電気化学デバイス
【課題】蓄電素子全体としての耐電圧特性が低下したり寿命が低下したりする等の不具合を生じることを確実に抑制できる電気化学デバイスを提供する。
【解決手段】蓄電素子10は、下からの順に第1電極シート11、セパレートシート14、第2電極シート12、セパレートシート14、第3電極シート13となるように重ね合わせた積層体を基準線VSLに沿って折り曲げて重ね合わせた形態を有しており、該形態にあって第1電極シート11の集電極層11a及び分極性電極層11bと、第2電極シート12の集電極層12a及び分極性電極層12bと、第3電極シート13の集電極層13a及び分極性電極層13bと、2枚のセパレートシート14は、それぞれ折り曲げ箇所を通じて連続している。
【解決手段】蓄電素子10は、下からの順に第1電極シート11、セパレートシート14、第2電極シート12、セパレートシート14、第3電極シート13となるように重ね合わせた積層体を基準線VSLに沿って折り曲げて重ね合わせた形態を有しており、該形態にあって第1電極シート11の集電極層11a及び分極性電極層11bと、第2電極シート12の集電極層12a及び分極性電極層12bと、第3電極シート13の集電極層13a及び分極性電極層13bと、2枚のセパレートシート14は、それぞれ折り曲げ箇所を通じて連続している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子をパッケージ内に封入した構造を備える電気化学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気化学デバイスとして代表的な電気二重層キャパシタの蓄電素子は、一般に、集電極層、分極性電極層、セパレートシート、分極性電極層、集電極層………集電極層、分極性電極層、セパレートシート、分極性電極層、集電極層が順に重なった層構造を有している(特許文献1を参照)。即ち、集電極層、分極性電極層、セパレートシート、分極性電極層及び集電極層によって1つの充放電セルが構成されていると考えると、蓄電素子は1対のリードに対して複数の充放電セルが電気的に並列接続された等価回路で表すことができる。
【0003】
このような電気二重層キャパシタにあっては、蓄電素子に電圧を印加すると該電圧に応じた電界が生じ、該電界に準じた電気力線が発生する。この電気力線は各分極性電極層のエッジに密集するため、該エッジの電気力線密度はこれ以外の部位に比べて高くなる。また、電気力線は正極側から負極側に向かうものであるため、例えば最も外側に正極側の分極性電極層が位置しその内側に負極側の分極性電極層が位置するときには、これら分極性電極層のエッジに最も高い電気力線密度が現れる。
【0004】
要するに、前記層構造を有する蓄電素子にあっては、各分極性電極層のエッジにおける電気力線密度が高くなることを原因として損傷等のダメージが生じ易く、該ダメージを原因として蓄電素子全体としての耐電圧特性が低下したり寿命が低下する等の不具合を生じる恐れがある。
【0005】
特許文献2には電気二重層キャパシタ用の蓄電素子としてU字形に折り曲げた集電極層を用いたものが開示されているが、該集電極層に形成された2つの分極性電極層は分離していることから、該蓄電素子をもってしても前記不具合を避けることは難しい。
【0006】
具体的な説明は省略するが、前述の電気二重層キャパシタの蓄電素子と略同構造の蓄電素子を有するリチウムイオンキャパシタやレドックスキャパシタやリチウムイオン電池等の他の電気化学デバイスにおいても前記同様の不具合を生じる恐れがあることは言うまでもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−015954号公報
【特許文献2】特開平08−064479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、蓄電素子全体としての耐電圧特性が低下したり寿命が低下したりする等の不具合を生じることを確実に抑制できる電気化学デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、蓄電素子をパッケージ内に封入した構造を備える電気化学デバイスであって、前記蓄電素子は、集電極層と該集電極層の少なくとも一面に形成された分極性電極層を有する2以上の電極シートが分極性電極層間にセパレートシートを介在して積み重ねられた物を基準線に沿って折り曲げて重ね合わせた形態を有し、該形態にあって各電極シートの集電極層及び分極性電極層とセパレートシートはそれぞれ折り曲げ箇所を通じて連続しており、前記2以上の電極シートのうち、一方極性として用いられる電極シートの集電極層の両端には前記形態において互いに向き合うリード接続部が設けられていて、且つ、該リード接続部は前記セパレートシートを介して相互に結合され、他方極性として用いられる電極シートの集電極層の両端には前記形態において前記電極シートのリード接続部と非接触位置で互いに向き合うリード接続部が設けられていて、且つ、該リード接続部は前記セパレートシートを介して相互に結合されている、ことをその特徴とする。
【0010】
この電気化学デバイスによれば、蓄電素子は積み重ねられた物を基準線に沿って折り曲げて重ね合わせた形態を有していて、各電極シートの集電極層及び分極性電極層とセパレートシートはそれぞれ折り曲げ箇所を通じて連続しているため、従前の蓄電素子と断面上の層構造は同じであっても、各分極性電極層におけるエッジ領域を従前の蓄電素子に比べて減らすことができる。
【0011】
要するに、従前の蓄電素子にあっては該蓄電素子に電圧を印加したときに各分極性電極層のエッジにおける電気力線密度が高くなることを原因として損傷等のダメージが生じ易く、該該ダメージを原因として蓄電素子全体としての耐電圧特性が低下したり寿命が低下する等の不具合を生じる恐れがあるが、前記蓄電素子にあっては各分極性電極層におけるエッジ領域を従前の蓄電素子に比べて減らすことができるため、前記ダメージが生じることを効果的に抑制し、該ダメージを原因として蓄電素子全体としての耐電圧特性が低下したり寿命が低下したりする等の不具合を生じることを確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、蓄電素子全体としての耐電圧特性が低下したり寿命が低下したりする等の不具合を抑制できる電気化学デバイスを提供することができる。
【0013】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1(A)は本発明を適用した電気二重層キャパシタの上面図、図1(B)は同左面図、図1(C)は同前面図である。
【図2】図2(A)は第1電極シートの上面図、図2(B)は同左面図である。
【図3】図3(A)は第2電極シートの上面図、図2(B)は同左面図である。
【図4】図4(A)は第3電極シートの上面図、図4(B)は同左面図である。
【図5】図5(A)はセパレートシートの上面図、図4(B)は同左面図である。
【図6】図6(A)〜図6(D)は第1電極シート、第2電極シート、第3電極シート及びセパレートシートの作成方法を示す図である。
【図7】図7(A)は第1電極シート、第2電極シート、第3電極シート及びセパレートシートを積み重ねた状態を示す上面図、図7(B)は同左面図である。
【図8】図8(A)は図7(A)に示した積み重ね物を折り曲げて重ね合わせた状態を示す上面図、図8(B)は同拡大左面図である。
【図9】図9(A)は図8(A)に示した折り曲げ物のリード接続部を相互結合した状態を示す上面図、図9(B)は同拡大左面図、図9(C)は図9(B)のS1−S1線に沿う拡大断面図である。
【図10】図10(A)は図9(A)に示した蓄電素子にリードを結合した状態を示す上面図、図10(B)は同左面図である。
【図11】図11(A)はパッケージシートの上面図、図11(B)は同左面図、図11(C)は図11(B)のX1部分の拡大断面図である。
【図12】図12はパッケージシートの凹部に蓄電素子を挿入した状態を示す上面図である。
【図13】図13はパッケージシートを折り曲げて重ね合わせた状態を示す上面図である。
【図14】図14は図13に示したパッケージ中間品の左側部分及び右側部分をヒートシールした状態を示す上面図である。
【図15】図15は図14に示したパッケージ中間品の前側部分をヒートシールした状態を示す上面図である。
【図16】図16(A)及び図16(B)は電極シートの集電極層に位置ずれ防止突起を設けた例を示す図9(C)対応の拡大断面図である。
【図17】図17(A)は本発明を適用したリチウムイオンキャパシタの上面図、図17(B)は同左面図、図17(C)は同前面図である。
【図18】図18(A)は第1電極シートの上面図、図18(B)は同左面図である。
【図19】図19(A)は第2電極シートの上面図、図19(B)は同左面図である。
【図20】図20(A)はセパレートシートの上面図、図20(B)は同左面図である。
【図21】図21(A)〜図21(C)は第1電極シート、第2電極シート及びセパレートシートの作成方法を示す図である。
【図22】図22(A)は第1電極シート、第2電極シート及びセパレートシートを積み重ねた状態を示す上面図、図22(B)は同左面図である。
【図23】図23(A)は図22(A)に示した積み重ね物を折り曲げて重ね合わせた状態を示す上面図、図23(B)は同拡大左面図である。
【図24】図24(A)は図23(A)に示した折り曲げ物のリード接続部を相互結合した状態を示す上面図、図24(B)は同拡大左面図、図24(C)は図24(B)のS2−S2線に沿う拡大断面図である。
【図25】図25(A)は図24(A)に示した蓄電素子にリードを結合した状態を示す上面図、図25(B)は同左面図である。
【図26】図26(A)はパッケージシートの上面図、図26(B)は同左面図、図26(C)は図26(B)のX2部分の拡大断面図である。
【図27】図27はパッケージシートの凹部に蓄電素子を挿入した状態を示す上面図である。
【図28】図28はパッケージシートを折り曲げて重ね合わせた状態を示す上面図である。
【図29】図29は図28に示したパッケージ中間品の右側部分及び前側部分をヒートシールした状態を示す上面図である。
【図30】図30は図29に示したパッケージ中間品の左側部分をヒートシールした状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
図1〜図15は本発明を電気二重層キャパシタに適用した実施形態を示す。この電気二重層キャパシタは、蓄電素子10と、該蓄電素子10に接続された一対のリード20と、該一対のリード20の一部が露出するように蓄電素子10を封入したパッケージ30と、を備えている。
【0016】
尚、以下の説明では、説明の便宜上、図1(A)の手前、奥、右、左、下、及び上をそれぞれ上、下、前、後、左、及び右と称すると共に、他の図のこれらに相当する向きをそれぞれ上、下、前、後、左、及び右と称する。
【0017】
先ず、図2〜図9を引用して、蓄電素子10の構成並びに作成方法について説明する。
【0018】
蓄電素子10の作成に際しては、図2(A)及び図2(B)に示す第1電極シート11と、図3(A)及び図3(B)に示す第2電極シート12と、図4(A)及び図4(B)に示す第3電極シート13と、図5(A)及び図5(B)に示すセパレートシート14と、を用意する。
【0019】
第1電極シート11は、図2(A)及び図2(B)に示すように、所定の前後寸法L11及び左右寸法W11を有する長方形状の集電極層11aと、該集電極層11aの上面全域に塗工等の手法によって形成された分極性電極層11bを有する(尚、図面には分極性電極層11bの前端及び後端が各リード接続部11a1に多少入り込んだものを示してある)。集電極層11aはアルミニウムや白金等の導電材から成り、その厚さは5〜50μmである。分極性電極層11bはPAS(ポリアセン系有機半導体)や活性炭等の活物質から成り、その厚さは10〜50μmである。また、集電極層11aの前後方向両端の右側には、長方形状のリード接続部11a1が、該集電極層11aと同じ厚さで一体に設けられている。
【0020】
第2電極シート12は、図3(A)及び図3(B)に示すように、前記前後寸法L11と同じ前後寸法L12と前記左右寸法W11と同じ左右寸法W12とを有する長方形状の集電極層12aと、該集電極層12aの上面全域及び下面全域に塗工等の手法によって形成された分極性電極層12bを有する(尚、図面には分極性電極層12bの前端及び後端が各リード接続部12a1に多少入り込んだものを示してある)。集電極層12aの材質及び厚さは前記集電極層11aと同じであり、各分極性電極層12bの材質及び厚さは前記分極性電極層11bと同じである。また、集電極層12aの前後方向両端の左側には、前記リード接続部11a1と同一形状のリード接続部12a1が、該集電極層12aと同じ厚さで一体に設けられている。
【0021】
第3電極シート13は、図4(A)及び図4(B)に示すように、前記前後寸法L11と同じ前後寸法L13と前記左右寸法W11と同じ左右寸法W13とを有する長方形状の集電極層13aと、該集電極層13aの下面全域に塗工等の手法によって形成された分極性電極層13bを有する(尚、図面には分極性電極層13bの前端及び後端がリード接続部各13a1に多少入り込んだものを示してある)。集電極層13aの材質及び厚さは前記集電極層11aと同じであり、分極性電極層13bの材質及び厚さは前記分極性電極層11aと同じである。また、集電極層13aの前後方向両端の右側には、前記リード接続部11a1と同一形状のリード接続部13a1が、前記リード接続部11a1と同一位置に、且つ、該集電極層13aと同じ厚さで一体に設けられている。
【0022】
つまり、第1電極シート11の集電極層11a(リード接続部11a1を除く)の上面視形状と、第2電極シート12の集電極層12a(リード接続部12a1を除く)の上面視形状と、第3電極シート13の集電極層13a(リード接続部13a1を除く)の上面視形状は、互いに同じである。
【0023】
また、第1電極シート11の分極性電極層11bの上面視形状と、第2電極シート12の下面側の分極性電極層12bの下面視形状は、互いに同じである。第2電極シート12の上面側の分極性電極層12bの上面視形状は、第3電極シート13の分極性電極層13bの下面視形状は、互いに同じである。図から分かるように、第2電極シート12の上面側の分極性電極層12bと第3電極シート13の分極性電極層13bは、第1電極シート11の分極性電極層11bを左右方向或いは前後方向に180度反転させた形状となっている。
【0024】
さらに、第1電極シート11の集電極層11a(リード接続部11a1を含む)と分極性電極層11bは、図2(A)に示した前後方向中央の基準線VSLを境として線対称形を成している。第2電極シート12の集電極層12a(リード接続部12a1を含む)と各分極性電極層12bは、図3(A)示した前後方向中央の基準線VSLを境として線対称形を成している。第3電極シート13の集電極層13a(リード接続部13a1を含む)と分極性電極層13bは、図4(A)に示した前後方向中央の基準線VSLを境として線対称形を成している。
【0025】
セパレートシート14は、図5(A)及び図5(B)に示すように、前記前後寸法L11よりも僅かに大きな前後寸法L14と前記左右寸法W11よりも僅かに大きな左右寸法W14とを有する長方形状を成す。セパレートシート14はセルロース系シートやプラスチック系シート等のイオン透過シートから成り、その厚さは10〜50μm前後である。
【0026】
