二次電池
【課題】大型の蓄電素子を水平に装填した自動車用二次電池構造において、耐衝撃性、耐振動性を向上させた構造を有する二次電池を提供する。
【解決手段】非水系電解液を有する少なくとも複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、隣接する複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ底面には、弾性部材が設けられ、蓄電素子は、弾性部材の付勢により側面および上蓋の少なくとも一方に押圧されている。または、隣接する複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ蓄電素子の頂面と上蓋との間には、弾性部材が設けられ、蓄電素子は、弾性部材の付勢により側面および底面の少なくとも一方に押圧されている。さらには、上部および下部の弾性部材が共に設けられ、蓄電素子は、これらの付勢により押圧されている。
【解決手段】非水系電解液を有する少なくとも複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、隣接する複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ底面には、弾性部材が設けられ、蓄電素子は、弾性部材の付勢により側面および上蓋の少なくとも一方に押圧されている。または、隣接する複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ蓄電素子の頂面と上蓋との間には、弾性部材が設けられ、蓄電素子は、弾性部材の付勢により側面および底面の少なくとも一方に押圧されている。さらには、上部および下部の弾性部材が共に設けられ、蓄電素子は、これらの付勢により押圧されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば自動車駆動用電源に用いて好適な二次電池に係り、特に、電池の耐衝撃性、耐振動性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用のリチウムイオン二次電池においては、それぞれ正極、負極および電解液を有する単電池(セル)が複数個直列に配置されて組電池を形成し、充放電制御のためのセルコントローラが接続され、必要な電圧が得られるようにバッテリーモジュールを形成する。
【0003】
このような二次電池の単電池には、巻回した蓄電素子、あるいは、平板状の電極とセパレータを積層した蓄電素子を、円筒型のケースに収納したものや、角型、扁平型のケースに収納したものがある。
【0004】
巻回した蓄電素子を角型ケースに収納する場合、蓄電素子の両端部から導出される正極側および負極側の集電箔は重ねられ、それぞれ正極側および負極側の集電体(リード)に溶接され、ケースに収納される。このような電池が自動車等に搭載される際は、電池ケース自体あるいは電池ケースの外部に導出されている電極端子によって自動車等に対して固定される。
【0005】
しかしながら、ケース内部の蓄電素子は、集電箔によって電極端子と電気的に接続されてはいるものの、ケースあるいは電極端子に対して固定されておらず、ケース内で懸垂された状態なので、自動車の振動により集電箔とリードの溶接部に負荷が加わる。この集電箔は、蓄電素子と電極端子を電気的に接続する箔状の部材であるので、振動に弱い。このような振動は、二次電池が小型蓄電素子である場合は、軽量であり問題とならないが、自動車用の大型蓄電素子となると、その集電箔に加わる応力は大きく、亀裂が入り切断の恐れがある。
【0006】
このような課題に対して、蓄電素子から導出される集電箔の長さを延長し、たわみを持たせた状態で電極端子に固定することによって振動を吸収させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この技術では、集電箔にたわみの無い電池と比較した場合は耐振動性は向上しているものの、集電箔自体に加わる応力は緩和されず、長期間使用する場合あるいは大型電池に採用する場合には、十分な振動への対策をすることはできない。
【0007】
また、円筒型電池においては、蓄電素子自身を膨張させて、ケースに蓄電素子を押し付けて、耐振動性を向上させる方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、角型電池に入る扁平蓄電素子では、巻き芯が無く、均一に径方向に膨張圧が発生しないため、ケース内での拘束に際して十分な蓄電素子の固定ができない。
【0008】
さらに、角型電池においては、蓄電素子の膨張を拘束するためにケース面での押し付けやケース面の形状変更を行って、蓄電素子を拘束する技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、自動車用電池等の大型電池の場合はケース厚さが0.5mm以上となり、これ以上厚さが大きくなると、ケース面の形状変形はケースの破断を招く可能性があり好ましない。さらに、ケース変形で蓄電素子を拘束する構造は、生産性が低下してコストが上昇するという問題がある。
【0009】
ところで近年は、蓄電素子の正負の集電箔間方向を水平にして充填した場合の溶接構造についても検討されており、蓄電素子から正負の集電箔をそれぞれ左右に露出させ、各極で集電箔を重ねてリードプレートに溶接する技術が知られている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、上記の方法では銅箔またはアルミ箔を束ねたて溶接するため、蓄電素子が大型となりアルミ箔の重ね合わせの厚みが多くなると、リードプレートと接する最上部のアルミ箔の集電体の部分には金属疲労が残り、リチウムイオン電池では、機械的な衝撃や振動により、タブの端部付近で、アルミ箔集電体が破断する可能性がある。特に、高エネルギー密度化するために電極箔を薄肉すると溶接部の耐振動性に不安があり、最悪は断線の恐れがある。
【0010】
耐振動性の溶接手法については特許文献5に記載の技術が知られているが、この文献には、振動の発生自体を抑制する方法については記載されていない。特に、自動車用大型電池になると、電極群が大きくなり重量が大きくなる。蓄電素子を水平に配置する構造の場合、蓋に極板群をぶら下げ担持させる構造になっており、これを自動車用電池として用いると、上下方向への振動により、リードと集電箔接合部の振動、耐久性に問題がある。巻型構造上部には、接続端子があり、この凸部に蓄電素子が接触により蓄電素子の保護フィルムを傷つけるなどの可能性がある。
【0011】
このように、大型の蓄電素子を水平に装填した自動車用二次電池構造において、耐衝撃性、耐振動性を満足するものはなく、これら性能の向上が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平9−92338号公報
【特許文献2】特開2001−273933号公報
【特許文献3】特開2006−40879号公報
【特許文献4】特開2009−032670号公報
【特許文献5】特開2009−134971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたもので、大型の蓄電素子を水平に装填した自動車用二次電池構造において、耐衝撃性、耐振動性を向上させた構造を有する二次電池を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の二次電池は、非水系電解液を有する少なくとも複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、隣接する複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ底面には、弾性部材が設けられ、蓄電素子は、弾性部材の付勢により側面および上蓋の少なくとも一方に押圧されていることを特徴としている。
【0015】
上記構成の二次電池にあっては、弾性部材により蓄電素子が電池ケースの側面方向および/または上蓋方向に押し付けられ、弾性部材と電池ケース側面および/または上蓋とに保持されているので、耐振動性が向上し、蓄電素子と端子とをつなぐ集電箔の破損を防止することができる。また、電池ケースと蓄電素子とが接触しているため、蓄電素子から発生する熱は電池ケースに伝導して放散し、放熱効率が向上する。
【0016】
本発明の二次電池においては、弾性部材は、第1水平部と、第1水平部の両端からそれぞれ斜め方向に延在する連結部と、各連結部端部からそれぞれ第1水平部と平行な方向に延在する第2水平部とからなり、蓄電素子は、弾性部材の連結部および第2水平部に接触することによって押圧されていることを好ましい態様としている。
【0017】
上記構成の二次電池にあっては、蓄電素子が弾性部材の連結部および第2水平部の両方に接触しているので、蓄電素子は連結部から斜め方向に付勢され、電池ケース側面方向及び上蓋方向の両方に押し付けられる。このように、蓄電素子が弾性部材、電池ケース上蓋及び側面の3点により保持されるため、耐振動性がより向上する。また、接触する箇所が3点であるため、放熱効率もより向上する。
【0018】
本発明の二次電池においては、電池ケースは、側面と底面とを連結する角部において、ケース外部から内部に向かって延出する延出部を有し、蓄電素子は、延出部に接触していることを好ましい態様としている。
【0019】
上記構成の二次電池にあっては、従来支持されていなかった角部において肉厚の延出部が設けられて支持されているので、ケース角部の強度を向上させるのみならず、蓄電素子の電池ケースに対する接触部が増え、耐振動性がより向上する。また、延出部によって電池ケースの底面の空間が小さくなるため、同量の電解液を注入した場合に液面が高くなり、また、電極やセパレータへの吸液性が向上して含浸時間の短縮が図れる。
【0020】
本発明の二次電池においては、延出部は、蓄電素子の形状に沿う形状であることを好ましい態様としている。
【0021】
上記構成の二次電池にあっては、延出部が直線であって一点で支持する場合と比較して、延出部が曲線を描いて蓄電素子の外周形状に沿っているので、幅を持った領域で蓄電素子が支持されて、耐振動性がより向上する。
【0022】
本発明の二次電池は、非水系電解液を有する少なくとも複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、隣接する複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ蓄電素子の頂面と上蓋との間には、弾性部材が設けられ、蓄電素子は、弾性部材の付勢により側面および底面の少なくとも一方に押圧されていることを特徴としている。
