説明

プリント配線基板

【課題】優れたコスト効率をもって大電流回路を形成することが出来て、回路変更にも柔軟に対応し得る、新規な構造のプリント配線基板を提供する。
【解決手段】基板本体12に形成されて、接続端子14が挿通されるスルーホール16aに対して接続孔20aを連設し、予め屈曲加工した一対の接続脚部26,26が両端に形成された線状の導電部材22aを、その一対の接続脚部26,26を各別の前記スルーホール16a,16aに連設された前記接続孔20a,20aにそれぞれ挿通して前記接続端子14と共に半田付けした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板本体に複数の接続端子が設けられたプリント配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の電装系に用いられる電気接続箱において、リレーやヒューズ等を搭載したプリント配線基板が採用されており、バッテリーからの電力が各種負荷に効率的に分配給電されるようになっている。このプリント配線基板には、多数の接続端子が基板本体の表面に形成された基板回路に接続状態で突設されており、それら接続端子が、コネクタ端子として外部電気配線と接続されたり、リレーやヒューズ等の電気部品と接続されるようになっている。例えば、特許文献1(特開2008−193773号公報)に記載の如きである。
【0003】
ところで、近年の電気接続箱の小型化や構成の簡素化の要求に伴い、プリント配線基板に対して、比較的大電流が流れる電気部品や高電圧が印加される電気部品を接続可能とすることが検討されている。そのような要求に対応するために、基板回路を構成する導電路および基板本体の何れをも厚肉に形成して導電路の通電断面積を確保した厚銅タイプのプリント配線基板(以下厚銅基板)が提案されている。
【0004】
ところが、厚銅基板は高価であることから、電気接続箱の製造コストの増大を招くという問題があった。また、厚銅基板はプリント配線基板であることから、車種毎の回路変更への柔軟な対応が難しいという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−193773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、優れたコスト効率をもって大電流回路を形成することが出来て、回路変更にも柔軟に対応し得る、新規な構造のプリント配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、基板本体に複数の接続端子が突設されたプリント配線基板において、前記接続端子が前記基板本体に形成されたスルーホールに挿通されて半田付けされていると共に、前記スルーホールに対して接続孔が連設されており、予め屈曲加工された一対の接続脚部が両端に形成された線状の導電部材がその一対の接続脚部を各別の前記スルーホールに連設された前記接続孔にそれぞれ挿通されて前記接続端子と共に半田付けされていることを、特徴とする。
【0008】
本態様によれば、基板回路において大電流や高電圧電流を流す必要がある接続端子の回路部分に対して導電部材を採用して通電断面積を確保することによって、大電流が流れる電気部品をプリント配線基板に接続することが可能となる。従って、厚銅基板を採用することなく、従来のプリント配線基板の適所に導電部材を採用するのみで、大電流回路を形成することが出来る。これにより、安価に大電流電気部品を接続可能なプリント配線基板を提供することが出来る。
【0009】
そして、基板本体と別体の導電部材を用いて大電流や高電圧電流を流す必要がある回路部分を構成することから、大電流回路を厚銅基板の導電路を用いて構成する場合に比して、優れた放熱効果を得ることが出来る。
【0010】
しかも、スルーホールに連設される接続孔の形成位置を任意に変更したり、多数の接続孔を形成して規格化した基板の接続孔を適宜に選択することによって、回路変更にも柔軟に対応することが出来る。さらに、導電部材は所望の形状に予め屈曲形成されていることから、容易に変形する単芯線のように特別な固定手段を要すること無しに、基板上での形状を安定して維持することが出来る。これにより、回路構成の自由度も高く、接続端子間を大きく跨いで配索したり、三次元的な配索も可能となる。
【0011】
