説明

電気錠システム及び応答器

【課題】本発明は、人感センサーや振動センサーなどを用いることなく、応答器が通信エリア内にあっても、当該応答器によって電気錠が誤って解錠されない電気錠システムを提供する。
【解決手段】扉の外側と内側に設置された2つの操作器と、前記2つの操作器からの質問信号の受信強度を測定する応答器と、応答器での測定強度が最大の操作器が、開扉操作をしようとする側に設置された操作器であることを条件として解錠する錠制御装置とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質問器と応答器を使用して認証を行う電気錠システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気錠システムでは、例えば、応答器を所持した利用者が、屋外から屋内に入ろうとして、扉の屋外側に設置された操作器の操作釦を押すと、質問器が質問信号を送信し、質問信号を受信した応答器が応答信号を送信する。応答信号を受信した電気錠システムの制御装置は、応答信号に基づいて認証し、扉の解錠を行い、利用者は屋内に入ることができる。
【0003】
ところで、利用者が応答器を持って屋内に入り、電気錠が施錠された後に扉付近で留まっている場合のように、応答器(以下、「既入室の応答器」という。)が、質問器からの質問信号の受信可能な範囲(以下、「通信エリア」という。)にある場合には次のような問題がある。
別人が屋外から扉に近づき、操作釦を押すと質問器は質問信号を発信する。すると、既入室の応答器が、質問信号を受信し、応答信号を送信する。この応答信号によって電気錠が解錠されてしまい、前記した別人は応答器を持っていなくても入室できる。
【0004】
この問題を解決するために、電気錠が解錠され、再び施錠された場合には、応答器を持つ利用者が通信エリア外に移動する時間を考慮して予め定められた時間が経過するまでは、応答信号を受信しても解錠しないことで誤解錠を防止するものがある(特許文献1)。
また、扉の内側に人感センサーを設置し、扉の内側近傍に人がいると判断している場合には質問器から質問信号を送信しないようにし、又は、応答器の応答信号を受信しても認証しないようにして誤解錠を防止しているものもある(非特許文献1)。
【0005】
更に、通信エリア内に応答器が放置された場合に対応すべく、応答器に振動センサーを搭載し、応答器が振動を検知している間は応答信号を送信し、振動を検知しない場合は応答信号を送信しないことで誤解錠を防止する技術も知られている(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−348667号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】株式会社シブタニ、ClavisWebカタログ2010 P.45 パッシブシステムEXP7000-CP(防犯建物部品)、[online]、平成22年、株式会社 シブタニ、[平成23年6月29日検索]、インターネット<URL:http://www.aladdin-book.jp/v2/digitalviewer/?clavis#45>
【非特許文献2】YKK AP株式会社、YKKAPWEBカタログ P.53 ポケットキーシステム、[online]、平成23年2月、YKK AP株式会社、[平成23年6月29日検索]、インターネット <URL:http://www.ykkap.co.jp/search/item/itempage/Cate0002/Genre0002/002.html?KeepThis=true&TB_iframe=true&height=height=430&width=746>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、施錠後の一定時間応答器からの応答信号を受け付けないようにしても、その一定時間が経過して再び応答信号を受け付ける状態に戻ったときに、まだ既入室の応答器が通信エリア内にあると誤解錠の可能性がある。人感センサーを設置したとしても、遮蔽物等で正しく人を検知できなかったりすると既入室の応答器により誤解錠する可能性もある。応答器に振動センサーを搭載して、放置されている場合に応答信号を送信しないようにしたとしても、例えば人が所持したタイミングで屋外から操作釦が操作された場合や、ペットなどが触れて振動が与えられた場合などに誤解錠する可能性もある。
【0009】
そこで、本発明は、係る問題に鑑みてなされたものであり、人感センサーや振動センサーなどを用いることなく、応答器が通信エリア内にあっても、当該応答器によって電気錠が誤って解錠されない電気錠システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明に係る電気錠システムは、扉の外側と内側に設置された2つの操作器と、各々の操作器に内蔵するLFアンテナを介して送られる質問信号の受信強度を測定する応答器と、応答器での測定強度が最大の操作器が、開扉操作をしようとする側に設置された操作器であることを条件として解錠する錠制御装置とを備えることを特徴とする。
ここで、前記操作器は、当該操作器が開扉操作をしようとする側に所在する操作器であるか否かを示す情報を含む質問信号を送信するようにしてもよい。
【0011】
ここで、前記応答器は、前記各操作器からの質問信号のうち測定強度が最大の質問信号が、開扉操作をしようとする側に所在する操作器からであることを示す情報を含む場合には、応答信号の送信を行い、測定強度が最大の質問信号が、開扉の操作をしていない側に設置された操作器からであることを示す情報を含む場合には、応答信号の送信を抑止し、前記錠制御装置は、前記応答器からの応答信号を受信したことを条件として、前記解錠を行うようにしてもよい。
【0012】
ここで、前記応答器は、前記各操作器からの質問信号のうち測定強度が最大の質問信号が、開扉操作をしようとする側に所在する操作器からであるか否かを判別し、当該判別の結果を示す情報を含む応答信号を送信し、前記錠制御装置は、測定強度が最大の質問信号が開扉操作をしようとする側に所在する操作器からであることを示す情報を含む応答信号を前記応答器から受信したことを条件に、前記解錠を行うようにしてもよい。
【0013】
ここで、前記応答器は、前記各操作器からの質問信号各々について、当該質問信号を送信した操作器が開扉操作をしようとする側に所在するか否かを示す情報と当該質問信号に係る受信強度の測定値とを対応付けて含む応答信号を送信し、前記錠制御装置は、前記応答器から受信した応答信号に含まれる各測定値の比較により、最大の測定値に対応する操作器が開扉操作をしようとする側に所在するか否かを判定し、肯定的に判定したことを条件に前記解錠を行うようにしてもよい。
【0014】
ここで、前記各操作器は、扉の前記操作部が操作された場合に、前記質問信号に自器の識別情報を含めて、複数回送信するようにしてもよい。
ここで、扉の前記操作部が操作された場合に、前記操作器の各々が相互に重複しない送信期間で前記質問信号の送信を行うようにしてもよい。
ここで、前記応答器は、互いに直交する3軸のアンテナを備え、前記受信強度の測定に係る測定値は、各軸アンテナに係る受信強度の測定値を合成した値であるようにしてもよい。
【0015】
ここで、前記応答器は、互いに直交する3軸のアンテナを備え、前記受信強度の測定に係る測定値は、各軸アンテナ毎の受信強度の値を要素とし、前記各操作器からの質問信号のうち測定強度が最大の質問信号は、3軸のいずれかのアンテナについての受信強度の値が最大となる質問信号であるようにしてもよい。
ここで、前記各操作器は、更に、自器の識別情報を含む質問信号を周期的に繰り返して送信し、前記応答器は、一の操作器からの同一の識別情報を含む複数の質問信号の受信強度が一定範囲内に一定期間保たれている場合には、応答信号を送信しないようにしてもよい。
【0016】
ここで、前記応答器は、一の操作器からの同一の識別情報を含む複数の質問信号の受信強度が一定範囲内に一定期間保たれている場合に、自器をスリープ状態にしてもよい。
ここで、前記応答器は、一の操作器からの同一の識別情報を含む複数の質問信号の受信強度が一定範囲内に一定期間保たれている場合には、放置状態にある旨を示す放置信号を送信し、前記錠制御装置は、前記応答器から前記放置信号が送信されたことを受けて、当該応答器を所定時間スリープさせるスリープ指示信号を前記操作器に送信させ、前記スリープ指示信号を受信した応答器は、スリープ状態に移行し、移行後一定時間経過した場合に、通常状態に復帰するようにしてもよい。
【0017】
ここで、前記応答器は、スリープ状態である場合と通常状態である場合とでは異なる表示をする表示手段を有するようにしてもよい。
ここで、前記応答器は、スリープ状態から復帰させるための操作部材を有し、前記操作部材を操作された場合にスリープ状態から通常状態に復帰するようにしてもよい。
