説明

フローティングキャリパ型ディスクブレーキ

【課題】サポート2aに対しキャリパ5aががたつくのを防止する為の弾性クリップ12aとして、特に大きな荷重ものを使用しなくても、このがたつきを十分に抑えられる構造を実現する。そして、前記弾性クリップ12aの製造コストの低減とこの弾性クリップ12aの組み付け作業の容易化とによる低コスト化を可能にする。
【解決手段】アウタパッド4aを前記サポート2aに対し、ロータの径方向及び周方向の変位を阻止した状態で支持する。又、前記アウタパッド4aとキャリパ爪6aとを凹凸係合させて、前記キャリパ5aのアウタ側端部を前記サポート2aに対し、前記ロータの径方向及び周方向の変位を阻止した状態で支持する。更に、このサポート2aと前記キャリパ爪6aとの間に、このキャリパ爪6aを前記ロータの径方向内方に押圧する方向の荷重を有する、前記弾性クリップ12aを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の制動を行う為のフローティングキャリパ型ディスクブレーキの改良に関する。具体的には、サポートに対しキャリパががたつくのを防止する為の弾性クリップ(ばね)として、特に大きな弾力ものを使用しなくても、このがたつきを十分に抑えられる構造を実現し、前記弾性クリップの製造コストの低減とこの弾性クリップの組み付け作業の容易化とにより、フローティングキャリパ型ディスクブレーキ全体としてのコスト低減を図る事を意図したものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の制動を行う為のディスクブレーキとして従来から、サポートに対しキャリパを一対の案内ピンにより変位自在に支持したフローティングキャリパ型のものが、例えば特許文献1〜4に記載される等により従来から広く知られ、実際に広く使用されている。図11〜13は、このうちの特許文献1に記載されたフローティングキャリパ型ディスクブレーキを示している。このフローティングキャリパ型のディスクブレーキは、ロータ1と、サポート2と、インナ、アウタ、両パッド3、4と、キャリパ5とを備える。
【0003】
このうちのロータ1は、車輪と共に車輪支持用転がり軸受ユニットのハブに結合固定された状態で、この車輪と共に回転する。又、前記サポート2は、前記ロータ1よりもインナ側(車両への組み付け状態でこの車両の幅方向中央側、本明細書及び特許請求の範囲全体で同じ、図11の裏側、図12の上側、図13の右側)で、車体(ナックル等の懸架装置、図示せず)に固定される。又、前記インナ、アウタ、両パッド3、4は、前記ロータ1のインナ側とアウタ側(車両への組み付け状態でこの車両の幅方向外側、本明細書及び特許請求の範囲全体で同じ、図11の表側、図12の下側、図13の左側)とに配置された状態で前記サポート2に、前記ロータ1の軸方向の変位を可能に支持されている。
【0004】
更に、前記キャリパ5は、アウタ側端部にこのロータ1の径方向内方(「径方向」とは、特に断らない限り、ロータの径方向、本明細書及び特許請求の範囲全体で同じ、図11、13の上下方向)に折れ曲がったキャリパ爪6を、インナ側端部にピストン7を油密に嵌装したシリンダ部8を、それぞれ設けている。そして、前記キャリパ爪6の内側面を前記アウタパッド4のアウタ側面に、前記ピストン7の先端面を前記インナパッド3のインナ側面に、それぞれ対向させた状態で、前記ロータ1の軸方向(「軸方向」とは、特に断らない限り、ロータの軸方向、本明細書及び特許請求の範囲全体で同じ、図11の表裏方向、図12の上下方向、13の左右方向)の変位を可能にして、前記サポート2に支持している。
【0005】
この為に図示の例では、前記サポート2にそれぞれの基端部を支持固定した一対のガイドピン9、9の先半部を、前記キャリパ5に設けた一対のガイド孔10、10に挿入している。これら両ガイドピン9、9の先半部とこれら両ガイド孔10、10とは、何れも金属面同士で擦れ合わせる、所謂メイン−メインピン構造とする場合もある。但し、メイン−メインピン構造の場合には、前記両ガイドピン9、9同士の間隔、並びに、前記両ガイド孔10、10同士の間隔を厳密に規制する必要があり、高度な寸法精度を確保する為にコストが嵩む。この様な事情に鑑み、前記各部の間隔が多少ずれても組立を可能にする(要求される寸法精度を低く抑える)構造として従来から、所謂サブ−サブピン構造や、サブ−メインピン構造が知られている。このうちのサブ−サブピン構造では、両ガイドピン9、9の外周面と両ガイド孔10、10の内周面との間に弾性材製のブッシュを介在させる。又、サブ−メインピン構造では、一方のガイドピン9の外周面とガイド孔10の内周面との間に弾性材製のブッシュを介在させ、他方のガイドピン9の外周面とガイド孔10の内周面とは金属面同士で擦れ合わせる。図11〜13に示した従来構造は、サブ−メインピン構造で、一方(図12の右方)のガイドピン9の外周面とガイド孔10の内周面との間に、弾性材製のブッシュ11を介在させている。
