説明

入退管理システム

【課題】入退管理システムの管理サーバの冗長化をとることを目的とする。
【解決手段】入退管理システムは、ユーザのセキュリティエリアへの入退を管理する入退管理装置と、入退管理装置において発生した認証や、扉の開閉などのイベントの履歴を管理する管理サーバからなる。入退管理システムは、複数の管理サーバを含み、入退管理装置は、発生したイベントの履歴を一台の管理サーバではなく、全ての管理サーバ宛てに送信し、各管理サーバは受信した履歴に基づく処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は入退管理システムに関し、特に入退管理システムにおける情報保全のための冗長化に関する。
【背景技術】
【0002】
入退管理システムは、セキュリティエリアへのユーザの入退場を管理する入退管理装置と、当該入退管理装置において発生したイベントの履歴を収集して管理し、入退管理装置の状態を管理する管理サーバとからなる。入退管理装置は、認証や扉の開閉等のイベントが発生するごとに当該イベントの内容を示す履歴を管理サーバに送信する。管理サーバは受け取った履歴に基づいて、保持している履歴のデータベースを更新する。
【0003】
特許文献1には、入退管理システムの一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−206856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、管理サーバが保持、管理する履歴の保全のために、管理サーバを冗長化することが考えられる。一般的に、管理サーバにFT(Fault Tolerant)サーバを用いることで、ハードウェアレベルでのサーバ内の情報を完全に同期させることができる。しかし、一般的にFTサーバは構成上同一箇所での設置となるため、停電等が発生した場合には、管理サーバはシステムダウンしてしまうという問題がある。
【0006】
例えば、管理サーバは、上述の機能のほか、どのユーザをどのセキュリティエリアへの入場を許可するのか規定する認証情報を保持し、新たなユーザの登録を行って入退管理装置に設定するという機能も備えているがシステムダウンした場合などには、その設定ができないという事態が発生することがある。
そこで、2台の管理サーバ間の距離を離して配置し、通常用いる管理サーバから、もう一方の管理サーバに更新されたデータを転送するなどして同期をとることが考えられる。
【0007】
しかしながら、管理サーバは、上述の処理のほか、保持しているキャッシュメモリにおいて、管理対象となるエリアそれぞれに滞留するユーザの人数を保持しており、当該人数は入退に履歴を受信するごとに更新されるので、その更新頻度が早いため、キャッシュメモリ間のデータの同期を通信によってとるというのは現実的ではない。
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、入退管理システムにおいて、管理サーバの冗長化を容易に実現できる入退管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、管理対象となるエリアへのユーザの入退場を管理する入退管理装置と、前記入退管理装置において発生したイベントの履歴を管理する管理サーバとを含む入退管理システムであって、複数の管理サーバを含み、前記管理サーバ各々は、受信したイベントの履歴を一時的に記憶するキャッシュメモリと、イベントの履歴を記録する履歴データベースと、前記キャッシュメモリ上の前記イベントの履歴を前記履歴データベースに登録する登録手段とを備え、前記入退管理装置は、イベントが発生するごとに当該イベントの履歴を前記複数の管理サーバ各々に送信する送信手段を備えることを特徴としている。
【0009】
また、前記管理サーバは、前記入退管理装置からイベントの履歴を受信すると、当該履歴を受信したことを示す応答信号を送信する応答信号送信手段を備え、前記入退管理装置は、送信した履歴ごとに、前記複数の管理サーバそれぞれに対応して、応答信号を受信したか否かに基づいて、送信済みもしくは未送信の情報を対応付けて記憶する記憶手段と、前記複数の管理サーバそれぞれに、各管理サーバに未送信となっている履歴を送信する再送手段とを備え、前記入退管理システムに含まれる複数の管理サーバのうちの一部を新たな管理サーバに交換する場合に、新たな管理サーバの履歴データベース及びキャッシュメモリが保持する情報は、交換しない管理サーバの履歴データベース及びキャッシュメモリが保持している情報のコピーであり、前記新たな管理サーバは、コピーされて保持している履歴データベースの中の履歴のうち、最新の履歴を示す最新履歴情報を送信する最新履歴送信手段を備え、前記再送手段は、前記最新履歴情報を受け付けると、当該最新履歴情報で示される履歴以前の履歴に対応する送信済みもしくは未送信の情報を送信済みとした上で、未送信となっている履歴を送信することとしてもよい。
【0010】
また、前記入退管理システムは、複数の入退管理装置を含み、前記最新履歴送信手段は、前記複数の入退管理装置それぞれの最新の履歴を送信することとしてもよい。
また、前記キャッシュメモリは、更に、入退管理装置の管理対象のエリアに滞在するユーザ人数を示す滞留情報を記憶し、前記管理サーバは、更に、受信したイベントの履歴が、管理対象となるエリアへの入退場を示すものであった場合に、前記滞留情報を更新する滞留情報更新手段を備えることとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
上述のような構成によって、入退管理システムにおいて、入退管理装置は、イベントに基づいて生成した履歴を全管理サーバそれぞれに送信するので、管理サーバ間でデータをコピーして送信することによって同期をとることなく、容易に管理サーバの冗長化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】入退管理システムのシステム構成を示すシステム図である。
【図2】入退管理装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図3】管理サーバの機能構成を示す機能ブロック図である。
【図4】認証情報のデータ構成例を示すデータ概念図である。
【図5】入退管理装置200aが保持する履歴情報のデータ構成例を示すデータ概念図である。
【図6】入退管理装置200bが保持する履歴情報のデータ構成例を示すデータ概念図である。
【図7】入退管理装置から管理サーバに送信される履歴のデータ構成例を示すデータ概念図である。
【図8】管理サーバから入退管理装置に対して送信される履歴応答信号のデータ構成例を示すデータ概念図である。
【図9】管理サーバが保持する履歴データベースのデータ構成例を示すデータ概念図である。
【図10】管理サーバのキャッシュメモリに保持される滞留情報のデータ構成例を示すデータ概念図である。
【図11】入退管理装置から管理サーバに履歴が送信されるときの通信例を示すシーケンス図である。
【図12】入退管理装置が履歴を送信するときの動作を示すフローチャートである。
【図13】管理サーバが履歴を受信するときの動作を示すフローチャートである。
【図14】管理サーバの生存確認信号を送信するときの動作を示すフローチャートである。
【図15】入退管理装置が生存確認信号を受信するときの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施の形態>
