説明

管理機

【課題】容易な操作で車両を小さく収納できる、作業性および安全性を向上させたコンパクトな管理機を提供する。
【解決手段】機体に配設したミッションケース2と、このミッションケース2周面の一端に設け、ロータリー耕耘装置3の耕耘軸12を回転させるロータリー駆動伝達軸21を内設したロータリー駆動伝達軸ケース8と、ミッションケース2周面の他端に設け、車輪4の車軸14を回転させる車輪駆動伝達軸31を内設した車輪駆動伝達軸ケース9とを備え、ロータリー駆動伝達軸ケース8および/または車輪駆動伝達軸ケース9を、回動支点26,36を中心として車輪駆動伝達軸ケース9側またはロータリー駆動伝達軸ケース8側に回動可能に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体に配設したミッションケースと、このミッションケース周面の一端に設け、ロータリー耕耘装置の耕耘軸を回転させるロータリー駆動伝達軸を内設したロータリー駆動伝達軸ケースと、ミッションケース周面の他端に設け、車輪の車軸を回転させる車輪駆動伝達軸を内設した車輪駆動伝達軸ケースとを備える管理機に関し、より詳細には、ロータリー駆動伝達軸ケースおよび/または車輪駆動伝達軸ケースを、回動支点を中心として車輪駆動伝達軸ケース側またはロータリー駆動伝達軸ケース側に回動可能に備える管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の管理機には、ミッションケースの下端部に伝動ケースを介してロータリーを有する耕耘部が配設されるとともに、この耕耘部の後方には、機体フレームの後端に左右方向へ嵌通されているアーム回動軸を備える支持アームを介して接地車輪が設けられており、耕耘作業状態による管理機の牽引力に対する抵抗発生の有無のため、接地車輪を上下方向に回動可能とするもの(例えば、特許文献1)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−65865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような管理機では、耕耘部をエンジン駆動とし、接地車輪は駆動源を有しない従動輪とした接地車輪を回動させるものの、その接地車輪の回動量は限られているうえ、耕耘爪を有する耕耘部は、伝動ケース内の構成により回動させることができず、機体をコンパクトに収納できないという問題があった。
また、原動機を電動モータとし、この電動モータのモータ軸からそれぞれ駆動軸を内設する伝動ケースを介して車両前部に車輪および、その後方にリアロータリーを配設した管理機において、車輪の伝動ケースおよびロータリーの伝動ケースを必要に応じて取外し可能とするものもあるが、それぞれ重量を有する伝動ケースを取外す手間がかかり、作業性が悪いという問題もあった。
そこで、この発明の目的は、容易な操作で車両を小さく収納できる、作業性および安全性を向上させたコンパクトな管理機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、請求項1に記載の発明は、機体に配設したミッションケースと、該ミッションケース周面の一端に設け、ロータリー耕耘装置の耕耘軸を回転させるロータリー駆動伝達軸を内設したロータリー駆動伝達軸ケースと、前記ミッションケース周面の他端に設け、車輪の車軸を回転させる車輪駆動伝達軸を内設した車輪駆動伝達軸ケースとを備える管理機において、前記ロータリー駆動伝達軸ケースおよび/または前記車輪駆動伝達軸ケースを、回動支点を中心として前記車輪駆動伝達軸ケース側または前記ロータリー駆動伝達軸ケース側に回動可能に備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の管理機において、前記ロータリー駆動伝達軸は、前記ミッションケースと、前記ロータリー駆動伝達軸ケースとの間に設けた軸継手により接断可能に備えることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1および2に記載の管理機において、前記ロータリー駆動伝達軸ケースは、回動時に、前記ミッションケースまたは/および前記車輪駆動伝達軸ケースに固定可能としたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