【0006】
制動を行う場合には、前記シリンダ部8内に圧油を送り込み、前記ピストン7により前記インナパッド3を前記ロータ1のインナ側面に押し付ける。すると、この押し付け力の反作用として前記キャリパ5が、前記両ガイドピン9、9と前記両ガイド孔10、10との摺動に基づいて、図13の右方に変位し、前記キャリパ爪6が前記アウタパッド4を、前記ロータ1の外側面に押し付ける。この結果、このロータ1が内外両側面側から強く挟持されて、制動が行われる。
【0007】
前記両ガイドピン9、9と前記両ガイド孔10、10との、一対の係合部の構造が何れの場合でも、これら両係合部には、前記サポート2に対する前記キャリパ5の軸方向変位を可能にする為の隙間若しくは弾性材が、多かれ少なかれ存在する。従ってこのキャリパ5は前記サポート2に対し、走行時に加わる振動等によりがたつく可能性がある。特に、サブ−サブピン構造やサブ−メインピン構造の場合には、メイン−メインピン構造に比べて前記両係合部の剛性が低い為、前記サポート2に対する前記キャリパ5のがたつきが著しくなり易い(特に著しいのはサブ−サブピン構造)。又、この様ながたつきは、前記両ガイドピン9、9と前記両ガイド孔10、10との係合部を中心として、前記キャリパ5のアウタ側端部が径方向に変位する態様で生じる。そして、生じた場合には、不快な騒音や振動の原因となる。
【0008】
この様な不都合の原因となるがたつきを抑える為に図示の従来構造の場合には、前記キャリパ5のアウタ側端部と前記サポート2との間に、線材を曲げ形成して成る弾性クリップ(線ばね)12を設けている。即ち、前記キャリパ5のアウタ側端部に設けたキャリパ爪6に形成した一対の係止孔13に前記弾性クリップ12の両端部に設けた係止部を係止すると共に、この弾性クリップ12の中間部を、前記サポート2の径方向内側面に突き当てている。この構成により前記キャリパ5のアウタ側端部に、径方向内方に向いた弾力を付与して、走行時に加わる振動等により、前記キャリパ5ががたつく事を防止している。
【0009】
特許文献1に記載された従来構造の場合、前記キャリパ5のアウタ側端部が径方向外方に変位するのを抑える為の構造は、前記両ガイドピン9、9と前記両ガイド孔10、10との、一対の係合部を除けば、前記弾性クリップ12のみである。従って、この弾性クリップ12の弾力を相当に大きくしない限り、前記キャリパ5のアウタ側端部が径方向外方に大きく変位する可能性がある。特に、サブ−サブピンの構造の場合には、この変位量が相当に大きくなる可能性がある。そして、この様に大きく変位した場合には、前記両係合部に無理な力が加わってこれら両係合部を損傷したり、前記キャリパ5aの姿勢が不正になって制動力が低下する等、ディスクブレーキとしての基本的性能が低下する可能性もある。
【0010】
この為、前記特許文献1に記載された従来構造を採用する場合には、前記弾性クリップ12として、荷重(弾性的に押圧する力=弾力)が大きなものを使用する必要がある。前記従来構造でこの弾性クリップ12の荷重を大きくする為には、外径が大きい(太い)線材を曲げ形成したものを使用する必要がある。太い線材により造られた荷重が大きな弾性クリップ12は、材料費が嵩むだけでなく加工が面倒になる為、それ自体でコストが嵩むだけでなく、前記キャリパ5のアウタ側端部と前記サポート2との間に組み付ける作業が面倒になる。この為、フローティングキャリパ型ディスクブレーキの組立作業が面倒になり、この面からもコストが嵩む。
【0011】
キャリパのアウタ側端部の、サポートに対する径方向外方への変位量を少なく抑えられれば、これらキャリパとサポートとの間に組み付ける弾性クリップの荷重を小さくしても、前記両係合部の損傷や制動力の低下と言った不都合の発生を防止できる。但し、特許文献1〜4の何れにも、キャリパのアウタ側端部の径方向外方への変位量を少なく抑える為の構造は記載されていない。特許文献2には、アウタパッドとキャリパ爪とを係合させる構造が記載されているが、このアウタパッドが径方向外方に変位可能である為、キャリパのアウタ端部が径方向外方に変位する事を抑えられない。又、特許文献3、4には、アウタパッドをサポートに対し、径方向外方への変位を阻止した状態で組み付ける構造が記載されているが、キャリパのアウタ側端部がアウタパッドに対して径方向外方に変位できる為、キャリパのアウタ端部が径方向外方に変位する事を抑えられない。更に、特許文献2に記載された構造と特許文献3、4に記載された構造とは、何れも、キャリパのアウタ側端部を径方向内方に向け弾性的に押圧する事を考慮したものではない。