説明

車体生産装置

【課題】位置決めロボットが部品の搬送と部品の治具としての機能を発揮することで、車体である主要組製品を比較的容易に生産できる車体生産装置を提供することにある。
【解決手段】各溶組工程域Enで主要組製品WNを生産し、後段の溶組工程域Enに搬送することを繰り返すことで車体を製造する車体生産装置Aにおいて、溶組工程域Enには、溶組制御をする工程域制御手段30と、部品mをセット位置dに位置決めする位置決めロボット40と、部品mの溶接を行う溶接ロボット50と、部品mを支持する支持台とが配備され、工程域制御手段30は、位置決めロボット40により部品mを取り出しセット位置dへ位置決めし、溶接ロボット50により部品mの溶接を行って主要仮組製品Wnを生産し、次いで、待機位置s0に位置決めロボット40を待機させた後、溶接ロボット50にて主要仮組製品Wnの溶接箇所の増打を行い主要組製品WNが生産される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体生産装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の生産ラインにおける作業の流れとしては、大きく分けて、車体そのものを組立てる溶接工程等を含む車体組立ラインと、組立ての完了した車体に対して所定の塗装を行う塗装ラインと、塗装の完了した車体に対してエンジン等の各種部品の組み付けを行う車両組立ラインの三つがあり、車両の生産に際しては、車体を順次車体組立ライン→塗装ライン→車両組立ラインの順序で連続的に流して行なわれている。このうち、車体組立ラインでは、アンダーボデーをまず組立て、それに左右サイドストラクチャーアッセンブリやルーフが順次位置決めされ溶組され、車体組立が成されている。この車体組立ラインでの車体組立方式として、例えば「特許文献1」に記載されているライン生産方式の一つである台車搬送方式と称されるものがある。
【0003】
この従来構造では、所定の間隔毎に作業ステージが設定された車体組立ラインの最終ステージと最初のステージとを復帰ラインをもって連結して、車体を支持して搬送する搬送台車を循環使用するようにしている。各搬送台車はロケーター治具として直交3軸の動作自由度をもつ複数の多軸ユニットを備え、車種の異なる車体を搬送する際には各々の多軸ユニットの先端に設けたロケートピンの三次元位置を任意の位置に切り換えて、車種の異なる車体の位置決めを行うようにしている。ここでは、予め仮組みされたアンダーボデーが搬送台車(搬送パレット)に供給され、これが複数の多軸ユニットに位置決め支持され、その上で、フロアメインライン,ボディメインライン等の各ステージにおいて搬送台車上でサイドストラクチャーアッセンブリやルーフ等が溶組されている。
【0004】
このようなライン生産方式を採用した車体生産装置では、搬送台車に多車種対応のために常に複数の多軸ユニットが付帯していることになるため、搬送台車そのものが複雑且つ大型化し、台車駆動能力も大きなものが必要となり、設備費の高騰が余儀なくされる。このようにライン生産方式は大量生産に適している反面、多大な設備投資が必要であり、また生産量調整時に柔軟な対応が難しい。
【0005】
そこで、近年、自動車産業等の分野においては消費者ニーズの多様化などに対応するために、多くの機種を少量ずつ生産する多機種少量生産に適した生産方法として、ライン生産方式に代わり、1つの製品の複数の作業工程を一人、又は数人の作業者が全て担当する、セル生産方法が徐々に拡がってきている。なお、車両搭載部品をセル生産する一例が「特許文献2」等に開示される。
このセル生産方法では、製品仕様変更への対応が容易で、かつ設備投資も少なくて済むし、あるセル(溶組工程域)が停止したとしても、他のセル(溶組工程域)は独立して稼働でき、生産性低下の影響を抑制できる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2745841号公報
【特許文献2】特開2007−061938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、このようなセル生産方式を用いて車体の主要組製品であるアンダーボデーや、左右のサイドストラクチャーアッセンブリ等を製造することが考えられる。この場合、各セル(溶組工程域)を主要組製品、たとえば、アンダーボデー組立エリアに設定し、そこに多数の部品を所定の順に搬入する。更に、セル内で位置決め用の多数の治具の取り付け交換作業を行い、溶接ロボットによる溶着作業が所定の順に行われるという作業が部品毎に多数回行われることとなる。この場合、一つの溶組工程域内での作業が多岐にわたり煩雑化し、一つのセルにおける生産効率の向上を図り難く、作業員の作業環境に問題が生じることとなる。
【0008】
本発明は以上のような課題に基づきなされたもので、目的とするところは、部品の搬送と部品の治具としての機能を発揮する位置決めロボットを用い、主要組製品を比較的容易に生産でき、しかも製品仕様変更への対応が容易で、フレキシブルで、設備投資も少なくて済む車体生産装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここでの本願請求項1の発明は、所定数の溶組工程域の各々において複数種の部品を所定の順に組み付けて所定段階の主要組製品を生産し、同主要組製品を次の後段の溶組工程域に搬送手段で搬送することを所定数繰り返すことで車体を製造する車体生産装置において、前記所定段階の溶組工程域には、前記主要組製品を組立てる複数の部品を載置して搬入される部品供給台と、前記溶組工程域を管理する溶組管理サーバからの溶組生産情報に応じて前記所定段階の主要組製品の溶組制御をする工程域制御手段と、前記工程域制御手段の指示に沿い、前記部品供給台に対向する供給位置で前記部品を把持した上で自走し、溶組作業域と対向する作業位置に達すると該部品をセット位置に位置決めする位置決めロボットと、前記工程域制御手段の指示に沿い、前記位置決めロボットによりセット位置に保持された部品mの溶接を行う溶接ロボットと、前記溶接された部品を前記溶組作業域で支持する支持台とが配備され、前記工程域制御手段は前記溶組管理サーバからの前記溶組生産情報に沿い、前記位置決めロボットにより前記供給位置で前記部品供給台の各部品を取り出し、前記作業位置で取り出した部品のセット位置への位置決めを行い、次いで前記溶接ロボットにより前記位置決め部品溶接を行って主要仮組製品を生産し、次いで、該主要仮組製品を前記支持台上に配置されるように前記位置決めロボットによる主要仮組製品の把持を解放してから、所定の待機位置に位置決めロボットを待機させ、次いで、前記溶接ロボットにて前記主要仮組製品の溶接箇所を増加させる増打を行って前記主要組製品を生産するよう制御することを特徴とする。
【0010】
ここでの本願請求項2の発明は、請求項1記載の車体生産装置において、前記位置決めロボットは、部品供給台に載置され認識部が形成された部品を把持する把持アームが上腕部を介して取り付けられた上台と、該上台を支持しキャタピラ走行部を備えた下台と、前記位置決めロボットに取り付けられると共に前記認識部と前記供給位置の供給位置マーカーと作業位置の作業位置マーカーとの各画像を取り込み前記工程域制御手段に送信するステレオビジョンと、を備え、前記工程域制御手段は、前記溶組生産情報である前記複数の部品の溶組順情報や溶組処理情報に基づき、複数の部品のうちの一つが把持対象の部品であるか否かを該部品の画像より認識する部品認識手段と、前記供給位置マーカーの画像に基づき認識した供給位置において3次元での位置決めロボット自身の基準位置を認識した上で把持した部品の把持位置を認識する把持位置認識手段と、前記供給位置よりフロア上を自走して、前記作業位置マーカーの画像に基づき作業位置を認識するまで走行する走行制御手段と、前記作業位置において前記作業位置マーカーに基づき3次元での自身の基準位置を認識した上で把持部品を前記認識部の画像に基づき前記セット位置に位置決めする位置決め手段と、前記主要仮組製品の仮組みがすべて完了すると把持部品の把持を解放させた上で所定の待機位置に自走して戻り待機させる解放待機手段と、の各制御機能を備えたことを特徴とする。
