説明

電子内視鏡用プロセッサ及び電子内視鏡装置

【課題】短時間で確実に所望の静止画像を取得可能な電子内視鏡用プロセッサ及び電子内視鏡装置を提供する。
【解決手段】電子内視鏡用プロセッサが、第1及び第2の画像記憶手段と制御手段とを有し、制御手段は、画像データを逐次ビデオ信号に変換して出力すると共に第1及び第2の画像記憶手段に逐次記憶させる第1のモードと、第1の画像記憶手段に記憶された画像データを出力すると共に生成される画像データを逐次第2の画像記憶手段に記憶させる第2のモードと、第2の画像記憶手段に記憶された画像データを出力すると共に生成される画像データを逐次第1の画像記憶手段に記憶させる第3のモードとのいずれかによって制御するものであり、第2及び第3のモードにおいては、記憶された複数の画像データを連続的に出力する第1再生モードと、記憶された複数の画像データのうちの一つを繰り返し出力する第2再生モードとを切り換え可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子内視鏡からの映像信号を処理してモニタ等に表示させる電子内視鏡用プロセッサ及び、上記電子内視鏡及び電子内視鏡用プロセッサを備えた電子内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体腔内の観察及び診断のために、電子内視鏡装置が広く利用されている。電子内視鏡装置は、先端に撮像素子を備え、撮像素子によって撮影された画像の映像信号を出力する電子内視鏡と、電子内視鏡から出力される映像信号を処理し、所定の形式のビデオ信号(例えば、NTSC方式のビデオ信号)に変換して、モニタ等に表示させる電子内視鏡用プロセッサとを有する。
【0003】
電子内視鏡用プロセッサは、通常、電子内視鏡が撮影した画像を動画像としてモニタに表示させるものである。また、電子内視鏡用プロセッサは、観察部位をより詳細に観察できるようにする為、撮影した画像を静止画像としてモニタに表示させる機能も有する。
【0004】
上記静止画像の表示は、例えば、電子内視鏡又は電子内視鏡用プロセッサに設けられた操作ボタンの押下をトリガとして行われる。すなわち、操作ボタンが押下された時点でモニタに表示されたフレーム、或いはその次のフレームの画像が、静止画として表示され続けることになる。
【0005】
上記構成においては、電子内視鏡の使用者は、モニタに表示される動画像を確認しながら、適切なタイミングで操作ボタンを押下する必要がある。しかし、電子内視鏡を操作し、且つモニタを確認しながら操作ボタンを押下する必要があるため、操作ボタンを押下するタイミングの遅れ等により、所望の静止画像を得ることは容易ではなかった。例えば、観察部位が動いている状態で操作ボタンを押下すると、ブレや色ずれが生じた静止画像が取得されてしまうという問題があった。
【0006】
このような、ブレや色ずれの発生を防止するため、例えば特許文献1に記載の機能を備えた電子内視鏡用プロセッサが提案されている。特許文献1に記載の電子内視鏡用プロセッサは、直近の複数フレームの画像データをメモリに蓄積する構成となっており、静止画像の取得を行うための操作(操作ボタンの押下等)が行われると、メモリに蓄積された複数フレームの画像データの中から、ブレや色ずれの少ないものを選択して、これを静止画像としてモニタに表示させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3497231号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の電子内視鏡用プロセッサを使用することにより、ブレや色ずれの少ない静止画像を得ることができる。しかしながら、特許文献1の構成では、取得されたブレや色ずれの少ない静止画像が必ずしも所望の静止画像とは限らず、静止画像の撮り直しが必要となる場合もある。また、特許文献1に記載の構成では、静止画像の取得を行うための操作を行ってから、静止画像がモニタに表示されるまでの期間はメモリに画像データが蓄積されないため、改めて静止画像の撮り直しが必要となる場合には、再度メモリに画像データが蓄積されるまで待たねばならず、診察時間が延びてしまうという問題があった。
【0009】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、短時間で確実に所望の静止画像を取得可能な電子内視鏡用プロセッサ及び電子内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明の電子内視鏡用プロセッサは、第1及び第2の画像記憶手段と制御手段とを有し、制御手段は、画像データを逐次ビデオ信号に変換して出力すると共に第1及び第2の画像記憶手段に逐次記憶させる第1のモードと、第1の画像記憶手段に記憶された画像データを出力すると共に生成される画像データを逐次第2の画像記憶手段に記憶させる第2のモードと、第2の画像記憶手段に記憶された画像データを出力すると共に生成される画像データを逐次第1の画像記憶手段に記憶させる第3のモードとのいずれかによって制御を行うものであり、第2及び第3のモードにおいては、第1及び第2の画像記憶手段に記憶された複数の画像データを連続的に出力する第1再生モードと、第1及び第2の画像記憶手段に記憶された複数の画像データのうちの一つを繰り返し出力するかを切り換え可能である。
【0011】
このような構成において、電子内視鏡が撮影した画像を動画像として観察する場合は第1のモードにて制御を行い、静止画像を取得する場合は、第2又は第3のモードに切り換えて、第1又は第2の画像記憶手段に記憶されている直近の複数の画像データを連続表示させ、次いで、適切な画像データを選択してモニタに表示させる。上記構成は、電子内視鏡が撮影した画像の画像データが、第1の画像記憶手段と第2の画像記憶手段の双方に記憶されるものであるため、第2のモードにて静止画像の表示を行った後、第1のモードに戻って動画像を表示させ、直ぐに動画像を確認しながら別の静止画像を取得しようとする場合であっても、第2の画像記憶手段には第2のモード中に電子内視鏡が撮影した画像を含む直近の画像データが記憶されているため、第3のモードにて静止画像を取得することが可能となる。
【0012】
また、制御手段が、第1再生モードから第2再生モードに切り換えたときに、第2再生モードに切り換える直前に出力されていた画像データが繰り返しビデオ信号に変換されて出力される構成としてもよい。