の管理機において、前記車輪駆動伝達軸は、前記ミッションケースと、前記車輪駆動伝達軸ケースとの間に設けた軸継手により接断可能に備えることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1および2に記載の管理機において、前記車輪駆動伝達軸ケースは、回動時に、前記ミッションケースまたは/および前記ロータリー駆動伝達軸ケースに固定可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、機体に配設したミッションケースと、このミッションケース周面の一端に設け、ロータリー耕耘装置の耕耘軸を回転させるロータリー駆動伝達軸を内設したロータリー駆動伝達軸ケースと、ミッションケース周面の他端に設け、車輪の車軸を回転させる車輪駆動伝達軸を内設した車輪駆動伝達軸ケースとを備える管理機において、ロータリー駆動伝達軸ケースおよび/または車輪駆動伝達軸ケースを、回動支点を中心として車輪駆動伝達軸ケース側またはロータリー駆動伝達軸ケース側に回動可能に備えるので、機体の収納時など必要に応じて、ミッションケース下方で機体前後方向に長さを有して配置されたロータリー耕耘装置および/または車輪を取外すことなく、ミッションケースに対し駆動伝達軸ケースを機体内側方向に回動させることで、容易に機体を小さく畳むことができる。従って、コンパクト化を図った管理機を提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、ロータリー駆動伝達軸は、ミッションケースと、ロータリー駆動伝達軸ケースとの間に設けた軸継手により接断可能に備えるので、ミッションケースと、ロータリー駆動伝達軸ケースとを締結する固定具および軸継手の固定具を着脱し、ロータリー駆動伝達軸ケースを回動させるだけで、ミッションケース内の中間伝動軸と、ロータリー駆動伝達軸ケース内のロータリー駆動伝達軸とを容易に接断することができるとともに、ロータリー駆動伝達軸を離間した際には、ロータリー耕耘装置の駆動を遮断でき、誤操作などにより電動モータが作動し、中間伝動軸が駆動しても、ロータリー駆動伝達軸には駆動が伝達されないため、耕耘軸を介して耕耘爪が回転せず、安全状態を保って収納などすることができる。従って、コンパクト化を図るとともに安全性を向上させた管理機を提供することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、ロータリー駆動伝達軸ケースは、回動時に、ミッションケースまたは/および車輪駆動伝達軸ケースに固定可能としたので、回動させているロータリー駆動伝達軸ケースを、定着したミッションケースまたは/および車輪駆動伝達軸ケースに安定支持させることができるとともに、ロータリー駆動伝達軸ケースを収納した機体の形状で車輪を駆動し、容易に機体を移動させることができる。従って、安全性および操作性を向上させた管理機を提供することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、車輪駆動伝達軸は、ミッションケースと、車輪駆動伝達軸ケースとの間に設けた軸継手により接断可能に備えるので、ミッションケースと、車輪駆動伝達軸ケースとを締結する固定具および軸継手の固定具を着脱し、車輪駆動伝達軸ケースを回動させるだけで、車輪駆動伝達軸ケースを容易に接断することができるとともに、車輪駆動伝達軸を離間した際には、車輪の駆動を遮断することができる。従って、コンパクト化を図るとともに安全性を向上させた管理機を提供することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、車輪駆動伝達軸ケースは、回動時に、ミッションケースまたは/およびロータリー駆動伝達軸ケースに固定可能としたので、回動させている車輪駆動伝達軸ケースを、定着したミッションケースまたは/およびロータリー駆動伝達軸ケースに安定支持させることができる。従って、安全性を向上させた管理機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一例としての管理機の全体側面図である。
【図2】管理機のミッションケースおよび各駆動伝達軸ケースの内部構造を示す断面側面図である。
