説明

電気機器の電源制御システム及び洗濯機

【課題】より簡単な構成及び制御によって待機電力をゼロにできる電気機器の電源制御システムを提供する。
【解決手段】実施形態の電気機器の電源制御システムによれば、交流電源と、この交流電源を整流回路により整流すると共に平滑コンデンサにより平滑して直流電源を生成する直流電源回路と、前記直流電源が供給されるインバータ回路と、前記交流電源と前記直流電源回路との間に配置され、駆動電流が供給されることでオンするリレーと、前記駆動電流の供給を制御すると共に、前記インバータ回路を制御する制御回路と、前記直流電源を降圧して前記制御回路に供給する制御電源を生成する制御電源回路と、前記電気機器の動作電源をオフさせるため、前記制御回路に電源オフ信号を入力するための電源オフスイッチと、前記平滑コンデンサの残留電荷を放電させる放電手段とを備え、前記制御回路は、前記電源オフ信号が入力されると、前記リレーをオフさせてから前記放電手段を介して前記平滑コンデンサの残留電荷を放電させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気機器に搭載され、電源のオフシーケンスを制御する電源制御システム及び前記システムを備える洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器である例えば洗濯機では、電源回路が待機電力をゼロにするように構成されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−23479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、洗濯機の電源がオフされた時点から、僅かな時間が経過した後に再度電源が投入された場合のオンシーケンスを確実に実行するため、交流電源の周期を検出して制御回路が前記周期を監視する必要があり、構成並びに制御が複雑になることが問題となる。
【0005】
そこで、より簡単な構成及び制御によって待機電力をゼロにできる電気機器の電源制御システム及び前記システムを備えた洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の電気機器の電源制御システムは、本体電源のオフシーケンスを制御するもので、交流電源と、この交流電源を整流回路により整流すると共に平滑コンデンサにより平滑して直流電源を生成する直流電源回路と、前記直流電源が供給されるインバータ回路と、前記交流電源と前記直流電源回路との間に配置され、駆動電流が供給されることでオンするリレーと、前記駆動電流の供給を制御すると共に、前記インバータ回路を制御する制御回路と、前記直流電源を降圧して前記制御回路に供給する制御電源を生成する制御電源回路と、前記電気機器の動作電源をオフさせるため、前記制御回路に電源オフ信号を入力するための電源オフスイッチと、前記平滑コンデンサの残留電荷を放電させる放電手段とを備え、前記制御回路は、前記電源オフ信号が入力されると、前記リレーをオフさせてから、前記放電手段を介して前記平滑コンデンサの残留電荷を放電させる。
また、実施形態の洗濯機は、実施形態の電気機器の電源制御システムを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1実施形態であり、洗濯乾燥機の電源のオンオフシーケンスを示すフローチャート
【図2】電源オンシーケンスを示すタイミングチャート
【図3】電源オフシーケンスを示すタイミングチャート
【図4A】ドラムモータ及びコンプレッサモータの駆動系を概略的に示す図(その1)
【図4B】ドラムモータ及びコンプレッサモータの駆動系を概略的に示す図(その2)
【図5】洗濯乾燥機の縦断側面図
【図6】ヒートポンプの構成を示す図
【図7】第2実施形態を示す図4A相当図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、ヒートポンプ式洗濯乾燥機(ランドリー機器,電気機器)の第1実施形態につき、図1ないし図6を参照して説明する。洗濯乾燥機の縦断側面図である図5において、外箱1の内部には、水槽2が複数の支持装置3により弾性支持されて水平状態に配設されている。この水槽2の内部には、これと同軸状態で回転ドラム4が回転可能に配設されている。この回転ドラム4は、周側壁及び後壁に通風孔を兼ねる脱水孔4a(一部のみ図示)を多数有していて、洗濯槽、脱水槽及び乾燥室としても機能する。なお、回転ドラム4の内周面には、複数のバッフル4b(1個のみ図示)が設けられている。
