説明

研磨装置および研磨方法

研磨装置は、研磨面(40)を有する研磨テーブル(18)と、基板上の複数の領域(C1−C4)に対する押圧力を独立に制御しつつ基板を研磨面(40)に押圧するトップリング(20)とを備える。研磨装置は、複数の基板の計測点の基板状態を監視するセンサ(52)と、センサ(52)からの信号に所定の演算処理をしてモニタ信号を生成するモニタ装置(53)と、それぞれの計測点におけるモニタ信号と基準信号とを比較し、計測点におけるモニタ信号が基準信号に収束するように、トップリング(20)による押圧力を制御する制御部(54)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理方法に係り、特に半導体ウェハなどの基板を研磨して平坦化する研磨装置および研磨方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハなどの基板を研磨して平坦化する研磨装置には、キャリアヘッド内のチャンバの圧力を調整できるものがある。このような研磨装置は、基板上の膜厚に関連した物理量を測定し、この物理量に基づいて基板の膜厚プロファイルを算出する。そして、算出された膜厚プロファイルと目標膜厚プロファイルとの比較に基づいてキャリアヘッド内のチャンバの圧力が調整される。
【0003】
しかしながら、従来の研磨装置においては、研磨中にキャリアヘッド内のチャンバの圧力を連続的に調整するといった実時間制御はなされていなかった。当然ながら、実時間で制御した方が、所望の厚さプロファイルにより近い研磨結果が期待される。従来の研磨装置の圧力調整方法において、実時間制御を適用しようとすると、In Situでウェハ表面の膜厚または膜厚にほぼ比例するデータを計測する必要が生じる。このため、ウェハ上の膜の種類や計測方法などにより適用分野が大きく限定される。
【0004】
また、目標厚さプロファイルを時々刻々変化させるとすれば処理が煩雑となり、研磨後のプロファイルに固定するとすれば、特に初期膜厚の目標厚さプロファイルからの差が大きいときに操作量が過大あるいは不安定になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来技術に鑑みてなされたもので、基板の研磨プロファイル、研磨時間または研磨速度を精度よく制御することができる実用的な研磨装置および方法を提供することを第1の目的とする。
【0006】
また、本発明は、基板上に形成される膜のプロファイル、処理時間または処理速度を精度よく制御することができる実用的な基板処理方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、研磨面を有する研磨テーブルと、基板上の少なくとも1つの領域に対する押圧力を制御しつつ上記基板を上記研磨面に押圧するトップリングとを備えた研磨装置が提供される。この研磨装置は、上記基板上の少なくとも1つの計測点における基板状態を監視するセンサと、上記センサからの信号に所定の演算処理をしてモニタ信号を生成するモニタ装置と、上記モニタ信号に対する基準値と時間との関係を示す基準信号を格納した記憶装置とを備える。さらに、研磨装置は、上記計測点におけるモニタ信号と上記基準信号とを比較し、上記計測点におけるモニタ信号が上記基準信号に収束するように、上記トップリングによる押圧力を制御する制御部を備える。
【0008】
上記トップリングは、基板上の複数の領域に対する押圧力を独立に制御してもよい。上記センサは、上記基板上の複数の計測点における基板状態を監視してもよい。上記トップリングは、上記基板の複数の領域に対して独立して押圧力を与える複数の圧力室を備えるようにしてもよい。
【0009】
上記制御部は、研磨開始時に上記複数の計測点におけるモニタ信号を平均化した値を求め、研磨開始時における基準信号が上記平均化した値と一致するように、上記基準信号を時間に関して平行移動することができるようにしてもよい。
【0010】
また、上記制御部は、研磨工程の任意の時刻において上記複数の計測点におけるモニタ信号を平均化した値を求め、該時刻における基準信号が上記平均化した値と一致するように、該時刻以降の基準信号を時間に関して平行移動することができるようにしてもよい。
【0011】
また、上記制御部は、研磨開始時における基準信号が該研磨開始時の上記基板上の所定の計測点におけるモニタ信号と一致するように、上記基準信号を時間に関して平行移動することができるようにしてもよい。
【0012】
また、上記制御部は、研磨工程の任意の時刻において基準信号が該時刻における上記基板上の所定の計測点におけるモニタ信号と一致するように、該時刻以降の基準信号を時間に関して平行移動することができるようにしてもよい。
【0013】
上記制御部は、研磨時間が所望の時間となるように、研磨開始時に上記基準信号を時間に関して平行移動することができるようにしてもよい。
【0014】
上記制御部は、研磨工程の任意の時刻において、上記モニタ信号の値と一致する上記基準信号上の時刻を求め、上記基準信号上の一致する時刻から上記基準信号が所定の値となる基準時刻までの時間を求めることができるようにしてもよい。
【0015】
上記基準信号は、上記基板上に形成された膜の種類、積層構造、配線構造、研磨液の物性、上記研磨面の温度、上記基板の温度、上記研磨面を構成する研磨工具の厚さのうち少なくとも1つをパラメータとして設定された信号であってもよい。
【0016】
また、上記基準信号として、現在研磨に使用されている研磨面による過去の研磨工程において得られたモニタ信号または交換前の他の研磨面による過去の研磨工程の初期に得られたモニタ信号を用いることができる。
【0017】
上記制御部は、予測型制御を用いて上記トップリングによる押圧力を制御してもよい。この場合において、上記制御装置の制御周期は、1秒から10秒であることが好ましい。
【0018】
上記モニタ装置は、上記基板の外縁部の計測点におけるモニタ信号を制御の対象から除外するようにしてもよい。あるいは、上記モニタ装置は、上記基板の外縁部の計測点におけるモニタ信号に対して補正を行うようにしてもよい。
【0019】
上記センサは、渦電流センサ、光学式センサ、およびマイクロ波センサの少なくとも1つであってもよい。また、上記センサにより、基板の表面の膜厚を測定することができればより好ましい。
【0020】
また、研磨装置は、上記研磨テーブルと上記トップリングとの間に相対運動を生じさせる駆動部をさらに備え、上記センサは、上記研磨テーブルの内部に配置されていいてもよい。この場合において、上記駆動部は、上記研磨テーブルを回転運動させるモータであってもよい。
【0021】
上記制御部は、研磨の途中で断続的に制御を休止してもよい。上記制御部は、研磨終点に到達する前に制御を終了し、制御終了時点の研磨条件を研磨終点まで保持してもよい。上記制御部は、一の基板の研磨の終了時点の研磨条件を別の基板の研磨に対する初期研磨条件として用いるようにしてもよい。上記制御部は、上記モニタ装置の信号に基づいて研磨終点を検出するようにしてもよい。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、研磨面を有する研磨テーブルと、基板上の複数の領域に対する押圧力を独立に制御しつつ上記基板を上記研磨面に押圧するトップリングとを備えた研磨装置が提供される。この研磨装置は、上記基板上の複数の計測点における基板状態を監視するセンサと、上記センサからの信号に所定の演算処理をしてモニタ信号を生成するモニタ装置と、上記モニタ信号に基づいて上記トップリングによる押圧力を制御する制御部とを備える。上記制御部は、上記複数の領域のうち少なくとも1つの領域に対する押圧力が所定の範囲を超えた場合に、上記複数の領域のすべてに対する押圧力が上記所定の範囲内に納まるように、上記複数の領域に対する押圧力または押圧力の変化量をスケーリングする。
【0023】
本発明の第3の態様によれば、研磨面を有する研磨テーブルと、基板上の複数の領域に対する押圧力を独立に制御しつつ上記基板を上記研磨面に押圧するトップリングとを備えた研磨装置が提供される。この研磨装置は、上記基板上の複数の計測点における基板状態を監視するセンサと、上記センサからの信号に所定の演算処理をしてモニタ信号を生成するモニタ装置と、上記モニタ信号に極値が現れた時刻に基づいて上記トップリングによる押圧力を制御する制御部とを備えている。この場合において、上記基板の表面に形成された被研磨膜を非金属膜とすることができる。
【0024】
本発明の第4の態様によれば、研磨面を有する研磨テーブルと、基板上の複数の領域に対する押圧力を独立に制御しつつ上記基板を上記研磨面に押圧するトップリングとを備えた研磨装置が提供される。この研磨装置は、上記基板上の複数の計測点における基板状態を監視するセンサと、上記センサからの信号に所定の演算処理をしてモニタ信号を生成するモニタ装置と、上記モニタ信号に基づいて上記トップリングによる押圧力を制御し、上記基板の研磨中に上記複数の領域に対する押圧力の感度を調整する制御部とを備えている。
【0025】
本発明の第5の態様によれば、基板を研磨面に押圧して基板を研磨する研磨方法が提供される。この方法によれば、基板上の少なくとも1つの計測点における基板状態が監視され、上記センサからの信号に所定の演算処理をしてモニタ信号が生成される。上記計測点におけるモニタ信号と、上記モニタ信号に対する基準値と時間との関係を示す基準信号とが比較され、上記計測点におけるモニタ信号が上記基準信号に収束するように、基板上の少なくとも1つの領域に対する押圧力が制御される。
【0026】
本発明の第6の態様によれば、上記基板の表面に膜を形成する基板処理方法が提供される。この基板処理方法によれば、基板上の少なくとも1つの計測点における基板状態が監視され、上記センサからの信号に所定の演算処理をしてモニタ信号が生成される。上記計測点におけるモニタ信号と、上記モニタ信号に対する基準値と時間との関係を示す基準信号とが比較され、上記計測点におけるモニタ信号が上記基準信号に収束するように、基板状態が制御される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、基板の研磨プロファイル、研磨時間や研磨速度を精度よく制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の研磨装置の実施形態について図1から図35を参照して詳細に説明する。なお、図1から図35において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態における研磨装置を示す平面図である。図1に示すように、この研磨装置は、多数の半導体ウェハをストックするウェハカセット1を載置するロード/アンロードステージ2を4つ備えている。このロード/アンロードステージ2の列に沿って走行機構3が設けられており、この走行機構3の上には、2つのハンドを有する第1搬送ロボット4が配置されている。第1搬送ロボット4のハンドは、ロード/アンロードステージ2上の各ウェハカセット1にアクセス可能となっている。
【0030】
第1搬送ロボット4の走行機構3に対してウェハカセット1と反対側には、2台の洗浄・乾燥機5,6が配置されている。第1搬送ロボット4のハンドは、洗浄・乾燥機5,6にもアクセス可能となっている。各洗浄・乾燥機5,6は、ウェハを高速回転させて乾燥させるスピンドライ機能を有している。また、2台の洗浄・乾燥機5,6の間には、4つの半導体ウェハの載置台7,8,9,10を備えたウェハステーション11が配置されており、第1搬送ロボット4のハンドがこのウェハステーション11にアクセス可能となっている。
【0031】
洗浄・乾燥機5と3つの載置台7,9,10に到達可能な位置には、2つのハンドを有する第2搬送ロボット12が配置されており、洗浄・乾燥機6と3つの載置台8,9,10に到達可能な位置には、2つのハンドを有する第3搬送ロボット13が配置されている。載置台7は第1搬送ロボット4と第2搬送ロボット12との間で半導体ウェハを受渡すために使用され、載置台8は第1搬送ロボット4と第3搬送ロボット13との間で半導体ウェハを受渡すために使用される。また、載置台9は第2搬送ロボット12から第3搬送ロボット13へ半導体ウェハを搬送するために使用され、載置台10は第3搬送ロボット13から第2搬送ロボット12へ半導体ウェハを搬送するために使用される。載置台9は載置台10の上に位置している。
【0032】
洗浄・乾燥機5に隣接して、第2搬送ロボット12のハンドがアクセス可能な位置には、研磨後のウェハを洗浄する洗浄機14が配置されている。また、洗浄・乾燥機6に隣接して、第3搬送ロボット13のハンドがアクセス可能な位置には、研磨後のウェハを洗浄する洗浄機15が配置されている。
【0033】