先に述べた第1電極シート11、第2電極シート12、第3電極シート13及びセパレートシート14のそれぞれは、図6(A)〜図6(D)に示すように、材料シートBS1〜BS4を仮想線PL1〜PL4に沿って切断してその内側部分を抜き取る方法によって簡単に得ることができる。図から分かるように、第1電極シート11用の材料シートBS1は帯状集電極層の上面に帯状分極性電極層が形成されたものであり、第2電極シート12用の材料シートBS2は帯状集電極層の上面及び下面に帯状分極性電極層が形成されたものであり、第3電極シート13用の材料シートBS3は帯状集電極層の下面に帯状分極性電極層が形成されたものである。
【0027】
蓄電素子10(図9(A)及び図1(A)を参照)を作成するときには、図7(A)及び図7(B)に示すように、先に用意された第1電極シート11、第2電極シート12、第3電極シート13及び2枚のセパレートシート14を、下からの順序が、第1電極シート11、セパレートシート14、第2電極シート12、セパレートシート14、第3電極シート13となるように積み重ねる。
【0028】
この積み重ね時には、第1電極シート11、第2電極シート12及び第3電極シート13の集電極層11a、12a及び13aの外縁が積み重ね方向で一致し、且つ、第1電極シート11及び第3電極シート13のリード接続部11a1及び13a1の外縁が積み重ね方向で一致するようにする。また、2枚のセパレートシート14の外縁が各集電極層11a、12a及び13aの外縁から外側に突出し、且つ、各セパレートシート14の外縁が積み重ね方向で一致するようにする。さらに、第1電極シート11、第2電極シート12及び第3電極シート13の各リード接続部11a1、12a1及び13a1の各セパレートシート14からの突出長さが同じになるようにする。
【0029】
これにより、第1電極シート11の分極性電極層11bと第2電極シート12の下側の分極性電極層12bが下側のセパレートシート14に密着し、第2電極シート12の上側の分極性電極層12bと第3電極シート13の分極性電極層13bが上側のセパレートシート14に密着した積み重ね物(符号無し)が得られる。
【0030】
続いて、図8(A)及び図8(B)に示すように、図7(A)に示した積み重ね物の前後方向中央よりも左側部分を同図の基準線VSLに沿って上側に折り曲げ、該左側部分を右側部分に重ね合わせる。
【0031】
この重ね合わせ時には、第1電極シート11及び第3電極シート13の各リード接続部11a1及び13a1の外縁が重ね合わせ方向で一致するようにすると共に、第2電極シート12の各リード接続部12a1の外縁が重ね合わせ方向で一致するようにする。
【0032】
これにより、第1電極シート11、第2電極シート12、第3電極シート13及び2枚のセパレートシート14が基準線VSLを境として約180度の角度で2つ折りされていて、第1電極シート11の各リード接続部11a1と第3電極シート13の各リード接続部13a1とが向き合い、且つ、第2電極シート12の各リード接続部12a1が向き合った形態を有する折り曲げ物(符号無し)が得られる。
【0033】
続いて、図9(A)〜図9(C)に示すように、図8(A)に示した折り曲げ物にあって、互いに向き合う第1電極シート11の各リード接続部11a1と第3電極シート13の各リード接続部13a1とを重ね合わせ、その左右方向両側の2箇所をスポット溶接や超音波溶接やカシメ等の手法によって直接的に接合して、各リード接続部11a1及び13a1を相互結合する(接合箇所WP1を参照)。また、各リード接続部11a1及び13a1と非接触位置において互いに向き合う第2電極シート12の各リード接続部12a1を重ね合わせ、その左右方向両側の2箇所をスポット溶接や超音波溶接やカシメ等の手法によって直接的に接合して、各リード接続部12a1を相互結合する(接合箇所WP1を参照)。
【0034】
これにより、第1電極シート11、第2電極シート12、第3電極シート13及び2枚のセパレートシート14が基準線VSLを境として約180度の角度で2つ折りされていて、第1電極シート11の各リード接続部11a1と第3電極シート13の各リード接続部13a1とが相互結合され、且つ、第2電極シート12の各リード接続部12a1が相互結合された形態を有する蓄電素子10が得られる。
【0035】
ところで、図2〜図9(図10も同様)にあっては、図示の便宜上、第1電極シート11の集電極層11a及び分極性電極層11bの厚さと、第2電極シート12の集電極層12a及び各分極性電極層12bの厚さと、第3電極シート13の集電極層13a及び分極性電極層13bの厚さと、セパレートシート14の厚さを、それぞれ実際のものよりも厚く示した関係から、図7(B)、図8(B)、図9(B)及び図9(C)の上下寸法(全体厚さ)も実際のものよりも厚くなっている。
【0036】
しかしながら、第1電極シート11の集電極層11a及び分極性電極層11bの厚さと、第2電極シート12の集電極層12a及び各分極性電極層12bの厚さと、第3電極シート13の集電極層13a及び分極性電極層13bの厚さと、各セパレートシート14の厚さは5〜50μmの範囲内にあるため、例えば各層全ての平均値を30μmと仮定した場合でも、実際上の図7(B)の上下寸法(全体厚さ)は270μmとなり、図8(B)、図9(B)及び図9(C)の上下寸法(全体厚さ)は540μmとなる。
【0037】
要するに、図9(A)に示した蓄電素子10の実際上の上下寸法(全体厚さ)は1000μmにも満たないため、図9(B)に示した折り曲げ形態にあっては、折り曲げ箇所の外面曲率半径は図示したものよりもかなり小さく、折り曲げたときに各リード接続部11a1、12a1及び13a1に前後方向の位置ずれも殆ど生じない。また、積み重ね物を折り曲げるときに、各集電極層11a、12a及び13aから各分極性電極層11b、12b及び13bが剥離することも無いし、各分極性電極層11b、12b及び13bと各セパレートシート14との密着が解かれることも無い。さらに、各集電極層11a、12a及び13aと各分極性電極層11b、12b及び13bと各セパレートシート14は折り曲げを許容する可撓性を有するため、これらが折り曲げ箇所で割れることも無い。
【0038】
また、図9(B)にあっては、図示の便宜上、折り曲げ形態における各リード接続部11a1及び13a1の結合と各リード接続部12a1の結合とを説明するために、一部のリード接続部を引き延ばして示してあるが、先の説明から理解できるように、実際上はこのような引き延ばし無しにリード接続部の結合を行える。
【0039】
次に、図10を引用して、リード20の構成及び蓄電素子10への接続方法について説明する。
【0040】
リード20を蓄電素子10に接続するに際しては、図10(A)及び図10(B)に示すリード20を用意する。このリード20は、アルミニウムや白金や銅等の導電材から短冊状に形成されており、その厚さは50〜100μmである。因みに、リード20の端部表面には、該リード20の電極パッド等への接続を容易とするための金属膜を電解メッキ等の手法によって形成しておいても良い。また、リード20の表面の後記パッケージシート31のシール領域31cの前側部分に対応する箇所には、後記シール層LA3と同じ材料から成るシール補強材21が該箇所を囲むように設けられている。このシール補強材21は、リード20を2枚のシート状物で挟み込む方法や、リード20を1枚のシート状物で囲む方法や、リード20の表面に液状物を塗布する方法等によって形成されている。
【0041】
続いて、図10(A)及び図10(B)に示すように、先に結合された各リード接続部11a1及び13a1の上に一方のリード20の一端を置き、該一端をスポット溶接や超音波溶接やカシメ等の手法によって直接的に接合して、先に結合された各リード接続部11a1及び13a1にリード20を結合する(接合箇所WP2を参照)。また、先に結合された各リード接続部12a1の上に他方のリード20の一端を置き、該一端をスポット溶接や超音波溶接やカシメ等の手法によって直接的に接合して、先に結合された各リード接続部12a1にリード20を結合する(接合箇所WP2を参照)。
【0042】
図10(A)に示したように、各リード20としてリード接続部11a1、12a1及び13a1よりも左右寸法が小さいものを用い、左右の接合箇所WP1の内側に接合箇所WP2が位置し、且つ、これら接合箇所WP1及びWP2が一直線に並ぶようにすれば、接合領域が重なることによる結合不良の不具合を抑制して個々の結合を的確に行えるし、左右の接合箇所WP1と接合箇所WP2との間の電気的抵抗、即ち、一方のリード20と集電極層11a及び13aとの間の電気抵抗と、他方のリード20と集電極層12aとの間の電気抵抗を、それぞれ低減することができる。
【0043】
次に、図11〜図15を引用して、パッケージ30の構成及び作成方法について説明する。
【0044】
パッケージ30の作成に際しては、図11(A)〜図11(C)に示すパッケージシート31を用意する。このパッケージシート31は、図11(C)に示すように、保護層LA1、バリア層LA2及びシール層LA3が順にラミネートされた3層のラミネートフィルムから成る。保護層LA1はナイロンやポリエチレンフタレート等の耐熱性プラスチックから成り、その厚さは10〜50μmである。バリア層LA2はアルミニウム等の金属或いは金属酸化物から成り、その厚さは10〜50μmである。シール層LA3はポリプロピレンや変性ポリプロピレン等の熱可塑性プラスチックから成り、その厚さは30〜50μmである。
【0045】
このパッケージシート31は、図11(A)及び図11(B)に示すように、所定の前後寸法L31及び左右寸法W31を有する長方形状を成し、前後方向中央よりも右側部分に直方体形状の張出部31aを有し、その内側に相似形状の凹部31bを有する。凹部31bの深さは前記蓄電素子10の上下寸法(全体厚さ)よりも僅かに大きく、その上面視輪郭は該蓄電素子10の上面視輪郭よりも僅かに大きい。パッケージシート31の前後方向中央よりも右側部分において凹部31bが存しない部分はシール領域31cであり、該パッケージシート31にあってはその上面側にシール層LA3が位置する。
【0046】
パッケージ30(図1(A)〜図1(C)を参照)を作成するときには、図12に示すように、図10(A)に示したリード20付き蓄電素子10の蓄電素子10を凹部31b内に挿入すると共に、各リード20のシール補強材21をシール領域31cの前側部分の上に置く。各シール補強材21の前後寸法はシール領域31cの前側部分の前後寸法よりも多少大きく形成されているため、蓄電素子10を凹部31b内に挿入するときには、各シール補強材21の前端がシール領域31cの前側部分の前端よりも僅かに外側に突出するようにする。
【0047】
続いて、図13に示すように、図12に示したパッケージシート31の前後方向中央よりも左側部分を同図の基準線VSLに沿って上側に折り曲げ、該左側部分を右側部分に重ね合わせる。
【0048】
これにより、パッケージシート31の左側部分のシール層LA3が右側部分のシール領域31cのシール層LA3と向き合った形態を有するパッケージ中間品(符号無し)が得られる。
【0049】
続いて、図14に示すように、図13に示したパッケージ中間品を上下反転させてからその左側部分及び右側部分に熱を加えて互いに向き合うシール層LA3をヒートシールし、そして、ヒートシールされた左側部分及び右側部分を上側に折り曲げてから該折り曲げ部分31dに再度熱を加えてヒートシールの確実性を高める(ヒートシール箇所HSを参照)。
【0050】
続いて、図15に示すように、図14に示したパッケージ中間品のヒートシールされていない前側部分を通じ、適当な注入器具を用いて電解液ES(例えば、プロピレンカーボネイト(溶媒)に硼弗化トリエチルメチルアンモニウム(溶質)を加えたもの)を凹部31b内に注入する。そして、注入後にパッケージ中間品の前側部分に熱を加えて互いに向き合うシール層LA3を各シール補強材21を挟んでヒートシールする(ヒートシール箇所HSを参照)。
【0051】
これにより、蓄電素子10が電解液ESと共にパッケージ30内に封入された構造を備える電気二重層キャパシタ(図1(A)〜図1(C)を参照)が得られる。
【0052】
ところで、パッケージシート31のシール層LA3はそれ自体の厚さがさほど大きいものではないため、パッケージ中間品の前側部分をヒートシールするときの溶融状態如何では、リード20とバリア層LA2とが接触してしまう恐れがある。
【0053】
しかしながら、パッケージ中間品の前側部分を各シール補強材21を挟んでヒートシールすれば、各シール補強材21の厚さ分だけシール層LA3の実質的厚さを増加できるため、ヒートシールするときに各リード20とバリア層LA2とが接触することを確実に回避できる。
【0054】
前述の電気二重層キャパシタの蓄電素子10は、図7(A)に示した積み重ね物を基準線VSLに沿って折り曲げて重ねあわせた形態(図9(B)を参照)を有していて、第1電極シート11の集電極層11a及び分極性電極層11bと、第2電極シート12の集電極層12a及び各分極性電極層12bと、第3電極シート13の集電極層13a及び分極性電極層13bと、2枚のセパレートシート14は、それぞれ折り曲げ箇所を通じて連続している。そのため、従前の蓄電素子と断面上の層構造は同じであっても、各分極性電極層11b、12b及び13bにおけるエッジ領域を従前の蓄電素子に比べて減少することができる。
【0055】
要するに、従前の蓄電素子にあっては該蓄電素子に電圧を印加したときに各分極性電極層のエッジにおける電気力線密度が高くなることを原因として損傷等のダメージが生じ易く、該該ダメージを原因として蓄電素子全体としての耐電圧特性が低下したり寿命が低下する等の不具合を生じる恐れがある。しかしながら、前記蓄電素子10にあっては各分極性電極層11b、12b及び13bにおけるエッジ領域を従前の蓄電素子に比べて減らすことができるため、前記ダメージが生じることを効果的に抑制し、該ダメージを原因として蓄電素子10全体としての耐電圧特性が低下したり寿命が低下したりする等の不具合を生じることを確実に抑制することができる。
【0056】
また、前述の電気二重層キャパシタの蓄電素子10は、集電極層、分極性電極層、セパレートシート、分極性電極層及び集電極層によって1つの充放電セルが構成されていると考えた場合、図9(C)に示した層構造からすれば該蓄電素子10は4つの充放電セルを有するようにも見える。しかしながら、蓄電素子10は図9(B)に示した折り曲げ形態を有していて、第1電極シート11の集電極層11a及び分極性電極層11bと、第2電極シート12の集電極層12a及び各分極性電極層12bと、第3電極シート13の集電極層13a及び分極性電極層13bと、2枚のセパレートシート14は、それぞれ折り曲げ箇所を通じて連続しているため、蓄電素子10は1対のリード20に対して2つの充放電セルが並列に電気的に接続された等価回路で表すことができる。
【0057】
要するに、従前の蓄電素子と断面上の層構造は同じであっても充放電セルの数を1/2に減らすことができるので、充放電セルの数を減らして充放電特性のバラツキ範囲を制限することができる。依って、充放電特性のバラツキによる弊害、具体的には充放電特性が良好な充放電セルに充放電が偏って該充放電セルに物理化学的ダメージが蓄積し、該ダメージによって蓄電素子全体としての充放電特性が低下したり寿命が低下したりする等の不具合を生じることを確実に抑制することができる。
【0058】
