説明

ディスクブレーキ用摩擦パッド組立体及び車両用ディスクブレーキ装置

【課題】ディスクロータの変形に拘わらずに安定した摩擦面積を維持して制動特性を良好にする摩擦パッド組立体を得る。
【解決手段】トルク受けプレート4上に揺動自在に装備される複数個のライニング組立体6のディスクロータ面と平行な方向への位置規制は、トルク受けプレート4に形成した凹部4bの内周面と前記ライニング組立体6の裏板62の外周面との間のばね材43を介した嵌合により行い、ディスクロータ面と直交する方向への位置規制は、前記ライニング組立体6の裏板62のプレート接触部62bを前記凹部4bの内底面に当接させることによって行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクロータの変形に拘わらずに安定した摩擦面積を維持して制動特性を良好にするディスクブレーキ用摩擦パッド組立体と、その摩擦パッド組立体を使用した車両用ディスクブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクブレーキ装置は、車軸に固定されるディスクロータと、このディスクロータに対峙して配置されるトルク受けプレートのディスクロータ側の面にライニング部材を組み付けた摩擦パッド組立体と、トルク受けプレートをディスクロータに向かって進退駆動するアクチュエータを内蔵して車体フレームに固定されるブレーキキャリパとを具備して構成され、トルク受けプレートをディスクロータ側に進出させてライニング部材がディスクロータへ押圧された時の摺動摩擦によって制動力を発生する。
【0003】
鉄道車両用のディスクブレーキ装置では、ディスクロータや摩擦パッド組立体が大型であるため、ディスクロータに押圧させるライニング部材を一体部品で形成すると、摩擦熱等でディスクロータに発生するうねり等のために非接触の領域が多くなり、安定した摩擦面積を維持できず、安定した制動特性が得られない。
【0004】
そこで、このような問題を解決するために、トルク受けプレート上には複数個の第2リンクプレートを略平面上に敷設し、各第2リンクプレート上には多数個の第1リンクプレートを互いに独立に旋回自在に敷設し、各第1リンクプレート上には多数個のライニング組立体を互いに独立に旋回自在に配設して、トルク受けプレートのディスクロータ側への移動により、各第1リンクプレート上の各ライニング組立体をディスクロータに接触させる構成の摩擦パッド組立体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このような構成の摩擦パッド組立体では、小さく分割された各ライニング組立体が、それぞれ個別の旋回動作でディスクロータ表面のうねりに追従して、ディスクロータ表面に接触するため、摩擦面積を安定的に維持して、制動特性を良好にする。
【0006】
【特許文献1】特表平10−507250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1に記載の摩擦パッド組立体では、トルク受けプレート上でのライニング組立体の位置規制は、ライニング組立体の表面と平行な方向、及びライニング組立体の表面と直交する方向のいずれも、球面接触部によりライニング組立体を旋回自在に第1リンクプレートに連結している第1のユニバーサルジョイントで行っている。
また、第1リンクプレート上での第2リンクプレートの位置規制も、ライニング組立体の表面と平行な方向、及びライニング組立体の表面と直交する方向のいずれも、球面接触部により第1リンクプレートを旋回自在に第2リンクプレートに連結している第2のユニバーサルジョイントで行っている。
【0008】
その結果、制動時にライニング組立体に作用する制動トルクは、全て、ユニバーサルジョイントの球面接触部を介して、ライニング組立体から第1リンクプレートへ、第1リンクプレートから第2リンクプレートへと順に伝達され、そして最終的に第2リンクプレートが結合されているトルク受けプレートに伝達されることになり、各ユニバーサルジョイントを堅牢に、且つ、各ユニバーサルジョイントの球面接触部を高精度に加工しておかないと、一部のユニバーサルジョイントに過大な負荷が集中して、破損を招く虞がある。
【0009】
