説明

プロジェクタ型車両用前照灯およびその製造方法

【課題】プロジェクタ型車両用前照灯100全体を軽量化しつつ、ベース部材12の回転軸12i,12kの強度不足を回避する。
【解決手段】光源1と、リフレクタ2と、シェード3と、投影レンズ4とを具備するプロジェクタ型車両用前照灯100において、左右方向に延びているシェード回転軸11と、シェード回転軸11を中心にシェード3を回動可能に支持するベース部材12と、すれ違いビーム用配光パターン形成位置から走行ビーム用配光パターン形成位置にシェード3を回動させるソレノイド13と、ソレノイド13とシェード3とを駆動連結するクランクシャフト14とを設け、ソレノイド13のプランジャ13aの移動方向がプロジェクタ型車両用前照灯100の左右方向になるようにソレノイド13をベース部材12によって支持し、レンズホルダ15を樹脂材料によって形成し、ベース部材12を金属材料によって形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源と、光源からの光を反射するためのリフレクタと、リフレクタからの光の一部を遮るためのシェードと、シェードによって遮られなかった光を投影するための投影レンズと、すれ違いビーム用配光パターン形成位置から走行ビーム用配光パターン形成位置にシェードを回動させるためのソレノイドとを具備するプロジェクタ型車両用前照灯およびその製造方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、プロジェクタ型車両用前照灯全体を軽量化することができると共に、光源とリフレクタとベース部材とレンズホルダとシェードと投影レンズとを相互に接続することによって構成されるランプユニットがプロジェクタ型車両用前照灯の上下方向に延びている回転軸を中心に回動せしめられる場合にその回転軸の強度が不足してしまうおそれを低減することができるプロジェクタ型車両用前照灯およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、光源と、光源からの光を反射するためのリフレクタと、リフレクタからの光の一部を遮るためのシェードと、シェードによって遮られなかった光を投影するための投影レンズとを具備するプロジェクタ型車両用前照灯が知られている。この種のプロジェクタ型車両用前照灯の例としては、例えば特開2007−213938号公報の図1および図4に記載されたものがある。
【0004】
特開2007−213938号公報の図1および図4に記載されたプロジェクタ型車両用前照灯では、プロジェクタ型車両用前照灯の左右方向に延びているシェード回転軸が設けられている。また、シェード回転軸を中心にシェードを回動可能に支持するためのベース部材が設けられている。更に、すれ違いビーム用配光パターン形成位置から走行ビーム用配光パターン形成位置にシェードを回動させるためのソレノイドが設けられている。また、ソレノイドとシェードとを駆動連結するためのクランクシャフトが設けられている。
【0005】
詳細には、特開2007−213938号公報の図1および図4に記載されたプロジェクタ型車両用前照灯では、ソレノイドのOFF時に、シェードがすれ違いビーム用配光パターン形成位置に配置される。そのため、リフレクタからの光の一部がシェードによって遮られ、すれ違いビーム用配光パターンが形成される。
【0006】
一方、特開2007−213938号公報の図1および図4に記載されたプロジェクタ型車両用前照灯では、ソレノイドがONされると、ソレノイドのプランジャが格納せしめられ、ソレノイドのプランジャによって、クランクシャフトが回転せしめられる。更に、クランクシャフトによって、シェードが回動せしめられ、その結果、シェードが走行ビーム用配光パターン形成位置に配置され、走行ビーム用配光パターンが形成される。
【0007】
また、特開2007−213938号公報の図1および図4に記載されたプロジェクタ型車両用前照灯では、ソレノイドのプランジャの移動方向がプロジェクタ型車両用前照灯の左右方向になるように、ソレノイドが配置されている。そのため、特開2007−213938号公報の図1および図4に記載されたプロジェクタ型車両用前照灯では、ソレノイドのプランジャの移動方向がプロジェクタ型車両用前照灯の前後方向になるようにソレノイドが配置されている場合よりも、プロジェクタ型車両用前照灯の前後方向寸法を小型化することができる。
【0008】
ところで、特開2007−213938号公報には、ソレノイドが何によって支持されているかについて記載されておらず、投影レンズが何によって保持されているかについて記載されていない。
【0009】
一方、特開2008−27768号公報の図1および図3に記載されたプロジェクタ型車両用前照灯では、ソレノイドがホルダによって支持されており、更に、そのホルダによって投影レンズも保持されている。
【0010】
ところで、特開2008−27768号公報には、ソレノイドを支持すると共に投影レンズを保持するホルダが、どのような材料によって形成されているかについて記載されていない。
【0011】
仮に、特開2008−27768号公報の図1および図3に記載されたプロジェクタ型車両用前照灯のホルダが金属材料によって形成されている場合には、プロジェクタ型車両用前照灯全体が重量化してしまう。
【0012】
一方、仮に、特開2008−27768号公報の図1および図3に記載されたプロジェクタ型車両用前照灯のホルダが樹脂材料によって形成されている場合には、プロジェクタ型車両用前照灯全体を軽量化することができる。
【0013】
ところが、仮に、特開2008−27768号公報の図1および図3に記載されたプロジェクタ型車両用前照灯のホルダが樹脂材料によって形成されている場合には、プロジェクタ型車両用前照灯の上下方向に延びている回転軸をホルダに設けると共に、光源とリフレクタとホルダとシェードと投影レンズとを相互に接続することによって構成されるランプユニットが、その回転軸を中心に回動せしめられるようにすると、その回転軸の強度が不足するおそれが生じてしまう。
【0014】
【特許文献1】特開2007−213938号公報の図1および図4
【特許文献2】特開2008−27768号公報の図1および図3
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前記問題点に鑑み、本発明は、プロジェクタ型車両用前照灯全体を軽量化することができると共に、光源とリフレクタとベース部材とレンズホルダとシェードと投影レンズとを相互に接続することによって構成されるランプユニットがプロジェクタ型車両用前照灯の上下方向に延びている回転軸を中心に回動せしめられる場合にその回転軸の強度が不足してしまうおそれを低減することができるプロジェクタ型車両用前照灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、光源(1)と、光源(1)からの光を反射するためのリフレクタ(2)と、リフレクタ(2)からの光の一部を遮るためのシェード(3)と、シェード(3)によって遮られなかった光を投影するための投影レンズ(4)とを具備するプロジェクタ型車両用前照灯(100)において、プロジェクタ型車両用前照灯(100)の左右方向に延びているシェード回転軸(11)と、シェード回転軸(11)を中心にシェード(3)を回動可能に支持するためのベース部材(12)と、すれ違いビーム用配光パターン形成位置から走行ビーム用配光パターン形成位置にシェード(3)を回動させるためのソレノイド(13)と、ソレノイド(13)とシェード(3)とを駆動連結するためのクランクシャフト(14)とを設け、ソレノイド(13)のプランジャ(13a)の移動方向がプロジェクタ型車両用前照灯(100)の左右方向になるように、ソレノイド(13)をベース部材(12)によって支持し、投影レンズ(4)を保持するレンズホルダ(15)とベース部材(12)とを別個の部材によって構成し、レンズホルダ(15)を樹脂材料によって形成し、ベース部材(12)を金属材料によって形成したことを特徴とするプロジェクタ型車両用前照灯(100)が提供される。