説明

給湯機

【課題】給湯湯温特性に優れ、かつ、簡易的なお湯張り機能を備えたコンパクト、低イニシャルコストの給湯機を実現する。
【解決手段】熱交換器3の下流側に閉止機能を有する水量制御弁5、湯温検出器6、熱交換器3の上流側と下流側を結ぶ水バイパス制御弁8、熱交換器3の上流側に水量センサ2、水温検出器1とその上流側に過圧逃がし弁7を設け、リモコン31と、制御手段32から構成され、給湯温度特性を満足すると共に簡単な構成で内圧上昇を逃がし、また、お湯張り終了時には消火水量以下で一定時間待機後閉弁する構成により、耐久性を向上させ、お湯張りを簡易的に自動で行える閉止機能を有する給湯機を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯張り機能を有する給湯機の制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の給湯機は、熱交換器の上流側に水電磁弁を有し、設定水量になると水電磁弁を閉じる構成としている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8に示すように、水量制御機能を有する閉止機能付きの断続弁112が熱交換器103の上流側に設けて構成され、設定されたお湯張り湯量に達すると断続弁112が閉じて給湯を停止し、その後、浴槽の給湯栓を閉じてお湯張りスイッチをOFFにするという、停止状態の解除動作を行うことにより通常の給湯使用状態に戻るように構成している。
【特許文献1】特開平8−121861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の閉止機能付き給湯装置では、熱交換器の上流側に水量制御弁を兼ねる断続弁を有しているため、給湯の断続使用時の給湯温度制御をより精度よく行うためには水と湯を混合させる必要があるため、構成的に不具合があった。また、熱交換器の下流側に水量制御弁を兼ねる断続弁を配置した場合、閉止後の内圧上昇を抑えるため構成が複雑になるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、熱交換器と、前記熱交換器を加熱する加熱手段と、前記熱交換器の給湯回路の出口に連結された閉止機能を付加した水量制御弁と、前記熱交換器の上流側と下流側を連通するバイパス回路に配設した水バイパス制御弁と、湯量を計測する水量計測手段と、給水温度を検出する水温検出手段と、前記水量制御弁の下流側に設けた湯温検出手段と、前記水量制御弁の開閉を行う開閉手段と、お湯張り動作を指示するお湯張りスイッチと、給湯湯温の設定を行う湯温設定スイッチと、お湯張り湯量を設定する湯量設定スイッチと、前記水温検出手段の上流側に配設した過圧逃がし弁を備え、湯張り終了後の水量制御弁の閉動作に伴う内圧上昇を前記過圧逃がし弁により抑えるようにしたものであり、給湯温度特性を満足するとともに、簡単な構成で内圧上昇を抑制でき、お湯張りを簡易的に自動で行える閉止機能を有する給湯機を実現できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の給湯装置は、熱交換器の給湯回路の出口側に連結された閉止機能を有する水量制御弁がお湯張りを終了して閉じた場合に生じる内圧上昇を水温検出手段の上流側に設けた過圧逃し弁によって逃がすことが可能な給湯機を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
第1の発明は、熱交換器と、前記熱交換器を加熱する加熱手段と、前記熱交換器の給湯回路の出口に連結された閉止機能を付加した水量制御弁と、前記熱交換器の上流側と下流側を連通するバイパス回路に配設した水バイパス制御弁と、湯量を計測する水量計測手段と、給水温度を検出する水温検出手段と、前記水量制御弁の下流側に設けた湯温検出手段と、前記水量制御弁の開閉を行う開閉手段と、お湯張り動作を指示するお湯張りスイッチと、給湯湯温の設定を行う湯温設定スイッチと、お湯張り湯量を設定する湯量設定スイッチと、前記水温検出手段の上流側に配設した過圧逃がし弁を備え、湯張り終了後の水量制御弁の閉動作に伴う内圧上昇を前記過圧逃がし弁により抑える構成としてある。
【0008】
