説明

載置プレート、基板移載装置および基板処理装置

【課題】基板を基板収納容器から確実に取り出すことができる載置プレート、基板移載装置および基板処理装置を提供する。
【解決手段】ウエハ1をポッドに出し入れするツィーザ50において、ツィーザ50はウエハ1を載置する基端側載置部52、52および先端側載置部54、54と、ウエハ1を前記ポッドから取り出す際にウエハ1の前記ポッド内の奥側の周縁部を引っ掛ける先端側引っ掛け部55、55と、ウエハ1の位置ずれを防止する座ぐり51と、を具備し、先端側引っ掛け部55、55は先端側が二股に分かれて配置され、先端側載置部54、54の載置面との夾角Θbが直角または鋭角に設定され、ウエハ1を引っ掛ける際には、前記ポッド内の位置決め部の近傍に位置するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載置プレート、基板移載装置および基板処理装置に関し、特に、ワークである基板の搬送技術に係り、例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)の製造方法において、半導体素子を含む集積回路が作り込まれる半導体ウエハ(以下、ウエハという。)に酸化膜や窒化膜や金属膜および半導体膜を成膜するのに利用して有効なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の基板処理装置に使用されるウエハキャリアとしては、互いに対向する一対の側壁が開口された略立方体形状の収納容器であるオープンカセットと、一つの側壁が開口された略立方体形状に形成され開口部にキャップが着脱自在に装着された収納容器であるFOUP(front opening unified pod 。以下、ポッドという。)とがある。
ウエハキャリアとしてポッドが使用される場合には、ウエハが密封された状態で搬送される状態になるために、周囲の雰囲気にパーティクル等が存在したとしてもウエハの清浄度を維持することができる。
その結果、基板処理装置が設置されるクリーンルームの清浄度を緩和することにより、クリーンルームに要するコストを低減することができるので、最近の基板処理装置においてはウエハキャリアとしてはポッドが使用されて来ている。
ポッドからウエハを取り出す場合には、ウエハを掬い上げるツィーザをウエハ移載装置(wafer transfer equipment )によってポッド内に挿入し、三次元に移動させてウエハを掬い上げて取り出すようになっている。例えば、特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−93868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ポット内からウエハをツィーザによって取り出す際に、ツィーザがウエハを掬い上げようとする時に、ツィーザがウエハに対して滑ったりしてウエハを掬い上げることができないために、ポッド内からウエハを取り出すことができない場合がある。
【0005】
本発明の目的は、基板を基板収納容器から確実に取り出すことができる載置プレート、基板移載装置および基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するための手段のうち代表的なものは、次の通りである。
(1)基板を両側からはさみ込む位置決め部を備えた基板収納容器に前記基板を出し入れするための載置プレートにおいて、
前記基板を載置する載置部と、前記基板を前記基板収納容器内から取り出す際に前記基板の前記基板収納容器内の奥側の周縁部を引っ掛ける引っ掛け部と、前記基板の位置ずれを防止する座ぐりと、を具備し、
前記引っ掛け部は、前記載置部の先端側が二股に分かれて配置され、前記載置部の載置面との夾角が直角または鋭角に設定され、前記基板を引っ掛ける際には、前記基板収納容器内の前記位置決め部の近傍に位置するように構成されている、
ことを特徴とする載置プレート。
(2)基板を両側からはさみ込む位置決め部を備えた基板収納容器に前記基板を出し入れするための載置プレートを有する基板移載装置において、
前記載置プレートは、前記基板を載置する載置部と、前記基板を前記基板収納容器内から取り出す際に前記基板の前記基板収納容器内の奥側の周縁部を引っ掛ける引っ掛け部と、前記基板の位置ずれを防止する座ぐりと、を具備し、