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、光源(1)とリフレクタ(2)とベース部材(12)とレンズホルダ(15)とシェード(3)と投影レンズ(4)とを相互に接続することによってランプユニット(50)を構成し、プロジェクタ型車両用前照灯(100)の上下方向に延びている回転軸(12j,12k)を中心にランプユニット(50)を回動させ、プロジェクタ型車両用前照灯(100)の上下方向に延びている回転軸(12j,12k)とベース部材(12)とを一体的に形成したことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)が提供される。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、ランプユニット(50)の重心を含む鉛直線上あるいはその近傍にプロジェクタ型車両用前照灯(100)の上下方向に延びている回転軸(12j,12k)を配置したことを特徴とする請求項2に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)が提供される。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、プロジェクタ型車両用前照灯(100)の前後方向に相対移動する第1金型(201)および第2金型(202)と、第1金型(201)および第2金型(202)に対してプロジェクタ型車両用前照灯(100)の上側に移動する第1スライドコマ(203,203’,203”)と、第1金型(201)および第2金型(202)に対してプロジェクタ型車両用前照灯(100)の下側に移動する第2スライドコマ(204,204’,204”)とを、ベース部材(12)を成形するための成形装置(200)に設け、プロジェクタ型車両用前照灯(100)の上下方向に延びている回転軸(12j,12k)をベース部材(12)と一体的に成形する場合には、回転軸用凹部(203a,203a”)を有する第1スライドコマ(203,203”)と、回転軸用凹部(204a,204a”)を有する第2スライドコマ(204,204”)とを用い、プロジェクタ型車両用前照灯(100)の上下方向に延びている回転軸(12j,12k)をベース部材(12)と一体的に成形しない場合には、回転軸用凹部(203a,203a”)を有さない第1スライドコマ(203’)と、回転軸用凹部(204a,204a”)を有さない第2スライドコマ(204’)とを用いることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)の製造方法が提供される。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、ランプユニット(50)の重心がベース部材(12)の前側部分上に位置する場合には、前側部分に回転軸用凹部(203a)を有する第1スライドコマ(203)と、前側部分に回転軸用凹部(204a)を有する第2スライドコマ(204)とを用い、ランプユニット(50)の重心がベース部材(12)の後側部分上に位置する場合には、後側部分に回転軸用凹部(203a”)を有する第1スライドコマ(203”)と、後側部分に回転軸用凹部(204a”)を有する第2スライドコマ(204”)とを用いることを特徴とする請求項4に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0021】
請求項1及び2に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)では、光源(1)と、光源(1)からの光を反射するためのリフレクタ(2)と、リフレクタ(2)からの光の一部を遮るためのシェード(3)と、シェード(3)によって遮られなかった光を投影するための投影レンズ(4)とが設けられている。
【0022】
また、請求項1及び2に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)では、プロジェクタ型車両用前照灯(100)の左右方向に延びているシェード回転軸(11)と、シェード回転軸(11)を中心にシェード(3)を回動可能に支持するためのベース部材(12)と、すれ違いビーム用配光パターン形成位置から走行ビーム用配光パターン形成位置にシェード(3)を回動させるためのソレノイド(13)と、ソレノイド(13)とシェード(3)とを駆動連結するためのクランクシャフト(14)とが設けられている。
【0023】
詳細には、請求項1及び2に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)では、例えばソレノイド(13)のOFF時に、シェード(3)がすれ違いビーム用配光パターン形成位置に配置され、リフレクタ(2)からの光の一部がシェード(3)によって遮られ、すれ違いビーム用配光パターンが形成される。
【0024】
一方、請求項1及び2に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)では、例えばソレノイド(13)がONされると、ソレノイド(13)のプランジャ(13a)が格納せしめられ、ソレノイド(13)のプランジャ(13a)によってクランクシャフト(14)が回転せしめられる。更に、クランクシャフト(14)によってシェード(3)が回動せしめられ、シェード(3)が走行ビーム用配光パターン形成位置に配置され、走行ビーム用配光パターンが形成される。
【0025】
また、請求項1及び2に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)では、ソレノイド(13)のプランジャ(13a)の移動方向がプロジェクタ型車両用前照灯(100)の左右方向になるように、ソレノイド(13)がベース部材(12)によって支持されている。
【0026】
そのため、請求項1及び2に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)によれば、ソレノイド(13)のプランジャ(13a)の移動方向がプロジェクタ型車両用前照灯(100)の前後方向になるようにソレノイド(13)がベース部材(12)によって支持されている場合よりも、プロジェクタ型車両用前照灯(100)の前後方向寸法を小型化することができる。
【0027】
更に、請求項1及び2に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)では、投影レンズ(4)を保持するレンズホルダ(15)とベース部材(12)とが別個の部材によって構成されている。詳細には、レンズホルダ(15)が樹脂材料によって形成され、ベース部材(12)が金属材料によって形成されている。
【0028】