【0011】
ここでの本願請求項3の発明は、請求項1又は2記載の車体生産装置において、前記溶組工程域で溶組する主要組製品はアンダーボデーアッセンブリ、左右の各サイドストラクチャーアッセンブリ、ルーフアッセンブリ、メインボデーアッセンブリのいずれか一つであることを特徴とする。
【0012】
ここでの本願請求項4の発明は、請求項1、2又は3記載の車体生産装置において、前記工程域制御手段が前記部品供給台上の各部品の有無を重量センサにより検出することを特徴とする。
【0013】
ここでの本願請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の車体生産装置において、前記所定段階の溶組工程域で溶組された部品の溶組処理情報を前記溶組管理サーバに登録することを特徴とする。
【0014】
ここでの本願請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の車体生産装置において、所定溶組工程域の工程域制御手段により主要組製品の生産が完了したとの情報が前記溶組管理サーバに登録されると、前記搬送手段は所定溶組工程域の主要組製品を後段の所定溶組工程域に搬送することを特徴とする。
【0015】
ここでの本願請求項7の発明は、請求項6記載の車体生産装置において、前記搬送手段は天井側レールより懸架されコンベア搬送される吸着基板と、該吸着基板の下壁面に設けた多数の下向き孔のそれぞれより退却可能に突き出して主要組製品に吸着する多数の針状磁石からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明は、位置決めロボットが部品の搬送と部品の治具としての機能を発揮でき、溶組工程域より主要仮組製品ごとに必要となるキー治具を排除でき、一つの溶組工程域で多種の主要仮組製品の溶組作業を比較的容易に行うことができ、一つの溶組工程域をフレキシブルな設備とすることができ、年式変更などによる治具改修を行う必要がなく、更に、生産台数増のときは溶組工程域であるセルの数を増やし、平行生産することで対処することができる。
【0017】
請求項2の発明は、位置決めロボットに取り付けたステレオビジョンから得られる部品の画像より把持対象の部品であるか否かを認識し、供給位置において位置決めロボット自体の基準位置を認識した上で把持した部品の把持位置を認識し、作業位置マーカーの画像に基づき作業位置を認識するまで自走させ、位置決めロボットが作業位置を認識した上で把持している部品を認識部の画像に基づきセット位置に保持し、一の部品の溶組が完了すると溶組部品の把持を解放し、再度、供給位置に自走して戻り、次の部品の溶組を行うという溶組工程を繰り返すことで、1台分の組立に用いる部品全ての仮組が完了すると、所定の待機位置に搬送位置決めロボットを待機させるので、精度よく位置決めロボットの挙動を制御できる。
【0018】
請求項3の発明は、各溶組工程域で主要組製品としてのアンダーボデーアッセンブリ、左右の各サイドストラクチャーアッセンブリ、ルーフアッセンブリ、メインボデーアッセンブリのいずれか一つの溶組作業を比較的容易に行うことができる。
【0019】
請求項4の発明は、重量センサにより部品供給台上の各部品の有無を部品重量より容易に検出できる。
【0020】
請求項5の発明は、工程域制御手段が各部品の溶組処理情報を読み取り、これを溶組管理サーバに登録するので、溶組管理サーバが溶組工程域に補充すべき部品の種類や補充作業を適時に的確に指示することができる。
【0021】
請求項6の発明は、溶組管理データベースに登録された組立完了情報を搬送手段が認識すると、この搬送手段が組立完了の主要組製品を次の完成車体組立エリアに的確に搬送することができる。
【0022】
請求項7の発明は、吸着基板の下壁面に設けた多数の孔より突き出た針状磁石が主要組製品の形状に応じて出入量を調整して確実に主要組製品に吸着することができ、主要組製品の形状が個々に相違するとしても、確実に主要組製品の搬送を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態としての車体生産装置の平面全体構成図である。
【図2】図1の車体生産装置におけるセル生産方式を説明するブロック図である。
【図3】図1の車体生産装置におけるアンダーボデー(主要組製品)をセル生産する溶組工程域の全体斜視図である。
【図4】図1の車体生産装置における溶組工程域で用いる位置決めロボットの斜視図である。
【図5】図1の車体生産装置で用いる溶組作業域とそこでアンダーボデー(主要組製品)の初期の溶組作業をする溶組ロボットの斜視図である。
【図6】図1の車体生産装置で用いる部品序列場内の部品供給台とそこに部品供給する作業状態を示す斜視図である。
【図7】図1の部品序列場内の部品供給台に載置された部品の拡大斜視図である。
【図8】図1の車体生産装置におけるフロアに設けられるマーカーを示し、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
【図9】図1の車体生産装置で用いる搬送手段を示し、(a)は搬送手段の概略斜視図、(b)は部分切欠側断面図である。
【図10】図1の車体生産装置で用いる溶組作業域とそこでマスターゲージのティーチング作業をする溶組ロボットの斜視図である。
【図11】図1の車体生産装置における溶組工程域に搬入された部品供給台とそこで作業する溶組ロボットの斜視図である。
【図12】図11の部品供給台と対向配備されるマーカー及び部品の相対位置を説明する図である。
【図13】図1の車体生産装置で用いる溶組作業域とそこでアンダーボデー(主要組製品)の溶組作業をする溶組ロボットの斜視図である。
【図14】図1の車体生産装置における溶組工程域に対設された工程域制御手段が行う位置決めロボット、溶接ロボットの溶組作業ルーチンの前段のフローチャートである。
【図15】図1の工程域制御手段が行う位置決めロボット、溶接ロボットの溶組作業ルーチンの中段のフローチャートである。
【図16】図1の工程域制御手段が行う位置決めロボット、溶接ロボットの溶組作業ルーチンの後段のフローチャートである。
【図17】図1の工程域制御手段を含む工程盤300’と、位置決めロボット40の制御盤400の機能構成を説明するブロック図である。
【図18】本発明の他の実施形態としての車体生産装置におけるセル生産方式を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1には本発明の一実施形態としての車体生産装置を示した。この車体生産装置Aは車両の生産ラインの一部である車体組立ラインの要部を成している。この車体生産装置Aで生産された車体は所定の塗装を行う塗装ラインや、塗装済み車体にエンジン等の各種部品の組み付けを行う車両組立ラインに順次移送され、完成車両が製造されている。
このような車体組立ラインの要部を成す車体生産装置は、図1、2に示すように、複数の溶組工程域Enと、それらの上方に直列状に配備された搬送手段70と、各溶組工程域En(E1〜E5)に対向配備される部品供給エリアである部品序列場80n(801〜805)と、各溶組工程域Enを登録処理する溶組生産情報により管理する溶組管理サーバ20とを備える。