前記引っ掛け部は、前記載置部の先端側が二股に分かれて配置され、前記載置部の載置面との夾角が直角または鋭角に設定され、前記基板を引っ掛ける際には、前記基板収納容器内の前記位置決め部の近傍に位置するように構成されている、
ことを特徴とする基板移載装置。
(3)基板を両側からはさみ込む位置決め部を備えた基板収納容器に前記基板を出し入れするための載置プレートを有する基板移載装置を備えている基板処理装置において、
前記載置プレートは、前記基板を載置する載置部と、前記基板を前記基板収納容器内から取り出す際に前記基板の前記基板収納容器内の奥側の周縁部を引っ掛ける引っ掛け部と、前記基板の位置ずれを防止する座ぐりと、を具備し、
前記引っ掛け部は、前記載置部の先端側が二股に分かれて配置され、前記載置部の載置面との夾角が直角または鋭角に設定され、前記基板を引っ掛ける際には、前記基板収納容器内の前記位置決め部の近傍に位置するように構成されている、
ことを特徴とする基板処理装置。
【発明の効果】
【0007】
前記した手段によれば、基板を基板収納容器から基板載置プレートによって取り出す際に、基板の周縁部の一部を引っ掛け部に引っ掛けることができるので、基板を基板収納容器から確実に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態であるCVD装置を示す一部省略斜視図である。
【図2】その側面断面図である。
【図3】反応炉を示す正面断面図である。
【図4】ウエハ移載装置を示しており、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図5】ツィーザを示しており、(a)は平面図、(b)は(a)のb−b線に沿う一部省略断面図、(c)は(b)のc部の詳細図である。
【図6】ポッドの平面断面図である。
【図7】先端側引っ掛け部の作用を説明する各模式図であり、(a)は比較例の場合を示しており、(b)は本実施の形態の場合を示している。
【図8】ツィーザの他の実施の形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
本実施の形態において、図1、図2および図3に示されているように、本発明に係る基板処理装置はICの製造方法におけるCVD工程を実施するバッチ式縦形ホットウオール形CVD装置(以下、CVD装置という。)10として構成されている。
このCVD装置においては、ウエハ1を搬送するウエハキャリアとしては、ポッド2が使用されている。
【0010】
図1〜図3に示されているように、CVD装置10は型鋼や鋼板等によって直方体の箱形状に構築された筐体11を備えている。筐体11の正面壁にはポッド搬入搬出口12が筐体11の内外を連通するように開設されており、ポッド搬入搬出口12はフロントシャッタ13によって開閉されるようになっている。
ポッド搬入搬出口12の手前にはポッドステージ14が設置されており、ポッドステージ14はポッド2を載置されて位置合わせを実行するように構成されている。ポッド2はポッドステージ14の上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入され、かつまた、ポッドステージ14の上から搬出されるようになっている。
【0011】
筐体11内の前後方向の略中央部における上部には、回転式ポッド棚15が設置されており、回転式ポッド棚15は複数個のポッド2を保管するように構成されている。
すなわち、回転式ポッド棚15は垂直に立設されて水平面内で間欠回転される支柱16と、支柱16に上中下段の各位置において放射状に支持された複数枚の棚板17とを備えており、複数枚の棚板17はポッド2を複数個宛それぞれ載置した状態で保持するように構成されている。
筐体11内におけるポッドステージ14と回転式ポッド棚15との間には、ポッド搬送装置18が設置されており、ポッド搬送装置18はポッドステージ14と回転式ポッド棚15との間および回転式ポッド棚15とポッドオープナ21との間で、ポッド2を搬送するように構成されている。
【0012】
筐体11内の前後方向の略中央部における下部には、サブ筐体19が後端にわたって構築されている。サブ筐体19の正面壁にはウエハ1をサブ筐体19内に対して搬入搬出するためのウエハ搬入搬出口20が一対、垂直方向に上下二段に並べられて開設されており、上下段のウエハ搬入搬出口20、20には一対のポッドオープナ21、21がそれぞれ設置されている。
