説明

電池パック

【課題】二次電池や非接触充電用モジュールに形状誤差や寸法誤差が存在しても、二次電池を非接触充電用モジュールに取り付けたときに両者の安定した電気的導通状態を確保することのできる電池パックを提供する。
【解決手段】電池パック33は、1次側コイルと対向するように配置される2次側コイル40を内蔵した非接触充電用モジュール35と、この非接触充電用モジュール35に着脱可能に取り付けられて2次側コイル40の起電力により充電される二次電池36とを備え、二次電池36および非接触充電用モジュール35にはそれらが取り付け状態であるときに接触して両者を電気的に導通させる接続ピン45およびピン受部63がそれぞれ設けられている。二次電池36が非接触充電用モジュール35に取り付けられたときに、接続ピン45およびピン受部63を押圧状態にて接触させ、それらを電気的導通状態に維持する突起64がピン受部63に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1次側コイルと対向するように配置されることでその1次側コイルの交番磁束により誘導起電力を発生する2次側コイルを内蔵した非接触充電用モジュールと、2次側コイルに発生した誘導起電力により充電される二次電池とを備える電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されるように、電池ケース等、2次側コイルを内蔵した非接触充電用モジュールに対して二次電池を着脱可能に構成した電池パックが知られている。このような電池パックにあっては、二次電池の耐用期間が過ぎてその充放電能力が低下した場合であっても、二次電池のみを非接触充電用モジュールから取り外してこれを交換することができる。このため、二次電池および非接触充電用モジュールが一体化された電池パックとは異なり、非接触充電用モジュールを繰り返し使用することができるようになる。
【0003】
ところで、このように2次電池を非接触充電用モジュールに着脱可能に構成した場合には、二次電池を非接触充電用モジュールに取り付けるに際してそれらを電気的に導通させる必要がある。このため、二次電池および非接触充電用モジュールにはそうした電気的導通を図るための端子がそれぞれ設けられている。二次電池が非接触充電用モジュールに取り付けられる際には、これら端子が接触して電気的に接続するようになり、二次電池は非接触充電用モジュールの二次側コイルに発生する電力によって充電可能な状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−63655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、二次電池や非接触充電用モジュールに形状誤差や寸法誤差が存在すると、二次電池を非接触充電用モジュールに取り付けたときには以下の問題が生じる。すなわち、そうした形状誤差や寸法誤差の分だけ二次電池の端子と非接触充電用モジュールの端子との位置関係が本来の状態から変化する余裕が存在することとなるため、各端子が一時的に非接触状態となる等、それらの接触状態が不安定なものとなるおそれがある。このように各端子の接触状態が不安定な状況のもとでは、二次電池および非接触充電用モジュールについてそれらの確実な電気的導通状態を確保することが困難となる。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、二次電池や非接触充電用モジュールに形状誤差や寸法誤差が存在しても、二次電池を非接触充電用モジュールに取り付けたときに両者の安定した電気的導通状態を確保することのできる電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電池パックは、1次側コイルと対向するように配置されることでその1次側コイルの交番磁束により誘導起電力を発生する2次側コイルを内蔵した非接触充電用モジュールと、この非接触充電用モジュールに着脱可能に取り付けられて2次側コイルの誘導起電力により充電される二次電池とを備え、二次電池および非接触充電用モジュールにはそれらが取り付け状態であるときに接触して両者を電気的に導通させる端子がそれぞれ設けられ、二次電池が非接触充電用モジュールに取り付けられたときに、それらの各端子を押圧状態にて接触させて電気的導通状態に維持する押圧手段を備えることを特徴とする。
【0008】
