説明

貯湯式給湯装置

【課題】浴槽への注湯を停止するときの圧力上昇を低減させた貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】湯水を貯湯する貯湯タンク2と、浴槽5の浴槽水を貯湯タンク2内の湯水と熱交換加熱する風呂熱交換器14と、浴槽5と風呂熱交換器14とを接続する風呂往き管16および風呂戻り管17から成る風呂循環回路15と、風呂戻り管17に設けられた風呂循環ポンプ18と、風呂循環回路15に接続され浴槽5へ注湯する湯張り管27と、湯張り管27を開閉する開閉弁28と、風呂循環回路15に設けられ風呂戻り管17のみから浴槽5に注湯させる片搬送状態と、風呂往き管16と風呂戻り管17とから浴槽5に注湯させる両搬送状態とに切換可能な流路切換手段23とを備え、湯張り管27から風呂循環回路15を介して浴槽5へ注湯を行う貯湯式給湯装置において、少なくとも開閉弁28を閉弁し浴槽5への注湯を停止する際は、流路切換手段23を両搬送状態とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴槽への注湯を停止するときの圧力上昇を低減させた貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の貯湯式給湯装置においては、図4に示すように、湯水を貯湯する貯湯タンク101と、貯湯タンク101内の湯水を加熱する加熱手段102と、貯湯タンク101の下部に減圧弁103を介して接続され貯湯タンク101に給水する給水管104と、貯湯タンク101上部に接続された出湯管105と、給水管104から分岐した給水バイパス管106と、出湯管105からの湯と給水バイパス管106からの水を混合して設定温度の湯とする混合弁107と、混合弁107で混合された設定温度の湯を台所や洗面所等に設けられた給湯栓108に供給する給湯管109と、浴槽110と、浴槽110の浴槽水を貯湯タンク101内の湯水と熱交換させる風呂熱交換器111と、浴槽110と風呂熱交換器111とを接続する風呂往き管112および風呂戻り管113からなる風呂循環回路114と、風呂戻り管113に備えられ浴槽110の浴槽水を風呂循環回路114に循環させる風呂循環ポンプ115と、風呂熱交換器111をバイパスして風呂往き管112と風呂戻り管113とを接続する風呂バイパス管116と、風呂バイパス管116と風呂戻り管113との接続部に設けられ、風呂戻り管113のみから浴槽110に注湯させる片搬送状態と風呂往き管112と風呂戻り管113との両方から浴槽110に注湯させる両搬送状態とに切換可能な風呂三方弁117と、風呂戻り管113に接続され貯湯タンク101内の湯水を浴槽110へ注湯する湯張り管118と、湯張り管118を開閉する湯張り電磁弁119とを備え、浴槽110へ設定量の湯張りを行う場合、湯張り電磁弁119を開いて浴槽110への湯張りを開始し、風呂三方弁117を両搬送状態として浴槽110に注湯して、設定量より所定量少ない予め設定された規定量に達したら、風呂三方弁117を片搬送状態として風呂戻り管113のみから浴槽110に注湯し、設定量まで浴槽110に注湯したら、湯張り電磁弁119を閉じて浴槽110への湯張りを終了するものがあった。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−128528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、住宅の2階や3階の高所であっても十分な流量で給湯ができるようにとのニーズから、減圧弁103の設定圧力を従来よりも高く設定するものが増えてきており、この減圧弁103の設定圧力を高く設定した貯湯式給湯装置において、上述のような浴槽110への湯張りを行った場合、浴槽110への注湯を終了する時は風呂三方弁117は片搬送状態であり、その状態で湯張り電磁弁119を閉じると、その瞬間、風呂戻り管113側にかかる圧力は水撃によって急激に上昇し、それにより風呂戻り管113に備えられた風呂循環ポンプ115等の機能部品の破損、風呂循環回路114を構成する配管の外れや損傷による水漏れ等が発生するおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