加えて、導電部材が所望の形状に予め屈曲形成されていることから、接続孔への挿通や基板本体への固定に際して優れた作業性を得ることが出来る。更に、導電部材の基板本体への固定および接続端子との電気的接続は、接続端子の基板本体への半田付け工程で接続端子と共に一度に行なえることから、優れた製造効率を得ることも出来る。
【0012】
なお、スルーホールに接続孔が連設されるとは、スルーホールと接続孔が互いに独立して電気的に接続されている態様と、スルーホールと接続孔が接続されて単一孔とされた態様の何れをも含む。
【0013】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記スルーホールと前記接続孔が互いに独立して隣接形成されることによって連設されており、該スルーホールと該接続孔がランドで囲まれているものである。
【0014】
このようにすれば、接続端子と導電部材が、互いに別孔とされたスルーホールおよび接続孔に各別に挿通される。従って、接続端子および導電部材の挿通作業の容易化や、それぞれでアライメント精度を確保出来ること等による挿通状態の安定化を図ることが出来る。
【0015】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記スルーホールと前記接続孔が互いに接続されて単一孔として形成されることによって連設されているものである。
【0016】
このようにすれば、スルーホールと接続孔を容易に形成することが出来る。また、スルーホールと接続孔をコンパクトに連設出来ることから、基板上のスペース効率の向上を図ることも出来る。更に、接続端子と導電部材を単一孔内で直接に接触状態とすることも出来て、電気的接続の安定化も図ることが出来る。
【0017】
本発明の第四の態様は、前記第一〜第三の何れか一つの態様に記載のものにおいて、前記スルーホールの1つに対して複数の前記接続孔が連設形成されているものである。このようにすれば、一つの接続端子に複数の導電部材を接続することが出来て、一対多接続が可能となる。これにより、回路構成の自由度をより向上することが出来る。
【0018】
本発明の第五の態様は、前記第一〜第四の何れか一つの態様に記載のものにおいて、前記導電部材が、金属線材を切断して任意の形状に屈曲形成された切断線材を用いて構成されているものである。切断線材を用いることによって、所望の形状への予めの屈曲加工を容易に行なうことが出来ると共に、回路形状を安定的に維持することが出来る。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、所望の通電断面積を有する導電部材で大電流回路を形成した。これにより、厚銅基板を採用することなく、優れたコスト効率をもってプリント配線基板に大電流回路を形成することが出来る。そして、導電部材が挿通される接続孔を適宜に選択することによって、回路変更にも柔軟に対応することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのプリント配線基板の斜視図。
【図2】図1に示したプリント配線基板を構成する基板本体の上面図。
【図3】図1に示したプリント配線基板に設けられる導電部材の側面図。
【図4】図1におけるIV−IV断面に相当する断面説明図。
【図5】図1におけるV−V断面に相当する断面説明図。
【図6】本発明の第二の実施形態としてのプリント配線基板の斜視図。
【図7】図6に示したプリント配線基板の上面図。
【図8】接続孔の異なる態様を説明するための説明図。
【図9】導電部材の異なる態様を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
先ず、図1に、本発明の第一の実施形態としてのプリント配線基板10を示す。プリント配線基板10は、基板本体12に複数の接続端子14が突設された構造とされている。
【0023】
図2に、基板本体12を示す。基板本体12としては、例えば紙やガラスクロス等の絶縁基板の表面に、銅箔等をエッチングして形成された配線回路パターンが設けられた従来公知のものが採用可能である。基板本体12には、厚さ方向に貫通するスルーホール16が複数形成されている。本実施形態におけるスルーホール16は、接続端子14の平板形状に応じた略オーバル状の長孔形状とされている。なお、スルーホール16の開口周縁部には、銅箔等からなるランド18が形成されている。
【0024】