ここで、二次電池および非接触充電用モジュールの各端子のいずれか一方を接続ピン、他方をこの接続ピンと接触するピン受部とした電池パックにあっては、このピン受部に形成されて接続ピンが同ピン受部に接続されるときに弾性変形してその弾性力により接続ピンを押圧する突出部として押圧手段を具現化することができる。
【0009】
さらに、二次電池および非接触充電用モジュールが挿入されるケースをさらに備える電池パックであれば、二次電池および非接触充電用モジュールの少なくとも一方とケースとに選択的に設けられ、二次電池および非接触充電用モジュールが挿入されてそれらの端子が接触するときに嵌合するとともにその嵌合に伴って両端子が押圧状態となるようにその位置関係が設定されてなる凸部および凹部として押圧手段を具現化することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる電池パックによれば、二次電池や非接触充電用モジュールに形状誤差や寸法誤差が存在しても、二次電池を非接触充電用モジュールに取り付けたときに両者の安定した電気的導通状態を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を携帯電話用の電池パックとして具体化した第1実施形態について、その電池パックが内蔵された携帯電話およびその非接触式充電装置の断面構造を示す断面図。
【図2】同電池パックおよび非接触充電装置の回路構成を示すブロック図。
【図3】同電池パックの分解斜視構造を示す斜視図。
【図4】同電池パックについて、(a)は非接触充電用モジュールおよびこれに取り付けられた二次電池の断面構造を示す断面図、(b)は(a)において一点鎖線円で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図、(c)は(b)において一点鎖線円で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる電池パックについて、その分解斜視構造を示す斜視図。
【図6】同電池パックについて、(a)はケースに二次電池が挿入される前のそれらの断面構造を示す断面図、(b)はケースに二次電池が挿入された後のそれらの断面構造を示す断面図、(c)は(b)において一点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す拡大断面図。
【図7】本発明の第3実施形態にかかる電池パックについて、その分解斜視構造を示す斜視図。
【図8】同電池パックについて、(a)〜(d)は同電池パックのケースに二次電池および非接触充電用モジュールが挿抜させる機構の作動態様を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、電池パック33が内蔵された携帯電話1、およびその電池パック33の二次電池36を充電するための充電装置2の各断面構造をそれぞれ示している。
【0013】
樹脂材料等、非磁性体からなる携帯電話1のハウジング30には、各種情報を表示する表示部31と、携帯電話1を操作する操作部32とが設けられている。携帯電話1の電源となる電池パック33は、このハウジング30に着脱可能に収納されている。
【0014】
電池パック33は、2次側コイル40を内蔵する非接触充電用モジュール35と、同非接触充電用モジュール35に対して着脱可能な二次電池36と、これらを収納するケース34とによって構成されている。また、電池パック33の内部には、2次側コイル40を含めて構成され、二次電池36を充電するための2次側回路50(図2参照)が設けられている。
【0015】
樹脂材料等、非磁性体からなる充電装置2のハウジング10には、1次側コイル11および回路基板12を含む1次側回路20が内蔵されている。1次側コイル11は、導電線を環状に巻回してなる巻線体14とこれを収容する磁性体からなるヨーク13とにより構成されている。
【0016】
次に、図2を参照して1次側回路20および2次側回路50の構成について説明する。
1次側回路20は、大きくは、交流電源ACに接続される電源回路21と、同電源回路21および1次側コイル11がそれぞれ接続される電力伝送回路22とにより構成されている。
【0017】
この電源回路21では、交流電源ACの交流電流が整流回路23によって直流電流に整流され、その整流された直流電流が発振回路24を通じて所定周波数の交流電流に変換された後、電力伝送回路22に供給される。ここで、電力伝送回路22は、1次側コイル11に供給する交流電流の供給態様を制御する。
