説明

位相変調装置、信号変換装置、および光伝送装置

【課題】 高周波信号に対して変調度の大きな位相変調を行うことができる位相変調装置、この位相変調装置を備えた信号変換装置、およびこの信号変換装置を備えた光伝送装置を提供する。
【解決手段】 入力する高周波信号をそれぞれ増幅し、互いに同位相で、かつ逆電圧もしくは逆電流の信号を出力する第1増幅器13および第2増幅器14と、外部から導光した光の位相を第1増幅器13および第2増幅器14の出力に応じて変化させる位相変調器15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変調度の大きな位相変調を行うことができる位相変調装置、この位相変調装置を備えた信号変換装置、およびこの信号変換装置を備えた光伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の位相変調器としては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。ここで、この位相変調器の構造および駆動方法について、図5および図6を参照しながら、以下に説明する。
図5に示す(第1の)位相変調器は、光学結晶101に形成した光導波路102を挟むように第1電極103と第2電極104を設け、駆動部105からの信号を第1電極103と第2電極104との間に印加するように構成している。この位相変調器は、第1、第2電極103、104間に電界をかけることにより、光導波路102の第1電極103と第2電極104に挟まれた部分に電気光学効果(屈折率変化)を生じさせ、光導波路102を伝搬する光の位相を変化(光位相変調)させるものである。
【0003】
また、図6に示す(第2の)位相変調器は、光学結晶201に第1光導波路202および第2光導波路203を形成し、第1光導波路202および第2光導波路203のそれぞれの上部に第1電極204と第2電極205を設け、駆動部206からの信号を第1電極204と第2電極205との間に印加するように構成している。この位相変調器では、第1電極204と第2電極205の間に電界をかけることにより、第1電極204下部の第1光導波路202および第2電極205下部の第2光導波路203とに電気光学効果を生じさせ、第1光導波路202および第2光導波路203を伝搬する光の位相を互いに逆方向に変化させるものである。即ち、この位相変調器では、第1光導波路202および第2光導波路203を伝搬する光の位相を互いに逆方向に変化させることにより、相対的に大きな位相変化を得ようとするものである。
【特許文献1】特許第3550823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図5に示した従来例において、位相変調器の位相変化量を大きくするには、第1電極103と第2電極104との間に印加する高周波信号の振幅を大きくする必要があるので、駆動部105には大出力の電気信号を出力する増幅部を備えることが必要となる。ところで、映像信号などの広帯域アナログ信号に対して位相変調またはFM変調を行う場合、駆動部105には低歪特性と広帯域特性が要求される。ところが、このような位相変調器では、大出力と低歪とは相反するため、大出力と低歪の相反する特性を広帯域で実現する増幅部を備えた駆動部105を実現することは困難であり、しかもコストが嵩む。
【0005】
また、図6に示す位相変調器は、前述したように、第1光導波路202および第2光導波路203を伝搬する光の位相を互いに逆方向に変化させることにより、相対的に大きな位相変化を得ようとするものであるが、2つの光導波路202、203を伝搬する光を結合するための光カプラが必要となる。そのため、位相変調器の構成および調整が複雑になるとともに、高コスト化する。また低歪化のためには、2つの光導波路の位相変化特性を対称にする必要があり、位相変調器の作製における歩留りも低下し、コストも嵩む。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、所望の信号に対して変調度の大きな位相変調を行うことができる位相変調装置、この位相変調装置を備えた信号変換装置、およびこの信号変換装置を備えた光伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の位相変調装置は、入力する高周波信号をそれぞれ増幅し、互いに同位相で、かつ逆電圧もしくは逆電流の信号を出力する第1増幅器および第2増幅器と、外部から導光した光の位相を前記第1増幅器および第2増幅器の出力に応じて変化させる位相変調器と、を備えるものである。
【0008】
本発明の位相変調装置は、周波数多重装置からの周波数多重信号を分配する分配器と、前記分配器から分配される前記周波数多重信号をそれぞれ増幅し、互いに同位相で、かつ逆電圧もしくは逆電流の信号を出力する第1増幅器および第2増幅器と、外部から導光した光の位相を前記第1増幅器および第2増幅器の出力に応じて変化させる位相変調器と、を備えるものである。
