説明

浴室内部材洗浄装置

【課題】 浴槽に接続された循環配管を経由して洗浄水を洗浄配管に供給して洗剤噴出と浸透待機とを交互に繰り返す場合に、エアー混入のない洗浄水を洗浄配管に供給して、確実に所定量の洗剤を洗浄水に混入させ得るようにした浴室内部材洗浄装置を提供する。
【解決手段】 洗浄配管32を循環配管61から三方切換弁35を介して分岐させる。三方切換弁35として、ハウジング351内のボール状バルブ352が軸X回りに回転作動して流路切換可能とする。連通路354の一端開口354aを風呂釜側の循環配管61に連通した状態に維持し、他端開口354bを浴槽側の循環配管61と連通する第1切換制御位置と、洗浄配管32と連通して洗浄噴出可能な第2切換制御位置と、いずれにも連通せずに閉止して浸透待機させる第3切換制御位置とに回転作動により切換可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内の壁・床材や浴槽等の浴室部材を洗浄するための浴室内部材洗浄装置に関し、特にエアー混入に起因する不都合発生を解消して洗浄水に対する洗剤の混入を確実に行い得るようにして確実な洗浄処理を実現させるための技術に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽に洗浄ノズルを設置し、この洗浄ノズルに対し洗浄配管を通して給湯器から洗浄用の洗浄水を供給することにより浴槽の内壁面に向けて洗浄ノズルから洗浄水を噴射させ、これにより浴槽の内壁面を洗浄するものが知られている。洗浄水としては、湯又は水をそのまま用いる他、その湯又は水に対し洗剤を混ぜたものを用いる場合もあり、このような場合には洗剤タンクを設置し洗剤タンクからの洗剤を洗浄水に混入させることが行われている。例えば特許文献1又は特許文献2には、そのような浴槽自動洗浄装置が提案されている。なお、本願発明が対象とする洗剤混入部に対する後述のエアー(気泡)混入及びそれに起因して生じる不都合発生を解消することを意図した技術に関しては、本願出願時点において開示し得る先行技術文献は見出し得なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−162460号公報
【特許文献2】特開2009−268576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、発明者らは、浴槽に対し配管接続されている循環配管を利用して洗浄水の供給を行い、この洗浄水に対し洗剤を混入する構造として図9に例示するようなものを採用しようとしたが、後述の如き不都合発生のおそれのあることを見出した。
【0005】
すなわち、図9に例示の構造は次の通りである。浴槽100に設置された洗浄ノズル101に対し洗浄水を供給する洗浄配管102を接続する一方、この洗浄配管102の途中位置に洗剤を混入するためのベンチュリ管等により構成した洗剤混入部103を介装させる。そして、この洗剤混入部103に洗剤を供給するために洗剤タンク104から洗剤供給管105を延ばして接続する。その際、洗剤供給と供給停止とに切換えるために洗剤供給管105に対し電磁開閉弁106を介装し、この電磁開閉弁106の開閉切換により所定量の洗剤を洗剤混入部103に対し流下可能にする。上記洗剤混入部103では、その細径通路部に洗浄水が通過する際の負圧吸引力により、洗剤供給管105側から洗剤が洗浄水中に吸い込まれることになる。そして、給湯器付き風呂釜107と浴槽100とを互いに接続する循環配管108の途中から例えば三方切換弁109を介して洗浄配管102を分岐させ、三方切換弁109の切換により給湯器付き風呂釜107から洗浄配管102に対し洗浄水を供給可能とする。通常は洗浄配管102側を遮断して循環配管108a,108bが連通状態になる循環側切換状態とされ、洗浄処理が行われるときには浴槽100側の循環配管108bを遮断して給湯器付き風呂釜107側の循環配管108aと洗浄配管102とが互いに連通状態になる洗浄側切換状態とされる。洗浄側切換状態にされると、給湯器付き風呂釜107の注湯電磁弁110が開作動され、これにより給湯側から循環配管108a、三方切換弁109及び洗浄配管102を通して洗浄水が洗浄ノズル101に対し供給されることになる。この際、電磁開閉弁106が開かれれば洗剤が吸引されて、洗剤が混入された状態の洗浄水が洗浄ノズル101に供給されることになる。
【0006】
しかしながら、このような構造の場合に、洗浄処理として、上記の如く洗剤を混入した洗浄水を吹き付ける洗剤噴出処理と、洗剤の吹き付けを一時的に停止させて浴槽内壁に付着した汚れ成分に対し洗剤の泡S(図10参照)が浸透するのをしばらく待つ浸透待機処理とを交互に繰り返すことにすると、特に2回目の洗剤噴出処理において所定量の洗剤を洗浄水に対し混入させ得なくなる事態が発生するおそれがあると考えられる。すなわち、図10に示す浸透待機処理においては、洗浄ノズル101が浴槽100内に開口しているため、浴槽100内から洗浄ノズル101及び洗浄配管102内に侵入する空気によって、洗浄配管102内の残留水が空気置換して浴槽100内に総崩れを起こしたように吐出されてしまうおそれがあると考えられる。このような空気置換が洗浄側切換状態の三方切換弁109を通して循環配管108a内に伝搬するため、循環配管108a内の残留水が空気置換によって浴槽100内に吐出・排出されてしまうおそれがある。
