障害物検出装置及び車両制御装置
【課題】障害物の検出精度を向上させることが可能な障害物検出装置を提供する。
【解決手段】障害物検出装置100は、障害物6を検出する検出領域Cを、車両1の進行方向A1に設定する検出領域設定部53と、検出領域C内に位置する障害物6を検出する情報取得装置3及び判断部55と、車両1における操舵操作の操舵方向aを検出する操舵方向検出装置4と、を備え、検出領域設定部53は、検出領域Cにおいて、操舵方向aに対して反対方向に位置する反対部分C2を、車幅方向外側に向って拡大する。
【解決手段】障害物検出装置100は、障害物6を検出する検出領域Cを、車両1の進行方向A1に設定する検出領域設定部53と、検出領域C内に位置する障害物6を検出する情報取得装置3及び判断部55と、車両1における操舵操作の操舵方向aを検出する操舵方向検出装置4と、を備え、検出領域設定部53は、検出領域Cにおいて、操舵方向aに対して反対方向に位置する反対部分C2を、車幅方向外側に向って拡大する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に対する障害物を検出する障害物検出装置及びそれを備えた車両制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ステアリングホールの操舵角に基づいて車両の進路軌跡を計算し、当該進路軌跡に対応するように、車両の進行軌跡上に障害物の検出エリアを設定する車両周辺監視装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−56336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の車両周辺監視装置では、直線状の道路において、ドライバが、車両の進行方向に位置する障害物を回避しようとして、ステアリングホイールを操舵すると、操舵した方向に向かって検出エリア設定されてしまい、結果として、操舵した方向と反対側に位置する障害物が検出エリアから外れて、障害物を検出できなくなるという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、障害物の検出精度を向上させることが可能な障害物検出装置及びそれを備えた車両制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、障害物を検出する検出領域において、操舵操作の操舵方向に対して反対方向に位置する部分を、車幅方向外側に向って拡大することで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ドライバがステアリングホイールを操舵操作して回避しようとする障害物を検出することが可能となるので、障害物の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態における車両制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態における操舵操作前の車両の走行状態を示す図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態における操舵操作中の車両の走行状態を示す図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態における情報取得制御部による情報取得方向の制御を示す図である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態における車両制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の第1実施形態における拡大領域の変形例を説明する図である。
【図7】図7は、本発明の第1実施形態における走行目標位置の設定を説明する図である(その1)。
【図8】図8は、本発明の第1実施形態における走行目標位置の設定を説明する図である(その2)。
【図9】図9は、本発明の第1実施形態における走行目標位置の設定の変形例を説明する図である。
【図10】図10は、本発明の第2実施形態における車両制御装置の構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、本発明の第2実施形態における拡大領域を示す図である。
【図12】図12は、本発明の第3実施形態における車両制御装置の走行制御を説明する図である。
【図13】図13は、本発明の第3実施形態における車両制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
<<第1実施形態>>
図1は本実施形態における車両制御装置の構成を示すブロック図、図2は本実施形態における操舵操作前の車両の走行状態を示す図、図3は実施形態における操舵操作中の車両の走行状態を示す図、図4は本実施形態における情報取得制御部による情報取得方向の制御を示す図である。
【0011】
本実施形態における車両制御装置2は、車両1の進行方向A1に位置する障害物6を検出して、当該障害物6を回避するように車両1の走行を自動制御する装置である(図2及び3参照)。
【0012】
この車両制御装置2は、図1に示すように、情報取得装置3と、操舵方向検出装置4と、ECU5と、を備えている。
【0013】
情報取得装置3は、図2に示すように、情報取得領域B(同図において点線で囲った領域)内から、車両1の進行方向A1に位置する障害物6を検出するために必要な情報(以下単に、「検出必要情報」と称する)を取得する装置である。情報取得装置3としては、例えば、物体(障害物6)に向って電磁波を出射して、物体によって反射した電磁波の反射波を受信することで、当該反射波の強度や、電磁波を出射してから反射波を受信するまでの時間等の情報(上述した検出必要情報の一例に相当する)を取得することが可能なレーダを挙げることができる。
【0014】
この情報取得装置3は、取得した検出必要情報の信号を、ECU5の判断部55(後述)に出力する。
【0015】
操舵方向検出装置4は、車両のステアリングホイールの回転角度及び操舵方向a(回転方向)を示す符号付き数値である操舵角を検出して、当該操舵角をECU5の操舵介入検出部51(後述)に出力する装置である。この操舵方向検出装置4としては、例えば、操舵角センサを挙げることができる。
【0016】
ECU5は、情報取得装置3や操舵方向検出装置4から出力された信号に基づいて、障害物6を回避させるように、車両1の走行支援を実行可能な機能を有するコンピュータである。このECU5は、図1に示すように、操舵介入検出部51、走行経路推定部52、検出領域設定部53、情報取得制御部54、判断部55、走行目標設定部56及び走行制御部57のプログラムを格納している。
【0017】
操舵介入検出部51は、操舵方向検出装置4からステアリングホイールの操舵角を入手して、操舵操作の有無に基づいて、車両1の自動運転中にドライバによる操舵介入があったか否かを検出する。
【0018】
走行経路推定部52は、図2に示すように、車両1の位置、姿勢、及び運動状態に基づいて、車両1の走行経路L1を推定する。例えば、同図に示すように、車両1が直線を走行中である場合には、走行経路L1は、当該直線に沿って推定され、特に図示しないが、車両1がカーブを走行中である場合には、走行経路L1は、当該カーブに沿って推定される。
【0019】
なお、車両1の位置については、車両1にGPS(Global positioning system)受信機(不図示)を設けて、GPS衛星から車両1の位置情報の信号を受信することで検出したり、車両1にカメラを設けて、車両1の周囲の映像を撮像して、画像処理することで推定することができる。
【0020】
また、車両1の姿勢については、次のようにして求めることができる。例えば、GPS受信機が受信した信号に基づいて車両1の位置を検出して、車両1の位置の履歴を記憶し、車両1の位置の変化から車両1の姿勢を検出したり、車両1にGPS受信機を2つ設けて、それぞれのGPS受信機が受信した車両1の位置情報の信号に基づいて、車両1の姿勢を検出することができる。また、カメラを用いて撮像した画像情報を画像処理することで、車両1の姿勢を検出したり、ジャイロを用いたヨーレートセンサを車両1に設けて、ヨーレートセンサよって姿勢角を推定することで、車両1の姿勢を検出したり、操舵角センサが出力する信号からヨーレートを推定することで、車両1の姿勢を検出することもできる。
【0021】
また、車両1の運動状態としては、例えば速度やヨーレートを挙げることができる。なお、車両1の速度については、車輪の回転速度を検出させる車輪速センサを車両1に設けて、検出された車輪の回転速度に基づいて算出することができる。また、ヨーレートについては、ヨーレートセンサを用いて検出することができる。
【0022】
検出領域設定部53は、障害物6を検出する検出領域Cを設定する。この検出領域設定部53は、操舵介入検出部51による操舵介入の検出がない通常の自動運転の制御中には、図2に示すように、上記の情報取得領域B内の一部の領域である通常領域C1(同図中において、右上から左下に向った斜線によるハッチングを付した部分)を検出領域Cとして設定する。この通常領域C1は、情報取得領域B内において、情報取得装置3が障害物6の情報(レーダの反射波)を正確に取得することができる領域である。
【0023】
一方、操舵介入検出部51が操舵介入を検出し、且つ、情報取得装置3及び判断部55(後述)が障害物6を検出した場合には、検出領域設定部53は、図2及び図3に示すように、操舵操作前に走行経路推定部52によって推定された走行経路L1を基準として、上記の通常領域C1において、操舵方向検出装置3によって検出されたステアリングホールの操舵方向aに対して反対方向に位置する反対部分C2を、車両1の進行方向A1に向かって車幅方向A2の外側(図中左側)に拡大する。つまり、この場合における検出領域Cは、通常領域C1と、反対部分C2を拡大した拡大領域C3(同図中において、左上から右下に向った斜線によるハッチングを付した部分)と、を含むように設定される。
【0024】
情報取得制御部54は、情報取得装置3の動作を制御する装置である。具体的には、この情報取得制御部54は、図4に示すように、情報取得領域Bが拡大領域C3の全てを包含するように、情報取得装置3の情報取得方向D1を、当該拡大領域C3に向けた情報取得方向D2に変更するように情報取得装置3を制御する。なお、同図においては、情報取得制御部54による情報取得装置3の制御前の情報取得領域B′を二点鎖線で示し、当該制御後の情報取得領域Bを点線で囲って示している。
【0025】
また、この情報取得制御部54は、拡大領域C3内で情報取得装置3が情報を取得する頻度を、通常領域C1(検出領域Cにおいて拡大領域C3を除く領域)内で情報取得装置3が情報を取得する頻度と比較して相対的に高くなるように、情報取得装置3を制御する。
【0026】
例えば、情報取得装置3がレーダである場合には、情報取得制御部54は、拡大領域C3に対する単位時間当たりの電磁波の出射回数を、通常領域C1(検出領域C内において拡大領域C3を除く領域であり、特に操舵方向a側の部分)に対する単位時間当たりの電磁波の出射回数と比較して相対的に高くするように、情報取得装置3の制御を実行する。
【0027】