図1に示すように、研磨装置は、2つの研磨ユニット16,17を備えている。それぞれの研磨ユニット16,17は、2つの研磨テーブルと、ウェハを保持しかつウェハを研磨テーブルに対して押圧しながら研磨するための1つのトップリングとを備えている。すなわち、研磨ユニット16は、第1の研磨テーブル18と、第2の研磨テーブル19と、トップリング20と、第1の研磨テーブル18に研磨液を供給するための研磨液供給ノズル21と、第1の研磨テーブル18のドレッシングを行うためのドレッサ22と、第2の研磨テーブル19のドレッシングを行うためのドレッサ23とを備えている。また、研磨ユニット17は、第1の研磨テーブル24と、第2の研磨テーブル25と、トップリング26と、第1の研磨テーブル24に研磨液を供給するための研磨液供給ノズル27と、第1の研磨テーブル24のドレッシングを行うためのドレッサ28と、第2の研磨テーブル25のドレッシングを行うためのドレッサ29とを備えている。
【0034】
研磨ユニット16には、第2搬送ロボット12のハンドがアクセス可能な位置に半導体ウェハを反転させる反転機30が設置されており、この反転機30には半導体ウェハが第2搬送ロボット12によって搬送される。同様に、研磨ユニット17には、第3搬送ロボット13のハンドがアクセス可能な位置に半導体ウェハを反転させる反転機31が設置されており、この反転機31には半導体ウェハが第3搬送ロボット13によって搬送される。
【0035】
これらの反転機30,31とトップリング20,26の下方には、反転機30,31とトップリング20,26との間でウェハを搬送するロータリトランスポータ32が配置されている。ロータリトランスポータ32には、ウェハを載せるステージが4ヶ所等配に設けられており、複数のウェハを同時に搭載できるようになっている。反転機30または31に搬送されたウェハは、ロータリトランスポータ32のステージの中心と、反転機30または31でチャックされたウェハの中心の位相が合ったときに、ロータリトランスポータ32の下方に設置されたリフタ33または34が昇降することで、ロータリトランスポータ32上に搬送される。
【0036】
トップリング20または26に移送されたウェハは、トップリング20または26の真空吸着機構により吸着され、ウェハは吸着されたまま研磨テーブル18または24まで搬送される。そして、ウェハは研磨テーブル18または24上に取付けられた研磨パッドまたは砥石等からなる研磨面で研磨される。第2の研磨テーブル19,25は、それぞれトップリング20または26が到達可能な位置に配置されている。これにより、第1の研磨テーブル18または24でウェハを研磨した後に、このウェハを第2の研磨テーブル19または25でも研磨できる。研磨が終了したウェハは、上述と同じルートで反転機30または31まで戻される。
【0037】
反転機30または31まで戻されたウェハは、第2搬送ロボット12または第3搬送ロボット13により洗浄機14または15に搬送され、ここで洗浄される。洗浄機14または15で洗浄されたウェハは、第2搬送ロボット12または第3搬送ロボット13により洗浄機5または6に搬送され、ここで洗浄され乾燥される。洗浄機5または6で洗浄されたウェハは、第2搬送ロボット12または第3搬送ロボット13により載置台7または8に載置され、第1搬送ロボット4によりロード/アンロードステージ2上のウェハカセット1に戻される。
【0038】
次に、上述した研磨ユニットについてより詳細に説明する。研磨ユニット16と研磨ユニット17は同一の構成であるので、ここでは研磨ユニット16についてのみ説明するが、以下の説明は研磨ユニット17についても適用できる。
【0039】
図2は、図1に示す研磨ユニット16の一部を示す模式図である。図2に示すように、トップリング20の下方に、上面に研磨パッド40を貼付した研磨テーブル18が設置されている。研磨テーブル18の上方には研磨液供給ノズル21が設置されており、この研磨液供給ノズル21から研磨テーブル18上の研磨パッド40に研磨液Qが供給される。研磨テーブル18は、研磨テーブル18とトップリング20との間に相対運動を生じさせる駆動機構としてのモータ(図示せず)に連結されており、回転可能に構成されている。
【0040】
市場で入手できる研磨パッドとしては種々のものがあり、例えば、ロデール社製のSUBA800、IC−1000、IC−1000/SUBA400(二層クロス)、フジミインコーポレイテッド社製のSurfin xxx−5、Surfin 000等がある。SUBA800、Surfin xxx−5、Surfin 000は繊維をウレタン樹脂で固めた不織布であり、IC−1000は硬質の発泡ポリウレタン(単層)である。発泡ポリウレタンは、多孔質状になっており、その表面に多数の微細なへこみまたは孔を有している。
【0041】
トップリング20は、自在継手41を介してトップリングシャフト42に接続されており、トップリングシャフト42はトップリングヘッド43に固定されたトップリング用エアシリンダ44に連結されている。トップリング20は、略円盤状のトップリング本体60と、トップリング本体60の外周部に配置されたリテーナリング61とを備えている。トップリング本体60は、トップリングシャフト42の下端に連結される。
【0042】
トップリング用エアシリンダ44はレギュレータRE1を介して圧力調整部45に接続されている。この圧力調整部45は、圧縮空気源から加圧空気等の加圧流体を供給することによって、あるいはポンプ等により真空引きすることによって圧力の調整を行う。この圧力調整部45によって、トップリング用エアシリンダ44に供給される加圧空気の空気圧等をレギュレータRE1を介して調整することができる。このトップリング用エアシリンダ44によってトップリングシャフト42は上下動し、トップリング20の全体を昇降させると共にトップリング本体60に取付けられたリテーナリング61を所定の押圧力で研磨テーブル18に向けて押圧する。
【0043】
トップリングシャフト42はキー(図示せず)を介して回転筒46に連結されている。この回転筒46はその外周部にタイミングプーリ47を備えている。トップリングヘッド43には、研磨テーブル18とトップリング20との間に相対運動を生じさせる駆動機構としてのトップリング用モータ48が固定されており、タイミングプーリ47は、タイミングベルト49を介してトップリング用モータ48に設けられたタイミングプーリ50に接続されている。したがって、トップリング用モータ48を回転駆動することによってタイミングプーリ50、タイミングベルト49、およびタイミングプーリ47を介して回転筒46およびトップリングシャフト42が一体に回転し、トップリング20が回転する。トップリングヘッド43は、フレーム(図示せず)に回転可能に支持されたトップリングヘッドシャフト51によって支持されている。
【0044】
図2に示すように、研磨テーブル18の内部には、研磨される半導体ウェハの膜厚をはじめとする基板状態を監視(検知)するセンサ52が埋設されている。このセンサ52は、モニタ装置53および制御部54に接続されている。センサ52の出力信号はモニタ装置53に送られ、このモニタ装置53で、センサ52の出力信号に対して必要な変換・処理(演算処理)を施してモニタ信号が生成される。モニタ装置53は、このモニタ信号に基づいて制御演算を行う制御部53aを有している。この制御部53aでは、モニタ信号に基づいてトップリング20がウェハを押圧する力(押圧力)が決定され、この押圧力が制御部54に送信される。上記センサ52として、例えば渦電流センサが用いられる。モニタ装置53の外部の制御部54は、トップリング20による押圧力を変更するように圧力調整部45に指令を出す。ここで、これらのモニタ装置53の制御部53aと制御部54とを一体化して1つの制御部に構成してもよい。
【0045】
図3は図2に示すトップリング20の縦断面図、図4は図2に示すトップリング20の底面図である。図3に示すように、トップリング20は、内部に収容空間を有する円筒容器状のトップリング本体60と、トップリング本体60の下端に固定されたリテーナリング61とを備えている。リテーナリング61の下部は径方向内方に突出している。トップリング本体60は金属やセラミックス等の強度および剛性が高い材料から形成されている。また、リテーナリング61は、剛性の高い樹脂材またはセラミックス等から形成されている。リテーナリング61をトップリング本体60と一体的に形成してもよい。
【0046】
トップリング本体60の中央部の上方には、トップリングシャフト42が配設されており、トップリング本体60とトップリングシャフト42とは自在継手41により連結されている。この自在継手41は、トップリング本体60およびトップリングシャフト42とを互いに傾動可能とする球面軸受機構と、トップリングシャフト42の回転をトップリング本体60に伝達する回転伝達機構とを備えている。これらの球面軸受機構および回転伝達機構は、トップリングシャフト42とトップリング本体60との互いの傾動を許容しつつ、トップリングシャフト42の押圧力および回転力をトップリング本体60に伝達する。
【0047】
球面軸受機構は、トップリングシャフト42の下面の中央に形成された半球面状凹部42aと、トップリング本体60の上面の中央に形成された半球面状凹部60aと、凹部42a,60aの間に介装されたセラミックスのような高硬度材料からなるベアリングボール62とを含んでいる。一方、回転伝達機構は、トップリングシャフト42に固定された駆動ピン(図示せず)とトップリング本体60に固定された被駆動ピン(図示せず)とを含んでいる。トップリング本体60が傾いても被駆動ピンと駆動ピンは相対的に上下方向に移動可能であるため、これらは互いの接触点をずらして係合し、回転伝達機構がトップリングシャフト42の回転トルクをトップリング本体60に確実に伝達する。
【0048】
トップリング本体60およびリテーナリング61の内部に画成された空間内には、トップリング20によって保持される半導体ウェハWに当接する弾性パッド63と、環状のホルダーリング64と、弾性パッド63を支持する概略円盤状のチャッキングプレート65とが収容されている。弾性パッド63は、その径方向外周部がホルダーリング64とチャッキングプレート65との間に挟み込まれており、チャッキングプレート65の下面を覆うように径方向内側に延びている。これにより、弾性パッド63とチャッキングプレート65との間には空間が形成されている。
【0049】
なお、チャッキングプレート65は金属材料から形成されていてもよいが、センサ52として渦電流センサを用いて半導体ウェハW上に形成された薄膜の膜厚を測定する場合などにおいては、磁性を持たない材料、例えば、4フッ化エチレン樹脂などのフッ素系樹脂、もしくはSiC(炭化ケイ素)、Al(アルミナ)などのセラミックスなどの絶縁性の材料から形成されていることが好ましい。
【0050】
ホルダーリング64とトップリング本体60との間には弾性膜からなる加圧シート66が張設されている。トップリング本体60、チャッキングプレート65、ホルダーリング64、および加圧シート66によってトップリング本体60の内部に圧力室71が形成されている。図3に示すように、圧力室71にはチューブ、コネクタ等からなる流体路81が連通されており、圧力室71は流体路81上に配置されたレギュレータRE2(図2参照)を介して圧力調整部45に接続されている。加圧シート66は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコンゴムなどの強度および耐久性に優れたゴム材によって形成されている。
【0051】
弾性パッド63とチャッキングプレート65との間に形成される空間の内部には、弾性パッド63に当接するセンターバッグ90およびリングチューブ91が設けられている。本実施形態においては、図3および図4に示すように、センターバッグ90はチャッキングプレート65の下面の中心部に配置され、リングチューブ91はこのセンターバッグ90の周囲を取り囲むようにセンターバッグ90の外側に配置されている。各弾性パッド63、センターバッグ90、およびリングチューブ91は、加圧シート66と同様に、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコンゴム等の強度および耐久性に優れたゴム材によって形成されている。
【0052】
チャッキングプレート65と弾性パッド63との間に形成される空間は、センターバッグ90およびリングチューブ91によって複数の空間に区画されており、これによりセンターバッグ90とリングチューブ91の間には圧力室72が、リングチューブ91の径方向外側には圧力室73がそれぞれ形成されている。
【0053】