【0018】
一方、2次側回路50は、大きくは、2次側コイル40に接続される整流回路51と、整流回路51に接続される充電回路52とにより構成されている。この充電回路52は、二次電池36に電気的に接続されている。
【0019】
整流回路51は、2次側コイル40に生じた誘導電流を直流電流に整流する。この直流電流は充電回路52を通じて二次電池36に供給される。充電回路52は、二次電池36の充電状態を検知するとともに、その検知結果を電力伝送回路22に送信する。すなわち、充電回路52は、二次電池36の充電完了状態を検知したときには充電停止信号を、二次電池36の充電未完了状態を検知したときには充電許可信号を電力伝送回路22にそれぞれ送信する。なお、こうした充電停止信号および充電許可信号の送信は2次側回路50の2次側コイル40と1次側回路20の1次側コイル11との間の電磁誘導を用いて行われる。
【0020】
充電装置2による携帯電話1の充電動作について説明する。
図1に示すように、携帯電話1がハウジング10に載置されると、充電装置2の1次側コイル11と電池パック33の2次側コイル40とが対向して近接した状態となる。
【0021】
ここで、二次電池36が充電未完了状態であれば、充電回路52から電力伝送回路22に対して充電許可信号が送信されるため、電力伝送回路22はその充電許可信号に基づいて1次側コイル11に交流電流を供給する。その結果、2次側コイル40には、1次側コイル11に発生した交番磁束により誘導起電力が発生し、同1次側コイル11に供給された所定周波数の交流電流に対応した交流電流(誘導電流)が流れるようになる。そして、この誘導電流は整流回路51により直流電流に整流されて充電回路52を通じて二次電池36に供給される。すなわち、二次電池36の充電がなされるようになる。
【0022】
一方、二次電池36が充電完了状態となると、充電回路52から電力伝送回路22に対して充電停止信号が送信されるため、電力伝送回路22はその充電停止信号に基づいて1次側コイル11に交流電流の供給を停止する。その結果、二次電池36の充電が停止されるようになる。
【0023】
次に、図3および図4を参照して、電池パック33の構成について詳細に説明する。
図3に示すように、電池パック33のケース34は有底角筒状をなし、その内部には底面34Aから順に非接触充電用モジュール35および二次電池36がそれぞれ収納される。なお、非接触充電用モジュール35はケース34に収納された後、図示しないビスによりケース34に固定される。
【0024】
ケース34の対向する側壁には、携帯電話1(図1参照)に取り付けるための一対の突起34Bが設けられている。この突起34Bが携帯電話1に設けられた凹部(不図示)に嵌合することにより、電池パック33は携帯電話1に取り付けられる。また、携帯電話1に電池パック33が取り付けられた状態において、ケース34は携帯電話1と面一となっている。すなわち、携帯電話1のハウジング30にその一部が電池パック33のケース34によって構成されている。
【0025】
非接触充電用モジュール35には、2次側コイル40と、整流回路51および充電回路52(図2参照)が形成された回路基板41とが設けられている。またこの回路基板41には、二次電池36を2次側回路50(具体的にはその充電回路52)に対して電気的に接続するための雄型コネクタ42が設けられている。この雄型コネクタ42には、二次電池36に直流電流を供給するためのプラス端子およびマイナス端子と、二次電池36の電流および電圧を検出するための信号端子といった3本の接続ピン45が設けられている。
【0026】
2次側コイル40は、平板形状の磁性シート43と、導電線を環状に巻回してなる巻線体44とによって構成されている。この巻線体44は、磁性シート43の下面、すなわちケース34の底面34A側の面に取り付けられるとともに、その各端部44A,44Bが回路基板41に電気的に接続されている。
【0027】
二次電池36において、その外枠を構成するハウジング61の内部には、充電セル(不図示)が内蔵されている。また、このハウジング61には、非接触充電用モジュール35の雄型コネクタ42に接続される雌型コネクタ62の他、携帯電話1(図1参照)のCPU等に電力を供給するためのピン61Aが設けられている。