これにより、本実施形態では、拡大領域C3内における障害物6を検出し易くしている。また、このように、拡大領域C3内における障害物6の検出頻度を高くすると、単位時間当たりの障害物6に関する情報量が増えるので、後述する判断部55において障害物6か否かを判定する精度も向上させることができる。
【0028】
判断部55は、情報取得装置3から取得した信号に基づいて、検出領域C内における障害物6の有無を判断する。
【0029】
詳細に説明すると、情報取得装置3がレーダである場合には、レーダによって受信された反射波の強度が所定閾値以上であれば、障害物6が存在していると判断し、レーダによって受信された反射波が所定閾値未満の強度であれば、障害物6は存在しておらずレーダの誤検出として判断する。
【0030】
ここで、本実施形態における判断部55は、拡大領域C3内における障害物6の有無を判断する際の所定閾値を、通常領域C1(検出領域Cにおいて拡大領域C3を除く領域)内における障害物6の有無を判断する際の所定閾値よりも相対的に低くしている。
【0031】
つまり、本実施形態では、ドライバの操舵操作に応じて拡大領域C3を設定した場合には、操舵操作前における車両1の進行方向A1に障害物6が存在する可能性が高く、情報取得装置3による誤検出の可能性が低くいことから、拡大領域C3内における障害物6の検出感度を、通常領域C1内における障害物6の検出感度と比較して相対的に高くして、拡大領域C3内における障害物6を検出し易くしている。
【0032】
走行目標設定部56は、車両1の走行制御をする際の目標となる走行目標位置を設定する。この走行目標位置は、後で詳細に説明するが、将来(例えば数秒後)、車両1に走行させようとする位置に設定される。
【0033】
走行制御部57は、車両1が上記の走行目標位置に向かうように、車両1の走行制御を行う。具体的には、走行制御部57は、ステアリングホールの操舵角やアクセルの開度等を制御して、走行目標位置に向って自動で車両1を走行させたり、EPS(Electric Power Steering、電動パワーステアリング)の操舵トルクを制御して、ドライバが走行目標位置に向かうように誘導する。
【0034】
なお、車両1の自動運転を行わない場合には、走行制御部57は、車両1を走行目標位置に向かわせるような運転操作をドライバに行わせるために、そのような運転操作の音声情報を車両1のスピーカから出力させたり、車両1を走行目標位置に向かわせるような走行指示を車両1のディスプレイに表示させるように、車両1のスピーカやディスプレイを制御してもよい。
【0035】
また、走行制御部57は、車両1の自動運転中に、操舵介入検出部51から操舵介入の検出の信号を取得すると、一時的に、EPSへの制御指令値の出力を停止して、自動運転を中止させたり、当該制御指令値のゲインを小さくすることで、ドライバによる操舵操作を車両1の走行に反映させ易くようにする。
【0036】
ここで、本実施形態では、情報取得装置3をレーダで構成した場合について説明したが、情報取得装置3の構成は特に限定されない。例えば、情報取得装置3を、車両1の進行方向A1の画像を撮像可能なカメラで構成してもよい。
【0037】
このように情報取得装置3をカメラで構成した場合には、拡大領域C3内における単位時間当たりの画像の読み取り回数を、通常領域C1内における単位時間当たりの画像の読み取り回数と比較して相対的に高くする。
【0038】
また、この場合におけるECU5の判断部55は、カメラによって撮像された画像と、障害物6のテンプレートを比較して類似度を算出し、当該類似度が所定閾値以上であった場合に、障害物が存在すると判断する。この際に、判断部55は、拡大領域C3内における障害物6の有無を判断する際の所定閾値を、通常領域C1内における障害物6の有無を判断する際の所定閾値よりも相対的に低くし、拡大領域C3内における障害物6を検出し易くする。
【0039】
また、本実施形態では、操舵介入検出部51、走行経路推定部52、検出領域設定部53、情報取得制御部54、判断部55、走行目標設定部56及び走行制御部57をECU5で構成したが、特に限定されず、これらを、ECU5とは異なるコンピュータで構成してもよい。
【0040】
なお、本実施形態では、図1に示すように、障害物6を検出する障害物検出装置100が、情報取得装置3、操舵方向検出装置4、操舵介入検出部51、走行経路推定部52、検出領域設定部53、情報取得制御部54、及び判断部55から構成される。
【0041】
次に、本実施形態における車両制御装置の制御手順について図6を参照して説明する。
【0042】
図5は本実施形態における車両制御装置の制御手順を示すフローチャート、図6は、本実施形態における拡大領域の変形例を説明する図、図7及び図8は本実施形態における走行目標の設定を説明する図、図9は本実施形態における走行目標位置の設定の変形例を説明する図である。
【0043】
まず、図5に示すステップS1では、ECU5の検出領域設定部53が検出領域C(通常領域C1)を設定する。
【0044】
次いで、ステップS3では、操舵介入検出部51が、操舵方向検出装置4から取得したステアリングホイールの操舵角に基づいて操舵介入の有無を検出する。操舵介入がなかった場合には、ステップS4へ進み、操舵介入があった場合には、ステップS5へ進む。
【0045】
ステップS4では、障害物検出装置100が、障害物6をすでに検出しているか否か判断する。障害物6が検出されている場合には、ステップS6に進む。なお、ステップS4において「障害物6が検出されている場合」とは、検出領域Cがすでに拡大され、拡大領域C3内で障害物6が検出されている場合をいう。
【0046】
ステップS6では、検出領域設定部53が、検出領域Cが拡大されている状態(拡大領域C3)を保持し、ステップS9に進む。
【0047】
一方、上記のステップS4において、障害物6を検出していないと判断された場合には、ステップS5に進む。
【0048】
ステップS5では、情報取得装置3及び判断部55によって、障害物6を検出する。
【0049】
ステップS5において、障害物6が検出された場合には、ステップS7に進む。
【0050】
ステップS7では、検出領域設定部53が、通常領域C1に拡大領域C3を追加するように検出領域Cを拡大する。
【0051】
また、このステップS7では、情報取得制御部54が、情報取得領域B内に拡大領域C3の全てを包含させるように、情報取得装置3の情報取得方向D1を、当該拡大領域C3に向けた情報取得方向D2に変更すると共に(図4参照)、拡大領域C3内において情報を取得する頻度を、通常領域C1内において情報を取得する頻度と比較して、相対的に高くするように、情報取得装置3を制御する。
【0052】
また、判断部55は、拡大領域C3内における障害物6の検出感度を、通常領域C1内における障害物6の検出感度と比較して相対的に高くして、拡大領域C3内の障害物6を検出し易くする。
【0053】
ここで、拡大領域C3の範囲については、特に限定されず、例えば、図6に示すように、仮に走行経路推定部52によって推定された走行経路L1を、車両1が走行した場合に、車両1の操舵方向aとは反対側の側面11が通過する推定軌跡L2を、境界として設定してもよい。
【0054】
ステップS9では、図7に示すように、走行目標設定部56が、操舵方向aにおける障害物6の側方に走行目標位置M1を設定する。
【0055】
詳細に説明すると、走行目標設定部56は、同図に示すように、車両1が現在走行する走行車線と隣接する車線内の目標横位置L3に走行目標位置M1を設定する。なお、この目標横位置L3は、車線の幅方向において車両1が走行を予定する位置であり、本実施形態においては、車両1の走行車線と隣接する車線の中央付近に設定されている。
【0056】
次いで、走行目標設定部56は、走行目標位置M1に至るまでの経路を算出する。
【0057】
また、走行目標設定部56は、目標横位置L3に走行目標位置M1を設定することに代えて、図9に示すように、車両1が障害物6を回避する際の経由点となる各位置に、走行目標位置M1を設定し、各走行目標位置M1に至るまでの経路を算出してもよい。
【0058】
一方、上記のステップS5において、障害物6が検出されなかった場合には、ステップS8に進む。
【0059】
ステップS8では、図8に示すように、走行目標設定部56が、車両1の進行方向A1上に走行目標位置M2を設定し、走行目標位置M2に至るまでの経路を算出する。
【0060】
次いで、ステップS11では、走行制御部57が、上記の走行目標位置M1又はM2に向かって車両1を走行させるように、走行目標設定部56によって算出された経路に従って、車両1を走行制御する。
【0061】
ここで、仮に、上記のステップS7を設けず、検出領域に拡大領域を追加しないで障害物を検出しようとすると、障害物を回避するための操舵操作に伴って、検出領域も障害物から離反するように設定されてしまい、結果として、障害物を検出できなくなってしまう恐れがある。このため、車両が自動運転によって走行している場合には、障害物を回避しようとするドライバの操舵操作が車両の走行制御に反映されず、ドライバの意に反して、車両が現在走行している走行車線をそのまま走行するような走行制御(例えば、走行車線をそのまま走行させるように、操舵操作とは反対方向に操舵トルクを印加してしまうような制御)が実行されてしまう恐れがある。
【0062】
これに対し、本実施形態では、障害物を検出する検出領域において、操舵操作の操舵方向に対して反対方向に位置する部分を、車両の車幅方向外側に向って拡大している。
【0063】
つまり、本実施形態では、ドライバがステアリングホールを操舵操作して回避しようとする障害物に向って、検出領域を拡大している。これにより、ドライバが回避しようとする障害物を検出し易くなるので、障害物の検出精度を向上させることができる。
【0064】
また、車両1を自動運転する場合には、障害物を回避しようとするドライバの操舵操作を車両の走行制御に反映させることができるので、ドライバの意思に沿った走行制御をすることが可能となる。
【0065】
また、本実施形態では、車両の走行経路を基準として、検出領域において操舵方向に対して反対方向に位置する反対部分を、車両の車幅方向外側に向って拡大している。これにより、本実施形態では、車両が走行する可能性が高い領域に拡大領域を設定することができるため、回避することが必要な障害物を、より検出し易くなる。例えば、車両がカーブを走行している場合には、当該カーブ(走行経路)に沿って障害物を検出することができる。
【0066】
また、本実施形態では、情報取得制御部が、情報取得方向を拡大領域に向けるように、情報取得装置を制御している。これにより、拡大領域の全てを情報取得領域に包含させ、拡大領域内の全ての領域で、情報取得装置及び判断部によって障害物を検出させることを可能としている。
【0067】
また、本実施形態では、拡大領域内で情報取得装置が情報を取得する頻度を、検出領域において拡大領域を除く領域内で情報取得装置が情報を取得する頻度と比較して相対的に高くすることで、拡大領域内の障害物を検出し易くすることができ、さらに、障害物か否かの判断精度も向上させることも可能となっている。つまり、回避すべき障害物に対する検出精度をより高めることが可能となっている。
【0068】
また、本実施形態では、拡大領域を除いた検出領域における障害物の検出感度と比較して、拡大領域における障害物の検出感度を相対的に高くすることで、拡大領域を除いた検出領域内での障害物の誤検出を抑制しつつ、拡大領域内の障害物を検出し易くすることを可能としている。