【0009】
本発明の信号変換装置は、上記の位相変調装置であって、前記位相変調器は、光学結晶内に設けられ、前記光信号を入力する光導波路と、前記光導波路を挟むように形成された第1電極および第2電極を有し、前記第1増幅器および第2増幅器の出力は、それぞれ前記第1電極および第2電極に印加されるものである。
【0010】
本発明の信号変換装置は、第1半導体レーザおよび第2半導体レーザと、上記のいずれかに記載の位相変調装置であって、前記第1半導体レーザの出力光が導光される位相変調器と、前記位相変調器の出力光と前記第2半導体レーザの出力光を合波する光合波器と、この光合波器で合波した光信号を電気信号に変換するO/E変換手段と、を備えるものである。
【0011】
本発明の信号変換装置は、半導体レーザと、この半導体レーザの光を分波する光分岐器と、上記のいずれかに記載の位相変調装置であって、前記光分岐器で分岐した一方の光が導光される第1位相変調器と、上記のいずれかに記載の位相変調装置であって、前記光分岐器で分岐した他方の光が導光される第2位相変調器と、前記第1位相変調器の出力光と前記第2位相変調器の出力光とを合波する光合波器と、この光合波器で合波した光信号を電気信号に変換するO/E変換手段と、を備えるものである。
【0012】
本発明の光伝送装置は、上記の信号変換装置と、この信号変換装置からの出力信号により光信号を変調する半導体レーザとからなる光送信器と、この光送信器からの前記光信号を光増幅する光増幅器と、前記光増幅器からの前記光信号を分岐する光分岐器と、前記光分岐器からの前記光信号を伝送する光ファイバと、前記光ファイバを伝送する前記光信号を受信する光受信器と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、入力する高周波信号をそれぞれ増幅し、互いに同位相で、かつ逆電圧もしくは逆電流の信号を出力する第1増幅器および第2増幅器と、外部から導光した光の位相を前記第1増幅器および第2増幅器の出力に応じて変化させる位相変調器とを備えるので、所望の変調信号に対して変調度の大きな位相変調を行うことができ、換言すれば大出力と低歪の相反する特性を広帯域で実現することができる位相変調装置、この位相変調装置を備えた信号変換装置、およびこの信号変換装置を備えた光伝送装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る位相変調装置10を示すものであり、この位相変調装置10は、周波数多重装置11と、分配器12と、第1、第2増幅器13、14と、位相変調器15とを備えている。なお、図中、符号16Aは入力側光ファイバ、16Bは出力側光ファイバを示す。
【0015】
周波数多重装置11は、例えば映像信号等の周波数の異なる複数の電気信号αを周波数多重した電気信号(「周波数多重信号β」)を生成する。分配器12は、周波数多重された周波数多重信号βを2つの信号、即ち、第1増幅器入力信号γと第2増幅器入力信号δとに分配する。
第1増幅器13および第2増幅器14は、ここにそれぞれ入力する第1増幅器入力信号γおよび第2増幅器入力信号δに対して、一方の出力が他方の出力と同位相で、かつ、逆電圧もしくは逆電流となるような状態で増幅し、位相変調器15へ出力する。即ち、第1増幅器13の出力を位相変調器15の後述する第1電極151へ印加するため、第1増幅器13の出力は第1電極151の入力に接続させてある。一方、第2増幅器14の出力を位相変調器15の後述する第2電極152へ印加するため、第1増幅器の出力は第1電極12の入力に接続させてある。
位相変調器15は、外部から導光する光信号を位相変調するようになっている。具体的には、光学結晶体15Aに形成した光導波路15Bを両側から挟むように第1電極151と第2電極152を設けており、駆動部である第1、第2増幅器13、14からの信号(「第1増幅器入力信号γ」および「第2増幅器入力信号δ」)が第1、第2電極151、152の間に入力する。また、第1電極151と第2電極152との間には、位相変調器15の入力インピーダンスが第1増幅器13および第2増幅器14の出力インピーダンスと整合するよう、インピーダンス整合抵抗153を接続している。従って、位相変調器15は、第1、第2電極151、152間に電界をかけることにより、光導波路15Bの第1電極151と第2電極152とに挟まれた部分に、電気光学効果(屈折率変化)を生じさせ、光導波路を伝搬する光の位相を変化(光位相変調)させる。
【0016】
次に、本発明の位相変調装置10における位相変調器15の駆動方法について、図1を参照しながら説明する。
映像信号等の周波数の異なる複数の電気信号が周波数多重装置11により周波数多重され、分配器12により第1増幅器入力信号αと第2増幅器入力信号βとに分配される。