【0028】
図4(a)に示すように、ケース34に非接触充電用モジュール35および二次電池36が収納された状態(以下、「収納状態」)において、雄型コネクタ42と雌型コネクタ62とが接続される。これにより、非接触充電用モジュール35と二次電池36との電気的導通が図られることとなる。
【0029】
図4(b)に示すように、雌型コネクタ62には、雄型コネクタ42の各接続ピン45と電気的に接続される3本のピン受部63が設けられている。
非接触充電用モジュール35に二次電池36を取り付けた状態では、各コネクタ42,62が嵌合されるとともに、各ピン受部63が各接続ピン45に挿通されるようになる。
【0030】
図4(c)に示すように、ピン受部63には、接続ピン45に向けて突出する突起64が形成されている。ピン受部63が接続ピン45に挿通されるとき、この突起64が接続ピン45の外周面に接触することにより、ピン受部63において同突起64近傍には弾性変形が生じる。このため、ピン受部63の接続ピン45への挿通が完了したとき、ピン受部63の弾性変形に起因する復元力Fにより、突起64は接続ピン45の外周面に押圧された状態となる。なお、突起64は、二次電池が非接触充電用モジュールに取り付けられたときに、これらのピン受部63および接続ピン45を押圧状態にて接触させて電気的導通状態を維持する押圧手段として機能する。また、接続ピン45およびピン受部63は、二次電池36が非接触充電用モジュール35に取り付けられた状態にあるときに、それらを電気的に導通させるための端子として機能する。
【0031】
本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、二次電池36が非接触充電用モジュール35に取り付けられると、ピン受部63の突起64が接続ピン45を押圧するため、それらの接続ピン45およびピン受部63は押圧状態にて接触するようになる。このため、両コネクタ42,62も含め、二次電池36や非接触充電用モジュール35の形状誤差や寸法誤差が存在する場合でも、電池パック33に外部衝撃が加わることに起因して接続ピン45およびピン受部63の上記押圧方向への離間を回避することができる。このため、二次電池36と非接触充電用モジュール35との安定した電気的導通状態を維持することができるようになる。
【0032】
(2)また、ピン受部63の突起64が接続ピン45の外周面を押圧するため、その押圧方向と直交する方向、すなわち二次電池36が非接触充電用モジュール35に対して外れる方向に移動しようとしても、突起64の接続ピン45への押圧力がその移動の抵抗力となる。したがって、二次電池36が非接触充電用モジュール35に対して外れることを抑制することができる。この点においても、二次電池36と非接触充電用モジュール35の安定した電気的導通状態を維持することができる。
【0033】
(3)接触充電式の電池パックと比較した場合、本実施形態に示した非接触充電式の電池パックでは、非接触充電用モジュール35およびケース34の分だけその厚さが制限されることとなる。この点、本実施形態では、電池パック33のケース34によって携帯電話1のハウジング30の一部を構成するようにし、電池パック33を覆うための蓋を省略するようにしているため、こうした制限のものでスペースの有効利用を図ることができるようになる。
【0034】
加えて、このように蓋を省略することができるため、充電装置2に携帯電話1を載置したときに1次側コイル11と2次側コイル40との間の距離を短くすることができ、二次電池36の充電効率についてその向上を図ることができる。
【0035】
(第2実施形態)
図5および図6を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態と比較して異なる部分について詳細に説明するとともに、同一構成には同一符号を付してその説明を省略する。
【0036】
本実施形態は、二次電池36のハウジング61および電池パック33のケース71の一部に押圧手段としての機能を持たせている点が第1実施形態と相違している。
図5に示すように、非接触充電用モジュール35および二次電池36は、ケース71の開口部71Aを介して、ケース71にそれぞれ挿入される。なお、非接触充電用モジュール35は、二次電池36に先立ちケース71に挿入されて図示しないビスによりケース71に固定されている。
【0037】
