電源回路及び画像形成装置
【課題】特殊な部材を使用することなく、画像形成装置に必要な電圧を供給する電源回路を提供する。
【解決手段】電圧を昇圧するトランス303と、トランス303により昇圧された電圧を整流して、接点315から直流電圧を出力する整流部と、を備えている電源回路であって、整流部は、それぞれがコンデンサを有する複数の整流回路が直列接続された回路を含み、整流部の複数の整流回路は、それぞれが直列接続された複数の組に分けられ、各組は、それぞれ異なる基板220、221に実装される。
【解決手段】電圧を昇圧するトランス303と、トランス303により昇圧された電圧を整流して、接点315から直流電圧を出力する整流部と、を備えている電源回路であって、整流部は、それぞれがコンデンサを有する複数の整流回路が直列接続された回路を含み、整流部の複数の整流回路は、それぞれが直列接続された複数の組に分けられ、各組は、それぞれ異なる基板220、221に実装される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセス等を利用した画像形成装置及びその電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスを利用した画像形成装置には、各感光ドラムに形成したトナー像を中間転写ベルトに一次転写し、その後、記録材に二次転写するものがある。例えば、オーバ・ヘッド・プロジェクタ用のシートの様に、抵抗値が高く、二次転写電流が流れにくい記録材を扱う場合には、二次転写バイアスとして、例えば、6000Vといった、高電圧を出力することが必要となる。
【0003】
一般的に、4000Vより高い電圧を出力する回路を基板上に構成すると、出力電圧、他のパターンとの距離、気温及び湿度等の条件によっては、基板表面に電流が流れ、二次転写電流の供給に影響を与える。このため特許文献1は、トランス、二次側整流回路及び高圧接点が一体構成された高電圧用のトランスユニットを開示している。
【0004】
高電圧用のトランスユニットは、高圧トランス、高圧ダイオード及び高圧コンデンサを備えている整流部と、電圧検出抵抗とをモールドケースに収納し、絶縁性の高い樹脂材やシリコンゴム等で密閉したものである。また、高電圧を出力する接点は、ステンレス材等で作られた板状接点であり、トランスユニットの上部に設けられる。この構成により、高電圧部分が基板上に配線されなくなり、基板表面を電流が流れることを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−54875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した様な高電圧用のトランスユニットは特殊かつ高価であり、画像形成装置のコストアップの要因となる。また、画像形成装置には、様々な電圧を印加するための回路を必要とするが、高電圧用のトランスユニットは特殊であるため、他の電圧印加用の回路とは部品の共通化が困難である。
【0007】
本発明は、特殊なトランスユニットを使用することなく、画像形成装置に必要な電圧を供給する電源回路を提供するものである。また、各電圧を印加するための電源回路間での部品の共通化を容易にする電源回路を提供するものである。さらに、これら電源回路を備えた画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による電源回路は、電圧を昇圧するトランスと、トランスにより昇圧された電圧を整流して出力部から直流電圧を出力する整流手段と、を備えている電源回路であって、整流手段は、それぞれがコンデンサを有する複数の整流回路が直列接続された回路を含み、整流手段の複数の整流回路は、それぞれが直列接続された複数の組に分けられ、各組は、それぞれ異なる基板に実装されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
整流手段の複数の整流回路を、それぞれが直列接続された複数の組に分割して異なる基板に実装することで、各基板上に発生する電位差を小さくすることができる。このため、特殊なトランスを使用することなく、高電圧を供給することができる。また、各基板内の電位差が小さくなるため、基板表面を電流が流れることを防止することができる。また、特殊な部品を使用しないため、他の電源回路との部品の共通化が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態による電源回路の構成図。
【図2】図1の電源回路の等価回路。
【図3】一実施形態における基板間の接続を示す図。
【図4】一実施形態における基板間の接続を示す図。
【図5】一実施形態による電源回路の構成図。
【図6】図5の電源回路の等価回路。
【図7】一実施形態による電源回路の構成図。
【図8】図6の電源回路の等価回路。
【図9】一実施形態による電源回路の構成図。
【図10】図9の電源回路の等価回路。
【図11】一実施形態による画像形成装置の画像形成部の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第一実施形態)まず、本発明の一実施形態における画像形成装置の画像形成部100の説明を行う。図11において、帯電部12は、像担持体である感光ドラム14を一様に帯電し、露光部11は、感光ドラム14にレーザ光を照射して静電潜像を形成する。現像部13は、トナーにより感光ドラム14の静電潜像を現像してトナー像を形成する。また、一次転写部15は、感光ドラム14のトナー像を中間転写ベルト20に転写する。なお、露光部11、帯電部12、現像部13、感光ドラム14及び一次転写部15を含む部材10aは、ブラック(Bk)のトナー像を中間転写ベルト20に形成するものである。これに対して、部材10b、10c及び10dは、それぞれ、シアン(C)、マゼンダ(M)及びイエロー(Y)のトナー像を中間転写ベルト20に形成するものであるが、その構成は部材10aと同様であるので説明は省略する。なお、各部材10a〜10dは、中間転写ベルト20に対応する色のトナー像を重ね合わせる様に転写し、これによりカラー画像を形成している。二次転写部42は、搬送経路21を搬送される記録材に、中間転写ベルト20のトナー像を転写し、定着部23は、記録材のトナー像を定着させる。
【0012】