、浴槽110への注湯を停止する際に風呂循環ポンプ115を備えた側の風呂循環回路114や風呂循環ポンプ115等の機能部品に加わる水撃による圧力を低減させ、風呂循環ポンプ115等の機能部品の破損、風呂循環回路114を構成する配管の外れや損傷による水漏れ等を防止することができる貯湯式給湯装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、この発明は上記課題を解決するために、特に請求項1ではその構成を、湯水を貯湯する貯湯タンクと、浴槽の浴槽水を前記貯湯タンク内の湯水と熱交換して加熱する風呂熱交換器と、前記浴槽と前記風呂熱交換器とを接続する風呂往き管および風呂戻り管から成る風呂循環回路と、前記風呂循環回路に設けられ浴槽水を循環させる風呂循環ポンプと、前記風呂循環回路に接続され前記貯湯タンク内の湯水を前記浴槽へ注湯する湯張り管と、該湯張り管を開閉する開閉弁と、前記風呂循環回路に設けられ前記風呂循環ポンプが設けられた側の前記風呂循環回路のみから前記浴槽に注湯させることができる片搬送状態と、前記風呂往き管と前記風呂戻り管との両方から前記浴槽に注湯させることができる両搬送状態とに切換可能な流路切換手段とを備え、前記湯張り管から前記風呂循環回路を介して前記浴槽へ注湯を行う貯湯式給湯装置において、少なくとも前記開閉弁を閉弁し前記浴槽への注湯を停止する際は、前記流路切換手段を前記両搬送状態とするものとした。
【0007】
また、請求項2では、前記開閉弁を開弁し前記浴槽への注湯を開始する際は、前記流路切換手段を前記両搬送状態とするものとした。
【0008】
また、請求項3では、前記浴槽へ設定量の注湯を行う場合、注湯を開始し前記設定量より所定量少ない予め設定された第1規定量に到達するまでは、前記流路切換手段を両搬送状態とし、前記第1規定量に到達したら、前記流路切換手段を前記両搬送状態から前記片搬送状態に切り換え、前記設定量より所定量少なく前記第1規定量より所定量多い予め設定された第2規定量に到達するまでは、前記流路切換手段を片搬送状態とし、前記第2規定量に到達したら、前記流路切換手段を前記片搬送状態から前記両搬送状態に切り換え、前記設定量に到達したら、前記開閉弁を閉弁するものとした。
【発明の効果】
【0009】
この発明の請求項1によれば、少なくとも開閉弁を閉弁し浴槽への注湯を停止する際は、流路切換手段を両搬送状態としたことで、開閉弁を閉弁した瞬間に生じる水撃による圧力上昇を風呂往き管および風呂戻り管の両方に分散させ低減させることができ、風呂循環ポンプ等の機能部品の破損、風呂循環回路を構成する配管の外れや損傷による水漏れを防止することができるものである。
【0010】
また、請求項2によれば、開閉弁を開弁し浴槽への注湯を開始する際は、流路切換手段を両搬送状態としたことで、開閉弁を開弁した瞬間に生じる水撃による圧力上昇を風呂往き管および風呂戻り管の両方に分散させ低減させることができ、風呂循環ポンプ等の機能部品の破損、風呂循環回路を構成する配管の外れや損傷による水漏れを防止することができるものである。
【0011】
また、請求項3によれば、浴槽へ設定量の注湯を行う場合、注湯を開始し設定量より所定量少ない予め設定された第1規定量に到達するまでは、流路切換手段を両搬送状態として、風呂往き管および風呂戻り管の両方から浴槽に注湯することで、注湯開始時の開閉弁を開弁した瞬間に生じる水撃による圧力上昇を風呂往き管および風呂戻り管の両方に分散させ低減させることができ、風呂循環ポンプ等の機能部品の破損、風呂循環回路を構成する配管の外れや損傷による水漏れを防止することができると共に、注湯時間の短縮ができ、第1規定量に到達したら、流路切換手段を両搬送状態から片搬送状態に切り換え、設定量より所定量少なく第1規定量より所定量多い予め設定された第2規定量に到達するまでは、流路切換手段を片搬送状態として、風呂戻り管のみから浴槽に注湯することで、風呂循環ポンプ等の近傍に残存するエアを押し出して風呂戻り管のエア抜きが確実に行われ、第2規定量に到達したら、流路切換手段を片搬送状態から両搬送状態に切り換え、設定量に到達したら、流路切換手段を両搬送状態としたままで開閉弁を閉弁することで、開閉弁を閉弁した瞬間に生じる水撃による圧力上昇を風呂往き管および風呂戻り管の両方に分散させ低減させることができ、風呂循環ポンプ等の機能部品の破損、風呂循環回路を構成する配管の外れや損傷による水漏れを防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の貯湯式給湯装置の一実施形態の概略構成図。