【0023】
上記構成の二次電池にあっては、弾性部材により蓄電素子が電池ケースの側面方向および/または底面方向に押し付けられ、弾性部材と電池ケース側面および/または底面とに保持されているので、耐振動性が向上し、蓄電素子と端子とをつなぐ集電箔の破損を防止することができる。また、電池ケースと蓄電素子とが接触しているため、蓄電素子から発生する熱は電池ケースに伝導して放散し、放熱効率が向上する。
【0024】
本発明の二次電池においては、弾性部材は、第1水平部と、第1水平部の両端からそれぞれ斜め方向に延在する連結部と、各連結部端部からそれぞれ第1水平部と平行な方向に延在する第2水平部とからなり、蓄電素子は、弾性部材の連結部および第2水平部に接触することによって押圧されていることを好ましい態様としている。
【0025】
上記構成の二次電池にあっては、蓄電素子が弾性部材の連結部および第2水平部の両方に接触しているので、蓄電素子は連結部から斜め方向に付勢され、電池ケース側面方向及び底面方向の両方に押し付けられる。このように、蓄電素子が弾性部材、電池ケース底面及び側面の3点により保持されるため、耐振動性がより向上する。また、接触する箇所が3点であるため、放熱効率もより向上する。
【0026】
本発明の二次電池においては、弾性部材は、第1水平部と、第1水平部の両端からそれぞれ斜め方向に延在する連結部と、各連結部端部からそれぞれ第1水平部と平行な方向に延在する第2水平部とからなり、蓄電素子は、蓄電素子が弾性部材の第2水平部に接触し、かつ上蓋が弾性部材の第1水平部に接触することによって押圧されていることを好ましい態様としている。
【0027】
上記構成の二次電池においても、蓄電素子が弾性部材の第2水平部に接触しているので、蓄電素子は第2水平部から電池ケース底面方向に付勢され、押し付けられる。このように、蓄電素子が弾性部材、電池ケース底面の2点により保持されるため、耐振動性が向上し、放熱効率も向上する。
【0028】
本発明の二次電池は、非水系電解液を有する少なくとも複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、蓄電素子の頂面には、電池ケースに固定された板状部材が設けられ、この板状部材によって側面および底面の少なくとも一方に押圧されていることを特徴としている。
【0029】
上記構成の二次電池においても、蓄電素子が板状部材に接触しているので、蓄電素子は板状部材から電池ケース底面方向に付勢され、押し付けられる。このように、蓄電素子が板状部材、電池ケース底面の2点により保持されるため、耐振動性が向上し、放熱効率も向上する。
【0030】
本発明の二次電池は、非水系電解液を有する少なくとも複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、隣接する複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ蓄電素子の頂面と上蓋との間には、上部弾性部材が設けられ、隣接する複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ底面には、下部弾性部材が設けられ、蓄電素子は、上部弾性部材および下部弾性部材の付勢により押圧されていることを特徴としている。
【0031】
上記構成の二次電池にあっては、蓄電素子の上下にそれぞれ弾性部材が設けられているから、上下の弾性部材により蓄電素子が電池ケースの側面方向、上蓋方向および底面方向に押し付けられ、上下の弾性部材と電池ケース側面とに強固に保持されているので、耐振動性および放熱効率がさらに向上する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、蓄電素子を電池ケースに対して確実に固定することができ、集電箔の破損を抑制し、蓄電素子の耐振動性および放熱効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る単電池を示す透視図であり、(a)は全体の斜視図、(b)は側面図、(c)は下部を拡大した斜視図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る単電池の下部を示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る単電池の下部を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る単電池の下部を示す断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る単電池を示す透視図であり、(a)は全体の斜視図、(b)は側面図、(c)は上部を拡大した斜視図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る単電池を示す透視図であり、(a)は全体の斜視図、(b)は側面図、(c)は上部を拡大した斜視図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る単電池の上部を示す透視斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る単電池の変更例を示す断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る単電池の変更例を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る単電池の変更例を示す断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る単電池の変更例を示す断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る単電池の変更例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
第1実施形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る単電池を示す透視図であり、(a)は全体の斜視図、(b)は側面図、(c)は下部を拡大した斜視図である。単電池は、公知のリチウムイオン二次電池等であって、電池ケース10および電池蓋11を有する。電池ケース10内には、電解液が含浸された巻回体等からなる蓄電素子24と、蓄電素子24の両端から導出された正負の集電箔に接続された正極リード板21および負極リード板23とが収容されている。正極リード板21および負極リード板23のそれぞれには、電池蓋11を貫通して正極端子20および負極端子22が電池外部に設けられている。
【0035】
電池ケース10の底面には、支持部材13が設けられており、支持部材13上には、弾性部材30が設けられている。弾性部材30は、金属や樹脂によって形成された板バネであり、支持部材によって支持される中央部分の第1水平部30aと、そこから両側に斜め方向に延在する連結部30bと、そこから水平方向に延在する第2水平部30cとから構成されており、弾性部材30には、蓄電素子24が接触している。なお、短絡防止のため、弾性部材30が金属製である場合は、樹脂によって被覆される。
【0036】
蓄電素子24は、弾性部材30の連結部30cと第2水平部30bに接触しており、第2水平部30bから上方向の弾性力を受け、連結部30bから斜め上方への弾性力を受けている。このため、蓄電素子24は、電池ケース10の側面および電池蓋11に押し付けられている。
【0037】
上記構成の第1実施形態の単電池によれば、弾性部材の付勢により蓄電素子が電池ケースの側面方向および電池蓋方向に押し付けられ、弾性部材と電池ケース側面および電池蓋とに保持されているので、搭載している自動車等に衝撃や振動が発生した場合であっても、電池ケースと蓄電素子が一体となって振動し、集電箔に応力が加わることが抑制され、集電箔の破損を防止することができる。また、電池ケースと蓄電素子とが接触しているため、蓄電素子から発生する熱は電池ケースに伝導して放散し、放熱効率が向上する。
【0038】
図2は、第1実施形態の変形例を示す断面図である。この態様では、電池ケース10底面の支持部材14は、電池ケース10を肉厚に形成することにより一体化されて形成されている。また、電池ケース10の角部も、他の部分より肉厚に形成された延出部Aとなっている。
【0039】
上記構成の単電池によれば、蓄電素子24が延出部Aに接触しており、蓄電素子24は、電池ケース側面、電池蓋および弾性部材に加えて角部においても支持されているので、耐衝撃性、耐振動性および放熱効率がより向上する。また、角部が肉厚に形成されているので、電池ケース自体の強度も向上する。
【0040】
図3は、弾性部材30の変更例を示す断面図である。弾性部材31は、前述の板バネ構造を有するものに限定されず、衝撃吸収効果を持つ樹脂を図3に示すように電池ケース底面に沿ってクッションのように敷くことによって、本発明の効果を得ることもできる。
【0041】
図4は、第1実施形態のさらなる変更例を示す断面図である。この態様では、電池ケース10の角部が、蓄電素子24の外形に沿った曲面を有する延出部Cとなっている。
【0042】
上記構成の単電池によれば、断面が直線で形成され一点で蓄電素子24を支持する延出部Aと比較して、断面が蓄電素子の外形に沿った曲線で形成されて幅を持った領域全体で蓄電素子24を支持しているので、耐衝撃性、耐振動性、放熱効率および電池ケースの強度がより向上するのに加え、衝撃や振動が加わった際に力が蓄電素子の一点に集中することを抑制し、力を分散させるので、蓄電素子24に過度の応力が加わることを抑制することができる。
【0043】
なお、上記では、蓄電素子が2個の例を挙げて説明をしたが、本実施形態においては蓄電素子の個数は2個に限定されるものではなく、例えば図8に示すように、3個の蓄電素子を備えた単電池において、蓄電素子同士の間に支持部材13および弾性部材30をそれぞれ設ける態様とすることもできる。また、4個以上の蓄電素子の場合でも同様である。さらに、図12(a)に示すように、蓄電素子が1個の場合において、その底部に弾性部材34を設けることもできる。
【0044】
第2実施形態
図5は、本発明の第2実施形態に係る単電池を示す透視図であり、(a)は全体の斜視図、(b)は側面図、(c)は上部を拡大した斜視図である。第2実施形態以下の各実施形態では、第1実施形態と符号が同一の構成要素については第1実施形態に準じるため説明を省略し、変更点についてのみ説明する。