ここで、前記応答器は、一の操作器からの同一の識別情報を含む複数の質問信号の受信強度が一定範囲内に一定期間保たれている場合には、放置状態にある旨を示す放置信号を送信し、前記電気錠システムは、前記応答器から前記放置信号が送信されたことを受けて、前記応答器が放置状態にある旨を人が感知できるよう報知する報知装置を更に備えるようにしてもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る応答器は、複数の操作器を具備する電気錠システムの応答器であって、前記操作器からの質問信号を受信し、当該質問信号の信号強度を測定する測定手段と、前記測定手段で測定した信号強度に基づき応答信号の送信を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
ここで、前記制御手段は、前記各操作器からの質問信号のうち測定強度が最大の質問信号が、開扉操作をしようとする側に所在する操作器からであることを示す情報を含む場合には、応答信号の送信を行い、測定強度が最大の質問信号が、開扉操作をしようとする側に所在しない操作器からであることを示す情報を含む場合には、応答信号の送信を抑止するようにしてもよい。
【0019】
ここで、前記制御手段は、前記各操作器からの質問信号のうち測定強度が最大の質問信号が、開扉操作をしようとする側に所在する操作器からであるか否かを判別し、当該判別の結果を示す情報を含む応答信号を送信するようにしてもよい。
ここで、前記制御手段は、前記各操作器からの質問信号各々について、当該質問信号を送信した操作器が開扉操作をしようとする側に所在するか否かを示す情報と当該質問信号に係る受信強度の測定値とを対応付けて含む応答信号を送信するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
上述の構成により、本発明に係る電気錠システムは、人感センサーや振動センサーなどを用いることなく、応答器が通信エリア内にあっても、当該応答器によって電気錠が誤って解錠するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電気錠システム1のシステム構成の概略図
【図2】本発明の実施の形態1に係る電気錠システム1の機能ブロック図
【図3】(a)実施の形態1に係る質問信号300のデータの構成図、(b)実施の形態1に係る応答信号400のデータの構成図
【図4】実施の形態1に係る扉側の制御回路141の処理のフローチャート
【図5】実施の形態1に係る各操作器12A、12Bからの受信強度の関係を説明する概念図
【図6】実施の形態1に係る応答器11の制御回路111の処理のフローチャート
【図7】実施の形態2に係る扉側の制御回路141の処理のフローチャート
【図8】実施の形態2に係る応答器11の制御回路111の処理のフローチャート
【図9】(a)変形例1の応答信号900におけるデータの構成図、(b)変形例2の応答信号1000におけるデータの構成図
【図10】(a)スリープ指示時の質問器のスリープ指示信号600におけるデータの構成図(b)放置状態時の放置信号700におけるデータの構成図、
【図11】放置信号を送信する場合の応答器11の制御回路111の処理のフローチャート
【図12】制御ユニット14のLF送信回路構成の変形例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施の形態>
<1.実施の形態1>
以下、本発明の一実施形態に係る電気錠システムについて説明する。
<1−1.概要>
実施の形態1では、扉の内外に各1台操作器12A、12Bが設置されている。操作器12Aは屋外操作器であり、操作器12Bは屋内操作器である。操作器12A又は12Bにはそれぞれ操作釦13A又は13Bが備えられており、制御ユニット14の指示に基づき、操作器12A又は12Bは、自器の操作釦が操作されたか否かの情報を質問信号300に含めて送信する。応答器11(タグ)は、操作器12A又は12Bから送信される質問信号300のRSSI(Received Signal Strength Indication)値の大きさを比較する。質問信号300に含まれている操作器12A又は12Bの操作釦13A又は13Bが操作されたか否かの情報と、各操作器12A及び12Bから送信される質問信号300のRSSI値の大小によって、応答器11が扉を境界として操作釦が操作された操作器側に自器が所在するか否かを判断する。そして、操作釦が操作された操作器側に応答器11がある場合には応答器11は、応答信号400を送信する。
応答信号400を受信した制御回路141は、応答器11が事前に電気錠システム1に登録された応答器(以下、「正規の応答器」という。)か否かを認証し、電気錠18A、18Bの解錠を行う。一方、操作釦が操作された側に応答器11が所在しない場合には、応答器11は、応答信号400を送信しないことによって、制御回路141による電気錠18A、18Bの誤解錠を防ぐ。
【0023】
以下に図を用いて概要を説明する。
図1は本発明の実施の形態1に係る電気錠システム1のシステム構成の概略図である。
建物の扉15の屋外側には操作器12A、屋内側には操作器12Bが設置され、各々の操作器には操作釦13A、13Bがそれぞれ設けられている。操作釦13A又は13Bは、操作器12A及び12Bから質問信号300を送信させるトリガの役割をするものであり、施錠されている扉の外側から内側へと入るためには、利用者は操作釦13Aを押す必要がある。
【0024】
応答器11を所持した人が、屋内に入ろうと扉15の電気錠18A、18Bを解錠するために、操作釦13Aを操作すると、操作器12A及び12Bそれぞれから質問信号300が送信される。このとき、操作器12Aからは、操作釦が操作されたという情報を含む質問信号300が送信されるが、操作器12Bからは、操作釦が操作されたという情報を含まない質問信号300が送信される。
【0025】
応答器11は、操作器12A及び12Bから送信される質問信号300を受信すると、各々の質問信号300の信号強度(RSSI値)を測定し、比較する。操作釦が操作されたという情報を含む質問信号300のRSSI値が、操作釦が操作されたという情報を含まない質問信号300のRSSI値より大きい場合には、応答器11は応答信号400を送信する。そうでない場合には、応答器11は応答信号400を送信しない。
【0026】
このように、応答器11が、操作器12A及び12Bからの受信信号のRSSI値を比較し、操作釦が操作された操作器側に応答器11があるか否かを判断し、応答信号400を送信するか否かを制御するので、電気錠18A、18Bの誤解錠が防止される。
<1−2.構成>
以下、上述の電気錠システム1の構成について詳細に説明する。
【0027】
図2は電気錠システム1の機能ブロック図である。
電気錠システム1は、扉15に備えられた、質問器10と電気錠18A、18Bと開扉センサー147と、人が携帯し扉の解錠を行うための鍵となる応答器11とを含んで構成される。
<質問器10>
質問器10は、制御ユニット14と操作器12A(屋外操作器)、操作器12B(屋内操作器)と、UHF(Ultra High Frequency)受信回路16と、UHF受信回路16用のUHFアンテナ17とを含んで構成される。
【0028】
<制御ユニット14>
制御ユニット14は、質問信号300の送信のためのLF(Low Frequency)送信回路142A、142B、電気錠18A、18Bの施解錠のための電気錠駆動回路143A、143Bと、これらの回路の動作を制御するための制御回路141と、電源144とを備える。
LF送信回路142A、142Bは、後述するLFアンテナ145A、145Bを介してLF帯(例えば135kHz)にて質問信号300を送信する。1回の質問信号300の送信に要する時間は、例えば数十ミリ秒程度である。
【0029】
電源144は、電池であり、各部を駆動するための電力を供給する。なお、商用電源から電力供給を受けるようにしてもよい。
制御回路141は、制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、前記制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)及び内蔵メモリを含んで構成される。
【0030】
前記制御プログラムには、操作器12A又は12Bの操作釦13A又は13Bが操作された場合の質問信号300の送信の制御、応答器11からの応答信号400を処理し、正規の応答器であるかの認証を行い、電気錠18A、18Bの施解錠の制御を行うプログラムが含まれる。
制御回路141は、システム管理者による登録操作によって、予め応答器の識別情報を内蔵メモリ(フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)
など)に記憶する。前記正規の応答器とは、識別情報が制御回路141に予め記憶されている応答器のことをいう。そして正規の応答器であるか否かの認証は、応答信号400に含まれる応答器の識別情報が内蔵メモリに記憶された応答器の識別情報と一致するか否かで判断する。