【0009】
上記外箱1、水槽2及び回転ドラム4において、いずれも前面部(図中、右側部)には、洗濯物出し入れ用の開口部5、6及び7をそれぞれ有しており、開口部5と開口部6とは、弾性変形可能なベロー8によって水密に連通接続されている。また、外箱1の開口部5には、これを開閉する扉9が設けられている。また、前記回転ドラム4は、背面部に回転軸10を有しており、この回転軸10は、軸受(図示せず)に支持されて、水槽2の背面部の外側に取付けられた運転用モータとしてのアウタロータ型の三相ブラシレスDCモータからなるドラムモータ(洗い・脱水モータ)11により回転駆動される。
【0010】
外箱1の底板1aには、複数の支持部材12を介してケーシング13が支持されており、そのケーシング13の右端部上部及び左端部上部には、吐出口13a及び吸入口13bがそれぞれ形成されている。また、底板1aには、ヒートポンプ(冷凍サイクル)14のコンプレッサ15が設置されている。更に、ケーシング13内には、ヒートポンプ14の凝縮器16及び蒸発器17が右側から左側に向け順に設置されているとともに、右端部に位置して送風ファン18が配設されている。図4には、各部を冷媒循環用のパイプ80で接続したヒートポンプ14の構成を示しており、この図では、冷媒の流量を調整する調整弁81も示している。なお、ケーシング13における蒸発器17の下方に位置する部位には、皿状の水受け部13cが形成されている。
【0011】
水槽2において、前面部の上部には、吸気口19が形成され、背面部下部には、排気口20が形成されている。吸気口19は、直線状ダクト21及び伸縮自在な連結ダクト22を介してケーシング13の吐出口13aに接続されている。また、排気口20は、環状ダクト23及び伸縮自在の連結ダクト24を介してケーシング13の吸入口13bに接続されている。環状ダクト23は、水槽2の背面部の外側に取付けられており、ドラムモータ11と同心円状をなすように形成されている。すなわち、環状ダクト23の入口側が排気口20に接続され、出口側が連結ダクト24を介して吸入口13bに接続されている。そして、上記ケーシング13、連結ダクト22、直線状ダクト21、吸気口19、排気口20、環状ダクト23及び連結ダクト14は、空気循環経路25を構成する。
【0012】
外箱1内において、その後方上部には、三方弁からなる給水弁26が配設され、また、前方上部には、洗剤投入器26aが配設されている。給水弁26は、その入水口が給水ホースを介して水道の蛇口に接続され、第1の出水口が洗い用給水ホース26bを介して洗剤投入器26aの上段の入水口に接続され、第2の出水口がすすぎ用給水ホース26cを介して洗剤投入器26aの下段の入水口に接続されるように構成されている。そして、洗剤投入器26aの出水口は、水槽2の上部に形成された給水口2aに給水ホース26dを介して接続されている。
【0013】
水槽2の底部の後方の部位には、排水口2bが形成されており、この排水口2bは、排水弁27aを介して排水ホース27に接続されている。なお、排水ホース27の一部は伸縮自在になっている。そして、ケーシング13の水受け部13cは、排水ホース28及び逆止弁28aを介して排水ホース27の途中部位に接続されている。
【0014】
外箱1の前面上部には操作パネル部29が設けられており、この操作パネル部29には、図示はしないが、表示器及び各種の操作スイッチが設けられている。また、前記操作パネル部29の裏面には、制御回路(制御手段,電流検出手段,放電手段)30が設けられている。制御回路30は、マイクロコンピュータで構成されており、操作パネル部29の操作スイッチの操作に応じて給水弁26、ドラムモータ11及び排水弁27aを制御し、洗い、すすぎ及び脱水の洗濯運転や、ドラムモータ11及びコンプレッサ15を駆動する三相ブラシレスDCモータからなるコンプレッサモータ31(図4参照)を制御することで乾燥運転を実行する。
【0015】
図4は、ドラムモータ11及びコンプレッサモータ31の駆動系を概略的に示すものである。インバータ回路(放電手段)32は、6個のIGBT(半導体スイッチング素子)33a〜33fを三相ブリッジ接続して構成されており、各IGBT33a〜33fのコレクタ−エミッタ間には、フライホイールダイオード34a〜34fが接続されている。