従って、前記特許文献2〜4に記載された構造を組み合わせて、キャリパのアウタ側端部が径方向外方に変位する事を抑える構造を実現する事に関する動機づけも存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、サポートに対しキャリパががたつくのを防止する為の弾性クリップとして、特に大きな荷重を有するものを使用しなくても、このがたつきを十分に抑えられ、この弾性クリップの製造コストの低減とこの弾性クリップの組み付け作業の容易化とにより低コスト化を図れる、フローティングキャリパ型ディスクブレーキの構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のフローティングキャリパ型ディスクブレーキは、従来から知られているフローティングキャリパ型ディスクブレーキと同様に、ロータと、サポートと、インナ、アウタ、両パッドと、キャリパとを備える。
このうちのロータは、車輪と共に回転する。
又、前記サポートは、前記ロータに隣接する状態で車体に支持される。
又、前記両パッドは前記サポートに、このロータを軸方向両側から挟む状態で、軸方向の変位を可能にこのサポートに支持されている。
又、前記キャリパはこのサポートに対し、軸方向の変位を可能に支持されている。
これらサポートとキャリパとは、一方の回入側と回出側とにそれぞれの基端部を固定した状態で軸方向に配置された一対のガイドピンを、他方の回入側と回出側とにそれぞれ設けたガイド孔に挿入する事により、軸方向に関する相対変位を可能に組み合わされている。
そして、前記キャリパのアウタ側端部に設けられたキャリパ爪を前記アウタパッドに対向させて、このアウタパッドを前記ロータのアウタ側面に押し付け可能とすると共に、前記キャリパのインナ側端部に設けられたアクチュエータにより、前記インナパッドを前記ロータのインナ側面に押し付け可能としている。
【0014】
特に、本発明のフローティングキャリパ型ディスクブレーキに於いては、前記アウタパッドを構成するプレッシャプレートを前記サポートに対し、前記ロータの径方向及び周方向の変位を阻止した(軸方向の変位のみを可能にした)状態で支持している。
又、前記アウタパッドを構成するプレッシャプレートと前記キャリパ爪とのうちの一方に形成した嵌合凸部と他方に形成した嵌合凹部とを凹凸係合させる事により、前記キャリパのアウタ側端部を前記サポートに対し、前記ロータの径方向及び周方向の変位を阻止した状態で支持している。
更に、前記サポートと前記キャリパ爪との間に、このキャリパ爪を前記ロータの径方向内方に押圧する方向荷重(弾性的に押圧する力=弾力)を有する弾性クリップを設けている。
【0015】
この様な本発明のフローティングキャリパ型ディスクブレーキを実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記嵌合凹部を、前記キャリパ爪を軸方向に貫通する貫通孔とする。そして、前記アウタパッドを構成するプレッシャプレートに形成した嵌合凸部をこの貫通孔のインナ側部分に内嵌すると共に、この貫通孔のアウタ側部分に前記弾性クリップの基部のアウタ側端縁から径方向外方に折れ曲がった折り立て板部を係止する。
【0016】
この様な請求項2に記載した発明を実施する場合に、例えば請求項3に記載した発明の様に、前記弾性クリップとして、前記ロータの周方向に関して、前記基部の両端部に、それぞれ前記サポートの一部を径方向外側に押圧する弾性腕部を設けたものを使用する。
或は、請求項4〜5に記載した発明の様に、前記弾性クリップを、前記ロータの周方向に関して、回入側と回出側とで互いに独立して設ける。そして、請求項4に記載した発明の場合には、前記両弾性クリップの折り立て板部の径方向外端縁に形成した第一の係止片を前記貫通孔に係止すると共に、周方向側縁に形成した第二の係止片を前記キャリパ爪の円周方向側面に係止する事により、前記両弾性クリップが前記キャリパ爪に対し回動する事を阻止する。又、請求項5に記載した発明の場合には、前記両弾性クリップの折り立て板部に設けた円筒部を前記貫通孔のアウタ側部分に内嵌すると共に、この折り立て板部のうちでこの円筒部から外れた部分に設けた係合部と前記キャリパ爪とを係合させる。そして、前記両弾性クリップが前記キャリパ爪に対し、前記円筒部を中心に回動する事を阻止する。
【発明の効果】
【0017】
上述の様に構成する本発明のフローティングキャリパ型ディスクブレーキによれば、サポートに対しキャリパががたつくのを防止する為の弾性クリップとして、特に大きな荷重(弾性的に押圧する力=弾力)を有するものを使用する必要がなくなる。
