説明

人工足首継手機構

セルフアライメント足・足首人工装具アセンブリは、足部材(10)を回転可能に取り付けた足首ユニット(16)を有する。足首ユニットは、シリンダ(26)内を直線移動可能なピストン(28)を有する油圧ピストン・シリンダアセンブリを含む。シリンダの軸は、足首ユニットの脛部接続インタフェース(20)により画定される脛軸と一致している。制動抵抗制御弁を含む迂回路(36)により足首継手の背底屈が連続的に油圧制動され、上記ユニットは制動運動範囲の大部分にわたり足背方向と足底方向のいずれにも弾性付勢されない。これにより、立位安定化、バランス制御、階段および傾斜歩行の改善などの利点が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工足首継手機構に関する。また、本発明は、脛部材、足部材、および脛部材と足部材を接続する継手機構を備えた下肢義足に関する。また、本発明は、足・足首人工装具アセンブリに関する。継手機構は、足部材に対する脛部材の回転運動に一定の制動がなされるように構成される。
【背景技術】
【0002】
現在の足・足首人工装具システムは、一般に、立位時や歩行時に安定性を確保しかつ歩行周期の遊脚相で推進エネルギーを返還するように構成された弾性の変形可能な要素からなる固定機械構造として作動するようにアライメント調整されている。しかしそのような装置では、立位時、傾斜や階段の歩行時、あるいは異なる速度での歩行時においてユーザに不快感を与えることが多い。またユーザは、立位時や傾斜や階段の歩行時に膝が不安定となり、足のロールオーバの際の前進運動の維持に困難が伴うため、結果として効率が損なわれてしまう。これらの問題は、衝撃吸収や立脚相での前進を助ける膝屈伸の著しい低下により立脚相運動に通常支障を来たしている大腿切断患者にとって特に重大である。
【0003】
Mauch Laboratories,Inc.のHydraulik Ankle Unit Manual(1988年3月)には、脛部材に対する義足足部の角位置の動的油圧制御を可能とする足首継手機構が開示されている。脛部材は、一部円形の凹面下壁を備えた流体充填室内に収容されたベーンピストンに取り付けられる。その壁上を重力制御のボールが足の向きに応じて前後に転がることで、ピストン内の迂回路が開閉される。その結果、脛部材が垂直のとき、足が水平であるか下方もしくは上方に傾斜しているかにはほとんど無関係に、上記機構の背屈が防止される。そのような義足もまた、上述の欠点を一部有する。
【0004】
他の公知の人工足首システムに米国特許第3871032号明細書(Karas)のものがある。このシステムは、足首を中立位置に戻すように連続的に作用するタペット戻しスプリングを備えた二段ピストン・シリンダアセンブリを有する制動装置を備えている。欧州特許出願公開第0948947号明細書(O’Byrne)には、シリコーン系の液状物質を室内に充填し粘弾性を有するボールソケット継手を備えた人工足首が開示されている。一実施形態では、固体シリコーンゴム粒子を懸濁した液状シリコーンマトリクスが室内に充填されている。米国特許出願公開第2004/0236435号明細書(Chen)には、調整可能な油圧制動部材と弾性付勢部材を足首継手回転軸の前後に取り付けた油圧足首構造が開示されている。国際公開第00/76429号パンフレット(Gramtec)には、油圧ピストン・リンク構造により踵高調整が可能な足首継手を有する義足が記載されている。弾性部品により、歩行時の衝撃が吸収される。米国特許出願公開第2006/0235544号明細書(Iversenほか)には、回転ベーンを備えた油圧足首機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3871032号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0948947号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0236435号明細書
【特許文献4】国際公開第00/76429号パンフレット
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/0235544号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“Hydraulik Ankle Unit Manual”,Mauch Laboratories,Inc.,1988年3月
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、人工足首継手機構は、連続的に油圧制動される足首屈曲範囲を備え、前記範囲の少なくとも一部において制動抵抗が屈曲に対する支配的な抵抗となるように構築、構成される。前記機構は、油圧直線ピストン・シリンダアセンブリを備えることが好ましい。前記ピストンは、足部材に回転可能に接続するための遠位接続手段を有してもよく、前記シリンダは、脛部材に接続するための近位接続手段を有してもよい。一般的には、前記ピストン・シリンダアセンブリは中心軸を有し、前記中心軸は、前記機構を義足脛部材に連結させたとき前記脛部材により定められる脛軸と略一致または平行となるような向きとされる。
【0008】
前記機構は、背屈制動抵抗と底屈制動抵抗を個別に設定可能とするため、前記ピストン・シリンダの前記ピストンの両側にある室の間における作動液の流れを制御するバルブ構造を有してもよく、前記バルブ構造は、それぞれ背屈制動制御および底屈制動制御用の第1および第2の調整可能弁を備えることが好ましい。