そして、複数のスルーホール16のうちの幾つかに対して、接続孔20a,20bが連設されている。以下、接続孔20aが連設されたものをスルーホール16aとし、接続孔20bが連設されたものをスルーホール16bとする。接続孔20aは、基板本体12を厚さ方向に貫通する貫通孔とされており、スルーホール16aとは異なる別孔として、互いに独立して形成されている。なお、接続孔20aの形状は何等限定されるものではないが、本実施形態においては、後述する導電部材22aの断面形状に応じた略一定の円形断面形状をもって基板本体12の厚さ方向に延び出されている。そして、接続孔20aがスルーホール16aに対して、所定距離を隔てて隣接して形成されていると共に、これらスルーホール16aと接続孔20aの開口周縁部が、ランド18で囲まれている。
【0025】
なお、1つのスルーホール16aに対して連設される接続孔20aの個数は限定されるものではなく、1つでも良いし2つ以上の複数でも良い。図2においては、1つのスルーホール16aに1つの接続孔20aを連設したものと、1つのスルーホール16aに2つの接続孔20a、20aを連設したものを示す。1つのスルーホール16aに複数の接続孔20aを連設する場合には、それらスルーホール16aと複数の接続孔20aが纏めてランド18で囲まれる。
【0026】
一方、スルーホール16bには、接続孔20bが連設されている。接続孔20bは、基板本体12を貫通するスルーホール16bの幅寸法が部分的に大きくされることによって形成されており、スルーホール16bと接続孔20bが互いに接続されて、基板本体12を貫通する単一孔として形成されている。接続孔20bの断面形状も特に限定されるものではないが、本実施形態においては、略オーバル形状を有するスルーホール16bの直線部分から外方に突出する略一定の略半円形状断面をもって、基板本体12の厚さ方向に貫通されている。
【0027】
そして、互いに異なるスルーホール16a,16aに連設された一対の接続孔20a,20aに跨って、図3に示す導電部材22aが配設される。導電部材22aは、例えば金、銅、銅合金等の導電性を有する金属材料や、該導電性金属材料で表面にメッキを施された鉄等の金属材料から形成された金属線材を所定長さで切断した切断線材から形成されている。そして、この切断線材がコの字状に屈曲形成されることによって、導電部材22aは、回路部24の両端部から互いに同方向に延びる一対の接続脚部26を有する線状の金属線材とされている。また、導電部材22aは、適当な断面積と強度を有する金属線材が屈曲加工されて形成されることによって、屈曲加工後の形状を保持出来るようになっている。
【0028】
なお、本実施形態における導電部材22aはコの字形状とされて、回路部24が直線形状とされているが、回路部24は、要求される回路配策形状に応じて任意の形状に屈曲形成される。そして、導電部材22aの断面形状は特に限定されるものではなく、正方形や長方形等の矩形状、楕円を含む円形状やその他任意の形状が適宜に採用可能であるが、屈曲に際しての方向性が無く何れの方向へも屈曲が可能な円形断面や正方形断面が好適に採用される。本実施形態における導電部材22aは、円形断面とされている。
【0029】
また、互いに異なるスルーホール16b、16bに連設された一対の接続孔20b、20bに跨って、導電部材22bが配設される。導電部材22bは前記導電部材22aと略同様の構造であることから詳細な図示は省略するが、導電部材22aと同様に金属線材が屈曲加工されて形成されたものであり、コの字状に屈曲された、略正方形断面を有する線状の金属線材とされている。
【0030】
そして、図4に示すように、各スルーホール16に接続端子14がそれぞれ挿通されて、半田28で基板本体12に固定されることによって、各接続端子14が基板本体12の表面30aから突設される。更に、導電部材22aの一対の接続脚部26,26が各別の一対のスルーホール16a,16aのそれぞれに連設された接続孔20a,20aに挿通されて、スルーホール16a,16aに挿通された接続端子14,14と共に半田28で基板本体12に固定される。これにより、導電部材22aの接続脚部26,26が、半田28やランド18を介して、スルーホール16a,16aに挿通された一対の接続端子14,14と電気的に接続されて、それら接続端子14,14が、導電部材22aを介して電気的に接続される。
【0031】