即ち、本発明のフローティングキャリパ型ディスクブレーキの場合には、前記キャリパのアウタ側端部に設けたキャリパ爪を前記サポートに対し、アウタパッドを介して、ロータの径方向の変位を阻止した状態で支持している。この為、前記キャリパのアウタ側端部をこの径方向内方に押し付けなくても、前記キャリパのアウタ側端部がこの径方向外方に大きく変位する事はない。要するに、一対のガイドピンと一対のガイド孔との係合部の損傷を防止したり、ディスクブレーキとしての基本的性能を確保する為に、必要最小限の荷重を前記弾性クリップに付与すれば済む。
この為、前記弾性クリップの製造コストの低減と、この弾性クリップの組み付け作業の容易化とを図れて、フローティングキャリパ型ディスクブレーキの低コスト化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1の構造をアウタ側から見た状態で示す正投影図。
【図2】同じく外径側から見た状態で示す正投影図。
【図3】一部を省略した状態で示す、図1のa−a断面図。
【図4】図1のb部に関して、弾性クリップの一部を取り出して示す拡大斜視図。
【図5】実施例1の構造の作用・効果を説明する為、実施例1の構造(A)と従来構造(B)とを比較して示す、図1のc部に相当する図。
【図6】本発明の実施例2の構造を示す、図1と同様の図。
【図7】図6のd部に関して、弾性クリップの一部を取り出して示す拡大斜視図。
【図8】本発明の実施例3の構造を示す、図1と同様の図。
【図9】一部を省略した状態で示す、図8のe−e断面図。
【図10】図8の右側の弾性クリップを、この図8と同方向から見た図(A)と上方から見た図(B)と右方から見た図(C)。
【図11】従来構造の1例を、左半部を切断してアウタ側から見た状態で示す正投影図。
【図12】同じく一部を切断して外径側から見た状態で示す正投影図。
【図13】図12のf−f断面図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0019】
図1〜4は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施例1を示している。本実施例のフローティングキャリパ型ディスクブレーキは、前記特許文献3、4に記載された従来構造と同様に、金属板を曲げ加工して成るサポート2aに対してキャリパ5aを、軸方向の変位を可能に支持している。又、このサポート2aに、インナ、アウタ両パッド3a、4aを、軸方向の変位のみを可能に(周方向及び径方向の変位を阻止した状態で)設けている。前記サポート2aは、鋼板等の十分な強度及び剛性を有する金属板に、プレスによる打ち抜き加工に加えて、やはりプレスによる、曲げ加工、面押し加工等の塑性加工を施す事により、一体に構成している。この様なサポート2aは、インナ側に設けた略コ字形の基板部14と、この基板部14の回入側と回出側とに設けられた、それぞれ一対ずつの連結板部15、15及び突出板部16、16とを備える。
【0020】
前記両パッド3a、4aのうちのインナパッド3aは前記基板部14に対し、プレッシャプレート17a(図2参照、図1には省略)をこの基板部14の中央部に形成した保持切り欠き部18に係合させる事により支持している。この保持切り欠き部18に対する前記インナパッド3aの着脱は、前記キャリパ5aを径方向外方に退避させた状態で、このインナパッド3aを前記基板部14に対し軸方向に変位させる事により行う。これに対して前記アウタパッド4aは前記両突出板部16、16同士の間に、これら両突出板部16、16と、プレッシャプレート17bの両端部に形成した係止切り欠き部19、19とを係合させる事により支持している。これら両係止切り欠き部19、19は、周方向に関して凹んだ形状であり、又、周方向端縁側の開口部の径方向に関する幅が、奥部の幅よりも狭くなっている。一方、前記両突出板部16、16は、先端部が径方向外方に折れ曲がった形状であり、それぞれの先端部が前記両係止切り欠き部19、19に、軸方向の変位を可能に係合している。制動時には、これら両係止切り欠き部19、19と前記両突出板部16、16との係合部のうち、回入側(サポート2a内にロータ1が進入する側)が引きアンカとして、回出側(サポート2a内からロータ1が出ていく側)が押しアンカとして、それぞれ機能する。
【0021】
又、前記基板部14の回入側寄り部分と回出側寄り部分との2箇所位置で、前記保持切り欠き部18を周方向に関して両側から挟む位置に、それぞれガイドピン9a、9aの基端部(アウタ側端部)をねじ止め固定している。そして、これら両ガイドピン9a、9aを、前記キャリパ5aの回入側、回出側両端部に設けたガイド孔10a、10aに挿通している。これら両ガイド孔10a、10aはそれぞれ、前記キャリパ5aの軸方向中間部から回入側、回出側に突出したガイド腕部20、20の先端部に設けたガイド筒部21、21の内径孔として設けている。
【0022】