【0069】
また、本実施形態では、走行目標設定部が、車両における走行の目標となる走行目標位置を、操舵方向において障害物の側方に設定し、走行制御部が、当該走行目標位置に向かうように車両を走行制御し、又は、車両の運転操作を誘導している。これにより、本実施形態では、ドライバの操舵操作を、車両の走行制御に反映させて、障害物を確実に回避できるようにしている。
【0070】
また、本実施形態では、車両が現在走行している走行車線に隣接する車線に走行目標位置を設定して、当該走行目標位置に向かって車両を走行させている。これにより、本実施形態では、障害物を回避するための制御に、車線追従制御(レーンキープの走行制御)を用いることができるため、走行制御に関する設計を簡単にすることができる。
【0071】
また、本実施形態では、車両が障害物を回避可能な走行目標位置を設定し、この走行目標位置に向かって車両を走行させることもできる。これにより、仮に、道路上に白線等がなく、上記のような車線追従制御を実施できない場合においても、確実に障害物を回避することが可能となる。
【0072】
次に、第2実施形態について説明する。
【0073】
<<第2実施形態>>
図10は本実施形態における車両制御装置の構成を示すブロック図、図11は、本実施形態における拡大領域を示す図である。
【0074】
本実施形態では、図10に示すように、車両制御装置2(障害物検出装置100)が、地図情報記憶装置7を有しており、ECU5が、走行経路推定部に代えて、車線経路推定部58を有している点で、第1実施形態と相違するが、それ以外の構成については、第1実施形態と同様である。以下に、第1実施形態と相違する部分についてのみ説明し、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0075】
地図情報記憶装置7は、ノードデータやリンクデータ等の地図情報を記憶する装置である。つまり、地図情報記憶装置7は、車両1の走行車線の情報(例えば、カーブや直線等の道路形状)を記憶している。
【0076】
車線経路推定部58は、図11に示すように、地図情報記憶装置7が記憶する地図情報に基づいて、車両1が走行する走行車線に沿った車線経路L4を推定する。なお、本実施形態において推定される車線経路L4は、車両1の走行車線の略中央に位置している。
【0077】
次に、本実施形態における車両制御装置2の制御手順を説明する。
【0078】
本実施形態における車両制御装置2の制御手順は、ステップS7が第1実施形態と相違するが、それ以外については、第1実施形態と同様である。以下に、第1実施形態と相違するステップS7を中心に説明する。
【0079】
本実施形態におけるステップS7では、検出領域設定部53が、図11に示すように、車線経路推定部58によって推定された車線経路L4を基準として、通常領域C1において、操舵方向aに対して反対方向に位置する反対部分C2を、車両1の進行方向に向かって車幅方向A2の外側(図中左側)に拡大することで、拡大領域C3(不図示)を設定し、通常領域C1に当該拡大領域C3を追加している。
【0080】
次いで、第1実施形態と同様に、ステップS7において、情報取得装置3及び判断部55が障害物6を検出し、ステップS8又はステップS9において、走行目標設定部56が、走行目標位置M1又はM2を設定する。
【0081】
次いで、第1実施形態と同様に、ステップS11において、走行制御部57が、走行目標位置M1又はM2に向かって車両1を走行させるように、車両1の走行制御を実行する。
【0082】
以上のように、本実施形態では、車両の走行車線に沿った車線経路を設定し、当該車線経路を基準として、検出領域において操舵方向に対して反対方向に位置する反対部分を、車両の車幅方向外側に向かって拡大している。
【0083】
すなわち、本実施形態では、直線やカーブなどの道路形状に応じて、回避することが必要な障害物が存在する可能性の高い領域に、拡大領域を設定している。これにより、本実施形態では、ドライバがステアリングホールを操舵操作して回避しようとする障害物を、より検出し易くしている。
【0084】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、障害物を検出する検出領域において、操舵操作の操舵方向に対して反対方向に位置する部分を、車両の進行方向に向かって拡大している。これにより、ドライバが回避しようとする障害物に向って、検出領域が拡大されるので、ドライバが回避しようとする障害物を検出し易くなる。その結果、障害物の検出精度を向上させることが可能となる。
【0085】
また、車両1を自動運転する場合には、障害物を回避しようとするドライバの操舵操作を車両の走行制御に反映させることができるので、ドライバの意思に沿った走行制御をすることが可能となる。
【0086】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、情報取得制御部が、情報取得方向を拡大領域に向けるように、情報取得装置を制御している。これにより、拡大領域の全てを情報取得領域に包含させ、拡大領域内の全ての領域で、障害物の検出を可能としている。
【0087】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、拡大領域内で情報取得装置が情報を取得する頻度を、検出領域において拡大領域を除く領域内で情報取得装置が情報を取得する頻度と比較して相対的に高くすることで、拡大領域内の障害物を検出し易くし、さらに、障害物か否かの判断精度も向上させている。つまり、回避すべき障害物に対する検出精度をより高めることができる。
【0088】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、拡大領域を除いた検出領域における障害物の検出感度と比較して、拡大領域における障害物の検出感度を相対的に高くすることで、拡大領域を除いた検出領域内での障害物の誤検出を抑制しつつ、拡大領域内の障害物を検出し易くすることを可能としている。
【0089】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、車両における走行の目標となる走行目標位置を、操舵方向における障害物の側方に設定し、当該走行目標位置に向かうように車両を走行制御し、又は、車両の運転操作を誘導することで、ドライバの操舵操作を、車両の走行制御に反映させて、障害物を確実に回避できるようにしている。
【0090】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、車両が現在走行している走行車線に隣接する車線に走行目標位置を設定して、当該走行目標位置に向かって車両を走行させている。これにより、障害物を回避させための制御に、車線追従制御を用いることができるため、走行制御に関する設計を簡単にすることができる。
【0091】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、車両が障害物を回避可能な走行目標位置を設定し、この走行目標位置に向かって車両を走行させることもできる。これにより、仮に、道路上に白線等がなく、上記のような車線追従制御を実施できない場合においても、確実に障害物を回避することが可能となる。
【0092】
次に、第3実施形態について説明する。
【0093】
<<第3実施形態>>
図12は本実施形態における車両制御装置の走行制御を説明する図、図13は本実施形態における車両制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【0094】
本実施形態では、判断部55の作用が第1実施形態と相違するが、それ以外については、第1実施形態と同様である。以下に、第1実施形態と相違する部分についてのみ説明し、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0095】
本実施形態における判断部55は、検出領域設定部53が検出領域を拡大した後に、拡大領域C3内に障害物が存在しないと判断した場合には、図12に示すように、当該拡大領域C3内に、仮想障害物61を設定する。
【0096】
さらに、判断部55は、このような仮想障害物61の設定を、同図に示すように、少なくとも操舵操作が終了するまでの区間Eを車両1が走行している間において維持する。好ましくは、判断部55は、同図に示すように、操舵操作終了後に、車両1が所定距離を走行するまで維持する。なお、この所定距離とは、例えば、操舵操作が終了した地点から、拡大領域C3の測方を通過するまでの区間Fの距離を挙げることができる。
【0097】
次に、本実施形態における車両制御装置2の制御手順を説明する。
【0098】
図13は、本実施形態における車両制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【0099】
本実施形態における車両制御装置2の制御手順は、図13に示すように、ステップS7とステップS9の間に、ステップS10及びステップS12を設けている点において第1実施形態と相違するが、それ以外については、第1実施形態と同様である。以下に、第1実施形態と相違するステップS10及びステップS12を中心に説明する。
【0100】
本実施形態では、ステップS7において検出領域を拡大した後に、ステップS10に進み、再度、情報取得装置3及び判断部55によって障害物6を検出する。ステップS10において、障害物6が検出された場合には、ステップS9に進み、一方、障害物6が検出されなかった場合には、ステップS12に進む。
【0101】
ステップS12では、判断部55が、上述したように、拡大領域C3内に仮想障害物61を設定し、このような仮想障害物61の設定を、少なくとも操舵操作が終了するまで維持する。次いで、ステップS9に進む。なお、以下に説明するステップS9では、判断部55が仮想障害物61を設定した場合について説明する。
【0102】
ステップS9では、走行目標設定部56が、操舵方向検出装置4によって検出された操舵方向aにおいて、仮想障害物61の側方に走行目標位置M1を設定する。さらに、走行目標設定部56は、このような走行目標位置M1の設定を、車両1が走行目標位置M1に到達するまで維持する。
【0103】
なお、この走行目標位置M1については、第1実施形態と同様に、車両1が現在走行している走行車線(仮想障害物を設定した車線)に隣接する車線に設定する。また、これに代えて、車両が障害物を回避可能な回避経路上に、走行目標位置M1を設定してもよい。
【0104】
次いで、第1実施形態と同様に、ステップS11において、走行制御部57が、走行目標位置M1に向かって車両1を走行させるように、車両1の走行制御を実行する。
【0105】
以上のように、本実施形態では、判断部が、拡大領域内に障害物がないと判断した場合には、拡大領域内に仮想障害物を設定して、この仮想障害物の設定を、少なくとも操舵操作が終了するまで継続して維持すると共に、走行目標設定部が、操舵方向において仮想障害物の側方に走行目標位置を設定して、走行制御部が、車両を走行目標位置に向かわせるように車両を走行制御し、又は、車両の運転操作を誘導する。
【0106】
これにより、本実施形態では、ドライバが障害物を回避するために操舵操作を行ったにも係らず、情報取得装置及び判断部が障害物を検出しなかった場合においても、障害物を回避させるような走行制御を実行することが可能となっている。
