説明

ディスク共振器および光フィルタ

【課題】 伝搬光の曲率を増大でき、低エネルギーで屈折率を調整可能なディスク共振器およびこれを用いた光フィルタを提供する。
【解決手段】 本発明のディスク共振器は、第1のクラッド層11の上に、ほぼ円形状またはほぼ長円形状のディスク状のコア層12が、メサ形状となるように形成され、コア層12の上に、ほぼ円形状またはほぼ長円形状のディスク状の第2のクラッド層13が、リブ形状となるように形成され、第1のクラッド層11および第2のクラッド層13の双方の屈折率が、コア層12の屈折率よりも低いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク共振器および光フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
幹線系における波長多重WDM(Wavelength Division Multiplexing)光システムでは、高速化および大容量化が進んでいる。前記システムで用いられる送信装置には、小型化および低消費電力化の要請がある。例えば、InP系半導体にリング共振器等の光フィルタから形成される機能デバイスを集積することにより、より小型で消費電力の低い波長可変レーザや、プリチャープ機能を付加した集積光源を実現できる。このように、他の光デバイスと集積される光フィルタの導波路の形状には、例えば、その光閉じ込め態様により分類されるハイメサ型、リブ型(リッジ型とも呼ばれる)および埋め込み型がある。図12の断面図に、これら導波路の基本構造を例示する。図12(a)は、ハイメサ型形状の例示であり、図12(b)は、リブ型形状の例示であり、図12(c)は、埋め込み型形状の例示である。前記ハイメサ型形状は、導波路を構成する1つの層の上面に接して他の層が凸状部分を形成しており、前記凸状部分の高い位置にコア層を含む形状である。前記リブ型形状は、導波路を構成する1つの層の上面に接して他の層が凸状部分を形成しており、前記凸状部分にコア層を含まない形状である。埋め込み型形状は、導波路を構成する1つの領域が周囲の他の領域に埋め込まれている形状である。特に、前記埋め込み型形状の導波路は、他の導波路構造と比べ、光閉じ込め係数が小さいため、一般に数百μm程度の曲げ半径しか得ることができない。また、作製工程が、結晶の面方位に依存するため、急峻な曲がり導波路やリング共振器、ディスク共振器に応用するには限界がある。
【0003】
急峻に導波路を曲げるための光フィルタで使用される共振器では、前記ハイメサ形状が、光閉じ込め係数が高いことから、適している。このような共振器として、例えば、特許文献1および2に記載のリング共振器がある。特許文献1に記載のリング共振器は、導波路との結合領域において前記導波路に垂直に結合されるリング共振器である。特許文献2記載のリング共振器は、2つの弧状端部と、それらの間に延在する概ね真直ぐな第1辺部および第2辺部を有するリング共振器である。このようなリング共振器は、前記リング共振器の半径が小さいほど、前記リング共振器のモード間隔が拡大する。そのため、半径の小さいリング共振器を波長可変レーザへの波長可変光フィルタとして使用すると、前記波長可変レーザの波長可変幅を拡大できる利点がある。しかし、前記ハイメサ形状のリング共振器は、例えば20μmの曲率半径以下という極めて急嵯な曲げ導波路を形成すると、曲げの外側への放射損失が大きい問題がある。また、ハイメサの凸状の側壁の荒さ(ラフネス)や、ハイメサ形成時のドライエッチングプロセスによる側壁近傍のダメージにより、伝搬損失が大きい問題がある。
【0004】
前記リング共振器よりも伝搬損失の少ない共振器として、例えば、特許文献3および4に記載のディスク共振器がある。前記ディスク共振器では、ディスクの外側の側壁のみがエッチングされるので、前記リング共振器よりも導波路の散乱損失が小さく、伝搬損失を低減できる。
【0005】
この他に、曲率半径の変化点近傍における損失を抑えることを目的とした導波路として、特許文献5記載の曲がり導波路がある。しかし、前記特許文献5記載の導波路は、ディスク形状ではないので、前述の側壁の荒さ(ラフネス)や側壁近傍のダメージの問題を解決できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−516283号公報
【特許文献2】特表2003−521723号公報
【特許文献3】特表2001−526000号公報
【特許文献4】特開2002−217484号公報
【特許文献5】特開平6−51143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記ディスク共振器では、リング共振器に比べて内側の屈折率が高くなるため、外側への放射損失を抑制できる。また、伝搬損失の原因となる側壁が外側だけになるため、伝搬損失を抑制できる。すなわち、前記ディスク共振器によれば、より曲率半径を低減できる可能性がある。しかし、前記特許文献3および4に記載のディスク共振器は、側壁が平坦に形成されており、前記ディスク共振器の曲率半径の低減効果に限界がある。
【0008】
そこで、前記曲率半径の低減のために、例えば、図13(a)に示すように、前記ディスク共振器をハイメサ形状に形成することが考えられる。図中、符号130が、前記ディスク共振器を示し、符号12が、コア層を示し、符号11および13が、コア層12よりも屈折率の低い領域を示す。符号15は、外部導波路を示す。しかし、単に、前記ディスク共振器をこのようなハイメサ形状に形成しただけでは、実用上必要な、20μmの曲率半径以下という曲げ導波路は実現できない。そこで、例えば、図13(b)に示すように、前記ディスク共振器をリブ形状に形成することが考えられる。図中、符号140が、前記ディスク共振器を示し、符号12が、コア層を示し、符号11および13が、コア層12よりも低屈折率の領域を示す。符号15は、外部導波路を示す。このような構造を有するリブ形状の前記ディスク共振器(以下、リブディスク共振器ともいう)は、活性層が露出しないので、例えば、InP基板上のInGaAlAs系材料等の酸化し易い半導体材料においても、ディスク共振器の信頼性を損なわずに作製できる。また、エッチング側面のラフネスの影響を受けにくい利点がある。しかし、前記リブディスク共振器で、例えば、曲率半径20μm以下という大きい曲率を実現しようとすると、外側への放射損失が顕著となる問題がある。
【0009】
さらに、これらディスク共振器は、例えば、電流を注入したり、上部に電極ヒータを形成して熱注入を行うことで、屈折率を変化させることができ、ディスク共振器内部での共振波長を調整(チューニング)できる。このため、前記ディスク共振器は、例えば、波長可変フィルタとして用いることができる。しかし、前記ディスク共振器は、例えば、リング共振器と比較して導波路体積が大きいため、前記リブディスク共振器の全体に電流注入や熱注入を行わなければならず、屈折率の調整に多くのエネルギーを要する問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、伝搬光の曲率を増大でき、低エネルギーで屈折率を調整可能なディスク共振器およびこれを用いた光フィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のディスク共振器は、第1のクラッド層の上に、ほぼ円形状またはほぼ長円形状のディスク状のコア層が、メサ形状となるように形成され、前記コア層の上に、ほぼ円形状またはほぼ長円形状のディスク状の第2のクラッド層が、リブ形状となるように形成され、
前記第1のクラッド層および前記第2のクラッド層の双方の屈折率が、前記コア層の屈折率よりも低いことを特徴とする。