そのため、請求項1及び2に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)によれば、レンズホルダ(15)が金属材料によって形成されている場合よりも、プロジェクタ型車両用前照灯(100)全体を軽量化することができる。
【0029】
好ましくは、請求項1及び2に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)では、光源(1)とリフレクタ(2)とベース部材(12)とレンズホルダ(15)とシェード(3)と投影レンズ(4)とを相互に接続することによってランプユニット(50)が構成されている。また、プロジェクタ型車両用前照灯(100)の上下方向に延びている回転軸(12j,12k)を中心にランプユニット(50)が回動せしめられる。更に、プロジェクタ型車両用前照灯(100)の上下方向に延びている回転軸(12j,12k)とベース部材(12)とが一体的に形成されている。
【0030】
換言すれば、請求項1及び2に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)では、回転軸(12j,12k)が、金属材料によってベース部材(12)と一体的に形成されている。
【0031】
そのため、請求項1及び2に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)によれば、回転軸(12j,12k)が樹脂材料によって形成されるのに伴って、回転軸(12j,12k)の強度が不足してしまうおそれを低減することができる。
【0032】
請求項3に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)では、ランプユニット(50)の重心を含む鉛直線上あるいはその近傍にプロジェクタ型車両用前照灯(100)の上下方向に延びている回転軸(12j,12k)が配置されている。そのため、請求項3に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)によれば、ランプユニット(50)の重心を含む鉛直線から離れた位置にプロジェクタ型車両用前照灯(100)の上下方向に延びている回転軸(12j,12k)が配置されている場合よりも、回転軸(12j,12k)に対してかかるモーメントを低減することができ、回転軸(12j,12k)を中心とするランプユニット(50)の回動抵抗を低減することができる。
【0033】
請求項4に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)の製造方法では、プロジェクタ型車両用前照灯(100)の前後方向に相対移動する第1金型(201)および第2金型(202)と、第1金型(201)および第2金型(202)に対してプロジェクタ型車両用前照灯(100)の上側に移動する第1スライドコマ(203,203’,203”)と、第1金型(201)および第2金型(202)に対してプロジェクタ型車両用前照灯(100)の下側に移動する第2スライドコマ(204,204’,204”)とが、ベース部材(12)を成形するための成形装置(200)に設けられている。
【0034】
更に、請求項4に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)の製造方法では、プロジェクタ型車両用前照灯(100)の上下方向に延びている回転軸(12j,12k)をベース部材(12)と一体的に成形する場合に、回転軸用凹部(203a,203a”)を有する第1スライドコマ(203,203”)と、回転軸用凹部(204a,204a”)を有する第2スライドコマ(204,204”)とが用いられる。
【0035】
一方、請求項4に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)の製造方法では、プロジェクタ型車両用前照灯(100)の上下方向に延びている回転軸(12j,12k)をベース部材(12)と一体的に成形しない場合に、回転軸用凹部(203a,203a”)を有さない第1スライドコマ(203’)と、回転軸用凹部(204a,204a”)を有さない第2スライドコマ(204’)とが用いられる。
【0036】
そのため、請求項4に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)の製造方法によれば、成形装置(200)全体を交換する必要なく、第1スライドコマ(203,203’,203”)および第2スライドコマ(204,204’,204”)のみを交換することにより、回転軸(12j,12k)を有するベース部材(12)と、回転軸(12j,12k)を有さないベース部材(12)とを容易に選択的に製造することができる。
【0037】
請求項5に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)の製造方法では、ランプユニット(50)の重心がベース部材(12)の前側部分上に位置する場合に、前側部分に回転軸用凹部(203a)を有する第1スライドコマ(203)と、前側部分に回転軸用凹部(204a)を有する第2スライドコマ(204)とが用いられる。
【0038】
また、請求項5に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)の製造方法では、ランプユニット(50)の重心がベース部材(12)の後側部分上に位置する場合に、後側部分に回転軸用凹部(203a”)を有する第1スライドコマ(203”)と、後側部分に回転軸用凹部(204a”)を有する第2スライドコマ(204”)とが用いられる。
【0039】
そのため、請求項5に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)の製造方法によれば、成形装置(200)全体を交換する必要なく、第1スライドコマ(203,203”)および第2スライドコマ(204,204”)のみを交換することにより、前側部分に回転軸(12j,12k)を有するベース部材(12)と、後側部分に回転軸(12j,12k)を有するベース部材(12)とを容易に選択的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明のプロジェクタ型車両用前照灯の第1の実施形態について説明する。図1は第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100を右側から見た概略的な断面図である。
【0041】
第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図1に示すように、例えばバルブのような光源1と、光源1からの光を反射するためのリフレクタ2と、リフレクタ2からの光の一部を遮るためのシェード3と、シェード3によって遮られなかった光を投影するための投影レンズ4とが設けられている。
【0042】
第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、例えば樹脂材料の成形によってリフレクタ2が形成され、アルミ蒸着を施すことによってリフレクタ2の反射面が形成されているが、第2の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、代わりに、例えばアルミダイキャストなどのような金属材料によってリフレクタ2を形成することも可能である。