【図3】ロータリー耕耘装置の回動を示すミッションケース近傍を拡大した断面側面図である。
【図4】ロータリー耕耘装置および車輪の配置を示す平面図である。
【図5】回動させたロータリー駆動伝達軸ケースの固定方法を示すミッションケース近傍の断面側面図である。
【図6】車輪駆動伝達軸ケースの回動を示すミッションケース近傍の断面側面図である。
【図7】回動させた車輪駆動伝達軸ケースの固定方法を示すミッションケース近傍の断面側面図である。
【図8】車輪駆動伝達軸ケースを回動させて収納姿勢とした管理機の全体側面図である。
【図9】操縦ハンドルを回動させて収納姿勢とした管理機の全体側面図である。
【図10】原動機としてエンジンを搭載した管理機の全体側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1はこの発明の一例としての管理機の全体側面図、図2は管理機のミッションケースおよび各駆動伝達軸ケースの内部構造を示す断面側面図である。
【0017】
この管理機1は、図1〜2に示すように、機体中央に配設したミッションケース2の前部下方に、作業機としてのロータリー耕耘装置3を配置し、ミッションケース2の後部下方であって、ロータリー耕耘装置3の後方には、左右一対の車輪4を配設するとともに、機体フレーム5上にはバッテリー6が積載されている。
【0018】
また、ミッションケース2の周面上端部には、原動機としての電動モータ7が傾斜姿勢で搭載連結されるとともに、周面前部にロータリー駆動伝達軸21を内設する作業用のロータリー駆動伝達軸ケース8、周面後部に車輪駆動伝達軸31を内設する走行用の車輪駆動伝達軸ケース9が連結される。さらに、ミッションケース2とロータリー駆動伝達軸ケース8とに亘って連結支持し、機体の後方かつ上方に向けて延出した操縦ハンドル10が備えられる。
【0019】
従って、ロータリー耕耘装置3は、ロータリー駆動伝達軸ケース8と、このロータリー駆動伝達軸ケース8の先端部に取付けられ、周面に複数の耕耘爪11を植設した耕耘軸12とから構成される。また、車輪4は、車輪駆動伝達軸ケース9と、この車輪駆動伝達軸ケース9の先端部に取付けられた車軸14の左右両端部に備えられている。
【0020】
また、電動モータ7の出力軸71がミッションケース2内に突入されて、ミッションケース2内に配備された中間伝動軸17に連結されている。この電動モータ7には直流モータを用い、上述したバッテリー6から電力が供給される。なお、符号15はケース、符号16はゲージ輪である。
【0021】
次に、本願発明の特徴である、回動可能なロータリー駆動伝達軸ケースおよび車輪駆動伝達軸ケースについて、その具体的構成を説明する。図3はロータリー耕耘装置の回動を示すミッションケース近傍を拡大した断面側面図、図4はロータリー耕耘装置および車輪の配置を示す平面図、図5は回動させたロータリー駆動伝達軸ケースの固定方法を示すミッションケース近傍の断面側面図である。
【0022】
まず、ロータリー駆動伝達軸ケース8は、図2〜3に示すように、基端部から延出方向に沿ってロータリー駆動伝達軸21を内設するとともに、先端部に形成した円形の膨出部内にはウオーム減速機構などの減速機構22が内設されている。この減速機構22は、ロータリー駆動伝達軸21の先端部に連結されたウオームギヤ23と、これに咬合されたウオームホイール24とから構成されており、ウオームホイール24の中心に連結された耕耘軸12を作業軸として横架支承され、ロータリー駆動伝達軸ケース8の左右に突出されたこの耕耘軸12に、耕耘爪11が外嵌連結される。
【0023】
そして、ミッションケース2内に有する中間伝動軸17の先端部は、ロータリー駆動伝達軸ケース8内に有するロータリー駆動伝達軸21に、軸継手25を介して同心状に接続されている。この軸継手25は、例えば図中の円内に示すような周知のフランジ型軸継手を用いてもよく、この場合、上部フランジ25aがミッションケース2内および下部フランジ25bがロータリー駆動伝達軸ケース8内に配備され、ボルトなどの固定具25cの着脱により中間伝動軸17とロータリー駆動伝達軸21とを接断させることができる。
【0024】