次に、第1増幅器13および第2増幅器14は、一方の増幅器の出力が他方の増幅器の出力と同位相で、かつ、逆電圧もしくは逆電流の状態で、それぞれ第1増幅器入力信号γおよび第2増幅器入力信号δを増幅し、第1増幅器13の出力を位相変調器15の第1電極151へ印加するとともに、第2増幅器14の出力を位相変調器15の第2電極152へ印加する。
【0017】
上述のような駆動方法によれば、位相変調器15の第1電極151と第2電極152との間への印加電圧は、第1増幅器13および第2増幅器14の出力の和になるため、位相変調器15を駆動するそれぞれの増幅器13、14の出力は、増幅器を単独で用いた場合の1/2でよい。したがって、増幅器の増幅率をその分低く抑えることができ、歪特性および広帯域性を改善できるので、低歪で広帯域の位相変調器駆動が可能となる。さらに、位相変調器15の駆動部の低コスト化が図れる。
【0018】
[第2の実施形態]
次に、本発明に係る位相変調装置10を備えた信号変換装置20について、図2を参照しながら説明する。
図2に示す信号変換装置20は、周波数多重された信号を広帯域FM信号に変換するFM一括変換方式の信号変換装置を構成するものであり、第1、第2半導体レーザ21、22と、位相変調装置10と、光合波器23と、光検出器(「O/E変換手段」を構成する)24とを備えている。なお、図中、符号25Aから25Dは、光ファイバを示す。
【0019】
このうち、第1半導体レーザ21および第2半導体レーザ22は、それぞれの光周波数の差が広帯域FM信号の中心周波数である1〜20GHzとなるように光周波数を制御する。光合波器23は、位相変調器で変調した第1半導体レーザ21からのレーザ光と、第2半導体レーザ22からの局部レーザ光とを合波するものであり、例えば光カプラなどを用いている。光検出器24は、光合波器で合波した光を電気信号に変換するものであり、例えばPINフォトダイオード(PD)やAPDフォトダイオードなどを用いている。なお、位相変調装置10は、第1の実施形態と同様に構成されており、第1、第2増幅器13、14と、位相変調器15とを備えている。このうち、位相変調器15は、第1半導体レーザの光を変調する。第1、第2増幅器13、14は、一方の増幅器の出力が他方の出力と同位相で、かつ、逆電圧もしくは逆電流を位相変調器15へ出力し、その位相変調器15を駆動する。
【0020】
次に、本実施形態に係る信号変換装置20の作用について説明する。
第1半導体レーザ21と局部レーザ光用の第2半導体レーザ22から発振するレーザ光の光周波数について、それぞれの光周波数の差が、後述する広帯域FM信号の中心周波数である1〜20GHzとなるように、第1半導体レーザ21および第2半導体レーザ22のそれぞれの駆動電流および温度を調整することにより、光周波数を制御する。
第1半導体レーザ21からのレーザ光(搬送波;キャリア)は、位相変調器15において、周波数多重された信号(「第1増幅器入力信号γ」および「第2増幅器入力信号δ」)により位相変調を受ける。ここで、周波数多重されているそれぞれの信号γ、δの帯域がキャリア周波数より十分低い場合、位相変調信号はFM変調信号と等価とみなせる。
ここで、位相変調器15を駆動する第1増幅器13および第2増幅器14は、一方の増幅器の出力が他方の増幅器の出力と同位相で、かつ、逆電圧もしくは逆電流として増幅する。このようにして、第1、第2増幅器13、14は、それぞれ、入力する第1増幅器入力信号γ、第2増幅器入力信号δを増幅し、位相変調器15のそれぞれの電極(図示せず)へ出力する。
次に、位相変調器15からの変調光と第2半導体レーザ22からの局部レーザ光とが、光合波器23を介して合波され、光検出器24にて光ヘテロダイン検波されることにより、電気出力信号25として広帯域FM信号が得られる。
【0021】
このように、本実施形態の信号変換装置20によれば、位相変調装置10において、位相変調器15の電極間の印加電圧が、第1増幅器13および第2増幅器14の出力の和になるため、位相変調器15を駆動するそれぞれの増幅器(第1増幅器13、第2増幅器14)からの出力は、増幅器を単独で用いた場合の1/2でよい。したがって、本実施形態の信号変換装置20によれば、増幅器の増幅率を低く抑えられることができるので、歪特性および広帯域性を改善することができ、低歪で広帯域の信号変換装置20が可能となる。また信号変換装置20の低コスト化が図れる。
【0022】
[第3の実施形態]
次に、本発明に係る位相変調装置の駆動方法を用いたもう一つの(FM一括変換方式)の信号変換装置30について、図3を参照しながら説明する。
図3に示す信号変換装置30は、周波数多重された信号を広帯域FM信号に変換するFM一括変換方式の信号変換装置を構成するものであり、この信号変換装置30は、半導体レーザ31と、光分波器32と、一対の位相変調装置10A,10Bと、光合波器33と、光検出器(「O/E変換手段」)34とを備えている。なお、図中、符号35Aから35Fは、光ファイバを示す。
【0023】