【0025】
複数の溶組工程域Enは複数種の部品mを所定の順に組み付け、溶組作業を行うことで所定段階の主要組製品WNを生産する。ここで図1、2に示すように、溶組工程域E1は主要組製品WNとして溶組するアンダーボデーアッセンブリが、溶組工程域E2は左のサイドストラクチャーアッセンブリが、溶組工程域E3は右のサイドストラクチャーアッセンブリが、溶組工程域E4はルーフを搬入されて行われるメインボデーアッセンブが、溶組工程域E5は完成車両の手作業による建付、仕上げが成されるという、各セルを成している。
各溶組工程域En(E1〜E5)は中央に溶組作業域e1を、左右端側に複数の部品mを載置して搬入する部品供給台10を、一側に溶組管理サーバ20からの溶組生産情報に応じて所定段階の主要組製品WNの溶組制御をする工程域制御手段30と、部品mの溶接を行う溶接ロボット50とを配設する。しかも、自走すると共に部品mを搬送し位置決めする位置決めロボット40を収容する。
【0026】
図1において、溶組工程域E1〜E5には各段階の主要組製品WNの溶組制御をする各工程域制御手段300(301〜305)が配備される。これらの工程域制御手段300は無線通信により溶組管理サーバ20に接続される。
溶組管理サーバ20は溶組生産情報である複数の部品mの溶組順情報や溶組処理情報を更新可能に登録する。なお、各工程域制御手段300は各溶組工程域Enで溶組された各部品mの溶組処理情報を検出し、これが溶組管理サーバ20の溶組処理情報データベースに更新登録する。
【0027】
図3に示すように、溶組管理サーバ20と各工程域制御手段300(工程盤300’)間は全て無線通信で連結される。更に、工程域制御手段300(工程盤300’)側と位置決めロボット40側の制御盤400とは無線通信により連結される。工程盤300’には工程域制御手段300と工程通信監視回路360が設けられ、これら両回路30n、360は溶組管理サーバ20と信号の授受を無線により行う。
無線通信とするため、通信異常が無いか常時監視され、通信異常が発生した場合は、回路を遮断し、位置決めロボット40、溶接ロボット50を安全方向に停止させる。通信監視回路部は工程制御回路の誤作動などに影響されないよう、ロボットの制御とは独立した回路とする。
図17において、工程域制御手段300(工程盤300’)は溶組管理サーバ20の格納部からの主要組製品WNの製造指令、全部品の溶組情報当を受け取り、所定時系列で製造指示を、位置決めロボット40の制御盤400に送信する。しかも、工程域制御手段300は部品認識手段301と、把持位置認識手段302と、走行制御手段303と、位置決め手段304と、解放待機手段305との各制御機能を備える。
【0028】
ここで、部品認識手段301は溶組生産情報である複数の部品mの溶組順情報や溶組処理情報に基づき、複数の部品mのうちの一つが把持対象の部品であるか否かを該部品の画像より認識する。把持位置認識手段302は供給位置マーカー60aの画像に基づき認識した供給位置s1において3次元での位置決めロボット40自身の基準位置を認識した上で把持した部品mの把持位置を認識する。走行制御手段303は供給位置s1よりフロア上を自走して、前記作業位置マーカー60bの画像に基づき作業位置s2を認識するまで走行する。位置決め手段304は作業位置s2において前記作業位置マーカー60bに基づき3次元での自身の基準位置を認識した上で把持部品mを認識部の画像に基づきセット位置dに位置決めする。解放待機手段305は主要仮組製品Wnの仮組みがすべて完了すると把持部品mの把持を解放させた上で所定の待機位置s0に自走して戻り待機させる、との各制御機能を備える。
【0029】
図17において位置決めロボット40側の制御盤400にはロボット制御回路410、出力遮断回路420、出力回路430及びロボット通信監視回路440が設けられる。
【0030】
ここで、ロボット制御回路410には、後述の溶組生産制御プログラム(図14〜図16参照)がセットされる。即ち、位置決めロボット40及び溶接ロボット50を各部品mの溶組時に搬送、部品把持位置へのセットプログラムや、仮組み時及び本組み時の溶接制御プログラムが取り込まれる。ロボット通信監視回路440は工程域制御手段300(工程盤300’)の工程通信監視回路360からの遮断指令を受け、あるいは、ロボット自体が遮断事態を検出した場合に、遮断指令を出力遮断回路420に出力する。出力遮断回路420は遮断指令に応じて出力回路430への駆動信号を遮断し、ロボットを安全方向に停止させる。
【0031】
このような位置決めロボット40による部品mの溶組時の搬送、部品把持位置へのセットと溶接ロボットの所定の仮止め溶接が全部品で繰り返され、主要仮組製品Wnの仮組みがすべて完了することとなり、その後、工程域制御手段300は溶接ロボット50にて主要仮組製品Wnの溶接箇所を増加させる増打を行って主要組製品WNを生産するよう制御する。
図1、図6に示すように、溶組工程域E1の近傍には、部品供給エリアである部品序列場80nが配備される。部品序列場80にはメーカーから送られてきた各部品を収納したパレット810が多数納入され、列状に配置されている。更に、部品序列場80n(801〜805)には溶組工程域Enの左右端に配備されていた2つの空となった部品供給台10が戻されている。ここでは2つの部品供給台10上の各載置位置に主要組製品WNを成す1台分の部品を分散して載置するという作業を次の溶組工程域Enへの搬入時期までに完了させている。
【0032】
図1、6に示す部品序列場80nには部品積み込み作業経過を管理するための作業経過表示手段81n(811〜815)が配備される。この作業経過表示手段81nは部品序列場80n(801〜805)が対向する溶組工程域En内に設けた工程域制御手段300を介して溶組管理サーバ20に連結される。工程域制御手段300からは溶組工程域E1(En)における部品供給台10上の複数の部品mの溶組済み情報が取り込まれ、これが溶組管理サーバ20及び接続された作業経過表示手段811(81n)に表示できる。 部品序列場80nに移送されてきた部品供給台(セット台車)10には、その側壁にIDタグの収納部110が形成され、そこに作業者がIDタグIDTをセットすることで、車種コードを入力できる。
【0033】
この車種コード信号に応じて、部品序列場80に配置されている作業表示灯駆動用の回線801を介して、各部品を収納したパレット810列のうち、部品の取出し指示を受けたパレット810列の表示灯802が点灯し、作業者に車種コードに対応した部品の取出し指示を行う。これにより、部品序列場80での作業者の部品載置作業を容易化できる。その際、作業経過表示手段81nに表示された部品mの溶組済み情報により、作業者は次の部品供給台10の搬入作業時期を予測でき、更に、後続の空の部品供給台10への複数の部品mの積み込み作業処理速度を調整できる。
【0034】
図6に示すように、部品供給台10は複数の小物部品を収容する多段に配列された収納箱101と、それらの上部の部品載置部102とを備える。収納箱101は引出状を成し、そこに小物部品が収納される。
部品載置部102には受金具は無く、BOXの中に入れるイメージで載置され、比較的大型の部品が載置され、それらの載置場所は予め設定される。しかも、これら載置場所には各部品mの有無を重量の変化に応じて検出する重量センサSmが設けられる。この重量センサSmにより部品供給台10上の各部品mの有無を部品重量より容易に検出できる。この重量センサSmの出力信号は各工程域制御手段300に検出され、同検出信号である部品mが溶組されたとの溶組処理情報はデータ通信回線210を介して溶組管理サーバ20に送信される。
【0035】