前記両ガイドピン9a、9aは、ぞれぞれ前記両ガイド筒部21、21の内側に、弾性材製のブッシュ11a、11aを介して挿通している。本実施例の場合、これら両ブッシュ11a、11aは、それぞれがベローズ状である防塵ブーツ22、22の軸方向中間部に、これら両防塵ブーツ22、22と一体に設けている。これら両防塵ブーツ22、22の軸方向両端部は、前記両ガイドピン9a、9aの基端部と先端部とにそれぞれ密に外嵌して、これら両ガイドピン9a、9aの外周面と前記両ブッシュ11a、11aの内周面との摺動部に、泥水等の異物が入り込む事を防止している。又、前記両ガイドピン9a、9aの外周面と前記両ガイド筒部21、21の内周面との間に、比較的厚肉で且つ弾性変形可能な、前記両ブッシュ11a、11aを介在させている。この構成により、前記両ガイドピン9a、9aのピッチと前記両ガイド筒部21、21のピッチとが多少ずれても、前記サポート2aに対して前記キャリパ5aを、軸方向の変位を可能に組み付けられる様にしている。
【0023】
制動を行う場合には、前記キャリパ5aのインナ側部分に設けたシリンダ部8a内に圧油を送り込み、このシリンダ部8a内に油密に嵌装したピストン7aにより前記インナパッド3aを前記ロータ1のインナ側面に押し付ける。すると、この押し付け力の反作用として前記キャリパ5aが、前記両ガイドピン9a、9aと前記両ガイド孔10a、10aとの摺動に基づいて、図2の上方に変位し、前記キャリパ5aのアウタ側端部に設けたキャリパ爪6aが前記アウタパッド4aを、前記ロータ1の外側面に押し付ける。この結果、このロータ1が内外両側面側から強く挟持されて、制動が行われる。
以上の構成及び作用に就いては、特許文献3、4に記載される等により、従来から知られているフローティングキャリパ型ディスクブレーキと同様である。
【0024】
特に、本実施例のフローティングキャリパ型ディスクブレーキの場合には、前記両突出板部16、16と前記両係止切り欠き部19、19との係合に基づいて、前記アウタパッド4aを構成するプレッシャプレート17bを前記サポート2aに対し、前記ロータ1の径方向及び周方向の変位を阻止した状態で支持した事に加えて、次述する構成により、前記キャリパ5aのアウタ側端部を前記サポート2aに対し、前記ロータ1の径方向及び周方向の変位を阻止した状態で支持している。更に、前記キャリパ5aのアウタ側端部に、径方向内方に向いた荷重(弾性的に押圧する力=弾力)を付与している。
【0025】
先ず、前記キャリパ5aのアウタ側端部を前記サポート2aに対し、前記ロータ1の径方向及び周方向の変位を阻止した状態で支持する為に、前記アウタパッド4aを構成するプレッシャプレート17bのアウタ側面の周方向に離隔した2箇所位置に、それぞれ嵌合凸部23、23を形成している。これら両嵌合凸部23、23の加工方法は特に問わないが、例えば、前記プレッシャプレート17bを構成する鋼板をプレス加工等で塑性変形する事により、容易に造れる。
【0026】
一方、前記キャリパ5aのアウタ側端部に設けたキャリパ爪6aの径方向中間部2箇所位置(二股に形成されたこのキャリパ爪6aのそれぞれ径方向中間部)に貫通孔24、24を、このキャリパ爪6aを軸方向に貫通する状態で形成している。これら両貫通孔24、24の内径は、前記両嵌合凸部23、23の外径とほぼ同じとしている。又、これら両貫通孔24、24のピッチとこれら両嵌合凸部23、23のピッチとは、互いに等しくしている。更に、前記キャリパ爪6aのインナ側面のうち、前記ロータ1の径方向に関して中間部は、平坦面としている。このキャリパ爪6aのインナ側面に、前記アウタパッド4aを構成するプレッシャプレート17bのアウタ側面を当接させた状態では、前記両貫通孔24、24と前記両嵌合凸部23、23とが、がたつきなく嵌合する。
【0027】
この状態では、前記キャリパ爪6aと前記アウタパッド4aとの、前記ロータ1の径方向及び周方向の相対変位が阻止される。このアウタパッド4aは前記サポート2aに対し、前記両係止切り欠き部19、19と前記両突出板部16、16との係合に基づき、前記ロータ1の径方向及び周方向の変位を阻止した状態で支持されている。従って、前記キャリパ爪6aを設けた前記キャリパ5aのアウタ側端部が前記サポート2aに対し、前記ロータ1の径方向及び周方向の変位を阻止した状態で支持された状態となる。そして、この状態では、前記両ガイドピン9a、9aの外周面と前記両ガイド筒部21、21の内周面との間に介在する、前記両ブッシュ11a、11aの弾性変形に拘らず、前記キャリパ5aのアウタ側端部が前記サポート2aに対し、径方向外側に大きく変位する事がなくなる。
【0028】