<操作器12A、12B>
操作器12Aは、操作釦13A、LFアンテナ145A、表示回路146Aを備えている。
【0031】
LFアンテナ145Aは、コイル型のLFアンテナである。
操作器12Bも操作器12Aと同様の構成なので説明は省略する。
操作釦13A、13Bは、操作器12A及び12Bから質問信号300を送信するためのトリガであり、どちらか一方の操作釦が操作されると、操作器12A及び12Bは、いずれも質問信号300を送信する。
操作器12A又は12BのLFアンテナ145A又は145Bは、操作器12A又は12Bから等距離の位置において、応答器11が操作器12A及び12Bから受信した質問信号300の受信強度がほぼ同じになるように、LFアンテナ145A、145Bのコイルの向きが平行になるように調整しておく。
【0032】
表示回路146A及び146Bは、例えばLED(Light Emitting Diode)ランプやディスプレイで各々の操作器12A又は12Bの稼動状態等各種の表示出力を行う。
<UHF受信回路16>
UHF受信回路16は、UHFアンテナ17を用いて応答器11からのUHF帯(例えば、426MHz)の応答信号400を受信する。
【0033】
UHF受信回路16は制御回路141に接続されており、受信した応答信号400は制御回路141に送られる。UHF受信回路16、UHFアンテナ17は、操作器12A、12B、制御ユニット14に内蔵する形態でも構わない。
<電気錠18A、18B>
電気錠18A、18Bは、扉15を施解錠するものであり、防犯のため2重構成としている。
電気錠18Aは、錠駆動装置181Aと、施錠/解錠センサー182Aと、錠183Aとを備える。
【0034】
錠駆動装置181Aは、例えばモータであり、モータの回転によって錠183Aを施錠したり、解錠したりする。
施錠/解錠センサー182Aは、錠183Aが解錠状態であるのか、施錠状態であるのかを検知する。
電気錠18Bは、電気錠18Aと同様の構成なので説明は省略する。
【0035】
制御回路141と電気錠18A及び18Bは、電気錠駆動回路143A及び143Bを介して接続されている。
制御回路141で認証判断が行われ、認証が成功した場合に、電気錠18A及び18Bの電気錠駆動回路143A及び143Bを制御して電気錠18A及び18Bの解錠を行う。
<開扉センサー147>
開扉センサー147は、扉15が開戸状態であるか閉戸状態であるかを検知するためのものであり、電気錠18A及び18Bが解錠された後、扉15が開けられて、再び扉が閉まったかどうかを判別する。
<応答器11>
応答器11は、制御回路111、LF受信回路112、LFアンテナ114、UHF送信回路115、UHFアンテナ116、表示回路117、操作釦118、電源119を備える。
【0036】
制御回路111は、制御プログラムを実行するCPU、制御プログラムを格納するROM及び内蔵メモリを含んで構成される。CPUは、動作クロックが可変であり、低クロックで動作させることによって、消費電力を抑制できる。
前記制御プログラムは、受信した質問信号300を処理し、受信強度を比較して、応答信号400の送信制御を行うプログラムが含まれる。このプログラムは、比較した結果を用いて、応答信号400を送信するか否かを判断したり、応答信号400を生成したりする。
【0037】
LF受信回路112は、コイル型のLFアンテナ114を用いてLF帯にて質問信号300を受信する。
LFアンテナ114は、3つの独立したコイルを直交に配置した3軸構成である。したがって、応答器11の向きがどのような向きであっても安定して質問信号300を受信できる。
【0038】
LF受信回路112は、RSSI検知回路113を含み、RSSI検知回路113は受信した質問信号300のRSSI値を測定する。
UHF送信回路115は、UHFアンテナ116を用いて制御回路111で生成した応答信号400をUHF帯にて送信する。1回の応答信号400の送信に要する時間は、例えば数十ミリ秒程度である。
【0039】
表示回路117は、例えばLEDランプやディスプレイで応答器11の動作状態等各種の表示出力を行う。
操作釦118は、応答器11の電源119の操作やスリープ状態からの復帰を行うためのものである。ここでいうスリープ状態とは、電源119からLF受信回路112とUHF送信回路115への電力供給を停止し、CPUを低クロックで動作させ、待機モードにすることをいう。一方、スリープ状態でない状態を通常状態という。
【0040】
電源119は、例えばコイン形リチウム電池から構成されており、各部を駆動するための電力を供給する。
<1−3.データ>
<各操作器12A、12Bから送信する質問信号300のデータ>
図3(a)は、各操作器12A、12Bから送信される質問信号300のデータ構成を示す図である。
【0041】
質問信号300は、同図に示すように、PR(Preamble)301、UW(Unique Word)302、コマンド303、操作器ID304、フラグ305、及びCRC(Cyclic Redundancy Check)306から構成される。
この質問信号300は、操作釦13A又は13Bが操作されたときに、制御回路141が生成する。
【0042】
ここで、PR301は、質問信号300のデータの始まりを示すビット列(同期符号)であり、UW302は、いわゆるフレーム同期信号であり、コマンド303は、応答器11の応答動作の要求を指示するためのコマンドである。
操作器ID304は、質問信号300の送信元である操作器12A又は12Bの識別情報である。
【0043】
フラグ305は、質問信号300の送信元である操作器12A又は12Bの操作釦13A又は13Bが操作されたか否かを示すフラグであり、以下、一例として操作釦が操作された場合を「1」、操作されていない場合を「0」として説明する。
応答器11は、フラグ305によって、操作釦が押された操作器から送信される質問信号300か否かを判断できる。
【0044】
CRC306は、質問信号300を受信した応答器11が質問信号300に誤りが発生しているか否かを検出できるようにするためのデータである。
<応答器11から送信する応答信号400のデータ>
図3(b)は、応答器11から送信される応答信号400のデータ構成を示す図である。
【0045】
応答信号400は同図に示すように、PR401、UW402、コマンド403、操作器ID404、応答器ID405、CRC406から構成される。
ここで、PR401は、応答信号400のデータの始まりを示すビット列(同期符号)であり、UW402は、いわゆるフレーム同期信号であり、コマンド403は制御回路141に処理の要求を指示するコマンドである。
【0046】
また、操作器ID404は、受信した質問信号300に含まれていた操作器12A又は12Bの識別情報であり、応答器ID405は、自器の識別情報である。
制御回路141は、応答信号400に応答器11の識別情報が含まれていることによって正規の応答器であるかの認証を行うことができる。
また、CRC406は、応答信号400を受信した制御回路141が応答信号400に誤りが発生しているか否かを検出するためのデータである。
<1−4.動作>
次に具体的な動作について説明する。
【0047】
応答器11を所持した利用者が、操作器12A又は12Bの操作釦13A又は13Bを操作すると、質問信号300が操作器12A及び12Bから送信される。質問信号300は、操作釦が操作された一方の操作器だけから送信されるのではなく、操作釦が操作されていない他方の操作器からも送信される。
操作器12A及び12Bから送信される質問信号300を受信した応答器11は、受信強度を測定し、比較する。そして、操作釦が操作された操作器から送信される質問信号300の受信強度の方が大きい場合にのみ、応答器11は応答信号400を送信する。応答信号400を受信した制御回路141は、応答器11が正規の応答器であるかを認証し、電気錠18A及び18Bの解錠をする。一方、操作釦が操作された操作器からの質問信号300の受信強度の方が大きくなかった場合には、応答器11は、応答信号400を送信しないので、電気錠18A及び18Bが解錠されない。
【0048】
<制御回路141の処理>
図4は、操作釦13A又は13Bが操作された場合の制御ユニット14の制御回路141の処理のフローチャートである。以下、屋外側の操作器12Aの操作釦13Aが操作された場合を例に動作について説明する。また、操作釦13Aが操作された操作器12Aから送信される質問信号300を第1の質問信号300、操作釦13Bが操作されていない操作器12Bから送信される質問信号300を第2の質問信号300として説明する。
【0049】
操作器12Aの操作釦13Aが操作されると、制御回路141は、操作器12Aの識別情報及び操作釦13Aが操作されたことを示す情報を含む質問信号300を送信する。すなわち、操作器ID304に操作器12Aの操作器IDをセットし、フラグ305に「1」をセットした情報を含む質問信号300を生成し(ステップS1)、LF送信回路142Aを介して送信する(ステップS2)。