しかし、ユニバーサルジョイントの使用箇所が多いため、全てのユニバーサルジョイントを堅牢な構成とし、且つ、その球面接触部、及び該球面接触部が接触する相手側接触部を高精度に加工しなければならないとなると、部品の加工コストが嵩み、摩擦パッド組立体のコストアップや、生産性の低下を招くという問題があった。
【0010】
また、上記特許文献1に記載のブレーキライニングは、鉄道車両用で、制動時にライニング部材に作用する制動トルクを、ライニング部材から第1リンクプレートへ、第1リンクプレートから第2リンクプレートへと順に伝達する構成のため、構成部品が多く、装置が大型化して乗用車等の小型車両のディスクブレーキ装置への転用ができなかった。
【0011】
また、ディスクロータとの接触によってライニング組立体が不用意に回転すると、それにより偏摩耗やブレーキノイズが発生する場合があるため、ライニング組立体の回転を規制する手段が必要になるが、そのために部品が増加すると、その場合も、コストアップを招くと同時に、部品の増加に伴う組み立て工程数の増加が生産性の低下を招くという問題があった。
【0012】
そこで、本発明の目的は上記課題を解消することに係り、安定した摩擦面積を維持して制動特性を良好にでき、しかも、コストの節減、生産性の向上を実現でき、また、乗用車等の小型車両のブレーキ装置としても好適なディスクブレーキ用摩擦パッド組立体及びディスクブレーキ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は下記構成により達成される。
(1)本発明に係るディスクブレーキ用摩擦パッド組立体は、ディスクロータに向かって進退駆動されるトルク受けプレートに複数のライニング組立体が揺動自在に支持されて、前記ライニング組立体の摩擦材がディスクロータへ押圧されるディスクブレーキ用摩擦パッド組立体であって、
前記トルク受けプレートのディスクロータ側の面に、前記ライニング組立体の摩擦材の裏面に固着された裏板を収容する凹部が複数形成されると共に、各凹部の内周には、前記裏板の外周面と前記凹部の内周面との間の間隙を埋めて前記ライニング組立体を保持するリング状のばね材が設けられ、
前記ライニング組立体の裏板は、その外周面が前記ばね材を介して前記凹部の内周面に揺動可能に保持される湾曲面に形成されると共に、裏面中心部には前記凹部の内底面に揺動自在に当接するプレート接触部が形成されている構成とする。
【0014】
(2)上記(1)に記載の構成で、更に、前記凹部の内周面及び前記裏板の外周面には、前記ディスクロータ面に沿う面内での前記ライニング組立体の回転を規制する回り止め用の平坦面を形成した構成とする。
【0015】
(3)本発明に係る車両用ディスクブレーキ装置は、上記(1)又は(2)に記載の一対の摩擦パッド組立体をディスクロータを挟んで対向配置すると共に、これらの一対の摩擦パッド組立体をディスクロータの軸方向に移動自在に支持するサポートと、前記摩擦パッド組立体を前記ディスクロータに押圧するピストンを内蔵して前記サポートに支持されるキャリパとを備えた構成とする。
【発明の効果】
【0016】
上記に記載のディスクブレーキ用摩擦パッド組立体によれば、ディスクロータの変形に対しては、各ライニング組立体の揺動により追従でき、ディスクロータの変形に拘わらずに安定した摩擦面積を維持して制動特性を良好にすることができる。
【0017】
しかも、トルク受けプレート上でのライニング組立体の位置規制は、ライニング組立体のディスクロータ面と平行な方向に対しては、トルク受けプレートに形成された凹部とライニング組立体の裏板の外周面とのばね材を介した嵌合によって行い、また、ディスクロータ面と直交する方向に対しては、ライニング組立体の裏板の裏面に形成したプレート接触部とトルク受けプレート上の凹部の内底面との当接によって行う。
【0018】
従って、制動時にライニング組立体に作用する制動トルクは、ライニング組立体からばね材を介してトルク受けプレートに伝達される。また、ディスクロータへの押圧力はピストンからトルク受けプレートに伝達され、ライニング組立体の裏板のプレート接触部を介して該ライニング組立体に作用する。
【0019】