【0013】
また、第1再生モードは、夫々第1及び第2の画像記憶手段に記憶されている複数の画像データを、記憶された時間が新しいものから順にビデオ信号に変換して出力するものである構成としてもよい。この場合は、第1のモードから第2又は第3のモードへの切り換えが行われると、切り換えが行われた時点から逆送りとなる動画像がモニタに表示される。
【0014】
或いは、第1再生モードは、夫々第1及び第2の画像記憶手段に記憶されている複数の画像データを、記憶された時間が古いものから順にビデオ信号に変換して出力する構成としてもよい。この場合は、第1のモードから第2又は第3のモードへの切り換えが行われると、切換が行われた時点から一旦ある程度の(第1及び第2の画像記憶手段の記憶容量に応じた)時間逆上った時点から順送りとなる動画像がモニタに表示される。
【0015】
また、第1再生モードは、第1及び第2の画像記憶手段に記憶されている複数の画像データの夫々を複数回連続してビデオ信号に変換して出力するものであるような構成としてもよい。このような構成においては、第1のモードから第2及び第3のモードに切り換えが行われると、第1又は第2の画像記憶手段に記憶された1フレーム分の画像データが複数フレームに亙って表示され続けることになる。すなわち、本構成においては、第2又は第3のモードにおいて、複数の画像データが連続的にビデオ信号に変換して出力される状態では、スロー再生の動画像がモニタに表示される。
【0016】
また、第1のモードから第2又は第3のモードへの切り換えを行うための制御信号の入力を受け付けると共に、該制御信号が入力された時に該第2のモードと第3のモードのいずれに切り換えるかを判定する判定手段を有し、制御手段は、判定手段による判定結果に基づいて、第1のモードから第2又は第3のモードへの切り換えを行う構成としてもよい。
【0017】
この場合、判定手段は、制御信号が入力される度に、第2のモードと第3のモードとを交互に切り換えるように判定する構成としてもよい。
【0018】
或いは、判定手段は、第2のモードか第1のモードへの切り換えが行われてから所定時間以内に制御信号が入力された時のみ、該第1のモードから第3のモードへの切り換えを行う構成としてもよい。この場合、所定時間は、例えば第1の画像記憶手段に記憶可能な画像データの数に対応した時間である。
【0019】
また、本発明の電子内視鏡装置は、上記いずれかの電子内視鏡用プロセッサを備えると共に、第1のモードから第2又は第3のモードへの切り換えを指示するための入力を受け付ける第1の入力手段と、第2又は第3のモードにおいて、第1再生モードから第2再生モードに切り換える為の入力を受け付ける第2の入力手段と、第2及び第3のモードから第1のモードへの切り換えを指示するための入力を受け付ける第3の入力手段とを有する構成とすることが好ましい。
【0020】
このような構成とすると、第1〜第3の入力手段に入力を行うことによって、静止画像の取得、並びに静止画像表示の解除を行うことが可能となる。
【0021】
また、第1の入力手段と第3の入力手段が同一である構成としてもよい。
【0022】
また、第2又は第3のモードにおいて、第2再生モードから第1再生モードに切り換える為の入力を受け付ける第4の入力手段を有する構成とすることが好ましい。
【0023】
このような構成とすると、一旦静止画像をモニタに表示させたが、その静止画像がブレや色ずれが多い見づらいものであった場合は、第1又は第2の画像記憶手段に記憶された画像データを連続してモニタに表示させる状態に戻して、再度静止画像の取得を行うことができる。
【0024】
また、この場合、第2の入力手段と第4の入力手段が同一である構成としてもよい。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、短時間で確実に所望の静止画像を取得可能な電子内視鏡用プロセッサ及び電子内視鏡装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る電子内視鏡装置のブロック図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施形態に係る電子内視鏡用プロセッサに内蔵されているフレームメモリの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施形態に係る電子内視鏡装置で実行される画像記憶再生動作を説明するタイミングチャートである。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態に係る電子内視鏡装置で実行される静止画再生動作を説明するタイミングチャートである。
【図5】図5は、本発明の第2の実施形態に係る電子内視鏡装置で実行される画像記憶再生動作を説明するタイミングチャートである。
【図6】図6は、本発明の第3の実施形態に係る電子内視鏡装置で実行される画像記憶再生動作を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0028】
(第1の実施形態)
図1から図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る電子内視鏡装置1を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る電子内視鏡装置1のブロック図である。本実施形態の電子内視鏡装置1は、電子内視鏡100と、電子内視鏡用プロセッサ200と、モニタ300を有する。
【0029】
電子内視鏡100の挿入管110の先端部(挿入管先端部)111近傍には、対物レンズ121及び撮像素子120が内蔵されている。対物レンズ121は、挿入管先端部111近傍の被写体像を撮像素子120の受光面上に結像するように配置されている。
【0030】
撮像素子120は、その受光面上で結像した像に対応する映像信号を出力する。映像信号は、挿入管110の内部に挿通されている信号ケーブル123を介して、電子内視鏡用プロセッサ200のCCDプロセス回路221に送られる。撮像素子120は、電子内視鏡100のコネクタ部150に内蔵されるCCD駆動回路(不図示)から撮像素子120に入力されるタイミングパルスによって制御されるようになっている。また、CCD駆動回路によるタイミングパルスの出力タイミングは、コネクタ部150に内蔵されたマイコン(不図示)によって制御される。なお、図1では、説明の便宜上、電子内視鏡100と電子内視鏡用プロセッサ200とを離して記載しているが、電子内視鏡100を使用する場合、電子内視鏡100は、コネクタ部150によって電子内視鏡用プロセッサ200と電気的及び光学的に接続される。