光分波器32は、半導体レーザ31からの光を、FM変調用の光と光ホモロダイン検波用の局部レーザ光とに分岐させる。位相変調装置10Aは、第2の実施形態で用いるものと同様の構成となっており、第1、第2増幅器13A,14Aと、位相変調器15Aとを備えている。一方、位相変調装置10Bは、周波数シフト用第1第2増幅器13Aおよび周波数シフト用第2増幅器14Bと、周波数シフト用位相変調器15Bとを備えている。光合波器33は、位相変調器10Aからの変調光と周波数シフト用位相変調器10Bからの局部レーザ光とを合波する。光検出器24は、光合波器33で合波された光信号に対して光ホモロダイン検波する。
【0024】
次に、本実施形態に係る信号変換装置30の作用について説明する。
半導体レーザ31からの光は、光分岐器32でFM変調用の光と、光ホモロダイン検波用の局部レーザ光とに分岐する。このうち、光分岐器32で分岐したFM変調用の光は、位相変調器15Aにおいて周波数多重された信号により位相変調を受け、周波数多重しているそれぞれの信号の帯域がキャリア周波数より十分低い場合、FM変調光となる。ここで位相変調器15Aを駆動する第1増幅器13Aおよび第2増幅器14Aは、一方の増幅器の出力が他方の増幅器の出力と同位相で、かつ、逆電圧もしくは逆電流である。即ち、第1増幅器13Aおよび第2増幅器14Aは、それぞれ第1増幅器入力信号γおよび第2増幅器入力信号γを増幅して、位相変調器15Aの図示しないそれぞれの電極へ印加する。
一方、光分岐器32で分岐した局部レーザ光は、周波数シフト用位相変調器15Bで位相変調を受け、周波数シフトした光周波数成分を持つ局部レーザ光となる。ここで、周波数シフト用位相変調器15Bを駆動する周波数シフト用第1増幅器13Bおよび周波数シフト用第2増幅器14Bは、一方の増幅器の出力が他方の増幅器の出力と同位相で、かつ、逆電圧もしくは逆電流である。即ち、第1増幅器13Bおよび第2増幅器14Bは、それぞれ周波数シフト用第1増幅器入力信号γおよび周波数シフト用第2増幅器入力信号δを増幅してその出力を周波数シフト用位相変調器15Bのそれぞれの電極へ印加する。なお、この周波数シフト用第1増幅器入力信号γおよび周波数シフト用第2増幅器入力信号δの周波数は、広帯域FM信号の中心周波数である1〜20GHzである。
次に、位相変調器15Aからの変調光と、周波数シフト用位相変調器15Bからの局部レーザ光とは、光合波器33を介して合波され、光検出器34にて光ホモロダイン検波することにより、電気出力信号として広帯域FM信号が得られる。
【0025】
従って、本実施形態によれば、前述した構成により、位相変調器15Aの電極間の印加電圧は、第1増幅器13Aおよび第2増幅器14Aの出力の和になるため、位相変調器15Aを駆動するそれぞれの増幅器の出力は、増幅器を単独で用いた場合の1/2でよい。また、周波数シフト用位相変調器15Bにおいても、同様の効果が得られる。その結果、増幅器の増幅率を低く抑えられるので、歪特性および広帯域性を改善することができ、低歪で広帯域の信号変換装置が可能となる。また信号変換装置の低コスト化も図れる。
【0026】
[第4の実施形態]
次に、本発明に係る信号変換装置20(或いは信号変換装置30でもよい)を設けた光送信器を備える光伝送装置60について、図4を参照しながら説明する。
本実施形態の光伝送装置60は、大略構成として、光送信器40と、光受信器50と、この光送信器40および光受信器50とをつなぐ光ファイバ61とを備えている。
【0027】
光送信器40は、前述の信号変換装置20(或いは信号変換装置30でもよい)と、この信号変換装置の電気出力信号により直接変調する半導体レーザとを備える。光ファイバ61には、途中の複数個所に、光送信器40からの光信号を光増幅する光増幅器62A,62B,・・・と、この光増幅器62A,62B,・・・からの光信号を分岐する光分岐器63A,63B,・・・とを設置してある。
【0028】
従って、本実施形態によれば、初めに、光送信器40において、半導体レーザ41からは信号変換装置20の出力信号により直接変調された光信号を出力する。そして、この光送信器42からの光信号は、光増幅器62A、光分岐器63A、さらに光増幅器62B、光分岐器63B、・・・のように、光増幅器と光分岐器とを多段に組み合わせて多分岐される。そして、この多分岐されたそれぞれ光信号は、光ファイバ61を介して光受信器50にて復調され、元の周波数多重された電気信号を得る。
従って、本実施形態に係る光伝送装置60によれば、光送信器40に信号変換装置20を用いることにより、歪特性および広帯域性を改善した、低歪で広帯域の光伝送装置が実現可能となり、また光伝送装置の低コスト化が図れる。