【0043】
また、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、例えばアルミダイキャストによってシェード3が形成されているが、第3の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、代わりに、例えば板金などのような任意の材料によってシェード3を形成することも可能である。
【0044】
更に、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、投影レンズ4が例えばガラスによって形成されているが、第4の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、代わりに、例えば透明な樹脂材料などのようなガラス以外の材料によって投影レンズ4を形成することも可能である。
【0045】
また、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図1に示すように、リフレクタ2と投影レンズ4とが、ベース部材12およびレンズホルダ15を介して接続されている。
【0046】
詳細には、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、ベース部材12が、例えばアルミダイキャストなどのような金属材料によって形成されている。更に、投影レンズ4を保持するためのレンズホルダ15が、例えば樹脂材料の成形によって形成されている。つまり、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図1に示すように、レンズホルダ15とベース部材12とが別個の部材によって構成されている。
【0047】
また、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図1に示すように、シェード3が、プロジェクタ型車両用前照灯100の左右方向に延びているシェード回転軸11を中心に回動可能にベース部材12によって支持されている。
【0048】
第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、シェード3およびシェード回転軸11が別個の部材として構成されているが、第5の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、代わりに、一部材としてシェード3およびシェード回転軸11を構成することも可能である。
【0049】
更に、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図1に示すように、すれ違いビーム用配光パターン形成位置から走行ビーム用配光パターン形成位置にシェード3を回動させるためのソレノイド13が、ベース部材12の台座部12dに取り付けられている。
【0050】
また、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図1に示すように、光源1、リフレクタ2、ベース部材12、シェード回転軸11、シェード3、ソレノイド13、レンズホルダ15、投影レンズ4等を相互に接続することによってランプユニット50が構成されている。更に、ランプユニット50が、プロジェクタ型車両用前照灯100の上下方向(図1の上下方向)に延びている回転軸12j,12kを中心に回動可能にブラケット52に支持されている。また、ランプユニット50をブラケット52に対して回動させるためのアクチュエータ51が設けられている。更に、ランプユニット50とブラケット52とアクチュエータ51とからなる組立体が、ハウジング101とカバーレンズ102とによって画定される灯室103内に配置されている。詳細には、ブラケット52とハウジング101とが、エイミングスクリュー104および玉継手105を介して接続されている。
【0051】
図2は図1に示したシェード3の部品図である。詳細には、図2(A)はシェード3等の後側面図(シェード3等をプロジェクタ型車両用前照灯100の後側から見た図)、図2(B)はシェード3の右側面図(シェード3を図2(A)の左側から見た図)、図2(C)は図2(A)のA−A線に沿った断面図である。図3は図1に示したベース部材12の部品図である。詳細には、図3(A)は図1に示したベース部材12の後側面図(ベース部材12をプロジェクタ型車両用前照灯100の後側から見た図)、図3(B)は図3(A)のB−B線に沿った断面図である。
【0052】
図4は図1に示したソレノイド13の部品図である。詳細には、図4(A)はソレノイド13の右側面図(ソレノイド13をプロジェクタ型車両用前照灯100の右側から見た図)、図4(B)はソレノイド13の後側面図(ソレノイド13をプロジェクタ型車両用前照灯100の後側から見た図)、図4(C)はソレノイド13の底面図(ソレノイド13をプロジェクタ型車両用前照灯100の下側から見た図)である。
【0053】
図5はソレノイド13のプランジャ13aとシェード3とを駆動連結するためのクランクシャフト14の部品図である。詳細には、図5(A)はクランクシャフト14の平面図(クランクシャフト14をプロジェクタ型車両用前照灯100の上側から見た図)、図5(B)はクランクシャフト14の右側面図(クランクシャフト14をプロジェクタ型車両用前照灯100の右側から見た図)、図5(C)はクランクシャフト14の後側面図(クランクシャフト14をプロジェクタ型車両用前照灯100の後側から見た図)である。図6は図1に示したレンズホルダ15の部品図である。詳細には、図6(A)はレンズホルダ13の平面図(レンズホルダ15をプロジェクタ型車両用前照灯100の上側から見た図)、図6(B)はレンズホルダ15の後側面図(レンズホルダ15をプロジェクタ型車両用前照灯100の後側から見た図)、図6(C)はレンズホルダ15の底面図(レンズホルダ15をプロジェクタ型車両用前照灯100の下側から見た図)である。
【0054】
第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図1および図2に示すように、シェード3の上縁3aにより、すれ違いビーム用配光パターンのカットラインが形成される。また、シェード回転軸11が、シェード3のシェード回転軸挿入穴3bに挿入されている。更に、すれ違いビーム用配光パターン形成位置にシェード3を付勢するためのコイルばね16の一端が、シェード3のコイルばね係止部3cに係止されている。
【0055】
また、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図1、図2および図5に示すように、すれ違いビーム用配光パターン形成位置から走行ビーム用配光パターン形成位置にシェード3を回動させるために、クランクシャフト14の出力部14dが、シェード3の当接部3dに当接せしめられる。
【0056】
更に、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図1および図3に示すように、リフレクタ2からの反射光が、ベース部材12の開口12aを透過せしめられる。また、シェード回転軸11の右端部が、ベース部材12の溝12bによって回転可能に支持され、シェード回転軸11の左端部が、ベース部材12の溝12cによって回転可能に支持されている。詳細には、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、シェード回転軸11の右端部がベース部材12の溝12bに挿入され、シェード回転軸11の左端部がベース部材12の溝12cに挿入された後、蓋体(図示せず)によってベース部材12の溝12b,12cが覆われる。
