説明

ヒストンデアセチラーゼ阻害剤としてのメルカプトアミド

式(IA)、(IB)、(IIA)及び(IIB)によって表されるメルカプトアミド化合物又は薬学的に許容されるこれらの塩は、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害し、様々な感染症、癌性疾患及び症状の治療及び/又は予防に対して有用である。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
細胞の核内のDNAは、クロマチンと呼ばれる規則的な反復構造のコンパクトな複合体を含む。クロマチンは、ヌクレオソームという反復単位を含む。ヌクレオソームは、ヒストンタンパク質コアの周囲を2回巻かれたDNAの約146塩基対を含有する。コア内にまとめられたヒストンタンパク質は塩基性であり、進化を通じて高度に保存されており、H2A、H2B、H3及びH4として同定されている。DNAがタンパク質コアの周囲に包まれると、コアヒストンのアミノ末端尾部中の塩基性アミノ酸は、DNAの負に帯電したリン酸基と相互作用する。アセチル化/脱アセチル化によって、ヒストンのアミノ末端尾部を共有的結合的に変化させることは、酵素によって誘導されるプロセスであり、このプロセスは遺伝子発現の調節にとって極めて重要である。「P. A. Marks et al., Nature Reviews, 1:194−202 (2001)」を参照されたい。
【0002】
ヒストンタンパク質の尾部のアセチル化は、正の電荷を減少させ、ヌクレオソームの拡大を引き起こし、転写因子のDNAへの相互作用を促進する。脱アセチル化は、再び正の電荷を確立し、これにより、ヌクレオソームは、よりコンパクトな構造へと凝縮する。このように、アセチル化はDNAの転写を活性化し、遺伝子発現を促進するのに対して、脱アセチル化は本プロセスを逆転し、遺伝子発現を制限する。
【0003】
アセチル化の量は、ヒストンアセチル転移酵素(「HAT」)及びヒストンデアセチラーゼ(「HDA」又は「HDAC」とも称される。)という酵素の2つのクラスによって制御され、いずれも、互いに拮抗する活性を有して、ヒストンのアセチル化のパターンを決定し、終局的には、遺伝子発現の細胞特異的なパターンを生成する。アセチル化又は脱アセチル化のパターンの酵素の決定は、細胞周期の進行、分化及び/又はアポトーシスも調節する。
【0004】
HDACは、活性部位に亜鉛を有する金属酵素である。ヒドロキサム酸又はフェニレンジアミン基などの亜鉛結合部分を有する化合物は、HDACを阻害することが可能である。幾つかのHDAC阻害剤は、HDACの触媒部位中にフィッティングすることによって実行されることが知られている。この触媒部位は、亜鉛原子が基部に位置する管状構造を有しており、HDAC阻害剤が触媒部位にフィットすると、阻害剤は亜鉛原子に結合し、ヒストンタンパク質のアセチル化を制限する。従って、ヒストンデアセチラーゼ阻害は、腫瘍抑制に関連する遺伝子発現を含む、遺伝子発現を抑制することが可能である。C. M. 「Grozinger et al., Chemistry & Biology, 9:3−16 (2002)」は、HDAC及びHDAC阻害剤の機序について考察し、特定の疾病と関連する特異的なHDACを阻害することができるので、阻害剤に対する研究には多大な興味が存在することを示している。
【0005】
「P.A. Marks et al., Journal of the National Cancer Institute, 92:1210−1216 (2000)」及び「P.A. Marks et al., Nature Reviews, 1:194−202 (2001)」は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤が形質転換された細胞の分化及び/又はアポトーシスをどのように誘導するかについて記載している。「S.W. Remiszewski, Current Opinion in Drug Discovery & Development, 5:487−499 (2002)」は、小分子ヒストンデアセチラーゼ阻害剤の発見における進歩を示している。
【0006】
ヒストンのアセチル化の異常なパターンは、癌と関連しており、HDAC阻害剤は、腫瘍細胞に対して抗増殖効果を有することが知られている。HDAC阻害剤およびこれらの薬学的組成物は、本分野において、選択的且つ直接的に、増殖停止、分化及び/又はアポトーシス細胞死を誘導すること、腫瘍の血管形成を間接的に阻害することが知られており、並びにインビトロ及びインビボにおいて活性であることが知られている。このような阻害剤は、例えば、膀胱癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、大腸癌、肺癌、神経芽細胞腫、頭頸部癌及び神経膠腫癌などの腫瘍種を含む形質転換された細胞種並びにリンパ腫、白血病、異常血色素症及び多発性骨髄腫などの血液学的形質転換細胞株並びに嚢胞性繊維症及び副腎白質ジストロフィーなどの遺伝関連代謝疾患の症状の治療において、抗癌剤として、極めて高い価値を有し得る。米国特許第6,428,983号B1は、HDAC阻害剤が、マラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症など、動物及びヒトにおける、生命を脅かす寄生性原虫感染症を治療及び/又は予防するための抗原虫剤としても使用できることを示している。
【0007】
「W. K. Kelly et al., Expert Opin. Investig. Drugs, 11.1695−1713 (2002)」は、ヒドロキサム酸をベースとする阻害剤などのヒストンデアセチラーゼ阻害剤を記載しており、これらは、抗癌剤として臨床試験段階にある。「P.A. Marks et al., Current Opinion in Oncology, 13:477−483 (2001)」は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を抗癌剤として記載しており、臨床試験段階にあるものも概評している。「M.L.Curtin, Expert Opin. Ther. Patents, 12:1375−1384 (2002)」は、1997年から2002年半ばまでの特許文献から得られる公知のヒストンデアセチラーゼ阻害剤の特許状態について記載している。
【0008】
米国特許第6,495,719号、6,541,661号及び6,552,065号は、様々なヒストンデアセチラーゼ阻害剤について記載している。米国特許出願公開2002/0192722号は、ボロン酸錯化部分を有する試薬を含む、分析物を検出するためのセンサー表面について記載している。米国特許第6,462,179号は、生物学的に活性な種を固定化する試薬として使用するための、試薬及び複合体のための1,2−フェニレンジボロン酸生物抱合体の調製について記載している。国際特許公開WO2001007912は、殺虫剤及びこれらの分解産物用のイムノアッセイに対して使用されるハプテン−ポリマー担体複合体について記載している。米国特許第6,333,325号は、抗炎症剤としての、芳香族複素環式尿素の調製について記載している。国際特許公開WO9813350号は、VEGFなどの増殖因子の効果を阻害するキノリン誘導体について記載している。米国特許第6,414,148号及び米国特許第6,184,225号は、VEGFの効果を阻害することによる、キナゾリン誘導体及びこれらを含有する薬学的組成物の調製について記載している。国際特許公開WO9806696号は、MMP及びTNF阻害活性を有するペプチド性化合物の調製について記載している。米国特許第6,265,411号は、血管新生阻害剤としてのオキシインドリルキナゾリン誘導体を記載している。米国特許第6,514,971号は、血管新生及び血管透過性の阻害剤としての、アニリノシンノリン及び関連化合物の調製について記載している。国際特許公開WO9701275号は、癌を治療するためのファルネシル−タンパク質転移酵素阻害剤の組み合わせの調製について記載している。米国特許第5,470,997号は、抗体又は受容体を調製するための、アンフェタミン誘導体並びにタンパク質及びポリペプチドアンフェタミン誘導抱合体並びに標識について記載している。国際特許公開WO9302703号は、標的化された触媒性タンパク質によって活性化された細胞毒性化学療法剤として有用なプロドラッグについて記載している。米国特許第5,136,034号は、ロイコトリエンアンタゴニストとしての、[(キノリルビニル)フェニル]ジチアアルカンジオアート及び類縁体の調製について記載している。国際特許公開WO9111451号は、LAK阻害剤としてのグリセオール酸(griseolic acid)類縁体及びウイルス性肝炎、自己免疫疾患及び臓器移植における拒絶の治療に使用されるこれらの薬学的組成物の調製について記載している。米国特許第5,030,726号は、ペンダント尿素基を有するポリマーへ重合可能な環状尿素について記載している。国際特許公開WO2003013432号は、ヒトの疾病及び症状の治療及び予防において使用される含硫黄有機ニトラート化合物に対する方法について記載している。JP2003034671号は、ベンズアミドの調製及び農薬としてのこれらの使用について記載している。国際特許公開WO2002099077号は、膜表面タンパク質のタグ化に関連する方法及び組成物について記載している。国際特許公開WO2002098849号は、アルツハイマー病の治療における薬学的使用のためのペプチド関連ヒドロキシアルキルアミンの調製について記載している。国際特許公開WO2002046129号は、ヒストンデアセチラーゼの阻害剤としての、N−アリール、N−アリールアルキル及びN−ヘテロシクリルノナンアミド及びオクタンアミド誘導体並びに関連化合物の調製について記載している。国際特許公開WO2002078947号は、分析物を検出するためのセンサー表面について記載している。米国特許第6,462,179号は、試薬及び複合体のための1,2−フェニレンジボロン酸生物抱合体の調製について記載している。国際特許公開WO2001007028は、前立腺癌の治療におけるレチノイド受容体アンタゴニストの使用について記載している。国際特許公開WO2000/043384号は、抗炎症剤としての、芳香族複素環式尿素の調製について記載している。国際特許公開WO2000/37451号は、IL−5阻害6−アザウラシル誘導体の調製について記載している。米国特許第6,043,026号は、骨粗鬆症の治療のための、成長ホルモン分泌促進剤及びエストロゲン受容体調節物質の組み合わせについて記載している。米国特許第5,831,004号は、メタロプロテアーゼの阻害剤及びこれらの薬学的組成物の調製について記載している。欧州特許EP929526号は、VEGFなどの増殖因子の効果を阻害するキノリン誘導体について記載している。欧州特許EP925281号は、MMP及びTNF阻害活性を有するペプチド性化合物の調製について記載している。米国特許第6,514,971号は、血管新生及び血管透過性の阻害剤としての、アニリノシンノリン及び関連化合物の調製について記載している。米国特許第5,840,698号は、コラーゲナーゼ−1及びストロメリシン−1メタロプロテアーゼの阻害剤及びこれらの薬学的組成物について記載している。米国特許第5,994,293号は、メタロプロテイナーゼ及びTNFの遊離を阻害するペプチド性スルフヒドリル又はアシルチオ化合物の調製及び治療的使用について記載している。米国特許第5,536,716号は、成長ホルモンの放出を促進するスピロピペリジンについて記載している。米国特許第5,585,359号は、ファルネシルタンパク質転移酵素の、テトラペプチドをベースとした阻害剤について記載している。米国特許第5,457,194号は、置換された脂肪族アミン含有巨大環状免疫調節物質について記載している。国際特許公開WO1995/11029号は、骨粗鬆症の治療のための、ビスホスホナートと成長ホルモン分泌刺激物質の組み合わせ及びこれらの調製について記載している。国際特許公開WO9305026号は、HIV阻害剤としての、複素環を含有するペプチド等価体(isoster)の調製について記載している。国際特許公開WO9302674号は、HIVプロテアーゼ阻害剤について記載している。米国特許第5,278,061号は、インターロイキン1β転換酵素を精製する上で有用なアフィニティークロマトグラフィーマトリックスについて記載している。米国特許第5,136,034号は、ロイコトリエンアンタゴニストとしての、[(キノリルビニル)フェニル]ジチアアルカンジオアート及び類縁体の調製について記載している。
【0009】
しかしながら、より大きな治療的な潜在能力を有するために、ほとんど又はまったく毒性を有しない、安定で、有効であり、及び腫瘍増殖を阻害する強力なHDAC阻害剤に対する必要がなお存在している。
【発明の開示】
【0010】
本発明は、新規メルカプトアミド、これらの塩、これらの調製方法及びヒストンデアセチラーゼ阻害剤としてのこれらの組成物に関する。本発明は、様々な感染症、癌性疾病及び症状の治療及び/又は予防のための、動物(ヒトを含む。)中のヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害する上で有用である、式(IA)、(IB)、(IIA)及び(IIB)によって表される化合物:
【0011】
【化6】

又は薬学的に許容されるその塩に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、式(IA)、(IB)、(IIA)及び(IIB)によって表される化合物:
【0013】
【化7】

