説明

蓄電装置及びそれに用いられる監視制御装置

【課題】エネルギー損失を小さくできる蓄電装置及びそれに用いられる監視制御装置の提供を課題とする。
【解決手段】上記課題は、複数の単電池セル104がSDスイッチ103によって第1単電池セル群101と第2単電池セル群102とに電気的に解列(分離)されたとき、第1単電池セル群101と第2単電池セル群102との間に構成した接続回路502によって、第1単電池セル群101と第2単電池セル群102との間の同電位の位置関係にある単電池セル104を電気的に並列に接続し、この電気的に並列に接続された単電池セル104の一方から他方に放電させることにより、解決することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置及びそれに用いられる監視制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
技術分野に関する背景技術として、例えば特許文献1,2に開示された技術がある。このうち、特許文献1には、組電池を構成する複数の単電池のそれぞれに対してバイパス抵抗を設け、単電池の充電状態を調整する必要がある場合には、対象となる単電池の正負極間に、対応するバイパス抵抗を接続してその単電池を放電させることにより、単電池の充電状態を調整する技術が開示されている。一方、特許文献2には、複数のセルを直列接続してなる3つの電池モジュールを直列接続したり並列接続したりするためのスイッチを設け、各電池モジュールにおけるセルの均等化後、電池モジュールを並列接続して電池モジュールの均等化を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−284253号公報
【特許文献2】特開2006−304394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気的に接続された複数の蓄電器により構成された蓄電装置において、蓄電器の過充放電を避けるためには、各蓄電器の状態を把握し、各蓄電器の蓄電状態を調整できるようにしておくことが好ましい。各蓄電器の蓄電状態を調整するためには、特許文献1に開示された技術のように、各蓄電器に対応して抵抗を設け、蓄電状態の高い蓄電器の蓄電エネルギーを放出して抵抗により消費させることが考えられる。しかし、抵抗による蓄電エネルギーの消費は蓄電装置のエネルギー損失となる。蓄電装置の蓄電エネルギーを有効に利用するためには、抵抗による蓄電エネルギーの消費を小さくすることが好ましい。
【0005】
蓄電装置のエネルギー損失を低減するためには、特許文献2に開示された技術のように、複数の蓄電器の接続を解列して、この解列によって構成された蓄電器群同士を並列に接続し、蓄電器群同士で蓄電エネルギーを授受して蓄電装置の充電状態を調整することが考えられる。しかし、蓄電装置の充電状態を精度よく調整するためには、各蓄電器郡において各蓄電器の充電状態を調整する必要があり、特許文献1に開示された技術のように、各蓄電器に対応して抵抗を設け、充電状態の高い蓄電器の蓄電エネルギーを抵抗によって消費させなければならず、蓄電装置のエネルギー損失の低減効果が小さくなる。蓄電装置のエネルギー損失を効果的に低減するためには、抵抗による蓄電エネルギーの消費を小さくすることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は上記課題を含め複数の課題を挙げている。ここでは、そのうちの一つを発明が解決すべき代表課題として挙げ、その解決手段を説明する。
【0007】
ここに、本発明が解決すべき代表課題は、エネルギー損失を小さくできる蓄電装置及びそれに用いられる監視制御装置の提供にある。
【0008】
尚、この他の課題は、以下に説明する実施形態において、課題の裏返しとなる効果に置き換え、その解決手段と共に説明する。
【0009】
本発明は、上記代表課題を解決するために、例えば電気的に直列に接続した複数の蓄電器がその途中において電気的に解列(分離)されたとき、解列の一方側に構成された蓄電器群と解列の他方側に構成された蓄電器との間の同電位の位置関係にある蓄電器同士を電気的に並列に接続し、この電気的に並列に接続された蓄電器間において蓄電エネルギーを授受させるための接続回路を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、エネルギー損失を小さくできる蓄電装置及びそれに用いられる監視制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(実施形態1)バッテリ装置を含む電機システムの構成を示す回路ブロック図。
【図2】(実施形態1)図1のバッテリ装置のセル電圧平均化処理を説明するための回路ブロック図。
【図3】(実施形態1)図1のバッテリ装置のセル電圧平均化処理を示すフローチャート。
【図4】(実施形態1)図3のセル電圧平均化処理の動作を説明するための説明図。
【図5】(実施形態1)図1の電機システムを搭載したハイブリッド自動車の構成を示すブロック図。
【図6】(実施形態2)バッテリ装置の構成を示す回路ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、発明の実施形態の概略について説明する。
【0013】
以下に説明する実施形態では、本発明を、移動体である電動車両、特に電気自動車の車載電源装置を構成する蓄電装置に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0014】
電気自動車としては、内燃機関であるエンジンと電動機とを車両の駆動源として備えたハイブリッド電気自動車を例に挙げて説明するが、電動機を車両の唯一の駆動源とすると共に、商用電源や電気スタンドでの充電が可能な純正電気自動車、エンジンと電動機とを車両の駆動源として備えると共に、商用電源や電気スタンドでの充電が可能なプラグインハイブリッド電気自動車など、他の電気自動車であっても構わない。また、自動車としては、普通乗用自動車,バスなどの乗合自動車、トラックなどの貨物自動車、ごみ収集車などの特殊自動車などがある。
【0015】
車載電源装置を構成する蓄電装置としては、リチウムイオン電池を蓄電器として備えたリチウムイオンバッテリ装置を例に挙げて説明するが、他の蓄電器、例えばニッケル水素電池或いは鉛電池などを備えたバッテリ装置であっても構わない。
【0016】
以下に説明する実施形態の構成は他の電動車両、例えばハイブリッド電車などの鉄道車両、バッテリ式フォークリフトトラックなどの産業車両、クレーンなどの建設機械を搭載した車両、土木作業に従事する車両などに搭載される蓄電装置にも適用できる。
【0017】
また、以下に説明する実施形態の構成は、移動体の電源装置を構成する蓄電装置のみならず、コンピュータシステムやサーバシステムなどに用いられる無停電電源装置,自家用発電設備に用いられる電源装置,太陽光,風力,地熱などの自然エネルギーを用いた発電設備に用いられる電源装置などを構成する定置型用蓄電装置にも適用できる。
【0018】
バッテリ装置は、その構成要素として、複数の電池セルを電気的に直列に接続した電池群である組電池を備えた電池モジュールと、組電池の状態を監視して組電池の状態を制御するための制御装置と、を備えている。制御装置は、その構成要素として、複数の電池セルのそれぞれの端子電圧を検出する電圧検出手段、及び複数の電池セルの充電状態を調整する容量調整手段(複数の電池セルのそれぞれに対応して設けられた放電(バイパス)抵抗、充電状態の調整が必要なときに放電抵抗を電池セルの両極に電気的に接続するためのスイッチング素子、及びスイッチング素子のオンオフを制御する制御部)を備えたセル制御装置と、セル制御装置との間において通信し、セル制御装置に対してコマンド信号を送信して、複数の電池セルの状態を取得すると共に、複数の電池セルの状態を制御し、かつ上位側の制御装置(例えばハイブリッド自動車の制御を統括するハイブリッド制御装置やインバータ装置の作動を制御するモータ制御装置)に対してバッテリ装置側の情報、例えば組電池の充電状態を示す情報、インバータ装置による組電池の充放電を制御するための許容充放電量を示す情報などを出力するバッテリ制御装置と、を備えている。
【0019】