以下、本発明の一実施形態である入退管理システムについて図面を用いて説明する。
<構成>
図1は、入退管理システムのシステム構成を示す図である。
図1に示すように入退管理システムは、入退管理装置200a、200b、200cと、各入退管理装置の管理下にあるカードリーダや電気錠などの機器と、管理サーバ300a、300bと、モニタ用端末装置400とを含む。各入退管理装置は、管理サーバ300a、300bとネットワーク160を介して接続されている。
【0014】
入退管理装置200aは、エリアA並びにエリアBへの利用者(以下、ユーザと記載する)の入退室を管理するものであり、ユーザがエリアAあるいはエリアBに入室/退室することで生成される履歴を管理サーバ300aと管理サーバ300bの双方に送信している。
入退管理装置200aは、エリアA並びにエリアBへのユーザの入退室を管理するために、カードリーダ(図1ではCR(Card Readerの略)と記載。)110aと、カードリーダ120aと、エリアAに設けられた扉140aに備え付けられた電気錠130aと、カードリーダ110bと、カードリーダ120bと、エリアBに設けられた扉140bに備え付けられた電気錠130bと接続され、接続されているカードリーダや電気錠などの各機器の状態を管理、制御する。
【0015】
入退管理装置200bは、エリアC並びにエリアDへのユーザの入退室を管理するものであり、入退管理装置200cは、エリアEへのユーザの入退室を管理するものである。入退管理装置200b及び入退管理装置200cは、管理するエリア及び機器が異なるだけでその構成は入退管理装置200aと同様である。
入退管理装置200b及び入退管理装置200cは、入退管理装置200aと同様に、各々の配下にある機器、即ち、入退管理装置200bであればカードリーダ110cと、カードリーダ120cと、エリアCに設けられた扉140cに備え付けられた電気錠130cと、カードリーダ110dと、カードリーダ120dと、エリアDに設けられた扉140dに備え付けられた電気錠130dの各機器の、入退管理装置200cであればカードリーダ110eと、カードリーダ120eと、エリアEに設けられた扉140eに備え付けられた電気錠130eの各機器の状態を管理、制御し、管理サーバ300への履歴の送信を実行する。
【0016】
入退管理システムのユーザは、各々図1に示すICカード150を所持している。ICカード150は、他のICカードと区別するために、各々固有のID(Identifier)を保持している。ICカード150をカードリーダにかざすと、カードリーダは、ICカード150に保持されているIDを読み取り、読み取ったIDを接続されている入退管理装置に送信する。入退管理装置は、送信されてきたIDが自身の保持する認証情報に登録されていれば、IDを送信してきたカードリーダが対応する扉の電気錠を解錠する。IDが登録されていなければ、認証失敗として、解錠しない。
【0017】
管理サーバ300a及び管理サーバ300bは、各入退管理装置から送信されてくる履歴を履歴データベース(以下、履歴DB)に登録して、保存する。また、管理サーバ300a及び管理サーバ300bは、各エリアに滞在しているユーザの人数も管理している。
以下に、入退管理装置及び管理サーバの詳細な機能構成を説明する。
図2は、入退管理装置200aの機能構成を示す機能ブロック図である。制御対象の機器や、認証情報の内容、履歴情報の内容等は異なるものの、入退管理装置200a〜200cの機能構成は共通するので、ここでは、入退管理装置200aについて説明し、入退管理装置200b及び入退管理装置200cの機能構成については割愛する。カードリーダ110a〜110e及び電気錠130a〜130eについても同様の扱いとする。
【0018】
図2に示すように、入退管理装置200aは、I/F(InterFace)部210aと、認証部220aと、履歴生成部230aと、外部通信部240aと、記憶部250aと、制御部260aとを含んで構成される。
I/F部210aは、カードリーダ110a、110b、120a、120bや電気錠130a、130b、また図示していないが、扉に設けられている開閉センサと接続されている。I/F部210aは、これらの機器と、例えばRS232Cの通信規格に従って、通信を実行する機能を有する。
【0019】
具体的に、I/F部210aは、カードリーダ110aあるいはカードリーダ120aからカードリーダがICカード150から読み取ったIDを受け取った場合に、当該IDを認証部220aに伝送する。当該IDに応じて認証部220aから認証成功を意味する信号を受けた場合に、電気錠130aに解錠を指示し、認証失敗を意味する信号を受けた場合には、IDを読み取ったカードリーダに認証失敗の報知を指示する。
【0020】
また、電気錠130aや、カードリーダ110a、120aなどの各機器において異常が発生した場合に、各機器は異常があった旨を通知する仕様になっており、I/F部210aは、当該通知を受け取った場合に、履歴生成部230aにその異常の内容を通知する。また、I/F部210aは、接続されている電気錠130aやカードリーダ110a、120aなどの機器との間の通信が可能かどうかを接続している通信線のポートに電圧が印加されているかによって検出する機能を有しており、電圧が印加されていないことを検出するとその機器との間での通信が途絶した旨を履歴生成部230aに通知する機能も有する。
【0021】
認証部220aは、カードリーダで読み取られたIDの認証を実行する機能を有する。具体的には、認証部220aは、I/F部210aからIDを受け取った場合に、当該IDが認証情報252aに登録されているかどうかを検索し、登録されていたとして、IDを送信してきたカードリーダが対応するエリアへの入退室の権限を有しているかどうかを判定する。IDが認証情報252aに登録されていた場合には、I/F部210aに認証成功を意味する信号を伝送するとともに、当該IDと認証成功の情報を対応付けて履歴生成部230aに伝送する機能を有する。また、IDが認証情報252に登録されていなければ、I/F部210aに認証失敗を意味する信号を伝送するとともに、当該IDと認証失敗の情報を対応付けて履歴生成部230aに伝送する。
【0022】
履歴生成部230aは、I/F部210aから伝送されてきた各機器の異常を示す情報や各機器との通信が途絶したことを示す情報、認証部220aから伝送されてきた認証の成功/失敗の情報とIDの情報などに基づいて履歴を生成して制御部260aに伝送する機能を有する。なお、履歴生成部230aが生成する履歴は、各情報に対応付けて設定されているコードからなる。
【0023】
外部通信部240aは、ネットワーク160を介して、管理サーバ300a及び管理サーバ300bと、例えば、イーサネット(登録商標)の規格に従って、通信を実行する機能を有する。
記憶部250aは、ハードディスク装置、メモリなどからなり、入退管理装置200aが動作上必要とする各種プログラム、データを記憶する機能を有する。記憶部250aは、特に履歴情報251aと、認証情報252aとを記憶している。
【0024】
履歴情報251aは、履歴生成部230aにより生成された履歴の情報を集約した情報であり、コードの状態で記憶されている。一つの履歴は、少なくとも履歴を管理するための管理番号、履歴を既に送信しているか否かを示す送信フラグ、履歴が生成された日時を示す日時コード、履歴の内容であって発生したイベントを示すイベントコードを含み、その他に、履歴に応じて、例えばイベントコードが認証を行なったことを示す履歴である場合には、認証したIDや、認証を行なったカードリーダを示すコードなどが含まれ、また、例えば、履歴のイベントコードが機器の異常を示すものであれば、その機器を示すコードが含まれる。履歴情報251aの詳細については後述する。