又は薬学的に許容されるその塩に関する。
【0014】
(式中、
は、RNRC(O)−、RNHC(O)NH−、RNHC(S)NH−、RSONH−、RC(O)NH−であり;
11は、RNRC(O)(CH1−2−、RNHC(O)NH(CH1−2−、RNHC(S)NH(CH1−2、RSONH(CH1−2−又はRC(O)NH(CH1−2−であり;
mは、4−6であり;
tは、1又は2であり;
は、C0−2アルキル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、−ヘテロアリール−ヘテロアリール、−ヘテロアリール−C1−4アルキル、−ヘテロアリール−OCH、−ヘテロアリール−アリール−ハロゲン、−ヘテロアリール−アリール、−アリール−アリール、−アリール−SCH、−アリール−OCH、−アリール−CF、−アリール−O−Cアルキル−ヘテロシクリル、−C3−10シクロアルキル−アリール、−C0−2アルキル−ヘテロシクリル、−C0−2アルキル−ヘテロアリール、−C0−2アルキル−アリール、−C0−1アルキル−ヘテロアリール、−アリール−OCH−アリール、−アリール−CHO−アリール、−アリール−カルボニル−アリール、−アリール−C(O)CH、アリール−O−アリール、−アリール−O−ヘテロシクリル、−アリール−C1−4アルキル、−アリール−O−C2−3アルキル−N(CH)(CH)、C0−1アルキル−ヘテロシクリル−C0−1アルキル、C0−1アルキル−ヘテロアリール−C0−1アルキル、−ヘテロシクリル、−ヘテロシクリル−アリール、−ヘテロシクリル−ヘテロアリール、−アリール−ヘテロシクリル、−アリール−ヘテロアリール又は−CH(アリール)(アリール)(これらの何れも、R22又はR222の1つ以上で場合によって置換されている。)であり;
22又はR222は、C0−4アルキル、ハロゲン、−OH、−CF、−SCH、−OCH、−NH、−O(CHN(CH)(CH)、−OCH−アリール、−O(CH−ヘテロシクリル、−C(O)CH、−O−ヘテロシクリル、アリールオキシ−C0−1アルキル−、アリール又はヘテロシクリルであり;
は、C0−1アルキルであり、又はR及びRは、両者で、複素環又は炭素環を形成し、これらの何れも、1つ以上の、独立の、C0−4アルキル、ハロゲン、−OH、−SCH、−OCH、−NH、アリール又はヘテロシクリル置換基で場合によって置換され;
、R、R14及びR15は、各々独立に、C0−4アルキル、フェニル又はフッ素であり;
nは、0又は1であり;並びに
及びR16は、水素、メチル、エチル、フェニル、ベンジル又はアセチルである。)
【0015】
本発明の一態様において、化合物は、RがRNRC(O)−であり、及び他の変数が上記のとおりである式IA又は薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0016】
この態様の一実施形態において、本発明の化合物は、RがR22で場合により置換された−C0−2アルキル−アリールであり、及び他の変数が上記のとおりである式IA又は薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0017】
この態様の別の実施形態において、本発明の化合物は、RがR22で場合により置換された−C0−2アルキル−ヘテロアリールであり、及び他の変数が上記のとおりである式IA又は薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0018】
この態様の別の実施形態において、本発明の化合物は、RがR22で場合により置換された−C0−2アルキル−ヘテロシクリルであり、及び他の変数が上記のとおりである式IA又は薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0019】
この態様の別の実施形態において、本発明の化合物は、RがR22で場合により置換されたカルボシクリルであり、及び他の変数が上記のとおりである式IA又は薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0020】
この態様のさらに別の実施形態において、本発明の化合物は、RがR22で場合により置換された−CH(アリール)(アリール)であり、及び他の変数が上記のとおりである式IA又は薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0021】
本発明第2の態様において、化合物は、RがRNRC(O)−であり、並びにR及びRが、両者で、場合によって置換される環を形成し、並びに他の変数が上記のとおりである式IA又は薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0022】
この第2の態様の一実施形態において、本発明の化合物は、RがRNRC(O)−であり、R及びRが、両者で、場合によってR22によって置換される複素環を形成し、並びに他の変数が上記のとおりである式IA又は薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0023】
この第2の態様の一実施形態において、本発明の化合物は、RがRNRC(O)−であり、R及びRが、両者で、場合によって置換される炭素環を形成し、並びに他の変数が上記のとおりである式IA又は薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0024】
本発明の第3の態様において、化合物は、RがRNHC(O)NH−であり、並びに他の変数が上記のとおりである式IA又は薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0025】
本発明の第4の態様において、化合物は、RがRNHC(S)NH−であり、並びに他の変数が上記のとおりである式IA又は薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0026】
本発明の第5の態様において、化合物は、RがRSONH−であり、並びに他の変数が上記のとおりである式IA又は薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0027】
本発明の第6の態様において、化合物は、RがRC(O)NH−であり、並びに他の変数が上記のとおりである式IA又は薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0028】
本発明の第7の態様において、化合物は、式IA、IB、IIA又はIIBのホモ二量体がR又はR16の位置に存在し、及び他の変数が上記のとおりである式IA、IB、IIA若しくはIIB又は薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0029】
本発明の化合物には、
が、RNRC(O)−、RNHC(O)NH−、RNHC(S)NH−、RSONH−又はRC(O)NH−であり;
mが、4−6であり;
が、C0−2アルキル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、−ヘテロアリール−ヘテロアリール、−ヘテロアリール−C1−4アルキル、−ヘテロアリール−OCH、−ヘテロアリール−アリール−ハロゲン、−ヘテロアリール−アリール、−アリール−アリール、−アリール−SCH、−アリール−OCH、−アリール−CF、−アリール−O−Cアルキル−ヘテロシクリル、−C3−10シクロアルキル−アリール、−C0−2アルキル−ヘテロシクリル、−C0−2アルキル−ヘテロアリール、−C0−2アルキル−アリール、−C0−1アルキル−ヘテロアリール、−アリール−OCH−アリール、−アリール−CHO−アリール、アリール−カルボニル、−アリール−カルボニル−アリール、−アリール−C(O)CH、アリール−O−アリール、−アリール−O−ヘテロシクリル、−アリール−C1−4アルキル、−アリール−O−C2−3アルキル−N(CH)(CH)、C0−1アルキル−ヘテロシクリル−C0−1アルキル、C0−1アルキル−ヘテロアリール−C0−1アルキル、−ヘテロシクリル、−ヘテロシクリル−アリール、−ヘテロシクリル−ヘテロアリール、−アリール−ヘテロシクリル、−アリール−ヘテロアリール又は−CH(アリール)(アリール)(これらの何れも、R22で、場合によって置換されている。)であり;
22が、C0−4アルキル、ハロゲン、−OH、−CF、−SCH、−OCH、−NH、−O(CHN(CH)(CH)、−OCH−アリール、−O(CH−ヘテロシクリル、−C(O)CH、−O−ヘテロシクリル、アリールオキシ−C0−1アルキル−、アリール又はヘテロシクリルであり;
が、C0−1アルキルであり、又はR及びRが、両者で、複素環又は炭素環を形成し、これらの何れも、1つ以上の、独立の、C1−4アルキル、ハロゲン、−OH、−SCH、−OCH、−NH、アリール又はヘテロシクリル置換基で場合によって置換され;
及びRが、各々独立に、C0−4アルキル、フェニル又はフッ素であり;
nが、0又は1であり;並びに
が、水素、メチル、エチル、フェニル、ベンジル又はアセチルである、
下式IA
【0030】
【化8】

によって表される化合物又は薬学的に許容されるその塩が含まれる。
【0031】
本発明の化合物には、
がRNRC(O)−であり;又は
がRNRC(O)−であり、及びRが、R22で場合によって置換される−C0−2アルキル−アリールであり;又は
がRNRC(O)−であり、及びRが、R22で場合によって置換される−C0−2アルキル−ヘテロアリールであり;又は
がRNRC(O)−であり、及びRが、R22で場合によって置換される−C0−2アルキル−ヘテロシクリルであり;又は
がRNRC(O)−であり、及びRがR22で場合によって置換されるカルボシクリルであり;又は
がRNRC(O)−であり、及びRがR22で場合によって置換される−CH(アリール)(アリール)であり;
又はRがRNRC(O)−であり、並びにR及びRが、両者で、R22で場合によって置換される環を形成し;又は
がRNRC(O)−であり、並びにR及びRが、両者で、R22で場合によって置換される複素環を形成し;又は
がRNRC(O)−であり、並びにR及びRが、両者で、R22で場合によって置換される炭素環を形成し;又は
がRNHC(O)NH−であり;又は
がRNHC(S)NH−であり;又は
がRSONH−であり;又は
がRC(O)NH−であり;又は
化合物のホモ二量体がRに存在し;及び
各事例において、他の変数が、式IAについて上記されているとおりである、上式IAによって表される化合物又は薬学的に許容されるその塩が含まれる。
【0032】
本発明には、化合物のホモ二量体がRの位置に存在する式IAの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物が含まれる。
【0033】
本発明には、式IAの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物が含まれる。
【0034】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IAの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含み、前記化合物のホモ二量体がRに存在する、前記方法が含まれる。
【0035】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IAの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含む、前記方法が含まれる。
【0036】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IAの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物の治療的有効量を投与することを含む、前記方法が含まれる。
【0037】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IAの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含み、
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記方法が含まれる。
【0038】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IAの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含み、前記化合物のホモ二量体がRに存在し、および
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記方法が含まれる。
【0039】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IAの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物の治療的有効量を投与することを含み、
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記方法が含まれる。
【0040】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、化合物のホモ二量体がRに存在する式IAの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物の治療的有効量を投与することを含み、
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記方法が含まれる。
【0041】
本発明の化合物には、下式IBによって表される化合物又は薬学的に許容されるその塩が含まれる。
【0042】
【化9】

(式中
は、RNRC(O)−、RNHC(O)NH−、RNHC(S)NH−、RSONH−又はRC(O)NH−であり;
mは、4−6であり;
は、C0−2アルキル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、−ヘテロアリール−ヘテロアリール、−ヘテロアリール−C1−4アルキル、−ヘテロアリール−OCH、−ヘテロアリール−アリール−ハロゲン、−ヘテロアリール−アリール、−アリール−アリール、−アリール−SCH、−アリール−OCH、−アリール−CF、−アリール−O−Cアルキル−ヘテロシクリル、−C3−10シクロアルキル−アリール、−C0−2アルキル−ヘテロシクリル、−C0−2アルキル−ヘテロアリール、−C0−2アルキル−アリール、−C0−1アルキル−ヘテロアリール、−アリール−OCH−アリール、−アリール−CHO−アリール、アリール−カルボニル、−アリール−カルボニル−アリール、−アリール−C(O)CH、アリール−O−アリール、−アリール−O−ヘテロシクリル、−アリール−C1−4アルキル、−アリール−O−C2−3アルキル−N(CH)(CH)、C0−1アルキル−ヘテロシクリル−C0−1アルキル、C0−1アルキル−ヘテロアリール−C0−1アルキル、−ヘテロシクリル、−ヘテロシクリル−アリール、−ヘテロシクリル−ヘテロアリール、−アリール−ヘテロシクリル、−アリール−ヘテロアリール又は−CH(アリール)(アリール)(これらの何れも、R22で、場合によって置換される。)であり;
22は、C0−4アルキル、ハロゲン、−OH、−CF、−SCH、−OCH、−NH、−O(CHN(CH)(CH)、−OCH−アリール、−O(CH−ヘテロシクリル、−C(O)CH、−O−ヘテロシクリル、アリールオキシ−C0−1アルキル−、アリール又はヘテロシクリルであり;
は、C0−1アルキルであり、又はR及びRは、両者で、複素環又は炭素環を形成し、これらの何れも、1つ以上の、独立の、C1−4アルキル、ハロゲン、−OH、−SCH、−OCH、−NH、アリール又はヘテロシクリル置換基で場合によって置換され;
及びRは、各々独立に、C0−4アルキル、フェニル又はフッ素であり;
nは、0又は1であり;及び
は、水素、メチル、エチル、フェニル、ベンジル又はアセチルである。)
【0043】
本発明には、化合物のホモ二量体がRに存在する、式IBの化合物又は薬学的に許容されるその塩が含まれる。
【0044】
本発明には、式IBの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物が含まれる。
【0045】
本発明には、化合物のホモ二量体がRの位置に存在する式IBの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物が含まれる。
【0046】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IBの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含み、前記化合物のホモ二量体がRに存在する、前記方法が含まれる。
【0047】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IBの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含む、前記方法が含まれる。
【0048】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IBの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量と薬学的に許容される塩とを含む薬学的組成物の治療的有効量を投与することを含む、前記方法が含まれる。
【0049】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IBの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含み、
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記方法が含まれる。
【0050】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IBの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含み、前記化合物のホモ二量体がRに存在し、並びに
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記方法が含まれる。
【0051】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IBの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物の治療的有効量を投与することを含み、
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記方法が含まれる。
【0052】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、化合物のホモ二量体がRに存在する式IBの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物の治療的有効量を投与することを含み、
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記方法が含まれる。
【0053】
本発明には、下式IIAによって表される化合物又は薬学的に許容されるその塩が含まれる。
【0054】
【化10】

