説明

光源装置

【課題】通常観察内視鏡が接続される場合と、蛍光観察用の蛍光観察内視鏡が接続される場合とで、異なる焦点距離の集光レンズを使い分けることができる光源装置を、提供する。
【解決手段】光源プロセッサ装置12の電気ソケット12b中の所定端子は、そのライトガイド20の基端がソケット12aに接続されている内視鏡11の内部に内蔵されたメモリ13に、導通する。故に、システムコントロール回路40は、当該端子を通じて、内視鏡11のメモリ13から、当該内視鏡11が蛍光観察内視鏡であるか通常観察内視鏡であるかを特定する識別情報を入力される。そして、集光レンズドライブ機構34を制御し、蛍光観察内視鏡であることを特定する識別情報が入力されると、蛍光観察用集光レンズ28aをソケット12aの中心軸と同軸となる位置へ移動させ、通常観察内視鏡であることを特定する識別情報が入力されると、通常観察用集光レンズ28bを、ソケット12aの中心軸と同軸となる位置へ移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡内に引き通されたライトガイドへ照明光を供給するための光源装置に、関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、生体組織に含まれるある種の物質は、特定の波長の光が照射されると、励起して蛍光を発する。但し、腫瘍や癌などの病変が生じている異常な生体組織では、正常な生体組織において発生する蛍光よりも、発生する蛍光の強度が弱い。この反応現象は、体腔壁下の生体組織においても生じる。近年、体腔壁下の生体組織に生じた異常をこの反応現象を利用して検出する蛍光観察システムが、開発されている。
【0003】
このような蛍光観察システムの一種として、従来の電子内視鏡システムの構成を改変することにより、通常の可視照明光の体腔壁表面での反射光による可視カラー像と、体腔壁下の生体組織から発した蛍光による蛍光像とを選択的に撮像できるようにしたものがある。このシステムでは、可視帯域全域の光が可視カラー像を得るために用いられるので、生体組織を励起させるための励起光として、紫外光が用いられる。そして、電子内視鏡のライトガイドファイババンドルとして、紫外光に対する透過特性が良い石英ガラス製の光学ファイバからなるものが用いられるとともに、対物レンズと撮像素子との間に、紫外光をカットするための励起光カットフィルタが配置される。また、光源装置として、内視鏡のライトガイドファイバの基端に向けて、可視域の白色光と紫外域の励起光とを選択的に導入できる光学構成を有するものが使用される。このような蛍光観察システムについて、本出願人は、先に下記特許文献1に開示された特許出願を行った。
【0004】
図4は、下記特許文献1に開示した蛍光観察システムの構成を、若干簡略化して示すものである。
【0005】
図4に示すように、この蛍光観察システムは、光源装置100,電子内視鏡101,ビデオプロセッサ102及びモニタ103から、構成される。
【0006】
電子内視鏡101は、その体腔内挿入部の先端に配光レンズ104及び対物レンズ105が嵌め込まれているとともに、対物レンズの背後には、対物レンズ105によって形成された被検部の像を撮像する撮像素子106が配置されるという、電子内視鏡としては一般的な構成を、有している。更に、上述したように、この電子内視鏡101には、配光レンズの背後まで引き通されたライトガイドファイババンドル107として石英ガラス製のものが用いられ、対物レンズ105と撮像素子106との間の光路上に、紫外光を遮断する励起光カットフィルタ109が設けられている。
【0007】
光源装置100は、電子内視鏡101のライトガイドファイババンドル107が挿入されるソケット100aを備えるとともに、このソケット100aに挿入されたライトガイドファイババンドル107の延長線上に、順番に、集光レンズ108,可動ミラー109及び白色光光源110を、備えている。白色光光源110は、白色光を平行光として射出する光源である。可動ミラー109は、光源制御部113によって、白色光光源110からの白色光の光路から退避した第1の位置と、当該白色光の光路に対して45度の角度で挿入された第2の位置との間で可動する反射鏡である。第2の位置にある可動ミラー109によって折り曲げられた集光レンズ108の光軸上には、光軸をクランク状に折り曲げる反射ミラー111が配置され、当該光軸の先に、励起光を当該光軸に沿った平行光として射出する励起光光源112が配置されている。