【0057】
また、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図1、図3および図5に示すように、クランクシャフト14の上側被支持部14aが、ベース部材12の溝12eによって回転可能に支持され、クランクシャフト14の下側被支持部14bが、ベース部材12の溝12fによって回転可能に支持されている。詳細には、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、クランクシャフト14の上側被支持部14aがベース部材12の溝12eに挿入され、クランクシャフト14の下側被支持部14bがベース部材12の溝12fに挿入された後、蓋体(図示せず)によってベース部材12の溝12e,12fが覆われる。
【0058】
更に、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図1、図2および図3に示すように、すれ違いビーム用配光パターン形成位置にシェード3を付勢するためのコイルばね16の他端が、ベース部材12のコイルばね係止部12gに係止されている。
【0059】
また、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図1、図4および図5に示すように、クランクシャフト14の入力部14cが、ソレノイド13のプランジャ13aの溝13a1に嵌合せしめられている。
【0060】
図7はすれ違いビーム用配光パターン形成位置から走行ビーム用配光パターン形成位置にシェード3を回動させるリンク機構を説明するための図である。詳細には、図7(A)はシェード3がすれ違いビーム用配光パターン形成位置に位置している状態におけるシェード3およびクランクシャフト14の右側面図、図7(B)はシェード3がすれ違いビーム用配光パターン形成位置に位置している状態におけるクランクシャフト14およびソレノイド13の平面図、図7(C)はシェード3が走行ビーム用配光パターン形成位置に位置している状態におけるシェード3およびクランクシャフト14の右側面図、図7(D)はシェード3が走行ビーム用配光パターン形成位置に位置している状態におけるクランクシャフト14およびソレノイド13の平面図である。
【0061】
第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図7(A)および図7(B)に示すように、すれ違いビーム用配光パターンの形成時に、ソレノイド13がOFFされており、それゆえ、ソレノイド13のプランジャ13aが格納されていない。詳細には、シェード3が、コイルばね16(図2(A)参照)によってすれ違いビーム用配光パターン形成位置(図7(A)に示す位置)に付勢されている。その結果、図1および図7(A)に示すように、シェード3の上縁3aが、リフレクタ2からの反射光の光路上に配置され、すれ違いビーム用配光パターンのカットラインがシェード3の上縁3aによって形成される。
【0062】
更に、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図7(C)および図7(D)に示すように、走行ビーム用配光パターンの形成時に、ソレノイド13がONされる。そのため、図7(D)に矢印Bで示すように、ソレノイド13のプランジャ13aが格納される。その結果、図7(D)に矢印Cで示すように、クランクシャフト14が回転中心軸線CLを中心に回転せしめられる。それゆえ、クランクシャフト14の出力部14dによってシェード3の当接部3dが押動され、図7(C)に矢印Dで示すように、シェード3がシェード回転軸11(図1参照)を中心に回動せしめられる。その結果、シェード3の上縁3aが、リフレクタ2からの反射光の光路上から退避せしめられ、走行ビーム用配光パターンが形成される。
【0063】
換言すれば、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図1、図7(B)および図7(D)に示すように、ソレノイド13のプランジャ13aの移動方向がプロジェクタ型車両用前照灯100の左右方向(図1の手前−奥側方向、図7(B)および図7(D)の左右方向)になるように、ソレノイド13がベース部材12によって支持されている。そのため、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100によれば、ソレノイド13のプランジャ13aの移動方向がプロジェクタ型車両用前照灯100の前後方向(図1の左右方向)になるようにソレノイド13がベース部材12によって支持されている場合よりも、プロジェクタ型車両用前照灯100の前後方向(図1の左右方向)寸法を小型化することができる。
【0064】
更に、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図1、図3および図6に示すように、投影レンズ4を保持するレンズホルダ15とベース部材12とが別個の部材によって構成されている。詳細には、レンズホルダ15が樹脂材料によって形成され、ベース部材12が金属材料によって形成されている。そのため、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100によれば、レンズホルダ15が金属材料によって形成されている場合よりも、プロジェクタ型車両用前照灯100全体を軽量化することができる。
【0065】
また、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図1に示すように、ランプユニット50がプロジェクタ型車両用前照灯100の上下方向に延びている回転軸12j,12kを中心に回動せしめられる。更に、図3に示すように、プロジェクタ型車両用前照灯100の上下方向に延びている回転軸12j,12kとベース部材12とが一体的に形成されている。つまり、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、回転軸12j,12kが、金属材料によってベース部材12と一体的に形成されている。
【0066】
そのため、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100によれば、回転軸12j,12kが樹脂材料によって形成されるのに伴って、回転軸12j,12kの強度が不足してしまうおそれを低減することができる。
【0067】
更に、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図1に示すように、ランプユニット50の重心を含む鉛直線上あるいはその近傍にプロジェクタ型車両用前照灯100の上下方向に延びている回転軸12j,12kが配置されている。そのため、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100によれば、ランプユニット50の重心を含む鉛直線から離れた位置にプロジェクタ型車両用前照灯100の上下方向に延びている回転軸12j,12kが配置されている場合よりも、回転軸12j,12kに対してかかるモーメントを低減することができ、回転軸12j,12kを中心とするランプユニット50の回動抵抗を低減することができる。