(式中、
Arは、1つ以上の、独立の、C1−4アルキル、ハロゲン、−OH、−SCH、−OCH、−NH、アリール又はヘテロシクリル置換基で場合によって置換されたアリールであり;
11は、R12NR13C(O)(CH1−2−、R12NHC(O)NH(CH1−2−、R12NHC(S)NH(CH1−2−、R12SONH(CH1−2−又はR12C(O)NH(CH1−2−であり;
tは、1又は2であり;
12は、C0−2アルキル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、−ヘテロアリール−ヘテロアリール、−ヘテロアリール−C1−4アルキル、−ヘテロアリール−OCH、−ヘテロアリール−アリール−ハロゲン、−ヘテロアリール−アリール、−アリール−アリール、−アリール−SCH、−アリール−OCH、−アリール−CF、−アリール−O−Cアルキル−ヘテロシクリル、−C3−10シクロアルキル−アリール、−C0−2アルキル−ヘテロシクリル、−C0−2アルキル−ヘテロアリール、−C0−2アルキル−アリール、−C0−1アルキル−ヘテロアリール、−アリール−OCH−アリール、−アリール−CHO−アリール、アリール−カルボニル、−アリール−カルボニル−アリール、−アリール−C(O)CH、アリール−O−アリール、−アリール−O−ヘテロシクリル、−アリール−C1−4アルキル、−アリール−O−C2−3アルキル−N(CH)(CH)、C0−1アルキル−ヘテロシクリル−C0−1アルキル、C0−1アルキル−ヘテロアリール−C0−1アルキル、−ヘテロシクリル、−ヘテロシクリル−アリール、−ヘテロシクリル−ヘテロアリール、−アリール−ヘテロシクリル、−アリール−ヘテロアリール又は−CH(アリール)(アリール)(これらの何れも、R222で、場合によって置換されている。)であり;
222は、C0−4アルキル、ハロゲン、−OH、−CF、−SCH、−OCH、−NH、−O(CHN(CH)(CH)、−OCH−アリール、−O(CH−ヘテロシクリル、−C(O)CH、−O−ヘテロシクリル、アリールオキシ−C0−1アルキル−、アリール又はヘテロシクリルであり;
13は、C0−1アルキルであり、又はR12及びR13は、両者で、複素環又は炭素環を形成し、これらの何れも、1つ以上の、独立の、C1−4アルキル、ハロゲン、−OH、−SCH、−OCH、−NH、アリール又はヘテロシクリル置換基で場合によって置換され;
14及びR15は、各々独立に、C0−4アルキル、フェニル又はフッ素であり;
nは、0又は1であり;並びに
16は、水素、メチル、エチル、フェニル、ベンジル又はアセチルである。)
【0055】
本発明には、化合物のホモ二量体がR16に存在する式IIAの化合物又は薬学的に許容されるその塩が含まれる。
【0056】
本発明には、式IIAの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物が含まれる。
【0057】
本発明には、化合物のホモ二量体がR16に存在する式IIAの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物が含まれる。
【0058】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IIAの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含み、前記化合物のホモ二量体がR16に存在する、前記方法が含まれる。
【0059】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IIAに記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含む、前記方法が含まれる。
【0060】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IIAの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量と薬学的に許容される塩とを含む薬学的組成物の治療的有効量を投与することを含む、前記方法が含まれる。
【0061】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IIAの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含み、
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記方法が含まれる。
【0062】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IIAの化合物又は薬学的に許容される塩の治療的有効量を投与することを含み、前記化合物のホモ二量体がR16に存在し、
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記方法が含まれる。
【0063】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IIAの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物の治療的有効量を投与することを含み、
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記方法が含まれる。
【0064】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、化合物のホモ二量体がR16に存在する式IIAの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物の治療的有効量を投与することを含み、
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記方法が含まれる。
【0065】
本発明の化合物には、下式IIBによって表される化合物又は薬学的に許容されるその塩が含まれる。
【0066】
【化11】

(式中、
11は、R12NR13C(O)(CH1−2−、R12NHC(O)NH(CH1−2−、R12NHC(S)NH(CH1−2−、R12SONH(CH1−2−又はR12C(O)NH(CH1−2−であり;
tは、1又は2であり;
12は、C0−2アルキル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、−ヘテロアリール−ヘテロアリール、−ヘテロアリール−C1−4アルキル、−ヘテロアリール−OCH、−ヘテロアリール−アリール−ハロゲン、−ヘテロアリール−アリール、−アリール−アリール、−アリール−SCH、−アリール−OCH、−アリール−CF、−アリール−O−Cアルキル−ヘテロシクリル、−C3−10シクロアルキル−アリール、−C0−2アルキル−ヘテロシクリル、−C0−2アルキル−ヘテロアリール、−C0−2アルキル−アリール、−C0−1アルキル−ヘテロアリール、−アリール−OCH−アリール、−アリール−CHO−アリール、アリール−カルボニル、−アリール−カルボニル−アリール、−アリール−C(O)CH、アリール−O−アリール、−アリール−O−ヘテロシクリル、−アリール−C1−4アルキル、−アリール−O−C2−3アルキル−N(CH)(CH)、C0−1アルキル−ヘテロシクリル−C0−1アルキル、C0−1アルキル−ヘテロアリール−C0−1アルキル、−ヘテロシクリル、−ヘテロシクリル−アリール、−ヘテロシクリル−ヘテロアリール、−アリール−ヘテロシクリル、−アリール−ヘテロアリール又は−CH(アリール)(アリール)(これらの何れも、R222で、場合によって置換されている。)であり;
222は、C1−4アルキル、ハロゲン、−OH、−CF、−SCH、−OCH、−NH、−O(CHN(CH)(CH)、−OCH−アリール、−O(CH−ヘテロシクリル、−C(O)CH、−O−ヘテロシクリル、アリールオキシ−C0−1アルキル−、アリール又はヘテロシクリルであり;
13は、C0−1アルキルであり、又はR12及びR13は、両者で、複素環又は炭素環を形成し、これらの何れも、1つ以上の、独立の、C1−4アルキル、ハロゲン、−OH、−SCH、−OCH、−NH、アリール又はヘテロシクリル置換基で場合によって置換され;
14及びR15は、各々独立に、C0−4アルキル、フェニル又はフッ素であり;
nは、0又は1であり;並びに
16は、水素、メチル、エチル、フェニル、ベンジル又はアセチルである。)
【0067】
本発明には、化合物のホモ二量体がR16に存在する、式IIBの化合物又は薬学的に許容されるその塩が含まれる。
【0068】
本発明には、式IIBの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物が含まれる。
【0069】
本発明には、化合物のホモ二量体がR16に存在する式IIBの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物が含まれる。
【0070】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IIBの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含み、前記化合物のホモ二量体がR16に存在する、前記方法が含まれる。
【0071】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IIBに記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含む、前記方法が含まれる。
【0072】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IIBの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量と薬学的に許容される塩とを含む薬学的組成物の治療的有効量を投与することを含む、前記方法が含まれる。
【0073】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IIBの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含み、
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記方法が含まれる。
【0074】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IIBの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含み、前記化合物のホモ二量体がR16に存在し、
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記方法が含まれる。
【0075】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、式IIBの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物の治療的有効量を投与することを含み、
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記方法が含まれる。
【0076】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、化合物のホモ二量体がR16に存在する式IIBの化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物の治療的有効量を投与することを含み、
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記方法が含まれる。
【0077】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって、哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療するための薬学的組成物の調製のための、式IA、IB、IIA又はIIBに記載の化合物の使用が含まれる。
【0078】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって、哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療するための薬学的組成物の調製のための、式IA、IB、IIA又はIIBに記載の化合物の使用であり、
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記使用が含まれる。
【0079】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって、哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療するための薬学的組成物の調製のための、化合物のホモ二量体がRに存在する式IA若しくはIBに記載の化合物の使用又は化合物のホモ二量体がR16に存在する式IIA若しくはIIBに記載の化合物の使用が含まれる。
【0080】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって、哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療するための薬学的組成物の調製のための、化合物のホモ二量体がRに存在する式IA若しくはIBに記載の化合物の使用又は化合物のホモ二量体がR16に存在する式IIA若しくはIIBに記載の化合物の使用であり、
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記使用が含まれる。
【0081】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって、哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療するための薬学的組成物の調製のための、式IA、IB、IIA又はIIBの化合物の治療的有効量及び薬学的に許容される担体を含む組成物の使用が含まれる。
【0082】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって、哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療するための薬学的組成物の調製のための、式IA、IB、IIA又はIIBの化合物の治療的有効量及び薬学的に許容される担体を含む組成物の使用であり、
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記使用が含まれる。
【0083】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって、哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療するための薬学的組成物の調製のための、化合物のホモ二量体がRに存在する式IA若しくはIBの化合物の治療的有効量又は化合物のホモ二量体がR16に存在する式IIA若しくはIIBに記載の化合物の治療的有効量と、薬学的に許容される担体とを含む組成物の使用が含まれる。
【0084】
本発明には、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって、哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療するための薬学的組成物の調製のための、化合物のホモ二量体がRに存在する式IA若しくはIBの化合物の治療的有効量又は化合物のホモ二量体がR16に存在する式IIA若しくはIIBに記載の化合物の治療的有効量と、薬学的に許容される担体とを含む組成物の使用であり、
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、前記使用が含まれる。
【0085】
本発明には、
【0086】
【化12】