【0012】
本発明の光フィルタは、前記本発明のディスク共振器を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のディスク共振器によれば、伝搬光の曲率を増大でき、低エネルギーで屈折率を調整可能なディスク共振器等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】図1Aは、本発明の一実施形態のディスク共振器の構造を示す平面図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示すI−I間での断面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態のディスク共振器の構造を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態のディスク共振器の構造を示す断面図である。
【図4A】図4Aは、本発明の一実施形態のディスク共振器の構造を示す平面図である。
【図4B】図4Bは、図4Aに示すII−II間での断面図である。
【図5A】図5Aは、本発明の一実施形態のディスク共振器の構造を示す平面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aに示すディスク共振器を含む光フィルタの構造を示す平面図である。
【図6A】図6Aは、本発明の一実施形態の光フィルタの構造を示す平面図である。
【図6B】図6Bは、図6Aに示すIV−IV間での断面図である。
【図6C】図6Cは、図6Aに示すV−V間での断面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態の光フィルタの構造を示す平面図である。
【図8A】図8Aは、本発明の一実施形態の光フィルタの構造を示す平面図である。
【図8B】図8Bは、図8Aに示すVI−VI間での断面図である。
【図8C】図8Cは、図8Aに示すVII−VII間での断面図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態の光フィルタの構造を示す断面図である。
【図10】図10は、図9のディスク共振器についてのサーモグラフィの理論計算の一例を示す模式図である。
【図11】図11は、図9の第2のクラッド層に形成された凹部の半径xとヒータ下部温度の関係を示すグラフである。
【図12】図12は、導波路の構造をタイプ別に例示する断面図である。
【図13】図13は、ディスク共振器の構造を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
前述のとおり、本発明のディスク共振器は、前記第1のクラッド層の上に前記コア層が、メサ形状となるように形成され、前記コア層の上に、前記第2のクラッド層が、リブ形状となるように形成され、前記第1のクラッド層および前記第2のクラッド層の双方の屈折率が、前記コア層の屈折率よりも低いことを特徴とする。ここで、本発明において、「メサ形状」および「リブ形状」は、いずれも、導波路を構成する1つの層の上面に接して他の層が、凸状部分を形成している形状であるが、「メサ形状」は、前記凸状部分にコア層を含む形状を意味し、「リブ形状」は、前記凸状部分にコア層を含まない形状を意味する。前記「メサ形状」は、前記コア層が前記凸状部分の高い位置に形成されたハイメサ形状も含む。本発明のディスク共振器は、導波路構造を、前記コア層がメサ形状で形成され、前記第2のクラッド層がリブ形状で形成された2段構造としたことにより、伝搬光の曲率半径を低減でき、小型のディスク共振器を実現できる。なお、本発明のディスク共振器では、前記第1のクラッド層の上面側に前記2段構造で形成された凸状部分のうち、上段を構成する凸状部分を上段リブ部分といい、前記上段リブ部分の下に配置され、下段を構成する部分を下段メサ部分という。図1Aおよび図1Bに、本発明のディスク共振器の構成の例を示す。図1Aは、本発明のディスク共振器の平面図を、図1Bは、図1Aに示すI−I間での断面図を示す。図示のとおり、本発明のディスク共振器は、第1のクラッド層11の上に、前記ディスク状のコア層12が、メサ形状となるように形成され、コア層12の上に前記ディスク状の第2のクラッド層13が、リブ形状となるように形成されている。同図では、第1のクラッド層11、コア層12および第2のクラッド層13が、互いにほぼ同心の円板状に形成されている例を示すが、本発明のディスク共振器は、これには限定されない。すなわち、例えば、第1のクラッド層11は、コア層12をメサ形状に形成できる限り、どのような形状であってもよい。コア層12および第2のクラッド層13は、ほぼ円形状またはほぼ長円形状のディスク状であれば、どのような形状であってもよい。本発明のディスク共振器では、前記2段構造により、伝搬光は、上段リブ部分の直下を伝搬し、下段メサ部分の周壁により光が空間的に閉じ込められて、ディスク共振器の内部を周回する。このため、例えば、前記コア層12を外部に露出させずに前記第2のクラッド層13をリブ形状に形成した場合と比べて、伝搬光の曲率半径を小さくすることができる。ただし、このメカニズムは、推測であり、本発明はこのような理論に限定されるものではない。また、前記本発明のディスク共振器は、前記2段構造により、伝搬モードが、下段メサ部分の内側に局在するので、前記ディスク共振器の全体に電流や熱注入を行わなくても前記ディスク共振器の屈折率を調整でき、効率的な屈折率の調整が可能である。すなわち、例えば、前記コア層の前記伝搬モードが局在している領域の上にのみ、電流や熱を注入すれば、前記ディスク共振器の屈折率を調整できる。
【0016】
前記本発明のディスク共振器において、前記コア層は、前記ディスク状に形成されており、かつ、第1のクラッド層の上にメサ形状に形成されている限り、特に制限されない。前記コア層は、光が主に導波される高屈折率材料(媒質)の層(領域)であり、前記第1のクラッド層および前記第2のクラッド層との境界で光を伝搬する領域である。本発明のディスク共振器では、前記コア層がメサ形状に形成されているので、前述のとおり、前記下段メサ部分の周壁で光を閉じ込めることができる。前記コア層は、前記第1のクラッド層および前記第2のクラッド層の双方の屈折率よりも、高い屈折率を有する限り、特に制限されず、このような屈折率を実現できるあらゆる電気光学材料から形成できる。前記コア層は、例えば、InGaAs、InGaAsP、InGaAlAs、SiおよびSiONからなる群から選択される少なくとも一つの電気光学材料で形成することができる。前記コア層は、例えば、前記外部導波路のコア層と連続させることができる。すなわち、ディスク共振器と外部導波路の光結合は、それぞれの光伝搬モードの空間的な重なり合わせにより発生する。このような光結合に関し、前記本発明のディスク共振器では、例えば、前記外部導波路を前記本発明のディスク共振器の前記コア層を連続させることで、前記本発明のディスク共振器と前記外部導波路の結合係数を増大させることができる。
【0017】