【0009】
本発明の別の態様によれば、人工足首継手機構は、連続的に油圧制動される足首屈曲範囲を備え、前記範囲の少なくとも一部において足背方向および足底方向への運動が略弾性付勢されないように構築、構成される。
【0010】
本発明はまた、足部材と、前記足部材に取り付けられた上記特徴を有する足首継手機構との組み合わせを備える足・足首人工装具アセンブリを備える。好ましくは、前記足首継手機構は前記継手機構の背屈を背屈限界までに制限する屈曲制限手段を備え、前記脛部接続インタフェースは異なる前後傾斜角度で脛部材を接続できるように構成される。上記角度には、前記継手機構を前記背屈限界まで屈曲させたときに前記脛部材が垂線に対して少なくとも3°の前方への傾斜を有する角度が含まれる。前記背屈限界は、前記足部材に対する前記脛部材インタフェースの所定の向きに対応させると有利であり、前記脛部材インタフェースに関連付けられた前記足・足首人工装具アセンブリの一部分の、前記足部材に関連付けられた前記アセンブリの他の部分に対する当接により機能する機械的終止点により定めてもよい。前記終止点は、前記ピストン・シリンダアセンブリにおける前記ピストンの前記シリンダの端壁への当接により定めると簡便である。
【0011】
以下に説明する本発明の好ましい実施形態においては、足首の制動屈曲範囲が一定である。ただし、上述の背屈限界は少なくとも3°から6°の前後傾斜角度範囲で調整可能としてもよい。別の実施形態では、背屈限界の調整時に制動屈曲範囲を変化させてもよいが、一旦調整がなされると、制動屈曲範囲も同様にステップ間で一定となる。
【0012】
前記アセンブリは、前記背屈限界における前記足部材と前記脛部接続インタフェースとの相対位置が前記アセンブリの空間における向きとは独立に定められるように構成してもよい。
【0013】
前記足部材に対する前後方向の脛軸向きの調整は、少なくとも1つの従来のピラミッド型アライメントインタフェースを用いて行ってもよいが、前記脛部材インタフェースが好ましい。
【0014】
上述の義足では、上記足首により、動作に対する抵抗が弾性でなく大幅に制動される一定の運動範囲内において背底屈が可能となるため、不快感を与え義足の機能を害する恐れのある高反力モーメントを発生させることなく、変化する活動要件に応じて負荷により容易に屈曲できる足首となる。運動が制動され、かつ略付勢されないことから、上記足首は、最後に負荷を受けた向きを維持し、足部より負荷を除いた後も再アライメント性を持たないように機能する。この特徴は、遊脚相における足部隙間の支援に有利である。
【0015】
脛部接続インタフェースに対する足部材または足部材インタフェースの背屈限界における位置が上記アセンブリの空間における向きとは独立に定められるように構成し、背屈限界を重力とは独立に定めることにより、脛軸の垂直向きに対応する終止点を有する重力依存型の弁システムが不要となる。上述の義足では自由なセットアップが可能であるため、異なる足趾ばね剛性を選択することにより、ロールオーバの動的作用を変えることができる。イールディング動作範囲は、足部材と脛部材との相対的なアライメントを変えることにより変更可能である。脛軸を垂直位置より前方に移動すると、階段および傾斜歩行活動時に特に有利である。
【0016】
エネルギーの蓄積と返還を最大化する従来の手法では、足首に高弾性剛性を持たせる設計が常になされてきた。本発明により提案される方法で剛性を減少させれば、ユーザの装着感が大きく改善するだけでなく、上体の前進運動量の保存にも寄与し、したがって歩様効率が向上する。足首周りの反力モーメントは大幅に放散され、その結果、特にBK(下腿)切断患者における膝と股の随意制御と固有感覚が向上する。
【0017】
本発明のさらに別の態様によれば、上述したような足首継手機構と、エネルギー蓄積型人工足部との組み合わせを備える足・足首人工装具アセンブリであって、前記足部は、前記足部の少なくとも前方部が前記足部の足首取付部に対して背屈可能となるように弾性的に変形可能とされる足・足首人工装具アセンブリが提供される。
【0018】
本発明はまた、脛軸を定める脛部材と、足部材と、上述したような足首継手機構とを備える下肢義足であって、前記足首継手機構により前記脛部材が前記足部材に連結され、前記足部材および前記脛部材のうち少なくとも1つが、前記足部材の少なくとも前方部を前記脛軸に対して弾性背屈可能とする弾性部を備える下肢義足を含む。前記足部材は、前記足前方部に背屈負荷を加えたときに撓むように構成されたエネルギー蓄積ばねを備えていてもよい。あるいは、前記義足は、前記足部材と前記足首継手機構の連結に関連付けられた弾性部を備えることで一定の弾性背屈を可能としてもよい。別の選択肢としては、前記足首継手機構への前記脛部材の連結に関連付けられた弾性部が設けられてもよい。
【0019】
本発明の別の態様は、足首継手機構と、前方部、後方部、および足首取付部を有する人工足部との組み合わせを備える足・足首人工装具アセンブリであって、ダンパ要素を前記足首継手機構、ばね要素を前記足首継手と直列に配置されたばね部材とするマクスウェルモデルのダンパ・ばね結合体を備える足・足首人工装具アセンブリである。
【0020】