【0031】
電子内視鏡用プロセッサ200には、CCDプロセス回路221、A/D変換回路222、フレームメモリ223、ビデオプロセス回路224、タイミング発生器225、CPU210、スイッチ240、照明装置230が内蔵されている。CCDプロセス回路221は、撮像素子120から入力される映像信号に対しノイズ除去処理、増幅処理等を行ってA/D変換回路222に送る。A/D変換回路222は、CCDプロセス回路221から受信したアナログの映像信号をデジタルの画像データに変換し、フレームメモリ223に出力する。フレームメモリ223は、複数フレームの画像データを保存可能なメモリで構成され(後述)、タイミング発生器225の制御に従って画像データを保存すると共に、保存されている画像データをビデオプロセス回路224に出力する。ビデオプロセス回路224は、フレームメモリ223から出力される画像データを所定の形式のビデオ信号(例えばNTSC信号)に変換し、電内視鏡用プロセッサ200に接続されるモニタ300に出力する。以上説明した処理によって、電子内視鏡100の挿入管先端部111近傍の映像が、モニタ300に表示される。
【0032】
電子内視鏡用プロセッサ200のCPU210は、スイッチ240、タイミング発生器225等、電子内視鏡用プロセッサ200の各構成要素と接続され、不図示のメモリに格納されているプログラムに従って電子内視鏡用プロセッサ200及び電子内視鏡100を統括的に制御する。スイッチ240は、ユーザが電子内視鏡用プロセッサ200に各種設定及び指示を行うためのユーザインターフェースであり、例えば、静止画像を得るためのフリーズボタン240aである。CPU210は、スイッチ240からの入力に従って電子内視鏡用プロセッサ200及び電子内視鏡100の各制御を設定又は変更する。なお、本実施形態においては、電子内視鏡100と電子内視鏡用プロセッサ200が接続されると、電子内視鏡100のスコープボタン140とCPU210とが接続される構成となっており、CPU210はスコープボタン140の状態を監視可能に構成されている。すなわち、スコープボタン140が押されると、スコープボタン140が押されたことを示すスコープボタン入力信号SBがCPU210に送られ、CPU210は、電子内視鏡100のスコープボタン140が押されたかどうかを判別することができる。
【0033】
また、電子内視鏡用プロセッサ200は、電子内視鏡100の挿入管先端部111近傍を照明するための照明光を生成する照明装置230を有する。以下、電子内視鏡用プロセッサ200の照明装置としての機能について説明する。
【0034】
図1に示されるように、電子内視鏡用プロセッサ200は、ランプ231、絞り232及び集光レンズ233を有する。また、電子内視鏡100の挿入管110からコネクタ部150に亘って、ライトガイド130が延在している。ライトガイド130の先端部131は、電子内視鏡100の挿入管先端部111近傍に配置されており、その近傍には配光用レンズ(不図示)が配置されている。
【0035】
電子内視鏡用プロセッサ200に内蔵されているランプ231はランプ電源回路(不図示)からの電力供給によって照明光を生成する。そして、生成された照明光は、絞り232を通って集光レンズ233に入射する。ライトガイド130は、コネクタ部150から突出しており、電子内視鏡100が電子内視鏡用プロセッサ200に接続された状態では、電子内視鏡用プロセッサ200の内部に挿入されるようになっている。そして、ライトガイド130が電子内視鏡用プロセッサ200に挿入された状態では、ライトガイド130の基端部132は、集光レンズ233によって集光された照明光が入射するような位置に配置される。この結果、ランプ231によって生成された照明光は、ライトガイド130の基端部132に入射し、ライトガイド130を通って先端部131に達し、配光用レンズを通過して挿入管先端部111近傍の生体組織を照明する。なお、絞り232は、CPU210によって制御されるようになっている。すなわち、CPU210は、絞り232を制御して、ランプ231からライトガイド130の基端部132に入射する照明光の光量を調整し、照明光の明るさを変更することができる。
【0036】
図2は、本実施形態の電子内視鏡用プロセッサ200に内蔵されているフレームメモリ223の構成を示すブロック図である。
【0037】
図2に示されるように、フレームメモリ223は、第1メモリ223a、第2メモリ223b及びスイッチ回路223cを備えている。第1メモリ223a及び第2メモリ223bは、例えば、DRAMによって構成されるリング型メモリであり、A/D変換回路222から出力されるデジタルの画像データが入力画像データVINとして入力される。本実施形態の第1メモリ223a及び第2メモリ223bは、それぞれ240フレームの画像データが記憶できる構成となっている。また、第1メモリ223a及び第2メモリ223bは、それぞれタイミング発生器225と接続されており、第1メモリ223aには書込みアドレスWA及び第1メモリ読出しアドレスRA1が入力され、第2メモリ223bには書込みアドレスWA及び第2メモリ読出しアドレスRA2が入力される。
【0038】
書込みアドレスWAは、入力画像データVINを記憶する第1メモリ223a及び第2メモリ223b上の番地を表すデータであり、本実施形態においては、第1メモリ223aと第2メモリ223bに共通の書込みアドレスWAが入力される。第1メモリ223a及び第2メモリ223bのそれぞれは、タイミング発生器225によって書込み可能(読み出し禁止)とされている状態の時に、入力画像データVINを書込みアドレスWAで示される番地に記憶する。また、第1メモリ223a及び第2メモリ223bに記憶された入力画像データVINは、第1メモリ読出しアドレスRA1及び第2メモリ読出しアドレスRA2を指定することによって、読み出すことが可能である。第1メモリ223a及び第2メモリ223bは、タイミング発生器225によって読み出し禁止(書込み可能)とされていない状態の時に、第1メモリ読出しアドレスRA1及び第2メモリ読出しアドレスRA2で示される番地に記憶されている画像データを読み出し、それぞれ第1メモリ出力MO1及び第2メモリ出力MO2として出力する。