ところで、溶組工程域Enへの搬入時期に達すると、作業者は、溶組工程域Enの左右の空となった2つの部品供給台10を部品序列場80nに戻す。これに代えて、主要組製品WNの1台分の部品を左右2つに分割して載置する作業を完了した2つの部品供給台10を溶組工程域Enの左右の載置場所に移送し、部品の溶組工程域Enへの搬入作業を完了させる。
部品供給台10の溶組工程域Enへの搬入が完了すると、その搬入情報は工程域制御手段300を介し溶組管理サーバ20に登録される。これにより、溶組管理サーバ20が各溶組工程域Enにおける溶組処理部品である補充すべき部品mの種類や補充作業時期を的確に指示できる。これに応じて部品供給エリアである部品序列場80における、部品供給台10への各部品mの搭載作業の手順を容易に調整することができる。
【0036】
図1、図9(a),(b)に示すように、直列状に配備された各溶組工程域En(E1〜E5)の上方には、搬送手段70が配備される。この搬送手段70は、天井側に支持された天井レール702と、天井レール702に摺動自在に支持され不図示のチェーン搬送手段により移送されるキャリア701と、キャリア701に懸架されると共に昇降移動可能な4つの吸着基板703(図9(b)参照)と、各吸着基板703(図9(a)参照)の下壁面に設けた多数の下向き孔704のそれぞれより退却可能に突き出して主要組製品WNに吸着可能な多数の針状磁石705と、これらの搬送制御手段710とからなる。
この搬送制御手段710は信号回線201を介して溶組管理サーバ20と接続される。溶組管理サーバ20に溶組工程域En(E1〜E5)の主要組製品WNの完成情報が入力され、更新登録が成されるとする。これを搬送手段70が認識すると、予め設定された搬送タイミングに応じて、現溶組工程域Enより次の後段側の溶組工程域Enに主要組製品WNを搬送制御する搬送信号が出力される。
【0037】
この場合、搬送手段70は溶組が完了した主要組製品WNを次の溶組工程域En、たとえば完成車体組立エリアE4に搬送するようキャリア701に支持された吸着基板703を上下及び前後に移動制御する。この際、吸着基板703の下壁面に設けた多数の下向き孔704より突き出た針状磁石705が主要組製品WNの形状に応じて出入量を不図示のばねの弾性変位により調整して、確実に主要組製品WNに吸着することができ、主要組製品WNの形状が個々に相違するとしても、確実に主要組製品WNに吸着し、搬送を行うことができる。
次に、図1において、前段側より後段側に順次配設された溶組工程域E1〜E5を具体的に説明する。
前段側の溶組工程域E1は主要組製品WNとしてのアンダーボデーアッセンブリ(以後単にアンダーボデーWN1と記す)を生産するセルを成す。
【0038】
溶組工程域E1のフロアfの中央には溶組作業域e1が設けられ、フロアfの左右端側の各突状域には左右側に分けられた部品を載置する2つの部品供給台10が設けられ、フロアfの一側にはデータ通信回線210を介して溶組管理サーバ20に接続された工程域制御手段300(工程盤)が設けられる。更に、溶組作業域e1の周囲には4つの溶接ロボット50と、自走すると共に部品mを搬送し位置決めする位置決めロボット40が複数台配設される。
ここで、各部品供給台10の手前側となるフロアf上の位置が後述する供給位置s1となり、供給位置s1に位置決めロボット40が達したことを確認する作業位置マーカー60a(図8(a)、(b)、図11参照)がフロアfにセットされている。作業位置マーカー60aはフロアfに不図示のビスにより固着される基板601と、基板の上面に突状に形成され、基準ポイントbpを表示する十字状印字部602とを有し、左右の2つの角部にはその外側よりかみ合うズレ防止のキープレート603が嵌合するよう形成される。
【0039】
次に、図3、5に示すように、溶組作業域e1の中央にアンダー受台90が配備される。このアンダー受台90は図1、図5に示すように、フロア上に突設された前後4つの受台901〜904で形成される。各受台901〜90は主柱910と工程ロボット治具913とで形成される。工程ロボット治具913は主柱910の左右より斜め上方に突き出す多関節アーム911および多関節アーム911の上位面に出入可能に配備されたピンクランプ機構912からなる。
【0040】
工程ロボット治具913の多関節アーム911は左右3段の各可動アーム片を上下及び左右方向に揺動可能に相互連結された構造を採り、工程ロボット治具913の上下左右位置を調整できる。更に、工程ロボット治具913のピンクランプ機構912はアンダーボデーWN1を構成する各部品mに設けたロケーション穴h1〜hn(たとえば、図6に符号h1,h2で示す)に嵌合し、係止、係止解除の切換えを行うことで、アンダーボデーWN1側を位置決めする周知の構成を採る。
なお、前後4つの受台901〜904では、各多関節アーム911のうち、増打時に不要となる部位はピンクランプ機構912を解除した上で下げ変位される。これら工程ロボット治具912の上下及び左右方向の揺動切換え、ピンクランプ機構912の切換え制御は工程域制御手段300により行われる。
【0041】
溶組作業域e1にはフロアfの一部を成すサブベースf0が形成され、ここには位置決めロボット40が溶組作業域e1の手前の作業位置s2に達したことを確認するための作業位置マーカー60b(図8(a)、(b)参照)が取り付けられる。なお、この溶組作業域e1にはその左右両側面にそれぞれ作業位置s2に達したことを確認する作業位置マーカー60bが取り付けられる。
図1、3に示すように、溶組作業域e1の周囲には4つの溶接ロボット50が配備される。各溶接ロボット50は基台501と、その上で水平方向において360度回転するアーム部502と、アーム部502の先端のチャック部503に交換可能に装着される溶接ガン504とを備え、全体はガンチェンジ付の7軸多関節ロボットを成す。この溶接ロボット50の溶接作業及びガンチェンジの各制御は工程域制御手段300により成される。
【0042】
工程域制御手段300は仮組溶接時の溶組の順序に沿って主要仮組製品Wnへの部品mの溶組が全部終了するまで行われる。この際、箇所に応じて、4つの溶接ロボット50のうちの適正位置の溶接ロボット50を選択し、次いで、最適箇所の溶接ロボット50に対し、溶組位置に応じた溶接ガン504をツールチェンジャーより取り出し、装着する。
その上で、後述する位置決めロボット40により把持され、位置決めされた部品mの仮組溶接時のデータに沿って溶接を行い、この後、主組溶接時においては、主組時のデータに沿って溶接箇所を増加させる増打を行うよう制御する。
【0043】
図1、3に示すように、溶組作業域e1の周囲には複数の位置決めロボット40が配備される。位置決めロボット40は工程域制御手段300の指示や、後述する教示設定(ティーチング)されたプログラムに沿い、部品供給台10に対向する供給位置s1で部品mを把持した上で自走し、溶組作業域e1と対向する作業位置s2(部品セット位置)に達すると該部品mをセット位置dに位置決めするよう作動する。
図4、5に示すように、位置決めロボット40は、部品mを把持する把持アーム401が上腕部402を介して取り付けられた上台403と、上台403を支持しキャタピラ走行部404を備えた下台405と、供給位置s1の供給位置マーカー60aや作業位置s2の作業位置マーカー60bの各画像を取り込み工程域制御手段300に送信するステレオビジョン410とを備える。
【0044】
この位置決めロボット40はバッテリー駆動の完全自動型ロボットであり、バッテリー電圧低下時には待機位置s0の近傍の充電場Sch(図1参照)に戻り、充電等を自動で実施する機能を備える。
キャタピラ走行部404はキャタピラを使用しており、段差などに柔軟に対応して自由走行できる機能を備える。