以下に説明するのは、脛軸を定める脛部材と、足部材と、前記脛部材と前記足部材を接続する継手機構とを備え、使用時において、前記足部材に対する前記脛部材の内外継手屈曲軸周りの回転に一定の制動がなされるように構成される下肢義足であって、前記機構はピストン・シリンダアセンブリと屈曲制限手段とを備え、前記アセンブリのピストンは前記アセンブリの可変容量流体充填室を定義するように移動可能であり、前記脛部材と前記足部材との相対的な向きが前記継手機構の屈曲とともに変化するとき、少なくとも1つの制動孔を通して流体が前記室内に導入または前記室内より排出され、前記屈曲制限手段は、前記脛軸が垂線に対して前方に少なくとも3度傾斜した状態での前記脛部材の向きに対応する背屈限界までに前記継手機構の背屈を制限する下肢義足である。前記継手機構は、前記脛部材と前記足部材との相対的な回転が、背屈限界と底屈限界との間の角度範囲内で制動可能となるように構成され、前記背屈限界が前記足部材に対する前記脛軸の異なる前方傾斜設定に調整可能であることが好ましい。特に、上記角度範囲は脛軸が垂直となる足底接地状態を含み、許容される脛軸傾斜角度は垂線より前方に異なる値に設定可能である。
【0021】
本発明の好ましい実施形態においては、前記継手機構は、前記脛部材に関連付けられた第1の部分と、前記足部材に関連付けられた第2の部分とを有し、これら2つの部分は継手屈曲軸を定める接続部により回転可能に接続される。上記2つの部分のうちの一方は前記ピストン・シリンダアセンブリの前記室を含み、他方は前記ピストンに回転可能に接続され、前記機構は、前記第1の部分と前記第2の部分との相対的な回転を制限する機械的終止点により前記背屈限界が定められるように構成される。この機械的終止点は、前記ピストンの前記室の端壁への当接であってもよい。背屈限界が近づくにつれ背屈に対する抵抗が増加するように、緩衝ばねまたはパッドをピストンの上面または対向する室壁に取り付けてもよい。
【0022】
背屈限界のプリセット機能については、いくつかの方法で実現することができる。たとえば、継手機構と脛管部などの脛部材との間に通常配置される調整可能な前後傾斜アライメントインタフェースにより上記限界を設定すればよい。上記インタフェースは、上述したような公知の逆ピラミッド型の構成であってもよい。あるいは、上記インタフェースを継手機構と足部材との間に配置してもよい。この場合も、逆ピラミッド型の構成とすればよい。別の選択肢としては、足部材を継手機構に接続し、内外方向に延びる調整軸を有するロック可能な回転継手がある。さらに別の選択肢として、ピストン・シリンダアセンブリ内に調整可能な終止点を設けてもよく、あるいは足部材または脛部材を取り付けた上記機構の一構成要素とピストンとの間の接続部を調整可能とし、脛部材に対する足部材の運動角度範囲に対して上記アセンブリ室内のピストンの押しのけ容積の範囲を変えるようにしてもよい。
【0023】
好ましい継手機構は、ピストン・シリンダアセンブリの上記室と連通する2本の通路を備え、それぞれが逆止弁を有し、一方は、室から当該通路を通って流体が流れるのを防止する向きとされ、他方は、他方の通路を通って室に流体が入るのを防止する向きとされ、それにより一方は、継手機構が背屈方向に屈曲する際に流体を流し、他方の通路は、継手が底屈方向に屈曲する際に流体を流す。両通路は、可変面積制動孔をそれぞれ有し、制動の程度をユーザの要件に合わせられることが好ましい。
【0024】
ピストン・シリンダアセンブリは、油圧ピストン・シリンダアセンブリであることが好ましいが、空圧式アセンブリを用いることも可能である。
【0025】
また、脛部材に対する足部材の任意の位置で継手機構の回転をロックするロック装置を設けてもよい。通常は、迂回路を通ってピストン・シリンダアセンブリの上記室を出入りする流体の流れを遮断する手動または電気機械的に操作される弁を用いてなされる。ロック装置は、2つの位置を有する制御部材を備え、一方の位置では継手機構がイールディングモードで作動し、他方の位置ではロックモードで作動する。上記2つの位置のいずれかに制御部材を保持する保持手段、たとえば、制御部材を一方の位置に付勢するばねと、制御部材を他方の位置に保持する戻り止め、ラッチ、またはロックとが設けられる。
【0026】
本発明はまた、足部接続インタフェースと、前記足部接続インタフェースに回転可能に接続されユニットの屈曲を可能にする脛部接続インタフェースと、流体充填室内を移動可能なピストンを有するピストン・シリンダアセンブリとを備える人工足首ユニットであって、前記ピストンが前記インタフェースの一方と関連付けられ、前記室が他方と関連付けられることにより、前記脛部接続インタフェースが前記足部接続インタフェースに対して回転するとき、前記ピストンが前記室内を移動し、前記ユニットの屈曲方向に応じて少なくとも1つの制動孔を通して流体が前記室内に導入または前記室内より排出され、前記ユニットは、前記インタフェースの選択された相対的な角位置に対応する背屈限界までに前記ユニットの背屈を制限する屈曲制限手段をさらに備え、前記接続インタフェースのうち少なくとも1つは前後傾斜調整可能に構成される人工足首ユニットを有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明に係る第1の足首ユニットを有する足・足首人工装具を中央の前後(AP)面に沿って切断した断面図である。
【図2】図2は、本発明に係る義足に使用する別の足首ユニットを中央のAP面より手前側のAPに沿って切断した断面図である。
【図3】図3は、図2の足首ユニットの前面図である。
【図4】図4は、図2の足首ユニットを内外面に沿って切断した詳細断面図であり、ロック弁を示している。
【図5】図5は、本発明に係る義足により可能となる足首継手イールディング範囲を示す図である。