【0008】
従って、光源制御部113によって駆動された可動ミラー109が第1の位置に移動することにより、白色光光源110から射出した白色光が、集光レンズ108に入射して、この集光レンズ108によって収束されて、ライトガイドファイババンドル107の基端面に入射し、配光レンズ104を介して被検部に照射され、その反射光による被検部の像が、対物レンズ105及び撮像素子106によって撮像される。また、可動ミラー109が第2の位置に移動することにより、励起光光源112から射出した励起光が集光レンズ108に入射して、この集光レンズ108によって収束されて、ライトガイドファイババンドル107の基端面に入射し、配光レンズ104を介して被検部に照射され、それによって励起された生体組織が発した蛍光による像が、対物レンズ105及び撮像素子106によって撮像される。
【0009】
ビデオプロセッサ102は、電子内視鏡101の撮像素子106から出力された画像信号を処理することにより、白色光が被検部に照射されている間に出力された画像信号に基づく可視像,及び、励起光が被検部に照射されている間に出力された画像信号に基づく蛍光像を、モニタ103上に表示させることができる。
【特許文献1】特開2000−23903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述した構成を有する電子内視鏡(以下、「蛍光観察内視鏡」という)101に用いられるライトガイドファイババンドル107を構成する石英ガラス製光ファイバは、専ら可視像観察に用いられる内視鏡(以下、「通常観察内視鏡」という)に用いられるライトガイドファイババンドルを構成する通常ガラス製光ファイバと比較して、NA(開口数)が小さい。これに対して、通常観察内視鏡用に設計された従前の光源装置の集光レンズは、通常ガラス製光ファイバのNAに合わせてあり、焦点距離が短い。よって、当該集光レンズをそのまま用いた場合には、周辺光線の入射角が石英ガラス製光ファイバのNAと比較して大きくなりすぎるので、周辺光線が入射できずに損失してしまうという問題がある。
【0011】
だからと言って、集光レンズ108として、石英ガラス製光ファイバNAに合わせて焦点距離が長いものを採用すると、当該光源装置100に通常観察内視鏡を接続した場合にも、当該内視鏡のライトガイドファイババンドルへの白色光の入射角範囲が狭くなってしまうので、ライトガイドファイババンドル107の先端での配光角も狭くなってしまい、広範囲の照明を行うことができなくなってしまう。
【0012】
そこで、本願発明は、通常観察内視鏡が接続される場合と、蛍光観察用の蛍光観察内視鏡が接続される場合とで、自動的に、夫々のライトガイドの基端に照明光を収束する集光レンズを切り替えることができる光源装置の提供を、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために案出された本発明は、ライトガイドがその内部を引き通されてその先端近傍に当該ライトガイドの射出端面が配置されている挿入部と、蛍光観察内視鏡であることに対応した情報を保持するメモリと、当該ライトガイドの他端及び前記メモリに接続された端子がその端面から突出したコネクタとを有する内視鏡に、照明光を供給する光源装置であって、前記ライトガイドの他端が挿入される貫通孔であるソケットと、当該ソケットに前記ライトガイドの他端が挿入されると前記端子に導通する電気ソケットと、前記ソケットの中心線に、比較的焦点距離が長い第1の集光レンズと、比較的焦点距離が短い第2の集光レンズとを選択的に移動させる集光レンズ移動機構と、前記電気ソケットを通じて導通した前記内視鏡のメモリから情報を読み込み、蛍光観察内視鏡であることに対応した情報が読み込まれている間は、前記第1の集光レンズを前記ソケットの中心線上に移動させるように前記集光レンズ移動機構を制御し、それ以外の期間には前記第2の集光レンズを前記ソケットの中心線上に移動させる制御回路と、前記集光レンズ移動機構により前記ソケットの中心線上に移動された集光レンズに、可視帯域の白色光と紫外域の励起光とを、選択的に入射する光源光学系とを、備えたことを特徴とする。
【0014】