【0007】
このような状況下で、2回目の洗剤噴出処理のために、上記と同様に注湯電磁弁110を開作動させて給湯側から循環配管108a、三方切換弁109及び洗浄配管102に対し洗浄水を供給すると、供給される洗浄水の最初の部分はエアーが多量に混入したものであり、このようなエアー混入の洗浄水が上記の洗剤混入部103を通過すると、その通過の際に混入エアーが洗剤供給管105の供給口から内部に入り込んで電磁開閉弁106までの間の洗剤供給管105の内部通路に溜まるおそれが生じる。この部位にエアーが溜まってしまうと、電磁開閉弁106が開切換されて洗剤が流下可能になったとしても、洗浄水の通過に伴う負圧吸引力により上記の溜まったエアーが先に吸い込まれ、エアーが消失した後に洗剤が吸い込まれることになるおそれの有ることが考えられる。そうなると、洗剤が所定の混入量まで混入されないことになったり、あるいは、エアーが多量に溜まっていれば洗剤が全く混入されないままの状態で洗浄水が洗浄ノズル101に供給されることになったりしてしまうことになる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、浴槽に接続された循環配管を経由して洗浄水を洗浄配管に供給する場合に、洗剤噴出と浸透待機とを交互に繰り返すようにしたとしても、エアー混入のない洗浄水を洗浄配管に供給し得るようにし、これにより、確実に所定量の洗剤を洗浄水に対し混入させ得る浴室内部材洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、浴槽が戻り側及び往き側の双方からなる循環配管を介して給湯器付き風呂釜と接続され、上記循環配管に対し給湯側から注湯されることにより上記浴槽に対し湯張り可能とされる一方、上記給湯器付き風呂釜の給湯側からの湯水の供給を受け洗剤タンクからの洗剤を混入した上で洗浄ノズルから噴射させることにより上記浴槽を含む浴室部材の洗浄を行う浴室内部材洗浄装置を対象にして、次の特定事項を備えることとした。すなわち、基端が上記循環配管から分岐され先端が上記洗浄ノズルまで延ばされた洗浄配管と、上記給湯器付き風呂釜の給湯側から上記循環配管に供給された湯水が上記洗浄配管に流入するよう、上記循環配管の流路を浴槽との間で循環可能な循環連通状態から洗浄配管に連通する洗浄連通状態に切換える流路切換手段と、少なくとも上記洗浄配管の分岐位置よりも上記給湯器付き風呂釜側の循環配管の部分を、洗浄配管の側と、上記分岐位置から浴槽に延びる循環配管の側との双方に対し遮断した状態に切換える双方遮断手段と、を備えることとした(請求項1)。
【0010】
本発明の場合、流路切換手段により流路を洗浄連通状態に切換制御した状態で給湯側から湯又は水を洗浄水として供給し、これに洗剤を混入させて洗浄ノズルから噴射させる一方、洗剤混入の洗浄水の噴射を停止させて、双方遮断手段により上記循環配管の部分を洗浄配管の側と、浴槽側との双方に対し遮断した状態に切換えた上で待機させることが可能となる。この待機状態では、上記循環配管の部分が双方遮断手段による遮断切換により完全に密閉された状態となり、洗浄ノズルが浴槽内に開口していても、空気置換が生じるおそれはなくなる。これにより、浸透待機の後に、双方遮断手段による双方遮断を解除して洗浄水を循環配管経由で供給したとしても、その供給した洗浄水へのエアー混入のおそれを確実に回避可能となり、エアー混入のおそれがないことから洗剤混入の不足や不安定さもなく確実に所定量の洗剤混入が可能となる。
【0011】
本発明において、上記双方遮断手段を上記流路切換手段により構成し、この流路切換手段として、上記循環連通状態と洗浄連通状態との他に、洗浄配管側及び循環配管側の双方を共に閉止して非連通にした双方遮断状態にも切換可能な構成とすることができる(請求項2)。このようにすることにより、新たな部品を設置する必要がなくコンパクト化も図られる。このような流路切換手段として、例えば三方切換弁の切換制御位置として循環配管同士を互いに連通させる切換制御位置と、洗浄配管側を連通させる切換制御位置との他に、いずれにも連通しない中間の切換制御位置に切換制御し得るように構成すればよい。又、三方切換弁の代わりに、洗浄配管の分岐位置の洗浄配管側及び循環配管側に設置した一対の開閉切換弁により構成するようにしてもよい。あるいは、循環連通状態と洗浄連通状態との2つの切換制御位置での相互切換可能な通常の三方切換弁と、例えば洗浄ノズルの側の洗浄配管に介装させた1つの開閉切換弁との組み合わせにより双方遮断手段を構成してもよい。
【0012】
又、本発明において、洗浄処理として、上記洗剤タンクからの洗剤を混入した洗浄水を洗浄ノズルから噴射させる洗剤噴出処理を、洗浄水の噴射を停止させる浸透待機処理を挟んで繰り返す洗浄制御手段を備えるようにすることができる(請求項3)。このような洗浄制御手段により洗剤噴出処理と浸透待機処理とを繰り返すものにおいて、エアー混入の無い洗浄水によって確実に所定量の洗剤を混入させて洗浄処理を行い得ることになる。
【発明の効果】
【0013】