【0068】
詳細には、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図1に示すように、ソレノイド13のほぼ真上にシェード3が配置されている。そのため、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100によれば、シェード3よりも後側(図1の右側)にソレノイド13が配置されている場合よりも、光源1からの熱によってソレノイド13が昇温してしまうおそれを低減することができる。更に、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100によれば、シェード3よりも前側(図1の左側)にソレノイド13が配置されている場合よりも、シェード3と投影レンズ4との間隔を小さくすることができる。
【0069】
つまり、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100によれば、光源1からの熱によってソレノイド13が昇温してしまうおそれを低減しつつ、シェード3と投影レンズ4との間隔を小さくすることができる。
【0070】
また、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図5(B)および図5(C)に示すように、クランクシャフト14の回転中心軸線CLがプロジェクタ型車両用前照灯100の上下方向(図5(B)および図5(C)の上下方向)に延ばされている。また、図3(A)に示すように、クランクシャフト14を回転可能に支持するための軸受部として機能する溝12e,12fがベース部材12に設けられている。更に、図3(A)および図4(B)に示すように、ソレノイド13のプランジャ13aの上側と下側とに軸受部として機能する溝12e,12fが配置されている。
【0071】
そのため、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100によれば、クランクシャフト14を回転可能に支持するための軸受部がソレノイド13のプランジャ13aの上側にのみ配置されている場合や、ソレノイド13のプランジャ13aの下側にのみ配置されている場合よりも、クランクシャフト14のこじりを低減することができ、それにより、クランクシャフト14を滑らかに回転させることができる。
【0072】
また、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図7(B)および図7(D)に示すように、ソレノイド13がON/OFFされ、ソレノイド13のプランジャ13aがプロジェクタ型車両用前照灯100の左右方向(図7(B)および図7(D)の左右方向)に移動せしめられると、回転中心軸線CLがプロジェクタ型車両用前照灯100の上下方向(図7(B)および図7(D)の手前−奥側方向)に延びているクランクシャフト14と、ソレノイド13の直動式プランジャ13aとの接点の軌跡は、プロジェクタ型車両用前照灯100の上下方向(図7(B)および図7(D)の手前−奥側方向)に延びている回転中心軸線CLを中心とする概略円弧になる。
【0073】
そのため、特開2007−213938号公報の図4に記載されたプロジェクタ型車両用前照灯のように、クランクシャフトがソレノイドの直動式プランジャの円筒状穴に嵌合せしめられると、クランクシャフトとソレノイドのプランジャとの接点が円弧上を移動することができず、クランクシャフトが滑らかに回転できなくなってしまう。
【0074】
この点に鑑み、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図7(B)および図7(D)に示すように、後側(図7(B)および図7(D)の下側)が開口している溝13a1が、ソレノイド13のプランジャ13aに形成されている。更に、クランクシャフト14がソレノイド13のプランジャ13aの溝13a1に嵌合せしめられている。
【0075】
その結果、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図7(B)および図7(D)に示すように、ソレノイド13がON/OFFされ、ソレノイド13のプランジャ13aがプロジェクタ型車両用前照灯100の左右方向(図7(B)および図7(D)の左右方向)に移動せしめられると、回転中心軸線CLがプロジェクタ型車両用前照灯100の上下方向(図7(B)および図7(D)の手前−奥側方向)に延びているクランクシャフト14とソレノイド13のプランジャ13aとの接点が、ソレノイド13のプランジャ13aに対してプロジェクタ型車両用前照灯100の前後方向(図7(B)および図7(D)の上下方向)に相対移動する。
【0076】
そのため、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100によれば、クランクシャフト14とソレノイド13のプランジャ13aとの接点が概略円弧上を移動することができ、それゆえ、クランクシャフト14を滑らかに回転させることができる。
【0077】
また、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図7(B)および図7(D)に示すように、ソレノイド13がON/OFFされ、クランクシャフト14が回転せしめられると、回転中心軸線CLがプロジェクタ型車両用前照灯100の上下方向(図7(A)および図7(C)の左右方向)に延びているクランクシャフト14と、シェード3との接点の軌跡の平面視が概略円弧になる(つまり、図7(B)および図7(D)におけるクランクシャフト14の出力部14dの軌跡が概略円弧になる)。更に、図7(A)および図7(C)に示すように、クランクシャフト14と、シェード回転軸11(図1参照)がプロジェクタ型車両用前照灯100の左右方向に延びているシェード3との接点の軌跡の側面視も概略円弧になる。
【0078】
そのため、特開2007−213938号公報の図4に記載されたプロジェクタ型車両用前照灯のように、クランクシャフトがシェードの溝に嵌合せしめられると、クランクシャフトとシェードとの接点の側面視が円弧上を移動することができず、クランクシャフトおよびシェードが滑らかに回転できなくなってしまう。
【0079】
この点に鑑み、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図2(B)および図2(C)に示すように、シェード3のうち、クランクシャフト14の出力部14d(図7参照)に当接する当接部3dが、プロジェクタ型車両用前照灯100の左右方向(図2(B)および図2(C)の手前−奥側方向)に延びている概略半円柱の概略半円筒面によって構成されている。
【0080】
その結果、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図7(A)および図7(C)に示すように、ソレノイド13がON/OFFされ、クランクシャフト14が回転せしめられると、クランクシャフト14の出力部14dとシェード3との接点が、シェード3の当接部3dの概略半円筒面上を移動する。
【0081】