【0016】
下アーム側のIGBT33d、33e、33fのエミッタは、シャント抵抗(電流検出手段)35u、35v、35wを介してグランドに接続されている。また、IGBT33d、33e、33fのエミッタとシャント抵抗35u、35v、35wとの共通接続点は、夫々レベルシフト回路36を介して制御回路30に接続されている。シャント抵抗35の抵抗値は例えば33mΩ〜100mΩ程度に設定されている。
レベルシフト回路36はオペアンプなどを含んで構成され、シャント抵抗35u〜35wの端子電圧を増幅すると共にその増幅信号の出力範囲が正側に収まるように(例えば、0〜+5V)バイアスを与える。また、過電流比較回路38は、インバータ回路32の上下アームが短絡した場合、回路の破壊を防止するために過電流検出を行なう。
【0017】
インバータ回路32の入力側には駆動用電源回路39(直流電源回路)が接続されている。駆動用電源回路39は、100Vの交流電源40を、ダイオードブリッジで構成される全波整流回路41及び直列接続された2個のコンデンサ42a、42bにより倍電圧全波整流し、約280Vの直流電圧をインバータ回路32に供給する。インバータ回路32の各相出力端子は、ドラムモータ11の各相巻線11u、11v、11wに接続されている。
【0018】
尚、交流電源40と駆動用電源回路39とを接続する配線の一方側には、リアクトル72が挿入されており、他方側には電源オンスイッチ(モーメンタリスイッチ)73及び電源リレー74の並列回路が挿入されている。また、制御回路30には、電源オフスイッチ(モーメンタリスイッチ)75のオン操作信号が入力されている。電源リレー74の励磁コイル74Lには、制御回路30が通電を行うことでリレー接点74Tの開閉を制御する。例えば電源オフスイッチ75のオン操作信号は、常にはプルアップされているハイレベルがオン操作によりローベルに変化することで与えられる。
【0019】
制御回路30は、レベルシフト回路36を介して得られるモータ11の巻線11u〜11wに流れる電流Iau〜Iawを検出し、その電流値に基づいて2次側の回転磁界の位相θ及び回転角速度ωを推定すると共に、三相電流を直交座標変換及びdq(direct−quadrature) 座標変換して励磁電流成分Id、トルク電流成分Iqを得る。
【0020】
そして、制御回路30は外部より速度指令が与えられると、推定した位相θ及び回転角速度ω並びに電流成分Id、Iqに基づいて電流指令Idref 、Iqref を生成し、それを電圧指令Vd、Vqに変換すると直交座標変換及び三相座標変換を行なう。最終的には、駆動信号がPWM信号として生成され、インバータ回路32を介してモータ11の巻線11u〜11wに出力される。
【0021】
第1電源回路43は、インバータ回路32に供給される約280Vの駆動用電源を降圧して15V電源を生成して制御回路30及び駆動回路44並びに後述する駆動回路51に供給する。また、第2電源回路45(制御電源回路)は、上記駆動用電源を降圧してVの制御用電源を生成し、制御回路30に供給する三端子レギュレータである。高圧ドライバ回路46は、インバータ回路32における上アーム側のIGBT33a〜33cを駆動するために配置されている。
【0022】
また、モータ11のロータには、起動時に使用するための回転位置センサ82が配置されており、回転位置センサ82が出力するロータの位置信号は、制御回路30に与えられている。すなわち、モータ11の起動時において、ロータ位置の推定が可能となる回転速度(例えば、約30rpm)までは、回転位置センサ82を使用してベクトル制御を行い、上記回転速度に達した以降は、回転位置センサ82を使用しないセンサレスベクトル制御に切り替える。
【0023】
そして、コンプレッサモータ31については、ドラムモータ11の駆動系と対称な構成が配置されている。即ち、コンプレッサモータ31は、インバータ回路47によって駆動され、その下アーム側にはシャント抵抗(電流検出手段)48u〜48wが挿入されている。それらのシャント抵抗48u〜48wの端子電圧は、レベルシフト回路49を介して制御回路30に与えられ、また、過電流比較回路50によって過電流検出のための比較が行なわれる。制御回路30は、駆動回路51及び高圧ドライバ回路52を介してインバータ回路47を駆動する。尚、シャント抵抗48の抵抗値は例えば33mΩ程度に設定されている。
【0024】