これによって、熱交換器の給湯回路の出口側に連結された閉止機能を有する水量制御弁がお湯張りを終了して閉じた場合に生じる内圧上昇を水温検出手段の上流側に設けた過圧逃し弁によって逃がすことが可能な給湯機を実現できる。
【0009】
第2の発明は、過圧逃がし弁を取り外し可能な分離型とし、内圧を逃がす設定圧を簡単に設定できる。
【0010】
第3の発明は、お湯張り完了を知らせる報知手段および表示手段を有する給湯機を実現できるものである。
【0011】
第4の発明は、お湯張り湯量の設定をお湯はり動作を制御するお湯はりスイッチを「入」にし、湯量設定スイッチを「入」にすると給湯湯温の設定を行う上昇スイッチおよび下降スイッチがお湯張り湯量の設定スイッチに切り替わり、操作スイッチの数を減少させることにより、操作性に優れた給湯機を実現できるものである。
【0012】
第5の発明は、湯張り完了後に水量制御弁を閉じたとき、残火等の異常が発生しても問題のない高耐熱、高耐圧の材料を用いたものである。
【0013】
第6の発明は、入水温度検出器の検出する入水温度により異常を検出する値を複数有することにより、条件異常(水温異常など)か機器異常かを判断し、自動復帰する場合と、原因を除去しないと復帰できない場合とを自動的に選択する安全性に優れた給湯機を実現できるものである。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における給湯装置のシステム構成図である。
【0016】
図1において、3は熱交換器、その上流側に水量センサ2、入水温度検出器1が設けられ、その上流側に過圧逃がし弁7が設けられている。熱交換器3の下流側には加熱防止器4、閉止機能を有する水量制御弁5が設けられ、その下流側には湯温検出器6が設けられている。さらに、熱交換器3の上流側と下流側を水バイパス制御弁8を介して連通させている。
【0017】
前記熱交換器3を加熱するバーナ24は、燃料の元弁14から比例弁15、切替弁16を経由してガス等の燃料が供給され、同時にファン17により燃焼空気が供給されて燃焼が行われる。この加熱手段であるバーナ24で燃焼熱を発生し、熱交換器3で水を加熱して熱交換する。熱交換された水は熱交換器3の下流側に流れ、必要に応じて水バイパス制御弁8から水が供給され、湯温検出器6の信号を受け、比例制御弁15が加熱量を自動調整し、また、加熱量の最大値を超えた場合は水量制御弁5で水量を絞って、リモコン31で設定された給湯温度を維持する制御を制御手段32で行う。
【0018】
給湯の断続使用時には、熱交換器3の出口温度を温度検出器11で検出し、水バイパス制御弁8の開度制御または、開時間の調整、または水量制御弁5の開度を給湯停止時に位置をずらし、また、徐々に開いていくなどの方法があるが、本実施の形態では説明を省略する。
【0019】
お湯張り時の操作は、図2に示すリモコン31のお湯張りスイッチ31dを押し、湯温設定スイッチ31b、31cにより湯温を設定し、次に、お湯張り湯量設定スイッチ31e、および31fで湯量を設定し、浴槽12の給湯栓10aを開けることにより、お湯張りが始まる。設定された湯量の供給が終了すると、自動的に閉止機能付の水量制御弁5が閉まり、給湯を停止する。
【0020】
お湯張り動作の解除は、浴槽の給湯栓10を閉め、リモコン31のお湯張りスイッチ31dを押して「切」にする。給湯栓10aを閉めずにお湯張りスイッチ31dを「切」にすると、水量制御弁5の閉止弁が開き始めて水量センサ2の信号があるかないかを判断し、ある場合は給湯栓10aが閉じられていないと判断し、再び、水量制御弁5の閉止弁が閉じ、給湯を停止する。水量センサ2の信号がない場合は給湯栓10aが閉じられたと判断し、お湯張り動作を終了する。
【0021】
以上のように構成した給湯機において、給湯機の給水側に接続される給水配管13には通常給水元栓9が取付けられる。この給水元栓9には逆止機能が付加されたものがある。お湯張りが終了し、水量制御弁5の閉止弁が閉じられると余熱により機器内部の圧力が上昇する。
【0022】
機器の安全値を超えないよう、また、逆止機能を持たない給水配管への影響を与えないよう、図4に示す過圧逃がし弁7により、一定値以上の内圧になる弁ゴム7aがスプリング7bの荷重を上回り開き、圧力を外部に逃がす構成としている。