上台403に支持された上腕部402は2本(場合により3本)腕とし、1腕7軸以上の多関節とし、各腕のツール先端での協調制御とし、十分な自由度を持たせている。把持アーム401による把持された部品mの可搬重量は1腕で30kg以上となるよう形成されている。
【0045】
上台403の把持アーム401の先端にはツールチェンジャーを介して把持機構が装着される。これにより、把持アーム401の先端に装着される把持機構は着脱可能で、部品の形状等によりツールチェンジして、持ち換えを行うことが可能である。ツールチェンジャーは電気のみを動力源として使用し、数種類の把持機構を装着できる。把持機構は、例えば、(a)係合ピンにフックを組み合わせたピンクランプタイプ、(b)2本爪把持機構、(c)3本爪把持機構、(d)初期教示等に用いるピン(ロケーター付)、等のバリエーションが用意される。
【0046】
ステレオビジョン410は、位置決めロボット40の上台403の上部に取り付けられ、部品mの認識部kや、供給位置s1の供給位置マーカー60aや、作業位置s2の作業位置マーカー60bの各画像を取り込み、工程域制御手段300に送信する機能を備える。
このステレオビジョン410は左右のビジョンカメラ410cと中央のレーザー発信機410rと、ステレオビジョン機構(画像認識部)410sを備える。ステレオビジョン機構(画像認識部)410sはレーザー光の使用により、位置決めロボット40の水平面に対する傾きを測定する機能を備える。更に、ステレオビジョン機構(画像認識部)410sはその傾きを考慮したうえで、自機(自分)の位置、把握した部品の取出し時の部品の把持位置の各認識機能や、セット位置dへの位置決め時の位置補正機能を発揮するよう構成される。
【0047】
次に、主要組製品WNとしてのアンダーボデーWN1を生産する溶組工程域E1で位置決めロボット40を制御する工程域制御手段300が行う部品位置決めのロジックや、精度の保障を説明する。
ここでは(A)部品取出し部での初期部品位置教示設定処理と、(B)溶組作業域e1(部品セット位置)での初期部品位置教示設定処理と、を順次説明する。
(A)部品取出し部での初期部品位置教示設定処理
(1)部品取り位置の基準ティーチングについて、
a:図1に示すように、位置決めロボット40には予め設定されたロボット原点である待機位置s0から、供給位置s1までの移動量を教示(教示TNo.2)する。
この場合、図11に示すように、位置決めロボット40が供給位置s1に到達する直前位置s1bに達すると、前方に配備されている供給位置マーカー60a(部品取り位置のターゲットマーカー)のマーカー位置をステレオビジョン410のステレオビジョン機構(画像認識部)410sが認識し、供給直前位置s1bを教示(教示TNo.1)する。 更に、位置決めロボット40は供給位置s1(教示TNo.2)まで移動し、供給位置マーカー60aの位置をステレオビジョン410で認識し、部品取り位置である供給位置s1を教示する。
【0048】
b:次に、供給位置s1での部品種別を教示する。
位置決めロボット40は供給位置s1において、部品類別が出来る部品mの特殊形状部位である認識部kをステレオビジョン410で認識し、教示する。(形状教示)
たとえば、図7の部品mの場合、ビジョンセンサーで部品位置を確認可能とするため、認識部(ビジョン用穴)kを3箇所、もしくは、認識部(ビジョン用フランジ面)kを1箇所設置し、これらを認識して、部品類別を行う。
なお、図7の部品mには各認識部kのほかに、位置決めロボット40のピンクランプで把持出来るように、ロケーション穴h1〜hnが2箇所設置される。
【0049】
c: 次に、供給位置s1(教示TNo.2)での部品基準位置を教示する。
図11,12に示すように、位置決めロボット40は供給位置s1において、供給位置マーカー60aのターゲットマーカー位置から部品mの認識部(ビジョン用フランジ面)kまでを認識し、絶対値を教示(教示TNo.3)する。
更に、供給位置s1において、把持治具401を部品のロケーション位置であるロケーション穴h1〜h2(図7参照)にあわせる教示を行う(教示TNo.4)。
(2)部品取り動作の再生キャリブレーションについて、
a:位置決めロボット40をロボット原点である待機位置s0(図1参照)から、供給位置s1に向けて移動させる。
ここで、部品取出し位置の到達手前で供給位置マーカー60a(部品取り位置のターゲットマーカー)のマーカー位置(基準ポイントbp)をステレオビジョン410が認識し、誤差dgNo.1(図11参照)を計算する。
供給位置s1(教示TNo.2)までの移動量に誤差dgNo.1を加味し、移動量キャリブレーションし、修正処理する。
【0050】
次いで、位置決めロボット40を供給位置s1まで移動し、供給位置マーカー60aの位置をステレオビジョン410で確認し、供給位置s1との誤差dgNo.2を計算する。更に、位置決めロボット40を誤差dgNo.2の分だけ追加移動し、そこで、供給位置マーカー60a(部品取り位置のターゲットマーカー)のマーカー位置を確認し、供給位置s1に到達するまでの誤差を測定する。この移動の繰り返し処理を3回以上実施し、誤差が排除され供給位置s1に到達しなければ設定到達異常を出力することとなる。この供給位置s1に到達できれば部品種別確認に進む。
【0051】
b:供給位置s1(部品取り位置)での種別確認をする。
【0052】
ここでは、教示された形状教示と部品の形状を照合する。
たとえば、図7の部品mの場合、ビジョンセンサーで部品の確認のため、認識部(ビジョン用穴)kを3箇所、もしくは、認識部(ビジョン用フランジ面)kを1箇所認識して、部品類別を行う。
部品mが異なる場合、工程域制御手段300に部品類別異常信号が出力され、待機に保持され、作業者による部品mの入替を行って、再度の部品類別確認を行う。
【0053】
c:部品位置を再生キャリブレーションする。
図12に示すように、供給位置マーカー60a(部品取り位置のターゲットマーカー)のマーカー位置から部品mの認識部k(ビジョン用の穴)の位置までの絶対値(実測値)nc1を測定する。その際、教示値Tno.3に対する誤差誤差dgNo.3が演算される。 次いで、供給位置s1基準の部品mの教示位置No.4に誤差dgNo.3を加味し、部品把持位置のキャリブレーションを行い、部品m把持の作動を継続する。この際、キャリブレーション不可で把持不良が出た場合は、把持異常を出力し、待機に保持され、作業者による部品の把持位置修正を行って、再度の部品把持位置のキャリブレーション処理が繰り返され、完了すれば部品を溶組作業域e1(部品セット位置)へ移動する。
(B)作業位置s2(部品セット位置)での、初期部品位置教示設定処理
(1)作業位置s2(部品セット位置)での基準ティーチングについて、
a:図10に示すように、溶組作業域e1の中央にアンダー受台90(治具)及びサブベースf0上の作業位置マーカー60bがセットされ、アンダー受台90上にマスターゲージ200が配備される。
位置決めロボット40は溶組作業域e1前部の所定の作業位置s2に達したことを作業位置マーカー60bにより確認する。ここでの基準ティーチングにおいて、予め、位置決めロボット40は把持アーム401に、把持治具であるピン(ロケーター付)をセットする。その上で、マスターゲージ200とサブベースf0との相対位置のティーチングが、位置決めピン(ロケーター付)にて位置だし処理される。
【0054】
b:次に、供給位置s1から、作業位置s2(部品セット位置)までの移動量を教示する。
供給位置s1から作業位置s2へ移動する際、その到達手前位置s2b(図10参照)において作業位置マーカー60bのマーカー位置を教示(教示TNo.5)する。