リチウムイオン電池を採用したバッテリ装置においては、電池セルの過充放電を防止することが大変重要である。このため、バッテリ装置では、電池セルの過充放電を避けるために、各電池セルの端子電圧を検出して各電池セルの充電状態を把握し、充電状態が高い電池セルがあるときには、当該電池セルの充電状態を調整している。当該電池セルの充電状態を調整するためには、当該電池セルに対応して設けた放電抵抗を当該電池セルに電気的に接続して当該電池セルを放電させ、当該電池セルに蓄えられたエネルギーを放電抵抗により消費させている。しかし、放電抵抗によるエネルギーの消費はバッテリ装置のエネルギー損失となる。バッテリ装置のエネルギーを有効に利用するためには、放電抵抗による電池セルのエネルギーの消費を小さくすることが好ましい。
【0020】
そこで、以下に説明する実施形態では、複数の電池セルを電気的に直列に接続して構成した組電池をその電流経路の途中において電気的に解列(分離)し、電気的に独立した少なくとも二つの電池セル群を構成できるようにしていると共に、その二つの電池セル群間の同電位の位置にある電池セル同士を電気的に並列に接続し、この電気的に並列に接続された電池セル間においてエネルギーを授受させるための接続回路を監視制御装置に設けている。
【0021】
このような構成によれば、電気的に並列に接続される電池セルのうち、充電状態(端子電圧)の高い電池セルから充電状態(端子電圧)の低い電池セルに対して、充電状態(端子電圧)の高い電池セルに蓄積されたエネルギーを移行し、電気的に並列に接続される電池セルの充電状態(端子電圧)を均等になるように揃える(平均化する)ことができる。
【0022】
ここで、例えば複数の電池セルの充電状態(端子電圧)がほぼ揃っていた状態から、電池セルの自己放電率のばらつきにより、複数の電池セルのうちの一つの電池セルの充電状態(端子電圧)が他の電池セルの充電状態よりも低くなったとする。但し、他の電池セルの充電状態(端子電圧)がほぼ揃っていたとする(説明の便宜上そうする)。このようなとき、ハイブリッド自動車の停止中(バッテリ装置を電源とするモータジェネレータの停止中)或いはバッテリ装置の停止中(無負荷状態)において、前述の通り、電気的に並列に接続した電池セルを均等化すると、電池セルの自己放電率のばらつきによる複数の電池セルの最大ばらつき(最高充電状態(最高端子電圧)と最低充電状態(最低端子電圧)との差分)を小さく(半減)することができる。
【0023】
以上のような状況において、電池セルの自己放電率のばらつきによる複数の電池セルの充電状態(端子電圧)の最大ばらつきを小さく(半減)しておくと、ハイブリッド自動車の作動中(バッテリ装置を電源とするモータジェネレータの作動中)、バッテリ装置の起動中(無負荷状態)や作動中(負荷状態)において、複数の電池セルの充電状態を放電抵抗によるエネルギー消費によって調整するとき、充電状態調整対象となる電池セル数を減らせると共に、充電状態調整対象となった電池セルの放電抵抗によるエネルギー消費量も減少させることができる。
【0024】
従って、以下に説明する実施形態によれば、組電池(バッテリ装置)のエネルギー損失を減少させることができる。
【0025】
また、以下に説明する実施形態によれば、ハイブリッド自動車の停止中(バッテリ装置を電源とする電動発電機の停止中)或いはバッテリ装置の停止中(無負荷状態)において、前述の通り、電気的に並列に接続した電池セルを均等化するので、ハイブリッド自動車の作動中(バッテリ装置を電源とするモータジェネレータの作動中)、バッテリ装置の起動中(無負荷状態)や作動中(負荷状態)において行われる電池セルの充電状態の調整速度や調整精度を向上させることができる。このように、電池セルの充電状態の調整速度や調整精度を向上させることができれば、大容量のバッテリ装置や稼働率が低いバッテリ装置でも、ハイブリッド自動車の作動中(バッテリ装置を電源とする電動発電機の作動中)、バッテリ装置の起動中(無負荷状態)や作動中(負荷状態)において複数の電池セルの充電状態を目標とする充電状態に十分に調整することができる。また、放電抵抗を流れる電流は放電抵抗の値によって規定されるが、前述の通り、電池セルの充電状態の調整速度や調整精度を向上させることができれば、大容量のバッテリ装置や稼働率が低いバッテリ装置が、その影響を受けて、ハイブリッド自動車の作動中(バッテリ装置を電源とする電動発電機の作動中)、バッテリ装置の起動中(無負荷状態)や作動中(負荷状態)に、複数の電池セルの充電状態を目標とする充電状態に調整できないという事態になることはない。
【0026】
複数の電池セルを電気的に直列に接続して構成した組電池をその電流経路の途中において電気的に解列(分離)するためにはスイッチが必要になる。しかし、そのスイッチには、組電池の動作電流に耐え得る定格電流の大きなスイッチが要求されると共に、接点の特性劣化や作動機構の故障などによって機能が損なわれない信頼性の高いスイッチが要求される。
【0027】
ところで、バッテリ装置には、サービスマンによるメンテナンス時、サービスマンが安全に作業できるように、組電池の電気的な接続をその途中において電気的に解列(分離)するためのサービスディスコネクト(SD)スイッチが設けられている。
【0028】
そこで、以下に説明する実施形態では、そのSDスイッチを利用して組電池を少なくとも二つの電池セル群に電気的に解列(分離)している。これにより、以下に説明する実施例では、新たなスイッチを設ける必要がない。また、SDスイッチは、組電池の接続経路に組み込まれることを前提として、組電池の動作電流に耐え得る定格電流の大きな仕様になっていると共に、接点の特性劣化や作動機構の故障などに対する信頼性も確保されていることから、組電池をその電流経路の途中において電気的に解列(分離)するためのスイッチに要求される上記要求を満足することができる。
【0029】
放電抵抗による電池セルのエネルギー消費は放電抵抗の発熱を伴う。このため、電池セルの充電状態を調整するにあたっては、放電抵抗の発熱による熱影響を考慮しなければならない。特に大容量のバッテリ装置では、放電抵抗による電池セルのエネルギー消費を大きくする必要があることから、放電抵抗の発熱による熱影響が無視できなくなる可能性がある。
【0030】
しかし、以下に説明する実施形態では、前述のように、充電状態調整対象となる電池セル数を減らせると共に、充電状態調整対象となった電池セルの放電抵抗によるエネルギー消費量も減少させることができるので、放電抵抗による電池セルのエネルギー消費に伴う放電抵抗の発熱を低減することができ、放電抵抗の発熱による熱影響を小さくできる。
【0031】
以下、発明の実施形態を、図面を用いて具体的に説明する。
【実施例1】
【0032】
第1実施形態を図1乃至図5に基づいて説明する。
【0033】
まず、図5を用いて、バッテリ装置708を含むハイブリッド自動車701の駆動システムを説明する。
【0034】
図5は、ハイブリッド自動車701の駆動システムの構成を示す。
【0035】
ハイブリッド自動車(以下、「HEV」と記述する)701はパラレルハイブリッド方式の駆動システムを備えている。
【0036】
パラレルハイブリッド方式の駆動システムは、内燃機関であるエンジン706と、回転電機である電動発電機4とを駆動輪702に対してエネルギーの流れ的に並列に配置(構造的には、動力伝達制御機構707を介してエンジン706及び電動発電機4の出力軸を変速機5の入力軸に機械的に並列に接続)し、エンジン706の回転動力による駆動輪702の駆動、電動発電機4の回転動力による駆動輪702の駆動、及びエンジン4と電動発電機4の両方の回転動力による駆動輪7022の駆動ができるように構成されている。すなわちパラレルハイブリッド方式の駆動システムは、エンジン706を動力源とし、主としてHEV701の駆動源として用いられるエンジン駆動システムと、電動発電機4を動力源とし、主としてHEV701の駆動源及びHEV701の電力発生源として用いられる電動駆動システム(電機システム)とを備えている。
【0037】
ハイブリッド方式としては、エンジンの回転動力を用いて発電機を駆動し、この駆動によって発生した電力を用いて電動発電機を駆動し、この駆動によって発生した回転動力を用いて駆動輪を駆動する、いわゆるエンジンから駆動輪までのエネルギーの流れがシリーズであるシリーズハイブリッド方式がある。また、ハイブリッド方式としては、上記パラレルハイブリッド方式と上記シリーズハイブリッド方式とを組み合わせたシリーズ・パラレルハイブリッド方式(エンジンの回転動力の一部を発電用の電動発電機に分配して発電させ、これにより得られた電力により駆動用の電動発電機を駆動できるように、遊星歯車機構などの動力伝達機構を用いてエンジンと2つの電動発電機とを機械的に接続した方式)がある。本実施形態では、パラレルハイブリッド方式の駆動システムを例に挙げて説明するが、以下において説明する本実施形態のバッテリ装置708は、前述した他のハイブリッド方式の駆動システムのバッテリ装置に適用しても構わない。