【0023】
また、過圧逃がし弁7の下流側に水温検出器1を備え、万が一残火等の不具合が生じた場合は過熱防止装置4が作動し、燃料の元弁20を停止させる構成となっているが、水温検出器1を経由して過圧逃がし弁7より圧力を外部に逃がす構成とし、通常考えられる以外の温度を検知した場合は即時に信号を送信し、燃料の元弁20を停止し、安全を確保する。
【0024】
以上のように構成した給湯機において湯温特性が優れ、かつ、簡単な構成の過圧逃がし弁と水温検出器の位置関係でお湯はりができ、機器の耐久性に効果もあるコンパクト、低イニシャルコストの給湯機を提供できるものである。
【0025】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における過圧逃がし弁の構成図である。図5において、実施の形態1の構成と異なるところは、過圧逃がし弁7’を分離型とし、逃し弁の作動圧力設定を7’単独で設定できる構成とした点である。
【0026】
以上のように構成した給湯機において、湯温特性が優れ、かつ、簡単な構成と生産性に優れた過圧逃がし弁と水温検出器の位置関係でお湯はりができるコンパクト、低イニシャルコストの給湯機を提供できるものである。
【0027】
(実施の形態3)
図3は、本発明の実施の形態3における給湯機のリモコンの表示説明図である。リモコン31にお湯張り完了の表示を設け終了時点で表示させると共にブザー等で、知らせることができ使い勝手をより向上させる構成とした点である。
【0028】
例えば、表示部31fにお湯張り終了時は「OFF」表示とし、更に点滅させることにより、お湯張りが完了したことを視覚的に知らせることができる。また、ブザーを鳴らすことにより聴覚でも知らせることができる。ブザーは一定時間経過するまで鳴らすことにより給湯栓の締め忘れの注意喚起を行う。
【0029】
以上のように構成した給湯機において、湯温特性が優れ、かつ、簡単な構成の過圧逃がし弁と水温検出器の位置関係でお湯はりができ、使い勝手のよいコンパクト、低イニシャルコストの給湯機を提供できるものである。
【0030】
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4におけるリモコンの構成図である。図6において、実施の形態1における図2のリモコンの構成と異なるところは、湯量設定スイッチ31e、31fがなく、お湯張りスイッチ31dを押した後、湯量設定スイッチ31jを押すと湯温設定スイッチ31b、31dにより湯量の設定ができるようにしたものである。
【0031】
図7の表示部31g詳細図で示すように表示31k、31lの表示を「ON」「OFF」することにより、どちらの設定をしているのか表示させる。通常お湯張り湯量の設定は頻繁に行われないため、誤操作を防止するためおよび操作スイッチの数を減少させて、操作性、視認性を向上できる。また、図6では示していないが、スイッチの数を減少させることにより、表示部31gを大きくすることも可能であり、より視認性を向上させることが可能である。
【0032】
以上のように構成した給湯機において、湯温特性が優れ、かつ、簡単な構成の過圧逃がし弁と水温検出器の位置関係でお湯はりができ、操作性、視認性の優れたリモコンによるコンパクト、低イニシャルコストの給湯機を提供できるものである。
【0033】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5は、水通路の構成部品の材質として、従来はPOM等の材質を使用していたが、万一、残火等の異常が発生すると高温、高圧となり、溶解、破損する場合があって、原因を除去しても水通路を構成する部品の交換も同時に行わないと再使用できないという状況であった。そこで、本実施の形態においては、水通路の構成部品の材質として、金属または高温、高圧に耐える樹脂、例えば、PPSを使用することにより、上記不具合が発生しても原因除去後の再使用が可能となる。
【0034】
(実施の形態6)
図8は、本発明の実施の形態6における給湯機のフローチャート図ある。図10において、実施の形態1と異なる点は、入水温度検出器1の検出する温度により再度燃焼状態に戻る場合と、再度燃焼状態に入らない場合とを判別させる構成とした点である。
