説明

スイッチング電源の保護回路

【課題】素子の発熱や破壊を防止する。
【解決手段】伝送ラインA1とグランドの間に接続され、伝送ラインA1が定格より高い所定電圧になると降伏するツェナダイオード16と、伝送ラインA1とグランドとの間に接続され、伝送ラインA1が前記定格より高くツェナダイオード16のツェナ電圧よりも低い所定電圧になると降伏するツェナダイオードD1と、伝送ラインA1においてツェナダイオード16,D1の接続箇所よりも後段に介挿され、出力制御端子に所定の定電圧が入力されているときは前記負荷に対して電源電圧を出力し、前記出力制御端子にグランド電圧が入力されているときは前記負荷に対して電源電圧を出力しないスイッチ部と、ツェナダイオードD1が降伏するとターンオンして前記出力制御端子をグランドに引き込むトランジスタQ1と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチング電源の保護回路に関し、特に、接続されている負荷の重さが所定レベル以上のときは連続発振し、当該負荷の重さが所定レベル未満のときは間欠発振するスイッチング電源回路の保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スイッチング電源回路は2次側の過負荷(過出力)を防止する機能を備えている。
例えば、特許文献1に記載のトランス結合型2次直流電源生成装置は、出力が過電圧となると、ツェナダイオードが降伏してトランジスタをオンし、これにより開閉素子をオンして出力ラインをショートさせる。
また、特許文献2に記載のDC−DCコンバーターは、2次電圧が所定値以上になるとツェナダイオードが降伏することによりスイッチング電源回路の制御ICに入力されているオン信号の伝送ラインをグランドに引き込み、スイッチング電源回路の制御ICの発振制御を停止させる過電圧防止回路を備えている。
また、特許文献3に記載のスイッチングレギュレータは、出力電圧が過電圧になるとツェナダイオードが降伏してトランジスタをターンオンして誤差増幅器をバイパスすることにより、フィードバック経路におけるフォトカプラを構成する発光ダイオードに流れる電流経路を変更し、これにより発光ダイオードをより強い発光状態にして出力を抑制する。
また、特許文献4に記載のスイッチングレギュレータは、出力が基準電圧を超えると、ツェナダイオードが降伏して出力をクランプする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−14532号公報
【特許文献2】特開2009−171815号公報
【特許文献3】特開2000−78839号公報
【特許文献4】特開平6−22544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スイッチング電源回路は複数の出力ラインを有することがあり、各出力ラインに接続される負荷レベルは異なる。一般に、スイッチング電源回路のスイッチングトランスの1次巻線に対して印加する電圧のオンオフ制御(PWM制御等)は電源制御ICによって行われ、当該電源制御ICはスイッチングトランスの2次側からフィードバックされるフィードバック信号に基づいて当該オンオフ制御におけるオンオフの比率を調整する。
【0005】
電源制御ICには、スイッチングトランスの1次巻線に流れる電流の量に基づいて、2次巻線に接続されている負荷の大小を判断する機能を有し、負荷が軽くなったことを検出すると、自動的に出力を低下するべく1次巻線に印加する電圧のオンオフ制御を連続発振から間欠発振へ変更するものがある。このような電源制御ICを備えるスイッチング電源回路は、例えば、機器の電源がオフされてスイッチング電源回路に接続されている負荷が軽くなった場合にこれを検知して間欠発振に移行する。また、出力が過電圧になって過電圧保護用のツェナダイオードが降伏もしくはショート破壊された場合も、負荷が軽くなるため間欠発振に移行する。
【0006】
ここで、多くの負荷が接続されていて負荷レベルが高くなる可能性(処理量の増大や出力の変動等)のある第1出力ラインと、第1出力ラインに比べて負荷レベルが低い第2出力ラインと、を備えたスイッチング電源回路において、電源制御ICが第1出力ラインの電圧に基づくフィードバック信号に基づいてオンオフ制御を行っている場合に、フィードバックラインのショート等によりフィードバックが正常に行われない場合を考える。このとき、負荷の重い第1出力ラインの電圧上昇は鈍く、負荷の軽い第2出力ラインは鋭く電圧上昇する。
【0007】