【0045】
本実施形態においては、電池ケース10の上部であって蓄電素子24と電池蓋11との間には、支持部材15が設けられており、支持部材15の下面には、弾性部材32が設けられている。弾性部材32は、金属や樹脂によって形成された板バネであり、弾性部材30と同様、支持部材によって支持される中央部分の第1水平部32aと、そこから両側に斜め方向に延在する連結部32cと、そこから水平方向に延在する第2水平部32bとから構成されており、弾性部材32には、蓄電素子24の上面が接触している。
【0046】
蓄電素子24は、弾性部材32の連結部32cと第2水平部32bに接触しており、第2水平部32bから下方向の弾性力を受け、連結部32cから斜め下方への弾性力を受けている。このため、蓄電素子24は、電池ケース10の側面および底面に押し付けられている。
【0047】
上記構成の第2実施形態の単電池によれば、弾性部材の付勢により蓄電素子が電池ケースの側面方向および底面方向に押し付けられ、弾性部材と電池ケース側面および底面とに保持されているので、搭載している自動車等に衝撃や振動が発生した場合であっても、電池ケースと蓄電素子が一体となって振動し、集電箔に応力が加わることが抑制され、集電箔の破損を防止することができる。また、電池ケースと蓄電素子とが接触しているため、蓄電素子から発生する熱は電池ケースに伝導して放散し、放熱効率が向上する。
【0048】
図6は、第2実施形態の変更例を示す透視図であり、(a)は全体の斜視図、(b)は側面図、(c)は上部を拡大した斜視図である。この態様では、支持部材を介することなく、蓄電素子24の上面に弾性部材32と同様ではあるが設置方向が逆の弾性部材33が設けられている。蓄電素子24は、弾性部材33の第2水平部33bのみに接触しており、また、電池蓋11は、弾性部材33の第1水平部33aに直接接している。蓄電素子24は、第2水平部32bから下方向の弾性力を受けており、このため、蓄電素子24は、電池ケース10の底面に押し付けられている。
【0049】
上記構成の単電池によれば、弾性部材の付勢により蓄電素子が電池ケースの底面方向に押し付けられ、弾性部材と電池ケース底面とに保持されているので、搭載している自動車等に衝撃や振動が発生した場合であっても、電池ケースと蓄電素子が一体となって振動し、集電箔に応力が加わることが抑制され、集電箔の破損を防止することができる。また、電池ケースと蓄電素子とが接触しているため、蓄電素子から発生する熱は電池ケースに伝導して放散し、放熱効率が向上する。
【0050】
図7は、第2実施形態のさらなる変更例を示す透視斜視図である。この態様では、電池ケース16の上部に孔部17が形成されており、押圧板34が、固定用突起35を孔部17に挿入して固定されている。また、押圧板34の下面には、蓄電素子の状面が固定されている。
【0051】
上記構成の単電池によれば、押圧板の押圧により蓄電素子が電池ケースの底面方向に押し付けられ、弾性部材と電池ケース底面とに保持されているので、搭載している自動車等に衝撃や振動が発生した場合であっても、電池ケースと蓄電素子が一体となって振動し、集電箔に応力が加わることが抑制され、集電箔の破損を防止することができる。また、電池ケースと蓄電素子とが接触しているため、蓄電素子から発生する熱は電池ケースに伝導して放散し、放熱効率が向上する。
【0052】
本実施形態においても、蓄電素子の個数は2個に限定されるものではなく、例えば図9〜11に示すように、3個の蓄電素子を備えた単電池において、蓄電素子同士の間に支持部材15および弾性部材32、33をそれぞれ設ける態様や、押圧板34を設ける態様とすることもできる。また、4個以上の蓄電素子の場合でも同様である。さらに、図12(b)に示すように、蓄電素子が1個の場合において、その上部に弾性部材35を設けることもできる。
【0053】
第3実施形態
本発明では、上述した第1および第2実施形態を組み合わせた構造、すなわち蓄電素子の下部および上部の両方に弾性部材を設けた構造を有する単電池をも含む。このような構造を有する第3実施形態の単電池によれば、下部弾性部材の付勢により蓄電素子が電池ケースの側面方向および電池蓋方向に押し付けられ、また、上部弾性部材の付勢により蓄電素子が電池ケースの側面方向および底面方向に押し付けられる。このように、蓄電素子は、上下の弾性部材および電池ケース側面により強固に保持されているので、耐衝撃性、耐振動性および放熱効率は、第1および第2実施形態のいずれよりもさらに向上する。
【0054】
本実施形態においても、蓄電素子の個数は2個に限定されるものではなく、例えば3個以上の蓄電素子の蓄電素子を備えた単電池において、蓄電素子同士の間にそれぞれ上部弾性部材および下部弾性部材をそれぞれ設ける態様とすることもできる。さらに、図12(c)に示すように、蓄電素子が1個の場合において、上部弾性部材35および下部弾性部材34を設けることもできる。
【0055】
以下、本発明の各構成要素について詳細に説明する。
シート状正極層
蓄電素子を構成する正極層は、アルミニウムからなる正極集電体の両面に正極材料が結着した構造を有する。本実施例の正極材料としては、Li酸化物粉末を用い、導電フィラーとして、アセチレンブラック、ケッチエンブラック、VGCFなど挙げられる。
【0056】
シート状負極層
蓄電素子を構成する負極層は、銅などからなる負極集電体の両面に負極材料が結着した構造を有する。本実施例の負極材料としては、リチウムイオンを吸蔵放出する炭素材料やLiと金属化合物を形成するSn、Pb、Coなどの合金を用いることができる。炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、活性炭、600〜1200℃で焼成した低温炭素体(例えば、易黒鉛性炭素前駆体として、ピッチ、メソフェーズピッチ、または難黒鉛化性炭素前駆体として、フェノール樹脂、キシレン樹脂、PPS、セルロース等)を不活性雰囲気中で熱処理して合成した炭素などが挙げられる。
【0057】
シート状セパレータ層
蓄電素子を構成するセパレータ層は、ポリオレフィン系微多孔質セパレータ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンや不織布セパレータ、例えば、ポリエステル繊維、アラミド繊維を用いることができる。
【0058】
非水電解液
非水溶媒としては、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、スルホラン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン等を挙げることができる。非水溶媒は、単独で使用しても、2種以上混合して使用しても良い。電解質としては、例えば過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ素リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO3)2]等のリチウム塩を挙げることができる。電解質は、単独で使用しても、2種以上混合して使用しても良い。電解質の非水溶媒に対する溶解量は、通常は0.2mol/L〜2mol/L程度である。 またLiTFSIを混合してもよい。加えて、電解液の保持する、ゲル電解質としてもよくその保持材料としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ビニリデンフロライド(VdF)やヘキサフルオロプロピレン(HFP)またはその誘導体、または共重合体を用いることができる。
【0059】
蓄電素子作製
円筒、扁平巻でも積層形でも可能であるが、本発明は捲回型の蓄電素子、特に扁平形状の捲回蓄電素子に好適である。特に、扁平形蓄電素子の場合は、蓄電素子を複数配列すると、R部の割合を少なくすることができ、角型ケースへの体積充填効率が向上できる。
【0060】
電極端子
正極端子および負極端子の電極端子には、銅、ニッケル、アルミニウム、ステンレスといった金属またはこれらを含む合金やこれら金属を母材にしてニッケルメッキを施したものが使用可能である。集電箔と端子部分の接合面積を稼ぐためには、板状であることが好ましい。
【0061】
弾性部材
セルケースの底面部および/または上部において蓄電素子を支持する弾性部材は、金属、セラミック、樹脂、ゴムのいずれを用いてもよい。金属部品ではSUS、Alが使用できる。内部短絡防止の観点から、金属部品を用いる場合は、ケースに対して絶縁されていることが必須であり、樹脂、PVCテープなどにより被覆されていることが好ましい。樹脂部品ではバネ弾性を持つフェノール樹脂、PPS、エポキシ樹脂など熱硬化性樹脂、PVCが好ましい。特に板バネ構造の場合は、蓄電素子の下面がケースから離れていることで、振動、衝撃を吸収することができ、耐衝撃性に効果がある。また、弾性体は発泡ウレタンやアクリルなど衝撃吸収効果を持つ樹脂、さらには、SBR、EPDMなどの耐電解液性の高い、ゴム部材を用いても良い。また、弾性部材は、上ばね、下ばねが共にあることが望ましいが、どちらか一方が弾性部材であれば、他方は弾性部材でなくともよい。
【0062】
電池ケース
底面部の形状を加工するには、アルミ、ステンレス合金、樹脂を用いることができるが、インパクト成型、トランスファープレス加工によって作製したアルミニウム合金が好ましい。ケース底面部の加工は外側もしくは内側でR10.0mm以上R90.0mm以下が好ましい。ケースは、蓄電素子と密着する構造が好ましく、これによりケース底面の空間が少なくなり、電解液を注液した際の、液面が上昇するので蓄電素子吸収が改善され含浸時間を短くできる効果がある。
【0063】
以上説明したように、本発明によれば、電池ケース底面あるいは上部に弾性部材を設けてその反力を利用し蓄電素子を保持する構造のため耐振動性を向上させることができる。同時に、蓄電素子が浮いている構造となるため、落下等の衝撃に対して内部蓄電素子の衝撃が少なくでき、内部の破壊、破断に至らない。加えて本構造により、次のような新たな効果が期待できる。まず、ケースと蓄電素子の接触面積が大きくなるため、伝熱性が大きくなり放熱性が向上できる。また、注液、含浸の際に、ケース底面部に溜まる電解液が少なくなり、液面が上昇することで、極板・セパレータへの吸液性向上でき、含浸時間を短縮できるため、生産時間が短縮でき、低コスト化に寄与する。上記の効果により、電解液ロス減らせるため、使用する電解液量を低減でき、電解液費が低減できるためセルが低コスト化できる。さらに、セルは1〜2kgほどの重量物となるが、特に本構造により、落下に対する、ケース角の強度向上が可能となり輸送中などの落下に対する、問題を解決できる。