【図2】同一実施形態の風呂三方弁の動作説明図。
【図3】同一実施形態の湯張り動作を示すフローチャート。
【図4】従来の貯湯式給湯装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の一実施形態について図1に基づき説明する。
1は湯水を貯湯する貯湯タンク2を有した貯湯タンクユニット、3は台所や洗面所等に設けられた給湯栓、4はこの貯湯式給湯装置を遠隔操作するリモコン、5は浴槽である。
【0014】
6は貯湯タンク2の下部に接続され貯湯タンク2に給水する給水管、7は給水管6途中に設けられ給水圧を所定の圧力まで減圧する減圧弁で、ここでは減圧弁7の設定圧力を260kPaの高圧設定とする。また、8は貯湯タンク2の上部に接続され貯湯タンク2の上部から高温の湯を取り出す出湯管である。
【0015】
9は減圧弁7より下流側で給水管6から分岐した第1給水バイパス管、10は出湯管8からの高温の湯と第1給水バイパス管9からの水とを設定温度になるように内部の弁体(図示せず)の弁開度を調整して混合する給湯混合弁、11は給湯混合弁10で混合された湯を給湯栓3に供給する給湯管、12は給湯混合弁10で混合後の湯の温度を検出する給湯温度センサ、13は給湯流量をカウントする給湯流量センサである。
【0016】
14は貯湯タンク2内の上部に配置され、浴槽5の浴槽水を貯湯タンク2内の湯水と熱交換して加熱するためのステンレス製の蛇管よりなる風呂熱交換器、15は浴槽5と風呂熱交換器14とを接続する風呂往き管16および風呂戻り管17から成る風呂循環回路、18は風呂戻り管17に備えられ、浴槽5内の浴槽水を風呂戻り管17を介して風呂熱交換器14に送り、風呂熱交換器14を通過した浴槽水を風呂往き管16を介して浴槽5内に戻すよう循環させる風呂循環ポンプである。
【0017】
19は風呂戻り管17に設けられ流水の有無を検知する流水スイッチ、20は風呂戻り管17に設けられ浴槽5から流出し風呂熱交換器14に流入する浴槽水の温度を検出する風呂温度センサ、21は風呂戻り管17の浴槽5に近い位置に設けられ浴槽水の水圧から浴槽5内の水位を検出する水位検出手段としての水位センサである。
【0018】
22は風呂熱交換器14をバイパスして風呂往き管16と風呂戻り管17とを接続する風呂バイパス管、23は風呂バイパス管22と風呂戻り管17との接続部に設けられ、風呂戻り管17のみから浴槽5に注湯させる片搬送状態と風呂往き管16と風呂戻り管17との両方から浴槽5に注湯させる両搬送状態とに切換可能な電動三方弁よりなる流路切換手段としての風呂三方弁である。
【0019】
前記風呂三方弁23は、流入側の接続口23aに風呂戻り管17の浴槽5側を接続し、2つの流出側の接続口23b、23cのうち、一方の接続口23bには風呂熱交換器14の入口側を接続し、他方の接続口23cには風呂バイパス管22を接続し、電動モータ(図示せず)の駆動で内方の弁体を動かして、図2(ア)に示すように、風呂戻り管17の浴槽5側と風呂バイパス管22側を連通し風呂熱交換器14の入口側を閉塞することで、風呂往き管16と風呂戻り管17との両方から浴槽5に注湯させることができる両搬送状態と、図2(イ)に示すように、風呂戻り管17の浴槽5側と風呂熱交換器14の入口側を連通し風呂バイパス管22側を閉塞することで、風呂往き管16と風呂戻り管17との両方から浴槽5に注湯させることができる両搬送状態と、図2(ウ)に示すように、風呂戻り管17の浴槽5側を閉塞し、風呂戻り管17のみから浴槽5に注湯させることができる片搬送状態とに少なくとも切換可能なものである。
【0020】