すなわち、出力が上昇して過電圧になったとき、第2出力ラインの保護用ツェナダイオードはショート破壊されるが、第1出力ラインの保護用ツェナダイオードはショート破壊されない期間があり、この間、電源制御ICは間欠発振に移行しない。従って、第2出力ラインにおいて、保護用ツェナダイオードのショート破壊により他の素子が発熱したり破壊されたりする可能性がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、重負荷時には連続発振を行い、軽負荷時には間欠発振を行うオートスタンバイ機能を有するスイッチング電源回路であって、接続される負荷の重さが異なる複数の出力ラインを有し、負荷の重い出力ラインから前記電源制御ICにフィードバックがかかっているスイッチング電源回路において、素子の発熱や破壊を防止することが可能なスイッチング電源の保護回路の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様の1つは、接続されている負荷の重さが所定レベル以上のときは連続発振し当該負荷の重さが所定レベル未満のときは間欠発振するスイッチング電源回路、の保護回路において、前記スイッチング電源回路は、少なくとも電源電圧を出力する第1出力ラインと第2出力ラインとを備え、前記第1出力ラインには前記第2出力ラインよりも重い負荷が接続されており、前記保護回路は、カソードを前記第1出力ラインに向けて接続され、アノードをグランドに向けて接続され、前記第1出力ラインが定格より高い所定電圧になると降伏する第1ツェナダイオードと、カソードを前記第1出力ラインに向けて接続され、アノードをグランドに向けて接続され、前記第1出力ラインが前記定格より高く前記第1ツェナダイオードのツェナ電圧よりも低い所定電圧になると降伏する第2ツェナダイオードと、前記第1出力ラインにおいて前記第1ツェナダイオードや前記第2ツェナダイオードの接続箇所よりも後段に介挿され、出力制御端子に所定の定電圧が入力されているときは前記負荷に対して電源電圧を出力し、前記出力制御端子にグランド電圧が入力されているときは前記負荷に対して電源電圧を出力しないスイッチ部と、前記第2ツェナダイオードが降伏するとターンオンして前記出力制御端子をグランドに引き込むNPN型のトランジスタと、を備える構成とされる。
【0010】
なお、上述したスイッチング電源回路の保護回路は、他の機器に組み込まれた状態で実施されたり他の方法とともに実施されたりする等の各種の態様を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、重負荷時には連続発振を行い、軽負荷時には間欠発振を行うオートスタンバイ機能を有するスイッチング電源回路において、接続される負荷の重さが異なる複数の出力ラインを有し、負荷の重い出力ラインから前記電源制御ICにフィードバックがかかっている場合に、素子の発熱や破壊を防止することが可能なスイッチング電源の保護回路を提供することができる。
請求項2にかかる発明によれば、出力制御端子への逆流を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】保護回路を備えるスイッチング電源回路の要部を示した図である。
【図2】FB回路21の1構成例を示す回路図である。
【図3】FB回路21の回路図の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
(1)本実施形態の構成:
図1は、保護回路を備えるスイッチング電源回路の要部を示した図である。同図に示すように、スイッチング電源回路100は、電源制御IC10、スイッチングトランス12、整流回路14、過電圧保護用のツェナダイオード16、保護回路17、整流回路18、過電圧保護用のツェナダイオード19、定電圧回路20、過電圧保護用のツェナダイオード22、フィードバック回路21(FB回路21)、を備えている。
【0014】
電源制御IC10は、オートスタンバイ機能を有しており、スイッチング電源回路100は、当該オートスタンバイ機能によって、少なくともオン状態とスタンバイ状態の2つの電源状態を実現する。例えば、当該スイッチング電源回路100が液晶テレビジョンの電源回路の場合は、映像処理や音声処理、画面に対する映像の表示等がおこなわれている状態がオン状態であり、マイクロコンピュータのみが動作してユーザーからの電源オンを指示する操作入力を待機している状態がスタンバイ状態である。
【0015】
電源制御IC10は、スイッチングトランス12に接続されている負荷の重さ(負荷レベル)の検知と、スイッチングトランス12の1次巻線に対する直流の印加のオンオフ制御(以下、発振とも呼ぶ。)を、連続発振と間欠発振とで切替えることによりオートスタンバイ機能を実現することができる。すなわち、負荷が第1閾値以上のときは連続発振とし、負荷が第1閾値未満のときは連続発振を間欠的に行う間欠発振とする。ここで第1閾値は、スイッチング電源回路100の設計者が適宜に設定するものであり、例えば、スイッチングトランス12に接続されている負荷が上述したマイクロコンピュータのみの状態をスタンバイ状態、バックライトや映像処理IC、音声アンプ、等を駆動している状態をオン状態とし、スタンバイ状態とオン状態との中間的な負荷を第1閾値とする。