【0025】
認証情報252aは、認証部220aが認証を実行する際に参照する情報であり、エリアへの入室が許可されているユーザIDと、各ユーザIDの入室可能なエリアとの対応付けを示す情報である。認証情報252aの詳細については後述する。
制御部260aは、入退管理装置200aの各部を制御する機能を有し、特に、以下の機能を有する。
【0026】
制御部260aは、履歴生成部230aから伝送されてきた履歴を外部通信部240aを介して管理サーバ300a及び管理サーバ300bに送信する機能を有する。そして、送信した履歴に対して管理サーバ300a又は管理サーバ300bから履歴を受信したことを示す履歴応答信号を受信した場合に、履歴応答信号を送信した管理サーバに対応する、履歴の送信に成功しているか否かを示す送信フラグを「0」として、履歴情報251aに登録する。また、送信した履歴に対して管理サーバ300a又は管理サーバ300bから履歴を受信したことを示す履歴応答信号を所定時間内に受信できなかった場合に、履歴応答信号を送信しなかった管理サーバの、履歴の送信フラグを「1」にして、送信した履歴とともに履歴情報251aに登録する。
【0027】
また、制御部260aは、管理サーバ300a及び管理サーバ300bから定期的に送信されてくる、入退管理装置200aとの間での通信が有効であるかどうか、また、入退管理装置200aが正常に動作しているかどうかを管理サーバ300a又は管理サーバ300bが確認するための生存確認信号を外部通信部240aを介して受信した場合に、生存応答信号を生成して生存確認信号を送信した管理サーバに宛てて外部通信部240aを介して送信する。
【0028】
このとき、制御部260aは、生存確認信号に当該生存確認信号を送信した管理サーバが保持している自装置の最新の履歴情報が付加されているかどうかを解析し、最新の履歴情報が付加されていた場合には、当該管理サーバについての受信した最新の履歴情報以前の履歴の送信フラグを、全て「0」に変更する。そして、履歴情報251aを確認して、生存確認信号を送信してきた管理サーバについて、当該履歴情報251a内に送信フラグが「1」である履歴があった場合に、当該履歴を管理サーバに送信する。そして、管理サーバから送信フラグが「1」であった履歴の送信に対しての履歴応答信号を受けた場合に当該履歴の送信フラグを「1」から「0」に変更する。なお、制御部260aは、生存確認信号に最新の履歴情報が付加されていなくとも、未送信の履歴の検索を行って、未送信の履歴を再送することとする。
【0029】
以上が、入退管理装置200aの機能構成である。
次に図3を用いて管理サーバ300aについて説明する。図3は、管理サーバ300aの機能構成を示す機能ブロック図である。なお、管理サーバ300bは、管理サーバ300aと同様の機能構成を有するので、ここでは、その説明は割愛する。
図3に示すように管理サーバ300aは、通信部310a、制御部320aと、状態管理部330aと、警報管理部340aと、保存部350aと、サーバ間通信部360aとを含んで構成される。
【0030】
通信部310aは、ネットワーク160を介して接続されている全ての入退管理装置と、例えば、イーサネット(登録商標)の通信規格に従って通信を実行する機能を有する。本実施の形態で言えば、図1に示すように、入退管理装置200a〜200cと通信を実行する機能を有する。
具体的には、通信部310aは、入退管理装置から履歴を受信すると、当該履歴を制御部320aに伝送する機能と、制御部320aから指示された信号を入退管理装置に送信する機能を有する。
【0031】
制御部320aは、管理サーバ300aの各部を制御する機能を有し、以下の機能を有する。
制御部320aは、通信部310aから履歴を受け取って、キャッシュメモリ321aの履歴情報322aに登録する機能を有する。また、制御部320aは、受け取った履歴がユーザの入退に関連するものである場合に、滞留情報323aを更新して、エリアに滞在する人数を管理する機能も有する。
【0032】
制御部320aは、通信部310aから伝送されてきた履歴を解析する機能を有する。制御部320aは、伝送されてきた履歴を解析して、当該履歴に含まれるイベントの情報と当該イベントの情報で示される入退管理装置の状態を、その履歴を送信してきた入退管理装置を示す情報とともに状態管理部330aに伝送する機能を有する。
また、制御部320aは、予めモニタ用端末装置400に対して警報を発すべきイベントの種別を記憶しており、当該イベントの種別に該当する履歴を受け取った場合には、そのイベントの内容を警報管理部340aに伝送する機能も有する。
【0033】
また、制御部320aは、通信部310aを介して、各入退管理装置に対して、各入退管理装置が正常に動作しているか、あるいは、通信が保たれているかどうかを確認するために定期的(例えば50秒おき)に生存確認信号を送信する機能を有し、当該生存確認信号に対する応答である生存応答信号を受信することで、入退管理装置との間での通信が保たれていることを検出する。生存確認信号に対する生存応答信号が所定時間(例えば20秒)内に入退管理装置から返ってこなかった場合には、生存応答信号を送信しなかった入退管理装置との間の通信が断絶したものと判断し、当該入退管理装置との間の通信が途絶状態にあるという情報を保持する。そして、当該入退管理装置に対してその後に出力した生存確認信号に対する生存応答信号が返ってきた場合には、その入退管理装置との間の通信が回復したものと判断する。
【0034】
また、制御部320aは、生存確認信号を初めて(装置の起動時、初期化時など)送信する場合に、記憶部350aが記憶している履歴DBを参照して、各入退管理装置それぞれの最新の履歴を履歴情報から取得して、各入退管理装置宛てにそれぞれの最新の履歴を示す情報を生存確認信号に付加して送信する機能も有する。
状態管理部330aは、入退管理装置ごとに各入退管理装置の状態を示す状態情報を記憶する機能を有する。そして、状態管理部330aは、制御部320aから伝送されてきた入退管理装置の情報と、イベントの情報とに基づいて、保持している状態情報のうち対応する情報を更新する機能を有する。状態情報では、管理されるべき各種の状態について、それぞれ状態値が記憶されており、その状態値の意味するところは状態を管理されるべき対象(扉、電気錠など)に応じて異なる。
【0035】
警報管理部340aは、各入退管理装置の警報状態を管理する機能を有する。警報管理部340aは、状態管理部330aで保持されている状態情報に基づき、警報情報を管理する。具体的には、履歴が送信されて制御部320aに伝送されて状態管理部330aの状態情報が更新された場合に、その状態情報が、異常常態、警報状態を示す情報に変化した場合に、警報を発する。なお、警報を発している場合には、管理サーバ300aのオペレータ用のインターフェース、即ちモニタ用端末装置400に通信部310aを介して警報が発せられることになっており、オペレータは異常事態が発生していることを認識する。
【0036】