前記本発明のディスク共振器は、例えば、エッチングや研磨等、光導波路を作製するための公知の方法を用いて作製できる。具体的には、例えば、次のようにして、前記本発明のディスク共振器を作製することができる。まず、前記コア層よりも低い屈折率の第1の電気光学材料層の上に前記コア層となる第2の電気光学的材料層を積層し、前記第2の電気光学材料層の上に、前記第2の電気光学材料層よりも低い屈折率を有する第3の電気光学材料層を積層した積層体を作製する。その後、例えば、エッチング加工により、リブ形状となるように、前記第3の電気光学材料層をほぼ円形状またはほぼ長円形状のディスク状に形成して、前記第2のクラッド層とする。また、例えば、エッチング加工により、メサ形状となるように、前記第2の電気光学材料層をほぼ円形状またはほぼ長円形状のディスク状に形成して、前記コア層とする。前記第2のクラッド層と前記コア層は、どちらが先に形成されてもよい。すなわち、前記第2のクラッド層を形成した後で、前記コア層を形成してもよいし、また、その逆でもよい。また、前記第1のクラッド層の上に前記コア層を積層し、前記コア層の上に前記第2のクラッド層を積層することによっても作製できる。前記第1のクラッド層は、前記コア層よりも低い屈折率を有する限り、特に制限されず、このような屈折率を実現できるあらゆる電気光学材料から形成できる。前記第1のクラッド層は、例えば、InP、GaAs、SiO、SiNおよび空気からなる群から選択される少なくとも一つから形成できる。第2のクラッド層は、前記コア層よりも低い屈折率を有する限り、特に制限されず、このような屈折率を実現できるあらゆる電気光学材料から形成できる。前記第2のクラッド層は、例えば、InP、GaAs、SiO、SiNおよび空気からなる群から選択される少なくとも一つから形成できる。
【0018】
本発明において、前記コア層および前記第2のクラッド層に関し、本発明において「ほぼ円形状またはほぼ長円形状のディスク状」とは、角のない板形状を意味し、円板形および楕円板形のみならず、外周が部分的に平坦に形成された変形円板形状を含む。すなわち、前記本発明のディスク共振器において、前記コア層は、角のない板形状で、前記第1のクラッド層の上にメサ形状に形成されていれば、どのような形状もとることができる。すなわち、前記本発明のディスク共振器によれば、光結合させる外部導波路の形状に応じて前記コア層の外周の形状を変形できる。これにより、前記外部導波路との結合長、ひいては結合係数を調整することが可能となり、例えば、光フィルタの設計の自由度を向上できる。例えば、前記コア層の外周を部分的に平坦に形成した場合、前記平坦部分に外部導波路を結合でき、本発明のディスク共振器と前記外部導波路との結合係数を増大できる。前記コア層の外周を部分的に平坦に形成する場合、例えば、前記平坦に形成された部分の長さは、平坦に形成されていない部分の長さの、0.1倍以上、0.5倍以下であることが好ましく、0.21倍以上、0.48倍以下であることがより好ましく、0.27倍以上、0.40倍以下であることがいっそう好ましい。前記第2のクラッド層は、角のない板形状で、前記コア層上にリブ形状に形成されていれば、どのような形状もとることができる。前記第2のクラッド層には、後述のように、ほぼ円形状またはほぼ長円形状のディスク状の凹部が形成されていてもよい。これにより、前記ディスク共振器内部での光の伝搬に影響を与えることなく、前記ディスク共振器の屈折率を調整でき、屈折率調整の効率を向上できる。前記本発明のディスク共振器では、前記第2のクラッド層は、前記コア層の上面上のどの部分に形成されていてもよいが、前記コア層の平面方向に、前記コア層の外周から外側に突出しないことが好ましい。これにより、前記ディスク共振器の曲率半径を小さくでき、また、光の伝搬モードを局在化させることができる。前記コア層と前記第2のクラッド層の間隔は、伝搬モードの横方向の広がりと同程度以下であることが好ましいが、これには限定されない。また、例えば、前記コア層と前記第2のクラッド層の間隔は、前記コア層と前記第2のクラッド層をそれぞれ別工程で作製する場合、起こり得る位置合わせの誤差よりは大きくすることが好ましい。上段リブ部分と下段メサ部分の間隔は、0.1μm〜1.5μmとすることが好ましく、0.1μm〜0.6μmとすることがより好ましく、0.1μm〜0.3μmとすることが一層好ましいが、これには限定されない。前記コア層および前記第2のクラッド層が、例えば、円板形状である場合、前記コア層と前記第2のクラッド層は、同心に形成できる。これにより、前記ディスク共振器の曲率半径を小さくでき、また、光の伝搬モードを局在化させることができる。前記コア層および前記第2のクラッド層が、例えば、同心の円板形状である場合、前記上段リブ部分の直径をdとし、下段メサ部分の直径をfとすると、d:f=1:1.003〜1.125であることが好ましく、d:f=1:1.003〜1.05であることがより好ましく、d:f=1:1.003〜1.02であることがいっそう好ましい。前記ディスク共振器の曲率半径を小さくし、また、電流や熱の伝搬モードを局在化させるためには、前記第1のクラッド層、前記コア層および前記第2のクラッド層のそれぞれの厚みは、特に制限されない。例えば、前記第1のクラッド層の厚みをa、前記コア層の厚みをb、前記第2のクラッド層の厚みをcで表して、a:b:c=1:0.05〜0.5:1であることが好ましく、a:b:c=1:0.08〜0.4:1であることがより好ましく、a:b:c=1:0.1〜0.4:1であることがいっそう好ましいが、この範囲には限定されない。また、前記下段メサ部分と前記上段リブ部分の高さの比は、1:0.5〜5であることが好ましく、1:1〜4であることがより好ましく、1:2〜3であることがいっそう好ましい。前記メサ部分の高さは、大きいほど他モードへの伝搬モード変換による損失を抑制できる。ただし、加工や後工程の難易度との兼ね合いから、前記下段メサ部分の高さが、0.5μm〜2.0μmであることが好ましく、1.0μm〜2.0μmであることがより好ましく、1.4μm〜2.0μmであることがいっそう好ましい。前記上段リブ部分の高さは、上下方向の伝搬モードの浸み出しと作製容易性の兼ね合いから、1.0μm〜2.5μmであることが好ましく、1.0μm〜2.3μmであることがより好ましく、1μm〜2μmであることがいっそう好ましい。
【0019】
前述のとおり、前記本発明のディスク共振器では、前記第2のクラッド層にほぼ円形状またはほぼ長円形状のディスク状の凹部を形成することができる。これにより、前記ディスク共振器の屈折率の調整効率をより向上できる。すなわち、前述のとおり、本発明のディスク共振器では、メサ形状に形成された前記コア層の上にリブ形状の前記第2のクラッド層が形成された2段構造により、伝搬モードが前記コア層において局在化する。そのため、前記凹部を、前記第2のクラッド層における、前記コア層の前記伝搬モードが局在している領域外の部分の上に形成できる。これにより、前記ディスク共振器内部での光の伝搬に影響を与えることなく、屈折率調整の効率をより増大できる。例えば、前記コア層および前記第2のクラッド層が、互いにほぼ同心の前記ディスク状である場合、前記第2のクラッド層に、前記第2のクラッド層とほぼ同心のほぼ円形状またはほぼ長円形状のディスク状の前記凹部を形成することで、前記屈折率調整効率を増大できる。この場合、前記凹部は、前記第2のクラッド層の平面面積の14%以上であることが好ましく、25%〜56%であることがより好ましく、42%〜56%であることがいっそう好ましいが、この範囲には限定されない。このような凹部は、前記ディスク状の第2のクラッド層の表面および裏面のいずれの面に形成されていてもよい。前記凹部を有する前記本発明のディスク共振器は、前記凹部の形成場所に応じて適宜の方法で作製できる。すなわち、前記凹部を有する前記本発明のディスク共振器は、例えば、前記コア層と前記第2のクラッド層の積層構造を作製した後に、前記第2のクラッド層の前記凹部となる部分を除去して作製できる。また、前記凹部を有する前記本発明のディスク共振器は、例えば、予め前記凹部が形成された前記第2のクラッド層を前記コア層に積層して作製できる。
【0020】