二次転写部42による記録材への転写は、二次転写部42が、記録材に対して高電圧を印加することにより行う。以下に説明する電源回路は、二次転写部42が記録材に印加する高電圧を供給するためのものである。
【0013】
図1は、本実施形態の電源回路の構成図である。図1において、S21は、トランス303を、スイッチング駆動するためのパルス信号であり、例えば、50kHzで、オンデューティ比が25%で、振幅が5Vの矩形波を使用する。FET302が信号S21によりオン/オフされることで、電解コンデンサ301は、トランス303の一次巻線にパルス状の電圧を印加する。トランス303は、一次巻き線に印加されたパルス状の電圧を、昇圧して二次側から出力する。トランス303の二次側に出力されたパルス状の電圧は、高耐圧コンデンサと高耐圧ダイオードを一対とする整流回路を直列に複数段接続した整流部により整流される。なお、図1においては、高耐圧コンデンサ318、328、338.348、358及び368は、夫々、高耐圧ダイオード319、329、339、349、359及び369と対を形成している。つまり、図1においては、6対の高耐圧コンデンサ及び高耐圧ダイオードを使用している。
【0014】
例えば、図1の構成において、電解コンデンサ301が最大電圧のときに、トランス303の二次側に1000Vの電圧が出力されるものとする。この場合、高耐圧ダイオード319に電流が流れることで、高耐圧コンデンサ318に電荷が蓄積され、高耐圧コンデンサ318には1000Vの電位差が発生する。その後、高耐圧ダイオード319に電流が流れるときには、トランス303からの電圧と、高耐圧コンデンサ318の電圧により高耐圧コンデンサ328が2000Vに充電される。以下、同様に、高耐圧コンデンサ338、348、358、368が2000Vに充電され、出力部である接点315からは6000Vの直流電圧が出力される。この回路は、所謂、コッククロフト・ウォルトン回路と呼ばれる倍電圧整流回路である。なお、以下の総ての説明において、トランス303の二次側の電圧が1000Vであり、各高耐圧コンデンサには、上述した電圧が発生するものとして説明するが、1000Vは単なる例示である。
【0015】
本実施形態においては、6対の整流回路を直列接続した整流部を、直列接続された1から4番目の整流回路(第1の組)と、直列接続された5番目及び6番目(第2の組)の整流回路の2組に分割する。そして、5番目及び6番目の整流回路を構成する、高耐圧コンデンサ358と高耐圧ダイオード359の対と、高耐圧コンデンサ368と高耐圧ダイオード369の対を基板221(第2の基板)上に配置する。そして、1から4番目の整流回路を構成する高耐圧コンデンサ318、328、338、348及び高耐圧ダイオードの319、329、339、349の対を、基板220(第1の基板)上に配置する。
【0016】
また、図1に示す様に、接点315の出力電圧を検出し、トランス303の2次側の出力電圧を制御するため、接点315から、トランジスタ304をオン/オフ制御するオペアンプ314の反転入力端子に至る経路を設ける。この経路には、各基板において、抵抗310及び311が直列に接続される。抵抗310及び311は、接点315の出力を一定電圧に制御するものであるため、高耐圧でかつ精度の良い抵抗を使用する。具体的には、例えば、抵抗値の精度が±1%のものを用いる。オペアンプ314の反転入力端子には、接点315の電圧を、抵抗310及び311の合成抵抗と、抵抗312で分圧した電圧が入力される。また、オペアンプ314の非反転入力端子には、基準電圧源317が接続される。オペアンプ314の反転入力端子に入力される電圧Vbは、接点315の電圧をVh、抵抗310、311及び312の抵抗値を、夫々、R0、R1、R2、とすると、
Vb=(Vh・R2)/(R0+R1+R2)
となる。オペアンプ314は、反転入力端子の電圧Vbが、非反転入力端子の電圧と等しくなる様に、トランジスタ304のベース電圧を制御する。つまり、基準電圧源317の出力電圧をVcとすると、
Vb=(Vh・R2)/(R0+R1+R2)=Vc
となる様に、トランジスタ304のベース電圧を制御する。
【0017】
例えば、接点315の電圧が大きくなることで、電圧Vbが電圧Vcより大きくなると、オペアンプ314は、トランジスタ304をオフとし、これにより、電解コンデンサ301の電圧が低下する。よって、トランス303の二次側への出力電圧が小さくなり、接点315の電圧も低下する。一方、接点315の電圧が小さくなることで、電圧Vbが電圧Vcより小さくなると、オペアンプ314は、トランジスタ304をオンとし、これにより、電解コンデンサ301の電圧が上昇する。よって、トランス303の二次側への出力電圧が大きくなり、接点315の電圧は上昇する。
【0018】
上記動作により、接点315の出力は、例えば、6000Vといった一定電圧に制御される。また、基準電圧源317の出力を変化させることで、接点315の出力電圧も、例えば、0〜6000Vの範囲で変更することができる。なお、基準電圧源317の出力は、図示しない画像形成装置の制御部が制御する。
【0019】
図2に図1の電源回路の等価回路を示す。図2においては、1番目及び2番目の整流回路を構成する、高耐圧コンデンサ318、328と高耐圧ダイオード319、329を、可変電源回路225で表している。同様に、3番目及び4番目の整流回路を構成する、高耐圧コンデンサ338、348と高耐圧ダイオード339、349を、可変電源回路226で表している。さらに、5番目及び6番目の整流回路を可変電源回路227で表している。可変電源回路225〜227は、それぞれ、本例では最大2000Vを出力するため、基板220で発生する電圧は4000Vであり、基板221で発生する電圧は2000Vである。抵抗312の抵抗値が、抵抗310及び311に比べて無視できる程度に小さいものとすると、接点315の出力電圧は、抵抗310と311により分圧される。
【0020】