また、非接触充電用モジュール35の回路基板41において、その挿入方向の端部には、同挿入方向と直交する方向に端子台74が立設されている。この端子台74において開口部71A側の側面には、回路基板41に電気的に接続される3つの端子72が設けられている。一方、二次電池36のハウジング61において端子台74と対向する面には、同端子台74の端子72とそれぞれ接続可能な3つの端子73が設けられている。また、これら端子72,73は、二次電池36が非接触充電用モジュール35に取り付けられた状態にあるときに、それらを電気的に導通させるための端子として機能する。
【0038】
また、ケース71の対向する両側壁71Bには、一対の突起71Dが設けられており、これら突起71Dがこの携帯電話1に設けられた凹部(不図示)に嵌合することにより、電池パック33は携帯電話1に取り付けられる。また、携帯電話1に電池パック33が取り付けられた状態において、ケース71は携帯電話1と面一となっている。すなわち、携帯電話1のハウジング30にその一部が電池パック33のケース71によって構成されている。
【0039】
さらに、ケース71の両側壁71Bには、ケース71の内部に向けて突出する曲面形状の凸部71Cがそれぞれ設けられている。一方、ハウジング61の対向する両側面には、凸部71Cが嵌合する曲面凹形状の凹部61Bがそれぞれ設けられている。
【0040】
ここで、図6(a)に示すように、ケース71に対する非接触充電用モジュール35および二次電池36の挿入方向において、凸部71Cおよび凹部61Bの位置関係は以下のように設定される。すなわち、上記挿入方向において、凸部71Cと回路基板41の端子72との間の距離L1は凹部61Bとハウジング61の端子73との間の距離L2よりもわずかに短くなる。なお、これら凸部71Cおよび凹部61Bは二次電池36がケース71に取り付けられたときに二次電池36および非接触充電用モジュール35の各端子72,73の電気的導通状態を維持する押圧手段として機能する。
【0041】
図6(b)に示すように、二次電池36のケース71への挿入が完了すると、各端子72,73が接触するとともに、凸部71Cと凹部61Bとが互いに嵌合する(図6(c)参照)。このとき、上述したように距離L1が距離L2よりも短いため、端子72は、端子73に押圧された状態にて接触するようになる。またこのとき、凸部71Cは、凹部61Bをケース71の内部に向けて押圧している。
【0042】
また、図6(b)の状態から二次電池36を挿入方向に引き抜くことにより、凸部71Cと凹部61Bとの嵌合が解除される。これにより、二次電池36はケース71から取り外される。すなわち、二次電池36は非接触充電用モジュール35から取り外される。このように、凸部71Cと凹部61Bとの嵌合とその嵌合の解除により二次電池36は、非接触充電用モジュール35に着脱可能に取り付けられることとなる。
【0043】
本実施形態によれば、第1実施形態において記載した効果(3)の他、以下の効果を奏することができる。
(4)ケース71に二次電池36が挿入されたとき、ケース71の凸部71Cとハウジング61の凹部61Bとが嵌合することにより、各端子72,73は押圧状態にて接触する。このため、電池パック33に外部衝撃が加わるようなことがあっても、各端子72,73が離間することを回避することができる。したがって、二次電池36および非接触充電用モジュール35の各端子72,73についてそれらの安定した電気的導通状態を維持することができるようになる。
【0044】
(第3実施形態)
図7および図8を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、第2実施形態と比較して異なる部分について詳細に説明するとともに、同一構成には同一符号を付してその説明を省略する。
【0045】
第2実施形態では、ケース71の両側壁71Bに凸部71Cが設けられ、二次電池36のハウジング61の両側面に凸部71Cに嵌合する凹部61Bが設けられる構成であった。これに対して、本実施形態では、ケース71の上壁71Eに凸部71Fが設けられ、ハウジング61の上面に凸部71Fに接触する凸部61Cが設けられる構成である。加えて、本実施形態は、第2実施形態の構成に加えて、プッシュロック機構80を設けることにより、ケース71から二次電池36の取り外しを容易にするものである。
【0046】