24は出湯管8から分岐した風呂出湯管、25は第1給水バイパス管9から分岐した第2給水バイパス管、26は風呂出湯管24からの高温の湯と第2給水バイパス管25からの水とを設定温度になるように内部の弁体(図示せず)の弁開度を調整して混合する風呂混合弁、27は風呂循環ポンプ18の配設位置よりも風呂熱交換器14側で、且つ風呂三方弁23の配設位置よりも浴槽5側の風呂戻り管17に接続され、貯湯タンク2内の湯水を浴槽5へ注湯する湯張り管、28は湯張り管27を開閉し浴槽5への注湯の開始、停止を行う開閉弁としての湯張り電磁弁、29は浴槽5への注湯量をカウントする風呂流量センサ、30は浴槽5の浴槽水が逆流するのを防止する二重に配設した逆止弁である。
【0021】
31は貯湯タンク2内の湯水を加熱する加熱手段としての電熱ヒータである。ここでは、加熱手段の一例として電熱ヒータを適用したが、加熱手段はヒートポンプ式の加熱手段、灯油やガスを燃料とする燃焼バーナであってもよいものである。
【0022】
32は貯湯タンクユニット1内の給湯温度センサ12、給湯流量センサ13、流水スイッチ19、風呂温度センサ20、水位センサ21、風呂流量センサ29の入力を受け、給湯混合弁10、風呂循環ポンプ18、風呂三方弁23、風呂混合弁26、湯張り電磁弁28の駆動を制御する制御手段で、この制御手段32はリモコン4と無線または有線により通信可能に接続されているものである。
【0023】
前記リモコン4は、給湯設定温度を設定する給湯温度設定スイッチ33と、風呂設定温度を設定する風呂温度設定スイッチ34と、浴槽5へ風呂設定温度の湯をリモコン4の湯張り量設定スイッチ(図示せず)で設定された湯張り設定量を注湯する湯張り運転を指示する湯張りスイッチ35とが設けられているものである。
【0024】
次に、図1に示した貯湯式給湯装置の湯張り運転時の動作を、図3に示したフローチャートを用いて説明する。
【0025】
前記リモコン4の湯張りスイッチ35がユーザにより操作されると、まず、風呂循環ポンプ18の起動に必要な呼び水を供給する呼び水工程が開始され、制御手段32は、風呂三方弁23を図2(ア)に示すように、風呂戻り管17の浴槽5側と風呂バイパス管22側を連通し風呂熱交換器14の入口側を閉塞して、風呂往き管16と風呂戻り管17との両方から浴槽5に注湯させることができる両搬送状態とし(ステップS1)、続いて、制御手段32は、湯張り電磁弁28を開弁させて注湯を開始させ(ステップS2)、その直後に風呂三方弁23の弁体を電動モータによって回動して、図2(ア)に示すような両搬送状態から、図2(ウ)に示すような、風呂戻り管17の浴槽5側を閉塞し、風呂戻り管17のみから浴槽5に注湯させることができる片搬送状態に徐々に切り換えるものである(ステップS3)。なお、湯張り電磁弁28が開弁されると、風呂混合弁26で風呂設定温度に混合された湯が湯張り管27を介して風呂循環回路15に注湯されていくものである。
【0026】
そして、制御手段32は、風呂流量センサ29で検出した湯量の積算値から、注湯開始して所定量、例えば3L注湯したか否か判断し(ステップS4)、所定量注湯したと判断すると、風呂循環ポンプ18への呼び水および風呂戻り管17のエア抜きが完了したと判断し、風呂三方弁23を片搬送状態から図2(ア)に示すような両搬送状態に戻し(ステップS5)、その後に湯張り電磁弁28を閉弁させ(ステップS6)、呼び水工程を終了するものである。
【0027】
前記呼び水工程が終了すると、制御手段32は、風呂循環ポンプ18を一定時間駆動して、その間に流水スイッチ19で流水の有無をチェックする(ステップS7)。流水がない場合は浴槽5内に湯がない状態なので、風呂三方弁23を両搬送状態としたまま湯張り電磁弁28を開弁し(ステップS8)、湯張り設定量、例えば180Lの注湯を開始する。
【0028】
湯張り電磁弁28が開弁されると、風呂往き管16と風呂戻り管17との両方から浴槽5に注湯し、制御手段32は、風呂流量センサ29で検出した湯量の積算値から、湯張り設定量より所定量少ない予め設定された第1規定量、例えば170Lまで注湯したか否か判断し(ステップS9)、第1規定量まで注湯したと判断すると、風呂三方弁23の弁体を電動モータによって回動して、両搬送状態から図2(ウ)に示すような片搬送状態とし(ステップS10)、浴槽5への注湯を風呂戻り管17のみに切り換えるものである。
【0029】