前記本発明のディスク共振器を用いて、例えば、光フィルタを作製することができる。前記本発明のディスク共振器は、前記本発明の光フィルタに使用できる。
【0021】
前記本発明の光フィルタは、前記本発明のディスク共振器を含むことにより、例えば、伝搬光のモード間隔を拡大できる。すなわち、前記本発明の光フィルタでは、前記本発明のディスク共振器の曲率半径を縮小できる。そのため、伝搬光のモード間隔を拡大でき、例えば、波長可変レーザへの波長可変フィルタとして使用した場合、前記波長可変レーザの波長可変幅を拡大できる効果がある。前記本発明の光フィルタは、外部導波路と光学的に結合させることができる。図6Aに、本発明のディスク共振器と外部導波路を含む本発明の光フィルタの例を示す。図示のとおり、本発明の光フィルタは、本発明のディスク共振器60と、ディスク共振器60に対して光学的に結合する直線形状の外部導波路15を含む。同図では、外部導波路15は、直線形状を有するが、本発明の光フィルタはこのような態様に限定されない。すなわち、外部導波路15は、前記本発明のディスク共振器60に光学的に結合できる導波路であれば、特に制限されず、どのような形状を有していてもよい。また、同図では、前記本発明のディスク共振器60は、互いにほぼ同心の円板形のコア層12と第2のクラッド層13を有するが、前記本発明のディスク共振器60は、このような態様に限定されない。このような構造により、本発明の光フィルタでは、ディスク共振器60に効率的に光を入出力させることができる。
【0022】
前記本発明の光フィルタは、特に、前記本発明のディスク共振器として、前記コア層の外周を部分的に平坦に形成したディスク共振器を用いることができる。この場合、前記コア層の平坦部分に前記外部共振器との光学的結合部分を配置することで、前記外部共振器との結合係数をより増大させることができる。
【0023】
前記本発明の光フィルタは、また、例えば、前記本発明のディスク共振器の前記コア層を、前記外部導波路のコア層と連続させることで、前記本発明のディスク共振器と前記外部導波路の結合係数をより増大させることができる。前記外部導波路を含む場合は、前記外部導波路の少なくとも前記ディスク共振器との光学的結合部分を含む部分が、メサ形状に形成されていることが好ましい。また、前記外部導波路の前記コア層と前記ディスク共振器の前記コア層が前記光学的結合部分で連続していることが好ましい。これにより、極めて高性能の光フィルタを得ることができる。すなわち、例えば、図13(a)に示すようなハイメサ形状のディスク共振器(以下、ハイメサディスク共振器ともいう)では、例えば、ハイメサ導波路等の外部導波路からの光結合部(光ジョイント)に、リブ型方向性結合器等の方向性結合器が使用される。ここで、特に、小型のハイメサディスク共振器との結合のためには、完全結合長の短い前記方向性結合器を用いる必要がある。そして、このような結合を実現するためには、例えば、前記外部導波路と前記ハイメサディスクの間のギャップを0.1μm程度の狭さで形成し、数μmオーダーの深さのエッチングを為さなければならない。しかし、これは、実際上不可能である。そこで、例えば、前記ギャップを実際上作製可能な約1μm程度とすると、前記ハイメサディスクへの結合係数が、1%以下となってしまい、実用に耐えられない。また、例えば、図13(b)に示すようなリブディスク共振器では、ハイメサ形状の導波路構造と比較して、横方向の電界の浸み出しが大きいため、例えば、外部のリブ形状の導波路との光の結合係数を高めることができる。前記リブディスク共振器の場合、例えば、10%以上の結合係数を得るためには、外部導波路と前記リブディスクの間の前記方向性結合器の上段リブのギャップ幅を0.6μmに緩和できる。また、この場合、リブ型導波路の方向性結合器を用いるため、活性層よりも深くエッチングする必要がない。すなわち、この場合、例えば、光結合のために必要な前記エッチングの深さは、1.5μm程度であり、極めて容易に実現できる。しかし、前述のとおり、このようなリブディスク共振器では、外側への放射損失の問題がある。これに対して、前記本発明の光フィルタでは、例えば、前記本発明のディスク共振器の前記コア層を、前記外部導波路のコア層と連続させることができる。また、例えば、前記本発明のディスク共振器の前記コア層と、前記外部導波路のコア層とを共通するメサ形状に形成することができる。すなわち、前記本発明の光フィルタでは、前記ディスク共振器の小さな曲率半径と、ディスク共振器の高い屈折率調整効率と、前記ディスク共振器と前記外部導波路の空間的な重なり合わせの増大とを同時に実現できる。
【0024】
次に、本発明のディスク共振器について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施形態は、例示であり、本発明は、以下の実施形態により制限および限定されない。
【0025】
[実施形態1]
本実施形態では、本発明のディスク共振器の一例を示す。図1Aおよび図1Bに、本実施形態のディスク共振器の構成を示す。図1Aは、本実施形態のディスク共振器の平面図を、図1Bは、図1Aに示すI−I間での断面図を示す。図示のとおり、本実施形態のディスク共振器は、第1のクラッド層11の上に、ディスク状のコア層12が、メサ形状となるように形成され、コア層12の上にディスク状の第2のクラッド層13が、リブ形状となるように形成されている。同図では、第1のクラッド層11、コア層12および第2のクラッド層13が、互いにほぼ同心の円板状に形成されている例を示す。ただし、本発明は、このような態様に限定されない。例えば、第1のクラッド層11は、ディスク状でなくてもよく、例えば、光配線基板上で必要とされる適宜の形状に形成できる。コア層12および第2のクラッド層13は、ほぼ円形状またはほぼ長円形状のディスク状であれば、どのような形状で形成されていてもよい。上段リブ部分の高さH1は、上下方向のモードの浸み出しと作業容易性の観点から、例えば、1.0μm〜2.5μmとすることができるが、この範囲には限定されない。下段メサ部分の高さH2は、例えば、0.5μm〜2.0μmとすることができるが、この範囲には限定されない。また、上段リブ部分と下段メサ部分の間隔W1は、例えば、0.1μm〜2.0μmとすることができるが、この範囲には限定されない。本実施形態では、第1のクラッド層11と第2のクラッド層13の双方の屈折率が、コア層12の屈折率よりも低く形成されている。第1のクラッド層13は、例えば、InP、GaAs、SiO、SiNおよび空気からなる群から選択される少なくとも一つから形成できるが、これらには限定されない。コア層12は、例えば、InGaAs、InGaAsP、InGaAlAs、SiおよびSiONからなる群から選択される少なくとも一つの電気光学材料から形成できるが、これらには限定されない。第2のクラッド層13は、例えば、InP、GaAs、SiO、SiNおよび空気からなる群から選択される少なくとも一つから形成できるが、これらには限定されない。本実施形態のディスク共振器10は、例えば、エッチング加工技術を用いて次のようにして作製できる。すなわち、まず、第1のクラッド層11を形成する第1の電気光学材料層の上に、前記第1の電気光学材料層よりも高い屈折率の第2の電気光学材料層を積層し、前記第2の電気光学材料層の上に、前記第2の電気光学材料層よりも低い屈折率の第3の電気光学材料層を積層した積層体を準備する。次いで、前記積層体を、例えば、前記第3の電気光学材料層の側からエッチング加工する。具体的には、まず、前記第3の電気光学材料層を、前記第2の電気光学材料層に対してリブ形状となり得るようにエッチングし、不要な部分を除去して前記ディスク状の第2のクラッド層13を形成する。次いで、前記第2の電気光学材料層を、前記第1の電気光学材料層に対してメサ形状となるよう、不要な部分を除去して前記ディスク状のコア層12を形成する。次いで、前記第1の電気光学材料層をエッチングして、不要な部分を除去して第1のクラッド層11を形成する。ただし、本実施形態のディスク共振器10の作製方法は、これには限定されない。例えば、前記積層体は、前記第1の電気光学材料層の側からエッチングし、第1のクラッド層11およびコア層12を形成した後で第2のクラッド層13を形成してもよい。また、第1のクラッド層11、コア層12および第2のクラッド層13を予め形成しておき、これら層を積層してもよい。