ポッドオープナ21はポッド2を載置する載置台22と、ポッド2のキャップを着脱するキャップ着脱機構23とを備えている。ポッドオープナ21は載置台22に載置されたポッド2のキャップをキャップ着脱機構23によって着脱することにより、ポッド2のウエハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
ポッドオープナ21の載置台22に対してはポッド2がポッド搬送装置18によって搬入および搬出されるようになっている。
【0013】
サブ筐体19内の前側領域には移載室24が形成されており、移載室24にはウエハ1をボート25に対して装填(チャージング)および脱装(ディスチャージング)するウエハ移載装置(後記する)が設置されている。
サブ筐体19内の後側領域には、ボートを収容して待機させる待機室26が形成されている。待機室26にはボート25を昇降させるためのボートエレベータ27が設置されている。ボートエレベータ27はモータ駆動の送りねじ軸装置やベローズ等によって構成されている。
ボートエレベータ27の昇降台に連結されたアーム28にはシールキャップ29が水平に据え付けられており、シールキャップ29はボート25を垂直に支持するように構成されている。
ボート25は複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば、50枚程度〜150枚程度)のウエハ1をその中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持するように構成されている。
【0014】
図3に示されているように、筐体11の天井壁には反応炉用開口が設けられている。
筐体11の反応炉用開口の位置には、反応炉(reacor)30が同心円状に設置されている。反応炉30は互いに同心円状に配置されたアウタチューブ31とインナチューブ32とを備えている。
アウタチューブ31は炭化シリコンまたは石英等の耐熱性材料が使用されて、上端が閉塞し下端が開放した円筒形状に形成されている。
インナチューブ32は石英または炭化シリコン等の耐熱性材料が使用されて、上下両端が開放した円筒形状に形成されている。インナチューブ32の円筒中空部によって反応炉30の処理室33が形成されている。
アウタチューブ31とインナチューブ32との間が形成した筒状空間は、ガスが流れるガス通路34を形成している。
【0015】
アウタチューブ31およびインナチューブ32の下端にはマニホールド35が設置されており、マニホールド35はステンレス鋼等が使用されて円筒形状に形成されている。
マニホールド35には排気ライン36の一端が接続されており、排気ライン36の他端は真空ポンプ等から構成された排気装置(図示せず)が接続されている。排気ライン36はアウタチューブ31とインナチューブ32との間のガス通路34を流れるガスを排気するようになっている。
ガスは処理室33の下方に設けられたガス供給ライン37によって処理室33に供給されるようになっている。
【0016】
アウタチューブ31の外周にはヒータユニット38が同心円状に設置されており、ヒータユニット38はアウタチューブ31内の温度を所定の温度に加熱するように構成されている。
アウタチューブ31内には温度検出器としての温度センサ39が設置されている。ヒータユニット38と温度センサとには温度制御部(図示せず)が接続されており、温度センサ39によって検出された温度情報に基づいてヒータユニット38への通電具合を調整することにより、処理室33内の温度が所望の温度分布となるように所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0017】
図4に示されているように、ウエハ移載装置40はロータリーアクチュエータ41を備えており、ロータリーアクチュエータ41は上面に設置されたリニアアクチュエータ43を、ロータリーアクチュエータ41の水平方向中心部Oを中心として、水平面内で回転させるように構成されている。
リニアアクチュエータ43の上面には移動台44が設置されており、リニアアクチュエータ43は移動台44を水平移動させるように構成されている。
移動台44にはウエハ1を下から保持する基板載置プレートとしてのツィーザ50が複数枚(本実施の形態では5枚)、取付ブロック45を介して等間隔に配置されて水平に取り付けられている。
ウエハ移載装置40は送りねじ装置等によって構成されたエレベータ(図示せず)により昇降されるように構成されている。