【0050】
次に、操作器12Bの識別情報及び操作釦13Bが操作されていないことを示す情報を含む質問信号300、すなわち、操作器ID304に操作器12Bの操作器IDをセットし、フラグ305に「0」をセットした情報を含む質問信号300を生成する(ステップS3)。制御回路141は、生成した質問信号300を、LF送信回路142Bを介して送信する(ステップS4)。
【0051】
このとき、第1の質問信号300の送信にかかる時間は数十ミリ秒程度なので、第1及び第2の質問信号300の送信期間が重複しないように、例えば、第1の質問信号300を送信後、数十ミリ秒経てから第2質問信号300を送信する。
制御回路141は、ステップS4で第2の質問信号300を送信後、所定時間(例えば1秒)以内に、UHF受信回路16を介して応答信号400を受信したか否かを判定する(ステップS5)。
【0052】
応答信号400を受信した場合(ステップS5:Yes)には、制御回路141は、応答信号400の応答器ID405が予め記録されている識別情報と一致するかの認証を行う(ステップS6)。そして、認証が成功し、つまりステップS5で受信した応答信号400が正規の応答器から送信されたものである場合(ステップS6:Yes)に制御回路141は電気錠駆動回路143A、143Bを介して電気錠18A、18Bの錠駆動装置181A及び181Bを駆動して解錠を行う(ステップS7)。
【0053】
電気錠18A及び18Bの解錠後、人が扉を開けて閉るまで、解錠状態を保持(ステップS8)した後、再び電気錠駆動回路143A、143Bを介して電気錠18A、18Bの錠駆動装置181A、181Bを駆動して施錠を行い(ステップS9)、操作釦13Aが操作された場合における一連の処理を終了する。この解錠状態の間に応答器11を所持し、操作器12Aの操作釦13Aを押した利用者は入室することができる。
【0054】
ステップS5で応答信号400を受信しなかった場合(ステップS5:No)とステップS6で認証に成功しなかった場合(ステップS6:No)は、ステップS1からの繰り返し処理が所定の回数(例えば3回程度)に達していなければ(ステップS10:No)ステップS1から処理を行う。所定の回数繰り返したならば(ステップS10:Yes)、操作釦13Aが操作された場合における一連の処理を終了する。
<応答器11の処理>
まず、各操作器12A、12Bから送信される質問信号300の受信強度の比較方法を説明する。
【0055】
図5は、扉15の内外に設置した各操作器12A、12Bから送信される質問信号300の通信エリアと、各操作器12A、12Bからの距離と質問信号300の受信強度の大きさの関係を示す概念図である。
操作器12A及び12Bは、扉15をはさんで扉15の内外に設置される。エリア60Aは操作器12Aから送信される質問信号300の通信エリアであり、エリア60Bは操作器12Bから送信される質問信号300の通信エリアである。そして、エリア60A、60Bは、操作器12A、12Bからの距離が最大で1.5メートル程度(LF帯を使用した場合)の範囲である。グラフ61Aは、操作器12Aの質問信号300の信号強度と距離の関係を示すグラフであり、操作器12Aが設置されている位置で最もその値が大きく、操作器12Aから離れるに従って小さくなる。グラフ61Bは、同様に操作器12Bの質問信号300の信号強度と距離の関係を示すグラフである。
例えば、応答器11が図5で示す位置にある場合の操作器12Aから送信される質問信号300のRSSI値をRa、操作器12Bから送信される質問信号300のRSSI値をRbとするとRa、Rbの測定値は次のように計算される。
【0056】
応答器11のLFアンテナ114は前述のとおり直交した3軸構成になっているので、各々のアンテナで受信したRSSI値を合成した値を質問信号300のRSSI値として用いる。すなわち、X軸、Y軸、Z軸のアンテナでの受信強度をそれぞれ、Rax1、Ray1、Raz1とすると、その合成値Raは、Ra=(Rax1^2+Ray1^2+Raz1^2)^(1/2)と表すことができる。Rbについても、X軸、Y軸、Z軸のアンテナの受信強度をRbx1、Rby1、Rbz1として同様に計算できる。
【0057】
これにより、応答器11がどのような向きで質問信号300を受信しても、応答器11の向きに関係なく、操作器12A及び12Bから送信される質問信号300の受信強度の比較ができる。
このとき、RaとRbの値を比較した結果、応答器11はRSSI値が大きい方の操作器に近いと判断する。上記の場合はRa>Rbであるので、操作器12Bより操作器12Aに近い位置、すなわち屋外側に応答器11があると判断される。
続いて、応答器11の制御回路111の処理内容について説明する。
【0058】
図6は、応答器11の制御回路111の処理のフローチャートである。
応答器11の制御回路111は、LFアンテナ114からLF受信回路112を介して前記第1の質問信号300を受信する(ステップS11)。次に、制御回路111は、前記第1の質問信号300のRSSI値R1をRSSI検知回路113で測定する(ステップS12)。同様に制御回路111は第2の質問信号300を受信し(ステップS13)、第2の質問信号300のRSSI値R2を測定する(ステップS14)。
【0059】
制御回路111は、R1とR2の大きさを比較する(ステップS15)。この例では、受信した前記第1の質問信号300のフラグ305は「1」がセットされているので、制御回路111は、操作器12Aの操作釦13Aが操作されていることがわかる。
それゆえ、R1>R2の場合(ステップS15:Yes)は、操作釦13Aが操作された操作器(この例では12A)からのRSSI値の方が大きいと判断されるので、制御回路111は、自器の識別情報を応答器ID405にセットした応答信号400を生成する(ステップS16)。制御回路111はUHF送信回路115を介してUHFアンテナ116から生成された応答信号400を送信する(ステップS17)。
【0060】
ステップS17で送信された応答信号400を受信した制御回路141の処理はすでに説明したとおりである(図4参照)。
一方、R1>R2の条件を満たさない場合(ステップS15:No)、第1の質問信号300のRSSI値の方が第2の質問信号300のRSSI値より大きくない。この例では、第2の質問信号300のフラグ305には、「0」がセットされているので、応答器11の制御回路111は、第2の質問信号300は、操作器12Bの操作釦13Bが操作されていないと判断できる。つまり、RSSI値が大きい側の操作器は、操作釦が操作された側の操作器ではないと判断できるので、応答器11は、応答信号400を送信しない。よって、電気錠18A及び18Bが解錠されることはなく、電気錠18A及び18Bの誤解錠を防止できる。
<2.実施の形態2>
実施の形態1では、解錠操作した側に設置された操作器から送信される質問信号300かどうかの情報と、応答器11で受信した質問信号300のRSSI値を用いて、解錠判断する例を示した。
【0061】
応答器11が、通信エリア内で放置状態にある場合、特に開扉操作した側に放置されていると、応答器を所持していなくても解錠して入室できる。実施の形態2では、応答器11が放置状態にあるか否かを判断して、上記のような応答器が放置されている場合においても誤解錠を防止できる実施例を説明する。
以下、実施の形態1で示したものと変更のない点についての説明は省略し、変更ある点を重点的に説明する。
<2−1.概要>
操作器12A及び12Bは、定期的(例えば1分間隔)に一定時間(例えば1秒程度)、交互に複数回質問信号300を送信する。応答器11は、その間に送信される各々の質問信号300を受信し、受信した質問信号300のRSSI値を測定する。そして、操作器12A及び12Bから送信される質問信号300のRSSI値を比較し、RSSI値が大きい方の操作器から送信される質問信号300のRSSI値の大きさが所定の信号レベルの大きさの範囲内である場合に、応答器11は、自器が放置されていると判断し、応答信号400を送信しない。
【0062】
更に、応答器11は、一定期間(例えば1分程度)放置状態である場合には自器をスリープ状態にする。スリープ状態に移行した応答器11は、スリープ状態であるか否かを人が認識できるように表示回路117に通常状態ではない表示を行い、注意を促す。応答器11は、応答器11の操作釦118が押された場合にスリープ状態から通常状態に復帰する。
<2−2.構成>
以下、構成について詳細に説明する。
【0063】
制御回路141と応答器11の構成が実施の形態1の構成と異なる。
実施の形態2の制御回路141及び応答器11は、実施の形態1に係る制御回路141及び応答器11と制御プログラムの内容が若干異なる。制御プログラムの内容が若干異なるだけなので制御回路141及び応答器11は実施の形態1と同じ符号を用いて説明する。
これらの構成について重点的に説明し、その他変更のない構成は説明を省略する。
【0064】
<制御回路141>