【実施例】
【0064】
以下、本発明の具体的な作製例について説明する。
電極は、正極の塗工幅120mm、負極塗工幅125mmであり、未塗工部が10mmの電極体を用いた。セパレータ厚みは25μmのものを用いた。負極の集電箔としてCu箔は厚み10μmの箔を用い、正極の集電箔としてAl箔は12μmの箔を用いた。正極活物質として粒径D50=12μmのLiNi0.33Mn0.33Co0.33O2を用い、負極活物質は、粒径22μmの人造黒鉛粒子を用いた。PVDFをバインダをとして用いて電極を作製し、電極体プレス後の活物質層の厚みはそれぞれ100μmとした。負極の電極密度は1.5g/cm2、正極の電極密度は3.8g/cm3であった。
【0065】
[実施例1](下部のみに弾性部材を有する例)
1)蓄電素子の作製
セパレータを2軸の巻き芯で巻き取り、セパレータ間に正、負極を挿入して捲回した。終了後、巻き芯を抜き、厚み19mmの扁平の蓄電素子体を作製した。正極、負極に未塗工部を左右に出して作製した。
【0066】
2)蓄電素子の溶接
二つの蓄電素子を束ねて、両端部に形成された箔に幅4mm、厚み0.3mmのCu板で作製されたリードタブを当てて上から超音波溶接を行い、これを、表、裏二箇所で行った。正極も同様に4mm、厚み0.5mmのAl板で溶着を行った。ケースと蓄電素子の絶縁をおこなうために端子の溶着部を含めた蓄電素子全体をポリエステル製の樹脂シートで覆った。
【0067】
3)リードと蓋の接続
蓋部は正、負極の端子を備えた厚さ2mmの板である。蓋部には、電解液注液口の穴を開けている。蓄電素子から出ている正、負極のリード板をケースの蓋部の端子部に溶接し接合した。
【0068】
4)弾性部材
幅10mm、長さ36mm、厚さ1mmのSUS304の板材を、図1に示す弾性部材30のように第1水平部4mm、連結部6mm、第2水平部10mmの寸法で作製し、PTFE熱収縮チューブにて被覆した。これを2個作製した。
【0069】
5)ケースの作製
A3003のアルミニウム合金を用いて、インパクト成型によりケース肉厚を1mm、ケース外形寸法を厚さ40mm、高さ120mm、幅160mmとした。ケース底面部のRについては外側はR20.0mm、内側はR30.0mmとした。また、ケースの底面中央部に、高さ4mm、頂部の幅2mmの台形状の凸状部がある構造とした。
【0070】
6)弾性部材および蓄電素子の封止
4)で作製した2個の弾性部材の第1水平部をケース底面に設けられた凸状部にテープで貼り付け、3)で作製した蓄電素子と蓋が一体化された構造体をケースに挿入した。蓋とケースをYAG溶接で封口後、80℃で24hr真空乾燥した。
【0071】
7)含浸
真空乾燥後、グローブボックス内でセル内部を減圧し、その後、電解液1.0MのLiPF6/(EC+DMC+EMC)を注入して、含浸を行った。充放電装置で、4.2Vまで0.2Cの電流でCCCV充電を8時間行った。その後、減圧して脱泡して、注液口にゴム栓をしてセルを完成させた。SOC50まで放電を行い、初期抵抗測定を行った。
【0072】
[実施例2](上部のみに弾性部材を有する例)
実施例1で作製した2個の弾性部材を底面に配置せずに、蓋と蓄電素子の間に挿入し、図6に示すように弾性部材の第1水平部が蓋を支持し、第2水平部が蓄電素子上面を支持するようにした以外は実施例1と同様にして、実施例2のセルを作製した。
【0073】
[実施例3](上部・下部に弾性部材を有する例)
弾性部材を4個作製し、2個を実施例1と同様に蓄電素子下部に配置し、2個を実施例2と同様に蓄電素子上部に配置した以外は同様にして、実施例3のセルを作製した。
【0074】
[比較例]
ケース内面の凸部および弾性部材を用いず、また、A3003のアルミニウム合金を用いて、厚み1.0mmでR10mmのケースを作製した以外は実施例と同様にして、比較例のセルを作製した。
【0075】
各実施例および比較例のセルを振動試験機に固定し、20〜400Hz、掃引時間を10分間、3方向各72時間印加し、加速度は15Gにおいて試験を行った。試験後10、20、30、40Aにて、4点法で内部抵抗を算出し比較を行った。その結果を表1に示す。この結果、比較例では、不安定な電圧を示したため容量を測定することができなかった。内部を解体して確認したところ正極端子と正極のリードおよび、正極のリードタブと集電箔部分に亀裂が生じていることを確認した。
【0076】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によれば、電極要素の耐衝撃性および耐振動性を向上させることができ、さらには蓄電素子の冷却効果が高いから、車載用リチウムイオン二次電池システムに適用して極めて有望である。
【符号の説明】
【0078】
C…単電池、
10、16…電池ケース、
11…電池蓋、
12…電解液注入口、
13〜15…支持部材、
17…ケース孔部
20…正極端子、
21…正極リード板、
22…負極端子、
23…負極リード板、
24…蓄電素子、
30〜35…弾性部材、
30a…第1水平部、
30b…第2水平部、
30c…連結部、
34…押圧板、
35…固定用突起。
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば自動車駆動用電源に用いて好適な二次電池に係り、特に、電池の耐衝撃性、耐振動性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用のリチウムイオン二次電池においては、それぞれ正極、負極および電解液を有する単電池(セル)が複数個直列に配置されて組電池を形成し、充放電制御のためのセルコントローラが接続され、必要な電圧が得られるようにバッテリーモジュールを形成する。
【0003】
このような二次電池の単電池には、巻回した蓄電素子、あるいは、平板状の電極とセパレータを積層した蓄電素子を、円筒型のケースに収納したものや、角型、扁平型のケースに収納したものがある。
【0004】
巻回した蓄電素子を角型ケースに収納する場合、蓄電素子の両端部から導出される正極側および負極側の集電箔は重ねられ、それぞれ正極側および負極側の集電体(リード)に溶接され、ケースに収納される。このような電池が自動車等に搭載される際は、電池ケース自体あるいは電池ケースの外部に導出されている電極端子によって自動車等に対して固定される。
【0005】
しかしながら、ケース内部の蓄電素子は、集電箔によって電極端子と電気的に接続されてはいるものの、ケースあるいは電極端子に対して固定されておらず、ケース内で懸垂された状態なので、自動車の振動により集電箔とリードの溶接部に負荷が加わる。この集電箔は、蓄電素子と電極端子を電気的に接続する箔状の部材であるので、振動に弱い。このような振動は、二次電池が小型蓄電素子である場合は、軽量であり問題とならないが、自動車用の大型蓄電素子となると、その集電箔に加わる応力は大きく、亀裂が入り切断の恐れがある。
【0006】
このような課題に対して、蓄電素子から導出される集電箔の長さを延長し、たわみを持たせた状態で電極端子に固定することによって振動を吸収させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この技術では、集電箔にたわみの無い電池と比較した場合は耐振動性は向上しているものの、集電箔自体に加わる応力は緩和されず、長期間使用する場合あるいは大型電池に採用する場合には、十分な振動への対策をすることはできない。
【0007】
また、円筒型電池においては、蓄電素子自身を膨張させて、ケースに蓄電素子を押し付けて、耐振動性を向上させる方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、角型電池に入る扁平蓄電素子では、巻き芯が無く、均一に径方向に膨張圧が発生しないため、ケース内での拘束に際して十分な蓄電素子の固定ができない。
【0008】
さらに、角型電池においては、蓄電素子の膨張を拘束するためにケース面での押し付けやケース面の形状変更を行って、蓄電素子を拘束する技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、自動車用電池等の大型電池の場合はケース厚さが0.5mm以上となり、これ以上厚さが大きくなると、ケース面の形状変形はケースの破断を招く可能性があり好ましない。さらに、ケース変形で蓄電素子を拘束する構造は、生産性が低下してコストが上昇するという問題がある。
【0009】
ところで近年は、蓄電素子の正負の集電箔間方向を水平にして充填した場合の溶接構造についても検討されており、蓄電素子から正負の集電箔をそれぞれ左右に露出させ、各極で集電箔を重ねてリードプレートに溶接する技術が知られている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、上記の方法では銅箔またはアルミ箔を束ねたて溶接するため、蓄電素子が大型となりアルミ箔の重ね合わせの厚みが多くなると、リードプレートと接する最上部のアルミ箔の集電体の部分には金属疲労が残り、リチウムイオン電池では、機械的な衝撃や振動により、タブの端部付近で、アルミ箔集電体が破断する可能性がある。特に、高エネルギー密度化するために電極箔を薄肉すると溶接部の耐振動性に不安があり、最悪は断線の恐れがある。
【0010】
耐振動性の溶接手法については特許文献5に記載の技術が知られているが、この文献には、振動の発生自体を抑制する方法については記載されていない。特に、自動車用大型電池になると、電極群が大きくなり重量が大きくなる。蓄電素子を水平に配置する構造の場合、蓋に極板群をぶら下げ担持させる構造になっており、これを自動車用電池として用いると、上下方向への振動により、リードと集電箔接合部の振動、耐久性に問題がある。巻型構造上部には、接続端子があり、この凸部に蓄電素子が接触により蓄電素子の保護フィルムを傷つけるなどの可能性がある。
【0011】
このように、大型の蓄電素子を水平に装填した自動車用二次電池構造において、耐衝撃性、耐振動性を満足するものはなく、これら性能の向上が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平9−92338号公報
【特許文献2】特開2001−273933号公報
【特許文献3】特開2006−40879号公報
【特許文献4】特開2009−032670号公報