【0039】
スイッチ回路223cは、入力される信号をスイッチするための回路で、例えばマルチプレクサによって構成される。スイッチ回路223cには、第1メモリ出力MO1、第2メモリ出力MO2及びスルー画像信号TS(すなわち、入力画像データVIN)が入力され、タイミング発生器225の制御によって、第1メモリ出力MO1、第2メモリ出力MO2又はスルー画像信号TSのいずれかが選択されて出力画像データVOUTとして出力される。そして、スイッチ回路223cから出力される出力画像データVOUTは、ビデオプロセス回路224に送られる。
【0040】
以上のように、本実施形態の電子内視鏡用プロセッサ200に内蔵されているフレームメモリ223は、複数フレームの画像データを記憶する第1メモリ223a及び第2メモリ223bを有しており、これらのメモリに記憶された画像データがタイミング発生器225の制御によって読み出される構成となっている。そして、タイミング発生器225は、CPU210に制御されており(図1)、CPU210が不図示のメモリに格納されているプログラムを実行することにより、後述する画像記録再生処理が実行される。
【0041】
次に、図3を参照しながら本実施形態の電子内視鏡装置1で実行される画像記憶再生動作について説明する。図3は、本実施形態の電子内視鏡装置1で実行される画像記憶再生動作を説明するタイミングチャートである。なお、図3において、図1及び図2と共通する信号に対しては同じ符号を付している。
【0042】
電子内視鏡100、電子内視鏡用プロセッサ200及びモニタ300の電源が入ると、上述のように、撮像素子120から出力される映像信号が、CCDプロセス回路221に送られ、さらにA/D変換回路222でデジタル化され、入力画像データVINが順にフレームメモリ223に入力される。また、電子内視鏡用プロセッサ200のCPU210は、不図示のメモリに格納されているプログラムを実行し、画像記録再生処理をスタートする。
【0043】
図3は、フレームメモリ223に入力及び出力される各信号(データ)、スコープボタン140が押されたことを示すスコープボタン入力信号SB及びフリーズボタン240aが押されたことを示すフリーズボタン入力信号FBの様子を示している。なお、入力画像データVINに示される数字(括弧無し)は、説明の便宜上使用するものであり、フレームメモリ223に順に入力される入力画像データVINのフレーム番号を示している。また、スルー信号TS、第1メモリ出力MO1、第2メモリ出力MO2、出力画像データVOUTに示される数字(括弧無し)は、これら各信号と入力画像データVINとの対応関係を示している。例えば、出力画像データVOUTの「238」という出力は、「フレーム番号:238」としてフレームメモリ223に入力された入力画像データVINが出力されることを意味する。また、書込みアドレスWA、第1メモリ読出しアドレスRA1及び第2メモリ読出しアドレスRA2に示される括弧付の数字は、アクセスするべき第1メモリ223a及び第2メモリ223bの番地(アドレス)を示している。
【0044】
図3に示されるように、第1メモリ223a及び第2メモリ223bが書込み可能(読み出し禁止)の状態(スコープボタン入力信号SBが入力されるT1までの間)では、入力画像データVINがフレームメモリ223に入力されると、第1メモリ223a及び第2メモリ223bの書込みアドレスWAで示されるアドレスに入力画像データVINが記憶される。そして、書込みアドレスWAは、タイミング発生器225の制御によって入力画像データVINが記憶される度にインクリメントされる。従って、この状態では、フレームメモリ223に連続して入力される入力画像データVINが第1メモリ223a及び第2メモリ223bの書込みアドレスWAで示されるアドレスに順に記憶されていく。なお、上述のように、第1メモリ223a及び第2メモリ223bは、それぞれ240フレームの画像データを記憶することが可能なリング型メモリで構成されているため、240番目のフレームの画像データを記憶した後は、書込みアドレスWAは「1」とされ、1番目のフレームの画像データを記憶したメモリ領域に241番目のフレームの画像データが上書きされる。このように、スコープボタン140が押されるまでの間(スコープボタン入力信号SBが入力されるT1までの間)は、第1メモリ223a及び第2メモリ223bのそれぞれに、240フレーム分の画像データが逐次更新されながら記憶されている。また、スイッチ回路223cは、スコープボタン140が押されるまでの間、タイミング発生器225の制御によってスルー信号TSを選択して出力するように構成されている。従って、入力画像データVINと同じデータが出力画像データVOUTとして出力される。このように、第1メモリ223a及び第2メモリ223bに入力画像データVINを逐次記憶し、スルー信号TSを出力画像データVOUTとして出力する状態を第1のモードと称する。
【0045】
第1のモード中、CPU210によってスコープボタン140が押されたことを検出すると(T1)、CPU210はタイミング発生器225を制御し、第1の巻戻し再生処理を実行する。第1の巻戻し再生処理が実行されると、タイミング発生器225はCPU210の制御に従って、第1メモリ223aを書込み禁止(読み出し可能)の状態にし、スイッチ回路223cの出力を第1メモリ出力MO1に切換えた上で、第1メモリ読出しアドレスRA1を直前の書込みアドレスWAの値に設定する。そして、新たな入力画像データVINがフレームメモリ223に入力される度に第1メモリ読出しアドレスRA1をディクリメントする。図3の場合、スコープボタン140が押された時(T1)、直前の書込みアドレスWAは「2」であり、このアドレスに記憶されているのは「フレーム番号:242」の入力画像データVINである。従って、スコープボタン140が押されると、先ず第1メモリ読出しアドレスRA1には「2」が設定され、「フレーム番号:242」の入力画像データVINが読み出される。そして、新たな入力画像データVINがフレームメモリ223に入力される度に第1メモリ読出しアドレスRA1が「1」、「240」、「239」・・・とディクリメントされ、「フレーム番号:241」、「フレーム番号:240」、「フレーム番号:239」・・・の入力画像データVINが順に読み出され、出力される。