また、図4において、破線で囲んでいるインバータ回路32,駆動回路44及び高圧ドライバ回路46はドラムモータパワーモジュール61を構成しており、インバータ回路47,駆動回路51及び高圧ドライバ回路52はコンプレッサパワーモジュール62を構成している。そして、循環ポンプパワーモジュール63,循環ファンパワーモジュール64は、それぞれ図示しない循環ポンプ,循環ファンを駆動するもので、内蔵されている回路は、パワーモジュール61及び62と同様である。循環ポンプは、洗濯運転時において、回転ドラム4内の洗濯物に洗浄水を振りかけるため、与えられる駆動指令に応じて洗浄水を汲み上げるポンプであり、循環ファンは、乾燥運転時において、回転ドラム4内に送風を行うファンである。
【0025】
制御回路30と、循環ポンプパワーモジュール63,循環ファンパワーモジュール64との間は、それぞれに内蔵されるインバータ回路を制御するために共通化された6本の制御信号線を介して接続されている。制御回路30と循環ポンプパワーモジュール63との間は抵抗素子65a〜65fが挿入されており、制御回路30と循環ファンパワーモジュール64との間は抵抗素子66a〜66fが挿入されている。
【0026】
そして、循環ポンプパワーモジュール63の6本の入力端子は、NPNトランジスタ67のコレクタに共通に接続されており、循環ファンパワーモジュール64の6本の入力端子は、NPNトランジスタ68のコレクタに共通に接続されている。NPNトランジスタ67,68のベースには、制御回路30により個別に制御信号が与えられ、それぞれのエミッタはグランドに接続されている。
【0027】
循環ポンプパワーモジュール63,循環ファンパワーモジュール64に内蔵されるインバータ回路の各相下アーム側にはシャント抵抗(電流検出手段)69u〜69wが挿入されている。それらのシャント抵抗69u〜69wの端子電圧は、レベルシフト回路70を介して制御回路30に与えられ、また、過電流比較回路71によって過電流検出のための比較が行なわれる。これにより、制御回路30は、シャント抵抗69u〜69wからの信号に基づいてベクトル制御により循環ポンプモータ又は循環ファンモータのロータの回転位置を検出し、各インバータ回路をPWM制御して、各モータを設定速度に制御する。
【0028】
ここで、制御回路30は、循環ポンプパワーモジュール63側を制御する場合は、NPNトランジスタ67をオン,NPNトランジスタ68をオフしてシャント抵抗69の検出信号に基づきPWM信号を生成すると、循環ポンプパワーモジュール63にPWM信号を与えて制御し、循環ポンプを駆動する。これにより、水槽2内の洗濯水は、洗濯水の循環経路を経て噴出口(何れも図示せず)から回転ドラム4内に噴射される。
【0029】
また、制御回路30は、循環ファンパワーモジュール64側を制御する場合は、NPNトランジスタ67をオフ,NPNトランジスタ68をオンしてシャント抵抗69の検出信号に基づきPWM信号を生成すると、循環ファンパワーモジュール64にPWM信号を与えて制御し、循環ファンを駆動する。これにより、温風装置が稼動されて、吹出口から温風を水槽2内に供給して回転ドラム4内の洗濯物の乾燥を行なう。
【0030】
次に、本実施形態の作用について図1ないし図3を参照して説明する。図1は、洗濯乾燥機の電源のオンオフシーケンスを示すフローチャート,図2並びに図3は、それぞれ電源オンシーケンス,オフシーケンスを示すタイミングチャートである。ユーザにより電源オンスイッチ73がオン操作されると(S1:YES,図2(a)参照)、駆動用電源回路39に交流電源40が投入されて整流回路41により整流された直流電圧が上昇する(S2,図2(b)参照)。すると、第1電源回路43,第2電源回路45により生成される電源電圧も上昇する(S3,図2(c)(d)参照)。
【0031】
そして、制御回路30について規定されている所定のリセット解除電圧;例えば3.5Vを超えると(S4:YES)、制御回路30のリセットが解除される(S5,図2(e)参照)。尚、制御回路30は、パワーオンリセット回路を内蔵している(図示せず)。制御回路30は、リセットが解除されると、電源リレー74の励磁コイル74Lに通電を行い、リレー接点74Tを閉じる(S6,図2(f)参照)。したがって、これ以降は電源オンスイッチ73がオフ状態になっても駆動用電源回路39に交流電源40が投入され続ける状態になる(S7)。
【0032】