【特許文献5】特開2009−134971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたもので、大型の蓄電素子を水平に装填した自動車用二次電池構造において、耐衝撃性、耐振動性を向上させた構造を有する二次電池を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の二次電池は、非水系電解液を有する少なくとも複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、隣接する複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ底面には、弾性部材が設けられ、蓄電素子は、弾性部材の付勢により側面および上蓋の少なくとも一方に押圧されていることを特徴としている。
【0015】
上記構成の二次電池にあっては、弾性部材により蓄電素子が電池ケースの側面方向および/または上蓋方向に押し付けられ、弾性部材と電池ケース側面および/または上蓋とに保持されているので、耐振動性が向上し、蓄電素子と端子とをつなぐ集電箔の破損を防止することができる。また、電池ケースと蓄電素子とが接触しているため、蓄電素子から発生する熱は電池ケースに伝導して放散し、放熱効率が向上する。
【0016】
本発明の二次電池においては、弾性部材は、第1水平部と、第1水平部の両端からそれぞれ斜め方向に延在する連結部と、各連結部端部からそれぞれ第1水平部と平行な方向に延在する第2水平部とからなり、蓄電素子は、弾性部材の連結部および第2水平部に接触することによって押圧されていることを好ましい態様としている。
【0017】
上記構成の二次電池にあっては、蓄電素子が弾性部材の連結部および第2水平部の両方に接触しているので、蓄電素子は連結部から斜め方向に付勢され、電池ケース側面方向及び上蓋方向の両方に押し付けられる。このように、蓄電素子が弾性部材、電池ケース上蓋及び側面の3点により保持されるため、耐振動性がより向上する。また、接触する箇所が3点であるため、放熱効率もより向上する。
【0018】
本発明の二次電池においては、電池ケースは、側面と底面とを連結する角部において、ケース外部から内部に向かって延出する延出部を有し、蓄電素子は、延出部に接触していることを好ましい態様としている。
【0019】
上記構成の二次電池にあっては、従来支持されていなかった角部において肉厚の延出部が設けられて支持されているので、ケース角部の強度を向上させるのみならず、蓄電素子の電池ケースに対する接触部が増え、耐振動性がより向上する。また、延出部によって電池ケースの底面の空間が小さくなるため、同量の電解液を注入した場合に液面が高くなり、また、電極やセパレータへの吸液性が向上して含浸時間の短縮が図れる。
【0020】
本発明の二次電池においては、延出部は、蓄電素子の形状に沿う形状であることを好ましい態様としている。
【0021】
上記構成の二次電池にあっては、延出部が直線であって一点で支持する場合と比較して、延出部が曲線を描いて蓄電素子の外周形状に沿っているので、幅を持った領域で蓄電素子が支持されて、耐振動性がより向上する。
【0022】
本発明の二次電池は、非水系電解液を有する少なくとも複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、隣接する複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ蓄電素子の頂面と上蓋との間には、弾性部材が設けられ、蓄電素子は、弾性部材の付勢により側面および底面の少なくとも一方に押圧されていることを特徴としている。
【0023】
上記構成の二次電池にあっては、弾性部材により蓄電素子が電池ケースの側面方向および/または底面方向に押し付けられ、弾性部材と電池ケース側面および/または底面とに保持されているので、耐振動性が向上し、蓄電素子と端子とをつなぐ集電箔の破損を防止することができる。また、電池ケースと蓄電素子とが接触しているため、蓄電素子から発生する熱は電池ケースに伝導して放散し、放熱効率が向上する。
【0024】
本発明の二次電池においては、弾性部材は、第1水平部と、第1水平部の両端からそれぞれ斜め方向に延在する連結部と、各連結部端部からそれぞれ第1水平部と平行な方向に延在する第2水平部とからなり、蓄電素子は、弾性部材の連結部および第2水平部に接触することによって押圧されていることを好ましい態様としている。
【0025】
上記構成の二次電池にあっては、蓄電素子が弾性部材の連結部および第2水平部の両方に接触しているので、蓄電素子は連結部から斜め方向に付勢され、電池ケース側面方向及び底面方向の両方に押し付けられる。このように、蓄電素子が弾性部材、電池ケース底面及び側面の3点により保持されるため、耐振動性がより向上する。また、接触する箇所が3点であるため、放熱効率もより向上する。
【0026】
本発明の二次電池においては、弾性部材は、第1水平部と、第1水平部の両端からそれぞれ斜め方向に延在する連結部と、各連結部端部からそれぞれ第1水平部と平行な方向に延在する第2水平部とからなり、蓄電素子は、蓄電素子が弾性部材の第2水平部に接触し、かつ上蓋が弾性部材の第1水平部に接触することによって押圧されていることを好ましい態様としている。
【0027】
上記構成の二次電池においても、蓄電素子が弾性部材の第2水平部に接触しているので、蓄電素子は第2水平部から電池ケース底面方向に付勢され、押し付けられる。このように、蓄電素子が弾性部材、電池ケース底面の2点により保持されるため、耐振動性が向上し、放熱効率も向上する。
【0028】
本発明の二次電池は、非水系電解液を有する少なくとも複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、蓄電素子の頂面には、電池ケースに固定された板状部材が設けられ、この板状部材によって側面および底面の少なくとも一方に押圧されていることを特徴としている。
【0029】
上記構成の二次電池においても、蓄電素子が板状部材に接触しているので、蓄電素子は板状部材から電池ケース底面方向に付勢され、押し付けられる。このように、蓄電素子が板状部材、電池ケース底面の2点により保持されるため、耐振動性が向上し、放熱効率も向上する。
【0030】
本発明の二次電池は、非水系電解液を有する少なくとも複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、隣接する複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ蓄電素子の頂面と上蓋との間には、上部弾性部材が設けられ、隣接する複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ底面には、下部弾性部材が設けられ、蓄電素子は、上部弾性部材および下部弾性部材の付勢により押圧されていることを特徴としている。
【0031】
上記構成の二次電池にあっては、蓄電素子の上下にそれぞれ弾性部材が設けられているから、上下の弾性部材により蓄電素子が電池ケースの側面方向、上蓋方向および底面方向に押し付けられ、上下の弾性部材と電池ケース側面とに強固に保持されているので、耐振動性および放熱効率がさらに向上する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、蓄電素子を電池ケースに対して確実に固定することができ、集電箔の破損を抑制し、蓄電素子の耐振動性および放熱効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態に係る単電池を示す透視図であり、(a)は全体の斜視図、(b)は側面図、(c)は下部を拡大した斜視図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る単電池の下部を示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る単電池の下部を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る単電池の下部を示す断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る単電池を示す透視図であり、(a)は全体の斜視図、(b)は側面図、(c)は上部を拡大した斜視図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る単電池を示す透視図であり、(a)は全体の斜視図、(b)は側面図、(c)は上部を拡大した斜視図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る単電池の上部を示す透視斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る単電池の変更例を示す断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る単電池の変更例を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る単電池の変更例を示す断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る単電池の変更例を示す断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る単電池の変更例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
第1実施形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る単電池を示す透視図であり、(a)は全体の斜視図、(b)は側面図、(c)は下部を拡大した斜視図である。単電池は、公知のリチウムイオン二次電池等であって、電池ケース10および電池蓋11を有する。電池ケース10内には、電解液が含浸された巻回体等からなる蓄電素子24と、蓄電素子24の両端から導出された正負の集電箔に接続された正極リード板21および負極リード板23とが収容されている。正極リード板21および負極リード板23のそれぞれには、電池蓋11を貫通して正極端子20および負極端子22が電池外部に設けられている。
【0035】
電池ケース10の底面には、支持部材13が設けられており、支持部材13上には、弾性部材30が設けられている。弾性部材30は、金属や樹脂によって形成された板バネであり、支持部材によって支持される中央部分の第1水平部30aと、そこから両側に斜め方向に延在する連結部30bと、そこから水平方向に延在する第2水平部30cとから構成されており、弾性部材30には、蓄電素子24が接触している。なお、短絡防止のため、弾性部材30が金属製である場合は、樹脂によって被覆される。