【図6】図6は、本発明に係る義足の歩行中の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に図面を参照しつつ本発明を例示する。図1に示すように、本発明に係る足・足首人工装具は、剛性の保持体12Aと、保持体12Aに独立に連結された足趾ばね12Bおよび踵ばね12Cとからなる足キール12を備えた足部材10を有する。キール12は、炭素繊維複合材からなる一体の部品であり、装飾用発泡被覆材14で覆われている。
【0029】
足キール12には、継手機構18と脛部接続インタフェース20とを備えた足首ユニット16が取り付けられている。脛部接続インタフェース20により、脛部接続軸22が定められる。足首ユニット16の足キール12への取り付けは、脛部接続軸22の前方にある内外方向に延びる屈曲軸24Aを定める足首屈曲ピボット24を用いて行われる。
【0030】
足首ユニット16の本体によりピストン・シリンダアセンブリのシリンダが形成され、このアセンブリが有するピストン28は上下ピストンロッド28A、28Bを備え、下ピストンロッドは第2回転接続部30で足キール12に回転可能に接続され、屈曲軸24Aより本例では後方に離間した第2内外軸が第2回転接続部により定められる。ここでわかるように、足首ユニットの本体16が屈曲軸24A周りに回転すると、ピストン28がシリンダ26内を略直線状に移動する。
【0031】
ピストン・シリンダアセンブリのシリンダ26は、上下室26A、26Bに分割されている。これらの室は足首ユニット本体16内の2本の迂回路を介して接続されており、そのうちの一方の通路が図1に点線で示されているが、これは図面の切断面の奥側にあるためである。他方の通路は切断面の手前側に位置するため、図1には現れない。ただし後述するように、その構成はほぼ同じである。これら2本の迂回路は、後に詳述するように、ロック弁32を介してシリンダの上室26Aと連通し、共通接続路34が上室26Aに向けて開放される。
【0032】
上記2本の迂回路は、そのうちの一方である36が図1に示されるように、それぞれが手動の可変面積孔38と逆止弁40とを構成する制動抵抗制御弁を備える。この可変面積孔および逆止弁40は、ロック弁32と下室26Bとの間の迂回路36内で直列に配置されている。
【0033】
図1に示される迂回路36の逆止弁40は、下室26Bから上室26Aへと作動液が流れるような向きとなっている。他方の迂回路(図示省略)の逆止弁は、その逆向きである。したがって、通路36の一方は背屈時に作動し、他方は底屈時に作動する。ロック弁32が開放されているとき、屈曲軸24A周りの足首ユニット16に対する足部材10の連続的なイールディング運動は、シリンダ26の下壁と上壁へのピストンの当接によりそれぞれ決まる背屈限界と底屈限界との間において可能である。背屈および底屈に対する制動のレベルは、各可変面積孔により独立に手動で設定可能である。
【0034】
脛部接続インタフェース20は、従来のピラミッド型のものである。脛部接続インタフェース20には、管状の脛部材が通常取り付けられ、この脛部材の遠端には、当業者に周知のように、足首ユニット16に対する脛部材の向きを調整するためのアライメントねじを有する環状の雌ピラミッド型端子が配置されている。中立のアライメント位置では、脛部材の軸(脛軸)が脛接続軸22(図1に図示)と一致する。この中立位置で足首ユニット16に脛部材を固定したとき、シリンダ26の下壁に対するピストン28の当接により決まる足・足首人工装具の背屈限界は、ユーザが水平面に立っているときの垂線に対する脛軸の前方への傾斜に対応する。シリンダ26の上壁に対するピストン28の当接により決まる底屈限界は、脛軸の後方への傾斜に対応する。
【0035】
本実施形態では、背屈限界および底屈限界での脛部接続軸22の前傾角度および後傾角度は、垂線に対してそれぞれ4度(前方)および8度(後方)である。
【0036】
本実施形態において、ロック弁20の開放状態で歩様時および立脚時に足・足首人工装具が自由に屈曲できるイールディング範囲は、上下シリンダ壁に対するピストン28の当接により示される機械的な終止点によって決まる。イールディング範囲の角度の大きさはピストンの行程によって決まるため、脛部接続インタフェース20での脛部材のアライメントを変更しても変化しないが、垂線に対する上記範囲の位置は変化する。
【0037】
したがってここでわかるように、角度範囲の大きさは、足・足首人工装具およびその油圧継手機構の構造および形状によって一定である。背屈と底屈の程度は、上述のように、脛部材接続部のアライメントによって変化する。ここでわかるように、別のアライメントインタフェースを用いることで、背屈限界と底屈限界の位置を調整することができる。たとえば、足首ユニット16と足キール12の間に前後傾斜アライメントインタフェースを設けてもよい。そのようなインタフェースは、図2、3を参照して以下に説明するように、本発明の第2実施形態により提供される。
【0038】
図2に示すように、本発明の第2実施形態は、2部の足首ユニットとして構成されており、先述と同様に、脛部材(図示省略)に調整可能に接続するための脛部接続インタフェース20が取り付けられた足首ユニット本体16Aと、足キール(図示省略)上の公知のタイプのピラミッド型コネクタを受ける足部接続インタフェースが組み込まれた足部取付部材16Bとを有する。継手機構は、屈曲ピボット24とピストンロッド接続ピボット30が義足のキール内に直接収納されるのでなく、足部取付部材16B内に収納される点を除いて、図1を参照して上述した継手機構と同じである。図2は、脛部接続インタフェース20およびシリンダ26の軸と平行だがそれより離間した垂直前後面上の断面図である。したがって、シリンダ26の下室26Bから上室26Aへの作動液の流れ(背屈、すなわちピボット24周りの足首ユニット本体16Aに対する足部取付部材16Bの時計回りの回転に対応)を可能にする迂回路が実線で示され、制御弁32と上室26Aとの間の共通接続路34が点線で示されている。