【0038】
車体のフロント部或いはリア部には車軸703が回転可能に軸支されている。車軸703の両端には一対の駆動輪702が設けられている。図示省略したが、車体のリア部或いはフロント部には、両端に一対の従動輪が設けられた車軸が回転可能に軸支されている。HEV701では、駆動輪702を後輪とし、従動輪を前輪とした後輪駆動方式を採用している。駆動方式としては前輪駆動方式や4輪駆動方式(前後輪の一方をエンジン駆動システムにより駆動し、他方を電動駆動システムにより駆動する方式)を採用しても構わない。
【0039】
車軸703の中央部にはデファレンシャルギア(以下、「DEF」と記述する)704が設けられている。車軸703はDEF704の出力側に機械的に接続されている。DEF704の入力側には変速機705の出力軸が機械的に接続されている。DEF704は、変速機705によって変速されて伝達された回転駆動力を左右の車軸703に分配する差動式動力分配機構である。変速機705の入力側には動力伝達制御機構707を介してエンジン706及び電動発電機4の出力側が機械的に接続されている。動力伝達制御機構707は、エンジン706,電動発電機4及び変速機705の三者間における動力の伝達の切り替えが可能な動力切替機構であり、エンジン706から変速機705への動力の伝達、電動発電機4から変速機705への動力の伝達、エンジン706及び電動発電機4の両方から変速機705への動力の伝達、変速機705から電動発電機4への動力の伝達、及びエンジン706及び電動発電機4の一方から他方への動力の伝達を切り替えることができるように、クラッチ機構や歯車機構などによって構成されている。
【0040】
電動発電機4は、電機子巻線を備えた電機子(本実施形態では固定子)と、電機子に空隙を介して対向配置され、永久磁石を備えた界磁(本実施形態では回転子)を有する回転電機であり、力行時にはモータとして、発電時(回生時)にはジェネレータとして、それぞれ機能する。本実施形態では、電動発電機4として、三相交流同期機(永久磁石界磁型)を用いた場合を例に挙げて説明するが、他の三相交流同期機(巻線界磁型)や三相交流誘導機(界磁鉄心に短絡された導体バーが装着された界磁を用いたもの)を用いても構わない。
【0041】
電動発電機4が電動機として機能する場合、すなわちHEV701の力行時やエンジン706を始動する時など、回転動力が必要な運転モードにある場合には、バッテリ装置708に蓄積された電気エネルギーがインバータ装置3を介して電機子巻線に供給される。これにより、電動発電機4は電機子と界磁との間の磁気的作用により回転動力(機械エネルギー)を発生し、その回転動力を出力する。電動発電機4から出力された回転動力は、HEV703の力行時には、動力伝達制御機構707,変速機705及びDEF704を介して車軸703に伝達され、駆動輪702を駆動する。また、電動発電機4から出力された回転動力は、エンジン706の始動時には、動力伝達制御機構707を介してエンジン706に伝達され、エンジン706を駆動する。
【0042】
電動発電機4が発電機として機能する場合、すなわちHEV701の減速時や制動時などの回生時及びHEV701の走行中にバッテリ装置708の充電が必要な時など、発電が必要な運転モードにある場合には、駆動輪702から車軸703,DEF704,変速機705及び動力伝達制御機構707を介して伝達された機械エネルギー(回転動力)或いはエンジン706から動力伝達制御機構707を介して伝達された機械エネルギー(回転動力)が電動発電機4に伝達され、電動発電機4が駆動される。このように、電動発電機4が駆動されると、電機子巻線には電機子と界磁との間の磁気的作用により電圧が誘起される。これにより、電動発電機4は電力を発生し、その電力を出力する。電動発電機4から出力された電力はインバータ装置3を介してバッテリ装置708に供給される。これにより、バッテリ装置708は充電される。
【0043】
電動発電機4の駆動は、電機子とバッテリ装置708との間の電力がインバータ装置3によって制御されることにより制御される。すなわちインバータ装置3は電動発電機4の制御装置である。インバータ装置3は、スイッチング半導体素子のスイッチング動作によって電力を直流から交流に、交流から直流に変換する電力変換装置であり、パワーモジュール、パワーモジュールに実装されたスイッチング半導体素子を駆動する駆動回路、パワーモジュールの直流側に電気的に並列に接続され、直流電圧を平滑する電解コンデンサ、及びパワーモジュールのスイッチング半導体素子のスイッチング指令を生成し、このスイッチング指令に対応する信号を駆動回路に出力するモータ制御装置を備えている。インバータ装置3のモータ制御装置は、車両全体の制御を司る車両制御装置6から出力されたトルク指令信号を受けて、スイッチング半導体素子に対するスイッチング指令信号(例えばPWM(パルス幅変調)信号)を生成し、駆動回路に出力する。
【0044】
車両制御装置6は、運転者からのトルク要求,車両の速度など、車両の運転状態を示す複数の状態パラメータに基づいて、インバータ装置3のモータ制御装置に対するモータトルク指令信号及びエンジン706の制御装置に対するエンジントルク指令信号をそれぞれ生成し、それぞれトルク指令信号を、対応する制御装置に出力する。エンジン706の制御装置は、車両制御装置6の出力信号から取得したエンジントルク指令信号に基づいて、エンジン706のコンポーネントである空気絞り弁,燃料噴射弁,吸排気弁などの駆動を制御するための駆動指令信号を生成し、各駆動指令信号を各コンポーネントの駆動回路に出力する。
【0045】
バッテリ装置708は、電動発電機4の駆動用電源を構成しており、インバータ装置3を介して電動発電機4に電気的に接続されている。バッテリ装置708には、電気的に直列に接続された複数のリチウムイオン電池を電気エネルギーの貯蔵庫とするリチウムイオンバッテリ装置を用いており、図1に示すように構成されている。
【0046】
尚、プラグインハイブリッド自動車及び純粋な電気自動車では、バッテリ装置に対して充電器が電気的に接続される。これにより、プラグインハイブリッド自動車及び純粋な電気自動車では、外部からバッテリ装置を充電することができる。
【0047】
バッテリ装置708には、電動発電機4の他に、車載補機(例えばパワーステアリング装置,エアーブレーキ)に動力を供給する電動アクチュエータ、バッテリ装置708よりも定格電圧が低く、車内電装品(例えばライト,オーディオ,車載電子制御装置)に駆動電力を供給する電装用電源である低圧バッテリなどがDC/DCコンバータを介して電気的に接続されている。DC/DCコンバータは、直流電力を、所定の電圧に昇降圧された直流電力に変換するための電力変換装置或いは昇降圧装置であり、バッテリ装置708の出力電圧を降圧して電動アクチュエータや低圧バッテリなどに供給したり、低圧バッテリの出力電圧を昇圧してバッテリ装置708などに供給したりする。低圧バッテリは、ライトやオーディオなどの車載補機及び電子制御装置などの動作電源である、公称出力電圧12ボルトの鉛電池である。低圧バッテリとしては、同じ定格電圧を有するリチウムイオンバッテリ或いはニッケル水素バッテリを用いてもよい。
【0048】
次に、図1を用いて、バッテリ装置708の構成を説明する。
【0049】
図1は、バッテリ装置708を含む電機システムの構成を示す。
【0050】
図1に示すように、バッテリ装置708は、複数の単電池セル104(C1,C2,・・・,Cn)を電気的に直列に接続して構成した第1単電池セル群(第1組電池要素或いは第1電池ブロック)101と、複数の単電池セル104(Cn+1,Cn+2,・・・,Cn+n)を電気的に直列に接続して構成した第2単電池セル群(第2組電池要素或いは第2電池ブロック)102とを、サービスディスコネクトスイッチ(以下、「SDスイッチ」と記述する)103を介して電気的に直列に接続して構成した組電池1(電池モジュール)と、組電池1の状態を監視制御する監視制御ユニット5と、を主要な構成要素として備えた電池システムである。また、バッテリ装置708は、後述する計測機器類や冷却装置(例えば冷却媒体として空気を組電池1に送風する冷却ファン)、さらにはリレーなども構成要素としている。