からなる群から選択される化合物又は薬学的に許容されるその塩が含まれる。
【0087】
別段の記載がなければ、化合物名部分の接続は、最も右側に挙げられた部分に存在する。すなわち、置換基名は、末端部分とともに始まり、何らかの架橋部分に継続し、接続部分に終了する。例えば、ヘタリールチオC1−4アルキルは、この置換基を有する化学種へと接続するC1−4アルキルへと、チオ硫黄を介して接続されたヘテロアリール基を有する。
【0088】
「C0−6アルキル」という用語は、例えば、6、5、4、3、2、1又は0個の炭素、すなわち、直鎖又は分岐配置の0、1、2、3、4、5又は6個の炭素を有するアルキル基を意味するために使用される。炭素原子を有しないアルキルは、アルキルが末端基である場合には、水素原子置換基である。アルキルが架橋(接続)基である場合、炭素を有しないアルキルは直接の結合である。
【0089】
本明細書において使用される「アルキル」並びに接頭辞「アルク」を有する他の基(例えば、アルコキシ、アルカノイル、アルケニル、アルキニルなど)は、直鎖又は分岐又はこれらの組み合わせであり得る炭素鎖を意味する。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルなどが含まれる。「アルケニル」、「アルキニル」及びその他の類似の用語には、少なくとも1つの不飽和炭素−炭素結合を含有する炭素鎖が含まれる。
【0090】
「炭素環」又は「炭素環式」又は「カルボシクリル」という用語は、単一の、シクロアルカン、シクロアルケン及びシクロアルキン環を含む環状脂肪族炭化水素環構造を意味し、又は同一のシクロアルカン、シクロアルキン及びシクロアルキン環又はシクロアルカン、シクロアルキン及びシクロアルキン環の混合物を含む複数の環系を意味する。
【0091】
「シクロアルキル」又は「シクリル」という用語は、複素原子を含有しない炭素環を意味し、単環式、二環式及び三環式の飽和炭素環並びに縮合された環系が含まれる。このような縮合された環系は、部分的に又は完全に不飽和である1つの環(ベンゼン環など)を含んで、ベンゾ縮合された炭素環などの縮合された環系を形成することができる。シクロアルキルには、スピロ縮合された環系などの縮合された環系が含まれる。シクロアルキル及びシクリルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、デカヒドロナフタレン、アダマンタン、インダニル、フルオレニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン(tetrahydronaphalene)などが含まれる。同様に、「シクロアルケニル」は、複素原子を含有せず、及び少なくとも1つの非芳香族C−C二重結合を含有する炭素環を意味し、単環式、二環式及び三環式の部分飽和炭素環並びにベンゾ縮合されたシクロアルケンが含まれる。シクロアルケニルの例には、シクロヘキセニル、インデニルなどが含まれる。
【0092】
「シクロアルキルオキシ」又は「シクリルオキシ」という用語には、特に別段の記載がなければ、オキシ接続原子に接続されたシクロアルキル基が含まれる。
【0093】
「アルコキシ」という用語には、特に別段の記載がなければ、オキシ接続原子に接続されたアルキル基が含まれる。
【0094】
「アリール」という用語には、特に別段の記載がなければ、例えば、フェニル又はナフチルなど、複数の環系及び単一の環系が含まれる。
【0095】
「アリールオキシ」又は「アルオキシ」という用語には、特に別段の記載がなければ、オキシ接続原子を介して、接続部位へ接続された複数の環系及び単一の環系(例えば、フェニル又はナフチルなど)が含まれる。
【0096】
「複素」又は「ヘト」という用語には、特に別段の記載がなければ、1つ以上の、O、S又はN原子が含まれる。例えば、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクリル及びヘテロアリールには、置換された又は置換されていない、飽和又は不飽和の、環中に1つ以上のO、S又はN原子(このような原子の混合物を含む。)を含有する環又は複数の環系が含まれる。複素原子は、環炭素原子を置換する。このため、例えば、ヘテロシクロC0−5アルキルは、5〜0個の炭素原子を含有する5員環である。
【0097】
「ヘテロシクリル」又は「ヘテロシクロアルキル」の例には、例えば、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリニル、ピロリジン−2−オン、ピペリジン−2−オン、チオモルホリニル、テトラヒドロフリル、4−ピラニル、テトラヒドロピラニル、チオラニル、ジオキソラニル、ジオキサニル、インドリニル、5−メチル−6−クロマニル、オキセタニル、オキセパニル、オキソカニル、チエタニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、[1,3]ジオキサニル、オキサゾリジニル、チオカニル、チエパニル、アゼパニル及びアゾカニルが含まれる。「ヘテロアリール」又は「ヘタリール」の例には、例えば、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、キノキサリニル、フリル、ベンゾフリル、ジベンゾフリル、チエニル、ベンゾチエニル、ピロリル、インドリル、ピラゾリル、インダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、チオフェニル及びテトラゾリルが含まれる。
【0098】
「ヘテロアリールオキシ」又は「ヘタリールオキシ」又は「ヘテロアルオキシ」という用語には、特に別段の記載がなければ、オキシ接続原子を介して、接続部位に接続されたヘテロアリール基を記述する。
【0099】
「ヘテロアリールC1−6アルキル」又は「ヘタリールC1−6アルキル」の例には、例えば、フリルメチル、フリルエチル、チエニルメチル、チエニルエチル、ピラゾリルメチル、オキサゾリルメチル、オキサゾリルエチル、イソオキサゾリルメチル、チアゾリルメチル、チアゾリルエチル、イミダゾリルメチル、イミダゾリルエチル、ベンゾイミダゾリルメチル、オキサジアゾリルメチル、オキサジアゾリルエチル、チアジアゾリルメチル、チアジアゾリルエチル、トリアゾリルメチル、トリアゾリルエチル、テトラゾリルメチル、テトラゾリルエチル、ピリジニルメチル、ピリジニルエチル、ピリダジニルメチル、ピリミジニルメチル、ピラジニルメチル、キノリニルメチル、イソキノリニルメチル及びキノキサリニルメチルが含まれる。
【0100】
アリールC1−6アルキルの例には、例えば、フェニルC1−6アルキル及びナフチルC1−6アルキルが含まれる。
【0101】
ヘテロシクロC3−7アルキル−カルボニルC1−6アルキルの例には、例えば、アゼチジニル−カルボニルC1−6アルキル、ピロリジニル−カルボニルC1−6アルキル、ピペリジニル−カルボニルC1−6アルキル、ピペラジニル−カルボニルC1−6アルキル、モルホリニル−カルボニルC1−6アルキル及びチオモルホリニル−カルボニルC1−6アルキルが含まれる。
【0102】
特に別段の記載がなければ、「アミン」という用語には、一級、二級及び三級アミンが含まれる。
【0103】
別段の記載がなければ、「カルバモイル」という用語は、−NHC(O)OC1−4アルキル及び−OC(O)NHC1−4アルキルを含めるために使用される。
【0104】
「ハロゲン」という用語には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子が含まれる。
【0105】
「場合によって置換される」という用語は、置換と非置換の両方を含むものとする。このため、例えば、場合によって置換されるアリールは、ペンタフルオロフェニル又はフェニル基を表すことが可能である。さらに、置換は、何れの基に、何れの基の1つ以上に、及び全て同じ又は異なる置換基で為され得る。例えば、置換されたアリールC1−6アルキルには、アリール基上の置換及びアルキル基上の置換が含まれる。
【0106】
本明細書に記載された化合物は、1つ以上の二重結合を含有し、このため、シス/トランス異性体及び他の立体異性体を生じ得る。本発明には、このような全ての可能な異性体及びこのような異性体の混合物が含まれる。
【0107】
本明細書に記載された化合物は、1つ以上の不斉中心を含有することが可能であり、このため、ジアステレオマーおよび光学異性体を生じ得る。本発明には、全てのこのような可能なジアステレオマー、並びにこれらのラセミ混合物、これらの実質的に純粋な分割された鏡像異性体、全ての可能な幾何異性体及び薬学的に許容されるこれらの塩が含まれる。上式IA、IB、IIA及びIIBは、幾つかの位置において、明確な立体化学なしに示されている。本発明には、式IA、IB、IIA及びIIBの全ての立体異性体並びに薬学的に許容されるこれらの塩が含まれる。さらに、立体異性体の混合物及び単離された具体的な立体異性体も含まれる。このような化合物を調製するために使用される合成手順の間には、又は当業者に公知のラセミ化若しくはエピマー化手順を使用する際には、このような手順の産物は立体異性体の混合物であり得る。
【0108】
「薬学的に許容される塩」という用語は、薬学的に許容される無毒の塩基又は酸から調製される塩を表す。本発明の化合物が酸性である場合には、対応するその塩は、無機塩基及び有機塩基を含む薬学的に許容される無毒の塩基から便利に調製すること可能である。このような無機塩基から得られる塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(第二及び第一)、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(亜マンガン及びマンガン)、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩が含まれる。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。薬学的に許容される無毒な有機塩基から得られる塩には、一級、二級及び三級アミンの塩、並びに環状アミン及び置換されたアミン(天然に存在する置換アミン及び合成された置換アミンなど)が含まれる。そこから塩を形成することが可能である、薬学的に許容されるその他の無毒な有機塩基には、イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン,N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが含まれる。
【0109】
本発明の化合物が塩基性である場合には、対応するその塩は、無機酸及び有機酸を含む薬学的に許容される無毒の酸から便利に調製すること可能である。このような酸には、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが含まれる。特に好ましいのは、ベンゼンスルホン酸、クエン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、マレイン酸、リン酸、硫酸及び酒石酸である。
【0110】
本発明の薬学的組成物は、活性成分としての、式IA、IB、IIA又はIIBによって表される化合物(又は薬学的に許容されるその塩)と、薬学的に許容される担体とを含み、その他の治療成分又は補助剤を場合によって含む。このようなその他の治療成分には、例えば、細胞毒性因子(アルキル化因子、DNAトポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗剤、チュブリン結合剤);血管新生の阻害剤;Tarcevaなどのキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、癌ワクチン、ドキソルビシン、ビンクリスチン、シスプラチン、カルボプラチン、ゲムシタビン及びタキサンを含む治療剤の他の様々な形態が含まれる。組成物には、経口、直腸、局所及び非経口(皮下、筋肉内及び静脈内を含む。)投与に適した組成物が含まれるが、与えられた症例において最も適切な経路は、当該宿主、並びに活性成分が投与されている症状の性質及び重篤度に依存するであろう。前記薬学的組成物は、単位剤形として都合よく与えることができ、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製することができる。
【0111】
式IA、IB、IIA又はIIBの化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液は、局所的な用途のために使用することが可能である。洗口剤及びうがい薬も、本発明における局所的使用の範囲に含まれる。
【0112】
膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌などの充実腫瘍細胞株を含む形質転換された細胞種、並びにリンパ腫、白血病、異常血色素症、多発性骨髄腫などの血液学的形質転換細胞株、嚢胞性繊維症及び副腎白質ジストロフィーなどの遺伝関連代謝疾患などの症状の治療において、又はマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症などの、動物及びヒト中の生命を脅かす寄生性原虫感染症を治療及び/又は予防するための抗原虫剤として、約0.001mg/kg体重/日から約140mg/kg体重/日までの投薬レベルが有用であり、あるいは、約0.05mg/患者/日〜約7g/患者/日が有用である。例えば、化合物約0.01mgから50mg/kg体重/日、あるいは、約0.5mg/患者/日〜約2.5g/患者/日の投与によって、感染を効果的に治療し得る。さらに、本発明のヒストンデアセチラーゼ阻害化合物は、上記症状を予防するために、予防的有効投薬レベルで投与することが可能であることが理解される。
【0113】
単一の剤形を生じるために担体材料と組み合わせ得る活性成分の量は、治療される宿主及び具体的な投与様式に応じて変動する。例えば、ヒトへの経口投与が予定される製剤は、全組成物の約5%から約95%までを変動し得る担体材料の適切で、便利な量とともに配合される、活性因子の約0.5mgから約5gまでを都合よく含有し得る。単位剤形は、一般に、活性成分約0.01mgから約1000mgまで、典型的には、0.01mg、0.05mg、0.25mg、1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg又は1000mgを含有する。
【0114】
しかしながら、具体的な患者に対する具体的な投薬レベルは、年齢、体重、一般的な健康、性別、食事、投与の時間、投与の経路、排泄の速度、薬物の組み合わせ及び治療を行っている具体的な病気の重篤度など様々な因子に依存し得ることが理解される。
【0115】
実際には、本発明の式IA、IB、IIA及びIIBによって表される化合物又は薬学的に許容されるこれらの塩は、慣用の薬学的配合技術に従って、薬学的担体とともに緊密に混合された活性成分として配合することが可能である。担体は、投与に対して所望される調製の形態(例えば、経口又は非経口(静脈を含む。))に応じて、様々な形態を採り得る。このため、本発明の薬学的組成物は、各々が活性成分の所定量を含有するカプセル、カシェ又は錠剤などの、経口投与に適した分離された単位として与えることが可能である。さらに、組成物は、粉末として、顆粒として、溶液として、水性液体中の懸濁物として、非水性の液体として、水中油エマルジョンとして、又は油中水液体エマルジョンとして与えることが可能である。上記されている一般的な剤形に加えて、式IA、IB、IIA及びIIBによって表される化合物又は薬学的に許容されるこれらの塩は、徐放手段及び/又は送達装置によって投与してもよい。組成物は、薬学の方法の何れによって調製してもよい。一般に、このような方法には、活性成分を、1つ以上の必要な成分を構成する担体と一緒にする工程が含まれる。一般に、組成物は、活性成分を、液体担体又は細かく砕かれた固体担体又は両者と均一且つ緊密に混合することによって調製される。次いで、産物は、所望の状態へと都合よく成形することが可能である。
【0116】
このため、本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される担体と、及び式IA、IB、IIA及びIIBの化合物又は薬学的に許容されるこれらの塩を含み得る。式IA、IB、IIA及びIIBの化合物又は薬学的に許容されるこれらの塩は、1つ以上の他の治療的に活性な化合物と組み合わせて、薬学的組成物中に含めることも可能である。
【0117】
使用される薬学的担体は、例えば、固体、液体又は気体であり得る。固体担体の例には、ラクトース、石膏、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸が含まれる。液体担体の例は、糖シロップ、ピーナッツ油、オリーブオイル及び水である。気体担体の例には、二酸化炭素及び窒素が含まれる。
【0118】
経口剤形用の組成物を調製する際には、任意の都合のよい薬学的媒体を使用し得る。例えば、懸濁液、エリキシル及び溶液など経口液体調製物を形成するために、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、防腐剤、着色剤などを使用し得るのに対して、粉末、カプセル及び錠剤など経口固体調製物を形成するために、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体を使用し得る。投与が容易なので、錠剤及びカプセルは、固体の薬学的担体が使用される好ましい経口投薬単位である。場合によって、錠剤は、標準的な水性又は非水性技術によってコートし得る。
【0119】
本発明の組成物を含有する錠剤は、場合によって、1又は複数の補助成分又は補助剤とともに、打錠又は成形することによって調製し得る。打錠された錠剤は、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤又は分散剤と場合によって混合された自由流動形態の活性成分(粉末又は顆粒など)を、適切な機械の中で、打錠することによって調製し得る。成形された錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿させた、粉末化された化合物の混合物を、適切な機械の中で成形することによって作製し得る。各錠剤は、好ましくは、活性成分約0.1mgから約500mgを含有し、各カシェ又はカプセルは、好ましくは活性成分約0.1mgから約500mgを含有する。
【0120】
非経口投与に適した本発明の薬学的組成物は、前記活性な化合物の水中溶液又は懸濁液として調製し得る。例えば、ヒドロキシプロピルセルロースなどの、適切な界面活性剤を含めることができる。分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及び油中のこれらの混合物中にも調製することができる。さらに、微生物の有害な増殖を抑えるために、防腐剤を含めることができる。
【0121】
注射用途に適した本発明の薬学的組成物は、無菌の水溶液又は分散液を含む。さらに、前記組成物は、このような無菌注射可能溶液又は分散液を即時調製するための無菌粉末の形態とすることができる。全てのケースで、最終の注射可能形態は無菌でなければならず、容易に注射できるように効果的に液体でなければならない。薬学的組成物は、製造及び保存の条件下で安定でなければならない。このように、好ましくは、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して保存されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、植物油及びそれらの適切な混合物を含有する溶媒又は分散媒とすることができる。
【0122】
本発明の薬学的組成物は、例えば、エアロゾル、クリーム、軟膏、ローション、散布剤などの、局所使用に適した形態とすることができる。さらに、前記組成物は、経皮装置中での使用に適した形態とすることができる。これらの調合物は、本発明の式IA、IB、IIA又はIIBによって表される化合物又は薬学的に許容されるその塩を使用し、慣用の加工法によって調製し得る。一例として、クリーム又は軟膏は、親水性材料と水を、化合物の約5重量%ないし約10重量%とともに混合して、所望の稠度を有するクリーム又は軟膏を生成することによって調製される。
【0123】
本発明の薬学的組成物は、担体が固体である、直腸投与に適した形態とすることができる。本混合物は単位投薬坐剤を形成することが好ましい。適切な担体には、カカオバター及び本分野で一般的に使用される他の材料が含まれる。前記坐剤は、まず、組成物を、柔らかくされた担体又は融解された担体と混合した後、型の中で冷却及び成形することによって、都合よく形成され得る。
【0124】
先述した担体成分に加えて、上記薬学的製剤は、希釈剤、緩衝剤、着香剤、結合剤、界面活性剤、濃縮剤、潤滑剤、防腐剤(抗酸化剤を含む。)などの、1又は複数の追加担体成分を適宜含み得る。さらに、調合物を対象レシピエントの血液と等張にするために他の補助剤を含ませることができる。式IA、IB、IIA又はIIBによって記載される化合物又は薬学的に許容されるその塩を含有する組成物は、粉末又は液体濃縮物の形態で調製することもできる。
【0125】
本発明の化合物及び薬学的組成物は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤として生物活性を発揮することが見出された。従って、本発明の別の態様は、本発明の化合物の有効量の投与による、例えば、血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌;リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常血色素症、急性骨髄芽球性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性及び多発性骨髄腫などの血液学的な形質転換された細胞株;嚢胞性繊維症及び副腎白質ジストロフィーなどの遺伝関連代謝性疾患、マラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症などの寄生性原虫感染症の、哺乳動物における治療である。「哺乳動物」という用語には、ヒト並びに、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ及びウシなどの他の動物が含まれる。従って、ヒト以外の哺乳動物の治療は、ヒトの疾病である上記例に対する臨床的な相関する疾病の治療であることが理解される。
【0126】
さらに、上述のように、本発明の化合物は、他の治療的化合物と組み合わせて使用することが可能である。特に、本発明のヒストンデアセチラーゼ阻害化合物の組み合わせは、他のこのような癌治療化合物と一緒に又は組み合わせて、有利に使用することが可能である。このような他の化合物には、例えば、様々な細胞毒性因子(アルキル化因子、DNAトポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗剤、チュブリン結合剤);血管新生の阻害剤;Tarcevaなどのキナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体及び癌ワクチンを含む治療剤の様々な他の形態が含まれる。本発明の化合物とともに有益に同時投与できるこのような他の化合物には、ドキソルビシン、ビンクリスチン、シスプラチン、カルボプラチン、ゲムシタビン及びタキサンが含まれる。このように、本発明の組成物には、式IA、IB、IIA若しくはIIBに従う化合物又は薬学的に許容されるその塩、及び抗新生物剤、抗癌剤、抗血管新生剤または化学治療剤が含まれる。
【0127】
発明の化合物又は薬学的に許容されるこれらの塩は、癌治療とは別の他の治療用化合物と一緒に効果的に投与することも可能である。例えば、有害な副作用を軽減するのに有効な治療剤は、本発明の化合物との有利な共剤であり得る。
【0128】
本発明の化合物又は薬学的に許容されるこれらの塩は、他の癌治療化合物と一緒に効果的に投与することも可能である。例えば、細胞毒性剤及び血管新生阻害剤は、本発明の化合物との有利な共剤であり得る。従って、本発明には、式IA、IB、IIA又はIIBによって表される化合物又は薬学的に許容されるその塩、及び細胞毒性剤又は血管新生阻害剤を含む組成物が含まれる。それぞれの量は、単独で治療的に有効であることができる。この場合には、加算的効果が、単独療法による治療に対して耐性がある癌を凌駕し得る。何れの量も、特に感受性のある患者において、有害な効果を最小限に抑えるために、治療量以下とすることも可能である。
【0129】
本明細書に記載された化合物は、1つ以上の不斉中心を含有し、このため、ジアステレオマーおよび光学異性体を生じ得る。本発明には、全てのこのような可能なジアステレオマー、並びにこれらのラセミ混合物、これらの実質的に純粋な分割された鏡像異性体、全ての可能な幾何異性体及び薬学的に許容されるこれらの塩が含まれる。上式IA、IB、IIA及びIIBは、ある位置において、明確な立体化学なしに示されている。本発明には、式IA、IB、IIA及びIIBの全ての立体異性体並びに薬学的に許容されるこれらの塩が含まれる。さらに、立体異性体の混合物及び単離された具体的な立体異性体も含まれる。このような化合物を調製するために使用される合成手順の間には、又は当業者に公知のラセミ化若しくはエピマー化手順を使用する際には、このような手順の産物は立体異性体の混合物であり得る。
【0130】
本発明は、薬学的に許容される担体と組み合わせて、式IA、IB、IIA及びIIBの化合物から構成される薬学的組成物も包含する。
【0131】
好ましくは、組成物は、薬学的に許容される担体並びに上記式IA、IB、IIA又はIIBの化合物(又は薬学的に許容されるその塩)の無毒な治療的有効量から構成される。
【0132】
さらに、この好ましい実施形態の中で、本発明は、ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害して、遺伝子発現、細胞周期の進行、分化及び/又はアポトーシスを調節するHDACのアセチル化/脱アセチル化をもたらすことにより疾病を治療するための薬学的組成物であり、薬学的に許容される担体並びに上記式IA、IB、IIA及びIIBの化合物(又は薬学的に許容されるその塩)の無毒な治療的有効量を含む、前記組成物を包含する。
【0133】
「薬学的に許容される塩」という用語は、薬学的に許容される無毒の塩基又は酸から調製される塩を表す。本発明の化合物が酸性である場合には、対応するその塩は、無機塩基及び有機塩基を含む薬学的に許容される無毒の塩基から都合よく調製すること可能である。このような無機塩基から得られる塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(第二及び第一)、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(亜マンガン及びマンガン)、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩が含まれる。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。薬学的に許容される無毒な有機塩基から得られる塩には、一級、二級及び三級アミンの塩、並びに環状アミン及び置換されたアミン(天然に存在する置換アミン及び合成された置換アミンなど)が含まれる。そこから塩を形成することが可能である、薬学的に許容されるその他の無毒な有機塩基には、イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N’,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン,N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが含まれる。
【0134】
本発明の化合物が塩基性である場合には、対応するその塩は、無機酸及び有機酸を含む薬学的に許容される無毒の酸から都合よく調製すること可能である。このような酸には、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが含まれる。特に好ましいのは、クエン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、マレイン酸、リン酸、硫酸及び酒石酸である。
【0135】
本発明の薬学的組成物は、活性成分としての、式IA、IB、IIA又はIIBによって表される化合物(又は薬学的に許容されるその塩)と、薬学的に許容される担体とを含み、その他の治療成分又は補助剤を場合によって含む。組成物には、経口、直腸、局所及び非経口(皮下、筋肉内及び静脈内を含む。)投与に適した組成物が含まれるが、与えられた症例において最も適切な経路は、当該宿主、並びに活性成分が投与されている症状の性質及び重篤度に依存するであろう。前記薬学的組成物は、単位剤形として都合よく与えることができ、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製することができる。
【0136】
実際には、本発明の式IA、IB、IIA及びIIBによって表される化合物又は薬学的に許容されるこれらの塩は、慣用の薬学配合技術に従って、薬学的担体とともに緊密に混合された活性成分として配合することが可能である。担体は、投与(例えば、経口又は非経口(静脈内を含む。))に対して所望される調製の形式に応じて、様々な形態を採り得る。このため、本発明の薬学的組成物は、各々が活性成分の所定量を含有するカプセル、カシェ又は錠剤などの、経口投与に適した分離された単位として与えることが可能である。さらに、組成物は、粉末として、顆粒として、溶液として、水性液体中の懸濁物として、非水性の液体として、水中油エマルジョンとして、又は油中水液体エマルジョンとして与えることが可能である。上記されている一般的な剤形に加えて、式IA、IB、IIA及びIIBによって表される化合物又は薬学的に許容されるこれらの塩は、徐放手段及び/又は送達装置によって投与してもよい。組成物は、薬学の方法の何れによって調製してもよい。一般に、このような方法には、活性成分を、1つ以上の必要な成分を構成する担体と一緒にする工程が含まれる。一般に、組成物は、活性成分を、液体担体又は細かく砕かれた固体担体又は両者と均一且つ緊密に混合することによって調製される。次いで、産物は、所望の状態へと都合よく成形することが可能である。
【0137】
このため、本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される担体と、及び式IA、IB、IIA又はIIBの化合物又は薬学的に許容されるこれらの塩を含み得る。式IA、IB、IIA及びIIBの化合物又は薬学的に許容されるこれらの塩は、1つ以上の他の治療的に活性な化合物と組み合わせて、薬学的組成物中に含めることも可能である。
【0138】
使用される薬学的担体は、例えば、固体、液体又は気体であり得る。固体担体の例には、ラクトース、石膏、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸が含まれる。液体担体の例は、糖シロップ、ピーナッツ油、オリーブオイル及び水である。気体担体の例には、二酸化炭素及び窒素が含まれる。
【0139】
経口剤形用の組成物を調製する際には、任意の都合のよい薬学的媒体を使用し得る。例えば、懸濁液、エリキシル及び溶液など経口液体調製物を形成するために、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、防腐剤、着色剤などを使用し得るのに対して、粉末、カプセル及び錠剤など経口固体調製物を形成するために、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体を使用し得る。投与が容易なので、錠剤及びカプセルは、固体の薬学的担体が使用される好ましい経口投薬単位である。場合によって、錠剤は、標準的な水性又は非水性技術によってコートし得る。
【0140】
本発明の組成物を含有する錠剤は、場合によって、1又は複数の補助成分又は補助剤とともに、打錠又は成形することによって調製し得る。打錠された錠剤は、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤又は分散剤と場合によって混合された自由流動形態の活性成分(粉末又は顆粒など)を、適切な機械の中で、打錠することによって調製し得る。成形された錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿させた、粉末化された化合物の混合物を、適切な機械の中で成形することによって作製し得る。各錠剤は、好ましくは、活性成分約0.05mgから約5gを含有し、各カシェ又はカプセルは、好ましくは活性成分約0.05mgから約5gを含有する。
【0141】
例えば、ヒトへの経口投与が予定される製剤は、全組成物の約5%から約95%までを変動し得る担体材料の適切で、便利な量とともに配合される、活性因子の約0.5mgから約5gまでを含有し得る。単位剤形は、一般に、活性成分約1mgから約2mgまでの間、典型的には、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg又は1000mgを含有する。
【0142】
非経口投与に適した本発明の薬学的組成物は、前記活性な化合物の水中溶液又は懸濁液として調製し得る。例えば、ヒドロキシプロピルセルロースなどの、適切な界面活性剤を含めることができる。分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及び油中のそれらの混合物中にも調製することができる。さらに、微生物の有害な増殖を抑えるために、防腐剤を含めることができる。
【0143】
注射用途に適した本発明の薬学的組成物は、無菌の水溶液又は分散液を含む。さらに、前記組成物は、このような無菌注射可能溶液又は分散液を即時調製するための無菌粉末の形態とすることができる。全てのケースで、最終の注射可能形態は無菌でなければならず、容易に注射できるように効果的に液体でなければならない。薬学的組成物は、製造及び保存の条件下で安定でなければならない。このように、好ましくは、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して保存されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、植物油及びそれらの適切な混合物を含有する溶媒又は分散媒とすることができる。
【0144】
本発明の薬学的組成物は、例えば、エアロゾル、クリーム、軟膏、ローション、散布剤などの、局所使用に適した形態とすることができる。さらに、前記組成物は、経皮装置中での使用に適した形態とすることができる。これらの調合物は、本発明の式IA、IB、IIA又はIIBによって表される化合物又は薬学的に許容されるその塩を使用し、慣用の加工法によって調製し得る。一例として、クリーム又は軟膏は、親水性材料と水を、前記化合物の約5重量%から約10重量%とともに混合して、所望の稠度を有するクリーム又は軟膏を与えることによって調製される。
【0145】
本発明の薬学的組成物は、担体が固体である、直腸投与に適した形態とすることができる。本混合物は単位投薬坐剤を形成することが好ましい。適切な担体には、カカオバター及び本分野で一般的に使用される他の材料が含まれる。前記坐剤は、まず、組成物を、柔らかくされた担体又は融解された担体と混合した後、型の中で冷却及び成形することによって、都合よく形成され得る。
【0146】
先述した担体成分に加えて、上記薬学的製剤は、希釈剤、緩衝剤、着香剤、結合剤、界面活性剤、濃縮剤、潤滑剤、防腐剤(抗酸化剤を含む。)などの、1又は複数の追加担体成分を適宜含み得る。さらに、製剤を対象レシピエントの血液と等張にするために他の補助剤を含ませることができる。式IA、IB、IIA若しくはIIBによって記載される化合物又は薬学的に許容されるその塩を含有する組成物は、粉末又は液体濃縮物の形態で調製することもできる。
【0147】
一般的には、上記症状の治療において、約0.01mg/kg体重/日から約150mg/kg体重/日までの桁の投薬レベル、あるいは、約0.5mg〜約7g/患者/日が有用である。例えば、例えば、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌などの充実腫瘍細胞株を含む形質転換された細胞種並びにリンパ腫、白血病、異常血色素症及び多発性骨髄腫などの血液学的形質転換細胞株並びに嚢胞性繊維症及び副腎白質ジストロフィーなどの遺伝関連代謝疾患などの症状の治療は、化合物約0.01mg/kg体重/日から化合物約50mg/kg体重/日までの投与によって、あるいは、約0.5mg/患者/日〜約3.5g/患者/日の投与によって効果的に達成され得る。
【0148】
しかしながら、具体的な患者に対する具体的な投薬レベルは、年齢、体重、一般的な健康、性別、食事、投与の時間、投与の経路、排泄の速度、薬物の組み合わせ及び治療を行っている具体的な病気の重篤度など様々な因子に依存し得ることが理解される。
【0149】
実験
LCMS法
Waters Atlantis Column2.1mm×30mm C18 3μ及びPhenomenex Guard Column上にて、分離を行った。Waters 1525 Pump及び4×Jasco PU−1585 Pumpにより、勾配を提供した。自動サンプラー:CTC、HTS PAL。UV検出器:220+254nmでのWaters 2488 Mulitchannel UV検出器。質量分析計:Micromass MUX LCT。検出:コーン電圧30v、質量範囲80−700。Masslynx4.0ソフトウェアを使用し、システムを制御した。Openlynx Browser v4.0を使用して報告されたデータを用い、Openlynx Login v4.0を使用して試料を提出した。約0.2mg/mlの試料10μLを注入した。
【0150】
勾配:(a)HO+0.1%ギ酸、(b)MeCN+0.1ギ酸
0−0.3分 100%a
0.3−4.25分 100%a〜10%a
0.25−4.40分 10%a〜0%a
4.40−4.90分 0%a〜0%a
4.90−5.00分 0%a〜100%a
5.00−6.00分 100%a
【0151】
6−(2−アセチルスルファニル−アセチルアミノ)−ヘキサンアミドの調製
【0152】
【化13】