【0035】
例えば、ソーラー機器と接続される場合は入水温度が60℃から80℃となる場合が考えられる。給湯機に上記の水が入ってきた場合は湯温を制御できないため燃焼を停止させる構成としている(図8のフローチャート:A)。その後、ソーラー機器からの供給温度が低下し、制御可能になると給湯機の燃焼を開始する構成としている。
【0036】
また、検出する温度が残火などの異常状態の場合は100℃を超える場合がある(図8のフローチャート:B)。この温度を入水温度検出機が検知した場合は、即時に燃焼を停止すると共に、原因を除去しないと運転状態に入らないよう制御手段32で判別する構成とした点である。
【0037】
以上のように構成した給湯機において、入水温度が通常考えられる温度以外になると判定手段により燃焼を停止し、安全性を確保し、湯温特性が優れ、かつ、簡単な構成の過圧逃がし弁と水温検出器の位置関係でお湯はりができるコンパクト、低イニシャルコストの給湯機を提供できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように、本発明にかかる給湯機は、給湯特性に優れた性能と簡易的なお湯張りをでき、かつ、お湯張り時の内圧上昇を逃がすための構成を簡素化でき、給湯機の閉止機能を有する給湯機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態1における給湯機のシステム構成図
【図2】同給湯機におけるリモコンの構成図
【図3】本発明の実施の形態3における給湯機のリモコンの表示部詳細図
【図4】本発明の実施の形態1における給湯機の過圧逃し弁の構成図
【図5】本発明の実施の形態2における給湯機の過圧逃し弁の構成図
【図6】本発明の実施の形態4における給湯機のリモコンの構成図
【図7】同給湯機におけるリモコンの表示部詳細図
【図8】本発明の実施の形態6における給湯機の水量制御弁の構成図
【図9】従来の給湯機のシステム構成図
【符号の説明】
【0040】
1 入水温度検出器
2 水量センサ
3 熱交換器
4 過熱防止装置
5 閉止機能付き水量制御弁
6 湯温検出器
7 過圧逃し弁
8 水バイパス制御弁
24 加熱手段
31 リモコン
32 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器と、前記熱交換器を加熱する加熱手段と、前記熱交換器の給湯回路の出口に連結された閉止機能を付加した水量制御弁と、前記熱交換器の上流側と下流側を連通するバイパス回路に配設した水バイパス制御弁と、湯量を計測する水量計測手段と、給水温度を検出する水温検出手段と、前記水量制御弁の下流側に設けた湯温検出手段と、前記水量制御弁の開閉を行う開閉手段と、お湯張り動作を指示するお湯張りスイッチと、給湯湯温の設定を行う湯温設定スイッチと、お湯張り湯量を設定する湯量設定スイッチと、前記水温検出手段の上流側に配設した過圧逃がし弁を備え、湯張り終了後の水量制御弁の閉動作に伴う内圧上昇を前記過圧逃がし弁により抑えるようにした給湯機。
【請求項2】
過圧逃し弁を分離型とした請求項1記載の給湯機。
【請求項3】
お湯張り終了後、その旨を報知する報知手段および表示手段を有する請求項1記載の給湯機。
【請求項4】
お湯張りスイッチを「入」操作した後、湯量設定スイッチを押すことで、通常給湯/シャワーの湯温設定を行う上昇スイッチまたは下降スイッチを操作することによりお湯張り湯量を設定できる請求項1記載の給湯機。
【請求項5】
水量計測手段および水バイパス制御弁の主通路を耐熱材料を用いた請求項1記載の給湯機。
【請求項6】
水温検出手段の信号により、一時的に加熱手段をを停止させる温度検出値と、解除手段を実施しないとリセットできない温度検出値とを有する制御手段を設けた請求項1記載の給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−64230(P2006−64230A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−245585(P2004−245585)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】