以上、説明したように、本発明の浴室内部材洗浄装置によれば、流路切換手段により流路を洗浄連通状態に切換制御した状態で給湯側から湯又は水を洗浄水として供給し、これに洗剤を混入させて洗浄ノズルから噴射させる一方、洗剤混入の洗浄水の噴射を停止させて、双方遮断手段により上記循環配管の部分を洗浄配管の側と、浴槽側との双方に対し遮断するように切換えして待機させることができるようになる。そして、この待機状態では、上記循環配管の部分が双方遮断手段による遮断切換により完全に密閉された状態にすることができ、洗浄ノズルが浴槽内に開口していても、空気置換が生じるおそれを無くすことができる。これにより、浸透待機の後に、双方遮断手段による双方遮断を解除して洗浄水を循環配管経由で供給したとしても、その供給した洗浄水へのエアー混入のおそれを確実に回避してエアー混入のない洗浄水を洗浄配管に供給することができるようになり、これにより、確実に所定量の洗剤を洗浄水に対し混入させることができるようになる。
【0014】
特に、請求項2によれば、流路切換手段として、循環連通状態と洗浄連通状態との他に、双方遮断状態にも切換可能な構成とすることにより、この流路切換手段を双方遮断手段として用いることができるようになる。これにより、新たな部品を設置する必要がなくコンパクト化も図ることができる。
【0015】
又、請求項3によれば、洗浄処理として、洗剤噴出処理を浸透待機処理を間に挟んで繰り返す洗浄制御手段を備えるようにすることにより、エアー混入の無い洗浄水によって確実に所定量の洗剤を混入させて確実な洗浄処理を行うことができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の浴室内部材洗浄装置の実施形態を適用した風呂システムを示す模式図である。
【図2】図2(a)は実施形態において採用している三方切換弁の例をある方向で切断した断面説明図であり、図2(b)は図2(a)のA−A線における断面説明図である。
【図3】実施形態における浴槽洗浄制御に係る部分のブロック構成図である。
【図4】浴槽洗浄制御を示すフローチャートである。
【図5】浴槽洗浄制御の洗浄前処理の状況を示す図1対応図である。
【図6】浴槽洗浄制御の予備洗浄処理の状況を示す図1対応図である。
【図7】浴槽洗浄制御の洗剤噴出処理の状況を示す図1対応図である。
【図8】浴槽洗浄制御の浸透待機処理の状況を示す図1対応図である。
【図9】本願発明の課題を説明するための構成例において、洗剤を混入した洗浄水を吹き付けている状態を示す説明図である。
【図10】図9に示す状態の後に、泡を浴槽内壁に付着させた状態で浸透させている状態を示す図9対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1に本発明の実施形態に係る浴室内部材洗浄装置を適用した風呂システムを示す。同図において、符号1は浴室を区画形成する浴室壁又は浴室を含む建物の壁であり、壁1の内側に浴槽2及び浴槽等洗浄ユニット3が配設される一方、壁1の外側に給湯器付き風呂釜(以下、単に「風呂釜」という)4が配設されている。
【0019】
給湯器付き風呂釜(以下、単に「風呂釜」という)4は、給湯機能、湯張り機能及び追い焚き機能を備えた複合熱源機であり、本実施形態の風呂釜4は1缶2水式に構成されたものである。すなわち、上記風呂釜4は、風呂熱交換器41と給湯熱交換器42とが1つの缶体内に配設されて共通の熱源である燃焼バーナ43により熱交換加熱されるように構成されている。以下、風呂釜4について先に概略説明した上で、浴槽2の側の構成について詳細に説明する。
【0020】
上記風呂釜4は、水道水等の給水を給水路44に受けて給湯熱交換器42において燃焼バーナ43の燃焼熱との熱交換加熱により所定温度まで加熱した湯を給湯路45に出湯させ、この湯を図示省略の給湯配管を通して台所や洗面所等の各所の給湯栓(図示省略)まで給湯するようになっている。又、上記風呂釜4は追い焚き機能を実現するための戻り路46及び往き路47からなる追い焚き循環路48を備え、浴槽2との間に配管された戻り配管61及び往き配管62からなる循環配管6に接続されて、浴槽2内に湯張りされた浴槽湯水を所定温度まで追い焚き加熱し得るようになっている。なお、図例における戻り配管61と戻り路46とで特許請求の範囲における「戻り配管」が構成され、往き配管62と往き路47とで「往き配管」が構成されることになる。
【0021】
すなわち、循環ポンプ49の作動により浴槽2から戻り配管61及び戻り路46を通して風呂釜4に戻された浴槽湯水は風呂熱交換器41において燃焼バーナ43の燃焼熱により熱交換加熱されて追い焚きされ、追い焚き後の浴槽湯水が往き路47及び往き配管62を通して浴槽2に供給されるというように循環され、所定の沸き上がり温度まで追い焚きされるようになっている。循環ポンプ49は戻り路46及び往き路47のいずれか一方(図例では戻り路46)に介装されており、戻り路46には流れを検知して後述の風呂釜コントローラ7に出力する水流スイッチ50や戻り路46により戻される浴槽2内の浴槽湯水の温度を検出する戻り温度センサ51が介装され、又、往き路47には風呂熱交換器42を通過した後の浴槽湯水の温度を検出する往き温度センサ52が介装されている。
【0022】