【0153】
6−(2−アセチルスルファニル−アセチルアミノ)−ヘキサン酸の合成
5−アミノ−ヘキサン酸(20g、0.153mole)へ、水(125ml)及びジクロロメタン(250ml)中の水酸化ナトリウム(7.34g、0.184mole)を添加した。1分間にわたり、塩化クロロアセチル(19g、0.168mole)を滴下した。2時間後、チオ酢酸カリウム(19.72g、0.173mole)を添加し、攪拌を一晩続行した。この攪拌後、有機相を分離し、水、塩水で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。生じた固体をジエチルエーテルで倍散し、6−(2−アセチルスルファニル−アセチルアミノ)−ヘキサン酸を灰白色の固体として得た。H NMR(CDCl,400MHz)δ1.40(2H,m),1.58(2H,m),1.69(2H,m),2.40(2H,t),2.56(3H,s),3.28(2H,q),3.59(2H,s)及び6.24(1H,br s)。
【0154】
6−(2−アセチルスルファニル−アセチルアミノ)−ヘキサンアミドの調製の一般的方法
THF中の、HATU(0.184g、0.458mmol)及び6−(2−アセチルスルファニル−アセチルアミノ)−ヘキサン酸(0.1g、0.4mmol)の攪拌した懸濁液へ、DIPEA(0.085ml、0.485mmol)を添加した。30分後、アミン(0.485mmol)を添加し、攪拌を一晩続行した。この攪拌後、反応混合物を酢酸エチル(15ml)で希釈し、水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×10ml)、塩水(10ml)で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。酢酸エチル−ジエチルエーテルを用い倍散により、固体を精製して、フラッシュクロマトグラフィーにより、油状物を精製した。
【0155】
代わりに、へプサン酸誘導体又はペンタン酸誘導体から各々開始し、実施例138及び152を、上記と同様の方法で調製した。
【0156】
6−(2−メルカプト−アセチルアミノ)−ヘキサンアミドの調製の一般的方法
一般的方法A(実施例4を使用する方法)
脱ガスメタノール(3ml)中のチオ酢酸S−{[5−(ビフェニル−3−イルカルバモイル)−ペンチルカルバモイル]−メチル}エステル(52mg、0.13mmol)の攪拌した溶液へ、脱気した2M水酸化ナトリウム溶液(75μl、0.13mmol)を添加した。30分後、DOWEX50WX2−400(水、メタノール及びアセトンで事前洗浄)の添加により、溶液を酸性化し、ろ過し、濃縮して、6−(2−メルカプト−アセチルアミノ)−ヘキサン酸ビフェニル−3−イルアミドを得た。H NMR(d−DMSO,400MHz)1.38(2H,m),1.49(2H,m),1.63(2H,m),2.39(2H,t),2.71(1H,t),3.09(4H,m),7.36(1H,m),7.39(2H,m),7.49(2H,t),7.60(3H,m),7.94(1H,br s),7.99(1H,br m)及び9.97(1H,s)。LCMS保持時間:3.40分、MH=358.28。
【0157】
一般的方法B(実施例13を使用する方法)
脱気したメタノール(3ml)中のチオ酢酸S−{[5−ピリジン−3−イルカルバモイル]−ペンチルカルバモイル]−メチル}エステル(41mg、0.127mmol)の攪拌した溶液へ、脱気した2M水酸化ナトリウム溶液(70μl、0.14mmol)を添加した。30分後、溶液を水(5ml)で希釈し、酢酸エチル(10ml)で抽出した。水相を分離し、2M HCl溶液の添加により中性化し、酢酸エチル(3×10ml)で抽出した。混合有機物を塩水で洗浄し、乾燥させ、濃縮し、6−(2−メルカプト−アセチルアミノ)−ヘキサン酸ピリジン−3−イルアミドを得た。H NMR(CDOD,400MHz),1.49(2H,m),1.52(2H,m),1.55(2H,m),2.49(2H,t),3.15(2H,s),3.25(2H,t),7.43(1H,dd),8.15(1H,d),8.27(1H,d)及び8.77(1H,s)。LCMS保持時間:2.31分、MH=283.11。
【0158】
一般的方法C(実施例72を使用する方法)
メタノール(2ml)中の6−(2−メルカプト−アセチルアミノ)−ヘキサン酸ナフタレン−1−イルアミド(35mg、0.094mmol)の溶液へ、メタノール(0.1ml、0.2mmol)中の2Nアンモニアを添加した。フラスコを空気でフラッシュし、室温で1時間攪拌した。混合物を濃縮し、生じた固体をメタノールで倍散して、6−(2−{[5−ナフタレン−1−イルカルバモイル]−ペンチルカルバモイル]−メチルジスルファニル}−アセチルアミノ)−ヘキサン酸ナフタレン−1−イルアミドを無色の固体として得た。LCMS保持時間3.49分、MH=660.28。
【0159】
N−[5−(2−メルカプト−アセチルアミノ)−アルキル誘導体]の合成
【0160】
【化14】