【0026】
本実施形態のディスク共振器10は、例えば、方向性結合器を用いて、外部導波路と光結合させることができる。本実施形態のディスク共振器10では、伝搬光が、上段リブ部分の直下を伝搬し、かつ、下段メサ部分の内部に空間的に閉じ込められる。このため、前記伝搬光の曲げ半径を小さくすることができる。また、本実施形態のディスク共振器10では、前記伝搬光の伝搬モードが、下段メサ部分の外周の内側の部分に局在しているので、例えば、前記ディスク共振器10の屈折率の調整効率を高めることができる。
【0027】
[実施形態2]
本実施形態では、本発明のディスク共振器の別の例を示す。図2に、本実施形態のディスク共振器の構成を示す。図2は、本実施形態のディスク共振器の断面図を示す。図示のとおり、本実施形態のディスク共振器20は、第1のクラッド層11の上面が、コア層12と同幅で突出した形状に形成されていること以外は、実施形態1と同様である。すなわち、第2のクラッド層13は、コア層12に対してリブ形状を有するように一部が除去された構造を有し、コア層12は、第2のクラッド層13の幅と異なる幅を有するように一部が除去されたメサ形状を有する。同図中、前記実施形態1と同一の部分には同一の符号を付している。本実施形態では、コア層の厚みは、例えば、0.2μm〜0.4μmであるが、この範囲には限定されない。さらに、第2のクラッド層の厚みは、1.0μm〜2.5μmであるが、この範囲には限定されない。また、本実施形態では、上段リブ部分の高さH1は、上下方向のモードの浸み出しと作業容易性の観点から、例えば、1.0μm〜2.5μmとすることができるが、この範囲には限定されない。下段メサ部分の高さH2は、例えば、0.5μm〜2.0μmとすることができるが、この範囲には限定されない。また、上段リブ部分と下段メサ部分の間隔W1は、例えば、0.1μm〜2.0μmとすることができるが、この範囲には限定されない。本実施形態のディスク共振器20は、例えば、エッチング加工技術を用いて次のようにして作製できる。例えば、前記実施形態1に記載したように、前記第1の電気光学材料層の上に、前記第2の電気光学材料層および前記第3の電気光学材料層を積層した積層体を準備する。次いで、前記積層体を、例えば、前記第3の電気光学材料層の側からエッチング加工する。具体的には、例えば、前記第3の電気光学材料層を、前記第2の電気光学材料層までエッチングし、不要な部分を除去して前記ディスク状の第2のクラッド層13をリブ形状に形成する。次いで、前記第2の電気光学材料層および前記第1の電気光学材料層を、前記第1の電気光学材料層の上面から一定の深さまでエッチングし、不要な部分を除去して前記ディスク状のコア層12をメサ形状に形成する。次いで、前記第1の電気光学材料層の残りの部分を下面までエッチングし、不要な部分を除去して前記適宜の形状の第1のクラッド層11を形成する。ただし、本実施形態のディスク共振器20の作製方法は、これには限定されない。例えば、前記積層体は、前記第1の電気光学材料層の側からエッチングして、第1のクラッド層11およびコア層12をメサ形状に形成した後で第2のクラッド層13をリブ形状に形成してもよい。また、例えば、例えば、上面側を凸状に形成した第1のクラッド層の上にコア層12を積層してコア層をメサ形状に形成し、コア層12の上に第2のクラッド層13を積層して第2のクラッド層13をリブ形状に形成してもよい。
【0028】
本実施形態のディスク共振器20は、例えば、方向性結合器を用いて外部導波路と光結合させることができる。本実施形態のディスク共振器20では、伝搬光は、上段リブ部分の直下を伝搬し、下段メサ部分により光が空間的に閉じ込められる。このため、例えば、コア層12がメサ形状に形成されていない1段構造のディスク共振器と比較して、前記伝搬光の曲げ半径を小さくすることができる。本実施形態のディスク共振器20では、また、前記伝搬光の伝搬モードが下段メサ部分の外周の内側の部分に局在しているので、例えば、前記ディスク共振器の屈折率の調整効率を高めることができる。
【0029】
[実施形態3]
本実施形態では、本発明のディスク共振器の別の例を示す。図3に、本実施形態のディスク共振器の構成を示す断面図を示す。本実施形態のディスク共振器30は、第2のクラッド層13の下面側の部分が、コア層12と同幅に形成されている以外は、前記実施形態3と同様の構成を有する。図示のとおり、本実施形態では、第2のクラッド層13の下面側の部分が、コア層12と同幅に形成されている以外は、実施形態2と同様である。図中、実施形態2と同一の部分には同一の符号を付している。本実施形態では、コア層の厚みは、例えば、0.2μm〜0.4μmであるが、この範囲には限定されない。さらに、第2のクラッド層の厚みは、1.0μmよりも厚く、2.5μm以下であるが、この範囲には限定されない。また、本実施形態では、上段リブ部分の高さH1は、上下方向のモードの浸み出しと作業容易性の観点から、例えば、1.0μm以上2.5μm未満とすることができるが、この範囲には限定されない。下段メサ部分の高さH2は、例えば、0.5μm〜2.0μmとすることができるが、この範囲には限定されない。また、上段リブ部分と下段メサ部分の間隔W1は、例えば、0.1μm〜2.0μmとすることができるが、この範囲には限定されない。第1のクラッド層11および第2のクラッド層13は、コア層12の屈折率よりも屈折率が低くなるよう形成されている。本実施形態のディスク共振器30は、例えば、エッチング加工技術を用いて次のようにして作製できる。例えば、まず、実施形態2と同様に、前記第1の電気光学材料層の上に、前記第2の電気光学材料層を積層し、前記第2の電気光学材料層の上に前記第3の電気光学材料層を積層した積層体を準備する。次いで、前記積層体を、例えば、前記第3の電気光学材料層の側からエッチング加工する。具体的には、例えば、前記第3の電気光学材料層を、前記第2の電気光学材料層には達しない一定の深さまでエッチングし、不要な部分を除去して前記ディスク状の第2のクラッド層13をリブ形状に形成する。次いで、前記第3の電気光学材料層の残りの部分と第2の電気光学材料層と前記第1の電気光学材料層を、前記第1の電気光学材料層の上面から一定の深さまでエッチングし、不要な部分を除去して前記ディスク状のコア層12をメサ形状に形成する。次いで、前記第3の電気光学材料層の残りの部分をエッチングし、不要な部分を除去して適宜の形状の第1のクラッド層11を形成する。ただし、本実施形態のディスク共振器の作製方法は、これには限定されない。例えば、前記積層体は、前記第1の電気光学材料層の側からエッチングして、第1のクラッド層11を形成し、かつ、コア層12をメサ形状に形成した後で第2のクラッド層13をリブ形状に形成してもよい。また、例えば、例えば、上面側を凸状に形成した第1のクラッド層11の上にコア層12をメサ形状となるよう積層し、コア層12の上に、下面側をコア層12と同幅に形成した第2のクラッド層13を積層してもよい。
【0030】