本実施形態においては、抵抗310と抵抗311の抵抗値の比が、対応する基板の可変電源回路が生成する電圧の比となる様に決定する。つまり、抵抗310と抵抗311の抵抗値の比が、対応する基板に実装されている高耐圧コンデンサと高耐圧ダイオードの対による整流回路の直列接続数の比となる様に決定する。よって、本実施形態において、基板220の整流回路の直列接続数と、基板221の整流回路の直列接続数の比は、2:1であるため、抵抗311の値は、抵抗310の値の2倍になる様に設定する。この様に抵抗310及び311の抵抗値の比を決定することで、各基板内の各部位間の電位差を小さくし、基板220と基板221間の接続点313a〜313c間の電位差を小さくし、これにより基板表面を電流が流れること等を防ぐことができる。なお、抵抗310及び311の比率は、基板表面を電流が流れることを防ぐ電位差となる様にすればよく、基板220で生じる電圧と、基板221で生じる電圧の比と同じである必要はない。
【0021】
図3は、一実施形態における基板220及び221の接続を示す図である。図1に示す様に、基板220と基板221には、3つの接続点313a〜313cが存在する。図3は、代表して1つの接続点313aの接続構成を示している。図3において、接点511a及び511bは、基板220の同電位パターン上に形成されている。同様に、接点512a及び512bは、基板221上の同電位パターン上に形成されている。保持部材32は、モールド樹脂等の絶縁部材で形成されており、一体成形された爪部327a及び327bにより、基板221を保持する。
【0022】
また、保持部材32は、一体成形された爪部337a及び337bにより、基板220を保持し、これにより、基板220は、基板221と、所定の間隔で向い合せに配置される。この状態で、接点511a及び511bと、接点512a及び512bを、導電性のスプリング部材513により電気的に接続する。この様に、基板220及び221を、向かい合わせて組付け一体構成とすることで、スペースを有効に活用することができる。なお、基板220と基板221との間隔は、それぞれの基板に実装する部品の高さと、それらの電圧に応じて、基板220と基板221間にリーク電流等が発生しない様に決定する。
【0023】
図4は、一実施形態における基板220及び221の接続を示す図である。図4(a)に示す様に、本実施形態において、基板221と基板220は、一枚の基板から分割されたものである。なお、基板220及び221を切り離さない状態で、各部品は実装される。部品実装後に、基板220と基板221は分離され、図4(b)に示す様に組み付けられる。図4(a)に示す様に、ジャンパ線515が基板220と基板221を跨ぐ様に設けられ、基板220及び221において、ジャンパ線515と直交する様に、ジャンパ線516及び517が設けられている。ジャンパ線は、例えば、半田メッキ線であり、組み付け時に、ジャンパ線515に過度の機械的ストレスが加わることで半田不良が発生しないようにする。部品実装後、ジャンパ線515を、ジャンパ線516及び517の近傍で、冶具等を用いて略直角に曲げて、基板220と221を向かい合わせる。この様に、本形態においては、スプリング部材を用いずに、基板220及び211を電気的に接続する。
【0024】
上記構成により、各基板上に発生する電位差を小さくすることができる。このため、特殊なトランスを使用することなく、例えば、6000Vといった高電圧を供給することができる。また、各基板の各部位における電位差が小さくなるため、基板表面を電流が流れることを防止することができる。また、特殊な部品を使用しないため、他の電源回路との部品の共通化が容易になる。
【0025】
なお、上述した実施形態は、高耐圧コンデンサと高耐圧ダイオードの組を偶数個使用するものであったが、奇数個であっても良い。図5は、図1の電源回路から、高耐圧コンデンサ318と高耐圧ダイオード319の組を除いたものである。よって、接点315からは5000Vの電圧が出力される。図6は、図5の電源回路の等価回路である。図5に示す様に可変電源回路225の出力電圧は、高耐圧コンデンサ318と高耐圧ダイオード319が除かれたことにより、可変電源回路226及び227の出力電圧の半分となる。
【0026】
図5の回路においては、基板220の整流回路の直列接続数は3であり、基板221の整流回路の直列接続数は2であるため、抵抗311の値は、抵抗310の値の(3/2)倍になる様に設定する。
【0027】
(第二実施形態)続いて、第二実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、第一実施形態と同様の構成要素には同様の符号を付与して説明は省略する。
【0028】
図7に示す電源回路は、図1の電源回路から抵抗310を除去し、抵抗311を基板220と基板221を接続するためのラインに接続したものである。つまり、電圧制御に利用するため、オペアンプ314の反転入力端子には、基板220に実装する整流回路の最終段の対である、高耐圧コンデンサ348の出力電圧を抵抗311及び312で分圧した電圧が入力される。本実施形態においては、基板220の出力電圧を4000Vに制御することで、接点315の電圧を6000Vにする。
【0029】
図8に図7の電源回路の等価回路を示す。本実施形態において、抵抗311の抵抗値は、任意の値を使用する。本実施形態においては、基板間を経由する出力電圧検出用の配線を必要としない。よって、基板220と基板221を接続するための接点を減らすことができ、基板220と基板221の組み付け作業が簡易になる。
【0030】
(第三実施形態)続いて、第三実施形態について説明する。図1に示す第一実施形態との主な相違点は、図9に示す様に、負の電圧を出力するための可変電源回路334が、正の電圧を出力するための高耐圧コンデンサと高耐圧ダイオードの組を含む整流部に直列に接続されていることである。
【0031】
負極性のバイアスを必要とする理由の一つは、二次転写部42に付着したトナーをクリーニングするためである。つまり、記録材への転写時には、二次転写部42から正の電圧を印加し、二次転写部42のクリーニング時には、二次転写部42から負の電圧を印加する様に、画像形成装置は制御を行う。二次転写部42から負の電圧を印加することで、二次転写部42に付着したトナーは中間転写ベルト20に戻される。中間転写ベルト20に戻されたトナーは、その後、クリーニング部材によって、中間転写ベルト20から取り除かれる。
【0032】
