12とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、板ガラス吸着装置に関し、特に、板ガラスの保管や運搬の際にガラス面を覆って板ガラスに装着された合紙と共に板ガラスを吸着するための板ガラス吸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板ガラスの保管や運搬の際に、例えば、ガラス面を覆って板ガラスに装着され、板ガラス同士の接触による傷の発生を防止する緩衝材や板ガラス間の仕切り材としての役割を果たす合紙と共に、板ガラスを吸着するための板ガラス吸着装置が知られている。
このように、板ガラスを合紙と共に吸着するものとして、例えば、「合紙除去機能を備えた板ガラスの吸着受渡し装置」(特許文献1参照)、「ガラス板の移載装置および移載方法」(特許文献2参照)がある。
【0003】
「合紙除去機能を備えた板ガラスの吸着受渡し装置」は、合紙の上から板ガラスを吸着する主吸着盤と、主吸着盤とは独立して吸着作用をなす合紙吸着用の副吸着盤とを備えており、「ガラス板の移載装置および移載方法」は、ガラス板を吸着支持するガラス板吸着手段と、合紙を重ね合わせたガラス板からはみ出した合紙端部を吸着する合紙吸着手段とを有し、ガラス板の反吸着面側に位置する合紙と同時にガラス板を縦積みさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平01−94331号公報
【特許文献2】特開2001−139138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の「合紙除去機能を備えた板ガラスの吸着受渡し装置」(特許文献1参照)においては、交互に挟まれた状態にある板ガラスと合紙を同時に取り出す際に、合紙と板ガラスを合紙側から、即ち、合紙を介して吸着するため合紙の材質によっては吸着できないこともあり、安定して吸着保持するための吸着力を確保することが困難であった。その上、場合によっては、吸着のために合紙に孔を開ける必要があった。
【0006】
また、従来の「ガラス板の移載装置および移載方法」(特許文献2参照)においては、合紙とガラス板を同時に吸着搬送する装置であり、合紙を吸着パッドにより吸着するため、合紙端部が平面を形成しないと合紙を確実に吸着することができないことになる。つまり、合紙を吸着する際、ガラス板と接触している面は安定して吸着することができるが、ガラス板からはみ出ている合紙端部は、折れ曲がりや癖付き等により安定した平坦面を形成することができず吸着パッドで吸着保持することができない場合があった。その上、合紙に皺が発生する場合があった。
【0007】
この発明の目的は、板ガラスを吸着保持すると共に板ガラスとは別に合紙を吸着保持する際に、合紙に折れ曲がりや癖付き等があったとしても確実に吸着保持することができる板ガラス吸着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、この発明に係る板ガラス吸着装置は、板ガラスの一方の平面側を吸着するガラス吸着手段と、前記ガラス吸着手段が前記板ガラスを吸着する際、前記板ガラスの他方の平面側に位置する合紙の前記板ガラスの周辺からはみ出た合紙端部を、前記板ガラスの一方の平面側から、前記板ガラスの辺に沿って長手方向に配置され前記合紙端部に線状に接触する吸着開口部により吸着する合紙吸着手段とを有している。
また、この発明の他の態様に係る板ガラス吸着装置は、前記吸着開口部が、前記合紙吸着治具の長手方向に沿って配置されたスリット状開口形状に形成されている。
【0009】
また、この発明の他の態様に係る板ガラス吸着装置は、前記吸着開口部が、前記合紙吸着治具の前記合紙端部に対向する最先端部に位置して前記合紙端部に線状に接触している。
また、この発明の他の態様に係る板ガラス吸着装置は、前記合紙吸着治具が、前記板ガラスの外側の前記合紙端部に少なくとも一個配置されている。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る板ガラス吸着装置によれば、合紙吸着手段により、ガラス吸着手段が板ガラスを吸着する際、板ガラスの他方の平面側に位置する合紙の板ガラスの周辺からはみ出た合紙端部を、板ガラスの一方の平面側から、板ガラスの辺に沿って長手方向に配置され合紙端部に線状に接触する吸着開口部により吸着することができるので、板ガラスを吸着保持すると共に板ガラスとは別に合紙を吸着保持する際に、合紙に折れ曲がりや癖付き等があったとしても確実に吸着保持することができる。