このように構成された光源装置では、蛍光観察内視鏡のライトガイドの基端がソケットに挿入されると、制御回路が、電気ソケットを通じて、この内視鏡に内蔵されたメモリから、石英ガラスに対応した情報を読み出すことにより、この内視鏡が蛍光観察内視鏡であると認識する。このようにして、蛍光観察内視鏡がソケットに接続されていると認識している間、制御回路は、蛍光内視鏡に採用されるライトガイドを構成する石英ガラス製光ファイバーのNAが小さいことに合わせて、焦点距離が比較的長い第1の集光レンズを、ソケットの中心軸上(即ち、ソケットに挿入されたライトガイドの中心軸の延長線上)に配置させるべく、集光レンズ移動機構を制御する。その結果、光源光学系によって集光レンズに入射した励起光は、大きな損失なく、ライトガイドの入射端面に入射できる。それ以外の期間には、何れの内視鏡のライトガイドもソケットには挿入されていないか、通常観察内視鏡のライトガイドの基端がソケットに挿入されるか、メモリを内蔵していない蛍光観察内視鏡のライトガイドの基端がソケットに挿入されている可能性がある。そこで、制御回路は、通常観察内視鏡のライトガイドが接続されているか、あるいは接続される可能性が高いとみなして、第2の集光レンズを、ソケットの中心軸上(即ち、ソケットに挿入されたライトガイドの中心軸の延長線上)に配置させるべく、集光レンズ移動機構を制御する。この第2の集光レンズは、通常観察内視鏡に採用されるライトガイドを構成する通常ガラス製光ファイバーのNAが大きいことに合わせて、焦点距離が比較的短い。その結果、実際にソケットに通常観察内視鏡のライトガイドが挿入されている場合には、光源光学系によって集光レンズに入射した白色光は、大きな入射角でライトガイドの入射端面に入射できるので、ライトガイド先端から、大きな配光角にて射出される。
【0015】
なお、本発明において、制御回路は、蛍光観察内視鏡であることに対応した情報が読み込まれている間にのみ励起光を集光レンズに入射するように光源光学系を制御することが望ましいが、光源光学系における光の切替えが手動であっても、本発明は課題を解決できる。また、照明光の切り替えが自動でなされる場合においても、蛍光観察内視鏡であることに対応した情報が読み込まれている間は、励起光に加えて白色光をも選択的に集光レンズに入射するように、光源光学系が制御回路によって制御されても良い。
【0016】
また、本発明によるソケットにそのライトガイドの基端が挿入される通常観察内視鏡は、通常観察内視鏡であることに対応した情報を格納したメモリを、備えていても良い。その場合、制御回路は、ソケットに通常観察内視鏡のライトガイドが挿入されている期間と、何れの内視鏡のライトガイドも挿入されていない期間とを識別することができるので、通常観察内視鏡であることに対応した情報が電気ソケットを通じて読み込まれている間は、第2の集光レンズを、ソケットの中心軸上(即ち、ソケットに挿入されたライトガイドの中心軸の延長線上)に配置させるべく、集光レンズ移動機構を制御する他、この第2の集光レンズに白色光のみを入射するように、光源光学系を制御することができる。他方、何れの情報も読み込まれていない期間には、何れの照明光も第2の集光レンズに入射しないように光源光学系を制御することができるので、誤照射に因る事故を防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように構成された本発明の光源装置によれば、通常観察内視鏡が接続される場合と、蛍光観察用の蛍光観察内視鏡が接続される場合とで、自動的に、夫々のライトガイドの基端に照明光を収束する集光レンズを切り替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面に基づいて、本発明を実施するための形態について、説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施例である内視鏡システムの外観図である。図1に示されるように、この内視鏡システム10は、蛍光観察内視鏡11,光源プロセッサ装置12,及び、モニター15を、備えている。
【0020】
図1及び図2に示される蛍光観察内視鏡11は、具体的には、体腔内に挿入されるために細長く形成されている体腔内挿入部11a,その体腔内挿入部11aの先端部分を湾曲操作するためのアングルノブ等を有する操作部11b,操作部11bと光源プロセッサ装置12とを接続するためのライトガイド可撓管11c,及び、この可撓管11cの基端に設けられたコネクタ11dを、備えている。そして、体腔内挿入部11aの先端面には、配光レンズ16及び対物レンズ15が夫々嵌め込まれた照明窓及び撮影窓が形成されている。そして、この体腔内挿入部11aの内部には、対物レンズ(対物光学系)15によって形成された被検部の像を撮影する撮像素子(カラーCCD)17,対物レンズ12を透過した光から紫外域(励起光の波長成分を含む)の光を除去するための励起光カットフィルタ18が、組み込まれている。