なお、正の電圧を接点315から出力する場合の直流電流が流れるルートを確保するために、抵抗332(第2の抵抗)を可変電源回路334と並列に設けている。また、負の電圧を接点315から出力する場合の直流電流が流れるルートを確保するために、抵抗331(第1の抵抗)を、高耐圧コンデンサ328及び348の直列接続部分と並列に設け、抵抗330(第1の抵抗)を高耐圧コンデンサ368と並列に設けている。また、本実施形態においては、電解コンデンサ301の電圧に基づきトランジスタ304のベース電圧を制御している。
【0033】
なお、図の電位Veは、接点315とグランド間に接続される負荷の抵抗分と、抵抗332の値により決まる。例えば、二次転写部42を含む負荷の抵抗が、500Mオームであり、抵抗332が100Mオームであるものとする。接点315が6000Vを印加している場合、この6000Vの電圧は、負荷の抵抗分と、抵抗332により分圧されることになる。つまり、抵抗332の両端の電位差は1000Vであり、よって、電位Veは−1000Vとなる。この場合、グランドから見た接点315の電位は5000Vとなる。
【0034】
図10に図9の電源回路の等価回路を示す。なお、図10(a)は、正の電圧を印加する場合の、図10(b)は、負の電圧を印加する場合の等価回路である。図10(a)に示す様に、正の電圧を印加する場合には、図2と同じく可変電源回路225〜227の直列接続により6000Vの電圧を接点315から出力する。なお、正の電圧を印加する場合、電流は抵抗332に流れ、可変電源回路334には流れないため、可変電源回路334は実質的には回路から切り離される。なお、第一実施形態と同様に、抵抗330と抵抗331の値の比率は1:2としている。ただし、抵抗330及び331は、電圧制御用ではないため、第一実施形態と異なり精度の高い抵抗である必要はない。
【0035】
図10(b)に示す様に、負の電圧を印加する場合、可変電源回路225〜227には電流が流れないため、可変電源回路225〜227は実質的には回路から切り離される。
【0036】
以上、本実施形態においては、整流部とは逆極性の電源回路を設け、正負両極性のバイアスを出力する。しかしながら、他の実施形態と同様に、各基板内での電位差は相対的に小さく、よって、特殊なトランス等を使用する必要はなく、かつ、基板表面を電流が流れることを防ぐことができる。
【0037】
なお、上述した実施形態においては、複数の整流回路を直列接続した整流部を、2つに分割するものであったが、当業者には明らかな様に3つ以上に分割して、夫々を異なる基板に実装する構成とすることができる。
【0038】
以上、整流部の複数の高耐圧コンデンサ及び高耐圧ダイオードの対を、それぞれが直列接続された複数の組に分割して異なる基板に実装する。この構成により、各基板内で生じる電位差を小さくすることができる。このため、特殊なトランスを使用することなく、高電圧を供給することができる。また、各基板内の電位差が小さくなるため、基板表面を電流が流れることを防止することができる。また、特殊な部品を使用しないため、他の電源回路との部品の共通化が容易になる。
【0039】
また、整流部からの出力電圧検出のために、各基板の抵抗を直列に通過する経路を設ける。各基板に設けた抵抗の抵抗値の比を、各基板に実装された高耐圧コンデンサ及び高耐圧ダイオードの対の直列接続の数の比となる様に設定することで、例えば、各基板の他の基板との接続点間等の電位差が大きくなることを防ぐ。なお、トランス303と接続された組の最終段の高耐圧コンデンサ348の出力を利用して電圧制御を行うこともできる。この場合、基板間の接続点の数を減らすことができ、実装が容易になる。
【0040】
さらに、整流部が出力する電圧とは逆極性の電圧を出力する可変電源回路314を、整流部と直列に接続する。なお、整流部が電圧を出力しているときに電流が流れる経路を、各基板の抵抗を直列に通過して、可変電源回路314と整流部との接続部で接続する様に設ける。さらに、可変電源回路314と並行に抵抗332を設ける。そして、電流が流れる経路の各抵抗の抵抗値の比を、各基板に実装された高耐圧コンデンサ及び高耐圧ダイオードの対の直列接続の数の比となる様に設定する。この構成により、各基板の電位差を大きくすることなく、正負両極性の電圧を出力することが可能になる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセス等を利用した画像形成装置及びその電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスを利用した画像形成装置には、各感光ドラムに形成したトナー像を中間転写ベルトに一次転写し、その後、記録材に二次転写するものがある。例えば、オーバ・ヘッド・プロジェクタ用のシートの様に、抵抗値が高く、二次転写電流が流れにくい記録材を扱う場合には、二次転写バイアスとして、例えば、6000Vといった、高電圧を出力することが必要となる。
【0003】
一般的に、4000Vより高い電圧を出力する回路を基板上に構成すると、出力電圧、他のパターンとの距離、気温及び湿度等の条件によっては、基板表面に電流が流れ、二次転写電流の供給に影響を与える。このため特許文献1は、トランス、二次側整流回路及び高圧接点が一体構成された高電圧用のトランスユニットを開示している。
【0004】
高電圧用のトランスユニットは、高圧トランス、高圧ダイオード及び高圧コンデンサを備えている整流部と、電圧検出抵抗とをモールドケースに収納し、絶縁性の高い樹脂材やシリコンゴム等で密閉したものである。また、高電圧を出力する接点は、ステンレス材等で作られた板状接点であり、トランスユニットの上部に設けられる。この構成により、高電圧部分が基板上に配線されなくなり、基板表面を電流が流れることを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−54875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した様な高電圧用のトランスユニットは特殊かつ高価であり、画像形成装置のコストアップの要因となる。また、画像形成装置には、様々な電圧を印加するための回路を必要とするが、高電圧用のトランスユニットは特殊であるため、他の電圧印加用の回路とは部品の共通化が困難である。
【0007】