【0029】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の位相変調装置は、入力する高周波信号をそれぞれ増幅し、互いに同位相で、かつ逆電圧もしくは逆電流の信号を出力する第1増幅器および第2増幅器と、外部から導光した光の位相を前記第1増幅器および第2増幅器の出力に応じて変化させる位相変調器とを備えているので、所望の変調信号に対して変調度の大きな位相変調を行うことができる。換言すれば、大出力と低歪の相反する特性を有する位相変調装置を広帯域で実現できる効果を有し、延いては信号変換装置、および光伝送装置等を形成するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る位相変調装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明に係る信号変換装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明に係る信号変換装置の変形例の構成を示すブロック図
【図4】本発明に係る光伝送装置の構成を示すブロック図
【図5】従来の位相変調器を示す概略斜視図
【図6】従来の位相変調器の他の例を示す概略斜視図
【符号の説明】
【0032】
10 位相変調装置
10A,10B 位相変調装置
11 周波数多重装置
12 分配器
13、14 第1、第2増幅器
15 位相変調器
16A 入力側光ファイバ
16B 出力側光ファイバ
151 第1電極
152 第2電極
153 インピーダンス整合抵抗
20 信号変換装置
21、22 第1、第2半導体レーザ
23 光合波器
24 光検出器(O/E変換手段)
25A〜25D 光ファイバ
30 信号変換装置
31 半導体レーザ
32 光分波器
33 光合波器
34 光検出器(O/E変換手段)
35A〜35F 光ファイバ
40 光送信器
50 光受信器
60 光伝送装置
61 光ファイバ
62A,62B,・・・ 光増幅器
63A,63B,・・・ 光分岐器
α 映像信号等の周波数の異なる複数の電気信号
β 周波数多重信号
γ 第1増幅器入力信号
δ 第2増幅器入力信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力する高周波信号をそれぞれ増幅し、互いに同位相で、かつ逆電圧もしくは逆電流の信号を出力する第1増幅器および第2増幅器と、
外部から導光した光の位相を前記第1増幅器および第2増幅器の出力に応じて変化させる位相変調器と、
を備える位相変調装置。
【請求項2】
周波数多重装置からの周波数多重信号を分配する分配器と、
前記分配器から分配される前記周波数多重信号をそれぞれ増幅し、互いに同位相で、かつ逆電圧もしくは逆電流の信号を出力する第1増幅器および第2増幅器と、
外部から導光した光を前記第1増幅器および第2増幅器の出力に応じて変化させる位相変調器と、
を備える位相変調装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の位相変調装置であって、
前記位相変調器は、光学結晶内に設けられ、前記光信号を入力する光導波路と、前記光導波路を挟むように形成された第1電極および第2電極を有し、
前記第1増幅器および第2増幅器の出力は、それぞれ前記第1電極および第2電極に印加される位相変調装置。
【請求項4】
第1半導体レーザおよび第2半導体レーザと、
請求項1ないし3のいずれか1項記載の位相変調装置であって、前記第1半導体レーザの出力光が導光される位相変調器と、
前記位相変調器の出力光と前記第2半導体レーザの出力光を合波する光合波器と、
この光合波器で合波した光信号を電気信号に変換するO/E変換手段と、
を備える信号変換装置。
【請求項5】
半導体レーザと、この半導体レーザの光を分波する光分岐器と、
請求項1ないし3のいずれか1項記載の位相変調装置であって、前記光分岐器で分岐した一方の光が導光される第1位相変調器と、
請求項1ないし3のいずれか1項記載の位相変調装置であって、前記光分岐器で分岐した他方の光が導光される第2位相変調器と、
前記第1位相変調器の出力光と前記第2位相変調器の出力光とを合波する光合波器と、
この光合波器で合波した光信号を電気信号に変換するO/E変換手段と、
を備える信号変換装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の信号変換装置と、
この信号変換装置からの出力信号により光信号を変調する半導体レーザとからなる光送信器と、
この光送信器からの前記光信号を光増幅する光増幅器と、
前記光増幅器からの前記光信号を分岐する光分岐器と、
前記光分岐器からの前記光信号を伝送する光ファイバと、
前記光ファイバを伝送する前記光信号を受信する光受信器と、
を備える光伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−166204(P2006−166204A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−356610(P2004−356610)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】