【0021】
撮像素子17から出力された画像信号を伝送するための画像信号ケーブル19は、体腔内挿入部11a,操作部11b及びライトガイド可撓管11c内を引き通されて、コネクタ11dの端面に設けられた図示せぬ電極に導通されている。
【0022】
この信号ケーブル19と並行して、体腔内挿入部11a,操作部11b及びライトガイド可撓管11c内には、石英ガラス製光ファイバを束ねてなるライトガイドファイババンドル(以下、単に「ライトガイド」という)20が、引き通されている。このライトガイド20の先端は、体腔内挿入部11aの先端部内において配光レンズ16に対向し、その基端は、コネクタ11dの端面から突出した金属製のパイプである口金21内に、挿入されて固定されている。
【0023】
また、コネクタ11d内には、蛍光観察内視鏡11のスコープ型番(当該内視鏡が蛍光観察内視鏡であることに対応した情報)を記憶したメモリ(ROM)13が、内蔵されている。このROM13の各データ読出端子も、夫々、コネクタ11dの端子に導通している。
【0024】
なお、ソケット12aには、蛍光観察内視鏡11に換えて、図3に示すように、通常観察のみ可能な通常観察内視鏡11’を接続することも可能である。この通常観察内視鏡11’は、上述した励起光カットフィルタ18を備えておらず、また、そのライドガイド20’は、通常のガラス製の光ファイバーを束ねて構成されている。また、通常観察内視鏡のコネクタ11d’内には、当該内視鏡が通常観察内視鏡であることに対応した情報を記憶したメモリ(ROM)13’が、内蔵されている。
【0025】
光源プロセッサ装置12は、内視鏡11(11’)のライトガイド20(20’)の端面に白色光及び励起光を選択的に導入する機能,及び、内視鏡11(11’)の図示せぬ端子を通じて撮像素子17(17’)から受信した画像信号に対して画像処理を行うことによってビデオ信号を生成してモニタ15へ出力する機能を、基本的な機能として備えている。
【0026】
光源プロセッサ装置12の筐体の正面のパネルには、内視鏡11(11’)の口金21(21’)がその外面側から挿入されて保持される貫通孔であるソケット12aが、設けられている。このソケット12aの貫通孔は、光源プロセッサ装置12の内部空間に通じている。この光源プロセッサ装置12の内部空間内には、ソケット12aの中心線(即ち、ソケット12aに挿入された口金21[21’]中のライトガイド20[20’]の中心軸の延長線)に沿って順番に、集光レンズ(図2に示す蛍光観察内視鏡11の接続時においては蛍光観察用集光レンズ28a,図3に示す通常観察内視鏡11’の接続時においては通常観察用集光レンズ28b),ダイクロイックミラー27(図2に示す蛍光観察内視鏡11の接続時に限る),白色光コリメートレンズ26,赤外カットフィルタ25,及び、白色光光源33が、配置されている。
【0027】
白色光光源33は、白色光用電源回路41によって電源電流が供給されて可視帯域の白色光を発する電球(図示略)と、この電球から発散光として発した白色光を収束光として反射する反球面状のリフレクター(図示略)とから、構成されている。その結果として、白色光光源33は、白色光を、集光レンズ28の光軸に沿って、集光レンズ28に向けて平行光として、射出する。
【0028】
赤外カットフィルタ25は、白色光光源33から発した白色光から、赤外成分を除去するためのバンドパスフィルタである。
【0029】
白色光コリメートレンズ26は、白色光光源33から射出された白色光が一旦収束してから拡散する箇所に配置され、白色光を平行光に変換する。
【0030】
なお、白色光光源33は、白色光を平行光として反射するリフレクターを備えていてもよく、その場合には、白色光コリメートレンズ26は、必要がない。
【0031】
ダイクロイックミラー27は、略立方体型のホルダ22内に、各集光レンズ28a,28bの光軸に対して45度傾いた状態で保持されており、入射角45度で入射した可視光帯域の光を透過するとともに、入射角45度で入射した紫外帯域の光を反射する。
【0032】