本実施形態のディスク共振器30は、例えば、方向性結合器を用いて外部導波路と光結合させることができる。本実施形態のディスク共振器30では、伝搬光が、上段リブ部分の直下を伝搬し、かつ、下段メサ部分の内部に空間的に閉じ込められる。このため、前記伝搬光の曲げ半径を小さくすることができる。また、本実施形態のディスク共振器30では、前記伝搬光の伝搬モードが下段メサ部分の外周の内側の部分に局在しているので、例えば、ディスク共振器30の屈折率の調整効率を高めることができる。
【0031】
[実施形態4]
本実施形態では、本発明のディスク共振器の別の例を示す。本実施形態のディスク共振器40は、第2のクラッド層13に、凹部14を形成したこと以外は、前記実施形態2と同じ構成を有する。図4Aおよび図4Bに、本実施形態のディスク共振器の構成を示す。図4Aは、本実施形態のディスク共振器を示す平面図である。図4Bは、図4AのII−II間の断面を示す。図示のとおり、本実施形態では、第2のクラッド層13に凹部14が形成されていること以外は、前記実施形態2と同じである。図中、実施形態2と同一の部分には同一の符号を付している。同図では、前記凹部14が、第2のクラッド層13に、第2のクラッド層13とほぼ同心の円板状に形成されている例を示す。上段リブ部分の高さH1は、上下方向のモードの浸み出しと作業容易性の観点から、例えば、1.0μm〜2.5μmとすることができるが、この範囲には限定されない。下段メサ部分の高さH2は、例えば、0.5μm〜2.0μmとすることができるが、この範囲には限定されない。また、上段リブ部分と下段メサ部分の間隔W1は、例えば、0.1μm〜2.0μmとすることができるが、この範囲には限定されない。本実施形態のディスク共振器は、例えば、エッチング加工を用いて次のようにして作製できる。すなわち、例えば、まず、前記実施形態2と同様にして、前記実施形態2のディスク共振器を作製した後に、または、前記ディスク共振器の第2のクラッド層13を形成する際に、第2のクラッド層13を例えばエッチングにより、第2のクラッド層13とほぼ同心の円板状に刳り抜き、不要な部分を除去して凹部14を形成することができる。また、例えば、予め凹部14を形成した第2のクラッド層13をコア層12に積層してもよい。
【0032】
本実施形態のディスク共振器40では、前記凹部は、例えば、第2のクラッド層13の平面面積の25%以上の領域を、例えばエッチングにより除去して形成できる。すなわち、本実施形態のディスク共振器40では、前述のとおり、前記伝搬光の伝搬モードがコア層12の外周の内側の部分に局在している。具体的には、平面面積が300μm以上の本発明のディスク共振器では、前記伝搬光の伝搬モードは、下段メサ部分の上面の端から内側に3μm程度の範囲に局在しており、コア層12の中央にはほとんど前記伝搬モードが存在しない。そのため、前記凹部を第2のクラッド層13に形成することで、ディスク共振器内部での光の伝搬に影響を与えることなく、効率的に前記ディスク共振器の屈折率を変化させることができ、例えば、高性能の光フィルタを実現できる。本実施形態のディスク共振器40は、例えば、方向性結合器を用いて外部導波路と光結合させることができる。本実施形態のディスク共振器40では、伝搬光が、上段リブ部分の直下を伝搬し、かつ、下段メサ部分の内部に空間的に閉じ込められる。このため、伝搬光の曲げ半径を小さくすることができる。
【0033】
本実施形態のディスク共振器の熱伝導効率は、例えば、凹部14の半径を変数として、理論計算により算出することができる。すなわち、例えば、図9に示すように、前記ディスク共振器サンプルの上面に、上段リブ部分(第2のクラッド層)13の外周に沿って、6μm幅W2の電極ヒータ16を配置した場合を想定する。図中、xは、凹部14の半径(単位は、μm)を示す。この場合に、例えば、各ディスク共振器サンプルの電極ヒータ16に、40mWの一定の電力を投入したと想定して、例えば1分後の、電極ヒータ16の下方に位置する部分(InGaAsP層)(以下、ヒータ下部という)の温度を理論計算により算出する。このような理論計算による算出結果の一例を、図10および図11に示す。図10は、電極ヒータ16に前記電力を投入した本実施形態のディスク共振器についての理論計算に基づくサーモグラフィの一例を示す模式図である。図中、符号17が、ヒータ下部に対応する箇所である。図11は、凹部14の半径xとヒータ下部温度の関係を示すグラフである。なお、図10および図11に示す例では、電極ヒータ16に前記電力を投入する前の前記ヒータ下部の温度は、25℃と想定した。同図に示すグラフから、xが10μm以上の領域において、前記ヒータ下部温度の上昇が認められることが予測できる。すなわち、前述のとおり、本実施形態のディスク共振器において、伝搬光は、コア層の外周の内側に局在することから、例えば、凹部14を半径10μm以上で形成することで、前記ディスク共振器の屈折率調整効率が有意に高まることが予測できる。
【0034】
[実施形態5]
本実施形態では、本発明のディスク共振器の別の例を示す。図5Aに、本実施形態のディスク共振器の構成を示す。本実施形態のディスク共振器は、コア層12の外周を部分的に平坦に形成し、かつ、第2のクラッド層13の外周も部分的に平坦に形成したこと以外は、前記実施形態2と同じ構成を有する。図5Aでは、第2のクラッド層13の外周を、コア層12と同形に、部分的に平坦に形成した例を示すが、本発明は、このような態様には限定されない。すなわち、本発明のディスク共振器50では、コア層12の外周を部分的に平坦に形成し、かつ、第2のクラッド層13の外周は平坦部のない例えば円形であってもよい。図示のとおり、本実施形態では、コア層12の外周の互いに対向する部分が、平坦に形成されて、コア層12の外周が、いわゆるレーストラック形状に形成されている。また、同図では、第2のクラッド層13の外周の、コア層12の外周平坦部分と対向する部分が、平坦に形成されており、外周が、コア層12と同様のレーストラック形状に形成されている。これ以外は、本実施形態は前記実施形態2と同じである。各層において、平坦に形成された部分の長さは、平坦に形成されていない部分の長さの、例えば、0.21倍〜0.48倍である。同図中、前記実施形態2と同一の部分には同一の符号を付している。第1のクラッド層11、コア層12および第2のクラッド層の厚み、上段リブ部分の高さ、下段メサ部分の高さは、特に制限されず、例えば、実施形態2と同じである。上段リブ部分と下段メサ部分の間隔も、特に制限されない。上段リブ部分と下段メサ部分の間隔は、最も長い部分で、例えば、0.3μm〜2.0μmであり、最も短い部分で、例えば、0.1μm〜1.5μmである。ただし、本実施形態のディスク共振器50は、このような範囲に限定されない。本実施形態のディスク共振器50は、前記実施形態2と同様にして、例えば、エッチング加工を用いて作製できる。すなわち、本実施形態のディスク共振器50は、コア層12および第2のクラッド層13を形成する際に、コア層12および第2のクラッド層13をそれぞれ、前記外周平坦部分を有する形状に形成する以外は、前記実施形態2に記載した同じ方法で作製することができる。
【0035】
本実施形態のディスク共振器50は、例えば、外部導波路と光結合させることができる。本実施形態のディスク共振器50では、実施形態2のディスク共振器により得られる効果のみならず、例えば、図5Bに一例を示すように、コア層12の外周の平坦部分に外部導波路15の光結合部分を配置することで、外部導波路15との結合係数を高めることができる。なお、図5Bでは、符号15は、外部導波路面を示し、符号13は、外部導波路15の第2のクラッド層を示す。同図では、第1のクラッド層は図示していない。