【0018】
図5に示されているように、ツィーザ50はウエハ1を掬い取って下から支持し得る二股のフォーク形のプレート(板体)形状に形成されている。
ツィーザ50の上面にはウエハ1の位置ずれ防止のための座ぐり51が円形の穴形状に没設されており、座ぐり51の立ち上がり面が構成する円弧面の直径Daは、ウエハ1の直径Dwよりも若干大きめに設定されている。
例えば、ウエハ1の直径Dwが300mmの場合には、座ぐり51の直径Daはウエハ1の直径Dwより若干大きく例えば2〜5mm程度大きく設定されている。
【0019】
座ぐり51の周縁部であって、ツィーザ50の基端部側には、両側端に一箇所ずつ一対となるように基端側載置部52、52が突設されている。両基端側載置部52、52には、それぞれ座ぐり51の基端側の立ち上がり面と同じ面となるように一箇所ずつ基端側位置ずれ防止部53、53が一対となるように構成されている。
両基端側位置ずれ防止部53、53と基端側載置部52の載置面である上面となす夾角Θaは、鈍角に設定されている。図示例においては、夾角Θaは120度に設定されている。
なお、基端側位置ずれ防止部53、53は立ち上がり面と同じ面とせず、立ち上がり面を基端側位置ずれ防止部53、53より窪ませてもよい。
座ぐり51の周縁部であってツィーザ50の一対の先端部のそれぞれには、ツィーザ外側端は一箇所ずつ一対となるように先端側載置部54、54が突設されている。両先端側載置部54、54がそれぞれ座ぐり51の立ち上がり面と同じ面となるように一箇所ずつ先端側引っ掛け部55、55が一対となるように構成されており、両先端側引っ掛け部55、55と先端側載置部54の載置面である上面となす夾角Θbは、直角または鋭角に設定されている。本実施の形態においては、夾角Θbは直角に設定されている。
【0020】
両基端側載置部52、52の上面と両先端側載置部54、54の上面とは、ウエハ1をガタツキなく載置するように同一の平面を構成している。両基端側載置部52、52の上面と両先端側載置部54、54の上面とは、座ぐり51の底面からウエハ1を浮かせて支持することにより、ウエハ1との接触面積を減少させてウエハ1への異物の付着を防止している。
両先端側引っ掛け部55、55の高さhは、ウエハ1の厚みtの半分以上になるように設定されている。すなわち、h≧t/2、を満足するように設定されている。
本実施の形態においては、h=t×5/7、に設計されている。
両先端側引っ掛け部55、55は、ポッド2内から取り出す際にウエハ1のポッド2内の奥側の挟まれる箇所の近傍に位置するように配置されている。
【0021】
なお、ポッド2は図6に示されているように構成されている。
すなわち、ポッド2は一つの側壁に略正方形の開口部であるウエハ出し入れ口4を有する略立方体の箱形状に形成された本体3と、ウエハ出し入れ口4に着脱自在に装着されるキャップ7とを備えている。
本体3のウエハ出し入れ口4に隣接した上下左右の側壁のうち左右の側壁の内面には、複数段の保持部片5が等間隔に配置されて側面に直角に突設されており、各段の保持部片5は同一の平面を構成してウエハ1を水平に保持するように設定されている。
また、左右の側壁の内面には一対の奥側位置決め部6、6が形成されており、両奥側位置決め部6、6は保持部片5に保持されたウエハ1の外周の二箇所にそれぞれ当接することによってウエハ1の奥側の位置を規制するように設定されている。
キャップ7の内面の中央には前側位置決め部8が装備されており、前側位置決め部8は保持部片5に保持されたウエハ1の外周の一箇所に当接してウエハ1の前側の位置を規制することにより、両奥側位置決め部6、6と協働してウエハ1のガタツキを防止するように設定されている。
キャップ7には錠前9が装着されており、錠前9は本体3のウエハ出し入れ口4の一部に係合することによりキャップ7を本体3にロックするように構成されている。
【0022】
前記構成に係るCVD装置によるICの製造方法におけるCVD工程を説明する。
【0023】
図1および図2に示されているように、ポッド2がポッドステージ14に供給されると、ポッド搬入搬出口12がフロントシャッタ13によって開放され、ポッドステージ14の上のポッド2はポッド搬送装置18によって筐体11の内部へポッド搬入搬出口12から搬入される。
搬入されたポッド2は回転式ポッド棚15の指定された棚板17へポッド搬送装置18によって自動的に搬送されて受け渡され、その棚板17に一時的に保管される。