さらに、前述の電気二重層キャパシタの蓄電素子10は、図9(B)に示した折り曲げ形態を有することに加え、第1電極シート11の各リード接続部11a1と第3電極シート13の各リード接続部13a1を相互結合され、第2電極シート12の各リード接続部12a1を相互結合されている。
【0059】
つまり、蓄電素子10の最も外側に位置する第1電極シート11の分極性電極層11bはその内側のセパレートシート14に密着し、該セパレートシート14は第2電極シート12の一方の分極性電極層12bに密着し、該第2電極シート12の他方の分極性電極層12bはその内側のセパレートシート14に密着し、該セパレートシート14は第3電極シート13の分極性電極層13bに密着していることも相俟って、第1電極シート11の各リード接続部11a1と第3電極シート13の各リード接続部13a1とを相互結合し、且つ、第2電極シート12の各リード接続部12a1を相互結合することによって、該蓄電素子10を構成する第1電極シート11、第2電極シート12、第3電極シート13及び各セパレートシート14の前後方向及び左右方向の相対位置を的確に定めることができる。
【0060】
要するに、蓄電素子10を構成する第1電極シート11、第2電極シート12、第3電極シート13及び2枚のセパレートシート14は相互に位置ずれが生じ難くなっているため、電気二重層キャパシタを製造する過程や、製造後の電気二重層キャパシタを使用する過程等において、前記位置ずれを原因として蓄電素子10の形が崩れたりその充放電特性が劣化することを確実に抑制することができる。
【0061】
図16(A)及び図16(B)は第1電極シート11及び第3電極シート13の少なくとも一方と第2電極シート12に位置ずれ防止突起を設けた例をそれぞれ示す。
【0062】
図16(A)に示した蓄電素子10-1にあっては、第1電極シート11の集電極層11aの外縁に分極性電極層11bの厚さよりも高さが大きな位置ずれ防止突起11a2が設けられ、第2電極シート12の集電極層12aの外縁に分極性電極層12bの厚さよりも高さが大きな位置ずれ防止突起12a2が設けられ、第3電極シート13の集電極層13aの外縁に分極性電極層13bの厚さよりも高さが大きな位置ずれ防止突起13a2が設けられている。これら位置ずれ防止突起11a2、12a2及び13a2は外縁に沿って連続した形状でも外縁に沿って連続しない形状でも良いが、2次元的な位置ずれを防止するには外縁の少なくとも2箇所に設けられていることが望ましい。
【0063】
同図から分かるように、第1電極シート11の位置ずれ防止突起11a2は隣接するセパレートシート14に非貫通状態で食い込んでおり、第2電極シート12の位置ずれ防止突起12a2は隣接するセパレートシート14に非貫通状態で食い込んでおり、第3電極シート13の位置ずれ防止突起13a2は隣接するセパレートシート14に非貫通状態で食い込んでいる。図面には、上から2層目と3層目に現れるセパレートシート14に上下方向で向き合うように位置ずれ防止突起12a2及び13a2が食い込んでいるが、食い込み深さを調整することによって位置ずれ防止突起12a2及び13a2が相互に接触することを回避している。
【0064】
図16(B)に示した蓄電素子10-2にあっては、第1電極シート11の集電極層11aの外縁に分極性電極層11bの厚さよりも高さが大きな位置ずれ防止突起11a2が設けられ、第2電極シート12の集電極層12aの外縁に分極性電極層12bの厚さよりも高さが大きな位置ずれ防止突起12a2が設けられており、第3電極シート13の集電極層13aには位置ずれ防止突起は設けられていない。これら位置ずれ防止突起11a2及び12a2は外縁に沿って連続した形状でも外縁に沿って連続しない形状でも良いが、2次元的な位置ずれを防止するには外縁の少なくとも2箇所に設けられていることが望ましい。
【0065】
同図から分かるように、第1電極シート11の位置ずれ防止突起11a2は隣接するセパレートシート14に非貫通状態で食い込んでおり、第2電極シート12の位置ずれ防止突起12a2は隣接するセパレートシート14に非貫通状態で食い込んでおり、第3電極シート13の位置ずれ防止突起13a2は隣接するセパレートシート14に非貫通状態で食い込んでいる。第3電極シート13の集電極層13aに位置ずれ防止突起を設けていない理由は、先に述べたように第1電極シート11の集電極層11aと第3電極シート13の集電極層13aの前後方向及び左右方向の相対位置が各々のリード接続部11a1及び13a1を相互に結合することによって定められていることにある。
【0066】
前記の位置ずれ防止突起11a2、12a2及び13a2の形成には、集電極層11a、12a及び13aの外縁に適当な加工治具を押し当てて該外縁を変形させる手法の他、図6(A)〜図6(C)で説明した作成方法において仮想線PL1〜PL3に沿う切断に押し切り刃を用い、集電極層11a、12a及び13aの外縁に押し切りに伴うダレを生じさせる手法等が採用できる。
【0067】
図16(A)及び図16(B)に示した突起食い込み構造を採用すれば、蓄電素子10-1及び10-2を構成する第1電極シート11、第2電極シート12、第3電極シート13及び2枚のセパレートシート14の相互位置ずれをより確実に防止することができるので、電気二重層キャパシタを製造する過程や、製造後の電気二重層キャパシタを使用する過程等において、前記位置ずれを原因として蓄電素子10-1及び10-2の形が崩れたりその充放電特性が劣化することをより確実に防止することができる。
【0068】
前記位置ずれ防止突起の向きは図16(A)及び図16(B)に限定されるものではなく、例えば、第2電極シート12の集電極層12aの左右方向一方の位置ずれ防止突起12a2を下向きとし左右方向他方を上向きにしても良く、また、第3電極シート13の集電極層13aの左右方向一方の位置ずれ防止突起13a2を下向きとし左右方向他方を上向きにして下向きの位置ずれ防止突起13a2を対向する集電極層13aに食い込ませるようにしても良い。
【0069】
[第2実施形態]
図17〜図30は本発明をリチウムイオンキャパシタに適用した実施形態を示す。このリチウムイオンキャパシタは、蓄電素子40と、該蓄電素子40に接続された一対のリード20と、該一対のリード20の一部が露出するように蓄電素子10を封入したパッケージ50と、を備えている。
【0070】
尚、以下の説明では、説明の便宜上、図17(A)の手前、奥、右、左、下、及び上をそれぞれ上、下、前、後、左、及び右と称すると共に、他の図のこれらに相当する向きをそれぞれ上、下、前、後、左、及び右と称する。また、リード20及びシール補強材21の構成は第1実施形態で述べたものを同じであるため、同一符号を用いて説明する。
【0071】
先ず、図18〜図25を引用して、蓄電素子40の構成並びに作成方法について説明する。
【0072】
蓄電素子40の作成に際しては、図18(A)及び図18(B)に示す第1電極シート41と、図19(A)及び図19(B)に示す第2電極シート42と、図20(A)及び図20(B)に示すセパレートシート43と、を用意する。
【0073】
第1電極シート41は、図18(A)及び図18(B)に示すように、所定の前後寸法L41及び左右寸法W41を有する長方形状の集電極層41aと、該集電極層41aの上面の前後方向の両端部分を除く領域に塗工等の手法によって形成された分極性電極層41bを有する。この分極性電極層41bの前後寸法L41bは前記前後寸法L41よりも僅かに小さい。集電極層41aは銅等の導電材から成り、その厚さは5〜50μmである。分極性電極層41bはグラファイト等のリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質から成り、その厚さは50〜100μmである。また、集電極層41aの前後方向両端の右側には、長方形状のリード接続部41a1が、該集電極層41aと同じ厚さで一体に設けられている。
【0074】
第2電極シート42は、図19(A)及び図19(B)に示すように、前記前後寸法L41bよりも僅かに小さい前後寸法L42と前記左右寸法W41よりも僅かに小さい左右寸法W42とを有する長方形状の集電極層42aと、該集電極層42aの下面全域に塗工等の手法によって形成された分極性電極層42bを有する。因みに、集電極層42aの前後寸法L42と前記前後寸法L41bとの差と、左右寸法W42と前記左右寸法W41との差は、実寸において0.3〜2.0mm程度である。集電極層42aはアルミニウム等の導電材から成り、その厚さは5〜100μmである。分極性電極層42bは活性炭等のリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質から成り、その厚さは5〜200μmである。また、集電極層42aの前後方向両端の左側には、前記リード接続部41a1よりも左右寸法(幅)が狭く、且つ、前後寸法が大きい長方形状のリード接続部42a1が、該集電極層42aと同じ厚さで一体に設けられている。前側のリード接続部42a1の前端と後側のリード接続部42a1の後端との距離は、前記第1電極シート41における前側のリード接続部41a1の前端と後側のリード接続部41a1の後端との距離と同じである。
【0075】
つまり、第1電極シート41の集電極層41a(リード接続部41a1を除く)の上面視形状は、第2電極シート42の集電極層42a(リード接続部42a1を除く)の上面視形状よりも大きい。また、第1電極シート41の分極性電極層41bの上面視形状は、第2電極シート42の分極性電極層42bの下面視形状よりも大きい。
【0076】
さらに、第1電極シート41の集電極層41a(リード接続部41a1を含む)と分極性電極層41bは、図18(A)に示した前後方向中央の基準線VSLを境として線対称形を成している。第2電極シート42の集電極層42a(リード接続部42a1を含む)と分極性電極層42bは、図19(A)示した前後方向中央の基準線VSLを境として線対称形を成している。
【0077】
セパレートシート43は、図20(A)及び図20(B)に示すように、前記前後寸法L41よりも僅かに大きな前後寸法L43と前記左右寸法W41よりも僅かに大きな左右寸法W43とを有する長方形状を成す。セパレートシート43はセルロース系シートやプラスチック系シート等のイオン透過シートから成り、その厚さは10〜50μm前後である。
【0078】
先に述べた第1電極シート41、第2電極シート42及びセパレートシート43のそれぞれは、図21(A)〜図21(C)に示すように、材料シートBS11〜BS13を仮想線PL11〜PL13に沿って切断してその内側部分を抜き取る方法によって簡単に得ることができる。図から分かるように、第1電極シート41用の材料シートBS11は帯状集電極層の上面に帯状分極性電極層が形成されたものであり、第2電極シート42用の材料シートBS12は帯状集電極層の上面に帯状分極性電極層が形成されたものである。
【0079】
蓄電素子40(図24(A)及び図17(A)を参照)を作成するときには、図22(A)及び図22(B)に示すように、先に用意された第1電極シート41、第2電極シート42及びセパレートシート43を、下からの順序が、第1電極シート41、セパレートシート43、第2電極シート42となるように積み重ねる。
【0080】
この積み重ね時には、第1電極シート41の分極性電極層41bの外縁が第2電極シート42の分極性電極層42bの外縁よりも外側に突出するようにすると共に、セパレートシート43の外縁が第1電極シート41の集電極層41aの外縁から外側に突出するようにする。また、第1電極シート41及び第2電極シート42の各リード接続部41a1及び42a1のセパレートシート43からの突出長さが同じになるようにする。
【0081】
これにより、第1電極シート41の分極性電極層41bと第2電極シート42の分極性電極層42bがセパレートシート43に密着した積み重ね物(符号無し)が得られる。
【0082】
続いて、図23(A)及び図23(B)に示すように、図22(A)に示した積み重ね物の前後方向中央よりも左側部分を同図の基準線VSLに沿って上側に折り曲げ、該左側部分を右側部分に重ね合わせる。
【0083】
この重ね合わせ時には、第1電極シート41の各リード接続部41a1の外縁が重ね合わせ方向で一致するようにすると共に、第2電極シート42の各リード接続部42a1の外縁が重ね合わせ方向で一致するようにする。
【0084】
これにより、第1電極シート41、第2電極シート42及びセパレートシート43が基準線VSLを境として約180度の角度で2つ折りされていて、第1電極シート11の各リード接続部11a1が向き合い、且つ、第2電極シート12の各リード接続部12a1が向き合った形態を有する折り曲げ物(符号無し)が得られる。
【0085】
続いて、図24(A)〜図24(C)に示すように、図23(A)示した折り曲げ物にあって、互いに向き合う第1電極シート41の各リード接続部41a1を重ね合わせ、その左右方向両側の2箇所をセパレートシート43を介在させたままスポット溶接や超音波溶接やカシメ等の手法によって直接的に接合して、各リード接続部41a1を相互結合する(接合箇所WP11を参照)。また、各リード接続部41a1と非接触位置において互いに向き合う第2電極シート42の各リード接続部42a1を重ね合わせ、その左右方向両側の2箇所をセパレートシート43を介在させたままスポット溶接や超音波溶接やカシメ等の手法によって直接的に接合して、各リード接続部42a1を相互結合する(接合箇所WP11を参照)。
【0086】
続いて、図24(A)に示すように、第1電極シート41の集電極層41aの上面に、リチウムドープ用のリチウムシート44を圧着等の手法によって貼り付ける。
【0087】
これにより、第1電極シート41、第2電極シート42及びセパレートシート43が基準線VSLを境として約180度の角度で2つ折りされていて、第1電極シート41の各リード接続部41a1が相互結合され、且つ、第2電極シート12の各リード接続部12a1が相互結合された形態を有する蓄電素子40が得られる。
【0088】
ところで、図18〜図24(図25も同様)にあっては、図示の便宜上、第1電極シート41の集電極層41a及び分極性電極層41bの厚さと、第2電極シート42の集電極層42a及び各分極性電極層42bの厚さと、セパレートシート43の厚さを、それぞれ実際のものよりも厚く示した関係から、図22(B)、図23(B)、図24(B)及び図24(C)の上下寸法(全体厚さ)も実際のものよりも厚くなっている。
【0089】
しかしながら、第1電極シート41の集電極層41a及び分極性電極層41bの厚さと、第2電極シート42の集電極層42a及び分極性電極層42bの厚さと、セパレートシート43の厚さは5〜200μmの範囲内にあるため、例えば各層全ての平均値を60μmと仮定した場合でも、実際上の図22(B)の上下寸法(全体厚さ)は300μmとなり、図23(B)、図24(B)及び図24(C)の上下寸法(全体厚さ)は600μmとなる。
【0090】
要するに、図24(A)に示した蓄電素子40の実際上の上下寸法(全体厚さ)は1000μmにも満たないため、図24(B)に示した折り曲げ形態にあっては、折り曲げ箇所の外面曲率半径は図示したものよりもかなり小さく、折り曲げたときに各リード接続部41a1及び42a1に前後方向の位置ずれも殆ど生じない。また、積み重ね物を折り曲げるときに、各集電極層41a及び42aから各分極性電極層41及び42bが剥離することも無いし、各分極性電極層41b及び42bとセパレートシート43との密着が解かれることも無い。さらに、各集電極層41a及び42aと各分極性電極層41b及び42bとセパレートシート43は折り曲げを許容する可撓性を有するため、これらが折り曲げ箇所で割れることも無い。