次いで、溶組作業域e1(作業位置s2)まで移動し、作業位置マーカー60bのマーカー位置を教示(教示TNo.6)する。
【0055】
c:作業位置s2での部品基準位置を教示する。
作業位置マーカー60bのマーカー位置からマスターゲージ200の基準位置までの絶対値を教示する。(教示TNo.7)
更に、部品基準位置(部品セット位置d)の教示では、ピン(ロケーター付)を有する把持治具401をマスターゲージ200のロケーション位置(把持位置)にあわせるよう教示する。(例えば、教示TNo.8)
(2)部品セット動作の再生キャリブレーション
a: 位置決めロボット40が部品mを把持した上で、供給位置s1から、溶組作業域e1手前の作業位置s2まで移動する。
作業位置s2に到達する手前位置s2bにおいて、作業位置マーカー60bのマーカー位置を確認、誤差dgTNo.5を計算する。
作業位置s2までの移動量に誤差dgNo.5を加味し、移動量キャリブレーション(再調整)をする。
次いで、位置決めロボット40を作業位置s2まで移動し、位置決めロボット40を誤差dgNo.5の分だけ追加移動し、再度作業位置マーカー60bのマーカー位置を確認し、作業位置s2に到達するまで誤差測定、移動の繰り返しを3回以上実施する。位置到達しなければ設定到達異常を出力する。
ここで、作業位置s2に到達できれば、次の部品セット動作を行う。
【0056】
b:作業位置s2での部品基準位置を再生キャリブレーションする。
図13に示すように、ここでは作業位置マーカー60bのマーカー位置から部品mの認識部(ビジョン用の穴位置)kまでの絶対値を測定し誤差dgNo.6(不図示)を計算する。
次いで、部品セット位置d(教示TNo.8)に誤差dgNo.6を加味し、部品把持位置のキャリブレーションを行い、部品位置を修正する。位置だし完了すれば、部品セット完了を工程域制御手段300に出力する。このあと、生産時においては、溶接ロボットが所定の仮止め用の溶接位置を溶接することとなる。
【0057】
c: 部品溶接完了後の動作
工程域制御手段300より溶接完了信号を受け取ったあと、把持治具401をアンクランプし、把持治具401のみを逃がし動作させる。
次いで、溶接完了後の部品位置確認動作をする。ここでは部品位置を測定し部品セット位置d(教示TNo.8)との誤差を計算する。この誤差が、たとえば、許容誤差±1、0mm以内に入っているか確認し、入っていれば、完了信号、Ngの場合は異常信号を出力する。この後、位置決めロボット40はロボット原点である待機位置s0(図1参照)に戻る。
【0058】
このような位置決めロボット40による1部品mの溶組時の搬送、部品把持位置へのセットと溶接ロボットの所定の仮止め溶接が全部品で繰り返され、主要仮組製品Wnの仮組みがすべて完了することとなり、その後、工程域制御手段300は溶接ロボット50にて主要仮組製品Wnの溶接箇所を増加させる増打を行って主要組製品WNを生産するよう制御する。
【0059】
次に、溶組工程域E1に配備され、無線通信を介して溶組管理サーバ20に接続された工程域制御手段300による、主要仮組製品Wn及びその後の主要組製品WNとしてのアンダーボデーWN1の溶組制御を、図14〜16の制御処理ルーチンに沿って説明する。 工程域制御手段300の溶組制御処理では、ステップs1で位置決めロボット40を待機位置s0(図1参照)から、供給位置s1に向けて移動させる。ステップs2で供給位置s1の到達手前位置s1bで供給位置マーカー60aのマーカー位置をステレオビジョン410が認識し、誤差dgNo.1を計算し、誤差が所定範囲に入らないとNG側に進み、入るまではステップs3に進み、位置決めロボット40の接近に応じて、順次、誤差dgNo.1を計算し、誤差dgNo.1が許容値に入るとステップs4に進む。
【0060】
ステップs4、s5では、位置決めロボット40を供給位置s1に向けて移動する。この際、供給位置マーカー60aの位置を確認し、教示TNo.2との誤差dgNo.1を求め、誤差が無いとステップs7に、あるとステップs6に進む。更に、位置決めロボット40が誤差dgNo.1の分だけ追加移動し、そこで、供給位置マーカー60aに到達するか判断する。ここでは補正3回までは部品取り出し位置補正を繰り返し、ステップs8、s4、s5、s6のループで修正し、誤差が無いとステップs7に進む。補正3回過ぎてステップs6に達するとステップs9に進み、設定位置到達未異常出力をロボット通信監視回路440に出力し、出力遮断回路420を介し出力回路430への駆動信号を遮断し、ロボットを安全方向に停止させ、作業者による異常回復処置が成される。
【0061】
供給位置s1に到達でき、ステップs7に達すると、部品種別確認をする。たとえば、図7の部品mの3箇所の認識部(ビジョン用穴)k、もしくは、1箇所の認識部(ビジョン用フランジ面)kを認識して、部品類別を行う。
このステップs7、s10、s11が部品認識手段301として機能する。
ここで、異なる場合はステップs11、s12に進み、工程域制御手段300に部品類別異常信号を出力し、出力遮断回路420を介し出力回路430への駆動信号を遮断し、ロボットを安全方向に停止させ、作業者による部品入れ替え処置が成される。
【0062】
ステップs7より部品確認後、ステップs12に達すると、図12に示すように、供給位置マーカー60aのマーカー位置から部品mの認識部kの位置までの絶対値(実測値)nc1を測定する。ここで、教示TNo.3との誤差dgNo.3が演算され、基準の部品mの教示TNo.4にないと、部品mの教示TNo.4に誤差dcNo.3を加味し、部品把持位置のキャリブレーションを行い、部品m把持の作動を継続する。
再度の部品把持位置のキャリブレーション処理が繰り返され、完了すればステップs14で部品を溶組作業域e1へ移動し、NGではステップs13において教示TNo.4に誤差dcNo.3を加味したティーチング補正を行う。
【0063】
このステップs12、s13が把持位置認識手段302として機能する。
その後、ステップs14で溶組作業域e1(部品セット位置)へ移動する。
ステップs15に達すると、位置決めロボット40が部品mを把持した上で、供給位置s1から移動可能か判断し、NGでは判断を繰り返し、ステップs16において、溶組作業域e1手前の作業位置s2まで移動する。
ステップs17では手前位置s2bに達したか教示TNo.6と現在の作業位置マーカー60bのマーカー位置との誤差dgNo.4を照合して判断する。NGでステップs17に進むと、作業位置s2までの移動量に誤差dgNo.4を加味し、移動量キャリブレーション(再調整)し、ステップs19に進む。
なお、ステップs16〜s19が走行制御手段303として機能する。
【0064】
ステップs19では、位置決めロボット40を作業位置s2まで移動し、ステップs20では作業位置マーカー60bのマーカー位置を確認する。教示TNo.6(図10参照)との誤差dgNo.5を計算し、誤差が無いとステップs23に、あるとステップs21に進む。更に、位置決めロボット40が誤差dgNo.5の分だけ追加移動し、そこで、供給位置マーカー60aに到達するか判断する。ここでは補正3回までは部品取り出し位置補正を繰り返し、ステップs21、s22、s19、s20のループで修正し、誤差が無いとステップs23に進む。補正3回過ぎてステップs21に達するとステップs24に進み、設定位置到達未異常出力をロボット通信監視回路440に出力し、出力遮断回路420を介し出力回路430への駆動信号を遮断し、ロボットを安全方向に停止させ、作業者による異常回復処置が成される。
【0065】