【0011】
また、この発明の他の態様に係る板ガラス吸着装置によれば、吸着開口部が、合紙吸着治具の長手方向に沿って配置されたスリット状開口形状に形成されているので、板ガラスを吸着保持すると共に板ガラスとは別に合紙を吸着保持する際に、合紙に折れ曲がりや癖付き等があったとしても確実、且つ、より効果的に吸着保持することができる。
また、この発明の他の態様に係る板ガラス吸着装置によれば、吸着開口部が、合紙吸着治具の合紙端部に対向する最先端部に位置して合紙端部に線状に接触しているので、合紙端部に折れ曲がりや癖付き等があったとしても、吸着開口部全域を合紙端部に容易、且つ、確実に空気漏れ無く密着させることができる。
【0012】
また、この発明の他の態様に係るガラス搬送装置によれば、合紙吸着治具が、板ガラスの外側の合紙端部に少なくとも一個配置されているので、最小配置数で効率良く、板ガラスを吸着保持すると共に板ガラスとは別に合紙を吸着保持する際に、合紙に折れ曲がりや癖付き等があったとしても確実に吸着保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一実施の形態に係る板ガラス吸着装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図2】図1の板ガラスと合紙を平置きした状態で示す説明図である。
【図3】図1の合紙吸着治具の構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】図3の吸着開口部の形成場所の形状を吸着開口部長手方向と直交する断面で示し、(a)は曲面形成形状、(b)は平面形成形状、(c)は突出形成形状の説明図である。
【図5】この発明に係る合紙吸着治具による合紙吸着状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施の形態に係る板ガラス吸着装置の構成を模式的に示す説明図である。図1に示すように、板ガラス吸着装置10は、板ガラスGを吸着するガラス吸着パッド(ガラス吸着手段)11と、合紙Pを吸着する合紙吸着治具(合紙吸着手段)12を有しており、ガラス吸着パッド11及び合紙吸着治具12に連通する管体13を介して真空ポンプ(図示しない)を備えた真空発生装置14に接続されている。
【0015】
ガラス吸着パッド11は管体13の管路13aの先端に取り付けられて、合紙吸着治具12は管体13の管路13bの先端に取り付けられて、それぞれ板ガラスGの一方の平面に対向して配置されている。
この板ガラス吸着装置10により、例えば、板ガラスGを収納するパレット(図示しない)から、板ガラスGと合紙Pを吸着保持して同時に取り出し、次工程へと搬送するコンベアに、板ガラスGのみを供給する。
【0016】
図2は、図1の板ガラスと合紙を平置きした状態で示す説明図である。図2に示すように、板ガラスGは、太陽電池モジュール、液晶パネル、プラズマディスプレイ(Plasma Display:PDP)フィルタ等に使用されるものであり、例えば、幅(W)が500〜700mm、長さ(L)が800〜1200mm、厚み(t)が約2.5mm、重量が2.5〜5.0kgの矩形平板状に形成されている。
合紙Pは、複数枚の板ガラスGを、例えば、パレットに収納する際に、板ガラスG同士の接触による傷等の発生を防止する緩衝材としての役割を果たしており、隣接する板ガラスGの間に挟まれるように板ガラスGと交互に、即ち、合紙Pと板ガラスGが一対となるように配置される。
【0017】
この合紙Pは、対となる板ガラスGの外側にはみ出すように、つまり、平置きした合紙Pに載置した板ガラスGに対し、例えば、少なくとも横方向両側に30mm以上の幅ではみ出す大きさで、厚み(t)が0.05〜0.1mmに形成されている。合紙Pの板ガラスGの外側にはみ出す合紙端部Peは、板ガラスGからのはみ出し幅を30〜300mmとしている。