【0046】
以上のように、第1の巻戻し再生処理が実行されると、第1メモリ223aに記憶された画像データは、最新のフレームのものから順に読み出されることとなり、映像的に巻戻されて出力されることとなる。なお、本実施形態の第1メモリ223aは、240フレームの画像データを記憶することが可能なリング型メモリで構成されているため、240フレーム分を巻戻した後は、再度最新のフレーム(図3中、フレーム番号:242)に戻って、再び順に古いフレームが読み出されることとなる。なお、第1の巻戻し再生処理が実行されても、第2メモリ223bは、依然として読み出し禁止(書込み可能)の状態にあり、書込みアドレスWAで示されるアドレスに入力画像データVINが順に記憶されている。上述のように、第2メモリ223bに入力画像データVINを記憶しながら第1メモリ223aから画像データを読み出し、第1メモリ出力MO1を出力画像データVOUTとして出力する状態を第2のモードと称する。
【0047】
第2のモード中、CPU210によってスコープボタン140が押されたことを検出すると(T2)、CPU210はタイミング発生器225を制御し、第1の巻戻し再生処理を停止する。第1の巻戻し再生処理が停止されると、タイミング発生器225はCPU210の制御に従って、第1メモリを読み出し禁止(書込み可能)の状態にし、スイッチ回路223cの出力をスルー信号TSに切換える。これによって、第1メモリ223aには再び入力画像データVINが順に記憶されていくこととなり、入力画像データVINと同じデータが出力画像データVOUTとして出力されることとなる。すなわち、第1のモードに戻ることとなる。
【0048】
続いてCPU210によってスコープボタン140が押されたことを検出すると(T3)、CPU210はタイミング発生器225を制御し、第2の巻戻し再生処理を実行する。第2の巻戻し再生処理が実行されると、タイミング発生器225は、CPU210の制御に従って、第2メモリ223bを書込み禁止(読み出し可能)の状態にし、スイッチ回路223cの出力を第2メモリ出力MO2に切換えた上で、第2メモリ読出しアドレスRA2を直前の書込みアドレスWAの値に設定する。そして、新たな入力画像データVINがフレームメモリ223に入力される度に第2メモリ読出しアドレスRA2をディクリメントする。図3の場合、スコープボタン140が押された時(T3)、直前の書込みアドレスWAは「1」であり、このアドレスに記憶されているのは「フレーム番号:721」の入力画像データVINである。従って、スコープボタン140が押されると、先ず第2メモリ読出しアドレスRA2には「1」が設定され、「フレーム番号:721」の入力画像データVINが読み出される。そして、新たな入力画像データVINがフレームメモリ223に入力される度に第2メモリ読出しアドレスRA2が「240」、「239」、「238」・・・とディクリメントされ、「フレーム番号:720」、「フレーム番号:719」、「フレーム番号:718」・・・の入力画像データVINが順に読み出され、出力される。
【0049】
以上のように、第2の巻戻し再生処理が実行されると、第2メモリ223bに記憶された画像データは、最新のフレームから順に読み出されることとなり、映像的に巻戻されて出力されることとなる。なお、本実施形態の第2メモリ223bは、240フレームの画像データを記憶することが可能なリング型メモリで構成されているため、240フレーム分を巻戻した後は、再度最新のフレーム(図3中、フレーム番号:721)に戻って、再び順に古いフレームが読み出されることとなる。なお、第2の巻戻し再生処理が実行されても、第1メモリ223aは、依然として読み出し禁止(書込み可能)の状態であり、書込みアドレスWAで示されるアドレスに入力画像データVINが順に記憶されている。上述のように、第1メモリ223aに入力画像データVINを記憶しながら第2メモリ223bから画像データを読み出し、第2メモリ出力MO2を出力画像データVOUTとして出力する状態を第3のモードと称する。
【0050】
第3のモード中、CPU210によってスコープボタン140が押されたことを検出すると(T4)、CPU210はタイミング発生器225を制御し、第2の巻戻し再生処理を停止する。第2の巻戻し再生処理が停止されると、タイミング発生器225はCPU210の制御に従って、第2メモリを読み出し禁止(書込み可能)の状態にし、スイッチ回路223cの出力をスルー信号TSに切換える。これによって、第2メモリ223bには再び入力画像データVINが順に記憶されていくこととなり、入力画像データVINと同じデータが出力画像データVOUTとして出力されることとなる。すなわち、第1のモードに戻ることとなる。なお、これ以降にスコープボタン140が押されたことを検出した場合には、上述のモードの遷移、すなわち、スコープボタン140が押されたことを検出する度に第2のモード、第1のモード、第3のモード、第1のモードが順に切り換わることとなる。
【0051】
以上のように、本実施形態の電子内視鏡装置1においては、CPU210によってスコープボタン140が押されたことを検出する度に、第1のモードから第2のモード、第1のモード、第3のモード、第1のモードの順に切換えられる構成となっている。そして、第2のモードでは、第2メモリ223bに入力画像データVINを記憶しながら第1メモリ223aから画像データを読み出し、第1メモリ出力MO1を出力画像データVOUTとして出力し、第3のモードでは、第1メモリ223aに入力画像データVINを記憶しながら第2メモリ223bから画像データを読み出し、第2メモリ出力MO2を出力画像データVOUTとして出力するように構成されている。すなわち、第1メモリ223a又は第2メモリ223bのどちらか一方が画像データを読み出す状態(書込み禁止状態)となっていても、他方が継続して入力画像データVINを順に記憶しているため、第1の巻戻し再生処理又は第2の巻戻し再生処理中であっても最新の240フレーム分の画像は第1メモリ223a又は第2メモリ223bのどちらか一方に記憶されていることとなる。従って、後述するように、本実施形態では、第2のモード又は第3のモードの時に静止画を取得するように構成し、メモリへの画像データの蓄積を待たずして、繰り返し静止画像の撮り直しが可能となるようにしている。