保存部350aは、管理サーバ300aが動作上必要とする各種プログラム、データを記憶する機能を有し、また、履歴DB351aを更新する機能を有する。また、保存部350aは、履歴DB351aの更新の際に参照する認証情報352aや、図示していないが、識別情報をユーザ名に変更するための表や履歴のイベントコードなどをイベントの名称を示す文字列に変換するためのイベントコード表なども保持する機能も有する。履歴DB351aは、受信した履歴を文字列に変換してデータベース化したものである。履歴DB351a、認証情報352aの詳細については、後述する。認証情報352aは、新たなユーザの登録や、ユーザの削除などにも用いられ、認証情報352aに変化があった場合に、その内容は、入退管理装置及び管理サーバ300bに通知される。
【0037】
保存部350aは、制御部320aから履歴が伝送されてくるたびに履歴DB351aの更新を実行する。
サーバ間通信部360aは、オペレータ等の操作により、新たなユーザの登録や、ユーザの抹消が認証情報352aにおいて行われた場合に、それを管理サーバ300bに通知して、変更した内容を送信する機能を有する。また、サーバ間通信部360aは、管理サーバ300bから、管理サーバ300bが保持している認証情報352b(便宜上の番号であり図示せず)が更新されたことを示す情報と、変更内容の情報とを受け付けた場合に、当該変更内容の情報に基づいて認証情報352aを更新する機能も有する。
【0038】
その他の各機器については、簡単に説明する。
カードリーダ110aは、定期的にICカードに対してICカードの保持するIDを要求する要求信号を送信しており、当該要求信号に対する応答として受信した応答信号に含まれるIDを接続されている入退管理装置200aに送信する。その他のカードリーダについても同様の機能を有し、それぞれ接続されている入退管理装置との間で通信を実行する。
【0039】
電気錠130aは、接続されている入退管理装置200aからの指示に従って施錠、解錠を実行する。また、電気錠130aは、錠が所定の状態にならない(錠が壁等により遮られて施錠できないなど)場合にエラーを入退管理装置200aに通知する。その他の電気錠についても同様の機能を有し、それぞれ接続されている入退管理装置との間で通信を実行する。
【0040】
ICカード150は、入退管理システムにおいて、各ICカードに固有のIDを保持し、カードリーダ110a〜e、120a〜eからのIDを要求する要求信号を受けて、保持しているIDを含ませた応答信号を送信する。
また、図示していないが、各エリアに設けられた扉には開閉センサが設けられ、当該開閉センサは、入退管理装置200aに扉が開いているかどうかを通知する。開閉センサは、例えば、扉に設けられたマグネットセンサと、扉が閉じられている状態でマグネットセンサに正対する壁に設けられたマグネットにより実現される。
<データ>
ここから、本実施の形態に係る各種データについて説明する。
【0041】
図4は、認証情報のデータ構成例を示したデータ概念図である。図4(a)は、入退管理装置200aが保持する認証情報252aの、図4(b)は、入退管理装置200bが保持する認証情報252bの一例を示している。入退管理装置200cが保持する認証情報については、管理対象のエリアがEになるともに、入退可能な人物が異なるだけでその構成は一致するので、割愛する。また、管理サーバ300a及び管理サーバ300bが保持する認証情報も同様の構成をとり、各入退管理装置が保持している認証情報を統合したものであるので、説明を割愛する。
【0042】
図4(a)、(b)に示すように、認証情報252a、252bは、管理番号401に、識別情報402と、ユーザ名403と、権限404とを対応付けた情報群である。なお、管理番号401は、図4においては、「管理No.」と記している。
管理番号401は、入退室管理装置が各認証情報を管理するために便宜上付した管理番号である。
【0043】
識別情報402は、ICカードに固有の識別情報である。
ユーザ名403は、ICカードを保持するユーザの名前である。
権限404は、対応するユーザが入室可能なエリアの情報を示す。
例えば、図4(a)に示されるように、管理番号「10688」に対応するICカードの識別情報は、「IC00006899」であり、そのICカードを保持するユーザの名前は、「丸谷C男」であり、その権限は「エリアB」となっている。つまり「丸谷C男」はエリアBへの入室が許可されていることになる。また、図4(b)に示されるように、管理番号「30798」に対応するICカードの識別情報は、「IC00006899」である、その権限は「エリアC」となっていることから、「丸谷C男」はエリアCへの入室も許可されていることになる。なお、管理番号は、同一人物の認証情報であっても、入退管理装置ごとに異なっていてもよい。
【0044】
セキュリティ管理システムのオペレータは、必要に応じて認証情報252a及び認証情報252b、認証情報352aや、他の入退管理装置、管理サーバが保持する認証情報に新たなID、ユーザの登録を行なってよく、また、登録されているID、ユーザの削除を行なってもよい。
図5は、入退管理装置200aが保持する履歴情報251aの構成例を示すデータ概念図である。また、図6は、入退管理装置200bが保持する履歴情報251bの構成例示すデータ概念図である。なお、入退管理装置200cが保持する履歴情報については、図5あるいは図6に示したものと同様の構成をとるので割愛する。
【0045】
図5、図6に示すように、履歴情報251a、252bは、管理番号501と、日時502と、識別情報503と、ユーザ名504と、場所505と、イベント506と、300a送信フラグ507と、300b送信フラグ508とが対応付けられた情報である。これらの情報のほか、例えば、認証を行なったカードリーダの情報なども含んでよい。
管理番号501は、記憶部250aが各履歴を管理するために便宜上付した管理番号である。
日時502は、認証などのイベントが発生した日時の情報である。
識別情報503は、認証に使用されたICカードに固有の識別情報である。
ユーザ名504は、認証に使用されたICカードを保持するユーザの名前である。ユーザ名504は、認証情報355を用いて識別情報を変換することで得られる。
【0046】
場所505は、イベント、例えば、認証や、扉の開閉、電気錠のこじ開けなど、が発生した入退室管理装置や扉の情報である。
イベント506は、発生したイベントの内容を示す情報である。
300a送信フラグ507は、その履歴を入退室管理装置が管理サーバ300aに送信したかどうかを判定するために用いるものであり、「0」は、送信済みを示し、「1」は未送信であることを示す情報である。送信した履歴に対して管理サーバ300aから履歴応答信号を受信した場合に「0」が設定され、受信できなかった場合に「1」が設定される。
【0047】
300b送信フラグ508は、その履歴を入退室管理装置が管理サーバ300bに送信したかどうかを判定するために用いるものであり、「0」は、送信済みを示し、「1」は未送信であることを示す情報である。送信した履歴に対して管理サーバ300bから履歴応答信号を受信した場合に「0」が設定され、受信できなかった場合に「1」が設定される。
【0048】
例えば、図5に示すように、入退管理装置200aが保持する履歴情報251aの管理番号「A03773」に対応するICカードの識別情報503及びユーザ名は、「−」となっていてデータがなく、イベントが発生している場所は、「人事部_扉1」であり、イベントが発生した日時は、「2008年11月12日 12時14分5秒」であり、その送信フラグ及び昔時フラグはともに「0」に設定されており、イベントは「扉閉」となっており、300a送信フラグ507は、「0」、300b送信フラグ508は、「1」となっている。即ち、この履歴によれば、人事部_扉1(扉140a)が、2008年11月12日12時14分5秒に閉まったことがわかり、この履歴はすでに管理サーバ300aで受信されていないが、管理サーバ300bでは受信されていることとなっている。