図7に示すように、回路基板41において二次電池36および非接触充電用モジュール35が重なり合う方向に直交する面には、3つの端子72が設けられている。一方、二次電池36において非接触充電用モジュール35に対向する面には、3つの端子73が設けられている。ケース71に二次電池36および非接触充電用モジュール35がそれぞれ挿入されたときには、端子72は端子73に押圧状態にて接触するようになる。また、これら端子72,73は、二次電池36が非接触充電用モジュール35に取り付けられた状態にあるときに、それらを電気的に導通させるための端子として機能する。
【0047】
非接触充電用モジュール35および二次電池36がケース71に挿入された状態のとき、凸部71Fに凸部61Cが接触する。このとき、凸部61Cおよび凸部71Fの接触により、二次電池36は、非接触充電用モジュール35に向けて押圧される。このため、端子73は端子72に押圧された状態にて接触する。
【0048】
プッシュロック機構80は、ケース71の側壁71Bに設けられている。プッシュロック機構80は、前後方向に移動するレバー部材81と、レバー部材81の前後方向の移動をガイドするアーム部材82と、レバー部材81を前方に付勢するコイルばね83とを含む。
【0049】
レバー部材81は、側壁71Bに取り付けられるとともに、平面視においてL字形状に形成されている。レバー部材81の一端には、同部材81が側壁71Bに取り付けられた状態において、同側壁71Bよりもケース71の内部に向けて突出する突出部81Aと、コイルばね83を配置するための凹部81Bとが設けられている。レバー部材81の他端には、レバー部材81とアーム部材82との相対的な移動を案内する案内溝81Cが設けられている。
【0050】
アーム部材82の一端には、側壁71Bに設けられた支持軸71Gに嵌合する開口部82Aが設けられている。アーム部材82の他端には、側壁71Bに向けて突出するとともに、案内溝81Cに挿入されるガイドピン82Bが設けられている。アーム部材82の開口部82Aが支持軸71Gに嵌合することにより、アーム部材82は支持軸71Gを中心として回動する。
【0051】
コイルばね83は、その一端がケース71の側壁71Bに取り付けられ、他端がレバー部材81の凹部81Bに取り付けられる。コイルばね83は、側壁71Bに対してレバー部材81が移動することにより伸縮する。
【0052】
図8を参照して、二次電池36をケース71に挿抜させるときのレバー部材81およびアーム部材82の動作態様について説明する。また、図8において、図中の左側は、アーム部材82を省略した図であるとともにレバー部材81の移動とコイルばね83の変形の態様を示し、図中の右側は、レバー部材81の案内溝81Cとアーム部材82のガイドピン82Bとの相対移動の態様を示している。以下では、ケース71に対して二次電池36が挿入される方向を「挿入方向」とし、挿入方向においてケース71の開口部71Aが設けられる側を「手前側」とし、その反対側を「奥側」とする。
【0053】
図8に示すように、案内溝81Cは、スタンバイ溝91と、第1案内溝92と、保持溝93と、解除溝94と、第2案内溝95とを含む。スタンバイ溝91は、挿入方向に沿って延びている。スタンバイ溝91は、二次電池36(図7参照)が挿入されていないときにガイドピン82Bが位置している。第1案内溝92は、手前側に向かうにつれて上壁71E(図7参照)に傾斜する傾斜形状に形成されている。第1案内溝92は、スタンバイ溝91から保持溝93に向かうにつれてケース71の外部に向けて傾斜する。保持溝93は、第1案内溝92の手前側の端部から奥側に向かい凹む凹形状に形成されている。保持溝93には、挿入方向に沿うとともにガイドピン82Bの下方への移動を規制する規制部96が設けられている。解除溝94は、規制部96よりも手前側に延びている。第2案内溝95は、解除溝94から奥側に延びるとともにスタンバイ溝91と連通する。
【0054】
また、保持溝93、解除溝94および第2案内溝95において、ガイドピン82Bが挿入される方向の溝の深さはそれぞれ等しい。スタンバイ溝91の上記深さは、上記保持溝93等の上記深さよりも大きい。このため、第2案内溝95とスタンバイ溝91との間には、段差97が形成される。
【0055】
二次電池36のケース71への挿入態様および二次電池36のケース71からの抜去態様について説明する。
