説明

農作業車両運行管理システム

【課題】 農作業車両の運行状況を即時的に、空間的に確認することができる農作業車両運行管理システムを提供することにある。
【解決手段】 農作業車両に搭載された移動体装置から送信された位置情報を受信し、地図データベースから取得した地図データの表示画面に重ねて表示する手段を備えることを特徴とする。また、移動体装置から送信された位置情報と、地図データベースから取得した圃場データとの重なりの条件によって、表示画面に作業状況を色分け表示する手段をさらに備えることを特徴とする。また、移動体装置から送信された位置情報の日付と、地図データベースから取得した圃場データと圃場データに格納された作業予定日の比較結果に基づき、表示画面に圃場データを色分け表示する手段を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン等の農作業車両の移動軌跡などの運行状況を管理し、地図システム上に表示する農作業車両運行管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、農業にIT(Information Technology)が積極的に導入され、地図システムを用いた圃場管理などが行われている。
また、農作業を効率よく実施するためには、コンバインやトラクタ等、農作業車両の利用が不可欠である。これらの農作業車両の運行を支援する技術として、車両が動いて作業を行う際に、圃場内における車両の位置や、走行・作業軌跡などの運転支援情報を提供するものや、作業車両の無人運行を支援するものなどが提案されている。
本発明に関連する公知技術文献としては下記の特許文献1、特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−188786号公報
【特許文献2】特開平10−66406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンバインやトラクタ等の大型の農作業車両は、地域の農事組合等が複数台の車両を運用・管理することも一般的に行われている。このように複数台の農作業車両を運用する場合、圃場内における作業の効率化だけでなく、作業車両の適正な配置など、全体として効率的に作業を行うための運用を行うことが必要である。そのためには、適切な作業計画の立案、状況に応じた計画の修正が必要となる。運行状況、作業状況を正確に、即時的に把握することが必要である。
しかしながら、現状は作業者による口頭などの作業報告によって状況把握が行われることが多い。そのため、作業を行った領域を正確に把握することは難しい。
【0005】
また、作業終了から報告まで、時間が空いてしまうこともあり、状況に応じた迅速な対策を行うことが困難となっている。
上述した特許文献1、特許文献2等は、圃場内部における作業の効率化を図ることは可能であるが、これらの課題を解決できるものではない。
【0006】
本発明の目的は、農作業車両の運行状況を即時的に、空間的に確認することができる農作業車両運行管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するために、本発明の農作業車両管理システムは、農作業車両に搭載された移動体装置から送信された位置情報を受信し、地図データベースから取得した地図データの表示画面に重ねて表示する手段を備えることを特徴とする。
また、移動体装置から送信された位置情報と、地図データベースから取得した圃場データとの重なりの条件によって、表示画面に作業状況を色分け表示する手段をさらに備えることを特徴とする。
また、移動体装置から送信された位置情報の日付と、地図データベースから取得した圃場データと圃場データに格納された作業予定日の比較結果に基づき、表示画面に圃場データを色分け表示する手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、次のような効果がある。
農作業車両による農作業の状況を農作業車両の作業軌跡として即時的に地図上に表示し、農作業の状況を空間的に容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のシステムの一実施の形態を示す図である。
【図2】圃場データのデータ構造を表した図である。
【図3】作業データのデータ構造を表した図である。
【図4】位置情報計測処理を示したフローチャートである。
【図5】作業状況判定処理を示したフローチャートである。
【図6】作業状況判定処理の結果表示例を示す図ある。
【図7】作業状況の表示例を示す図ある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施する場合の一形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明の運行支援システムの一実施の形態を示す図である。
本運行支援システムは、図1に示すように、GPSより位置情報を取得しサーバ102に携帯電話または無線LAN等の無線回線で送信する移動体装置101と、移動体装置101より送信された位置情報を受信し、保存する受信サーバ102と、キャラクタ及びグラフィック画面を有する端末装置103と、中央処理装置104、移動体装置101の座標データを格納する移動体座標データベース105、背景データとして地図データを格納している地図データベース106からなる。
移動体装置101は、GPS受信装置107、通信装置108、位置計測処理プログラム109を有している。
GPS受信装置107は位置情報をGPSより取得する装置であり、通信装置108はGPS受信装置107により取得した位置情報を受信サーバ102へと送信する装置である。
【0011】