一方、図5に示すように、各別の一対のスルーホール16b、16bに接続端子14,14がそれぞれ挿通されて半田28で基板本体12に固定される。更に、これらスルーホール16b、16bに対して同一孔として連設された接続孔20b、20bに、導電部材22bの接続脚部26,26が挿通されて、スルーホール16b、16bに挿通された接続端子14,14と共に半田28で基板本体12に固定される。これにより、導電部材22bの接続脚部26,26が、半田28を介して、スルーホール16b,16bに挿通された一対の接続端子14,14と電気的に接続されて、それら接続端子14,14が、導電部材22bを介して電気的に接続される。なお、導電部材22bの接続脚部26は、スルーホール16b内で接続端子14に対して隙間を隔てて配設されて、半田28を介して電気的に接続されても良いが、好適には、図5に示すように、スルーホール16b内で接続端子14に対して直接に接触される。
【0032】
図4および図5からも明らかなように、導電部材22a,22bは、それぞれ、接続脚部26,26が基板本体12の表面30aから所定寸法だけ突出されて、回路部24が基板本体12の表面30aに対して所定距離を隔てた状態で基板本体12に固定されている。
【0033】
なお、このようなプリント配線基板10は、導電部材22a,22bを接続端子14と同様に扱って、従来公知の方法により好適に製造される。例えば、接続端子14を、図示しない冶具に対して、基板本体12への挿通部分を突出させた状態でセットすると共に、導電部材22a,22bを接続端子14と共に、接続脚部26を突出させた状態で冶具にセットする。次に、それら接続端子14および導電部材22a,22bに基板本体12を表面30a側から重ね合わせて、各スルーホール16および接続孔20a,20bに接続端子14および導電部材22a,22bの接続脚部26を表面30a側からそれぞれ挿通し、基板本体12の裏面30b側に突出させる。そして、基板本体12の裏面30bに突出された接続端子14および接続脚部26を裏面30b側から半田付けすることによって、接続端子14および導電部材22a,22bが基板本体12に固定される。
【0034】
このような構造とされたプリント配線基板10によれば、接続端子14,14間を、所定の断面積を有する導電部材22a,22bで電気的に接続することが出来る。これにより、導電部材22a,22bで通電断面積を確保して、厚銅基板を用いること無しに、大電流や高電圧電流が流される大電流回路を基板本体12上に形成することが出来る。その結果、大電流電気部品を接続可能なプリント配線基板を、安価に提供することが出来る。また、従来から電気接続箱においてプリント配線基板10と併せて用いられていたバスバー回路を導電部材22a,22bで代替することによって、バスバーの積層数の削減も図ることが出来る。
【0035】
さらに、大電流が流される導電部材22a,22bが基板本体12と別体とされていることから、基板本体12の発熱抑制効果も発揮され得る。特に、回路部24が基板本体12から離隔して配設されていることから、より優れた発熱抑制効果が発揮される。
【0036】
また、接続孔20a,20bの形成位置を任意に設定することによって、回路変更にも柔軟に対応することが出来る。また、多数の接続孔20a,20bを形成して基板本体12を規格化して、接続孔20a,20bを適宜に選択することによって、複数種類のプリント配線基板を安価に提供することも出来る。更に、導電部材22a,22bは予め屈曲加工された所望の回路形状を保持できることから、回路配索形状を安定的に維持することが可能であり、接続端子14,14間を大きく跨いで配設したり、三次元的な配索を行なうことも可能となる。
【0037】
また、スルーホール16aに対して別孔として形成された接続孔20aによれば、接続端子14と導電部材22aをそれぞれ別孔に挿通することから、それぞれのアライメント精度の確保や、各孔への挿通作業を容易とすることが出来る。一方、スルーホール16bに接続して単一孔として形成された接続孔20bによれば、形成が容易であると共に、スルーホール16bと接続孔20bをスペース効率良く形成することも出来る。また、図5に示したように、接続孔20b内で接続脚部26を接続端子14への接触状態とすることによって、電気的接続の安定化も図ることが出来る。
【0038】
加えて、導電部材22a,22bは、接続端子14と同様に取り扱って、従来公知の接続端子の基板本体への半田付け工程に従って、同一工程内で接続端子14と共に一度に半田付けすることが出来る。これにより、優れた製造効率を得ることが出来る。特に、導電部材22a,22bは自身の形状が保持されることから、単芯線のように特別な固定手段も不要であると共に、接続孔20a,20bへの挿通も容易に行なうことが出来、自動挿入機を用いて接続孔20a,20bに自動的に挿通することも可能となる。