保管されたポッド2はポッド搬送装置18によって一方のポッドオープナ21に搬送されて載置台22に移載される。
この際、ポッドオープナ21のウエハ搬入搬出口20はキャップ着脱機構23によって閉じられており、移載室24には窒素ガスが流通されることによって充満されている。
【0024】
載置台22に載置されたポッド2はその開口側端面がサブ筐体19の正面におけるウエハ搬入搬出口20の開口縁辺部に押し付けられるとともに、そのキャップがキャップ着脱機構23によって取り外され、ウエハ出し入れ口を開放される。
ポッド2に収納された複数枚のウエハ1はウエハ移載装置40のツィーザ50によって掬い取られ、ウエハ搬入搬出口20から移載室24を通じて待機室26へ搬入され、ボート25に装填(チャージング)される。
ボート25にウエハ1を受け渡したウエハ移載装置40はポッド2に戻り、次のウエハ1をボート25に装填する。
なお、ウエハ移載装置40はポッド2側からボート25側への回転動作はウエハ1をツィーザ50の両先端側載置部54、54と両基端側載置部52、52とに載置した状態で、図4(b)に示す位置までツィーザ50および移動台44を水平移動させ、その後、ロータリーアクチュエータ41により回転させることで行う。
すなわち、ウエハ1はツィーザ50の両先端側載置部54、54は両基端側載置部52、52より回転中心から離れた位置で回転することとなる。
【0025】
以上の作動が繰り返されることにより、一方のポッドオープナ21の載置台22の上のポッド2の全てのウエハ1がボート25に順次装填されて行く。
【0026】
この一方(上段または下段)のポッドオープナ21におけるウエハ移載装置40によるウエハのボート25への装填作業中に、他方(下段または上段)のポッドオープナ21には回転式ポッド棚15から別のポッド2がポッド搬送装置18によって搬送されて移載され、ポッドオープナ21によるポッド2の開放作業が同時進行される。
【0027】
予め指定された枚数のウエハ1がボート25に装填されると、ウエハ1群を保持したボート25はシールキャップ29がボートエレベータ27によって上昇されることにより、インナチューブ32の処理室33に搬入(ボートローディング)されて行く。
図3に示されているように、上限に達すると、シールキャップ29はマニホールド35に押接することにより、アウタチューブ31の内部をシールした状態になる。ボート25はシールキャップ29に支持されたままの状態で、処理室33に存置される。
【0028】
この状態で、処理室33の温度がヒータユニット38により所定の処理温度に上昇され、かつ、処理室33内の圧力が排気装置により所定の圧力に減圧されると、所定の処理ガスがガス供給ライン37によって処理室33に供給される。
処理ガスがウエハ1に接触することにより、CVD膜がウエハ1上に堆積する。
【0029】
反応炉30の処理室33内で成膜処理された後に、ボート25がボートエレベータ27によって搬出(ボートアンローディング)される。
次いで、ボート25の処理済ウエハ1がウエハ移載装置40のツィーザ50によって脱装(ウエハディスチャージ)され、ポッド2に収納される。
以上の作動が繰り返されることにより、CVD工程がウエハ1に実施される。
【0030】
ところで、ポッド2での収納状態でのガタツキを防止する必要上、図6に示されているように、ウエハ1はキャップ7によって両奥側位置決め部6、6に押し付けられた状態になっているために、ウエハ移載装置40のツィーザ50によってウエハ1をポッド2内から取り出す際には、ウエハ1は両奥側位置決め部6、6に押接した状態になっている。
このようにウエハ1が両奥側位置決め部6、6に押接した状態になると、ウエハ1は両奥側位置決め部6、6によって両側から挟み込まれた状態になる。
前述したCVD工程の実施において、ポッド2内からウエハ1をウエハ移載装置のツィーザによって取り出すに際して、正常であれば、ポッド2に収納された複数枚のウエハ1のそれぞれの間にウエハ移載装置40のツィーザ50が取り出す対象となるウエハ1の下側に挿入され、その後、ウエハ1をツィーザ50により掬い上げ、ツィーザ50の両先端側載置部54、54と両基端側載置部52、52とにウエハ1を載置させる。次に、ウエハ1を載置させた状態で、ツィーザ50を引き出すことにより、ポッド2内からツィーザ50によってウエハ1を掬い取ることになる。