【0091】
また、図24(B)にあっては、図示の便宜上、折り曲げ形態における各リード接続部41a1の結合と各リード接続部42a1の結合とを説明するために、一部のリード接続部を引き延ばして示してあるが、先の説明から理解できるように、実際上はこのような引き延ばし無しにリード接続部の結合を行える。
【0092】
次に、図25を引用して、リード20の構成及び蓄電素子40への接続方法について説明する。
【0093】
リード20を蓄電素子40に接続するに際しては、図25(A)及び図25(B)に示すリード20を用意する。このリード20は、アルミニウムや白金や銅等の導電材から短冊状に形成されており、その厚さは50〜100μmである。因みに、リード20の端部表面には、該リード20の電極パッド等への接続を容易とするための金属膜を電解メッキ等の手法によって形成しておいても良い。また、リード20の表面の後記パッケージシート51のシール領域51cの前側部分に対応する箇所には、後記シール層LA3と同じ材料から成るシール補強材21が該箇所を囲むように設けられている。このシール補強材21は、リード20を2枚のシート状物で挟み込む方法や、リード20を1枚のシート状物で囲む方法や、リード20の表面に液状物を塗布する方法等によって形成されている。
【0094】
続いて、図25(A)及び図25(B)に示すように、先に結合された各リード接続部41a1のセパレートシート43から突出する部分の上に一方のリード20の一端を置き、該一端をスポット溶接や超音波溶接やカシメ等の手法によって直接的に接合して、先に結合された各リード接続部41a1にリード20を結合する(接合箇所WP12を参照)。また、先に結合された各リード接続部42a1のセパレートシート43から突出した部分の上に他方のリード20の一端を置き、該一端をスポット溶接や超音波溶接やカシメ等の手法によって直接的に接合して、先に結合された各リード接続部42a1にリード20を結合する(接合箇所WP12を参照)。
【0095】
次に、図26〜図30を引用して、パッケージ50の構成及び作成方法について説明する。
【0096】
パッケージ50の作成に際しては、図26(A)〜図26(C)に示すパッケージシート51を用意する。このパッケージシート51は、図26(C)に示すように、保護層LA1、バリア層LA2及びシール層LA3が順にラミネートされた3層のラミネートフィルムから成る。保護層LA1はナイロンやポリエチレンフタレート等の耐熱性プラスチックから成り、その厚さは10〜50μmである。バリア層LA2はアルミニウム等の金属或いは金属酸化物から成り、その厚さは10〜50μmである。シール層LA3はポリプロピレンや変性ポリプロピレン等の熱可塑性プラスチックから成り、その厚さは30〜50μmである。
【0097】
このパッケージシート51は、図26(A)及び図26(B)に示すように、所定の前後寸法L51及び左右寸法W51を有する長方形状を成し、前後方向中央よりも右側部分に直方体形状の張出部51aを有し、その内側に相似形状の凹部51bを有する。凹部51bの深さは前記蓄電素子40の上下寸法(全体厚さ)よりも僅かに大きく、その上面視輪郭は該蓄電素子40の上面視輪郭よりも僅かに大きい。パッケージシート51の前後方向中央よりも右側部分において凹部51bが存しない部分はシール領域51cであり、該パッケージシート51にあってはその上面側にシール層LA3が位置する。
【0098】
パッケージ50(図17(A)〜図17(C)を参照)を作成するときには、図27に示すように、図25(A)に示したリード20付き蓄電素子40の蓄電素子40を凹部51b内に挿入すると共に、各リード20のシール補強材21をシール領域51cの前側部分の上に置く。各シール補強材21の前後寸法はシール領域51cの前側部分の前後寸法よりも多少大きく形成されているため、蓄電素子40を凹部51b内に挿入するときには、各シール補強材21の前端がシール領域51cの前側部分の前端よりも僅かに外側に突出するようにする。
【0099】
続いて、図28に示すように、図27に示したパッケージシート51の前後方向中央よりも左側部分を同図の基準線VSLに沿って上側に折り曲げ、該左側部分を右側部分に重ね合わせる。
【0100】
これにより、パッケージシート51の左側部分のシール層LA3が右側部分のシール領域51cのシール層LA3と向き合った形態を有するパッケージ中間品(符号無し)が得られる。
【0101】
続いて、図29に示すように、図28に示したパッケージ中間品を上下反転させてからその右側部分に熱を加えて互いに向き合うシール層LA3をヒートシールすると共に、該前側部分に熱を加えて互いに向き合うシール層LA3を各シール補強材21を挟んでヒートシールする(ヒートシール箇所HSを参照)。
【0102】
続いて、図30に示すように、図29に示したパッケージ中間品のヒートシールされていない左側部分を通じ、適当な注入器具を用いて電解液ES(例えば、プロピレンカーボネイト(溶媒)に六弗化リン酸リチウム(溶質)を加えたもの)を凹部51b内に注入する。そして、注入後にシール領域51cの左側部分に熱を加えて互いに向き合うシール層LA3をヒートシールする(ヒートシール箇所HSを参照)。
【0103】
これにより、蓄電素子40が電解液ESと共にパッケージ50内に封入された構造を備えるリチウムイオンキャパシタ(図17(A)〜図17(C)を参照)が得られる。
【0104】
ところで、パッケージシート51のシール層LA3はそれ自体の厚さがさほど大きいものではないため、パッケージ中間品の前側部分をヒートシールするときの溶融状態如何では、リード20とバリア層LA2とが接触してしまう恐れがある。
【0105】
しかしながら、パッケージ中間品の前側部分を各シール補強材21を挟んでヒートシールすれば、各シール補強材21の厚さ分だけシール層LA3の実質的厚さを増加できるため、ヒートシールするときに各リード20とバリア層LA2とが接触することを確実に回避できる。
【0106】
前述のリチウムイオンキャパシタの蓄電素子40は、図22(A)に示した積み重ね物を基準線VSLに沿って折り曲げて重ねあわせた形態(図24(B)を参照)を有していて、第1電極シート41の集電極層41a及び分極性電極層41bと、第2電極シート42の集電極層42a及び分極性電極層42bと、セパレートシート43は、それぞれ折り曲げ箇所を通じて連続している。そのため、従前の蓄電素子と断面上の層構造は同じであっても、各分極性電極層41b及び42bにおけるエッジ領域を従前の蓄電素子に比べて減らすことができる。
【0107】
要するに、従前の蓄電素子にあっては該蓄電素子に電圧を印加したときに各分極性電極層のエッジにおける電気力線密度が高くなることを原因として損傷等のダメージが生じ易く、該該ダメージを原因として蓄電素子全体としての耐電圧特性が低下したり寿命が低下する等の不具合を生じる恐れがある。しかしながら、前記蓄電素子40にあっては各分極性電極層41b及び42bにおけるエッジ領域を従前の蓄電素子に比べて減らすことができるため、前記ダメージが生じることを効果的に抑制し、該ダメージを原因として蓄電素子40全体としての耐電圧特性が低下したり寿命が低下したりする等の不具合を生じることを確実に抑制することができる。
【0108】
また、前述のリチウムイオンキャパシタの蓄電素子40は、集電極層、分極性電極層、セパレートシート、分極性電極層及び集電極層によって1つの充放電セルが構成されていると考えた場合、図24(C)に示した層構造からすれば該蓄電素子40は2つの充放電セルを有するようにも見える。しかしながら、蓄電素子40は図24(B)に示した折り曲げ形態を有していて、第1電極シート41の集電極層41a及び分極性電極層41bと、第2電極シート42の集電極層42a及び各分極性電極層42bと、セパレートシート43は、それぞれ折り曲げ箇所を通じて連続しているため、蓄電素子40は1対のリード20に対して1つの充放電セルが電気的に接続された等価回路で表すことができる。
【0109】
要するに、従前の蓄電素子と断面上の層構造は同じであっても充放電セルの数を1/2に減らすことができるので、充放電セルの数を減らして充放電特性のバラツキ範囲を制限することができる。依って、充放電特性のバラツキによる弊害、具体的には充放電特性が良好な充放電セルに充放電が偏って該充放電セルに物理化学的ダメージが蓄積し、該ダメージによって蓄電素子全体としての充放電特性が低下したり寿命が低下したりする等の不具合を生じることを確実に抑制することができる。
【0110】
さらに、前述のリチウムイオンキャパシタの蓄電素子40は、図24(B)に示した折り曲げ形態を有することに加え、第1電極シート41の各リード接続部41a1をセパレートシート43を介して相互結合され、第2電極シート42の各リード接続部42a1がセパレートシート43を介して相互結合されている。
【0111】
つまり、蓄電素子40の最も外側に位置する第1電極シート41の分極性電極層41bはその内側のセパレートシート43に密着し、該セパレートシート43は第2電極シート42の分極性電極層42bに密着していることも相俟って、第1電極シート41の各リード接続部41a1をセパレートシート43を介して相互結合し、且つ、第2電極シート42の各リード接続部42a1をセパレートシート43を介して相互結合することによって、該蓄電素子40を構成する第1電極シート41、第2電極シート42及びセパレートシート43の前後方向及び左右方向の相対位置を的確に定めることができる。
【0112】
要するに、蓄電素子40を構成する第1電極シート41、第2電極シート42及びセパレートシート43は相互に位置ずれが生じ難くなっているため、リチウムイオンキャパシタを製造する過程や、製造後のリチウムイオンキャパシタを使用する過程等において、前記位置ずれを原因として蓄電素子40の形が崩れたりその充放電特性が劣化することを確実に抑制することができる。
【0113】
尚、図示を省略したが、図16(A)及び図16(B)に示した位置ずれ防止突起11a2、12a2及び13a2と同様の位置ずれ防止突起を第1電極シート31の集電極層31aの外縁と第2電極シート42の集電極層42aの外縁の両方、或いは、第1電極シート31の集電極層31aの外縁のみに設ければ、第1電極シート41、第2電極シート42及びセパレートシート43の相互位置ずれをより確実に防止することができるので、リチウムイオンキャパシタを製造する過程や、製造後のリチウムイオンキャパシタを使用する過程等において、前記位置ずれを原因として蓄電素子の形が崩れたりその充放電特性が劣化することをより確実に防止することができる。
【0114】
[他の実施形態]
(1)第1実施形態では、第1電極シート11、セパレートシート14、第2電極シート12、セパレートシート14、第3電極シート13の順に重ね合わせて得た積層体を折り曲げて重ね合わせることで蓄電素子10を構成したものを示し、第2実施形態では、第1電極シート41、セパレートシート43、第2電極シート42の順に重ね合わせて得た積層体を折り曲げて重ね合わせることで蓄電素子10を構成したものを示したが、折り曲げる前の積層体のシート数は第1実施形態に示した積層体(図7(B)を参照)よりも増加しても良い。
【0115】
例えば、第1電極シート11、セパレートシート14、第2電極シート12、セパレートシート14、第2電極シート12のリード接続部12a1の位置を第1電極シート11のリード接続部11a1の位置に変更した電極シート、セパレートシート14、第3電極シート13のリード接続部13a1の位置を第2電極シート12のリード接続部12a1の位置に変更した電極シートの順に重ね合わせたものを折り曲げて重ね合わせれば、充放電セルが3つの蓄電素子を構成することができ、且つ、前記同様の作用、効果を得ることができる。
【0116】
(2)本発明を電気二重層キャパシタに適用したものを第1実施形態として示し、本発明をリチウムイオンキャパシタに適用したものを第2実施形態として示したが、略同構造の蓄電素子を有する他の電気化学デバイス、例えばレドックスキャパシタやリチウムイオン電池等にも本発明は適用可能で、該適用により前記同様の作用及び効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0117】
10,10-1,10-2…蓄電素子、11…第1電極シート、11a…集電極層、11a1…リード接続部、11a2…位置ずれ防止突起、11b…分極性電極層、12…第2電極シート、12a…集電極層、12a1…リード接続部、12a2…位置ずれ防止突起、12b…分極性電極層、13…第3電極シート、13a…集電極層、13a1…リード接続部、13a2…位置ずれ防止突起、13b…分極性電極層、14…セパレートシート、WP1…接合箇所、20…リード、21…シール補強材、WP2…接合箇所、31…パッケージシート、31a…張出部、31b…凹部、31c…シール領域、31d…折り曲げ部分、HS…ヒートシール箇所、ES…電解液、40…蓄電素子、41…第1電極シート、41a…集電極層、41a1…リード接続部、41b…分極性電極層、42…第2電極シート、42a…集電極層、42a1…リード接続部、42b…分極性電極層、43…セパレートシート、WP11…接合箇所、WP12…接合箇所、51…パッケージシート、51a…張出部、51b…凹部、51c…シール領域。
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子をパッケージ内に封入した構造を備える電気化学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気化学デバイスとして代表的な電気二重層キャパシタの蓄電素子は、一般に、集電極層、分極性電極層、セパレートシート、分極性電極層、集電極層………集電極層、分極性電極層、セパレートシート、分極性電極層、集電極層が順に重なった層構造を有している(特許文献1を参照)。即ち、集電極層、分極性電極層、セパレートシート、分極性電極層及び集電極層によって1つの充放電セルが構成されていると考えると、蓄電素子は1対のリードに対して複数の充放電セルが電気的に並列接続された等価回路で表すことができる。
【0003】
このような電気二重層キャパシタにあっては、蓄電素子に電圧を印加すると該電圧に応じた電界が生じ、該電界に準じた電気力線が発生する。この電気力線は各分極性電極層のエッジに密集するため、該エッジの電気力線密度はこれ以外の部位に比べて高くなる。また、電気力線は正極側から負極側に向かうものであるため、例えば最も外側に正極側の分極性電極層が位置しその内側に負極側の分極性電極層が位置するときには、これら分極性電極層のエッジに最も高い電気力線密度が現れる。
【0004】
要するに、前記層構造を有する蓄電素子にあっては、各分極性電極層のエッジにおける電気力線密度が高くなることを原因として損傷等のダメージが生じ易く、該ダメージを原因として蓄電素子全体としての耐電圧特性が低下したり寿命が低下する等の不具合を生じる恐れがある。
【0005】
特許文献2には電気二重層キャパシタ用の蓄電素子としてU字形に折り曲げた集電極層を用いたものが開示されているが、該集電極層に形成された2つの分極性電極層は分離していることから、該蓄電素子をもってしても前記不具合を避けることは難しい。
【0006】
具体的な説明は省略するが、前述の電気二重層キャパシタの蓄電素子と略同構造の蓄電素子を有するリチウムイオンキャパシタやレドックスキャパシタやリチウムイオン電池等の他の電気化学デバイスにおいても前記同様の不具合を生じる恐れがあることは言うまでもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−015954号公報