ここで、図2に示す、平置きした合紙P及び合紙Pに載置した板ガラスGにおいて、図面に向かって左右の辺を縦辺、図面に向かって上下の辺を横辺とする。
なお、図2において、合紙Pは、板ガラスGの横方向両側、即ち、両縦辺Ga側に加え、板ガラスGの図面上側、即ち、上横辺Gb側にも、合紙端部Peを有している。
【0018】
図1に示すように、ガラス吸着パッド11は、弾性部材により管路13aに連通する擂り鉢状に形成されて、板ガラスGの一方の平面に密着するパッド開口端を有しており、真空発生装置14の作動により板ガラスGに接触させた状態で内部が負圧状態になると、板ガラスGの一方の平面に吸着する。このガラス吸着パッド11は、吸着対象となる板ガラスGの吸着に必要な任意の数(一例として、12〜16個)が設置されている。
【0019】
合紙吸着治具12は、管路13bに連通する、例えば、ステンレス鋼(SUS)管により両端が閉じられた円筒体状に形成されて、合紙Pの横方向両側の各合紙端部Peの一方の平面に密着する吸着開口部12aを有しており、真空発生装置14の作動により合紙Pに臨ませ内部を負圧状態にして、ガラス吸着パッド11が吸着する板ガラスGの一方の平面と同じ側の合紙端部Peの一方の平面に押し付けるようにすることで、合紙端部Peを吸着した状態になる。
【0020】
この合紙吸着治具12は、管体13と略直交するように、板ガラスGの両縦辺Gaの外側に一個ずつ各縦辺Gaに対し略平行に近接配置されており、その長さを、各合紙吸着治具12が合紙端部Peを吸着した状態で合紙Pを保持するのに十分な長さ、即ち、合紙端部Peに対する接触長さの割合を、合紙端部Peの合紙吸着治具12長手方向長さ(図2においては、合紙Pの縦辺長さL)に対し50〜100%、望ましくは70%以上有するように形成する。
【0021】
なお、合紙吸着治具12の設置数は、板ガラスGの両縦辺Gaの外側に1個ずつ、計2個に限るものではなく、1個の場合は横辺Gbの上側、2個の場合は両縦辺Gaの外側等、板ガラスGの各辺の外側の合紙端部Peに少なくとも1個配置されていれば良く、矩形状を有する板ガラスGの3辺或いは4辺の外側の合紙端部Peにそれぞれ配置されていても良い。
【0022】
また、各合紙吸着治具12を、合紙吸着治具12の吸着対象である合紙Pに対し個別に接近離反させる機構を設けると共に、真空発生装置14を、各合紙吸着治具12毎に個別に設けても良い。これにより、合紙吸着治具12を合紙Pの状態に対応させてそれぞれ個別に吸着させることかできるので、合紙吸着治具12による合紙Pの吸着がより確実になる。なお、この各合紙吸着治具12を個別に接近離反させる機構は、合紙吸着治具12に必須のものではない。
【0023】
図3は、図1の合紙吸着治具の構成を概略的に示す斜視図である。図3に示すように、合紙吸着治具12の長手方向略中央には管路13bが連結されており、管路13bが配置された側の反対側である、合紙吸着治具12の合紙端部Peとの接触部には、吸着開口部12aが開けられている。
吸着開口部12aは、合紙吸着治具12の長手方向に沿って配置された、連続する直線状に延びる一本のスリット状開口形状となるように形成されており、長手方向に直交する方向の開口幅(スリット幅)を、例えば、3mmとしている。このスリット幅は、3mmに限るものではなく、1〜20mmの範囲が好ましい。
【0024】
従って、合紙吸着治具12により合紙Pを吸着する際、吸着開口部12aは、板ガラスGの辺に沿って長手方向に配置されることになり、板ガラスGの一方の平面側から、合紙端部Peに線状に接触する。
なお、吸着開口部12aは、連続して直線状に延びる一本のスリット状開口ではなく、断続して直線状に延びるように分割配置して、即ち、短いスリット状開口を複数個、合紙吸着治具12の長手方向に沿って配置して形成しても良い。
【0025】
図4は、図3の吸着開口部の形成場所の形状を吸着開口部長手方向と直交する断面で示し、(a)は曲面形成形状、(b)は平面形成形状、(c)は突出形成形状の説明図である。図4に示すように、吸着開口部12aを、吸着開口部12a長手方向と直交する横断面が円形や楕円或いは長円となるように、合紙吸着治具12を円筒体等の、横断面が円形や楕円或いは長円である筒体により形成することで、吸着開口部12aは、曲面の一部を開口幅として曲面上に形成される曲面形成形状((a)参照)となり、合紙吸着治具12の合紙端部Peに対向する最先端部に位置して合紙端部Peに線状に接触し、合紙端部Peと密着した状態になるので、合紙端部Peを吸着するために十分な吸着力を確実に得ることができる。