また、ロータリー駆動伝達軸ケース8の上端後部と、ミッションケース2の周面前部の下部との重複部分には、ロータリー駆動伝達軸ケース8の回動支点軸26が貫設されるとともに、ロータリー駆動伝達軸ケース8の上端前部位置と、ミッションケース2の周面前部の上部位置にはボルト孔などが形成されており、このボルト孔を介してボルトなどの固定具27によりロータリー駆動伝達軸ケース8がミッションケース2に固定されている。
【0025】
なお、図2および図5では、中間伝動軸30と車輪駆動伝達軸31とは、上記同様の軸継手25´で接続し、後述するように車輪駆動伝達軸ケース9を回動可能に設けているが、本願発明では、車輪駆動伝達軸ケース9を固定してロータリー駆動伝達軸ケース8のみを回動可能に設ける構成や、ロータリー駆動伝達軸ケース8を固定して車輪駆動伝達軸ケース9のみを回動可能に設ける構成、または、両ケース8,9ともに回動可能な構成にしてもよい。
【0026】
ここで、収納時など必要に応じてロータリー駆動伝達軸ケース8を回動させる場合には、固定具27を取外し、例えば図示しないロータリー駆動伝達軸ケース8の側面カバーなどを取外して、軸継手25の固定具25cを取外した後、軸継手25を介して中間伝動軸17とロータリー駆動伝達軸21とを離間(接続を遮断)する。
【0027】
そして、回動支点軸26を中心として先端部の耕耘爪11側を機体後方(車輪4側)に回動させることにより、耕耘爪11を含むロータリー駆動伝達軸ケース8を、通常の配置位置aから回動支点軸26を中心に角度θもしくは耕耘爪11の最前端部分から長さLだけ機体後方に移動させるとともに、中間伝動軸17からロータリー駆動伝達軸21への駆動伝達を遮断することができる。
【0028】
そして、図4に示すように、耕耘軸12の左右に亘り植設された耕耘爪11の両外端は、左右の車輪4幅よりも狭いため、ロータリー駆動伝達軸ケース8は、配置位置aから側面視で車輪4の内側の一部に耕耘爪11の一部が重複する位置(耕耘軸12が車軸14に接触せず、かつロータリー駆動伝達軸ケース8が車輪駆動伝達軸ケース9に接触しない位置、例えば、地面に対して略垂直位置程度)までの間で上記角度θもしくは長さLは、任意の範囲内で設定し、回動させることができる。
【0029】
また、ロータリー駆動伝達軸ケース8を回動させた際には、図5に示すように、例えば、回動支点軸26近傍であって、ロータリー駆動伝達軸ケース8とミッションケース2との間に設けたヒンジ28により、ロータリー駆動伝達軸ケース8を所定の回動角度で固定させることができるが、これに加えもしくは代えて、車輪駆動伝達軸ケース9の中途部側面などに端部を枢支させた固定ステー29の他端を、ロータリー駆動伝達軸ケース8の中途部側面の係止部に係止させてロータリー駆動伝達軸ケース8を固定させることができる。なお、ロータリー駆動伝達軸ケース8の固定は上述の方法に限定しない。
【0030】
なお、上述のように、ロータリー駆動伝達軸ケース8を回動させた場合には、軸継手25を介して中間伝動軸17とロータリー駆動伝達軸21とが露出するため、ミッションケース2およびロータリー駆動伝達軸ケース8の各接続面に、図示しない保護カバーなどを取付けてもよい。
【0031】
なお、管理機1で作業などするために、ロータリー駆動伝達軸ケース8を通常の配置位置aに戻す場合には、ヒンジ28および/もしくは固定ステー29でのロータリー駆動伝達軸ケース8の固定を解除し、ロータリー駆動伝達軸ケース8を回動させ、中間伝動軸17と、ロータリー駆動伝達軸21とを同心状に接続させて軸継手25の固定具25cで締結するとともに、ロータリー駆動伝達軸ケース8とミッションケース2とを固定具27で締結させることで、中間伝動軸17の駆動を、ロータリー駆動伝達軸21を介して耕耘軸12に伝達する。
【0032】
以上のような構成にすることで、機体の収納時など必要に応じて、ミッションケース2下方で機体前後方向に長さを有して配置されたロータリー耕耘装置3を取外すことなく、ミッションケース2に対しロータリー駆動伝達軸ケース8を機体内側方向に回動させることで、容易に機体を小さく畳むことができる。
【0033】
また、ミッションケース2と、ロータリー駆動伝達軸ケース8とを締結する固定具27および軸継手25の固定具25cを着脱し、ロータリー駆動伝達軸ケース8を回動させるだけで、ミッションケース2内の中間伝動軸17と、ロータリー駆動伝達軸ケース8内のロータリー駆動伝達軸21とを容易に接断することができる。
【0034】