【0016】
電源制御IC10は、IS端子10aの電圧に基づいてスイッチング電源回路100に接続されている負荷レベルを検出することができる。IS端子10aは、グランドとの間にセンス抵抗が接続されており、電源制御IC10は内蔵するFETのドレイン電流をIS端子からグランドへと流している。このFETは、スイッチングトランス12の1次巻線に流れる電流のオンオフを制御するものであり、FETのドレイン電流には、スイッチングトランス12に接続されている負荷の大小が反映される。すなわち、センス抵抗には、スイッチングトランス12に接続されている負荷の大小に応じた電圧が発生するため、電源制御IC10は、IS端子10aの電圧を監視することにより負荷レベルを検知することができる。電源制御IC10は、第1閾値よりも負荷が重くなると連続発振を行うことにより電源状態をオン状態とし、第1閾値よりも負荷が軽くなると間欠発振を行うことにより電源状態をスタンバイ状態とする。
【0017】
スイッチングトランス12は、1次巻線の一端に直流を入力され、1次巻線の他端を電源制御IC10の内蔵するFETのソース−ドレインを介してグランドに接続されている。電源制御IC10は、FETをオンオフ制御することにより、スイッチングトランス12の1次巻線に流れる電流をオンオフ制御し、スイッチングトランス12の2次巻線に交流を発生させることができる。なお、スイッチングトランス12の1次巻線の一端には、例えば、外部から入力される商用交流電源を整流・平滑して生成された直流が入力される。
【0018】
スイッチングトランス12の2次巻線は、電圧を取り出すための端子Aと端子Bを備えている。端子Aには整流回路14が接続されており、整流回路14は、端子Aに発生する交流を整流・平滑して生成した直流を伝送ラインA1に出力する。なお、本実施形態においては、伝送ラインA1が第1出力ラインを構成する。図1では、当該直流の電圧をVaとしてある。一方、端子Bには整流回路18が接続されており、整流回路18は、端子Bに発生する交流を整流・平滑下直流を伝送ラインBに出力する。図2では、当該直流の電圧をVbとしてある。なお、本実施形態においては、伝送ラインBが第2出力ラインを構成する。
【0019】
ここで、スイッチングトランス12の2次巻線に接続される負荷について説明する。当該スイッチング電源回路100が液晶テレビジョンの電源回路を構成する場合を例にとると、伝送ラインA1には、バックライトを点灯させるための電源電圧を生成する回路(以下、BL点灯回路と記載する。)や、映像信号のデジタル処理を行う映像処理IC、音声の増幅を行う音声アンプ、等が接続され、伝送ラインBには、マイクロコンピュータが接続される。
【0020】
また、マイクロコンピュータには伝送ラインA1から分岐された伝送ラインA2も接続されている。マイクロコンピュータには、オン状態では伝送ラインBを介して電源電圧が供給され、スタンバイ状態では伝送ラインA1から分岐された伝送ラインA2を介して電源電圧が供給される。伝送ラインA2の途中には定電圧回路20が設けられている。図2は、定電圧回路20の一例を示す回路図である。定電圧回路20は、伝送ラインA1の電圧をマイクロコンピュータの駆動電圧に調整する。従って、スタンバイ状態において伝送ラインBの電圧がマイクロコンピュータの駆動電圧よりも低くなると、伝送ラインA1から伝送ラインA2を介して駆動電圧がマイクロコンピュータに供給される。これにより、マイクロコンピュータは、オン状態とスタンバイ状態の双方で動作できる。
【0021】
FB回路21は、伝送ラインA1の電圧Vaに基づいて生成したフィードバック信号を電源制御IC10にフィードバックしている。電源制御IC10は、FB回路21からフィードバック端子10bへ入力されるフィードバック信号に基づいて当該オンオフ制御を行う。図3はFB回路21の回路図の1例を示してある。同図に示すように、FB回路21は、伝送ラインA1に接続されており、伝送ラインA1の電圧が定格よりも高くなるとツェナダイオード21aが降伏する。すると、フォトカプラIC621を構成するフォトダイオードが発光してフォトトランジスタが受光し、フォトトランジスタがターンオンする。すると、電源制御IC10のフィードバック端子10bに所定の電圧信号(フィードバック信号)が入力される。
【0022】
電源制御IC10は、フィードバック信号が入力されている間は、スイッチングトランス12の2次巻線に発生する電圧が低下するように1次巻線に対する直流の印加にかかるオンオフ制御を行い、フィードバック信号の入力が停止されると、スイッチングトランス12の2次巻線に発生する電圧が上昇するように1次巻線に対する直流の印加にかかるオンオフ制御を行う。その結果、伝送ラインA1に発生する電圧が一定の値に収束する。