【0036】
前記実施形態1から5に記載のディスク共振器は、それぞれ、光フィルタとして使用することができる。すなわち、例えば、前記ディスク共振器は小型に形成して大きな曲率を実現できるので、前記ディスク共振器を用いることで、前記光フィルタの伝搬光のモード間隔を拡大できる。これにより、例えば、前記光フィルタは、波長可変レーザへの波長可変フィルタとして使用した場合、前記波長可変レーザの波長可変幅を拡大できる。
【0037】
[実施形態6]
本実施形態では、本発明の光フィルタの一例を示す。本実施形態では、外部導波路の少なくとも前記ディスク共振器との光学的結合部分を含む部分が、メサ形状に形成され、前記外部導波路の前記コア層と前記ディスク共振器の前記コア層が前記光学的結合部分で連続している例を示す。図6A、図6Bおよび図6Cに、本実施形態の光フィルタの構成を示す。図6Bは、図6AのIV−IV間の断面である。図6Cは、図6AのV−V間の断面である。図示のとおり、本実施形態の光フィルタは、本発明のディスク共振器60と、ディスク共振器60に対して光学的に結合する直線形状の外部導波路15を含む。このような構造により、本実施形態の光フィルタでは、ディスク共振器60に効率的に光を入出力させることができる。本実施形態では、外部導波路15とディスク共振器60の結合部分のコア層12は共通している。具体的には、本実施形態では、図示のとおり、外部導波路15は、ディスク共振器60と同様の導波路構造を有し、第1のクラッド層11の上にコア層12がメサ形状に形成され、コア層12の上に第2のクラッド層13がリブ形状に形成されている。なお、図6Aでは、第1のクラッド層は図示していない。外部導波路のコア層12は、ディスク共振器60との光学的結合部分で、ディスク共振器60のコア層12と連続している。なお、同図では、外部導波路15の第2のクラッド層13は、リブ形状に形成されているが、前記第2のクラッド層は、リブ形状に形成されていなくてもよい。ディスク共振器60の第1のクラッド層11、コア層12および第2のクラッド層13の厚み、上段リブ部分の高さ、下段メサ部分の高さは、特に制限されず、例えば、前記実施形態2と同じである。ディスク共振器60の上段リブ部分と下段メサ部分の間隔も、特に制限されず、例えば、ディスク共振器60と同じである。外部導波路15における第1のクラッド層11、コア層12および第2のクラッド層13の厚み、上段リブ部分の高さ、下段メサ部分の高さは、特に制限されず、例えば、ディスク共振器60と同じである。上段リブ部分と下段メサ部分の間隔も、特に制限されず、例えば、ディスク共振器60と同じである。本実施形態の光フィルタは、例えば、次のようにして作製することができる。すなわち、前記実施形態2で記載したように、前記第1、第2および第3の電気光学材料層を積層した積層体からディスク共振器を作製する際に、外部導波路15を作製する。すなわち、ディスク共振器60に結合させる外部導波路15を、そのコア層が、前記第1の電気光学材料層に対してメサ形状となり、ディスク共振器60のコア層12と前記光学的結合部分で連続するように、作製する。具体的には、例えば、前記実施形態2における前記積層体の第3の電気光学材料をエッチングして、ディスク共振器60の第2のクラッド層13を形成する際に、外部導路15の第2のクラッド層13を前記第2の電気光学材料層に対してリブ形状に形成することができる。また、ディスク共振器60のコア層12を形成する際に、外部導波路15のコア層12を、前記光学的結合部分でディスク共振器60のコア層12と連続するメサ形状に形成することができる。ただし、本実施形態のディスク共振器の作製方法は、これには限定されない。例えば、光学的結合部分で互いに連続するように形成した外部導波路15のコア層およびディスク共振器60のコア層の上に、前記コア層に対してリブ形状となるように、それぞれ第2のクラッド層13を積層してもよい。
【0038】
本実施形態の光フィルタでは、外部導波路とディスク共振器の結合係数を増大させることができる。すなわち、外部導波路とディスク共振器との間の光結合は、それぞれの光伝搬モードの空間的な重なり合わせにより発生するが、前記光フィルタでは、前記外部導波路が、前述のとおりメサ形状に形成され、前記外部導波路の前記コア層と前記ディスク共振器の前記コア層が前記光学的結合部分で連続している。そのため、前記伝搬モードが空間的に広がり、前記重なり合わせを増大させることができ、前記結合係数を増大させることができる。また、本実施形態の光フィルタでは、伝搬光が、ディスク共振器60の第2のクラッド層13の直下を伝搬し、かつ、コア層12の内部に空間的に閉じ込められる。このため、伝搬光の曲げ半径を小さくすることができる。また、本実施形態の光フィルタでは、伝搬光の伝搬モードがコア層12の外周の内側の部分に局在しているので、例えば、効率的にディスク共振器60の屈折率を調整できる。
【0039】
[実施形態7]
本実施形態では、本発明の光フィルタの別の例を示す。本実施形態の光フィルタは、外部導波路15が、ディスク共振器70との光結合部分で、ディスク共振器70のコア層12の外周に沿って湾曲していること以外は、前記実施形態6と同じ構成を有する。図7に、本実施形態の光フィルタの構成を示す。図示のとおり、本発明のディスク共振器70と外部導波路15を含み、外部導波路15が、前記ディスク共振器70との光結合部分で、前記ディスク共振器70のコア層12の外周に沿って湾曲している。なお、図7では、第1のクラッド層は図示していない。前記本発明のディスク共振器70は、例えば、前記実施形態1から3のディスク共振器である。本実施形態では、外部導波路15は、実施形態6で説明したように、コア層がメサ形状を有し、かつ、ディスク共振器70の外周に沿って湾曲した部分を光結合部分とし、この光結合部分においてディスク共振器70のコア層12と連続している。外部導波路15における第1のクラッド層、コア層12および第2のクラッド層13の厚み、上段リブ部分の高さ、下段メサ部分の高さは、特に制限されず、例えば、ディスク共振器70と同じである。上段リブ部分と下段メサ部分の間隔も、特に制限されず、例えば、ディスク共振器70と同じである。このような光フィルタは、例えば、前記実施形態6に記載のとおり、前記第1、第2および第3の電気光学材料層を積層した前記積層体からコア層12および第2のクラッド層13を形成する際に、外部導波路15が、ディスク共振器70の外周に沿って湾曲するようエッチングすることにより、作製できるが、これには制限されない。例えば、ディスク共振器70が、前記実施形態2のディスク共振器である場合は、ディスク共振器70のコア層12の外周に沿って外部導波路15が湾曲する形状に形成されたディスク共振器および外部導波路のコア層12を、上面が突出した形状に形成された前記第1のクラッド層11の上に積層し、前記コア層12の上にそれぞれの第2のクラッド層13を積層することもできる。
【0040】
本実施形態の光フィルタでは、外部導波路15が、光結合部分においてディスク共振器70のコア層の外周に沿って湾曲し、外部導波路15のコア層が、ディスク共振器70のコア層と連続するメサ形状に形成されている。これにより、例えば、実施形態6の場合と比べて、ディスク共振器70と外部導波路15との結合距離が長くなり、結合係数をより向上できる。
【0041】
[実施形態8]