【0039】
ここでわかるように、底屈を可能にする迂回路(図示省略)には逆止弁40に対応する逆止弁が配置されているが、図2とは弁の向きが逆であることは図1を参照して上述したとおりである。
【0040】
疑義を避けるために指摘すべき点として、上下ピストンロッド28A、28Bを収納する足首ユニット本体16Aの内孔には、足部取付部材16Bが足首ユニット本体16Aに対して回転する際にピストン28およびピストンロッド28A、28Bがシリンダに対して一定範囲内で揺動するのに十分な隙間がピストンロッドの周囲に設けられている。またこの理由から、ピストン28の外周部は断面が弓状となっている。図1の足首ユニットも同じ特徴を備えている。
【0041】
足首ユニット本体16Aの遠位部は、屈曲ピボット24とピストンロッド接続ピボット30の回転軸を収容するトラニオン16AAとして構成されている。足部取付部材16Bは、一体の環状雌ピラミッド型のアライメント連結部16BAを有する。この環状ピラミッドコネクタには4つのねじ42が設けられ、そのうちの3つが図2に示されている。
【0042】
足首ユニットトラニオン16AAは、より明瞭に図3に示されている。図3には、足首ユニット本体16Aの前面で操作可能な2つの調整ねじ38A、38Bも示されている。調整ねじ38A、38Bは、可変面積孔すなわち流動抵抗調整器の一部を形成しており、そのうちの1つが弁38として図2に示されている。調整ねじ38A、38Bにより、それぞれ背屈および底屈方向の制動抵抗を手動で調節することができる。
【0043】
次に、ロック弁32の軸を含む内外面上の足首ユニットの部分断面図である図4に示されるように、このロック弁は、スプール弁孔46内を摺動可能なスプール部材44を有するスプール弁である。この孔には3つの開口がある。第1の開口は、シリンダ26の上室26Aと連通する共通接続路34の開口である。第2および第3の開口36P、36Qは、共通路34に対して内側および外側方向にずれており、迂回路36(図2参照)と連通している。
【0044】
スプール部材44の一端には手動で操作可能な押しボタン48が設けられ、押しボタンカバー52内のスプール部材を覆うばね座金の積み重ね体50による外側への付勢力に抗して押しボタン48を押圧すると、図4に示されるようにスプール部材44が開放位置へと移動する。
【0045】
スプール弁孔46は、上述した3つの開口とそれぞれ一致する拡径部を有する。スプール部材44は、シールリング54を有し孔46と摺動可能に嵌合する4つの全径部を有する。スプール部材44が図4のように開放位置にあるとき、全径部のうちの2つおよびそれらに対応するシールリング54がスプール弁孔46の拡径部と一致し、それにより、迂回路開口36P、36Qと、シリンダ26の上室26Aと連通する共通路34との間を流体が流れる。反対に押しボタン48を解除した場合、スプール部材44が移動し、共通路34への開口の両側において、上述の全径部および各シールリング54がスプール弁孔46の非拡径部と一致し、それによりシリンダ上室26Aと迂回路開口36P、36Qとの間で流体が流れなくなる。したがって、押しボタン48を解除したとき、解除した時点で存在した屈曲角で足首ユニットが油圧ロックされる。押しボタン48は、押しボタンを回転させたときに押しボタンカバー52の戻り止め凹部と係合する突出ピン48Aを有し、それにより押しボタンを押圧位置に維持できる。これがスプール弁の定常位置であり、36である迂回路(図2)を作動液が流れ、その結果、足首ユニットのイールディングによる背底屈が可能となる。
【0046】
図1を参照して上述した足・足首人工装具の足首ユニットも同じロック弁構造を備えている。
【0047】
足首ユニットは、図2、3、4を参照して上述したような足部材に着脱可能な2部のアセンブリ構成であっても、また図1を参照して上述したような人工装具の足部に回転可能に直接取り付けられた足首ユニット構成であっても、図5に模式的に示されるように、イールディングによる足首の屈曲が上記継手機構により可能となる。点線は、足部材10に対する脛部材56の屈曲の機械的な油圧イールディング範囲の底屈(PF)および背屈(DF)限界を示している。角度範囲の大きさは、継手機構とその制動ピストン・シリンダアセンブリの形状によって一定である。上記の好ましい実施形態では、この範囲の大きさは一定であるが、図5に鎖線で示される中立位置に対する両限界の位置は、上述のアライメント調整可能な接続インタフェースのうちのいずれかを用いて足部材に対する脛部材のアライメントを調整することにより変更可能である。このように、屈曲範囲を図5に示される位置より前方または後方に付勢し、PFおよびDF方向のいずれかにより大きな運動範囲を形成してもよい。通常のアライメント設定では、とりわけ足趾ばねの剛性にもよるが、背屈限界は中立軸に対して前方に2度から6度傾いており、底屈限界は中立軸に対して後方に4度から10度傾いている(図5に点線で図示)。
【0048】
手動油圧ロックがかかっていない場合、歩行時および立位時において、足背方向(および足底方向)への設定背屈限界までの連続的なイールディングが上記ユニットにより可能となる。
【0049】