実施の形態1の構成と異なる点は、制御プログラムに、操作器12A及び12Bから質問信号300を定期的に複数回送信させるように制御するプログラムが更に含まれている点である。この制御プログラムによって、操作器12A及び12Bは、一定時間間隔に交互に複数回質問信号300を送信する。
【0065】
<応答器11>
応答器11の制御プログラムの実施の形態1の構成と異なる点は、同一の操作器から複数回送信されたそれぞれの質問信号300のRSSI値の差を計算し、その差がある一定レベル以内にあるか否かを判断したり、自器をスリープ状態にするといった制御を行うプログラムが更に含まれている点である。これにより、同一の操作器から受信した質問信号300のRSSI値が一定レベルの範囲内にある場合は、自器が放置されていると判断し、応答信号400を送信しないといった制御を行ったり、自器をスリープ状態にしたりする。
<2−3.動作>
次に、具体的な動作について説明する。
【0066】
以下、屋外側の操作器12Aの操作釦13Aが操作された場合を例に動作について説明する。
<制御回路141の処理>
図7は、操作釦13A又は13Bが操作された場合の実施の形態2に係る制御ユニット14の制御回路141の処理のフローチャートである。
【0067】
実施の形態1との異なる処理は、質問信号300を複数回連続して送信する処理である。
ステップS41は、図4のステップS1〜ステップS4の処理をまとめたものである。
制御回路141は、電気錠18A、18Bが施錠状態である場合に、定期的にステップS41の処理を所定の回数N1回(例えば、数回)、行う(ステップS42:No)。これらの質問信号300を受信する応答器11の動作については後述する。
【0068】
制御回路141は、所定の回数N1回、質問信号300を送信後(ステップS42:Yes)、応答信号400を受信したか否かを判断する(ステップS43)。応答信号400を受信した場合(ステップS43:Yes)には、正規の応答器からの応答信号400か否かの認証を行い、認証が成功した場合(ステップS44:Yes)に電気錠18A、18Bの解錠/施錠(ステップS45)を行う。なお、ステップS45は、図4のステップS7〜ステップS9の処理をまとめたものである。
<応答器11の処理>
図8は、実施の形態2の応答器11の制御回路111の処理のフローチャートである。
【0069】
ステップS51は図5のステップS11〜ステップS14の処理をまとめたものである。
応答器11の制御回路111は、操作器12A及び12Bからの質問信号300を受信しRSSI値を測定する。操作器12A及び12Bからは複数回、質問信号300が送信されるので、所定の回数N2回(例えば、十数回)受信するまで(ステップS52)、受信・測定処理(ステップS51)を繰り返す。測定したRSSI値は内蔵メモリに記憶する。
【0070】
ここで、各操作器12A、12Bのうち、一方を第1の質問信号300、他方を第2の質問信号300とした場合において、i回目に受信した、第1の操作器からの質問信号300のRSSI値をR1i、第2の操作器からの質問信号300のRSSI値をR2i(i=1〜N2)とすると、R1iとR2iを比較して全てのiについて、R1i>R2iの場合(ステップS53:Yes)、第1の質問信号300について各質問信号300の受信強度の差の絶対値を計算する。すなわち、質問信号300の受信強度が大きい方の操作器について、各質問信号300のRSSI値の差の絶対値を計算する。ここで、j回目に受信した第1の操作器からの質問信号300のRSSI値をR1j(j=1〜N2、i≠j)とすると、RSSI値R1i、R1jの差の絶対値R1_ijは、R1_ij=|R1i−R1j| (i≠j)と表される。全てのi、j(i≠j)の組についてR1_ijを計算し、全てのR1_ijが、応答器11が放置されている場合に想定される所定のレベルの差αについて、R1_ij<α (i≠j)を満たす場合に放置状態と判断し、応答信号400を送信しない(ステップS54:Yes)。放置状態ではないと判断した場合(ステップS54:No)には、R1iが、操作釦13Aが操作された操作器12AからのRSSI値である場合(ステップS55:Yes)には、応答信号400を生成する(ステップS56)。応答器11の制御回路111は、UHF送信回路115を介して、生成した応答信号400送信する(ステップS57)。
【0071】
以上のように、応答器11は、定期的に操作器12A及び12Bから複数回送信される質問信号300を受信し、同一の操作器からの質問信号300のRSSI値の差を比較することによって、自器が放置状態であるか否かを判断することができる。応答器11が放置状態と判断された場合には、応答器11は、応答信号400を送信しない。これにより、操作器12Aの操作釦13Aが操作されても誤って電気錠18A、18Bが解錠されることはなく、誤解錠を防止できる。
【0072】
特に図示して説明しないが、応答器11の制御回路111は、自器が放置状態であると判断した場合は、CPUのクロックを低速モードに切り替え、LF受信回路112とUHF送信回路115への電力供給を停止する。
応答器11の表示回路117は通常状態とは異なる表示をする。例えば、通常状態では点灯しているLEDランプを消灯したり、ディスプレイにスリープ状態であることを表示したりして視覚的に知らせる。スリープ状態から復帰させるには、応答器11の操作釦118を操作する。操作釦118を操作すると、制御回路111は、LF受信回路112とUHF送信回路115への電力供給を開始し、CPUの動作クロックを通常に戻し、応答器11を通常状態に復帰させる。
<3.変形例>
以上、本発明に係る電気錠システムの実施の形態を説明したが、例示した電気錠システムを以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施の形態で示した通りの電気錠システムに限られないことは勿論である。
(1)変形例1
上記実施の形態1では、応答器11が、扉15に対して操作釦13A又は13Bが操作された操作器12A又は12Bと同じ側に自器があるか否かを判断して、自器が操作釦13A又は13Bが操作された側にない場合には、応答信号400を送信しない構成を示したが、自器が操作釦13A又は13Bが操作された側にない場合でも応答信号900を送信するようにしてもよい。
【0073】
この場合、変形例1の応答器11が操作釦13A又は13Bが操作された側にあるか否かの判断結果を含む応答信号900を送信して、制御回路141で応答器11からの判断結果に基づいて解錠するか否かを決定させればよい。
図9(a)は変形例1の応答信号900のデータの構成図である。フラグ906は、応答器11が扉15に対して操作釦13A又は13Bが操作された操作器12A又は12Bと同じ側にあるか否かを示すフラグである。フラグ906以外のデータは実施の形態1と同様なので説明は省略する。
【0074】
一例として操作釦が操作された操作器と同じ側にある場合を「1」、そうでない場合を「0」とした場合に、制御回路141にフラグ906の値によって以下のように処理を行う。
受信した応答信号900に含まれるフラグ906の値が「1」である場合には、操作釦が操作された操作器側にある応答器であることを示すので、制御回路141は、認証を行い、電気錠18A、18Bの解錠を行う。一方、フラグ906の値が「0」である場合には、操作釦が操作された操作器側に応答器がないことを示すので、制御回路141は、電気錠18A、18Bの解錠を行わない。
(2)変形例2
実施の形態1では、応答器11が扉15に対して操作釦が操作された操作器12A又は12Bと同じ側にあるか否かを判断しているが、制御回路141が、操作釦が操作された操作器12A又は12Bから送信される質問信号300のRSSI値を比較して、操作釦が操作された操作器12A又は12Bと同じ側に応答器11があるか否かの判断をしてもよい。
【0075】
以下、図を用いて処理の内容について説明する。
ここで、操作釦が操作された側の操作器を第1の操作器、操作釦が操作されていない側の操作器を第2の操作器とする。操作釦が操作された側の操作器であるか否かは、変形例2の応答器11が受信した質問信号300のフラグ305の値でわかる。
図9(b)は変形例2の応答信号1000のデータの構成図である。操作器1ID1004は、操作釦が操作された側の操作器(第1の操作器)の識別情報、RSSI値11005は第1の操作器からそうしんする質問信号300のRSSI値、操作器2ID1006は、操作釦が操作されていない側の操作器(第2の操作器)の識別情報、RSSI値21007は第2の操作器から送信する質問信号300のRSSI値である。これ以外のデータは実施の形態1と同様なので説明は省略する。
【0076】
変形例2の応答器11は操作器12A及び12Bから送信される質問信号300を受信し、その受信強度を測定する。変形例2の応答器11は、測定した質問信号300の受信強度の比較は行わず、図9(b)で示すように、そのRSSI値を含む応答信号1000を生成し、送信する。