【0161】
チオ酢酸S−[(5−アミノ−ペンチルカルバモイル)−メチル]エステルトリフルオロアセタート(B、n=1)の合成
THF(20ml)中のアセチルスルファニル−酢酸(1.29g、9.62mmol)及びHATU(4.38g、11.5mmol)の攪拌した懸濁液へ、DIPEA(2.0ml、11.5mmol)を添加した。30分後、(5−アミノ−ペンチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(2ml、9.61mmol)を添加し、攪拌を一晩続行した。この攪拌後、反応混合物を酢酸エチル(25ml)で希釈し、水(10ml)、2N HCl(10ml)、飽和炭酸水素ナトリウム(2×20ml)、塩水(20ml)で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。アセトニトリル/ジエチルエーテルを用いて、生じた茶色の固体を倍散し、チオ酢酸S−[(5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ペンチルカルバモイル)−メチル]エステルを得た。DCM(20ml)中のチオ酢酸S−[(5−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ペンチルカルバモイル)−メチル]エステル(A、0.84g、2.52mmol)の溶液へ、トリフルオロ酢酸(0.94ml、12.6mmol)を添加した。一晩の攪拌後、混合物を濃縮し、チオ酢酸S−[(5−アミノ−ペンチルカルバモイル)−メチル]エステルトリフルオロ酢酸を得た。H NMR(CDCl,400MHz)1.44(2H,m),1.59(2H,m),1.74(2H,m),2.45(3H,s),3.09(2H,m),3.32(2H,m)及び3.60(2H,s)。
【0162】
N−[5−(2−メルカプト−アセチルアミノ)−ペンチル]−ベンズアミド(実施例141)の合成
アルゴン下にて、DCM(2ml)中の塩化ベンゾイル(79μL、0.68mmol)の攪拌した溶液へ、トリエチルアミン(0.12ml、0.9mmol)を添加し、続いてDCM(1ml)中のチオ酢酸S−[(5−アミノ−ペンチルカルバモイル)−メチル]エステルトリフロオロ酢酸(100mg、0.3mmol)を添加し、攪拌を一晩続行した。反応混合物を酢酸エチル(20ml)で希釈し、水(5ml)、2N HCl(5ml)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×5ml)、塩水(5ml)で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。残留物をDCM(4ml)中に取り、PS−トリスアミン(603mg、3.38mmol)で5時間振盪した。樹脂をろ過し、ろ液を濃縮して、酢酸エチル/ジエチルエーテルで倍散し、チオ酢酸S−[(5−ベンゾイルアミノ−ペンチルカルバモイル)−メチル]エステルを得た。LCMS保持時間:2.86分、MH=322.14。
【0163】
加水分解(方法A)に続いてSAXカートリッジでの精製により、N−[5−(2−メルカプト−アセチルアミノ)−ペンチル]−ベンズアミド(実施例141)を黄色の油状物として得た。H NMR(CDOD,400MHz)1.44(2H,m),1.57(2H,m),1.65(2H,m),3.12(2H,s),3.21(2H,t),3.38(2H,t),7.45(2H,m),7.54(1H,m)及び7.81(2H,m)。LCMS保持時間:2.62分、MH=281.16。
【0164】
チオ酢酸S−[(5−ベンゼンスルホニルアミノ−ペンチルカルバモイル)−メチル]エステルの合成
アルゴン下で0℃にて、DCM(2mL)中の塩化フェニルスルホニル(38μL、0.3mmol)の攪拌した溶液へ、DIPEA(0.1ml、0.6mmol)を添加し、続いてDCM(1ml)中のチオ酢酸S−[(5−アミノ−ペンチルカルバモイル)−メチル]エステルトリフルオロ酢酸(100mg、0.3mmol)を添加した。混合物を室温に温め、攪拌を一晩続行した。混合物を酢酸エチル(20ml)で希釈し、水(5ml)、2N HCl(5ml)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×5ml)、塩水(5ml)で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。残留物をDCM(2ml)中に取り、PS−トリスアミン(266mg、3.38mmol)で5時間振盪した。樹脂をろ過し、ろ液を濃縮して、酢酸エチル/ジエチルエーテルで倍散し、チオ酢酸S[(5−ベンゼンスルホニルアミノ−ペンチルカルバモイル)−メチル]エステルを得た。
【0165】
N−(5−ベンゼンスルホニルアミノ−ペンチル)−2−メルカプト−アセトアミド(実施例140)及びN−(5−ベンゼンスルホニルアミノ−ペンチル)−2−[(5−ベンゼンスルホニルアミノ−ペンチルカルバモイル)−メチルジスルファニル]−アセトアミド(実施例153)の合成
加水分解(方法A)に続いてSAXカートリッジでの精製により、N−(5−ベンゼンスルホニルアミノ−ペンチル)−2−[(5−ベンゼンスルホニルアミノ−ペンチルカルバモイル)−メチルジスルファニル]−アセトアミド(実施例153)を無色の油状物として得た。LCMS保持時間:3.36分、MH=632.43。
【0166】
更なる溶出により、N−(5−ベンゼンスルホニルアミノ−ペンチル)−2−メルカプト−アセトアミド(実施例140)を無色の油状物として得た。LCMS保持時間2.95分、MH=317.23。
【0167】
チオ酢酸S−{[5−(3−フェニル−ウレイド)−ペンチルカルバモイル]−メチル}エステル(実施例139)及び2−メルカプト−N−[5−(3−フェニル−ウレイド)−ペンチル]−アセトアミド(実施例143)の合成
アルゴン下で0℃にて、DCM(2ml)中のチオ酢酸S−[(5−アミノ−ペンチルカルバモイル)−メチル]エステルトリフルオロ酢酸(100mg、0.3mmol)の攪拌した溶液へ、トリエチルアミン(0.04ml、0.3mmol)を添加し、続いてイソシアン酸フェニル(0.03ml、0.3mmol)を添加した。混合物を室温に温め、攪拌を一晩続行した。反応混合物を酢酸エチル(20ml)で希釈し、水(5ml)、2N HCl(5ml)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×5ml)、塩水(5ml)で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。残留物を酢酸エチル/ジエチルエーテルで倍散し、チオ酢酸S−{[5−(3−フェニル−ウレイド)−ペンチルカルバモイル]−メチル}エステル(実施例139)を無色の固体として得た。LCMS保持時間2.95分、MH=338.28。
【0168】
加水分解(方法A)に続いてSAXカートリッジでの精製により、2−メルカプト−N−[5−(3−フェニル−ウレイド)−ペンチル]−アセトアミド(実施例143)を得た。LCMS保持時間2.77分、MH=296.17。
【0169】
2−メルカプト−N−[5−(3−フェニル−チオウレイド)−ペンチル]−アセトアミド(実施例142)の合成
アルゴン下で0℃にて、DCM(2ml)中のチオ酢酸S−[(5−アミノ−ペンチルカルバモイル)−メチル]エステルトリフルオロ酢酸(100mg、0.3mmol)の攪拌した溶液へ、トリエチルアミン(0.04ml、0.3mmol)を添加し、続いてイソシアン酸フェニル(0.04ml、0.3mmol)を添加した。混合物を室温に温め、攪拌を一晩続行した。反応混合物を酢酸エチル(20ml)で希釈し、水(5ml)、2N HCl溶液(5ml)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×5ml)、塩水(5ml)で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。残留物をDCM(2ml)中に取り、PS−トリスアミン(266mg、3.38mmol)で5時間振盪した。樹脂をろ過し、ろ液を濃縮して、酢酸エチル/ジエチルエーテルで倍散し、チオ酢酸S−{[5−(3−フェニル−チオウレイド)−ペンチルカルバモイル]−メチル}エステルを得た。加水分解(方法A)に続いてSAXカートリッジでの精製により、2−メルカプト−N−[5−(3−フェニル−チオウレイド)−ペンチル]−アセトアミド(実施例142)を得た。LCMS保持時間2.81分、MH=312.15。
【0170】
チオ酢酸S−[(6−ベンゾイルアミノ−ヘキシルカルバモイル)−メチル]エステル(実施例65)及びN−[6−(2−メルカプト−アセチルアミノ)−ヘキシル]−ベンズアミド(実施例135)の合成
THF(20ml)中のアセチルスルファニル−酢酸(1.0g、7.46mmol)及びHATU(3.40g、8.94mmol)の攪拌した懸濁液へ、DIPEA(1.5ml、8.60mmol)を添加した。30分後、(6−アミノ−ヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルヒドロクロリド(1.88g、7.43mmol)を添加し、続いて追加のDIPEA(1.5ml、8.60mmol)を添加して、攪拌を一晩続行した。この攪拌後、反応混合物を酢酸エチル(25ml)で希釈し、水(10ml)、2N HCl(10ml)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×20ml)、塩水(20ml)で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。生じた茶色の固体をアセトニトリルで倍散し、チオ酢酸S−[(6−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ヘキシルカルバモイル)−メチル]エステルを得た。H NMR(dDMSO,400MHz)1.25(4H,m),1.36(4H,m),1.40(9H,s),2.37(3H,s),2.91(2H,q),3.05(2H,q),3.59(2H,s),6.78(1H,br s)及び8.08(1H,br s)。DCM(10ml)中のこの物質(0.45g、1.15mmol)の溶液へ、トリフルオロ酢酸(0.5ml、6.73mmol)を添加した。2時間の攪拌後、混合物を濃縮し、チオ酢酸S−[(6−アミノ−ヘキシルカルバモイル)−メチル]エステルトリフルオロ酢酸を無色の油状物として得た。アルゴン下にて、DCM(3ml)中の塩化ベンゾイル(0.15ml、1.29mmol)の攪拌した溶液へ、トリエチルアミン(0.25ml、1.79mmol)を添加し、続いてDCM(1ml)中のチオ酢酸S−[(6−アミノ−ヘキシルカルバモイル)−メチル]エステルトリフルオロ酢酸(133mg、0.57mmol)を添加し、攪拌を一晩続行した。反応混合物を酢酸エチル(20ml)で希釈し、水(5ml)、2N HCl(5ml)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×5ml)、塩水(5ml)で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。生じた茶色の固体を酢酸エチル/ジエチルエーテルで倍散し、チオ酢酸S−[(6−ベンゾイルアミノ−ヘキシルカルバモイル)−メチル]エステル(実施例65)を得た。LCMS保持時間:2.92分、MH=337.25。
【0171】
加水分解(方法A)により、N−[6−(2−メルカプト−アセチルアミノ)−ヘキシル]−ベンズアミド(実施例135)を灰白色の固体として得た。H NMR(CDOD,400MHz)1.46(4H,m),1.59(2H,m),1.67(2H,m),3.16(2H,s),3.23(2H,t),3.42(2H,t),7.48(2H,t),7.55(1H,m)及び7.84(2H,d)。LCMS保持時間:2.81分、MH=295.24。
【0172】
S−置換誘導体の合成の一般的方法
【0173】
【化15】