続いて、制御手段32は、風呂流量センサ29で検出した湯量の積算値から、湯張り設定量より所定量少なく前記第1規定量より所定量多い予め設定された第2規定量、例えば178Lまで注湯したか否か判断し(ステップS11)、第2規定量まで注湯したと判断すると、風呂三方弁23の弁体を電動モータによって回動して、片搬送状態から図2(ア)に示すような両搬送状態とし(ステップS12)、風呂往き管16と風呂戻り管17との両方から浴槽5へ注湯を行い、風呂流量センサ29で検出した湯量の積算値から、湯張り設定量まで注湯したか否か判断し(ステップS13)、湯張り設定量まで注湯したと判断したら、湯張り電磁弁28を閉弁させ(ステップS14)、湯張り運転を終了するものである。
【0030】
以上説明した湯張り運転時において、前記ステップS6または前記ステップS14で、湯張り電磁弁28を閉弁して浴槽5への注湯を停止する際、その前段として前記ステップS5またはステップS12で、風呂三方弁23を両搬送状態とし、風呂三方弁23を両搬送状態としてから湯張り電磁弁28を閉弁するようにしたことで、減圧弁7の設定圧力が高圧設定のものであっても、湯張り電磁弁28を閉弁した瞬間に生じる水撃による圧力の急下降および圧力の急上昇といった圧力変動を風呂往き管16および風呂戻り管17の両方に分散させ低減させることができ、風呂循環ポンプ18や水位センサ21等の機能部品の破損、風呂循環回路15を構成する配管の外れや損傷による水漏れを防止することができるものである。
【0031】
また、前記ステップS2または前記ステップS8で、湯張り電磁弁28を開弁して浴槽5への注湯を開始する際、その前段として前記ステップS1または前記ステップS5で、風呂三方弁23を両搬送状態とし、風呂三方弁23を両搬送状態としてから湯張り電磁弁28を開弁するようにしたことで、減圧弁7の設定圧力が高圧設定のものであっても、湯張り電磁弁28を開弁した瞬間に生じる水撃による圧力上昇を風呂往き管16および風呂戻り管17の両方に分散させ低減させることができ、風呂循環ポンプ18や水位センサ21等の機能部品の破損、風呂循環回路15を構成する配管の外れや損傷による水漏れを防止することができるものである。
【0032】
また、制御手段32は、前記ステップS2で湯張り電磁弁28を開弁した直後に、前記ステップS3で風呂三方弁23の弁体を電動モータによって回動させ、図2(ア)に示すような両搬送状態から、図2(ウ)に示すような片搬送状態に徐々に切り換えることで、風呂循環ポンプ18を備えた風呂戻り管17に急に圧力が加わるのを防止することができ、さらに、片搬送状態で所定量注湯することで、風呂戻り管17を流れる湯水の圧力を高くすると共に流量を多くして、風呂循環ポンプ18に確実に呼び水を行うことができるものである。
【0033】
また、浴槽5へ設定量の注湯を行う場合、浴槽5への注湯を開始し設定量より所定量少ない予め設定された第1規定量までは、風呂三方弁23を両搬送状態として、設定量のうち大部分を風呂往き管16および風呂戻り管17の両方から浴槽5に注湯することで、減圧弁7の設定圧力が高圧設定のものであっても、注湯開始時の湯張り電磁弁28を開弁した瞬間に生じる水撃による圧力上昇を風呂往き管16および風呂戻り管17の両方に分散させ低減させることができ、風呂循環ポンプ18や水位センサ21等の機能部品の破損、風呂循環回路15を構成する配管の外れや損傷による水漏れを防止することができると共に、注湯時間の短縮ができ、前記第1規定量に到達したら、風呂三方弁23を両搬送状態から片搬送状態に切り換え、設定量より所定量少なく第1規定量より所定量多い予め設定された第2規定量に到達するまでは、風呂三方弁23を片搬送状態として、風呂戻り管17のみから浴槽5に注湯することで、風呂循環ポンプ18や水位センサ21近傍に残存するエアを押し出して風呂戻り管17のエア抜きが確実に行われ、エア混入による水位センサ21による水位誤検出を防止することができ、前記第2規定量に到達したら、風呂三方弁23を片搬送状態から両搬送状態に切り換え、設定量に到達したら、風呂三方弁23を両搬送状態としたままで湯張り電磁弁28を閉弁することで、減圧弁7の設定圧力が高圧設定のものであっても、湯張り電磁弁28を開弁した瞬間に生じる水撃による圧力上昇を風呂往き管16および風呂戻り管17の両方に分散させ低減させることができ、風呂循環ポンプ18や水位センサ21等の機能部品の破損、風呂循環回路15を構成する配管の外れや損傷による水漏れを防止することができるものである。
【0034】