【0026】
また、吸着開口部12aを、吸着開口部12aが合紙吸着治具12の外面最突出位置とするように傾斜する平面上、即ち、吸着開口部12aが対向する合紙端部Peに向かって傾斜する平面上に形成される平面形成形状((b)参照)としても良く、更に、吸着開口部12aを、吸着開口部12aが合紙吸着治具12の外面最突出位置とするように合紙吸着治具12の外面から突出する突出部、即ち、吸着開口部12aが対向する合紙端部Peに向かって突出する突出部を介して形成される突出形成形状形状((c)参照)としても良い。
【0027】
これにより、長手方向に直線状に延びるスリット状開口形状を有する吸着開口部12aは、合紙吸着治具12の合紙端部Peに対向する最先端部に位置して合紙端部Peに線状に接触し、合紙端部Peと密着した状態になるので、吸着開口部12aを介してブロア吸引により合紙端部Peを吸い上げる際に、吸着開口部12aが合紙端部Peに接触する面積は最小として、吸着開口部12aによる吸着面積はできる限り広くすることができるので、合紙端部Peを吸着するために十分な吸着力を確実に得ることができる。
【0028】
このため、従来、合紙Pを吸着するために用いていた吸着(真空)パッドでは、薄く剛性を有しない合紙Pの平坦面を形成しない合紙端部Peに密着させて吸着することは困難であった。つまり、吸着パッドで吸着しようとすると合紙端部Peが逃げてしまい、合紙端部Peに密着せず隙間が発生して空気漏れ(リーク)してしまうのが避けられなかったが、この発明に係る合紙吸着治具12は、合紙端部Peに接触させる吸着開口部12aを、長手方向に直線状に延びるスリット状開口形状として、吸着開口部12aが対向する合紙端部Peに臨む最先端部に位置するようにし、合紙端部Peに線状に接触するように形成したので、合紙端部Peに折れ曲がりや癖付き等があったとしても、吸着開口部12a全域を合紙端部Peに容易、且つ、確実に空気漏れ無く密着させることができる。
【0029】
図5は、この発明に係る合紙吸着治具による合紙吸着状態を示す説明図である。図5に示すように、板ガラス吸着装置10により板ガラスGと合紙Pを吸着するため、真空発生装置14が作動してブロア吸引が行われると、ガラス吸着パッド11は、パッド開口端を板ガラスGに接触させた状態で内部が負圧状態になり、板ガラスGの一方の平面に吸着する。このとき、板ガラスGの縦辺Gaに対し略平行に近接配置された合紙吸着治具12は、真空発生装置14が作動によりブロア吸引が行われると内部が負圧状態になるので、ブロア吸引しつつ合紙吸着治具12を合紙端部Peに近づけて行くと、合紙端部Peに対向配置された吸着開口部12aを塞ぐように合紙端部Peが合紙吸着治具12に吸着する。
【0030】
従って、真空発生装置14が作動してブロア吸引が行われることにより、ガラス吸着吸着パッド11が板ガラスGを吸着保持すると共に、合紙吸着治具12が合紙Pを吸着保持した状態になる。
合紙吸着治具12が合紙Pを吸着保持しようとして、ブロア吸引しつつ合紙吸着治具12を合紙端部Peに近づけて行ったとき、例えば、合紙端部Peが下方に折れ曲がっていて、合紙吸着治具12が合紙端部Peの表面に接触していなくても、吸着開口部12aからの吸引力により、吸着開口部12aの下方に離間していた合紙端部Peが引き付けられて上方移動し(図5中、矢印参照)、吸着開口部12aを塞ぐように合紙端部Peが合紙吸着治具12に吸着する。
【0031】
つまり、真空発生装置14により、ガラス吸着パッド11に板ガラスGが吸着保持されると共に、合紙端部Peの表面に密着させた吸着開口部12aにより、合紙吸着治具12に合紙Pが吸着保持されることになる。
合紙端部Peの表面に密着させた吸着開口部12aにより合紙Pが吸着されるとき、吸着開口部12aの幅が狭く合紙端部Peとの両側接触位置の間隔が近いと、ブロア吸引によって発生する負圧状態により合紙Pを引き付け易くなり、喩え、合紙端部Peが平坦面でなかったとしても、合紙Pを吸着開口部12aに引き寄せるための十分な引き寄せ力を得ることができ、合紙Pが吸着開口部12aに当たった場合でも逃げ難くなる。