【0051】
各単電池セル104には、公称出力電圧が3.0〜4.2ボルト(平均公称出力電圧が3.6ボルト)のリチウムイオン電池を用いている。リチウムイオン電池としては、円筒形,角形,ラミネート形のいずれの形状の電池を用いてもよい。
【0052】
尚、本実施形態では、説明の便宜上、一つの単電池セル群あたりの単電池セル104の個数を5個として説明するが、実際のバッテリ装置では、要求される公称出力電圧にもよるが、その数よりも多い単電池セル104が電気的に直列に接続されて単電池セル群が構成されている。また、実際のバッテリ装置では、一つの単電池セル群を構成する複数の単電池セル104を、その状態管理上及び制御上、所定の単位数により区分している。所定の単位数としては、例えば4個,6個,10個,12個・・・というように偶数で、或いは5個,7固,9個,11個・・・というように奇数で、最高電位側から最低電池側に向かって電位の順にしたがって等区分としている。
【0053】
バッテリ装置708を構成する複数の構成要素は一つの電源筐体内に収納されている。電源筐体は、ハイブリッド自動車701の車室内の座席の下或いはトランクルーム若しくは床下などに設置される。電源筐体には、インバータ装置3など、バッテリ装置708と同様の高電圧電気機器を一緒に収納してもよい。このような収納方式によれば、高電圧ケーブルの這い回しが容易になると共に、配線距離の短縮によってインダクタンスを低減し、バッテリ装置708とインバータ装置3との間における電気的なエネルギー損失を低減することができる。
【0054】
組電池1の一方側の端部(正極側の最高電位部)はリレー201を介してインバータ装置3の直流正極側に、組電池1の他方側の端部(負極側の最低電位部)はリレー202を介してインバータ装置3の直流負極側に、それぞれ電気的に接続されている。また、リレー201をバイパス或いは迂回するように、組電池1の一方側の端部(正極側の最高電位部)とインバータ装置3との間には、リレー投入時の突入電流を制限するためのプリチャージ回路(リレー203及び突入電流制限抵抗204の直列接続回路)が電気的に接続されている。
【0055】
リレー201,202は、電動発電機4の回転動力が必要な運転モードにある場合及び電動発電機4の発電が必要な運転モードにある場合に投入され、車両が停止モードにある場合(イグニションキースイッチが開放された場合)、電動駆動システム或いは車両に異常が発生した場合に開放される。リレー201,202の開閉は、車両制御装置6から出力される開閉指令信号によって制御される。また、リレー201,202の開閉は、他の制御装置、例えばインバータ装置3のモータ制御装置或いはバッテリ装置708の監視制御ユニット5から出力される開閉指令信号によって制御しても構わない。このように、本実施形態では、バッテリ装置708とインバータ装置300との間にリレー201,202を設けて、それらの間の電気的な接続を制御するようにしているので、高電圧である電動駆動装置に対する高い安全性を確保できる。
【0056】
また、リレー201,202を投入する場合には、まず、リレー202を投入してからリレー203を投入する。これにより、プリチャージ回路を介して組電池1とインバータ装置3とが電気的に接続され、インバータ装置3に設けられた平滑コンデンサが充電される。この後、リレー201を投入し、リレー203を開放する。このようなリレー投入シーケンスによれば、初めに、突入電流制限抵抗204を介して比較的に小さい電流を組電池1からインバータ装置3に流して平滑コンデンサを充電させることができるので、組電池1からインバータ装置3への大きな電流の流れ込みを防止することができる。また、リレー201の投入時における接点の溶着を防止することができる。
【0057】
SDスイッチ103は、サービスマンによるバッテリ装置708のメンテナンス時、サービスマンが安全に作業できるように、組電池1の電気的な接続をその途中において電気的に解列(分離)するために設けられている。本実施形態では、組電池1の中間電位部である、第1単電池セル群101の負極側の最低電位部と第2単電池セル群102の正極側の最高電位部との間にSDスイッチ103を設けている。SDスイッチ103は手動によって開閉ができると共に、指令信号などによってその開閉を制御することができるように構成されている。SDスイッチ103が開放すると、第1単電池セル群101と第2単電池セル群102との間の電気的な接続が解消され、第1単電池セル群101及び第2単電池セル群102はお互いに電気的に独立する。
【0058】
組電池1の正極側とインバータ装置3の直流正極側との間の充放電路には、組電池1からインバータ装置3に供給される放電電流、或いはインバータ装置3から組電池1に供給される充電電流を検出するための電流計測手段(電流センサ又は電流計測回路)が電気的に直列に接続されている(図示省略)。また、組電池1の両極間(正極側と負極側との間)には、組電池1の両極間の総電圧を検出するための電圧計測手段(電圧センサ又は電圧計測回路)が電気的に並列に接続されている(図示省略)。さらに、組電池1には、組電池1や単電池セル104の温度を検出するための複数の温度計測手段(サーミスタ或いは熱電対などのセンサ又は温度計測回路)が設けられている(図示省略)。電流計測手段、電圧計測手段及び温度計測手段は、組電池1や単電池セル104の検出可能な物理的状態量に対応する信号を監視制御ユニット5に出力している。これにより、監視制御ユニット5では、電流計測手段,電圧計測手段及び温度計測手段から出力された信号に基づいて、組電池1や単電池セル104の検出可能な物理的状態量を検出することができる。
【0059】
監視制御ユニット5は、配線パターンを有する回路基板に複数の電子回路部品が実装されて構成された電子回路装置であり、監視制御装置501と、接続回路502(図1の一点鎖線で囲われた部分)と、を備えている。
【0060】
本実施形態では、図1に示すように、監視制御装置501を一つのブロックによって一つの装置として示しているが、実際のバッテリ装置では、監視制御装置501は、複数の電子回路部品によってバッテリ制御装置及びセル制御装置から構成されている。
【0061】
バッテリ制御装置は、監視制御装置501内において、上位(親或いは頭)に相当するメインの制御装置であり、マイクロコンピュータなどの半導体装置によって構成された演算処理装置であり、次に示す代表的な機能を備えている。
・組電池1の充電状態(SOC)の推定演算
・組電池1の劣化状態(SOH)の推定演算
・複数の単電池セル104の充電状態(端子電圧)を均等化するための充電状態調整演算
・組電池1の充放電量を制御するための許容充放電量の演算
・組電池1の総電圧の検出
・組電池1の充放電電流の検出
・組電池1や単電池セル104の温度検出
・リーク検出
【0062】
また、バッテリ制御装置は、バッテリ制御装置,車両制御装置6及びインバータ装置3のモータ制御装置などのハイブリッド自動車内の複数の制御装置間を電気的に接続する通信ネットワークに電気的に接続されており、車両制御装置6及びインバータ装置3のモータ制御装置との間において、お互いの情報を通信している。
【0063】
セル制御装置は、監視制御装置501内において、下位(子或いは手足)に相当するサブの制御装置であり、前述した複数の単電池セル104の状態管理制御区分数に対応して設けられた複数の集積回路によって構成されおり、次に示す代表的な機能を備えている。
・各単電池セル104の端子電圧の検出
・各単電池セル104の充電状態の調整
・各単電池セル104の過充放電の異常検出
【0064】
尚、本実施形態では、説明の便宜上、状態管理制御区分数を5個とするので、セル制御装置を構成する集積回路は第1単電池セル群101及び第2単電池セル群102のそれぞれに対して1個ずつ設けられることになる。すなわち本実施形態の場合、セル制御装置は2個の集積回路によって構成されることになる。実際のバッテリ装置では、単電池セル104の数にもよるが、その数よりも多い集積回路によってセル制御装置が構成されている。
【0065】