そして、ユーザの設定操作に応じて各種洗濯乾燥機の動作が行われ(S8)、ユーザにより電源オフスイッチ75がオン操作されると(S9:YES,図3(a)参照)、制御回路30は、電源リレー74の励磁コイル74Lへの通電を停止してリレー接点74Tを開く(S10,図3(f)参照)。それから、インバータ回路32の例えばU相上側アームであるIGBT33aと、V相下側アームであるIGBT33eとを同時にオンさせて、平滑コンデンサ42の残留電荷を、モータ11の巻線11u,11vを通じて放電させる(S11,図3(g)参照)。
この場合、IGBT33a及び33eを連続的に(PWMデューティ100%で)オンさせるものに限らず、例えばデューティ70%で断続的に繰り返しオンさせて放電を行っても良い。
【0033】
すると、整流回路41により整流された直流電圧が下降するが(S12,図3(b)参照)、第1電源回路43,第2電源回路45により生成される電源電圧は、少なくとも平滑コンデンサ42の放電が行われている間はそれぞれの電圧を維持するように、内蔵されているコンデンサの容量が設定されている(図3(c)(d)参照)。
【0034】
そして、平滑コンデンサ42の放電が終了すると、第1電源回路43,第2電源回路45により生成される電源電圧も下降し(S13)、制御回路30について規定されているリセット解除電圧を下回ると、制御回路30はリセットされる(S14:YES,図3(e)参照)。これにより、洗濯乾燥機は電源オフ状態となる(S15)。
【0035】
以上のように本実施形態によれば、制御回路30は、ユーザにより電源オフスイッチ75がオン操作されて電源オフ信号が入力されると、電源リレー74をオフさせてから、放電手段を介して平滑コンデンサ42の残留電荷を放電させる。具体的には、インバータ回路32におけるU相上側アームであるIGBT33aと、V相下側アームであるIGBT33cとを同時にオンさせて、平滑コンデンサ42の残留電荷を、モータ11の巻線11u,11vを通じて放電させるようにした。
【0036】
すなわち、ユーザが電源オフスイッチ75をオン操作してから1秒未満の時間内に平滑コンデンサ42の放電が完了するので、その間にユーザが再度電源オンスイッチ73をオン操作することは想定し難いので、ユーザが電源を一旦オフさせてから一般的に想定される短い時間の経過後に再度電源をオンさせた場合でも、電源オンシーケンスは図1に示すフローチャートに従い実行される。したがって、交流電源40の周期を監視する必要がなく、構成及び制御が簡単になる。
【0037】
また、第1電源回路43,第2電源回路45を構成するコンデンサの容量は、前記残留電荷の放電が完了するまでは、それぞれが生成する15V,5V電源電圧が維持されるように設定されている。第1電源回路43からの15V電源は、駆動回路44,51に供給され、高圧ドライバ回路46(及び52)によりインバータ回路32における上アーム側のIGBT33a〜33cのゲートに出力するために昇圧されて駆動用電源となる。したがって、平滑コンデンサ42の残留電荷の放電が完了するまでは、制御回路30及びインバータ回路32及び47の動作が確実に保証されるようになる。
【0038】
尚、ステップS11で平滑コンデンサ42の残留電荷を放電させる場合のインバータ回路32における上側アームと下側アームとの組み合わせは、U,V相に限ることなく、上下で異なる相であれば良い。また、必ずしも上アーム,下アームのIGBT33をそれぞれ1つずつオンさせるものに限らず、例えばIGBT33aとIGBT33e及び33fとを同時にオンさせたり、IGBT33a及び33bと、IGBT33fとを同時にオンさせるといったパターンでも良い。
更に、インバータ回路47や、循環ポンプパワーモジュール63,循環ファンパワーモジュール64を放電手段として、同様の放電動作を行っても良い。更に、インバータ回路47,パワーモジュール63,64についてはコンプレッサモータ31や循環ポンプ,循環ファンを駆動する通電パターンを出力しても良い。
【0039】
(第2実施形態)
図7は第2実施形態であり、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分について説明する。第2実施形態では、280Vの駆動用電源とグランドとの間に放電抵抗(放電手段)76及びIGBT(放電手段,スイッチング素子)77の直列回路が接続されている。IGBT77のスイッチング制御は、制御回路30Aが駆動回路78を介してゲート信号を与えることで行う。駆動回路78には、第1電源回路43からの15V電源が供給されている。