応答信号1000を受信した制御回路141で、応答信号1000に含まれるRSSI値11005とRSSI値21007を比較する。そして、RSSI値11005がRSSI値21007よりも大きい場合には、操作釦が操作された操作器から送信する質問信号300のRSSI値が大きいと判断して、応答器ID1008が予め登録されている応答器の識別情報と一致するか否かの認証を行い、一致する場合には電気錠18A、18Bの解錠を行う。一方、RSSI値11005の方が小さい場合には、電気錠18A、18Bの解錠を行わない。
【0077】
このように、応答器11は、質問信号300のRSSI値の比較を行わないので変形例2の応答器11の処理の負担が低減される。
(3)変形例3
上述のそれぞれの実施の形態1及び2では、質問信号300のRSSI値を、応答器11の直交する3軸のLFアンテナ114のRSSI値の合成値を用いたが、次のようにアンテナの軸毎のRSSI値を用いてもよい。
【0078】
すなわち、応答器11の3軸のLFアンテナ114のX軸、Y軸、Z軸のアンテナで受信した操作器12Aから送信する質問信号300のRSSI値をそれぞれ、Rax1、Ray1、Raz1とし、同様に、操作器12Bから送信する質問信号300のX軸、Y軸、Z軸のアンテナそれぞれで受信したRSSI値をRbx1とRby1、Rbz1とする。
【0079】
それぞれ軸ごとのRSSI値を比較し、例えば、Rax1>Rbx1、Ray1>Rby1、Raz1>Rbz1が全て満たされた場合に、変形例3の応答器11の制御回路111は、RSSI値が大きい方の操作器に近いと判断する。上記の場合は3軸全てに対して操作器12Aから送信される質問信号300のRSSI値が大きいので、変形例3の制御回路141は、操作釦13Aが操作された側の操作器12Aから送信される質問信号300のRSSI値が大きいと判断してもよい。または、Rax1、Ray1、Raz1(Rax2、Ray2、Raz2)の中で最大値の軸のみに着目し、その1軸間(Rax1>Rbx1)のみの比較でどちらの操作器側に存在するかを判断しても良い。
(4)変形例4
実施の形態2では、扉15の内外の操作器12A及び12Bのうち、受信強度が強い方の操作器12A又は12Bから送信される質問信号300のRSSI値の変化を放置判断に用いたが、放置判断の方法はこれに限られない。
【0080】
例えば、受信強度が小さい側の操作器からの信号のRSSI値の変化を利用してもよいし、どちらか一方の操作器から送信する質問信号300を用いるのではなく、両方の操作器から送信する質問信号300のRSSI値の変化が共に一定値以内であることを放置判断に用いてもよい。
(5)変形例5
上記実施の形態2では、応答器11が一定時間放置状態である場合に自器をスリープ状態にしていたが、放置状態であると判断した変形例5の応答器11が放置信号700を送信し、変形例5の応答器11から前記放置信号700を受信した制御回路141は、操作器12A又は12Bを介して、スリープ指示信号600を送信し、応答器11をスリープ状態にしてもよい。なお、変形例5の応答器11から放置信号700を受信した場合には、制御回路141は、電気錠18A、18Bの解錠を行わない。
以下、実施の形態2で示したものと変更のない点についての説明は省略し、変更のある点を、重点的に説明する。
【0081】
<構成>
<報知装置>
変形例5の電気錠システム1は、更に、変形例5の応答器11が放置状態である場合に、その旨を人が感知できるよう報知する報知装置を具備する。
報知装置は、例えば、ブザーやLEDであり、変形例5の制御回路141に接続され、変形例5の制御回路141は、変形例5の応答器11から放置信号700を受信すると、ブザーを鳴らしたり、LEDを点灯、点滅したりして、屋内にいる人に注意を促す。
【0082】
<変形例5の応答器11の制御回路111>
変形例5の応答器11の制御回路111は、更に休止時間を計測するタイマを含んで構成される。これにより、制御回路111は、休止時間の経過を計測でき、休止時間が経過したら通常状態に復帰する処理を行う。
<操作器12A、12Bから送信するスリープ指示信号600のデータ>
図10(a)は、操作器12A又は12Bから送信される、スリープ指示信号600のデータの構成を示す図である。
【0083】
コマンド603は変形例5の応答器11をスリープさせるコマンドであり、休止時間604は、変形例5の応答器11をスリープさせる時間を示す情報であり、応答器ID606は、スリープさせる応答器の識別情報である。
PR601、UW602、操作器ID605、CRC607は、それぞれ質問信号300のPR301、UW302、操作器ID304、CRC306と同じなので説明は省略する。
【0084】
<応答器11から送信する放置信号700のデータ>
図10(b)は、変形例5の応答器11から送信される放置信号700のデータの構成を示す図である。
フラグ705は、変形例5の応答器11が放置状態にあるか否かを示すフラグであり、以下、一例として放置状態であると判断された場合を「1」、そうでない場合を「0」とする。
【0085】
<動作>
図11は、放置信号700を送信する場合の変形例5の応答器11の制御回路111の処理のフローチャートである。
放置されているか否かの判断は実施の形態2と共通なので説明は省略する。
変形例5の応答器11は、ステップS54で放置と判断された場合(ステップS54:Yes)、図10(b)のフラグ705に「1」をセットした放置信号700を生成し(ステップS61)、UHF送信回路115を介して、放置信号700を送信する(ステップS62)。
【0086】
制御回路141では、放置信号700を受信すると、スリープ状態に移行する指示のコマンドをコマンド603にセットし、スリープ状態を維持する時間(例えば5分間)を休止時間604にセットし、フラグ705が放置状態を示す「1」である応答器の識別情報を応答器ID606にセットしたスリープ指示信号600を生成する。そして、応答器11で受信した操作器12A及び12Bから送信する質問信号300のRSSI値のうち、大きい方の操作器、すなわち、操作器12Aからスリープ指示信号を送信する。
【0087】
前記スリープ指示信号600を受信した変形例5の応答器11の制御回路111は、スリープ指示信号600に含まれる応答器の識別情報である応答器ID606と自器の応答器の識別情報とを比較し、自器の識別情報と一致するか否かを判断する。応答器ID606の情報が自器の識別情報と一致する場合には、休止時間604で指定された時間、自器をスリープ状態にする。一致しない場合には、変形例5の応答器11は、通常状態を維持する。
【0088】
スリープ状態への移行は、制御回路111が指定された時間を内蔵メモリにセットし、CPUのクロックを低速モードに切り替え、LF受信回路112とUHF送信回路115と表示回路117への電力供給を停止することによって行う。
セットされた休止時間が経過したか否かをタイマによって計測し、休止時間経過後に、制御回路141は、自器のCPUのクロックを通常状態に戻し、LF受信回路112やUHF送信回路115や表示回路への電力供給を行う。
【0089】
スリープ指示信号600によりスリープ状態になった変形例5の応答器11は、指定された休止時間経過後は、通常状態に復帰し、質問信号300の受信可能状態になる。このため、制御回路141は、スリープ状態から復帰した変形例5の応答器11が、依然として放置状態であるか否かを確認するため、スリープ指示信号600を送信後、スリープ指示信号600で指定した休止時間を経過した後に、ステップS41からの一連の処理を行い、変形例5の応答器11が放置状態であるか否かを確認する。
【0090】
この構成によれば、変形例5の応答器11が放置状態である場合、電源119の消耗を抑制できる。また、指定時間後はスリープ状態から通常状態に復帰するので、放置状態でなくなった場合に、実施の形態2のように応答器11の操作釦118を操作することなくスリープ状態から通常状態に復帰させることができる。
変形例5の応答器11から放置信号700を受信した制御回路141は、報知装置を駆動する。例えば、ブザーを鳴らしたり、LEDを点灯、点滅したりして、屋内にいる人に注意を促す。
【0091】
このように変形例5の応答器11の置忘れを通知することによって、質問信号300の通信エリア内に変形例5の応答器11が放置状態である状況を回避することによって誤解錠を防止できる。
(6)変形例6
上述のそれぞれの実施の形態1及び2では、制御ユニット14のLF送信回路は、操作器それぞれに別のLF送信回路を有する構成であるが、図12で示すようにLF送信回路142と、アンテナ切替SW(スイッチ)148とで構成してもよい。
【0092】
制御回路141は、質問信号300を送信する場合に、どの操作器のLFアンテナから質問信号300を送信させるかをアンテナ切替SW148に指示し、アンテナ切替SW148は送信するLFアンテナを切り替えて、質問信号300を送信する。
この構成によると、操作器ごとにLF送信回路を具備する必要がなく、1つのLF送信回路でそれぞれの操作器から送信する質問信号300を制御することができる。