【0039】
次に、図6および図7に、本発明の第二の実施形態としてのプリント配線基板40を示す。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と同様の部材および部位には、前記第一の実施形態と同一の符号を付することにより、その説明を適宜に省略する。
【0040】
プリント配線基板40の基板本体12には、接続端子42および接続端子44が半田付けにより突設されている。接続端子42は、音叉形状を有し、図示しないヒューズの端子と接続されるヒューズ接続端子である。接続端子44は、幅広の平板形状を有するタブ状端子である。これら接続端子42、44は、何れも、一対の脚部が突出された形状とされている。
【0041】
基板本体12には、複数のスルーホール16が貫設されている。そして、複数のスルーホール16の内、スルーホール16cには、接続孔20cが連設されている。接続孔20cは、基板本体12を貫通すると共に、スルーホール16cと接続されており、これら接続孔20cとスルーホール16cが基板本体12を貫通する単一孔として形成されている。本実施形態においては、接続孔20cが形成されていないスルーホール16は略円形状とされている一方、接続孔20cが形成されたスルーホール16cは略長円形状とされている。
【0042】
そして、接続端子42、44に突設された一対の脚部が、一対のスルーホール16にそれぞれ挿通されて半田付けされている。前述のように、接続端子42はヒューズ接続端子であり、一つのヒューズにおける一対の端子に対応して、一対の接続端子42,42が対向配置されていると共に、それら対向配置された一対の接続端子42,42の組が複数並列されている。図6および図7においては、一対の接続端子42,42の組が一直線上に複数並列されてなる一対の端子群46a,46bが並設されている。
【0043】
そして、端子群46a,46bのそれぞれにおいて、各組の接続端子42,42の一方は、接続孔20cが形成されたスルーホール16cに挿通されており、接続端子42の並列方向(図7中、左右方向)で隣接する一対の接続孔20c、20cに、導電部材22bの接続脚部26,26がそれぞれ挿通されて半田付けされている。これにより、隣接する接続端子42,42毎に、それら接続端子42,42に跨って導電部材22bが配設されており、一直線上に並列された複数の接続端子42が、並列方向に沿って一直線上に配設された複数の導電部材22bで電気的に接続されている。
【0044】
さらに、端子群46aの配列方向の外側には、タブ状の接続端子44が配設されている。タブ状の接続端子44の一方の脚部が挿通されたスルーホール16cは、スルーホール16cを挟む両側に一対の接続孔20c、20cが接続して形成された単一孔とされている。
【0045】
一方、基板本体12において、端子群46bの配列方向の外側で、接続端子44と同じ側には、一対の接続孔20a,20aが互いに接続されて単一孔形状とされた中継用接続孔48が貫設されている。中継用接続孔48は、一対の接続脚部26,26を挿通し得る大きさの長円形状とされている。
【0046】
そして、端子群46aの配列方向の端部に形成されたスルーホール16cに連設された接続孔20cと、接続端子44が挿通されるスルーホール16cに連設された接続孔20c、20cの一方とに跨って、導電部材22bが配設される。これにより、接続端子44と、端子群46aの配列方向の端部に位置された接続端子42が、導電部材22bを介して電気的に接続される。
【0047】
さらに、接続端子44が挿通されるスルーホール16cに連設された接続孔20c、20cの他方と、中継用接続孔48における接続孔20a,20aの一方とに跨って、導電部材22bが配設される。これにより、接続端子44は、一方の脚部がスルーホール16c内において、一対の導電部材22b、22bの接続脚部26,26に挟まれるようにして、これら接続脚部26,26と共に半田付けされている。
【0048】