出願人は、足背または足底方向への弾性付勢が最小、好ましくはゼロであり、かつ屈曲限界が上述の範囲内に設定されたイールディング足首を提供することで、階段および傾斜歩行活動時ならびに立位時において利点が得られることを見出した。正常な身体における立位バランス制御の生体力学的構造は、関節の回転中心間での外部モーメントの自然なバランシングを特徴とする。関節の回転中心の幾何学的位置および体重心と反力ベクトルとの相対位置が安定化作用にとって重要である。義足使用時の足の安定性は、筋肉により発生する内部モーメントでなく、主に形状に依存する。そのため、最小の筋活動で長時間の立位が可能である。また、上体のわずかな周期的姿勢動揺も安定に寄与する。したがって、内部抵抗トルクレベルが低い継手を用いることで自然な立位姿勢とバランス制御が得られ、股、膝、足関節に対する地表反力ベクトルの位置が足の安定性の主要源となる。上述した足・足首人工装具におけるような人工足首のイールディングを可能とすることで、下肢切断患者における上述の機能が促進される。
【0050】
上述した特徴を有する下肢義足の歩行時立脚相における動的作用について、図6を参照して以下に説明する。踵接地(a)においては、前のステップでのロールオーバ動作により足首が背屈状態にある。足が足底接地状態(b)へと移行するにつれ、足踵ばねと足首での油圧イールディングの作用下で足首が底屈する。一般にこの段階の足首の底屈では、義足の継手機構による底屈限界に達することはない。ロールオーバ(c)においては、義足の油圧イールディングにより足首が背屈し始め、これによりスムーズなロールオーバ動作が可能となり、体運動量が保存され、膝の機能が向上する。ロールオーバ相の末期(d)に向かうと、継手機構による背屈限界に達する。これが起こると、機械エネルギーが足のキールに向けられるようになり(e)、離地のためのエネルギー返還が得られる。背屈終止点に足を向けた状態で遊脚相が開始し、遊脚相では足趾隙間が形成される。
【0051】
要約すれば、上述の義足は、背底屈時に一定範囲内での連続的なイールディングが可能な足・足首システムである。そのイールディング作用は、従来の足要素(すなわちキール、保持体、炭素繊維複合材からなる独立の踵・足趾ばね)に連結された油圧ダンパにより得られる。したがって足首は、歩行時および立位時において、弾性要素による干渉を最小限にして、油圧ダンパにより一定の背底屈範囲内で自由に連続的に屈曲することができる。立位時には、股、膝、足関節中心が、略正常な立位姿勢を維持できるような相対位置となり、各関節周りのモーメントが自動的にバランシングされ、それにより足の安定性が得られる。さらに、足・足首システムのセルフアライメント作用により歩様時の足の各部分間でのエネルギー移動制御を向上させることができ、ユーザの股関節が機械エネルギー移動の主要な原動力、膝関節がその主要な推進役となる。この立位安定性の安定化およびバランス制御のためのバイオミメティックな方法のさらなる利点としては、傾斜立位時において、油圧部品のイールディング作用により、関節間のアンバランスや不快感を生じさせる恐れのある大きな反力モーメントが足首周りに発生しない点が挙げられる。一定範囲内での油圧イールディングにより足首が自由に動けることから、傾斜面での歩行および立位、ならびにさまざまな踵高の履物への変更時にも自動的に適応することができる。またこのシステムの別の利点として、さまざまな地形でのロールオーバ時において、よりスムーズかつ連続的な移行が可能である点が挙げられる。
【0052】
油圧ピストン・シリンダアセンブリの代わりに空圧式のものを用いることもできるが、油圧式の方が好ましい。
【0053】
好ましい構成では、アライメントアダプタにより、背底屈時の油圧イールディング限界の設定および調整が可能とされる。そのような調整により、義肢装具士は立位時の足のモーメントのバランシングを図ることができる。
【0054】
足背方向または足底方向への屈曲に対する抵抗の大きさは、手動で調節可能である(ドライバを用いて流量制御弁要素を回転させるなど)。別の実施形態では、油圧抵抗を制御する上記制御弁の代わりに、1つの調節可能な制御弁を共通迂回路に配置し、必要に応じて第2の制御弁を分岐路に配置しこれを補ってもよい。
【0055】
さらに、上記足首・足システムによる継手は油圧ロック可能であり、手動でロックすることが好ましいが、たとえば、電気制御弁を用いてリアルタイムで遠隔操作により、好ましくはキーホルダを介して無線制御によりロックしてもよい。
【0056】
背屈終止点には、たとえば圧縮ばねをシリンダの上壁またはピストンの上面に挿入して緩衝性を持たせてもよい。あるいは、上記面のうちのいずれかに弾性ゴム状パッドやフェルトパッドを配置してもよい。
【0057】
別の変形例として、継手機構の部品の当接により決まる終止点の代わりに、油圧背屈終止点を用いてもよい。この場合、当該迂回路をピストン・シリンダアセンブリの室26B(図2)と連通させる開口を、シリンダのシリンダ側壁に、下室26Bの下壁より上側となるように配置することにより、ピストン28が上記機構の背屈とともに移動して開口を覆い、さらなる移動が防止されるようにしてもよい。開口は、背屈限界に近づくにつれ背屈に対する抵抗が増加し油圧緩衝が得られるような形状としてもよく、あるいはそうなるように2つ以上の上記室への開口部に分割してもよい。上室26Aの開口を用いて同様の油圧終止点を得てもよい。
【0058】