又、上記風呂釜4は、給湯路45の途中から分岐して追い焚き循環路48の一方(図例では戻り路46)に連通接続される湯水供給路としての注湯路53を備えており、この注湯路53を通して給湯路45の湯が戻り路46側に落とし込み注湯されることにより追い焚き循環路48及び循環配管6を通して浴槽2内に湯張りし得るようになっている。上記の注湯路53には、給湯路45の側である上流側から順に流量センサ54,注湯電磁弁55,逆流防止用の逆止弁56・56,上流側での負圧発生時に逆流発生を防止する縁切り弁57,及び,浴槽2内の水位を水圧検出に基づき測定・検知するための圧力検知式の水位センサ58がそれぞれ介装されている。そして、注湯路53の下流端が上記循環ポンプ49を介して戻り路46に接続されている。この循環ポンプ49は作動(ON)されると浴槽2の側の吸い込み口から吸い込んで風呂熱交換器41側の吐出口に吐出することになるものの、非作動状態(OFF状態)では吸い込み口の側と吐出口の側とが互いに連通した状態になる。そして、循環ポンプ49にはその内部通路に連通する接続口がハウジングに一体に形成され、この接続口を利用して上記の注湯路53の下流端が接続されている。従って、注湯路53の戻り路46に対する接続点は循環ポンプ49の介装位置となる。なお、注湯又は注水の流量調整は専用の流量調整弁を介装させてもよいし、図例の如く給湯路45に介装された流量調整弁45aにより行うようにしてもよい。
【0023】
以上の給湯、追い焚き及び湯張りの各運転は台所リモコン71等により入力設定される設定出湯温度や湯張り温度等の設定情報に基づいて風呂釜コントローラ7による作動制御によって実現されるようになっている。例えば、給湯制御は、給湯栓が開かれたり注湯電磁弁55が開かれたりして所定の作動流量以上の入水が検知されると、燃焼バーナ43を燃焼作動させて給水路44からの入水を加熱し、所定温度の湯を給湯路45に出湯させるようになっている。又、湯張り制御が開始されると、上記注湯路53の注湯電磁弁55を開作動させる一方、燃焼バーナ43を燃焼作動させて給水路44からの入水を加熱し、所定温度の湯を給湯路45,注湯路53,追い焚き循環路48及び循環配管6を通して浴槽2まで注湯することにより湯張りされるようになっている。その際、風呂自動処理の場合には、この湯張りの後に、さらに所定の沸き上がり温度まで昇温させて維持させる追い焚き制御が循環ポンプ49及び燃焼バーナ43をそれぞれ作動させることにより行われるようになっている。
【0024】
浴室に設置された浴槽2には、その側壁の最下端近傍位置に循環アダプタ21が設置され、底壁には自動開閉駆動制御式の排水栓22及び後述の洗浄ノズル31が設置され、上面側のフランジ壁には開閉駆動機構23及び後述の洗剤タンク34が設置されている。上記の循環アダプタ21には循環配管6の戻り配管61及び往き配管62がそれぞれ接続され、循環アダプタ21を介して浴槽2内の浴槽湯水が戻り配管61に吸引される一方、往き配管62から浴槽2内に吐出されるようになっている。又、排水栓22は開閉駆動機構23から開閉駆動力の伝達を受けて開閉作動されるようになっており、この開閉駆動機構23にはその作動状態(排水栓22が開状態か閉状態か)の如何を検出する排水栓状態検出センサ(図示省略)が設置され、これからの出力信号に基づき開閉駆動機構23が作動制御されるようになっている。排水栓22が開かれると、浴槽2内の湯水が浴室底部に排出され、続いて浴室の排水口24から排水されることになる。
【0025】
浴槽等洗浄ユニット3は、浴槽2の内壁面や浴室を構成する壁面・床面等の浴室部材(以下、「浴槽等」という)を対象にして洗浄処理するために設置されるものである。浴槽等洗浄ユニット3は、上記の浴槽2の底壁に設置された洗浄ノズル31と、この洗浄ノズル31に洗浄水を供給する洗浄配管32と、洗浄配管32の途中に洗剤を混入させる洗剤混入部33と、この洗剤混入部33に供給するための洗剤を貯留する上記の洗剤タンク34と、上記の洗浄配管32に対し洗浄水が供給されるよう循環配管6による流路の切換を行う流路切換手段としての三方切換弁35及び開閉切換弁36とを備えて構成されている。
【0026】
上記洗浄ノズル31は浴槽2の底壁を貫通して設置され先端開口(上面開口)から浴槽2の内側壁や浴槽2外に向けて所定範囲の広がりをもって洗浄水を噴出するようになっている。なお、洗浄ノズル31として、図例では1つのみを図示しているが、浴槽2のサイズや洗浄対象の浴室部材等に応じて2以上のものを所定配置にて設置することができ、その場合には洗浄配管32から他の洗浄ノズルに向けて第2・第3の洗浄配管を分岐させればよい。例えば、洗浄配管32の洗剤混入部33よりも洗浄ノズル31側の位置から三方切換弁を介して他の洗浄配管を分岐させ、これを浴室の上部位置まで延ばして浴室の壁面等の浴室内部材に向けて洗浄水を噴出させ得るように他の洗浄ノズルを接続することができる。上記洗浄配管32の上流端(基端)は上記循環配管6の戻り配管61に介装された上記三方切換弁35に接続されて上記戻り配管61から分岐され、下流端(先端)は上記の洗浄ノズル31に連通接続されている。つまり、三方切換弁35は風呂釜4内の追い焚き循環路48ではなくて浴室側(浴室内)に配管されている循環配管6の戻り配管61の途中に介装され、この浴室内の戻り配管61から洗浄配管32が分岐されている。そして、この洗浄配管32に対しては、上記注湯電磁弁55を開くと共に三方切換弁35及び開閉切換弁36をそれぞれ切換制御して流路切換することで、風呂釜4の給湯路45から注湯路53,戻り路46及び戻り配管61を通して所定温度の湯又は水が洗浄水として供給されるようになっている。