センターバッグ90は、弾性パッド63の上面に当接する弾性膜90aと、弾性膜90aを所定の位置に着脱可能に保持するセンターバッグホルダー90bとを含んでいる。センターバッグ90の内部には、弾性膜90aとセンターバッグホルダー90bとによって中心部圧力室74が形成されている。同様に、リングチューブ91は、弾性パッド63の上面に当接する弾性膜91aと、弾性膜91aを所定の位置に着脱可能に保持するリングチューブホルダー91bとを含んでいる。リングチューブ91の内部には、弾性膜91aとリングチューブホルダー91bとによって中間部圧力室75が形成されている。
【0054】
圧力室72,73,74,75には、チューブ、コネクタ等からなる流体路82,83,84,85がそれぞれ連通されており、圧力室72〜75はそれぞれの流体路82〜85上に配置されたレギュレータRE3〜RE6を介して圧力調整部45に接続されている。流体路81〜85は、トップリングシャフト42の上端部に設けられたロータリージョイント(図示せず)を介してそれぞれ各レギュレータRE2〜RE6に接続されている。
【0055】
チャッキングプレート65の上方の圧力室71および圧力室72〜75には、各圧力室に連通される流体路81〜85を介して加圧空気等の加圧流体が供給され、あるいは真空引きされる。図2に示すように、圧力室71〜75の流体路81〜85上に配置されたレギュレータRE2〜RE6によってそれぞれの圧力室に供給される加圧流体の圧力を調整することができる。これにより各圧力室71〜75の内部の圧力を各々独立に制御するまたは大気圧や真空にすることができる。このように、レギュレータRE2〜RE6によって各圧力室71〜75の内部の圧力を独立に可変とすることにより、弾性パッド63を介して半導体ウェハWを研磨パッド40に押圧する押圧力を半導体ウェハWの部分(区画領域)毎に調整することができる。場合によっては、これらの圧力室71〜75を真空源55(図2参照)に接続してもよい。
【0056】
この場合において、各圧力室72〜25に供給される流体の温度をそれぞれ制御してもよい。このようにすれば、半導体ウェハ等の基板の被研磨面の裏側から基板の温度を直接制御することができる。特に、各圧力室の温度を独立に制御することにより、CMPにおける化学的研磨の化学反応速度を制御することが可能となる。
【0057】
弾性パッド63には、図4に示すように、複数の開口部92が形成されている。センターバッグ90とリングチューブ91との間の開口部92から露出するようにチャッキングプレート65から下方に突出する内周部吸着部93が設けられており、また、リングチューブ91の径方向外側の開口部92から露出するように外周部吸着部94が設けられている。本実施形態においては、弾性パッド63には8個の開口部92が形成され、各開口部92に吸着部93,94が露出している。
【0058】
吸着部93,94には、流体路86,87にそれぞれ連通する連通孔93a,94aがそれぞれ形成されている。図2に示すように、吸着部93,94は流体路86,87およびバルブV1,V2を介して真空ポンプ等の真空源55に接続されている。吸着部93,94の連通孔93a,94aが真空源55に接続されると、連通孔93a,94aの開口端に負圧が形成され、吸着部93,94の下端に半導体ウェハWが吸着される。
【0059】
図3に示すように、半導体ウェハWの研磨中には、吸着部93,94は弾性パッド63の下端面より上方に位置して、弾性パッド63の下端面より突出することはない。半導体ウェハWを吸着する際には、吸着部93,94の下端面は弾性パッド63の下端面と略同一面になる。
【0060】
弾性パッド63の外周面とリテーナリング61の内周面との間には、わずかな間隙Gがあるので、ホルダーリング64、チャッキングプレート65、およびチャッキングプレート65に取付けられた弾性パッド63は、トップリング本体60およびリテーナリング61に対して上下方向に移動可能で、トップリング本体60およびリテーナリング61に対してフローティングする構造となっている。ホルダーリング64には、その下部の外周縁部から径方向外方に突出する突起64aが複数箇所に設けられており、この突起64aがリテーナリング61の径方向内方に突出している部分の上面に係合することにより、上記ホルダーリング64等の部材の下方への移動が所定の範囲に制限される。
【0061】
トップリング本体60の外周縁部には流体路88が区画されており、この流体路88を介して洗浄液(純水)が弾性パッド63の外周面とリテーナリング61の内周面との間の隙間Gに供給される。
【0062】
このように構成されたトップリング20において、半導体ウェハWをトップリング20に保持するときには、吸着部93,94の連通孔93a,94aを、流体路86,87を介して真空源55に接続する。これにより、連通孔93a,94aの吸引作用により吸着部93,94の下端面に半導体ウェハWが真空吸着される。半導体ウェハWを吸着した状態でトップリング20を移動させ、トップリング20の全体を研磨面(研磨パッド40)の上方に位置させる。半導体ウェハWがトップリング20から飛び出さないよう、半導体ウェハWの外周縁はリテーナリング61によって保持される。
【0063】
半導体ウェハの研磨時には、吸着部93,94による半導体ウェハWの吸着を解除し、トップリング20の下面に半導体ウェハWを保持させると共に、トップリング用エアシリンダ44を作動させてトップリング20の下端に固定されたリテーナリング61を所定の押圧力で研磨テーブル18の研磨パッド40に押圧する。この状態で、圧力室72〜75にそれぞれ所定の圧力の加圧流体を供給し、半導体ウェハWを研磨テーブル18の研磨面に押圧する。研磨液供給ノズル21から研磨液Qを研磨パッド40に供給することにより、研磨パッド40に研磨液Qが保持され、半導体ウェハWの研磨される面(下面)と研磨パッド40との間に研磨液Qが存在した状態で半導体ウェハが研磨される。
【0064】
半導体ウェハWの圧力室72,73の下方に位置する部分は、それぞれ圧力室72,73に供給される加圧流体の圧力で研磨面に押圧される。半導体ウェハWの中心部圧力室74の下方に位置する部分は、センターバッグ90の弾性膜90aおよび弾性パッド63を介して、圧力室74に供給される加圧流体の圧力で研磨面に押圧される。半導体ウェハWの圧力室75の下方に位置する部分は、リングチューブ91の弾性膜91aおよび弾性パッド63を介して、圧力室75に供給される加圧流体の圧力で研磨面に押圧される。
【0065】
したがって、半導体ウェハWに加わる研磨圧力(押圧力)は、各圧力室72〜75に供給される加圧流体の圧力をそれぞれ制御することにより、半導体ウェハWの半径方向に各部分毎に調整することができる。すなわち、制御部54(図2参照)がレギュレータRE3〜RE6によって各圧力室72〜75に供給する加圧流体の圧力を、センサ52の出力に基づいてそれぞれ独立に調整し、半導体ウェハWを研磨テーブル18上の研磨パッド40に押圧する押圧力を半導体ウェハWの部分毎に調整している。このように、半導体ウェハWの部分毎に研磨圧力が所望の値に調整された状態で、回転している研磨テーブル18の上面の研磨パッド40に半導体ウェハWが押圧される。同様に、レギュレータRE1によってトップリング用エアシリンダ44に供給される加圧流体の圧力を調整し、リテーナリング61が研磨パッド40を押圧する押圧力を変更することができる。
【0066】
このように、半導体ウェハWの研磨中に、リテーナリング61が研磨パッド40を押圧する押圧力と半導体ウェハWを研磨パッド40に押圧する押圧力を適宜調整することにより、半導体ウェハWの中心部(図4のC1)、中心部から中間部(C2)、外方部(C3)、そして周縁部(C4)、さらには半導体ウェハWの外側にあるリテーナリング61の外周部までの各部分における研磨圧力の分布を所望の分布とすることができる。
【0067】
半導体ウェハWの圧力室72,73の下方に位置する部分には、弾性パッド63を介して流体から押圧力が加えられる部分と、開口部92の箇所のように、加圧流体の圧力そのものが半導体ウェハWに加わる部分とがある。これらの部分に加えられる押圧力は、同一圧力でもよく、それぞれ任意の圧力でも押圧ができる。また、研磨時には、弾性パッド63は開口部92の周囲において半導体ウェハWの裏面に密着するため、圧力室72,73の内部の加圧流体が外部に漏れることはほとんどない。
【0068】
半導体ウェハWの研磨が終了した際は、上述と同様に、半導体ウェハWを吸着部93,94の下端面に再び真空吸着する。このとき、半導体ウェハWを研磨面に対して押圧する各圧力室72〜75への加圧流体の供給を止め、各圧力室72〜75を大気圧に開放することにより、吸着部93,94の下端面を半導体ウェハWに当接させる。また、圧力室71内の圧力を大気圧に開放するか、もしくは負圧にする。これは、圧力室71の圧力を高いままにしておくと、半導体ウェハWの吸着部93,94に当接している部分のみが、研磨面に強く押圧されることになってしまうためである。したがって、圧力室71の圧力を速やかに下げる必要があり、図3に示すように、圧力室71からトップリング本体60を貫くようにリリーフポート67を設けて、圧力室71の圧力が速やかに下がるようにしてもよい。この場合には、圧力室71に圧力をかける際には流体路81から常に圧力流体を供給し続ける必要がある。リリーフポート67は逆止弁を備えており、圧力室71内を負圧にする際には外気が圧力室71に入らないようにしている。
【0069】
上述のように半導体ウェハWを吸着させた後、トップリング20の全体を半導体ウェハの移送位置に位置させ、吸着部93,94の連通孔93a,94aから半導体ウェハWに流体(例えば、圧縮空気もしくは窒素と純水を混合したもの)を噴射して半導体ウェハWをトップリング20からリリースする。
【0070】
図5は、図2に示す研磨ユニット16における研磨テーブル18と半導体ウェハWとの関係を示す平面図である。図5に示すように、センサ52は、トップリング20に保持された研磨中の半導体ウェハWの中心Cを通過する位置に設置されている。符号Cは研磨テーブル18の回転中心である。例えば、センサ52は、半導体ウェハWの下方を通過している間、通過軌跡(走査線)上で連続的に半導体ウェハWのCu層等の導電性膜の膜厚あるいは膜厚の変化に応じて増加又は減少する量を検出する。
【0071】
図6は、センサ52が半導体ウェハW上を走査する軌跡を示す。すなわち、センサ52は、研磨テーブル18が1回転するごとにウェハの表面(被研磨面)を走査するが、研磨テーブル18が回転すると、センサは概ねウェハWの中心C(トップリングシャフト42の中心)を通る軌跡を描いてウェハWの表面上を走査することになる。トップリング20の回転速度と研磨テーブル18の回転速度とは通常異なっているため、ウェハWの表面におけるセンサ52の軌跡は、図6に示すように、研磨テーブル18の回転に伴って走査線SL,SL,SL,・・・と変化する。しかしながら、上述したように、センサ52は、ウェハWの中心Cを通る位置に配置されているので、センサ52が描く軌跡は、毎回ウェハWの中心Cを通過するようになっている。そして、本実施形態では、センサ52による計測のタイミングを調整して、センサ52によってウェハWの中心Cを毎回必ず計測するようにしている。
【0072】
また、ウェハWの研磨後の表面のプロファイルは、ウェハWの中心Cを通り表面に垂直な軸に関してお概ね軸対称になることが知られている。したがって、図6に示すように、m番目の走査線SL上のn番目の計測点をMPm−nと表すとき、各走査線におけるn番目の計測点MP1−n,MP2−n,・・・,MPm−nに対するモニタ信号を追跡することにより、n番目の計測点の半径位置におけるウェハWの膜厚の推移をモニタリングすることができる。
【0073】
図6においては、簡略化のため、1回の走査における計測点の数を15としている。しかしながら、計測点の個数はこれに限られるものではなく、計測の周期および研磨テーブル18の回転速度に応じて種々の値にすることができる。センサ52として渦電流センサを用いる場合には、通常、1つの走査線上に100個以上の計測点がある。計測点を多くすると、いずれかの計測点がウェハWの中心Cに概ね一致するので、上述したウェハWの中心Cに対するタイミングの調整を行わなくてもよい。
【0074】
図7は、図6に示す半導体ウェハW上の計測点のうちモニタ装置53によりモニタリングを行う計測点を選択する一例を示す平面図である。図7に示す例では、モニタ装置53は、図4を参照して説明したように、押圧力が独立して制御される各領域C1,C2,C3,C4の中心近傍と境界線近傍に対応する位置の計測点MPm−1,MPm−2,MPm−3,MPm−4,MPm−5,MPm−6,MPm−8,MPm−10,MPm−11,MPm−12,MPm−13,MPm−14,MPm−15のモニタリングを行っている。図6に示した例とは異なり、計測点MPm−iとMPm−(i+1)との間に別の計測点があってもよい。モニタリングする計測点の選択は、図7に示す例に限られず、ウェハWの被研磨面上において制御上着目すべき点をモニタリングすべき計測点として任意に選択することができる。
【0075】