ホルダ22は、ドライバー回路42によって駆動制御されるビームスプリッタドライブ機構23により、白色光の光路に直交する方向にスライド駆動され、ダイクロイックミラー27を、白色光の光路外に退避した位置(図3に示す通常観察位置)と、白色光の光路中に侵入させた位置(図2に示す蛍光観察位置)との間で、移動させる。なお、このホルダ22は、ダロイックミラー27を蛍光観察位置に移動させたときに、白色光と干渉する部分及び後述する励起光と干渉する部分が、切り欠かれている。
【0033】
第1の集光レンズとしての蛍光観察用集光レンズ28aは、蛍光観察内視鏡11のライトガイド20に用いられる石英ガラス製光ファイバのNAに合わせて、比較的焦点距離が長い。よって、この蛍光観察用集光レンズ28aは、レンズ枠24a内において、ダイクロイックミラー27側に保持されている。他方、第2の集光レンズとしての通常観察用集光レンズ28bは、通常観察内視鏡11’のライトガイド20’に用いられる通常ガラス製光ファイバのNAに合わせて、比較的焦点距離が短い。よって、この通常観察用集光レンズ28bは、レンズ枠24b内において、コネクタ12a側に保持されている。
【0034】
これら両集光レンズ28a,28bは、自身の光軸に直交する方向に並べられた一対のレンズ枠24a,24b内に夫々保持されている。そして、これら両レンズ枠24a,24bは、その並び方向と並行に敷設されたスライドレール35によって、一体に、蛍光観察用集光レンズ28aの光軸がソケット12aの中心線と同軸となる位置(図2に示す蛍光観察位置)と、通常観察用集光レンズ28bの光軸がソケット12aの中心線と同軸となる位置(図3に示す通常観察位置)との間で、スライド移動可能となっている。また、これら両レンズ枠24a,24bには、スライドレール35と平行に敷設されたネジ36が螺合している。このネジ36は、ドライバー回路42によって制御される集光レンズドライブ機構34によって回転駆動されるので、集光レンズドライブ機構34がネジ36を適宜回転させることにより、両レンズ枠24a,24bを蛍光観察位置と通常観察位置との間で移動させ、もって、ソケット12aの中心線上に位置する集光レンズ28a,28bを、切り換えることができるのである。
【0035】
ドライバー回路42は、後述するシステムコントロール回路40からの指示に従い、ビームスプリッタドライブ機構23及び集光レンズドライブ機構34中の図示せぬモータ又はアクチュエータに対して、駆動電流を供給することにより、それらを動作させる。
【0036】
これらドライバー回路42,集光レンズドライブ機構34,スライドレール35,ネジ36,及び両レンズ枠24a,24bが、受光レンズ移動機構に相当する。
【0037】
一方、蛍光観察位置にあるダイクロイックミラー27によって折り曲げられた集光レンズ(蛍光観察位置にある蛍光観察用集光レンズ28a)の光軸上には、ダイクロイックミラー27側から順番に、励起光コリメートレンズ37及び励起光光源38が、配置されている。
【0038】
励起光光源38は、励起光用電源回路43から駆動電流を供給されることにより、励起光を、発散光として励起光コリメートレンズ37に向けて射出する。
【0039】
励起光コリメートレンズ37は、励起光光源29から発散光として発した励起光を平行光に変換する正レンズである。
【0040】
以上に説明した白色光光源33,白色光コリメートレンズ26,励起光光源38,励起光コリメートレンズ37及びダイクロイックミラー27が、光源光学系に相当する。
【0041】
また、光源プロセッサ装置12の筐体の正面側パネルには、内視鏡11(11’)の口金21(21’)がソケット12aに挿入された状態において内視鏡11のコネクタ11dに設けられた各端子と夫々導通する多数の電極からなる電気ソケット(図示略)が、設けられている。
【0042】
上述した画像信号ケーブル19(19’)は、正面側パネル上の電気ソケット(図示略)を通じて、画像処理回路39に接続される。また、メモリ13(13’)は、この電気ソケット(図示略)を通じて、システムコントロール回路40に接続される。
【0043】
画像処理回路39は、画像信号ケーブル19を通じて入力された画像信号に対して所定の信号処理を施すことによって、NTSC等のビデオ信号に変換して、モニタ15に向けて出力する。
【0044】
システムコントロール回路40は、メモリ13(13’)の他、上述した画像処理回路39,白色光用電源回路41,励起光用電源回路43及びドライバー回路42に接続され、それらの制御を行う。
【0045】