複数の集積回路の信号回路は信号線によって電気的に直列に接続されている。このため、セル制御装置には、第1の集積回路に伝達された信号が、第1の集積回路に電気的に直列に接続された第2の集積回路に信号線を介して伝達され、この後、第2の集積回路に伝達された信号が、第2の集積回路に電気的に直列に接続された第3の集積回路に信号線を介して伝達され、というように、複数の集積回路の接続順にしたがって信号を複数の集積回路に直列に伝送する第1信号伝送回路が形成されている。第1信号伝送回路は、電気的に直列に接続された複数の集積回路の一方側端部の集積回路から他方側端部の集積回路に向かって信号を一方向に伝送するように、或いは電気的に直列に接続された複数の集積回路の一方側端部の集積回路から他方側端部の集積回路に向かって信号を一方向に伝送すると共に、他方側端部の集積回路において折り返して一方側端部の集積回路に向かって信号を逆方向に伝送するように構成されている。
【0066】
セル制御装置とバッテリ制御装置との間には第2及び第3信号伝送回路が形成されている。第2及び第3信号伝送回路には、セル制御装置側とバッテリ制御装置側とを電気的に絶縁するように、絶縁装置(例えばフォトカプラやトランス,コンデンサなど)が設けられている。第2信号伝送回路は、バッテリ制御装置から出力された信号を、電気的に直列に接続された複数の集積回路の一方側端部の集積回路に伝送するように設けられている。第3信号伝送路は、電気的に直列に接続された複数の集積回路の一方側端部の集積回路或いは他方側端部の集積回路から出力された信号をバッテリ制御装置に伝送するように設けられている。
【0067】
バッテリ制御装置には、前述した電流計測手段,電圧計測手段及び温度計測手段から出力された信号、セル制御装置に第2信号伝送路を介して送信した各単電池セル104の端子電圧検出指令信号に基づいて、セル制御装置から第3信号伝送路を介して送信された各単電池セル104の端子電圧情報に関する信号など、複数の信号が入力されている。バッテリ制御装置では、複数の入力信号から得られた情報、記憶装置に予め記憶された単電池セル104の特性情報及び演算に必要な演算情報など、複数の情報に基づいて、前述した各演算を実行する。そして、バッテリ制御装置では、前述した各演算により得られた結果に基づいて、例えば単電池セル104の充電状態を調整するための指令信号をセル制御装置に第2信号伝送路を介して出力すると共に、組電池1の充放電を制御するための許容充放電量に関する信号を車両制御装置6或いはインバータ装置3のモータ制御装置に通信ネットワークを介して出力する。
【0068】
セル制御装置を構成する複数の集積回路は、それぞれ、対応する単電池セル群が有する複数の単電池セル10410のそれぞれの端子電圧を所定の周期で検出してレジスタに保持すると共に、バッテリ制御装置から電圧検出指令を受信した場合には、レジスタに保持された端子電圧を読み出してバッテリ制御装置に送信する。また、セル制御装置を構成する複数の集積回路は、それぞれ、バッテリ制御装置から単電池セル104の充電状態を調整するための指令信号を受信した場合には、対応する単電池セル群が有する複数の単電池セル104のうち、充電状態調整の対象となる単電池セル104に対応して設けられた放電抵抗を、充電状態調整の対象となる単電池セル104に電気的に接続して、充電状態調整の対象となる単電池セル104を放電させる。集積回路には、放電抵抗と単電池セル104との電気的な接続を制御するためのスイッチング素子が内臓されている。単電池セル104の充電状態の調整は、そのスイッチング素子のオン時間を制御することにより制御することができる。
【0069】
接続回路502は、監視制御装置501(セル制御装置)と組電池1の複数の単電池セル104のそれぞれの正負極間との間を電気的に接続する第1接続回路と、SDスイッチ103によって解列(分離)された第1単電池セル群101と第2単電池セル群102との間を電気的に接続する第2接続回路と、を構成している。
【0070】
第1接続回路は、組電池1の複数の単電池セル104のそれぞれの端子電圧を監視制御装置501(セル制御装置)に取り込んで検出するための電圧検出線路であって、電圧検出線503,504を含む複数の電圧検出線によって構成されている。
【0071】
電圧検出線503(DL1,DLn)は、第1単電池セル群101を構成する複数の単電池セル104のうち、電位的に最も高い単電池セル104(C1)の正極側及び電位的に最も低い単電池セル104(Cn)の負極側と監視制御装置501(セル制御装置の集積回路の電圧検出端子)との間を電気的に接続している。また、電圧検出線503(DLn+1,DLn+n)は、第2単電池セル群102を構成する複数の単電池セル104のうち、電位的に最も高い単電池セル104(Cn+1)の正極側及び電位的に最も低い単電池セル104(Cn+n)の負極側と監視制御装置501(セル制御装置の集積回路の電圧検出端子)との間を電気的に接続する。
【0072】
電圧検出線504(DL2,・・・,DLn−1)は、第1単電池セル群101を構成する複数の単電池セル104のうち、電位的に隣接する各単電池セル104間(単電池セル104(C1)と単電池セル104(C2)との間,単電池セル104(C2)と単電池セル104(C3)との間,単電池セル104(C3)と単電池セル104(C4)との間,・・・,単電池セル104(Cn−1)と単電池セル104(Cn)との間)と監視制御装置501(セル制御装置の集積回路の電圧検出端子)との間を電気的に接続している。また、電圧検出線504(DLn+2,・・・,DLn+n−1)は、第2単電池セル群102を構成する複数の単電池セル104のうち、電位的に隣接する各単電池セル104間(単電池セル104(Cn+1)と単電池セル104(Cn+2)との間,単電池セル104(Cn+2)と単電池セル104(Cn+3)との間,単電池セル104(Cn+3)と単電池セル104(Cn+4)との間,・・・,単電池セル104(Cn+n−1)と単電池セル104(Cn+n)との間)と監視制御装置501(セル制御装置の集積回路の電圧検出端子)との間を電気的に接続している。
【0073】
第2接続回路は、SDスイッチ103によって第1単電池セル群101と第2単電池セル群102との間を解列(分離)したとき、電気的に独立した第1単電池セル群101と第2単電池セル群102との同電位の位置にある単電池セル104同士を電気的に並列に接続して、その一方の充電状態(端子電圧)の高い単電池セル104から、その他方の充電状態(端子電圧)の低い単電池セル104に放電(電気エネルギーを移行)し、両者間の充電状態(端子電圧)が均等化(均一化)するように両者間の充電状態(端子電圧)を揃えるための単電池セル間充電状態(端子電圧)均等化線路であって、電圧検出線503,504と、電気的に並列に接続される単電池セル104の一方の正極側に電気的に接続された電圧検出線と他方の正極側に電気的に接続された電圧検出線とを電気的に接続する電圧検出線接続線505(CL1,CL2,CL3,・・・,CLn)と、によって構成されている。これにより、電気的に独立した第1単電池セル群101と第2単電池セル群102との同電位の位置にある単電池セル104同士の正極同士及び負極同士がそれぞれ電気的に接続される。
【0074】
具体的には、電圧検出線503(DL1)と電圧検出線503(DLn+1)との間を電圧検出線接続線505(CL1)によって、電圧検出線504(DL2)と電圧検出線504(DLn+2)との間を電圧検出線接続線505(CL2)によって、それぞれ電気的に接続して、第1単電池セル群101の単電池セル104(C1)と第2単電池セル群102の単電池セル104(Cn+1)との正極同士及び負極同士をそれぞれ電気的に接続し、電圧検出線504(DL2)と電圧検出線504(DLn+2)との間を電圧検出線接続線505(CL2)によって、電圧検出線504(DL3)と電圧検出線504(DLn+3)との間を電圧検出線接続線505(CL3)によって、それぞれ電気的に接続して、第1単電池セル群101の単電池セル104(C2)と第2単電池セル群102の単電池セル104(Cn+2)との正極同士及び負極同士をそれぞれ電気的に接続し、・・・、電圧検出線504(DLn−1)と電圧検出線504(DLn+n−1)との間を電圧検出線接続線505(CLn−1)によって、電圧検出線503(DLn)と電圧検出線503(DLn+n)との間を電圧検出線接続線505(CLn)によって、それぞれ電気的に接続して、第1単電池セル群101の単電池セル104(Cn)と第2単電池セル群102の単電池セル104(Cn+n)との正極同士及び負極同士をそれぞれ電気的に接続し、というように、電気的に並列に接続される単電池セル104の一方の正極側に電気的に接続された電圧検出線と他方の正極側に電気的に接続された電圧検出線とを電気的に接続している。