ステップs23に達すると、作業位置s2での作業位置マーカー60bのマーカー位置から部品mの認識部(ビジョン用の穴位置)kまでの絶対値を測定し、誤差dgNo.6を求める(図13参照)。
ここでのステップs20〜s23が位置決め手段304として機能する。
【0066】
次いでステップs25では、部品セット位置d(教示TNo.8)に達したか判断し、達する前はステップs26において、誤差dgNo.6を加味した補正を加え、部品把持位置のキャリブレーションを行い、部品位置を修正する。位置だし完了すれば、ステップs27に達し、ここで、部品セット完了を工程域制御手段300に出力する。
【0067】
次いで、ステップs28〜s30に進む。
ここでは溶接ロボット50による仮組みのための溶接処理が成され、工程域制御手段300(工程盤)が溶接ロボット50より溶接完了の入力を受けると、把持部品mの把持を解放させる。
【0068】
この後、ステップs31において、部品セット位置d(教示TNo.8)と今回の部品セット位置dとを照合し、ズレが許容値以内か否か判断し、正常ではステップs32において、正常完了を工程域制御手段300に出力し、ズレが許容値を上回るとNGと判断する。ステップs33において、異常信号を工程域制御手段300(工程盤)に出力し、その上で、溶接ロボット50は待機位置s0に自走して戻り待機する。
ここで、異常信号を検出すると作業員が新たに部品mを追加し、その部品mの溶組を再度繰り返すように工程域制御手段300に繰り返し処理のための入力を行う。
【0069】
ここでのステップs30〜s34が解放待機手段305としての制御機能を備える。
ステップs34より、ステップs35に達すると、待機位置s0の溶接ロボット50のバッテリーチェックを行い、設定地を下回り、低電圧化しているとNGと判断し、ステップs36,s37と進み、ここで、位置決めロボット40を充電場(図1では符号Schで示す位置)に移動させ、バッテリーを自動充電する。充電完了でステップs38に戻り、溶接ロボット50を待機位置s0(Home POS)に移動する。
ここでは、位置決めロボット40の小型化、軽量化を図る上で搭載するバッテリーの小型化の必要性が高く、頻繁に充電を行う必要がある。ここでは充電必要時には充電場Schへの移動を制御系が確実に指示するので、的確な充電が成され、バッテリーの小型化を図ることを容易化している。
【0070】
このような1の部品mの溶組は主要仮組製品Wnの仮組みがすべて完了するまで順次繰り返され主要仮組製品Wnとしての仮組みアンダーボデーWn1が完成する。
この仮組みアンダーボデーWn1の仮組みがすべて完了すると位置決めロボット40は待機位置s0(Home POS)に移動する。
この後、工程域制御手段300は溶組作業域e1の中央のアンダー受台90上の仮組みアンダーボデーWn1の溶組完了を確認したうえで、溶接ロボット50にて溶接箇所を増加させる増打を行う。これにより、主要仮組製品Wnの保形性を確保し、所定強度を確保した主要組製品WNのアンダーボデーWN1を生産する。
【0071】
この後、主要組製品WNのアンダーボデーWN1の溶組完了を確認したうえで工程域制御手段300はデータ通信回線210を介して溶組管理サーバ20に主要組製品WNの溶組完了の信号を送信する。この溶組工程域E1でのアンダーボデーWN1の溶組完了の信号を受けた溶組管理サーバ20はアンダーボデーWN1の完成情報を更新登録する。
これに応じて、溶組管理サーバ20は溶組工程域E1より後段側の溶組工程域EnにアンダーボデーWN1を搬送する搬送指示信号が出力される。
【0072】
これを搬送手段70が認識すると、予め設定された搬送タイミングに応じて、現溶組工程域Enより次の後段側の完成車体組立エリアE4(図2参照)にアンダーボデーWN1を搬送する搬送指示信号が搬送制御手段709(図1参照)に出力される。この搬送制御手段709はキャリア701に支持された4つの吸着基板703を同時に上下及び前後に移動制御する。この際、図9(a),(b)に示すように、各吸着基板703の下壁面に設けた針状磁石705が主要組製品WNの4箇所に確実に吸着でき、搬送を確実に行うことができる。
【0073】
この後、アンダーボデーWN1(主要組製品)の溶組完了を確認したうえで工程域制御手段300は無線通信により溶組管理サーバ20に主要組製品WNの溶組完了の信号を送信する。この溶組工程域E1でのアンダーボデーWN1(主要組製品)の溶組完了の信号を受けた溶組管理サーバ20は主要組製品WNの完成情報を更新登録する。
ところで、図1、2に示すように、溶組工程域E1では仮組みアンダーボデーWn1の溶組完了を確認したうえで、溶接ロボット50にて溶接箇所を増加させる増打を行い、アンダーボデーWN1(主要組製品)が生産された。
【0074】
同様に、溶組工程域E2ではその近傍の部品序列場802から部品供給台10により供給された不図示の右のサイドストラクチャー及び複数の溶組部品が供給され、工程域制御手段320に制御される位置決めロボット40と溶接ロボット50とが協働して所定段階の主要仮組製品Wnである右の仮組みサイドストラクチャーアッセンブリWn2を溶組し、その上で仮組みサイドストラクチャーアッセンブリWn2に対し、溶接ロボット50により溶接箇所を増加させる増打を行い、右のサイドストラクチャーアッセンブリWN2(主要組製品)を生産する。
【0075】
同様に、溶組工程域E3では部品序列場803から部品供給台10により供給された不図示の左のサイドストラクチャー及び複数の溶組部品が供給され、工程域制御手段330に制御される位置決めロボット40と溶接ロボット50とが協働して所定段階の主要仮組製品Wnである左の仮組みサイドストラクチャーアッセンブリWn3を溶組し、その上で仮組みサイドストラクチャーアッセンブリWn3に対し、溶接ロボット50により溶接箇所を増加させる増打を行い、左のサイドストラクチャーアッセンブリWN3(主要組製品)を生産する。
【0076】
同様に、溶組工程域E4では部品序列場804から部品供給台10によりルーフ(不図示)が搬入され、しかも、搬送手段70により主要組製品であるアンダーボデーWN1と、左右のサイドストラクチャーアッセンブリWN3、WN4とが順次搬入される。これらを、工程域制御手段340に制御される位置決めロボット40と溶接ロボット50とが協働して所定段階の主要仮組製品Wnである仮組みメインボデーアッセンブWn4が仮組みされる。その上で仮組みメインボデーアッセンブWn4に対し、溶接ロボット50により溶接箇所を増加させる増打を行い、メインボデーアッセンブWN4(新たな段階での主要組製品)を生産した。
【0077】
この後、搬送手段70によりメインボデーアッセンブWN4は溶組工程域E5に搬送され、そこで、メインボデーアッセンブWN4が手作業により建付や仕上処理が加えられ、完成車体が生産される。この完成車体は次の塗装ラインや、塗装済み車体にエンジン等の各種部品の組み付けを行う車両組立ラインに順次搬送され、完成車両が製造されている。 上述のように、図1の車体生産装置においては、溶組工程域E1〜E5を直列に配備し、前段より後段側に向け配置された各溶組工程域E1(E1〜E5)であるセルにおいて、各段階における主要仮組製品Wnをまず溶組し、その上で溶接ロボット50により溶接箇所を増加させる増打を行い、主要組製品WNを生産し、最終の溶組工程域E5で完成車両を製造した。このように、各セルで多種の主要組製品WNを容易に生産でき、それらを更に組み合わせて新たな段階での主要組製品WNを容易に生産できる。特に、各溶組工程域E1(E1〜E5)に配備された、位置決めロボット40が部品mの搬送と部品の治具としての機能を発揮でき、溶組工程域E1(E1〜En)より主要仮組製品Wnごとに本来必要となるキー治具を排除できる。しかも、位置決めロボット40が多種の治具として機能でき、一つの溶組工程域Enで多種の主要仮組製品Wnの溶組作業を比較的容易に行うことができる。更に、一つの溶組工程域Enをフレキシブルな設備とすることができ、年式変更などによる治具改修を行う必要がない。