本発明は、特殊なトランスユニットを使用することなく、画像形成装置に必要な電圧を供給する電源回路を提供するものである。また、各電圧を印加するための電源回路間での部品の共通化を容易にする電源回路を提供するものである。さらに、これら電源回路を備えた画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による電源回路は、電圧を昇圧するトランスと、トランスにより昇圧された電圧を整流して出力部から直流電圧を出力する整流手段と、を備えている電源回路であって、整流手段は、それぞれがコンデンサを有する複数の整流回路が直列接続された回路を含み、整流手段の複数の整流回路は、それぞれが直列接続された複数の組に分けられ、各組は、それぞれ異なる基板に実装されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
整流手段の複数の整流回路を、それぞれが直列接続された複数の組に分割して異なる基板に実装することで、各基板上に発生する電位差を小さくすることができる。このため、特殊なトランスを使用することなく、高電圧を供給することができる。また、各基板内の電位差が小さくなるため、基板表面を電流が流れることを防止することができる。また、特殊な部品を使用しないため、他の電源回路との部品の共通化が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態による電源回路の構成図。
【図2】図1の電源回路の等価回路。
【図3】一実施形態における基板間の接続を示す図。
【図4】一実施形態における基板間の接続を示す図。
【図5】一実施形態による電源回路の構成図。
【図6】図5の電源回路の等価回路。
【図7】一実施形態による電源回路の構成図。
【図8】図6の電源回路の等価回路。
【図9】一実施形態による電源回路の構成図。
【図10】図9の電源回路の等価回路。
【図11】一実施形態による画像形成装置の画像形成部の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第一実施形態)まず、本発明の一実施形態における画像形成装置の画像形成部100の説明を行う。図11において、帯電部12は、像担持体である感光ドラム14を一様に帯電し、露光部11は、感光ドラム14にレーザ光を照射して静電潜像を形成する。現像部13は、トナーにより感光ドラム14の静電潜像を現像してトナー像を形成する。また、一次転写部15は、感光ドラム14のトナー像を中間転写ベルト20に転写する。なお、露光部11、帯電部12、現像部13、感光ドラム14及び一次転写部15を含む部材10aは、ブラック(Bk)のトナー像を中間転写ベルト20に形成するものである。これに対して、部材10b、10c及び10dは、それぞれ、シアン(C)、マゼンダ(M)及びイエロー(Y)のトナー像を中間転写ベルト20に形成するものであるが、その構成は部材10aと同様であるので説明は省略する。なお、各部材10a〜10dは、中間転写ベルト20に対応する色のトナー像を重ね合わせる様に転写し、これによりカラー画像を形成している。二次転写部42は、搬送経路21を搬送される記録材に、中間転写ベルト20のトナー像を転写し、定着部23は、記録材のトナー像を定着させる。
【0012】
二次転写部42による記録材への転写は、二次転写部42が、記録材に対して高電圧を印加することにより行う。以下に説明する電源回路は、二次転写部42が記録材に印加する高電圧を供給するためのものである。
【0013】
図1は、本実施形態の電源回路の構成図である。図1において、S21は、トランス303を、スイッチング駆動するためのパルス信号であり、例えば、50kHzで、オンデューティ比が25%で、振幅が5Vの矩形波を使用する。FET302が信号S21によりオン/オフされることで、電解コンデンサ301は、トランス303の一次巻線にパルス状の電圧を印加する。トランス303は、一次巻き線に印加されたパルス状の電圧を、昇圧して二次側から出力する。トランス303の二次側に出力されたパルス状の電圧は、高耐圧コンデンサと高耐圧ダイオードを一対とする整流回路を直列に複数段接続した整流部により整流される。なお、図1においては、高耐圧コンデンサ318、328、338.348、358及び368は、夫々、高耐圧ダイオード319、329、339、349、359及び369と対を形成している。つまり、図1においては、6対の高耐圧コンデンサ及び高耐圧ダイオードを使用している。
【0014】
例えば、図1の構成において、電解コンデンサ301が最大電圧のときに、トランス303の二次側に1000Vの電圧が出力されるものとする。この場合、高耐圧ダイオード319に電流が流れることで、高耐圧コンデンサ318に電荷が蓄積され、高耐圧コンデンサ318には1000Vの電位差が発生する。その後、高耐圧ダイオード319に電流が流れるときには、トランス303からの電圧と、高耐圧コンデンサ318の電圧により高耐圧コンデンサ328が2000Vに充電される。以下、同様に、高耐圧コンデンサ338、348、358、368が2000Vに充電され、出力部である接点315からは6000Vの直流電圧が出力される。この回路は、所謂、コッククロフト・ウォルトン回路と呼ばれる倍電圧整流回路である。なお、以下の総ての説明において、トランス303の二次側の電圧が1000Vであり、各高耐圧コンデンサには、上述した電圧が発生するものとして説明するが、1000Vは単なる例示である。
【0015】
本実施形態においては、6対の整流回路を直列接続した整流部を、直列接続された1から4番目の整流回路(第1の組)と、直列接続された5番目及び6番目(第2の組)の整流回路の2組に分割する。そして、5番目及び6番目の整流回路を構成する、高耐圧コンデンサ358と高耐圧ダイオード359の対と、高耐圧コンデンサ368と高耐圧ダイオード369の対を基板221(第2の基板)上に配置する。そして、1から4番目の整流回路を構成する高耐圧コンデンサ318、328、338、348及び高耐圧ダイオードの319、329、339、349の対を、基板220(第1の基板)上に配置する。
【0016】