特に、機体収納時などにおいて、ロータリー駆動伝達軸ケース8を回動させて、ロータリー駆動伝達軸21を中間伝動軸17から離間した際には、ロータリー耕耘装置3の駆動を遮断でき、誤操作などにより電動モータ7が作動し、中間伝動軸17が駆動しても、ロータリー駆動伝達軸21には駆動が伝達されないため、耕耘軸12を介して耕耘爪11が回転せず、安全状態を保って収納などすることができる。
【0035】
また、ロータリー駆動伝達軸ケース8を、その回動位置でヒンジ28および/もしくは固定ステー29により定着したミッションケース2および/もしくは車輪駆動伝達軸ケース9に安定的に支持させて固定できるとともに、ロータリー駆動伝達軸ケース8を収納した機体の形状で車輪4を駆動し、容易に機体を移動させることができる。
【0036】
さらには、ロータリー駆動伝達軸ケース8を、側面視で車輪4の内側の一部に耕耘爪11の一部が重複する位置まで回動させ固定した場合には、左右車輪4により側面側から耕耘軸12や耕耘爪11の一部を覆うことができるため、機体側方に障害物などがある場合に、耕耘軸12や耕耘爪11の一部を車輪4で保護することができる。
【0037】
次に、本願発明の管理機1では、車輪駆動伝達軸ケース9側を回動させる構成にしてもよい。図6は車輪駆動伝達軸ケースの回動を示すミッションケース近傍の断面側面図、図7は回動させた車輪駆動伝達軸ケースの固定方法を示すミッションケース近傍の断面側面図、図8は車輪駆動伝達軸ケースを回動させて収納姿勢とした管理機の全体側面図である。
【0038】
ミッションケース2内には、図6に示すように、中間伝達軸17の下方(後方)であって、中間伝達軸17とは直交方向、かつ車輪駆動伝達軸ケース9に向けて中間伝動軸30が設置されており、この中間伝動軸30は、中間伝達軸17にベベルギヤ28,29を介して減速連動されている。
【0039】
また、車輪駆動伝達軸ケース9は、基端部から延出方向に沿って車輪駆動伝達軸31を内設するとともに、上述のロータリー駆動伝達軸ケース8同様に、先端部に形成した円形の膨出部内にウオーム減速機構などの減速機構32が内設されている。この減速機構32は、車輪駆動伝達軸31の先端部に連結されたウオームギヤ33と、これに咬合された、内部にデフ機構34を備えるウオームホイール35とから構成される。そして、図示しない差動ベベルギヤにスプライン連結して横架した左右一対の車軸14が、膨出部に軸受け支持され、これら車軸14にそれぞれ車輪4が装着されている。
【0040】
そして、ミッションケース2内に有する中間伝動軸30の先端部は、車輪駆動伝達軸ケース9内に有する車輪駆動伝達軸31に、軸継手25´を介して同心状に接続されている。この軸継手25´は、上述同様に周知のフランジ型軸継手を用いてもよく、上部フランジ25a´がミッションケース1内および下部フランジ25b´が車輪駆動伝達軸ケース9内に配備され、ボルトなどの固定具25cの着脱により中間伝動軸30と車輪駆動伝達軸31とを接断させることができる。
【0041】
また、車輪駆動伝達軸ケース9の上端前部と、ミッションケース2の周面後部の下部との重複部分には、車輪駆動伝達軸ケース9の回動支点軸36が貫設されるとともに、車輪駆動伝達軸ケース9の上端後部位置と、ミッションケース2の周面後部の上部位置にはボルト孔などが形成されており、このボルト孔を介してボルトなどの固定具37により車輪駆動伝達軸ケース9がミッションケース2に固定されている。
【0042】
そして、上述同様に、収納時など必要に応じて車輪駆動伝達軸ケース9を回動させる場合には、固定具37を取外し、例えば図示しない車輪駆動伝達軸ケース9のカバーなどを取外して、軸継手25´の固定具25c´を取外した後、軸継手25´を介して中間伝動軸30と車輪駆動伝達軸31とを離間(接続を遮断)する。
【0043】
そして、回動支点軸36を中心として先端部の車輪4側を機体前方(ロータリー耕耘装置3側)に回動させることにより、車輪4を含む車輪駆動伝達軸ケース9を、通常の配置位置bから回動支点軸36を中心に角度θ´もしくは車輪4の最後端部分から長さL´だけ機体前方に移動させるとともに、中間伝動軸30から車輪駆動伝達軸31への駆動伝達を遮断することができる。
【0044】