【特許文献2】特開平08−064479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、蓄電素子全体としての耐電圧特性が低下したり寿命が低下したりする等の不具合を生じることを確実に抑制できる電気化学デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、蓄電素子をパッケージ内に封入した構造を備える電気化学デバイスであって、前記蓄電素子は、集電極層と該集電極層の少なくとも一面に形成された分極性電極層を有する2以上の電極シートが分極性電極層間にセパレートシートを介在して積み重ねられた物を基準線に沿って折り曲げて重ね合わせた形態を有し、該形態にあって各電極シートの集電極層及び分極性電極層とセパレートシートはそれぞれ折り曲げ箇所を通じて連続しており、前記2以上の電極シートのうち、一方極性として用いられる電極シートの集電極層の両端には前記形態において互いに向き合うリード接続部が設けられていて、且つ、該リード接続部は前記セパレートシートを介して相互に結合され、他方極性として用いられる電極シートの集電極層の両端には前記形態において前記電極シートのリード接続部と非接触位置で互いに向き合うリード接続部が設けられていて、且つ、該リード接続部は前記セパレートシートを介して相互に結合されている、ことをその特徴とする。
【0010】
この電気化学デバイスによれば、蓄電素子は積み重ねられた物を基準線に沿って折り曲げて重ね合わせた形態を有していて、各電極シートの集電極層及び分極性電極層とセパレートシートはそれぞれ折り曲げ箇所を通じて連続しているため、従前の蓄電素子と断面上の層構造は同じであっても、各分極性電極層におけるエッジ領域を従前の蓄電素子に比べて減らすことができる。
【0011】
要するに、従前の蓄電素子にあっては該蓄電素子に電圧を印加したときに各分極性電極層のエッジにおける電気力線密度が高くなることを原因として損傷等のダメージが生じ易く、該該ダメージを原因として蓄電素子全体としての耐電圧特性が低下したり寿命が低下する等の不具合を生じる恐れがあるが、前記蓄電素子にあっては各分極性電極層におけるエッジ領域を従前の蓄電素子に比べて減らすことができるため、前記ダメージが生じることを効果的に抑制し、該ダメージを原因として蓄電素子全体としての耐電圧特性が低下したり寿命が低下したりする等の不具合を生じることを確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、蓄電素子全体としての耐電圧特性が低下したり寿命が低下したりする等の不具合を抑制できる電気化学デバイスを提供することができる。
【0013】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1(A)は本発明を適用した電気二重層キャパシタの上面図、図1(B)は同左面図、図1(C)は同前面図である。
【図2】図2(A)は第1電極シートの上面図、図2(B)は同左面図である。
【図3】図3(A)は第2電極シートの上面図、図2(B)は同左面図である。
【図4】図4(A)は第3電極シートの上面図、図4(B)は同左面図である。
【図5】図5(A)はセパレートシートの上面図、図4(B)は同左面図である。
【図6】図6(A)〜図6(D)は第1電極シート、第2電極シート、第3電極シート及びセパレートシートの作成方法を示す図である。
【図7】図7(A)は第1電極シート、第2電極シート、第3電極シート及びセパレートシートを積み重ねた状態を示す上面図、図7(B)は同左面図である。
【図8】図8(A)は図7(A)に示した積み重ね物を折り曲げて重ね合わせた状態を示す上面図、図8(B)は同拡大左面図である。
【図9】図9(A)は図8(A)に示した折り曲げ物のリード接続部を相互結合した状態を示す上面図、図9(B)は同拡大左面図、図9(C)は図9(B)のS1−S1線に沿う拡大断面図である。
【図10】図10(A)は図9(A)に示した蓄電素子にリードを結合した状態を示す上面図、図10(B)は同左面図である。
【図11】図11(A)はパッケージシートの上面図、図11(B)は同左面図、図11(C)は図11(B)のX1部分の拡大断面図である。
【図12】図12はパッケージシートの凹部に蓄電素子を挿入した状態を示す上面図である。
【図13】図13はパッケージシートを折り曲げて重ね合わせた状態を示す上面図である。
【図14】図14は図13に示したパッケージ中間品の左側部分及び右側部分をヒートシールした状態を示す上面図である。
【図15】図15は図14に示したパッケージ中間品の前側部分をヒートシールした状態を示す上面図である。
【図16】図16(A)及び図16(B)は電極シートの集電極層に位置ずれ防止突起を設けた例を示す図9(C)対応の拡大断面図である。
【図17】図17(A)は本発明を適用したリチウムイオンキャパシタの上面図、図17(B)は同左面図、図17(C)は同前面図である。
【図18】図18(A)は第1電極シートの上面図、図18(B)は同左面図である。
【図19】図19(A)は第2電極シートの上面図、図19(B)は同左面図である。
【図20】図20(A)はセパレートシートの上面図、図20(B)は同左面図である。
【図21】図21(A)〜図21(C)は第1電極シート、第2電極シート及びセパレートシートの作成方法を示す図である。
【図22】図22(A)は第1電極シート、第2電極シート及びセパレートシートを積み重ねた状態を示す上面図、図22(B)は同左面図である。
【図23】図23(A)は図22(A)に示した積み重ね物を折り曲げて重ね合わせた状態を示す上面図、図23(B)は同拡大左面図である。
【図24】図24(A)は図23(A)に示した折り曲げ物のリード接続部を相互結合した状態を示す上面図、図24(B)は同拡大左面図、図24(C)は図24(B)のS2−S2線に沿う拡大断面図である。
【図25】図25(A)は図24(A)に示した蓄電素子にリードを結合した状態を示す上面図、図25(B)は同左面図である。
【図26】図26(A)はパッケージシートの上面図、図26(B)は同左面図、図26(C)は図26(B)のX2部分の拡大断面図である。
【図27】図27はパッケージシートの凹部に蓄電素子を挿入した状態を示す上面図である。
【図28】図28はパッケージシートを折り曲げて重ね合わせた状態を示す上面図である。
【図29】図29は図28に示したパッケージ中間品の右側部分及び前側部分をヒートシールした状態を示す上面図である。
【図30】図30は図29に示したパッケージ中間品の左側部分をヒートシールした状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
図1〜図15は本発明を電気二重層キャパシタに適用した実施形態を示す。この電気二重層キャパシタは、蓄電素子10と、該蓄電素子10に接続された一対のリード20と、該一対のリード20の一部が露出するように蓄電素子10を封入したパッケージ30と、を備えている。
【0016】
尚、以下の説明では、説明の便宜上、図1(A)の手前、奥、右、左、下、及び上をそれぞれ上、下、前、後、左、及び右と称すると共に、他の図のこれらに相当する向きをそれぞれ上、下、前、後、左、及び右と称する。
【0017】
先ず、図2〜図9を引用して、蓄電素子10の構成並びに作成方法について説明する。
【0018】
蓄電素子10の作成に際しては、図2(A)及び図2(B)に示す第1電極シート11と、図3(A)及び図3(B)に示す第2電極シート12と、図4(A)及び図4(B)に示す第3電極シート13と、図5(A)及び図5(B)に示すセパレートシート14と、を用意する。
【0019】
第1電極シート11は、図2(A)及び図2(B)に示すように、所定の前後寸法L11及び左右寸法W11を有する長方形状の集電極層11aと、該集電極層11aの上面全域に塗工等の手法によって形成された分極性電極層11bを有する(尚、図面には分極性電極層11bの前端及び後端が各リード接続部11a1に多少入り込んだものを示してある)。集電極層11aはアルミニウムや白金等の導電材から成り、その厚さは5〜50μmである。分極性電極層11bはPAS(ポリアセン系有機半導体)や活性炭等の活物質から成り、その厚さは10〜50μmである。また、集電極層11aの前後方向両端の右側には、長方形状のリード接続部11a1が、該集電極層11aと同じ厚さで一体に設けられている。
【0020】
第2電極シート12は、図3(A)及び図3(B)に示すように、前記前後寸法L11と同じ前後寸法L12と前記左右寸法W11と同じ左右寸法W12とを有する長方形状の集電極層12aと、該集電極層12aの上面全域及び下面全域に塗工等の手法によって形成された分極性電極層12bを有する(尚、図面には分極性電極層12bの前端及び後端が各リード接続部12a1に多少入り込んだものを示してある)。集電極層12aの材質及び厚さは前記集電極層11aと同じであり、各分極性電極層12bの材質及び厚さは前記分極性電極層11bと同じである。また、集電極層12aの前後方向両端の左側には、前記リード接続部11a1と同一形状のリード接続部12a1が、該集電極層12aと同じ厚さで一体に設けられている。
【0021】
第3電極シート13は、図4(A)及び図4(B)に示すように、前記前後寸法L11と同じ前後寸法L13と前記左右寸法W11と同じ左右寸法W13とを有する長方形状の集電極層13aと、該集電極層13aの下面全域に塗工等の手法によって形成された分極性電極層13bを有する(尚、図面には分極性電極層13bの前端及び後端がリード接続部各13a1に多少入り込んだものを示してある)。集電極層13aの材質及び厚さは前記集電極層11aと同じであり、分極性電極層13bの材質及び厚さは前記分極性電極層11aと同じである。また、集電極層13aの前後方向両端の右側には、前記リード接続部11a1と同一形状のリード接続部13a1が、前記リード接続部11a1と同一位置に、且つ、該集電極層13aと同じ厚さで一体に設けられている。
【0022】
つまり、第1電極シート11の集電極層11a(リード接続部11a1を除く)の上面視形状と、第2電極シート12の集電極層12a(リード接続部12a1を除く)の上面視形状と、第3電極シート13の集電極層13a(リード接続部13a1を除く)の上面視形状は、互いに同じである。
【0023】
また、第1電極シート11の分極性電極層11bの上面視形状と、第2電極シート12の下面側の分極性電極層12bの下面視形状は、互いに同じである。第2電極シート12の上面側の分極性電極層12bの上面視形状は、第3電極シート13の分極性電極層13bの下面視形状は、互いに同じである。図から分かるように、第2電極シート12の上面側の分極性電極層12bと第3電極シート13の分極性電極層13bは、第1電極シート11の分極性電極層11bを左右方向或いは前後方向に180度反転させた形状となっている。
【0024】
さらに、第1電極シート11の集電極層11a(リード接続部11a1を含む)と分極性電極層11bは、図2(A)に示した前後方向中央の基準線VSLを境として線対称形を成している。第2電極シート12の集電極層12a(リード接続部12a1を含む)と各分極性電極層12bは、図3(A)示した前後方向中央の基準線VSLを境として線対称形を成している。第3電極シート13の集電極層13a(リード接続部13a1を含む)と分極性電極層13bは、図4(A)に示した前後方向中央の基準線VSLを境として線対称形を成している。
【0025】
セパレートシート14は、図5(A)及び図5(B)に示すように、前記前後寸法L11よりも僅かに大きな前後寸法L14と前記左右寸法W11よりも僅かに大きな左右寸法W14とを有する長方形状を成す。セパレートシート14はセルロース系シートやプラスチック系シート等のイオン透過シートから成り、その厚さは10〜50μm前後である。
【0026】
先に述べた第1電極シート11、第2電極シート12、第3電極シート13及びセパレートシート14のそれぞれは、図6(A)〜図6(D)に示すように、材料シートBS1〜BS4を仮想線PL1〜PL4に沿って切断してその内側部分を抜き取る方法によって簡単に得ることができる。図から分かるように、第1電極シート11用の材料シートBS1は帯状集電極層の上面に帯状分極性電極層が形成されたものであり、第2電極シート12用の材料シートBS2は帯状集電極層の上面及び下面に帯状分極性電極層が形成されたものであり、第3電極シート13用の材料シートBS3は帯状集電極層の下面に帯状分極性電極層が形成されたものである。
【0027】
蓄電素子10(図9(A)及び図1(A)を参照)を作成するときには、図7(A)及び図7(B)に示すように、先に用意された第1電極シート11、第2電極シート12、第3電極シート13及び2枚のセパレートシート14を、下からの順序が、第1電極シート11、セパレートシート14、第2電極シート12、セパレートシート14、第3電極シート13となるように積み重ねる。
【0028】
この積み重ね時には、第1電極シート11、第2電極シート12及び第3電極シート13の集電極層11a、12a及び13aの外縁が積み重ね方向で一致し、且つ、第1電極シート11及び第3電極シート13のリード接続部11a1及び13a1の外縁が積み重ね方向で一致するようにする。また、2枚のセパレートシート14の外縁が各集電極層11a、12a及び13aの外縁から外側に突出し、且つ、各セパレートシート14の外縁が積み重ね方向で一致するようにする。さらに、第1電極シート11、第2電極シート12及び第3電極シート13の各リード接続部11a1、12a1及び13a1の各セパレートシート14からの突出長さが同じになるようにする。
【0029】
これにより、第1電極シート11の分極性電極層11bと第2電極シート12の下側の分極性電極層12bが下側のセパレートシート14に密着し、第2電極シート12の上側の分極性電極層12bと第3電極シート13の分極性電極層13bが上側のセパレートシート14に密着した積み重ね物(符号無し)が得られる。
【0030】
続いて、図8(A)及び図8(B)に示すように、図7(A)に示した積み重ね物の前後方向中央よりも左側部分を同図の基準線VSLに沿って上側に折り曲げ、該左側部分を右側部分に重ね合わせる。
【0031】
この重ね合わせ時には、第1電極シート11及び第3電極シート13の各リード接続部11a1及び13a1の外縁が重ね合わせ方向で一致するようにすると共に、第2電極シート12の各リード接続部12a1の外縁が重ね合わせ方向で一致するようにする。
【0032】
これにより、第1電極シート11、第2電極シート12、第3電極シート13及び2枚のセパレートシート14が基準線VSLを境として約180度の角度で2つ折りされていて、第1電極シート11の各リード接続部11a1と第3電極シート13の各リード接続部13a1とが向き合い、且つ、第2電極シート12の各リード接続部12a1が向き合った形態を有する折り曲げ物(符号無し)が得られる。
【0033】
続いて、図9(A)〜図9(C)に示すように、図8(A)に示した折り曲げ物にあって、互いに向き合う第1電極シート11の各リード接続部11a1と第3電極シート13の各リード接続部13a1とを重ね合わせ、その左右方向両側の2箇所をスポット溶接や超音波溶接やカシメ等の手法によって直接的に接合して、各リード接続部11a1及び13a1を相互結合する(接合箇所WP1を参照)。また、各リード接続部11a1及び13a1と非接触位置において互いに向き合う第2電極シート12の各リード接続部12a1を重ね合わせ、その左右方向両側の2箇所をスポット溶接や超音波溶接やカシメ等の手法によって直接的に接合して、各リード接続部12a1を相互結合する(接合箇所WP1を参照)。