【0049】
また、図6に示すように、入退管理装置200bが保持する履歴情報252bの管理番号「B21278」に対応するICカードの識別情報503は、「IC00010066」であり、ユーザ名504は、「厳島F子」であり、場所505は、「総務部_扉1」であり、イベント506は、「認証成功」であり、300a送信フラグ507は、「0」であり、300b送信フラグ508は、「1」である。即ち、この履歴によれば、「厳島F子」は、「総務部_扉1」に対応するカードリーダにおいての認証に成功したことがわかり、この履歴は管理サーバ300aで受信されているものの、管理サーバ300bでは受信されていないことがわかる。
【0050】
そして、管理番号「A03773」で示されるイベントと、管理番号「B21278」で示されるイベントは同時刻に発生していたことになる。
なお、発生したイベントが認証に関わるものでない場合には、識別情報503やユーザ名504などは、空欄となる。図5、図6では、「−」と記載している。
なお、ここでは、分かりやすくするために、図5、図6に示すように、各データの内容を文字列で表現しているが入退管理装置それぞれは、これらの情報を実質的にはそれぞれの内容を示すコードで記憶しており、コードで構成された履歴は、管理サーバ300a及び管理サーバ300bにおいて文字列に変換されて、履歴DBとして管理される。
【0051】
図7は、入退管理装置が管理サーバに送信する履歴のフォーマットを示す図である。図7(a)は、入退管理装置200a〜200cが管理サーバ300a及び300bに送信する履歴の送信フォーマットのデータ構成例を示したデータ概念図である。図7(b)は入退管理装置200aが管理サーバ300a及び管理サーバ300bに送信する履歴の一例を示しており、図7(c)は入退管理装置200bが管理サーバ300a及び管理サーバ300bに送信する履歴の一例を示している。
【0052】
図7(a)に示されるように、履歴は、送信先アドレス701と、送信元アドレス702と、履歴番号703と、日時情報704と、識別情報705と、位置情報706と、イベント情報707とからなる。
送信先アドレス701は、履歴の送信先を示す情報であり、送信先アドレス701には、管理サーバに設定されているアドレスに相当する。
【0053】
送信元アドレス702は、履歴を送信する入退管理装置を示す情報であり、送信元アドレス702には、入退管理装置に設定されているアドレスが設定される。
履歴番号703は、入退管理装置が履歴に付した管理番号の情報である。つまり、履歴番号703は、履歴情報251a、251bの管理番号501に該当する情報である。
日時情報704は、履歴で示されるイベントがいつ発生したのかを示す情報であり、履歴情報251a、251bの日時502に該当する情報である。
【0054】
識別情報705は、履歴が認証に係るものであった場合に、履歴に用いられた認証番号を示す情報であり、履歴情報251a、251bの識別情報503に該当する情報である。
位置情報706は、履歴で示されるイベントがどこで発生したのかを示す情報であり、履歴情報251a、251bの場所505に該当する情報である。
【0055】
イベント情報707は、履歴で示されるイベントの内容を示す情報であり、履歴情報251a、251bのイベント506に該当する情報である。
図7(b)、図7(c)はその具体例である。図7(b)は、入退管理装置200aが履歴情報251aの管理番号「A03773」の履歴を送信する場合の例を示しており、上段が管理サーバ300aに送信するものを、下段が管理サーバ300bに送信するものを示している。また、図7(c)は、入退管理装置200bが履歴情報251bの管理番号「B21278」の履歴を送信する場合の例を示しており、上段が管理サーバ300aに送信するものを、下段が管理サーバ300bに送信するものを示している。
【0056】
図8は、履歴を受信した管理サーバが送信する履歴応答信号のフォーマットを示す図である。図8(a)は、管理サーバ300a及び300bが入退管理装置200a〜200cに送信する履歴の送信フォーマットのデータ構成例を示したデータ概念図である。図8(b)は管理サーバ300aが入退管理装置200a及び200bに送信する履歴応答信号の一例を示しており、図7(b)上段及び図7(c)上段に示される履歴に対する履歴応答信号である。図8(c)は管理サーバ300bが入退管理装置200a及び200bに送信する履歴応答信号の一例を示しており、図7(b)下段及び図7(c)下段に示される履歴に対する履歴応答信号である。
【0057】
図8(a)に示すように、履歴応答信号は、送信先アドレス801と、送信元アドレス802と、履歴番号803とからなる。
送信先アドレス801は、入退管理装置のアドレスを示す情報であり、履歴を送信してきた入退管理装置のアドレスが設定される。
送信元アドレス802は、履歴応答信号を送信する管理サーバに設定されているアドレスが設定される。
【0058】
履歴番号803は、受信した履歴の入退管理装置における管理番号の情報であり、受信した履歴の履歴番号703の情報が設定される。
図9は、管理サーバ300aが保持する管理サーバ300aが保持する履歴DB351aの構成例を示すデータ概念図である。履歴DB351aの構成は、履歴情報251aと略同一であるので、共通する部分はその説明を割愛し、異なる点について説明する。
【0059】
履歴DB351aでは、図9に示すように、管理番号901と、日時902と、識別情報903と、ユーザ名904と、場所905と、イベント906と、管理装置907と、履歴番号908とが対応付けられている。
これらのうち、管理番号901から、イベント906までは、履歴情報と共通するので説明を割愛する。
【0060】
管理装置907は、その履歴を送信した入退管理装置を識別するための情報である。
履歴番号908は、履歴に付されていた入退管理装置の履歴の管理番号を示す情報であり、送信されてきた履歴の履歴番号703の情報に該当する。
図10は、管理サーバ300aに備えられているキャッシュメモリ321aが保持する滞留情報322aの構成例を示すデータ概念図である。管理サーバ300bも基本的に同内容の滞留情報を記憶する。
【0061】
滞留情報322aは、場所1001と人数1002が対応付けられた情報である。
場所1001は、管理対象のエリアを識別するための情報である。
人数1002は、その管理対象のエリアにいるであろうユーザの人数を示す情報である。
図10に示す滞留情報322aでは、例えば、エリアBにいるユーザの人数は12人となっている。
<動作>
次に、本実施の形態に係る入退管理システムの動作を図11に示すシーケンス図、図12〜図15に示すフローチャートを用いて説明する。
【0062】
図11は、入退管理システムの履歴の送信に係る入退管理装置−管理サーバ間の通信を示したシーケンス図である。なお、入退管理装置200aと管理サーバ300a、300bとの間の通信を例に説明するものとし、入退管理装置200b、200cについては、同様の動作をするものとして説明を割愛する。
入退管理装置200aにおいてイベントが発生すると、入退管理装置200aは履歴を生成する(ステップS1101)。