モニタ装置53では、センサ52から出力された、選択した計測点の出力信号(センシング信号)に所定の演算処理を行い、モニタ信号として制御部53a(図2参照)に提供する。制御部53aでは、提供されたモニタ信号と後述する基準信号とに基づいて、ウェハWの各領域C1,C2,C3,C4に対応する、トップリング20内の圧力室74,72,75,73の圧力設定値をそれぞれ決定し、これを制御部54(図2参照)に送信する。このようにして、ウェハWの各領域C1,C2,C3,C4に対する押圧力が調整される。
【0076】
ノイズの影響を排除してデータを平滑化するために、近傍の計測点についてのモニタ信号を平均化したものを使用してもよい。あるいは、ウェハWの表面を中心Cからの半径に応じて同心円状に複数の領域に分割し、各領域内の計測点に対するモニタ信号の平均値または代表値を求めて、この平均値または代表値を制御用の新たなモニタ信号として用いてもよい。このようにすれば、センサが研磨テーブル18の半径方向に複数個並んで配置された場合や、研磨中にトップリング20がトップリングヘッドシャフト51を中心として揺動する場合にも効果的である。
【0077】
図8は、ウェハWの各領域C1,C2,C3,C4それぞれに対する押圧力を一定にしてウェハW上の金属膜を研磨したときのモニタ信号の変化を示すグラフである。図8は、計測点MPm−1,MPm−15(ウェハ端部)に対応するモニタ信号MS、計測点MPm−5,MPm−11(ウェハ中間部)に対応するモニタ信号MS、および帯計測点MPm−8(ウェハ中心)に対応するモニタ信号MSを示す。
【0078】
図8に示す例では、各モニタ信号は、研磨の初期段階においては緩やかに減少し、やがて減少の勾配が大きくなって、研磨終点(金属膜の除去)に達した時点でほぼ一定になっている。ウェハWの各部位で初期膜厚が異なるものとすれば、各部位の研磨レートが等しいとしても、図8に示すように、モニタ信号値および研磨終点に達するタイミングが計測点によって異なる。本実施形態においては、モニタ信号に対する基準値と時間との関係を示す所定の基準信号を用意し、モニタ信号がこの基準信号に収束するように制御を行う。
【0079】
図9は、前述の制御方法を用いてウェハWの研磨を行ったときのモニタ信号の変化を示すグラフである。研磨中は、各部位のモニタ信号MS,MS,MS、及び図示しない他の部位のモニタ信号が基準信号RSに収束するようにウェハWの各領域C1,C2,C3,C4への押圧力を調整する。これにより、各部位のモニタ信号MS,MS,MS等は概ね同一の変化曲線に収束し、研磨終点もすべての部位で一致する。したがって、研磨パッド40などの装置の状態にかかわらず、ウェハWの半径方向に関して膜厚の均一性(以下、面内均一性という)のよい研磨を実現することができる。
【0080】
研磨速度は、研磨する膜の物性、研磨液(スラリ)の種類、研磨パッド40の厚さ、研磨パッド40またはウェハWの温度、研磨する膜の積層構造や配線構造などによって異なる。このため、上記基準信号もこれらの条件によって異なる。制御部54またはモニタ装置53には、研磨する膜の物性、研磨液(スラリ)の種類、研磨パッド40の厚さ、研磨パッド40またはウェハWの温度、研磨する膜の積層構造や配線構造などに対応した基準信号のデータベースが構築されており、作業者がこれから研磨しようとするウェハに適合する条件を入力することにより、最適な基準信号が読み出される。あるいは、ウェハWの仕様が同一であれば、研磨テーブル18やトップリング20の回転速度、研磨液や研磨パッド40の種類などの研磨条件も通常固定されるから、同一仕様のサンプルウェハを研磨して基準信号を取得することとしてもよい。
【0081】
図10は、このような基準信号を決定する方法の一例を示すフローチャートである。図10に示す例では、基準信号の決定は、ウェハWの研磨工程が始まる前に行われる。まず、装置の初期セットアップとして、トップリング20、ドレッサ22、研磨パッド40、研磨液等を所望の仕様のものに設定し、センサ52による計測のタイミングを上述のように調整する(ステップ1)。
【0082】
次に、経験等に基づいて、対象となるウェハWの仕様に対する研磨条件を定めた仮レシピを作成する(ステップ2)。この仮レシピにおいては、研磨テーブル18やトップリング20の回転速度はもちろん、各領域C1,C2,C3,C4それぞれに対する押圧力やリテーナリング61の圧力も一定にする。この仮レシピに基づいてウェハWを研磨して、図8に示すようなモニタ信号を取得する(ステップ3)。
【0083】
ウェハWの研磨レートまたは研磨時間が適正なものであるかが判断され(ステップ4)、研磨レートまたは研磨時間が目標値に対して大きく離れている場合には、仮レシピを修正して再度研磨を繰り返す。ウェハWの研磨が目標時間で行なわれるようになると、モニタ信号が再現性やノイズ等の点から適正なものであるかが判断され(ステップ5)、適正なものであれば、適当な部位の信号を抽出して基準信号を作成し、この基準信号をハードディスクなどの記憶装置(図示せず)に記録する(ステップ6)。モニタ信号に問題があれば、原因を排除した上で、研磨から再試行する。
【0084】
このとき、センサ52の出力信号は、基板上の被研磨膜の厚みが同一であれば、センサ52とウェハWとの距離によらずお概ね一定のものであることが望ましい。あるいは、上記モニタ信号が、センサ52とウェハWとの距離によらずお概ね一定であるように、センサ52の出力信号からモニタ信号を求めるための演算処理を定められることが望ましい。しかしながら、センサ52の出力信号、及び、モニタ信号が、センサ52とウェハWとの間の距離、換言すれば研磨パッド40の摩耗に依存して変化し、その影響を無視することができない場合には、次のようにして基準信号を設定してもよい。研磨パッドを交換した直後あるいは間もない時期である場合、過去に同一仕様の研磨パッドに交換した直後あるいは間もない時期に同一仕様のウェハを研磨したときのウェハ上の適当な部位のモニタ信号を基準信号として設定する。研磨パッドを交換した後、一定枚数のウェハを研磨した場合には、現在使用している研磨パッドにおいて直前あるいは少し前のウェハを研磨したときのウェハ上の適当な部位のモニタ信号を基準信号として設定する。
【0085】
基準信号とするモニタ信号を取得するウェハ上の部位は、該部位に加えられる押圧力の変化の少ない方が、制御時に無駄な操作量を抑えることができるので好ましい。
【0086】
図11は、各計測点におけるセンサの有効計測範囲を示す平面図である。例えば、渦電流センサの場合、センサ内のコイルの大きさ、有効範囲広がり角、センサ52からウェハWまでの距離に応じてウェハ上の有効計測範囲が決まり、各計測点において図11の小円100に示す範囲の情報を取得することとなる。したがって、ウェハWの外縁端部の近傍を計測しようとすると、センサの有効計測範囲の一部がウェハWの被研磨面からはみ出してしまう(図11の計測点MPm−1,MPm−15参照)。例えば、図12に示すように、ウェハ端部の計測点MPm−1,MPm−15に対応するモニタ信号MSA1が、他の部位のモニタ信号MS,MSよりも小さくなると、被研磨膜の膜厚を過少評価してしまう。後述する他の方式のセンサに関しても、条件によっては同様のことが起こり得る。
【0087】
このような場合には、正確なモニタ信号を取得できない部分の計測点を除外して制御を行う。図11に示す例では、ウェハWの端部の計測点MPm−1,MPm−15を除外して制御を行う。すなわち、これらの計測点におけるモニタ信号を制御の対象から除外する。これにより、ウェハWの外縁端部における膜厚の均一性は保証されないこととなるが、ウェハWの他の領域における膜厚の均一性を向上させることができる。
【0088】
あるいは、このような場合において、以下の式(1)によってウェハ端部のモニタ信号を補正することもできる。
y(r,yraw)=c(r,yraw)・(yraw−y)+y …(1)
上記式(1)において、y(r,yraw)は補正後のモニタ信号値、rは計測点のウェハ中心Cからの距離、yrawは補正前のモニタ信号値、c(r,yraw)は補正係数、yは膜厚が0のときのモニタ信号値である。補正係数c(r,yraw)は、実験的に求められた、半径r、変換前のモニタ信号yrawの代表値に対する補正係数を基に補間により決定される。これにより、図12のMSA2に示すようにモニタ信号が補正され、ウェハ端部において正確なモニタ信号が取得できない場合においても、ウェハ端部を含めて面内均一性を向上させることができる。
【0089】
上述した構成のセンサに加えて、例えば研磨布のウェハ摺動直後の部位の温度を非接触式の温度計で測定するなどしてウェハ近傍の温度を求め、温度による研磨レートの変化を考慮してもよい。
【0090】
図13は、基準信号の適用方法の例を示すグラフである。図13においては、研磨開始時点または制御開始時点に、研磨終点までの研磨時間が所望の値になるように、基準信号RSを時間軸に沿って平行移動して新たな基準信号RSを設定している。研磨開始時点または制御開始時点において、基準信号RSの研磨終点までの研磨時間が所望の値であれば、基準信号RSの平行移動量を0としてもよい。
【0091】
その後、時間軸に関して基準信号RSを固定し、モニタ信号MS,MS,MS及び図示しないその他の部位のモニタ信号がこの基準信号RSに収束するように制御を行う。このようにすれば、初期の膜厚プロファイルにかかわらず面内均一性を向上させることができるだけでなく、ウェハ間で初期膜厚にばらつきがあっても、あるいは研磨パッド等の装置の状態に変化があっても、研磨終点までの時間が所定の値になることが期待できる。このように、研磨時間を一定にできれば、研磨装置内でウェハを予想可能な概ね一定の周期で搬送することが可能になる。したがって、研磨時間の長いウェハに左右されて搬送が遅れてしまうようなことがなく、スループットが向上する。
【0092】
図14は、基準信号の適用方法のさらに他の例を示すグラフである。図14においては、各部位のモニタ信号値を平均化した値avが基準信号と一致するように、基準信号RSを時間軸に沿って平行移動して新たな基準信号RSを設定する。モニタ信号値の平均化の方法は、ウェハの研磨の進捗状況を代表するような値を得るものであればどのような方法であってもよく、例えば、算術平均または加重平均を算出する方法、中央値を取る方法、あるいはモニタ信号値に何らかの変換を施した後に平均化するような方法であってもよい。
【0093】
その後、時間軸に関して基準信号RSを固定し、モニタ信号MS,MS,MS及び図示しないその他の部位のモニタ信号がこの基準信号RSに収束するように制御を行う。このようにすれば、図13に示した例と異なり、ウェハWの各領域C1〜C4に対する押圧力等の操作量を極端に変化させる必要がなく、安定した研磨を行うことが期待できる。また、研磨開始後または制御開始後の研磨時間が、基準信号取得時に同一膜厚から研磨した場合の研磨時間と等しくなることが期待され、初期の膜厚プロファイルにかかわらず面内均一性を向上させることができるだけでなく、研磨パッド等の装置の状態にかかわらず平均的な研磨レートを実現することができる。
【0094】
図15は、基準信号の適用方法のさらに他の例を示すグラフである。図15においては、所定の周期で、各部位のモニタ信号を平均化した値が基準信号と一致するように、基準信号RSを時間軸に沿って平行移動する。例えば、モニタ信号を平均化した値av,av,avに一致するように、基準信号RSをそれぞれ平行移動し、新たな基準信号RS,RS,RSをそれぞれ設定する。そして、この時々刻々平行移動して設定される基準信号に収束するように、ウェハの各領域C1〜C4に対する押圧力等を制御する。このようにすると、初期のウェハの各領域C1〜C4の押圧力が概ね妥当な範囲にある場合、ある時点においてある領域の押圧力が増加方向になれば、別の領域の押圧力は減少方向になる。したがって、本実施形態には、研磨時間や研磨レートを調整する機能はないが、操作量の変化を小さくして安定した研磨を行うことができる。さらに、初期の膜厚プロファイルにかかわらず優れた面内均一性を達成することができる。
【0095】
図14および図15では、研磨開始時または所定の周期において、モニタ信号を平均化した値に基準信号が一致するように平行移動している。しかし、モニタ信号を平均化した値以外の値を基準として基準信号を平行移動してもよい。例えば、ウェハの所定の部位のモニタ信号を基準として基準信号を平行移動してもよい。すなわち、研磨開始時において、基準信号が研磨開始時の所定の部位のモニタ信号に一致するように基準信号を平行移動してもよく、研磨工程中においても、基準信号がその時刻における所定の部位のモニタ信号に一致するように基準信号を平行移動してもよい。
【0096】