即ち、システムコントロール回路40は、電気ソケット12bを通じて導通したメモリ13[13’]から情報を読み込み、通常観察内視鏡11’のスコープ型番が読み込まれている間は、励起光用電源回路43に対して励起光光源38に対する電源供給を禁じるとともに、ビームスプリッタドライブ機構23がダイクロイックミラー27を通常観察位置に移動させ、集光レンズドライブ機構34が通常観察用集光レンズ28bをソケット12aの中心線と同軸となる位置へ移動させる様に、ドライバー回路42を制御する。しかる後に、図示せぬスイッチを通じて照明開始命令が入力されると、白色光用電源回路41に対して、白色光光源33から白色光を射出させる。すると、白色光光源33から射出された白色光のみが、白色光用集光レンズ28bに入射し、通常観察内視鏡11’のライトガイド20’の基端面に入射し、このライドガイド20’によって導光され、その先端からそのNAに応じた照射角にて射出され、配光レンズ16’によって更に拡散されて、被検部に照射される。このように照射された白色光の被検部表面での反射光の一部が、対物レンズ15’に入射し、撮像素子17’の撮像面上に結像して、画像信号に変換される。そして、システムコントロール回路40は、画像処理回路39に対して、撮像素子17’から入力された画像信号をそのままビデオ信号に変換させて、モニタ15に出力させる。
【0046】
一方、システムコントロール回路40は、電気ソケット12bを通じて導通したメモリ13[13’]から、蛍光観察内視鏡11のスコープ型番が読み込まれている間は、ビームスプリッタドライブ機構23がダイクロイックミラー27を蛍光観察位置に移動させ、集光レンズドライブ機構34が蛍光観察用集光レンズ28aをソケット12aの中心線と同軸となる位置へ移動させる様に、ドライバー回路42を制御する。しかる後に、図示せぬスイッチを通じて照明開始命令が入力されると、交互に、白色光用電源回路41に対して、白色光光源33から白色光を射出させ、また、励起光用電源回路43に対して、励起光光源38から励起光を射出させる。すると、白色光光源33から射出された白色光は、ダイクロイックミラー27を透過し、また、励起光光源38から射出された励起光は、ダイクロイックミラー27により反射され、両者が交互に、励起光用集光レンズ28bに入射し、蛍光観察内視鏡11のライトガイド20の基端面に入射し、このライドガイド20によって導光され、その先端からそのNAに応じた照射角にて射出され、配光レンズ16によって更に拡散されて、被検部に照射される。白色光が被検部に照射されている間には、上述した通常観察内視鏡11’の場合と同様に、撮像素子17は、白色光の被検部の表面での反射光による像を撮像する。また、励起光が被検部に照射されている間には、この励起光によって励起された生体組織から発した蛍光の一部が、対物レンズ15に入射し、励起光カットフィルタ18によって励起光成分を除去された後に、撮像素子17の撮像面上に結像して、画像信号に変換される。そして、システムコントロール回路40は、画像処理回路39に対して、ライトガイド20に白色光を入射している間に撮像素子17から入力された画像信号による像(可視カラー像)と、ライトガイド20に励起光を入射している間に撮像素子17から入力された画像信号による像(蛍光像)とを並べて表示させるビデオ信号を生成させて、モニタ15に出力させる。
【0047】
なお、システムコントロール回路40は、電気ソケット12bを通じて何れのスコープ型番も読み込まれていない場合には、従前の内視鏡が接続されているのであると判断して、上述した通常観察内視鏡11’が接続されている場合と同じ制御を行う。
【0048】
以上説明したように、本実施例の光源装置12によれば、何れかの種類の内視鏡11[11’]の口金21[21’]がコネクタ12aに接続されると、その内視鏡11に組み込まれているメモリ13[13’]から、当該内視鏡が通常観察内視鏡11’であるか蛍光観察内視鏡であるかを特定するスコープ型番がシステムコントロール回路40に入力されるので、システムコントロール回路40は、集光レンズドライブ機構34を制御することにより、通常観察内視鏡11’が接続されている場合には、焦点距離が短い通常観察用集光レンズ28bをソケット12aの中心線と同軸となる位置へ移動させ、蛍光観察内視鏡11が接続されている場合には、焦点距離が長い蛍光観察用集光レンズ28aをソケット12aの中心線と同軸となる位置へ移動させることができる。
【0049】