しかし、図7(a)に示されているように、夾角Θbが鈍角(図示例では、120度)に形成された先端側引っ掛け部55’を有するツィーザ50’により、両奥側位置決め部6、6によって挟み込まれた状態のウエハ1を掬い上げようとすると、ポッド2内からウエハ1をツィーザ50’によって引き出すことができない場合が発生する。
万一、先端側引っ掛け部55’が引っ掛からずに、ウエハ1がツィーザ50’の上に乗っかった状態で、ウエハ1がポッド2内から引き出された場合には、搬送の途中で、ウエハ1がツィーザ50’の上から落下するために、ウエハ1を損傷する場合が発生する。
【0031】
しかし、本実施の形態においては、図7(b)に示されているように、先端側引っ掛け部55の夾角Θbが直角(90°)に形成されていることにより、先端側引っ掛け部55がウエハ1の奥側の周縁部に確実に引っ掛かるために、ポッド2内からウエハ1をツィーザ50によって確実かつ適正に引き出すことができる。
両先端側引っ掛け部55、55がウエハ1の奥側の周縁部に確実に引っ掛かるために、ウエハ1がツィーザ50の上に乗っかった状態で、ウエハ1がポッド2内から引き出してしまう事態の発生は未然に防止することができる。
しかも、ツィーザ50によってウエハ1を引き出す際には、両先端側引っ掛け部55、55がポッド2内の両奥側位置決め部6、6の近傍に位置するようにそれぞれ配設されていることより、両先端側引っ掛け部55、55の作用力がウエハ1を挟み込んだ部位に外す力となって効果的に加わるために、ポッド2内からウエハ1をツィーザ50によって確実に引き出すことができる。
【0032】
前記実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0033】
1) ツィーザの先端側引っ掛け部の載置部の載置面となす夾角を直角に形成することにより、先端側引っ掛け部がウエハの奥側の周縁部に確実に引っ掛かるために、ポッド内からウエハをツィーザによって確実かつ適正に引き出すことができる。
また、ツィーザの両先端側載置部54、54と両基端側載置部52、52とにウエハ1を載置した状態で、図4(b)のように、ウエハ移載装置が回転動作しても、回転中心から離れている先端側引っ掛け部がウエハの周縁部に確実に引っ掛かるために、回転スピードを上げてもウエハ1が位置ずれをおこすことにならず、ウエハ移載スピードを向上させることができる。
【0034】
2) 先端側引っ掛け部がウエハの奥側の周縁部に確実に引っ掛かることにより、ウエハがツィーザの上に乗っかった状態で、ウエハをポッド内から引き出してしまう事態の発生を防止することができるので、ウエハがツィーザから落下して損傷が発生するのを未然に防止することができる。
【0035】
3) ツィーザによってウエハを引き出す際には、両先端側引っ掛け部がポッド内の両奥側位置決め部の近傍に位置するように、両引っ掛け部をそれぞれ配設することにより、両先端側引っ掛け部の力をウエハを挟み込んだ部位に外す力として効果的に作用させることができるので、ツィーザによってポッド内からウエハをより一層確実に引き出すことができる。
【0036】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0037】
例えば、先端側引っ掛け部の載置部の載置面となす夾角は、直角に形成するに限らず、鋭角に形成してもよい。
【0038】
ツィーザの形状は二股のフォーク形のプレート形状に形成するに限らず、例えば、図8に示されたようなツィーザ50Bの長方形のプレート形状に形成してもよいし、他のプレート形状に形成してもよい。
【0039】
前記実施の形態ではCVD装置について説明したが、本発明は、酸化装置や拡散装置および熱処理装置等の基板処理装置全般に適用することができる。
【0040】
また、ウエハを処理する場合について説明したが、液晶パネルや磁気ディスク、光ディスク等の基板全般について適用することができる。
【0041】
本発明の好ましい態様を付記する。
(1)基板を基板収納容器に出し入れする基板載置プレートを有した基板移載装置を備えている基板処理装置において、
前記基板載置プレートには、前記基板を載置するための載置部と、前記基板を前記基板収納容器内から取り出す際に前記基板の前記基板収納容器内の奥側の周縁部を引っ掛けるための引っ掛け部とが具備されており、
前記引っ掛け部は、前記載置部より先端側に配置され、前記載置部の載置面との夾角が直角または鋭角に設定されているとともに、前記載置部に対する高さが前記基板の厚みの半分以上に設定されていることを特徴とする基板処理装置。