また、端子群46bの配列方向の端部に位置されたスルーホール16cに連設された接続孔20cと、中継用接続孔48における接続孔20a,20aの他方とに跨って、導電部材22bが配設される。これにより、中継用接続孔48には、一対の導電部材22b、22bのそれぞれにおける一方の接続脚部26,26が挿通されて互いに半田付けされている。そして、接続端子44が、中継用接続孔48に挿通された一対の導電部材22b、22bを介して、端子群46bの配列方向の端部に配設された接続端子42と電気的に接続されている。
【0049】
これにより、端子群46aにおける片側の接続端子42と、端子群46bにおける片側の接続端子42が、端子群46aから接続端子44に跨る導電部材22bと、中継用接続孔48に挿通された一対の導電部材22b、22bを介して、互いに電気的に接続されている。要するに、複数の導電部材22bによってコ字状の電流回路が形成されており、このコ字状の電流回路が一対の端子群46a,46bに跨って配設されることにより、端子群46a,46bのそれぞれにおける片側の接続端子42が、コ字状の電流回路に対してそれぞれ電気的に接続されている。そして、端子群46a,46bの間に跨る中継回路上に接続端子44が設けられている。
【0050】
本実施形態から明らかなように、基板本体に突設される接続端子の具体的形状は、特に限定されるものではない。また、接続端子44が挿通されたスルーホール16cのように、複数の接続孔20b、20bを接続して単一孔として形成しても良い。更に、中継用接続孔48を形成して、導電部材22bの一対の接続脚部26,26の一方或いは両方を中継用接続孔48に挿通することによって、中継回路を形成しても良い。なお、中継用接続孔48としては、例えば複数の接続孔20a,20aをそれぞれ別孔として独立して形成して、それら複数の接続孔20a,20aをランド18で囲む等して形成しても良い。
【0051】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、接続孔の具体的形状は限定されるものではなく、挿通される導電部材の断面形状等を考慮して、各種形状が適宜に採用可能である。また、図8に示すように、一つのスルーホール16に対して、2種類の接続孔20a,20bの両方を形成することも可能である。
【0052】
また、図9に導電部材22aを例に示すように、接続脚部26,26に、軸直角方向に突出する鍔部50をプレス加工等で形成する等しても良い。このようにすれば、鍔部50を基板本体12の表面30aに係止させることによって、導電部材22aの挿入量を規定することが出来る。
【符号の説明】
【0053】
10、40:プリント配線基板、12:基板本体、14、42、44:接続端子、16a,b,c:スルーホール、18:ランド、20a、b、c:接続孔、22a、b:導電部材、24:回路部、26:接続脚部、28:半田、30a:表面、30b:裏面、46a,b:端子群、48:中継用接続孔、50:鍔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板本体に複数の接続端子が突設されたプリント配線基板において、
前記接続端子が前記基板本体に形成されたスルーホールに挿通されて半田付けされていると共に、前記スルーホールに対して接続孔が連設されており、予め屈曲加工された一対の接続脚部が両端に形成された線状の導電部材がその一対の接続脚部を各別の前記スルーホールに連設された前記接続孔にそれぞれ挿通されて前記接続端子と共に半田付けされていることを特徴とするプリント配線基板。
【請求項2】
前記スルーホールと前記接続孔が互いに独立して隣接形成されることによって連設されており、該スルーホールと該接続孔がランドで囲まれている請求項1に記載のプリント配線基板。
【請求項3】
前記スルーホールと前記接続孔が互いに接続されて単一孔として形成されることによって連設されている請求項1又は2に記載のプリント配線基板。
【請求項4】
前記スルーホールの1つに対して複数の前記接続孔が連設形成されている請求項1〜3の何れか1項に記載のプリント配線基板。
【請求項5】
前記導電部材が、金属線材を切断して任意の形状に屈曲形成された切断線材を用いて構成されている請求項1〜4の何れか1項に記載のプリント配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−66083(P2011−66083A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213556(P2009−213556)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】