【0034】
これにより、第1電極シート11、第2電極シート12、第3電極シート13及び2枚のセパレートシート14が基準線VSLを境として約180度の角度で2つ折りされていて、第1電極シート11の各リード接続部11a1と第3電極シート13の各リード接続部13a1とが相互結合され、且つ、第2電極シート12の各リード接続部12a1が相互結合された形態を有する蓄電素子10が得られる。
【0035】
ところで、図2〜図9(図10も同様)にあっては、図示の便宜上、第1電極シート11の集電極層11a及び分極性電極層11bの厚さと、第2電極シート12の集電極層12a及び各分極性電極層12bの厚さと、第3電極シート13の集電極層13a及び分極性電極層13bの厚さと、セパレートシート14の厚さを、それぞれ実際のものよりも厚く示した関係から、図7(B)、図8(B)、図9(B)及び図9(C)の上下寸法(全体厚さ)も実際のものよりも厚くなっている。
【0036】
しかしながら、第1電極シート11の集電極層11a及び分極性電極層11bの厚さと、第2電極シート12の集電極層12a及び各分極性電極層12bの厚さと、第3電極シート13の集電極層13a及び分極性電極層13bの厚さと、各セパレートシート14の厚さは5〜50μmの範囲内にあるため、例えば各層全ての平均値を30μmと仮定した場合でも、実際上の図7(B)の上下寸法(全体厚さ)は270μmとなり、図8(B)、図9(B)及び図9(C)の上下寸法(全体厚さ)は540μmとなる。
【0037】
要するに、図9(A)に示した蓄電素子10の実際上の上下寸法(全体厚さ)は1000μmにも満たないため、図9(B)に示した折り曲げ形態にあっては、折り曲げ箇所の外面曲率半径は図示したものよりもかなり小さく、折り曲げたときに各リード接続部11a1、12a1及び13a1に前後方向の位置ずれも殆ど生じない。また、積み重ね物を折り曲げるときに、各集電極層11a、12a及び13aから各分極性電極層11b、12b及び13bが剥離することも無いし、各分極性電極層11b、12b及び13bと各セパレートシート14との密着が解かれることも無い。さらに、各集電極層11a、12a及び13aと各分極性電極層11b、12b及び13bと各セパレートシート14は折り曲げを許容する可撓性を有するため、これらが折り曲げ箇所で割れることも無い。
【0038】
また、図9(B)にあっては、図示の便宜上、折り曲げ形態における各リード接続部11a1及び13a1の結合と各リード接続部12a1の結合とを説明するために、一部のリード接続部を引き延ばして示してあるが、先の説明から理解できるように、実際上はこのような引き延ばし無しにリード接続部の結合を行える。
【0039】
次に、図10を引用して、リード20の構成及び蓄電素子10への接続方法について説明する。
【0040】
リード20を蓄電素子10に接続するに際しては、図10(A)及び図10(B)に示すリード20を用意する。このリード20は、アルミニウムや白金や銅等の導電材から短冊状に形成されており、その厚さは50〜100μmである。因みに、リード20の端部表面には、該リード20の電極パッド等への接続を容易とするための金属膜を電解メッキ等の手法によって形成しておいても良い。また、リード20の表面の後記パッケージシート31のシール領域31cの前側部分に対応する箇所には、後記シール層LA3と同じ材料から成るシール補強材21が該箇所を囲むように設けられている。このシール補強材21は、リード20を2枚のシート状物で挟み込む方法や、リード20を1枚のシート状物で囲む方法や、リード20の表面に液状物を塗布する方法等によって形成されている。
【0041】
続いて、図10(A)及び図10(B)に示すように、先に結合された各リード接続部11a1及び13a1の上に一方のリード20の一端を置き、該一端をスポット溶接や超音波溶接やカシメ等の手法によって直接的に接合して、先に結合された各リード接続部11a1及び13a1にリード20を結合する(接合箇所WP2を参照)。また、先に結合された各リード接続部12a1の上に他方のリード20の一端を置き、該一端をスポット溶接や超音波溶接やカシメ等の手法によって直接的に接合して、先に結合された各リード接続部12a1にリード20を結合する(接合箇所WP2を参照)。
【0042】
図10(A)に示したように、各リード20としてリード接続部11a1、12a1及び13a1よりも左右寸法が小さいものを用い、左右の接合箇所WP1の内側に接合箇所WP2が位置し、且つ、これら接合箇所WP1及びWP2が一直線に並ぶようにすれば、接合領域が重なることによる結合不良の不具合を抑制して個々の結合を的確に行えるし、左右の接合箇所WP1と接合箇所WP2との間の電気的抵抗、即ち、一方のリード20と集電極層11a及び13aとの間の電気抵抗と、他方のリード20と集電極層12aとの間の電気抵抗を、それぞれ低減することができる。
【0043】
次に、図11〜図15を引用して、パッケージ30の構成及び作成方法について説明する。
【0044】
パッケージ30の作成に際しては、図11(A)〜図11(C)に示すパッケージシート31を用意する。このパッケージシート31は、図11(C)に示すように、保護層LA1、バリア層LA2及びシール層LA3が順にラミネートされた3層のラミネートフィルムから成る。保護層LA1はナイロンやポリエチレンフタレート等の耐熱性プラスチックから成り、その厚さは10〜50μmである。バリア層LA2はアルミニウム等の金属或いは金属酸化物から成り、その厚さは10〜50μmである。シール層LA3はポリプロピレンや変性ポリプロピレン等の熱可塑性プラスチックから成り、その厚さは30〜50μmである。
【0045】
このパッケージシート31は、図11(A)及び図11(B)に示すように、所定の前後寸法L31及び左右寸法W31を有する長方形状を成し、前後方向中央よりも右側部分に直方体形状の張出部31aを有し、その内側に相似形状の凹部31bを有する。凹部31bの深さは前記蓄電素子10の上下寸法(全体厚さ)よりも僅かに大きく、その上面視輪郭は該蓄電素子10の上面視輪郭よりも僅かに大きい。パッケージシート31の前後方向中央よりも右側部分において凹部31bが存しない部分はシール領域31cであり、該パッケージシート31にあってはその上面側にシール層LA3が位置する。
【0046】
パッケージ30(図1(A)〜図1(C)を参照)を作成するときには、図12に示すように、図10(A)に示したリード20付き蓄電素子10の蓄電素子10を凹部31b内に挿入すると共に、各リード20のシール補強材21をシール領域31cの前側部分の上に置く。各シール補強材21の前後寸法はシール領域31cの前側部分の前後寸法よりも多少大きく形成されているため、蓄電素子10を凹部31b内に挿入するときには、各シール補強材21の前端がシール領域31cの前側部分の前端よりも僅かに外側に突出するようにする。
【0047】
続いて、図13に示すように、図12に示したパッケージシート31の前後方向中央よりも左側部分を同図の基準線VSLに沿って上側に折り曲げ、該左側部分を右側部分に重ね合わせる。
【0048】
これにより、パッケージシート31の左側部分のシール層LA3が右側部分のシール領域31cのシール層LA3と向き合った形態を有するパッケージ中間品(符号無し)が得られる。
【0049】
続いて、図14に示すように、図13に示したパッケージ中間品を上下反転させてからその左側部分及び右側部分に熱を加えて互いに向き合うシール層LA3をヒートシールし、そして、ヒートシールされた左側部分及び右側部分を上側に折り曲げてから該折り曲げ部分31dに再度熱を加えてヒートシールの確実性を高める(ヒートシール箇所HSを参照)。
【0050】
続いて、図15に示すように、図14に示したパッケージ中間品のヒートシールされていない前側部分を通じ、適当な注入器具を用いて電解液ES(例えば、プロピレンカーボネイト(溶媒)に硼弗化トリエチルメチルアンモニウム(溶質)を加えたもの)を凹部31b内に注入する。そして、注入後にパッケージ中間品の前側部分に熱を加えて互いに向き合うシール層LA3を各シール補強材21を挟んでヒートシールする(ヒートシール箇所HSを参照)。
【0051】
これにより、蓄電素子10が電解液ESと共にパッケージ30内に封入された構造を備える電気二重層キャパシタ(図1(A)〜図1(C)を参照)が得られる。
【0052】
ところで、パッケージシート31のシール層LA3はそれ自体の厚さがさほど大きいものではないため、パッケージ中間品の前側部分をヒートシールするときの溶融状態如何では、リード20とバリア層LA2とが接触してしまう恐れがある。
【0053】
しかしながら、パッケージ中間品の前側部分を各シール補強材21を挟んでヒートシールすれば、各シール補強材21の厚さ分だけシール層LA3の実質的厚さを増加できるため、ヒートシールするときに各リード20とバリア層LA2とが接触することを確実に回避できる。
【0054】
前述の電気二重層キャパシタの蓄電素子10は、図7(A)に示した積み重ね物を基準線VSLに沿って折り曲げて重ねあわせた形態(図9(B)を参照)を有していて、第1電極シート11の集電極層11a及び分極性電極層11bと、第2電極シート12の集電極層12a及び各分極性電極層12bと、第3電極シート13の集電極層13a及び分極性電極層13bと、2枚のセパレートシート14は、それぞれ折り曲げ箇所を通じて連続している。そのため、従前の蓄電素子と断面上の層構造は同じであっても、各分極性電極層11b、12b及び13bにおけるエッジ領域を従前の蓄電素子に比べて減少することができる。
【0055】
要するに、従前の蓄電素子にあっては該蓄電素子に電圧を印加したときに各分極性電極層のエッジにおける電気力線密度が高くなることを原因として損傷等のダメージが生じ易く、該該ダメージを原因として蓄電素子全体としての耐電圧特性が低下したり寿命が低下する等の不具合を生じる恐れがある。しかしながら、前記蓄電素子10にあっては各分極性電極層11b、12b及び13bにおけるエッジ領域を従前の蓄電素子に比べて減らすことができるため、前記ダメージが生じることを効果的に抑制し、該ダメージを原因として蓄電素子10全体としての耐電圧特性が低下したり寿命が低下したりする等の不具合を生じることを確実に抑制することができる。
【0056】
また、前述の電気二重層キャパシタの蓄電素子10は、集電極層、分極性電極層、セパレートシート、分極性電極層及び集電極層によって1つの充放電セルが構成されていると考えた場合、図9(C)に示した層構造からすれば該蓄電素子10は4つの充放電セルを有するようにも見える。しかしながら、蓄電素子10は図9(B)に示した折り曲げ形態を有していて、第1電極シート11の集電極層11a及び分極性電極層11bと、第2電極シート12の集電極層12a及び各分極性電極層12bと、第3電極シート13の集電極層13a及び分極性電極層13bと、2枚のセパレートシート14は、それぞれ折り曲げ箇所を通じて連続しているため、蓄電素子10は1対のリード20に対して2つの充放電セルが並列に電気的に接続された等価回路で表すことができる。
【0057】
要するに、従前の蓄電素子と断面上の層構造は同じであっても充放電セルの数を1/2に減らすことができるので、充放電セルの数を減らして充放電特性のバラツキ範囲を制限することができる。依って、充放電特性のバラツキによる弊害、具体的には充放電特性が良好な充放電セルに充放電が偏って該充放電セルに物理化学的ダメージが蓄積し、該ダメージによって蓄電素子全体としての充放電特性が低下したり寿命が低下したりする等の不具合を生じることを確実に抑制することができる。
【0058】
さらに、前述の電気二重層キャパシタの蓄電素子10は、図9(B)に示した折り曲げ形態を有することに加え、第1電極シート11の各リード接続部11a1と第3電極シート13の各リード接続部13a1を相互結合され、第2電極シート12の各リード接続部12a1を相互結合されている。
【0059】
つまり、蓄電素子10の最も外側に位置する第1電極シート11の分極性電極層11bはその内側のセパレートシート14に密着し、該セパレートシート14は第2電極シート12の一方の分極性電極層12bに密着し、該第2電極シート12の他方の分極性電極層12bはその内側のセパレートシート14に密着し、該セパレートシート14は第3電極シート13の分極性電極層13bに密着していることも相俟って、第1電極シート11の各リード接続部11a1と第3電極シート13の各リード接続部13a1とを相互結合し、且つ、第2電極シート12の各リード接続部12a1を相互結合することによって、該蓄電素子10を構成する第1電極シート11、第2電極シート12、第3電極シート13及び各セパレートシート14の前後方向及び左右方向の相対位置を的確に定めることができる。
【0060】
要するに、蓄電素子10を構成する第1電極シート11、第2電極シート12、第3電極シート13及び2枚のセパレートシート14は相互に位置ずれが生じ難くなっているため、電気二重層キャパシタを製造する過程や、製造後の電気二重層キャパシタを使用する過程等において、前記位置ずれを原因として蓄電素子10の形が崩れたりその充放電特性が劣化することを確実に抑制することができる。
【0061】
図16(A)及び図16(B)は第1電極シート11及び第3電極シート13の少なくとも一方と第2電極シート12に位置ずれ防止突起を設けた例をそれぞれ示す。
【0062】
図16(A)に示した蓄電素子10-1にあっては、第1電極シート11の集電極層11aの外縁に分極性電極層11bの厚さよりも高さが大きな位置ずれ防止突起11a2が設けられ、第2電極シート12の集電極層12aの外縁に分極性電極層12bの厚さよりも高さが大きな位置ずれ防止突起12a2が設けられ、第3電極シート13の集電極層13aの外縁に分極性電極層13bの厚さよりも高さが大きな位置ずれ防止突起13a2が設けられている。これら位置ずれ防止突起11a2、12a2及び13a2は外縁に沿って連続した形状でも外縁に沿って連続しない形状でも良いが、2次元的な位置ずれを防止するには外縁の少なくとも2箇所に設けられていることが望ましい。
【0063】
同図から分かるように、第1電極シート11の位置ずれ防止突起11a2は隣接するセパレートシート14に非貫通状態で食い込んでおり、第2電極シート12の位置ずれ防止突起12a2は隣接するセパレートシート14に非貫通状態で食い込んでおり、第3電極シート13の位置ずれ防止突起13a2は隣接するセパレートシート14に非貫通状態で食い込んでいる。図面には、上から2層目と3層目に現れるセパレートシート14に上下方向で向き合うように位置ずれ防止突起12a2及び13a2が食い込んでいるが、食い込み深さを調整することによって位置ずれ防止突起12a2及び13a2が相互に接触することを回避している。
【0064】
図16(B)に示した蓄電素子10-2にあっては、第1電極シート11の集電極層11aの外縁に分極性電極層11bの厚さよりも高さが大きな位置ずれ防止突起11a2が設けられ、第2電極シート12の集電極層12aの外縁に分極性電極層12bの厚さよりも高さが大きな位置ずれ防止突起12a2が設けられており、第3電極シート13の集電極層13aには位置ずれ防止突起は設けられていない。これら位置ずれ防止突起11a2及び12a2は外縁に沿って連続した形状でも外縁に沿って連続しない形状でも良いが、2次元的な位置ずれを防止するには外縁の少なくとも2箇所に設けられていることが望ましい。