本実施形態では、本発明の光フィルタの別の例を示す。本実施形態の光フィルタは、第2のクラッド層13に凹部14を形成した本発明のディスク共振器80を使用する以外は、前記実施形態6と同じ構成を有する。図8A、図8Bおよび図8Cに、本実施形態の光フィルタの構成を示す。図8Bは、図8AのVI−VI間の断面である。図8Cは、図8AのVII−VII間の断面である。図示のとおり、本実施形態の光フィルタは、第2のクラッド層13に凹部14が形成された本発明のディスク共振器80と外部導波路15を含む。前記本発明のディスク共振器は、例えば、前記実施形態4のディスク共振器である。図示のとおり、本実施形態では、前記ディスク共振器80が、前記第2のコア層13に凹部14を有し、かつ、少なくとも光結合部分においてコア層がメサ形状に形成された外部導波路15が、前記光学的結合部分で、ディスク共振器80のコア層12と連続している。なお、図8Aでは、第1のクラッド層は図示していない。
【0042】
本実施形態の光フィルタでは、ディスク共振器80が凹部14を有することにより、実施形態6の光フィルタにおいて、さらにディスク共振器80の屈折率の調整効率を高めることができる。
【0043】
次に、本発明のディスク共振器の実施例を示す。ただし、本発明のディスク共振器は、前記実施例に限定されない。
【実施例】
【0044】
[実施例1]
本実施例は、前記実施形態2と同じ構成の本発明のディスク共振器を示す。本実施例は、前記実施形態2と同じ構成を有するので、図2の断面図を用いて、本実施例のディスク共振器の構成を説明する。図示のとおり、前記ディスク共振器は、第1のクラッド層11の上に、ほぼ円板形のディスク状のコア層12が、メサ形状となるように形成され、コア層12の上にほぼ円板形のディスク状の第2のクラッド層13が、リブ形状となるように形成されている。コア層12および第2のクラッド層13は、互いにほぼ同心の円板状に形成されている。第1のクラッド層11は、InP、GaAs、SiO、SiNまたは空気から形成されている。コア層12は、InGaAs、InGaAsP、InGaAlAs、Si、SiONから形成されている。第2のクラッド層13は、InP、GaAs、SiO、SiN、または空気から形成されている。上段リブ部分と下段メサ部分の間隔W1は、1.2μmである。前記上段リブ部分の半径は、20μmであり、前記上段リブ部分の高さH1は1.5μmである。前記下段メサ部分の高さH2は、0.5μmである。コア層の厚みは、0.3μmであり、第2のクラッド層の厚みは、1.6μmである。
【0045】
前記本実施例のディスク共振器について、下記のとおり、伝搬光の曲率および屈折率調整効率を試験した。
[伝搬光曲率試験]
前記本実施例のディスク共振器を、下段メサ部分の曲率を異ならせて複数個作製した。これらを試験サンプルとして用いて、各サンプルにおける伝搬光の曲率に対する光透過特性を解析した。その結果、曲率半径20μm以下まで実用上耐えうる透過特性を実現できることを確認できた。
[屈折率調整効率試験]
前記試験サンプルの上段リブ部分の上面の外周に沿って、熱調整用の電極ヒータを配置し、0mW〜90mWの一定の電力を投入した。この結果、非常に効率的にディスク共振器の屈折率を調整できた。伝搬光の位相を2π変化させるのに必要な電力は、最小で54mWであった。
【0046】
[実施例2]
本実施例は、第2のクラッド層に凹部を形成した以外は前記実施例1と同じ構成の本発明のディスク共振器を示す。図9に、本実施例のディスク共振器の構成を示す断面図を示す。図示のとおり、本実施例のディスク共振器は、第2のクラッド層13に凹部14を形成した以外は、前記実施例1と同じである。なお、同図中、符号16は、電流または熱注入装置を示す。同図に一例を示すように、本実施例のディスク共振器は、上段メサ部分の上面に電流または熱注入装置を配置して、上段メサ部分に電流または熱を注入することで、ディスク共振器の屈折率を調整することができる。ただし、本発明は、このような態様には限定されない。凹部14は、第2のクラッド層13とほぼ同心の円板状に形成されている。同図中、x(単位は、μm)は、凹部14の半径である。凹部14は、ディスク共振器の作製工程において、第2のクラッド層13の形成と同時に、第2のクラッド層13の中央をエッチング加工することで形成した。
【0047】
前記本実施例のディスク共振器について、下記のとおり、伝搬光の曲率および屈折率調整効率を試験した。
[伝搬光曲率試験]
前記実施例1と同様にして、各試験サンプルにおける伝搬光の曲率ごとの光透過特性を測定した。その結果、曲率半径20μm以下まで実用上耐えうる透過特性を実現できることを確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のディスク共振器および光フィルタは、例えば、幹線系、アクセス系等に使用される波長多重通信用の中長距離光源に使用できるが、これには限定されず、短い曲率半径を有するディスク共振器を要するあらゆる分野で使用できる。
【符号の説明】
【0049】
10、20、30、40、50、55、60、70、80、130、140 ディスク共振器
11 第1のクラッド層
12 コア層
13 第2のクラッド層
14 凹部
15 外部導波路
16 ヒータ
17 熱、あるいは電流投入箇所
H1 上段リブ部分の高さ
H2 下段メサ部分の高さ
R 上段リブ部分の半径
W1 上段リブ部分と下段メサ部分の間隔
W2 ヒータの幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のクラッド層の上に、ほぼ円形状またはほぼ長円形状のディスク状のコア層が、メサ形状となるように形成され、前記コア層の上に、ほぼ円形状またはほぼ長円形状のディスク状の第2のクラッド層が、リブ形状となるように形成され、
前記第1のクラッド層および前記第2のクラッド層の双方の屈折率が、前記コア層の屈折率よりも低いことを特徴とするディスク共振器。
【請求項2】
前記コア層および前記第2のクラッド層が、互いにほぼ同心の前記ディスク状に形成されており、
前記第2のクラッド層に、前記第2のクラッド層とほぼ同心のほぼ円形状またはほぼ長円形状のディスク状の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のディスク共振器。
【請求項3】
前記凹部の平面面積が、前記第2のクラッド層の平面面積の1/4以上であることを特徴とする請求項2記載のディスク共振器。
【請求項4】
前記コア層の外周が、部分的に平坦に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のディスク共振器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のディスク共振器を含むことを特徴とする光フィルタ。
【請求項6】
前記ディスク共振器に対して光学的に結合する外部導波路を含むことを特徴とする請求項5記載の光フィルタ。
【請求項7】
前記外部導波路が、コア層を含み、
前記外部導波路の少なくとも前記ディスク共振器との光学的結合部分を含む部分が、メサ形状に形成され、前記外部導波路の前記コア層と前記ディスク共振器の前記コア層が前記光学的結合部分で連続していることを特徴とする請求項6記載の光フィルタ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−237332(P2010−237332A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83656(P2009−83656)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「エネルギー使用合理化技術戦略的開発/エネルギー有効利用基盤技術先導研究開発/非温調WDM光源の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】