そのため、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100によれば、クランクシャフト14の出力部14dとシェード3の当接部3dとの接点の軌跡の平面視を概略円弧にすると共に、クランクシャフト14の出力部14dとシェード3の当接部3dとの接点の軌跡の側面視を概略円弧にすることができ、それゆえ、クランクシャフト14およびシェード3を滑らかに回転させることができる。
【0082】
図8は第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100のベース部材12を成形するための成形装置200を概略的に示した図である。図8に示すように、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100のベース部材12の成形に用いられる成形装置200には、プロジェクタ型車両用前照灯100の前後方向(図8の左右方向)に相対移動する金型201および金型202が設けられている。更に、金型201,202に対してプロジェクタ型車両用前照灯100の上側(図8の上側)に移動するスライドコマ203と、金型201,202に対してプロジェクタ型車両用前照灯100の下側(図8の下側)に移動するスライドコマ204とが設けられている。
【0083】
詳細には、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100のベース部材12の成形に用いられる成形装置200では、図8に示すように、プロジェクタ型車両用前照灯100の上側(図8の上側)に延びている回転軸12jをベース部材12と一体的に成形するための回転軸用凹部203aが、スライドコマ203に形成されている。更に、プロジェクタ型車両用前照灯100の下側(図8の下側)に延びている回転軸12kをベース部材12と一体的に成形するための回転軸用凹部204aが、スライドコマ204に形成されている。
【0084】
図9は第6の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100を右側から見た概略的な断面図である。第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図1に示すように、ベース部材12とハウジング101とが、ベース部材12の回転軸12i,12k、ブラケット52、エイミングスクリュー104および玉継手105を介して接続されているが、第6の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図9に示すように、ベース部材12とハウジング101とが、エイミングスクリュー104および玉継手105を介して接続されている。
【0085】
つまり、第6の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図9に示すように、ブラケット52(図1参照)が設けられておらず、ベース部材12に回転軸12i,12k(図1参照)が形成されていない。
【0086】
図10は第6の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100のベース部材12を成形するための成形装置200を概略的に示した図である。図8および図10に示すように、第6の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100のベース部材12を成形するための成形装置200(図10参照)として、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100のベース部材12を成形するための成形装置200(図8参照)と同一のものが用いられる。
【0087】
詳細には、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100のベース部材12の成形時には、図8に示すように、回転軸用凹部203aを有するスライドコマ203、および、回転軸用凹部204aを有するスライドコマ204が用いられるのに対し、第6の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100のベース部材12の成形時には、図10に示すように、回転軸用凹部を有さないスライドコマ203’、および、回転軸用凹部を有さないスライドコマ204’が用いられる。
【0088】
つまり、成形装置200の金型201,202は、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100のベース部材12(図8参照)の成形時、および、第6の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100のベース部材12(図10参照)の成形時の両方で、交換されることなく、用いられる。
【0089】
図11は第7の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100のベース部材12を成形するための成形装置200を概略的に示した図である。図8および図11に示すように、第7の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100のベース部材12を成形するための成形装置200(図11参照)として、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100のベース部材12を成形するための成形装置200(図8参照)と同一のものが用いられる。
【0090】
詳細には、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図1および図8に示すように、ランプユニット50の重心がベース部材12の前側(図1の左側)部分上に配置されている。そのため、図8に示すように、前側(図8の左側)部分に回転軸用凹部203aを有するスライドコマ203と、前側(図8の左側)部分に回転軸用凹部204aを有するスライドコマ204とが用いられる。
【0091】
一方、第7の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100では、図11に示すように、ランプユニット50の重心がベース部材12の後側部分上に配置されている。そのため、図11に示すように、後側(図11の右側)部分に回転軸用凹部203a”を有するスライドコマ203”と、後側(図11の右側)部分に回転軸用凹部204a”を有するスライドコマ204”とが用いられる。
【0092】
つまり、成形装置200の金型201,202は、第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100のベース部材12(図8参照)の成形時、および、第7の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100のベース部材12(図11参照)の成形時の両方で、交換されることなく、用いられる。
【0093】
換言すれば、プロジェクタ型車両用前照灯100の仕様変更により、ベース部材12の回転軸12i,12kの位置が変更される場合であっても、成形装置200の金型201,202を交換することなく、そのまま用いることができる。
【0094】
また、プロジェクタ型車両用前照灯100の仕様変更により、光源1、光源1に接続されるイグナイタ(図示せず)、リフレクタ2、あるいは、投影レンズ4が変更されるのに伴って、ランプユニット50の重心位置が変更され、ベース部材12の回転軸12i,12kの位置が変更される場合であっても、成形装置200の金型201,202を交換することなく、そのまま用いることができる。