【0023】
BL点灯回路は、当該回路を駆動する制御IC B/Lによってバックライトに対する電源電圧の出力を制御されており、映像処理ICや音声アンプ等は、電圧を調整するレギュレータIC1〜IC3を介して伝送ラインA1と接続される。制御IC B/LやレギュレータIC1,IC2,IC3は、出力を制御する出力制御端子T1〜T4を備えており、後述するマイクロコンピュータの制御の下、所定の電圧信号を出力制御端子T1〜T4に入力されると、伝送ラインA1の電圧を利用して生成した駆動電圧を各負荷に供給し、出力制御端子T1〜T4に対する所定の電圧信号の入力が停止されると、各負荷に対する駆動電圧の供給を停止する。なお、図には示していないが、マイクロコンピュータも必要に応じて電圧を調整するレギュレータを介して伝送ラインBや伝送ラインA1に接続される。
【0024】
伝送ラインA1とグランドとの間には、カソードを伝送ラインA1に向けつつアノードをグランドに向けてツェナダイオード16が接続されている。ツェナダイオード16は、端子Aに発生する交流が過電圧になり、伝送ラインA1の電圧Vaが所定値を超えると降伏する。伝送ラインBとグランドとの間には、カソードを伝送ラインBに向けつつアノードをグランドに向けてツェナダイオード19が接続されている。なお、本実施形態においては、ツェナダイオード16が第1ツェナダイオードを構成する。
【0025】
ツェナダイオード19は、端子Bに発生する交流が過電圧になり、伝送ラインBの電圧Vbが所定値を超えると降伏する。伝送ラインBとグランドとの間には、定電圧回路20の出力電圧が伝送ラインBに接続される箇所よりも後段に、カソードを伝送ラインBに向けつつアノードをグランドに向けてツェナダイオード22が接続されている。ツェナダイオード22は、スタンバイ状態において端子Aに発生する交流が過電圧になり、伝送ラインA2の電圧Vcが所定値を超えると降伏する。
【0026】
ここで、伝送ラインA1の負荷が平均的なレベルであれば、例えば、オン状態においてフィードバック回路21のフィードバックラインがショート等して正常にフィードバックが掛からず各伝送ラインが過電圧状態になると、これらのツェナダイオードがほぼ同時に降伏するように設計されており、電源制御IC10は間欠発振に移行する。ただし、伝送ラインA1の負荷が、輝度の上昇、音量の上昇、デジタル処理の増大、等により、通常よりも重くなっていると、伝送ラインA1の電圧上昇が伝送ラインBに比べて鈍いため、伝送ラインA1を過電圧から保護するツェナダイオード16よりも伝送ラインBの過電圧を検知するツェナダイオード19,22の方が先に降伏やショート破壊される。このタイムラグの間に伝送ラインBに大電流が流れるため、伝送ラインBの整流回路18や逆流防止のダイオード23等の素子が発熱する可能性がある。そこで、本実施形態では保護回路17を設けてある。
【0027】
保護回路17は、ツェナダイオードD1が降伏したときにNPN型のトランジスタQ1がターンオンすることにより、制御IC B/LやレギュレータIC1,IC2,IC3の出力制御端子T1〜T4に対して出力を指示する所定の電圧信号を入力する信号伝送ラインをグランドに引き込むことにより、制御IC B/LやレギュレータIC1,IC2,IC3の出力を停止させるようになっている。B/Lの出力制御端子T4は、例えば、バックライトが冷陰極蛍光管で構成されている場合はインバータ回路を駆動する制御ICの出力制御端子であり、バックライトがLEDで構成されている場合は、LED駆動回路の制御ICの出力制御端子である。
【0028】
保護回路17は、より具体的には、ツェナダイオードD1、抵抗R1、NPN型のトランジスタQ1、ダイオードD2〜D5、を備えている。ツェナダイオードD1と抵抗R1は、伝送ラインA1とトランジスタQ1の間を接続しており、ツェナダイオードD1は、伝送ラインA1にアノードを向けつつトランジスタQ1のベースにカソードを向けて伝送ラインA1とトランジスタQ1の間を接続している。ツェナダイオードD1のツェナ電圧は、ツェナダイオード16より低く、伝送ラインA1の出力定格よりも高く設定されており、例えば、伝送ラインA1の出力定格が24Vの場合には、ツェナダイオード16のツェナ電圧が33Vに設定され、ツェナダイオードD1のツェナ電圧とトランジスタQ1のベース−エミッタ電圧を合わせた電圧は24〜33Vの間で例えば30Vに設定される。すなわち、本実施形態においては、ツェナダイオードD1が第2ツェナダイオードを構成する。
【0029】