【0063】
入退管理装置200aは、生成した履歴を、管理サーバ300a及び管理サーバ300bに宛てて送信する(ステップS1102)。
履歴を受信した管理サーバ300aは、履歴を受信したことを示す履歴応答信号を生成して、履歴を送信してきた入退管理装置200aに宛てて送信する(ステップS1103)。
【0064】
管理サーバ300aからの履歴応答信号を受信すると、入退管理装置200aは、送信した履歴の300a送信フラグを、送信済みを示す「0」にして、履歴を記録する(ステップS1104)。
同様に、履歴を受信した管理サーバ300bも、当該履歴を受信したことを示す履歴応答信号を生成し、履歴を送信してきた入退管理装置200aに宛てて送信する(ステップS1105)。
【0065】
そして、管理サーバ300bから履歴応答信号を受信すると、入退管理装置200aは、送信した履歴の300b送信フラグを、送信済みを示す「0」にして履歴を記録する(ステップS1106)。
以上が、履歴の送信に係る基本的な流れである。
ここから、各装置の詳細な動作を説明する。
【0066】
図12は、入退管理装置の1つの履歴の送信に係る動作を示すフローチャートである。ここでは、入退管理装置200aの動作として記載し、入退管理装置200b、入退管理装置200cは同様に動作するものとして説明を割愛する。
入退管理装置200aにおいて、何らかのイベント(例えば、認証や、電気錠の解錠など)が発生したとする(ステップS1201)。
【0067】
すると、履歴生成部230aは、発生したイベントに応じた履歴を生成し、制御部260aに伝達する。そして、制御部260aは、伝達された履歴を外部通信部240aを介して、管理サーバ300a及び管理サーバ300b双方に宛てて送信する(ステップS1202)。即ち、送信先アドレスが管理サーバ300aのものなっている履歴と送信先アドレスが管理サーバ300bのものとなっている履歴を送信する。
【0068】
履歴の送信後、外部通信部240aが当該履歴についての履歴応答信号を受信した場合に(ステップS1203のYES)、外部通信部240aは当該履歴応答信号を制御部260aに伝達する。制御部260aは、履歴応答信号の履歴番号803を参照して、どの履歴に対する履歴応答信号であるかを検出する。また、当該履歴応答信号を送信した管理サーバを履歴応答信号の送信元アドレス802から特定する。そして、制御部260aは、履歴番号803で示される履歴の、履歴応答信号を送信してきた管理サーバの送信フラグを「0」に変更して履歴を記録する(ステップS1204)。
【0069】
制御部260aは、ステップS1201において発生したイベントに対応する履歴を送信してから所定時間が経過したかどうかを判定する(ステップS1205)。当該所定時間が経過していない場合には(ステップS1205のNO)、ステップS1203に戻る。
履歴を送信してから、いずれかの管理サーバからの履歴応答信号を受信することなく所定時間が経過した場合には(ステップS1205のYES)、履歴応答信号を送信していない管理サーバの、履歴の送信フラグを未送信であることを示す「1」にして履歴情報251aに登録して処理を終了する。
【0070】
以上の動作により、入退管理装置は、全ての管理サーバに履歴を送信しつつ、それぞれの履歴について、各管理サーバごとにその履歴の送信/未送信の情報を管理できる。
図13は、履歴を受信したときの、管理サーバの動作を示すフローチャートである。当該動作は、管理サーバ300a、300bで共通するので、ここでは、管理サーバ300aの動作として説明する。
【0071】
管理サーバ300aの通信部310aは、入退管理装置からの履歴を受信する(ステップS1301)。
通信部310aは、受信した履歴を制御部320aに伝達し、制御部320aは、受け取った履歴をキャッシュメモリの履歴情報323aに登録する(ステップS1302)。
履歴を受信した管理サーバ300aは、履歴を受信したことを示す履歴応答信号を、履歴を送信した入退管理装置に対して送信する(ステップS1303)。即ち、制御部320aは、送信先アドレス801として、受信した履歴の送信元アドレス702で示されるアドレスを、送信元アドレス802として管理サーバ300aのアドレスを、履歴番号803として受信した履歴の履歴番号702で示される情報が設定された履歴応答信号を生成して、通信部310aを介して送信する。
【0072】
制御部260aは、受信したユーザの入退に係るものであるかどうかを判定する(ステップS1304)。当該判定は、同一の入退管理装置から、認証成功、電気錠解錠、扉開、扉閉、電気錠施錠の順序で5つの履歴を受信した場合に、履歴の位置情報で示される場所のエリアへの入場、または、退場であると判定する。入場か退場かの判定については、認証を行ったカードリーダの情報でもって決定される。例えば、カードリーダ110aで読み取っていた場合には、エリアAからの退場になり、カードリーダ120aで読み取っていた場合には、エリアAへの入場ということになる。即ち、イベントが「扉閉」を示す履歴を受信したときに、一連の履歴を受信したかどうかを判定することにより入退に関連する履歴であるかを判定する。
【0073】
履歴が入退に関連するものでなかった場合には(ステップS1304のNO)、処理を終了する。履歴が入退に関連するものであった場合には(ステップS1304のYES)、制御部320aは、キャッシュメモリ321aに格納されている滞留情報323aを更新する(ステップS1305)。上述の通り、制御部320aは、認証を行ったカードリーダがどのカードリーダかによって入場か退場かとどのエリアに関連するものであるかを判定し、判定されたエリアの人数を更新する。入場と判定されていた場合には、人数を1加算し、退場と判定されていた場合には、人数を1減算して、処理を終了する。
【0074】
なお、制御部320aは、定期的に、コードで送信されて、そのまま記録された履歴情報323aの中から履歴DB351aに登録されていない履歴を抽出して、文字列に変換して履歴DB351aに登録する処理を行っている。
図14は、生存確認信号を送信するときの、管理サーバの動作を示すフローチャートである。当該動作は、管理サーバ300a、300bで共通するので、ここでは、管理サーバ300aの動作として説明する。
【0075】
制御部320aは、生存確認信号を送信すべきタイミングがくるとその処理を開始する(ステップS1401)。
制御部320aは、動作ログなどを検索して、生存確認信号の送信が初回であるかどうかを判定する(ステップS1402)。
生存確認信号を初めて送信する場合には(ステップS1402のYES)、制御部320aは、履歴DB351aに既に履歴が登録されているかどうかを判定する(ステップS1403)。
【0076】
履歴DBに登録されている履歴があった場合には(ステップS1403のYES)、制御部320aは、全入退管理装置について、それぞれの最新の履歴を履歴DBから抽出する(ステップS1404)。履歴DB351aの管理装置907と日時902とを参照することで、各入退管理装置についての最新の履歴を検索される。
各入退管理装置それぞれの最新の履歴を抽出すると、制御部320aは、通信部310aを介して、それぞれ対応する入退管理装置に対して、それぞれの最新の履歴を示す履歴番号803を付加した生存確認信号を送信する(ステップS1405)。
【0077】