【0075】
各電圧検出線接続線505(CL1,CL2,CL3,・・・,CLn)には、インピーダンス506(z1,z2,・・・,Zn)及びスイッチ507(S1,S2,・・・,Sn)が電気的に直列に接続されるように設けられている。インピーダンス506は、電圧検出線接続線505を流れる最大電流値を所定の電流値に制御(制限)するための回路素子であって、例えば抵抗によって構成されている。スイッチ507は、電気的に並列に接続される単電池セル104の一方の正極側に電気的に接続された電圧検出線と他方の正極側に電気的に接続された電圧検出線との電気的な接続を制御(導通,遮断)するためのスイッチング半導体素子である。
【0076】
次に、図2乃至図4を用いて、電気的に独立した第1単電池セル群101と第2単電池セル群102との同電位の位置にある単電池セル104同士の電気的な並列接続による両者間の充電状態(端子電圧)の均等化動作について説明する。
【0077】
図2に示すように、SDスイッチ103及び各スイッチ507は、監視制御装置501(例えばバッテリ制御装置)の信号出力ポートDOから出力されたスイッチング駆動信号(オン・オフ信号)によってスイッチング動作が制御される。監視制御装置5(セル制御装置)には電圧検出線503,504を介して各単電池セル104の端子電圧V1,V2,・・・,Vn,Vn+1,Vn+2,・・・,Vn+nが取り込まれ、それぞれ検出される。
【0078】
尚、図2では、図示簡略化を図るため、電圧検出線503(DL1)と電圧検出線503(DLn+1)との間を電気的に接続する電圧検出線接続線505(CL1)、及び電圧検出線503(DLn)と電圧検出線503(DLn+n)との間を電気的に接続する電圧検出線接続線505(CLn)のみを図示し、その他の接続線は図示省略している。
【0079】
図3の左側に示す停止処理5011のフロー(メインルーチン)では、ハイブリッド自動車701が停止してイグニションキースイッチがオフにされると、まず、ステップ5012において、組電池1とインバータ装置3との間を電気的に接続するリレー201,202を解列(遮断)する。このリレー201,202の制御は、車両制御装置6,インバータ装置3のモータ制御装置,監視制御装置501(バッテリ制御装置)のいずれが行ってもよい。
【0080】
次に、ステップ5013において、各単電池セル104の端子電圧V1,V2,・・・,Vn,Vn+1,Vn+2,・・・,Vn+nが電圧検出線503,504を介して監視制御装置5(セル制御装置)に取り込まれ、それぞれ検出される。この検出された電圧はセル制御装置のレジスタに保持されて周期的に更新され、バッテリ装置からの電圧要求指令があった場合には、セル制御装置からバッテリ制御装置に信号伝送される。
【0081】
次に、ステップ5014において、検出された各単電池セル104の端子電圧V1,V2,・・・,Vn,Vn+1,Vn+2,・・・,Vn+nに基づいて、監視制御装置5(バッテリ制御装置)が、後述する図3の右側に示す平均化処理50151のフロー(サブルーチン)を実行するか否か、すなわちSDスイッチ103によって第1単電池セル群101と第2単電池セル群102とを解列(分離)し、第1単電池セル群101と第2単電池セル群102との間の同電位の位置にある単電池セル104同士において充電状態(端子電圧)の均等化(均一化)を実行するか否かを判定する。その判定方法としては、検出された各単電池セル104の端子電圧のうち、最高電圧と最低電圧との中間電圧を求め、電気的に並列に接続される単電池セル104の各対(組み合わせ)の中に、一方の電圧が中間電圧よりも高く、他の電圧が中間電圧よりも低い対(組み合わせ)が有るか否かを判定する。この判定の結果、その対(組み合わせ)が有ると判定した場合には、ステップ5015に進み、後述する図3の右側に示す平均化処理50151のフロー(サブルーチン)を実行する。その判定の結果、その対(組み合わせ)が無いと判定した場合には、ステップ5016に進み、監視制御装置501がスリープ(停止)するための処理を実行してスリープ(停止)し、ステップ5017において処理を終了する。
【0082】
図3の右側に示す平均化処理50151では、まず、ステップ50152において、監視制御手段501の出力ポートDOからスイッチ駆動信号(オフ信号)をSDスイッチ103に出力し、SDスイッチ103を解列して、第1単電池セル群101と第2単電池セル群102とを解列(分離)する。これにより、第1単電池セル群101及び第2単電池セル群102は電気的に独立する。
【0083】
次に、ステップ50153において、ステップ5014の処理結果に基づいて、電気的に並列に接続させる必要のある単電池セル104の対(組み合わせ)を選択し、この選択された単電池セル104の対(組み合わせ)に対応するスイッチ507を選択する。そして、電気的に並列に接続させる必要のある単電池セル104の対(組み合わせ)の電圧差に基づいて、両者の充電状態(端子電圧)が均等に揃うまでの時間を演算すると共に、この演算結果に基づいて、選択したスイッチ507をオンさせるためのスイッチング駆動信号を生成し、この生成されたスイッチング駆動信号を監視制御手段501の出力ポートDOから当該スイッチ507に出力して当該スイッチ507をオンさせる。これにより、電気的に並列に接続させる必要のある単電池セル104同士がインピーダンス506を介して電気的に並列に接続され、充電状態(端子電圧)の高い単電池セル104から充電状態(端子電圧)の低い単電池セル104に対して放電が開始される。
【0084】
次に、ステップ50154において、当該スイッチ507のオン状態の時間を管理し、ステップ50153において演算された時間に基づいて、当該スイッチ507のオン状態を保持する。この間、電気的に並列に接続させる必要のある単電池セル104同士がインピーダンス506を介して電気的に並列に接続され続け、充電状態(端子電圧)の高い単電池セル104から充電状態(端子電圧)の低い単電池セル104に対して、インピーダンス506を介して放電が流れ続ける。この結果、充電状態(端子電圧)の高い単電池セル104の充電状態(端子電圧)が低下し続けると共に、これとは反対に、充電状態(端子電圧)の低い単電池セル104の充電状態(端子電圧)が上昇し続け、最終的には両者の充電状態(端子電圧)が均等化(平均化)される。
【0085】
次に、ステップ50155において、当該スイッチ507のオン状態が、ステップ50153において演算された時間保持されたら、当該スイッチ507のオフさせるためのスイッチング駆動信号を生成し、この生成されたスイッチング駆動信号を監視制御手段501の出力ポートDOから当該スイッチ507に出力して当該スイッチ507をオフさせる。これにより、電気的に並列に接続された単電池セル104同士は、お互いの充電状態(端子電圧)が均等化(平均化)された状態において、お互いの電気的な並列接続状態が解かれることになる。
【0086】
次に、ステップ50156において、監視制御手段501の出力ポートDOからスイッチ駆動信号(オン信号)をSDスイッチ103に出力し、SDスイッチ103を投入して、第1単電池セル群101と第2単電池セル群102とを電気的に接続する。そして、ステップ50157において、図3の右側に示す平均化処理50151のサブルーチンを終了し、図3の左側に示す停止処理5011のメインルーチンに戻り、ステップ5016に進む。この後の処理は前述の通りである。
【0087】
尚、電気的に並列に接続させる必要のある単電池セル104の対(組み合わせ)が複数存在している場合には、単電池セル104の電位が高い順に、或いは低い順に、若しくは電気的に並列に接続させる必要のある単電池セル104の対(組み合わせ)の電圧差の大きい順など、予め設定した順番にしたがって、電気的に並列に接続させる必要のある単電池セル104の対(組み合わせ)の充電状態(端子電圧)の均等化(均一化)を1対(1組)ずつ実行する。
【0088】