【0027】
すなわち、三方切換弁35と開閉切換弁36とは、次のようにして追い焚き循環時等の循環連通状態と、浴槽等の洗浄処理(以下、単に「浴槽洗浄処理」という)時における洗浄水供給の際の洗浄連通状態と、浴槽洗浄処理時における後述の浸透待機の際の双方遮断状態とに相互に流路切換可能となっている。つまり、本実施形態の三方切換弁35は、循環連通状態と洗浄連通状態との相互切換という本来の目的のための2つの切換制御位置に加えて、双方遮断状態を形成するための切換制御位置をも備えたものにより構成されている。すなわち、その構成を図2に例示するように、三方切換弁35はハウジング351内にボール状バルブ352が内蔵され、このバルブ352が駆動モータ(例えばステッピングモータ)353により軸X回りに回転作動されるように構成されている。ハウジング351には、給湯器付き風呂釜4側の戻り配管61に連通接続される流路61aと、浴槽2側の戻り配管61に連通接続される流路61bと、洗浄配管32側に連通接続される流路32aとが形成されている一方、ボール状バルブ352内には連通路354が貫通形成されている。バルブ352の連通路354の一端開口354aは軸X回りの回転作動位置の如何に拘わらず常に流路61aと連通状態に維持され、バルブ352が軸X回りに回転作動されることにより、他端開口354bは第1〜第3の3つの切換制御位置に相互切換されるようになっている。
【0028】
第1の切換制御位置(図2(a)及び図2(b)に実線で示す位置)に切換制御されると、他端開口354bが流路61b及び浴槽2側の戻り配管61に連通されて戻り配管61を連続して連通した状態に切換されることになる(以下、「循環側への切換制御」と称す)。第2の切換制御位置(図2(a)及び図2(b)に一点鎖線で示す位置)に切換制御されると、他端開口354bが流路32a及び洗浄配管32に連通されて洗浄水の供給が可能な状態に切換されることになる(以下、「洗浄側への切換制御」と称す)。第3の切換制御位置(図2(b)に二点鎖線で示す位置,例えば第1と第2の両切換制御位置の中間位置)に切換制御されると、他端開口354bがハウジング351の内壁面に閉止されていずれの流路61b,32aにも連通せずにいずれの流路61b,32aをも遮断した双方遮断状態に切換されることになる(以下、「双方遮断側への切換制御」と称す)。
【0029】
以上より、図1をも併せて参照して、三方切換弁35を循環側に切換制御すると、戻り配管61と洗浄配管32とが互いに遮断されかつ三方切換弁35を挟んで風呂釜4側と循環アダプタ21側(浴槽2側)との戻り配管61が互いに連通され、併せて、上記開閉切換弁36を開状態に維持して開閉切換弁36を挟んで往き配管62の両側が連通されるように切換制御することで、循環連通状態となる。逆に、上記三方切換弁35を、洗浄側に切換制御すると、戻り配管61と洗浄配管32とが互いに連通されかつ三方切換弁35を挟んで風呂釜4側と循環アダプタ21側(浴槽2側)との戻り配管61が互いに遮断されるように切換制御され、併せて、上記開閉切換弁36を閉状態に切換えて開閉切換弁36を通過する流れが遮断されるように切換制御することで、洗浄連通状態となる。つまり、この洗浄連通状態では、注湯路53から戻り路46に供給された湯水の全量が浴槽2の側にのみ流れて三方切換弁35を通して洗浄配管32に流入し、かつ、風呂熱交換器41の側には上記開閉切換弁36によりブロックされて流れない状態になる。これにより、注湯路53を通して給湯路45側から供給される湯水の全てを洗浄配管32に流入させて洗浄ノズル31に供給し得るようになる。さらに、上記三方切換弁35を、双方遮断側に切換制御すると、三方切換弁35を挟んで風呂釜4側の戻り配管61が、洗浄配管32とも遮断されるし、又、浴槽2側の戻り配管61とも遮断されるように切換制御され、併せて、上記開閉切換弁36を洗浄連通状態のままの閉状態に維持することで、洗浄配管32、並びに、風呂熱交換器41を含む風呂釜4側の戻り配管61及び往き路62を遮断して区画することができるようになる。
【0030】
洗剤混入部33はベンチュリ管により構成され、この洗剤混入部33には洗剤供給管37の下流端が連通接続されており、この洗剤供給管37の上流端は上記洗剤タンク34に連通接続される一方、洗剤供給管37の途中には洗剤開閉弁38が介装されている。この洗剤開閉弁38を開作動(例えば所定時間ずつ間欠的に開作動)させることにより洗剤タンク34から供給される所定量の洗剤が、洗剤混入部33において、洗浄水の通過に伴い発生する負圧吸引作用により洗浄水中に吸い込まれて混合されるようになっている。そして、洗剤開閉弁38を開弁状態にさせている開弁時間の長短によって1回の洗浄に対する洗剤供給量の調整が可能となっている。なお、上記洗剤タンク34には洗剤の液位を検知するフロートスイッチが設置されており、所定の液位まで低下したことを検知して後述の洗浄コントローラ8に出力するようになっている。
【0031】