なお、本発明は先に説明した一実施形態に限定されるものではなく、本実施形態では、湯張り運転時において、風呂三方弁23を図2(ア)に示すような両搬送状態としたが、風呂三方弁23を、図2(イ)に示すような両搬送状態としてもよいものであり、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な変形が可能であり、これを妨げるものではない。
【0035】
また、本実施形態では、湯張り運転時を例として説明したが、湯張り運転時に限らず、たし湯や高温差し湯のような浴槽5へ設定量の注湯動作を行うものに本発明を適用してもよく、その場合であっても、湯張り電磁弁28を閉弁して浴槽5への注湯を停止する際または湯張り電磁弁28を開弁して浴槽5への注湯を開始する際は、風呂三方弁23を両搬送状態としてから湯張り電磁弁28を閉弁または開弁することで、減圧弁7の設定圧力が高圧設定のものであっても、湯張り電磁弁28を開弁した瞬間に生じる水撃による圧力上昇を風呂往き管16および風呂戻り管17の両方に分散させ低減させることができ、風呂循環ポンプ18や水位センサ21等の機能部品の破損、風呂循環回路15を構成する配管の外れや損傷による水漏れを防止することができ、さらに、設定量より所定量少ない予め設定された第1規定量までは、風呂三方弁23を両搬送状態として、設定量のうち大部分を風呂往き管16および風呂戻り管17の両方から浴槽5に注湯することで、注湯時間の短縮ができ、前記第1規定量に到達したら、風呂三方弁23を両搬送状態から片搬送状態に切り換え、風呂戻り管17のみから浴槽5に注湯することで、風呂循環ポンプ18や水位センサ21近傍に残存するエアを押し出して風呂戻り管17のエア抜きが確実に行われ、エア混入による水位センサ21による水位誤検出を防止することができるものである。
【符号の説明】
【0036】
2 貯湯タンク
5 浴槽
14 風呂熱交換器
15 風呂循環回路
16 風呂往き管
17 風呂戻り管
18 風呂循環ポンプ
23 風呂三方弁
27 湯張り管
28 湯張り電磁弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、浴槽の浴槽水を前記貯湯タンク内の湯水と熱交換して加熱する風呂熱交換器と、前記浴槽と前記風呂熱交換器とを接続する風呂往き管および風呂戻り管から成る風呂循環回路と、前記風呂循環回路に設けられ浴槽水を循環させる風呂循環ポンプと、前記風呂循環回路に接続され前記貯湯タンク内の湯水を前記浴槽へ注湯する湯張り管と、該湯張り管を開閉する開閉弁と、前記風呂循環回路に設けられ前記風呂循環ポンプが設けられた側の前記風呂循環回路のみから前記浴槽に注湯させることができる片搬送状態と、前記風呂往き管と前記風呂戻り管との両方から前記浴槽に注湯させることができる両搬送状態とに切換可能な流路切換手段とを備え、前記湯張り管から前記風呂循環回路を介して前記浴槽へ注湯を行う貯湯式給湯装置において、少なくとも前記開閉弁を閉弁し前記浴槽への注湯を停止する際は、前記流路切換手段を前記両搬送状態としたことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記開閉弁を開弁し前記浴槽への注湯を開始する際は、前記流路切換手段を前記両搬送状態としたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
前記浴槽へ設定量の注湯を行う場合、注湯を開始し前記設定量より所定量少ない予め設定された第1規定量に到達するまでは、前記流路切換手段を両搬送状態とし、前記第1規定量に到達したら、前記流路切換手段を前記両搬送状態から前記片搬送状態に切り換え、前記設定量より所定量少なく前記第1規定量より所定量多い予め設定された第2規定量に到達するまでは、前記流路切換手段を片搬送状態とし、前記第2規定量に到達したら、前記流路切換手段を前記片搬送状態から前記両搬送状態に切り換え、前記設定量に到達したら、前記開閉弁を閉弁するようにしたことを特徴とする請求項2記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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