また、本実施形態では、電気的に並列に接続させる必要のある単電池セル104の対(組み合わせ)を選択し、この選択された単電池セル104の対(組み合わせ)について、対応するスイッチ507をオンさせ、その充電状態(端子電圧)の均等化(均一化)を行うようにしたが、単電池セル104の全ての対(組み合わせ)について、前述の予め設定した順番にしたがって、対応するスイッチ507をオンオフし、その充電状態(端子電圧)の均等化(均一化)を行うようにしてもよい。また、同時に二つ以上の単電池セル104の対(組み合わせ)の充電状態(端子電圧)の均等化(均一化)が可能な場合には、二つ以上の単電池セル104の対(組み合わせ)に対応するスイッチ507を同時にオンさせ、それぞれの充電状態(端子電圧)を同時に均等化(均一化)するようにしてもよい。例えば各単電池セル群101,102の電気的に直列に接続された複数の単電池セル104をさらに解列(分離)させることができるスイッチが設けられている場合には可能である。
【0089】
次に、図4を用いて、図3の右側に示す平均化処理50151の動作による効果について説明する。
【0090】
図4(a)は、第2接続回路による第1単電池セル群101と第2単電池セル群102との電気的な並列接続構成を示す。図4(b)は、図3の右側に示す平均化処理50151を実施する前の各単電池セル104の端子電圧(充電状態)を示す。図4(c)は、図3の右側に示す平均化処理50151を実施した後の各単電池セル104の端子電圧(充電状態)を示す。
【0091】
図4(b)に示すように、単電池セル140の自己放電率のばらつきによって、単電池セル140(C1)の端子電圧(充電状態)が残りの単電池セル140の端子電圧(充電状態)に比べてΔVだけ低下した(ばらつきが生じた)とする。このような場合、単電池セル140(C1)と単電池セル140(Cn+1)との対(組み合わせ)が、図3の右側に示す平均化処理50151の実施対象となり、単電池セル140(C1)と単電池セル140(Cn+1)との対(組み合わせ)に対応するスイッチ507(S1,S2)がオンされる。これにより、単電池セル140(C1)と単電池セル140(Cn+1)とがインピーダンス506(Z1,Z2)を介して電気的に並列に接続され、端子電圧(充電状態)の高い単電池セル140(Cn+1)から、端子電圧(充電状態)の低い単電池セル140(C1)にインピーダンス506(Z1,Z2)を介して放電が行われる。
【0092】
単電池セル140(C1)と単電池セル140(Cn+1)との対(組み合わせ)に対応するスイッチ507(S1,S2)のオン状態による放電が所定時間継続すると、図4(c)に示すように、端子電圧(充電状態)の高い単電池セル140(Cn+1)の端子電圧(充電状態)が徐々に小さく、端子電圧(充電状態)の低い単電池セル140(C1)の端子電圧(充電状態)が徐々に大きくなり、最終的には単電池セル140(C1)と単電池セル140(Cn+1)との端子電圧(充電状態)が均等化(均一化)される。この結果、図3の右側に示す平均化処理50151を実施する前のばらつきの最大値ΔVがΔV/2と半減される。
【0093】
このように、本実施形態によれば、ハイブリッド自動車701の停止中(バッテリ装置708を電源とする電動発電機4の停止中)或いはバッテリ装置708の停止中(無負荷状態)に、第1単電池セル群101と第2単電池セル群102との同電位の位置にある単電池セル104同士の充電状態(端子電圧)を均等化(平均化)することができるので、単電池セル104の自己放電率のばらつきなどによって単電池セル104の充電状態(端子電圧)にばらつきが生じた場合には、そのばらつきを、ハイブリッド自動車701の作動中(バッテリ装置708を電源とする電動発電機4の作動中)、バッテリ装置708の起動中(無負荷状態)や作動中(負荷状態)において行われる、電気的に直列に接続された複数の電池セル104の充電状態(端子電圧)の均等化調整の前に予め小さくしておくことができる。従って、本実施形態によれば、ハイブリッド自動車701の作動中(バッテリ装置708を電源とする電動発電機4の作動中)、バッテリ装置708の起動中(無負荷状態)や作動中(負荷状態)において行われる、電気的に直列に接続された複数の単電池セル104の充電状態の調整速度や調整精度を向上させることができる。
【0094】
しかも、本実施形態によれば、単電池セル104に充電された電気エネルギーを有効利用してそのばらつきを小さくすることができる。また、ハイブリッド自動車701の作動中(バッテリ装置708を電源とする電動発電機4の作動中)、バッテリ装置708の起動中(無負荷状態)や作動中(負荷状態)において行われる、電気的に直列に接続された複数の電池セル104の充電状態(端子電圧)の均等化調整の前に予めばらつきを小さくしておくことにより、放電抵抗によるエネルギー消費によって充電状態(端子電圧)の調整を行う充電状態調整対象の単電池セル104の数を減らせると共に、充電状態調整対象となった単電池セル104の放電抵抗によるエネルギー消費量も減らすことができる。従って、本実施形態によれば、組電池1(バッテリ装置708)のエネルギー損失を減らすことができる。
【0095】
このように、電気的に直列に接続された複数の単電池セル104の充電状態の調整速度や調整精度を向上させることができれば、大容量のバッテリ装置や稼働率が低いバッテリ装置でも、ハイブリッド自動車701の作動中(バッテリ装置708を電源とする電動発電機4の作動中)、バッテリ装置708の起動中(無負荷状態)や作動中(負荷状態)において、電気的に直列に接続された複数の単電池セル104の充電状態を目標とする充電状態に十分に調整することができる。また、放電抵抗を流れる電流は放電抵抗の値によって規定されるが、前述の通り、単電池セル104の充電状態の調整速度や調整精度を向上させることができれば、大容量のバッテリ装置や稼働率が低いバッテリ装置が、その影響を受けて、ハイブリッド自動車701の作動中(バッテリ装置708を電源とする電動発電機4の作動中)、バッテリ装置708の起動中(無負荷状態)や作動中(負荷状態)に、複数の単電池セル104の充電状態を目標とする充電状態に調整できないという事態になることもない。
【0096】
尚、ハイブリッド自動車701の作動中(バッテリ装置708を電源とする電動発電機4の作動中)、バッテリ装置708の起動中(無負荷状態)や作動中(負荷状態)において行われる、電気的に直列に接続された複数の電池セル104の充電状態(端子電圧)の均等化調整は次のような手順によって実施される(例えば特開2003−284253号公報参照)。
【0097】
まず、監視制御装置501のセル制御装置では、複数の電池セル104のそれぞれの端子電圧を周期的に検出し、この検出された各電池セル104の端子電圧をレジスタに書き換えながら保持している。バッテリ制御装置から各電池セル104の端子電圧の送信要求指令信号が送信されるとセル制御装置は、検出されてレジスタに保持されている各単電池セル104の端子電圧を読み出してバッテリ制御装置に送信する。
【0098】
次に、バッテリ制御装置は、セル制御装置から送信されてきた各単電池セル104の端子電圧のうちの最高端子電圧と最低端子電圧との差分をとってその中間値を演算し、この演算された中間値と、セル制御装置から送信されてきた各単電池セル104の端子電圧とを比較し、両者の差分が所定値以上の場合には、その単電池セル104を放電抵抗による充電状態調整対象とすると共に、その差分に基づいて放電抵抗による放電時間を演算する。そして、バッテリ制御装置は、演算された充電状態調整対象の単電池セル104の放電時間に基づいて、充電状態調整対象の単電池セル104に放電抵抗を電気的に接続させるためのスイッチのスイッチング指令信号を生成し、このスイッチング指令信号を、充電状態調整対象の単電池セル104を監視制御するセル制御装置(充電状態調整対象の単電池セル104が電気的に接続された集積回路)に送信する。
【0099】
スイッチング指令信号を受けたセル制御装置(充電状態調整対象の単電池セル104が電気的に接続された集積回路)は、スイッチング指令信号に基づいてスイッチング駆動信号を生成して、充電状態調整対象の単電池セル104に放電抵抗を電気的に接続させるためのスイッチに出力し、そのスイッチの駆動(オンオフ)を制御する。これにより、充電状態調整対象の単電池セル104に対応するスイッチがオンしている間、充電状態調整対象の単電池セル104は放電抵抗と電気的に接続され、その放電抵抗に対して電気エネルギーを放電する。この放電により、充電状態調整対象の単電池セル104に充電された電気エネルギーが放電抵抗によって熱として消費され、充電状態調整対象の単電池セル104の充電状態(端子電圧)が調整される。
【実施例2】
【0100】
第2実施形態を図6に基づいて説明する。