なお、上述したように、左右車輪4間の幅は、耕耘爪11の植設幅よりも広いため、ロータリー駆動伝達軸ケース8は、配置位置aから側面視で車輪4の内側の一部に耕耘爪11の一部が重複する位置(耕耘軸12が車軸14に接触せず、かつロータリー駆動伝達軸ケース8が車輪駆動伝達軸ケース9に接触しない位置、例えば、地面に対して略垂直位置程度)までの間で上記角度θ´もしくは長さL´は、任意の範囲内で設定し、回動させることができる。
【0045】
また、車輪駆動伝達軸ケース9を回動させた際には、図7に示すように、例えば、回動支点軸36近傍であって、車輪駆動伝達軸ケース9とミッションケース2との間に設けたヒンジ38により、車輪駆動伝達軸ケース9を所定の回動角度で固定させることができるが、これに加えもしくは代えて、ロータリー駆動伝達軸ケース8の中途部側面などに端部を枢支させた固定ステー39の他端を、車輪駆動伝達軸ケース9の中途部側面の係止部に係止させて車輪駆動伝達軸ケース9を固定させることができる。なお、車輪駆動伝達軸ケース9の固定は上述の方法に限定しない。
【0046】
また、上述同様に、車輪駆動伝達軸ケース9を回動させた場合には、軸継手25´を介して中間伝動軸30と、車輪駆動伝達軸31とが露出するため、ミッションケース2および車輪駆動伝達軸ケース9の各接続面に、図示しない保護カバーなどを取付けてもよい。
【0047】
なお、車輪駆動伝達軸ケース9を通常の配置位置bに戻す場合には、ヒンジ38および/もしくは固定ステー39での車輪駆動伝達軸ケース9の固定を解除し、車輪駆動伝達軸ケース9を回動させ、中間伝動軸30と、車輪駆動伝達軸31とを同心状に接続させて軸継手25´の固定具25c´で締結するとともに、車輪駆動伝達軸ケース9とミッションケース2とを固定具37で締結させることで、中間伝動軸30の駆動を、車輪駆動伝達軸31を介して車軸14に伝達する。
【0048】
以上のような構成にすることで、機体の収納時など必要に応じて、図8に示すように、ミッションケース2下方で機体前後方向に長さを有して配置された車輪駆動伝達軸ケース9を取外すことなく、ミッションケース2に対し車輪駆動伝達軸ケース9を機体内側方向に回動させることで、容易に機体を小さく畳むことができる。
【0049】
また、ミッションケース2と、車輪駆動伝達軸ケース9とを締結する固定具37および軸継手25´の固定具25c´を着脱し、車輪駆動伝達軸ケース9を回動させるだけで、ミッションケース2内の中間伝動軸30と、車輪駆動伝達軸ケース9内の車輪駆動伝達軸31とを容易に接断することができる。
【0050】
特に、機体収納時においては、車輪駆動伝達軸ケース9を回動させて、車輪駆動伝達軸31を中間伝動軸30から離間した際には、車輪駆動伝達軸31への駆動伝達を遮断できるため車輪4が自由に回転する状態となり、作業者が機体を手押しで楽に移動させることができるほか、誤操作などにより電動モータ7が作動し、中間伝動軸30が駆動回転したとしても、機体が勝手に駆動走行することなく、安全性を保つことができる。
【0051】
また、車輪駆動伝達軸ケース9を、その回動位置でヒンジ38および/もしくは固定ステー39により定着しているミッションケース2および/もしくはロータリー駆動伝達軸ケース8に安定的に支持させて固定することができる。
【0052】
さらには、車輪駆動伝達軸ケース9を、側面視で車輪4の内側の一部に耕耘爪11の一部が重複する位置まで回動させ固定した場合には、左右車輪4により側面側から耕耘軸12や耕耘爪11の一部を覆うことができるため、機体側方に障害物などがある場合に、耕耘軸12や耕耘爪11の一部を車輪4で保護することができる。
【0053】
なお、上述した機体の収納方法では、ロータリー駆動伝達軸ケース8または車輪駆動伝達軸ケース9のいずれかを回動させる例で説明したが、ロータリー駆動伝達軸ケース8および車輪駆動伝達軸ケース9の両ケース8,9を機体内方(互いの方向)に向けて回動させてもよい。
【0054】
また、本願発明の管理機1では、収納時など必要に応じて、さらにコンパクトな姿勢にすることができる。図9は操縦ハンドルを回動させて収納姿勢とした管理機の全体側面図である。この場合、この図9に示すように、管理機1は、操縦ハンドル10の中途部に、この操縦ハンドル10の後部を回動支点41を中心として機体前方に回動させて固定可能とするヒンジ42が設けられる。
【0055】