【0065】
同図から分かるように、第1電極シート11の位置ずれ防止突起11a2は隣接するセパレートシート14に非貫通状態で食い込んでおり、第2電極シート12の位置ずれ防止突起12a2は隣接するセパレートシート14に非貫通状態で食い込んでおり、第3電極シート13の位置ずれ防止突起13a2は隣接するセパレートシート14に非貫通状態で食い込んでいる。第3電極シート13の集電極層13aに位置ずれ防止突起を設けていない理由は、先に述べたように第1電極シート11の集電極層11aと第3電極シート13の集電極層13aの前後方向及び左右方向の相対位置が各々のリード接続部11a1及び13a1を相互に結合することによって定められていることにある。
【0066】
前記の位置ずれ防止突起11a2、12a2及び13a2の形成には、集電極層11a、12a及び13aの外縁に適当な加工治具を押し当てて該外縁を変形させる手法の他、図6(A)〜図6(C)で説明した作成方法において仮想線PL1〜PL3に沿う切断に押し切り刃を用い、集電極層11a、12a及び13aの外縁に押し切りに伴うダレを生じさせる手法等が採用できる。
【0067】
図16(A)及び図16(B)に示した突起食い込み構造を採用すれば、蓄電素子10-1及び10-2を構成する第1電極シート11、第2電極シート12、第3電極シート13及び2枚のセパレートシート14の相互位置ずれをより確実に防止することができるので、電気二重層キャパシタを製造する過程や、製造後の電気二重層キャパシタを使用する過程等において、前記位置ずれを原因として蓄電素子10-1及び10-2の形が崩れたりその充放電特性が劣化することをより確実に防止することができる。
【0068】
前記位置ずれ防止突起の向きは図16(A)及び図16(B)に限定されるものではなく、例えば、第2電極シート12の集電極層12aの左右方向一方の位置ずれ防止突起12a2を下向きとし左右方向他方を上向きにしても良く、また、第3電極シート13の集電極層13aの左右方向一方の位置ずれ防止突起13a2を下向きとし左右方向他方を上向きにして下向きの位置ずれ防止突起13a2を対向する集電極層13aに食い込ませるようにしても良い。
【0069】
[第2実施形態]
図17〜図30は本発明をリチウムイオンキャパシタに適用した実施形態を示す。このリチウムイオンキャパシタは、蓄電素子40と、該蓄電素子40に接続された一対のリード20と、該一対のリード20の一部が露出するように蓄電素子10を封入したパッケージ50と、を備えている。
【0070】
尚、以下の説明では、説明の便宜上、図17(A)の手前、奥、右、左、下、及び上をそれぞれ上、下、前、後、左、及び右と称すると共に、他の図のこれらに相当する向きをそれぞれ上、下、前、後、左、及び右と称する。また、リード20及びシール補強材21の構成は第1実施形態で述べたものを同じであるため、同一符号を用いて説明する。
【0071】
先ず、図18〜図25を引用して、蓄電素子40の構成並びに作成方法について説明する。
【0072】
蓄電素子40の作成に際しては、図18(A)及び図18(B)に示す第1電極シート41と、図19(A)及び図19(B)に示す第2電極シート42と、図20(A)及び図20(B)に示すセパレートシート43と、を用意する。
【0073】
第1電極シート41は、図18(A)及び図18(B)に示すように、所定の前後寸法L41及び左右寸法W41を有する長方形状の集電極層41aと、該集電極層41aの上面の前後方向の両端部分を除く領域に塗工等の手法によって形成された分極性電極層41bを有する。この分極性電極層41bの前後寸法L41bは前記前後寸法L41よりも僅かに小さい。集電極層41aは銅等の導電材から成り、その厚さは5〜50μmである。分極性電極層41bはグラファイト等のリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質から成り、その厚さは50〜100μmである。また、集電極層41aの前後方向両端の右側には、長方形状のリード接続部41a1が、該集電極層41aと同じ厚さで一体に設けられている。
【0074】
第2電極シート42は、図19(A)及び図19(B)に示すように、前記前後寸法L41bよりも僅かに小さい前後寸法L42と前記左右寸法W41よりも僅かに小さい左右寸法W42とを有する長方形状の集電極層42aと、該集電極層42aの下面全域に塗工等の手法によって形成された分極性電極層42bを有する。因みに、集電極層42aの前後寸法L42と前記前後寸法L41bとの差と、左右寸法W42と前記左右寸法W41との差は、実寸において0.3〜2.0mm程度である。集電極層42aはアルミニウム等の導電材から成り、その厚さは5〜100μmである。分極性電極層42bは活性炭等のリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質から成り、その厚さは5〜200μmである。また、集電極層42aの前後方向両端の左側には、前記リード接続部41a1よりも左右寸法(幅)が狭く、且つ、前後寸法が大きい長方形状のリード接続部42a1が、該集電極層42aと同じ厚さで一体に設けられている。前側のリード接続部42a1の前端と後側のリード接続部42a1の後端との距離は、前記第1電極シート41における前側のリード接続部41a1の前端と後側のリード接続部41a1の後端との距離と同じである。
【0075】
つまり、第1電極シート41の集電極層41a(リード接続部41a1を除く)の上面視形状は、第2電極シート42の集電極層42a(リード接続部42a1を除く)の上面視形状よりも大きい。また、第1電極シート41の分極性電極層41bの上面視形状は、第2電極シート42の分極性電極層42bの下面視形状よりも大きい。
【0076】
さらに、第1電極シート41の集電極層41a(リード接続部41a1を含む)と分極性電極層41bは、図18(A)に示した前後方向中央の基準線VSLを境として線対称形を成している。第2電極シート42の集電極層42a(リード接続部42a1を含む)と分極性電極層42bは、図19(A)示した前後方向中央の基準線VSLを境として線対称形を成している。
【0077】
セパレートシート43は、図20(A)及び図20(B)に示すように、前記前後寸法L41よりも僅かに大きな前後寸法L43と前記左右寸法W41よりも僅かに大きな左右寸法W43とを有する長方形状を成す。セパレートシート43はセルロース系シートやプラスチック系シート等のイオン透過シートから成り、その厚さは10〜50μm前後である。
【0078】
先に述べた第1電極シート41、第2電極シート42及びセパレートシート43のそれぞれは、図21(A)〜図21(C)に示すように、材料シートBS11〜BS13を仮想線PL11〜PL13に沿って切断してその内側部分を抜き取る方法によって簡単に得ることができる。図から分かるように、第1電極シート41用の材料シートBS11は帯状集電極層の上面に帯状分極性電極層が形成されたものであり、第2電極シート42用の材料シートBS12は帯状集電極層の上面に帯状分極性電極層が形成されたものである。
【0079】
蓄電素子40(図24(A)及び図17(A)を参照)を作成するときには、図22(A)及び図22(B)に示すように、先に用意された第1電極シート41、第2電極シート42及びセパレートシート43を、下からの順序が、第1電極シート41、セパレートシート43、第2電極シート42となるように積み重ねる。
【0080】
この積み重ね時には、第1電極シート41の分極性電極層41bの外縁が第2電極シート42の分極性電極層42bの外縁よりも外側に突出するようにすると共に、セパレートシート43の外縁が第1電極シート41の集電極層41aの外縁から外側に突出するようにする。また、第1電極シート41及び第2電極シート42の各リード接続部41a1及び42a1のセパレートシート43からの突出長さが同じになるようにする。
【0081】
これにより、第1電極シート41の分極性電極層41bと第2電極シート42の分極性電極層42bがセパレートシート43に密着した積み重ね物(符号無し)が得られる。
【0082】
続いて、図23(A)及び図23(B)に示すように、図22(A)に示した積み重ね物の前後方向中央よりも左側部分を同図の基準線VSLに沿って上側に折り曲げ、該左側部分を右側部分に重ね合わせる。
【0083】
この重ね合わせ時には、第1電極シート41の各リード接続部41a1の外縁が重ね合わせ方向で一致するようにすると共に、第2電極シート42の各リード接続部42a1の外縁が重ね合わせ方向で一致するようにする。
【0084】
これにより、第1電極シート41、第2電極シート42及びセパレートシート43が基準線VSLを境として約180度の角度で2つ折りされていて、第1電極シート11の各リード接続部11a1が向き合い、且つ、第2電極シート12の各リード接続部12a1が向き合った形態を有する折り曲げ物(符号無し)が得られる。
【0085】
続いて、図24(A)〜図24(C)に示すように、図23(A)示した折り曲げ物にあって、互いに向き合う第1電極シート41の各リード接続部41a1を重ね合わせ、その左右方向両側の2箇所をセパレートシート43を介在させたままスポット溶接や超音波溶接やカシメ等の手法によって直接的に接合して、各リード接続部41a1を相互結合する(接合箇所WP11を参照)。また、各リード接続部41a1と非接触位置において互いに向き合う第2電極シート42の各リード接続部42a1を重ね合わせ、その左右方向両側の2箇所をセパレートシート43を介在させたままスポット溶接や超音波溶接やカシメ等の手法によって直接的に接合して、各リード接続部42a1を相互結合する(接合箇所WP11を参照)。
【0086】
続いて、図24(A)に示すように、第1電極シート41の集電極層41aの上面に、リチウムドープ用のリチウムシート44を圧着等の手法によって貼り付ける。
【0087】
これにより、第1電極シート41、第2電極シート42及びセパレートシート43が基準線VSLを境として約180度の角度で2つ折りされていて、第1電極シート41の各リード接続部41a1が相互結合され、且つ、第2電極シート12の各リード接続部12a1が相互結合された形態を有する蓄電素子40が得られる。
【0088】
ところで、図18〜図24(図25も同様)にあっては、図示の便宜上、第1電極シート41の集電極層41a及び分極性電極層41bの厚さと、第2電極シート42の集電極層42a及び各分極性電極層42bの厚さと、セパレートシート43の厚さを、それぞれ実際のものよりも厚く示した関係から、図22(B)、図23(B)、図24(B)及び図24(C)の上下寸法(全体厚さ)も実際のものよりも厚くなっている。
【0089】
しかしながら、第1電極シート41の集電極層41a及び分極性電極層41bの厚さと、第2電極シート42の集電極層42a及び分極性電極層42bの厚さと、セパレートシート43の厚さは5〜200μmの範囲内にあるため、例えば各層全ての平均値を60μmと仮定した場合でも、実際上の図22(B)の上下寸法(全体厚さ)は300μmとなり、図23(B)、図24(B)及び図24(C)の上下寸法(全体厚さ)は600μmとなる。
【0090】
要するに、図24(A)に示した蓄電素子40の実際上の上下寸法(全体厚さ)は1000μmにも満たないため、図24(B)に示した折り曲げ形態にあっては、折り曲げ箇所の外面曲率半径は図示したものよりもかなり小さく、折り曲げたときに各リード接続部41a1及び42a1に前後方向の位置ずれも殆ど生じない。また、積み重ね物を折り曲げるときに、各集電極層41a及び42aから各分極性電極層41及び42bが剥離することも無いし、各分極性電極層41b及び42bとセパレートシート43との密着が解かれることも無い。さらに、各集電極層41a及び42aと各分極性電極層41b及び42bとセパレートシート43は折り曲げを許容する可撓性を有するため、これらが折り曲げ箇所で割れることも無い。
【0091】
また、図24(B)にあっては、図示の便宜上、折り曲げ形態における各リード接続部41a1の結合と各リード接続部42a1の結合とを説明するために、一部のリード接続部を引き延ばして示してあるが、先の説明から理解できるように、実際上はこのような引き延ばし無しにリード接続部の結合を行える。
【0092】
次に、図25を引用して、リード20の構成及び蓄電素子40への接続方法について説明する。
【0093】
リード20を蓄電素子40に接続するに際しては、図25(A)及び図25(B)に示すリード20を用意する。このリード20は、アルミニウムや白金や銅等の導電材から短冊状に形成されており、その厚さは50〜100μmである。因みに、リード20の端部表面には、該リード20の電極パッド等への接続を容易とするための金属膜を電解メッキ等の手法によって形成しておいても良い。また、リード20の表面の後記パッケージシート51のシール領域51cの前側部分に対応する箇所には、後記シール層LA3と同じ材料から成るシール補強材21が該箇所を囲むように設けられている。このシール補強材21は、リード20を2枚のシート状物で挟み込む方法や、リード20を1枚のシート状物で囲む方法や、リード20の表面に液状物を塗布する方法等によって形成されている。
【0094】
続いて、図25(A)及び図25(B)に示すように、先に結合された各リード接続部41a1のセパレートシート43から突出する部分の上に一方のリード20の一端を置き、該一端をスポット溶接や超音波溶接やカシメ等の手法によって直接的に接合して、先に結合された各リード接続部41a1にリード20を結合する(接合箇所WP12を参照)。また、先に結合された各リード接続部42a1のセパレートシート43から突出した部分の上に他方のリード20の一端を置き、該一端をスポット溶接や超音波溶接やカシメ等の手法によって直接的に接合して、先に結合された各リード接続部42a1にリード20を結合する(接合箇所WP12を参照)。
【0095】
次に、図26〜図30を引用して、パッケージ50の構成及び作成方法について説明する。
【0096】
パッケージ50の作成に際しては、図26(A)〜図26(C)に示すパッケージシート51を用意する。このパッケージシート51は、図26(C)に示すように、保護層LA1、バリア層LA2及びシール層LA3が順にラミネートされた3層のラミネートフィルムから成る。保護層LA1はナイロンやポリエチレンフタレート等の耐熱性プラスチックから成り、その厚さは10〜50μmである。バリア層LA2はアルミニウム等の金属或いは金属酸化物から成り、その厚さは10〜50μmである。シール層LA3はポリプロピレンや変性ポリプロピレン等の熱可塑性プラスチックから成り、その厚さは30〜50μmである。
【0097】
このパッケージシート51は、図26(A)及び図26(B)に示すように、所定の前後寸法L51及び左右寸法W51を有する長方形状を成し、前後方向中央よりも右側部分に直方体形状の張出部51aを有し、その内側に相似形状の凹部51bを有する。凹部51bの深さは前記蓄電素子40の上下寸法(全体厚さ)よりも僅かに大きく、その上面視輪郭は該蓄電素子40の上面視輪郭よりも僅かに大きい。パッケージシート51の前後方向中央よりも右側部分において凹部51bが存しない部分はシール領域51cであり、該パッケージシート51にあってはその上面側にシール層LA3が位置する。
【0098】