上記の浴槽洗浄ユニット3の各作動要素35,36,38、浴槽2の洗浄に係る作動要素22,23や注湯電磁弁55は、洗浄制御手段としての洗浄コントローラ8によって作動制御されるようになっている。この洗浄コントローラ8には洗浄運転用の洗浄リモコン81が接続される一方、洗浄コントローラ8は風呂釜コントローラ7と双方向通信可能に接続されている。そして、ユーザが洗浄リモコン81を用いて洗浄の実行を入力操作(例えば洗浄スイッチのON操作)することにより、洗浄コントローラ8は風呂釜コントローラ7と連係して浴槽等を対象にした浴槽洗浄制御を実行するようになっている。なお、風呂釜コントローラ7には、台所リモコン71に加えて浴室リモコン72が接続されており、この浴室リモコン72により湯張りや追焚運転の入力操作をし得るようになっている。又、上記の浴槽洗浄制御の実行は、風呂自動スイッチ等のON操作により風呂湯張り等の前段階において自動的に開始されるようにしても、あるいは、ユーザ設定等により入浴終了後の排水スイッチ等のON操作により排水処理後の所定のタイミングで自動的に開始されるようにしてもよい。
【0032】
次に、上記洗浄コントローラ8により実行される浴槽洗浄制御について詳細に説明する。なお、以下では、浴槽洗浄制御は洗浄スイッチのON操作により開始されるものとして説明する。洗浄コントローラ8は、図3に示すように、浴槽洗浄処理を実行する浴槽洗浄制御部82の他に、この洗浄制御部82による浴槽洗浄処理の前段階に洗浄前処理を実行する洗浄前処理部83をも備えている。この洗浄前処理は、浴槽洗浄処理の実行に先だって、循環配管6(風呂熱交換器41も含む)の内部通路に残留している、エアーが混入しているかもしれない循環水や、内部通路の壁面等に付着しているかもしれないエアーを浴槽2に排出させるために実行されるものである。この洗浄前処理が終了した後に、洗浄配管32に洗浄水を供給して浴槽洗浄処理が実行されることになる。
【0033】
以下、浴槽洗浄制御について説明する。前提として運転スイッチがユーザによりONされた後、洗浄リモコン81の洗浄スイッチがユーザによりONされて洗浄指令に係る信号が出力されると、まず浴槽2内に残留水のないことの確認、次いで洗浄前処理、そして浴槽洗浄処理を順に実行する。以下、各処理を図4のフローチャートを参照しつつ詳細に説明する。
【0034】
まず、浴槽2内の残留水が無いことを確認するために、排水栓22が設定時間(例えば10分)以上に亘り開状態を継続していることの確認を行う(ステップS1)。つまり、開状態であればそのまま、閉状態であれば開閉駆動機構23を開作動させて排水栓22を開変換した上で、それぞれ設定時間が経過するまで待機することにより(ステップS1でNO)、たとえ残留水があったとしても排水されて無くなるようにする。
【0035】
残留水のないことの確認が終われば(ステップS1でYES)、次に洗浄前処理に移る。すなわち、三方切換弁35を循環側に切換制御し、開閉切換弁36を開切換制御した上で(ステップS2)、注湯電磁弁55を開切換して注湯路53から追い焚き循環路48,風呂熱交換器41及び循環配管6に対し所定流量の注湯を行うことにより(ステップS3)、洗浄前処理を行う。詳細に説明すると、この段階ではそれまでの浴槽使用により追い焚き運転等が行われ、これに伴い、通常は三方切換弁35や開閉切換弁36は通常の循環連通状態になっている。つまり、三方切換弁35は第1の切換制御位置に、開閉切換弁36は開位置にそれぞれ切換制御された状態になっており、この場合には、洗浄前処理はこの循環連通状態のままで注湯電磁弁55を開いて戻り路46に対し注湯する。なお、洗浄前処理も後述の浴槽洗浄処理も、循環ポンプ49は非作動の状態のまま行われる。
【0036】
この洗浄前処理による流路の状況は図5に示すようになる。図5では湯水が流れる経路を太線で示している(図6,図7においても同じ)。すなわち、注湯路53を通して戻り路46(戻り路46の循環ポンプ49介装位置)に注湯された湯は、二手に分かれ、一方は戻り路46を戻り配管61の側に流れて循環アダプタ21から浴槽2に排出され、他方は水流スイッチ50等を経て風呂熱交換器41に流入し、次いで往き路47及往き配管62内を流れて循環アダプタ21から浴槽2に排出されることになる。つまり、上記循環ポンプ49介装位置に注湯された湯が両搬送状態で追い焚き循環路48、風呂熱交換器41及び循環配管6の全てを通過した後に浴槽2に排出されることになる。これにより、洗浄スイッチがONされるまでの間に追い焚き循環運転が行われて浴槽2の側から気泡等の状態でエアーが循環配管6、追い焚き循環路48や風呂熱交換器41(以下「循環配管6等」ということもある)の側に入り込み、それらの内壁等に付着していたとしても、上記の注湯路53から両搬送状態で注湯することにより、循環配管6等内のエアーを浴室2に追い出して、循環配管6等の内部を上記の注湯路53から注湯された湯水で充満された状態に置換することができる。なお、以上の洗浄前処理においては、注湯路53から戻り路46に対し注湯するのではなくて、注水するようにしてもよい。この点は次の浴槽洗浄処理においても同様である。
【0037】