上述の例では、モニタ信号がウェハの被研磨面の膜厚を直接表していない。モニタ信号としてウェハの被研磨面の膜厚を表すものを使用できることは言うまでもない。この場合のモニタ信号の時間変化は図16に示すようになる。この場合、ウェハの各部位のモニタ信号MS,MS,MS及び図示しないその他の部位のモニタ信号は、その部位における膜厚に比例し、図16に示すように、通常、モニタ信号値MS,MS,MS等および基準信号RSが研磨時間に応じて概略直線的に減少することになる。したがって、現在の信号値と時間変化の傾き(微分)に基づいて、所定時間経過後の予測値を計算することができるなどの利点があり、線形計算に基づいて、容易に良好な制御性能を期待することができる。
【0097】
図17は、基準信号RS10と直線Lとに基づいて、ウェハ上のある部位のモニタ信号MSを新たなモニタ信号MSに変換する方法を示したグラフである。ここで、直線Lは、基準信号RS10の研磨終点を通る傾き−1の直線である。例えば、図17に示すように、時刻tにおけるモニタ信号MSの値vが与えられたとき、基準信号RS10上で同一の値を有する点Pを求める。そして、この点Pの時刻から基準信号RS10の研磨終点までの残り時間Tを求める。この残り時間Tは、図17からわかるように、上記直線Lを参照することにより求められる。求められた時間Tを基に新たなモニタ信号MSの時刻tにおける信号値vを設定する。例えば、v=Tとなうように信号値vを設定する。あるいは、信号値vを基準信号における研磨開始から研磨終点迄の時間Tで正規化してv=T/Tとしてもよく、このとき直線Lは、時刻0で値1を取り、傾きが−1/Tの直線となる。
【0098】
基準信号RS10に関しても同様の考え方を適用することにすれば、上述した直線Lが変換後の新たな基準信号であると見なせる。この新たな基準信号(直線L)は、基準信号RS10上の各点から研磨終点までの残り時間を表すものであるから、時間に関して線形の単調減少関数になり、制御演算が容易になる。
【0099】
また、このようにすれば、多くの場合、変換後の新たなモニタ信号MSが概ねウェハの被研磨面の膜厚に比例して直線的に変化する。したがって、研磨液やウェハの被研磨面上の配線パターン、下層の影響などにより、被研磨面の膜厚値が計測できない場合においても、線形演算で良好な制御性能を得ることが可能になる。図17に示す例では、基準信号RS10における研磨終点を基準時刻として使用している。しかし、基準信号RS10における基準時刻は研磨終点に限られるものではない。例えば、基準信号RS10が所定の値を取る時刻など、任意に基準時刻を定めることができる。モニタ信号値が研磨時間とともに変化しない区間においては、変換後の新たなモニタ信号の値は不定になる。
【0100】
上述した例では、センサ52が渦電流センサである場合を中心に説明したが、センサ52はウェハの状態を検知することができるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、光学式センサやマイクロ波センサ、その他の動作原理に基づくセンサなどをセンサ52として用いることができる。
【0101】
図18は、光学式センサを備えた研磨ユニットを示す模式図である。図18に示すように、この研磨ユニットにおいては、半導体ウェハWの被研磨面に形成された絶縁膜や金属膜の膜厚や色合いなどの特性値を研磨中に測定し、研磨状態を監視するセンサユニット152が内部に埋設されている。このセンサユニット152は、研磨中のウェハWの表面の研磨状況(残っている膜の厚みや状態など)をリアルタイムで連続的に監視する。
【0102】
研磨パッド40には、センサユニット152からの光を透過させるための透光部160が取付けられている。この透光部160は、例えば、無発泡ポリウレタンなどの透過率の高い材質で形成されている。あるいは、研磨パッド40に貫通孔を設け、この貫通孔が半導体ウェハWに塞がれる間下方から透明液を流すことにより、透光部160を構成してもよい。透光部160は、トップリング20に保持された半導体ウェハWの方面を通過する位置であれば、研磨テーブル18の任意の位置に配置することができるが、上述したように、半導体ウェハWの中心を通過する位置に配置することが好ましい。
【0103】
センサユニット152は、図18に示すように、光源161と、光源161からの光を半導体ウェハWの被研磨面に照射する発光部としての発光光ファイバ162と、被研磨面からの反射光を受光する受光部としての受光光ファイバ163と、受光光ファイバ163により受光された光を分光する分光器とこの分光器により分光された光を電気的情報として蓄積する複数の受光素子とを内部に有する分光器ユニット164と、光源161の点灯および消灯や分光器ユニット164内の受光素子の読取開始のタイミングなどの制御を行う制御部165と、制御部165に電力を供給する電源166とを備えている。光源161および分光器ユニット164には、制御部165を介して電力が供給される。
【0104】
発光光ファイバ162の発光端と受光光ファイバ163の受光端は、半導体ウェハWの被研磨面に対して略垂直になるように構成されている。また、発光光ファイバ162および受光光ファイバ163は、研磨パッド40を交換するときの作業性や受光光ファイバ163による受光量を考慮して、研磨テーブル18の表面の研磨面よりも上方に突出しないように配置されている。分光器ユニット164内の受光素子としては、例えば128素子のフォトダイオードアレイを用いることができる。
【0105】
分光器ユニット164は、ケーブル167を介して制御部165に接続されている。分光器ユニット164内の受光素子からの情報は、ケーブル167を介して制御部165に送られ、この情報に基づいて反射光のスペクトルデータが生成される。すなわち、本実施形態における制御部165は、受光素子に蓄積された電気的情報を読み取って反射光のスペクトルデータを生成するスペクトルデータ生成部を構成している。制御部165からのケーブル168は、研磨テーブル18内を通り、上述したモニタ装置に接続されている。このようにして、制御部165のスペクトルデータ生成部で生成されたスペクトルデータは、ケーブル168を介してモニタ装置53(図2参照)に送信される。
【0106】
モニタ装置53では、制御部165から受信したスペクトルデータに基づいて、膜厚や色合いなどのウェハWの表面の特性値を算出して、これをモニタ信号として上述した制御部53a(図2参照)に提供する。
【0107】
図18に示すように、研磨テーブル18の外周部の下面には近接センサ170が取付けられており、この近接センサ170に対応して研磨テーブル18の外方にセンサターゲット171が設置されている。近接センサ170は、研磨テーブル18が1回転するたびにセンサターゲット171を検知し、研磨テーブル18の回転角度を検知する。
【0108】
図19は、マイクロ波センサを備えた研磨ユニットを示す模式図である。図19に示すように、この研磨ユニットにおいては、研磨テーブル18の内部に、マイクロ波を半導体ウェハWの被研磨面に向けて照射するアンテナ252が埋設されている。このアンテナ252は、トップリング20に保持された半導体ウェハWの中心位置に対向するように配置されており、導波管253を介してセンサ本体254に接続されている。導波管253は短い方が好ましく、アンテナ252とセンサ本体254とを一体的に構成してもよい。
【0109】
図20は、図19に示すアンテナ252およびセンサ本体254を示す模式図である。センサ本体254は、マイクロ波を生成してアンテナ252にマイクロ波を供給するマイクロ波源255と、マイクロ波源255により生成されたマイクロ波(入射波)と半導体ウェハWの表面から反射したマイクロ波(反射波)とを分離させる分離器256と、分離器256により分離された反射波を受信して反射波の振幅および位相を検出する検出部257と、検出部257により検出された反射波の振幅および位相に基づいて半導体ウェハWの構造を解析するモニタ装置258とを備えている。分離器256としては、方向性結合器が好適に用いられる。
【0110】
アンテナ252は導波管253を介して分離器256に接続されている。マイクロ波源255は分離器256に接続され、マイクロ波源255により生成されたマイクロ波は、分離器256および導波管253を介してアンテナ252に供給される。マイクロ波はアンテナ252から半導体ウェハWに向けて照射され、研磨パッド40を透過(貫通)して半導体ウェハWに到達する。半導体ウェハWからの反射波は、再び研磨パッド40を透過した後、アンテナ252により受信される。
【0111】
反射波はアンテナ252から導波管253を介して分離器256に送られ、分離器256によって入射波と反射波とが分離される。分離器256には検出部257が接続されており、分離器256により分離された反射波は検出部257に送信される。検出部257では反射波の振幅および位相が検出される。反射波の振幅は電力(dbmまたはW)もしくは電圧(V)の値として検出され、反射波の位相は検出部257に内蔵された位相計測器(図示せず)により検出される。位相計測器を設けずに反射波の振幅のみを検出部で求めるようにしてもよく、また、反射波の位相のみを位相計測器で求めるようにしてもよい。
【0112】
モニタ装置258では、検出部257によって検出された反射波の振幅および位相に基づいて、半導体ウェハW上に成膜された金属膜や非金属膜などの膜厚が解析される。モニタ装置258には制御部54が接続されており、モニタ装置258で得られた膜厚の値がモニタ信号として制御部54に送られる。
【0113】
図21は、上述した光学式センサを用いて酸化膜のような透光性を有する膜を測定する場合のモニタ信号の変化を示したグラフである。この場合、モニタ信号は、時間に関して正弦波状に変化するため、モニタ信号の値が与えられても、基準信号の対応する点は一義的には定まらない。しかしながら、通常、初期膜厚の範囲は限られているため、信号の極値を区切りとして、あるいは、信号の増減によって、基準信号の時間軸上に区間を定義すれば、初期膜厚がどの区間に対応するか判別することができ、モニタ信号値の基準信号への対応づけが可能となる。
【0114】
例えば、図21において、基準信号RS11の極大値間にそれぞれ2つの区間を割り当てる。一の極大値が現れたときの膜の膜厚と次の極大値が現れたときの膜の膜厚との差Δdは、光の波長をλ、膜の屈折率をnとして、Δd=λ/2nと表される。初期膜厚が2区間の範囲内、例えば、区間VIIIから区間IXまたは区間IXから区間Xにあることが分かれば、その時点で初期膜厚が基準信号RS11上のどの位置に相当するかを特定できる。
【0115】
このようにして初期膜厚を特定した後は、モニタ信号MSが基準信号RS11に収束するように制御することで、上述したように、ウェハの残膜量の制御が可能になる。さらに、図17を参照して説明したのと同様の方法により、直線Lを用いてモニタ信号MSを概略直線的に減少する新たなモニタ信号MSに変換することもでき、簡単に良好な制御性能を得ることができる。
【0116】
図17の最初の区間および図21の極大点および極小点付近においては、基準信号の傾きが0に近く、ノイズ等の影響により相対的に不安定になって、モニタ信号の値に対応する基準信号上の点を精度よく求められないことがある。このような場合には、新たなモニタ信号は不定とし、この区間は制御を休止し、押圧力などの操作量は直前の値を継続して使用するのがよい。上述の方法では、基準信号は全区間において変換可能であるため、制御を休止する区間は新たなモニタ信号が不定の区間またはその付近に限られる。したがって、図21に示すように、モニタ信号が研磨時間に応じて増減する場合においても、操作タイミングを適当に設定することにより、良好な制御性能を期待することができる。
【0117】
あるいは、増減を繰り返すモニタ信号の極大値または極小値が現れる時刻に着目して、ウェハの各部位(領域)に対する押圧力を決定してもよい。すなわち、着目する部位におけるモニタ信号が極大点または極小点に達する時刻を各部位について計測し、この到達時刻が他の部位に比べて早い部位に対応する領域に対する押圧力を小さく、到達時刻が他の部位に比べて遅い部位に対応する領域に対する押圧力は大きくする。ウェハの表面上のパターンの影響などによって、同一膜厚に対するモニタ信号の値がばらつく場合にも、良好な制御性能を期待することができる。この場合において、基準信号が極大点または極小点に達する時刻を基準に、モニタ信号が極大点または極小点に達する時刻が遅いか早いかを判断することも可能であるが、基準信号を設定せずに、各部位におけるモニタ信号が極大点または極小点に達する時刻の相対的な関係に応じて押圧力を調整して、面内均一性を向上させることもできる。
【0118】
図22は、本発明に係る制御演算方法を説明するためのグラフである。図22においては、図17および図21を参照して説明したモニタ信号の変換方法が用いられている。研磨開始後の時刻tにおける新しい基準信号y(t)は、以下の式(2)で表される。
(t)=T−t …(2)
上記式(2)において、Tは基準信号における研磨開始から研磨終点までの時間である。
【0119】