【0032】
従って、合紙端部Peが、喩え、折れ曲がって垂れ下がっていたり、癖が付いて平坦面でなかったりしても、また、合紙吸着治具12と合紙端部Peとが離れていたとしても、つまり、吸着対象となる合紙端部Peが平坦面を形成せず、その上、個々にばらついていて吸着する合紙P毎に吸着条件が異なっていたとしても、ブロア吸引による吸着開口部12aの吸引力により、合紙端部Peを合紙吸着治具12に吸い寄せて合紙吸着治具12が合紙Pを確実に吸着すると共に、吸着した状態に保持することができる。また、吸着した合紙Pに皺が発生してしまうこともない。
【0033】
このように、合紙吸着治具12が、確実に合紙端部Peを吸着保持するためには、管体の外径は10mm(内径は8mm)〜50mm(内径は48mm)であることが望ましい。管体として規格配管を用いて合紙端部Peの吸着を行った場合、規格配管15A(外径:21.7mm、内径:18.4mm)と規格配管20A(外径:27.2mm、内径:23.9mm)では、合紙端部Peの吸い寄せ距離5mmで、十分な吸着力及び保持力を確保することができた。
【産業上の利用可能性】
【0034】
この発明によれば、合紙吸着治具12により、ガラス吸着パッド11が板ガラスGを吸着する際、板ガラスGの他方の平面側に位置する合紙Pの板ガラスGの周辺からはみ出た合紙端部Peを、板ガラスGの一方の平面側から、板ガラスGの辺に沿って長手方向に配置され合紙端部Peに線状に接触する吸着開口部12aにより吸着することができるので、板ガラスGを吸着保持すると共に板ガラスGとは別に合紙Pを吸着保持する際に、合紙Pに折れ曲がりや癖付き等があったとしても確実に吸着保持することができる。このため、板ガラスGの保管や運搬の際にガラス面を覆って板ガラスGに装着された合紙Pと共に板ガラスGを吸着するための板ガラス吸着装置に最適である。
【0035】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものでなく、当業者が適宜設計変更できるものであり、例えば、孔を連続的に線状に並べて形成した開口部を吸着開口部12aとして持つものや、吸着開口部12aが最先端部に位置していないもの等であっても、所要の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0036】
10 板ガラス吸着装置
11 ガラス吸着パッド
12 合紙吸着治具
12a 吸着開口部
13 管体
13a,13b 管路
14 真空発生装置
G 板ガラス
P 合紙
Ga 縦辺
Gb 横辺
Pe 合紙端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板ガラスの一方の平面側を吸着するガラス吸着手段と、
前記ガラス吸着手段が前記板ガラスを吸着する際、前記板ガラスの他方の平面側に位置する合紙の前記板ガラスの周辺からはみ出た合紙端部を、前記板ガラスの一方の平面側から、前記板ガラスの辺に沿って長手方向に配置され前記合紙端部に線状に接触する吸着開口部により吸着する合紙吸着手段と
を有する板ガラス吸着装置。
【請求項2】
前記吸着開口部は、前記合紙吸着治具の長手方向に沿って配置されたスリット状開口形状に形成されている請求項1に記載の板ガラス吸着装置。
【請求項3】
前記吸着開口部は、前記合紙吸着治具の前記合紙端部に対向する最先端部に位置して前記合紙端部に線状に接触する請求項1または2に記載の板ガラス吸着装置。
【請求項4】
前記合紙吸着治具は、前記板ガラスの外側の前記合紙端部に少なくとも一個配置されている請求項1から3のいずれか一項に記載の板ガラス吸着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−115874(P2011−115874A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273875(P2009−273875)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】