要約すれば、上述した好ましい足・足首システムは、油圧制動範囲を簡単に制御可能な直線ピストン構造を有する。従来技術構造にあるような振子やステップごとの電子制御は不要である。制動範囲は機械的に設定されるため、上記直線ピストン構造は簡略かつ高信頼性という点で好ましい。独立の背底屈弁調整によりセットアップ性が向上し、切断患者ごとの要件に合わせた足性能のカスタマイズが可能である。この好ましい足・足首の組み合わせは、マクスウェルモデルによる粘弾性構造を示す。言い換えれば、足首継手機構のダンパが足部の弾性部と直列に作用する。油圧制動は、略ロックされるステップがある場合とは対照的に、ステップごとに働く。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に油圧制動される足首屈曲範囲を有する人工足首継手機構であって、
前記範囲の少なくとも一部において制動抵抗が屈曲に対する支配的な抵抗となるように構築、構成された人工足首継手機構。
【請求項2】
油圧直線ピストン・シリンダアセンブリを備える請求項1に記載の機構。
【請求項3】
前記ピストンは遠位接続手段を有し、前記シリンダは近位接続手段を有する請求項2に記載の機構。
【請求項4】
前記ピストン・シリンダアセンブリは中心軸を有し、前記軸は、前記機構を人工脛部に連結させたとき前記脛部により決められる脛軸と略一致または平行となるような向きとされる請求項2または請求項3に記載の機構。
【請求項5】
前記ピストン・シリンダアセンブリの前記ピストンの両側にある室の間における作動液の流れを制御するバルブ構造をさらに備え、前記バルブ構造により背屈制動抵抗と底屈制動抵抗を個別に設定できる請求項2から請求項4のいずれかに記載の機構。
【請求項6】
前記バルブ構造は、背屈制動と底屈制動をそれぞれ独立に制御する第1および第2の調整可能弁を備える請求項5に記載の機構。
【請求項7】
連続的に油圧制動される足首屈曲範囲を有する人工足首継手機構であって、
前記範囲の少なくとも一部において足背方向および足底方向への運動が略弾性付勢されないように構築、構成された人工足首継手機構。
【請求項8】
足部材と、
前記足部材に取り付けられた請求項1から請求項7のいずれかに記載の足首継手機構との組み合わせを備える足・足首人工装具アセンブリ。
【請求項9】
脛部接続インタフェースをさらに備え、
前記継手機構は前記継手機構の背屈を背屈限界までに制限する屈曲制限手段を備え、
前記脛部接続インタフェースは異なる前後傾斜角度で脛部材を接続できるように構成され、前記角度には、前記継手機構を前記背屈限界まで屈曲させたときに前記脛部材が垂線に対して少なくとも3度の前方への傾斜を有する角度が含まれる請求項8に記載の足・足首人工装具アセンブリ。
【請求項10】
前記足部材に対する前記脛部接続インタフェースの所定の相対的な向きに前記背屈限界が対応するように構成された請求項8または請求項9に記載の足・足首人工装具アセンブリ。
【請求項11】
前記背屈限界は、前記脛部接続インタフェースに関連付けられた前記アセンブリの一部分の、前記足部材に関連付けられた前記アセンブリの他の部分に対する当接により機能する機械的終止点により決められる請求項10に記載の足・足首人工装具アセンブリ。
【請求項12】
請求項3に記載の継手機構を備え、前記ピストンと前記シリンダの端壁とにより前記終止点が定められる請求項11に記載の足・足首人工装具アセンブリ。
【請求項13】
前記背屈限界における前記足部材と前記脛部接続インタフェースとの相対位置は、前記アセンブリの空間における向きとは独立に定められるように構成される請求項8から請求項12のいずれかに記載の足・足首人工装具アセンブリ。
【請求項14】
前記継手機構の背屈方向への屈曲に対する抵抗が調整可能となるように構成された請求項8から請求項13のいずれかに記載の足・足首人工装具アセンブリ。
【請求項15】
前記足部材に対する前後方向の脛軸向きを調整可能とする少なくとも1つのピラミッド型アライメントインタフェースを有する請求項8から請求項14のいずれかに記載の足・足首人工装具アセンブリ。
【請求項16】
前記足首継手機構は、請求項5に記載されたとおりであって、内外継手屈曲軸を規定し、前記継手屈曲軸は、前記ピストン・シリンダアセンブリの前記中心軸より前方にある請求項8から請求項15のいずれかに記載の足・足首人工装具アセンブリ。
【請求項17】
前記機構は、前記ピストン・シリンダアセンブリの可変容量室と連通する2本の通路を備え、それぞれが逆止弁を含み、一方は、前記室から前記当該通路を通って流体が流れるのを防止する向きとされ、他方は、他方の前記通路を通って前記室に流体が入るのを防止する向きとされる請求項16に記載の足・足首人工装具アセンブリ。
【請求項18】
調整可能な制動孔を前記2本の通路の少なくとも一方に備える請求項17に記載の足・足首人工装具アセンブリ。
【請求項19】
前記室と連通する通路の一部を形成し、前記継手機構の足背方向への屈曲時に流体が流れる調整可能な制動孔を備える請求項17に記載の足・足首人工装具アセンブリ。
【請求項20】
前記背屈孔領域は継手屈曲に伴い可変であり、前記領域は前記継手機構の背屈が前記背屈限界に近づくにつれて減少する請求項19に記載の足・足首人工装具アセンブリ。
【請求項21】
前記継手機構の足底方向への屈曲時に流体が流れる第2の調整可能な制動孔を備える請求項19または請求項20に記載の足・足首人工装具アセンブリ。
【請求項22】
前記継手機構の屈曲が前記背屈限界に近づくにつれ背屈に対する抵抗を増加させる緩衝装置を備える請求項8から請求項22のいずれかに記載の足・足首人工装具アセンブリ。
【請求項23】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の足首継手機構と、エネルギー蓄積型義足足部との組み合わせを備える足・足首人工装具アセンブリであって、前記足部は、前記足部の少なくとも前方部が前記足部の足首取付部に対して背屈可能となるように弾性的に変形可能とされる足・足首人工装具アセンブリ。