よって、伝送ラインA1の電圧が、ツェナダイオードD1のツェナ電圧とトランジスタQ1のベース−エミッタ電圧を合わせた電圧を超えると、ツェナダイオードD1が降伏すると共にトランジスタQ1がターンオンし、制御IC B/LやレギュレータIC1,IC2,IC3の出力制御端子T1〜T4をグランドに引き込む。すると、出力制御端子T1〜T4にオン信号が入力されなくなるため、BL点灯回路はバックライトに対する電源電圧の供給を停止し、レギュレータIC1〜IC3も電源電圧の出力を停止する。すなわち、伝送ラインA1には、負荷が接続されていない状態となる。これにより、電源制御IC10は、スイッチングトランス12に負荷が接続されていない状態を検知し、間欠発振に移行する。よって、伝送ラインBに流れる過電流が抑制され、素子の発熱が抑制される。
【0030】
また、ダイオードD2〜D5は、出力制御端子T1〜T4とトランジスタQ1のコレクタとの間をそれぞれ接続している。ダイオードD2は、出力制御端子T4にアノードを向けつつトランジスタQ1のコレクタにカソードを向けて出力制御端子T4とトランジスタQ1との間を接続し、ダイオードD3は、出力制御端子T1にアノードを向けつつトランジスタQ1のコレクタにカソードを向けて出力制御端子T1とトランジスタQ1との間を接続し、ダイオードD4は、出力制御端子T2にアノードを向けつつトランジスタQ1のコレクタにカソードを向けて出力制御端子T2とトランジスタQ1との間を接続し、ダイオードD5は、出力制御端子T3にアノードを向けつつトランジスタQ1のコレクタにカソードを向けて出力制御端子T3とトランジスタQ1との間を接続している。ダイオードD2〜D5により、トランジスタQ1から制御IC B/LやレギュレータIC1,IC2,IC3の出力制御端子T1〜T4への逆流が防止され、出力制御端子T1〜T4間で電流が流れることを防止する。よって、機器の誤動作や故障を防止できる。
【0031】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0032】
10…電源制御IC、10a…IS端子、10b…フィードバック端子、12…スイッチングトランス、14…整流回路、16…ツェナダイオード、17…保護回路、18…整流回路、19…ツェナダイオード、20…定電圧回路、21…フィードバック回路、21a…ツェナダイオード、22…ツェナダイオード、23…ダイオード、100…スイッチング電源回路、A…端子、A1…伝送ライン、A2…伝送ライン、B…端子、B…伝送ライン、B/L…制御IC 、D1…ツェナダイオード、D2〜D5…ダイオード、IC621…フォトカプラ、IC1〜IC3…レギュレータ、Q1…トランジスタ、R1…抵抗、T1〜T4…出力制御端子、Va…電圧、Vb…電圧、Vc…電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続されている負荷の重さが所定レベル以上のときは連続発振し当該負荷の重さが所定レベル未満のときは間欠発振するスイッチング電源回路、の保護回路において、
前記スイッチング電源回路は、少なくとも電源電圧を出力する第1出力ラインと第2出力ラインとを備え、前記第1出力ラインには前記第2出力ラインよりも重い負荷が接続されており、
前記保護回路は、
カソードを前記第1出力ラインに向けて接続され、アノードをグランドに向けて接続され、前記第1出力ラインが定格より高い所定電圧になると降伏する第1ツェナダイオードと、
カソードを前記第1出力ラインに向けて接続され、アノードをグランドに向けて接続され、前記第1出力ラインが前記定格より高く前記第1ツェナダイオードのツェナ電圧よりも低い所定電圧になると降伏する第2ツェナダイオードと、
前記第1出力ラインにおいて前記第1ツェナダイオードや前記第2ツェナダイオードの接続箇所よりも後段に介挿され、出力制御端子に所定の定電圧が入力されているときは前記負荷に対して電源電圧を出力し、前記出力制御端子にグランド電圧が入力されているときは前記負荷に対して電源電圧を出力しないスイッチ部と、
前記第2ツェナダイオードが降伏するとターンオンして前記出力制御端子をグランドに引き込むNPN型のトランジスタと、を備えることを特徴とする保護回路。
【請求項2】
前記出力制御端子と前記トランジスタとを接続するライン上に、前記出力制御端子にアノードを向けつつ前記トランジスタにカソードを向けて介挿されたダイオードを備えることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源の保護回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−244870(P2012−244870A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115587(P2011−115587)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】