即ち、ライニング組立体から制動トルクを受ける部位と、ライニング組立体へ押圧力を作用させる部位とが別個に設定されており、ライニング組立体へ押圧力を作用させる接触部には、大きい負荷となる制動トルクが作用しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係るディスクブレーキ用摩擦パッド組立体及び車両用ディスクブレーキ装置の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図6は本発明に係る車両用ディスクブレーキ装置の一実施の形態を示したもので、図1は車両用ディスクブレーキ装置を斜め上方から見た斜視図、図2は図1に示した車両用ディスクブレーキ装置の正面図で図1のA矢視図、図3は図1に示した車両用ディスクブレーキ装置の分解斜視図、図4は図2のB−B線に沿う断面図、図5は図3に示したサポートと該サポートに支持される一対の摩擦パッド組立体との分解斜視図、図6は図5に示した摩擦パッド組立体の分解斜視図である。
【0021】
この一実施の形態の車両用ディスクブレーキ装置1は、所謂、フローティング・キャリパ式の車両用ディスクブレーキ装置で、車軸に固定されたディスクロータ2と、このディスクロータ2を挟んで対向配置される一対のトルク受けプレート(ガイドプレート)4のディスクロータ2側の面に複数個(図示例では2個)のライニング組立体6を組み付けた一対の摩擦パッド組立体8,9と、インナー側の摩擦パッド組立体8をディスクロータ2に押し付けるためのピストン11を収容するシリンダ部13が一方の側に形成されると共にアウター側の摩擦パッド組立体9の背面を規制するキャリパ爪15が他方の側に設けられたキャリパ17と、車体側に固定されると共に一対の摩擦パッド組立体8,9及びキャリパ17をディスクロータ2の軸方向に移動可能にフローティング支持するサポート19とを備えている。
【0022】
サポート19は、図3及び図5に示すように、車体に固定する取付穴21を有した連結部23と、この連結部23の両側にそれぞれ立設された支持椀25とから構成される。各支持椀25の内面には、パッドクリップ27が装着されている。このパッドクリップ27は、図3乃至図5に示すように、金属板で一体形成したもので、各摩擦パッド組立体8,9のトルク受けプレート4の両側部に形成された耳部4aをディスクロータ2の軸方向に摺動自在に保持する溝状のパッドガイド部29を形成している。
【0023】
キャリパ17は、図1及び図2に示すように、シリンダ部13の外周から張り出すように装備された一対のアーム部17aに装備した連結ねじ31を、サポート19の各支持椀25の上端側に装備されたスライドガイド部33の一端に螺合することで、ディスクロータ2の軸方向にスライド可能に、サポート19に支持されている。
キャリパ17に装備されたピストン11は、ブレーキ操作に応じてシリンダ部13に供給される油圧で作動し、摩擦パッド組立体8をディスクロータ2に押し付ける。
【0024】
このようなフローティング・キャリパ式の車両用ディスクブレーキ装置1では、ピストン11による押圧によってインナー側の摩擦パッド組立体8がディスクロータ2に接触すると、押圧作用の反作用で、キャリパ17がピストン11と逆方向に移動し、このキャリパ17の移動によって、キャリパ爪15により背面が規制されているアウター側の摩擦パッド組立体9もディスクロータ2に押圧され、その結果、一対の摩擦パッド組立体8,9がディスクロータ2を挟圧して、制動力を得る状態となる。
【0025】
本実施の形態における摩擦パッド組立体8,9は、同一の構成である。
各摩擦パッド組立体8,9は、図3乃至図6に示すように、サポート19のパッドガイド部29に摺動自在に支持される耳部4aが両端に形成されたトルク受けプレート4と、このトルク受けプレート4のディスクロータ2側の面に座ぐり形成された2個の凹部4bの内周面にそれぞれ嵌合装着される2個のリング状のばね材43と、ディスクロータ2に接触させる摩擦材61の裏面に裏板62が固着された2個のライニング組立体6と、から構成されている。
【0026】
トルク受けプレート4の凹部4bは、ライニング組立体6の裏板62を収容して、ライニング組立体6を揺動可能に保持する。
裏板62の板厚は、凹部4bの深さ寸法よりもわずかに大きく設定されている。
【0027】