なお、生存確認信号の送信が初回でない場合(ステップS1402のNO)や、履歴DBに履歴がない場合(ステップS1403のNO)には、通常の生存確認信号を生成して、各入退管理装置に送信する(ステップS1406)。
そして、管理サーバ300aは、生存確認信号を送信してから所定時間が経過すると(ステップS1407のYES)、ステップS1401に戻る。
【0078】
ステップS1402〜S1405の処理を行うことにより、管理サーバが、故障した管理サーバと交換される新たな管理サーバであった場合に、コピーして得た履歴DBの中の最新の履歴がどの履歴であるかを各入退管理装置に通知することができる。よって、入退管理装置としては、無駄な履歴の送信が発生せず、管理サーバとしても無駄な履歴を受信することにより発生する処理を低減することができる。
【0079】
図15は、管理サーバから定期的に送信されてくる生存確認信号を入退管理装置が受信したときの、入退管理装置の動作を示すフローチャートである。当該動作は、入退管理装置200a〜200cで共通するので、ここでは、入退管理装置200aの動作として説明する。
入退管理装置200aの外部通信部240aは、生存確認信号を受信する(ステップS1501)。
【0080】
すると、外部通信部240aは、生存確認信号を制御部260aに伝達する。生存確認信号を受信した制御部260aは、自装置が動作していることを示す生存確認応答信号を外部通信部240aを介して、生存確認信号を送信した管理サーバに宛てて送信する(ステップS1502)。
制御部260aは、受信した生存確認信号を解析して、履歴番号803が付加されているどうかを判定する(ステップS1503)。
【0081】
生存確認信号に履歴番号803が付加されていない場合には(ステップS1503のNO)、このまま処理を終了する。生存確認信号に履歴番号803が付加されていた場合には(ステップS1503のYES)、生存確認信号に付加されていた履歴番号803で示される履歴を履歴情報252aから検索する。そして、検索して得られた履歴及び、当該履歴以前の履歴であって、生存確認信号の送信元アドレス802で示されるアドレスに対応する管理サーバの送信フラグを全て「0」に変更して終了する(ステップS1504)。
【0082】
このあと、制御部260aは、生存確認信号を送信してきた管理サーバに宛てて、保持している履歴情報252aの中で、当該管理サーバの送信フラグが「1」になっている履歴を送信する。
図15に示した処理を実行することにより、入退管理装置は、管理サーバに対して生存していることを通知できるとともに、管理サーバに対して、同じ履歴を2重に送信してしまうという事態を回避できる。
<まとめ>
以上に説明してきたように、本実施の形態に係る入退管理システムでは、管理サーバ間で一方のキャッシュメモリのデータをコピーするという手法で同期をとらずに、入退管理装置が生成した履歴を全ての管理サーバに送信し、全ての管理サーバが履歴を受信したときにすべき処理を実行するので、キャッシュメモリをコピーせずとも、全管理サーバのキャッシュメモリの内容を同じ物とすることができる。
【0083】
また、管理サーバのいずれかが故障などした場合に、取り替える必要が出てくるが、このとき、新たに設置する管理サーバの履歴DBとキャッシュメモリの内容とを、生存している管理サーバの保持している履歴DBとキャッシュメモリの内容と同一のものとすべく、そのコピーを記憶させることとなる。しかし、データをコピーしたあとも、イベントは発生しており、新たに追加する管理サーバが実際に稼動し始めるまでには、コピーした状態から、更に進行して新たな履歴が発生していることになり、当該履歴もまた、処理されて履歴DBに登録されなければならない。
【0084】
また、入退管理装置にとっては、管理サーバが故障してから発生したイベントの履歴は全て未送信ということになっているが、コピーして得た履歴DBには、その故障後の履歴も含まれていることがある。当該履歴が再送された場合には、管理サーバ側で無駄な処理が発生することになるが、本実施の形態に示した新たに追加した管理サーバが保持する履歴DBは生存していた管理サーバのコピーであることから、入退管理装置では未送信になっている履歴も含まれることがある。この履歴を再度受信して、それに対する処理(履歴DBへの登録、滞留情報の更新等)を行うことは無駄な処理が発生することと同義である。そこで、上記実施の形態に示したように、追加された新たな管理サーバは、入退管理装置に対して最初の生存確認信号を送信する際には、保持している履歴の中で、各入退管理装置それぞれから送信された最新の履歴を抽出して生存確認信号に付加して送信する。そして、入退管理装置は、生存確認信号に履歴が付加されていた場合には、それ以前の履歴の送信フラグを全て送信済みに変更するので、履歴の2重送信が発生しなくなるので、管理サーバにおいて無駄な処理が発生することがない。
<補足>
上記実施の形態において、本発明の実施の手法について説明してきたが、本発明の実施の形態がこれに限られないことは勿論である。以下、上記実施形態以外に本発明として含まれるその他の各種の変形例について説明する。
(1)上記実施の形態においては、管理サーバが2台ある実施の形態を説明したが、管理サーバは複数台あれば何台あってもかまわない。このとき、入退管理装置は、入退管理システムに備えられた全管理サーバに宛てて履歴を送信することになる。また、各入退管理装置は、それぞれで保持する履歴情報に入退管理システムに備えられた全管理サーバ分の送信フラグを登録して管理することとなる。
(2)上記実施の形態においては、新たな管理サーバを導入する場合や、入退管理システムに含まれていた管理サーバを交換する場合には、新たに導入された管理サーバは、最初の生存確認信号を送信するときに、コピーして保持している履歴DBの中の、入退管理装置それぞれの最新の履歴を抽出して、生存確認信号に付加して送信することとしたが、最新の履歴の送信に当たっては、生存確認信号に付加する形ではなく、専用の信号を用いて送信することとしてもよい。
(3)上記実施の形態においては、特に記載しなかったが、各信号(履歴、生存確認信号、生存確認応答信号、履歴応答信号)それぞれは、そのヘッダに各信号の種類を識別するための識別子が付加されていてもよい。
(4)上記実施の形態においては、キャッシュメモリ321aは、制御部320が保持しているかのように記載したが、キャッシュメモリ321aは、管理サーバ300a内に備えられていればよく、制御部320がデータを読み書き可能な構成になってさえいればよい。
(5)上述の実施の形態で示した管理サーバが入退管理装置に保持している履歴を通知する処理、入退管理装置が履歴についての送信フラグの更新に係る処理等(図14、図15参照)を管理サーバや入退管理装置等のプロセッサ、及びそのプロセッサに接続された各種回路に実行させるためのプログラムコードからなる制御プログラムを、記録媒体に記録すること、又は各種通信路等を介して流通させ頒布させることもできる。このような記録媒体には、ICカード、ハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM等がある。流通、頒布された制御プログラムはプロセッサに読み出され得るメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのプロセッサがその制御プログラムを実行することにより、実施形態で示したような各種機能が実現されるようになる。