【0107】
また、本実施形態では、仮想障害物を設定した場合に、走行目標位置の設定を、車両が当該走行目標位置に到達するまで維持している。これにより、車両が障害物の側方を通り過ぎるまで、当該走行目標位置が、仮想障害物を設定しない場合の通常の走行目標位置に変更されてしまうことがないので、車両は、確実に障害物を回避することができる。
【0108】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、車両が現在走行している走行車線に隣接する車線に走行目標位置を設定して、当該走行目標位置に向かって車両を走行させている。これにより、障害物を回避させための制御に、車線追従制御を用いることができるため、走行制御に関する設計を簡単にすることができる。
【0109】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、車両が仮想障害物を回避可能な走行目標位置を設定し、この走行目標位置に向かって車両を走行させることもできる。これにより、仮に、道路上に白線等がなく、上記のような車線追従制御を実施できない場合においても、確実に仮想障害物(障害物)を回避することが可能となる。
【0110】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、障害物を検出する検出領域において、操舵操作の操舵方向に対して反対方向に位置する部分を、車両の車幅方向外側に向かって拡大している。これにより、ドライバが回避しようとする障害物に向って、検出領域が拡大されるので、ドライバが回避しようとする障害物を検出し易くなる。その結果、障害物の検出精度を向上させることが可能となる。
【0111】
また、車両1を自動運転する場合には、障害物を回避しようとするドライバの操舵操作を車両の走行制御に反映させることができるので、ドライバの意思に沿った走行制御をすることが可能となる。
【0112】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、車両の走行経路を基準として、検出領域において操舵方向に対して反対方向に位置する反対部分を、車両の車幅方向外側に向かって拡大している。つまり、本実施形態においても、車両が走行する可能性が高い領域に拡大領域を設定することで、回避することが必要な障害物を、より検出し易くしている。
【0113】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、情報取得制御部が、情報取得方向を拡大領域に向けるように、情報取得装置を制御している。これにより、拡大領域の全てを情報取得領域に包含させ、拡大領域内の全ての領域で、障害物の検出を可能としている。
【0114】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、拡大領域内で情報取得装置が情報を取得する頻度を、検出領域において拡大領域を除く領域内で情報取得装置が情報を取得する頻度と比較して相対的に高くすることで、拡大領域内の障害物を検出し易くし、さらに、障害物か否かの判断精度も向上させている。
【0115】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、拡大領域における障害物の検出感度を、拡大領域を除いた検出領域における障害物の検出感度よりも相対的に高くすることで、通常領域における誤検出を抑制しつつ、拡大領域内の障害物を検出し易くしている。
【0116】
なお、以上に説明した第1〜第3実施形態における情報取得装置3が本発明の情報取得手段の一例に相当し、第1〜第3実施形態における操舵方向検出装置4が本発明の操舵方向検出手段の一例に相当し、第1〜第3実施形態における操舵介入検出部51が本発明の操舵介入検出手段の一例に相当し、第1〜第3実施形態における検出領域設定部53が本発明の検出領域設定手段の一例に相当し、第1実施形態における走行経路推定部52が本発明の走行経路推定手段の一例に相当し、第2実施形態における車線経路推定部58が本発明の車線経路推定手段の一例に相当し、第1〜第3実施形態における判断部55が本発明の判断手段の一例に相当し、第1〜第3実施形態における情報取得制御部54が本発明の情報取得方向制御手段の一例に相当し、第1〜第3実施形態における走行目標設定部56が本発明の走行目標決定手段の一例に相当し、第1〜第3実施形態における走行制御部57が本発明の走行制御手段の一例に相当する。
【0117】
また、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0118】
1・・・車両
2・・・車両制御装置
3・・・情報取得装置
4・・・操舵方向検出装置
5・・・ECU
51・・・操舵介入検出部
52・・・走行経路推定部
53・・・検出領域設定部
54・・・情報取得制御部
55・・・判断部
56・・・走行目標設定部
57・・・走行制御部
6・・・他車両
100・・・障害物検出装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に対する障害物を検出する障害物検出装置及びそれを備えた車両制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ステアリングホールの操舵角に基づいて車両の進路軌跡を計算し、当該進路軌跡に対応するように、車両の進行軌跡上に障害物の検出エリアを設定する車両周辺監視装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−56336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の車両周辺監視装置では、直線状の道路において、ドライバが、車両の進行方向に位置する障害物を回避しようとして、ステアリングホイールを操舵すると、操舵した方向に向かって検出エリア設定されてしまい、結果として、操舵した方向と反対側に位置する障害物が検出エリアから外れて、障害物を検出できなくなるという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、障害物の検出精度を向上させることが可能な障害物検出装置及びそれを備えた車両制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、障害物を検出する検出領域において、操舵操作の操舵方向に対して反対方向に位置する部分を、車幅方向外側に向って拡大することで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ドライバがステアリングホイールを操舵操作して回避しようとする障害物を検出することが可能となるので、障害物の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態における車両制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態における操舵操作前の車両の走行状態を示す図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態における操舵操作中の車両の走行状態を示す図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態における情報取得制御部による情報取得方向の制御を示す図である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態における車両制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の第1実施形態における拡大領域の変形例を説明する図である。
【図7】図7は、本発明の第1実施形態における走行目標位置の設定を説明する図である(その1)。
【図8】図8は、本発明の第1実施形態における走行目標位置の設定を説明する図である(その2)。
【図9】図9は、本発明の第1実施形態における走行目標位置の設定の変形例を説明する図である。
【図10】図10は、本発明の第2実施形態における車両制御装置の構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、本発明の第2実施形態における拡大領域を示す図である。
【図12】図12は、本発明の第3実施形態における車両制御装置の走行制御を説明する図である。
【図13】図13は、本発明の第3実施形態における車両制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
<<第1実施形態>>
図1は本実施形態における車両制御装置の構成を示すブロック図、図2は本実施形態における操舵操作前の車両の走行状態を示す図、図3は実施形態における操舵操作中の車両の走行状態を示す図、図4は本実施形態における情報取得制御部による情報取得方向の制御を示す図である。
【0011】
本実施形態における車両制御装置2は、車両1の進行方向A1に位置する障害物6を検出して、当該障害物6を回避するように車両1の走行を自動制御する装置である(図2及び3参照)。
【0012】
この車両制御装置2は、図1に示すように、情報取得装置3と、操舵方向検出装置4と、ECU5と、を備えている。
【0013】
情報取得装置3は、図2に示すように、情報取得領域B(同図において点線で囲った領域)内から、車両1の進行方向A1に位置する障害物6を検出するために必要な情報(以下単に、「検出必要情報」と称する)を取得する装置である。情報取得装置3としては、例えば、物体(障害物6)に向って電磁波を出射して、物体によって反射した電磁波の反射波を受信することで、当該反射波の強度や、電磁波を出射してから反射波を受信するまでの時間等の情報(上述した検出必要情報の一例に相当する)を取得することが可能なレーダを挙げることができる。
【0014】
この情報取得装置3は、取得した検出必要情報の信号を、ECU5の判断部55(後述)に出力する。
【0015】
操舵方向検出装置4は、車両のステアリングホイールの回転角度及び操舵方向a(回転方向)を示す符号付き数値である操舵角を検出して、当該操舵角をECU5の操舵介入検出部51(後述)に出力する装置である。この操舵方向検出装置4としては、例えば、操舵角センサを挙げることができる。
【0016】
ECU5は、情報取得装置3や操舵方向検出装置4から出力された信号に基づいて、障害物6を回避させるように、車両1の走行支援を実行可能な機能を有するコンピュータである。このECU5は、図1に示すように、操舵介入検出部51、走行経路推定部52、検出領域設定部53、情報取得制御部54、判断部55、走行目標設定部56及び走行制御部57のプログラムを格納している。
【0017】
操舵介入検出部51は、操舵方向検出装置4からステアリングホイールの操舵角を入手して、操舵操作の有無に基づいて、車両1の自動運転中にドライバによる操舵介入があったか否かを検出する。
【0018】
走行経路推定部52は、図2に示すように、車両1の位置、姿勢、及び運動状態に基づいて、車両1の走行経路L1を推定する。例えば、同図に示すように、車両1が直線を走行中である場合には、走行経路L1は、当該直線に沿って推定され、特に図示しないが、車両1がカーブを走行中である場合には、走行経路L1は、当該カーブに沿って推定される。