【0036】
蓄電素子24は、弾性部材30の連結部30cと第2水平部30bに接触しており、第2水平部30bから上方向の弾性力を受け、連結部30bから斜め上方への弾性力を受けている。このため、蓄電素子24は、電池ケース10の側面および電池蓋11に押し付けられている。
【0037】
上記構成の第1実施形態の単電池によれば、弾性部材の付勢により蓄電素子が電池ケースの側面方向および電池蓋方向に押し付けられ、弾性部材と電池ケース側面および電池蓋とに保持されているので、搭載している自動車等に衝撃や振動が発生した場合であっても、電池ケースと蓄電素子が一体となって振動し、集電箔に応力が加わることが抑制され、集電箔の破損を防止することができる。また、電池ケースと蓄電素子とが接触しているため、蓄電素子から発生する熱は電池ケースに伝導して放散し、放熱効率が向上する。
【0038】
図2は、第1実施形態の変形例を示す断面図である。この態様では、電池ケース10底面の支持部材14は、電池ケース10を肉厚に形成することにより一体化されて形成されている。また、電池ケース10の角部も、他の部分より肉厚に形成された延出部Aとなっている。
【0039】
上記構成の単電池によれば、蓄電素子24が延出部Aに接触しており、蓄電素子24は、電池ケース側面、電池蓋および弾性部材に加えて角部においても支持されているので、耐衝撃性、耐振動性および放熱効率がより向上する。また、角部が肉厚に形成されているので、電池ケース自体の強度も向上する。
【0040】
図3は、弾性部材30の変更例を示す断面図である。弾性部材31は、前述の板バネ構造を有するものに限定されず、衝撃吸収効果を持つ樹脂を図3に示すように電池ケース底面に沿ってクッションのように敷くことによって、本発明の効果を得ることもできる。
【0041】
図4は、第1実施形態のさらなる変更例を示す断面図である。この態様では、電池ケース10の角部が、蓄電素子24の外形に沿った曲面を有する延出部Cとなっている。
【0042】
上記構成の単電池によれば、断面が直線で形成され一点で蓄電素子24を支持する延出部Aと比較して、断面が蓄電素子の外形に沿った曲線で形成されて幅を持った領域全体で蓄電素子24を支持しているので、耐衝撃性、耐振動性、放熱効率および電池ケースの強度がより向上するのに加え、衝撃や振動が加わった際に力が蓄電素子の一点に集中することを抑制し、力を分散させるので、蓄電素子24に過度の応力が加わることを抑制することができる。
【0043】
なお、上記では、蓄電素子が2個の例を挙げて説明をしたが、本実施形態においては蓄電素子の個数は2個に限定されるものではなく、例えば図8に示すように、3個の蓄電素子を備えた単電池において、蓄電素子同士の間に支持部材13および弾性部材30をそれぞれ設ける態様とすることもできる。また、4個以上の蓄電素子の場合でも同様である。さらに、図12(a)に示すように、蓄電素子が1個の場合において、その底部に弾性部材34を設けることもできる。
【0044】
第2実施形態
図5は、本発明の第2実施形態に係る単電池を示す透視図であり、(a)は全体の斜視図、(b)は側面図、(c)は上部を拡大した斜視図である。第2実施形態以下の各実施形態では、第1実施形態と符号が同一の構成要素については第1実施形態に準じるため説明を省略し、変更点についてのみ説明する。
【0045】
本実施形態においては、電池ケース10の上部であって蓄電素子24と電池蓋11との間には、支持部材15が設けられており、支持部材15の下面には、弾性部材32が設けられている。弾性部材32は、金属や樹脂によって形成された板バネであり、弾性部材30と同様、支持部材によって支持される中央部分の第1水平部32aと、そこから両側に斜め方向に延在する連結部32cと、そこから水平方向に延在する第2水平部32bとから構成されており、弾性部材32には、蓄電素子24の上面が接触している。
【0046】
蓄電素子24は、弾性部材32の連結部32cと第2水平部32bに接触しており、第2水平部32bから下方向の弾性力を受け、連結部32cから斜め下方への弾性力を受けている。このため、蓄電素子24は、電池ケース10の側面および底面に押し付けられている。
【0047】
上記構成の第2実施形態の単電池によれば、弾性部材の付勢により蓄電素子が電池ケースの側面方向および底面方向に押し付けられ、弾性部材と電池ケース側面および底面とに保持されているので、搭載している自動車等に衝撃や振動が発生した場合であっても、電池ケースと蓄電素子が一体となって振動し、集電箔に応力が加わることが抑制され、集電箔の破損を防止することができる。また、電池ケースと蓄電素子とが接触しているため、蓄電素子から発生する熱は電池ケースに伝導して放散し、放熱効率が向上する。
【0048】
図6は、第2実施形態の変更例を示す透視図であり、(a)は全体の斜視図、(b)は側面図、(c)は上部を拡大した斜視図である。この態様では、支持部材を介することなく、蓄電素子24の上面に弾性部材32と同様ではあるが設置方向が逆の弾性部材33が設けられている。蓄電素子24は、弾性部材33の第2水平部33bのみに接触しており、また、電池蓋11は、弾性部材33の第1水平部33aに直接接している。蓄電素子24は、第2水平部32bから下方向の弾性力を受けており、このため、蓄電素子24は、電池ケース10の底面に押し付けられている。
【0049】
上記構成の単電池によれば、弾性部材の付勢により蓄電素子が電池ケースの底面方向に押し付けられ、弾性部材と電池ケース底面とに保持されているので、搭載している自動車等に衝撃や振動が発生した場合であっても、電池ケースと蓄電素子が一体となって振動し、集電箔に応力が加わることが抑制され、集電箔の破損を防止することができる。また、電池ケースと蓄電素子とが接触しているため、蓄電素子から発生する熱は電池ケースに伝導して放散し、放熱効率が向上する。
【0050】
図7は、第2実施形態のさらなる変更例を示す透視斜視図である。この態様では、電池ケース16の上部に孔部17が形成されており、押圧板34が、固定用突起35を孔部17に挿入して固定されている。また、押圧板34の下面には、蓄電素子の状面が固定されている。
【0051】
上記構成の単電池によれば、押圧板の押圧により蓄電素子が電池ケースの底面方向に押し付けられ、弾性部材と電池ケース底面とに保持されているので、搭載している自動車等に衝撃や振動が発生した場合であっても、電池ケースと蓄電素子が一体となって振動し、集電箔に応力が加わることが抑制され、集電箔の破損を防止することができる。また、電池ケースと蓄電素子とが接触しているため、蓄電素子から発生する熱は電池ケースに伝導して放散し、放熱効率が向上する。
【0052】
本実施形態においても、蓄電素子の個数は2個に限定されるものではなく、例えば図9〜11に示すように、3個の蓄電素子を備えた単電池において、蓄電素子同士の間に支持部材15および弾性部材32、33をそれぞれ設ける態様や、押圧板34を設ける態様とすることもできる。また、4個以上の蓄電素子の場合でも同様である。さらに、図12(b)に示すように、蓄電素子が1個の場合において、その上部に弾性部材35を設けることもできる。
【0053】
第3実施形態
本発明では、上述した第1および第2実施形態を組み合わせた構造、すなわち蓄電素子の下部および上部の両方に弾性部材を設けた構造を有する単電池をも含む。このような構造を有する第3実施形態の単電池によれば、下部弾性部材の付勢により蓄電素子が電池ケースの側面方向および電池蓋方向に押し付けられ、また、上部弾性部材の付勢により蓄電素子が電池ケースの側面方向および底面方向に押し付けられる。このように、蓄電素子は、上下の弾性部材および電池ケース側面により強固に保持されているので、耐衝撃性、耐振動性および放熱効率は、第1および第2実施形態のいずれよりもさらに向上する。
【0054】
本実施形態においても、蓄電素子の個数は2個に限定されるものではなく、例えば3個以上の蓄電素子の蓄電素子を備えた単電池において、蓄電素子同士の間にそれぞれ上部弾性部材および下部弾性部材をそれぞれ設ける態様とすることもできる。さらに、図12(c)に示すように、蓄電素子が1個の場合において、上部弾性部材35および下部弾性部材34を設けることもできる。
【0055】
以下、本発明の各構成要素について詳細に説明する。
シート状正極層
蓄電素子を構成する正極層は、アルミニウムからなる正極集電体の両面に正極材料が結着した構造を有する。本実施例の正極材料としては、Li酸化物粉末を用い、導電フィラーとして、アセチレンブラック、ケッチエンブラック、VGCFなど挙げられる。
【0056】
シート状負極層
蓄電素子を構成する負極層は、銅などからなる負極集電体の両面に負極材料が結着した構造を有する。本実施例の負極材料としては、リチウムイオンを吸蔵放出する炭素材料やLiと金属化合物を形成するSn、Pb、Coなどの合金を用いることができる。炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、活性炭、600〜1200℃で焼成した低温炭素体(例えば、易黒鉛性炭素前駆体として、ピッチ、メソフェーズピッチ、または難黒鉛化性炭素前駆体として、フェノール樹脂、キシレン樹脂、PPS、セルロース等)を不活性雰囲気中で熱処理して合成した炭素などが挙げられる。
【0057】
シート状セパレータ層
蓄電素子を構成するセパレータ層は、ポリオレフィン系微多孔質セパレータ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンや不織布セパレータ、例えば、ポリエステル繊維、アラミド繊維を用いることができる。
【0058】
非水電解液
非水溶媒としては、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、スルホラン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン等を挙げることができる。非水溶媒は、単独で使用しても、2種以上混合して使用しても良い。電解質としては、例えば過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ素リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO3)2]等のリチウム塩を挙げることができる。電解質は、単独で使用しても、2種以上混合して使用しても良い。電解質の非水溶媒に対する溶解量は、通常は0.2mol/L〜2mol/L程度である。 またLiTFSIを混合してもよい。加えて、電解液の保持する、ゲル電解質としてもよくその保持材料としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ビニリデンフロライド(VdF)やヘキサフルオロプロピレン(HFP)またはその誘導体、または共重合体を用いることができる。