(6)上記実施の形態に示した管理サーバ300a、300b及び入退管理装置200a〜200cの各機能部は、集積化されて1又は複数のLSI(Large Scale Integration)により実現されてもよい。また、複数の機能部が1のLSIにより実現されてもよい。
【0085】
LSIは集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、SLSI(Super Large Scale Integration)、ULSI(Ultra Large Scale Integration)などと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限られるものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現しても良い。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。
(7)本発明は、管理対象となるエリアへのユーザの入退場を管理する入退管理装置と、前記入退管理装置において発生したイベントの履歴を管理する管理サーバとを含む入退管理システムであって、複数の管理サーバを含み、前記管理サーバ各々は、受信したイベントの履歴を一時的に記憶するキャッシュメモリと、イベントの履歴を記録する履歴データベースと、前記キャッシュメモリ上の前記イベントの履歴を前記履歴データベースに登録する登録手段とを備え、前記入退管理装置は、イベントが発生するごとに当該イベントの履歴を前記複数の管理サーバ各々に送信する送信手段を備えることを特徴とする。
【0086】
また、当該入退管理システムにおいて、前記管理サーバは、前記入退管理装置からイベントの履歴を受信すると、当該履歴を受信したことを示す応答信号を送信する応答信号送信手段を備え、前記入退管理装置は、送信した履歴ごとに、前記複数の管理サーバそれぞれに対応して、応答信号を受信したか否かに基づいて、送信済みもしくは未送信の情報を対応付けて記憶する記憶手段と、前記複数の管理サーバそれぞれに、各管理サーバに未送信となっている履歴を送信する再送手段とを備え、前記入退管理システムに含まれる複数の管理サーバのうちの一部を新たな管理サーバに交換する場合に、新たな管理サーバの履歴データベース及びキャッシュメモリが保持する情報は、交換しない管理サーバの履歴データベース及びキャッシュメモリが保持している情報のコピーであり、前記新たな管理サーバは、コピーされて保持している履歴データベースの中の履歴のうち、最新の履歴を示す最新履歴情報を送信する最新履歴送信手段を備え、前記再送手段は、前記最新履歴情報を受け付けると、当該最新履歴情報で示される履歴以前の履歴に対応する送信済みもしくは未送信の情報を送信済みとした上で、未送信となっている履歴を送信することとしてもよい。
【0087】
また、前記入退管理システムは、複数の入退管理装置を含み、前記最新履歴送信手段は、前記複数の入退管理装置それぞれの最新の履歴を送信することとしてもよい。
これにより、例えば故障などにより管理サーバを交換する必要がある場合に、交換しない管理サーバから履歴DBのコピーを貰った上で、その履歴DBの中の最新の履歴を入退管理装置に通知することにより、入退管理装置は無駄な履歴の送信を行わないとともに、無駄な履歴が送信されることによって、管理サーバがその処理を実行することがなくなるという優れた効果を奏する。
【0088】
また、前記キャッシュメモリは、更に、入退管理装置の管理対象のエリアに滞在するユーザ人数を示す滞留情報を記憶し、前記管理サーバは、更に、受信したイベントの履歴が、管理対象となるエリアへの入退場を示すものであった場合に、前記滞留情報を更新する滞留情報更新手段を備えることとしてもよい。
履歴が各管理サーバに送信されることにより、更新の早いキャッシュメモリ中の滞留情報の更新も、通常のFTサーバなどの場合におけるような同期手法をとらずとも、各管理サーバで同じ内容の滞留情報を保持することができる。
【符号の説明】
【0089】
160 ネットワーク
200a〜200e 入退管理装置
240a 外部通信部(送信手段、再送手段)
250a 記憶部(記憶手段)
260a 制御部(送信手段、再送手段)
300a、300b 管理サーバ
310a 通信部(応答信号送信手段、最新履歴送信手段)
320a 制御部(応答信号送信手段、登録手段、最新履歴送信手段、滞留情
報更新手段)
321a キャッシュメモリ
322a 滞留情報
350a 保存部(登録手段)
351a 履歴DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象となるエリアへのユーザの入退場を管理する入退管理装置と、前記入退管理装置において発生したイベントの履歴を管理する管理サーバとを含む入退管理システムであって、
複数の管理サーバを含み、
前記管理サーバ各々は、
受信したイベントの履歴を一時的に記憶するキャッシュメモリと、
イベントの履歴を記録する履歴データベースと、
前記キャッシュメモリ上の前記イベントの履歴を前記履歴データベースに登録する登録手段と
を備え、
前記入退管理装置は、
イベントが発生するごとに当該イベントの履歴を前記複数の管理サーバ各々に送信する送信手段を備える
ことを特徴とする入退管理システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、前記入退管理装置からイベントの履歴を受信すると、当該履歴を受信したことを示す応答信号を送信する応答信号送信手段を備え、
前記入退管理装置は、送信した履歴ごとに、前記複数の管理サーバそれぞれに対応して、応答信号を受信したか否かに基づいて、送信済みもしくは未送信の情報を対応付けて記憶する記憶手段と、
前記複数の管理サーバそれぞれに、各管理サーバに未送信となっている履歴を送信する再送手段とを備え、
前記入退管理システムに含まれる複数の管理サーバのうちの一部を新たな管理サーバに交換する場合に、
新たな管理サーバの履歴データベース及びキャッシュメモリが保持する情報は、交換しない管理サーバの履歴データベース及びキャッシュメモリが保持している情報のコピーであり、
前記新たな管理サーバは、コピーされて保持している履歴データベースの中の履歴のうち、最新の履歴を示す最新履歴情報を送信する最新履歴送信手段を備え、
前記再送手段は、前記最新履歴情報を受け付けると、当該最新履歴情報で示される履歴以前の履歴に対応する送信済みもしくは未送信の情報を送信済みとした上で、未送信となっている履歴を送信する
ことを特徴とする請求項1記載の入退管理システム。
【請求項3】
前記入退管理システムは、複数の入退管理装置を含み、
前記最新履歴送信手段は、前記複数の入退管理装置それぞれの最新の履歴を送信する
ことを特徴とする請求項2記載の入退管理システム。
【請求項4】
前記キャッシュメモリは、更に、入退管理装置の管理対象のエリアに滞在するユーザ人数を示す滞留情報を記憶し、
前記管理サーバは、更に、
受信したイベントの履歴が、管理対象となるエリアへの入退場を示すものであった場合に、前記滞留情報を更新する滞留情報更新手段を備える
ことを特徴とする請求項2記載の入退管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−203978(P2011−203978A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70237(P2010−70237)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】