【0052】
図4は、本実施形態の電子内視鏡装置1で実行される静止画再生動作を説明するタイミングチャートであり、図3のT5〜T6に相当するタイミングを詳細に説明するものである。なお、図4において、図3と共通する信号に対しては同じ符号を付している。
【0053】
第2のモード中、CPU210によってフリーズボタン240a(図1)が押されたことを検出すると(T5)、CPU210はタイミング発生器225を制御し、第1メモリ読出しアドレスRA1のディクリメントを中止し、第1の巻戻し再生処理を一時停止する。そして、CPU210によってフリーズボタン240a(図1)が押されている間(T5〜T6の期間)、第1メモリ読出しアドレスRA1は、フリーズボタン240aが押される直前の値を維持する(図4の場合、「235」)。従って、フリーズボタン240aが押されている間、第1メモリ223aは、当該アドレスに記憶されている「フレーム番号:235」の入力画像データVINを繰り返し出力し続ける。従って、フリーズボタン240aが押されている間(T5〜T6の期間)、モニタ300上には「フレーム番号:235」の静止画が表示されることとなる。
【0054】
図3におけるT7〜T8の期間は、第3のモード中にフリーズボタン240a(図1)が押された場合であるが、この場合もT5〜T6の期間と同様の処理により、静止画像が得られる。
【0055】
以上のように、本実施形態では、第2のモード又は第3のモードの時に静止画を取得するように構成したため、メモリへの画像データの蓄積を待たずして、繰り返し静止画像の撮り直しが可能となる。従って、一回の操作で所望の静止画像が取得できなかった場合に、繰り返し静止画像を撮り直す操作を行ったとしても、比較的短時間で所望の静止画像を取得できる。
【0056】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態においては、CPU210によってスコープボタン140が押されたことを検出する度に、第1のモードから第2のモード、第1のモード、第3のモード、第1のモードの順に切り換わる構成となっているが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、第2のモードから第1のモードに移行した場合において、移行から所定時間以内にスコープボタン140が押されたことを検出した場合に第3のモードに移行し、移行から所定時間を経過した後にスコープボタン140が押されたことを検出した場合には、再度第2のモードに移行する構成としてもよい。第1の実施形態の第1メモリ223a及び第2メモリ223bは、それぞれ240フレームの画像データが記憶できる構成となっている。従って、撮像素子120から出力される映像信号のフレームレートが、1秒当たり60フレームであるとした場合、第1メモリ223a及び第2メモリ223bには、それぞれ直近4秒間の画像データが記憶されることとなる。換言すると、第1メモリ223a及び第2メモリ223b内の画像データは、4秒毎に完全に入れ替わる(リフレッシュされる)こととなる。従って、第2のモードから第1のモードに移行した場合において、移行後、第1メモリ223aのリフレッシュに必要な時間(4秒)が経過した後は、再度第2のモードに移行する構成としても良い。
【0057】
(第2の実施形態)
次に、図5を参照して、本発明の第2の実施形態に係る電子内視鏡装置2を説明する。本発明の第2の実施形態に係る電子内視鏡装置2は、図1及び図2に示される第1の実施形態に係る電子内視鏡装置1と同様の構成であり、第1の実施形態とは、画像記憶再生動作においてのみ異なる。以下、第1の実施形態と異なる点について詳述する。
【0058】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る電子内視鏡装置2で実行される画像記憶再生動作を説明するタイミングチャートである。画像記憶再生動作の第2のモード及び第3のモードにおいて、速度設定入力信号SSに基づいて第1メモリ223a及び第2メモリ223b上の同じ画像データを複数回繰り返し読み出し、スロー巻戻し再生するように構成されている点で、図3に示される第1の実施形態に係る電子内視鏡装置1の画像記憶再生動作とは異なる。
【0059】
速度設定入力信号SSは、ユーザが電子内視鏡用プロセッサ200のスイッチ240によって入力する信号で、例えば、2倍スロー(x2)、3倍スロー(x3)等のスロー再生の度合いを示すデータである。速度設定入力信号SSは、スイッチ240を介してCPU210に送られ、CPU210は、速度設定入力信号SSに基づいてタイミング発生器225を制御する。
【0060】
第1の実施形態と同様、第1のモード中、CPU210によってスコープボタン140が押されたことを検出すると(T1)、CPU210はタイミング発生器225を制御し、第1の巻戻し再生処理を実行する。第1の巻戻し再生処理が実行されると、タイミング発生器225はCPU210の制御に従って、第1メモリ223aを書込み禁止(読み出し可能)の状態にし、スイッチ回路223cの出力を第1メモリ出力MO1に切換えた上で、第1メモリ読出しアドレスRA1を直前の書込みアドレスWAに設定する。そして、タイミング発生器225は、速度設定入力信号SSに2倍スロー(x2)が設定されている場合(T9までの期間、T10以降の期間)、2フレーム分の入力画像データVINがフレームメモリ223に入力される度に第1メモリ読出しアドレスRA1をディクリメントし、速度設定入力信号SSに3倍スロー(x3)が設定されている場合(T9〜T10の期間)、3フレーム分の入力画像データVINがフレームメモリ223に入力される度に第1メモリ読出しアドレスRA1をディクリメントする。図5の場合、スコープボタン140が押された時(T1)、直前の書込みアドレスWAは「2」であり、このアドレスに記憶されているのは「フレーム番号:242」の入力画像データVINである。また、スコープボタン140が押された時(T1)、速度設定入力信号SSに2倍スロー(x2)が設定されている。従って、スコープボタン140が押されると、先ず第1メモリ読出しアドレスRA1には「2」が設定され、「フレーム番号:242」の入力画像データVINが読み出される。そして、さらに新たな入力画像データVINがフレームメモリ223に入力された場合、第1メモリ読出しアドレスRA1は「2」の状態が維持され、「フレーム番号:242」の入力画像データVINが再度読み出される。このように、T9までの期間、第1メモリ223aの同じアドレスの画像データが2回ずつ読み出されながら第1メモリ読出しアドレスRA1がディクリメントされる。そして、T9において、速度設定入力信号SSが3倍スロー(x3)設定されると、それ以降(T10までの期間)、第1メモリ223aの同じアドレスの画像データが3回ずつ読み出されながら第1メモリ読出しアドレスRA1がディクリメントされる。