図8(a)に示すように、二次電池36をケース71への挿入を開始したとき、レバー部材81は二次電池36に接触するとともに同電池36とともに奥側に移動する。これにともない、コイルばね83(図7参照)は圧縮される。このとき、ガイドピン82Bは、案内溝81Cの奥側への移動にともないスタンバイ溝91から段差97に接触するとともに第1案内溝92を移動する。そして、ガイドピン82Bが第1案内溝92よりも手前側に移動したとき、ガイドピン82Bは保持溝93に移動する(図8(b)参照)。このとき、コイルばね83の復元力によりレバー部材81は手前側に移動しようとするがガイドピン82Bが保持溝93の奥側の端部に接触することによりレバー部材81の手前側への移動が規制される。これにより、凸部71Cと凹部61Bとが嵌合するとともに、二次電池36のケース71への挿入が完了する。このとき、両端子72,73(図7参照)は電気的に接続されている。
【0056】
図8(b)に示すように、二次電池36のケース71への挿入が完了した状態から二次電池36を奥側に移動させたとき、二次電池36の奥側の移動にともないレバー部材81は奥側に移動する(図8(c)参照)。このとき、図8(c)に示すように、ガイドピン82Bは、案内溝81Cの奥側への移動にともない保持溝93から解除溝94に移動する。そして、コイルばね83の復元力によりレバー部材81(二次電池36)は手前側に向けて移動するとともに、ガイドピン82Bは第2案内溝95内を奥側に移動する。そして、ガイドピン82Bは段差97よりも奥側に移動してスタンバイ溝91に移動する。これにより、凸部71Cと凹部61Bとの嵌合状態が解除されるとともに、二次電池36がケース71から抜き去られる。このとき、各端子72,73は電気的な接続が解除されている。
【0057】
本実施形態によれば、第1実施形態において記載した効果(3)の他、以下の効果を奏することができる。
(5)本実施形態では、ケース71に二次電池36が挿入されたとき、ケース71の凸部71Fとハウジング61の凸部61Cとが接触することにより、各端子72,73は押圧状態にて接触する。このため、電池パック33に外部衝撃が加わるようなことがあっても、各端子72,73が離間することを回避することができる。したがって、二次電池36および非接触充電用モジュール35の各端子72,73についてそれらの安定した電気的導通状態を維持することができるようになる。
【0058】
(6)本実施形態では、二次電池36のケース71への挿入が完了した状態において、二次電池36を奥側に押圧すると、コイルばね83の付勢によりレバー部材81が二次電池36を押圧することにより、二次電池36がケース71から取り出される。したがって、プッシュロック機構80により、二次電池36のケース71への挿入が完了した状態において、使用者が二次電池36を奥側に押圧する作業のみにて二次電池36をケース34から取り出すことができる。すなわち、二次電池36をケース34から容易に取り出すことができる。
【0059】
(その他の実施形態)
本発明の電池パックの具体的な構成は、上記各実施形態の内容に限定されるものではなく、例えば以下の変更が可能である。また、以下の変形例は、上記各実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0060】
・第1実施形態において、雌型コネクタ62を非接触充電用モジュール35に設け、雄型コネクタ42を二次電池36に設けることもできる。
・第1実施形態において、電池パック33からケース34を省略することもできる。この場合、非接触充電用モジュール35が二次電池36に取り付けられたユニットが携帯電話1に組み込まれる。この場合においても、第1実施形態の効果(1)および(2)を奏することができる。
【0061】
・第2実施形態において、側壁71Bに凹部61Bを設け、二次電池36のハウジング61に凸部71Cを設けることもできる。この場合においても、第2実施形態の効果(4)を奏することができる。
【0062】
・第2実施形態において、二次電池36のハウジング61の凹部61Bに代えて、非接触充電用モジュール35の磁性シート43に凹部61Bを設けることもできる。この場合、ケース71の凸部71Cは、上記凹部61Bに対応する位置に設けられる。これにより、非接触充電用モジュール35がケース71に対して着脱可能に取り付けられることとなる。またこの場合、二次電池36の端子73は、非接触充電用モジュール35の端子72と同様の形状、すなわち、非接触充電用モジュール35に向けて延びる端子台と、この端子台に設けられた接続部とが設けられている。一方、端子72は、二次電池36の端子73と同様の形状、すなわち、端子73に向けて突起する突状に設けられている。またこの構成では、ケース71に二次電池36を挿入した後、非接触充電用モジュール35を挿入する。ケース71に二次電池36および非接触充電用モジュール35がそれぞれ挿入されたとき、各端子72,73は押圧状態にて接触する。