その結果、通常観察内視鏡11’のライトガイド20’の基端には、周辺光線の入射角が大きい状態で、白色光が入射されるので、配光レンズ16’から照射される白色光の範囲を広くすることができる。また、蛍光観察内視鏡11のライトガイド20の基端には、周辺光線の入射角が小さい状態で白色光及び励起光が交互に入射されるので、NAが小さい石英ガラスファイバに対して、周辺光線を損失することなく、これら白色光及び励起光を、効率良く入射することができる。
(変形例)
本実施例において、集光レンズドライブ機構34による集光レンズ28a,28bの切り換えは、各集光レンズ28a,28bが保持されているレンズ枠24a,24bを一方向にスライドすることによって行っていたが、レンズ枠24a,24bを、両レンズ枠24a,24bの間に設定した回転軸を中心に回転するターレットとして構成し、このターレットを集光レンズドライブ機構34によって回転させることによって、集光レンズ28a,28bの切り換えを行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施形態による内視鏡システムの外観を示す外観図
【図2】内視鏡システムの内部構成を示す概略図
【図3】内視鏡システムの内部構成を示す概略図
【図4】従来例を示す図
【符号の説明】
【0051】
10 内視鏡システム
11 内視鏡
12 光源プロセッサ装置
13 メモリ
20 ライトガイド
21 口金
24a レンズ枠
24b レンズ枠
26 白色光コリメートレンズ
27 ダイクロイックミラー
28a 蛍光観察用集光レンズ
28b 通常観察用集光レンズ
33 白色光光源
34 集光レンズドライブ機構
37 励起光コリメートレンズ
38 励起光光源
40 システムコントロール回路
42 ドライバー回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライトガイドがその内部を引き通されてその先端近傍に当該ライトガイドの射出端面が配置されている挿入部と、蛍光観察内視鏡であることに対応した情報を保持するメモリと、当該ライトガイドの基端及び前記メモリに接続された端子がその端面から突出したコネクタとを有する内視鏡に、照明光を供給する光源装置であって、
前記ライトガイドの基端が挿入される貫通孔であるソケットと、
当該ソケットに前記ライトガイドの基端が挿入されると前記端子に導通する電気ソケットと、
前記ソケットの中心線に、第1の集光レンズと、第1の集光レンズより焦点距離が短い第2の集光レンズとを選択的に移動させる集光レンズ移動機構と、
前記電気ソケットを通じて導通した前記内視鏡のメモリから情報を読み込み、蛍光観察内視鏡であることに対応した情報が読み込まれている間は、前記第1の集光レンズを前記ソケットの中心線上に移動させるように前記集光レンズ移動機構を制御し、それ以外の期間には前記第2の集光レンズを前記ソケットの中心線上に移動させる制御回路と、
前記集光レンズ移動機構により前記ソケットの中心線上に移動された集光レンズに、可視帯域の白色光と紫外域の励起光とを、選択的に入射する光源光学系と
を備えたことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記集光レンズ移動機構は、前記第1の集光レンズを保持するレンズ枠及び前記第2の集光レンズを保持するレンズ枠を、前記ソケットの中心線に直交する面内で移動させる
ことを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記集光レンズ移動機構は、前記各集光レンズを、前記ソケットに挿入された前記ライトガイドの基端面近傍にその焦点が位置するように移動させる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の光源装置。
【請求項4】
前記制御回路は、更に、蛍光観察内視鏡であることに対応した情報が読み込まれた場合にのみ、前記励起光を前記集光レンズに入射する様に前記光源光学系を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−73379(P2008−73379A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258334(P2006−258334)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】