更に、本実施例のフローティングキャリパ型ディスクブレーキの場合には、前記サポート2aと前記キャリパ爪6aとの間に弾性クリップ12aを設けている。この弾性クリップ12aは、ステンレスのばね鋼等の様な、弾性を有する金属板を曲げ形成して成るもので、前記キャリパ爪6aに形成した貫通孔24、24の内周面のアウタ側部分と、前記サポート2aの回入側、回出側両端部に設けた前記両突出板部16、16の径方向内側面との間に組み付けている。そして、前記キャリパ爪6aに対して、前記ロータ1の径方向内方に向いた荷重を付与している。
【0029】
前記弾性クリップ12aは、前記ロータ1の周方向に長い帯板状の基部25の両端部に、それぞれこの基部25の中央部に向け径方向外側に折り返した、略U字形の弾性腕部26、26を設けて成る。前記基部25の2箇所位置のアウタ側端縁とインナ側端縁との互いに整合する(軸方向に対向する)位置に、それぞれ折り立て板部27、27と抑え片28とを形成している。これら折り立て板部27、27と抑え片28とを形成する位置は、前記ロータ1の周方向に関し、前記サポート2aと前記キャリパ爪6aとの間への組み付け状態で、前記両貫通孔24、24に整合する位置としている。
【0030】
前記両折り立て板部27、27の先端部(外径側端部)にはそれぞれ、先端縁側に開口する、それぞれがスリット状である一対の切り欠き29、29を形成している。そして、これら両切り欠き29、29同士の間部分の中間部をインナ側に向けほぼ直角に折り曲げて係止部30、30とし、これら両切り欠き29、29の両側部分を抑え部31、31としている。又、前記両抑え片28は、略S字形であって、前記基部25のインナ側端縁から径方向外方に突出する状態で形成している。
【0031】
この様な両抑え片28を係止する為に、前記キャリパ爪6aの先端部(径方向内端部)に、段差部32を形成している。この段差部32は、このキャリパ爪6aのインナ側面で前記アウタパッド4aのプレッシャプレート17bのアウタ側面を突き当てる部分よりもアウタ側に凹んでいる。この様な段差部32の、軸方向に関する凹み量は、前記両抑え片28の軸方向厚さ以上として、図3に示す様に、これら両抑え片28を、前記プレッシャプレート17bのアウタ側面と前記段差部32との間に存在する隙間33内に差し込める様にしている。尚、前記基部25の中央部のインナ側端縁には、径方向外方に折れ曲がった折り曲げ板部37を形成し、前記基部25の剛性確保を図っている。この折り曲げ板部37は、組み付け状態で、前記アウタパッド4aのプレッシャプレート17bのアウタ側面に当接する。
【0032】
上述の様なキャリパ爪6aと前記サポート2aとの間に前記弾性クリップ12aを組み付ける作業は、この弾性クリップ12aを径方向内側から外側に変位させつつ行う。前記両係止部30、30は予め形成してある為、これら両係止部30、30をアウタ側に弾性変形させつつ、前記サポート2a及び前記キャリパ5aに対して前記弾性クリップ12aを、径方向外方に変位させる。そして、前記キャリパ爪6aの先端部(径方向内端部)を、前記両折り立て板部27、27と前記両抑え片28との間に進入させる。
【0033】
この過程で、前記両弾性腕部26、26の先端部の径方向外側面が前記両突出板部16、16の径方向内側面に突き当たる。そして、図3に示す様に、前記両抑え片28を、前記プレッシャプレート17bのアウタ側面と前記段差部32との間に存在する隙間33内に差し込んだ状態では、前記両弾性腕部26、26が、図1に示す様に、180度を超えた状態にまで湾曲し、前記両突出板部16、16の径方向内側面を径方向外方に向け弾性的に押圧する。そこで、前記両係止部30、30を、自身の弾力によりインナ側に変位させて、これら両係止部30、30と前記両貫通孔24、24とを係合させる。この状態で前記キャリパ5aのアウタ側端部に、径方向内方に向いた弾力が付与され、前記サポート2aに対するこのキャリパ5aのがたつき防止が図られる。
【0034】
上述の様に本実施例のフローティングキャリパ型ディスクブレーキは、前記キャリパ5aのアウタ側端部に設けたキャリパ爪6aを前記サポート2aに対し、前記アウタパッド4aを介して、前記ロータ1の径方向の変位を阻止した状態で支持している。この為、前記キャリパ5aのアウタ側端部をこの径方向内方に押し付けなくても、前記キャリパ5aのアウタ側端部がこの径方向外方に大きく変位する事はない。即ち、前述の図11〜13に示した従来構造の場合には、図5の(B)に示す様に、サポート2に対してキャリパ5のアウタ側端部が径方向外方に変位する事を機械的係合に基づいて阻止する構造が存在しなかった為、前記弾性クリップ12の荷重を大きくする必要があった。これに対して本実施例の構造の場合には、図5の(A)に示す様に、サポート2aに対してアウタパッド3aを、機械的係合により径方向外方への変位を阻止した状態で支持し、更にこのアウタパッド3aに対してキャリパ5aを、機械的係合により径方向外方への変位を阻止した状態で支持している。
【0035】