【0174】
6−(2−ブロモ−アセチルアミノ)−ヘキサン酸フェニルアミドの合成
アルゴン下で0℃にて、DCM(925ml)中の6−ブロモヘキサノイルクロリド(18.0g、84.3mmol)の攪拌した溶液へ、アニリン(15.4ml、168.6mmol)を45分にわたり滴下し、次いでこの温度で1時間攪拌した。混合物を室温に温め、攪拌を一晩続行した。反応混合物を減圧下で濃縮し、続いて酢酸エチル(500ml)で希釈して、1M HCl(3×500ml)で洗浄し、乾燥させ、濃縮し、6−ブロモ−ヘキサン酸フェニルアミド(21.6g)を茶色の固体として得た。LCMS保持時間:3.55分、MH=270.0、272.0。
【0175】
DMF(150ml)中の6−ブロモ−ヘキサン酸フェニルアミド(14.0g、51.8mmol)の攪拌した溶液へ、カリウムフタルアミド(10.5g、57.0mmol)を添加し、反応物を一晩室温で攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、次いで酢酸エチル(500ml)で希釈して、水(2×500ml)で洗浄し、乾燥させ、濃縮し、所望の粗生成物を得て、酢酸エチルヘキサンを用いた再結晶化により精製し、6−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ヘキサン酸フェニルアミドを取得して、次の段階中で直接使用した。LCMS保持時間:3.67分、MH=337.2。
【0176】
エタノール(150ml)中の6−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ヘキサン酸フェニルアミド(14.0g、51.8mmol)の攪拌した溶液へ、ヒドラジン水和物(10.5g、57.0mmol)を添加し、反応物を1.5時間還流した。反応混合物を冷却し、次いで減圧下で濃縮し、続いて酢酸エチル(500ml)により希釈し、水(2×500ml)で洗浄して、乾燥させ、6−アミノ−ヘキサン酸フェニルアミドに濃縮した。LCMS保持時間:2.47分、MH=207.2。
【0177】
不活性雰囲気下で−10℃にて、テトラヒドロフラン(60ml)中の6−アミノ−ヘキサン酸フェニルアミド(1.20g、5.82mmol)及び炭酸ナトリウム(3.70g、34.90mmol)の攪拌した懸濁液へ、テトラヒドロフラン(5ml)中の臭化ブロモアセチル(0.76ml、8.73mmol)を添加し、生じた混合物を−10℃で更に2時間攪拌した。混合物を酢酸エチル(300mL)で希釈し、次いで室温に温めた。前記混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液及び塩水で洗浄し、次いで乾燥させ(硫酸ナトリウム)、ろ過し、減圧下で蒸発して、灰白色の固体を得た。ジクロロメタン/ヘキサンからの再結晶化により、6−(2−ブロモ−アセチルアミノ)−ヘキサン酸フェニルアミドを得た。H NMR(CDCl,400MHz)1.44(2H,m),1.62(2H,m),1.81(2H,m),2.41(2H,t),3.38(2H,m),3.90(2H,m),6.60(1H,br s),7.14(1H,m),7.28(3H,m),7.58(2H,d)。LCMS保持時間:2.92分、MH=327.10、329.10。
【0178】
6−(2−メチルスルファニル−アセチルアミノ)−ヘキサン酸フェニルアミド(実施例85)の合成
室温にて、エタノール(5ml)中の6−(2−ブロモ−アセチルアミノ)−ヘキサン酸フェニルアミド(50mg、0.15mmol)の溶液へ、ナトリウムチオメトキシド(32mg、0.46mmol)を添加し、生じた薄い懸濁液を0.5時間攪拌した。次いで氷酢酸(0.1ml)の添加により、反応混合物を反応停止し、溶液を真空濃縮した。生じた残留物を水及び酢酸エチル間に分配し、分離した水相を追加の酢酸エチルで抽出した。混合有機相を乾燥させ、ろ過し、蒸発して、表題化合物を得た。LCMS保持時間:1.18分、MH=295.13。
【0179】
次の誘導体を同様の方法で調製した:6−(2−エチルスルファニル−アセチルアミノ)−ヘキサン酸フェニルアミド(実施例149)、6−(2−フェニルスルファニル−アセチルアミノ)−ヘキサン酸フェニルアミド(実施例50)及び6−(2−ベンジルスルファニル−アセチルアミノ)−ヘキサン酸フェニルアミド(実施例70)。
【0180】
アッセイ
プロトコールは、市販のキット(BIOMOL)から採用した。HDAC酵素源は、T.ni昆虫細胞を発現するHDAC2の粗抽出物であった。96ウェルプレート中のウェルへ次の試薬を添加することにより、基質のアセチル化を決定した。5μLのビヒクル又は化合物、12.5μLの80μM基質及びアッセイ緩衝液(25mM Tris、137mM NaCl、2.7mM KCl、1mg/mL MgCl pH8.0)中の400ngのHDAC2抽出物を混合し、室温で2時間インキュベートした。展開溶液25mLの添加により、反応を停止し、360nmの励起及び460nmの発光によって、10分後、Molecular Devices(FLEXstation蛍光光度計)上で、プレートを読み取った。
【0181】
全実施例が、ヒストンデアセチラーゼの阻害を示した。次の実施例は、約100μM又はそれ未満のIC50値を有することによって、生化学的アッセイ中のヒストンデアセチラーゼを阻害することにより、有効性及び活性を示した。IC50値が約50未満であることが好ましい。更に好ましくは、IC50値は約25μM未満である。更により好ましくは、IC50値は5μM未満である。最も好ましくは、IC50値は1μM未満である。
【0182】
【表1】














【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IAによって表される化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【化1】