【0040】
次に、第2実施形態の作用について説明する。制御回路30Aは、図1に示すステップS11において、インバータ回路32を用いることに替えてIGBT77をオンさせることで、平滑コンデンサ42の残留電荷を放電抵抗76により消費させて放電させる。したがって、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
直流電源回路は、必ずしも倍電圧整流を行わなくても良い。
スイッチング素子はIGBTに限ることなく、MOSFETやバイポーラトランジスタ等でも良い。
電気機器は、洗濯機に限ることはなく、インバータ回路を備えるものであれば適用が可能である。
【符号の説明】
【0042】
図面中、30は制御回路(放電手段)、32はインバータ回路(放電手段)、39は駆動用電源回路(直流電源回路)、41は全波整流回路、42は平滑コンデンサ、45は第2電源回路(制御電源回路)、74は電源リレー、75は電源オフスイッチ、76は放電抵抗(放電手段)、77はIGBT(放電手段,スイッチング素子)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器に搭載され、本体電源のオフシーケンスを制御するもので、
交流電源と、
この交流電源を整流回路により整流すると共に平滑コンデンサにより平滑して直流電源を生成する直流電源回路と、
前記直流電源が供給されるインバータ回路と、
前記交流電源と前記直流電源回路との間に配置され、駆動電流が供給されることでオンするリレーと、
前記駆動電流の供給を制御すると共に、前記インバータ回路を制御する制御回路と、
前記直流電源を降圧して前記制御回路に供給する制御電源を生成する制御電源回路と、
前記電気機器の動作電源をオフさせるため、前記制御回路に電源オフ信号を入力するための電源オフスイッチと、
前記平滑コンデンサの残留電荷を放電させる放電手段とを備え、
前記制御回路は、前記電源オフ信号が入力されると、前記リレーをオフさせてから、前記放電手段を介して前記平滑コンデンサの残留電荷を放電させることを特徴とする電気機器の電源制御システム。
【請求項2】
前記放電手段は、前記インバータ回路であり、
前記制御回路は、前記インバータ回路における上アームのスイッチング素子の1つと、前記スイッチング素子とは異なる相の下アームのスイッチング素子の1つ以上とをオンするか、または、前記インバータ回路における上アームのスイッチング素子の2つと、これらのスイッチング素子とは異なる相の下アームのスイッチング素子の1つとをオンすることで、前記残留電荷を放電させることを特徴とする請求項1記載の電気機器の電源制御システム。
【請求項3】
前記放電手段は、前記平滑コンデンサに並列に接続される放電抵抗及びスイッチング素子の直列回路であり、
前記制御回路は、前記スイッチング素子をオンさせて前記残留電荷を放電させることを特徴とする請求項1記載の電気機器の電源制御システム。
【請求項4】
前記制御電源回路を構成するコンデンサの容量は、前記残留電荷の放電が完了するまでは前記制御電源電圧が維持されるように設定されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の電気機器の電源制御システム。
【請求項5】
前記インバータ回路を構成するスイッチング素子の制御端子に印加されるスイッチング用電源を供給する電源回路を構成するコンデンサの容量は、前記残留電荷の放電が完了するまでは前記スイッチング用の電源電圧が維持されるように設定されていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の電気機器の電源制御システム。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れかに記載の電気機器の電源制御システムを備えることを特徴とする洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−59202(P2013−59202A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196051(P2011−196051)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】