【0019】
なお、車両1の位置については、車両1にGPS(Global positioning system)受信機(不図示)を設けて、GPS衛星から車両1の位置情報の信号を受信することで検出したり、車両1にカメラを設けて、車両1の周囲の映像を撮像して、画像処理することで推定することができる。
【0020】
また、車両1の姿勢については、次のようにして求めることができる。例えば、GPS受信機が受信した信号に基づいて車両1の位置を検出して、車両1の位置の履歴を記憶し、車両1の位置の変化から車両1の姿勢を検出したり、車両1にGPS受信機を2つ設けて、それぞれのGPS受信機が受信した車両1の位置情報の信号に基づいて、車両1の姿勢を検出することができる。また、カメラを用いて撮像した画像情報を画像処理することで、車両1の姿勢を検出したり、ジャイロを用いたヨーレートセンサを車両1に設けて、ヨーレートセンサよって姿勢角を推定することで、車両1の姿勢を検出したり、操舵角センサが出力する信号からヨーレートを推定することで、車両1の姿勢を検出することもできる。
【0021】
また、車両1の運動状態としては、例えば速度やヨーレートを挙げることができる。なお、車両1の速度については、車輪の回転速度を検出させる車輪速センサを車両1に設けて、検出された車輪の回転速度に基づいて算出することができる。また、ヨーレートについては、ヨーレートセンサを用いて検出することができる。
【0022】
検出領域設定部53は、障害物6を検出する検出領域Cを設定する。この検出領域設定部53は、操舵介入検出部51による操舵介入の検出がない通常の自動運転の制御中には、図2に示すように、上記の情報取得領域B内の一部の領域である通常領域C1(同図中において、右上から左下に向った斜線によるハッチングを付した部分)を検出領域Cとして設定する。この通常領域C1は、情報取得領域B内において、情報取得装置3が障害物6の情報(レーダの反射波)を正確に取得することができる領域である。
【0023】
一方、操舵介入検出部51が操舵介入を検出し、且つ、情報取得装置3及び判断部55(後述)が障害物6を検出した場合には、検出領域設定部53は、図2及び図3に示すように、操舵操作前に走行経路推定部52によって推定された走行経路L1を基準として、上記の通常領域C1において、操舵方向検出装置3によって検出されたステアリングホールの操舵方向aに対して反対方向に位置する反対部分C2を、車両1の進行方向A1に向かって車幅方向A2の外側(図中左側)に拡大する。つまり、この場合における検出領域Cは、通常領域C1と、反対部分C2を拡大した拡大領域C3(同図中において、左上から右下に向った斜線によるハッチングを付した部分)と、を含むように設定される。
【0024】
情報取得制御部54は、情報取得装置3の動作を制御する装置である。具体的には、この情報取得制御部54は、図4に示すように、情報取得領域Bが拡大領域C3の全てを包含するように、情報取得装置3の情報取得方向D1を、当該拡大領域C3に向けた情報取得方向D2に変更するように情報取得装置3を制御する。なお、同図においては、情報取得制御部54による情報取得装置3の制御前の情報取得領域B′を二点鎖線で示し、当該制御後の情報取得領域Bを点線で囲って示している。
【0025】
また、この情報取得制御部54は、拡大領域C3内で情報取得装置3が情報を取得する頻度を、通常領域C1(検出領域Cにおいて拡大領域C3を除く領域)内で情報取得装置3が情報を取得する頻度と比較して相対的に高くなるように、情報取得装置3を制御する。
【0026】
例えば、情報取得装置3がレーダである場合には、情報取得制御部54は、拡大領域C3に対する単位時間当たりの電磁波の出射回数を、通常領域C1(検出領域C内において拡大領域C3を除く領域であり、特に操舵方向a側の部分)に対する単位時間当たりの電磁波の出射回数と比較して相対的に高くするように、情報取得装置3の制御を実行する。
【0027】
これにより、本実施形態では、拡大領域C3内における障害物6を検出し易くしている。また、このように、拡大領域C3内における障害物6の検出頻度を高くすると、単位時間当たりの障害物6に関する情報量が増えるので、後述する判断部55において障害物6か否かを判定する精度も向上させることができる。
【0028】
判断部55は、情報取得装置3から取得した信号に基づいて、検出領域C内における障害物6の有無を判断する。
【0029】
詳細に説明すると、情報取得装置3がレーダである場合には、レーダによって受信された反射波の強度が所定閾値以上であれば、障害物6が存在していると判断し、レーダによって受信された反射波が所定閾値未満の強度であれば、障害物6は存在しておらずレーダの誤検出として判断する。
【0030】
ここで、本実施形態における判断部55は、拡大領域C3内における障害物6の有無を判断する際の所定閾値を、通常領域C1(検出領域Cにおいて拡大領域C3を除く領域)内における障害物6の有無を判断する際の所定閾値よりも相対的に低くしている。
【0031】
つまり、本実施形態では、ドライバの操舵操作に応じて拡大領域C3を設定した場合には、操舵操作前における車両1の進行方向A1に障害物6が存在する可能性が高く、情報取得装置3による誤検出の可能性が低くいことから、拡大領域C3内における障害物6の検出感度を、通常領域C1内における障害物6の検出感度と比較して相対的に高くして、拡大領域C3内における障害物6を検出し易くしている。
【0032】
走行目標設定部56は、車両1の走行制御をする際の目標となる走行目標位置を設定する。この走行目標位置は、後で詳細に説明するが、将来(例えば数秒後)、車両1に走行させようとする位置に設定される。
【0033】
走行制御部57は、車両1が上記の走行目標位置に向かうように、車両1の走行制御を行う。具体的には、走行制御部57は、ステアリングホールの操舵角やアクセルの開度等を制御して、走行目標位置に向って自動で車両1を走行させたり、EPS(Electric Power Steering、電動パワーステアリング)の操舵トルクを制御して、ドライバが走行目標位置に向かうように誘導する。
【0034】
なお、車両1の自動運転を行わない場合には、走行制御部57は、車両1を走行目標位置に向かわせるような運転操作をドライバに行わせるために、そのような運転操作の音声情報を車両1のスピーカから出力させたり、車両1を走行目標位置に向かわせるような走行指示を車両1のディスプレイに表示させるように、車両1のスピーカやディスプレイを制御してもよい。
【0035】
また、走行制御部57は、車両1の自動運転中に、操舵介入検出部51から操舵介入の検出の信号を取得すると、一時的に、EPSへの制御指令値の出力を停止して、自動運転を中止させたり、当該制御指令値のゲインを小さくすることで、ドライバによる操舵操作を車両1の走行に反映させ易くようにする。
【0036】
ここで、本実施形態では、情報取得装置3をレーダで構成した場合について説明したが、情報取得装置3の構成は特に限定されない。例えば、情報取得装置3を、車両1の進行方向A1の画像を撮像可能なカメラで構成してもよい。
【0037】
このように情報取得装置3をカメラで構成した場合には、拡大領域C3内における単位時間当たりの画像の読み取り回数を、通常領域C1内における単位時間当たりの画像の読み取り回数と比較して相対的に高くする。
【0038】
また、この場合におけるECU5の判断部55は、カメラによって撮像された画像と、障害物6のテンプレートを比較して類似度を算出し、当該類似度が所定閾値以上であった場合に、障害物が存在すると判断する。この際に、判断部55は、拡大領域C3内における障害物6の有無を判断する際の所定閾値を、通常領域C1内における障害物6の有無を判断する際の所定閾値よりも相対的に低くし、拡大領域C3内における障害物6を検出し易くする。
【0039】
また、本実施形態では、操舵介入検出部51、走行経路推定部52、検出領域設定部53、情報取得制御部54、判断部55、走行目標設定部56及び走行制御部57をECU5で構成したが、特に限定されず、これらを、ECU5とは異なるコンピュータで構成してもよい。
【0040】
なお、本実施形態では、図1に示すように、障害物6を検出する障害物検出装置100が、情報取得装置3、操舵方向検出装置4、操舵介入検出部51、走行経路推定部52、検出領域設定部53、情報取得制御部54、及び判断部55から構成される。
【0041】
次に、本実施形態における車両制御装置の制御手順について図6を参照して説明する。
【0042】
図5は本実施形態における車両制御装置の制御手順を示すフローチャート、図6は、本実施形態における拡大領域の変形例を説明する図、図7及び図8は本実施形態における走行目標の設定を説明する図、図9は本実施形態における走行目標位置の設定の変形例を説明する図である。
【0043】
まず、図5に示すステップS1では、ECU5の検出領域設定部53が検出領域C(通常領域C1)を設定する。
【0044】
次いで、ステップS3では、操舵介入検出部51が、操舵方向検出装置4から取得したステアリングホイールの操舵角に基づいて操舵介入の有無を検出する。操舵介入がなかった場合には、ステップS4へ進み、操舵介入があった場合には、ステップS5へ進む。
【0045】
ステップS4では、障害物検出装置100が、障害物6をすでに検出しているか否か判断する。障害物6が検出されている場合には、ステップS6に進む。なお、ステップS4において「障害物6が検出されている場合」とは、検出領域Cがすでに拡大され、拡大領域C3内で障害物6が検出されている場合をいう。
【0046】
ステップS6では、検出領域設定部53が、検出領域Cが拡大されている状態(拡大領域C3)を保持し、ステップS9に進む。
【0047】
一方、上記のステップS4において、障害物6を検出していないと判断された場合には、ステップS5に進む。
【0048】
ステップS5では、情報取得装置3及び判断部55によって、障害物6を検出する。
【0049】
ステップS5において、障害物6が検出された場合には、ステップS7に進む。
【0050】
ステップS7では、検出領域設定部53が、通常領域C1に拡大領域C3を追加するように検出領域Cを拡大する。
【0051】
また、このステップS7では、情報取得制御部54が、情報取得領域B内に拡大領域C3の全てを包含させるように、情報取得装置3の情報取得方向D1を、当該拡大領域C3に向けた情報取得方向D2に変更すると共に(図4参照)、拡大領域C3内において情報を取得する頻度を、通常領域C1内において情報を取得する頻度と比較して、相対的に高くするように、情報取得装置3を制御する。
【0052】
また、判断部55は、拡大領域C3内における障害物6の検出感度を、通常領域C1内における障害物6の検出感度と比較して相対的に高くして、拡大領域C3内の障害物6を検出し易くする。
【0053】
ここで、拡大領域C3の範囲については、特に限定されず、例えば、図6に示すように、仮に走行経路推定部52によって推定された走行経路L1を、車両1が走行した場合に、車両1の操舵方向aとは反対側の側面11が通過する推定軌跡L2を、境界として設定してもよい。
【0054】
ステップS9では、図7に示すように、走行目標設定部56が、操舵方向aにおける障害物6の側方に走行目標位置M1を設定する。
【0055】