また、図1に示す様に、接点315の出力電圧を検出し、トランス303の2次側の出力電圧を制御するため、接点315から、トランジスタ304をオン/オフ制御するオペアンプ314の反転入力端子に至る経路を設ける。この経路には、各基板において、抵抗310及び311が直列に接続される。抵抗310及び311は、接点315の出力を一定電圧に制御するものであるため、高耐圧でかつ精度の良い抵抗を使用する。具体的には、例えば、抵抗値の精度が±1%のものを用いる。オペアンプ314の反転入力端子には、接点315の電圧を、抵抗310及び311の合成抵抗と、抵抗312で分圧した電圧が入力される。また、オペアンプ314の非反転入力端子には、基準電圧源317が接続される。オペアンプ314の反転入力端子に入力される電圧Vbは、接点315の電圧をVh、抵抗310、311及び312の抵抗値を、夫々、R0、R1、R2、とすると、
Vb=(Vh・R2)/(R0+R1+R2)
となる。オペアンプ314は、反転入力端子の電圧Vbが、非反転入力端子の電圧と等しくなる様に、トランジスタ304のベース電圧を制御する。つまり、基準電圧源317の出力電圧をVcとすると、
Vb=(Vh・R2)/(R0+R1+R2)=Vc
となる様に、トランジスタ304のベース電圧を制御する。
【0017】
例えば、接点315の電圧が大きくなることで、電圧Vbが電圧Vcより大きくなると、オペアンプ314は、トランジスタ304をオフとし、これにより、電解コンデンサ301の電圧が低下する。よって、トランス303の二次側への出力電圧が小さくなり、接点315の電圧も低下する。一方、接点315の電圧が小さくなることで、電圧Vbが電圧Vcより小さくなると、オペアンプ314は、トランジスタ304をオンとし、これにより、電解コンデンサ301の電圧が上昇する。よって、トランス303の二次側への出力電圧が大きくなり、接点315の電圧は上昇する。
【0018】
上記動作により、接点315の出力は、例えば、6000Vといった一定電圧に制御される。また、基準電圧源317の出力を変化させることで、接点315の出力電圧も、例えば、0〜6000Vの範囲で変更することができる。なお、基準電圧源317の出力は、図示しない画像形成装置の制御部が制御する。
【0019】
図2に図1の電源回路の等価回路を示す。図2においては、1番目及び2番目の整流回路を構成する、高耐圧コンデンサ318、328と高耐圧ダイオード319、329を、可変電源回路225で表している。同様に、3番目及び4番目の整流回路を構成する、高耐圧コンデンサ338、348と高耐圧ダイオード339、349を、可変電源回路226で表している。さらに、5番目及び6番目の整流回路を可変電源回路227で表している。可変電源回路225〜227は、それぞれ、本例では最大2000Vを出力するため、基板220で発生する電圧は4000Vであり、基板221で発生する電圧は2000Vである。抵抗312の抵抗値が、抵抗310及び311に比べて無視できる程度に小さいものとすると、接点315の出力電圧は、抵抗310と311により分圧される。
【0020】
本実施形態においては、抵抗310と抵抗311の抵抗値の比が、対応する基板の可変電源回路が生成する電圧の比となる様に決定する。つまり、抵抗310と抵抗311の抵抗値の比が、対応する基板に実装されている高耐圧コンデンサと高耐圧ダイオードの対による整流回路の直列接続数の比となる様に決定する。よって、本実施形態において、基板220の整流回路の直列接続数と、基板221の整流回路の直列接続数の比は、2:1であるため、抵抗311の値は、抵抗310の値の2倍になる様に設定する。この様に抵抗310及び311の抵抗値の比を決定することで、各基板内の各部位間の電位差を小さくし、基板220と基板221間の接続点313a〜313c間の電位差を小さくし、これにより基板表面を電流が流れること等を防ぐことができる。なお、抵抗310及び311の比率は、基板表面を電流が流れることを防ぐ電位差となる様にすればよく、基板220で生じる電圧と、基板221で生じる電圧の比と同じである必要はない。
【0021】
図3は、一実施形態における基板220及び221の接続を示す図である。図1に示す様に、基板220と基板221には、3つの接続点313a〜313cが存在する。図3は、代表して1つの接続点313aの接続構成を示している。図3において、接点511a及び511bは、基板220の同電位パターン上に形成されている。同様に、接点512a及び512bは、基板221上の同電位パターン上に形成されている。保持部材32は、モールド樹脂等の絶縁部材で形成されており、一体成形された爪部327a及び327bにより、基板221を保持する。
【0022】
また、保持部材32は、一体成形された爪部337a及び337bにより、基板220を保持し、これにより、基板220は、基板221と、所定の間隔で向い合せに配置される。この状態で、接点511a及び511bと、接点512a及び512bを、導電性のスプリング部材513により電気的に接続する。この様に、基板220及び221を、向かい合わせて組付け一体構成とすることで、スペースを有効に活用することができる。なお、基板220と基板221との間隔は、それぞれの基板に実装する部品の高さと、それらの電圧に応じて、基板220と基板221間にリーク電流等が発生しない様に決定する。
【0023】
図4は、一実施形態における基板220及び221の接続を示す図である。図4(a)に示す様に、本実施形態において、基板221と基板220は、一枚の基板から分割されたものである。なお、基板220及び221を切り離さない状態で、各部品は実装される。部品実装後に、基板220と基板221は分離され、図4(b)に示す様に組み付けられる。図4(a)に示す様に、ジャンパ線515が基板220と基板221を跨ぐ様に設けられ、基板220及び221において、ジャンパ線515と直交する様に、ジャンパ線516及び517が設けられている。ジャンパ線は、例えば、半田メッキ線であり、組み付け時に、ジャンパ線515に過度の機械的ストレスが加わることで半田不良が発生しないようにする。部品実装後、ジャンパ線515を、ジャンパ線516及び517の近傍で、冶具等を用いて略直角に曲げて、基板220と221を向かい合わせる。この様に、本形態においては、スプリング部材を用いずに、基板220及び211を電気的に接続する。
【0024】
上記構成により、各基板上に発生する電位差を小さくすることができる。このため、特殊なトランスを使用することなく、例えば、6000Vといった高電圧を供給することができる。また、各基板の各部位における電位差が小さくなるため、基板表面を電流が流れることを防止することができる。また、特殊な部品を使用しないため、他の電源回路との部品の共通化が容易になる。