<4.補足>
以下、更に本発明の一実施形態としての電気錠システムの構成及びその変形例と効果について説明する。
(a)本発明の一実施形態に係る電気錠システムは、図1に示すように、信号送信を制御する操作釦13A、13Bを有する複数の操作器12A及び12Bと、受信信号の信号強度の測定手段を有する応答器11と、応答器での測定強度が最大の操作器が扉の操作側の操作器であることを条件として解錠を行う錠制御装置とを備える。
【0093】
この構成によると、どちらかの操作装置が操作された場合に、各々の操作器は、質問信号を送信する。応答器は、前記質問信号を受信し、各々の操作器からの受信信号の信号強度を測定する。各々の操作器からの信号強度を比較することによって応答器が、扉の操作側の操作器側にある否かを判別できるので、電気錠の誤解錠を防止できる。
(b)前記操作器は、当該操作器が開扉操作をしようとする側に所在する操作器であるか否かを示す情報を含む質問信号を送信するようにしてもよい。
【0094】
この構成によると、操作器から送信される質問信号を受信した応答器は、開扉操作をしようとする側に所在する操作器から送信される質問信号か否かの判断をすることができる。
(c)前記応答器は、前記各操作器からの質問信号のうち測定強度が最大の質問信号が、開扉操作をしようとする側に所在する操作器からであることを示す情報を含む場合には、応答信号の送信を行い、測定強度が最大の質問信号が、開扉の操作をしていない側に設置された操作器からであることを示す情報を含む場合には、応答信号の送信を抑止し、前記錠制御装置は、前記応答器からの応答信号を受信したことを条件として、前記解錠を行うようにしてもよい。
【0095】
この構成によると、各操作器からの信号を受信し比較した結果、応答器は、扉の操作側に所在しない操作器からの受信信号の信号強度が最大でない場合には、応答信号を送信しないので、応答器の電力消費を抑制できる。
(d)前記応答器は、前記各操作器からの質問信号のうち測定強度が最大の質問信号が、開扉操作をしようとする側に所在する操作器からであるか否かを判別し、当該判別の結果を示す情報を含む応答信号を送信し、前記錠制御装置は、測定強度が最大の質問信号が開扉操作をしようとする側に所在する操作器からであることを示す情報を含む応答信号を前記応答器から受信したことを条件に、前記解錠を行うようにしてもよい。
【0096】
この構成によると、応答器は、各操作器からの受信信号のRSSI値を比較し、扉の操作側に所在しない操作器からの受信信号の信号強度が最大であるか否かの情報を含む応答信号を送信する。前記応答信号を受信した前記錠制御装置は、前記応答器が扉の操作側に所在する操作器から送信される質問信号が各操作器から送信される質問信号のうち受信強度が最大であるか否かを判別できるので電気錠の誤解錠を防止できる。
(e)前記応答器は、前記各操作器からの質問信号各々について、当該質問信号を送信した操作器が開扉操作をしようとする側に所在するか否かを示す情報と当該質問信号に係る受信強度の測定値とを対応付けて含む応答信号を送信し、前記錠制御装置は、前記応答器から受信した応答信号に含まれる各測定値の比較により、最大の測定値に対応する操作器が開扉操作をしようとする側に所在するか否かを判定し、肯定的に判定したことを条件に前記解錠を行うようにしてもよい。
【0097】
この構成によると、応答器は、操作器から受信した質問信号の受信強度と操作器IDを対応付けた情報を応答信号に含めて送信することができ、応答信号を受信した錠制御装置は、最大の測定値に対応する操作器が扉の操作された側に所在するか否かを判定できる。これにより電気錠の解錠を制御し、誤解錠を防止できる。
また、応答器は、受信強度の比較や判断を行わないので、応答器の処理の負担を低減できる。
(f)前記各操作器は、開扉操作された場合に、前記質問信号に自器の識別情報を含めて、複数回送信するようにしてもよい。
【0098】
この構成によると、各操作器からは複数回質問信号が送信されるので、受信信号のRSSI値の測定に複数回分の受信信号の平均値を用いることができる。
(g)扉の開扉操作された場合に、前記操作器の各々が相互に重複しない送信期間で前記質問信号の送信を行うようにしてもよい。
この構成によると、各操作器からの信号は重ならないので、送信周波数を変えなくてもよい。
(h)前記応答器は、互いに直交する3軸のアンテナを備え、前記受信強度の測定に係る測定値は、各軸アンテナに係る受信強度の測定値を合成した値であるようにしてもよい。
【0099】
この構成によると、受信強度の測定は、直交する3軸のアンテナで受信した信号強度の合成値を用いるため、応答器がどのような向きで質問信号を受信しても、応答器の向きに関係なく、受信強度の比較ができる。
(i)前記応答器は、互いに直交する3軸のアンテナを備え、前記受信強度の測定に係る測定値は、各軸アンテナ毎の受信強度の値を要素とし、前記各操作器からの質問信号のうち測定強度が最大の質問信号は、3軸のいずれか1つ以上のアンテナについての受信強度の値が最大となる質問信号であるようにしてもよい。
【0100】
この構成によると、信号強度を合成せずに比較できるので比較処理の負担を低減できる。
(j)前記各操作器は、更に、自器の識別情報を含む信号を周期的に繰り返して送信し、
前記応答器は、一の操作器からの同一の識別情報を含む複数の信号の受信強度が一定範囲内に一定期間保たれている場合には、応答信号を送信しないようにしてもよい。
【0101】
この構成によると、応答器は、操作器からの信号を繰り返し受信し、各信号の受信強度の変動が一定範囲内である状態が一定期間続いている場合には、応答器の位置や向きの変化がない放置状態と判断できるので、この場合には、応答信号を送信しないことで電気錠の誤解錠を防止できる。
(k)前記応答器は、一の操作器からの同一の識別情報を含む複数の信号の受信強度が一定範囲内に一定期間保たれている場合に、自器をスリープ状態にするようにしてもよい。
【0102】
この構成によると、応答器は、一定期間、操作器からの信号の信号強度の変動が一定範囲内である場合に、自器をスリープ状態にするので、当該応答器は質問信号を受信せず、又は受信しても応答信号を送信しないので、電気錠の誤解錠を防止でき、応答器の消費電力も抑制できる。
(l)前記応答器は、一の操作器からの同一の識別情報を含む複数の信号の受信強度が一定範囲内に一定期間保たれている場合には、放置状態にある旨を示す放置信号を送信し、 前記錠制御装置は、前記応答器から前記放置信号が送信されたことを受けて、当該応答器を所定時間スリープさせるスリープ指示信号を前記操作器に送信させ、前記スリープ指示信号を受信した応答器は、スリープ状態に移行し、移行後一定時間経過した場合に、通常状態に復帰するようにしてもよい。
【0103】
この構成によると、応答器は、質問信号が指示した一定時間だけ自器をスリープ状態にし、一定時間経過後は通常状態に復帰するので、スリープ状態から復帰操作をし忘れることがない。
(m)前記応答器は、スリープ状態である場合と通常状態である場合とでは異なる表示をする表示手段を有するようにしてもよい。
【0104】
この構成によると、利用者は、応答器が、通常状態であるのかスリープ状態であるのかを確認することができる。
(n)前記応答器は、スリープ状態から復帰させるための操作部材を有し、前記操作部材を操作された場合にスリープ状態から通常状態に復帰するようにしてもよい。
この構成によると、利用者は、応答器を利用するときまで、応答器をスリープ状態にしておくことができるので、応答器の消費電力を抑えることができる。
(o)前記応答器は、一の操作器からの同一の識別情報を含む複数の信号の受信強度が一定範囲内に一定期間保たれている場合には、放置状態にある旨を示す放置信号を送信し、前記電気錠システムは、前記応答器から前記放置信号が送信されたことを受けて、前記応答器が放置状態にある旨を人が感知できるよう報知する報知装置を更に備えるようにしてもよい。
【0105】
この構成によると、応答器は、通信エリア内で放置状態である判断した場合、放置信号を送信するので、放置信号を受信した電気錠システムは、前記報知装置によって、前記応答器が放置されていることを人に通知することができる。
(p)本発明の一実施形態に係る電気錠システムの応答器は、複数の操作器を具備する電気錠システムの応答器であって、前記操作器からの質問信号を受信し、当該質問信号の信号強度を測定する測定手段と、前記測定手段で測定した信号強度に基づき応答信号の送信を制御する制御手段とを備えるようにしてもよい。
【0106】
この構成によると、応答器は受信した質問信号の信号強度を測定し、応答信号を制御するので、電気錠の解錠を制御することができる。
(q)前記制御手段は、前記各操作器からの質問信号のうち測定強度が最大の質問信号が、開扉操作をしようとする側に所在する操作器からであることを示す情報を含む場合には、応答信号の送信を行い、測定強度が最大の質問信号が、開扉操作をしようとする側に所在しない操作器からであることを示す情報を含む場合には、応答信号の送信を抑止するようにしてもよい。