従って、機体を収納などさせる場合には、まず機体下部は、例えば車輪駆動伝達軸ケース9をロータリー駆動伝達軸ケース8側に回動(ロータリー駆動伝達軸ケース8を車輪駆動伝達軸ケース9側もしくは両ケース8,9を機体内方でもよい)させるとともに、操縦ハンドル10の後部をヒンジ42の回動支点41を介して機体前方に向けて回動し固定する。このような構成により、管理機1をよりコンパクトな姿勢にすることができる。
【0056】
なお、上述してきた構成は、機体前部にロータリー耕耘装置3を備えるフロントロータリー式の管理機1で説明したが、図示しない機体前部に車輪4および機体後部にロータリー耕耘装置3を備えるリヤロータリー式の管理機にも適用することができる。
【0057】
また、上述してきた構成は、バッテリー6から電力を得る電動モータ7を原動機として用いた管理機1で説明したが、図10に示すように原動機としてエンジンEを用い、図示しない中間伝達軸および中間伝動軸を内設するミッションケース内2´と、ロータリー駆動伝達軸を内設するロータリー駆動伝達軸ケース8´および車輪駆動伝達軸を内設する車輪駆動伝達軸ケース9を備える管理機1´にも同様に適当することができる。
【0058】
以上詳述したように、この例の管理機1は、機体に配設したミッションケース2と、このミッションケース2周面の一端に設け、ロータリー耕耘装置3の耕耘軸12を回転させるロータリー駆動伝達軸21を内設したロータリー駆動伝達軸ケース8と、ミッションケース2周面の他端に設け、車輪4の車軸14を回転させる車輪駆動伝達軸31を内設した車輪駆動伝達軸ケース9とを備え、ロータリー駆動伝達軸ケース8および/または車輪駆動伝達軸ケース9を、回動支点26,36を中心として車輪駆動伝達軸ケース9側またはロータリー駆動伝達軸ケース8側に回動可能に備えるものである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
なお、この発明は、ミッションケースにロータリー駆動伝達軸および車輪駆動伝達軸ケースを取付けたあらゆる管理機に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 管理機
2 ミッションケース
3 ロータリー耕耘装置
4 車輪
6 バッテリー
7 電動モーター
8 ロータリー駆動伝達軸ケース
9 車輪駆動伝達軸ケース
21 ロータリー駆動伝達軸
25,25´ 軸継手
26,36 回動支点
27,37 固定具
31 車輪駆動伝達軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に配設したミッションケースと、
該ミッションケース周面の一端に設け、ロータリー耕耘装置の耕耘軸を回転させるロータリー駆動伝達軸を内設したロータリー駆動伝達軸ケースと、
前記ミッションケース周面の他端に設け、車輪の車軸を回転させる車輪駆動伝達軸を内設した車輪駆動伝達軸ケースと、
を備える管理機において、
前記ロータリー駆動伝達軸ケースおよび/または前記車輪駆動伝達軸ケースを、回動支点を中心として前記車輪駆動伝達軸ケース側または前記ロータリー駆動伝達軸ケース側に回動可能に備えることを特徴とする管理機。
【請求項2】
前記ロータリー駆動伝達軸は、前記ミッションケースと、前記ロータリー駆動伝達軸ケースとの間に設けた軸継手により接断可能に備えることを特徴とする、請求項1に記載の管理機。
【請求項3】
前記ロータリー駆動伝達軸ケースは、回動時に、前記ミッションケースまたは/および前記車輪駆動伝達軸ケースに固定可能としたことを特徴とする、請求項1および2に記載の管理機。
【請求項4】
前記車輪駆動伝達軸は、前記ミッションケースと、前記車輪駆動伝達軸ケースとの間に設けた軸継手により接断可能に備えることを特徴とする、請求項1に記載の管理機。
【請求項5】
前記車輪駆動伝達軸ケースは、回動時に、前記ミッションケースまたは/および前記ロータリー駆動伝達軸ケースに固定可能としたことを特徴とする、請求項1および2に記載の管理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−152195(P2012−152195A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16674(P2011−16674)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】