位置計測処理プログラム109は、GPS受信装置107、通信装置108を制御し、位置の計測と位置情報の送信を行うプログラムである。
中央処理装置104は、データアクセス処理プログラム110、作業状況判定処理プログラム111、データ入力処理プログラム112、データ表示処理プログラム113を有する。データアクセス処理プログラム110は、必要に応じて、移動体座標データ105、地図データベース106を参照、更新などを行うものである。
作業状況算出処理プログラム111は、移動体座標データ、地図データを元に、作業状況を算出するものである。
データ入力処理プログラムは112は、端末装置103で入力されるデータを受け付け、またデータ表示処理プログラム113は、端末装置103の表示画面上において、背景となる地図データ上に、圃場データや作業データの表示を行うものである。
【0012】
各データベースに格納されているデータについて説明をする。
図2は、圃場データのデータ構造を表した図である。
圃場データは、図形を特定するための図形ID201や、圃場を特定するための圃場番号202を持つ。また、作業を実施する予定日である作業予定日203や、図形の位置や形状などの地理的情報を保持する形状情報204をもっている。さらに、栽培している作物の情報である栽培作物205などの情報を持つ。
この圃場データは、地図データベース106に格納されている。
【0013】
図3は、作業データのデータ構造を表した図である。
作業データは、図形を特定するための図形ID301や、一連の作業を行った最終時刻を記録する作業時間ID302や、作業した領域を保持する形状情報ID303を持つ。
【0014】
次に、位置計測処理について説明する。
図4は、移動体装置101における位置計測処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS401において、位置計測処理の開始を受け付ける。
ステップS402において、GPS受信装置107により現在の位置情報を取得する。
次に、ステップS403において、GPS受信装置107から取得した位置情報を、受信サーバ102へ送信する。位置情報を受信したサーバ102は受信データ、すなわち移動体の位置情報を移動体座標データベース105に時系列で格納する。
次にステップ404において処理の中断を受け付けたかどうか判定を行い、中断を受け付けた場合は、ステップ405にて処理を終了する。中断を受け付けない場合は、ステップS402に戻り、処理を継続する。
【0015】
次に、作業状況判定処理について説明する。
図5は、中央処理装置104における作業状況判定処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS501において、移動体座標データベース105から移動体座標データを取得する。
次に、ステップS502において、取得した移動体座標データと機知の移動体幅から、作業図形を作成する。
ステップ503において、地図データベース106から圃場データを取得する。
ステップS504において、指定した条件により、端末装置103の表示画面上に表示している圃場の色分け表示を行う。
ここで、指定する条件としては、例えば作業が実施された圃場と、作業が実施されていない圃場の色分け、作業予定日を過ぎても作業が実施されていない圃場を警告色で表示するや、作業図形と圃場の重なる面積のパーセンテージを色分けして表示するなどである。
ステップ505において、取得した全ての圃場データの処理が完了したかどうか判定し、完了した場合は、処理を終了する。完了していない場合は、ステップ504で圃場の色分けを実施する。
【0016】
図6は、作業状況判定処理を行った結果を端末装置に表示した例である。作業予定日と作業日の比較などにより、圃場の色を分けて表示することにより、作業の状況が把握しやすくなり、作業車両の運行管理の意思決定を行いやすくする。
図7は、作業状況の表示例である。この例では、作業データと作業車両の位置を地図に重ねて表示している。
【符号の説明】
【0017】
101 移動体装置
102 受信サーバ
103 端末装置
104 中央処理装置
105 移動体座標データベース
106 地図データベース
107 GPS受信装置
109 位置計測処理プログラム
113 データ表示処理プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作業車両に搭載された移動体装置から送信された位置情報を受信し、地図データベースから取得した地図データの表示画面に重ねて表示する手段を備えることを特徴とする農作業車両運行管理システム。
【請求項2】
前記移動体装置から送信された位置情報と、地図データベースから取得した圃場データとの重なりの条件によって、表示画面に作業状況を色分け表示する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の農作業車両運行管理システム。
【請求項3】
前記移動体装置から送信された位置情報の日付と、地図データベースから取得した圃場データと圃場データに格納された作業予定日の比較結果に基づき、表示画面に圃場データを色分け表示する手段をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の農作業車両運行管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−198066(P2011−198066A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64455(P2010−64455)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)
【Fターム(参考)】