リング状のばね材43は、裏板62の外周部に嵌合するリング状とされ、防錆性や耐摩耗性に優れたばね鋼材料によって形成された板ばねで、裏板62の外周面と凹部4bの内周面との間の間隙を埋めてライニング組立体6を凹部4b内に保持する。
【0028】
ライニング組立体6の裏板62は、図4の要部拡大図Cに示すように、その外周面62aがばね材43を介して凹部4bの内周面に揺動可能に保持される湾曲面に形成されている。また、裏板62の裏面中心部には、凹部4bの内底面に揺動自在に当接する凸球面状のプレート接触部62bが形成されている。
ライニング組立体6は、湾曲面に形成されてリング状のばね材43を介して凹部4bの内周に当接する外周面62aと、凹部4bの内底面に当接する凸球面状のプレート接触部62bとによって、凹部4bに揺動自在に支持されている。
【0029】
リング状のばね材43は、図6に示すように、裏板62の裏面に引っかかる折曲げ片43aが設けられている。この折曲げ片43aは、リング状のばね材43が、振動等によって凹部4bと裏板62との間から脱落することを防止する。リング状のばね材43は両端部が、後述する平坦面4c,62cに沿うように屈曲されたばね部43bを備え、このばね部43bが、凹部4bの内周面に対し裏板62に弾性力を付与するように作用する。
【0030】
本実施の形態の場合、凹部4bの内周面及び裏板62の外周面には、ディスクロータ2面に沿う面内でのライニング組立体6の回転を規制する回り止め用の平坦面4c,62cを形成している。
【0031】
以上に説明した摩擦パッド組立体8,9では、ディスクロータ2に押圧されるライニング部材が、小さく分割された複数個のライニング組立体6から構成されると共に、それぞれのライニング組立体6が揺動自在にされているため、ディスクロータ2の変形に対しては、各ライニング組立体6の揺動により追従でき、ディスクロータ2の変形に拘わらずに安定した摩擦面積を維持して制動特性を良好にできる。
【0032】
しかも、トルク受けプレート4上でのライニング組立体6の位置規制は、ライニング組立体6のディスクロータ面と平行な方向に対しては、トルク受けプレート4に形成された凹部4bとライニング組立体6の裏板62の外周面とのばね材43を介した嵌合によって行い、また、ディスクロータ面と直交する方向に対しては、ライニング組立体6の裏板62の裏面に形成したプレート接触部62bとトルク受けプレート4上の凹部4bの内底面との当接によって行う。
【0033】
従って、制動時にライニング組立体6に作用する制動トルクは、ライニング組立体6からばね材43を介してトルク受けプレート4に伝達される。また、ディスクロータ2への押圧力は、ピストン11からトルク受けプレート4へ伝達され、ライニング組立体6の裏板62のプレート接触部62bを介して該ライニング組立体6に作用する。
即ち、ライニング組立体6から制動トルクを受ける部位と、ライニング組立体6へ押圧力を作用させる部位とが別個に設定されており、ライニング組立体6へ押圧力を作用させる接触部には、大きい負荷となる制動トルクが作用しない。
そのため、押圧力を伝達する接触部は、制動トルクを受け止める玉継手等の堅牢な係合にする必要がなく、加工精度の緩和によるコストの節減、生産性の向上を実現することができる。
【0034】
また、押圧力の伝達に、リンクプレート等の中間部品を介在させていないため、構成部品が少なく、ディスクブレーキ用摩擦パッド組立体8,9のコンパクト化が可能になる。
また、大きい負荷となる制動トルクが作用するライニング組立体6の裏板62の外周面とトルク受けプレート4の凹部4bの内周面との間には、ばね材43を介在させているため、このばね材43を防錆力や耐摩耗性に優れた材料で形成しておくことで、接触部における耐震性や耐食性や耐摩耗性を向上させて、ディスクブレーキ用摩擦パッド組立体8,9の寿命を延ばすことができる。
【0035】
更に、以上に説明した摩擦パッド組立体8,9では、ディスクロータ2にライニング組立体6が接触したときに偏摩耗やブレーキノイズが発生する場合があるため、ディスクロータ面に平行な面内でのライニング組立体6の回転を規制する手段が必要であり、このライニング組立体6の回転規制が、本実施の形態では、凹部4bの内周面及び裏板62の外周面に形成した回り止め用の平坦面4c,62cの係合により実現される。