詳細に説明すると、走行目標設定部56は、同図に示すように、車両1が現在走行する走行車線と隣接する車線内の目標横位置L3に走行目標位置M1を設定する。なお、この目標横位置L3は、車線の幅方向において車両1が走行を予定する位置であり、本実施形態においては、車両1の走行車線と隣接する車線の中央付近に設定されている。
【0056】
次いで、走行目標設定部56は、走行目標位置M1に至るまでの経路を算出する。
【0057】
また、走行目標設定部56は、目標横位置L3に走行目標位置M1を設定することに代えて、図9に示すように、車両1が障害物6を回避する際の経由点となる各位置に、走行目標位置M1を設定し、各走行目標位置M1に至るまでの経路を算出してもよい。
【0058】
一方、上記のステップS5において、障害物6が検出されなかった場合には、ステップS8に進む。
【0059】
ステップS8では、図8に示すように、走行目標設定部56が、車両1の進行方向A1上に走行目標位置M2を設定し、走行目標位置M2に至るまでの経路を算出する。
【0060】
次いで、ステップS11では、走行制御部57が、上記の走行目標位置M1又はM2に向かって車両1を走行させるように、走行目標設定部56によって算出された経路に従って、車両1を走行制御する。
【0061】
ここで、仮に、上記のステップS7を設けず、検出領域に拡大領域を追加しないで障害物を検出しようとすると、障害物を回避するための操舵操作に伴って、検出領域も障害物から離反するように設定されてしまい、結果として、障害物を検出できなくなってしまう恐れがある。このため、車両が自動運転によって走行している場合には、障害物を回避しようとするドライバの操舵操作が車両の走行制御に反映されず、ドライバの意に反して、車両が現在走行している走行車線をそのまま走行するような走行制御(例えば、走行車線をそのまま走行させるように、操舵操作とは反対方向に操舵トルクを印加してしまうような制御)が実行されてしまう恐れがある。
【0062】
これに対し、本実施形態では、障害物を検出する検出領域において、操舵操作の操舵方向に対して反対方向に位置する部分を、車両の車幅方向外側に向って拡大している。
【0063】
つまり、本実施形態では、ドライバがステアリングホールを操舵操作して回避しようとする障害物に向って、検出領域を拡大している。これにより、ドライバが回避しようとする障害物を検出し易くなるので、障害物の検出精度を向上させることができる。
【0064】
また、車両1を自動運転する場合には、障害物を回避しようとするドライバの操舵操作を車両の走行制御に反映させることができるので、ドライバの意思に沿った走行制御をすることが可能となる。
【0065】
また、本実施形態では、車両の走行経路を基準として、検出領域において操舵方向に対して反対方向に位置する反対部分を、車両の車幅方向外側に向って拡大している。これにより、本実施形態では、車両が走行する可能性が高い領域に拡大領域を設定することができるため、回避することが必要な障害物を、より検出し易くなる。例えば、車両がカーブを走行している場合には、当該カーブ(走行経路)に沿って障害物を検出することができる。
【0066】
また、本実施形態では、情報取得制御部が、情報取得方向を拡大領域に向けるように、情報取得装置を制御している。これにより、拡大領域の全てを情報取得領域に包含させ、拡大領域内の全ての領域で、情報取得装置及び判断部によって障害物を検出させることを可能としている。
【0067】
また、本実施形態では、拡大領域内で情報取得装置が情報を取得する頻度を、検出領域において拡大領域を除く領域内で情報取得装置が情報を取得する頻度と比較して相対的に高くすることで、拡大領域内の障害物を検出し易くすることができ、さらに、障害物か否かの判断精度も向上させることも可能となっている。つまり、回避すべき障害物に対する検出精度をより高めることが可能となっている。
【0068】
また、本実施形態では、拡大領域を除いた検出領域における障害物の検出感度と比較して、拡大領域における障害物の検出感度を相対的に高くすることで、拡大領域を除いた検出領域内での障害物の誤検出を抑制しつつ、拡大領域内の障害物を検出し易くすることを可能としている。
【0069】
また、本実施形態では、走行目標設定部が、車両における走行の目標となる走行目標位置を、操舵方向において障害物の側方に設定し、走行制御部が、当該走行目標位置に向かうように車両を走行制御し、又は、車両の運転操作を誘導している。これにより、本実施形態では、ドライバの操舵操作を、車両の走行制御に反映させて、障害物を確実に回避できるようにしている。
【0070】
また、本実施形態では、車両が現在走行している走行車線に隣接する車線に走行目標位置を設定して、当該走行目標位置に向かって車両を走行させている。これにより、本実施形態では、障害物を回避するための制御に、車線追従制御(レーンキープの走行制御)を用いることができるため、走行制御に関する設計を簡単にすることができる。
【0071】
また、本実施形態では、車両が障害物を回避可能な走行目標位置を設定し、この走行目標位置に向かって車両を走行させることもできる。これにより、仮に、道路上に白線等がなく、上記のような車線追従制御を実施できない場合においても、確実に障害物を回避することが可能となる。
【0072】
次に、第2実施形態について説明する。
【0073】
<<第2実施形態>>
図10は本実施形態における車両制御装置の構成を示すブロック図、図11は、本実施形態における拡大領域を示す図である。
【0074】
本実施形態では、図10に示すように、車両制御装置2(障害物検出装置100)が、地図情報記憶装置7を有しており、ECU5が、走行経路推定部に代えて、車線経路推定部58を有している点で、第1実施形態と相違するが、それ以外の構成については、第1実施形態と同様である。以下に、第1実施形態と相違する部分についてのみ説明し、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0075】
地図情報記憶装置7は、ノードデータやリンクデータ等の地図情報を記憶する装置である。つまり、地図情報記憶装置7は、車両1の走行車線の情報(例えば、カーブや直線等の道路形状)を記憶している。
【0076】
車線経路推定部58は、図11に示すように、地図情報記憶装置7が記憶する地図情報に基づいて、車両1が走行する走行車線に沿った車線経路L4を推定する。なお、本実施形態において推定される車線経路L4は、車両1の走行車線の略中央に位置している。
【0077】
次に、本実施形態における車両制御装置2の制御手順を説明する。
【0078】
本実施形態における車両制御装置2の制御手順は、ステップS7が第1実施形態と相違するが、それ以外については、第1実施形態と同様である。以下に、第1実施形態と相違するステップS7を中心に説明する。
【0079】
本実施形態におけるステップS7では、検出領域設定部53が、図11に示すように、車線経路推定部58によって推定された車線経路L4を基準として、通常領域C1において、操舵方向aに対して反対方向に位置する反対部分C2を、車両1の進行方向に向かって車幅方向A2の外側(図中左側)に拡大することで、拡大領域C3(不図示)を設定し、通常領域C1に当該拡大領域C3を追加している。
【0080】
次いで、第1実施形態と同様に、ステップS7において、情報取得装置3及び判断部55が障害物6を検出し、ステップS8又はステップS9において、走行目標設定部56が、走行目標位置M1又はM2を設定する。
【0081】
次いで、第1実施形態と同様に、ステップS11において、走行制御部57が、走行目標位置M1又はM2に向かって車両1を走行させるように、車両1の走行制御を実行する。
【0082】
以上のように、本実施形態では、車両の走行車線に沿った車線経路を設定し、当該車線経路を基準として、検出領域において操舵方向に対して反対方向に位置する反対部分を、車両の車幅方向外側に向かって拡大している。
【0083】
すなわち、本実施形態では、直線やカーブなどの道路形状に応じて、回避することが必要な障害物が存在する可能性の高い領域に、拡大領域を設定している。これにより、本実施形態では、ドライバがステアリングホールを操舵操作して回避しようとする障害物を、より検出し易くしている。
【0084】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、障害物を検出する検出領域において、操舵操作の操舵方向に対して反対方向に位置する部分を、車両の進行方向に向かって拡大している。これにより、ドライバが回避しようとする障害物に向って、検出領域が拡大されるので、ドライバが回避しようとする障害物を検出し易くなる。その結果、障害物の検出精度を向上させることが可能となる。
【0085】
また、車両1を自動運転する場合には、障害物を回避しようとするドライバの操舵操作を車両の走行制御に反映させることができるので、ドライバの意思に沿った走行制御をすることが可能となる。
【0086】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、情報取得制御部が、情報取得方向を拡大領域に向けるように、情報取得装置を制御している。これにより、拡大領域の全てを情報取得領域に包含させ、拡大領域内の全ての領域で、障害物の検出を可能としている。
【0087】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、拡大領域内で情報取得装置が情報を取得する頻度を、検出領域において拡大領域を除く領域内で情報取得装置が情報を取得する頻度と比較して相対的に高くすることで、拡大領域内の障害物を検出し易くし、さらに、障害物か否かの判断精度も向上させている。つまり、回避すべき障害物に対する検出精度をより高めることができる。
【0088】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、拡大領域を除いた検出領域における障害物の検出感度と比較して、拡大領域における障害物の検出感度を相対的に高くすることで、拡大領域を除いた検出領域内での障害物の誤検出を抑制しつつ、拡大領域内の障害物を検出し易くすることを可能としている。
【0089】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、車両における走行の目標となる走行目標位置を、操舵方向における障害物の側方に設定し、当該走行目標位置に向かうように車両を走行制御し、又は、車両の運転操作を誘導することで、ドライバの操舵操作を、車両の走行制御に反映させて、障害物を確実に回避できるようにしている。
【0090】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、車両が現在走行している走行車線に隣接する車線に走行目標位置を設定して、当該走行目標位置に向かって車両を走行させている。これにより、障害物を回避させための制御に、車線追従制御を用いることができるため、走行制御に関する設計を簡単にすることができる。
【0091】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、車両が障害物を回避可能な走行目標位置を設定し、この走行目標位置に向かって車両を走行させることもできる。これにより、仮に、道路上に白線等がなく、上記のような車線追従制御を実施できない場合においても、確実に障害物を回避することが可能となる。