【0059】
蓄電素子作製
円筒、扁平巻でも積層形でも可能であるが、本発明は捲回型の蓄電素子、特に扁平形状の捲回蓄電素子に好適である。特に、扁平形蓄電素子の場合は、蓄電素子を複数配列すると、R部の割合を少なくすることができ、角型ケースへの体積充填効率が向上できる。
【0060】
電極端子
正極端子および負極端子の電極端子には、銅、ニッケル、アルミニウム、ステンレスといった金属またはこれらを含む合金やこれら金属を母材にしてニッケルメッキを施したものが使用可能である。集電箔と端子部分の接合面積を稼ぐためには、板状であることが好ましい。
【0061】
弾性部材
セルケースの底面部および/または上部において蓄電素子を支持する弾性部材は、金属、セラミック、樹脂、ゴムのいずれを用いてもよい。金属部品ではSUS、Alが使用できる。内部短絡防止の観点から、金属部品を用いる場合は、ケースに対して絶縁されていることが必須であり、樹脂、PVCテープなどにより被覆されていることが好ましい。樹脂部品ではバネ弾性を持つフェノール樹脂、PPS、エポキシ樹脂など熱硬化性樹脂、PVCが好ましい。特に板バネ構造の場合は、蓄電素子の下面がケースから離れていることで、振動、衝撃を吸収することができ、耐衝撃性に効果がある。また、弾性体は発泡ウレタンやアクリルなど衝撃吸収効果を持つ樹脂、さらには、SBR、EPDMなどの耐電解液性の高い、ゴム部材を用いても良い。また、弾性部材は、上ばね、下ばねが共にあることが望ましいが、どちらか一方が弾性部材であれば、他方は弾性部材でなくともよい。
【0062】
電池ケース
底面部の形状を加工するには、アルミ、ステンレス合金、樹脂を用いることができるが、インパクト成型、トランスファープレス加工によって作製したアルミニウム合金が好ましい。ケース底面部の加工は外側もしくは内側でR10.0mm以上R90.0mm以下が好ましい。ケースは、蓄電素子と密着する構造が好ましく、これによりケース底面の空間が少なくなり、電解液を注液した際の、液面が上昇するので蓄電素子吸収が改善され含浸時間を短くできる効果がある。
【0063】
以上説明したように、本発明によれば、電池ケース底面あるいは上部に弾性部材を設けてその反力を利用し蓄電素子を保持する構造のため耐振動性を向上させることができる。同時に、蓄電素子が浮いている構造となるため、落下等の衝撃に対して内部蓄電素子の衝撃が少なくでき、内部の破壊、破断に至らない。加えて本構造により、次のような新たな効果が期待できる。まず、ケースと蓄電素子の接触面積が大きくなるため、伝熱性が大きくなり放熱性が向上できる。また、注液、含浸の際に、ケース底面部に溜まる電解液が少なくなり、液面が上昇することで、極板・セパレータへの吸液性向上でき、含浸時間を短縮できるため、生産時間が短縮でき、低コスト化に寄与する。上記の効果により、電解液ロス減らせるため、使用する電解液量を低減でき、電解液費が低減できるためセルが低コスト化できる。さらに、セルは1〜2kgほどの重量物となるが、特に本構造により、落下に対する、ケース角の強度向上が可能となり輸送中などの落下に対する、問題を解決できる。
【実施例】
【0064】
以下、本発明の具体的な作製例について説明する。
電極は、正極の塗工幅120mm、負極塗工幅125mmであり、未塗工部が10mmの電極体を用いた。セパレータ厚みは25μmのものを用いた。負極の集電箔としてCu箔は厚み10μmの箔を用い、正極の集電箔としてAl箔は12μmの箔を用いた。正極活物質として粒径D50=12μmのLiNi0.33Mn0.33Co0.33O2を用い、負極活物質は、粒径22μmの人造黒鉛粒子を用いた。PVDFをバインダをとして用いて電極を作製し、電極体プレス後の活物質層の厚みはそれぞれ100μmとした。負極の電極密度は1.5g/cm2、正極の電極密度は3.8g/cm3であった。
【0065】
[実施例1](下部のみに弾性部材を有する例)
1)蓄電素子の作製
セパレータを2軸の巻き芯で巻き取り、セパレータ間に正、負極を挿入して捲回した。終了後、巻き芯を抜き、厚み19mmの扁平の蓄電素子体を作製した。正極、負極に未塗工部を左右に出して作製した。
【0066】
2)蓄電素子の溶接
二つの蓄電素子を束ねて、両端部に形成された箔に幅4mm、厚み0.3mmのCu板で作製されたリードタブを当てて上から超音波溶接を行い、これを、表、裏二箇所で行った。正極も同様に4mm、厚み0.5mmのAl板で溶着を行った。ケースと蓄電素子の絶縁をおこなうために端子の溶着部を含めた蓄電素子全体をポリエステル製の樹脂シートで覆った。
【0067】
3)リードと蓋の接続
蓋部は正、負極の端子を備えた厚さ2mmの板である。蓋部には、電解液注液口の穴を開けている。蓄電素子から出ている正、負極のリード板をケースの蓋部の端子部に溶接し接合した。
【0068】
4)弾性部材
幅10mm、長さ36mm、厚さ1mmのSUS304の板材を、図1に示す弾性部材30のように第1水平部4mm、連結部6mm、第2水平部10mmの寸法で作製し、PTFE熱収縮チューブにて被覆した。これを2個作製した。
【0069】
5)ケースの作製
A3003のアルミニウム合金を用いて、インパクト成型によりケース肉厚を1mm、ケース外形寸法を厚さ40mm、高さ120mm、幅160mmとした。ケース底面部のRについては外側はR20.0mm、内側はR30.0mmとした。また、ケースの底面中央部に、高さ4mm、頂部の幅2mmの台形状の凸状部がある構造とした。
【0070】
6)弾性部材および蓄電素子の封止
4)で作製した2個の弾性部材の第1水平部をケース底面に設けられた凸状部にテープで貼り付け、3)で作製した蓄電素子と蓋が一体化された構造体をケースに挿入した。蓋とケースをYAG溶接で封口後、80℃で24hr真空乾燥した。
【0071】
7)含浸
真空乾燥後、グローブボックス内でセル内部を減圧し、その後、電解液1.0MのLiPF6/(EC+DMC+EMC)を注入して、含浸を行った。充放電装置で、4.2Vまで0.2Cの電流でCCCV充電を8時間行った。その後、減圧して脱泡して、注液口にゴム栓をしてセルを完成させた。SOC50まで放電を行い、初期抵抗測定を行った。
【0072】
[実施例2](上部のみに弾性部材を有する例)
実施例1で作製した2個の弾性部材を底面に配置せずに、蓋と蓄電素子の間に挿入し、図6に示すように弾性部材の第1水平部が蓋を支持し、第2水平部が蓄電素子上面を支持するようにした以外は実施例1と同様にして、実施例2のセルを作製した。
【0073】
[実施例3](上部・下部に弾性部材を有する例)
弾性部材を4個作製し、2個を実施例1と同様に蓄電素子下部に配置し、2個を実施例2と同様に蓄電素子上部に配置した以外は同様にして、実施例3のセルを作製した。
【0074】
[比較例]
ケース内面の凸部および弾性部材を用いず、また、A3003のアルミニウム合金を用いて、厚み1.0mmでR10mmのケースを作製した以外は実施例と同様にして、比較例のセルを作製した。
【0075】
各実施例および比較例のセルを振動試験機に固定し、20〜400Hz、掃引時間を10分間、3方向各72時間印加し、加速度は15Gにおいて試験を行った。試験後10、20、30、40Aにて、4点法で内部抵抗を算出し比較を行った。その結果を表1に示す。この結果、比較例では、不安定な電圧を示したため容量を測定することができなかった。内部を解体して確認したところ正極端子と正極のリードおよび、正極のリードタブと集電箔部分に亀裂が生じていることを確認した。
【0076】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によれば、電極要素の耐衝撃性および耐振動性を向上させることができ、さらには蓄電素子の冷却効果が高いから、車載用リチウムイオン二次電池システムに適用して極めて有望である。
【符号の説明】
【0078】
C…単電池、
10、16…電池ケース、
11…電池蓋、
12…電解液注入口、
13〜15…支持部材、
17…ケース孔部
20…正極端子、
21…正極リード板、
22…負極端子、
23…負極リード板、
24…蓄電素子、
30〜35…弾性部材、
30a…第1水平部、
30b…第2水平部、
30c…連結部、
34…押圧板、
35…固定用突起。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水系電解液を有する少なくとも複数の蓄電素子と、前記複数の蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、
前記電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、
隣接する前記複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ前記底面には、弾性部材が設けられ、
前記蓄電素子は、前記弾性部材の付勢により前記側面および前記上蓋の少なくとも一方に押圧されていることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記弾性部材は、第1水平部と、第1水平部の両端からそれぞれ斜め方向に延在する連結部と、各連結部端部からそれぞれ前記第1水平部と平行な方向に延在する第2水平部とからなり、
前記蓄電素子は、前記弾性部材の連結部および第2水平部に接触することによって押圧されていることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記電池ケースは、前記側面と前記底面とを連結する角部において、前記ケース外部から内部に向かって延出する延出部を有し、
前記蓄電素子は、前記延出部に接触していることを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記延出部は、前記蓄電素子の形状に沿う形状であることを特徴とする請求項3に記載の二次電池。
【請求項5】
非水系電解液を有する少なくとも複数の蓄電素子と、前記複数の蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、