【0107】
この構成によると、応答器は、自器が開扉操作された操作器側にあるか否かを判断でき、
開扉側操作した側にない場合に応答信号を送信しないので、誤解錠を防止できる。
(r)前記制御手段は、前記各操作器からの質問信号のうち測定強度が最大の質問信号が、開扉操作をしようとする側に所在する操作器からであるか否かを判別し、当該判別の結果を示す情報を含む応答信号を送信するようにしてもよい。
【0108】
この構成によると、応答器は、受信した質問信号から自器が開扉操作された操作器側にあるか否かを判断し、その判断結果を含む応答信号を送信するので、前記応答信号を受信したシステムは解錠判断に利用でき、誤解錠を防止できる。
(s)前記制御手段は、前記各操作器からの質問信号各々について、当該信号を送信した操作器が開扉操作をしようとする側に所在するか否かを示す情報と当該信号に係る受信強度の測定値とを対応付けて含む応答信号を送信するようにしてもよい。
【0109】
この構成によると、応答器は、各操作器の受信強度の測定値と、開扉操作をしようとする側に所在するか否かを示す情報とを対応付けた情報を含む応答信号を送信するので、前記応答信号を受信したシステムは、信号強度の比較ができ、誤解錠を防止できる。
【符号の説明】
【0110】
1 電気錠システム
11 応答器
12A、12B 操作器
13A、13B、118 操作釦
14 制御ユニット
15 扉
16 UHF受信回路
18A、18B 電気錠
111、141 制御回路
112 LF受信回路
113 RSSI検知回路
114、145A、145B LFアンテナ
115 UHF送信回路
117、146A、146B 表示回路
142、142A、142B LF送信回路
143A、143B 電気錠駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の外側と内側に設置された2つの操作器と、
前記2つの操作器からの質問信号の受信強度を測定する応答器と、
応答器での測定強度が最大の操作器が、開扉操作をしようとする側に設置された操作器であることを条件として解錠する錠制御装置と
を備える電気錠システム。
【請求項2】
前記操作器は、当該操作器が開扉操作をしようとする側に所在する操作器であるか否かを示す情報を含む質問信号を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気錠システム。
【請求項3】
前記応答器は、前記各操作器からの質問信号のうち測定強度が最大の質問信号が、開扉操作をしようとする側に所在する操作器からであることを示す情報を含む場合には、応答信号の送信を行い、測定強度が最大の質問信号が、開扉の操作をしていない側に設置された操作器からであることを示す情報を含む場合には、応答信号の送信を抑止し、
前記錠制御装置は、前記応答器からの応答信号を受信したことを前記条件として、前記解錠を行う
ことを特徴とする請求項2に記載の電気錠システム。
【請求項4】
前記応答器は、前記各操作器からの質問信号のうち測定強度が最大の質問信号が、開扉操作をしようとする側に所在する操作器からであるか否かを判別し、当該判別の結果を示す情報を含む応答信号を送信し、
前記錠制御装置は、測定強度が最大の質問信号が開扉操作をしようとする側に所在する操作器からであることを示す情報を含む応答信号を前記応答器から受信したことを前記条件として、前記解錠を行う
ことを特徴とする請求項2に記載の電気錠システム。
【請求項5】
前記応答器は、前記各操作器からの質問信号各々について、当該質問信号を送信した操作器が開扉操作をしようとする側に所在するか否かを示す情報と当該質問信号に係る受信強度の測定値とを対応付けて含む応答信号を送信し、
前記錠制御装置は、前記応答器から受信した応答信号に含まれる各測定値の比較により、最大の測定値に対応する操作器が開扉操作をしようとする側に所在するか否かを判定し、肯定的に判定したことを前記条件として、前記解錠を行う
ことを特徴とする請求項2に記載の電気錠システム。
【請求項6】
前記各操作器は、開扉操作された場合に、前記質問信号に自器の識別情報を含めて、複数回送信する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気錠システム。
【請求項7】
開扉操作された場合に、前記操作器の各々が相互に重複しない送信期間で前記質問信号の送信を行う
ことを特徴とする請求項6に記載の電気錠システム。
【請求項8】
前記応答器は、互いに直交する3軸のアンテナを備え、
前記受信強度の測定に係る測定値は、各軸アンテナに係る受信強度の測定値を合成した値である
ことを特徴とする請求項7に記載の電気錠システム。
【請求項9】
前記応答器は、互いに直交する3軸のアンテナを備え、
前記受信強度の測定に係る測定値は、各軸アンテナ毎の受信強度の値を要素とし、
前記各操作器からの質問信号のうち測定強度が最大の質問信号は、3軸のいずれかのアンテナについての受信強度の値が最大となる質問信号である
ことを特徴とする請求項7に記載の電気錠システム。
【請求項10】
前記各操作器は、更に、自器の識別情報を含む質問信号を周期的に繰り返して送信し、
前記応答器は、一の操作器からの同一の識別情報を含む複数の質問信号の受信強度が一定範囲内に一定期間保たれている場合には、応答信号を送信しない
ことを特徴とする請求項1に記載の電気錠システム。
【請求項11】
前記応答器は、一の操作器からの同一の識別情報を含む複数の質問信号の受信強度が一定範囲内に一定期間保たれている場合に、自器をスリープ状態にする
ことを特徴とする請求項10に記載の電気錠システム。
【請求項12】
前記応答器は、一の操作器からの同一の識別情報を含む複数の質問信号の受信強度が一定範囲内に一定期間保たれている場合には、放置状態にある旨を示す放置信号を送信し、
前記錠制御装置は、前記応答器から前記放置信号が送信されたことを受けて、当該応答器を所定時間スリープさせるスリープ指示信号を前記操作器に送信させ、
前記スリープ指示信号を受信した応答器は、スリープ状態に移行し、移行後一定時間経過した場合に、通常状態に復帰する
ことを特徴とする請求項10に記載の電気錠システム。
【請求項13】
前記応答器は、スリープ状態である場合と通常状態である場合とでは異なる表示をする表示手段を有する
ことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の電気錠システム。
【請求項14】
前記応答器は、スリープ状態から復帰させるための操作部材を有し、
前記操作部材を操作された場合にスリープ状態から通常状態に復帰する
ことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の電気錠システム。
【請求項15】
前記応答器は、一の操作器からの同一の識別情報を含む複数の質問信号の受信強度が一定範囲内に一定期間保たれている場合には、放置状態にある旨を示す放置信号を送信し、
前記電気錠システムは、前記応答器から前記放置信号が送信されたことを受けて、前記応答器が放置状態にある旨を人が感知できるよう報知する報知装置を更に備える
ことを特徴とする請求項10に記載の電気錠システム。
【請求項16】
複数の操作器を具備する電気錠システムの応答器であって、
前記操作器からの質問信号を受信し、当該質問信号の信号強度を測定する測定手段と、
前記測定手段で測定した信号強度に基づき応答信号の送信を制御する制御手段と
を備える応答器。
【請求項17】
前記制御手段は、前記各操作器からの質問信号のうち測定強度が最大の質問信号が、開扉操作をしようとする側に所在する操作器からであることを示す情報を含む場合には、応答信号の送信を行い、測定強度が最大の質問信号が、開扉操作をしようとする側に所在しない操作器からであることを示す情報を含む場合には、応答信号の送信を抑止する
ことを特徴とする請求項16に記載の応答器。
【請求項18】
前記制御手段は、前記各操作器からの質問信号のうち測定強度が最大の質問信号が、開扉操作をしようとする側に所在する操作器からであるか否かを判別し、当該判別の結果を示す情報を含む応答信号を送信する
ことを特徴とする請求項16に記載の応答器。
【請求項19】
前記制御手段は、前記各操作器からの質問信号各々について、当該質問信号を送信した操作器が開扉操作をしようとする側に所在するか否かを示す情報と当該質問信号に係る受信強度の測定値とを対応付けて含む応答信号を送信する
ことを特徴とする請求項16に記載の応答器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−44161(P2013−44161A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182637(P2011−182637)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】