この例において、Tは、基準信号を上述した3通りのうちの前2通りのいずれかの方法で時間軸に関して平行移動した基準信号に対するもの(図13、図14参照)である。図15に示す例の場合には、右辺はその時点の各部位のモニタ信号を平均化した値になる。このとき、全ての場合において、tを所定の時間として、時刻tからt経過後のウェハの各部位におけるモニタ信号の予測値y(t,t)は、以下の式(3)で表される。
(t,t)=y(t)+t・{y(t)−y(t−Δt)}/Δt …(3)
上記式(3)において、y(t)は時刻tにおけるモニタ信号、Δtはモニタ信号の時間変化に対する傾きを算出するために定められた時間である。
【0120】
このとき、時刻tからt経過後のモニタ信号の予測値の、基準信号に対する不一致度D(t,t)を以下の式(4)のように定義する。
D(t,t)=−{y(t,t)−y(t+t)}/t …(4)
【0121】
式(4)で表される不一致度Dが正であればモニタ信号が基準信号に対して進み気味であることを意味し、負であれば遅れ気味であることを意味する。
【0122】
図22に示すように、周期Δtの各時点tにおいて、常にモニタ信号の予測値が基準信号に一致すれば、モニタ信号は基準信号に漸近し収束することが期待される。例えば、図23のように、裏面に押圧力u3が加えられるウェハの領域C3の不一致度をD3、領域C3に隣接する領域C2,C4の不一致度をそれぞれD2,D4として、押圧力u3の変化量Δu3を決定することを考える。図24は、このような押圧力u3の変化量Δu3を決定するためのファジィルールの一例である。また、図25は、図24のファジィルールに、さらにウェハと摺動した直後の研磨パッドの部位の温度Tを考慮した場合のファジィルールの一例である。図24および図25において、“S”は「小さい」、“B”は「大きい」を意味し、“PB”は「大きく増やす」、“PS”は「少し増やす」、“ZR”は「変えない」、“NS”は「少し減らす」、“NB”は「大きく減らす」を意味する。
【0123】
図24のファジィルールに示すように、押圧力の変化量Δu3は、対応する領域C3の不一致度D3や押圧力u3自体が小さいほど大きく増加させ、また、領域C3と隣り合う領域C2,C4の不一致度D2,D4が小さい場合にも増やす方向に調整する。互いに独立なその他の領域の押圧力、これに対応する領域の不一致度、押圧力の変化量に対しても、それぞれ同様な考え方でファジィルールを定めれば、押圧力を極端に大きい値または小さい値に変更することなく、すべての不一致度が零に収束するように制御を行うことができる。
【0124】
多くの場合、研磨パッドの温度が高いほど研磨レートが上昇し、これによりさらに温度が上昇し易い。したがって、図25に示す例では、研磨パッドの温度Tが低いほど押圧力u3の変化量Δu3を大きく、温度Tが高いほど変化量Δu3を小さく設定している。
【0125】
図26は、図24および図25の前件部変数(D2〜D4、u3、Tp等)に対するメンバシップ関数を示すグラフであり、図27は、後件部変数(Δu3等)に対するメンバシップ関数を示すグラフである。図26の前件部変数軸上の点S1,S2を変更することで、当該変数に関する大小の判断基準を変えることができる。また、図27の後件部変数軸上の係数S3を変更することで、操作量Δu3の感度(前件部変数が等しい場合の操作量の大小)を調節することができる。
【0126】
本発明に適用できるファジィルールは、図24および図25に示したものに限られるものではなく、系の特性に応じて任意に定義することができる。また、前件部変数、後件部変数に対するメンバシップ関数も任意に定義でき、論理積法、含意法、集積法、非ファジィ化法等の推論の方法も適宜選択して用いることができる。
【0127】
上述した例では、不一致度の予測値を求めて推論を行う予測型のファジィ制御を利用している。センサがウェハの被研磨面の情報を取り込んでから実際に押圧力が完全に新しい値に置き換わって研磨状態が変化し、センサの出力値が完全に変わるまでには、センサからモニタ装置への出力信号の転送、モニタ信号への変換と平滑化、押圧力の演算、制御部54への転送、圧力調整部45(図2参照)への指令、押圧機構(圧力室)の動作など多くのステップが必要とされる。したがって、操作量の変更が完全に信号波形に反映されるまでには、通常1、2秒から10秒程度を要する。このように応答遅れの影響を抑えて効果的な制御を行うために、予測型の制御は有効である。
【0128】
予測型の制御の方法としては、上述したファジィ制御だけではなく、例えば、適当な数学モデルを定義してモデル予測制御を行ってもよい。上述した応答遅れを含めてモデル化することにすれば、更なる制御性能の向上を期待することができる。なお、このような系においては、制御周期を短くしても、モニタ信号に操作量の変化が十分に反映される前に次の操作を行ってしまうことになり、意味がないだけでなく、不要な操作量の変化やこれによる信号値の変動を引き起こしてしまうおそれがある。研磨時間は、通常数十秒から数百秒程度であるから、制御周期を長くし過ぎると面内均一性が達成される前に研磨終点に達してしまう。したがって、制御周期は1秒以上10秒以下であることが好ましい。
【0129】
予測型の制御の方法としてモデル予測制御を用いる場合には、各制御周期において、次のような形式の条件で、現ステップの操作量として各領域押圧力が決定される。
J=‖Y−Y+λ‖ΔU → 最小
第1項は次ステップから第Pステップまでの参照軌跡Yと予測応答Yの差に対応し、第2項は現ステップから第Qステップまでの操作量の変化(増分)に対応する。第2項の係数λを大きくすれば、操作量増分の重みが増して操作量の変化が小さくなり、逆に、小さくすれば操作量の変化が大きくなる。すなわち、1/λは操作量の感度と見なせる。
【0130】
図28および図29は、上述のようにして、制御演算によりウェハの各領域の押圧力の変化量を求めたとき、いずれかの領域で押圧力(=現在値+変化量)が所定の上下限値を超えた場合に行うスケーリングを説明するためのグラフである。
【0131】
本発明に係る制御においては、ウェハの面内均一性に着目するため、上下限値を超えた領域の押圧力だけ単純に上下限値の範囲内に収めたのでは、領域間のバランスが崩れて良好な制御性能を期待することができない。したがって、図28に示す例では、押圧力の基準値を設け、各領域の押圧力(=現在値+変化量)と基準値との差(図28において矢印で示す)の各領域間の比率が、スケーリング後も保持されるように変化量を調整する。押圧力の基準値は、上下限値の平均値であってもよいし、あるいは予め標準的な値であってもよい。このようなスケーリングによって、各領域の押圧力の分布を制御演算で求めた所望の分布と概略一致させることができる。
【0132】
図29に示す例では、現時点における押圧力からの変化量に着目して、変化量(図29において矢印で示す)の各領域間の比率が、スケーリング後も保持されるように変化量を調整する。現時点までの制御が概ね良好に推移しているとすれば、押圧力の変化量をこのようにスケーリングすることで良好な制御を実現できる。なお、図28および図29においては、領域C1〜C4の上限値および下限値がすべて等しいとしているが、上限値および下限値は領域ごとに異なる値を設定してもよい。
【0133】
以上では、各領域の押圧力に上下限値が設定された場合の押圧力のスケーリング法について述べたが、隣り合う領域の押圧力の差に上限値が設定された場合や、各領域の押圧力の変化量(増分)に上下限値が設定された場合にも、同様の考え方で押圧力をスケーリングすることができる。また、押圧力の変化量に上下限値が設定された場合には、押圧力の変化量に対する制御演算値が上下限値を超える度に、前述の操作量の感度S3や1/λを小さ目に調節して、変化量が制限内に入るまで制御演算を繰り返してもよい。
【0134】
図30Aおよび図30Bは、上述した制御方法によって、ウェハに対する押圧力を制御する場合のシミュレーション結果である。図30Aにおいて、モニタ信号は、初期値(最大値)を1、終値(最小値)を0として正規化している。図30Bにおいて、押圧力は初期値を1として正規化している。図30Aおよび図30Bに示す例では、研磨開始後50秒付近で各部位のモニタ信号値は収束し、ウェハの各領域の押圧力も概ね一定値に近づく。押圧力は、さらに80秒付近で完全に収束している。そして、95秒付近で、信号値は0に達して研磨終点を示し、以後一定値を取る。
【0135】
このように、制御が良好に行なわれると、各領域の押圧力は一定値に収束することが期待される。そこで、モニタ信号の値に閾値を設け、研磨終点より所定の時間前に閾値を用いて制御を停止し、各領域に対する押圧力はその時点の値を保持するようにする。このようにすれば、研磨終点付近において、押圧力が変化することなく安定した研磨が保証され、ディッシング等の研磨上の懸念がなくなる。
【0136】
さらに、研磨終了後において、このときの各領域に対する押圧力の値を記憶装置に格納し、次の同一仕様のウェハを研磨する際にこの保存された押圧力の値を使うことができる。このようにすれば、研磨初期に標準的な押圧力を加えることができ、研磨中の不要な押圧力の変化を抑止できる。特に研磨前のウェハの面内均一性がよい場合には、研磨中ほとんど押圧力を変化させることなく、極めて安定した研磨を実現できる。
【0137】
あるいは、初期の面内均一性がよい場合には、このような制御の特性を、初期の研磨条件の決定に用いることもできる。従来は、プロセスエンジニアがウェハの研磨と単体測定器による膜厚分布の測定を繰り返しながら、ウェハの各領域やリテーナリングに加える押圧力などの研磨条件を試行錯誤で決定し、レシピを作成していた。このため、多大な工数を要すると共に、トライアル用に多数のウェハが必要であった。本発明に係る研磨方法をこのようなプロセス立上に活用することにより、生産ウェハの研磨中には安全のため押圧力などの研磨条件を動的に変更することが許されない場合においても、速やかに研磨条件を決定することができ、プロセスエンジニアの負荷軽減とトライアル用ウェハの節約が実現できる。
【0138】
生産用ウェハの研磨時においては、上述したセンサと同一のもので取得したセンシング信号に基づいてモニタ信号を生成し、これに基づいて終点検出を行うこともできる。モニタ信号は、上述した制御に用いられるものであっても、あるいは他の変換により生成されたものであってもよい。図30Aに示す例のように、研磨終点付近では、各領域のモニタ信号は概ね等しい値を取り、面内均一性がよい。したがって、オーバポリッシュ時間を短く取っても金属膜の研磨残りがないことが保証され、過研磨によるディッシングやエロージョンなどの弊害を回避できる。同様にして、透光性の層間絶縁膜のような場合には、面内均一性を向上させた上で所定の膜厚で正確に研磨を停止することができる。さらに、新たなハードウェアを必要としないので、本発明は経済的である。
【0139】
本発明に係る研磨方法は、複数の段階からなる研磨工程にも適用できる。図31は、1枚のウェハに対してN段階からなる研磨工程を行う場合のシステム流れを示したブロック図である。各段階においては、研磨面のドレッシング等の研磨動作以外の動作が含まれてもよい。また、各段階に対して、それぞれ独立に研磨条件(研磨テーブルやトップリングの回転速度、研磨液、トップリングによる押圧力等)を設定することができる。さらに、研磨工程のすべての段階に対して本発明に係る研磨方法を適用してもよいし、あるいは、必要な段階だけに対して本発明に係る研磨方法を適用してもよい。
【0140】
モニタ装置53内の制御部53aは、通常停止状態にある。そして、研磨対象であるウェハがトップリングに装着され研磨テーブル上に移動して研磨準備が完了すると、制御部54から起動指令が出されて、制御部53aはハードディスクなどの記憶装置からこのウェハに関する制御パラメータや基準信号などの必要情報を読み込んで、停止状態から休止状態に移行する。
【0141】
第1段階の研磨を開始する時点で、制御部54からモニタ装置53に初期化指令が送信され、制御部53aは、第1段階の研磨に関する必要情報を演算ルーチンに引き渡し、演算ルーチン内のメモリを初期化して、休止状態から実行状態に移行する。
【0142】
その後、モニタ装置53内の制御部53aでは、所定のタイミングで演算ルーチンが作動して、センサの出力信号を基に、モニタリング部53bによって生成されたモニタ信号MSに対して演算処理を行い、ウェハに対する押圧力等を計算する。計算された押圧力は、制御部54を介して、トップリングの押圧力を調整する圧力調整部45に送信される。その後、第1段階の研磨終了時には、制御部54からモニタ装置53に中断指令が送信され、制御部53aは実行状態から休止状態に移行する。上述のように、モニタ装置53内でモニタリングや終点検出の演算だけでなく、制御演算も行うことにより、ハードウェアを追加することなしに、CMP装置側へのデータ転送量の小さいシステムを構成することができる。