【0092】
次に、第3実施形態について説明する。
【0093】
<<第3実施形態>>
図12は本実施形態における車両制御装置の走行制御を説明する図、図13は本実施形態における車両制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【0094】
本実施形態では、判断部55の作用が第1実施形態と相違するが、それ以外については、第1実施形態と同様である。以下に、第1実施形態と相違する部分についてのみ説明し、第1実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0095】
本実施形態における判断部55は、検出領域設定部53が検出領域を拡大した後に、拡大領域C3内に障害物が存在しないと判断した場合には、図12に示すように、当該拡大領域C3内に、仮想障害物61を設定する。
【0096】
さらに、判断部55は、このような仮想障害物61の設定を、同図に示すように、少なくとも操舵操作が終了するまでの区間Eを車両1が走行している間において維持する。好ましくは、判断部55は、同図に示すように、操舵操作終了後に、車両1が所定距離を走行するまで維持する。なお、この所定距離とは、例えば、操舵操作が終了した地点から、拡大領域C3の測方を通過するまでの区間Fの距離を挙げることができる。
【0097】
次に、本実施形態における車両制御装置2の制御手順を説明する。
【0098】
図13は、本実施形態における車両制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【0099】
本実施形態における車両制御装置2の制御手順は、図13に示すように、ステップS7とステップS9の間に、ステップS10及びステップS12を設けている点において第1実施形態と相違するが、それ以外については、第1実施形態と同様である。以下に、第1実施形態と相違するステップS10及びステップS12を中心に説明する。
【0100】
本実施形態では、ステップS7において検出領域を拡大した後に、ステップS10に進み、再度、情報取得装置3及び判断部55によって障害物6を検出する。ステップS10において、障害物6が検出された場合には、ステップS9に進み、一方、障害物6が検出されなかった場合には、ステップS12に進む。
【0101】
ステップS12では、判断部55が、上述したように、拡大領域C3内に仮想障害物61を設定し、このような仮想障害物61の設定を、少なくとも操舵操作が終了するまで維持する。次いで、ステップS9に進む。なお、以下に説明するステップS9では、判断部55が仮想障害物61を設定した場合について説明する。
【0102】
ステップS9では、走行目標設定部56が、操舵方向検出装置4によって検出された操舵方向aにおいて、仮想障害物61の側方に走行目標位置M1を設定する。さらに、走行目標設定部56は、このような走行目標位置M1の設定を、車両1が走行目標位置M1に到達するまで維持する。
【0103】
なお、この走行目標位置M1については、第1実施形態と同様に、車両1が現在走行している走行車線(仮想障害物を設定した車線)に隣接する車線に設定する。また、これに代えて、車両が障害物を回避可能な回避経路上に、走行目標位置M1を設定してもよい。
【0104】
次いで、第1実施形態と同様に、ステップS11において、走行制御部57が、走行目標位置M1に向かって車両1を走行させるように、車両1の走行制御を実行する。
【0105】
以上のように、本実施形態では、判断部が、拡大領域内に障害物がないと判断した場合には、拡大領域内に仮想障害物を設定して、この仮想障害物の設定を、少なくとも操舵操作が終了するまで継続して維持すると共に、走行目標設定部が、操舵方向において仮想障害物の側方に走行目標位置を設定して、走行制御部が、車両を走行目標位置に向かわせるように車両を走行制御し、又は、車両の運転操作を誘導する。
【0106】
これにより、本実施形態では、ドライバが障害物を回避するために操舵操作を行ったにも係らず、情報取得装置及び判断部が障害物を検出しなかった場合においても、障害物を回避させるような走行制御を実行することが可能となっている。
【0107】
また、本実施形態では、仮想障害物を設定した場合に、走行目標位置の設定を、車両が当該走行目標位置に到達するまで維持している。これにより、車両が障害物の側方を通り過ぎるまで、当該走行目標位置が、仮想障害物を設定しない場合の通常の走行目標位置に変更されてしまうことがないので、車両は、確実に障害物を回避することができる。
【0108】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、車両が現在走行している走行車線に隣接する車線に走行目標位置を設定して、当該走行目標位置に向かって車両を走行させている。これにより、障害物を回避させための制御に、車線追従制御を用いることができるため、走行制御に関する設計を簡単にすることができる。
【0109】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、車両が仮想障害物を回避可能な走行目標位置を設定し、この走行目標位置に向かって車両を走行させることもできる。これにより、仮に、道路上に白線等がなく、上記のような車線追従制御を実施できない場合においても、確実に仮想障害物(障害物)を回避することが可能となる。
【0110】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、障害物を検出する検出領域において、操舵操作の操舵方向に対して反対方向に位置する部分を、車両の車幅方向外側に向かって拡大している。これにより、ドライバが回避しようとする障害物に向って、検出領域が拡大されるので、ドライバが回避しようとする障害物を検出し易くなる。その結果、障害物の検出精度を向上させることが可能となる。
【0111】
また、車両1を自動運転する場合には、障害物を回避しようとするドライバの操舵操作を車両の走行制御に反映させることができるので、ドライバの意思に沿った走行制御をすることが可能となる。
【0112】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、車両の走行経路を基準として、検出領域において操舵方向に対して反対方向に位置する反対部分を、車両の車幅方向外側に向かって拡大している。つまり、本実施形態においても、車両が走行する可能性が高い領域に拡大領域を設定することで、回避することが必要な障害物を、より検出し易くしている。
【0113】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、情報取得制御部が、情報取得方向を拡大領域に向けるように、情報取得装置を制御している。これにより、拡大領域の全てを情報取得領域に包含させ、拡大領域内の全ての領域で、障害物の検出を可能としている。
【0114】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、拡大領域内で情報取得装置が情報を取得する頻度を、検出領域において拡大領域を除く領域内で情報取得装置が情報を取得する頻度と比較して相対的に高くすることで、拡大領域内の障害物を検出し易くし、さらに、障害物か否かの判断精度も向上させている。
【0115】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、拡大領域における障害物の検出感度を、拡大領域を除いた検出領域における障害物の検出感度よりも相対的に高くすることで、通常領域における誤検出を抑制しつつ、拡大領域内の障害物を検出し易くしている。
【0116】
なお、以上に説明した第1〜第3実施形態における情報取得装置3が本発明の情報取得手段の一例に相当し、第1〜第3実施形態における操舵方向検出装置4が本発明の操舵方向検出手段の一例に相当し、第1〜第3実施形態における操舵介入検出部51が本発明の操舵介入検出手段の一例に相当し、第1〜第3実施形態における検出領域設定部53が本発明の検出領域設定手段の一例に相当し、第1実施形態における走行経路推定部52が本発明の走行経路推定手段の一例に相当し、第2実施形態における車線経路推定部58が本発明の車線経路推定手段の一例に相当し、第1〜第3実施形態における判断部55が本発明の判断手段の一例に相当し、第1〜第3実施形態における情報取得制御部54が本発明の情報取得方向制御手段の一例に相当し、第1〜第3実施形態における走行目標設定部56が本発明の走行目標決定手段の一例に相当し、第1〜第3実施形態における走行制御部57が本発明の走行制御手段の一例に相当する。
【0117】
また、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0118】
1・・・車両
2・・・車両制御装置
3・・・情報取得装置
4・・・操舵方向検出装置
5・・・ECU
51・・・操舵介入検出部
52・・・走行経路推定部
53・・・検出領域設定部
54・・・情報取得制御部
55・・・判断部
56・・・走行目標設定部
57・・・走行制御部
6・・・他車両
100・・・障害物検出装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害物を検出する検出領域を、車両の進行方向に設定する検出領域設定手段と、
前記検出領域内に位置する前記障害物を検出する障害物検出手段と、
ドライバの操舵介入を検出する操舵介入検出手段と、
前記車両における操舵操作の操舵方向を検出する操舵方向検出手段と、を備え、
前記検出領域設定手段は、前記検出領域において、前記障害物検出手段が前記障害物を検出し、且つ、前記操舵介入検出手段が前記操舵介入を検出したら、前記検出領域において前記操舵方向に対して反対方向に位置する部分を、車幅方向外側に向って拡大することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の障害物検出装置であって、
前記車両の走行経路を推定する走行経路推定手段をさらに備え、
前記検出領域設定手段は、前記走行経路推定手段によって推定された前記走行経路を基準として、前記検出領域において前記操舵方向に対して反対方向に位置する部分を、車幅方向外側に向って拡大することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項3】
請求項1記載の障害物検出装置であって、
前記車両の走行車線に沿った車線経路を設定する車線経路設定手段をさらに備え、
前記検出領域設定手段は、前記車線経路を基準として、前記検出領域において前記操舵方向に対して反対方向に位置する部分を、車幅方向外側に向って拡大することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の障害物検出装置であって、
前記障害物検出手段は、
前記検出領域を包含する情報取得領域から、前記障害物を検出するために必要な情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段が取得した前記情報に基づいて、前記検出領域内における前記障害物の有無を判断する判断手段と、を有し、
前記障害物検出装置は、
前記情報取得手段の情報取得方向を制御する情報取得方向制御手段をさらに備え、