【0061】
以上のように、本実施形態においては、第1の巻戻し再生処理が実行されると、第1メモリ223aに記憶された画像データは、最新のものから順に所定回ずつ読み出されることとなり、スロー巻戻し再生が行われることとなる。従って、本実施形態によれば、ユーザは、ゆっくりと巻戻される画像を見ながら静止画取得操作(フリーズボタン240aの操作)を行うことができるため、短時間で所望の静止画を得ることができる。なお、第1の実施形態と同様、第1のモードから第3のモードに遷移した場合にも同様のスロー巻戻し再生が行われることとなるが、上述の第1のモードから第2のモードに遷移した場合と同様の動作となるため、説明を省略する。
【0062】
(第3の実施形態)
次に、図6を参照して、本発明の第3の実施形態に係る電子内視鏡装置3を説明する。本発明の第3の実施形態に係る電子内視鏡装置3は、図1及び図2に示される第1の実施形態に係る電子内視鏡装置1と同様の構成であり、第1の実施形態とは、画像記憶再生動作においてのみ異なる。以下、第1の実施形態と異なる点について詳述する。
【0063】
図6は、本発明の第3の実施形態に係る電子内視鏡装置3で実行される画像記憶再生動作を説明するタイミングチャートである。画像記憶再生動作の第2のモード及び第3のモードにおいて、第1の巻戻し再生処理及び第2の巻戻し再生処理は行われず、第1メモリ223aに記憶されている画像データが、最古のものから順に読み出される(すなわち、順方向に再生される)構成となっている点で、図3に示される第1の実施形態に係る電子内視鏡装置1の画像記憶再生動作とは異なる。
【0064】
第1のモード中、CPU210によってスコープボタン140が押されたことを検出すると(T1)、CPU210はタイミング発生器225を制御し、第1の順方向再生処理を実行する。第1の順方向再生処理が実行されると、タイミング発生器225はCPU210の制御に従って、第1メモリ223aを書込み禁止(読み出し可能)の状態にし、スイッチ回路223cの出力を第1メモリ出力MO1に切換えた上で、第1メモリ読出しアドレスRA1を直前の書込みアドレスWAに「1」を加えた値に設定する。そして、新たな入力画像データVINがフレームメモリ223に入力される度に第1メモリ読出しアドレスRA1をインクリメントする。図6の場合、スコープボタン140が押された時(T1)、直前の書込みアドレスWAが「2」であるため、これに「1」を加えた「3」が最初の第1メモリ読出しアドレスRA1の値となる。そして、このアドレスに記憶されている「フレーム番号:3」の入力画像データVINが読み出される。そして、新たな入力画像データVINがフレームメモリ223に入力される度に第1メモリ読出しアドレスRA1が「4」、「5」、「6」・・・とインクリメントされ、「フレーム番号:4」、「フレーム番号:5」、「フレーム番号:6」・・・の入力画像データVINが順に読み出され出力される。
【0065】
以上のように、本実施形態の第1の順方向再生処理が実行されると、第1メモリ223aに記憶された画像データは、最古のものから順に読み出されることとなり、映像的には順方向に再生されて出力されることとなる。なお、本実施形態の第1メモリ223aは、240フレームの画像データを記憶することが可能なリング型メモリで構成されているため、240フレーム分を再生した後は、再度最古のフレーム(図3中、フレーム番号:3)に戻って、再び順に新しいフレームが読み出されることとなる。
【0066】
上述したように、本実施形態の画像記録再生動作は、第1メモリ223aに記憶されている画像データが、最古のものから順に読み出される構成となっている点で、図3に示される第1の実施形態の画像記憶再生動作とは異なる。しかし、第2のモード又は第3のモードの時に静止画を取得するように構成されている点では同様であり、メモリへの画像データの蓄積を待たずして、繰り返し静止画像の撮り直しが可能となるという効果を有する。なお、第1の実施形態と同様、第1のモードから第3のモードに遷移した場合には、第2メモリ223bに記憶された画像データが、最古のものから順に読み出される第2の順方向再生処理が行われることとなるが、上述の第1のモードから第2のモードに遷移した場合と同様の動作となるため、説明を省略する。
【0067】
上記のように、本発明の第1から第3の実施形態においては、画像記録再生動作の第1〜第3のモードの切換えは、電子内視鏡100のスコープボタン140の操作に基づいて行われる構成としたが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、第1〜第3のモードの切換えは電子内視鏡用プロセッサ200のスイッチ240の操作に基づいて行われる構成としても良い。また同様に、フリーズボタン240a及び速度設定ボタン240bは、電子内視鏡用プロセッサ200のスイッチ240に限定されるものではなく、電子内視鏡100に設けられても良い。
【符号の説明】
【0068】
1、2、3 電子内視鏡装置
100 電子内視鏡
110 挿入管
111 挿入管先端部
120 撮像素子
121 対物レンズ
123 信号ケーブル
130 ライトガイド
131 先端部
132 基端部
140 スコープボタン
150 コネクタ部
200 電子内視鏡用プロセッサ
210 CPU
221 CCDプロセス回路
222 A/D変換回路
223 フレームメモリ
223a 第1メモリ
223b 第2メモリ
223c スイッチ回路
224 ビデオプロセス回路
225 タイミング発生器
230 照明装置
231 ランプ
232 絞り
233 集光レンズ
240 スイッチ
240a フリーズボタン
240b 速度設定ボタン
300 モニタ
VIN 入力画像データ
TS スルー信号
WA 書込みアドレス
RA1 第1メモリ読出しアドレス