【0143】
以後、本発明に係る研磨方法を適用する各段階において、同様の処理が行なわれて実行状態から休止状態までの処理が繰り返される。最後の段階における研磨終了時には、制御部54からモニタ装置53に終了指令が送信され、制御部53aは休止状態から停止状態に移行する。上述した例では、トップリングの押圧力を制御する例を示したが、トップリングの押圧力に加えてリテーナリングの押圧力を制御することもできる。
【0144】
上述の実施形態においては、研磨装置の例について説明したが、本発明は他の基板処理装置にも適用できる。例えば、めっき装置や化学蒸着(CVD)装置にも本発明を適用することができる。
【0145】
図32は本発明を適用することができるめっき装置の一例を示す縦断面図、図33は図32に示すめっき装置のアノードの平面図である。図32および図33に示すように、このめっき装置は、揺動アーム300と、揺動アーム300の自由端にボールベアリング302を介して連結したハウジング304と、このハウジング304の下端開口部を塞ぐように配置された含浸体306とを備えている。含浸体306は、保水性材料から形成されている。
【0146】
ハウジング304の下部には、内方突出部304aが、含浸体306の上部にはフランジ部306aがそれぞれ設けられ、含浸体306のフランジ部306aをハウジング304の内方突出部304aに引っ掛け、さらにスペーサ308をフランジ部306aの上面に介装することで、ハウジング304内に含浸体306が保持されている。これにより、ハウジング304の内部にめっき液室310が形成される。
【0147】
揺動アーム300は、サーボモータからなる上下動モータ312とボールねじ314を介して上下動するように構成されている。この上下機構は空気圧アクチュエータであってもよい。ウェハWはウェハホルダ316で保持され、ウェハWの周縁部にシール材318とカソード電極320が当接するようになっている。
【0148】
含浸体306は、アルミナ、SiC、ムライト、ジルコニア、チタニア、コージライト等の多孔質セラミックスまたはポリプロピレンやポリエチレンの焼結体等の硬質多孔質体、あるいはこれらの複合体、さらには織布や不織布で構成される。例えば、アルミナ系セラミックスにあっては、ポア径30〜200μm、SiCにあっては、ポア径30μm以下のものを使用するのがよく、含浸体306は、気孔率20〜95%、厚み1〜20mm、好ましくは5〜20mm、さらに好ましくは8〜15mm程度であることが好ましい。例えば、含浸体306は、気孔率30%、平均ポア径100μmでアルミナ製の多孔質セラミックス板から構成される。含浸体306の内部にめっき液を含有させることで、めっき液の電気伝導率より小さい電気伝導率を有するように構成されている。すなわち、多孔質セラミックス板自体は絶縁体であるが、この内部にめっき液を複雑に入り込ませ、厚さ方向にかなり長い経路を辿らせることで、含浸体306がめっき液の電気伝導率より小さい電気伝導率を有するように構成されている。
【0149】
このように含浸体306をめっき液室310内に配置し、この含浸体306によって大きな抵抗を発生させることで、シード層等のウェハの表面のシート抵抗の影響を無視できる程度にして、ウェハの表面のシート抵抗による電流密度の面内差を小さくして、めっき膜の面内均一性を向上させることができる。
【0150】
めっき液室310内には、めっき液導入管322が配置されており、この下面にはアノード324が取付けられている。めっき液導入管322にはめっき液導入口322aが設けられ、このめっき液導入口322aは、めっき液供給源(図示せず)に接続されている。ハウジング304の上面にはめっき液排出口304bが設けられている。
【0151】
めっき液導入管322は、被めっき面に均一にめっき液を供給できるように、マニホールド構造が採用されている。すなわち、めっき液導入管322の長手方向に沿った所定の位置に、めっき液導入管322の内部に連通する多数の細管(図示せず)が連結されている。アノード324および含浸体306のこの細管に対応する位置には細孔が設けられ、細管は、これらの細孔内を下方に延びて、含浸体306の下面または下面付近に達している。
【0152】
めっき液導入管322から導入されためっき液は、細管を通過して含浸体306の下方に達し、この含浸体306の内部を通過してめっき液室310内を満たしてアノード324をめっき液中に浸漬させる。また、めっき液排出口304bを通してめっき液は吸引される。アノード324の内部に、上下に連通する多数の貫通孔を設け、めっき液室310内に導入しためっき液が貫通孔内を流通して含浸体306に達するようにしてもよい。
【0153】
アノード324は、スライムの生成を抑制するため、一般に、含有量が0.03〜0.05%のリンを含む銅で構成される。この実施形態では、アノード324として、例えば、白金、チタン等の不溶解性金属あるいは金属上に白金等をめっきした不溶解性電極からなる不溶解アノードが使用されている。アノード324として、不溶解アノードを用いることで、アノード324の溶解による形状変化を防止して、アノード324を交換することなく、常に一定の放電状態を維持することができる。
【0154】
図33に示すように、アノード324は、この例では、同心状に4つに分割した分割アノード324a〜324dから構成され、この分割アノード324a〜324dの隣接する分割面の間にリング状の絶縁体326a〜326cが介装されている。つまり、アノード324は、中央に位置する中実円板状の第1分割アノード324a、第1分割アノード324aの周囲を囲繞する環状の第2分割アノード324b、第2分割アノード324bの周囲を囲繞する環状の第3分割アノード324c、および第3分割アノード324cの周囲を囲繞する環状の第4分割アノード324dからなる。第1分割アノード324aと第2分割アノード324bの間、第2分割アノード324bと第3分割アノード324cの間、および第3分割アノード324cと第4分割アノード324dの間に、環状の絶縁体326a〜326cがそれぞれ介装され、これらの分割アノード324a〜324dおよび絶縁体326a〜326cが同一平面上に配置されている。
【0155】
図32に示すように、カソード電極320はめっき電源328の陽極に、アノード324はめっき電源328の陰極にそれぞれ電気的に接続される。このめっき電源328には整流器330が接続されており、この整流器330は、流れる電流の向きを任意に変更し、第1分割アノード324aとウェハの被めっき面、第2分割アノード324bとウェハの被めっき面、第3分割アノード324cとウェハの被めっき面、および第4分割アノード324dとウェハの被めっき面に供給される電圧または電流を個別かつ任意に調整する。
【0156】
例えば、めっき初期において、(第4分割アノード324d<第3分割アノード324c<第2分割アノード324b<第1分割アノード324aの順に)アノード324の中央部側の方が、その周囲よりも電流密度が高くなるよう調整してウェハWの中央部にもめっき電流を流し、しかも、内部にめっき液を保持した含浸体306に大きな抵抗を発生させ、ウェハ表面のシート抵抗の影響を無視できる程度となすことと相俟って、より高いシート抵抗をもつウェハに対しても、ウェハ表面のシート抵抗による電流密度の面内差を小さくして、より均一な膜厚のめっき膜を確実に形成することができる。
【0157】
図32に示すように、含浸体306には、分割アノード324a〜324dに対応した位置に、ウェハ表面の膜厚を計測するセンサ352が配置されている。これらのセンサ352としては、渦電流センサや光学式センサをはじめとする各種センサを用いることができる。これらのセンサ352によりウェハ表面の膜厚を計測し、この膜厚が上述した基準信号に収束するように各分割アノード324a〜324dに印加する電圧が制御される。
【0158】
図34は、本発明を適用することができるCVD装置の一例を示す縦断面図である。図34に示すように、CVD装置は、成膜室400と、成膜室400の上部に配置されたガス噴出ヘッド402と、成膜室400の内部に配置されたホットプレート404とを備えている。ホットプレート404は、内部にヒータ406と、ウェハ載置部直下の温度を測定する温度センサ408とを備えている。
【0159】
成膜室400には、ウェハWの搬入および搬出を行う搬入出口400aと、内部の排気を行う排気口400bが設けられている。搬入出口400aには、排気口400bを介して成膜室400内を13.33Pa(0.1Torr)以下の低圧に維持できるよう、ゲート410が設けられている。
【0160】
ガス噴出ヘッド402は、多数のガス噴出口402aを有する板状のノズル板402bと、原料ガスやラジカル等のプロセスガスを導入するためのガス導入口402cと、ガス置換用のガス排出口402dとを備えている。
【0161】
ホットプレート404とガス噴出ヘッド402の間に、高周波電源412から高周波(例えば13.5MHzや60MHz)電圧を印加し、ホットプレート404とガス噴出ヘッド402の間の空間にプラズマを発生させ、付着物のクリーニング用等に利用してもよい。
【0162】
上記構成のガス噴出ヘッド402において、ヘッド室402e内に導入されたプロセスガスは、ノズル板402bの多数のガス噴出口402aからウェハWに向かって噴出される。ノズル板402bの下面には、ガス噴出口402aから噴出するプロセスガスの流れを整流したまま減速させるディフューザ部材402fが取付けられている。このディフューザ部材402fは十分長く、ガス噴出口402aから噴出されたプロセスガスは、該ディフューザ部材402fを出た直後に全体が速やかに均一流になってウェハWの面上に到達する。ディフューザ部材402fは、その角度を任意に調整できるよう、駆動装置(図示せず)に連結されている。
【0163】
ディフューザ部材402fの先端には、ウェハ表面の膜厚を計測するセンサ452が配置されている。これらのセンサ452としては、渦電流センサや光学式センサをはじめとする各種センサを用いることができる。これらのセンサ452によりウェハ表面の膜厚を計測し、この膜厚が上述した基準信号に収束するように、各ディフューザ部材402fの角度とプロセスガスの流量が制御される。
【0164】
図35は、本発明を適用することができるCVD装置のガス噴出ヘッド500を示す縦断面図である。図35に示すように、ガス噴出ヘッド500は2個のガス噴出ノズル体501,502を備え、これら2個のガス噴出ノズル体501,502は成膜室(図示せず)内に配置されたサセプタ504に載置された1枚のウェハWの上方を矢印Cに示すように往復動する。各ガス噴出ノズル体501,502の底面には多数のガス噴出口が設けられ、各ガス噴出ノズル体501,502に所定のプロセスガスGを供給することにより、ガス噴出口からウェハWの面上にそれぞれのプロセスガスを噴出する。
【0165】
成膜室内を低圧(例えば13.33Pa(0.1Torr)以下)に減圧し、ガス噴出ノズル体501に水素または水素ラジカル、ガス噴出ノズル体502にCu有機金属材料ガスをそれぞれ供給し、2個のガス噴出ノズル体501,502を一体で往復動させるか、またはガス噴出ノズル体501と502とでスピードを変えて往復動させる。また、往路の移動終了時に、供給ガスを切替えて、すなわちガス噴出ノズル体501にCu有機金属材料ガス、ガス噴出ノズル体502に水素または水素ラジカルを供給し、折返し移動させ、これを繰り返す(1回でもよい)ことにより、ウェハW上面にCu薄膜を形成する。
【0166】
ガス噴出ノズル体501,502には、それぞれウェハ表面の膜厚を計測するセンサ552が取付けられている。これらのセンサ552としては、渦電流センサや光学式センサをはじめとする各種センサを用いることができる。また、センサは双方のガス噴出ノズル体501,502に取付けられていなくてもよく、どちらかのガス噴出ノズル501,502にのみ配置されていてもよい。ガス噴出ノズル体501,502がウェハ上を往復運動することにより、ウェハWの半径方向の膜厚情報を得ることができる。この膜厚が上述した基準信号に収束するように、各ガス噴出ノズル体501,502から供給されるガスGの量が制御される。例えば、基準信号に沿ってウェハWの全面に均一に膜厚を形成する際には、ガス噴出ノズル体501,502の往復運動に同期してガス流量を制御する。
【0167】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】図1は、本発明の一実施形態における研磨装置を示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示す研磨装置における研磨ユニットの一部を示す模式図である。
【図3】図3は、図2に示す研磨ユニットにおけるトップリングを示す縦断面図である。
【図4】図4は、図2に示す研磨ユニットにおけるトップリングを示す底面図である。