(式中
は、RNRC(O)−、RNHC(O)NH−、RNHC(S)NH−、RSONH−又はRC(O)NH−であり;
mは、4−6であり;
は、C0−2アルキル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、−ヘテロアリール−ヘテロアリール、−ヘテロアリール−C1−4アルキル、−ヘテロアリール−OCH、−ヘテロアリール−アリール−ハロゲン、−ヘテロアリール−アリール、−アリール−アリール、−アリール−SCH、−アリール−OCH、−アリール−CF、−アリール−O−Cアルキル−ヘテロシクリル、−C3−10シクロアルキル−アリール、−C0−2アルキル−ヘテロシクリル、−C0−2アルキル−ヘテロアリール、−C0−2アルキル−アリール、−C0−1アルキル−ヘテロアリール、−アリール−OCH−アリール、−アリール−CHO−アリール、アリール−カルボニル、−アリール−カルボニル−アリール、−アリール−C(O)CH、アリール−O−アリール、−アリール−O−ヘテロシクリル、−アリール−C1−4アルキル、−アリール−O−C2−3アルキル−N(CH)(CH)、C0−1アルキル−ヘテロシクリル−C0−1アルキル、C0−1アルキル−ヘテロアリール−C0−1アルキル、−ヘテロシクリル、−ヘテロシクリル−アリール、−ヘテロシクリル−ヘテロアリール、−アリール−ヘテロシクリル、−アリール−ヘテロアリール又は−CH(アリール)(アリール)(これらの何れも、R22で、場合によって置換される。)であり;
22は、C0−4アルキル、ハロゲン、−OH、−CF、−SCH、−OCH、−NH、−O(CHN(CH)(CH)、−OCH−アリール、−O(CH−ヘテロシクリル、−C(O)CH、−O−ヘテロシクリル、アリールオキシ−C0−1アルキル−、アリール又はヘテロシクリルであり;
は、C0−1アルキルであり、又はR及びRは、両者で、複素環又は炭素環を形成し、これらの何れも、1つ以上の、独立の、C1−4アルキル、ハロゲン、−OH、−SCH、−OCH、−NH、アリール又はヘテロシクリル置換基で場合によって置換され;
及びRは、各々独立に、C0−4アルキル、フェニル又はフッ素であり;
nは、0又は1であり;及び
は、水素、メチル、エチル、フェニル、ベンジル又はアセチルである。)
【請求項2】
がRNRC(O)−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、場合によってR22で置換される−C0−2アルキル−アリールである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、場合によってR22で置換される−C0−2アルキル−ヘテロアリールである、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
が、場合によってR22で置換される−C0−2アルキル−ヘテロシクリルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
が、場合によってR22で置換されるカルボシクリルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
が、場合によってR22で置換されるーCH(アリール)(アリール)である、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
がRNRC(O)−であり、並びにR及びRが、両者で、場合によってR22で置換される環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
及びRが、両者で、場合によってR22で置換される複素環を形成する、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
及びRが、両者で、場合によってR22で置換される炭素環を形成する、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
がRNHC(O)NH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
がRNHC(S)NH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
がRSONH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
がRC(O)NH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
式IBによって表される化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【化2】

(式中
は、RNRC(O)−、RNHC(O)NH−、RNHC(S)NH−、RSONH−又はRC(O)NH−であり;
mは、4−6であり;
は、C0−2アルキル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、−ヘテロアリール−ヘテロアリール、−ヘテロアリール−C1−4アルキル、−ヘテロアリール−OCH、−ヘテロアリール−アリール−ハロゲン、−ヘテロアリール−アリール、−アリール−アリール、−アリール−SCH、−アリール−OCH、−アリール−CF、−アリール−O−Cアルキル−ヘテロシクリル、−C3−10シクロアルキル−アリール、−C0−2アルキル−ヘテロシクリル、−C0−2アルキル−ヘテロアリール、−C0−2アルキル−アリール、−C0−1アルキル−ヘテロアリール、−アリール−OCH−アリール、−アリール−CHO−アリール、アリール−カルボニル、−アリール−カルボニル−アリール、−アリール−C(O)CH、アリール−O−アリール、−アリール−O−ヘテロシクリル、−アリール−C1−4アルキル、−アリール−O−C2−3アルキル−N(CH)(CH)、C0−1アルキル−ヘテロシクリル−C0−1アルキル、C0−1アルキル−ヘテロアリール−C0−1アルキル、−ヘテロシクリル、−ヘテロシクリル−アリール、−ヘテロシクリル−ヘテロアリール、−アリール−ヘテロシクリル、−アリール−ヘテロアリール又は−CH(アリール)(アリール)(これらの何れも、R22で、場合によって置換される。)であり;
22は、C0−4アルキル、ハロゲン、−OH、−CF、−SCH、−OCH、−NH、−O(CHN(CH)(CH)、−OCH−アリール、−O(CH−ヘテロシクリル、−C(O)CH、−O−ヘテロシクリル、アリールオキシ−C0−1アルキル−、アリール又はヘテロシクリルであり;
は、C0−1アルキルであり、又はR及びRは、両者で、複素環又は炭素環を形成し、これらの何れも、1つ以上の、独立の、C1−4アルキル、ハロゲン、−OH、−SCH、−OCH、−NH、アリール又はヘテロシクリル置換基で場合によって置換され;
及びRは、各々独立に、C0−4アルキル、フェニル又はフッ素であり;
nは、0又は1であり;及び
は、水素、メチル、エチル、フェニル、ベンジル又はアセチルである。)
【請求項16】
式IIAによって表される化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【化3】

(式中、
Arは、1つ以上の、独立の、C1−4アルキル、ハロゲン、−OH、−SCH、−OCH、−NH、アリール又はヘテロシクリル置換基で場合によって置換されたアリールであり;
11は、R12NR13C(O)(CH1−2−、R12NHC(O)NH(CH1−2−、R12NHC(S)NH(CH1−2−、R12SONH(CH1−2−又はR12C(O)NH(CH1−2−であり;
tは、1又は2であり;
12は、C0−2アルキル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、−ヘテロアリール−ヘテロアリール、−ヘテロアリール−C1−4アルキル、−ヘテロアリール−OCH、−ヘテロアリール−アリール−ハロゲン、−ヘテロアリール−アリール、−アリール−アリール、−アリール−SCH、−アリール−OCH、−アリール−CF、−アリール−O−Cアルキル−ヘテロシクリル、−C3−10シクロアルキル−アリール、−C0−2アルキル−ヘテロシクリル、−C0−2アルキル−ヘテロアリール、−C0−2アルキル−アリール、−C0−1アルキル−ヘテロアリール、−アリール−OCH−アリール、−アリール−CHO−アリール、アリール−カルボニル、−アリール−カルボニル−アリール、−アリール−C(O)CH、アリール−O−アリール、−アリール−O−ヘテロシクリル、−アリール−C1−4アルキル、−アリール−O−C2−3アルキル−N(CH)(CH)、C0−1アルキル−ヘテロシクリル−C0−1アルキル、C0−1アルキル−ヘテロアリール−C0−1アルキル、−ヘテロシクリル、−ヘテロシクリル−アリール、−ヘテロシクリル−ヘテロアリール、−アリール−ヘテロシクリル、−アリール−ヘテロアリール又は−CH(アリール)(アリール)(これらの何れも、R222で、場合によって置換されている。)であり;
222は、C0−4アルキル、ハロゲン、−OH、−CF、−SCH、−OCH、−NH、−O(CHN(CH)(CH)、−OCH−アリール、−O(CH−ヘテロシクリル、−C(O)CH、−O−ヘテロシクリル、アリールオキシ−C0−1アルキル−、アリール又はヘテロシクリルであり;
13は、C0−1アルキルであり、又はR12及びR13は、両者で、複素環又は炭素環を形成し、これらの何れも、1つ以上の、独立の、C1−4アルキル、ハロゲン、−OH、−SCH、−OCH、−NH、アリール又はヘテロシクリル置換基で場合によって置換され;
14及びR15は、各々独立に、C0−4アルキル、フェニル又はフッ素であり;
nは、0又は1であり;並びに
16は、水素、メチル、エチル、フェニル、ベンジル又はアセチルである。)
【請求項17】
式IIBによって表される化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【化4】

(式中、
11は、R12NR13C(O)(CH1−2−、R12NHC(O)NH(CH1−2−、R12NHC(S)NH(CH1−2、R12SONH(CH1−2−又はR12C(O)NH(CH1−2−であり;
tは、1又は2であり;
12は、C0−2アルキル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、−ヘテロアリール−ヘテロアリール、−ヘテロアリール−C1−4アルキル、−ヘテロアリール−OCH、−ヘテロアリール−アリール−ハロゲン、−ヘテロアリール−アリール、−アリール−アリール、−アリール−SCH、−アリール−OCH、−アリール−CF、−アリール−O−Cアルキル−ヘテロシクリル、−C3−10シクロアルキル−アリール、−C0−2アルキル−ヘテロシクリル、−C0−2アルキル−ヘテロアリール、−C0−2アルキル−アリール、−C0−1アルキル−ヘテロアリール、−アリール−OCH−アリール、−アリール−CHO−アリール、アリール−カルボニル、−アリール−カルボニル−アリール、−アリール−C(O)CH、アリール−O−アリール、−アリール−O−ヘテロシクリル、−アリール−C1−4アルキル、−アリール−O−C2−3アルキル−N(CH)(CH)、C0−1アルキル−ヘテロシクリル−C0−1アルキル、C0−1アルキル−ヘテロアリール−C0−1アルキル、−ヘテロシクリル、−ヘテロシクリル−アリール、−ヘテロシクリル−ヘテロアリール、−アリール−ヘテロシクリル、−アリール−ヘテロアリール又は−CH(アリール)(アリール)(これらの何れも、R222で、場合によって置換されている。)であり;
222は、C1−4アルキル、ハロゲン、−OH、−CF、−SCH、−OCH、−NH、−O(CHN(CH)(CH)、−OCH−アリール、−O(CH−ヘテロシクリル、−C(O)CH、−O−ヘテロシクリル、アリールオキシ−C0−1アルキル−、アリール又はヘテロシクリルであり;
13は、C0−1アルキルであり、又はR12及びR13は、両者で、複素環又は炭素環を形成し、これらの何れも、1つ以上の、独立の、C1−4アルキル、ハロゲン、−OH、−SCH、−OCH、−NH、アリール又はヘテロシクリル置換基で場合によって置換され;
14及びR15は、各々独立に、C0−4アルキル、フェニル又はフッ素であり;
nは、0又は1であり;並びに
16は、水素、メチル、エチル、フェニル、ベンジル又はアセチルである。)
【請求項18】
化合物のホモ二量体がRに存在する、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項19】
化合物のホモ二量体がRに存在する、請求項15に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項20】
化合物のホモ二量体がR16に存在する、請求項16に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項21】
化合物のホモ二量体がR16に存在する、請求項17に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項22】
【化5】





からなる群から選択される化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項23】
請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項24】
請求項15に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項25】
請求項16に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項26】
請求項17に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項27】
請求項18に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項28】
請求項19に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項29】
請求項20に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項30】
請求項21に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項31】
ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項32】
ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、請求項15に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項33】
ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、請求項16に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項34】
ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、請求項17に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項35】
ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、請求項23に記載の薬学的組成物の治療的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項36】
ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、請求項24に記載の薬学的組成物の治療的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項37】
ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、請求項25に記載の薬学的組成物の治療的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項38】
ヒストンデアセチラーゼ酵素を阻害することによって哺乳動物中の癌性疾患、感染症又は代謝性疾患を治療する方法であり、前記哺乳動物に、請求項26に記載の薬学的組成物の治療的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項39】
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、請求項36に記載の方法。
【請求項45】
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、請求項37に記載の方法。
【請求項46】
前記癌性疾患が血管肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、小細胞肺癌(SCLC)、甲状腺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、精巣(セミノーマ)、子宮内膜癌、膀胱、乳房、卵巣、前立腺、大腸、直腸、胃、気管支、膵臓、肺、神経芽細胞腫、頭頸部及び神経膠腫癌であり、前記代謝性疾患が、リンパ腫、白血病、肥満細胞症/肥満細胞白血病、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、異常ヘモグロビン症、急性骨髄性白血病(AML)、小児T細胞急性リンパ芽球性、多発性骨髄腫、嚢胞性繊維症及び副腎脳白質ジストロフィーであり、並びに前記感染症がマラリア、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリパノソーマ病又はコクシジウム感染症である、請求項38に記載の方法。

【公表番号】特表2008−511679(P2008−511679A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530402(P2007−530402)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/031334
【国際公開番号】WO2006/028972
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(506330575)オーエスアイ・ファーマスーティカルズ・インコーポレーテッド (25)
【Fターム(参考)】