【請求項24】
脛軸を規定する脛部材と、足部材と、請求項1から請求項7のいずれかに記載の足首継手機構とを備える下肢義足であって、
前記足首継手機構により前記脛部材が前記足部材に連結され、前記足部材および前記脛部材のうち少なくとも1つが、前記足部材の少なくとも前方部を前記脛軸に対して弾性背屈可能とする弾性部を備える下肢義足。
【請求項25】
前記足部材は、前記足前方部に背屈負荷を加えたときに撓むように構成されたエネルギー蓄積ばねを備える請求項24に記載の義足。
【請求項26】
前記足部材と前記足首継手機構の連結に関連付けられた弾性部を備える請求項24に記載の義足。
【請求項27】
前記脛部材と前記足首継手機構の連結に関連付けられた弾性部を備える請求項24に記載の義足。
【請求項28】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の足首継手機構と、前方部、後方部、および足首取付部を有する人工足部との組み合わせを備える足・足首人工装具アセンブリであって、
前記アセンブリは、ダンパ要素を前記足首継手機構、ばね要素を前記足首継手と直列に配置されたばね部材とするマクスウェルモデルのダンパ・ばね結合体を構成する足・足首人工装具アセンブリ。
【請求項29】
前記ばね部材は、前記足首継手機構に対して遠位に配置される請求項28に記載のアセンブリ。
【請求項30】
前記ばね部材は、前記足首の継手取付部上において前記足部の前記前方部を支持する板ばねである請求項28に記載のアセンブリ。
【請求項31】
足部接続インタフェースと、前記足部接続インタフェースに回転可能に接続されユニットの屈曲を可能にする脛部接続インタフェースと、流体充填室内を移動可能なピストンを有するピストン・シリンダアセンブリを備える足首継手機構とを備える人工足首ユニットであって、
前記ピストンが前記インタフェースの一方と関連付けられ、前記室が他方と関連付けられることにより、前記脛部接続インタフェースが前記足部接続インタフェースに対して回転するとき、前記ピストンが前記室内を移動し、前記ユニットの屈曲方向に応じて少なくとも1つの制動孔を通して流体が前記室内に導入または前記室内より排出され、それにより前記足首ユニットは、連続的に油圧制動される足首屈曲範囲を設けるとともに、前記範囲の少なくとも一部において制動抵抗が屈曲に対する支配的な抵抗となるように構築、構成され、前記ユニットは、前記インタフェースの選択された相対的な角位置に対応する背屈限界までに前記ユニットの背屈を制限する屈曲制限手段をさらに備え、前記接続インタフェースのうち少なくとも1つは前後傾斜調整可能に構成される人工足首ユニット。
【請求項32】
前記ピストン・シリンダアセンブリは油圧ピストン・シリンダアセンブリであり、前記室は作動液が充填され、
複数の前後傾斜設定のいずれかにおいて前記インタフェースの相対回転位置をロックする手動操作可能な油圧ロックを備え、それにより、前記ロックの設定に応じてロックモードとイールディングモードを有する請求項31に記載の足首ユニット。
【請求項33】
前記油圧ロックは電気機械的に作動可能である請求項32に記載の足首ユニット。
【請求項34】
無線遠隔制御装置を含む電気機械的作動手段を備える請求項33に記載の足首ユニット。
【請求項35】
脛軸を定める脛部材と、足部材と、前記脛部材と前記足部材を接続する継手機構とを備え、ロックモードとイールディングモードとの間で継手機構作動モードをユーザが選択可能な下肢義足であって、
前記継手機構は、
(i)前記脛軸と前記足部材との相対的な向きの内外継手軸周りの無段階調整を可能とし、調整後の設定に前記相対的な向きを固定した状態で前記ロックモードにて作動するように前記機構をロック可能であり、
(ii)前記イールディングモードにおいて、一定の角度範囲内での制動背底屈を可能とし、前記範囲の少なくとも一部において制動抵抗が屈曲に対する支配的な抵抗となるように前記継手機構が構築、構成される
ように構成される下肢義足。
【請求項36】
前記機構はピストン・シリンダアセンブリと屈曲制限手段とを備え、前記アセンブリのピストンは前記アセンブリの可変容量流体充填室を画定するように移動可能であり、前記脛部材と前記足部材との相対的な向きが前記継手機構の屈曲とともに変化するとき、少なくとも1つの制動孔を通して流体が前記室内に導入または前記室内より排出され、前記屈曲制限手段は、前記脛軸が垂線に対して前方に傾斜した状態での前記脛部材の向きに対応する背屈限界までに前記継手機構の背屈を制限する請求項35に記載の義足。
【請求項37】
前記機構は前記制動抵抗を調整する手段を備える請求項35または請求項36に記載の義足。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−512819(P2010−512819A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540861(P2009−540861)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004785
【国際公開番号】WO2008/071975
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(509167109)チャス エー. ブラッチフォード アンド ソンス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】