【図5】図5は、図2に示す研磨ユニットにおける研磨テーブルと半導体ウェハとの関係を示す平面図である。
【図6】図6は、図2に示す研磨ユニットにおけるセンサが半導体ウェハ上を走査する軌跡を示す平面図である。
【図7】図7は、図6に示す半導体ウェハ上の計測点のうちモニタリングを行う計測点を選択する一例を示す平面図である。
【図8】図8は、ウェハ上の金属膜を研磨したときのモニタ信号の変化を示すグラフである。
【図9】図9は、本発明に係る研磨方法によるモニタ信号の変化を示すグラフである。
【図10】図10は、本発明に係る基準信号を決定する手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、図2に示すセンサの有効計測範囲を示す平面図である。
【図12】図12は、本発明に係る基準信号の適用方法の一例を説明するためのグラフである。
【図13】図13は、本発明に係る基準信号の適用方法の他の例を説明するためのグラフである。
【図14】図14は、本発明に係る基準信号の適用方法の他の例を説明するためのグラフである。
【図15】図15は、本発明に係る基準信号の適用方法の他の例を説明するためのグラフである。
【図16】図16は、本発明に係る研磨方法によるモニタ信号の変化を示すグラフである。
【図17】図17は、本発明に係る基準信号およびモニタ信号の変換方法の一例を説明するためのグラフである。
【図18】図18は、光学式センサを備えた研磨ユニットを示す模式図である。
【図19】図19は、マイクロ波センサを備えた研磨ユニットを示す模式図である。
【図20】図20は、図19に示すマイクロ波センサを示す模式図である。
【図21】図21は、本発明に係る基準信号の適用方法の一例を説明するためのグラフである。
【図22】図22は、本発明に係る制御演算方法を説明するためのグラフである。
【図23】図23は、本発明に係る予測型制御を説明するための模式図である。
【図24】図24は、本発明に係る予測型制御用のファジィルールの一例を示すテーブルである。
【図25】図25は、本発明に係る予測型制御用のファジィルールの他の例を示すテーブルである。
【図26】図26は、図24および図25の前件部変数に対するメンバシップ関数を概念的に示したグラフである。
【図27】図27は、図24および図25の後件部変数に対するメンバシップ関数を概念的に示したグラフである。
【図28】図28は、本発明に係る押圧力のスケーリング方法を説明するためのグラフである。
【図29】図29は、本発明に係る押圧力のスケーリング方法を説明するためのグラフである。
【図30】図30Aおよび図30Bは、本発明に係る研磨方法のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図31】図31は、本発明に係る研磨方法を複数の段階からなる研磨工程に適用した例を示す模式図である。
【図32】図32は、本発明を適用することができるめっき装置の一例を示す縦断面図である。
【図33】図33は、図32に示すめっき装置のアノードの平面図である。
【図34】図34は、本発明を適用することができるCVD装置の一例を示す縦断面図である。
【図35】図35は、本発明を適用することができるCVD装置の他の例を示す縦断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨面を有する研磨テーブルと、
基板上の少なくとも1つの領域に対する押圧力を制御しつつ前記基板を前記研磨面に押圧するトップリングと、
前記基板上の少なくとも1つの計測点における基板状態を監視するセンサと、
前記センサからの信号に所定の演算処理をしてモニタ信号を生成するモニタ装置と、
前記モニタ信号に対する基準値と時間との関係を示す基準信号を格納した記憶装置と、
前記計測点におけるモニタ信号と前記基準信号とを比較し、前記計測点におけるモニタ信号が前記基準信号に収束するように、前記トップリングによる押圧力を制御する制御部と、
を備えた、研磨装置。
【請求項2】
前記トップリングは、前記基板上の複数の領域に対する押圧力を独立に制御し、
前記センサは、前記基板上の複数の計測点における基板状態を監視する、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記トップリングは、前記基板の複数の領域に対して独立して押圧力を与える複数の圧力室を備えた、請求項2に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記制御部は、研磨開始時に前記複数の計測点におけるモニタ信号を平均化した値を求め、研磨開始時における基準信号が前記平均化した値と一致するように、前記基準信号を時間に関して平行移動する、請求項2または3に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記制御部は、研磨工程の任意の時刻において前記複数の計測点におけるモニタ信号を平均化した値を求め、該時刻における基準信号が前記平均化した値と一致するように、該時刻以降の基準信号を時間に関して平行移動する、請求項2または3に記載の研磨装置。
【請求項6】
前記制御部は、研磨開始時における基準信号が該研磨開始時の前記基板上の所定の計測点におけるモニタ信号と一致するように、前記基準信号を時間に関して平行移動する、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項7】
前記制御部は、研磨工程の任意の時刻において基準信号が該時刻における前記基板上の所定の計測点におけるモニタ信号と一致するように、該時刻以降の基準信号を時間に関して平行移動する、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項8】
前記制御部は、研磨時間が所望の時間となるように、研磨開始時に前記基準信号を時間に関して平行移動する、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項9】
前記制御部は、研磨工程の任意の時刻において、前記モニタ信号の値と一致する前記基準信号上の時刻を求め、前記基準信号上の一致する時刻から前記基準信号が所定の値となる基準時刻までの時間を求める、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項10】
前記基準信号は、前記基板上に形成された膜の種類、積層構造、配線構造、研磨液の物性、前記研磨面の温度、前記基板の温度、前記研磨面を構成する研磨工具の厚さのうち少なくとも1つをパラメータとして設定された信号である、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項11】
前記基準信号として、現在研磨に使用されている研磨面による過去の研磨工程において得られたモニタ信号または交換前の他の研磨面による過去の研磨工程の初期に得られたモニタ信号を用いる、請求項1から3のいずれかに記載の研磨装置。
【請求項12】
前記制御部は、予測型制御を用いて前記トップリングによる押圧力を制御する、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項13】
前記制御部の制御周期は、1秒以上10秒以下である、請求項12に記載の研磨装置。
【請求項14】
前記モニタ装置は、前記基板の外縁部の計測点におけるモニタ信号を制御の対象から除外する、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項15】
前記モニタ装置は、前記基板の外縁部の計測点におけるモニタ信号に対して補正を行う、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項16】
前記センサは、渦電流センサ、光学式センサ、およびマイクロ波センサの少なくとも1つである、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項17】
前記センサは、基板の表面の膜厚を測定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項18】
前記研磨テーブルと前記トップリングとの間に相対運動を生じさせる駆動部をさらに備え、
前記センサは、前記研磨テーブルの内部に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項19】
前記駆動部は、前記研磨テーブルを回転運動させるモータである、請求項18に記載の研磨装置。
【請求項20】
前記制御部は、研磨の途中で断続的に制御を休止する、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項21】
前記制御部は、研磨終点に到達する前に制御を終了し、制御終了時点の研磨条件を研磨終点まで保持する、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項22】
前記制御部は、一の基板の研磨の終了時点の研磨条件を別の基板の研磨に対する初期研磨条件として用いる、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項23】
前記制御部は、前記モニタ装置の信号に基づいて研磨終点を検出する、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項24】
研磨面を有する研磨テーブルと、
基板上の複数の領域に対する押圧力を独立に制御しつつ前記基板を前記研磨面に押圧するトップリングと、
前記基板上の複数の計測点における基板状態を監視するセンサと、
前記センサからの信号に所定の演算処理をしてモニタ信号を生成するモニタ装置と、
前記モニタ信号に基づいて前記トップリングによる押圧力を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数の領域のうち少なくとも1つの領域に対する押圧力が所定の範囲を超えた場合に、前記複数の領域のすべてに対する押圧力が前記所定の範囲内に納まるように、前記複数の領域に対する押圧力または押圧力の変化量をスケーリングする、研磨装置。
【請求項25】
研磨面を有する研磨テーブルと、
基板上の複数の領域に対する押圧力を独立に制御しつつ前記基板を前記研磨面に押圧するトップリングと、
前記基板上の複数の計測点における基板状態を監視するセンサと、
前記センサからの信号に所定の演算処理をしてモニタ信号を生成するモニタ装置と、
前記モニタ信号に極値が現れた時刻に基づいて前記トップリングによる押圧力を制御する制御部と、
を備えた、研磨装置。
【請求項26】
前記基板の表面には非金属膜が形成されている、請求項25に記載の研磨装置。
【請求項27】
研磨面を有する研磨テーブルと、
基板上の複数の領域に対する押圧力を独立に制御しつつ前記基板を前記研磨面に押圧するトップリングと、
前記基板上の複数の計測点における基板状態を監視するセンサと、
前記センサからの信号に所定の演算処理をしてモニタ信号を生成するモニタ装置と、
前記モニタ信号に基づいて前記トップリングによる押圧力を制御し、前記基板の研磨中に前記複数の領域に対する押圧力の感度を調整する制御部と、
を備えた、研磨装置。
【請求項28】
基板上の少なくとも1つの計測点における基板状態をセンサにより監視し、
前記センサからの信号に所定の演算処理をしてモニタ信号を生成し、
前記計測点におけるモニタ信号と、前記モニタ信号に対する基準値と時間との関係を示す基準信号とを比較し、
前記計測点におけるモニタ信号が前記基準信号に収束するように、基板上の少なくとも1つの領域に対する押圧力を制御しつつ、前記基板を研磨面に押圧して基板を研磨する、研磨方法。
【請求項29】
基板上の少なくとも1つの計測点における基板状態を監視し、
前記センサからの信号に所定の演算処理をしてモニタ信号を生成し、
前記計測点におけるモニタ信号と、前記モニタ信号に対する基準値と時間との関係を示す基準信号とを比較し、
前記計測点におけるモニタ信号が前記基準信号に収束するように、基板状態を制御しつつ、前記基板の表面に膜を形成する、処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公表番号】特表2008−503356(P2008−503356A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516198(P2007−516198)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【国際出願番号】PCT/JP2005/011676
【国際公開番号】WO2005/123335
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】