【0025】
なお、上述した実施形態は、高耐圧コンデンサと高耐圧ダイオードの組を偶数個使用するものであったが、奇数個であっても良い。図5は、図1の電源回路から、高耐圧コンデンサ318と高耐圧ダイオード319の組を除いたものである。よって、接点315からは5000Vの電圧が出力される。図6は、図5の電源回路の等価回路である。図5に示す様に可変電源回路225の出力電圧は、高耐圧コンデンサ318と高耐圧ダイオード319が除かれたことにより、可変電源回路226及び227の出力電圧の半分となる。
【0026】
図5の回路においては、基板220の整流回路の直列接続数は3であり、基板221の整流回路の直列接続数は2であるため、抵抗311の値は、抵抗310の値の(3/2)倍になる様に設定する。
【0027】
(第二実施形態)続いて、第二実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、第一実施形態と同様の構成要素には同様の符号を付与して説明は省略する。
【0028】
図7に示す電源回路は、図1の電源回路から抵抗310を除去し、抵抗311を基板220と基板221を接続するためのラインに接続したものである。つまり、電圧制御に利用するため、オペアンプ314の反転入力端子には、基板220に実装する整流回路の最終段の対である、高耐圧コンデンサ348の出力電圧を抵抗311及び312で分圧した電圧が入力される。本実施形態においては、基板220の出力電圧を4000Vに制御することで、接点315の電圧を6000Vにする。
【0029】
図8に図7の電源回路の等価回路を示す。本実施形態において、抵抗311の抵抗値は、任意の値を使用する。本実施形態においては、基板間を経由する出力電圧検出用の配線を必要としない。よって、基板220と基板221を接続するための接点を減らすことができ、基板220と基板221の組み付け作業が簡易になる。
【0030】
(第三実施形態)続いて、第三実施形態について説明する。図1に示す第一実施形態との主な相違点は、図9に示す様に、負の電圧を出力するための可変電源回路334が、正の電圧を出力するための高耐圧コンデンサと高耐圧ダイオードの組を含む整流部に直列に接続されていることである。
【0031】
負極性のバイアスを必要とする理由の一つは、二次転写部42に付着したトナーをクリーニングするためである。つまり、記録材への転写時には、二次転写部42から正の電圧を印加し、二次転写部42のクリーニング時には、二次転写部42から負の電圧を印加する様に、画像形成装置は制御を行う。二次転写部42から負の電圧を印加することで、二次転写部42に付着したトナーは中間転写ベルト20に戻される。中間転写ベルト20に戻されたトナーは、その後、クリーニング部材によって、中間転写ベルト20から取り除かれる。
【0032】
なお、正の電圧を接点315から出力する場合の直流電流が流れるルートを確保するために、抵抗332(第2の抵抗)を可変電源回路334と並列に設けている。また、負の電圧を接点315から出力する場合の直流電流が流れるルートを確保するために、抵抗331(第1の抵抗)を、高耐圧コンデンサ328及び348の直列接続部分と並列に設け、抵抗330(第1の抵抗)を高耐圧コンデンサ368と並列に設けている。また、本実施形態においては、電解コンデンサ301の電圧に基づきトランジスタ304のベース電圧を制御している。
【0033】
なお、図の電位Veは、接点315とグランド間に接続される負荷の抵抗分と、抵抗332の値により決まる。例えば、二次転写部42を含む負荷の抵抗が、500Mオームであり、抵抗332が100Mオームであるものとする。接点315が6000Vを印加している場合、この6000Vの電圧は、負荷の抵抗分と、抵抗332により分圧されることになる。つまり、抵抗332の両端の電位差は1000Vであり、よって、電位Veは−1000Vとなる。この場合、グランドから見た接点315の電位は5000Vとなる。
【0034】
図10に図9の電源回路の等価回路を示す。なお、図10(a)は、正の電圧を印加する場合の、図10(b)は、負の電圧を印加する場合の等価回路である。図10(a)に示す様に、正の電圧を印加する場合には、図2と同じく可変電源回路225〜227の直列接続により6000Vの電圧を接点315から出力する。なお、正の電圧を印加する場合、電流は抵抗332に流れ、可変電源回路334には流れないため、可変電源回路334は実質的には回路から切り離される。なお、第一実施形態と同様に、抵抗330と抵抗331の値の比率は1:2としている。ただし、抵抗330及び331は、電圧制御用ではないため、第一実施形態と異なり精度の高い抵抗である必要はない。
【0035】
図10(b)に示す様に、負の電圧を印加する場合、可変電源回路225〜227には電流が流れないため、可変電源回路225〜227は実質的には回路から切り離される。
【0036】
以上、本実施形態においては、整流部とは逆極性の電源回路を設け、正負両極性のバイアスを出力する。しかしながら、他の実施形態と同様に、各基板内での電位差は相対的に小さく、よって、特殊なトランス等を使用する必要はなく、かつ、基板表面を電流が流れることを防ぐことができる。
【0037】
なお、上述した実施形態においては、複数の整流回路を直列接続した整流部を、2つに分割するものであったが、当業者には明らかな様に3つ以上に分割して、夫々を異なる基板に実装する構成とすることができる。
【0038】
以上、整流部の複数の高耐圧コンデンサ及び高耐圧ダイオードの対を、それぞれが直列接続された複数の組に分割して異なる基板に実装する。この構成により、各基板内で生じる電位差を小さくすることができる。このため、特殊なトランスを使用することなく、高電圧を供給することができる。また、各基板内の電位差が小さくなるため、基板表面を電流が流れることを防止することができる。また、特殊な部品を使用しないため、他の電源回路との部品の共通化が容易になる。
【0039】