前記電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、
隣接する前記複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ蓄電素子の頂面と前記上蓋との間には、弾性部材が設けられ、
前記蓄電素子は、前記弾性部材の付勢により前記側面および前記底面の少なくとも一方に押圧されていることを特徴とする二次電池。
【請求項6】
前記弾性部材は、第1水平部と、第1水平部の両端からそれぞれ斜め方向に延在する連結部と、各連結部端部からそれぞれ前記第1水平部と平行な方向に延在する第2水平部とからなり、
前記蓄電素子は、前記弾性部材の連結部および第2水平部に接触することによって押圧されていることを特徴とする請求項5に記載の二次電池。
【請求項7】
前記弾性部材は、第1水平部と、第1水平部の両端からそれぞれ斜め方向に延在する連結部と、各連結部端部からそれぞれ前記第1水平部と平行な方向に延在する第2水平部とからなり、
前記蓄電素子は、前記蓄電素子が前記弾性部材の第2水平部に接触し、かつ前記上蓋が前記弾性部材の第1水平部に接触することによって押圧されていることを特徴とする請求項5に記載の二次電池。
【請求項8】
非水系電解液を有する少なくとも複数の蓄電素子と、前記複数の蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、
前記電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、
前記蓄電素子の頂面には、前記電池ケースに固定された板状部材が設けられ、この板状部材によって前記側面および前記底面の少なくとも一方に押圧されていることを特徴とする二次電池。
【請求項9】
非水系電解液を有する少なくとも複数の蓄電素子と、前記複数の蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、
前記電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、
隣接する前記複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ蓄電素子の頂面と前記上蓋との間には、上部弾性部材が設けられ、
隣接する前記複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ前記底面には、下部弾性部材が設けられ、
前記蓄電素子は、前記上部弾性部材および前記下部弾性部材の付勢により押圧されていることを特徴とする二次電池。
【請求項10】
非水系電解液を有する1個の蓄電素子と、前記蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、
前記電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、
前記蓄電素子と前記底面との間には、弾性部材が設けられ、
前記蓄電素子は、前記弾性部材の付勢により前記上蓋に押圧されていることを特徴とする二次電池。
【請求項11】
非水系電解液を有する1個の蓄電素子と、前記蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、
前記電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、
前記蓄電素子の頂面と前記上蓋との間には、弾性部材が設けられ、
前記蓄電素子は、前記弾性部材の付勢により前記底面に押圧されていることを特徴とする二次電池。
【請求項12】
非水系電解液を有する1個の蓄電素子と、前記蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、
前記電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、
前記蓄電素子の頂面と前記上蓋との間には、上部弾性部材が設けられ、
前記蓄電素子と前記底面との間には、下部弾性部材が設けられ、
前記蓄電素子は、前記上部弾性部材および前記下部弾性部材の付勢により押圧されていることを特徴とする二次電池。
【請求項1】
非水系電解液を有する少なくとも複数の蓄電素子と、前記複数の蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、
前記電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、
隣接する前記複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ前記底面には、弾性部材が設けられ、
前記蓄電素子は、前記弾性部材の付勢により前記側面および前記上蓋の少なくとも一方に押圧されていることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記弾性部材は、第1水平部と、第1水平部の両端からそれぞれ斜め方向に延在する連結部と、各連結部端部からそれぞれ前記第1水平部と平行な方向に延在する第2水平部とからなり、
前記蓄電素子は、前記弾性部材の連結部および第2水平部に接触することによって押圧されていることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記電池ケースは、前記側面と前記底面とを連結する角部において、前記ケース外部から内部に向かって延出する延出部を有し、
前記蓄電素子は、前記延出部に接触していることを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記延出部は、前記蓄電素子の形状に沿う形状であることを特徴とする請求項3に記載の二次電池。
【請求項5】
非水系電解液を有する少なくとも複数の蓄電素子と、前記複数の蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、
前記電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、
隣接する前記複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ蓄電素子の頂面と前記上蓋との間には、弾性部材が設けられ、
前記蓄電素子は、前記弾性部材の付勢により前記側面および前記底面の少なくとも一方に押圧されていることを特徴とする二次電池。
【請求項6】
前記弾性部材は、第1水平部と、第1水平部の両端からそれぞれ斜め方向に延在する連結部と、各連結部端部からそれぞれ前記第1水平部と平行な方向に延在する第2水平部とからなり、
前記蓄電素子は、前記弾性部材の連結部および第2水平部に接触することによって押圧されていることを特徴とする請求項5に記載の二次電池。
【請求項7】
前記弾性部材は、第1水平部と、第1水平部の両端からそれぞれ斜め方向に延在する連結部と、各連結部端部からそれぞれ前記第1水平部と平行な方向に延在する第2水平部とからなり、
前記蓄電素子は、前記蓄電素子が前記弾性部材の第2水平部に接触し、かつ前記上蓋が前記弾性部材の第1水平部に接触することによって押圧されていることを特徴とする請求項5に記載の二次電池。
【請求項8】
非水系電解液を有する少なくとも複数の蓄電素子と、前記複数の蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、
前記電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、
前記蓄電素子の頂面には、前記電池ケースに固定された板状部材が設けられ、この板状部材によって前記側面および前記底面の少なくとも一方に押圧されていることを特徴とする二次電池。
【請求項9】
非水系電解液を有する少なくとも複数の蓄電素子と、前記複数の蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、
前記電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、
隣接する前記複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ蓄電素子の頂面と前記上蓋との間には、上部弾性部材が設けられ、
隣接する前記複数の蓄電素子の互いの中間であってかつ前記底面には、下部弾性部材が設けられ、
前記蓄電素子は、前記上部弾性部材および前記下部弾性部材の付勢により押圧されていることを特徴とする二次電池。
【請求項10】
非水系電解液を有する1個の蓄電素子と、前記蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、
前記電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、
前記蓄電素子と前記底面との間には、弾性部材が設けられ、
前記蓄電素子は、前記弾性部材の付勢により前記上蓋に押圧されていることを特徴とする二次電池。
【請求項11】
非水系電解液を有する1個の蓄電素子と、前記蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、
前記電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、
前記蓄電素子の頂面と前記上蓋との間には、弾性部材が設けられ、
前記蓄電素子は、前記弾性部材の付勢により前記底面に押圧されていることを特徴とする二次電池。
【請求項12】
非水系電解液を有する1個の蓄電素子と、前記蓄電素子を収容する電池ケースとを備えた二次電池であって、
前記電池ケースは、底面、側面および上蓋からなり、
前記蓄電素子の頂面と前記上蓋との間には、上部弾性部材が設けられ、
前記蓄電素子と前記底面との間には、下部弾性部材が設けられ、
前記蓄電素子は、前記上部弾性部材および前記下部弾性部材の付勢により押圧されていることを特徴とする二次電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−103249(P2011−103249A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258242(P2009−258242)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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