【0078】
更に、図1の車体生産装置においては、前段より後段側に向け溶組工程域E1(E1〜E5)が一列に配備されたレイアウトを採っていた。これに代えて、図18に示すように、生産台数増のときは、溶組工程域En(E1〜E5)である5つのセルを1ラインR1とし、これを、たとえば、3列(R2,R3を追加)に並列状態で増設する。
この際、並列配備された共通の段階での主要仮組製品Wnの生産に用いる部品の供給を、一つの部品序列場80nを用いて行うようにしても良い。この場合、溶組工程域E1での部品序列場801は各ラインR1〜R3毎に部品序列場801を配備する。
【0079】
これに対し、溶組工程域E2〜E5での部品序列場802〜805は3つのラインR1〜R3で各段階毎に共通とする。これにより、部品序列場801は各ラインR1〜R3毎にスペース確保の必要があるが、それ以外の各段階毎の部品序列場802〜805は共通とするので、レイアウト的に有利であり、同様の部品の載置作業であるので比較的作業性も良好と成る。
上述のところにおいて、図1の車体生産装置では溶組工程域E1〜E5の各工程域制御手段300(301〜305)が溶組管理サーバ20に無線で接続されていたが、この部分をデータ通信回線で接続するように構成し、簡素化を図ってもよい。
【符号の説明】
【0080】
20 溶組管理サーバ
300 工程域制御手段
301 部品認識手段
302 把持位置認識手段
303 走行制御手段
304 位置決め手段
305 解放待機手段
360 工程通信監視回路
40 位置決めロボット
401 把持アーム
402 上腕部
403 上台
404 キャタピラ走行部
405 下台
400 位置決めロボットの制御盤
410 ステレオビジョン
50 溶接ロボット
60a 供給位置マーカー
60b 作業位置マーカー
70 搬送手段
701 コンベア
702 天井側レール
703 吸着基板
704 下向き孔
705 針状磁石
801〜805(80n) 部品序列場
d セット位置
k 認識部
m 部品
s0 待機位置
s1 供給位置
s2 作業位置
A 車体生産装置
C 車体
E1(E1〜En) 溶組工程域
Sm 重量センサ
Wn 主要仮組製品
WN 主要組製品
Wn1 仮組みアンダーボデー(主要仮組製品)
WN1 アンダーボデー(主要組製品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定数の溶組工程域の各々において複数種の部品を所定の順に組み付けて所定段階の主要組製品を生産し、同主要組製品を次の後段の溶組工程域に搬送手段で搬送することを所定数繰り返すことで最終段階の溶組工程域で車体を製造する車体生産装置において、
前記所定段階の溶組工程域には、
前記主要組製品を組立てる複数の部品を載置して搬入される部品供給台と、
前記溶組工程域を管理する溶組管理サーバからの溶組生産情報に応じて前記所定段階の主要組製品の溶組制御をする工程域制御手段と、
前記工程域制御手段の指示に沿い、前記部品供給台に対向する供給位置で前記部品を把持した上で自走し、溶組作業域と対向する作業位置に達すると該部品をセット位置dに位置決めする位置決めロボットと、
前記工程域制御手段の指示に沿い、前記位置決めロボットによりセット位置に保持された部品の溶接を行う溶接ロボットと、
前記溶接された部品を前記溶組作業域で支持する支持台と、が配備され、
前記工程域制御手段は前記溶組管理サーバからの前記溶組生産情報に沿い、前記位置決めロボットにより前記供給位置で前記部品供給台の各部品を取り出し、前記作業位置で取り出した部品のセット位置への位置決めを行い、次いで前記溶接ロボットにより前記位置決め部品の溶接を行って主要仮組製品を生産し、次いで、該主要仮組製品を前記支持台上に配置されるように前記位置決めロボットによる主要仮組製品の把持を解放してから、所定の待機位置に位置決めロボットを待機させ、次いで、前記溶接ロボットにて前記主要仮組製品の溶接箇所を増加させる増打を行って前記主要組製品を生産するよう制御することを特徴とする車体生産装置。
【請求項2】
請求項1記載の車体生産装置において、
前記位置決めロボットは、
部品供給台に載置され認識部kが形成された部品を把持する把持アームが上腕部を介して取り付けられた上台と、該上台を支持しキャタピラ走行部を備えた下台と、前記位置決めロボットに取り付けられると共に前記認識部と前記供給位置の供給位置マーカーと作業位置の作業位置マーカーとの各画像を取り込み前記工程域制御手段に送信するステレオビジョンと、を備え、
前記工程域制御手段は、
前記溶組生産情報である前記複数の部品の前記溶組順情報や溶組処理情報に基づき、複数の部品のうちの一つが把持対象の部品であるか否かを該部品の画像より認識する部品認識手段と、前記供給位置マーカーの画像に基づき認識した供給位置において3次元での位置決めロボット自身の基準位置を認識した上で把持した部品の把持位置を認識する把持位置認識手段と、前記供給位置よりフロア上を自走して、前記作業位置マーカーの画像に基づき作業位置を認識するまで走行する走行制御手段と、前記作業位置において前記作業位置マーカーに基づき3次元での自身の基準位置を認識した上で把持部品を前記認識部の画像に基づき前記セット位置に位置決めする位置決め手段と、前記主要仮組製品の仮組みがすべて完了すると把持部の把持を解放させた上で所定の待機位置に自走して戻り待機させる解放待機手段と、を備えたことを特徴とする車体生産装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車体生産装置において、前記溶組工程域で溶組する主要組製品はアンダーボデーアッセンブリ、左右の各サイドストラクチャーアッセンブリ、ルーフアッセンブリ、メインボデーアッセンブリのいずれか一つであることを特徴とする車体生産装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の車体生産装置において、前記工程域制御手段が前記部品供給台上の各部品の有無を重量センサにより検出することを特徴とする車体生産装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の車体生産装置において、
前記所定段階の溶組工程域で溶組された部品の溶組処理情報を前記溶組管理サーバに登録することを特徴とする車体生産装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の車体生産装置において、所定溶組工程域の工程域制御手段により主要組製品の生産が完了したとの情報が前記溶組管理サーバに登録されると、前記搬送手段は所定溶組工程域の主要組製品を後段の所定溶組工程域に搬送することを特徴とする車体生産装置。
【請求項7】
請求項6記載の車体生産装置において、前記搬送手段は天井側レールより懸架されコンベア搬送される吸着基板と、該吸着基板の下壁面に設けた多数の下向き孔のそれぞれより退却可能に突き出して主要組製品に吸着する多数の針状磁石からなることを特徴とする車体生産装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−121405(P2011−121405A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278748(P2009−278748)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】