また、整流部からの出力電圧検出のために、各基板の抵抗を直列に通過する経路を設ける。各基板に設けた抵抗の抵抗値の比を、各基板に実装された高耐圧コンデンサ及び高耐圧ダイオードの対の直列接続の数の比となる様に設定することで、例えば、各基板の他の基板との接続点間等の電位差が大きくなることを防ぐ。なお、トランス303と接続された組の最終段の高耐圧コンデンサ348の出力を利用して電圧制御を行うこともできる。この場合、基板間の接続点の数を減らすことができ、実装が容易になる。
【0040】
さらに、整流部が出力する電圧とは逆極性の電圧を出力する可変電源回路314を、整流部と直列に接続する。なお、整流部が電圧を出力しているときに電流が流れる経路を、各基板の抵抗を直列に通過して、可変電源回路314と整流部との接続部で接続する様に設ける。さらに、可変電源回路314と並行に抵抗332を設ける。そして、電流が流れる経路の各抵抗の抵抗値の比を、各基板に実装された高耐圧コンデンサ及び高耐圧ダイオードの対の直列接続の数の比となる様に設定する。この構成により、各基板の電位差を大きくすることなく、正負両極性の電圧を出力することが可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧を昇圧するトランスと、
前記トランスにより昇圧された電圧を整流して出力部から直流電圧を出力する整流手段と、
を備えている電源回路であって、
前記整流手段は、それぞれがコンデンサを有する複数の整流回路が直列接続された回路を含み、
前記整流手段の前記複数の整流回路は、それぞれが直列接続された複数の組に分けられ、各組は、それぞれ異なる基板に実装されることを特徴とする電源回路。
【請求項2】
前記整流手段は、倍電圧整流回路であることを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記出力部の出力電圧を検出するための抵抗が、各基板に設けられ、各基板に設けられる前記抵抗の抵抗値の比を、対応する基板に実装された整流回路の直列接続の数の比となる様に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記出力部の出力電圧を検出するために、前記トランスと接続する組の整流回路の出力を利用することを特徴とする請求項1又は2に記載の電源回路。
【請求項5】
前記整流手段が出力する電圧とは逆極性の電圧を出力し、前記整流手段と直列に接続される可変電源回路と、
前記整流手段の前記出力部および前記可変電源回路と直列に接続され、各基板に設けられた第1の抵抗であって、前記可変電源回路と前記整流手段との接続部に接続される前記第1の抵抗と、
前記可変電源回路と並列に接続される第2の抵抗と、
を更に備えており、
前記各基板に設けられる前記第1の抵抗の抵抗値の比を、対応する基板に実装された整流回路の直列接続の数の比となる様に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の電源回路。
【請求項6】
前記トランスおよび前記トランスと接続する第1の組の整流回路は、第1の基板に実装され、
前記第1の組の整流回路と接続する第2の組の整流回路は、第2の基板に実装され、
前記第2の基板は、前記第1の基板に組み付けられた絶縁部材により保持されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電源回路。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の電源回路を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
電圧を昇圧するトランスと、
前記トランスにより昇圧された電圧を整流して出力部から直流電圧を出力する整流手段と、
を備えている電源回路であって、
前記整流手段は、それぞれがコンデンサを有する複数の整流回路が直列接続された回路を含み、
前記整流手段の前記複数の整流回路は、それぞれが直列接続された複数の組に分けられ、各組は、それぞれ異なる基板に実装されることを特徴とする電源回路。
【請求項2】
前記整流手段は、倍電圧整流回路であることを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記出力部の出力電圧を検出するための抵抗が、各基板に設けられ、各基板に設けられる前記抵抗の抵抗値の比を、対応する基板に実装された整流回路の直列接続の数の比となる様に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記出力部の出力電圧を検出するために、前記トランスと接続する組の整流回路の出力を利用することを特徴とする請求項1又は2に記載の電源回路。
【請求項5】
前記整流手段が出力する電圧とは逆極性の電圧を出力し、前記整流手段と直列に接続される可変電源回路と、
前記整流手段の前記出力部および前記可変電源回路と直列に接続され、各基板に設けられた第1の抵抗であって、前記可変電源回路と前記整流手段との接続部に接続される前記第1の抵抗と、
前記可変電源回路と並列に接続される第2の抵抗と、
を更に備えており、
前記各基板に設けられる前記第1の抵抗の抵抗値の比を、対応する基板に実装された整流回路の直列接続の数の比となる様に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の電源回路。
【請求項6】
前記トランスおよび前記トランスと接続する第1の組の整流回路は、第1の基板に実装され、
前記第1の組の整流回路と接続する第2の組の整流回路は、第2の基板に実装され、
前記第2の基板は、前記第1の基板に組み付けられた絶縁部材により保持されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電源回路。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の電源回路を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−217244(P2012−217244A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79795(P2011−79795)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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