従って、前記両ガイドピン9a、9aと前記両ガイド孔10a、10aとの係合部の損傷を防止したり、ディスクブレーキとしての基本的性能を確保すべく、前記サポート2aに対する前記キャリパ5aの姿勢を適正に維持する事を考慮したとしても、前記弾性クリップ12aの荷重を、がたつき防止の為に必要な最小限に抑えられる。即ち、前記弾性クリップ12aの弾力は、走行時の振動等により、前記キャリパ5aのアウタ側端部が前記サポート2aに対しがたつくのを防止できる程度のものであれば足りる。この為、前記弾性クリップ12aの製造コストの低減と、この弾性クリップ12aの組み付け作業の容易化とにより、フローティングキャリパ型ディスクブレーキの低コスト化を図れる。
【実施例2】
【0036】
図6〜7は、請求項1、2、4に対応する、本発明の実施例2を示している。本実施例の場合には、サポート2aとキャリパ5aとの間に、回入側と回出側とで互いに独立した、一対の弾性クリップ12b、12bを設けている。これら両弾性クリップ12b、12bは、それぞれ折り立て板部27a、27aの径方向外端縁に、特許請求の範囲に記載した第一の係止片である係止部30a、30aを、周方向側縁に、特許請求の範囲に記載した第二の係止片である側方折り曲げ部34、34を、それぞれ形成している。又、基部25a、25aの先半部を径方向外方に曲げ形成して、それぞれ弾性腕部26a、26aとしている。この基部25a、25aのインナ側縁で前記折り立て板部27a、27aに対向する部分には、上述した実施例1の場合と同様の抑え片28を形成している。
【0037】
前記両弾性クリップ12b、12bはそれぞれ、前記係止部30a、30aを、キャリパ爪6aに形成した貫通孔24、24に係止すると共に、前記側方折り曲げ部34、34を、このキャリパ爪6aの円周方向側面(図示の例では互いに対向する中央側側面)に係止する。この状態で前記折り立て板部27a、27a及び前記基部25a、25aが前記キャリパ爪6aに対し、回転しない状態で支持される。そこで、前記弾性腕部26a、26aの先端部の径方向外側面を、前記サポート2aの突出板部16、16の径方向内側縁に弾性的に当接させて、前記キャリパ爪6aに対して径方向内方に向いた弾力を付与する。
それ以外の構成及び作用は、前述した実施例1の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
【実施例3】
【0038】
図8〜10は、請求項1、2、5に対応する、本発明の実施例3を示している。本実施例の場合も、上述した実施例2の場合と同様に、サポート2aとキャリパ5aとの間に、回入側と回出側とで互いに独立した、一対の弾性クリップ12c、12cを設けている。これら両弾性クリップ12c、12cは、それぞれの折り立て板部27b、27bの中央部に円筒部35、35を、インナ側に突出する状態で設けている。又、この折り立て板部27b、27bの円周方向側縁部に、略S字形の係合部36、36を、インナ側に折れ曲がった状態で形成している。又、基部25a、25aの先半部を径方向外方に曲げ形成して、それぞれ弾性腕部26a、26aとしている。
【0039】
この様な前記両弾性クリップ12c、12cは、前記円筒部35、35を、前記キャリパ5aのアウタ側端部に設けたキャリパ爪6aに形成した貫通孔24、24のアウタ側部分に内嵌すると共に、前記係合部36、36と前記キャリパ爪6aの円周方向側面(図示の例では互いに反対側の外側面)とを係合させる。このキャリパ爪6aの円周方向側面には、インナ側部分がアウタ側部分に対して周方向に凹んだ、係合凹部を形成している。前記係合部36、36の先端部はそれぞれ、この係合凹部内に入り込む。この状態で前記折り立て板部27b、27b及び前記基部25a、25aが前記キャリパ爪6aに対し、回転せず、且つ、アウタ側への変位を阻止された状態で支持される。そこで、前記弾性腕部26a、26aの先端部の径方向外側面を、前記サポート2aの突出板部16、16の径方向内側縁に弾性的に当接させて、前記キャリパ爪6aに対して径方向内方に向いた弾力を付与する。
それ以外の構成及び作用は、前述した実施例1〜2の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
図示の実施例は何れも、サポート2aとして、金属板にプレス加工を施して成るものを使用している。但し、本発明を実施する場合に、サポートは、必ずしもプレス加工品である必要はなく、鋳造品のものも使用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 ロータ
2、2a サポート
3、3a インナパッド
4、4a アウタパッド
5、5a キャリパ
6、6a キャリパ爪
7、7a ピストン
8、8a シリンダ部
9、9a ガイドピン