【0063】
・また、二次電池36のハウジング61および磁性シート43のそれぞれに凹部61Bを設けることもできる。この場合、ケース71には、ハウジング61の凹部61Bおよび磁性シート43の凹部61Bのそれぞれに対応した位置に凸部71Cが設けられる。
【0064】
・第3実施形態において、二次電池36のハウジング61の凸部61Cに代えて、非接触充電用モジュール35の磁性シート43にケース71に向かい突出する凸部を設けることもできる。この場合、ケース71の凸部71Fは、ケース71の上記凸部に対応した部位に設けられる。これにより、非接触充電用モジュール35がケース71に対して着脱可能に取り付けられることとなる。この場合においても、第3実施形態の効果(5)および(6)を奏することができる。
【0065】
・本発明にかかる電池パックは、上記各実施形態にて例示した携帯電話1の他、携帯ゲーム機、電動歯ブラシ、デジタルカメラ、腕時計、コードレス電話機、電気かみそり、ノートパソコン等の種々の電気機器に適用することもできる。
【0066】
・上記各実施形態では、充電装置2を用いて、携帯電話1の二次電池36を非接触充電によって充電する非接触式充電装置に適用したが、非接触式充電装置に限らず、電子機器間において非接触に電力を伝送する機器に適用することもできる。
【符号の説明】
【0067】
11…1次側コイル、33…電池パック、34…ケース、35…非接触充電用モジュール、36…二次電池、40…2次側コイル、45…接続ピン(端子)、61B…凹部(押圧手段)、61C…凸部(押圧手段)、63…ピン受部(端子)、64…突起(押圧手段)、71…ケース、71C…凸部(押圧手段)、71F…凸部(押圧手段)、72…端子、73…端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側コイルと対向するように配置されることでその1次側コイルの交番磁束により起電力を発生する2次側コイルを内蔵した非接触充電用モジュールと、この非接触充電用モジュールに着脱可能に取り付けられて前記2次側コイルの起電力により充電される二次電池とを備え、前記二次電池および前記非接触充電用モジュールにはそれらが取り付け状態であるときに接触して両者を電気的に導通させる端子がそれぞれ設けられる電池パックにおいて、
前記二次電池が前記非接触充電用モジュールに取り付けられたときに、それらの各端子を押圧状態にて接触させそれらを電気的導通状態に維持する押圧手段を備える
ことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
請求項1に記載の電池パックにおいて、
前記二次電池および前記非接触充電用モジュールの各端子のいずれか一方は接続ピンであり、他方は前記接続ピンと接触するピン受部であり、
前記押圧手段は、前記ピン受部に形成され、前記接続ピンが前記ピン受部に接続されるときに弾性変形してその弾性力により前記接続ピンを押圧する突出部である
ことを特徴とする電池パック。
【請求項3】
前記二次電池および前記非接触充電用モジュールが挿入されるケースをさらに備え、
前記押圧手段は、
前記二次電池および前記非接触充電用モジュールの少なくとも一方と前記ケースとに選択的に設けられ、前記二次電池および前記非接触充電用モジュールが挿入されてそれらの端子が接触するときに嵌合する凸部および凹部を含み、これら凸部および凹部はその嵌合に伴って前記両端子が押圧状態となるようにその位置関係が設定されてなる
請求項1に記載の電池パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−69410(P2012−69410A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213950(P2010−213950)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】