即ち、ディスクロータ面に平行な面内でのライニング組立体6の旋回規制には、独立した専用部品を追加していないため、ライニング組立体6の旋回規制のために部品が増加することがなく、部品の増加に起因したコストアップや組み立て工程数の増加による生産性の低下といった不都合の発生を回避できる。
【0036】
そして、このようにコンパクト化に適した摩擦パッド組立体8,9を採用した車両用ディスクブレーキ装置1では、摩擦パッド組立体8,9のコンパクト化に相応して、サポート19やキャリパ17を小型化することで、乗用車等の小型車両に適した小型のディスクブレーキ装置を得ることができる。
【0037】
なお、本発明に係るディスクブレーキ用摩擦パッド組立体において、トルク受けプレート上に揺動自在に装備するライニング組立体の個数は、上記実施の形態に限定しない。ディスクロータの大きさによっては、トルク受けプレート上に、3個以上のライニング組立体を揺動自在に装着する構成とすることも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る車両用ディスクブレーキ装置の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】図1の車両用ディスクブレーキ装置の分解斜視図である。
【図4】図2のB−B線に沿う断面図である。
【図5】図3に示したサポートと摩擦パッド組立体との分解斜視図である。
【図6】図5に示した摩擦パッド組立体の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 車両用ディスクブレーキ装置
2 ディスクロータ
4 トルク受けプレート
4b 凹部
4c 平坦面
6 ライニング組立体
8,9 摩擦パッド組立体
11 ピストン
13 シリンダ部
15 キャリパ爪
17 キャリパ
19 サポート
21 取付穴
23 連結部
25 支持椀
27 パッドクリップ
29 パッドガイド部
31 連結ねじ
43 リング状のばね材
43a 折曲げ片
61 摩擦材
62 裏板
62a 外周面(湾曲面)
62b プレート接触部
62c 平坦面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクロータに向かって進退駆動されるトルク受けプレートに複数のライニング組立体が揺動自在に支持されて、前記ライニング組立体の摩擦材がディスクロータへ押圧されるディスクブレーキ用摩擦パッド組立体であって、
前記トルク受けプレートのディスクロータ側の面に、前記ライニング組立体の摩擦材の裏面に固着された裏板を収容する凹部が複数形成されると共に、各凹部の内周には、前記裏板の外周面と前記凹部の内周面との間の間隙を埋めて前記ライニング組立体を保持するリング状のばね材が設けられ、
前記ライニング組立体の裏板は、その外周面が前記ばね材を介して前記凹部の内周面に揺動可能に保持される湾曲面に形成されると共に、裏面中心部には前記凹部の内底面に揺動自在に当接するプレート接触部が形成されていることを特徴とするディスクブレーキ用摩擦パッド組立体。
【請求項2】
前記凹部の内周面及び前記裏板の外周面には、前記ディスクロータ面に沿う面内での前記ライニング組立体の回転を規制する回り止め用の平坦面を形成したことを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ用摩擦パッド組立体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の一対の摩擦パッド組立体をディスクロータを挟んで対向配置すると共に、これらの一対の摩擦パッド組立体をディスクロータの軸方向に移動自在に支持するサポートと、前記摩擦パッド組立体を前記ディスクロータに押圧するピストンを内蔵して前記サポートに支持されるキャリパとを備えたことを特徴とする車両用ディスクブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−106850(P2008−106850A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290342(P2006−290342)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)
【Fターム(参考)】