洗浄前処理(ステップS2,S3)が終了すれば、浴槽洗浄処理に移り、三方切換弁35を洗浄側に、すなわち第2の切換制御位置に切換制御し、開閉切換弁36を閉切換制御して洗浄連通状態にする(ステップS4)。浴槽洗浄処理は、予備洗浄(ステップS5)、洗剤噴出(ステップS6)及び浸透待機(ステップS7)の3種類の処理を所定の設定回数だけ繰り返し(ステップS8でNO)、最後にすすぎ処理(ステップS9)を経て終了する。
【0038】
予備洗浄処理(ステップS5)は、洗剤なしの洗浄水を洗浄ノズル31から噴出させて、浴槽2の内壁面に付着したゴミ等を洗い流すと共に、その内壁面を濡れた状態にするために実行される。三方切換弁35を循環側から洗浄側に切換制御して注湯電磁弁55を開状態にする。すなわち、三方切換弁35のバルブ352(図2参照)を第1の切換制御位置から第2の切換制御位置に切換制御して循環連通状態から洗浄連通状態に切換えた上で、開閉切換弁36の閉切換を開始させる。これは双方の弁35,36を同時に切換えた場合に同時閉状態が発生して循環配管6等の内部が一時的にせよ密閉状態に陥ってしまうおそれを回避して、スムースに流路切換を行うようにするためである。
【0039】
この予備洗浄処理による流路の状況は図6に示すようになる。すなわち、注湯路53を通して戻り路46(循環ポンプ49位置)に注湯された湯は、その全量が循環ポンプ49位置から戻り路46を通して戻り配管61側に流れ、三方切換弁35を通して洗浄配管32に洗浄水として供給されて、この洗浄水が洗浄ノズル31から浴槽2の内壁面に向けて噴出されることになる。この予備洗浄処理が所定の設定時間が経過するまで行われる。
【0040】
設定時間が経過した後、洗剤噴出処理(ステップS6)が実行される。この洗剤噴出処理は、上記の予備洗浄処理の制御内容をそのまま継続し、併せて洗剤電磁弁38を所定の短時間だけ開切換して洗剤混入部33へ所定量の洗剤を供給する。これにより、洗剤が混入された洗浄水を浴槽2の内壁面に向けて噴出させ、内壁面を洗剤の泡で覆うようにするものである。この洗剤噴出処理による流路の状況は、図7に示すように、図6の予備洗浄処理による流路の状況に加えて、洗浄タンク34からの洗剤が洗剤配管37及び洗剤電磁弁38を通して洗剤混入部33に供給されることになる。そして、洗剤混入部33では、洗浄水通過に伴い生じる負圧吸引作用により洗剤が洗浄水中に混入・混合され、これにより、洗剤が混入された状態の洗浄水が洗浄ノズル31から浴槽2内に噴出されることになる。
【0041】
洗剤混入の洗浄水の噴出させる洗剤噴出処理を所定の短時間だけ実行した後、浸透待機処理(ステップS7)に移行する。浸透待機処理では、洗剤及び洗浄水の供給を共に停止して浴槽2の内壁面に洗剤の泡を付着させたまま、所定の設定時間が経過するまで待機する。これにより、洗剤の泡が浴槽2の内壁面に付着した汚れ成分に浸透して汚れを浮き立たせるようにする。制御内容としては、三方切換弁35を双方遮断側へ切換制御して洗浄配管32と風呂釜4側の戻り配管61との間、及び、洗浄配管32と浴槽2側の戻り配管61との間を共に遮断する。すなわち、洗剤電磁弁38の閉切換、注湯電磁弁55の閉切換、三方切換弁35のバルブ352(図2参照)を第2の切換制御位置から第3の切換制御位置への切換制御、開閉切換弁36の閉切換状態の維持を行う。この浸透待機処理による流路の状況は、図8に示すように、浴槽2の内壁面に洗剤の泡Sが付着して静かに流下する以外、他の全ての流れは停止されると共に、洗浄配管32は三方切換弁35位置で遮断され、戻り配管6等も三方切換弁35から戻り配管61、戻り路46、風呂熱交換器41、往き路47、及び、開閉切換弁36までの往き配管62にわたる流路部分が、洗浄配管32や循環アダプタ21(浴槽2)の側と完全に遮断される。つまり、この流路部分の残留水が完全に密閉されることになる。従って、洗浄ノズル31の開口からの空気置換によりエアー混入発生のおそれを完全に払拭して確実に回避することができるようになる。これにより、次回の洗剤噴出処理(ステップS6)において、エアー混入のない状態の洗剤電磁弁38や洗剤配管37から洗剤を洗剤混入部33に供給することができ、洗剤電磁弁38の開時間に対応する所定量の洗剤を確実に洗浄水に混入させて洗浄を行うことができるようになる。
【0042】
以上の予備洗浄処理(ステップS5)、洗剤噴出処理(ステップS6)及び信徒等待機処理(ステップS7)を設定回数(例えば2回以上)繰り返した上で(ステップS8でYES)、最後にすすぎ処理(ステップS9)を行って、浴槽洗浄処理を終了する。すすぎ処理は、洗剤を含まない清浄な湯又は水だけの洗浄水を洗浄ノズル31から噴出させて、浴槽2内に残留した泡S等を排水栓22から排水させ、これにより、浴槽2内を清浄にするために行う。このすすぎ処理を所定時間又は所定流量分だけ実行した後、注湯電磁弁55を閉切換えするなどして給湯を停止し、排水に要する設定時間の経過を待って上記の排水栓22を閉変換させて終了する。なお、このような浴槽洗浄処理は、ユーザの洗浄リモコン81に対する入力操作に基づき行われるため、その処理の実行は風呂使用の前段階か後段階か、あるいは、風呂使用が行われても浴槽洗浄処理を実行しないか、等はユーザの選択に委ねられる。