MO1 第1メモリ出力
RA2 第2メモリ読出しアドレス
MO2 第2メモリ出力
VOUT 出力画像データ
SB スコープボタン入力信号
FB フリーズボタン入力信号
SS 速度設定入力信号


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子内視鏡からの映像信号を処理してモニタに表示させる電子内視鏡用プロセッサであって、
前記映像信号から画像データを生成する画像データ生成手段と、
夫々が複数フレームの画像データを記憶可能な第1及び第2の画像記憶手段と、
前記画像データを前記モニタに表示可能なビデオ信号に変換する信号処理手段と、
前記信号処理手段並びに前記第1及び第2の画像記憶手段を制御する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、
前記画像データ生成手段によって生成される画像データを逐次ビデオ信号に変換して出力すると共に前記第1及び第2の画像記憶手段に逐次記憶させる第1のモードと、
前記第1の画像記憶手段に記憶された画像データをビデオ信号に変換して出力すると共に前記画像データ生成手段によって生成される画像データを逐次前記第2の画像記憶手段に記憶させる第2のモードと、
前記第2の画像記憶手段に記憶された画像データをビデオ信号に変換して出力すると共に前記画像データ生成手段によって生成される画像データを逐次前記第1の画像記憶手段に記憶させる第3のモードと
のいずれかによって制御するものであり、
前記第2及び第3のモードにおいては、前記第1及び第2の画像記憶手段に記憶された複数の画像データを連続的にビデオ信号に変換して出力する第1再生モードと、前記第1及び第2の画像記憶手段に記憶された複数の画像データのうちの一つを繰り返しビデオ信号に変換して出力する第2再生モードとを切り換え可能である
ことを特徴とする電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項2】
前記制御手段が、前記第1再生モードから前記第2再生モードに切り換えたときに、前記第2再生モードに切り換える直前に出力されていた画像データが繰り返しビデオ信号に変換されて出力されることを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項3】
前記第1再生モードは、夫々前記第1及び第2の画像記憶手段に記憶されている複数の画像データを、記憶された時間が新しいものから順にビデオ信号に変換して出力するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項4】
前記第1再生モードは、夫々前記第1及び第2の画像記憶手段に記憶されている複数の画像データを、記憶された時間が古いものから順にビデオ信号に変換して出力するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項5】
前記第1再生モードは、前記第1及び第2の画像記憶手段に記憶されている複数の画像データの夫々を複数回連続してビデオ信号に変換して出力するものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項6】
前記第1のモードから前記第2又は第3のモードへの切り換えを行うための制御信号の入力を受け付けると共に、該制御信号が入力された時に該第2のモードと第3のモードのいずれに切り換えるかを判定する判定手段を有し、
前記制御手段は、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記第1のモードから前記第2又は第3のモードへの切り換えを行う
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項7】
前記判定手段は、前記制御信号が入力される度に、前記第2のモードと前記第3のモードとを交互に切り換えるように判定することを特徴とする請求項6に記載の電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項8】
前記判定手段は、前記第2のモードから前記第1のモードへの切り換えが行われてから所定時間以内に前記制御信号が入力された時のみ、該第1のモードから前記第3のモードへの切り換えを行うものと判定することを特徴とする請求項6に記載の電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項9】
前記所定時間は、前記第1の画像記憶手段に記憶可能な画像データの数に対応した時間であることを特徴とする請求項8に記載の電子内視鏡用プロセッサ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の電子内視鏡用プロセッサと、前記電子内視鏡用プロセッサに接続される電子内視鏡とを備えた電子内視鏡装置であって、
前記第1のモードから前記第2又は第3のモードへの切り換えを指示するための入力を受け付ける第1の入力手段と、
前記第2又は第3のモードにおいて、前記第1再生モードから前記第2再生モードに切り換える為の入力を受け付ける第2の入力手段と、
前記第2及び第3のモードから前記第1のモードへの切り換えを指示するための入力を受け付ける第3の入力手段と
を有することを特徴とする電子内視鏡装置。
【請求項11】
前記第1の入力手段と前記第3の入力手段が同一であることを特徴とする請求項10に記載の電子内視鏡装置。
【請求項12】
前記第2又は第3のモードにおいて、前記第2再生モードから前記第1再生モードに切り換える為の入力を受け付ける第4の入力手段を有することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の電子内視鏡装置。
【請求項13】
前記第2の入力手段と前記第4の入力手段が同一であることを特徴とする請求項12に記載の電子内視鏡装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−80908(P2012−80908A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226806(P2010−226806)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】