パッケージ50(図17(A)〜図17(C)を参照)を作成するときには、図27に示すように、図25(A)に示したリード20付き蓄電素子40の蓄電素子40を凹部51b内に挿入すると共に、各リード20のシール補強材21をシール領域51cの前側部分の上に置く。各シール補強材21の前後寸法はシール領域51cの前側部分の前後寸法よりも多少大きく形成されているため、蓄電素子40を凹部51b内に挿入するときには、各シール補強材21の前端がシール領域51cの前側部分の前端よりも僅かに外側に突出するようにする。
【0099】
続いて、図28に示すように、図27に示したパッケージシート51の前後方向中央よりも左側部分を同図の基準線VSLに沿って上側に折り曲げ、該左側部分を右側部分に重ね合わせる。
【0100】
これにより、パッケージシート51の左側部分のシール層LA3が右側部分のシール領域51cのシール層LA3と向き合った形態を有するパッケージ中間品(符号無し)が得られる。
【0101】
続いて、図29に示すように、図28に示したパッケージ中間品を上下反転させてからその右側部分に熱を加えて互いに向き合うシール層LA3をヒートシールすると共に、該前側部分に熱を加えて互いに向き合うシール層LA3を各シール補強材21を挟んでヒートシールする(ヒートシール箇所HSを参照)。
【0102】
続いて、図30に示すように、図29に示したパッケージ中間品のヒートシールされていない左側部分を通じ、適当な注入器具を用いて電解液ES(例えば、プロピレンカーボネイト(溶媒)に六弗化リン酸リチウム(溶質)を加えたもの)を凹部51b内に注入する。そして、注入後にシール領域51cの左側部分に熱を加えて互いに向き合うシール層LA3をヒートシールする(ヒートシール箇所HSを参照)。
【0103】
これにより、蓄電素子40が電解液ESと共にパッケージ50内に封入された構造を備えるリチウムイオンキャパシタ(図17(A)〜図17(C)を参照)が得られる。
【0104】
ところで、パッケージシート51のシール層LA3はそれ自体の厚さがさほど大きいものではないため、パッケージ中間品の前側部分をヒートシールするときの溶融状態如何では、リード20とバリア層LA2とが接触してしまう恐れがある。
【0105】
しかしながら、パッケージ中間品の前側部分を各シール補強材21を挟んでヒートシールすれば、各シール補強材21の厚さ分だけシール層LA3の実質的厚さを増加できるため、ヒートシールするときに各リード20とバリア層LA2とが接触することを確実に回避できる。
【0106】
前述のリチウムイオンキャパシタの蓄電素子40は、図22(A)に示した積み重ね物を基準線VSLに沿って折り曲げて重ねあわせた形態(図24(B)を参照)を有していて、第1電極シート41の集電極層41a及び分極性電極層41bと、第2電極シート42の集電極層42a及び分極性電極層42bと、セパレートシート43は、それぞれ折り曲げ箇所を通じて連続している。そのため、従前の蓄電素子と断面上の層構造は同じであっても、各分極性電極層41b及び42bにおけるエッジ領域を従前の蓄電素子に比べて減らすことができる。
【0107】
要するに、従前の蓄電素子にあっては該蓄電素子に電圧を印加したときに各分極性電極層のエッジにおける電気力線密度が高くなることを原因として損傷等のダメージが生じ易く、該該ダメージを原因として蓄電素子全体としての耐電圧特性が低下したり寿命が低下する等の不具合を生じる恐れがある。しかしながら、前記蓄電素子40にあっては各分極性電極層41b及び42bにおけるエッジ領域を従前の蓄電素子に比べて減らすことができるため、前記ダメージが生じることを効果的に抑制し、該ダメージを原因として蓄電素子40全体としての耐電圧特性が低下したり寿命が低下したりする等の不具合を生じることを確実に抑制することができる。
【0108】
また、前述のリチウムイオンキャパシタの蓄電素子40は、集電極層、分極性電極層、セパレートシート、分極性電極層及び集電極層によって1つの充放電セルが構成されていると考えた場合、図24(C)に示した層構造からすれば該蓄電素子40は2つの充放電セルを有するようにも見える。しかしながら、蓄電素子40は図24(B)に示した折り曲げ形態を有していて、第1電極シート41の集電極層41a及び分極性電極層41bと、第2電極シート42の集電極層42a及び各分極性電極層42bと、セパレートシート43は、それぞれ折り曲げ箇所を通じて連続しているため、蓄電素子40は1対のリード20に対して1つの充放電セルが電気的に接続された等価回路で表すことができる。
【0109】
要するに、従前の蓄電素子と断面上の層構造は同じであっても充放電セルの数を1/2に減らすことができるので、充放電セルの数を減らして充放電特性のバラツキ範囲を制限することができる。依って、充放電特性のバラツキによる弊害、具体的には充放電特性が良好な充放電セルに充放電が偏って該充放電セルに物理化学的ダメージが蓄積し、該ダメージによって蓄電素子全体としての充放電特性が低下したり寿命が低下したりする等の不具合を生じることを確実に抑制することができる。
【0110】
さらに、前述のリチウムイオンキャパシタの蓄電素子40は、図24(B)に示した折り曲げ形態を有することに加え、第1電極シート41の各リード接続部41a1をセパレートシート43を介して相互結合され、第2電極シート42の各リード接続部42a1がセパレートシート43を介して相互結合されている。
【0111】
つまり、蓄電素子40の最も外側に位置する第1電極シート41の分極性電極層41bはその内側のセパレートシート43に密着し、該セパレートシート43は第2電極シート42の分極性電極層42bに密着していることも相俟って、第1電極シート41の各リード接続部41a1をセパレートシート43を介して相互結合し、且つ、第2電極シート42の各リード接続部42a1をセパレートシート43を介して相互結合することによって、該蓄電素子40を構成する第1電極シート41、第2電極シート42及びセパレートシート43の前後方向及び左右方向の相対位置を的確に定めることができる。
【0112】
要するに、蓄電素子40を構成する第1電極シート41、第2電極シート42及びセパレートシート43は相互に位置ずれが生じ難くなっているため、リチウムイオンキャパシタを製造する過程や、製造後のリチウムイオンキャパシタを使用する過程等において、前記位置ずれを原因として蓄電素子40の形が崩れたりその充放電特性が劣化することを確実に抑制することができる。
【0113】
尚、図示を省略したが、図16(A)及び図16(B)に示した位置ずれ防止突起11a2、12a2及び13a2と同様の位置ずれ防止突起を第1電極シート31の集電極層31aの外縁と第2電極シート42の集電極層42aの外縁の両方、或いは、第1電極シート31の集電極層31aの外縁のみに設ければ、第1電極シート41、第2電極シート42及びセパレートシート43の相互位置ずれをより確実に防止することができるので、リチウムイオンキャパシタを製造する過程や、製造後のリチウムイオンキャパシタを使用する過程等において、前記位置ずれを原因として蓄電素子の形が崩れたりその充放電特性が劣化することをより確実に防止することができる。
【0114】
[他の実施形態]
(1)第1実施形態では、第1電極シート11、セパレートシート14、第2電極シート12、セパレートシート14、第3電極シート13の順に重ね合わせて得た積層体を折り曲げて重ね合わせることで蓄電素子10を構成したものを示し、第2実施形態では、第1電極シート41、セパレートシート43、第2電極シート42の順に重ね合わせて得た積層体を折り曲げて重ね合わせることで蓄電素子10を構成したものを示したが、折り曲げる前の積層体のシート数は第1実施形態に示した積層体(図7(B)を参照)よりも増加しても良い。
【0115】
例えば、第1電極シート11、セパレートシート14、第2電極シート12、セパレートシート14、第2電極シート12のリード接続部12a1の位置を第1電極シート11のリード接続部11a1の位置に変更した電極シート、セパレートシート14、第3電極シート13のリード接続部13a1の位置を第2電極シート12のリード接続部12a1の位置に変更した電極シートの順に重ね合わせたものを折り曲げて重ね合わせれば、充放電セルが3つの蓄電素子を構成することができ、且つ、前記同様の作用、効果を得ることができる。
【0116】
(2)本発明を電気二重層キャパシタに適用したものを第1実施形態として示し、本発明をリチウムイオンキャパシタに適用したものを第2実施形態として示したが、略同構造の蓄電素子を有する他の電気化学デバイス、例えばレドックスキャパシタやリチウムイオン電池等にも本発明は適用可能で、該適用により前記同様の作用及び効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0117】
10,10-1,10-2…蓄電素子、11…第1電極シート、11a…集電極層、11a1…リード接続部、11a2…位置ずれ防止突起、11b…分極性電極層、12…第2電極シート、12a…集電極層、12a1…リード接続部、12a2…位置ずれ防止突起、12b…分極性電極層、13…第3電極シート、13a…集電極層、13a1…リード接続部、13a2…位置ずれ防止突起、13b…分極性電極層、14…セパレートシート、WP1…接合箇所、20…リード、21…シール補強材、WP2…接合箇所、31…パッケージシート、31a…張出部、31b…凹部、31c…シール領域、31d…折り曲げ部分、HS…ヒートシール箇所、ES…電解液、40…蓄電素子、41…第1電極シート、41a…集電極層、41a1…リード接続部、41b…分極性電極層、42…第2電極シート、42a…集電極層、42a1…リード接続部、42b…分極性電極層、43…セパレートシート、WP11…接合箇所、WP12…接合箇所、51…パッケージシート、51a…張出部、51b…凹部、51c…シール領域。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子をパッケージ内に封入した構造を備える電気化学デバイスであって、
前記蓄電素子は、集電極層と該集電極層の少なくとも一面に形成された分極性電極層を有する2以上の電極シートが分極性電極層間にセパレートシートを介在して積み重ねられた物を基準線に沿って折り曲げて重ね合わせた形態を有し、該形態にあって各電極シートの集電極層及び分極性電極層とセパレートシートはそれぞれ折り曲げ箇所を通じて連続しており、
前記2以上の電極シートのうち、一方極性として用いられる電極シートの集電極層の両端には前記形態において互いに向き合うリード接続部が設けられていて、且つ、該リード接続部は前記セパレートシートを介して相互に結合され、他方極性として用いられる電極シートの集電極層の両端には前記形態において前記電極シートのリード接続部と非接触位置で互いに向き合うリード接続部が設けられていて、且つ、該リード接続部は前記セパレートシートを介して相互に結合されている、
ことを特徴とする電気化学デバイス。
【請求項2】
前記積み重ねられた物は、集電極層と該集電極層の一面に形成された分極性電極層を有する第1電極シートと、集電極層と該集電極層の両面に形成された分極性電極層を有する第2電極シートと、集電極層と該集電極層の他面に形成された分極性電極層を有する第3電極シートと、2枚のセパレートシートとを備えており、
前記2枚のセパレートシートの一方のセパレートシートは前記第1電極シートの分極性電極層と前記第2電極シートの一方の分極性電極層との間に介在し、他方のセパレートシートは前記第2電極シートの他方の分極性電極層と前記第3電極シートの分極性電極層との間に介在する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学デバイス。
【請求項3】
前記積み重ねられた物は、集電極層と該集電極層の一面に形成された分極性電極層を有する第1電極シートと、集電極層と該集電極層の他面に形成された分極性電極層を有する第2電極シートと、セパレートシートとを備えており、
前記セパレートシートは前記第1電極シートの分極性電極層と前記第2電極シートの分極性電極層との間に介在する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学デバイス。
【請求項1】
蓄電素子をパッケージ内に封入した構造を備える電気化学デバイスであって、
前記蓄電素子は、集電極層と該集電極層の少なくとも一面に形成された分極性電極層を有する2以上の電極シートが分極性電極層間にセパレートシートを介在して積み重ねられた物を基準線に沿って折り曲げて重ね合わせた形態を有し、該形態にあって各電極シートの集電極層及び分極性電極層とセパレートシートはそれぞれ折り曲げ箇所を通じて連続しており、
前記2以上の電極シートのうち、一方極性として用いられる電極シートの集電極層の両端には前記形態において互いに向き合うリード接続部が設けられていて、且つ、該リード接続部は前記セパレートシートを介して相互に結合され、他方極性として用いられる電極シートの集電極層の両端には前記形態において前記電極シートのリード接続部と非接触位置で互いに向き合うリード接続部が設けられていて、且つ、該リード接続部は前記セパレートシートを介して相互に結合されている、
ことを特徴とする電気化学デバイス。
【請求項2】
前記積み重ねられた物は、集電極層と該集電極層の一面に形成された分極性電極層を有する第1電極シートと、集電極層と該集電極層の両面に形成された分極性電極層を有する第2電極シートと、集電極層と該集電極層の他面に形成された分極性電極層を有する第3電極シートと、2枚のセパレートシートとを備えており、
前記2枚のセパレートシートの一方のセパレートシートは前記第1電極シートの分極性電極層と前記第2電極シートの一方の分極性電極層との間に介在し、他方のセパレートシートは前記第2電極シートの他方の分極性電極層と前記第3電極シートの分極性電極層との間に介在する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学デバイス。
【請求項3】
前記積み重ねられた物は、集電極層と該集電極層の一面に形成された分極性電極層を有する第1電極シートと、集電極層と該集電極層の他面に形成された分極性電極層を有する第2電極シートと、セパレートシートとを備えており、
前記セパレートシートは前記第1電極シートの分極性電極層と前記第2電極シートの分極性電極層との間に介在する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図18】
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【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2012−182468(P2012−182468A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−95311(P2012−95311)
【出願日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【分割の表示】特願2010−75347(P2010−75347)の分割
【原出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【分割の表示】特願2010−75347(P2010−75347)の分割
【原出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
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