【0095】
第8の実施形態では、第1から第7の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100を右側から見た概略的な断面図である。
【図2】図1に示したシェード3の部品図である。
【図3】図1に示したベース部材12の部品図である。
【図4】図1に示したソレノイド13の部品図である。
【図5】ソレノイド13のプランジャ13aとシェード3とを駆動連結するためのクランクシャフト14の部品図である。
【図6】図1に示したレンズホルダ15の部品図である。
【図7】すれ違いビーム用配光パターン形成位置から走行ビーム用配光パターン形成位置にシェード3を回動させるリンク機構を説明するための図である。
【図8】第1の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100のベース部材12を成形するための成形装置200を概略的に示した図である。
【図9】第6の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100を右側から見た概略的な断面図である。
【図10】第6の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100のベース部材12を成形するための成形装置200を概略的に示した図である。
【図11】第7の実施形態のプロジェクタ型車両用前照灯100のベース部材12を成形するための成形装置200を概略的に示した図である。
【符号の説明】
【0097】
1 光源
2 リフレクタ
3 シェード
3a 上縁
3b シェード回転軸挿入穴
3c コイルばね係止部
3d 当接部
4 投影レンズ
11 シェード回転軸
12 ベース部材
12a 開口
12b,12c 溝
12d 台座部
12e,12f 溝
12g コイルばね係止部
12j,12k 回転軸
13 ソレノイド
13a プランジャ
13a1 溝
14 クランクシャフト
14a 上側被支持部
14b 下側被支持部
14c 入力部
14d 出力部
15 レンズホルダ
16 コイルばね
50 ランプユニット
51 アクチュエータ
52 ブラケット
100 プロジェクタ型車両用前照灯
101 ハウジング
102 カバーレンズ
103 灯室
104 エイミングスクリュー
105 玉継手
200 成形装置
201,202 金型
203,203’,203” スライドコマ
203a,203a” 回転軸用凹部
204,204’,204” スライドコマ
204a,204a” 回転軸用凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源(1)と、光源(1)からの光を反射するためのリフレクタ(2)と、リフレクタ(2)からの光の一部を遮るためのシェード(3)と、シェード(3)によって遮られなかった光を投影するための投影レンズ(4)とを具備するプロジェクタ型車両用前照灯(100)において、
プロジェクタ型車両用前照灯(100)の左右方向に延びているシェード回転軸(11)と、
シェード回転軸(11)を中心にシェード(3)を回動可能に支持するためのベース部材(12)と、
すれ違いビーム用配光パターン形成位置から走行ビーム用配光パターン形成位置にシェード(3)を回動させるためのソレノイド(13)と、
ソレノイド(13)とシェード(3)とを駆動連結するためのクランクシャフト(14)とを設け、
ソレノイド(13)のプランジャ(13a)の移動方向がプロジェクタ型車両用前照灯(100)の左右方向になるように、ソレノイド(13)をベース部材(12)によって支持し、
投影レンズ(4)を保持するレンズホルダ(15)とベース部材(12)とを別個の部材によって構成し、
レンズホルダ(15)を樹脂材料によって形成し、ベース部材(12)を金属材料によって形成したことを特徴とするプロジェクタ型車両用前照灯(100)。
【請求項2】
光源(1)とリフレクタ(2)とベース部材(12)とレンズホルダ(15)とシェード(3)と投影レンズ(4)とを相互に接続することによってランプユニット(50)を構成し、
プロジェクタ型車両用前照灯(100)の上下方向に延びている回転軸(12j,12k)を中心にランプユニット(50)を回動させ、
プロジェクタ型車両用前照灯(100)の上下方向に延びている回転軸(12j,12k)とベース部材(12)とを一体的に形成したことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)。
【請求項3】
ランプユニット(50)の重心を含む鉛直線上あるいはその近傍にプロジェクタ型車両用前照灯(100)の上下方向に延びている回転軸(12j,12k)を配置したことを特徴とする請求項2に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)。
【請求項4】
プロジェクタ型車両用前照灯(100)の前後方向に相対移動する第1金型(201)および第2金型(202)と、第1金型(201)および第2金型(202)に対してプロジェクタ型車両用前照灯(100)の上側に移動する第1スライドコマ(203,203’,203”)と、第1金型(201)および第2金型(202)に対してプロジェクタ型車両用前照灯(100)の下側に移動する第2スライドコマ(204,204’,204”)とを、ベース部材(12)を成形するための成形装置(200)に設け、
プロジェクタ型車両用前照灯(100)の上下方向に延びている回転軸(12j,12k)をベース部材(12)と一体的に成形する場合には、回転軸用凹部(203a,203a”)を有する第1スライドコマ(203,203”)と、回転軸用凹部(204a,204a”)を有する第2スライドコマ(204,204”)とを用い、
プロジェクタ型車両用前照灯(100)の上下方向に延びている回転軸(12j,12k)をベース部材(12)と一体的に成形しない場合には、回転軸用凹部(203a,203a”)を有さない第1スライドコマ(203’)と、回転軸用凹部(204a,204a”)を有さない第2スライドコマ(204’)とを用いることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)の製造方法。
【請求項5】
ランプユニット(50)の重心がベース部材(12)の前側部分上に位置する場合には、前側部分に回転軸用凹部(203a)を有する第1スライドコマ(203)と、前側部分に回転軸用凹部(204a)を有する第2スライドコマ(204)とを用い、
ランプユニット(50)の重心がベース部材(12)の後側部分上に位置する場合には、後側部分に回転軸用凹部(203a”)を有する第1スライドコマ(203”)と、後側部分に回転軸用凹部(204a”)を有する第2スライドコマ(204”)とを用いることを特徴とする請求項4に記載のプロジェクタ型車両用前照灯(100)の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−277495(P2009−277495A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127383(P2008−127383)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】