【0043】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記洗浄ノズル31の設置位置は浴槽2の底壁に限らず、例えば底壁近傍位置の側壁等であってもよく、又、給湯器付き風呂釜として、1缶2水式に限らず、2缶2水式のものを用いた場合にも本発明を適用することができる。さらに、上記実施形態において、三方切換弁35を戻り配管61に介装させて洗浄配管32を戻り配管61から分岐させる一方、往き配管62に開閉切換弁36を介装させているが、これに限らず、三方切換弁の介装や洗浄配管の分岐を往き配管62から行い、開閉切換弁を戻り配管61に介装させるようにしてもよい。この場合には、注湯路53の下流端を往き路47の側に接続させればよいが、給湯器付き風呂釜として2缶2水式のものを用いる場合には注湯路53の接続対象は戻り路46又は往き路47のいずれでも本発明を適用することができる。
【0044】
上記実施形態において、流路切換手段又は双方遮断手段として三方切換弁35にボール状バルブ352を備えて双方遮断用の切換制御位置を備えた例を示したが、それ以外に、例えばスプール形式の流路切換弁でいずれにも連通しない非連通制御位置を有するように構成したものを、双方遮断手段として用いるようにしてもよい。又、流路切換手段又は双方遮断手段としての三方切換弁35に代えて、洗浄配管32の基端側に介装した開閉切換弁と、洗浄配管32の分岐位置よりも循環アダプタ21寄り位置の戻り配管61に介装した開閉切換弁との組み合わせを、流路切換手段又は双方遮断手段として採用するようにしてもよい。さらに、双方遮断手段としては、三方切換弁35の代わりに、洗浄ノズル31と洗剤混入部33との間の洗浄配管32に対し開閉切換弁39(図8参照)を介装させ、この開閉切換弁39を常時は開状態に維持しつつ浸透待機処理では閉切換制御するようにしてもよい。
【0045】
上記実施形態では、洗浄前処理を浴槽洗浄処理の前段階に行うようにしているが、これに限らず、洗浄前処理を省略するようにしてもよい。この場合でも、浸透待機処理として三方切換弁35によって洗浄配管32の側と、戻り配管61の側とが共に遮断されるという双方遮断状態にすることができるため、浸透待機期間における空気置換によるエアー混入の発生のおそれを確実に回避することができる。これにより、エアー混入発生に伴い例えば次回の洗剤噴出処理での洗剤混入量が不足又は不安定になるという事態の発生を確実に防止することができ、これにより、確実に所定量の洗剤を混入して確実な洗浄処理を行うことができるようになる。
【符号の説明】
【0046】
2 浴槽
4 給湯器付き風呂釜
6 循環配管
8 洗浄コントローラ(洗浄制御手段)
31 洗浄ノズル
32 洗浄配管
33 洗剤混入部
35 三方切換弁(流路切換手段,双方遮断手段)
36 開閉切換弁(流路切換手段)
39 開閉切換弁(双方遮断手段)
46 戻り路(戻り側の循環配管)
47 往き路(往き側の循環配管)
61 戻り配管(戻り側の循環配管)
62 往き配管(往き側の循環配管)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽が戻り側及び往き側の双方からなる循環配管を介して給湯器付き風呂釜と接続され、上記循環配管に対し給湯側から注湯されることにより上記浴槽に対し湯張り可能とされる一方、上記給湯器付き風呂釜の給湯側からの湯水の供給を受け洗剤タンクからの洗剤を混入した上で洗浄ノズルから噴射させることにより上記浴槽を含む浴室部材の洗浄を行う浴室内部材洗浄装置であって、
基端が上記循環配管から分岐され先端が上記洗浄ノズルまで延ばされた洗浄配管と、
上記給湯器付き風呂釜の給湯側から上記循環配管に供給された湯水が上記洗浄配管に流入するよう、上記循環配管の流路を浴槽との間で循環可能な循環連通状態から洗浄配管に連通する洗浄連通状態に切換える流路切換手段と、
少なくとも上記洗浄配管の分岐位置よりも上記給湯器付き風呂釜側の循環配管の部分を、洗浄配管の側と、上記分岐位置から浴槽に延びる循環配管の側との双方に対し遮断した状態に切換える双方遮断手段と、
を備えていることを特徴とする浴室内部材洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の浴室内部材洗浄装置であって、
上記双方遮断手段は上記流路切換手段により構成され、この流路切換手段は、上記循環連通状態と洗浄連通状態との他に、洗浄配管側及び循環配管側の双方を共に閉止して非連通にした双方遮断状態にも切換可能に構成されている、浴室内部材洗浄装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の浴室内部材洗浄装置であって、
洗浄処理として、上記洗剤タンクからの洗剤を混入した洗浄水を洗浄ノズルから噴射させる洗剤噴出処理を、洗浄水の噴射を停止させる浸透待機処理を挟んで繰り返す洗浄制御手段を備えている、浴室内部材洗浄装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−200300(P2011−200300A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68246(P2010−68246)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】