前記情報取得方向制御手段は、前記検出領域において拡大された拡大領域の全てを前記情報取得領域が包含するように、前記情報取得手段の前記情報取得方向を前記拡大領域に向けるように制御することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項5】
請求項4記載の障害物検出装置であって、
前記検出領域の前記拡大領域内で前記情報取得手段が前記情報を取得する頻度は、前記検出領域において前記拡大領域を除く領域内で前記情報取得手段が前記情報を取得する頻度と比較して相対的に高いことを特徴とする障害物検出装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の障害物検出装置であって、
前記判断手段は、前記拡大領域における前記障害物の検出感度を、前記拡大領域を除いた前記検出領域における前記障害物の検出感度よりも相対的に高くして、前記障害物の有無を判断することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項7】
請求項4〜6の何れかに記載の障害物検出装置と、
車両における走行の目標となる走行目標位置を、前記障害物検出装置の操舵方向検出手段が検出した操舵方向において、障害物の側方に設定する走行目標設定手段と、
前記走行目標位置に向かうように前記車両を走行制御し、又は、前記車両の運転操作を誘導する走行制御手段と、を備え、
前記走行目標設定手段は、前記車両が現在走行している走行車線と隣接する車線に前記走行目標位置を設定することを特徴とする車両制御装置。
【請求項8】
請求項4〜6の何れかに記載の障害物検出装置と、
車両が障害物を回避可能な走行目標位置を設定する走行目標設定手段と、
前記走行目標位置に向かうように前記車両を走行制御し、又は、前記車両の運転操作を誘導する走行制御手段と、を備えたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項9】
請求項4〜6の何れかに記載の障害物検出装置と、
車両における走行の目標となる走行目標位置を設定する走行目標設定手段と、
前記走行目標位置に向かうように前記車両を走行制御し、又は、前記車両の運転操作を誘導する走行制御手段と、を備え、
前記障害物検出装置の判断手段は、障害物を検出する検出領域において拡大された拡大領域内に障害物がないと判断した場合に、前記拡大領域内に仮想障害物を設定して、前記仮想障害物の設定を、少なくとも操舵操作が終了するまで継続して維持し、
前記走行目標設定手段は、前記障害物検出装置の操舵方向検出手段が検出した操舵方向において、前記仮想障害物の側方に前記走行目標位置を設定することを特徴とする車両制御装置。
【請求項10】
請求項4〜6の何れかに記載の障害物検出装置と、
車両における走行の目標となる走行目標位置を設定する走行目標設定手段と、
前記走行目標位置に向かうように前記車両を走行制御し、又は、前記車両の運転操作を誘導する走行制御手段と、を備え、
前記障害物検出装置の判断手段は、障害物を検出する検出領域において拡大された拡大領域内に前記障害物がないと判断した場合に、前記拡大領域内に仮想障害物を設定して、前記仮想障害物の設定を、少なくとも操舵操作が終了するまで継続して維持し、
前記走行目標設定手段は、前記障害物検出装置の操舵方向検出手段が検出した操舵方向における前記仮想障害物の側方において、前記車両が現在走行している走行車線と隣接する車線に前記走行目標位置を設定することを特徴とする車両制御装置。
【請求項11】
請求項4〜6の何れかに記載の障害物検出装置と、
車両における走行の目標となる走行目標位置を設定する走行目標設定手段と、
前記走行目標位置に向かうように前記車両を走行制御し、又は、前記車両の運転操作を誘導する走行制御手段と、を備え、
前記障害物検出装置の判断手段は、障害物を検出する検出領域において拡大された拡大領域内に前記障害物がないと判断した場合に、前記拡大領域内に仮想障害物を設定して、前記仮想障害物の設定を、少なくとも操舵操作が終了するまで継続して維持し、
前記走行目標設定部は、前記車両が前記仮想障害物を回避可能な前記走行目標位置を設定することを特徴とする車両制御装置。
【請求項12】
請求項9〜11の何れかに記載の車両制御装置であって、
前記走行目標設定手段は、前記車両が前記走行目標位置に到達するまで、前記走行目標位置の設定を維持することを特徴とする車両制御装置。
【請求項1】
障害物を検出する検出領域を、車両の進行方向に設定する検出領域設定手段と、
前記検出領域内に位置する前記障害物を検出する障害物検出手段と、
ドライバの操舵介入を検出する操舵介入検出手段と、
前記車両における操舵操作の操舵方向を検出する操舵方向検出手段と、を備え、
前記検出領域設定手段は、前記検出領域において、前記障害物検出手段が前記障害物を検出し、且つ、前記操舵介入検出手段が前記操舵介入を検出したら、前記検出領域において前記操舵方向に対して反対方向に位置する部分を、車幅方向外側に向って拡大することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の障害物検出装置であって、
前記車両の走行経路を推定する走行経路推定手段をさらに備え、
前記検出領域設定手段は、前記走行経路推定手段によって推定された前記走行経路を基準として、前記検出領域において前記操舵方向に対して反対方向に位置する部分を、車幅方向外側に向って拡大することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項3】
請求項1記載の障害物検出装置であって、
前記車両の走行車線に沿った車線経路を設定する車線経路設定手段をさらに備え、
前記検出領域設定手段は、前記車線経路を基準として、前記検出領域において前記操舵方向に対して反対方向に位置する部分を、車幅方向外側に向って拡大することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の障害物検出装置であって、
前記障害物検出手段は、
前記検出領域を包含する情報取得領域から、前記障害物を検出するために必要な情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段が取得した前記情報に基づいて、前記検出領域内における前記障害物の有無を判断する判断手段と、を有し、
前記障害物検出装置は、
前記情報取得手段の情報取得方向を制御する情報取得方向制御手段をさらに備え、
前記情報取得方向制御手段は、前記検出領域において拡大された拡大領域の全てを前記情報取得領域が包含するように、前記情報取得手段の前記情報取得方向を前記拡大領域に向けるように制御することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項5】
請求項4記載の障害物検出装置であって、
前記検出領域の前記拡大領域内で前記情報取得手段が前記情報を取得する頻度は、前記検出領域において前記拡大領域を除く領域内で前記情報取得手段が前記情報を取得する頻度と比較して相対的に高いことを特徴とする障害物検出装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の障害物検出装置であって、
前記判断手段は、前記拡大領域における前記障害物の検出感度を、前記拡大領域を除いた前記検出領域における前記障害物の検出感度よりも相対的に高くして、前記障害物の有無を判断することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項7】
請求項4〜6の何れかに記載の障害物検出装置と、
車両における走行の目標となる走行目標位置を、前記障害物検出装置の操舵方向検出手段が検出した操舵方向において、障害物の側方に設定する走行目標設定手段と、
前記走行目標位置に向かうように前記車両を走行制御し、又は、前記車両の運転操作を誘導する走行制御手段と、を備え、
前記走行目標設定手段は、前記車両が現在走行している走行車線と隣接する車線に前記走行目標位置を設定することを特徴とする車両制御装置。
【請求項8】
請求項4〜6の何れかに記載の障害物検出装置と、
車両が障害物を回避可能な走行目標位置を設定する走行目標設定手段と、
前記走行目標位置に向かうように前記車両を走行制御し、又は、前記車両の運転操作を誘導する走行制御手段と、を備えたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項9】
請求項4〜6の何れかに記載の障害物検出装置と、
車両における走行の目標となる走行目標位置を設定する走行目標設定手段と、
前記走行目標位置に向かうように前記車両を走行制御し、又は、前記車両の運転操作を誘導する走行制御手段と、を備え、
前記障害物検出装置の判断手段は、障害物を検出する検出領域において拡大された拡大領域内に障害物がないと判断した場合に、前記拡大領域内に仮想障害物を設定して、前記仮想障害物の設定を、少なくとも操舵操作が終了するまで継続して維持し、
前記走行目標設定手段は、前記障害物検出装置の操舵方向検出手段が検出した操舵方向において、前記仮想障害物の側方に前記走行目標位置を設定することを特徴とする車両制御装置。
【請求項10】
請求項4〜6の何れかに記載の障害物検出装置と、
車両における走行の目標となる走行目標位置を設定する走行目標設定手段と、
前記走行目標位置に向かうように前記車両を走行制御し、又は、前記車両の運転操作を誘導する走行制御手段と、を備え、
前記障害物検出装置の判断手段は、障害物を検出する検出領域において拡大された拡大領域内に前記障害物がないと判断した場合に、前記拡大領域内に仮想障害物を設定して、前記仮想障害物の設定を、少なくとも操舵操作が終了するまで継続して維持し、
前記走行目標設定手段は、前記障害物検出装置の操舵方向検出手段が検出した操舵方向における前記仮想障害物の側方において、前記車両が現在走行している走行車線と隣接する車線に前記走行目標位置を設定することを特徴とする車両制御装置。
【請求項11】
請求項4〜6の何れかに記載の障害物検出装置と、
車両における走行の目標となる走行目標位置を設定する走行目標設定手段と、
前記走行目標位置に向かうように前記車両を走行制御し、又は、前記車両の運転操作を誘導する走行制御手段と、を備え、
前記障害物検出装置の判断手段は、障害物を検出する検出領域において拡大された拡大領域内に前記障害物がないと判断した場合に、前記拡大領域内に仮想障害物を設定して、前記仮想障害物の設定を、少なくとも操舵操作が終了するまで継続して維持し、
前記走行目標設定部は、前記車両が前記仮想障害物を回避可能な前記走行目標位置を設定することを特徴とする車両制御装置。
【請求項12】
請求項9〜11の何れかに記載の車両制御装置であって、
前記走行目標設定手段は、前記車両が前記走行目標位置に到達するまで、前記走行目標位置の設定を維持することを特徴とする車両制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−20468(P2013−20468A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153553(P2011−153553)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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