(2)前記引っ掛け部は、前記基板収納容器内から前記基板を取り出す際に前記収納容器内の奥側の挟まれる箇所の近傍に位置するように配置されていることを特徴とする前記(1)に記載の基板処理装置。
【符号の説明】
【0042】
1…ウエハ(基板)、2…ポッド(基板収納容器)、3…本体、4…ウエハ出し入れ口、5…保持部片、6…奥側位置決め部、7…キャップ、8…前側位置決め部、9…錠前、10…CVD装置(基板処理装置)、11…筐体、12…ポッド搬入搬出口、13…フロントシャッタ、14…ポッドステージ、15…回転式ポッド棚、16…支柱、17…棚板、18…ポッド搬送装置、19…サブ筐体、20…ウエハ搬入搬出口、21…ポッドオープナ、22…載置台、23…キャップ着脱機構、24…移載室、25…ボート、26…待機室、27…ボートエレベータ、28…アーム、29…シールキャップ、30…反応炉、31…アウタチューブ、32…インナチューブ、33…処理室、34…ガス通路、35…マニホールド、36…排気ライン、37…ガス供給ライン、38…ヒータユニット、39…温度センサ、40…ウエハ移載装置、41…ロータリーアクチュエータ、43…リニアアクチュエータ、44…移動台、45…取付ブロック、50…ツィーザ(載置プレート)、51…座ぐり、52…基端側載置部、53…基端側位置ずれ防止部、Θa…基端側位置ずれ防止部の基端側載置部の上面となす夾角、54…先端側載置部、55…先端側引っ掛け部、Θb…先端側引っ掛け部の先端側載置部の上面となす夾角、h…先端側引っ掛け部の高さ、t…ウエハの厚み。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を両側からはさみ込む位置決め部を備えた基板収納容器に前記基板を出し入れするための載置プレートにおいて、
前記基板を載置する載置部と、前記基板を前記基板収納容器内から取り出す際に前記基板の前記基板収納容器内の奥側の周縁部を引っ掛ける引っ掛け部と、前記基板の位置ずれを防止する座ぐりと、を具備し、
前記引っ掛け部は、前記載置部の先端側が二股に分かれて配置され、前記載置部の載置面との夾角が直角または鋭角に設定され、前記基板を引っ掛ける際には、前記基板収納容器内の前記位置決め部の近傍に位置するように構成されている、
ことを特徴とする載置プレート。
【請求項2】
基板を両側からはさみ込む位置決め部を備えた基板収納容器に前記基板を出し入れするための載置プレートを有する基板移載装置において、
前記載置プレートは、前記基板を載置する載置部と、前記基板を前記基板収納容器内から取り出す際に前記基板の前記基板収納容器内の奥側の周縁部を引っ掛ける引っ掛け部と、前記基板の位置ずれを防止する座ぐりと、を具備し、
前記引っ掛け部は、前記載置部の先端側が二股に分かれて配置され、前記載置部の載置面との夾角が直角または鋭角に設定され、前記基板を引っ掛ける際には、前記基板収納容器内の前記位置決め部の近傍に位置するように構成されている、
ことを特徴とする基板移載装置。
【請求項3】
基板を両側からはさみ込む位置決め部を備えた基板収納容器に前記基板を出し入れするための載置プレートを有する基板移載装置を備えている基板処理装置において、
前記載置プレートは、前記基板を載置する載置部と、前記基板を前記基板収納容器内から取り出す際に前記基板の前記基板収納容器内の奥側の周縁部を引っ掛ける引っ掛け部と、前記基板の位置ずれを防止する座ぐりと、を具備し、
前記引っ掛け部は、前記載置部の先端側が二股に分かれて配置され、前記載置部の載置面との夾角が直角または鋭角に設定され、前記基板を引っ掛ける際には、前記基板収納容器内の前記位置決め部の近傍に位置するように構成されている、
ことを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−238962(P2011−238962A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165330(P2011−165330)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【分割の表示】特願2006−71712(P2006−71712)の分割
【原出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】