10、10a ガイド孔
11、11a ブッシュ
12、12a、12b、12c 弾性クリップ
13 係止孔
14 基板部
15 連結板部
16 突出板部
17a、17b プレッシャプレート
18 保持切り欠き部
19 係止切り欠き部
20 ガイド腕部
21 ガイド筒部
22 防塵ブーツ
23 嵌合凸部
24 貫通孔
25、25a 基部
26、26a 弾性腕部
27、27a、27b 折り立て板部
28 抑え片
29 切り欠き
30、30a 係止部
31 抑え部
32 段差部
33 隙間
34 側方折り曲げ部
35 円筒部
36 係合部
37 折り曲げ板部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】
【特許文献1】特許第2779027号公報
【特許文献2】特開2000−104764号公報
【特許文献3】特開2007−232107号公報
【特許文献4】特開2008−2557号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と共に回転するロータと、このロータに隣接する状態で車体に支持されるサポートと、このロータを軸方向両側から挟む状態でこのサポートに、軸方向の変位を可能に支持された、インナ、アウタ、両パッドと、このサポートに対して軸方向の変位を可能に支持されたキャリパとを備え、これらサポートとキャリパとは、一方の回入側と回出側とにそれぞれの基端部を固定した状態で軸方向に配置された一対のガイドピンを他方の回入側と回出側とにそれぞれ設けたガイド孔に挿入する事により、軸方向に関する相対変位を可能に組み合わされており、前記キャリパのアウタ側端部に設けられたキャリパ爪を前記アウタパッドに対向させて、このアウタパッドを前記ロータのアウタ側面に押し付け可能とすると共に、前記キャリパのインナ側端部に設けられたアクチュエータにより、前記インナパッドを前記ロータのインナ側面に押し付け可能としたフローティングキャリパ型ディスクブレーキに於いて、前記アウタパッドを構成するプレッシャプレートを前記サポートに対し、前記ロータの径方向及び周方向の変位を阻止した状態で支持すると共に、前記アウタパッドを構成するプレッシャプレートと前記キャリパ爪とのうちの一方に形成した嵌合凸部と他方に形成した嵌合凹部とを凹凸係合させる事により、前記キャリパのアウタ側端部を前記サポートに対し、前記ロータの径方向及び周方向の変位を阻止した状態で支持し、更に、このサポートと前記キャリパ爪との間に、このキャリパ爪を前記ロータの径方向内方に押圧する方向の荷重を有する弾性クリップを設けた事を特徴とするフローティングキャリパ型ディスクブレーキ。
【請求項2】
前記嵌合凹部が、前記キャリパ爪を軸方向に貫通する貫通孔であり、前記アウタパッドを構成するプレッシャプレートに形成した嵌合凸部をこの貫通孔のインナ側部分に内嵌すると共に、この貫通孔のアウタ側部分に前記弾性クリップの基部のアウタ側端縁から径方向外方に折れ曲がった折り立て板部を係止した、請求項1に記載したフローティングキャリパ型ディスクブレーキ。
【請求項3】
前記弾性クリップが、前記ロータの周方向に関して、前記基部の両端部に、それぞれ前記サポートの一部を径方向外側に押圧する弾性腕部を設けたものである、請求項2に記載したフローティングキャリパ型ディスクブレーキ。
【請求項4】
前記弾性クリップが、前記ロータの周方向に関して、回入側と回出側とで互いに独立して設けられており、これら両弾性クリップの折り立て板部の径方向外端縁に形成した第一の係止片を前記貫通孔に係止すると共に、周方向側縁に形成した第二の係止片を前記キャリパ爪の円周方向側面に係止する事により、前記両弾性クリップが前記キャリパ爪に対し回動する事を阻止している、請求項2に記載したフローティングキャリパ型ディスクブレーキ。
【請求項5】
前記弾性クリップが、前記ロータの周方向に関して、回入側と回出側とで互いに独立して設けられており、これら両弾性クリップの折り立て板部に設けた円筒部を前記貫通孔のアウタ側部分に内嵌すると共に、この折り立て板部のうちでこの円筒部から外れた部分に設けた係合部と前記キャリパ爪とを係合させる事により、前記両弾性クリップが前記キャリパ爪に対し、前記円筒部を中心に回動する事を阻止している、請求項2に記載したフローティングキャリパ型ディスクブレーキ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−175052(P2010−175052A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21399(P2009−21399)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)
【Fターム(参考)】