【0101】
本実施形態は第1実施形態の改良例であり、各電圧検出線接続線505(CL1,CL2,CL3,・・・,CLn)に対して、各インピーダンス506(z1,z2,・・・,Zn)をバイパス(短絡)するためのバイパス(短絡)線508(BL1,Bl2,・・・,BLn)を設けた点が第1実施形態とは異なる。各バイパス線508(BL1,Bl2,・・・,BLn)にはバイパス(短絡)スイッチ509(BS1,BS2,・・・,BSn)が設けられている。バイパス(短絡)スイッチ509の駆動(オンオフ)は、監視制御手段501の出力ポートDOから出力されるスイッチ駆動信号によって制御されている。
【0102】
この他の構成は、第1実施形態と同様である。このため、第1実施形態と同様の構成には第1実施形態と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0103】
第1実施形態では、電気的に並列に接続させる単電池セル104間の一方から他方への放電を、両者間の充電状態(端子電圧)の差に関係なく、インピーダンス506(z1,z2,・・・,Zn)を介して行っていた。しかし、電気的に並列に接続させる単電池セル104間の充電状態(端子電圧)の差が小さい或いは電気的に並列に接続させている単電池セル104間の充電状態(端子電圧)の差が小さくなると、インピーダンス506(z1,z2,・・・,Zn)によって制限されるような大きな電流が流れることがなくなると共に、インピーダンス506(z1,z2,・・・,Zn)によって放電電流が流れ難くなり、電気的に並列に接続した単電池セル104間の充電状態(端子電圧)の均等化(均一化)に要する時間が長くなる或いは電気的に並列に接続した単電池セル104間の充電状態(端子電圧)の均等化(均一化)に要する時間が初期に比べて終期で長くなることが考えられる。
【0104】
そこで、本実施形態では、電気的に並列に接続させる単電池セル104間の充電状態(端子電圧)の差が所定値よりも小さい場合には、対応するスイッチ507をオンせず、対応するバイパススイッチ509をオンして、電気的に並列に接続させる単電池セル104を対応するインピーダンス506を介することなく電気的に並列に接続している。また、本実施形態では、既に電気的に並列に接続させる単電池セル104同士を電気的に並列に接続させている状態において、電気的に並列に接続させている単電池セル104間の充電状態(端子電圧)の差が所定値よりも小さくなった場合には、対応するスイッチ507をオンして、電気的に並列に接続させる単電池セル104を対応するインピーダンス506を介して電気的に並列に接続している状態から、対応するバイパススイッチ509をオンして、電気的に並列に接続させる単電池セル104を対応するインピーダンス506を介することなく電気的に並列に接続する状態に切り換えている。
【0105】
本実施形態によれば、電気的に並列に接続させる単電池セル104間の充電状態(端子電圧)の均等化(平均化)に要する時間を第1実施形態よりも短くすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に直列に接続された複数の蓄電器を有する蓄電モジュールと、
前記複数の蓄電器のそれぞれの状態を検出すると共に、その状態を調整する監視制御装置と、
前記複数の蓄電器の電気的な直列接続をその途中において電気的に解列する解列手段と、
前記解列手段の一方側に構成される第1蓄電器群と前記解列手段の他方側に構成される第2蓄電器群との間に構成された接続回路と、を有し、
前記接続回路は、前記第1及び第2蓄電器群のそれぞれが有する複数の蓄電器の電気的な直列接続の同電位の位置関係にある蓄電器同士を電気的に並列に接続するための線路として設けられた接続線路と、この接続線路を介して行われる前記蓄電器同士の電気的な接続を制御する接続制御手段と、を備えている、
ことを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電装置において、
前記接続線路には、前記接続線路を流れる電流を制限するための制限手段が設けられている、
ことを特徴とする蓄電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の蓄電装置において、さらに、
前記制限手段をバイパスするバイパス線路と、
前記接続線路に対する前記バイパス線路の電気的な接続を制御するバイパス線路接続制御手段と、を備えている、
ことを特徴とする蓄電装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の蓄電装置において、さらに、
前記複数の蓄電器のそれぞれに対応して設けられた放電抵抗と、
前記複数の蓄電器に対する前記放電抵抗の電気的な接続を制御する放電抵抗接続制御手段と、を備えている、
ことを特徴とする蓄電装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の蓄電装置において、
前記蓄電モジュールに電気的に接続される負荷が前記蓄電モジュールから切り離されている無負荷状態にあるとき、前記解列手段によって、前記複数の蓄電器の電気的な直列接続を前記第1及び第2蓄電器群に電気的に解列すると共に、前記接続回路によって、前記解列された第1及び第2蓄電器群のそれぞれが有する複数の蓄電器の電気的な直列接続の同電位の位置にある蓄電器同士を電気的に並列に接続する、
ことを特徴とする蓄電装置。
【請求項6】
電気的に直列に接続された複数の蓄電器のそれぞれの状態を検出すると共に、その状態を調整する監視制御手段と、
前記複数の蓄電器の電気的な直列接続をその途中において電気的に解列する解列手段の一方側に構成される第1蓄電器群と、前記解列手段の他方側に構成される第2蓄電器群との間に構成された接続回路と、を有し、
前記接続回路は、前記第1及び第2蓄電器群のそれぞれが有する複数の蓄電器の電気的な直列接続の同電位の位置にある蓄電器同士を電気的に並列に接続するための線路として設けられた接続線路と、この接続線路を介して行われる前記蓄電器同士の電気的な接続を制御する接続制御手段と、を備え、
前記監視制御手段は、前記解列手段によって前記複数の蓄電器の電気的な直列接続がその途中において電気的に解列されたとき、前記接続制御手段を制御して、前記第1蓄電器と前記第2蓄電器群との間における蓄電器の電気的な接続を制御する、
ことを特徴とする蓄電装置用監視制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の蓄電装置用監視制御装置において、
前記接続線路には、前記接続線路を流れる電流を制限するための制限手段が設けられている、
ことを特徴とする蓄電装置用監視制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の蓄電装置用監視制御装置において、さらに、
前記制限手段をバイパスするバイパス線路と、
前記接続線路に対する前記バイパス線路の電気的な接続を制御するバイパス線路接続制御手段と、を備えている、
ことを特徴とする蓄電装置用監視制御装置。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれかに記載の蓄電装置用監視制御装置において、さらに、
前記複数の蓄電器のそれぞれに対応して設けられた放電抵抗と、
前記複数の蓄電器に対する前記放電抵抗の電気的な接続を制御する放電抵抗接続制御手段と、を備えている、
ことを特徴とする蓄電装置用監視制御装置。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれかに記載の蓄電装置用監視制御装置において、
前記監視制御手段は、前記複数の蓄電器の蓄電状態を検出して、前記第1蓄電器と前記第2蓄電器群との間において電気的に並列に接続させる蓄電器を選択すると共に、前記選択された蓄電器に対応する接続制御手段を制御し、前記選択された蓄電器を電気的に接続させる、
ことを特徴とする蓄電装置用監視制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−74333(P2012−74333A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220256(P2010−220256)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】